ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)> 第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録(2016年2月5日)




2016年5月11日 第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録

健康局健康課

○日時

平成28年5月11日(水)14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議事

○大林室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第15回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催します。

 本日は、御多忙のところ、御出席をいただき、まことにありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。

 厚生科学審議会令第6条第2項において、部会に属すべき委員、臨時委員は分科会長が指名すると規定されておりまして、これに基づき岡部分科会長より厚生科学審議議会臨時委員の中から伊藤澄信臨時委員に予防接種基本方針部会における庵原委員の後任としての御指名がございましたので、今回御出席いただいております。

 では、御紹介させていただきます。伊藤澄信国立病院機構本部総合研究センター長です。

○伊藤委員 国立病院機構の伊藤でございます。

 新型インフルエンザ関連の仕事をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

○大林室長補佐 続きまして、出欠状況について御報告をいたします。中野委員、中山委員、宮崎委員から御欠席の連絡を受けております。

 現在、委員10名のうち7名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 なお、本日は「ワクチン評価に関する小委員会」から報告をいただく関係で、国立感染症研究所所長倉根一郎ワクチン評価に関する小委員会委員長、国立感染症研究所感染症疫学センター長大石和徳同小委員会参考人、国立感染症研究所細菌第一部長大西真同委員会参考人に御出席をいただいております。

 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1から資料3、参考資料1から参考資料6と、番号がついておりませんが予防接種実施率の推移と各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配付資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 それでは、ここからの進行は岡部部会長にお願いいたします。

○岡部部会長 それでは、「予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催したいと思います。

 大分暑い中、お集まりいただいてありがとうございました。きょうは相当暑くなっているので、脱水にならないように後ろの方も適当に水など確保しておきながら聞いていただければと思います。

 事務局のほうからお話がありましたけれども、庵原先生が残念ながらお亡くなりになって手痛い思いなのですけれども、かわって伊藤先生にこれからディスカッションに加わっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、肺炎球菌のことがありますので、小委員会のほうで議論を行ったときのことということで倉根先生、大石先生、それから大西先生、お忙しいところを参考人としてお出でいただきありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 肺炎球菌では多屋先生と池田先生が小委員会にも加わっておられますけれども、この委員会での発言もぜひお願いしたいので、後ほどよろしくお願いします。

また庵原先生にはこれまで副委員長というような形でお願いをしていたのですけれども、これも改めて御指名をしなくてはいけないのですけれども、私、部会長のほうで指名をするということなので、この中の委員である中野先生にお願いをしたいと思っております。きょうは中野先生は御用があって欠席なのですけれども、もし御異論なければ中野先生にお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部部会長 ありがとうございました。

 それでは、中野先生に改めて事務局のほうからお伝えいただければと思います。

 本日の議題は、1つは10価の肺炎球菌型結合型ワクチンを、これはすでに薬事承認はされているワクチンですけれども、定期接種として使用していいかどうかということになります。それから、予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAについて。きちんと今までやってきたことを評価しましょうということになります。それから報告事項がマル1、マル2、マル3、マル4とありますので、本委員会は14時から16時くらいの時間帯ですので、よろしくお願いします。

 肺炎球菌のほうについては、小委員会の意見もありますので、大体1時間前後くらいというつもりでおりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 課長もおられますけれども、特に何かないですか。局長と課長、最初に。よろしいですか。

 それでは、議事のほうに入りたいと思います。

 沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種での使用の是非ついて。

○大林室長補佐 済みません。その前に利益相反の御確認を。

○岡部部会長 どうぞ。

○大林室長補佐 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。

 本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議会参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について申告をいただきました。各委員からの申告内容については、机上に配付しておりますので御確認いただければと思います。

 本日の審議事項で、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチン、ジャパンワクチン株式会社を予定しておりますが、各委員、参考人からの申告内容については今回の審議への不参加になる参考人はおりませんことを御報告いたします。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。失礼しました。

 今回はCOIに関して、何かしら発言、その他制限がかかることはないということですので、よろしくお願いします。

 それでは、議題1に入ります。

 最初に、倉根先生のほうから概要をお話しいただいて、その後、取りまとめた大西先生のほうからファクトシートの説明をいただいて、適宜大石先生のほうから意見をいただくというようなことでいきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 それでは、本報告書の取りまとめの資料説明の後これに入るので、最初に資料1に基づいて、倉根先生のほうからよろしくお願いいたします。

○倉根参考人 それでは、私のほうから資料1-1を使いまして御説明いたします。厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会においての沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの報告でございます。

 平成27年5月13日に開催された第13回予防接種基本方針部会での審議において、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関するデータについて収集し、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンとの比較において、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンに含まれない3つの血清型及び用法の違いによる、有効性、安全性、費用対効果等の医学的・科学的な観点から、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンを定期接種に位置づけて広く接種を促進することの是非について検討を行うこととされたわけであります。

 それに基づいて、平成28年3月14日に開催されたワクチン評価に関する小委員会において、国立感染症研究所が取りまとめた「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンファクトシート」、これは平成28年1月28日版でありますけれども、等の最新の科学的知見に基づいて医学的・科学的な観点から小委員会で検討を行いました。

 沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの評価結果の概要は以下のとおりであります。

 次に下段をごらんください。

 評価結果でありますが、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンは、安全性に関して問題となる有害事象は観察されていない。しかし、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンと比較した場合、含有される血清型が少ないことなどにより、有効性が若干劣る可能性が否定できないという結論でありました。現時点での詳細な費用対効果の評価結果については、まず有効性が若干劣ることが否定できないということが科学的な議論の中で出てまいりましたので、現時点での費用対効果の評価結果は判断のために特に必須とはいえないのではないかという結論になりました。

 また、接種を促進していくことについては、慎重な判断が必要であると考えられるということでございます。

 ただし、今後の予防接種基本方針部会での検討に当たっては、医学的・科学的な観点からの検討のみならず、ワクチンの供給などの安定的な実施体制の確保、制度を継続的に実施するために必要な費用をどのように国民全体で支えるかなどの課題の整理、あるいは既存のワクチン製剤との有効性の違いや副反応も含めた予防接種施策に対する国民の理解など、公衆衛生施策としての観点からも、引き続き検討を行っていただくことが求められるのではないかということでございます。

 以上が、簡単ではありますけれども、ワクチン評価に関する小委員会の報告であります。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続き大西先生にファクトシートの説明をしていただきたいと思うのですが、ファクトシートはもう御存じのように、これまでもこの委員会の議論で出るときに、エビデンスに基づいて議論をするということが前提にありますので、国立感染症研究所のスタッフの先生方を初め、これをつくるのに非常に御苦労いただくと思うのですけれども、それに基づいて科学的にどういう状況にあるかということを使うものであります。

 大西先生、どうぞよろしくお願いします。

○大西参考人 感染研の細菌第一部大西です。

 それでは、ファクトシートの概略を説明いたします。別添の資料になります。

PCV13が定期の予防接種として用いられている国内の現状で、PCV10も同様に定期の予防接種として用いるワクチンとすることの是非について議論するため、本ファクトシートが作成されています。

PCV13に含有されるがPCV10に含有されない3つの血清型(3、6A19A)の肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症に対する有効性について特に検討しております。

PCV10ではPCV13に含有される多糖体のうち、3、6A19Aの多糖体が含まれておりません。しかしながら、別添資料の9ページ図1に示しましたが、PCV10に含有される6B及び19Fと、6A及び19Aの多糖体はそれぞれ構造的に非常に類似していることから、PCV10に含有される6B19Aに対する抗体が、含有されない6A及び19Aに交差反応することが期待されます。

 また、7ページ表2に示しましたが、PCV10は3種類のキャリアたんぱく質が利用されています。このうちの、主に用いられている無莢膜型インフルエンザ菌のプロテインDを用いているのが特徴の一つです。

 7ページに記載しましたけれども、プロテインDが含有されることで無莢膜型インフルエンザ菌に対する感染、特に急性中耳炎に対する防御効果も期待されて開発されたと考えられます。

10ページから、国内の疫学状況を記載しました。

 小児侵襲性肺炎球菌感染症に関しましては、10道県におけるアクティブサーベインランスの結果から、5歳未満児のIPD罹患率は2011年から2014年の期間で約半減し、PCV13血清型による症例が占める割合も87.3%から36.5%に減少しています。

 血清型19が占める割合は、PCV13の導入により2013年には全体の44.6%を占めていましたが、2014年では全体の33.3%となり、減少傾向にあります。

 肺炎球菌による肺炎については、小規模なデータに限られており、全国的なデータは存在していません。

 肺炎球菌による中耳炎に関しましては、急性外来受診者を対象としたコホート研究で、発症率は0歳児から5歳児で、1年1名当たり0.09から0.54例とされております。

 肺炎球菌陽性例が48.1%、インフルエンザ菌陽性例が45.2%という報告がございます。

 また、レセプト情報を利用した調査からは、小児急性中耳炎推定患者数は2歳未満が20から26万人、2歳から6歳が85から108万人というような推定がございます。

 沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの免疫原性について13ページから記載しました。

 ワクチン効果に密接に関与していると考えられる血清オプソニン活性をopsonization indexOI)を指標としてPCV10の免疫原性について検討しています。多くの論文において、PCV10に含まれる10種類の血清型肺炎球菌に対しては、PCV10接種によって十分な免疫が得られることが推測されています。13ページ表4に記載してあります。

 一方で、特定PCV13追加血清型のうち、血清型3に関しては交差反応が認められませんが、血清型6A及び19Aに対しては、6B及び19Fに対する抗体の交差反応で免疫が得られると考えられています。

 これまでの報告をまとめて、14ページ図2に示しました。

6B19F6A19Aに対するopsonization indexの各報告の8以上を示す症例の割合を縦軸にとって示しております。追加接種後、Postboosterになりますけれども、血清型6Aに対するOI、8以上となる被験者の割合は58.7から95.5%と、報告によってばらつきが認められますが中央値87%と、グラフでいきますと右から2つ目のカラムになります。87%と、比較的効率に免疫が得られる可能性が示唆されています。

 一方、追加接種後、血清型19A、図2の一番右側のカラムになりますが、opsonization indexが8以上となる被験者の割合は中央値66.8%と比較的低値であり、かつ報告によって大きなばらつきが認められます。小児に対するPCV13の免疫原性に関してOIを指標にして評価した論文報告というのは限られてはおりますけれども、OIが8以上となる被験者の割合は100%となる報告があることから、PCV1019Aに対する免疫原性は、特に19Aに対する免疫原性をPCV13に比較して劣る可能性があります。

 予防接種の効果について、16ページ以降記載しました。1)及び2)が二重盲検ランダム化比較試験でございます。

PCV10の小児IPDに対するワクチン効果、ワクチン・エフィカシーが認められています。

PCV13追加血清型である6A,19Aに関しても効果があるとした報告と、効果が認められないとした報告、それぞれFinIPCOMPAS試験が存在します。

 フィンランドにおける試験は4万7,336人を対象としており、COMPAS試験の中南米で実施された試験も2万3,597名を対象としており、どちらも大規模なものではありますが、PCV成分を導入していない地域での調査であることが影響してか、6A19Aの症例が比較的少なくて十分ではなかったことが、効果の有無が分かれてしまった原因という可能性があると考えております。

17ページ、3)及び4)では、2つの市販後症例対照研究を記載しておりますけれども、PCV10血清型のIPDに関する有効性が確認されています。PCV10に含まれないPCV13追加血清型6A,19Aに関しましては、6AによるIPDに対しては有効性がある、あるいはないという報告が混在しております。2つの症例対照研究とも、血清型19AIPDに対する効果は80%程度とされております。

PCV10による細菌性肺炎や肺炎球菌性急性中耳炎に対するワクチン効果が、2つの二重盲検ランダム化比較試験によって示されています。ブラジルでの小児市中肺炎入院症例の検討でも、4歳未満の肺炎入院症例が12.7%減少したということが観察されています。

 一方で、無莢膜型インフルエンザ菌による中耳炎に対するワクチン効果については、ワクチン効果は認められていないということになっています。17ページの上から3分の1あたりにある3.になります。

 一方で、PCV13の市販後のポピュレーションベースのサーベイランスによりますと、IPDに対する効果検証がなされておりまして、21ページの9)に記載しましたが、米国の市販後調査ですけれども、PCV7に含まれないがPCV13に含まれる血清型、追加6血清型に関しては、93%減少するという非常に劇的な効果が観察されています。

IPD症例の減少は、13価の肺炎球菌ワクチンの導入によって、5歳以上の各年齢群においても観察されているというのが13価のワクチンの特徴の一つでもあろうかと思います。

 安全性については23ページに記載しましたが、大きな有害事象は観察されておりません。

24ページ以降に医療経済学的評価がなされた論文を紹介しております。

 マルコフモデルを用いて日本の新生児コホートを対象に、PCV10PCV13について検討した結果です。PCV13に比べてPCV10は優位という費用減少、効果改善と結論づけていますが、用いられているデータはPCV10の無莢膜型インフルエンザ菌性中耳炎に対する効果があると仮定したことによりもたらされているということになっております。

 総評ですけれども、PCV13追加血清型3、6A19Aに関するPCV10の有効性は、交差反応性でもたらされている可能性はありますけれども、PCV13と比較した場合においてはこの有効性は若干劣る可能性が否定できない。

PCV10がインフルエンザ菌による急性中耳炎に対して予防効果を発揮すると仮定した場合には、費用対効果良好というような推計もなされておりますけれども、現状ではPCV10のインフルエンザ菌による急性中耳炎に対する有効性は立証されていないことから、費用対効果の推計結果の不確実性に留意する必要があるという形でこのファクトシートはまとまっております。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 もうちょっと後で議論したいと思うのですけれども、その前に事務局のほうから参考資料2になりますが、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種での使用の是非について、氏家補佐のほうからお願いします。

○氏家室長補佐 事務局より、お手元の資料1-2「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種での使用の是非について」について御説明させていただきます。

 先ほど岡部部会長からも御説明がありましたように、昨年の5月に、この基本方針部会でPCV10を定期接種で小児に接種することについて検討方針がまとめられたところでございます。その資料につきましては参考資料1に用意がございまして、今回の検討に当たって、簡単に現在の施策との違いだけ御説明させていただきたいと思います。

 現在、参考資料1の1枚目にありますように、平成2511月からPCV13による小児の定期接種が実施されているところでして、平成27年3月26日に製造販売承認されたこの10価の肺炎球菌の位置づけについて検討している内容でございます。

 2ページ目をごらんいただいて、7価、10価、13価、全てそれぞれ含まれている血清型が含有されるというような形になってございまして、今回検討しているPCV10は、13と比較した場合に異なる点としまして、接種対象年齢が6週齢から打てるということ。そして、用法として筋肉注射で接種するようになっている。そういった違いがございます。

 また、先進諸国における肺炎球菌結合型の定期接種導入状況をごらんいただきますと、多くの国においてPCV10が先に導入されて以降、13が導入されているという経緯がございますが、多くの国では13が使用されている。ドイツのみが1013を両方併用しているような状況になっていまして、日本と同様、ロシアのみが、13が導入されて以降、10が導入されるという状況になっていますが、ロシアにおいては13のみを使用しているという現状がありました。こういった資料に基づいて検討が開始されたところでございます。

 資料1-2に戻らせていただきますが、その後、先ほど大西先生から御説明がありましたとおり、国立感染症研究所によって、10価肺炎球菌結合型ワクチンに関するファクトシートが作成されまして、平成28年3月14日、第3回「ワクチン評価に関する小委員会」にてこの検討が実施されたところでございます。その検討資料につきましては、参考資料2と3に記載がございまして、先ほど倉根先生からも御説明がありましたように、この10価肺炎球菌を定期接種として使用することの是非について検討をいただき、有効性、安全性、費用対効果の観点から検討いただきました。

 また、そのときにジャパンワクチン株式会社のほうから、参考資料3にありますように、10価の肺炎球菌結合型ワクチンの価格が6,800円、これが希望納入価格という形で提示いただいておりまして、以前、ファイザー株式会社から情報提供がありましたPCV13については7,200円ということで、若干価格が安いというような現状がございます。

 資料1-2に戻りますが、今回この基本方針部会で御議論いただきたい内容としましては、先ほど倉根先生から御説明がありました第3回「ワクチン評価に関する小委員会」における医学的・科学的な観点からの沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの評価結果、これに加えて、提言がありましたように、下記の公衆衛生施策としての観点を考慮した上で、PCV10を定期接種のワクチンとして使用することの是非、これについて最終的な方針を審議いただきたいと考えてございます。

 具体的な公衆衛生施策としての観点としましては、ワクチンの供給など安定的な実施体制の確保、制度を継続的に実施するために必要な費用、そして、既存のワクチン製剤との違いを含めた国民の理解、こういったことを想定しているところでございます。

 事務局からは以上です。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ディスカッションに入りたいと思うのですけれども、小委員会のほうではまさにデータに基づいて現在のファクトというような形で述べていただいて、それの概要をまとめていただいたわけですけれども、今回この委員会では、そのほかに自治体あるいは保健所の代表という立場の先生方、それから、たまたまではありますが、耳鼻科を専門とする小森先生もおいでになるということですので、広い立場から議論をしていきたいと思います。

 どなたかスタートを切っていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 参考資料1、昨年の5月13日のときの資料を見ますと、一番最初のページのワクチンの変遷というところで、平成25年6月に13価が日本で製造販売承認を得て、その後、13価に切りかわったという経緯があって、そしてまた、その後から10価が日本で製造販売承認を取得したという順番に承認の順番はなっているわけですが、今の制度の体系からいうと、定期接種のワクチンが今は13価に決まっているわけで、それ以外のものは定期で使えないということになるわけです。

 そうすると、先に既に13価が承認されているのに、また後から10価を承認している。確かに開発というのは、それぞれ製造メーカーのお考えがあってのことだろうと思います。だから自由に製造すればいいという考え方もあるかと思いますけれども、ただ、こういう製造販売の承認と定期接種というのが独立して別々に今は決まってきているわけで、それは独立しているからいいということももちろんあるかとは思うのですが。

 ただ、これがもし定期接種にならないままでということだと、例えば企業の育成の視点で考えれば、ほかに使えないなら打撃があるのではないかと思うわけですけれども、これは何らかの理由で、例えば13価が供給されない事態が起きたときに危機管理的な状況で使えるのか。あるいは高齢者よりむしろ子供の部分だと思うのですけれども、中耳炎ということがあったと思うのですが、そこで任意に使えるような例を考えて開発をされているのか。そういうことを考えると、ワクチンそのもののアカデミックな評価とは別に、ワクチンを承認していくという過程、あるいは定期接種に位置づけていくという過程、その制度のあり方というのがこのままでいいのかなというのはちょっと疑問に思うことがあります。

 それで、10価は、今のファクトシートで言うと、やはり13価のほうがいいという結論だろうとは思うのですが、任意でしか使えなくなるということについて、事務局のほうは、こういう今の制度のあり方について何かお考えがあるのかどうかを最初にお聞きしたいと思います。

○岡部部会長 これは事務局のほうでお願いします。

○江浪予防接種室長 予防接種室長を務めております江浪でございます。

 今回の経緯に関しまして、今、御指摘いただいたような課題が現実にあったのかなと考えてございます。これは本日の議題の次の議題にもかかわることでございますけれども、制度上の課題に関しましては、これまでのこの部会あるいは予防接種分科会全体の取り組みの状況も踏まえながら、現状どういった課題があるのか、そういった中でまた考えていきたいと考えてございます。

○岡部部会長 よろしいですか。

○澁谷委員 ありがとうございます。

 ここで何か結論をということではないのですが、やはりこういう問題が出てきているということは、今の予防接種の制度そのものに少し無理が来ているところがあるのかなと思うので、やはり今後の課題として、流通部会のようなところももちろんあるわけですけれども、全体として見直しをするということを考えておいたほうがよいかなという意見です。

○岡部部会長 かつては、ある一つの病気に対するワクチンが、ほぼ同じようなつくり方であったり、ほぼ同じような効果であったり、しかし、例えば本当はDPTはかなり成分は違っても同じような形で考えられていたようなところがあります。肺炎球菌のように血清型がいっぱいふえてきたり、それから、今後はあり得ると思うのですけれども、例えばインフルエンザワクチンは、今、卵でつくったHAワクチンですけれども、卵ではなくて細胞培養でアジュバントを加えて、量はどのぐらいで、その上にマルチでいこうかとか、いろいろな選択が出てくるというのは、今後それを多くの人に使うときにどういうスタイルで使うかというのは本当に課題だと思うので、現在のところでは結論をある程度出さなくてはいけないのですけれども、その次の課題としては、やはりこういう選択幅を持ったものをどう扱うか。これは選択幅が本当はあったほうがいいと思うのです。それによって、よりいいと思われる方法、あるいは人の考えで少し違ったりするけれども、できるだけベストチョイスをする。

 ただ一方では、私もちょっと自治体に身を置いていますけれども、余り選択があると、今度は一体どれを使っていいのかとか、予算の問題であるとか、あるいはそれでAのものとBのものを使ったときにまぜたらどうなるかとか、わずかな日にちの違いでそれは間違ったのではないかとか、そのようなこともだんだん整理していかなくてはいけないのが選択幅だと思うのです。

 現状において、これをどうしようかというところもあると思うのですが、そういう点からは、例えば澁谷先生、坂元先生は自治体側というような形で御意見をいただければ。

○坂元委員 このファクトシートを正直に見て、自治体としては定期接種で採用したときに、接種を受ける方にどういうワクチンかということを説明していく責任がある。それから、その接種をやっていただく医師会の先生たちにも責任があるというときに、このファクトシートのとおり、やや効果が劣るかもしれないという言葉で私は説得はできないと、非常に難しい。科学的に見れば、一方が6,800円、もう一つが7,200円、確かに自治体側の負担というのは減るということもありますが、その説明根拠として、もしかするとやや効果が劣るかもしれないけれども安いから選びましたということは、市町村としては絶対口にできない。

 やはり市民に提供する限り、ベストなものを選んで提供しますというのが自治体の本旨であるということからして、確かに産業育成とか危機管理の問題がありますが、それは危機管理の問題が、例えば片方のPCV13の供給体制がどうなっているかとか、そこに問題があるのか、過去に問題があったのかとか、そういう議論なしに、ただ危機管理の観点からちょっとぐらいという話は、やはり自治体の現場としては非常に説明がつかない。議会に対して予算を申請するときに説明がつかない事項であると思っております。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 澁谷先生、保健所というところでは余り実際には接種に携わらなくなってきていると思うのですが。

○澁谷委員 私は、結論的には坂元先生と同じなのです。同じなのですけれども、問題として、制度的な課題はやはりあるのではないかということです。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 それと、小森先生、医師会でいろいろな方に予防接種をお願いしなくてはいけないということと、先生御自身の経験も含めて御意見がありましたら、お願いします。

○小森委員 結論はまた後で議論するとして、多面的に考えておかないといけない費用対効果比、その値段がどうであるかということも1つございますし、ちょっと確認をしておきたいのは、例えば10価を打って、13価を打って、またというような、この2種類のワクチンを打つときにどちらでもいいのか。例えば10価のワクチンを打った場合には、その後もずっと10価でいかないといけないのかという、その効果、安全性と有効性はいかがだったのでしょうか。

 というのは、おわかりだと思いますけれども、誤接種という問題が非常に大きくクローズアップされてまいりますので、その問題についてはいかがなものでしょうか。

○岡部部会長 では、氏家補佐。

○氏家室長補佐 薬事承認に係ることですので、直接部局が同じではありませんが、一般的なこととしてお答えさせていただきます。

 当然、製剤の製造販売承認というのは、その製剤ごとに有効性、安全性等を評価して、効能効果等を承認してございますので、途中で別の製剤を打った場合の安全性と有効性というものについては検討がされておりません。ですので、基本的には、一度片方のワクチンで接種を始めた場合は、最後まで接種をそのワクチンで受けていただくということを念頭に置いていますし、当然、定期接種に位置づけた場合におきましても、同様となります。ただし、定期接種でどのワクチンを使うかということについては、省令において一般製剤名で規定をしているところでございますので、同じ一般製剤名のワクチンで一定程度安全性と有効性の互換性が確立しているものについては、定期接種の規定上の違いがないため、製剤として途中で変更があり得るというワクチンもございますけれども、今回の10価と13価というものは、一般製剤名としても異なってございますので、仮に10価を定期接種に位置づける際には、区別をした別の書き方になる。つまり、一度どちらかのワクチンで接種を始めたら、最後までそのワクチンで接種を受けていただくことを念頭に置く必要があると考えてございます。

○小森委員 ありがとうございました。データがないということですね。

 耳鼻科の観点からの御質問なのですが、11価、その前ですね。11Pn-PDと本剤については、18C19F23Fについてはキャリアたんぱく質が違う。特に11Pn-PDについては、無莢膜型インフルエンザプロテインDを18C19F23Fに使っているけれども、本剤については、18C19Fについては、それぞれ破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドをキャリアたんぱく質として使っているので、11Pn-PDでいう010のデータをもって本剤のインフルエンザ菌が原因菌となる中耳炎の効果について、これは評価できないということでよろしいですね。

 確認ですが、したがって、本剤を使用した中耳炎に対する有効性、安全性に関するデータは世界中どこにもないということでよろしいでしょうか。

○岡部部会長 大西先生、お願いします。

○大西参考人 PCV10を用いて中耳炎に対する効果を検討しているのは、COMPAS試験、中南米の二重盲検試験がありまして、特にインフルエンザ菌による中耳炎に対する効果は、そのCOMPAS試験で認められていないという結果が出ているというところで、PCV11、前製剤と現状では大きく異なっている。

○小森委員 わかりました。

○岡部部会長 それと、互換性ではないけれども、13価の後に10価をやったらどうかというのはわからないけれども、ファクトシートの中で、10価の後に13価でブースターをかけたというのがたしかあったような気がしたのですけれども、違いますか。10価をやった後に途中で切りかえて、その結果どうだというのがあったような気がしたのです。

○大西参考人 それは個人の中ではなくて。

○岡部部会長 データとして。

○大西参考人 ある期間、10価を導入していて、その後、13価に切りかえたということはあるのですが、個人には。

○岡部部会長 個人ではそれはない。わかりました。済みません。

 そうすると、それに関する互換性のデータはないので、仮に導入するとすれば、例外的なものはともかくとして、基本的には同じ製剤でシリーズを終えていただくといようなことになるのだろうと思います。

 伊藤先生、途中からの参加なのですが、もし御意見がありましたら。

○伊藤委員 ありがとうございます。

 このメンバーの中では医薬品の開発に一番近いだろうと思っておりますが、医薬品の承認は、企業の申請によってどんなものでも承認がとれるので、ワクチン以外のものは、承認後はどのような販売力なり宣伝なりに頼るところがあって、それがゆがんだ形だったのがディオバン事件だったと思っています。

 ただ、ワクチンに関しては、定期接種になるのかならないのかで大きく違っているのだと思います。全世界的な開発から見ると、本来は1013の順番で開発が進んでいるように見えていて、そういう意味で、だんだん高度なというか、より適応の広いものが開発されていく歴史の中で逆転をしているので、そういうことを承知の上で開発された企業の方について斟酌をする必要があるかどうかと言われたら、一般の医薬品の開発からいうと余りないのではないかとは正直、思います。

 臨床医として見たときに、ファクトシートが大変きれいにつくられていて、とりわけ要約2のカバー率で見たときの383862.8%というカバー率の大きさの違いというのは相当程度気になるのと、それから、このデータを見せていただく限り、13の中10に全くない3というのがだんだん増える、そちらにエスケープをする危険性がある中で、PCV10を使うことを認める話はしにくいのではないかと強く思います。

 以上です。

○岡部部会長 小森先生、どうぞ。

○小森委員 今、大西先生が言われていたのは、028、パナマで行われた試験のことを言われたという理解でよろしいですね。

○大西参考人 はい。

○小森委員 わかりました。

○岡部部会長 確認ですけれども、中耳炎に関しては、7も含めて、先行の7、13についても、中耳炎はたしか添付文書上の承認事項ではなかったと思うのですけれども、それでよろしいですか。

 大石先生、小委員会のほうに出られていて、ここでは参考人でおいでいただいているのですけれども、何か御意見がありましたら、お願いします。大石先生はずっと肺炎球菌の研究を専門にやられていた先生ですから。

○大石参考人 とりわけ大西先生に追加するということはないのですが、プロテインDをキャリアたんぱくにするということで、開発当初はインフルエンザ菌による中耳炎にも効果があるという話があったのですけれども、よく確認すると臨床データでも確認ができない。

 それと、タイプBのインフルエンザ菌は莢膜を有しており、通常、中耳炎を起こすのは莢膜のないノンタイパブルの菌なのです。プロテインDで予防効果が考えられているのは、中耳炎を起こすノンタイパブルの菌株に効果があるかもしれないということだったのですけれども、実際のところ、免疫学的な効果、特に特異抗体が殺菌効果を示すかということについては十分なデータが得られていないというところもあるので、このワクチンのインフルエンザ菌に対する効果というのは仮説であって、エビデンスはないということだと思います。

○岡部部会長 中耳炎も非常に問題な疾患なので、できれば知見を積み重ねて、中耳炎に対するワクチンというのがあると、小森先生、耳鼻科としてはいいのではないかと思いますし、小児科としてもありがたいです。

○小森委員 ですので、耳鼻咽喉科としては、さまざまな期待がこのワクチンにあったと思っています。今、言われたようなP010、それから028試験のデータも、今は名前が変わりましたけれども、旧医薬・食品局の審査結果等を拝見いたしますと、一定の理解をしたところでございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 先ほど澁谷先生から、危機管理の観点から1社ということに関しての御質問が出たのですけれども、今回のいろいろな化血研の問題を踏まえて、私もそれはもっともだと。例えばPCV13の供給体制ということに対して、厚生労働省としてメーカーと供給体制のお話とか、情報とか、そういうものは何かお話しになっているのか。もしそういうことがあれば、教えていただきたいと思います。

○岡部部会長 事務局のほうは何か御返事がありますか。

○氏家室長補佐 今回の検討に当たって、事前に定期接種になった際の供給体制ということに関して、製造販売業者と事前に相談というのは特に行っておらず、PCV13を現在定期接種して問題なく安定供給できているという状況もあるので、そこに対して追加での議論は行っておりません。

○岡部部会長 開発流通部会のほうで、きょうの問題とは別にしても、今後、例えばB型肝炎が今回、熊本の大地震の件もありますけれども、そのような危機管理上で本当に一つのメーカーのもとでいいかどうか。これはやはりそういうところで議論をして、一つのフィロソフィーとしてやっていく必要があるのではないかと思いますけれども、現状では、先ほど補佐のほうから説明があったとおりということになると思います。

 小委員会のほうには出られていたのですけれども、この場でもう一つ御意見ということで、多屋委員と池田委員に御意見をいただければと思います。

○多屋委員 私は、小委員会のほうでも、後半にありましたように、万が一現在使われているPCV13の供給体制に問題が出た場合に、もう一つのワクチンの候補があれば、メリットはあるのではないかという意見は申し上げていました。

 一方で、ファクトシートに記載をしておりますように、PCV1013と比べると効果が劣ることを否定できないような内容になっていますので、例えば私が現場の接種医の立場になると考えると、もし少ないほうを選んで、万が一入っていない血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症をお子さんが起こしてしまった場合に、説明が非常に難しくなるというのは、臨床医の立場だったら考えると思います。

 ただし、供給面ということであれば、まず何も問題ないと思っていたところでもいろいろなことが起こってしまったことから、そういう意見を小委員会では申し上げておりました。

 ただ、例えば定期接種に入ったとして、2つが使えるようになったとして、実際にシェアがどうなるかわからないのですけれども、少ないシェアであった場合にもう一つのワクチンが使いにくくなった場合、すぐにそれに対応できるだけの供給量を確保していただけるのかどうか。それができないのであれば、もう一つあるからのメリットが少し落ちてしまうのかなという意見です。現在のところ。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 池田先生、費用対効果は既に小委員会でもディスカッションしていたと思うのですけれども、先ほどのことに加えて何か御意見がありましたら、お願いします。

○池田委員 通常、費用対効果の検討というのは、ワクチンを導入しない場合に比べて導入した場合はどうであるとか、あるいはより効果のよいものが出た場合に追加でかかる費用に見合った効果なのかという費用対効果を見るのですが、今回の場合には有効性が若干劣る可能性が否定できないというものが新たに登場しましたので、これは費用対効果がどうこうという判断よりは、むしろそういった有効性の観点から議論をしていただくのがよいのではないかと思います。

 ただ一方で、仮に複数のワクチンが同じ疾患の予防に対して導入された場合には、私の知る限りだと、アメリカ、イギリス、カナダなどの諸外国では、例えばロタウイルスとかHPVの場合などですと、やはり費用対効果を考えて、その中でどれを採用していくかという議論にはなるので、仮にこれが日本で定期接種化となった場合には、やはり費用対効果の検討というのはその時点で必要になると思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 そのほかに全体的に何か御意見がありましたら。よろしいでしょうか。

 この委員会で、この母体になる委員会の分科会の設立から続いてここの部会ができて、そのときにACIPではこうやるのだというようなことがモデルとなるかなどについて随分議論しました。ACIPのやり方が一番いいわけではないのですけれども、ACIPはこういう結論を出すべき時には必ずメンバー一人一人の意見を聞いて、賛成、反対を表明していただき、賛否が大きく離れたり、同数のときに議長がそこに加わるというような形式をとっています。私はこれはいい議論の進め方であると思いますので、きょう出席の委員の先生方が6名おられて、6名の方からそれぞれ、自分はイエスかノーかという形で一応御意見をいただければと思うのですけれども。こちらのほうからいかがですか、池田先生。定期接種導入ということに関して、イエスかノーかということです。

○池田委員 よりよいエビデンスが蓄積されるまでは、ノーでよいのではないかと思います。

○伊藤委員 臨床現場の混乱を考えますと、ノーかと思います。

○小森委員 何度も申し上げますけれども、このワクチンに期待をしておりましたのは、あくまでインフルエンザ菌による中耳炎の抑制、予防ということでございました。甚だ残念ですが、現在のところ、PN010試験並びに028試験、この2つの結果、基本的にそれしかないという理解をしておりますが、そのことを踏まえますと、そのことについて明確にこの効能は証明されないと理解せざるを得ないと思います。ということになりますと、ほかの委員の先生方が言われたことと同様の理由でございますけれども、定期接種に加えるには否定的な要素が多いと思っておりますので、ノーということでございます。

○坂元委員 私といたしましても、先ほど多屋先生が言った、カバーされていないところで問題が起きた場合に、この予防接種は市町村業務ということで、市町村が責任を問われる。そういうことを考えると、あえて劣るかもしれないという、しかも3つがカバーされていないという結論の中で、自治体としては採用しにくいと考えるところであります。だから、結論としてはノーです。

○澁谷委員 結論としてはノーです。何を一番重視するか。定期の予防接種ということを考えれば、効果ということを一番重視するということだと、やはり現状のままがいいと思います。

○多屋委員 私は、先ほど申し上げた意見のとおりなのですけれども、当初は安定供給ということを考えて2つあったほうがいいと思っていたのですが、いざどちらを選ぶかという決断を迫られた場合に、少し劣るかもしれないというものを選ぶのは非常に難しいのではないかと思いました。

 もう一つは、シェアが少ない中でもう一つ何かがあったときに、全100万人掛ける4回分の供給が迅速に得られるのかという部分を考えますと、残念ながらノーと言わざるを得ないのかなと思っています。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 そうすると、最終的には、確かに10の有効性というのは十分認められるところでもあり、有害事象として見るべきものはない。安全なワクチンであるということは間違いないので、承認されているワクチンとして十分流通しているところですけれども、含まれていない3価に対しての有効性についてファクトシートでも出てきた。若干そこには問題があるだろうというところ。それから、こちらの部会では、加えて危機管理上の問題であるとか、確かにほかのものがあったほうが供給の安定性とか、それから、もちろん価格は安いほうがいいに決まっているのですけれども、その価格の問題。それから、実際の現場での問題、あるいは自治体での使用等々、総合的に考えると、やはり現状ではPCV13をそのまま定期接種として使うので、10価に関しては定期接種としては導入しないとしていいだろうというのが、この部会の意見というように取りまとめたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

 確認ですけれども、この部会で出た意見を全て分科会でもう一回議論するか、しないかというのは、議事によっても違ったりすることがあるのですけれども、これは1つ上の親会になります分科会のほうでの議論を改めてする必要があるのか、ないのか。これは整理しておいたほうがいいと思うのです。

 氏家補佐、どうぞお願いします。

○氏家室長補佐 御質問いただいた件につきましては、厚生科学審議会令第6条6項におきまして、分科会の議決が必要とされているものにつきましては、予防接種法及び予防接種法施行令の改正を必要とする事項。そして、予防接種基本計画の策定及び変更。分科会の審議体制にかかわる事項。そして、その他分科会長が必要と認めた事項。この4点のみとなってございまして、その他の議決につきましては、部会の議決をもって分科会の議決とすることができるということで書かれてございます。

 これまでに審議した他のワクチンの取り扱いの経緯等を含めまして、今回の審議事項につきましては、事務局としては分科会での報告事項とさせていただきたいと考えてございます。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 議論のプロセスとしては、今、整理していただいたとおりです。

 結論としては、今、申し上げたようなことですけれども、澁谷委員から最初のほうに提起があったように、こういう複数のワクチンが出てきたときにどうするか。それから、危機管理上の問題も、ほかのワクチンとも共通のことでもありますし、どういう形で定期接種にしていくのか、あるいは任意接種にするのか、あるいは定期、任意という分類についても、これは基本方針を立てたときでも課題になっているので、これについては開発流通部会、あるいはこの部会のほうでさらに検討を重ねていき、よりいい方向に向けていきたいと思いますので、その辺は事務局のほうでノートをとっておいていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは、肺炎球菌の10価についての議論は以上にしておきたいと思います。

 それから、議題の2番目に入ります。「予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAについて」、これは前の基本方針部会のときから、あるいは今後の我が国の基本方針といったようなものを考えるときに、これは5年ごとに見直しをやろうと。しかし、できて2年これでたつわけですから、3年目に入っていく間に少なくとも中間報告を、中間的な今までどういうものができていて、どういうものができていないかというようなことについては、今後の策定に当たってできてくるので、それが必要であるということがありますので、議論をしようではないかということになっていました。

 そして、この予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAを議題に出したわけですけれども、これにつきましては、事務局のほうからまず御説明をよろしくお願いします。

○江浪予防接種室長 それでは、予防接種室長の江浪でございます。資料2に基づきまして、御説明をさせていただきます。「予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAについて」ということでございます。

 まず、予防接種に関します施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、予防接種施策に関する中長期的なビジョンを関係者が共有することによって、一貫性を持って予防接種施策が推進されることを目的に「予防接種法第三条第一項の規定に基づく予防接種に関する基本的な計画」というものが定められております。この基本計画におきまして、予防接種施策の実施状況並びにその効果、意義及び成果については、工程表を策定した上で分科会等の場で1年ごとにPDCAサイクルによる定期的な検証を行って、当該検証の結果を踏まえ必要があると認めるときは、5年を待つことなく本計画を見直すよう努めることとすると基本計画上されているところでございます。

 この基本計画に基づきまして、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会のもとに設置いたしました4つの分科会を定期的に開催いたしまして、予防接種及びワクチンに関する重要事項やワクチンの研究開発、生産流通に関する重要事項、予防接種による副反応に関する重要事項について調査審議、あるいは各疾病・ワクチンについて、予防接種法の定期接種に位置づけるかどうかということにつきまして、議論を進めてきていただいたところでございます。

 基本計画策定から2年が経過するということでございますので、これまでの厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会などにおけますこれまでの取り組みを踏まえまして、この基本計画に基づくPDCAサイクルによる定期的な検証というものの今後の進め方について整理することが必要ではないかと考えてございます。

 今回は、まず「今後の進め方」のところにつきまして御提案ということでございますが、これまでの厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会での取り組みを踏まえつつ、まずは基本計画に基づくこれまでの取り組み状況を整理した上で、基本計画に基づくPDCAサイクルによる定期的な検証の今後の進め方につきまして、この基本方針部会で御議論いただければと考えているところでございます。

 参考として、裏に予防接種に関する基本的な計画の該当部分をつけているところでございます。よろしくお願いいたします。

○岡部部会長 ありがとうございました。

PDCAサイクルというのは、よく企業のほうなどでも使っていると思うのですけれども、PDCAサイクルという言葉の理解、受け入れは大丈夫ですか。

 全体について説明をして、これは最初につくってきたときに正林課長がかかわっていたところなので、そのときのことも含めて何か一言あればお願いします。

○正林健康課長 これが入ったのはたしか岡部先生の御意見があったからだったと記憶していますけれども、きちんと行政の世界は計画を立てて、それを実行して、それを評価して、改善してというサイクルで行政というのは回るものなので、予防接種計画についてもそのようにしてほしいと。そんなことで計画の中に盛り込まれたと記憶しています。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 2年前を振り返ってみれば、随分いろいろなことがポジに動いてきたと思うのですけれども、やはりやり残しているというか、まだそこまで手が届かなかったというところもあるので、そういうところを整理していただいて、それを次の5年計画にのせるのか、あるいは5年のうちにやり切れるのか、あるいは、時間がたてばいろいろなことが変わってきますから、再度議論が必要なのか。そのようなことを取りまとめていただければと思うのですけれども、これについて何か御意見がありましたら、お願いします。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 一番最初にこういう議論が始まったときに、定期接種に導入するかどうか、幾つかのワクチンについてテーマがあったと思います。その多くが現在、定期接種化されているのですが、現在残っているワクチンがあって、おたふくかぜやロタウイルスワクチン、あと、成人の百日ぜき予防に関しても審議がその後なされていないと思いますので、既に定期接種化されたHib、肺炎球菌、HPV、水痘、高齢者の肺炎球菌の評価に加えて、そういうまだ検討されていないものもぜひ新たに検討を始めていただけるとありがたいと思います。

○岡部部会長 その課題としてのっていて、動いたものが多いけれども、残っているものについて、どうしてまだ残っているかということも、多くの方には理解できない部分もあると思うのです。本当に一握りの専門家は、まだできないのは、それはそうだろうというような理由がわかっていたりするのですけれども、そういうことも含めてまとめていただいて、この5年間、残りの2年間の基本計画の間に何ができるか、できないかというようなことを整理していただくということだと思うのですが、ほかに御意見がありましたら、どうぞお願いします。

 やるということについて、多分異論はないと思うのですけれども、それでは、これはこういう計画に従って進めていただくということで、事務局のほうでぜひ進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、議題の審議事項としてはこの辺になりますね。

 3番目、報告事項になりますので、1番から4番まであります。最初に「平成26年度予防接種実施率について」御報告をいただければと思います。

○氏家室長補佐 お手元に資料3-1を御準備ください。「平成26年度予防接種実施率について」御説明させていただきます。

 まず、この実施率に関しての数字の読み方でございますが、脚注に記載がございますが、対象人口を、当該年度に新たに標準的接種期間に達した人口。そして、実施人員を、当該年度に定期予防接種を実施した人数を取っているということで、双方の対象が全く同じになってございません。ですので、実施率を見ていただきますと、100%を超えるような数字も出てくるところでございまして、純粋に接種を受けた方の割合ではなく、あくまでトレンドを見ていくというような数値になってございます。その中で、平成26年度におけます予防接種実施率が集計されましたので、御報告させていただきます。

 この26年度におきましては、一番下に水痘、高齢者用肺炎球菌というものがございまして、これが26年度の10月から定期接種として新たに加わった予防接種でございます。接種率をごらんいただきますと、水痘の1回目が149.2%、2回目が46.3%と、かなり1回目の接種実施率が高く出ているところでございますが、この背景としましては、当該年度におきましては、対象年齢の1歳、2歳のほかに経過措置としまして3歳、4歳の方にも1回の接種を打っていただくというような施策をとりましたので、接種対象となる学年が多いというようなところがございます。

 また、1歳、2歳の方は2回の接種を受けていただくのですが、仮に任意の接種を既に1回受けているような場合は、2回目の接種として1回の定期接種を受けていただきます。制度としては、1回目の定期接種としてカウントされるというところがありますので、1回目と2回目の接種実施率に乖離が生じているところでございます。

 高齢者用肺炎球菌ワクチンでございますが、これは38.3%ということで、同年齢での接種を行っているインフルエンザと比較しますと若干低い数字になってございます。ただし、高齢者用肺炎球菌につきましては、この制度が始まる以前の201212月の時点で既に48%の自治体で助成制度を行っていたという経緯もございまして、既に接種を受けている方については対象から除外されるというような規定がございますので、そういった影響もあって、インフルエンザよりも若干低い数字ということになってございます。

 そのほか特徴的な数字として補足説明させていただきますと、ヒトパピローマウイルス感染症。これにつきましては、現在、積極的な接種勧奨の差し控えを行っているところでございまして、平成25年度の実施率、これは推移として資料をつけてございませんが、1年前は十数%の実施率でございました。それがさらに低下をして、といいますのも、25年度は7月までの数カ月間は定期接種として積極的勧奨を行っていたというような影響があるので、そういった差異もございます。結果として、平成26年度は、かなりHPVワクチンの実施率が下がっているというような現状がございます。

 そのほか、結核のところが97.7%、これは特段問題ない数字でございますが、昨年度の実施率が84.2%と低い数字になってございました。これは平成25年度から積極的勧奨の時期を生後5カ月から生後8カ月に変えたということがありまして、平成25年度のうち3カ月間は積極的勧奨をされる対象者がいなかったことによる影響で、特段、接種率が下がったというような状況ではないという議論がございました。それを証左するデータとして、26年度については97.7%に実施率がまた上昇しているというような状況がございます。

 本来は過去の実施率と合わせてトレンドで示すものですが、26年度のものだけになってしまって申しわけございませんが、こういった実施率になってございます。

 事務局からは以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 この実施率というものに対してコメントがありましたら、どうぞお願いします。

 多屋先生、何かありますか。

○多屋委員 ありがとうございます。

 トレンドを見るには非常にいいデータだと思っています。特に日本脳炎の積極的勧奨の再開直後は200とか非常に大きな数字だったのが、徐々に解消されてきて100に近くなってきているのかなと思っています。

 そういうトレンド以外の部分で1つよろしいでしょうか。DTの2期なのですけれども、実施率の値で74.6%と、4人に1人が受けていない数字になっています。実際に13歳の男性だったと思うのですけれども、2期と1期追加を受けそびれられていて、13歳で破傷風を発症された症例が最近のIASRに掲載されています。やはりこの2期のDTの重要性を考えますと、これはもう少し接種率を上げていく何らかの手だてが必要なのではないかと、この数字を見て思いました。

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 この2期のときのDTの特にTをやっておけば、これはかなり成人以降までもつのではないかと思うのですが。

○多屋委員 感染症流行予測調査事業が5年ごとに実施されているのですけれども、破傷風の抗毒素抗体もジフテリアの抗毒素抗体も非常にきれいに2期のところでブースターがかかっている結果が出ていますので、これはぜひ忘れずに接種していただきたいと思います。

○岡部部会長 破傷風は、今回の熊本の例を出すと申しわけないのですけれども、ああいう大震災のときの大けがというときには破傷風は必ず問題になってきて、それが3.11の東日本で破傷風に感染された方は全部、破傷風接種世代ではなかったというのがあって、破傷風接種世代は守られているというのがありますので、どんなときがあっても、けがをする可能性という意味では非常にDTの2期というのは貴重で、これはちょっと忘れかけられてしまうような気がするので、今、多屋先生がおっしゃったようなところで、ぜひ強調をしていただいて、自治体のほうもDTは必要なのだということを言っていただければと思います。

 後ろにおられる傍聴の方も、ぜひ破傷風の予防ということは、これを機会に啓発していただければと思います。ありがとうございます。

 ほかに。

 坂元先生、どうぞ。

○坂元委員 このDPTは、もう在庫がないと考えてよろしいのでしょうか。

○岡部部会長 これは事務局のほうで把握しておられますでしょうか。

○氏家室長補佐 事務局のほうから御説明させていただきます。

DPTにつきましては、過去の審議会でも御報告させていただきましたが、現在、製造販売業者のほうからの販売が終了している状況でございます。現在、DPTの製剤が特段必要な方に対する、厚生労働省の予防接種室のほうに御相談いただいた事例につきましては、必要に応じてDPTの残った製剤というものを、その必要な方にあっせんしていただくような対応を行っているところでございますけれども、この残されたロットというのも、ことしの7月には使用期限が切れるという状況がございます。

 ただ一方で、今年新たにDPTを5回目の接種として接種するという用法を一変として製造販売承認されたメーカーさんもございまして、そのメーカーさんの情報によりますと、今後また生産販売を再開していく予定があるというようなことも聞いておりますので、一時的に製剤の不足ということは起こり得ると思いますが、今後また販売が再開される見込みと聞いております。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 小森先生、どうぞ。

○小森委員 基本方針部会ですので、ヒトパピローマウイルス感染症のことにやはり言及せざるを得ないと思います。平成26年の1回目、2回目、0.7%という接種率に改めて非常に深い衝撃を受けているところです。また、厚生労働省におかれても、疫学研究を厚生労働科学研究としてされていることも承知をしております。大変国民的な課題になっております。この研究を含め、私ども日本医師会といたしましても、全ての医師と全ての医療機関を代表して、こういった研究に積極的に参加、協力をしてまいりたいと思っておりますし、何をもって科学的であるかということについて、拙速は避けなければならないとはいえ、時間を浪費するということがあってはならないと思っておりますので、御担当の方々が大変御苦労しておられることは重々承知をしておりますが、一層この問題について積極的に取り組んでいただきたい。日本医師会としても十二分に協力をしてまいりたいということを改めて申し上げて、この状態の改善に皆様のお力添えをいただきたいと思います。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 科学的な考え方ということでは、御存じと思いますけれども、先ごろ日本の学会の集まりである予防接種推進協議会というところで、現在の状況ということで意見書を出していますので、それも含めて全体のことを考えていただいて、先ほどの中間報告的な見直しの中でもHPVを今後どうするのだということはかなり喫緊の課題になってきているのではないかと思いますので、ぜひ検討していただければと思います。

 ほかにはよろしいでしょうか。

 もう一つ。では、これは最後にしましょう。多屋先生。

○多屋委員 先ほどのDPTのことなのですけれども、7月に期限が切れてしまうというのを私も把握しておりませんで、実は最近なのですが、看護師さんが海外の大学に留学するために、百日ぜきを予防するためのワクチンを接種してくるように言われたということで御相談がありました。現場ではなかなかDPTワクチンが入手しにくかったので、厚生労働省のほうにお願いをして供給を助けていただいたというのが最近ありましたので、7月に期限が切れてしまうと、例えば8月とかはもうそういう方がいた場合は選ぶものがなくなってしまうのか、その次のワクチンが8月には出てくるぐらいのタイミングなのか、教えていただければと思いました。

○氏家室長補佐 事務局よりお答えいたします。

 百日ぜきの抗原を含むワクチン製剤につきましては、DPT以外にも、DPT-IPV、四種混合ワクチンがございますので、仮に三種混合ワクチンの使用ができない場合、代替するワクチンとしましては四種混合ワクチンの使用が可能であるという状況があると考えてございます。

○岡部部会長 そこは多屋先生、あると思うのですけれども。

○多屋委員 先ほどのは看護師さんが大学に留学するということなので、18歳とか19歳なのです。現在、日本で四種混合は小児に制限されていまして、添付文書上は15歳までしか接種が認められていないので、接種するものがないということで、今の発言で、そういう場合は四種混合を年齢が19歳、20歳でも接種してもいいと厚生労働省のほうで言っていただけるのであれば大丈夫だと思うのですけれども、それはちょっと今、思いました。

○氏家室長補佐 製造販売承認事項につきましては部局が異なりまして、当然、安全性、有効性について承認した、つまり申請の審査を行った上で承認を行った事項としましては、御指摘のように小児における承認ということに限定があるというところはあると認識しています。

 ただ一方で、予防接種自体が自由診療といいましょうか、一般的な保険診療や定期接種ではなく、任意の接種として実施がされているところでございますので、医師の判断と被接種者の同意をもって、接種を受けることができないものではないと理解してございます。

 また、一部のクリニック等では、日本に製造販売承認がないような製剤について、薬監証明制度等を使って被接種者に必要なワクチンの提供を行っているというような現状もあると聞いてございます。そういった特殊な対応につきましては任意接種の範囲になってきますので、国内での流通がある製剤でどのように不測の事態に対応できるのかということは、接種医と被接種者などの関係者間でよく協議の上で決めていく必要があると考えてございます。

○岡部部会長 なかなか添付文書と実際の部分の難しいところなので、ここで全部解決がしにくいだろうと思うのですけれども、エクスパイアになった期限を過ぎたものはやはり使えないので、これについては先ほどの再開をするということも含めて課題としては残ってくるだろうと思うのです。実施上はちょっと難しいかもしれないので、よほど患者さんとよく話し合うか、あるいは現地でやっていただくかというようなことになってきてしまうのではないかと思います。ここで余り全部議論はできないので、応用問題として課題を残しておきたいと思います。

 それから、私もちょっと言い忘れてしまったのですけれども、DTの問題のところでちょっと先生もおっしゃっていたDPTにすべきではないかというのも一つ大きい課題が残っているので、これも基本方針を考える中での一つの課題として取り上げておいていただきたいと思います。

 それでは、時間の限りもありますので進行していきたいと思うのですが、議題、報告事項のマル2で平成28年度における日本脳炎の積極的勧奨の差し控えに対する2期接種の対応について、これも事務局のほうから報告をお願いします。

○氏家室長補佐 それでは、資料3-2と参考資料4から6について、あわせて事務局から御説明させていただきます。まず、資料3-2をごらんください。「平成28年度における日本脳炎の積極的勧奨の差し控えに対する2期接種の対応について」というところでございます。

 この2期接種の勧奨の差し控えに関しましては、もともと定期接種において、平成17年5月30日に、以前使用されていたマウス脳由来ワクチンの接種後にADEM(急性散在性脳脊髄炎)の発生があったということを踏まえて、積極的勧奨の差し控えが行われたところです。

 そして、現在使われている細胞培養による「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」が薬事承認されて、これが定期接種に使用される際に、1期接種の積極的勧奨の差し控えを平成22年3月31日に終了して、ワクチンの供給状況を踏まえ、順次積極的勧奨を再開していくというようなことが議論されてございました。

 その勧奨の再開の方法につきましては、小委員会第3次中間報告というところで、この2期の接種については平成28年度に9歳となる者から順次、通常の時期に2期接種の積極的勧奨を実施すべきというような御意見をいただいておりまして、その再開を準備していたところでございます。

 また、勧奨の影響を受けた方につきましては、平成17年度から21年度に9歳であった方に対して、2期の積極的勧奨が十分に行われていないということで、25年度より、当該年度に18歳となる方について、2期接種の積極的勧奨を行ってきてございました。

 当然、予定通り今年度から2期接種の勧奨が準備されていたところでございますが、昨年度は化血研さんの製剤が一時出荷自粛されるというような対応があったことから、前回の部会では、安定供給の観点で2期接種の積極的勧奨再開の審議ができなかったということを踏まえまして、28年2月26日の感染症部会で、化血研製剤の日本脳炎ワクチンが出荷自粛の解除要請を受けて、以降の出荷自粛が解除されたというようなことを踏まえて、3月に2期の積極的勧奨差し控えの解除、積極的勧奨の再開というものについて、基本方針部会委員の了承を得た上で、3月30日の健康局長通知で取り扱いを定めさせていただいたという経緯がございます。

 中身としましては、ここに記載されているとおりでございますが、平成28年度以降に9歳に達した者に対して、2期接種の積極的勧奨を行うこと。平成28年度に18歳となる者については、平成28年度中において2期接種の積極的勧奨を行うこと。そして、その他、積極的勧奨の差し控えが行われた期間に定期の予防接種の対象者であった方のうち、1期接種を完了した者については、市町村等の実施可能な範囲で2期接種の積極的勧奨を行っても差し支えないこと、このようなことが記載されているところでございます。

 続きまして、参考資料5について御説明をさせていただきます。こちらは、平成28年、そして熊本地震による影響について、ワクチン製造販売業者の化血研が、今回の地震による被災の状況、影響についてプレスリリースを行っているものでございまして、それが4月15日、21日、5月6日に発出されてございますので、それを資料としておつけしたものでございます。

 内容としましては、4月15日には、被害状況及び今後の対応について記載がされているところでございまして、4月21日のプレスリリースには、設備等に被害があり、操業再開のめどが立てられない状況であること。震災復旧プロジェクトを立ち上げ、状況確認及び復旧作業に当たることなどが報告されているところです。さらに、5月6日には、6月上旬を目途に震災復旧プログラムを策定する予定であるということが報告されているところでございまして、厚生労働省としましては、製剤の安定供給の観点から、被災の状況やワクチン在庫の状況、今後の製造への影響など、情報を収集しているところでございます。そういった情報を踏まえて、引き続き、製剤の安定供給に支障がないよう取り組んでいきたいと考えてございます。

 参考資料6について御説明させていただきます。4月26日に、定期接種に使用されているBCGを提供していただいています日本ビーシージー製造株式会社に対して、医薬品医療機器法の規定に基づき業務改善命令がなされましたので、その点についての御報告でございます。

 2ページ目に、行政処分において認定された違反事実として2つがあります。1点目として、届け出エリア外でBCG菌の培養を行っていたということ。2点目としまして、製造工程及び品質検査にかかわる承認書との相違ということで、乾燥BCGワクチンにおける培養に用いる水を、水道水を精製したものより高純度の水を用いるように変更した際、不足したミネラル類を補充したことの変更に関する記録記載及び届けが不十分であったこと。また、不溶性微粒子試験を標準的な試験方法に準じて行っているものの、その記録、記載及び届け出が不十分であったこと。加えて、無菌試験の変更届け出が未整備のまま、中間段階での試験が行われていなかったこと。輸出用医薬品について、そして上記の違反に対して是正措置が行われていなかったことということが確認されたところでございます。

 その上で、処分内容に関しましては、5点について業務改善命令がなされているところでございまして、詳細については割愛をさせていただきます。

 なお、今回の違反の製品の有効性及び安全性は重大な影響を与えるものではなく、また、処分による出荷停止等は行われていないということから、定期接種に必要なワクチン供給について影響はないというような状況でございます。

 事務局からは以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 幾つかの報告事項をまとめてやっていただきましたけれども、この報告事項について何か御質問、コメントがありましたらお願いします。

 小森委員、どうぞ。

○小森委員 確認なのですが、化血研の問題を初めとして、今回の日本ビーシージー製造株式会社の事案等を踏まえ、ワクチンの製品そのものに対する国民の不安の声が大変高まっているところですが、厚生労働省として、血液製剤もそうであろうかと思いますが、ここは予防接種・ワクチン分科会ですので、ワクチンを製造されるメーカーに対して自主点検の上、報告ということは求めているという理解でよろしいのでしょうか。

○氏家室長補佐 事務局のほうからお答えいたします。

 参考資料6のプレスリリース自体の照会先といいましょうか、発出先が他部局となってございますが、御指摘のように、こういった事例があったことを踏まえて適切な対処というものが行われていくものと考えてございます。

○小森委員 確認なのですが、既にそういった自主点検並びに報告を求めているかということでございます。

○正林健康課長 我々の部署ではないのですけれども、医薬・生活衛生局のほうで、ワクチンメーカーに限らず、全ての医薬品メーカーに対してそうした点検を求めているところです。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 ほかにはよろしいでしょうか。

 局が違うのであれだと思うのですけれども、輸出用の医薬品というのは日本の製造規定に従って承認等々を得なければいけないのですか。向こうに一致をしていればいいような気がしたのですけれども、これはこの委員会の質問ではないから、今、すっと答えなくても結構ですけれども、もしわかっていたら。

 では、後で教えてください。

 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。

 小森委員、どうぞ。

○小森委員 全体を通してなのですが、先ほど沈降10価ワクチン等について、中耳炎のことについて、耳鼻咽喉科であるということもございまして、再三再四御質問と御確認をさせていただきました。この製剤は昨年の3月5日に開催された医薬品第二部会において承認をされるという議事録も公開されておりますが、その中でも中耳炎の有効性について議論がされているところであります。

 ここに出された資料というのは、ホームページ上では公開をされておりませんが、PMDA等が出された資料等については公開されているのでしょうか。非公開なのでしょうか。

○氏家室長補佐 御回答させていただきます。

 製剤に関する審査の報告書に関しましては、一部、企業の機密事項等にかかわるものにつきましては黒塗りされてございますが、その審査報告書自体はPMDAのホームページで公開されているところでございます。

○小森委員 かなり深いところにあるので、相当熱意がないとたどり着かないのですが、お願いなのですけれども、今回の沈降10価型肺炎球菌ワクチンについては、やはりこれを定期接種化するかどうか等の問題に、中耳炎に対する有効性ということが非常に大きなファクターであったと思います。でき得れば参考資料として、もしここに提出され得るものであれば、その資料は提出していただきたい。私も、やはりそれを読ませていただいたということが最大の意見を固めるための根拠になりましたので、そういった配慮を、全てこういったところにそれを出せとお願いしているわけではありませんが、審議内容によりましては、部会長とよく御相談をされて、必要な場合には提出をお願いしたいと思います。

○岡部部会長 そのような要望あるいは資料がありましたら、よろしくお願いします。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 先ほど多屋先生が、いわゆる百日ぜきのワクチンの必要性で、4価は15歳までで、氏家補佐の回答では、端的に言えば医師の裁量権という話だったと思うのですけれども、以前、自治体のほうでも、いわゆる適応外の使用に関して問い合わせた事例に関しては、禁忌事項に入っていなければ医師の裁量権が認められる。では、それに対して副作用が起きた場合にどうなのかと聞いたら、医薬品の救済機構のほうでは、適応外だからといって一律に排除するものではないと、学術・医学的根拠があって使用された場合には検討はしますという回答であったかに思っておりますので、多分その辺を氏家補佐はおっしゃったのかなと思います。

 そうですか。

○氏家室長補佐 はい。事務局としてもそのように認識してございます。

○岡部部会長 コメントありがとうございました。

 それでは、ほかに何かありますか。

 どうぞ。

○小森委員 日脳のワクチンのことでございますが、標準的接種期間が3歳からということになっている反面、薬事承認上は6カ月から接種が可能となっていることは御承知のとおりであります。千葉県でしたでしょうか、幼少の患者さんが発症したことから、日本小児科学会もホームページ上で意見を出されているところであります。必ずしもそういった事実を確実に私は承知しているわけではございませんけれども、そういった事例について、実施主体である市町村が標準的な接種時期以外のときにそういった患者さんが発生をした周辺の地区あるいは流行地区から帰国された方々等を含め、危険性が高いと判断された場合の接種について、定期接種と認めがたいという判断をされているという、そういったことも懸念をされると思いますので、厚生労働省担当部局におかれましては、ぜひそういったことに対して、実施主体である市町村に対して正しい情報を周知徹底していただきたい。これは要望でございますが、よろしくお願いします。

○岡部部会長 今のは定期接種としてできるけれども、標準期間はこのぐらいなので、標準期間から外れた人を定期接種外だというような説明が時々自治体であるというのがどうも聞こえてくるので、それは排除していただきたいということだと思います。小児科学会がその意味でアナウンスをしているのですけれども、それにかかわった多屋先生、何か。小児科学会の日本脳炎に対する考え方です。

○多屋委員 私は、生後6カ月から3歳までの間は定期接種として認めないとはっきり回答されているところがあるというのが逆にちょっと驚きでした。実際にゼロ歳の方が発症されましたので、そういうところでは、生後6カ月から定期接種で受けられるという情報を正しく伝えていただきたいという趣旨が小児科学会のホームページにはあると思いますので、逆に驚きました。

○岡部部会長 補佐、何かありますか。

○氏家室長補佐 日本脳炎の定期接種につきましては、予防接種法の政令上、生後6月から対象となっているところで、生後3歳を標準的接種年齢と実施要領で規定はしてございますが、当然、生後6月以降であれば定期接種の対象となると認識してございます。

 具体的なところで、例えば既に任意で接種を受けてしまったものを、後から定期接種として認めてほしいとか、そういった行き違いがもしかしたらあるのかもしれませんが、もし仮に生後6月以降で接種を受けていない方を定期接種対象と認めないというような回答が明確にあれば、それは予防接種法上の規定と異なる回答となってしまいますので、そういったことがありましたら、厚生労働省のほうからも適切な情報というものを提供させていただきたいと思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 それでは、そろそろ議論も終了だと思うので、予定時間は16時までですけれども、少し早目で。

 多屋先生、どうぞ。

○多屋委員 すみません、ここで質問していいかどうかわからなかったのですが、B型肝炎ワクチンの定期接種は10月から始まると決まったと思っていてよろしいですか。そろそろ4月生まれの方が6月から生後2カ月になるので、そういう質問が時々あって、どう答えていいのかちょっと困ったことがあったので、教えてください。

○岡部部会長 では、これは事務局のほうから。パブコメがもう終わったぐらいでしたか。

○氏家室長補佐 そのとおりでして、B型肝炎を定期接種として実施するためには予防接種法上の政令・省令改正が必要になってございまして、この改正にかかわるパブリックコメントというものを今、いただいているところでございます。その意見をいただいた上で、また、安定供給の観点での検討というものも加えた上で、政省令改正をさせていただいて、分科会でも議論がございましたように、特段の問題がなければ10月からの定期接種化ということを予定しているところでございます。

○岡部部会長 よろしいですか。

 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、一応、会は終了ということで、ちょっと私のほうから一言、氏家さんについていいです?氏家補佐には長い間医系技官としてこの予防接種にかかわっていただいきましたが、残念ながら、来週からWHOのワクチン関係のほうに赴任されるということになりました。御苦労さまでしたということを一言申し上げたいと思います。そして氏家さん、元気で行ってきてご活躍ください。

○氏家室長補佐 ありがとうございます。

○岡部部会長 それでは、正式に終わります。ありがとうございました。

 事務局のほうから何か、次回その他アナウンスがありましたら。

○大林室長補佐 次回の開催については、追って御連絡させていただきます。

 本日は急な対応が入りまして、事務局のほうが一部途中で退席しましたが、大変失礼しました。

○岡部部会長 それでは、終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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