ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第5回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2016年5月13日)




2016年5月13日 第5回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成28年5月13日(金) 16時00分(目途)~17時00分(目途)


○場所

TKPガーデンシティ永田町 バンケットホール1A(1階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 河野雅行 清水恵一郎
高橋直人 幸野庄司 村岡晃 飯山幸雄 後藤邦正
仲野彌和 杉田久雄 時任基清 竹下義樹
<事務局>
唐澤保険局長 吉田審議官 宮嵜医療課長 三浦保険医療企画調査室長 他

○議題

前回の療養費検討専門委員会における論点の整理

○議事

15時55分 開会

○遠藤座長

 定刻より若干時間がございますけれども、委員の皆さん、全員おそろいでございますので、これより「第5回社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参集をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、委員の交代について御報告をいたします。

 池上秀樹委員にかわりまして幸野庄司委員。

 山崎岳委員にかわりまして後藤邦正委員が、それぞれ当専門委員会の委員として発令されております。

 続きまして、委員の出欠状況について御報告をいたします。

 本日は新田委員、原田委員、佐久間委員が御欠席でございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は、前回の療養費検討専門委員会における論点の整理について、議題としたいと思います。

 まず、前回の専門委員会の論点に関連して、仲野委員、杉田委員、時任委員、竹下委員の連名で3つの資料が提出されておりますので、まずは資料の1と2については杉田委員から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○杉田委員

 御説明させていただきます。

 特に前回の中で、その他が6割ということ。要するに、マッサージのあれですが、これに対して非常にショックを受けまして、そんなに6割もその他というのがあるのかということで、我々の中でデータがあるはずだけれども、どうだろうということで見たのが、2ページ目の下の部分、患者の傷病名というところです。必ずしも正しい分析の仕方ではないのかもしれませんが、その他というのは13.5%しかなかったということですから、たしか前回も支払者側から、これはおかしいのではないかという御指摘がございました。それに対して本当にびっくりしたし、ショックを受けまして、調べた結果がここに示しているものでございます。この中で、前回の資料との違いというのは、多分、この分け方の違いなのであって、内容が違っている、間違っているということではないだろうと思いますけれども、その辺を御理解いただきたいと思っています。

 それから患者の年齢なども余り変わってはいない。我々の調査と余り変わっていない。一番変わっているのはこの傷病名のところということでして、実際に傷病名といっても、傷病名だけではなくて、症状ということも入っているので、この辺が分け方として本当に正しいかどうかということになると、自信があるわけではございませんが、少なくとも前回の資料にあったような、6割がその他ということではなかったということが我々の調査でわかりましたということの資料でございます。

 それからもう一つは「認定訪問マッサージ師講習会開催」の御案内ということで、この資料が示されていますけれども、これは利用者に望まれる訪問マッサージ師を目指そうということで、ここに示しているような講習会を開催しているということでございます。この講習を受けたからといって、何かメリットがあるかというと、そういうことではございませんが、少なくとも一生懸命みんなが勉強して、そしてこれを各都道府県に持ち帰って、各都道府県でもこういう講習会をやってもらうというようなことも含めて、全体にこういう講習をやりたい。そしてこの講習の内容ですが、これは多分、支払者側が求めているものとそう変わらないのではないかと思っております。この中でいろいろな御指摘がございましたら、それも取り入れていきたいと思っているところでございます。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 引き続き、資料3につきまして仲野委員からお願いいたします。

○仲野委員

 鍼灸師卒後臨床研修実施要領という形で出ていると思いますが、実はこれは今、学会を初め今発表された杉田先生の全日本鍼灸マッサージ師会、そして私ども日本鍼灸師会と学校協会と、4団体で、今の教育のカリキュラムではとても足りないということで、トータルにやっている中で、本日の議題にも多分上がってくると思いますけれども、私どもの質を上げるために、質を確保した形で取り扱いをする人たちを指導、教育していって、その人たちにいろいろな形での扱いをしやすくしてやりたい、こういうことで始めているものであります。もちろん社会保障に対する知識も深めなければいけないし、それから医療人として何よりも見識を深めて教育し直さなければいけないだろうということでプログラムをつくっているものであります。その紹介であります。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 引き続きまして、事務局から「前回の療養費検討専門委員会における論点の整理」という資料が出ておりますので、これについて説明をお願いしたいと思います。

○保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。

 右肩に「あ-2」と振られております資料、「前回の療養費検討専門委員会における論点の整理 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費関係」という資料をお手元に御用意いただければと思います。前回の御説明と随分重なる部分はあるかもしれませんけれども御容赦をいただければと思います。4点ほどの形で私どもとして整理を試みたという資料でございます。

 4点と申しますのは以下のとおりでございます。

 1.支給対象の明確化に向けた個別事例の収集の方策

 2.施術所の登録管理・指導監督、受領委任制度の検討

 3.往療料のあり方に関する検討

 4.その他

 このように4つに分けております。

 1ページおめくりいただきまして、3ページをごらんいただければと思います。再掲という形で書かせていただいております。前回このような御議論をお願いできればという形でお示しをしていたというものでございまして、支給基準についての一定の、療養費の取り扱いの理解ですとか、支給判断に悩む事例を整理し共有してはどうか。統一した審査を行うための基準を整理してはどうかといったようなお話を論点として掲げさせていただいたところであります。これに関しては余り議論はなかったかと記憶しております。

 その点も踏まえまして、改めましてまた同じような資料を4ページ目で、私どもとして、恐らく現場では保険者さん、あるいは施術者さんのほうでどんなものについて悩まれているのかということを、照会事例という形でお示ししております。この療養費の議論をしておりますと、横目に柔道整復というものもありますので、どうしても制度の比較という面で考えた場合に、あはきの違いの一つといたしまして、審査の体制ということがございます。柔道整復の場合には、柔道整復療養費の審査会というものが、国保及び被用者、それぞれに設けられているところでありますが、あんま、はり・きゅうの場合には、そのような仕組みはない。原則として全国斉一的なやり方は設けていないということであります。

 5ページ目でありますけれども、そのような取り扱いがない一方で、一部の都道府県におきましては国民健康保険の支給申請書の審査を国保連のほうで委託をして行っていただいているという実態があるというのを御紹介しておりますのが5ページ目であります。数字をごらんいただきますと、国保連への審査の委託の実績が15ほどございまして、あはきの審査会を設置しているようなパターン、あるいは柔整審査会の中で行っているようなパターン、あるいは診療報酬の審査会の中で審査をしている県、あるいはそのやり方がよくわからないといいますか御回答いただけなかったというようなことも含めまして、15ほどの県で取り組みが行われているというのが昨年の5月に行いましたアンケートの結果でございました。御紹介したいと思います。

 これらを踏まえまして、私ども、実際の事案として収集しながら、それを整理し共有する形で、迷うケースがなくなるような試みはできないかと考えて、論点として御提示をしたということであります。今後このような形で進めてはどうかということで案をつくったのが6ページ目でございます。国保の中でもそういった取り組みがあって、施術者の方も入って議論をされているということであれば、そこの場で合議が必要になった事例などについて、恐らく迷うという事案として考えられるのではないか。そういったものを集めて、それを専門家に相談した上で整理をしていくということでどうだろうかと。その上で皆様方とも共有させていただき、あるいは厚労省のホームページにも載せることによりまして、同じような基準で全国で取り扱いができるのではないかということで考えたのが6ページ目でございます。

 それを具体的に書いておりますのが6ページ目の一番下の「今後の進め方(案)」というところでありまして、保険者からの委託を受けて支給申請書の審査を実施している国保連合会において判断に迷うとされたような事例の収集・整理をして周知をしてはどうか。その整理した事例について、こちらで御報告させていただいてはどうか。また、これら事例の収集・整理につきましては今後必要に応じて改訂を重ねていくという取り扱いとしてはどうかということで、具体的には※印のところに書いてありますとおり事務連絡、あるいはQ&Aなどを発出して解釈を周知するということを考えたいというものでございます。

 2点目、施術所の登録管理・指導監督、受領委任についてでございます。こちらは8ページ目であります。前回、2点ほど論点を掲げさせていただいておりました。不適切な請求事例の再発を防ぐために、例えば保険者間で不適切な請求があった施術所情報を共有するなどの方策が検討できないか。あるいは一部負担金でかかれる制度の創設についてどのように考えるか。あわせて施術者・施術所に対する指導監督の仕組みを設けることについてどのように考えるか。このように問題提起をさせていただきました。

 これに関しまして、前回、主な意見としては2点ほどございました。一部負担金でかかれる制度の創設と施術所に対する指導監督の仕組みについて、セットで考えるべきか、あるいは分けた議論が必要ではないか、このような議論が両方ともあったかと記憶しております。

 9ページ目に進んでいただきまして、代理受領についてというものであります。これは前回もお出ししたものでありまして、受領委任と代理受領、言葉の上では少し似ている部分もあるのですけれども、その取り扱いという点について少し説明をしたというものでございます。代理受領というのは被保険者にかわって保険者に対する請求を行い、その受領を代理するという形の法的整理をとっているという意味では受領委任に非常に近いものではあるのですけれども、少し構成が違っているということでございます。

 また、10ページ目がその実態でございます。3分の2程度がいわゆる代理受領という形で保険者としてはされている実態がある。あるいは協会けんぽさんなども100%であるというような実態があるというものでございます。

11ページはその代理受領というものについて、どうもいろいろなパターンがあるようだということがありまして、それを整理したものであります。特に受領委任と同じようなパターンのものもあれば、患者さんから直接請求の代行をされているような方に、療養費の請求の委任をいたしまして、それで代行する方が保険者に対して請求行為を行う。いわゆる施術所が関与しないようなパターンも、どうやらあるように聞いているというところを図示したものでございます。こうなりますと、先ほどの論点に掲げました1点目でありますけれども、不正に関与した施術所と申しましても、なかなか請求書に、請求自体にも関与していないような施術所もある、そういうパターンもあるようだということがあります。これが11ページでわかるということかと思います。

 そうなると、単純に悪い施術所かどうかということもわからない中で共有をしていくという話、そこで議論を深めていただくのもおかしな話かなと思いまして、12ページを設けているところでございます。文字はたくさん書いてございますけれども、いずれにしても慎重な手続といいますか、施術所自体がその行為についての認識があり、そしてその矯正の措置として一定の効果が上がらないような場合について不正と考えた上で、それを共有するような形にしないと、単純に不正という形で一くくりにして議論をするとおかしなことになってしまうのではないかということが12ページに書いてございます。課題として書いているとおりでありまして、不正事例の情報共有については一保険者による判断が全体の保険者に及ぶということからも慎重な手続が必要であろうと。今後、要件等の詳細についてはさらなる検討をしなければ少し危険かなということが書いてございます。

13ページで、施術所に対する指導監督と受領委任というのはそれぞれ別個に議論してはどうかというような御意見があったという御紹介をいたしました。それに関しての整理を試みたのが13ページであります。あはきの療養費に関しましては、国及び都道府県が施術所に対して指導監督を行う権限はないというのは前回御説明を申し上げたとおりであります。

14ページ、15ページにございますとおり、いわゆる療養の給付や柔道整復の受領委任を取り扱っているものについては給付とセットで、いわゆるサービスを提供する機関、保険医療機関であったり施術所であったりしますけれども、それぞれに対して指定の登録の仕組みがあり、それに対して給付に関する指導監督、そして調査の権限といったものがセットで付与されているという中で、右端のあん摩マッサージ、はり・きゅうについては根拠規定等がない状況であるということは前回にお話ししたとおりであります。

 そういった中で、切り離した議論はしづらいですよということは13ページに書かせていただいているところでありまして、指導監督にかかる法的な根拠はないという中では、受領委任契約を介さずに国及び都道府県が施術所に対して直接指導監督を行うのは難しいのではないかと考えさせていただいたというものでございます。

 それから16ページ以降に進んでいただきたいと思います。往療に関する話です。往療料についてということで、前回の論点といたしましては、療養費全体に占める往療料が6割を超えているということ、あるいは各往療料の基本額の引き下げや施術料単価の引き上げを行った結果、往療1回当たりの距離が延びてきていることをどのように考えていくかという形で問題提起をさせていただきました。

 これに関する主な意見として、あん摩マッサージ指圧にかかる療養費について、往療料を算定する患者の割合が全体の9割近くを占めているということの実態解明が必要ではないかと。あるいは「その他」についてというような議論がありました。また、2つ目でありますけれども、療養費全体に占める往療料の割合が6割を占めているという現状を踏まえて、施術料にウエートを置いた改定を行うべきではないか。また3点目として、往療料が高いのではなくて施術料が不当に低いのではないかというような御指摘がありました。

18ページ、19ページは前回お示ししたとおりの、そのままの資料でありまして、先ほどから申し上げている6割とか9割といったようなものがこちらで見せているというもの、あるいは距離が延びてきたということが19ページのポイントであります。

 これらを踏まえまして、今回、今後の整理ないし論点の整理としましては、「その他」の内訳については、きょうは委員のほうからも資料を御提出いただきましたけれども、私どもとして調査は行っておりますので、その際には少し工夫をして、中身がしっかりわかるようなものにしていかなければならないと思っております。その上で検証を行ってはどうかと考えております。

 保険者からの委託を受けて支給申請書の審査を実施している国保連から不支給と判断したような往療料の具体的事例としてどのようなものがあるかということは少し研究をしてみて、もしも横展開が可能なものであれば全国的に広げていくということはあり得ないだろうか、こういうことを検討してはどうかというのが2つ目であります。

 また3つ目として、往療料よりも施術料のほうが低額となっているという現状について、段階的に是正をしていくべきではないかということを挙げさせていただいております。

21ページ以降はその他の論点として、各論にかかわる話が幾つかございます。まず1点目、支給申請書の様式でございます。現在、基準様式という形でお示しはしているのですけれども、少し現場ではばらつきがあって、保険者さんのほうでもお困りだという話をいただいております。21ページの今後の進め方で、原則は通知で示す支給申請書の様式を使用するということの強化徹底を図ってはどうかと書いてございます。

22ページ、23ページは実際の基準様式を御参考までにつけているものでございます。

24ページに進んでいただきまして、「5.その他の課題と論点」のマル1であります。一定の局所数以上の施術にかかる包括料金化・長期患者の施術期間上限や施術回数上限等についてどのように考えるかという形でお示しをさせていただきました。

25ページに月当たりの施術回数の分布を書いてございまして、それぞれ見てのとおりの分布になっているところでございます。ポイントとしましては、月当たりの施術回数のうち20回以上の割合が、あん摩マッサージ指圧では全体の3.0%、はり・きゅうでは全体の4.1%程度というのが実態でございました。

26ページは、初検月からの経過月数の分布でございます。どうしても施術の対象者の特性上、長期化してしまうケースが一定程度発生しているということかと思いますけれども、ごらんのように1~12カ月、1年以内という方が4割程度。それから1324カ月、1年から2年という方が5分の1ぐらい。このような感じで分布しているのが見てとれるかと思います。26ページがマッサージで27ページがはり・きゅうでございます。

28ページにお進みいただければと思います。局所数についてという議論がありましたけれども、現在の算定の単位についておさらいをしているのが28ページの上の箱でございます。マッサージにつきましては頭から尾頭までの躯幹、それから右・左の上肢、下肢、2×2=4でありまして、計5つの単位。それぞれ1単位として全体を5つの局所に分けて支給しているところであります。したがって、一方では同一の局所であれば、例えば右手の関節、右手の肘と手首というように関節が2つあったとしても、その2カ所の拘縮を解くような処置ないし施療をする場合であっても1局所として算定するというのが今のルールになっております。ある意味では局所の中では包括化されていて、局所の数が5つになっているというような構造になっていることはおさらいをしたいと思います。

 このようなことを踏まえて、どう考えていくかという形で整理を試みたのが28ページの下のところでありまして、慢性的な疾患や症例を支給対象としているという性質上、施術期間について上限を設けるということは、なかなか難しいのではないかというのが1つ目の丸であります。一方で、長期に著しく頻回に施術を受けるというような事例について、どのように考えるのかということについては、やはり議論が必要かなということでございます。また、3つ目でありますけれども、一定の局所数以上のマッサージの施術にかかる料金の包括化という御提案もありましたが、現在の料金体系を見ると、局所という中で見れば包括化されているという見方もできる中で、あるいは局所といっても5つ、躯幹と上肢・下肢の左右という5つのくくりを包括するということはどのような考え方になるのかというようなことは、しっかり議論して慎重に検討することが必要ではないかというようなことが書いてあります。

 それから29ページ、医師の再同意書について。これは前回は余り議論がなかったのですけれども、再同意書を添付するようにしてはどうかという御議論があったことを踏まえて論点として掲げたものであります。これには経緯がございまして、前回申し上げましたけれども、国会の中で老人保健法という法律が、今は廃止されておりますけれども、かつて制定されたときの附帯決議を踏まえて今の取り扱いが決められたというように私どもとして伝え聞いておりますので、そういったことを踏まえてどのように考えていくのかということを御提案しているのが29ページでございます。

30ページは、あはきの療養費と柔整の療養費の併給についてどう考えるかという御指摘をいただいたところであります。意見の中では、制度上、あんま、はり・きゅうの場合には医師の同意が必要であり、柔道整復の場合には骨折・脱臼を除いて医師の同意は要らない。また、実際に柔道整復の場合の施術は骨折・脱臼以外がほとんどである。たしか0.1%程度だったと思います。そういうことから併給を禁止するということであれば、医師の同意のあるあはきを優先して支給すべきではないかといった意見がございました。

 いずれにしても私どもといたしましては実態も、先日申し上げたとおりまだ把握できていないというところから考えますと、実際の情報をお持ちである保険者の御協力も得ながら、どのような進め方をしていくかということから手をつけていくしかないかなということが30ページに書いてあります。

 説明は以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの御報告に関連いたしまして、皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは清水委員、お願いいたします。

○清水委員

 前回、一つ統計で問題になりましたのは、やはり脳出血による片麻痺が25.4%、その他が60.8%ということで、患者さんの病態像が出ていないではないかというイメージがありました。私は内科の医師で訪問診療もしておりますし、こういった患者さんも多く見ているものですから、前回の資料では病態像がはっきりしないと思っておりましたら、本日、杉田委員から資料が提出されました。この資料のマル2の下のところ、患者の傷病名の統計で、これが出てきたということで非常に病態像がよく見える感じがいたします。

 ただし、気になったのは、先ほど分類に問題があるというお話があったのですが、赤で示された脳血管疾患が確かに一番多いわけです。しかし、その下の7行目か8行目に多発性脳梗塞という言葉があって、実はこれは分類上脳血管疾患に入ります。このような資料を出していただくのは結構なのですが、もう少し精査していただきたいというところです。いずれにしても脳血管疾患が非常に多い。その後の麻痺、片麻痺等も多いのかなという気がいたします。

 私が内科の医師として再確認したのは、神経難病を含めて、進行性の疾患、あるいは治らない疾患、そういう方々を結構対象にしているのだなと感じました。その意味では、一度施療が始まると長期にわたる方もおり、状態によってはかなり高度な、種々のケアが必要なのかなと思います。今後、長期にわたる対象者は主治医との密な連携が必要と考えています。

 今回は、資料を出していただいて、ありがとうございます。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。

 それでは竹下委員、お願いいたします。

○竹下委員

 竹下から論点2の部分で少し、前回の意見、議論につけ加えて意見を申し上げたいと思います。

 結論としましては、代理受領と受領委任払いというのは大きくその性質が異なるということだと思っております。代理受領が施術者自身によって行われる場合には、外形上は受領委任払いと非常に似ているわけですけれども、その法的な性質なり位置づけというものが根本的に違うと思うのです。その理屈を今日語るつもりはございませんが、そのことを念頭に置いて、受領委任払いの早期の実現を図るべきではないかと考えているわけであります。

 すなわち、受領委任払いにおきましては、施術所に対する、いわば行政指導のあり方も統一的に可能になるということや、さらには取り締まりといいますか、それは罰則的なことに限定するのではなくて行政的な面、あるいは過料的な意味での制約あるいは制裁といった面でのものを考えるときでも受領委任払いによる対応というものが可能になると考えております。

 少なくとも受領委任払いにおきましては、その制度の安定性ということを考える上で、施術所の登録ないしは指定ということがその前提になるかと思いますので、それを実現することができるだろうと。取り締まりの統一、あるいは指導の統一ということを図る上でも、代理受領においては代理人が誰になるかわからないわけですから、その代理人を特定する、あるいは限定するということは民法上困難なわけでありますから、その点からも受領委任払いというものがここで重要になってくるのかなと思うわけです。

 さらに言うならば、最近は健康保険制度の教育的な面からの徹底ということが医師に対しても言われている状況から見て、療養費制度において受領委任払い制度を進める上では、そうした施術所に対する研修等の教育的な見地からの指導も重要になってくるのではないかと考えております。

 そうした可能性を考えた場合に、本来、法律の改正等によって制度の安定性や統一性を図ることが望ましいのでありましょうが、法律改正による制度を待つまでもなく、通知・通達等によってそうした受領委任払いにおける被保険者の利益を守ることができるとすれば、そういう通知・通達等によっての受領委任払いの実現を図っていただきたいと思うわけです。

 とりわけ、あはきにおきましては、医師の同意ということが前提になっていることが極めて本質的に重要だと思っています。あくまでも健康保険の適正な給付という面から見ても、医師の指導ないし監督的な面で同意書による十分な縛りといいますか、そういうものが医学的な治療面における妥当性を実現する上で確保されているあはきにおいては受領委任払いというものが非常に有用ではないかと考えております。

 以上でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 受領委任払いへ移行することへの合理的根拠ということをおっしゃっていただいたわけですけれども、それに関連していかがでしょうか。

 では幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 本日初めての出席となります、池上の後任の幸野でございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 先ほどの竹下委員からのご意見につきまして、支払い側として発言させていただきます。池上が前回までの議論の中で再三述べていたことですが、支払い側としては、療養費本来の原理原則は償還払いであるということを、今一度お考えいただきたいと思っております。

 昨年11月発覚した柔道整復の療養費搾取事件がこの受領委任払いに起因するものであったということは、厳しく受けとめるべきであり、このような状況で受領委任払いの拡大を目指すという議論がなされていること自体、非常に疑問に思います。

 また、施術所に対する指導監査を実施するということと、支払いの方式を変えるということは別問題であり、この2つの課題に対する議論は、完全に切り離すべきだと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに、いかがでしょうか。

 それでは杉田委員、お願いいたします。

○杉田委員

 過去にも保険者さんから、こうしたらどうだ、ああしたらどうだという、いろいろな意見がございました。それはやはり一つには、こういう受領委任というような制度の中でないと非常にやりづらいということなのではないかと思っています。我々としては何としてでも、不正ということがあってはけしからんと思っているわけですが、その、不正であるかどうかということは、一定のルールの中でないと、それが不正であるかどうかということはわからないわけです。

 不正ということについては、もうこれは何も言えないことだろうと思うのですが、不適切という言葉がよく出てきます。この不適切ということについては、必ずしも不適切であるということの、これが不適切でこれが適切であるということがわかるような、そういうルールもないわけです。そういうことからすると、どうしても我々としては、そういう中で、そして不正をする人たちはどうしても排除していきたいということであって、これが国民にとっても、いわゆる被保険者にとっても保険者にとっても我々にとっても、我々の中のごく一部が悪いことをして、そしてそれが全体と同じように論じられるのは非常に困るということなので、ぜひ、その辺はそういうことで御理解をいただきたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに何か、今の話と関係があれば。

 では高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

 ここの8~9ページあたりに書いてある指導監督という話は漠然とした話ですけれども、私が知る限りにおいては、いわゆる医事法制における指導監督というのは、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師法に基づく指導監督で、施術所に対する監督というのは衛生基準なのです。こういう経済的な話についての指導監督というのは別にどこにもないのですけれども、ここにおける指導監督はいったい何を意図するものであるのかというと、それは不正請求をするからその不正の事案をきちっとするために指導監督してほしいということになるわけです。

 ただ、私どもは現在、協会けんぽのほうは代理受領をやっていますけれども、不正請求はむしろ代理受領のこの制度から出てくるわけで、本来の姿で償還払いに持ってくる方々は本人が請求してきますから、不正かどうかというのは本人と施術所の間の問題であって、本人が保険者のところに請求しに来る場合には不正というのはほとんど考えにくいと思います。そういった意味では、ちょっとそこは何か誤解があるのではないかという気はいたします。

 それから、私どもも代理受領をやっていますから、それ以上に受領委任が必要かどうかという点で言えば、はっきり申し上げれば、これは先ほど柔整のほうで申し上げましたけれども、受領委任に持っていけば最後は厚生局のほうの判断になるわけです。はっきり言って、私どもが見ていて厚生局は現実にはほとんどしていませんから、これは機能しない。機能しないところに、今現在私どもは契約の中で事業者に対していろいろな関係を持てるものを全部私どもがそういうものを投げ捨てて、厚生局にお願いしますというわけにはいかないということは申し上げておきたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 お待たせしました。仲野委員、どうぞ。

○仲野委員

 今、少し違うお話が出たので発言します。言われていることはわかるのです。ただ、一番問題があるのは、やはり私どもにかかっている患者さんの大半は、ある種、第二次医療のような形に全部なれということになると大変難しいのです。病態を把握していただけばわかりますけれども、その制度がいかに矛盾しているか、いかに患者に負担をかけているかということを、しっかりと考えていただきたいと思います。

 私どもはしっかりとした制度をつくり上げなければいけないという考え方に立っているものですから、そういう話がたくさん出てくるわけです。ですから、いい治療をしたいと思っても、今、患者さん自身が例えば来られないような状態がたくさんあるわけです。それから往診のことも往療のことで出てくると思いますが、そのことも多いという話がたくさん出てきたり。やはりもう少し患者サイドのほうに立って進めていただけるとありがたいなと思っています。

 鍼灸会の代表として言うならば、実際のところ自費診療で診ているわけです。このところ最近、ドクターへの問い合わせがたくさんふえてきたり、あるいはドクターに、これは医師会からも出ていると思うのですけれども、むやみやたらに同意をしないでくださいと。それはごもっともなのです。ところが逆に言えば、私どもが長い間培ってきた関係に、今、どんどん亀裂が入ってきているのです。

 なぜならば、私どもに任されて、先生お願いしますという患者さんはたくさんいるわけですけれども、それがこんなに今、どうしてそういう問い合わせをしなければいけないのですかと。どうなっているのですか、という問い合わせがたくさんあるのです。保険者さんとしては正当な支払いをしているかどうか、正当な処置がされているかどうかを確認するためにされている作業なのでしょうけれども、私どもとドクターとの信頼関係がどんどん失われつつある。

 ですからむしろここはもう、全部返上してもいいかなと思ったところもあるのです。全員にもう、使わないようにしろと。困るのは患者さんです。ですから何とかもう少し、やるべきことをやる。私どもも厳しくやるなら厳しくやってほしい。どうしても制度が入ってくると思うのです。論点がちょっとずれて申しわけないと思いますけれども、そこだけ御理解をいただきたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 受領委任制度については大体御意見が出たかなと思います。意見の一致を見ないという点については明らかなわけでありますけれども、何か追加でお話ししたいことがあれば。

 それでは杉田委員、どうぞ。

○杉田委員

 この資料の中に、11ページのところにあるのですけれども、請求代行業者ということがあります。これがやはり、いろいろなものがある。明らかになりにくい。要するに、誰に責任があるのかということも明らかになりにくいということがあるので、こういう制度、要するに制度上は請求代行業者が入ることは違法ではないわけですから、こういうことができないような方向に行くには、やはり受領委任という制度になったほうが、こういうふうにならないのではないかと思っています。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 受領委任について何かまだ御意見はございますか。

 それでは、それ以外の点で御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 では杉田委員、どうぞ。

○杉田委員

 往療が多いということで、前回も問題になりました。往療が多いということでいろいろ考えてみましたけれども、実際に往療しなくて済むような人たち、要するに通うことができる人たちは、ほとんどが医療機関、いわゆる療養の給付のほうに回っているのだろうと思います。ですから療養の給付ができない人たちが、要するに、我々の中で往療を利用しているのだろうと思います。そういうことからすると、やはり往療というものが多くなるのは、むしろ通えない人たちはほかのところで受けてもらえないので我々のところへ来るということが実態だろうと思っています。ですから、療養の給付というところで本当に通えない人に対しては、我々の側に要望が来るのだろうと思っています。

 ですから当然、件数からしても非常に多くの人たちが往療ではないかと。マッサージは往療だけではないかというようなことを言われますけれども、そうではなくて、むしろそういう人しか我々のところへ来ない。要するに、通える人のほとんどは医療機関や柔整のほうに行っているのだろうと思っています。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 施術側で往療についてまだ何か御意見はございますか。

 では仲野委員、どうぞ。

○仲野委員

 実務者から少しコメントをしっかりと話してほしいということですからお話しします。療養費の適正化に向けた鍼灸・マッサージの療養費の取り扱いの指定と、更新制度、あるいは罰則について提案をしたいと思っています。現在、医事課において学校のカリキュラム充実に向けた働きかけを行っておりまして、療養費の取り扱いについても必須単位としてカリキュラムに反映させるところとしています。

 我々の業団体は以前から療養費取り扱いに向けて全国で講習会を行い、療養費の適正化に努めているところです。しかしながら業団体に属さず保険者に直接申請を行っている施術業者が少なからずいることが実態であります。こうした中で、あはきの療養費の正しい認識がないままに申請され、必ずしも適正な申請とは言えないケースがあるやに聞き及んでいます。

 このような状況のもと、社会保険の中での施術とは、あるいは療養費とは、についての研修を受けた者のみを療養費取り扱い指定施術者として、鍼灸マッサージ療養費を取り扱えるようにしたいと考えています。

 施術所においても一定の条件を乗り越えて保険取り扱い指定施術所として取り扱いをさせる。もし意図的な不正があった場合には、一定期間その取り消しをする。これらをやることが、鍼灸マッサージ療養費の取り扱いの適正化につながると考えています。また、指定は一定期間として、指定の更新時には講習の受講を課すことを検討して、やりたい。そういう制度づくりを考えているわけです。

 ですから、どこで歯どめをかけて、どこで私どもは自分たちの襟を正すか。教育の中で行われていないという実情を考えると、どうしてもやはりそれを先行しなければいけないだろうと考えています。

○遠藤座長

 それでは竹下委員、お願いします。

○竹下委員

 竹下です。この往療料が問題になってくるのは2つの面があると思っています。もともと技術料が適正な報酬単価になっているかどうかということが、まず、議論としてはあるべきだろうと思っています。とりわけマッサージをとってみますと、技術料は非常に低く抑えられております。その結果として、マッサージの往療が実施されたときには、数字だけを見れば間違いなく往療料が技術料をはるかに超えてしまうのです。やはりこういう現象が起こっているということを、まず、実態として指摘しておく必要があると思っています。

 もう一つは、確かに往療料がどんどんふえているというのは、それ自体は一つの治療体系としてバランスを欠いている部分はあると思っています。しかし、往療料の減額等々をしていけば、施術者が往療をやめてしまう。その結果として見捨てられるのは誰かというと患者だと思います。先ほど杉田委員も指摘したように、現実には病院への通院や入院の必要のない、あるいは入院の必要性がないとして在宅療養にする、かつ病院に通院できないという現実の実態を持っている患者さんにとっては、この往療による施術を確保していかないと、患者がそれこそ難民になってしまう。そういう現実を十分に把握した上でこの往療料の位置づけというものをしていただきたいと思っています。

 以上です。

○遠藤座長

 往療料に関してということでよろしいですね。

 では時任委員、どうぞ。

○時任委員

 マッサージの保険施術は御存じのとおり、筋肉の麻痺と関節の拘縮ですが、それ以外のものはマッサージの施術を受けに来ないかというと、そんなことはありません。保険の対象にならないだけで、したがってここに数字が上がってこないのです。いかにもマッサージ師は往療料で食っているような誤解を受けるのは、やはりそこにあるのだろうと考えています。先ほど来、何度も、杉田委員らが言っておりますように、ここで議論しているのは保険のマッサージだということで、もう一度お考えいただければと思います。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 今、施術者側から往療料についてのお考えがいろいろと出たわけですけれども、支払い側から何か御質問、御意見等があればいただきたいと思います。

 それでは飯山委員、お願いします。

○飯山委員

 ただいまの御議論は、往療料の結果というのはここに数字が出てきているから、こういうことだろうということですけれども、実際に往療を受けている方々がどういう状態にいらっしゃるかということの実態というのは、ちょっとよくわらかないところがありますので、この結果だけで議論するのは何か靴の上から足をかいているような感じがいたします。実態をうまく見きわめられる方法について、何か事務局のほうでお考えはあるのでしょうか。

○遠藤座長

 調査室長、どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。

 御案内のとおり療養費ですので、請求書自体が国のほうに上がってくるわけではありません。また、審査支払機関としてデータがどこかに蓄積されているわけでもないものですから、そういった意味での実態というものが、手元にある中で加工すればできるという筋合いのものではないということは御理解いただければと思います。

 その上で何か工夫ができないか。私どもは毎年度、調査自体はやっておりまして、そこで工夫ができるのかどうか。あるいはきょうのような施術者団体の方から少しデータの提供をいただきながら何か議論ができるような素材がないかということは工夫をしてみたいと思います。

○飯山委員

 よろしくお願いします。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは村岡委員、お願いします。

○村岡委員

 保険者の実態から言いますと、多分こちらの会に来られている社団の皆さんのところというのは適正にやられていると思いますし、私どもの地域の中でも本当に真面目に取り組んでおられる方はたくさんいると考えているのですが、一方でここ最近の傾向としては、全国的なチェーン店等が参画をしてきた場合に、結果的にそこが、例えば障害の施設であったり、そういうところに売り込みに行って、それぞれ保険でマッサージが受けられますよということで施術に行って、結果的には往療料で請求をしてくるという実態がございます。

 例えば柔整のときにも広告規制という話がありましたが、1時間のマッサージを受けたいのだけれどもという質問に対して、20分のマッサージを3回受けるほうがお安く済みますよというようなインターネット上での広告があったり、そういう実態が本質的な問題ではないかと考えております。

 保険者に対して療養費という形で医師の同意を得て請求が来た場合には、それが不正であるとか不適正であるとはなかなか認めがたいというところもあって、結果的に往療料等の負担がふえてきているということになっていると思いますから、そのあたりをどうしていくのかというのが課題だろうとは思うのですが、なかなか答えとして、それについて適正な方法があるのかというと難しい問題ではないかと感じているところが実態でございます。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは仲野委員、どうぞ。

○仲野委員

 今、村岡委員から御指摘いただいたように、全くそういう意味では保険をなぜ使えるかということについて認識のない施術者が、ここのところ10年ぐらい、ともかく鍼灸の資格を持った卒業生が出てきます。そういう認識を持っていないのがたくさん出てきているのです。だから大急ぎでカリキュラムを変えなければいけないし、直さなければいけないということを今、提案しているのですけれども、取り急ぎ、私どもも幸か不幸か公益ですから、公益が提案しながらいろいろな仲間に、もし扱いたければしっかりとした教育を受け直しなさいと、そういう提案をしたいと思っているわけです。ここで論じるのはちょっと問題かと思っていますけれども、大急ぎでそれを、お力を借りて何らかの形でそういうものをつくっていけば、2~3年のうちには何とか教育が行き渡るのではないかと思っているわけです。

 そうしないと、せっかくの鍼灸なりマッサージのすばらしい医療が、今、薬や注射などを使わない、この我々の医療というのはそれなりにしっかりと評価しなければいけない時期に来ていると思います。今度、日本で世界大会もやるのですけれども、いろいろな意味で、世界で評価を受けているにもかかわらず、残念ながら日本ではそこが一番おくれているものですから、全てが後手に回っているというのが実情だと思っています。心ない専門のそういう業者といいますか株式会社がやっているわけですけれども、そういうところがやっていても、それを同じような保険で乗せていけるというシステムそのものもおかしいし、施術者に背番号をつけて誰が処置したかわかるようにしなければいけないし、大急ぎで手当てしなければいけない。私どもがお手伝いしますからということで、今、頼んでいるわけですけれども、よろしくお願いしたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに支払い側から何か御意見はございますか。

 では幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 先ほど、患者の負担が重いから受領委任払いにすべきだというような御意見がございましたが、資料の2627ページを見てみますと、長期・頻回施術の方が多く存在するというグラフがあり、これが本当に患者にとって必要な施術なのかというところが、非常に疑問です。こういう方は治療ということではなく、慢性的な疾患に対する症状を和らげるというような施術が行われているのではないかと想定するわけです。

 患者の負担が重いということであれば、例えば、長期に施術を受けている患者については、月に通う回数を減らす、制限を設ける等、本当に患者にとって必要な施術回数を設定し、患者の負担を軽減させていくというような仕組みも考えていくことが必要ではないかと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 いかがでしょうか、施術側の方。今のような御意見について。

 それでは竹下委員、お願いします。

○竹下委員

 竹下です。今、幸野委員の御意見をお聞きして、少し疑問に思った点があります。少なくとも往療などで特に典型的にあらわれるのは、例えば脳梗塞などでほぼ歩行困難であったり、あるいは寝たきりになった人。こういう方について、失礼な言い方かもしれませんが、それで直ちに命までが失われるということはないけれども、非常に長期にわたって在宅療養を余儀なくされる患者さんはたくさんおられるわけです。

 私も30年前までその仕事をしていたわけですけれども、そういう場合において、マッサージの施術の機会をどんどん減らしたらどうなるかということは、保険者の方々は一番御存じだと思うのです。その方の拘縮がどんどん進んだりして、生活の質はどんどん低下していくわけです。それはやはりあってはならないことだろうと思うわけです。

 そういう意味では、先ほど我々のあはきの治療というものが常に医師の同意のもとにされているということ、かつ、高橋先生でしたか、おっしゃったように、やはり神経系統の問題も含めまして、医師との連携といいますか常に医師との意見交換の中でそこがちゃんと指導のもとでやられるというところが前提になっているということを考えて、この往療の適正化ということを、ぜひ受けとめていただきたいと思っております。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 類似して施術側、何かございますか。よろしゅうございますか。いかがでしょう。

 では高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

 いろいろな病気の方がいらっしゃいますから、どれくらいの頻度、あるいはどれくらいの回数というのは、多分、医学的にも難しい論争だと思いますけれども、いずれにせよ、あん摩、はり・きゅうの療養費も高額療養費の対象になっていますよね。高額療養費に入りますよね。

 ですから、当然、負担の上限は高額療養費の中に全部おさまるわけで、負担が大変だったらそれは高額療養費の中でおさめる。それは医療全体として。筋拘縮の方だったら、当然、普通にお医者さんに、整形外科に行っているはずですから、それに加えてあん摩マッサージということで、その中で高額療養費で見られているわけですから、ここでは負担の議論はちょっと別だと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 何かございますか。

 では幸野委員、時任委員の順番で。

 まずは幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 先ほど竹下委員から、あはきの治療は常に医師の同意のもとに行われているというようなご意見がございましたが、医師の同意について、意見を述べたいと思います。医師の同意というのは、必ずしも同意書を添付する必要はないということになっておりますが支払側としてはこのようなことが長期の受診を促す要因になっているのではないかと感じております。また、医師の再同意についても、同意書が添付されていないということであれば、おそらく、医師が簡単に電話等で同意をしてしまうようなケースもあろうかと思います。したがって再同意についても、同意書を必ず添付していただくようにすれば、長期施術も減少してくるのではないかと思いますので、その点についても検討いただきたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 では時任委員、どうぞ。

○時任委員

 先ほど仲野委員からちょっとありましたように、必ずしもあはき、あん摩、はり・きゅうの業者でない設置者が、医師の同意書をかき集めてというケースがないわけではありません。これは非常にゆゆしき事態だと思っておりますが、何でこういうことが起こるかというと、病医院のトップや保健所の所長は医師であることが条件になっています。一方、あはき関係の施術所についてはなぜか条件がついていないのです。したがって、株式会社が乗り込んでくるといった事態が起こるわけで、これは今後の問題として、ちょっと時間はかかりますが改善すべきだと思っています。以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 資格の問題ですね。

 再同意に対する同意書の添付の議論が出ましたけれども、これに関して何か御意見はございますか。

 杉田委員、どうぞ。

○杉田委員

 再同意のあれですと、それだけ患者がやはり負担になるのだろうと思います。それともう一つは、再同意をするためにも当然、何回でも医院に、要するに医療機関にかからなければならないわけですから、その分だけ患者が、特に往療が多い人がそこまで行くということは、肉体的にも非常に負担になるだろうと思います。ですから、そういうことも含めて過去に、再同意のときには同意書を必ずしも添付することは必要ではないというように決まった経緯があるわけです。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 私が懸念しているのは、医師の再同意を安易にとることができる仕組みをうまく利用し、患者が必要以上に長期施術を受けている状況が一部で発生しているのではないかということです。したがって医師の同意書を確実に添付するようにすれば、施術の適正化・施術期間の短縮化につながるのではないかということで申し上げたわけです。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 では仲野委員、どうぞ。

○仲野委員

 3カ月ごとに、基本的には同意をいただくわけですから、症状の経過については返信するなり持たせるなりしていると思います。ただ、そういう教育を徹底してできていないところに問題があると言っているのです。私どもの組織は小さな組織ですけれども、一生懸命それを指導して、3カ月ぶりに、あるいは6カ月ぶりに、こんな経過をたどっているということについての報告をするように指導していますから、その中で再同意をいただいているわけです。これを徹底しようと思うと、先ほどから申し上げているように、教育について全員に、開業して保険を扱いたい人たちにしっかりした教育をするというシステムをつくり上げないと大変難しいと思っています。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 大体議論は出尽くしたかもしれませんが、どうぞ杉田委員、お願いします。

○杉田委員

 やはり我々としては研修をしながらといいますか、その研修をしない人たちには療養費の取り扱いをさせたくないと思っています。そして、そのときにペナルティーということもやはり考えるべきだろうと思うのです。というのは、御理解いただいているだろうとは思いますが、我々の中に、真面目にやっているのと、とんでもないのとがまざっているわけです。これは非常に迷惑なことです。ですから研修をしながら、その研修を受けない人たちにはペナルティーを科す。実は過去、我々は療養費について学校では教わっていなかったわけです。しかし、今後はちゃんと学校でも教えましょうということで、これは文科省も含めて厚労省も含めて、今、検討していますし、そういう方向になります。しかし、それだけでは足りない。

 要するに、我々みんなが研修を受けて、そしてその研修を受けた人でなければ療養費の取り扱いができないようにするというようなことが、先ほどの、いわゆる施術者ではない代行業者が入ってくるのを防ぐことにもなるのではないかと思っています。こういうことで研修制度も実際に今やっておりますけれども、そのやっていることによって何かメリットがあるかというと、今はないわけです。それなのにやりたい。要するに勉強したいという人たちがいっぱいいるわけですから、そういう人たちに、これからも勉強させていきたいと思っています。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 大体予定した時間になったのですが、まだ何か御意見があれば、1つ、2つ、受けたいと思います。

 では仲野委員、手短にお願いいたします。

○仲野委員

 特に鍼灸治療ということで申し上げれば、かなりの可能性をたくさん持っていると思います。今、医師が同意した6疾患だけが療養費の対象になっている。そういう状態の中で、実際にはこういう今のような議論がどんどんされていて、保険も難しいという話が流れてきて、医療ではないというところになぜ固執するかというと、それを使えることが、医療の片割れにいるということが、施術をする側の先生方からすると立場をつくり上げることができるわけです。ですから、できるだけしっかりとした形で勉強をさせて、医療の片一方を担いでいるというポジションをしっかりとらせることによって、これからさらなる医療としての鍼灸ができ上がってくると考えているわけです。だから大事にしてほしいなと思っています。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。よろしゅうございますか。

 どうもありがとうございます。

 本日は大変積極的な御発言をいただきまして、ありがとうございます。

 いろいろな御意見が出ましたので、これにつきましては本日の議論を踏まえまして、引き続き議論を続けていきたいと思います。事務局としてもそれなりの材料の作成をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、次回の日程等について、事務局から何かございますか。

○保険医療企画調査室長

 調整の上、また改めて御連絡させていただければと思います。よろしくお願いします。

○遠藤座長

 よろしくお願いします。

 それでは、これで「第5回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。

 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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