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2016年4月27日 第2回専門医養成の在り方に関する専門委員会 議事録

○議事

社会保障審議会医療部会第2回専門医養成の在り方に関する専門委員会

 

 

 

                                      日時 平成28年4月27日 ( )

                                            15:30~

                                      場所 新橋会議室 会議するなら ( 8E )


・桑原臨床研修指導官 ただいまから、社会保障審議会医療部会第 2 回専門医養成の在り方に関する専門委員会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。なお、荒川委員は本日所用により御欠席との連絡を頂いております。また、文部科学省医学教育課からはオブザーバーとして佐々木企画官にお越しいただいております。

 以降の議事運営については委員長にお願いいたします。永井先生よろしくお願いいたします。

・永井委員長 それでは、議事を進めてまいります。まず、事務局より資料の確認をお願いします。

・桑原臨床研修指導官 では、お手元の資料を御覧ください。クリップで留めてあるものが 1 束あります。クリップを外す前にそのクリップの下に 1 枚もので上の見出しが「新専門医制度に関する論点 ( 委員長私案 ) 」、それに続きクリアファイルが 2 つあり、左上の所に日本脳神経外科学会資料配布委員のみ ( 回収資料 ) と赤字で書いてあるもの、こちらは個人名等が入っておりますので、このクリアファイルについてはお帰りになる際に持ち帰らずに机の上に置いて帰っていただければと思います。もう 1 つのクリアファイルは、日本脳神経外科学会資料配布委員のみとありますが、こちらはお持ち帰りいただいて結構です。

 クリップを外して確認いたします。議事次第に続き、ホチキス留めで「一般社団法人日本専門医機構関係資料」、カラフルな資料 2 という横長の資料、同じく 1 枚ものですが横長の資料、用紙の色が違いますが日本医師会からお持ちいただいた日本医師会の調査結果が資料 4 、資料 5-1 は内科専門研修プログラム概要、資料 5-2 は同じく小児科領域資料、資料 5-3 は総合診療についての資料、その後は参考資料 1 2 3 と続いております。不備等がありましたらお申し付けください。以上です。

・永井委員長 よろしいでしょうか。本日の会議には参考人として、一般社団法人日本専門医機構から理事長の池田康夫先生、理事で専門医制度検討委員会委員長の千田彰一先生、専門研修プログラム研修施設評価・認定部門委員長の四宮謙一先生、また、各診療領域の代表として内科領域から宮崎俊一先生、小児科領域から井田博幸先生、脳神経外科領域から嘉山孝正先生、総合診療領域から倉本秋先生に御参加いただきたいということですが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

・永井委員長 専門医機構の組織運営について、これは前回いろいろ議論のあったところですので、最初に参考人から御説明をお願いいたします。

・池田参考人 それでは、お時間を頂きましたので、前回宿題になっていた日本専門医機構の組織運営について簡単に御説明したいと思います。お手元の資料 1 に多くの関係資料を付けております。最初は日本専門医機構の定款です。御承知のように 3 年前に厚生労働省の専門医の在り方に対する検討会の最終報告が出て、それに基づいて日本医学会連合、日本医師会、全国医学長病院長会議、 4 病院団体協議会の先生方がお集まりになり組織委員会を作られ、そしてそこで定款の委員会あるいは役員の選考委員会等ができて、そこで作られた定款が 1 ページからある日本専門医機構の定款で、これは一般社団法人の定款の形式をそのまま踏襲しているものです。お読みいただければと思います。

 専門医の在り方に関する検討会の最終報告の概要です。先ほど申し上げたように、これの精神にのっとって専門医機構が中立的な第三者機関ということで立ち上がりました。 13 ページには、厚生労働省もこの機構がこういう形で出来ましたということで、「一般社団法人日本専門機構について」アナウンスをしております。

14 ページからは、機構の社員、理事、監事の名簿、先般設立されてからちょうど 2 年がたちますので今度の 6 月で役員、特に理事の任期が切れますので、それの選任規定が出来上がりました。 18 ページは機構の理事の役割分担、日本専門医機構の組織図です。各委員会があり、各委員会がどのような役割をしているのか、担当の理事はどなたかということを示しております。

 社員名簿を見てお分かりだと思いますが、設立時の 4 団体とがん治療認定機構、そのほかは 18 の基本診療領域の学会の代表が社員になっております。これは、やはり専門医制度を作るに当たっては、これまで長い期間、努力をされていた基本領域の専門学会の御意見を十分にお伺いしなければ、この機構の使命は果たせないということで社員になっていただきました。先ほど申し上げたように理事は設立当初、亡くなられましたがカナザワイチロウ先生が組織委員会の委員長に、アトミ先生が役員先行の委員になられて、理事というのは中立的な立場で新しい専門医制度を考えていく方たちをお選びして理事になっていただきました。

18 ページです。専門医機構の組織図を御覧になると分かるのですが、これは、機構の役割を果たすためにどういう仕組みにしたら一番効率的に運営されるかということで、こういう組織を作ったわけです。設立当初、専門医の質の標準化ということで、各学会が作られ専門医制度を標準化すると、それからいい所の専門医制度は十分に取り入れてほかの学会にもそれをお伝えするという役割も示すということで、真ん中にある「評価・認定部門」という所がこの機構の中心部分で実務を担う所で、専門医を認定する、あるいは専門医更新の基準を作る部門と専門研修プログラムあるいは研修施設の評価・認定部門の 2 つに分かれており、そのそれぞれの部門の下に基本診療領域の学会から推薦された、例えば、基本領域の専門委員会は 19 領域あり、サブスペシャルティに関しては現時点では 29 領域あるのですが、そのそれぞれの領域、学会から推薦された委員の先生方が 7 10 名程度、この委員会で議論して新しい認定の仕組み、あるいはプログラムを作る整備基準をどのようにしたらいいのか、それぞれの領域を特徴いかしながら議論しているという仕組みになっております。

 実は 2 年前にこの機構が立ち上がったときに、その前身に社団法人日本専門医制評価・認定機構という機構があり、そこの機構を基にしてとにかくスタートしようと、理事の選任は全く変わったわけですが、仕組みとしてはそういう格好にしようということで、事務局体制はそのまま引き継ぎました。当初、事務局は確か非常に先生方から御批判も受けたのですが、 5 名程度の事務局で始めました。財政的な余裕もないということもあって始めました。

20 ページにありますように現在では、事務局は 20 名の体制でやっております。事務局長がいて、その下に 3 名の主任がいてそれぞれの業務の責任を負っているということで、正職員として 7 名、契約社員として 9 名という体制でやっております。特に総合診療の専門医の話を今日、申し上げると思いますが、総合診療の専門医は機構で中心的にやっていく。

 そのほかの 18 に関しては、各学会の事務局と密接に連携するというか、むしろ学会の事務局にお願いして多くの仕事をやっていただくという形になるわけですが、総合診療に関しては 19 番目の新しい専門医制度ということで、機構の中に事務局を作って現時点ではやらせていただいているという体制で人数も増やしました。今のところ 18 名という形で事務員の増員も計画しているということですが、今の体制はそのような状況にあるということをお知らせしたいと思います。

21 ページは、機構の 2015 年にやった事業がどのようなものだったのかということをまとめておりますので、御参照いただければと思います。組織の在り方については、これまであった学会の専門医制度を標準化するということで学会と話し合いながらやってきたわけです。現時点ではこの専門医委員会が立ち上がった経緯も地域医療をもう少しきちんと見直さなければいけないということになると、理事の名簿、社員の名簿を見ても、やはり地域医療を担うステイクホルダーの方たちが現時点では、この機構の組織の中に十分に入って議論されていないというところは皆様お分かりになると思います。

 これについては、先生方の御意見も伺いながら質の担保をするということ、いい専門医を作るということ、地域医療をよりよくして 2 つを調和させるようにするためには、どのような組織であるべきかということを医療部会、専門委員会の先生方の御意見も聞きながら、おそらく組織改革をされることが必要ではないかという状況にあると認識しております。

 なお、御質問を頂いた中で基本領域とサブスペシャルティの状況はどのようになっているか、あるいは新しい専門医制度に入っていく先行医の身分はどのようになるのかという御質問も頂きましたので、それについては 11 12 番の資料を基に千田理事に簡単に説明していただきたいと思います。よろしいでしょうか。

・千田参考人 資料の 23 24 を御覧ください。機構が発足してから 2015 年の卒業生を対象に……のことを進めなければいけないということで、主として基本領域についてずっと議論しておりました。一方で、 23 にありますように 29 のサブスペシャルは 9 の評価認定機構の時代に機構が認定してきております。つまり、サブスペシャルティ領域のそれぞれの専門医が走っておるという状態です。

 これを受けて機構の中でグランドデザイン的にどのような専門医制度の大枠を作るのかという議論は、実は厚生労働省の報告を受けた後も引き続いて行っております。現在のところは、 29 に加えて 24 ページの中ほどの所に書いてありますが、機構の中に入ってくる、あるいは入ろうとしている学会が既に 55 ぐらいあります。当然、この皆さんを機構が認定するということではないとしても、どのような位置付けにするのかということは大きな課題で、また、……その枠組みを変えるということもできませんので、今、真摯に議論しております。

 一方で、 29 の認定したものについては 3 年間の認定期間があり、今年の 10 月末に認定の期間が満了いたします。したがって、それまでの間に更新のための審査をしなければいけないということで、昨年度、約半年掛けて調査いたしました。それは、現在の研修プログラムに相当するものがどのような形でできるかどうか、それから独立したことができるのか、こういう基本的にサブスペシャルティの要件を考えており、それは 24 25 ページにかけて、我々の所で従来から持っている、また、新しい制度になって我々が考えているものを列挙しております。

 こういうものに基づいてサブスペシャルの医師像、定義等を考えていく、これは現在の基本領域の標準的な診療を行う医師ということとは少し違って、より専門性が高く特化された領域の医師であるという規定を持っております。これからは、その具体的なところをやりながら 29 を含めて再評価を対象して新しいサブスペシャルの領域を作っていきます。そのために現在走っていることと整合を取る必要もありますし基本領域の研修プログラムを作る上で一部、基本領域の研修中のものをサブスペシャルの中で認められたという御要望もあり、そういうことについてはお互い合意した内容というのは 25 ページの下に書いてあります。

 それから、よく御質問を受ける総合診療のことですが、これについては制度検討委員会を中心に全体の枠組みを議論しております。例えば、地域を見るということを専らとする総合診療専門医でありますので、まず、そのことをやっていただきたい。そうは言いながら、その研修の課程でいろいろなところに思考が変わってサブスペシャルティの領域へ行きたいという方も当然出てまいりますので、そういう方を閉すものではない。ただし、それについては広い意味でサブスペシャルティの側からどのような研修の通り道を作っていくかという議論が必要で、これは、それぞれの研修プログラムを見ながらサブスペシャルティの側が、またその要件を出していただくということにしております。

 次に基本領域の研修においては、基幹病院、基幹施設が中心になって研修プログラムを運営し、その基幹施設に原則として雇用していただく。そこが統括していろいろな所の管理をしていただきますので、勤務については中核になる基幹施設が……になっていただくわけでありますが、新しい研修プログラムが 1 施設だけで研修が満了するのではなくて、できるだけ研修施設の他施設での研修を奨励しております。

 その関係でいうと、そのことに関わる雇用や社会保障の問題が出てまいりますので、それらについては早くから機構の中で検討の要を見つめて、 26 27 ページにあるように専攻医の勤務環境検討委員会、これは小森理事を委員長とする委員会ですが、厚生労働省の専門家等も入っていただいた中で議論を進めております。しかしながら、これは一様な法的な規制でできるかということは問題であると第 1 回の中でも議論が出てまいりましたが、それを待っているというわけにもいきませんので、今のところは各研修プログラムの中でそれぞれの基幹施設が責任を持ってこういうことに対しては対応していただく、それで動き出した中で問題点をまたジュウしていこうというところで進んでおります。以上です。

・永井委員長 ありがとうございます。

・池田参考人 最後に一言、今回の専門医委員会では繰り返しますが、地域医療をどのようにするかということが非常に問題となっておりますので、そのことを議論するステイクホルダーの方に社員であり理事であり、委員会の中に入っていただくような仕組みを早急作らなければいけないということを私どもは認識しており、そういう面での組織改革を先ほど申し上げたわけです。以上です。

・永井委員長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお願いいたします。

・羽鳥委員 

日本医師会の羽鳥です。今日、千田先生からの御説明を聞いて総合診療専門医のことについて新しいことが分かってよかったと思います。私も総合診療専門医のワーキンググループでプログラムを審査しているのですが、実は、公衆衛生学という雑誌が発行されているのですが、来月号の中に総合診療専門医の話が出てくるのですが、その中には一言も医師会等の協力、あるいは地域医療への配慮が日本専門医機構の先生方にはないのかと残念だなと思っていたのですが、今日のお話を聞いて少し安心ということが実情です。以上です。

・永井委員長 ほかにいかがでしょうか。

・山口委員 御説明ありがとうございました。幾つか質問があります。前回のときに事務局体制のことについて質問いたしました。 5 人の体制から今は 16 名ということですが、これは増員されたのがいつ頃なのかということが、まず 1 つ目です。 2 つ目として、グランドデザインが見えないことに対する不安があるという声が多々聞こえてまいります。そんな中で、基本領域の学会は歴史的にしっかりしていて、今回の専門医制度を作るきっかけになったのはサブスペやその候補の学会が乱立したことにより、こういう専門医機構を作った上でしっかりと認定してかなければいけないということだったと思っております。

 先ほどサブスペの議論を進めているところだというお話がありましたが、進めている進行状況がどの辺りまでいっているのか、やはりグランドデザインが見えないという声が多いということは全体像がまだまだ見えていない中でスタートするということの不安だと思いますので、ゴールがあるとしたら今どこまで進んでいるのかということを是非聞かせていただきたいと思います。

 そして、最後に 26 27 ページの専攻医の勤務環境検討委員会で議論を進めていると先ほどお話がありましたが、これは、どうやらまだ 1 回しか開催されていません。しかも開催されたのが今年の 2 月に入ってからとです。先ほどの参考人のお話だと機構としてというより地域で考えていくということになると、日本専門医機構として専攻医の身分保障の方向性は示さないということなのでしょうか。勤務環境検討委員会が今後どのように開催されるかも含めて、全体がどのようになっているのかということをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

・池田参考人 最初の御質問は、私からお答えいたします。事務局は 5 名から始まったのですが、順次増やしていったということがあります。ここにきて総合診療専門医のプログラムを募集や整理して、かなり時間を使わなければいけないということで数名増やしました。その前に段階的に 5 8 名になり 11 名になり 16 名になったという段階的なことです。

・永井委員長 ほかにいかがでしょうか。

・千田参考人 グランドデザインのことを御質問いただきましたが、まず、専門医の改革になったきっかけですが、少し認識が私どもと違っているのは、そもそもこれが起こったのは 2008 年に日本学術会議が、現在の日本専門医制度は国民の中に十分受け入れられていなくていろいろな問題があるという御指摘があり、その報告の中で 10 年以内に抜本的に変えるべきであるというレコメンテーションがありました。

 それを受けて、旧機構の中で今日ここにいらっしゃいます門田先生を委員長とする在り方検討会ができて、そこでもう 2015 年の卒業生からやってはどうかという話が動いてきたわけです。決して基本領域がそれで全部オーケーというわけではありませんでした。

 当然、その中では総合診療のようなことも議論が始まっていたわけですが、主としてサブスペシャルティにいろいろな問題があるということの認識はあったとしても、それは専門医制度全体の問題であるという認識で、今回の改革を行っており、また厚生労働省の報告の中でもそのように規定されて基本領域をまずきちんとやりなさい、サブについては僅か 3 項目を書いてあるだけなのです。

 それを受けて私たちはやっているわけですが、先ほど申し上げたようにサブは既に走っているわけですので、また当然、基本領域とのリンクがありますので、それについては、この 1 年間特に直接学会の先生方とも協議をしながらどのような研修プログラムができるのか、この新しい仕組みの中にどのようにフィットさせていけるのかということで、既に認めてあるところ、あるいは将来は認めるに近いであろうというところを交えて議論してきております。

 したがって、先ほども言いましたようにこの 10 月までには 1 つの結論を出さないといけませんので、今その最後のところであると御理解いただければと思います。その中で、基本領域と関係するところについては、もう既に 1 つの関係をお認めしたということもあります。

 それから、勤務環境は遅れていることは事実です。ただ、これが新しい研修プログラムの整備基準が出来た段階で、このことが非常に重要であるという認識は早くから持っております。どのように対応すればいいのか、どういう方で議論すればいいのかと、厚生労働省の方々には随分御相談させていただきました。ただ、一様にこれをできる場を作るのに苦慮して、結果として昨年の秋にようやくこの委員会が出来上がったということです。これは事実なのですが、何とかそれを挽回したいというところです。

・山口委員 そうしますと、専攻医の身分保障の責任を持つのはどこですか。

・千田参考人 研修プログラムは、今までもこれからもどこまでも基幹施設がその責任を負うということで研修プログラムは成り立っています。

・加納委員 総合診療医の話に絡むかもしれませんが、以前お聞きしたのですが、今回の専門医制度のそもそも論ですが、専門医を取らない方ということがあり得るという話だったかと思います。日本の医療は、今後は高齢者医療をしっかりと全うするということが日本の医療現場の一番の課題かと思っております。

 その中で果たして専門医が本当にどれぐらいの比率で必要なのか、今のままでいくと 10 割必要という話になってしまうのか、どういう形で今後の医療を含めて、我々医療現場としては、やはり若い 24 時間 365 日地域医療を守るためには元気なドクターが必要なわけですので、全て専門医になるための機構へ入って行って、以前から申しておりますように我々の現場がおろそかになるような危険性があるのかどうかということを確認したいと思います。

・池田参考人 その点については、後ほど倉本参考人から総合診療の専門医の医師像と今どういうプログラムの状況になっているのかということをお示ししていただき、専門医制度の中での総合診療専門医の位置付け等をお話していただきますので、後でまた御議論したいと思います。少子高齢化社会を迎えて、特に 1 人の患者さんがたくさんの病気を持っているという状況が、これから間違いなくくるわけですから、そういう面で地域で患者さんを診る。特に高齢者を含めて総合診療の専門医の先生方の育成は非常に大事だと思っております。

 もう 1 つは、全ての人に初期臨床研修が終わったら新しい専門医制度に入ってくださいという仕組みなのですが、これは、もちろん専門医を取らなければいけないという制度ではありません。おそらく、初期臨床研修が終わっても今までのように 2 3 年それぞれの地域の病院で仕事をして、それからまた専門医を取ってみようと思っている方もいらっしゃいますし、今専門医を持っていなくても数年たった人たちが新しい専門医制度、特に総合診療の専門医ができたのならば、そこにもう 1 回乗ってやろうと、それぞれの若い医師の専門医制度に入る時期は非常にフレキシブルに考えたいと思っております。

 実は私も地域で説明会などをやって、あるいは若い先生たちと話しますと、来年絶対に初期臨床研修は 2 年目なのだけれども入らなければいけないのかと言うので、それは違いますと、来年、再来年、あるいはその後でも入ることができますよと説明しております。

・永井委員長 機構の在り方は、まだ議論があると思うのですが次の議題と関係しますので併せて議論したいと思います。

・西澤委員 今まで医療部会、あるいはこの第 1 回目でいろいろ議論があって組織のことをしっかり議論してから次にというお話だったと思います。今回かなり機構の資料を頂きました。実は少し不満ですが、普通、私たち出そうと思えば、一般社団法人であればきちんと年間の事業計画の報告等もありますし、理事会、社員総会があれば必ず議事録が残っているはずです。その中でどのような論点で、どのような意見があって議論して何がまとまって何がまとまらなかったかという中身が知りたいのです。

 ……今この場での発言だけではなくて、ここで議論するための材料をもっと私は欲しいということを言ったつもりです。是非、次回そういうものを見せていただいて、例えば、聞こえてくる話ですと理事会でも予算が通らなかったという話を聞いたりしているのですが、では、どういう議論があって通らなかったのかということをきちんとした正式な議事録の中で我々は判断しながら議論すべきだと思います。

 そうでないと、ただ上面の議論をやっていてもどうも埒が明かないと思いますので、次回には是非そういう資料を出していただきたい。その他、組織の特にガバナンス等に関して問題ありと言っていた方もいますし、また、事務局に関してもかなり問題があるという方もいらっしゃいますので、踏まえて是非出していただければと思います。お願いいたします。

・池田参考人 ありがとうございました。理事会、社員総会は速記録も全部取っており、社員総会、理事会の議事録を御用意することは問題ありませんので、もし必要であれば出させていただきたいと思います。ホームページには一部掲載しておりますので、御覧いただければと思います。

・永井委員長 ただいま御指摘いただいたいろいろな課題について、次回、機構からも更に御回答をお願いしたいと思います。次に、委員長として論点を整理してみました。もちろん機構の改革の問題もありますけれども、こうした制度を動かしていく上で、欠けているもっと大きな仕組みがあるのではないかと思います。そこを踏まえて議論をしないと問題の見通しが悪いように思います。そこで先ほど山口委員が言われた、グランドデザインについて、私なりに整理をしてみました。この整理のように進めるかどうかはこれからの議論ですけれども、こういう視点がもっと必要なのではないかということです。 7 つありますが、取りあえず本日は 3 つほど挙げさせていただきました。

 最初の専門医養成の主な特徴というのが大きな枠組みの問題です。専門医機構がこれまでいろいろ努力されてきたことはよく理解できるのですが、地域医療に対応する仕組みがやはり欠けているのではないかと思います。機構の持っている権限を少し分散させないといけないのではないかという視点で書いています。また、今はまだ機能していませんけれども、地域医療の問題ですから都道府県の協議会のあり方についても議論が必要と思います。

 プロフェッショナルオートノミーに基づいて地域の協議会が運営に当たること、より主体的な役割を果たしてもらう必要があります。一次プログラムを基幹病院が作成しますけれども、定数の調整や定員の配置、場合によってはプログラムの基準も地域によって違ってくると思います。ある程度は、各都道府県の定員を踏まえて、二次プログラムを作成する、そのうえで制度の運用、専攻医の身分・待遇について監督・指導する役割を担う組織がどうしても必要なのではないかということで、都道府県に協議会が必要です。

 具体的なことは更に議論が必要ですが、これらの機能を全て専門医機構が担うのは、負担が大きすぎるのではないかと思います。つまり、地域の協議会を設置して、二次プログラムを作り運営に当たる、あるいは地域の医療をどのように守るかも検討する。ただし、都道府県ごとに一定数の募集枠をきちんと確保しておいたほうがよいだろうと思います。

2 番目の項目は最初と重複しますけれども、地域の協議会の責任と権限をどうするのかという問題です。認定のあり方についても、もう少し議論が必要かと思います。

 重要なのは 3 番目の専攻医数の募集枠の設定です。これは、需要と供給のバランスが非常に重要だからです。診療科ごと、あるいは都道府県ごとの定数が決まればよいのでしょうが、簡単には実現できません。そこでまず、当面今までは希望者数をそのまま引き受けることになると思います。しかし、今後は診療科間の調整という議論も当然出てくると思いますし、都道府県の募集枠をどのように決めるのかという議論も必要です。例えば、医療ニーズや都道府県の面積を考慮して決めるという方法もあるかと思いますが、今後の議論に待ちたいと思います。

 各領域の全国の専門医希望者総数が決まれば、その 1.1 倍あるいは 1.2 倍、場合によっては 1.5 倍の募集枠を設定することになります。現在、研修医については 1.2 倍で募集枠を都道府県に割振っていると聞いています。一次プログラムが出てきたときに、都道府県はこれを基にして二次プログラムを作ることになります。専門医の質を高めつつ、同時に地域医療を守ることになると、こうした仕組みが必要になってくると思います。その議論が今まで行われなかったために、議論が紛糾してきたのではないかというのが私の印象です。

 本当は、システムが完全にできたところで、新専門医制度を始めるべきなのでしょうが、それには時間もかかります。しかし現在も各学会の専門医制度が動いているわけですから、来年度については学会に主体的に決めていただく。つまり学会が従来の専門医制度を実施するもよいし、専門医機構と協働して新しい方向で試行するのもよいと思います。それは、学会が決めることと思います。

 もし学会主体で行うのであれば、都道府県ごとに勤務する専攻医の数を確保する必要があります。都道府県のこれまでの実績は確保する、全国の募集枠は全希望者数の 1.1 倍とか 1.2 倍、あるいは 1.5 倍とし、地域の協議会と相談しながら具体的に進めていく。そういう新しい枠組みの試行を実施するのがよいだろうと思います。いずれ制度がかくりつしたら専門医機構から追認されることもあると思います。

これまでの専門医制度の議論にはこういう大きな歯車が欠けていると思います。新専門医制度は試行が必要ですし、その経験を踏まえて、機構の在り方も決まってくるのではないかと思います。

 また、これまで余りにも専門医機構に懸限が集中しすぎていると思います。こうした論点を参考にして、機構の在り方や制度の在り方について御議論いただければと思います。

・森委員 今の委員長私案というのはとても大胆だと思うのです。先ほども議論にありましたけれども、この第三者機関が作られた、機構が作られた経緯というのは皆さん御存じのことだと思います。その中には、標準化しなければいけないということも、もちろんあるのですけれども、学会の人集めになっているような専門医がたくさんあったということも事実です。そこが独立した第三者機関をちゃんと作ろうではないか、そこが認定するべきだということにもつながった話なのです。

 現状としては、学会にお任せせざるを得ないという話も先ほどからずっと出ていたように、現状で独立した第三者機関という話はまず難しいのです。基本学会については、人集めのためにやっている学会はないだろうと思っていますので、これでもいいのかなとは思います。もし、この部分を修正するということになるのであれば、現在の第三者機構は、もう第三者機構ではないということになります。

これが第三者機構として成り立つということで仮定するとすれば、つまり学会にある程度お任せしながらやる、そして、学会も結果的には社員として迎え入れたという状況でやる、ということであれば、現在の委員長私案というのは、極めてまっとうな私案です。ある程度学会に任せてやらせる所はやらせなければしようがないだろう、ということも 2 番に書いてあります。

 それから、協議会がなぜ動かないかというと、責任の所在がはっきりしないからなのです。ですから、ここに書かれているように責任を持たせるということは、責任を持って調整しなければいけないということになりますから、動き始める県がたくさん出てくると思います。現状で動いていないのは、やはり責任の所在がはっきりしていないということなのだと思います。

 これと関連してですが、先ほどサブスペシャリティの問題もずっと議論されているということを、第三者機関の方がおっしゃいました。基本学会は標準化するのはとてもいい話だと思いますけれども、サブスペシャリティというのはいろいろなタイプがあるからこそサブスペシャリティなのです。例えば内科のサブスペシャリティや外科のサブスペシャリティと、精神科や耳鼻咽喉科のサブスペシャリティとは全然考え方が違うのです。内科や外科はすでに専門分科されています。大学の医局ですら、別々になっているぐらいですから、きちっとした制度設計ができている。それとは全然違って、マイナーな科だと、特殊なものを専門性を持たせてやらせたいということもあるわけです。そういうサブスペシャリティも当然これから出てこなければいけないし、地域医療の中ではそういうものが大切になる。

 そうすると、サブスペシャリティを中央で議論するというのは全く意味がないと思います。ですから、サブスペシャリティの議論は是非地域へきちんと投げて、地域で何が必要なのかという目線で議論したほうがいい。

一番最初に池田先生がとても良い話をされました。良い専門医と地域医療の調和が大切だとおっしゃいました。そのとおりだと思いますけれども、その地域医療の調和だけではなくて、地域医療を含めた目線を変えなければいけないのだと思います。現状の議論は、あくまで私たちからの目線なのです。上から目線でこの地域医療をどうすればいいかとか、良い専門医をどうすればいいかという話なのです。きちっと国民目線で考えたときに、今のような細かい制度を押し付けることで、果たして国民の利益に結び付くのか。

 皆さんも幾つかのネットで御覧になったと思いますけれども、今回の制度をさっそくスタートさせたところがあります。更新の制度で、単位を取らなければいけないということで、その学会ではその単位のために行列を作っている。今回は単位を取ることにかなり厳しくされたので、行列ができた。だけど、その全てがその内容を聞いているわけではなくて、かなりの数が外へ出ていった。中にいる人たちも内職をしている人が多かった、などということが平気で書かれている。

 これは、第三者機関が求めたものではないと思うのです。机上のことだけできちっと専門医はこうなら、こういうふうにできる。こういう組織だったら、こういうふうにうまくいくというように考えるのではなくて、現場に持ち帰って、それがちゃんと機能するかどうかということが大事なのですが、その部分がどうも欠けているのではないか。それが、地域へ持っていった調整会議で議論できれば随分違ってくるのではないかということで、私は委員長私案に賛成いたします。

・永井委員長 私はアメリカとイギリスの専門医制度を調査したことがあります。アメリカの専門医制度の背景には、市場原理の医療があります。ある州で、例えば循環器専門医コースに 5 人の枠がありました。その 5 という枠は誰が決めているかということを詳しく聞いたのですけれども、「誰も決めていない」、「 7 人でもよいのだが、ただ給料が下がる」ということで、自然に 5 人に決まるということでした。その他にも医師以外の職種が医療行為を行う仕組みもあります。また医師が足りなければ外国人の医師が導入されます。

 イギリスの場合、専門医の数に地域枠がありますが、これは医師会が決めています。しかし、専門医にならないと常勤になれず、常勤医のポストの数は政府が決めています。医師が足りなければ、 EU 内あるいは旧植民地の医師を受け入れています。このようにそれぞれ特徴のある医療制度の下で専門医制度が動いています。

 日本の医療は市場原理でもなく、外国人医師が導入されるわけでもない。そうであれば、専門医制度のデザインは国によって異なります。グランドデザインが見えないというご意見がありましたが、日本の専門医制度は、アメリカ型でもイギリス型でもなくて、日本独自の仕組みでなければならないはずです。地域医療との関係では、全国統一の基準とするのも現実には難しいように思います。地域毎に多少柔軟に対応できる仕組みを作り運用するために、地域の協議会に活躍をしていただきたいと思います。

 当面はこのような考えで、試行する必要があると思います。専門医機構の役割として、専門医教育や到達度の評価、システムの調整、利害調整などがあります。地域で協議が行われるけれども、調整が付かないときには、専門医機構や国の委員会が仲介することになると思います。

 また、地域医療協議会がすでに設置されています。いろいろな問題があれば、こうした場で議論する。そういう仕組みの中で、新専門医制度を考えていくことが重要だと思います。

・北村委員 永井先生の定員の案はよくできていると思うのです。今御説明のあった、アメリカのこの制度の肝はマッチングにあります。マッチングがあるから、全国へ 9 割方はマッチして行くという流れができています。先生のお考えの中には、マッチングという制度を取り入れることは考えていらっしゃるのですか。

・永井委員長 研修医と同じものかどうか分かりませんが、マッチングは必要と思います。また基幹施設が面接により採用の判断をすることが大切です。希望者総数の何倍を募集枠とするかは議論が必要です。桐野先生の委員会では、研修医の場合、新卒医師の 1.2 倍と聞いています。そうすると、大体 80 %がファーストマッチするようです。

・桐野委員  9 割です。

・永井委員長  9 割ですか。仮に 2 倍募集したら、多くの医師は都会に集まってしまうと思います。このように、いろいろな工夫をするうえで、試行事業が必要と思います。

・小川委員 「そもそも論」なのですが、この専門委員会ができたのは、 12 月の社会保障審議会で、専門医のあり方の議論の中でこういう問題があるのだということが指摘されて、 2 18 日の社会保障審議会で、この専門委員会が設置されることが決まって、現在あるわけです。そのときの社会保障審議会の議論の中では、地域偏在、診療科間偏在が、このままだったら増悪させる可能性があるからどうにかしなければならないということだったはずです。

 まだまだ 2 回目なのですけれども、 2 回の専門委員会の話を聞いていると、基本にその地域偏在、診療科間偏在の解消のスキームがなかなか議論に乗ってこなかったのです。本日は委員長私案として、こういう形でおまとめいただいたので、やっと地域偏在のことを真正面から議論することができることになったのだと思います。この内容に関しては非常に結構だと思います。かなりラジカルな変更です。そういう意味では専門医機構の在り方を含めた基本スキームの大幅な変更ということになると思うのです。是非その辺をベースにして検討していただきたいと思います。

 もう一点は、委員長私案に異論を申し上げます。 3 番目の医師需給に関する検討会でいろいろと議論をされているわけです。

今までの採用実績をベースにして何かをするというのは、ちょっとまずいのではないかと思います。その医師需給に関する検討会に関しては、どうやって専門医というか、地域偏在と診療間偏在を解消しなければ、医師不足は解消しないという前提にのっとって議論をしているわけです。もし、過去 3 年間の採用実績をベースにして決められると、診療科偏在が改善しません。

・永井委員長 きちんとした式が決まるまでという意味です。

・小川委員 だから、その辺をお考えいただければ有り難いと思います。

・永井委員長 都道府県の募集枠や配置数の決め方については、患者数や面積を考えなければいけないと思います。今そうしたデータがあれば良いのですが、把握は難しいと思います。そこで当面各学会が、今までどおりの専門医育成でもよいですし、こうした枠を設定して試行してみてもよいのではないかという提案です。募集枠を決める数式はまだありませんので、最初はこれまでの採用実績の 1.2 倍ぐらいとしたらどうでしょうかということです。良い式があれば、検討していただければと思います。その辺をどうするか、機構から御意見を頂ければと思います。

・四宮参考人 機構は、全ての領域と合意しながら進んでいて、ちょっと遅くて申し訳ないと思っています。基本的に都会は先ほど小川先生がおっしゃいましたように、過去 3 年のままだと、それは偏在解消にならないのではないか。拙速はさけたいので、最初の年は都会は少なくとも過去以上は絶対に採らせないことを考えています。前回永井先生から御提案いただいた、総数の把握は大事だと思います。事前登録という制度をデータベースで作ります。正規に応募する以前に、大体の領域の数がつかめることになります。今議論されているようなことについても、かなり突っ込んだ議論ができます。

 それから、実際上正規に応募したときに、正確な各領域の応募数が出てきます。その段階で、例えば去年・一昨年より応募数が少なければ、小川先生がおっしゃったような、今までの数を使えば都会はパーセントが増えるのに決まっています。そういう場合は、都会はそれより更に下げざるを得ないことは明らかです。そういうことを一つ一つ協議しながら進めていっているところなのです。情報が余り外に出ていないところが、皆さんの不安を高めていると思うのです。ただ、我々としては総数ぐらいの調整はできますが、地域の細かい医療状況までは把握できませんので、その辺は都道府県の協議会で、いろいろ協議していただきたいと考えます。

・永井委員長 桐野先生にお伺いしたいのですが、都道府県ごとの研修医の募集枠は、どういう計算をしているのでしょうか。

・桐野委員 最初は、定員の上限は余り意識しなかったので非常に動いてしまいました。その動き方は正しい方向に動いても、正しくない方向に動いても、動いたこと自体が地域の医療を相当混乱させます。都市部に集中したと言われていますけれども、この間研修医をずうっと減らしてきたのは、東京、京都、大阪、神奈川、福岡という地域であって、必ずしもそれは正しくないのです。ただ、間違いなく、大学は相当つらいことになってしまった、ということは言えると思います。

 それを、だんだん徐々に調整していって、激変緩和措置が終わったときに、上限が 1.28 倍だったのを 1.2 倍にして、その後は毎年毎年 0.02 ずつ下げていくというやり方でやって、それとマッチングをやりました。マッチングは、第一志望 8 割、それでアンマッチの率が 5 %という状態でずっと続いています。比較的フェアに運営されていると思います。

 したがって、 1.2 倍か 1.1 倍かという辺りのところはいい線で、 1.2 倍だとものすごく調整力で、 4 5 1.2 倍でいくと、全体が 2 倍になってしまいますのでかなり多いです。 1.1 倍だと、 7 8 1.1 倍、 1.1 倍、 1.1 倍で成長すれば 2 倍になるという数なので、大体その辺りがいい調整数ではないかと言えると思います。

・桑原臨床研修指導官 事務局から 1 点補足させていただきます。桐野先生がおっしゃったように、 1.2 倍から今は 1.1 倍に向けて順次下げていこうとしています。ただ、この 1.2 倍弱で都道府県ごとに募集定員の上限を定めても、その上限をどれぐらい実際の研修医が満たすかという率は、都道府県によって相当差があります。東京とか京都とか本当に 100 %近いマッチをする県もあれば、地方へ行くと、それでもまだまだ全然研修医が来ない。あるいは、都道府県の中でもこの病院には全然来ないとか、大学に来ないという話がありますので、その倍率は幾つがいいかということは更に検討が必要かと思います。

・永井委員長 本日、参考人としておいでの先生方にも御発言いただけますか。

・千田参考人 委員長御提案の、地方にある程度お任せしてやればいいということなのですけれども、先ほど四宮参考人がお話になりましたけれども、各領域ごとにいろいろな議論をして、それぞれの学会が地域分散がどうなっているか、ということの議論もデータをお持ちの所が多くて、そういうのを見ながらやっています。結果としては、東京を中心に欲制をしないといけないのです。最初に、東京はもうこれ以上増やせませんよと言ったら、恐らく大混乱になる。なかなかそれができなかったから、ずっと伸びているという背景があります。

 ですから、委員長が御提案になったように、地域にお任せすればいいということで、それぞれの地方、私は四国におりますけれども、そういう所は、地方のことは地方でやっていくということはそのとおりなのです。同じことを東京でやったらどうかというと、下手したらそのままもっと増えてしまう可能性だってあると思うのです。だから、そういう調整をやるのが本来の機構の役目の 1 つであるということで、私たちはその委員会の中で、各学会との中でその話合いをやって、今はその率を決めてきています。その結果として、東京に関しては現状を増やさないというところを打ち出してきているという背景があります。

 ですから、地方はそうですし、これが 1.1 倍とか 1.2 倍という数字が独り歩きしているのですけれども、実は母数が全然違うのです。東京が 10 だとすれば、地方は 1 、どうかすると 0 なのです。そこは 2 になろうが、 3 になろうが実数はそんなに増えないのです。ですから、そこのところがあるということ。もう 1 つ言わせていただくと、昨年の夏以来厚生労働省厚生局の支援も得て、私たちはいろいろな所を回らせていただきました。各地域でそういう協議会を作っていただきたいというお話を随分してまいりました。

 その結果、その後医師会等々でお話をしたときに、地域の先生方、特に病院の先生方が、初めてそういう土俵で一緒になって議論することができたという声をお聞きしました。つまり、新設医科大学はもう 30 年になりますけれども、そういう所はそれぞれ出身母体が違う大学の寄り集まりの病院があって、そこは同じ県立病院であっても、お互いに議論し合うこともなかった。お互いに患者さんを取り合ったり、医者の融通というのはほとんどなかった状態だったのが、この度のこの領域間の調整ということで、お互いにそのプログラム統括責任者になる予定者が、その同じ土俵の中で、地域の病院をどうすればいいかという議論に付いたと言うのです。

 これは、今までなかった現象が、今回のことで起こっている実態があるわけです。それは、この機構が今までやってきた中の 1 つの成果として、地域医療を全く不安に落とし入れているという御議論はありますけれども、一方でこういう良い面も出ているということは御理解いただきたいと思います。

・永井委員長 今までの貢献を生かしてということになると思います。今度は地域でどういうメンバーがこの協議会に参加すべきかと、誰がまとめ役になるのかとか、その辺について加納委員からご意見をお願いします。

・加納委員 私は大阪ですが、大阪ではこれから協議しようということで、府と相談しているところです。本日四病協のほうで愛知県の話がありました。愛知県の場合は、地域支援センターがやると。そこのメンバーは、ほとんど民間病院が入っていないのです。前の地域医療構想のときには、この協議の場の構成員が非常に大事だということで、地域医療は崩壊するのではないか、地域医療の現場の声をしっかりと反映していただきたいということで、公平性ということを非常に強く申し上げたわけです。どうしても大学の関連が多いわけですから、大学主体だというのも分かるのですけれども、やはり現場の地域の病院がしっかりと意見が言える場を作らないといけないのではないかと思います。そういう意味では愛知県の例が良いのかどうかになってくると、私は問題があるのではないかと認識しています。

・永井委員長 これからは、地域の医師会の役割が非常に重要になると思いますが、その点について今村先生、いかがでしょうか。地域医療協議会と連動していく可能性がありますが。

・今村委員 永井先生におっしゃっていただいたとおり、地域医療構想もそうですけれども、加納先生もおっしゃったメンバーが大事だと。県では県医師会、地域医療審議会等では、医師会の会長先生が会長になって入っていただいている所も多いですし、県の医療全体を見ていただいているということもあります。それは県医師会の仕事が、今は事故調査制度もありますし、地域医療構想もありますし、またこういう新しい枠組みが出れば非常に負担も大きくなるところもあろうかと思います。県の医療を担っていく責任者として、そういう仕事はやっていただかなければいけない。大学をはじめ連携をしながら、また地域の民間病院も一緒になって協議をしていくことは非常に重要だと思います。県医師会の役割に触れていただいてありがとうございます。

・西澤委員 今、非常に重要な議論をしていると思いますが、ちょっと不思議なのは、この議論はこの検討会ですべきことなのかという疑問があります。特に専門医を各地域にどれぐらい養成したらいいのか。今、地域医療構想というのが別の会で進んでいます。それは、これからいろいろなデータを基にして、地域での将来の人口や年齢構成を見て、どのような疾病がどのぐらい発生するか、それによってどの程度の医療が必要かということを、地域で話し合うことになっています。それを基にして、その地域での医師の必要度とか、その場合にもしかしたら、それぞれの診療科ごとの医師数なども出るのではないかと思います。そういうことを片方で今やっているのに、ここで我々だけで、さてあの地域に医師をどうしましょうかという検討を、専門医をつくる場でやっていいのかという疑問が 1 つあります。議論の場が違うのではないかという気がしております。

 もう 1 つ委員長から出たのは、機構の役割と都道府県に設置される協議会ということでした。この協議会というのもどういうものなのか。これは公的な協議会なのか、もっと機構のような形の、例えばプロフェッショナルの集まりの協議会なのかも分かりません。それと地域医療構想との関係も分かりません。そういうことで論点を整理していただいて、ここでは大きく将来の医療の在り方を議論するのはいいのですが、その中でこの協議会の役割はどうかということもまとめて議論したほうがいいのかと思います。

・永井委員長 協議会の必要性を説明いたしましたが、これをどのように構成するか、法的位置付けをどうするか、法律が必要なのか、あるいは法律に位置づけずにプロフェッショナルオートノミーで運営するのかということはこれからの議論です。地域枠の話は、今も専門医制度は動いておりますので、こういう方向で試行してみたらどうかということです。従来通りの専門医制度を進める学会があってもよいと思います。

・嘉山参考人 脳神経外科学会のことで、私どもが出しました資料を御覧ください。

・永井委員長 先ほど御説明いただきましたので、簡単にポイントだけお願いします。

・嘉山参考人 私ども山形県では、先生が発案されたような委員会を作っていて、その資料がここにあります。そこには県の医師会と、いわゆる全日病、日病、あとは自治体病院の先生方も入っていて、行政も入っています。ここに山形県の表がありますけれども、全て関連病院の先生方からのクレームもありません。大学が全て基幹病院になっているという形もないです。ですから、私がもしそれについて、委員長と西澤先生のお話のことを受けるとすれば、先ほど山口委員がおっしゃったような、根本的な機構の役割とか業務分担を、もう一度考えていただけたらいいと思います。

 あとは回収資料の専門医の比率の所の表ですけれども、これは従来の機構がないときのものです。それで見ると整形外科が都道府県の格差が一番少なくて、先ほど千田先生が、基本診療科が問題だというようなことをおっしゃいましたが、私どもは営々と先輩から、きちんとしたアメリカの専門医制度よりも厳しい試験をやってまいりました。実技や知識をやってきました。ここに全部基本診療科が載っています。地域格差は分科会のほうはありますけれども、ほとんどないというようなデータが出ています。何も機構がこれをやったから、地域格差がなくなるということではなくて、以前の学会がやっていた分布でも、かなり平均化はされているということを、参考人としてお話させていただきました。

・末永委員 前回も申し上げたのですが、この前このポンチ絵が出ました。これが機能するためには、この協議会が機能しないといけないと。そのためにはなにがしかの権限を持った協議会でないといけないということを申し上げたつもりです。先ほどから愛知県の問題が出ていますが、私も愛知県なのでお話します。実は地域医療支援センター的な委員会があります。それの 2 回目が 3 27 日でしたが、発展的に厚生労働省から言われている協議会にしようという話になりました。私もメンバーではあるのですが、先ほどの千田先生のお話だと、すごく機能している県もあるということでした。私は自分の県のことを言うのはつらいところがあります。

 終わりにどのような話になったかというと、次は 6 月にやりましょうと。それでは全然話にならない。情報の提供だとか、調整だとか、そういう機能が全く働かないわけです。多分これは愛知県だけではなくて、他の県にもいろいろあると思うのです。せっかく厚生労働省が一肌脱いでこういうものを作って、都道府県に指示してということであれば、そこにどう機能を持たせるかということを、もう少し考えておかないといけないのではないかと思います。委員長が言われたような協議会を作って、そこがコントロールするということについては私も大賛成なのです。それが、まだ地域に及んでいないところが問題なので、その辺をお考えいただきたいと思います。

・永井委員長 これは将来的な案ですので、すぐにこのようにできるわけではありませんし、もっと詰めていく必要があります。仮に都道府県枠を作るとしたらどういうデータに基づいて、どのように割り振るか。事務局にいろいろな可能性を提示していただこうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

・邉見委員 方向性は、委員長の私案に私も賛成です。ただ、時間との闘いというか、時間が皆さんのお話を聞いていても、この協議会がちゃんと機能するようなメンバーを選んで、ちゃんと定員といいますか、マッチングできるような、需要と供給の調査もちゃんとできるかというと、なかなか時間がかかるのではないかということです。

・永井委員長 おっしゃるとおりで、これは相当時間がかかると思います。ただ、その間何もしないのではなくて、こんな考え方に従って、学会が主体的に機構や協議会と相談しながら試行するプロセスはあってもよいのではないかと思います。正規のスタートということでもないし、中止ということでもなく、試行事業です。そうすれば後で追認されることもあると思います。

・森委員 短く話をします。私は、先生の案に賛成したのですが、今の話だと時間を掛けてという話です。先ほど末永委員がおっしゃったように、私も愛知県です。調整会議が機能するとは思えないですし、このままでは今後も機能しないと思います。ですから、こういうことをドラスティックに変更しますよということをアナウンスメントしないと県は動かないと思うのです。将来的にこうなればいいですねという話ではなくて。

・永井委員長  10 年ではなくて、早ければ 1 年の検討です。

・森委員 そのためには機構が役割を見直したり、組織を見直す必要があります。そのことを機構側が承認してくださるのかどうなのかというのがとても大事です。

・永井委員長 あとは、各学会がどう考えるかです。

・森委員 そうですね。

・永井委員長 こうした提案があったということを学会へ持ち帰っていただきたいと思います。

・森委員 かなりスピードを早くしていただかないと、県は動かない。これは愛知県だけではなくて、多分動いていない県が多くあると思います。

・永井委員長 例えば、今年の募集を全てこの体制で行うのは無理だと思います。そのため移行期間を置かないといけないだろうと思います。

・鶴田委員 都道府県の立場から発言させていただきます。今、言われたような現在、都道府県に設置されている地域医療協議会で、この具体的な配置をするのは現実的には不可能だと思います。確認ですが、ここで言われる、都道府県に設置される協議会というのは、県主体の協議会なのか、ここの専門医機構の分科会というか、専門医機構の地方支部としてのものですか。

・永井委員長 県主催です。

・鶴田委員 その場合に、昨日も東海・北陸の衛生主管部長から言われましたけれども、いつの間にこの仕事が県に降ってきたのかというような話がありました。前回の神田局長挨拶においても、プロフェッショナルオートノミーでこの制度を運営する。その話し合いの場の提供は厚生労働省がやります。都道府県においても同じことなのですよね。だから、都道府県がそれを積極的にやるとすると、具体的にどういう権限でそれをやるのか。そういうことも付与してもらわないと都道府県はやれないと思います。。

・鶴田委員 もう一点、地域医療の確保とか、偏在の是正とか、崩壊しないようにと言われたときに、プログラムがあるということと、その病院に医師が配置されるということは別問題です。それと、内科医と外科医の連携も考えないと、今度は病院運営に影響がある。例えば、消化器内科医がいて、消化器外科医がいなかったら、その手術はできない。小児科と産婦人科の連携とか、そういう複雑な問題があるので、地域医療という医療面になると専門医だけの話ではなくて、非常に複雑な状況があるということもコメントしておきます。

・永井委員長 それを専門医機構だけに任せていてもできないわけです。だから、最後は地域で解決しないといけない。山形県では、今は法律がなくてもそれなりに動いているということです。これについては、次回以降も議論したいと思います。先ほどのいろいろな計算についても、次回事務局から提示していただければと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

 大分時間が遅れてしまいましたが、本日は参考人の皆様においでいただいておりますので、今の議論を踏まえてお聞きになると分かりやすくなると思います。現在の専門研修プログラムの審査・調整状況について、まず事務局、それから羽鳥委員、参考人の皆様から順次御説明を頂きたいと思います。質疑はまとめて行います。最初に事務局からお願いいたします。

・桑原臨床研修指導官 簡単に都道府県の調整状況を御紹介させていただきます。資料 3 、横長の 1 枚紙です。 4 22 日現在で、各都道府県において、今、議題になっております協議会についての状況を取りまとめたものです。左上に協議会の委員構成とあって、その右側に大学から研修施設、医師会、病院団体、行政、その他とあります。分母が 46 になっておりまして、熊本県は提出は無理ですので、これは 46 です。見ていただくと、やはり全ての県で大学が入っております。研修施設 46 分の 38 、あるいは医師会もほとんど入っております。病院団体も多く入っております。もちろん行政が入って、あるいはそれ以外に都道府県ではない市町会、町村会などが入って構成されております。開催回数は、設置はされていても、まだ開催できていないという県は確かに 0 回が 46 分の 23 あります。こちらも厚生労働省から各県、全て電話して、ほぼ 5 月中に開催するということが決まっております。あるいは、 1 回、 2 回、 3 回、特に熱心に取り組んでおられる県などは 5 回以上開催している所もあります。 3 はプログラム申請情報の把握・検証と見出しにありますが、主な 6 つの診療療域について、専門医機構にどういうプログラムが申請されているか。申請されているプログラムの情報を都道府県に提供して、それを基に議論していただくということで、 3 1 で内科、小児科、外科、整形、産婦人科、総合診療。これはゼロのところも内科、小児科、本日、専門機構から都道府県に提供されるように、今、手配がされていると聞いております。外科、整形、産婦人科については、もう既に提供化されている。今後、その提供されたプログラムを基に、例えば 3 3 ですが、必要な施設が漏れていないかとか、そういう研証調整を各都道府県で行う。あるいは 4 で、今後、必要になってきますのは、プログラムに入っている連携施設に対して、こういうプログラムに入って、どういう改善が必要ですかということを聞いて、この協議会の中でどういう改善が必要か。県の協議会で改善ができればそこでいいですし、無理であればこの専門委員会、あるいは専門医機構に出していただいて、必要な調整を図っていくことが 4 1 から 4 です。 5 、最終的にはどのように改善を図ったかということを協議会で検討いただき、こちらの専門委員会に報告いただく。このチェック表を随時、更新して、皆様に御報告してまいりたいと思っております。以上です。

・羽鳥委員 縦長のこの表です。日本医師会は法的な整理でなく専門医制度ということではなくて、プロフェッショナルオートノミーとして専門医の仕組みという言葉で表現したいと思います。新たな専門医の仕組みにおける地域の関係者による協議の場に関する都道府県医師会の調査結果についてです。第 1 回の専門医養成の在り方に関する専門委員会において、この調査が始まることを紹介しました。 47 全ての都道府県医師会から御回答いただきましたので、要点のみ御紹介いたします。 1 ページ目の下、 Q1 ですが、新たな専門医の仕組みにおける地域の関係者による協議の場が設置されていますかという質問に対して、されているというのが 23 、予定しているが 17 、提案をしているが 1 、これは群馬県です。設置がされていないというのが 6 県あります。

4 ページ目ですが、 Q5-1 、次に 2016 1 月以降の協議の場における議論の回数ですが、 1 回が最多の 15 件、地区別で 10 回開催しているところが 1 つあります。先ほども厚生労働省から紹介がありましたが、 5 回以上というのが 2 県ありましたが、これが北海道と広島であるということです。 1 回が 18 県あるということですが、実情を聞いてみますと、顔合わせ程度です。 5 つとか 6 つの議題の一番最後で本気で議論しているとは思えません。この協議の場が 1 週間に 1 遍、頻繁に開かれているのならいいのですが、そうはなっていないというのが実情だろうと思います。

6 ページ目、協議の場における地域別診療科別での議論ですが、まだ不十分ということで、都道府県、二次医療圏ごと、 19 の基本診療ごとにしっかり議論されていなければ、地域の現場では相当混乱があると思います。要点のみですが、新たな専門医の仕組みが円滑に運営されるために、地域の関係者間での綿密な連携が大前提で、各都道府県の医師会がリーダーシップを取っていただく予定です。 医師会としては、平成 29 年の開始時期の延期ありきということでは決してありませんが、今のままでは相当に地域医療が混乱するだろうということで、各地域における不安が解消されなければ、スタートはやはり時間を考えていただきたい。以上です。

・永井委員長 続けて、議題 4 の専門研修プログラムの審査調整状況について、宮崎参考人、井田参考人、嘉山参考人、倉本参考人から順次御説明いただき、まとめて質疑を行います。最初に宮崎参考人、お願いいたします。

・宮崎参考人 資料 5-1 、内科専門研修の概要について、最初のページから説明いたします。今回のそもそも論ですが、内科専門医という位置付けをどのようなコンセプトで変えようとしているかという説明です。近年、御存じのように大学の臓器別ナンバー内科から臓器別の内科の再編が起こりまして、スペシャリスト、高度な細分化されるという現象が起こっていることと、一方で先ほど池田理事長の話もありましたように、高齢化社会においては 1 人の患者さんに複数の疾患が併存するという、現実とマッチしないことが起こっているかと思います。それに対して、今回の新内科専門医制度においては、幅広い内科研修をするべきであるというコンセプトからスタートしております。

 実際にこれまでの現状の内科専門医制度は、内科認定医と専門医、総合内科専門医と 2 段階制になっております。その内科認定医のほうは、初期研修 2 年に加えて、内科の研修 1 年で受験資格が発生します。先ほどの幅広い内科研修という立場からは、恐らく内科の研修 1 年では不足していて、しかもその研修の内容は、臓器別専門の病棟で行うために併存症をメインとした経験になっているということから、今回の新しい制度においてはジェネラルな内科研修を十分にするべきであると考えました。それに基づいて、 2011 年に策定した内科専門医及び認定医のカリキュラムを変更いたしました。その変更の概要がその下に書いてある図ですが、グレードを付けて、それぞれ知識・技術・症例について、到達するべきカリキュラムを決定しました。

 次ページです。その結果として、理想的には 3 年間に 200 症例以上の経験、疾患領域として全般的に研修していただくために 70 の疾患を決定して、これを研修することが理想的であると考えられました。ただし、かなり広範にわたるということと、当初のスタートポイントということを考えますと、 8 割程度の履修で受験資格を与える、つまり修了要件とするというようにいたしました。その他の要件として、その下に書いてあるような学術的なアクティビティであるとか、救命救急に関する JMECC という救命救急講習を受講すること等の複数の付帯条項を設定しました。その下に書いてあるのは、これらの研修を Web 上で行うというようにシステム設計をしております。日本内科学会専攻医登録評価システム、仮称 J オスラーと呼んでいますが、これをこの 8 月にリリースする予定です。これは指導医と専攻医がインタラクティブに Web 上で研修を遂行しているというシステムです。これは Web 上で行いますので、全ての研修の履歴が残ります。すなわち、専攻医にとっては、ある特定の領域から別の領域に移ったとしても、内科で行った研修がずっと財産として残っていくということになります。

 次ページです。 JMECC というのは、先ほどのジェネラルと内科の一般的なというような、昭和 30 年代の外傷から現在では内因性の救急疾患が救急のメインになっておりますので、内科医、特に内科専門医たる者は内因性の救急疾患に対して対応しなければならないという発想から、内科救急医の JMECC という講習を設定しております。

その下は実際のプログラムの体制です。これが今の地域医療等と関係するかと思いますが、専門医の研修には 3 つの施設があります。基幹施設と連携施設、そして特別連携施設、一番下の黒く塗っている所ですが、これは現時点の研修において、自治医大スペシャルと言っているものです。つまり、指導医がいないだとか、あるいはへき地だとか、離島だとか、そのような所に若い先生が行く場合もあります。そのような指導医がいない施設で研修した場合に、研修の履歴とならないことを解消するために、例えばテレビ会議システムであるとか、一定の条件を満たせば、そこでの研修を研修履歴と認めるという施設です。これら 3 種類の施設で構成しており、原則として基幹病院では研修 3 年間の 1 年以上の研修をしていただく。連携施設においても、トータルで 1 年以上の研修期間にしていただくように設定しております。

 その理由は次ページです。例えば幾つかの大学では、入局という問題がありまして、大学に入って 1 か月だけ基幹施設で研修して、その後 2 年と 11 か月は他の病院でするという所もあろうかと思います。それは恐らく大学のジッツと言われるところを維持するためのシステムかと思います。そのようなシステムは、今回の専門医の質を良くする、標準的な専門医を育成するという新制度の主旨からは好ましくないと考えております。そのために、最低限、基幹施設は 1 年、連携施設でもう 1 年というように設定しております。ただし、新制度への移行期間は現状そのような運営をしている大学等がありますので、すぐにやれと言っても混乱が起こるだけですので、移行期間については 1 か所 3 か月以上であれば、そしてトータル 6 か月以上であれば認めるようにしております。基幹施設と連携施設と特別連携施設の定義は、その上の表に記載してあります。

 次ページです。 3 31 日に内科専門医のプログラムの応募を締め切りました。その結果を記載してあります。トータルで 523 のプログラムの応募がありました。参加施設数は 2,875 施設あって、基幹が 523 施設で、特別連携が 1,086 施設と、現状に比べると特別連携施設が非常に多く増えております。定員の最大数の総和は 6,084 名となりました。現在、内科認定医の受験者の過去 3 年間の平均は 3,605 名ですので、今回の 6,084 名という募集定員の最大数は、これまでの 1.69 倍という数字が出てきます。内科学会においては、各地域においてプログラムを審査するための審査委員を増やしており、各地域で約 10 数名を選任しております。プログラム審査においては各地域でそれぞれのプログラムをまず地域の目で見ていただいて、その後で 2 次審査に回るというように考えております。その下の表はプログラムの都道府県別の分布です。もちろん都会に多いというのは当然です。 次ページは新制度と現行制度の比較です。現在の制度で書いてある数字が、その左の黄色で塗り潰した部分です。教育病院、教育関連病院というのは、現在の内科専門医の制度における 2 つの大きな施設ですが、これは全部で 1,194 施設あります。これが新制度における応募プログラムから算出して示した施設数が 2,875 となりました。 2 倍以上の施設が増えたということになります。その施設の分布をその下の日本地図に示しております。赤く塗ってある所が二次医療圏の中で施設が欠如しているエリアです。現状の制度においては、 344 の二次医療圏のうちの 294 で教育施設があります。

 次ページです。新しい制度においてはこれがどうなったかというと、 344 のうちの 343 が満たされることになります。教育施設がない所は 1 か所だけで、愛知県の尾張中部医療圏です。これ以外は全て教育施設が存在するということになります。その下の内科研修のサブスペシャリティとの関係について説明いたします。先ほど申し上げましたように、ジェネラルな内科医を育てるというのが新しい制度においての目的ですので、本来、内科のジェネラルな研修を 3 年間やっていただいて、それからサブスペシャリティの研修に移るというのが本来の理想的なコースです。

 次ページですが、サブスペ重点コースです。これは内科の上に立つ、例えば循環器と呼吸器、消化器等々のサブスペシャリティ領域というのは、そもそも内科の一部であるという認識です。歴史的にも循環器内科とか呼吸器内科とかいうように、臓器別の専門医ができたのは内科の上に立って、医学的な進歩の上に立って分化してきたという歴史がありますので、内科の研修をしている間にサブスペシャリティ領域の研修も同時にするということで、 1 年間のオーバーラップ研修はオーケーということにしました。それが赤線で書いてあるところです。その下に私ども近畿大学の重点プログラム、サンプルを示してありますので、御参考にお願いいたします。以上です。

・永井委員長 続いて、小児科について、井田参考人からお願いいたします。

・井田参考人 慈恵医大の小児科の井田と申します。小児科学会の生涯教育・専門医育成委員会の担当理事をしておりますので、発表させていただきます。資料 5-2 をご覧ください。まず、小児科学会の概要ですが、会員数が約 2 1,000 人、専門医は現在、約 1 5,000 人おります。入会者数が年間平均で 601 名、専門医試験の受験者数が 780 名です。合格者は 542 名で、合格率は 70 %ぐらいと、かなり厳しい試験になっております。専門医試験は筆記テストと症例要約と面接で成り立っております。

 続きまして、 B の基幹施設と連携施設の要件と概要ですが、基幹施設に求められる要件で大切なのは、 (1) 過去 3 年間に専門医育成の実績があること。 (2) 施設基準は一般的な事柄です。 (3) 研修体制については、卒後 7 年以上の常勤の小児科の専門医が 5 名以上いることをもって、基幹施設と定義しました。 (4) 診療実績については、腎臓、神経、循環などの 24 の診療領域を全てカバーするような形のプログラムを組むことを必須としました。ですから、基幹施設だけでは診療実績をカバーできない場合は、連携施設を組んでやっていただかなければいけないということです。連携施設に求められる要件としては、縛りは特に設けませんでした。「プログラムを成立させるのに十分たる施設である」という、簡単な定義です。内科と似ているのですが、特別枠といいますか、関連施設といいまして、基幹施設にも連携施設にもならないような中小の病院でも、地域医療を担うような病院を関連施設と定義しました。この 3 種類の施設でプログラムは成り立っています。

2 ページめくって、現在の小児科研修施設の要件はどうなっているかと申し上げますと、研修支援施設が一番大きな施設で、大体、大学病院とか小児病院がここに属するのですが、小児科専門医が 6 名以上、小児科の入院ベッド数が 20 床以上で、現在 214 施設あります。次が研修施設です。これは小児科専門医が 3 名以上、病院の総ベッド数が 200 床以上で、小児科のベッド数の規定はありません。現在、 513 施設あります。関連施設というのは研修責任指導医が研修に必要と認める施設です。

 典型的なローテイトパターンを表2に示します。 6 名の専攻医のパターン、カラーでブルーが付いています。基幹施設には最低 6 か月以上いなければいけないという規定がありますが、連携施設にどのぐらいいなければいけないかという規定はありません。 3 年間で基幹施設に 6 か月、あとは連携施設、あるいは関連施設、を回っていただくシステムです。 1B のローテイトのパターンですが、関連施設(地域の中小病院、あるいは地域の診療所)を、週 1 回から 2 回という非連続的な研修であっても、プログラムに施設が登録されていれば専門研修プログラムとみなしています。防衛医大の方などがちょっと困るので、そういうプログラムも作ったわけです。

 また地域医療の配慮については、整備基準に書いてあります。地域医療について配慮しているということです。プログラム申請の状況の概要及びプログラム調整状況については図 2 と図 3 をご覧ください。まず、予備審査が 2014 年に終わっています。予備審査では、手挙げ方式でプログラムを募集しました。学会が特に施設を指定しておりません。募集人員については上限を設けました。専門医の育成実績、すなわち「 3 年間の専門医の合格者数の平均プラス 5 名を上限とする」と決めました。プラス 5 名は現状で専門医が不足して、将来増やす必要な地域への配慮ということで行いました。それから、研修施設群の構築のルールの策定は、大都市に集中しないように考慮し、プログラムを中央資格認定委員会にて精査しました。小児科学会内に地区委員会というのがありまして、全国 7 ブロックあります(北海道、東北、関東、中部、近畿、中四国、九州)。ここに直接出向いて、申請したプログラムが本当に大丈夫か、予備審査の結果と合っているか、現状と乖離がないかを聴取して、問題があれば基幹施設に修正を求めました。この地区委員会というのは、どういうメンバーで成り立っているかというと、その地区を代表する医育機関、一般施設、開業の医師で構成されています。例えば関東ですと、関東地区の委員数は 27 名です。全部小児科医ですが、カテゴリーが 3 部門あり、関東地区には 9 県ありますので、 3 × 9 27 名ということになります。どの地区もこういう形で、一般、開業医の先生、大学の先生で構成されております。当初は 188 プログラム、専攻医数は 1,426 名の応募があったのですが、結局、予備審査の結果、 165 プログラム、専攻医数 1,351 名となりました。予備審査の結果は図にまとめてあります。小児科学会の受験者数が 780 名ぐらいですから、専攻医数は約 1.7 倍となりました。

 以上の予備審査を経て、昨年、本審査を開始しました。予備審査で合格した施設に関して申請書類の提出を依頼して、小児科学会の中央資格認定委員会で精査しました。中央資格認定委員会は地区委員会の代表の集まりです。ここで、プログラム数と専攻医数について、1次審査を行い、全国的な調整を行いました。 1 次審査の結果、基幹施設数が 159 、専攻医数は 1,138 名に、減りました。この日本地図の見方は、左側の赤字が専攻医募集数で、右の括弧が基幹のプログラム数です。プログラム数については東京が 25 で一番多いです。青森、秋田、岩手、宮城などは 1 です。

 次ページが都道府県の専門医数と人口 1,000 人当たりの専門医数の、 2016 年のデータです。そうすると、東京が 1.80 で断トツに多い。あるいは、京都、大阪、福岡が 1.1 を超えております。逆に山梨、石川、岡山、鳥取、島根、香川、徳島などという地域も 1 を超えています。これは小児人口が少ないが、専門医の数も少ないためですが、 1 を超えてしまう地域です。大都市圏である東京、京都、大阪、福岡のプログラムについては、募集人員を 10 20 %減らすことを基幹施設に求めたのですが、これが今、問題になっています。理事会でも「何で減らされるのだ。東京は地方にも派遣しているのだから考慮してほしい。このままでは医師の引き上げがおこる」など意見がでています。プログラム数が 159 、専攻医数が 1,138 名と、数は減ったのですが、もうちょっと数を減らす必要があるのかどうかは重要な問題です。私も挟まれてしまって大変なところです。研修施設と連携施設の検証なのですが、連携施設が 722 ありました。今の研修施設数が 513 ですから約 1.4 倍に増加しています。数的には問題ないと考えています。1つの研修施設が連携施設に含まれていませんでしたが、これは派遣大学の変更によるもので、新制度によるものではありません。

 二次医療圏のカバー状況なのですが、基幹施設と連携施設で、カバーしていない二次医療圏が存在しました。関連施設はプログラムの表に載ってこないので、一個一個プログラムを見て、どこが抜けているかを現在、検証しているところです。熊本県が一番、二次医療圏の空白箇所が多くて、 10 か所ありました。そこで原則的に熊本大学しか熊本県はカバーしていませんので、熊本県のプログラムを見てみました。その結果、 10 のうち 8 は関連施設でカバーしていました。ですので、カバーしていない二次医療圏を一個一個、プログラムで見ていかなければ明確なことは分かりません。

 表 2 は、各都道府県における研修支援施設数と新制度の基幹施設数を示しています。 1 1 研修支援施設という県が存在していました(岩手、秋田、山形、福島、奈良、山口、徳島、佐賀、宮崎)。そして、研修支援施設の 75 %は、新制度基幹プログラムに移行しています。 1 1 プログラムという所もあるのですが、それは従来でもそういうシステムであるということです。

・永井委員長 ありがとうございます。続いて、総合診療領域における一次審査状況、倉本参考人からお願いいたします。

・倉本参考人 御説明させていただきます。総合診療領域におきましては、有賀委員長の総合診療専門医に関する委員会が整備基準とかモデルプログラムを作成いたしまして、現在、私どもの総合診療領域における専門医委員会・研修委員会のほうで実務を担当しているということになります。配布資料の 5-3 を見ていただきますと、 3 行目ぐらいに学童期以下が 5 %以上とありますが、小児から高齢者までの外来診療、訪問診療、地域包括ケアの研修ができるような小さめの医療機関を、私どものほうでは総合診療の専門研修 1 の病院と命名しています。そして、臓器別でない病棟診療、外来診療等が行える大きめの医療機関を総合診療の専門研修 2 の機関としています。 1 2 のいずれにつきましても総合診療指導医がいることをもって施設要件として、誇りを持って人に寄り添う、地域に寄り添う総合診療医が育成されるのではないかと思っています。

2 点目、プログラムの内容とかローテーションですが、画像が飛んでしまいましたけれども、下に M クリニック : 基幹施設とあります。つまり、総合診療 1 の小さめの医療機関であっても基幹施設になることができて、総合診療 2 の病院や地域の病院と一緒に、あるいは大学と一緒にプログラムを組むことができます。

 次のページで、逆に地域の大きな病院が基幹施設となって、あるいは大学病院等では病床を有する総合診療部があれば、この中心となって運営をすることが可能となっています。ローテーション、研修期間は、その下にありますように総合診療 1 2 を足して 18 か月、 1 2 6 12 か月、これに内科 6 か月、救急科 3 か月、小児科 3 か月は必修で、それ以外は自由選択期間 6 か月となっています。

 次のページで、このような構成のプログラムが、現在、 4 15 日のプログラム受付締切りを過ぎまして 394 集まりました。私どもの総合診療領域における専門医委員会・研修委員会のメンバーを右に書いていますが、日本プライマリ・ケア連合学会、日本医師会、様々な学会と内科、小児科、救急からお集まりいただいて、さらにプログラム一次審査ではプライマリ・ケア連合学会から 10 名、全自病協・中小病院部会、国診協等から 13 名の皆さんに集まっていただいて、 5 月の 3 日、 4 日に一次審査の決着を付けようとしています。

 指導医についてですが、これまで総合診療領域には指導医はいません。つまり専門医になって専門医を一度更新した人が、指導医の基準という専門医機構の基準で考えますと、 2017 年に仮に制度がスタートした場合、専攻医が専門医になるのが 2020 年、専門医の更新は 2025 年です。そこで初めて 19 領域共通ルールの指導医が誕生するわけで、それまでは特任指導医が必要だということになります。

 ただ、指導医はいないのですが、次のページで立派な実践者 ( 特任指導医の候補者 ) がいます。一番下で、いずれも卒後臨床研修 7 年以上に限っていますが、都道府県医師会から推薦される方々、あるいは大学病院の総合診療をやっておられる方、日本病院総合診療医学会、全自病協、プライマリ・ケア連合学会認定の皆さん、そうした特任指導医の候補者に対してワークショップ等を行い、養成というよりも、能力をお持ちの皆さんに新制度の理念を再確認していただく 2 日間の時間を持ちたいと考えています。その中の 400 人程度がプログラム統括責任者講習会を受けることになります。

 次のページで、特任指導医養成ワークショップの細かい形式は省きますが、 2 行目、 3 行目に書いている、厚生労働省の補助事業で行われた実務実習指導薬剤師養成ワークショップ形式で、 1 日に 120 人とか 150 人養成できるような形式のものを 10 回以上行い、そのワークショップのタスクフォースのほうも日本医師会をはじめ、各団体のほうからボランティア参加していただいて各ワークショップを運営する準備を進めています。

 次のページですが、このようなワークショップを東京だけでなく地方でも行い、例えば 15 回、 100 人以上は可能かと考えています。

 独自のアイデンティティを持つ専門医ですが、サブスペシャルティ(以下サブ)へ進む道も開けていると考えています。例えば総合診療専門医が内科系のサブに進む場合には、図に書きましたような形で、例えば内科系のサブに進むのであれば、もともと内科の専門研修を 6 か月させていただいて、先ほど宮崎参考人のほうからお話のありました内科の Web の評価歴がありますから、その歴と水色のマルに書いた一定の内科研修期間が済めば行ける道があると思います。それぞれの領域あるいはサブの領域のお考えにもよりますが。あるいは感染症専門医のように総合診療専門医であれば許していただけるのではないかと考えられる領域も、当然、あるのだろうと思います。内科専門医から総合診療専門医、総合診療専門医から内科専門医ということもあり得ますが、ひとつの例として例えば内科専門医の方が一定の総合診療 1 の研修期間とか、総合診療の場合は一定の内科研修期間をもって内科専門医、総合診療医に移行できるということもあり得ると思いますが、この水色の部分の移行については、まだ議論がされていません。

 プログラムの申請状況に戻ります。全ての県から 394 のプログラムを頂きました。ここから先は表になっていますが、一番上を御覧ください。右端の列以外は、 3 月末頃の予備登録のところで 377 件から突合可能なものに限って見たデータです。右端の列は 4 15 日締切りでできた本登録のプログラムの募集人員になっています。この点は誤解のないようにお願いいたします。予備登録データで基幹施設あるいは連携施設がない二次医療圏は 344 の中で 25 です。これを一次審査の過程で順番に各プログラムにお願いして少なくしていく予定にしています。

 右の本登録の募集人員については、北海道の 86 から数字を順に足していくと 1,539 になります。これは、これまで内科の研修をお願いするときに内科領域とお話をしてきたことで言いますと、約 400 人ぐらいだから許してください、 6 か月受け入れてくださいというお話をしてきました。それぐらいの数字に近づくような配慮をしたいと思います。総合診療領域は前年度実績はありません。そこで、このプログラムの中から都会とか県庁所在地の二次医療機関については厳しく、そして地域については少し緩い数字で係数を掛けて、先ほどの委員長私案の中にもありましたような地域のことも考えていきたいと考えています。よろしくお願いします。

・永井委員長 ありがとうございます。時間がなくなってきたのですが、御質問、いかがでしょうか。

・小川委員 ただいま、 4 つの学会のプログラムの状況をお聞きしましたが、各学会で大変御努力をされてすばらしいルールを作られたと思いますが、機構と各学会との間で多少の齟齬があると思います。その辺、皆さんはどうお考えでしょうか。

・宮崎参考人 機構の中に領域研修委員会というのがございまして、そこは学会から推薦された委員が出ています。ですから、内科学会に関しましては機構の医師と内科学会の医師とは一致していると思います。

・永井委員長 邉見委員、どうぞ。

・邉見委員 これで半分ぐらいの学会の話を 2 回で聞いたと思いますが、学会によって進んでいる、例えば脳神経外科学会のように 15 年間、ほぼ、うまくいっているという感じの所と、倉本先生の所みたいに新しくやっている所があります。多分、学会間でも温度差があると思いますが、永井先生がおっしゃったような今のままの学会でいくというのと、機構に全部任せるというのと、どっちがいいのかということをちょっとお聞きしたいのですが、宮崎先生と嘉山先生。

・嘉山参考人 私どもは先ほどからお話していますように、いわゆる今の機構の前の認定機構のときから機構のいろいろな指導がございましたときには、それを適切に変えてまいりました。ですから、今、機構が言ってきたことはほとんど私どもはやっていますので、学会で単独でやれと言えば、私どもは一般社団法人ですからできます。ただ、ほかの科で不十分な所があると思いますので、機構の役割としてはサポーティングシステムというかメディエイターというか、そういうような業務内容にしないと今のような混乱が起きるのではないか。その辺が、全部ではないですけれども機構側との齟齬が非常にある。これは根本的な問題です。何をして専門医と定義するかというのが実はまだきちんとディスカッションされていないと思います。ですから、そのことが先ほど森先生がおっしゃったように根本的なところに戻るべきではないかと思います。これは私ども学会でもそう思っています。

・井田参考人 小児科に関しましては、うちも専門医制度については歴史があるので実際的な試験のシステムや専門医の育成に関しては、学会でもできます。学会のやる事と機構がやる事と、都道府県協議会がやる事を明確にしないと、船頭多くして船山に上るみたいになってしまいます。誰がイニシアチブを持ってやるのかをきちんと決めておかないと混乱が起こるのではないかというのが私の意見です。

・宮崎参考人 先ほど森委員からも御意見があったと思いますが、 2013 年の厚労省の在り方委員会の最終答申を受けて始まった事業で、その最初の段階で中立的第三者機関が管理するということが出ていますから、そこからスタートしていると認識しています。先ほど森委員からも学会の会員を増やすための専門医制度がいっぱい増えたのではないかという意見がありました。もちろん、皆さんの基本領域の学会はそうではないと思いますが、 Sub-spec1alty 以下の未承認も含めていくとそういう学会は多々あるかと思います。私が思うには、学会の専門医という資格がもう社会のものとなっていると思います。患者さんからも何の専門医ですかとよく聞かれます。そのような状況で学会がそれを管理するとなると、例えば学会員の資格を失うと自動的に専門医の資格も失ってしまいます。そのような制度上の欠陥があるわけですから第三者的な中立機関として、実務は学会がするにしても承認は機構が行うのが適切だと思っています。

・倉本参考人 総合診療のほうは、各学会や日本医師会が一緒になってオールジャパンで作っていく。各団体の皆さんのお力を借りてということで専門医機構の中でプログラムを作り、それを公開していくことをやってきましたので、少し立場が違うと思いますが、何とか皆さんのスケジュールに穴を空けないところまでは追い付いてきたかなと思っています。

・永井委員長 今の数字をお聞きすると、大体、 1.7 倍とか 1.8 倍の募集枠になっていますね。やはりそれは多過ぎるのではないかと思います。また何人か分からないとおっしゃいましたが、調査すればすぐ分かると思います。もし来年度なさりたいのだったら、来年度の希望者数を調べれば 500 と出るかもしれない。そしたら 500 1,500 の枠は多過ぎますね。そこをどう調整されるのか。だから地域の協議会で調整が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

・倉本参考人 おっしゃるとおり、総合診療の領域も特任指導医候補者の方がきちんと見えていて、それから各大学でいろいろな調査もしています。各施設がプログラムを出してきたときには各施設の思わくが出ますけれども、調査された数字も参考に、それを調整するようにしたいと思います。例えば指導医数の 6 倍が専攻医数となっています。これを現在、 3 分の 1 までということでプログラムを全部チェックしていますので、そのあたりはいけると思います。

 それから、嘉山先生がおっしゃったように、高知などの状況は県の職員の方が大学に行って各プログラムを全部見られる世界ですけれども、ほかの都道府県の場合は難しいところもあろうかと思いますので、その難しいところをどうするかということはちょっと問題があると思います。

・四宮参考人  委員長がおっしゃるように、 1.5 とか 1.6 というのは絶対に偏在が出ると考えます。その県は我々と領域研修委員会の二次審査に関しては議論をして、かなり先生方の考えに近い程度に押さえるということの合意はできているつもりでいます。

 

・小川委員 ちょっと話を戻したいのですが、一番大事なのは地域医療に影響しないような地域偏在対策なのです。その中で、委員長私案として地域の協議会を有効活用しましょうということもあったのですが、参考資料 2 にありますように、厚生労働省の医政局から各都道府県に調整してくださいという文書は行っていますけれども、先ほど日本医師会の羽鳥先生から御報告がありましたように、各都道府県間ではかなりの温度差がある。うまくいっている所もあるかもしれないけれども、ほとんどうまくいっていない所のほうが多い。そうなりますと、この標準化をしないと資料 2 の専門医養成開始に向けたプロセスという所で、 4 月から 6 月に向けてプログラムの調整をするのだとなっています。そこで非常に大事なのが、いわゆる地域の協議会がどう機能してくれるかということになるのだと思います。これを、これから各都道府県で、これだけばらばらの状況の中で標準化をしていかなければならないわけですから、もしこういう形で地域偏在あるいは地域医療崩壊に結び付かないようにということで、見切り発車でこういう新しい制度をスタートさせてしまったときに、もし大変なことになったらば元に戻すのは大変どころか、ほとんど元に戻らないわけで見切り発車は全く御法度だと思います。

 そうしますと、資料 2 の協議会を通じてプログラムの調整までやることは到底不可能ですから、是非、このプロセスとしてのタイミングについては延期をするように、この委員会で強く提言をしたほうが私はよろしいかと思います。もし下手に中途半端にスタートさせてしまったらば混乱の極みになりますから、今のうちに止めておいたほうがずっと混乱しないと思います。

・羽鳥委員 先ほど小川先生から各都道府県の話が出ましたが、この議会の名称が各都道府県で異なっており、この専門医に関してきっちりした委員会ができている所が北海道、広島のみです。ほかの所は地域医療構想とか、そこの協議会の中の一部でしか扱われていないと思います。そういう意味では。

専門医問題が地域医療に与える影響の大きさを考えると協議の場を共通な名前で作っていただくような仕組みを、是非、提案していただきたいと思います。

・北村委員 今のディスカッションは大事だと思っています。今日は参考人がいらっしゃるので参考人にクリティカルなことをお聞きしたいのですが、 3 つあります。内科学会に関しては 3 年目でサブスペをやるということでしたが、それは他の基盤学会は了解しているのでしょうか。私が聞いたところによると、内科学会は 3 年目からサブスペをやるけれども、そういうことは了解していないと。やはりオールラウンドを 3 年間やるのが、この制度の趣旨ではないかと言う方もいました。だから先生が、今、おっしゃった 3 年目でサブスペをやってもいいということは、 19 学会の合意であり機構の合意かというのが 1 点です。

 次に、倉本参考人にお聞きしたいのですが、指導医は現在、ワークショップをやっていませんからゼロです。指導医がゼロの中でプログラムを出して定員を出せというのは、先生の発表を聞いて無茶な話に聞こえました。普通は指導医が世の中に何人いて、何々県に指導医が何人いると、だから何人を募集できますというのが筋で、指導医の候補者はいますけれども、ワークショップを何回やれば予定で何百人できますと、だからやりますというのはちょっと無茶なのではないかと私は感じたのですが、そこを。

 もう 1 つは、先ほど森委員がおっしゃったことで全部の学会にあると思いますが、認定もそうですけれども更新などはスタンプラリーと揶揄されています。学会でスタンプをもらってそれで実質的な教育になっていない。当然、外国などを見ていると指導を受けている証明を出せと、症例報告でなく指導の証明です。特に井田先生にお聞きしたいのですが、友人の小児科医は、学会へ行ってスタンプをもらうことがかえって地域医療を壊している。開業の先生が休んでまで学会へ行かなければいけない。むしろ学会へ行けなくて地域で症例検討会とか指導を受けたことだけで、専門医の更新や認定がされればいいのに、ほとんどの学会がマストの部分に学会総会参加というのが入っていて、それはかえって地域を壊しているのではないかという御意見もありました。この 3 つです。

・加納委員 今の意見に続く話ですが、更新で、いざ専門医として出て来ても、その専門医が、いわゆる基幹病院以外から外れられないようなシステムかどうかの確認ができていないのは非常に不安かなということと、総合診療専門医という形が見えていないのに、この選択肢の中に入れてスタートするのが、果たして来年の 4 月からスタートすべき形なのか非常に疑問に思います。

・西澤委員 時間が 10 分オーバーしていますが、今、非常に大事なところに入ったと思います。是非、次回に改めてこの議題でやっていただきたいと思います。

・松本委員 総合診療医について大変厳しい御意見がございましたが、健保連といたしましては平成 19 年の提言において、これから先の医療提供体制としては、総合的な診療を担うことが可能な医師ということを積極的に養成することが最も重要と記述しております。また、専門医の在り方に関する検討会の報告書が出された後、平成 25 7 月の医療提供体制に関する健保連の見解においても総合診療医の養成について示しております。総合診療科は 19 番目の新しい制度ですので、他の専門医の方々や関係者皆様のご協力を得て円滑に進めることが出来るようにお願いしたいと思っています。

・山口委員 研修医を教育している現場の方からの声を聞いてみますと、今の 2 年目の初期研修医に対して今後どうなるのか説明できない、研修医が可哀想だという声が聞かれます。先ほどから見ていると、学会による差であったり地域による差ということがある中で、今、どうするのかということを、延期ありきではないとかいろいろな意見がありますけれども、どう考えても今はまだ拙速ではないかなと私も思います。まずはここで延期をするというようなことを早い段階で決めて、それによってもう少しきっちりと制度として整理する必要があると思います。さっきから出てきている地域の協議の場についても、どのような権限や責任が生じるのか分からないと全く地域が動き出さないと思います。そういったことをまずきっちりした上で、どこから本当にスタートできるのか、早くその辺りを決めないと現場が混乱するだけではないかと思います。

・永井委員長 その件は、先ほど御説明したように新専門医制度を全面的にスタートするのは無理だろうと思います。ただ、これまでも学会は専門医養成をしていますので、その中でこうした考えをトライアルとして入れていったらどうかということなのです。これをどうするかというのは次回以降、さらに議論したいと思います。

・門田委員 今、委員長がおっしゃるとおりで、本当に今までこれだけ長年、学会が中心になって専門医制度というのはやってきたわけです。それなりに問題もあるからというので大きな改革をということで、ここは先ほどもありましたけれども、本当に学会が認定し学会が全てやるというところが、どういうふうになっているのか。患者さんに、あるいは学生や若い医師たちに今のそういうところが完璧に分かるのかというところを、ある時点でクリアしなければならないということでスタートしたと思います。先ほど森委員に解説していただきましたが、最初、これが前の評価・認定機構のときに在り方委員会を立ち上げて、その基本的なところからディスカッションをスタートさせてやってきたのです。そこにおいて先ほど邉見委員からも質問が出ていましたが、果たしてこれは学会がやることなのか。あるいは第三者機関なのか。 1 年半、厚生労働省の在り方委員会の検討会であれほどデスカッションして、そういう形にするということがはっきり決まってこれが動きかけて、今、まだそういう原点に戻るようなディスカッションがされているというのは、非常に残念だと言わざるを得ないと思います。それが今は本当に基本領域学会ということで領域決定する前、ほぼ 1 つというところのもの同士の 18+1 ということでやっているのであれですが、これが Sub-spec1alty の話になると本当にいろいろなダブりがずっと出てくるわけです。患者さんに分かるか、分かりっこないのです。医師たちは分かっているつもり、だけど患者には分からないという制度を、どんどん作り上げていって将来があるのかということから、この際、それを整理するということでスタートしたと思います。

 ですから、延ばすということを視野に入れるという話も出ていますけれども、今まで続けてきたことからどう上手にリスタートするかというディスカッションのほうが、よほど大切です。少なくとも我々がここでディスカッションしていることは国民が注目しています。そして若い医師たちも医学生たちもみんな注目している。だけど、これを延ばすからといって大きな改革ができるのか、私はできないと思います。今、やりかけていることを徐々に改善していくスタートだという認識を持たない限り、完璧なものというのは絶対できっこないと私は思います。是非、今、出てきている問題をもう少しクリアにして、具体的な問題としてこれができなければ延期せざるを得ないというのがあるのだったら、そうだと思うけれども、ただ何とかの恐れがあるからというふうな発想は私は避けるべきだと思います。

・永井委員長 最後に、嘉山参考人。

・嘉山参考人 私は今の意見に全く反対です。なぜかと言うと、新臨床研修医制度のときにも光と陰があったわけです。私はあのときに大学の病院長をやっていましたので副大臣に呼ばれました。「どうかね、嘉山君」「これは確かプライマリ・ケアを勉強するのはいいですよ、しかしながら陰ができる。パンドラの箱を開けるので地域は崩壊する。あと科の偏在が起きる」。そのときに「大丈夫だからやってみよう」と。その後、それだけではないのですが地域の崩壊が起きたわけです。先生の考えは、そういう意味では先ほどの小川先生の危惧と全く違って、戦争時代の「行っちゃえ」というのと同じで非常に私は危険だと思います。ですから、ある程度そういう精神的なことでなく、緻密に事実を積み重ねてスタートしなければいけないのではないか。歴史から学ぶべきだと思います。

・永井委員長 手短にお願いします。

・倉本参考人 先ほどの北村委員の御意見の特任指導医についてです。もともとは、 6 つの資格の一つをお持ちの方を特任指導医にというお話がありました。私たちのほうでは、その方たちにワークショップを受けていただいてさらにレベルを上げようということです。プログラムの申請では、この 6 つの資格が表示されています、準備はできていますということだけ確認させてください。

・永井委員長 最後にお願いします。

・小川委員 一言だけ、この専門委員会が立ち上がった目的は地域医療に影響するということだったろうと思いますから、施行するにしても、地域医療に影響しないということを最低限の前提にしてやっていただきたいと思います。

・永井委員長 そういう意味では数の調整が大事だと思います。地域の募集数について、各都道府県の計算を事務局で出していただいて、それを基に更にこの件について議論したいと思います。また試行事業としてもどういうスケジュールになるか、実績数や算出方法も含めて、次回、議論したいと思いますので事務局のほうで準備をお願いしたいと思います。時間が延長して大変申し訳ありません。最後に次回日程等について、事務局からお願いいたします。

・桑原臨床研修指導官 次回の専門委員会の日時につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。また、本日お配りした資料のクリアファイルで、赤字で「日本脳神経外科学会資料配布委員のみ ( 回収資料 ) 」とありますのは、恐縮ですが机の上に置いてお帰りいただくようお願いいたします。以上です。

・永井委員長 ありがとうございました。これで本日の委員会は終了いたします。参考人の先生方、ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(専門医養成の在り方に関する専門委員会)> 第2回専門医養成の在り方に関する専門委員会 議事録(2016年4月27日)

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