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2016年5月11日 第3回 医療情報データベースの運営等に関する検討会 議事録

○日時

平成28年5月11日(水)
14:00~


○場所

航空会館701+702会議室


○議事

 

○安全対策課専門官 定刻になりましたので、ただいまから第3回医療情報データベースの運営等に関する検討会を開催いたします。本検討会の構成員については、現時点で 16 名中 12 名御出席を頂いております。木村構成員、柴田構成員、田尻構成員、松田構成員は、御都合がつかないため、本日は御欠席です。

 初めに、構成員の交代について報告いたします。小泉構成員に代わり、日本歯科医師会常務理事の杉山茂夫構成員に御就任いただいております。また、本日は参考人として、和光大学大学院教授の井出健二郎先生に御参加いただいております。

 それから、前回以降に事務局で人事異動がありましたので、新たな着任者を紹介いたします。医薬・生活衛生局安全対策課専門官の太田です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほどお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと。座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、申込時の留意事項の遵守をお願いいたします。

 以降の進行については、永井座長にお願いいたします。

○永井座長 それでは、まず事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 お手元の資料の御確認をお願いいたします。第1回、第2回の検討会の資料をファイリングしたものを机上に配布しております。本日の検討会の資料ですが、議事次第、配布資料一覧、開催要綱、構成員名簿となっております。資料1は、第2回検討会における意見のまとめです。資料2は、「 MID-NET 」の範囲に関して、図示をしたものです。資料3-1は、本検討会の中間報告書の骨子(案)です。資料3-2は、本検討会における検討事項についてまとめたものです。資料4は、今後の検討スケジュールです。参考資料1-1は、第1回の本検討会における議事録、参考資料1-2は、第2回検討会に関する議事録です。配布資料の不足、乱丁等がありましたら、事務局までお知らせください。

○永井座長 では、議事に入ります。最初に、前回の主な議論について、資料1と2について事務局から御説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 資料1を御覧ください。こちらには、第2回検討会において頂いた御意見をまとめました。また、頂いた御意見等を踏まえて、資料3-2において検討事項1~8として事務局案を整理しましたので、後ほど御説明いたします。

 1つ目の「利活用の範囲」については、学会による利活用も認めてはどうか。また、問題が生じた場合の責任の所在を明確にした上で、十分な責任を持てる主体による利活用を可能とすべき。財団から助成を受けている公益的な研究も認めてはどうか。との御意見を頂きました。これらについては、資料3-2の検討事項1において整理しました。

 2つ目の「利活用のルール」についてです。全般的な事項としては、利活用ルールの検討範囲を明確化するために、「 MID-NET 」という言葉が指し示すシステム・ネットワークの範囲を明確にしてほしいとの御意見を頂きました。こちらについては、資料2にて後ほど説明いたします。また、利活用の審査については、 NDB の運用と同様に、事前に、研究目的や研究内容、公表方法等について審査をするべき。それから、行政が緊急を要する場合の利活用の審査方法については検討が必要との御意見を頂きました。これらについては、検討事項2において整理しています。

 次に、情報の取扱いの範囲については、利活用の経験を積みながら段階的に広げていくべきとの御意見があった一方で、集計表を使う場合は、個票の場合と比べて利用形態を緩和してもよいのではないか。協力医療機関以外の施設で一定以上のシステムの安全管理要件を満たす環境を作ることができれば、そこから MED-NET の複数施設統合データ処理センターにアクセスをして個票の利用も可とするべきである。また、このために必要な準備は平成 30 年度の本格運用までにするべきとの御意見もありました。一方で、 NDB のケースを踏まえますと、利活用者が自らの施設で十分なシステムの安全管理要件を満たす環境を整備することは難しいと思うとの御意見も頂きました。これらの情報の取扱いの範囲については、検討事項3に整理しましたので、後ほど御説明いたします。

 次に、解析結果の公表については、目的の公益性という観点からも結果はきちんと公表するべきとの御意見がありましたが、集計結果が小さい場合、解析は可能とする一方で、公表の仕方を検討する必要があるといった御意見もありました。安全対策目的での調査の場合、たとえ1例であったとしても、公益性の観点から公表することが必要な場合も想定されるため、ケース・バイ・ケースでの判断が必要との御意見も頂きました。これらの解析結果の公表については、検討事項5に整理しました。

 続いて、3つ目の「費用負担の枠組み」についてです。費用負担元の枠組みについては、前回の検討会で示した事務局案のとおり、利用者負担を基本とし、 MID-NET の長期安定稼働の実現のための国費投入は、ある程度やむを得ないとの御意見を頂いております。また、利用料の額の設定については、利用料はアカデミアが利用しやすいように設定すべき。製薬企業にとっては、 MID-NET を利活用することで、迅速かつ効率的に結果が得られることを考慮すべき。得られた結果がどの程度公益性を持つかといった点も公慮すべき。アカデミアが行う研究でも大量のデータを調べる可能性があるため、データ量や解析内容といった要素で費用を決めるのではなく、費用負担の程度はうまく調整すべきとの御意見を頂きました。これらの利用額の設定については、検討事項7において整理をしました。

 次に、4つ目の「人材育成」については、研修会の実施は重要であり、 MID-NET を利活用する場合は、研修の受講を要件として入れるべき。今後は、研修会を広く実施していくことが必要との御意見を頂きました。人材育成については、検討事項8にて整理をしました。

 最後に、「その他」の事項として、協力医療機関については、 MID-NET の開発や運用に際し、協力いただいている負担を考慮して、何らかの支援を検討するべき。 MID-NET で得られた成果を検討会等で示してほしいといった御意見を頂きました。資料1については以上になります。

 続いて、資料2を御覧ください。前回の検討会で、 MID-NET という言葉が指し示す範囲を明確にしてほしいとの御意見を頂きましたので、 MID-NET の範囲について事務局にて整理をしました。 MID-NET の範囲は、資料2の赤い点線の枠で囲んだ部分になります。この部分は、本事業において独自に開発したシステムであり、赤い点線の枠の左端にある「 DB 変換統合化システム」以降のシステムを MID-NET と称することになります。こちらの赤い点線の枠内では、左端の「統合データソース」のみが連結可能匿名化の情報を含んでいますが、当該情報は各協力医療機関内にとどまっており、利活用者が閲覧することはできません。また、統合データソースからは、連結不可能匿名化をされた形でデータが抽出され、利活用者はそのようなデータのみを閲覧できるといった仕組みになっています。したがって、 MID-NET のシステム内には匿名化されていない個人情報は含まれていないということになります。資料2の説明については以上です。

○永井座長 それでは、ただいまの御説明に、御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。利用料のことが書いてありますが、年間の維持費は、これから大体どのぐらいかかると想定されているのでしょうか。

○安全使用推進室長 現在は試行期間中ですが、各協力医療機関の先生方にも御協力を頂いている部分の費用なども含めて、運営のために年間あたりに今後どのくらい費用がかかるのか考えていかなくてはいけないと思っております。具体的な額については、御協力いただいている部分の費用なども含めて、今後ワーキンググループで御検討いただきたいと考えているところです。

○永井座長 製薬企業もある程度利用に応じて負担する用意はあると考えてよろしいですか。

○青木構成員 製薬産業としては、このプロジェクトにこれまでも半分ほど拠出をさせていただいたという立場もありますが、総じて、例えばこちらに記載がある使用成績調査や、その他の安全性監視に関わる活動に利用させていただく際には無償でなければならないというような意見は特に聞いておりませんので、ある程度の費用的な検討はできるものと考えています。

○永井座長 全ての機能をカバーできるわけではないのでしょうが、市販後の調査のかなりのことは、 MID-NET で情報を集められると考えてよろしいのでしょうか。

○青木構成員 これは、製薬産業の合意というわけではなく、私見も含みますが、かなりということは少し難しいのかなと思います。全体として2、3割か、例えば精神疾患系のような症状の場合は、世界的に見ても余りデータベースで研究することが好ましくなかったりしますし、一方で検査値などで推移が見られるような研究に関しては、比較的いろいろなアプローチで研究ができるということもありますので、得手不得手を考えると、私がイメージしているのは2割なり3割なり、全体の中でそれくらいなのかなと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。もし御意見がないようでしたら、次にまいります。今回は、検討課題がたくさんあります。事務局からの説明と意見交換については、小分けをして進めていきます。資料3-1については、最初に本検討会の中間報告書の骨子(案)について、続いて資料3-2の検討事項1~2について、事務局から御説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 資料3-1を御覧ください。こちらは、本検討会の中間報告書の骨子(案)になります。全体として、1番目に本事業の経緯と目的、進捗状況、本検討会における検討事項の概要を記載し、2番目に本検討会で検討した事項の詳細、3番目に今後、引き続き検討が必要な事項について記載するという構成を考えております。このうち、2番目の検討事項の詳細については、上から順に(2)利活用の範囲、(3)利活用のルール、(4)費用負担の枠組み、(5)人材育成といった形で、本検討会で検討された内容を記載することを考えております。それぞれの検討事項1~8の詳細については、資料3-2において事務局案を整理しましたので御説明いたします。資料3-2の説明は以上です。

 続いて、資料3-2を御覧ください。本検討会における検討事項について、事務局で整理した案を御説明いたします。今回は検討事項が多いため、検討事項1~2、検討事項3~6、検討事項7~8の3つのパートに分けて事務局より説明をした上で、先生方に御議論を頂ければと思います。

 まず初めに、スライド1を御覧ください。検討事項1、利活用の目的の範囲になります。初めに、個々の利活用の目的の妥当性については、有識者会議を設置して、事前に審査をすることを前提として考えております。その上で、利活用の目的の範囲を大きく2つに分けて整理をしました。

 1つ目は、リスク・ベネフィット評価を含めた安全対策を目的とした利活用です。これについては、利活用者の観点からの制限はしないこととし、学会による利活用や民間財団からの助成を受けている場合であっても、事前審査を受けた上で利活用を可能としてはどうかと考えております。利活用の例としては、製薬企業による製造販売後調査や市販後安全監視、行政による安全対策措置の検討、アカデミアによる医薬品の市販後安全対策を目的とした研究などを想定しております。

 2つ目は、安全対策以外のものであって、公益性の高い調査・研究を目的とした利活用です。これについては、当面の間、2種類の調査・研究に限定することとしてはどうかと考えております。1つ目は、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で要請された医薬品についての使用実態調査です。2つ目は、国の行政機関、自治体や研究開発独立行政法人からの公的研究費による研究です。具体的には、厚労省や文科省による科研費や、 AMED 等の研究開発独立行政法人から採択された研究を考えております。民間財団の助成による研究を含めた利活用については、当面の間は含めないこととしますが、今後公益性の判断基準を作成した上で含めていくこととしてはどうかと考えております。

 続いて、スライド2を御覧ください。まず、本格運用時における MID-NET の利活用の流れを説明いたします。利活用者からの申出を受け付けた後、有識者会議における審査を受けて利活用の承認を受けた場合は、利活用者によるデータ処理依頼・受領・解析が行われます。その後、利活用者によるデータの持ち出し、解析結果の公表がされて、データの保管・削除が行われることを想定しております。以降のスライドでは、それぞれのステップにおいて検討が必要とされる事項について、検討事項2~6にて整理をいたしました。

 続いて、スライド3を御覧ください。検討事項2、利活用の申出に関する事前審査の内容になります。利活用者は、調査・研究内容について、あらかじめ有識者会議で事前審査を受けることとしてはどうかと考えております。主な審査内容としては、利活用の目的の範囲が検討事項1に示した範囲に合致しているか。利活用の内容が目的を逸脱せず、かつ実施可能であるか。利活用の期間は適切であるか。利活用する情報の範囲が目的に照らし合わせて必要最小限であるか。個票や集計票など、扱う情報の内容に応じて、利活用者の所属機関においてセキュリティが確保された環境が整えられているか。結果の公表内容や公表方法について、目的に合致していること、すなわち第三者によって個人や医療機関等が特定されないように措置が講じられているかといった内容を想定しております。

 また、事前審査で承認された調査・研究については、調査・研究を実施する前に利活用者の名前・所属・研究の名称等を公表することを考えていますが、どの程度の内容を公表するかについては、今後検討していきたいと考えております。

 一方で、厚生労働省及び PMDA が医薬品等の安全対策を目的として実施する場合の事前審査については、安全対策を迅速に行うといった観点から、省略することとしてはどうかと考えております。

 最後に、利益相反については、厚生労働科学研究などの場合と同様に、その管理状況については届出をすることとしてはどうかと考えております。検討事項1、2については以上になります。

○永井座長 それでは、最初に資料3-1、中間報告書骨子(案)について、御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。具体的な内容がないとなかなか分かりにくいと思いますが、後ほどお気づきの点がありましたら御意見を頂くことにして、審議を進めます。資料3-2の検討事項1、2それぞれについて、御意見を頂きたいと思います。まず、1からいかがでしょうか。

○山口構成員 1の2.に、公益性の高い調査・研究を目的とした利活用ということで、当面の間、限定するということが書いてあります。確かに、やはり当面の間はこれでいいと私も思うのですが、当面の間ずっと見ていたら、ほかにどのようなものが今後対象になっていくのかが分からないまま経過するのではないかと思います。民間団体の助成による研究の中で、公益性の高いものと判断する判断基準を考えていかなければならないということを考えたときに、例えば若い研究者の方々で、科研費などをなかなか入手できなくて対象にならない方たちに、今後利活用可能な範囲を少し広めていくに当たって、今は認められないけれども、もし応募できるのであれば、このようなものを応募したいというようなものを実際に募って、判断基準を考えていくための募集をするということも、試みとしてやってみてはどうでしょうか。幾つか出てきたものの中で、こういうものは公益性があると判断できるのではないかというような一定の基準が作れるのかなということも少し感じました。具体的なアクションを起こさないと、これは「当面の間」がずっと当面の間になるのではないかという気がいたしました。

○永井座長 いかがでしょうか。どのようなものが公益性の高い民間財団なのかというのも、なかなか難しいところもありますが、「当面の間」については、ある程度整理をしておかないと、ずっと長期間、当面の間になってしまうかもしれませんね。

○大江構成員 私も、今の山口構成員の御発言に同じ考えを持っています。まず、現在は試行期間中ですが、この試行期間は平成 29 年度末まで続くことを考えると、既に試行期間が4年間あることになります。今から2年近く先の平成 30 年度からの本格運用時のルールを決めるわけですから、さらにそこから当面の間は含めないというのでは、随分先の長い話だなと思います。

 例えば、国の行政機関などからの公的研究費も、最近は企業とのマッチングファンドのようなものも増えていて、必ずしも完全に公的とは判断しにくい面もあります。一方で、このような研究費をもらっていない研究であっても、例えばそれが民間財団からの支援を受けていない個人的な発案で、大学の研究者が行うというような種類のものも、十分に公益性の高いものはあると思います。むしろ、平成 30 年度からの本格運用時点で、そのような研究においても MID-NET が利活用できるということは、 MID-NET の潜在的価値を発見するチャンスにもつながると思います。基準を作ることが難しいのはよく分かりますが、有識者会議で何らかの審査のクライテリアをもって審査をしていただいて、かつ、その結果を公表して、場合によってはパブリックコメントのような、何か一般的な所から異論があるか、猶与期間をおいた上で、特になければ利活用を行い、結果は公表するというような条件を付けることで、特に研究費の出所にかかわらず、まずは審査を受け付けるということにしてはどうかと思います。今のままでは、そもそも申請すらできないという形になってしまうので、少しそこは見直すほうがよいのではないかと思います。

○永井座長 それは、平成 30 年度のスタート時点からですね。

○大江構成員 そうですね。そうしないと、逆にどのようなニーズがあるのかもなかなか分からないのではないかと思います。結局、みんな躊躇して申請しないので、ニーズも分からないということになるのではないかと思います。

○永井座長 審査をするほうは大変になるけれども、ということですね。事務局からはいかがですか。

○安全使用推進室長 事務局としては、そもそも MID-NET を作った経緯を踏まえると、安全対策での利活用を中心に考えるべきだと考えております。したがって、今御説明させていただきましたとおり、1つ目の安全対策を目的とした利活用をしっかりやるための基盤をきちんと作っていき、着実な運用をしたいと考えているところです。

 2つ目の公益性の高い調査・研究については、平成 30 年度の本格運用開始時においては、今回御提案をさせていただいております未承認・適応外薬検討会議の開発要請品目に関する使用実態調査と、公的研究費による研究から本格運用を開始させていただきたいと考えております。ただ今、先生方から御意見を頂いたとおり、今後判断基準をどのような段取りで具体的に作成を進めていくのかを検討したいと思います。ただ、本格運用開始時には、できればこの範囲で利活用を可能としていきたいと思います。

○永井座長 あとは「当面の間」の期間をどのように設定するかですね。

○安全対策課長 先ほど御説明しましたように、 MID-NET はいろいろな利活用の可能性があり、いろいろなことに使っていただきたいという希望はあります。一方で、まずは安全対策を目的に設置をしたので、その要望にきちんと応えていかなければなりません。それ以外の目的で使われることによって、最初の立ち上げのところで安全対策を目的とした利活用が阻害されるようなことがあってはならないとも思っております。そこで、安全対策を目的とした利活用に主体を置かせていただき、その後の運用状況を見ながら、いろいろなものにも広げていければと考えた次第です。

 ただ一方で、「当面の間」がいつまでなのかということにもなりますので、その点については、例えば実施状況を見ながら判断するようなやり方を考えておくこと。それから、もう1つは先ほど山口先生からご意見があったような方法で、公益性の判断基準を整備することが考えられると思います。この点については、一度整理をして、「当面の間」というのが具体的にはどのような時点でどのような判断がされればよいのかということを、例えばどのような会議でモニターをするのかということも含めて、お示しをしたいと思います。

○永井座長 ほかにご意見はありますか。

○大江構成員 今の事務局からの御説明を聞いていて、ふと思ったのですが、確かに1つ目の安全対策を目的とした利活用というのも、非常に幅広く解釈をしていただければ、様々な公益的なデータベースを用いた研究の多くは、安全対策を間接的に目的としているとも考えられますので、そこの部分が少し幅広く取られるようにしていただけたらよいと思います。

○永井座長 恐らく、若い研究者等の方々も興味があるのは有効性なのだと思います。有効性というのは、結局はリスクとベネフィットの関係を見ることになるので、安全性を押さえないと有効性というのは見えないのだと思います。そうすると、この1つ目の条項で、ほとんどのことがカバーできるのだろうと思います。

○大江構成員 1つ目のところに、例を増やしていただければと思いました。

○丸山構成員 2つ目の1.の下から4行目に、例として厚労科研と AMED 研究事業が挙げられていますが、これでは非常に絞られてしまうので、文部科研や科学技術振興機構などによる研究費も含めれば、若い人達の研究も対象にできると思います。この前に書かれている公的研究費による研究ということで膨らませることができるのではないかと思います。この例では、非常に縮小して理解されてしまうことを、御検討いただければと思います。

○安全使用推進室専門官 今回御提示させていただいた案では、厚生労働科学研究や AMED 研究事業を例示させていただきましたが、国の行政機関については、必ずしも厚生労働省に限らず、文部科学省からの研究費なども対象の範囲内として考えております。また、独立行政法人については、 AMED 以外の研究開発独立行政法人からの研究費も対象として含めております。

○中島構成員 1つ確認です。2つ目の1.に関してですが、基本的には1施設に関しては、その施設の医師が、これを使って、準ずる利用といいますか、2つ目の1.に該当するような様々なことに利活用してもよいと。報告する義務はあるけれども、利活用はしてもよいということになっていたと思うのですが、その理解でよろしいですか。協力医療機関で、自分たちの MID-NET システムを利用して、自分たちのデータベース、例えば九大ならば九大のデータベースを使っていろいろなことに利活用をすることはできるのですよね。

○安全使用推進室長 はい。

○中島構成員 報告する義務はあるということでよろしいですよね。

○安全使用推進室長 利活用の規定に基づいてお願いできればと思います。

○中島構成員 ということであれば、先ほどからの御意見には基本的には賛成ですが、いろいろなニーズが恐らくその辺りでどんどん出てくるのかなという気がします。例えば、学内の若い研究者がこのようなことをしたいということを協力してやると。もちろん、それで何か公益性の高い結果が出たら、それを 10 拠点の協力医療機関でやりたいという気持ちはあると思うのですが、それを含めて申請するということもいいと思うのです。どんどん各医療機関で試してみることは1つの選択肢ではないかと思います。

○山本座長代理 確認ですが、スライド1に、「利活用者の観点からの制限はしない」とありますが、これは自ら責任を取れる主体であるという条件は入ると考えていいのですよね。

○安全使用推進室長 そのとおりです。この部分は、前回も先生からコメントを頂いていると思います。もちろん、この後の検討事項2で事前審査が出てまいりますが、その中で申請者がどのような方なのかというところも含めて確認をさせていただきたいと考えております。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。大学から御覧になっていかがですか。

○林構成員 今までの議論にあったように、やはりなるべく幅広くチャンスを得られるというところが大事だと思います。いろいろな問題は多分、事前審査で明らかになってくると思いますので、そこのルールづくりをしっかりされると、大学等での研究者も使いやすくなると思います。

○永井座長 企業からは、特にご意見はありますか。

○青木構成員 繰り返しになりますが、動機というのがやはり安全対策であることから、立場としては安全対策を優先していただきたいことに変わりはありません。ただ、先生方が御議論いただいているように、安全対策と申しましても、例えば検査タイミングの最適化を考えるということになると、経済的な視点も出てくるでしょうし、処方を中止するのか、それとも減量するのかという観点から見るアプローチになると、リスクだけではなくてベネフィットとリスクの最適化の研究にもなると思います。広く捉えることができれば、多様な研究が可能だと思いますので、そういう意味では製薬産業の研究、デザインをするスタッフの力量も問われるかと思いますが、使命感を持って規範になるような研究が初期に多く出てくるといいのかなという印象はあります。

○永井座長 ありがとうございます。ほかに御意見はありませんか。よろしいでしょうか。よろしければ、次の検討事項3から6について、それぞれについて御意見を頂きたいと思います。最初に、まとめて説明いただき、そのあとでそれぞれについて御意見を頂きます。

○安全使用推進室専門官 それでは資料3-2のスライド2を御覧ください。検討事項3~6についてですが、利活用者によるデータの解析からデータの保管・削除に至る一連の過程において、検討が必要と思われる事項を事務局で整理をしました。

 スライド4を御覧ください。それぞれの検討事項を説明する前に、 MID-NET で利活用者が利活用するデータの種類と、利活用の流れについて図示した内容を基に説明します。まず初めに1として左上の赤枠で示した利活用者は、オンサイトセンターなどに設置された専用の端末から、黄色枠の複数施設統合データ処理センターにアクセスをして、データの抽出依頼に必要な処理内容を送信します。その後、2として黄色枠のセンターから青枠の各協力医療機関に依頼内容が送信されます。なお、緑枠のように利活用者が協力医療機関に所属している場合は、依頼内容は黄色枠のセンターを介さないで、各協力医療機関に直接送信されます。依頼内容を受けた青枠の各協力医療機関では、3の操作をして、依頼内容を確認した上で、4のデータの抽出及び統計処理が行われます。それらの処理によって個票と集計表がそれぞれ作成され、各協力医療機関の了承の下で、5として黄色枠のセンターに個票と集計表は送信されていきます。利活用者は5のステップを経て、黄色枠のセンター内に保存された個票や集計表を基にして、6として赤枠の専用端末から遠隔操作によって統合解析を行います。そして7として赤枠の専用端末から黄色枠のセンター内に出力された統計処理データの結果を閲覧することになります。このような形で個票や集計表、及びそれらのデータに基づいて統計処理した結果のデータのファイル自体は全て黄色枠のデータ内に保存されており、赤枠の利活用者の専用端末には保存されておりません。また、ここに示したそれぞれのシステムは、全て MID-NET 専用の閉じたネットワークによってつながっております。 MID-NET を利活用するデータの元となる情報は医療情報であり、また、 MID-NET 全体のシステム自体のセキュリティ上の観点から、一般に広く使われているインターネットなど、ほかのネットワークとは一切接続されておりません。そのため、利活用者による全ての操作は、必ず赤枠の専用端末から黄色枠のセンターにアクセスして行うといった仕組みになっております。以上のような状況を踏まえて、 MID-NET におけるデータの取扱い等に関する検討事項3~6について御議論をお願いしたいと思います。

 次に、スライド5を御覧ください。検討事項3、データの取扱いの範囲になります。ここでは、先ほどのスライド4に示した赤枠の利活用者用の専用端末を設置するために必要な安全管理要件等について整理をしました。 MID-NET で取り扱うデータについては、各医療機関が承諾したもののみが利活用者に送信されます。利活用者が取り扱えるデータは連結不可能匿名化処理がなされている患者ごとのデータである個票と、個票を基に簡易的な統計処理をした結果である集計表の2種類になります。これらのデータの活用に当たっては、取り扱うデータの内容に応じた十分なセキュリティ環境の整備が必要となることが前提となります。特に個票は、改正個人情報保護法上の匿名加工情報に該当することが想定され、一定の安全管理要件を満たすことが努力義務として求められることになります。このように、利活用者用の専用端末を設置する際には、セキュリティ環境の整備が重要なポイントとなりますが、十分なセキュリティ環境が確保されていれば、スライド4の黄色枠の複数施設統合データ処理センターにアクセスする施設を限定する理由はないと考えております。

 また、行政側で整備するオンサイトセンターを除いて、複数施設統合データ処理センターにアクセスする施設における整備状況は事前審査を行うとともに、取り扱うデータが個票の場合は、実地調査を行って確認することとしてはどうかと考えております。アクセスする施設において整備すべきセキュリティ環境としては、取り扱うデータの種類に応じて個別に設定し、 NDB のデータの利活用の場合を踏まえて、個票では情報セキュリティマネジメントシステムを確実に実施できる環境を、また集計表では個票で求められるセキュリティ水準と比較して、ある程度具備しやすい環境を整備することとしてはどうかと考えております。

 続いて、スライド6を御覧ください。検討事項4、データの持ち出しについてです。ここでは利活用者がスライド4に示した赤枠の専用端末からデータを持ち出す際の基本的なルールについて整理をしました。利活用者が専用端末から持ち出し可能なデータは、各協力医療機関ごとの集計表と、スライド4の赤字で示した統計処理結果データである複数施設統合処理結果データのみとし、個票の持ち出しについては、原則不可としてはどうかと考えております。企業が製造販売後調査を実施する場合は個票の必要性が高いため、その場合には、解析等を全てオンサイトセンター内の専用端末で実施するか、若しくは各自で個票を利用できるような適切な環境を整備するといったことを考えております。また、持ち出すデータは必要最小限のものに限定し、持ち出した後の情報は、内容に応じて適切に管理することが前提になると考えております。

 続いて、スライド7を御覧ください。検討事項5、解析結果の公表についてです。利活用の成果は原則公表とし、解析結果の公表内容、公表方法については事前審査を受けることとしてはどうかと考えております。この際、公表に当たっては第三者によって個人や医療機関等が特定されないように留意し、公表のルールの詳細は今後、検討していきたいと考えております。公表のルールについては、 NDB の活用事例が参考になると考えていますが、 MID-NET NDB ではデータの母集団の規模に違いがあることなどの理由から、必ずしも NDB のルールがそのまま適用できるわけではないと考えております。また、安全対策上必要と判断した場合は、個人の匿名性を配慮した上で解析結果を公表することも検討する必要があると考えております。以上を踏まえて、公表に関する一般的な原則については、有識者会議(仮称)において検討することにしてはどうかと考えております。また、公表を予定する成果物については、公表前にその内容を事務局に報告することとし、当該成果物や、他の情報と照合すること等により個人が特定されるおそれはないか、あらかじめ承認された公表内容が整合しているかなどを確認することとしてはどうかと考えております。

 続いて、スライド8を御覧ください。検討事項6、データの保管・削除についてです。利活用によって生成されるデータとしては、各協力医療機関から抽出された個票や集計表に加えて、利活用者が作成した各種の中間生成物(統計処理結果を含む)が想定されます。これらのデータについては、利活用終了後も一定期間データの保管が必要と考えておりますが、利活用の際に抽出した個票と集計表はシステム管理側で一定期間保管することになると考えております。一方で、オレンジの箇所に示したとおり、利活用者が抽出したデータを用いて作成した各種中間生成物を誰が保管するのかについては、更なる整理が必要と考えております。(案1)のシステム管理側で保管する場合は、統一したデータ管理が可能となりますが、持ち出したデータを再度システム側に預けるケースも考えられ、その際の作業負担やデータの保管場所の確保等が課題となります。また、利活用者の手元にあるデータは全て削除することになります。一方で、(案2)の各利活用者で保管する場合は、各利活用者がデータの目的外利用や転売等をしない旨の誓約書を提出することや、データの管理状況の確認が必要になると考えております。以上の状況を踏まえて、中間生成物の保管方法について御議論をいただければと思います。

○安全対策課専門官 先ほど検討事項2について先生方の御意見を詳細に頂いていなかったようでしたが、特に何かありますでしょうか。

○永井座長 合わせて、後で議論いたしますが、よろしいですか。それでは、まずは検討事項2について御意見を頂けますか。

○石川構成員 スライド4で、利活用者の赤枠の下に、協力医療機関が緑枠で示されていますが、これは協力医療機関が自分たちの研究を行う場合には、緑枠からの矢印が出てくるということなのですか。この右下にあるように、依頼内容を直接送信するということですか。

○安全対策課専門官 はい、協力医療機関が MID-NET システムを利用する際には、このような矢印でいくという理解です。

○石川構成員 そのときのデータの返りはどうなっているのですか。

○医療情報活用推進室長 この図が分かりにくかったかもしれませんが、スクリプトを送るときには、協力医療機関は、他の医療機関に直接伝送します。ただし、複数の施設のデータを見ようとする場合は、協力医療機関もこの統合データ処理センターにアクセスして結果を見ることになります。

○石川構成員 なぜ、ここだけ別個に協力医療機関からの緑枠の矢印を示しているのでしょうか。

○医療情報活用推進室長 おそらく意図していたのは、各協力医療機関にそれぞれスクリプトを作るという機能を持っているサーバーが置かれていますし、下に書かれている統合データソースも各医療機関にありますので、各医療機関では、それぞれの施設のシステムを作ってスクリプトを書くこともできるし、投げることもできる、それが MID-NET の仕組みです。ただし、他の医療機関のデータを見ようとした場合には、複合データ処理センターにアクセスしていただいて見ることになりますので、そこを書き分けたいという意図で、この図が作られているものだと理解しています。基本的には、利活用者と書かせていただいた赤枠の所と、最終的な複合データの見方は同じだと考えていただいて結構だと思います。最初に投げるスクリプトの生成の過程だけが違うということです。

○石川構成員 そうすると、検討事項2の利活用のルールの事前審査の所で、利活用者、協力医療機関、両方とも事前審査がきちんと通った上で利活用が認められるということでよろしいでしょうか。

○医療情報活用推進室長 利活用の申出が必要になる場合は、この複数施設統合データ処理センターを使う場合ということになりますので、この複数施設統合データ処理センターを使う場合には、協力医療機関であっても利活用の申出をして事前審査を受けていただくことになると思います。

○石川構成員 分かりました。

○永井座長 この緑枠からの依頼内容を直接送信するというのは、どこに向けて送信するのですか。複数施設統合データ処理センターですか。

○医療情報活用推進室長  VPN (バーチャルプライベートネットワーク)化はされていますので、各医療機関からは、そのネットワーク系を介して、目的とするほかの医療機関に送信されます。スクリプトの設定で、どの医療機関にスクリプトを投げるかというのは指定できます。当然、全 10 拠点に投げることもできるのですが。

○永井座長 自分の所にも送信できるということですか。

○医療情報活用推進室長 いや、自分の所以外です。自分の所は自分の中で完結していますので、それ以外の拠点に投げようとしたときには、その目的の医療機関に投げられるということです。

○永井座長 分かりました。検討事項2については、ほかにいかがでしょうか。

○秋山構成員 少し話が戻ってしまうかもしれないのですが、この MID-NET そのものを適切な利活用者に数多く使っていただいて、自立的に動いていくのが理想的だと思いますが、もちろん複数施設統合データ処理センターが忙しくなり過ぎて医薬品の安全対策に使えないということがあってはいけませんが、そのくらい嬉しい悲鳴が挙がるくらいの利活用者が増えることが望ましいと考えると、利活用の目的の範囲の制限とともに事前審査もできれば簡略化ができればよいと思います。というのも、目的については、例えば科研費や AMED などから公的研究費を獲得している場合は、既にかなり厳しい審査でチェックが掛かった上で採択されていることになると思います。そのような場合は、倫理的な審査も終わっているということで、もちろん MID-NET の目的に合っているかどうかというところは大事だと思いますが、少しその辺を配慮していただくと、一番最初のほうでもお話があったとおり、もっと別の研究についての審査にしっかり時間が使えるようにもなってくると思いますので、研究者の立場で言うと、あちらでも審査される、こちらでも審査される、更に公表するときも審査されるとなると、なかなか使いにくくなると思います。もちろん、最初は慎重な審査が必要かと思いますが、その辺りをほかの研究機関での審査内容も考慮していただけると有り難いと思います。

○永井座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、検討事項3について御意見を頂きたいと思います。

○石川構成員 今までの議論の中で、ちょっと明確になったかどうかという、振り返りも含めてなのですが、「 MID-NET の範囲」の中で、連結不可能匿名化について余り議論をしなかったのではないかと思います。個票は患者単位のデータであることは間違いないので、データの取扱いの範囲については検討事項3と4で議論されると思いますが、協力医療機関の外部に出す個票に対して行われる連結不可能匿名化の方法はどのように定義されていたのでしょうか。今回の検討会の1回目、2回目で議論したのでしょうか。その定義の内容によっては、やはり個票の持ち出しは当面は禁止していくしかないと考えるのですが。

○安全使用推進室長 第1回検討会の資料1のスライド4を御覧ください。まず、「データベース用に標準化したストレージ」が「病院情報システム」の隣にあります。その段階では氏名、実患者 ID 、住所、7桁の郵便番号は含まれていますが、その後の「統合データソース」にデータ移るときに、連結可能ではありますが匿名化処理がされます。そこでは実患者 ID を変換した ID 7 桁の郵便番号は含まれていますが、氏名、住所はありません。今、御質問いただきました連結不可能匿名化の処理方法については、その隣の「抽出後個票 DB 」という所で、具体的には、その右下の赤枠内に書いてあるとおり、 ID 、氏名、住所、郵便番号は含まれておらず、日付情報についても一律に乱数で決定した日数分でずらすといった処理が行われます。さらに、対応表も作成されないといった形で、連結不可能匿名化の処理がされていきます。また、具体的に個票がどのようなものなのかということについては、同じ資料のスライド7に示した「分析データセットに含まれるデータ例」のようなイメージになります。また個票の持ち出しに関しては、検討事項4にあるとおり、原則不可としたいと考えています。

○石川構成員  NDB ではかなり厳しい議論をしてきたので、例えば今の御説明の第1回検討会の資料1のスライド4のとおり、連結不可能匿名化処理というのは ID なし、氏名なし、住所なし、郵便番号なしで、もちろんここのスライドの示し方では分かりませんが、 MID-NET では、詳しい病名や病気の経過、検査値の変化といったものまで出てくるわけですよね。ここでは連結不可能匿名化処理と言っていますが、個票は必ず患者単位のデータになっていますので、連結不可能と言えるかどうかということが問題になると思います。特に珍しい疾患や、いろいろな病気が重なっているような状態のときには、本当に個人を特定できるわけですから、そういう点では、最初は、かなり個人情報の保護に配慮して、持ち出しは禁止するべきだと思います。さらに、検討事項4の所でも議論していただければと思いますが、検討事項4の2つ目のポツでは、利用端末からのデータの持ち出しのことを言っています。2つ目のポツで、企業による個票の利活用について矢印で書いてありますが、各自の施設で利活用できるように設備環境を整備するのであれば、個票の持ち出しは「可」とするのですか。

○安全 使用 推進室長 検討事項3に 関連します が、オン サイトセンター以外で各自で設備を作る場合については、行政としてもきちんとそこでセキュリティ環境が整えられているかについて実地調査などで確認させていただきたいと考えています。その確認が取れた場合は、個票も含めて取り扱うことを可能にしたいと思っております。ただし、あくまでもそこでは複数施設統合データ処理センターにアクセスして閲覧することはできますが、データの持ち出しに関しては、やはりオンサイトセンターと同様にできないという形を考えています。自分の所の端末から複数施設統合データ処理センターにアクセスをして、個票を見ることはできますが、その端末から、例えば USB に個票のデータを移して外に持ち出すことはできないという取扱いにしたいと考えています。

○石川構成員 続けて大変申し訳ないですが、これは利活用者の施設から個票を見に行くことも駄目だと考えているのですか。

○安全使用推進室長 利活用者の施設から複数施設統合データ処理センターにアクセスして、個票を閲覧することは可能であるというようなことを考えております。しかし、その場合には、もちろん自分の施設の環境設備をきちんとしていただくということが前提です。

○永井座長 今の点についてはいかがですか。

○安全対策課専門官 その辺りは NDB の状況も踏まえて検討させていただいておりまして、 NDB でも個票と同じレベルのものを、あちらは直接つなげるわけではないのですが、 CD 等に焼いて渡して、それを申請者側で適切に管理することになっています。管理する施設の体制については、実地調査等で確認しており、申請者側の施設で個票レベルのものを使用すること自体を禁じているものではありませんので、その並びとして考えると、 MID-NET についても同じような取扱いが可能ではないかということで、案を提示させていただいております。

○永井座長 特に製薬業界として製造販売後調査を実施する場合は、個票の必要性が高いとありますが、どの程度必要性が高いのでしょうか。

○青木構成員 先日も行政の方と話し合って、業界の何人か、二桁の人間に聞いてみたのですが、やはり確認はしたいと。その動機は、データを確認しないで平均値を出して鵜呑みにできるものではないというところにあります。安全対策を目的とした利活用を行うにあっては、一部の異質なデータがないかどうかを見るというのが、薬剤疫学の基本中の基本であることからすれば是非見たいという気持ちがありました。その上で、例えばオンサイトセンターのように条件に見合う環境を企業内に設けるような活動が積極的にあるのか言えば、かなりそこはネガティブで、そのような活動をする企業は今のところはちょっと考えにくいというような議論もありました。

○山口構成員 実際に個票を扱う場合には実地調査をすると書いてあって、実地調査をしっかりやっていただくことが安心につながるとは思うのですが、これは調査をするとなると、例えば、こういう項目を調査すると安心だという項目立てができるのでしょうか。どういう方が行くのかによって見る所が違うとか、知識などが異なっていると調査自体にばらつきが出てくる可能性もあると思います。その辺り、どのくらい客観的な調査ができるのかということと、こういう実地調査は結構な時間とお金も掛かると思いますが、それほど数が多くないという前提で、今考えておられるのか。その辺りについて教えていただければと思います。

○安全対策課専門官 まず、実地調査の基準や体制作りについては、現在 NDB でも同じような形で既に実地調査を実施しております。具体的には医療情報システムの安全管理に関するガイドラインというものが厚生労働省から出されておりますので、それに基づいて扱う情報のレベルに応じたセキュリティ確保を行っていただくことになると考えております。しかし、大変な作業になるということは想定しておりますので、その辺りは、 MID-NET で活用されるデータの内容等を鑑みながら、実地調査の基準やそれに見合う体制整備が可能な施設がどれくらいあるのかといったこと、も含めて、今後の検討になっていくとは思います。

○安全対策課長  それから、誰が調査に行 くのか、体制などをどのように整備するのかについては、例えば行政が調査に行くということを考えても、この検討会で認めていただければ、是非そういう必要な費用についても、来年度以降の予算要求の際に要求していきたいと考えております。したがって、このような考え方でよいのかどうか、この検討会でまとめていただき、御提議いただければと思います。

○永井座長 どのように調査を行うのかにもよると思いますが、恐らくどの副作用でも、分布図を書いて、外れ値というものを見ていく必要がありますよね。これがどのような理由で外れ値なのか、小数点が落ちただけなのかもしれないし、誤記入なのかもしれない。そういう所を見る上で個票は必要だということですね。

○青木構成員 全くそのとおりで、それ以外の何ものでもないのですが、やはり慎重論が社会的にも多いことから、その意味で個票を触りたくないというネガティブな声は企業内でも、なくはないです。私としても、安全性監視を行う立場としては、ふさわしくないと言ってはあれなのですが、本来的なことではないとは思いますけれども、慎重論もやはり考えながら社会的な合意と、併せて企業が個票を見られるものにするか、もちろん持ち出すという議論があるわけではないのですが、個票を見られる見られないとか、オンサイトセンターを社内の近い所に置くことなどに関しては、先生方と御議論しながら考えていきたいと思っています。

○中島構成員 資料3-2の検討事項3の箇所で、「オンサイトセンターの整備は行政側で実施」と記載されていますが、確か前回の検討会でオンサイトセンターの話が出てきて、福岡などいろいろな所に行くという話が出たのではないかと思うのですが、ここに個票と、一次統計処理結果データの2種類が書かれていますが、整備すべきセキュリティ環境のレベルが少し違うと書いていますね。これは2種類のレベルのオンサイトセンターを作るということを考えているのですか。

○安全対策課専門官 オンサイトセンターについては、個票が見られるレベルの環境のものを作ることを想定しています。

○中島構成員 そうすると、この中の右側の一次統計処理結果データが見えるというのは、個票が見えるよりは比較的具備しやすい環境というのは、余り意味がないということですかね。全て個票を見てもいい環境を作るということで、その中では当然、一次統計処理結果データは見られるということを示しているだけですか。

○安全対策課専門官 そうです。表に書いてあるのは、自分の所からアクセスする場合に、個票レベルのものを閲覧したいのか、それとも集計表だけでよいのかによって、集計表だけの場合の方が整備の基準が緩和されるということを示しています。

○中島構成員 「行政側で実施」というのは、これは自治体、あるいは中央省庁というか、厚生労働省で実施するという意味ですか。

○安全対策課専門官 これは国で実施することを考えています。

○中島構成員 では場所も、大学の中ではなくて、県庁や市役所、そういう場所というわけですか。そこまで具体的ではないのですか。

○安全使用推進室長 オンサイトセンターの数も含めて、どこに、どのように作るのか、その詳細については今後検討することにはなりますが、オンサイトセンターでの利活用というのをやはり進めていくべきだという形で、この検討会でまとめていただければ、それに沿った形で、国のほうで来年度以降の予算要求をさせていただき、その中でオンサイトセンターを整備していきたいと考えています。

○永井座長 よろしいですか。それでは、検討事項5、解析結果の公表について、御意見を頂きたいと思います。

○山口構成員 検討事項4、5に1つずつ意見があります。検討事項4の一番下に「持ち出し後の情報は、持ち出した情報の内容に応じて適切に管理することが前提」と書いてありますが、この「適切」というところも具体化していただくことが大事かと思います。例えば、持ち出し後に持っている人を限定するといったように、具体的な方法を提示していただくことで安心につながるのではないかと思いました。

 検討事項5ですが、青枠のすぐ下に、「必ずしも NDB のルールがそのまま適用できるわけではない。」とあり、その下に「安全対策上必要と判断した場合は」とあります。この安全対策上必要と判断した理由も公表していただくことが大事かと思いますので、その2点を意見としてお伝えしたいと思います。

○永井座長 検討事項4の一番下の「適切に管理」の「適切」について、具体的な内容をどのように書くのかについてですが、いかがですか。

○安全対策課専門官 これは正に NDB と同じようなことを想定しており、持ち出す情報にも、公表レベルのものと、例えば集計表になっていても値に0とか1とかが入っていて、個人を特定できる恐れがある場合と両方考えられますので、そういった情報の内容に応じて管理の基準をきちんと区別していきたいということです。報告書の際には、「適切に」という所を明らかにするように記載をしたいと思います。

○永井座長 検討事項5の「安全対策上必要と判断した場合の理由」についてですが、これはどのように書くのでしょうか。

○安全対策課専門官 理由についても公表するということで御意見を頂いたので、検討したいと思います。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。検討事項5については、よろしいですか。

○山本座長代理 検討事項5の青枠の下の「必ずしも NDB のルールがそのまま適用できるわけではない。」の次に、「安全対策上必要と判断した場合」というのがあるので、要するに、これは社会的な公益性のほうがはるかに勝る場合は、当然ながら、このような情報の保護は制限されるわけです。ただ、この順番の記載だと何となく NDB のルールより緩くなるように見えるのですが、実は逆で、 MID-NET の場合は参加している協力医療機関がどこかは明らかなわけですし、そういう意味では NDB のように集めたデータに比べると特定性はずっと高いわけです。したがって、 NDB よりは厳しいルールになるのだということを、皆さんの共通の理解としていただけると有り難いと思います。

○石川構成員 私もそのように思っているのですが、実は改正個人情報保護法が適用されると、罰則が非常に厳しくなりますので、そういう点では大丈夫なのかと思うのです。先ほど言ったように、個票の取扱いはかなり匿名化処理がされていたとしても、かなり危ないものになるので、 MID-NET については、そこは全体的な注意が必要になるのですが、特に NDB でやっていて一番問題になるのは、公表のところはいいにしても、これは途中に出てきた中間生成物を利用できるのです。恐らく中間生成物は NDB よりもかなり利用できるものだと思います。それが利用されることになれば、これはかなり第三者委員会の管理機関は見ていかないといけないと思います。それは公表の結果についても必要ですが、有識者会議は必要ですが、その中間生成物がどのくらい出てくるのかは非常に大事になってくると思います。ここの公表の前に、その点も下の所に中間生成物の処理のことは少し書いてありますが、そのことも有識者会議で触れたほうがいいかもしれません。

○永井座長 いかがですか。

○安全対策課専門官 おっしゃるとおりで、今後、個票の取扱いルールを検討する際には、中間的に出てくる生成物がどのようなものかを想定した上で、それらをどう取り扱うのかについても検討したいと思います。

○石川構成員 中間生成物が絶対に悪いと言っているわけではありません。むしろいいこともあるかもしれないので、それは有識者会議と議論の上で、個人情報保護の観点などに留意しながら検討してもらいたいです。

○中島構成員 公表というのは、学会や論文の発表のことだろうと思うのですが、検討事項2の中ほどに書いてある、承認された調査・研究の内容を公表するという所と、検討事項5の中に明記はされていませんが、当然、論文を発表されたりした場合には、そこに明示するといいますか、このような研究を行うということをまず公表して、発表した後はこのような研究結果が出たというところまでいくということですよね。そこはリンクするというか、別々に動くわけではなくて。

○安全対策課専門官 結果が出た時点では当然リンクする内容になってくるのかとは思いますが、検討事項2で挙げた所の「公表」については、まず事前審査で承認された時点では、こういう利活用を MID-NET を使って開始しますという形の公表を考えているものです。結果が出てくれば当然、この公表と結果はリンクしてくると思います。

○中島構成員 臨床研究を行うときには、当然、そこがきちっと全部そろわないといけないと思いますので、よろしくお願いします。

○我妻構成員 細かい話になって恐縮ですが、検討事項5において、結果を公表する際には医療機関等が特定されないように配慮するという話がありましたが、先ほどの検討事項2で、協力医療機関が各医療機関との間で何らかの協力、あるいは特定できるという話がありましたが、そうすると、結果だけではなくて、例えば目的あるいは内容としてこういう研究をしたい。それで、その研究で協力医療機関として、こういう特定の協力医療機関をするのであれば、結果だけではなくて、例えば研究目的自体が特定されてしまう可能性があることはないのですか。先ほど協力医療機関のここと、こことここを特定できるというふうにおっしゃられたと思いますが、そうすると、こういう研究をしたいということになると、こことここの協力医療機関を使いたいということになれば、当然、医療機関は特定されてしまう恐れはないのですか。

○安全使用推進室長 個別の研究内容に関する所なので、答えはなかなか難しいところではありますが、公表に当たっては、例えば、御協力いただく協力医療機関と事前に合意などをしていただき、個票に移管して了解を取っていただくとか、そのような個別の対応も含めて考えていくものと想定しています。いずれにしても、公表に当たっては、個人や協力医療機関が特定されないように留意することは一般的には必要ということを前提に、研究内容に応じて個別に必要な対応を取っていくという形になるかと思います。

○我妻構成員 もちろん、私の趣旨は、そのような研究をするなということではなくて、最後の結果の所だけではなくて、極端な例かもしれませんが、申請段階においても、協力医療機関に関しある程度配慮をする場合があり得るのではないのかということを確認したいだけです。

○安全使用推進室長 申請の段階で、どこまで、どの程度公表していくのかについても、今後、詳細を検討したいと考えています。

○永井座長 よろしいですか。もし御意見がなければ検討事項6、データの保管・削除についてに進みます。

○医療情報活用推進室長 検討事項6について、 PMDA がシステム管理に関わっている関係から少しだけお話しますが、今、ここに書いてある中で、「個票」と言われているもの、これは先ほど御議論がありましたように、基本的にシステムから外には出さないということで、 MID-NET の場合はシステム側で管理せざるを得ないものだと理解しています。

 しかしながら、集計表や中間生成物は、もちろん原則は、各協力医療機関の先生方が承認して OK と言ったものしかセンターに送られてきませんので、基本的には各協力医療機関の御了解があったものがセンターに送られてくる。それを持ち出した上で、どう考えるかと。その保存義務を利活用者の方々に負っていただくのがいいのか、システム管理側で負うのがいいのかという御議論だと思います。

 したがいまして、ここの所は、中間生成物だけというよりも、集計表の扱いも含めて少し御議論いただいた方がよいかと考えております。もし、集計表等もシステム側で担保するということになりますと、当然のことながら、ハードウエアなりの容量の問題、人的なリソースの問題、そういうことも含めて管理が複雑で、また、コストにも跳ね返ってくる話だと思いますので、その辺のバランスを見ながら先生方の御議論なり御意見を頂ければと思います。

○永井座長 (案1)と(案2)が挙げられていますが、いかがでしょうか。 NDB の場合は、これら全ては各利用者が管理しているのでしょうか。

○安全対策課専門官  NDB の場合は、利活用者側は中間生成物等を含めて、利用が終われば全て削除をすることになっており、一方利活用者に提供したデータについては、国で責任を持って保管しているというルールだと聞いています。

○医療情報活用推進室長 補足します。 NDB の場合は、今、我々も活用しているのですが、使っている間、利活用期間に関しては、利活用の申出者が責任を持って担保すると。その期間が終われば、基本的には、それを廃去する。例えば、それをハードディスクをフォーマットするとか、そういう形で物理的な削除をしているのが、 NDB の場合です。

MID-NET に関しては、保存義務の議論があるのは、例えば、これを再審査申請資料として使うことが想定されており、そこは一定の保存をしておかないと、最終的に規制当局、 PMDA の方で検討するときに、そのデータ自体に戻れなくなるという問題が出てきますので、そこは NDB と完全に目的は一緒ではありません。 MID-NET が最終的には薬事承認、そういう再審査という規制当局のレビューに係る資料を目的として使う可能性があることを踏まえて、先生方の御議論を頂いたほうがよろしいのではないかと思います。 NDB は個票です。個票の保管をしているという状況ではあります。

○中島構成員 ただ、 MID-NET の場合が後ろ向きというのですか、もう一回同じスクリプトを投げれば、同じデータを取れるのですよね。

○医療情報活用推進室長 先生、そこはかなり昔のデータであればそうかもしれませんが、我々の経験から、数か月前のデータであると、常に update されており、恐らく今やって、前の結果が全く同じに再現できるかというと、そこは難しいのではないかと思っています。

○山本座長代理 申請に使う場合もそうですが、論文にする場合も、最近は中間生成物等を一定期間保存することが求められていますし、そういう意味では、各大学でも共通のアーカイブを作ったりして、そういうことに努めているのですが、例えば日本学術会議では 10 年間保存するとされていますが、デジタルデータを 10 年間保存するのは、実は結構難しいことです。 10 年間使い続けられる PC というのは殆どないわけで、みんな大抵買い換えます。

 そういう意味では、データの保存はそれなりのハードルがあるわけです。ただ、これは利活用者が保存するのかシステムが保存するのかは、要するに、サービスレベルの違いであり、可能であれば、 MID-NET システム側で保存してスペースを用意してあげるのが利活用者にとっては助かるのですが、無理であれば、利活用者で保存するしかないことになるのだと思います。単に MID-NET のサービスレベルをどのようにするのかという話だと思いますので、必ずこのようにしなければならないというものではないのではないかと思います。

○安全対策課専門官 事務局としては、もちろん保管スペースであったり、そのための予算や人員の確保等も考慮が必要ですが、集計表以降の中間生成物について、個票レベルではないにしても、目的外利用や転売等をしないように管理していくための策として、 NDB では全てのデータを削除させて、大元のデータは国で保管していますが、 MID-NET については、どの程度、利活用者の責任に任せてよいものかについても、御議論、御意見を頂ければと思います。

○山本座長代理  NDB の場合は、その申請期間内しかデータを保持できないというルールで行ってきましたが、その結果、期間延長の申請ばかりが出てきました。それは、査読中や査読が終わっても一定期間保存しなければならないということで、今は確か期間延長の単位を1年ではなくて5年に延ばしたと記憶しています。結局、期間延長申請を定期的にしてもらうことで、この 10 年間をカバーするみたいな形になってきています。ただ、定期的に申請をしてもらうことで、管理状況のチェックとかができるので、それで一応担保しているということです。

 したがって、利用者で管理してもらうにしても、定期的な報告は要るのだろうと思います。そうしないと、石川先生がおっしゃったように、 MID-NET の場合はデータの中身がリッチですから、中間生成物と言えども、相当使い手があるデータになると思うので、定期的な監査とまでいかないまでも、利用者で管理してもらう場合には報告は受けないといけないのではないかとは思います。システム管理側で保存することになれば、その再利用は申請することになりますから、それはそのときにチェックができるのだと思います。

○永井座長 いかがですか。石川先生、どうお考えですか。

○石川構成員 私は、やはり当初はシステム管理側でずっと保管するのがいいのではないかと思います。それで、いろいろと安全対策が十分にできるということでやっていければ、日本の医育データとして、これは有効なものなので、そういうふうに広げていくということで、最初は慎重に管理することがいいのではないかと思います。

○大江構成員 私も当面、やはりシステム管理側で預かるというサービスをしていただきたいと思います。ただ、今、山本先生がおっしゃった状況を考えると、システム側で管理するのだけれども、例えば1年とか2年に1回保管の延長を申請させることで保管をし、延長の申請がされなくなったら削除をする。そういう形で、その保管スペースが無駄にいつまでも溜まっていくことは防げるのではないかと思います。そうすると、最初の5年で、ある程度想定した保管スペースがあふれるほど調査や研究で利用されるのであれば、 MID-NET の評価が高くなったということで、また再検討いただければよいかと思います。

○永井座長 預かってもらったほうが、利活用者としても気が楽だというところはあるのかなと思いました。よろしいでしょうか。それでは、この件については、システム管理側が保管するという(案1)の方針にしたいと思います。

 ほかにありますか。よろしければ、検討事項7、8について御説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 それでは、資料3-2のスライド9を御覧ください。検討事項7、利用料の額の設定についてです。利用料の額については、利用者の違いによって差を付けるのではなく、利用するデータの量、解析内容、利用期間を考慮した額を設定することとしてはどうかと考えております。

 この場合、医薬品医療機器法の規定に従って、企業が行う「製造販売後調査」については、青枠内に示したように、一般に利用するデータ量や、解析の種類などが多いため、費用が高くなることが想定されます。また、個別の利活用ごとに利用料を設定すると煩雑になるため、オレンジの枠内に示したように、製造販売後調査とそれ以外の調査・研究に大きく分けてカテゴリー化をしてはどうかと考えております。

 具体的な利用料については、アカデミアの利用を阻害しないように配慮しながら、 MID-NET の運営に必要な経費等を踏まえて、今後、開催予定のワーキンググループで検討していきたいと考えております。

 続いて、スライド 10 を御覧ください。最後に、検討事項8、人材育成についてです。 MID-NET を適切に利活用するとともに、データベースを用いた薬剤疫学研究を促進するに当たって、人材育成は重要な課題であると考えております。そこで、 MID-NET の利活用者のための研修会を実施し、教育資材の作成も必要であると考えております。具体的には、 MID-NET のデータ構造等の概要や、薬剤疫学研究等を行うための解析スキル、また MID-NET を適切に取扱うためのシステム構築や、セキュリティ環境確保のために必要な知識を提供することが必要であると考えております。

 また、これらの内容について、データを取扱う利活用者は、事前に研修を行うことを必須としてはどうかと考えております。検討事項7、8については、以上です。

○永井座長 それでは、検討事項7、利用料の額の設定について御意見を頂きたいと思います。企業の製造販売後調査は、費用が高くなるだろうと書いてありますが、そのような理解でよろしいでしょうか。

○青木構成員 納得性のある利用体系として、項目が非常に多いとか、複雑な統計手法を用いるとかという事由があるのであれば、企業側も理解し、了解できると思います。そういう事由がなくて、恐らく企業は、お金をたくさん請求してもどうにかなりそうだからということで、製造販売後調査の場合はプラス1億円というようなことになると、企業としてはちょっと難しいかなというところがあります。

○永井座長 先ほどの、データの管理をシステム管理側が行うことになると、やはりそこも、コストに跳ね返ってきます。これもどのくらいになるのか、少し様子を見ながらでしょうけれども、それなりの負担は求められるということになるのだと思います。いかがでしょうか。

 この前も聞いたのかもしれませんが、利活用者によって額に差を付けるのではなく、データ量で差を付けるということなのだと思います。そうすると、研究者の場合には、案外いろいろ調べることも多くて、企業並みの額を支払うと言われても困るといった可能性があるのですが、アカデミックディスカウントについてはどのように考えているのでしょうか。

○安全使用推進室専門官 確かに研究者が行う研究については、いろいろな課題や多種多様な解析方法があるということは承知しておりますが、運用上、個別の研究ごとに、このような解析を行った場合はいくらかかるのかとか、そういった利用料を審査するのは、事務手続上の課題があるため、一般的に、総じてというところで、まずはカテゴリー化をして整理をするのが現実的なのではないかと考えております。

 医薬品医療機器法に基づく製造販売後調査については、再審査期間中、数年という長い期間をかけて実施するため、一般的に、様々な解析や長期間にわたるデータの収集が行われることが想定されます。それに伴いまして、製造販売後調査の場合は、データ量や解析の種類というのも多くなるのではないかと考えております。

 一方で、それ以外の調査・研究については、先ほどの医薬品医療機器法に基づく製造販売後調査と比べて、解析のテーマや研究内容については、ある程度特定されているというところもありまして、データ量や解析の種類というのも、一般的には少ないのではないかと考えております。

 あくまで今回は、カテゴリー化の一例ということで、こちらのオレンジ枠のように、4つのような形で分けられるのではないかということで提示をさせていただきましたが、企業の製造販売後調査や、それ以外の調査・研究についても、研究の規模などについては様々なパターンがあると思いますので、1つの区切りにするのか、それとも、より細分化をするのか、段階的にするのかというところも含めて、今後のワーキンググループの中で具体的な検討をしていただければと考えております。いずれにしても、アカデミアの利用を阻害しないようには配慮するという意見も踏まえて、御議論いただけたらと思います。

○安全対策課長 例示を挙げたカテゴリー化について、例えば、「製造販売後調査(フルセット)」とありますが、これは承認を得てから一定期間は、半年ごとあるいは毎年解析をして、リスクとベネフィットの評価の内容を提出しなければならないことになっております。したがって、製造販売後調査というのは、1つの調査ではありますが、回数としては、何回も同じ解析を行うこととなります。そのようなことをパッケージとして考えると、データの量や解析の回数は、かなり多くなるのではないかと考えております。製造販売後調査というのは、やはりそれなりの事務量が掛かるということで高くなるのだと思います。アカデミアの研究についても、先生がおっしゃるように、確かに、かなりの項目を解析される方もいらっしゃると思いますが、それは研究の目的のための解析の回数は1回で済み、分布としては、解析の量も少ない方もいらっしゃるだろうと思っています。そうなってくると、カテゴリー化の仕方としては、企業による製造販売後調査と比べれば、アカデミアによる研究では、やはりデータ量、解析の回数も少ないのではないかということで、このようなカテゴリー化をしてはどうかと考えてみました。一つ一つの研究を見ると、確かにアカデミアの方でも解析内容等が多い場合もあるのかもしれませんが、一つ一つの研究について、どのくらいのデータの解析を行うから、この研究についてはちょっと高めの利用料を設定するということにすると、その審査も大変なので、大まかにカテゴリー化をしてみてはどうかということで考えております。

○永井座長 林先生、そのような状況でよろしいでしょうか。

○林構成員 大体、趣旨は理解したつもりですが、先ほどお話に出た、若手の研究者の科研費くらいの金額で、そもそも利活用ができるのか、少し心配しています。門戸を広げられていても、お金が払えないということもあり得るような気がします。

 あと、補足ですが、企業の方はもともとルーティーンで調査を行っているので、多分、それに掛かるコストは事前に分かっていらっしゃると思います。それとの釣合いを考えるということも、1つの可能性としてあるのかなと思いました。なるべく利活用の妨げにならないように設定されればと思います。

○青木構成員 使用成績調査に関しては、先回も申し上げたと思いますが、現状の使用成績調査や特定使用成績調査の在り方そのものに関しても、少し見直す必要があるのではないかという議論を、 PMDA や厚労省とさせていただいております。

 それは、大まかに言うと、目的がはっきりしていない中で、漠とした問合せをしているだけではないかと。問合せの仕方からすると、幾つかの、恐らくほとんどの副作用の発現率は、過小評価されている可能性もありますし、むしろ、本来的な疫学の立場に立つと、好中球減少に対する重篤性の研究は複数の治療で比較して研究しようという形で、ピンポイントでリサーチクエスチョンを明確にして研究すべきであろうと思います。今後、そのような形になってきたときには、一つ一つの研究を特化して考えた場合、今の使用成績調査の代替として考えると、この青枠で書かれているように、いろいろなことをやるだろうから、パックとして多くの解析を行うという論理はなくなる可能性もあるのかなと思います。そのようなことも少し考えながら、今後、議論を詰めていければよいと思います。

○安全対策課長 使用成績調査を含めた市販後の調査内容については、このデータベースの運用とは別の場で、我々も企業の方々も含めて、どのような調査を行っていくべきなのかということについて議論をしたいと思っています。

 ただ、利用料については、リスク・ベネフィット評価の結果は国際的にも半年ごととかに報告することになっており、それに MID-NET を利活用するのであれば、解析回数などは自ずと増えていくだろうと想定して、このようなカテゴリー化の例を出しました。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。

○山本座長代理 アカデミックディスカウントについてですが、例えば、若手の研究者にとって使いやすいデータサイズをあらかじめ定義をして、それを安く提供するというのはいいと思いますが、一律にアカデミックディスカウントを適用すると、恐らくアカデミアに協力してもらって利活用の申請をしてくる企業が増えてくるので、かえって荒れてくる可能性があると思います。したがって、極端なディスカウントはしないほうがいいと思います。

 もう1つは、たとえリスク・ベネフィット評価が目的であっても、アカデミアは研究費を取らないと申請できなくなります。そのときに、申請の順番についてある程度の融通を利かさなければならないと思います。つまり、研究費のほうは採択されれば研究ができるわけですが、 MID-NET の利活用の申請のときに科研費を取っていることを条件にすると、それではもう研究ができなくなりますから、研究費を申請予定ということで利活用の申請を認める形を取らないと上手く動きませんし、その辺を少し考慮すべきで、極端なアカデミックディスカウントは余りしないほうがよいのではないかと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。経営のお立場で、参考人の井出先生、いかがでしょうか。

○井出参考人 今日は参考人としてここにいますが、御議論を聞いたり、これまでの2回分の議事録を読ませていただいて、こういう議論があるのだなと思いました。

 先ほど、事務局もお話ししていましたが、検討事項7の一番下のポツで、これからワーキンググループの中で利用料を具体的に設定していくとあるので、そこを待つしかないのですが、基本的に費用負担の枠組みは利用者負担とするといったときに、その利活用者の使用量というか、それはボリュームなのか、データのボリュームか、先ほどの回数か、期間なのか、その単価に何を掛け算して、高額を負担していただくことになるのかが、なかなか微妙なところがあると思います。

 結局のところ、今、何に幾ら掛かるのかということを、やはり正確に出すことが最初に行うことになるのだと思います。

 私は、その枠組みについては、中間報告の骨子の中にも、いわゆる利用者負担と言いながら、当面の間は、当面の間とはいつなのかということにはなりますが、国費も入れることも納得しています。ただ、国費については、予算は限られているので、できるのであれば、システムが安定稼動して発展的に使われていくのであれば、極力、国費は少なめにしたいというのが私の持論です。

 ただ、では、国費は出さないのかというと、そうではなくて、やはり安全対策という名のもとで、国の責任というのはずっとあると思いますので、これを支えていく国費はやはり必要だと思います。ただ、そのときに、どれだけ掛かって、どれだけ入りがあるかということを、何を掛け算して、入りと見ていくかというのを一度、ワーキンググループなのか、この検討会の場でも結構ですが、一度、また議論させていただけると有り難いと思います。

○永井座長 ありがとうございます。

○大江構成員 この利用料の額の設定に関する基本的な考え方を中間報告書に書かれるときには、その話に加えて、 PMDA がどのような考え方で協力医療機関に対する協力費を負担するのかということとは、全く独立であるということは原則として書いていただきたいと思いますが、その点はよろしいでしょうか。つまり、今、議論しているのは、 PMDA が協力医療機関に払う金額の考え方を議論しているのではなくて、あくまでも利活用者が PMDA に支払う利用料の話をしているのだと考えているのですが、それでよろしいでしょうか。

○安全使用推進室長 利用料ですので、利活用者がこのシステムの運営者に払う費用について議論をしているということになります。

○大江構成員 それはつまり、 PMDA から協力医療機関への支払いに関する考え方については別途、この検討会ではない所で御議論いただきたいと思います。

○安全使用推進室長 これからの検討課題にはなりますが、利用料の額を設定するに当たって、そもそも幾ら掛かるのかというところを正確に出していく過程の中で、協力医療機関にお支払いする額などについても、その議論の中では関連してくると思います。本日の議論はもちろん利用料の額のお話ですが、必要経費に関する議論の中では、今、先生がおっしゃったような部分も絡んでくると理解しております。

○大江構成員 少し不安に感じるお答えだったと思います。協力医療機関が様々なスクリプトを受信して、実行してデータを送り返すことに、どのくらいの手間と費用が掛かるのかについては、本日ここに提示されているような考え方ではない基準で考えなければならないと思っていますので、そこをきちんと確認しておいていただきたいと思います。

○安全使用推進室長 分かりました。協力医療機関にお支払いする額の考え方については、今回お示しした考え方とは別の形で適用したいというご意見である旨承知いたしました。

○永井座長 検討事項8の人材育成について、研修会の実施や教育資材の作成、利活用者の研修を必須とするということが書いてありますが、いかがでしょうか。

○大江構成員 この件に関しては、スムーズに、データベースが有効に活用されるという点で非常に重要なことだと思います。是非、この部分は進めていただきたいと思います。特に、教育資材をきちんと整備して、 MID-NET のデータベースの利用価値をきちんと理解して使っていただけるように、例えば、 e-learning の整備などといったことに必要な費用も含めてきちんと整備していただきたいと思います。

○中島構成員 平成 30 年度の4月から使っていただくためには、研修は必須とするのであれば、この2年間で行わなければならないので、是非よろしくお願いいたします。

○永井座長 教育資材を作成する予算は確保されているのでしょうか。

○安全使用推進室長 この検討会で、人材育成は非常に重要ということで中間報告書を取りまとめていただければ、必要な経費は予算要求につなげていきたいと思います。

 また、必要な準備については、今動いている研究班がありますので、そのようなところも活用しながら、できる範囲の準備は、もちろん同時並行で進めていきたいと考えております。

○永井座長 ほかに御発言はありますでしょうか。

○山口構成員 先ほど研修はもう始めないと、2年しかないというお話がありましたが、今から予算要求するということになると、研修などを始められるのはいつになりますか。

○安全使用推進室長 内容にもよりますが、例えば、 MID-NET の概要や使い方について、ある程度できる部分については、今の研究費の中で各協力医療機関以外の研究者やアカデミアの方々、あるいは一般の方々に向けての研修会を開催するということも予定しております。できる範囲のところは、そのような研修会の場を使いながら進めていくことを考えております。具体的には中島先生が御担当いただいている研究班がありますので、そのような中で御相談させていただきたいと思っております。

○永井座長 よろしいでしょうか。大体、予定の時間になりました。本日、頂きました御意見、御提案を事務局で整理し、また、次回以降の議事に反映したいと思います。

 それでは、今後の進め方について、事務局から説明をお願いします。

○安全使用推進室専門官 それでは、資料4を御覧ください。本検討会の今後のスケジュールについてです。ここにお示しした第4回以降のスケジュールは、前回の検討会でお示しした案から、特に変更はありません。本日は第3回として、利活用の範囲、利活用のルール、運営に係る費用負担の枠組み、人材育成に関するそれぞれの課題に関して、事務局で整理した案について御議論を頂きました。

 次回の第4回は、6月 15 日の 18 時から 20 時の開催を予定しております。これまで御議論いただいた内容を踏まえて、中間報告書案の検討を進めていきたいと考えております。その後、平成 28 年の夏までを目途に、中間報告書を確定し、公表したいと考えております。

 中間報告書の公表までのスケジュールは、以上のとおり考えておりますが、検討会当日のみの御議論、御検討では、お時間が限られておりますので、構成員の先生方の御意見などを事前に書面等で御提出いただいたり、また、必要に応じて、メールベースでの議論も含めて御協力できればと考えております。中間報告書の公表に向けて、これから具体的な準備を進めていきたいと考えております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。資料4については、以上です。

○永井座長 ただいまの御説明に、何か御質問はありますでしょうか。

○石川構成員 今日は随分、細かなところまで議論できたと思います。もう時間がないと思いますが、 NDB のときは模擬申請というものを行って、研究の目的などを話しました。それは非常に有効でした。荒唐無稽な研究の申請が出たり、これは駄目だというものから、これは本当にぴったりというものまでありました。そのようなことが、今回、全部はできないにしても、模擬申請のようなもので、こういう研究ができるのではないかということを幾つか、この議論の中でできれば、準備としてはもう少し十分なものになるのではないかと思います。よろしくお願いしたいと思います。

○安全使用推進室長 御意見ありがとうございます。先日、第1回の資料1のスライド9ですが、「医薬品の安全性の評価を目的とした試行的な利活用テーマ」ということで、 14 テーマを挙げております。現在、 14 テーマについて、実際にできるかどうか各協力医療機関で御検討いただきまして、更にここから少し絞って、実際に試行的な利活用を行ってみようとしているところです。

 この試行的な利活用を行って、どのような結果が出てくるのかについては、まとまり次第、こちらの検討会も含めて、御報告させていただきたいと思っております。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。あるいは全体を通して、何か御発言、御意見はありますでしょうか。よろしければ、また後ほどでもお気付きの点等があれば、適宜、事務局まで御連絡いただきたいと思います。ほかになければ、事務局から追加で連絡事項をお願いします。

○安全対策課専門官 本日は活発な御議論を頂き、ありがとうございました。本日、頂いた御意見等を踏まえて、次回の検討会では、中間報告書(案)について御議論いただきたいと考えております。後日、本日の検討会の議事録(案)をお送りいたしますので、御確認のほど、よろしくお願いいたします。御出席の皆様の了解を得た上で、この議事録について公表させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 次回の検討会は、6月 15 日の水曜日、 18 時から 20 時の遅い時間で恐縮ですが、開催を予定しております。開催場所も含めて、構成員の先生方には、改めて御案内させていただきます。よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○永井座長 本日は、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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