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2016年4月21日 第19回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成28年4月21日(木)15:00~17:00


○場所

グランドアーク半蔵門 華の間(3階)


○出席者

井口、田中、藤井、堀田、山本

安藤、重澤、東、平川、桝田(敬称略)

○議題

1.消費税負担に関する関係団体ヒアリング
2.その他

○議事

○西嶋介護保険データ分析室長 定刻となりましたので、第19回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。

 初めに本日の委員の出席状況でございますけれども、千葉委員から欠席の御連絡をいただいてございます。また、本日実施するヒアリングの立ち会いといたしまして、介護給付費分科会の齋藤委員がお越しになられる予定となってございます。

 また、本日はヒアリングを行いますため、関係団体の方々にもお越しをいただいておりますので、後ほど御紹介させていただければと思います。

 それでは、議事に入ります前にお手元の資料について確認をさせていただきます。

 議事次第、委員名簿の後に

 資料1 消費税負担に関する関係団体ヒアリング 出席者名簿

 ヒアリング資料1 10%増税時に対応すべき事項

(全国老人福祉施設協議会)

 ヒアリング資料2 消費税負担に関する関係団体ヒアリング資料(案)

(全国老人保健施設協会)

 ヒアリング資料3 消費税負担に関する関係団体ヒアリング

(日本慢性期医療協会)

 ヒアリング資料4 介護保険サービスに関する消費税の取り扱い等について(意見)

(日本認知症グループホーム協会)

 ヒアリング資料1~4は各団体から出された資料でございます。

 また、4団体より意見書をいただいてございます。

 意見書1 介護保険サービスに関する消費税の取り扱い等について(意見)

(全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会)

 意見書2 消費税引き上げに伴う介護報酬における対応について(要望)

(日本薬剤師会)

 意見書3 介護保険サービスに関する消費税の取り扱い等について(意見)

(日本看護協会)

 意見書4 消費税率10%への引き上げに関する意見

(日本介護支援専門員協会)

 参考資料1 消費税負担に関する関係団体ヒアリング・実施要領について(案)

 資料の過不足等がございましたら、お申しつけいただければと思います。

 では、以降の進行につきましては田中委員長にお願いいたします。

○田中委員長 皆さん、こんにちは。

 委員の方、また関係団体の方、お越しいただきましてありがとうございました。

 本日は前回に引き続き、消費税負担に関する関係団体ヒアリングを目的としております。

 関係団体の方々から、消費税負担の現状等に関して御意見をお伺いいたします。

 事務局より御紹介をお願いします。

○事務局 それでは、資料1をご覧ください。本日のヒアリングにお越しいただいております関係団体の方々を順に御紹介させていただきます。

 名簿の上から順に、全国老人福祉施設協議会、介護保険事業等経営委員長、桝田様でございます。

○全国老人福祉施設協議会 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、全国老人保健施設協会会長、東様でございます。

○全国老人保健施設協会(東会長) よろしくお願いいたします。

○事務局 同じく副会長、平川様でございます。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) 平川です。よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、日本慢性期医療協会副会長、安藤様でございます。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) 安藤です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○事務局 日本認知症グループホーム協会常務理事、繁澤様でございます。

○日本認知症グループホーム協会 繁澤です。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 以上の方々にお越しいただいております。

 また、先ほど御紹介しましたが、4団体から意見書が提出されております。

 なお、前回の委員会におきましては、資料1の下に記載しております5団体からヒアリングを実施したところでございます。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ヒアリングの実施に当たり、今回実施するヒアリングの趣旨等について、もう一度確認しておきましょう。

 事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料の最後に添付しております参考資料1をご覧ください。

 最初に、今回のヒアリングの趣旨でございますが、平成29年4月に予定されております消費税率の引き上げに伴いまして、介護保険サービスに関する消費税の取り扱い等について検討を行うため、介護事業経営調査委員会におきまして関係団体等に対して消費税負担の現状についてヒアリングを実施するものであります。

 次に、ヒアリングの項目としましては、消費税率8%への引き上げ時の対応の評価と消費税率10%への引き上げ時の対応に関する御意見ということでございます。なお、 印でございますが、今回のヒアリングにつきましては、介護保険事業に係る控除対象外消費税負担の現状についてお聞きするものでありまして、介護事業の経営や報酬全般についてのヒアリングを実施するものではございません。

 次に、ヒアリングの実施方法でございますが、事前に各団体より御提出いただいた意見要旨を資料配付いたしまして、これに沿ってヒアリングを行います。各団体からの意見陳述が一通り終わりました後、必要に応じて委員から御質問するという形式とさせていただきます。ただし、意見陳述の内容についての議論は行わないこととさせていただきます。なお、意見陳述は書面のみでも可としておりまして、書面提出のみの団体が4団体ございますので、資料として配付させていただいております。

 最後に、本日のヒアリングの結果につきましては、介護給付費分科会に報告をいたします。また、希望により、分科会委員の方の立ち会いもできるとされておりまして、本日は齋藤委員にお越しいただいているところでございます。

 ヒアリングの実施団体につきましては、裏面に記載しております関係各団体に事前に照会をいたしまして、ヒアリングの御希望がありました団体について実施するというものでございます。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 早速ですが、全国老人福祉施設協議会から順に意見陳述をいただきます。なお、時間の都合上、意見陳述は1団体10分程度でお願いいたします。

 では、よろしくお願いします。

○全国老人福祉施設協議会 全国老人福祉施設協議会でございます。

 8%になったときの評価の問題ですけれども、8%になったとき、介護老人福祉施設と地域密着型の介護老人福祉施設という2つの項目で分かれました。

 ショートステイはちょっと別物として考えまして、それで報酬改定のほうに反映していただいて、トータルとすればおおむねよかったのですけれども、ただ、この分け方の問題が少し浮上してきました。やはり地域密着型と普通の介護老人福祉施設の中でも従来型とユニット型の違いという部分のほうが、費用構造的にも大きいのではないかと。

 今般、平成27年4月の報酬改定で従来型個室、従来型多床室、ユニット型個室という報酬体系にきれいに整理ができましたので、消費税10%対応のときは従来型とユニット型という部分で分けた推計をしていただいて、その影響の分析をしていただきたいというのが要望でございます。

 それともう一つ、今、介護人材は非常に人材難のところがございまして、派遣職員がだんだんふえてきております。人件費の中に派遣職員の給料が含まれており、この部分に消費税がかかりますので、ちょっとここを抜き出して、この人件費中の派遣職員の支出についてはチェックをお願いしたいと思っております。

 消費税対応の部分はこれがメーンなのですけれども、大きな問題としましては、いわゆる介護報酬以外に切り出された食費と居住費の問題でございます。基準費用額の問題で、ずっと同じ金額で来ておりますけれども、ここに来て光熱水費の高騰などいろいろな問題で、非常に実態と乖離した状況が続いています。それで食費についても居住費についても、基準費用額の見直し、消費税対応の部分に加えてもともと持っています「いわゆる費用の中身」の問題で検討をお願いできたらと思っています。

 食費に関しましては3施設、同じ金額で決められておりますけれども、ちょっと計算上、違いがあるのではないかと。施設種別で設定できるのであれば一番実態を反映するのですけれども、もし全体で同じ金額という設定になるのであれば、前回、最初に設定されたときは3つの施設、3類型の部分で同じ食費の金額を出して、単純平均の金額で設定されています。ここの部分の金額設定は単純平均ではなく加重平均でお願いしたいと思っております。

 あとは資料的な部分として、光熱水費の変化の部分などをそこにつけております。全体としてはこの10%対応のときに、消費税が絡むものと絡まないものの比を出すというのは非常に難しい問題が生じてくると思います。特に食費、居住費を切り分ける方法の問題と、食費に関しての大きな問題としましては、委託業者に出しているケースが今、特別養護老人ホームのほうでも50%を超えております。委託をお願いした場合に、いわゆる人件費が、直営の場合は非課税だけれども委託の場合は今回だったら10%になる。そこで食費を設定するときに、平均をとらざるを得ないところが出てきますので、経費的に非常に大きな違いが出てくるというのが、この、消費税が上がった場合の大きな問題点となるのが目に見えております。そのあたりについても、どうするかというご議論をお願いできたらと思っております。

 全国老施協としては以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 続いて全国老人保健施設協会より発表をお願いします。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) 全国老人保健施設協会の副会長、平川でございます。

 全老健といたしましては、従前から出ております食費、居住費の基準費用額につきましては、消費税の引き上げ及び物価上昇等を見た上で引き上げていただきたいと思っておりますし、また、区分支給限度基準額も介護報酬の上乗せ具合に対応して引き上げていただきたいということは変わりません。そのことは、今回はおいておきまして。

 ここからは、今回のヒアリングのテーマに沿って老健施設について少しお話ししたいと思います。お手元の資料の1ページ目をご覧ください。1番、消費税5%から8%への引き上げ時における対応の評価でございます。アンケート調査を行いまして、その結果をご覧の円グラフで出しておりますが、結論から申し上げますと、ほどほどによかったということで、すごくよかったとか、とんでもなく悪かったという評価は出ておりません。なかなかこれは評価の仕方も難しいとは思いますが、大きな不満や異議はなかったと我々も理解しております。

 次のページに行きまして、消費税8%から10%への引き上げの対応でございます。ここでは、具体的な数値を挙げて消費税引上げの影響を示してみました。平成26年度の収支につきまして、全老健にて調査を行ったものでございます。平成26年度での収入が施設運営事業収益としては5億2,352万円。支出といたしましては、施設運営事業費等で4億9,671万円でございました。うち消費税課税対象費用額は1億2,859万円でございます。

 その内訳は、医薬費が約1,235万円、給食材料費で1,800万円、施設療養材料費や施設療養消耗器具備品費で420万円、その他材料費532万円、委託費4,153万円、水道光熱費4,700万円、等々となっております。この支出に関する消費税額としては952万円になりますが、控除対象外消費税は、一括比例分配方法を用いて計算すると、約932万円となります。この932万円をベースに今回の10%引き上げを試算してみますと、控除対象外消費税の額は年間1,166万円となりまして、現行より234万円増ということになります。本来なら消費税は最終消費者が払うべきものですが、現状では施設が負担する形になっており、さらに消費税が10%にあがることにより、これだけの差(増額)が出てしまうということを、数字として出しておきます。

 もう一つ我々、老健施設において問題がありますのは、老健施設というのは、いわゆる箱物サービスといいますか建物があって、その上でなりわいを立てているわけです。老健施設も老人保健法ができて30年経ちました。だいぶ時間が経っており、次のページにございますように、できて大体15年ぐらいたった施設の多くは、何らかの修繕等が必要となってきております。

 その声は前から聞いておりまして、報酬については今日のここのテーマではないのですが、かなり厳しい介護報酬改定の中でやりくりしながら修繕費用等を出資しているのが現状です。左側の円グラフは、過去10年間に建物関係の補修を行った実績です。それから下のブルーの棒グラフを見ますと、建物、建物附属設備等の修繕・補修の経費は、1施設平均おおむね1億を超えて1億2,000万円程度、この10年間で出資しております。手をかけなければ安全で快適な老健施設の生活が営めないということで、これぐらいの額を補修にかけております。

 また、もう一つは、これから先ですけれども、やはり喫緊の課題としてさまざまな補修・改修をしなければなりません。雑駁に、私どもの施設のことを言いますと、例えばエアコンで大体2,500万円。それから給排水関係で2,000万円ぐらい。それからエレベーター工事で2,000万円ぐらい。それからナースコールというものがございますが、これは1,000万円ぐらい。ボイラーで600万円。機械浴、これは補助金もありますけれども500万円ぐらいかかるということで、結構高額なお金が出ていきます。

 なぜこんなに補修費がかかるのかなと思ったのですけれども、余談になりますが、やはりこれはかなり日本の就労形態が変わってきていて、リーマン・ショック以来、職人を育てるというのが余りなかったものですから、前でいけばこんなお金をかけずに修理・補修ができたのです。最近、修理や補修をお願いしますと、やってくれる職人さんや技術者がいないから、修理ではなく、ほとんどがそっくり入れかえになってしまいます。例えばナースコールで1,000万円と聞いて、びっくりしたのですが、これは今、日本には2社しかなくて、修理をする職人さんがいらっしゃらないので、総入れかえになってしまう。

 こんなところに日本の就業形態の変化が影響しているのかなと思って、この辺は全然予想もしなかったような額ということで、これから先、老健施設は地域包括ケアシステムの中で、中核的な働きをしようと思っているのですが、やはり箱物としてしっかりしたものをつくっておかなければ、震災もそうですけれども、手抜きでの補修はできないと思っています。こういった点で介護保険の中の箱物サービスとしては資金が必要だということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 続いて日本慢性期医療協会からお願いいたします。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) 日本慢性期医療協会の副会長の安藤でございます。私から概略を説明して、最後の非課税の返還方式について、日慢協の政策提言委員会の船本委員から補足をさせていただきたいと思っております。

 日慢協は慢性期の医療を中心として、老健や特養などさまざまな介護事業をさせていただいておりますので、そのような関係で消費税の問題も非常に大きいわけでございます。

 2ページ目をごらんください。これは皆さん御存じのデータですけれども、消費税が5%から8%まで上がったときです。この赤い括弧のところで病床規模別に見てみますと、これは急性期から慢性期もごっちゃになっておりますけれども、全体の補填が76.2%です。規模が大きくなるほど補填率が下がっているということです。この要因としては人件費の割合や減価償却の違いが影響していると思っています。

 3ページをごらんください。その中で、介護保険に関係するところ。介護療養型医療施設のデータがないものですから、私の病院のデータを出させていただきました。介護療養型が162床ありますが、補填率が一番下に書いてあるように86.9%ということで、大体同じぐらい、平均ぐらいかなと。どちらかというと、ちまたに出るデータでは慢性期の病院、あるいは精神科の病院は補填率が高いという話もありますけれども、このデータを見ると平均的だと思っております。

 4ページ目をごらんください。今後、介護療養型医療施設においては改築の時期、リニューアルの時期を迎えてまいります。介護療養型がそのまま残ればいいのですけれども、他の選択肢として新類型の問題もあります。そこでまた設備投資が必要ですので、その辺もしっかり考えていかなければならないかなと思っています。

 5ページ目をごらんください。やはり大きいのは不動産、特に建物に関しては非常に消費税もかかってきておりますし、その他、建築物は不動産取得税、消費税、それから固定資産税、これを40年間ぐらいずっと蓄積しますと、不動産価値の80%以上の税金を支払っているというような現状もございます。

 6ページ目をごらんください。そういうことを含めますと、病院の運営資源の中での施設整備にかかわる負担というのは、これからまた消費税が上がるごとに大きくなってきます。

 7~8ページはデータですけれども、やはりこの控除対象外消費税の中での設備投資の部分が非常に大きいということが言えると思います。

 9ページ目は、資産にかかわる控除対象外消費税の負担の考え方でございます。病院と福祉施設の工事の実態に関しては、官民合わせて約3兆円となっております。その中での資産にかかわる控除対象外消費税が約2,850億円ということでございまして、今後また建築費もどんどん高騰してくる中で、地域医療構想によるさまざまな医療施設の転換、地域包括ケアのシステムの充実に関しては、やはりここはしっかり押さえていかなければならないところかなと思っています。

1011ページはこのデータでございます。

 まとめですけれども、今後消費税がどんどん上がってきた場合、ちょうど民間病院のリニューアルの時期を迎えてきて、それが不可能になってしまう。日本の病院の70%以上は民間が行っているわけですから、そこの部分をきちんとしていかなければならない。特に病院建築に関しては非常に重点を置かなければならないと思っております。

 そういうことで、日医と四病協でも提言をさせていただいておりますけれども、今後、診療報酬や介護報酬の補填だけではなくて、建物あるいは大規模な機器に対する投資に関しては、控除対象外消費税の負担について非課税の申請返還方式、例えば予算の措置による補助金方式などで負担の軽減を行う必要があるのではないかと、このように日慢協は提言しております。公的病院は非常に多額の補助金等が入っておりますので、ぜひ民間の投資に関してもその辺を考慮していただければありがたいと思っております。

 では船本委員から、この方式についての補足をお願いいたします。

○日本慢性期医療協会(船本委員) 委員の船本より、補足説明をさせていただきます。

 今、安藤委員からも御説明がありましたように、非課税申請返還方式をもって建物・大型医療機器等の施設整備にかかわる控除対象外消費税に関しまして、何らかの形で対応していただく中の一つの策としての申請返還方式でございます。言葉どおり非課税の状態で計算すると必然的に控除対象外が発生するわけでございますが、しかしこの控除対象外の部分について経常経費での補填というのは今現在なされていないというところで、先ほどの2,850億円ぐらいというパブリックデータをもとに推計されるところでございます。

 詳細を見ていきますと、当然、建物に関するものでもさまざまな償却期間等々の設定がございますので、そういったところをしっかりと、介護事業者の方もデータを既にお持ちなので、純粋に一旦控除対象外の数値をしっかり計算し表に出した上で、これを申請することをもって、この金額を何らかの形で補填していただく。そういったことを予算措置によって何らかの形で補助金方式でできないかというところを、日本慢性期協会としては御提言申し上げたいと存じます。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) 以上でございます。どうもありがとうございました。

○田中委員長 ありがとうございました。

 最後になりましたが、日本認知症グループホーム協会からお願いいたします。

○日本認知症グループホーム協会 日本認知症グループホーム協会の繁澤でございます。

 当協会のヒアリング資料は1枚物で何のデータも入っているものではございませんが、当協会内のアンケート等の結果を踏まえて意見を述べさせていただきたいと思います。

 きょうは介護報酬の議論ではありませんが、必要な範囲内でグループホームの経営の実情について簡単にお話しし、そして意見を述べさせていただきたいと思います。

 資料のほうには載っていませんけれども、昨年度、当協会で介護報酬の改定影響度調査を実施しました。それを見ますと、全体の収支状況で約4割の事業所が赤字になっているということが判明いたしました。過去に実施しました平成25年度調査のときの赤字事業所26.6%と比較しましても、非常に赤字事業所がふえているということが推察されます。グループホームというのは特に1ユニット、2ユニットの小さな規模で運営している形態が非常に多いわけですけれども、1ユニットのみを経営する事業所では、約5割の事業所が赤字となっていまして、小規模な経営主体の経営状況はより厳しく深刻なものになっているということであります。このような状況を踏まえまして、認知症グループホームにとっては消費税にかかわる負担も看過できないものであると認識しております。

 その点を踏まえた上で、まず1点目の消費税率8%への引き上げ時の対応の評価についてでございます。当協会のアンケートでは、過去2年間に高額投資がなかったグループホームにおきましては、介護保険事業にかかわる控除対象外消費税について、おおむね介護報酬の上乗せによって補填されたという意見が多くございました。一方で、過去2年間に高額な投資があった事業所に関しましては、控除対象外消費税について介護報酬の上乗せでは十分に補填されなかったという意見や、あるいは補填されたかどうか十分把握していないという意見が多く見られました。

 この高額投資の事業所の状況について、その中身を見ますと、福祉車両の購入、入浴リフトの導入、スプリンクラーの設置、事業所の増改築や修繕費用等で、金銭的には1事業所当たりの総額が100万円以上というような額になっています。また、事業者の手続上の税務申告等の新たな負担というのはありませんでした。

 次に2点目の、来年度から予定されている消費税率10%への引き上げの対応について。当協会の意見としましては、事業者の手続上の負担、あるいはグループホームの設備投資の状況等を考慮しますと、前回と同様にグループホーム経営者の負担増加分に見合う介護報酬の基本単位数の上乗せ対応を基本とすることでよいと考えております。

 しかし一方で、高額な投資がある事業所においては、消費税率引き上げに伴ってさらなる負担が生じる可能性があります。先ほど来、建物修繕等の御意見が他団体の方からも出ておりましたけれども、ことし初めに当協会内において各地で実施した会員との意見交換会などの場でも共通した意見の一つとして出ていたのが、介護保険制度の創設から16年が経過しまして、多くのグループホームで建物や設備の修繕が必要となってきている。あるいは、もともと民家改修で開設したグループホームの修理、こういったところに高額な費用がかかる。その捻出をどうしたらいいのかという問題が起こっています。

 そういうことを考えますと、今後、建物・設備などの修繕、あるいは建てかえなどに伴う高額投資が少しふえてくるのではないかということが予想されます。その場合に、小さな事業体でありますグループホームの場合は、経営に及ぼす影響が非常に大きく、この点を考慮していただいて、個別の案件に対する介護報酬とは別建ての高額投資対応ということも御検討いただければと考えております。

 最後になりますけれども、介護事業経営概況調査や介護事業経営実態調査など、調査期間を初めとして、より正確な経営実態の把握ができるように、その方法が見直されることについて決まっておりますが、当協会としてもよりリアルな認知症グループホームの経営の現状が反映されるものと期待しております。調査への協力をお約束して、意見といたします。

○田中委員長 どうもありがとうございました。

 なお、このほかに4つの団体から書面にて意見を提出いただいております。こちらの説明を事務局からお願いします。

○事務局 それでは、意見書として4団体から提出されておりますので、順に読み上げる形で御紹介させていただきます。

 まず、意見書1としまして、全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会からの御意見でございます。

 平成29年4月に予定されている消費税率引き上げに伴う介護分野における対応については、高齢者の生活の質の確保や尊厳の保持の観点から、介護保険サービスの安定した供給が保たれるよう、介護事業者の負担増に配慮し、平成26年4月の消費税率引き上げ時と同様に、次回改定で消費税分を補填する上乗せ等、必要な措置を講じるよう要望します、との意見をいただいているところでございます。

 続きまして意見書2、日本薬剤師会からの御意見でございます。

 「消費税率引き上げに伴う介護報酬における対応について、本会としての意見は以下のとおりです」ということでございまして、1つ目は消費税率10%への引き上げ時には、消費税増に伴う保険薬局への影響分を踏まえ、必要な財源を確保し、介護報酬への適切な上乗せを行うこと。2つ目としましては、医療保険における対応との整合性も考慮し、消費増税における補填状況の妥当性を検証する仕組みを検討すること、という御意見をいただいております。

 理由としまして、以下のとおり書かれております。

 まず1つ目の事項でございます。

 平成29年4月に予定されている消費税率10%への引き上げに伴う介護報酬の改定においては、前回と同様の方法により消費税負担増分の介護報酬への上乗せが行われると理解していますが、補填不足とならないよう、消費税率引き上げに伴う影響分を十分踏まえ、必要な財源を確保した上で、適切な上乗せが行われることを要望します、とのことでございます。

 次に2点目でございます。

 一方、マクロの補填不足とは別に、現行の仕組みは施設ごとの違いに必ずしも対応できるものではありません。そのような問題を解決するため、医療保険における対応との整合性も考慮し、消費増税による補填状況の妥当性を検証する仕組みについて検討していただきたい、との御意見でございます。

 続きまして意見書3、日本看護協会からの御意見でございます。

 各項目について順に申し上げたいと思います。

 まず1つ目、消費税率8%への引き上げ時の対応の評価でございます。

 前回の消費税率引き上げ時における介護報酬上の対応手法は、おおむね適切であったと評価する。次回10%への引き上げ時においても前回の対応手法を踏襲し、介護報酬基本単位数への消費増税分上乗せに加え、各種加算についても上乗せを実施し、各サービスの提供実態を踏まえた対応を行うよう要望する、との御意見でございます。

 2つ目としまして消費税率10%への引き上げへの対応に関する意見ということで、まず1つ目として、介護報酬への反映についてでございます。

 前回引き上げ時の対応手法を踏襲し、消費増税分については基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算についても上乗せを行うよう要望する。

 なお、前回引き上げ時に各サービスの費用構造の推計根拠とした「平成25年度介護事業経営概況調査」等では、定期巡回サービスや看護小規模多機能型居宅介護など有効回答数の少ないサービスについて、類似サービスの数値を援用した推計を行っている。これらのサービスについては、実態把握に向け平成28年度介護事業経営概況調査の十分な有効回収数の確保に努めるとともに、前回調査との慎重な比較検証に基づいて対応を検討されたい、とのことでございます。

 2つ目は、区分支給限度基準額への反映についてということでございます。

 消費税率10%への引き上げにより、在宅療養する中重度要介護者が不利益をこうむることのないよう、ケアマネジメントが適切に実施されることを前提とした上で、区分支給限度基準額については前回対応時と同様に、消費税増税の影響相当分を引き上げる必要がある、との御意見でございます。

 最後に意見4としまして、日本介護支援専門員協会からの御意見でございます。

 まず1として、消費税引き上げに伴う介護報酬への上乗せ対応が行われた場合、従来と同量のサービスを利用しているにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える利用者が新たに生じる可能性がある。

 2として、居宅介護支援事業等における控除対象外消費税の負担については、事業所としての予算規模及び対象経費の内容からも影響は小さいと考えられがちであるが、逆に増税に伴う支出拡大により事業経営そのものを逼迫させる可能性がある。さらに当該事業所は人件費比率が非常に高い特性もあり、場合によっては、経営的観点から人件費に転嫁されることが懸念される。

 3として、低所得層に限らず、消費税増税に伴って、日常生活における経済的負担感が増大すること、さらに本来必要とされる介護サービス等の利用控えへとつながる可能性がある。

 最後に4として、前項に関連して、家庭内の経済的バランスから仕事を退職するという、いわゆる介護離職へとつながる可能性がある。

 以上の御意見をいただいているところでございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ここから、ただいま伺った各団体からの陳述に対して委員の方々から質問を頂戴します。

 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 一点は確認でございます。3ページのデータ、これは安藤副会長の病院ということでしたでしょうか。これに関して、課税仕入高2億6,800万円余と載っていますが、これは減価償却対象資産の仕入高も含めた課税額ということでしょうか。それとも、それは控除されているのでしょうか。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) それは入っていない数字です。

○藤井委員 それは入れていないということですね。わかりました。

 引き続きよろしいでしょうか。

○田中委員長 どうぞ。

○藤井委員 13ページの非課税申請返還方式ということで、これは前回の話でも出たのですが、私もこの会で、ゼロ課税というのが一番すっきりするということを一度申し上げたことがあるのですけれども、今の方式ですと、非課税という方式でありますと、先に払った課税分が報酬を通して、減価償却期間を通じて返ってくるということで、資金調達コストをかなり事業所がかぶっているという構造があると思います。ただ、これは住居も一緒であるということです。そういう点で、まず非課税申請返還方式というのは、課税されたと同様に支払い消費税分を償還してほしいという考え方のものなのでしょうか。この点について確認させてください。基本的にそういうものであると。

○日本慢性期医療協会(船本委員) おっしゃるとおりです。

○藤井委員 そうしますと、2点。医療ではなく特に介護に関して言いますと、高額投資分というのはかなり住居分によってくると思うのです。そうしますと、住居というものがそもそも介護であるか医療であるかにかかわらず非課税であるということで、差額ベッドとかそういうものも課税になっているわけですが、そうしますとここの、返還はされているのだけれども、報酬に入ってくるのはおかしな話だということになりますので、その分だけ報酬を削るということの理屈になってしまうのですけれども、それも込みでお考えの意見ということでしょうか。

○日本慢性期医療協会(船本委員) そのあたりは少し難しい議論になってこようかと思いますが、そういうことも考えなければいけないと思います。

○藤井委員 そうしますと、ややこしいのですけれども、ことし買ったところはいいのですが、買っていないところも報酬を下げるということになってしまうのではないでしょうか。

○日本慢性期医療協会(船本委員) 一回建築投資をしてしまいますと、またその十数年先に発生するということになろうかと思いますので、そのあたりの考え方は非常に難しいかなと思います。

○藤井委員 そうですね。要は、投資を積極的にされているところにとっては、これは魅力的なプランですし、例えば診療報酬で言うとこれはとても魅力的なプランだと思うのですが、介護ですと医療に比べると相対的に投資の機会は余りないわけです。投資をされるところにとっては、これはメリットがあって、投資をされないところにとっては、その分報酬なり基準費用額を下げられるとデメリットになるので、会全体としてもこれにメリットがあるという総意のもとでのプランなのか。それとも端的に支払い消費税分がちょっと重いというお話なのか。そこをちょっと確認したいということです。

○日本慢性期医療協会(船本委員) 経常経費に関してと施設整備にかかわる控除対象外に関しては、例えば会計準則、これは病院会計準則にしても老人保健の会計準則的なものにしても、同じくそのように経常経費と控除対象外の2つに分けている。この経常経費に関しましては、当然、今の御議論の中で基本単位数等に補填されているという事実がございますが、どうしてもこの施設整備に関しましては、ここだけが一つ、ちょっと浮いているということが、本来、同じく課税仕入れであるにもかかわらず、税の見地から言えば、すなわち公平性を欠く。一方で経常経費に関しては売り上げに対してチャージするという考え方ですが、施設整備にかかわる部分もしっかり財務諸表上で表現されているにもかかわらず、ここだけ補填がないというのは、議論としては少し矛盾するのかなと。

○藤井委員 おっしゃることはよくわかるのですが、ですからゼロ課税がすっきりする。おっしゃるとおりではありますが、損得勘定の世界で言いますと、今の制度からここの非課税申請返還方式というものをとられますと、当然やはり報酬のほうを削りますよということにならざるを得ない。そうすると、余り投資をしていないところからすると、報酬が下げられたということになるのですが、それも会全体としての総意に向かうほど、投資にとって非常にやりにくい状況にあるという御意見なのか。それとも単純に、おっしゃっているような厄介な問題があるのか。

 ただ、この厄介な問題は、非課税ということの厄介な問題だと思っているのです。アパート業にとっても起きている問題なので、ここのテーブルの問題ではないという認識です。したがって、どちらをおっしゃっているのかを聞きたいということです。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) 会全体では、やはり先生がおっしゃるようなことも含めながら、投資に関してこれからまた地域包括ケアの充実も含めてどんどん必要になってくると思いますので、多少その辺のバランスが崩れたとしても、こちらの大規模投資のほうを優先してほしいというような状況になっております。

○藤井委員 わかりました。ありがとうございました。

○田中委員長 いかがでしょうか。いずれの団体も減価償却費を費用計算の中に入れて長期で償還する話と、ある年度での支出の話を、どうバランスをとるかにかかわる点に触れられました。今、藤井委員が言われたように、減価償却を通じて、実は長期的には控除対象外消費税、投資分が返ってきているとすると、新たに別な制度を入れた場合、減価償却分はコスト計算上、少し下がらざるを得なくなる。これが矛盾かどうかはわからないけれども、そういう理論的な帰結になりますよね。ここをどう捉えるかが重要だと思いますが、いかがですか。専門家から少しいかがでしょうか。

○山本委員 今の点については、上乗せするというのが総額に対して上乗せするという仕組みをとられる以上、減価償却費についても長期にわたって、その減価償却期間にわたって回収していくというモデルをとらざるを得ない。ですから、ここを変えるとすれば、今の補填の仕組み自体、そもそものところから変えないといけないという議論かと思っております。

 ですから、委員長がおっしゃるとおり、そこの部分をどのように勘案するのか。当然、投資される方の身になってみれば、その投資をした年度においては多くのキャッシュアウトが生じますので、それに対する消費税について、やはり御負担が多い。それに対して長期で回収するわけですから、その分の金利負担についてを御負担されているという実態はあるかと思うのですけれども、制度としての根っこのところでございますので非常に難しい問題であるとは理解しております。

○田中委員長 ありがとうございます。

○藤井委員 ついでといいますか、私はこの席でゼロ課税がやはりすっきりするし、投資側にとってもいいのではないかということを申し上げた点からちょっと追加させていただきますと、投資を積極的にされるところとされないところの損得がどうしても働いてしまうという話と、厄介なのはゼロ課税方式にしますと利用者負担が減る。それから保険料負担が減る。支払い消費税分を税務当局から払うということですから、今、利用者や保険から負担している部分を国庫から出すということになりまして、社会保障から使えるお金が減るという構造を持っております。それでも介護の部分は財源を確保しようという勢いはいいのですが、今のような大変苦しい状況の中で、保険料負担、利用者負担の部分を削ってまでやらなくてはならないほどの困った問題が生じているかどうかという点に関して言うと、私はそこまで言えないのではないかと。理屈上はすっきりするけれども、ゼロ課税的なことではなくて現行の方法によらざるを得ないのではないかと、これは私の個人的な意見ですけれども思っております。会の総意としてというのは当然そちらのおっしゃるとおりだと思うのですけれども、個人的な意見としてはそのように思っております。

○田中委員長 各団体に伺いますが、控除対象外の設備投資に関する消費税負担は、それぞれの法人は皆さん、資産計上されていると理解してよろしいのでしょうか。建物と一緒に償却資産として入っている。わかりました。その分は先ほどから出ているようにキャッシュフロー上、あるいは金利負担上の問題であるとの理解ですね。

 では山本委員、お願いします。

○山本委員 これは質問というよりは教えていただきたいのですけれども、日本慢性期医療協会から出された資料の2ページで、病床規模が上がるほど補填率が下がっていくという、こちらの説明資料について。先ほどの陳述の中でもおっしゃっていたと思うのですが、これは病床規模が上がっていくほど人件費など給与比率が上がっていき、また、いわゆる設備についての投資が上がってくるから、このような補填率の下落といいますか、そういう傾向があらわれているという分析をされたということでしょうか。この調査の全体像がよくわからなかったものですから、調査の概要と、どのような分析を加えられたのかというところで補足をいただければと思います。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) これは2015年の日病協の代表者会議のときに出た資料でございまして、給与の比率と減価償却のパーセンテージというあたりは、データを集めた中で、たまたまこのような結果が出てきたものですから、それを推測して、今、ちょっとお話しさせていただいたところです。

 他のデータですと、このようにきちんときれいに並んでいないものも非常に多いわけですけれども、規模によっても大分違うところもあります。そのようなものをならした中でこのようなデータになったというような状況でございます。

○藤井委員 全国老施協の資料について教えていただきたいことがあります。2ページの図2のグラフですが、2点ございます。

 一点目は、グラフで見ると明らかに平成25年から26年に関して非常に高くなっているということで、そういう御説明もあったのですが、文章のほうで1,428円とあって図が1,423円になっている、これはどちらが正しいのでしょうか。これは細かなことですけれども、教えていただきたいのは、ここの部分が1年間で1食当たり30円から40円ということですから、消費税分並みですか、もうちょっと上がっているということになると思うのですけれども、人件費の部分がかなりあるので、ここまで上がるのかなという疑問がちょっとあります。そのあたり、なぜこのように上がっているのかという点についてもう少し詳しく教えていただけないかということでございます。

 それからもう一点は、これを見ますと、食費収入というのが常に30円以上足りないという状況に読めるのですけれども、それで正しいかということと、それから、正しいとすればこのブルーの線がいわゆる基準費用額よりは常に低い水準にあるように見えるのですが、これが一つ、差が大きいことの理由ではないかと思うのです。この、基準費用額より低いことの理由はどのように分析しておられるのか。

 以上、2点についてお教えいただけないでしょうか。

○全国老人福祉施設協議会 1,428円と1,423円の差額という部分は、どちらが正しいかわかりませんけれども、ちょっとした数字の誤りで、どちらかが間違いだと思います。(注:正1,423円)

 調理のコストにつきましては、やはり平成25年から26年あたりにかけて材料費がかなり上がってきています。その影響と、もう一つは介護職員の人材が集まらない問題がかなり議論されていますけれども、実は調理部門も同じで、調理員さんが集まらなくて、委託をお願いしたいけれども委託業者さんにも断られるというような実態が今、出てきています。人材問題で給与費という部分が結構上がってきていることも確かです。

 もう一つ、基準費用額よりなぜ低いかという問題は、利用者の方が、普通であれば食事を食べるのですけれども、食べないという状況が発生したときに、その費用はいただきません。ただし材料費等は既に発注が終わっていますし、調理員のコストも同じですので、その差額分がどうしてもここに発生してしまう。例えば基準費用額で設定してもマイナスが出てきます。プラスになることはなく、決めた金額よりも必ず下になるということが起こってきます。

 それと食費についても、別に基準費用額でなく実費の範囲で定めていいのですけれども、第三段階までの、いわゆる補足給付の分で、特別養護老人ホームの場合は80%の方が第一段階から第三段階ですので、食事の単価を上げて設定しても、2割の方しか収入につながらない。大部分の方は基準費用額になってしまう。そこで欠食が起こった場合に収入はマイナスになるという部分でどうしてもこの差が出ています。

1,364円になって、このところ少し上がってきているというのは、多分、基準費用額よりも高い食費の設定はしているのですけれども、収入にはつながっていかないという部分がこのグラフには出てきていると思います。

○藤井委員 そうしますと、私がかわりに言うことはないのですけれども、この2ページの意見の1番は「消費税増税分を踏まえた」というよりは、そもそも足りていないということのほうが大きいように思いますが、そういう理解でよろしいのですね。

○全国老人福祉施設協議会 はい、大きいです。今回、上がっても、食材料費はそのままになりますけれども、ただ、委託費関係の部分がもろに影響します。今、業者委託率は55%ぐらいまでになっていて、その分が実際の調理コストのほうに反映されてしまいますので、影響がないことはないのですけれども、それよりも今までの全体の流れの中でやはり見直しをしていただく一つの時期に来ているのではないかということで、ここに書かせていただいています。

○田中委員長 食材費が上がっている点は来年行われるかもしれない消費税率変更にかかわる報酬改定では取り上げないと思うのですけれども、この中で消費税が仮に8%から10%に上がったとすると、その影響はどのくらいですか。

○全国老人福祉施設協議会 要するに、委託費の上がる率ですよね。ですから、そこの部分が今ですと8%が10%になる部分と、委託率が55%としますとその部分。全体の費用の中で、基準費用額で見ますと1,380円ですので、業者委託の場合はそれの半分ちょっとぐらいが人件費、いわゆる管理費といいますか。ですから、食費の半分の、しかもその55%の2%アップ分が直接影響する部分です。

○田中委員長 それを基準費用額に反映すべきであると。

○全国老人福祉施設協議会 また、間接的には食材料費が上がってくる部分もあります。そこは計算上すぐには出ませんけれども、その差分は必ず上がるということになります。

○田中委員長 それらを基準費用額に反映させるべきだという御意見ですね。はい。ありがとうございます。

 山本委員、どうぞ。

○山本委員 今の同じページについて、質問といいますか、これも教えていただきたいことですけれども、食費に関して3施設平均ではなくという部分で書かれておりますと。各3施設ごとに、食費にどれくらいのばらつきが出ているのか。その具体的な状況を少し教えていただいて、そのばらつきがやはり個別に検討するぐらいの大きな比重のものなのかどうかというところについて、御参考の意見をいただければと思っております。

○全国老人福祉施設協議会 3施設の食事の部分について、きょうはもちろん資料をつけていませんけれども、厚労省調査でまず、平成17年の介護報酬から食費を切り出したときの数字。それと前回の消費税アップのときに再度調整した数字があると思いますので、そこで見ていただけばわかると思いますけれども、どうしても規模的な問題も出てきます。特別養護老人ホームの場合は老健施設等に比べると規模が小さいところがありますので、その違いの部分が出てくるのですけれども、調理コスト自体にかかる食材料費の比率がやはり特別養護老人ホームの場合はかなりウエートが高くて、結果的には一番高い構造になってしまっている。基準費用額を設定したときに、もともとの食費の部分から、いわゆる光熱水費等々を切り出して順番に定めたときに、3つの施設の類型の数字を単純平均で割って基準費用額が定められた。その時点で特別養護老人ホームのいわゆる加重平均に直しますと半分ぐらいの人数は特養の方でしたので、加重平均に直したらかなり違う金額になっていたのですけれども、そのときの計算方法といいますか、それで食費がどんと下がったというのが実態です。

 3ページにあります現在の食費の数字は全国老施協の平成26年度調査の分を入れていますけれども、概況調査ともかなり違った数字が出ているというのが実態で、やはりここの部分は単年度で比較する場合に決算状況をもとに精査していただいて、食材料費やもちろん調理員のコストなどのあたりを調査していただけたらと思っております。

○藤井委員 今の件、やや記憶が曖昧ですが2005年のときの改定はおっしゃるように単純平均だったような気がしているのですが、それ以降の、ここの3ページにお示しいただいている平成25年7月は、これは単純平均というよりは全施設、全食費を出していたのではないかと思うのですが、事務局のほうでこの点についてわかりますか。

○事務局 後ほど確認した上で、御回答させていただきたいと思います。

○藤井委員 確かにおっしゃるように、単純集計ですとどうなのかという御意見は非常によくわかるところもあり、たしか前回は食費として一本しか出していなくて、私は別に確認もしなかったのですけれども、食費一本だったと思いますし、今、スマホで見たら一本で出ています。仮に一本であれば一本の平均であるというように出していただく必要がありますし、本来はやはり1日当たりか1食当たりか、あるいは月当たりということを全員平均といいますか、ウエートづけがつくことになりますけれども、そういう数字なのかなという気がいたします。

 それを見た上で、あるいは3施設を見た上でということになるのですが、ただ、報酬というものを考えるときに、コストの面とプライスの面ということがあると思います。法律にはコストの面のことを明確に書いているわけですけれども、やはり食事ということで、特養に入ったときと老健に入ったときとで値段が違うということを利用者さんに、制度としてどのように理解していただくかという面もありますので、そういう意味では単純平均はそれなりに意味がないことはないとも思うものですから、ちょっとこれは議論の余地のある話だと思いますが、いずれにせよデータをお示ししていただくときに、単純平均なのかウエートづけというか利用者当たりの費用なのか、あるいは3つ出していただくのかということはやっていただいたほうがいいかなと思います。よろしくお願いします。

○田中委員長 老健協会に伺ってよろしいですか。

 最後のページの赤い円グラフですが、この補修や修繕の経費は、一般に資産計上されるのでしょうか。それとも単年度の費用になっているものなのでしょうか。もちろん金額によると思うのですけれども、どんな感じですか。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) 補修は資産計上しますが、修繕費の場合は経費で落とすことになると思います。そこはちょっと微妙な線引きがあって、修繕なのか補修なのか。例えばエアコンをそっくりかえたのか、部品をかえたのかで、多分、仕分けが違ってくると思います。

○田中委員長 もしも費用になっているとすると、実調の平均値のほうは費用に入っているわけですよね。したがって、そこは報酬に反映されるはずです。資産計上していると、先ほど来出ているように、長期にわたってということで、単年度ではキャッシュフロー上の差が出る。ここで書いてある1億円は両方を含んでいる費用と捉えてよろしいのですね。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) そうですね。

○井口委員 全国老人保健施設協会の資料について伺います。めくっていただいて、消費税率5%から8%への引き上げ時における対応の評価という中で、報酬が上がった効果について「ほとんどなかった」ということですが、このあたりについてもう少し詳しく御説明いただければありがたいなと思います。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) これは本当に苦しいところで、回答者側の気持ちははかり知れないのですけれども、恐らく質問の仕方にも問題があったと思います。本当に消費税のことだけを捉えて答えてもらえたのか。全体の介護報酬改定のことと、少しまぜこぜなっているようです。2つも出してしまったのは、ちょっと苦しいところがあって、どうそこに線引きをしたらいいかというのは正直わからないところがございます。

 ただ、先ほども言いましたけれども、このことについて非常に問題であるとか手当てが少なかったという声は多くなかったと思います。そう言っている方は、感情的に何でも嫌だという方であって、おおむねの方々は補填できているという感覚があったと思います。もうちょっと細かく質問すればよかったのですけれども、消費税部分に特化してというのは、なかなか相手側の気持ちはわからない面があります。

○田中委員長 全体が下がったのはけしからんという気持ちはどうしてもありますよね。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) それが最初にあると、どうも答えを引き出しにくいところがありまして。

○田中委員長 そうですね。

○藤井委員 先ほどの田中委員長の、資産計上するかしないかですが、これは医療法人の場合ですと、税を取っているということですから、税会計上の修繕の、固定資産に計上するかしないかというフローがございますよね。当然これに従ってやっておられるということですよね。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) そのとおりです。

○藤井委員 そうですよね。ですから、修繕費として出ていれば報酬に乗って単年度でキャッシュアウトされているはずだけれども、固定資産になっていれば、そのコストをかぶっているということになると思います。

 質問は、特に全国老施協になるのですが、老健施設も社会福祉法人があります。社会福祉法人の場合、これは税当局が入っていないのですけれども、資産計上するかしないかに関して会計基準のほうはやはり同じように変えられているのでしょうか。

○全国老人福祉施設協議会 一応、資産として価値が上がるものは、いわゆる減価償却に回すというルールで。

○藤井委員 基本的な考え方はそうですよね。

○全国老人福祉施設協議会 はい。

○藤井委員 ただ、それをやると、当然、単年度でキャッシュアウトしたいので、みんな「上がっていない、上がっていない」と言う。だから税当局は細かく60万がどうのこうのとやりますよね。あのルールに従ってやるのですか。

○全国老人福祉施設協議会 基本は60万円ルールも、会員のほうには説明していますけれども、ただ、それより金額が大きくても修繕費に回せる分と固定資産の分と両方出てきますので、そこは税理士等に指導していただいているところで教えていただくという形です。

○藤井委員 なるほど。その辺は課税法人と同じように。

○全国老人福祉施設協議会 そうですね、税理士さんのほうで指導がありますので、ほぼ同じ形です。

○藤井委員 なるほど。わかりました。ありがとうございます。

○山本委員 補足させていただきます。今おっしゃったのと全く同じでございまして、新会計基準において、会計上の資本的支出と、いわゆる修繕費のような支出、これについては新会計基準上はほかの法人と同じ考え方をとっておられます。

○田中委員長 グループホーム協会に伺います。消費税について介護報酬上乗せで補填されたかどうか把握していないとは、これはどういう意見ですか。

○日本認知症グループホーム協会 アンケート調査をしたところ、そのような意見が幾つかのところから挙がってきています。もう少し詳しい調査を踏まえてデータ化しなければいけないとは思っているのですけれども、現状はアンケートの回答をそのまま載せております。

○田中委員長 わかりました。

○藤井委員 今の件に関して。これは各団体にお聞きしたいのですが、よくわからないのでお尋ねします。消費税が上がりました、報酬が上がりましたというものが、見合ったかどうかというのを、各施設なり事業所なりに押さえてくれということを頼んで出していただくということは、頭の中ではそんなに難しくないような気がするのです。

 先日も医師会の鈴木常任理事から、何が消費税か消費税でないかわからないということを言われました。収入の面はちょっとわかりにくいのかもしれませんが、支出の面は上がった分を切り分けやすいですし、収入の面も上がったものさえ押さえておけば計算しやすいような気がするのです。結果として、今、田中委員長の御質問があったわけですが、消費税の影響でプラスだったかマイナスだったかというのは、事前にお願いしておけばそんなに難しくなく出せるのではないかと思うのですけれども、そのあたりはいかがですか。

○全国老人福祉施設協議会 全国老施協のほうから言いますと、社会福祉法人であって、いわゆる介護保険事業自体が消費税非課税ということになっていまして、いわゆる納税事業者に該当する事業所というのは多分、1%にも満たないと思います。その関係で、消費税という部分をきっちり把握して会計処理をしているところのほうが少ないという状況です。それでデータを集めようとすると、精密なデータは非常にとりづらく、全体の、いわゆる3表の中から引っ張り出していくしか方法はないという状況になっています。

○藤井委員 影響があったかどうかのために、改めて会計処理をするぐらいの感じ、データを出すぐらいの感じですか。

○全国老人福祉施設協議会 ええ。それを把握しようとすれば、そういう感じになってしまいます。

○藤井委員 なるほど。医療法人あたりはどうですか。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) それはできると思います。

○藤井委員 そんなに負担は。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) 毎回出していますので、それは特にありません。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) ちょうどその辺はうちの船本委員が研究していますので、ちょっと。

○日本慢性期医療協会(船本委員) 控除対象外消費税を出すのは、当然、技術的なことからすると全く問題ないことであります。通常、消費税計算をする上では控除対象外消費税は必然的に出てくるものでありますし、免税業者に至っても同じような仕組みで数字を当てはめていけばいい。収入もコストも当然、ルールがありますから、課税区分というものがありますから、それに当てはめていけば何ら問題はないだろうと考えております。

○藤井委員 老施協さんがおっしゃったのはもう全部、基本的に非課税なので、当てはめの枠を持っていない会計をしておられれば、当てはめて計算せよということができないと聞いたのですけれども、そういう違いですよね。

○日本慢性期医療協会(船本委員) そうですね。全事業者が、その控除対象外の計算は必ずできるということです。少し手間をかければ必ず出るということです。

○藤井委員 グループホーム協会さんぐらいになると1つの法人が小さかったりするという影響があるのではないでしょうか。

○日本認知症グループホーム協会 そうですね。いろいろな経営母体があって、社会福祉法人がやっているところなどはしっかり把握していると思いますが、民間の家族経営のような形でやっているところはもう、税理士さんにお任せで、その数字も自覚していないというような実態も一方ではございます。やはりその辺は、グループホーム協会としても、経営的なそういう部分において、今回は消費税の問題ですけれども、そういうことをしっかりと自覚しながら、データとして取りまとめるということ自体も課題になっていると思います。

○藤井委員 前回、ある団体の方から、次に消費税を上げるに当たって、事業者にきちんとヒアリングしてほしいというお話があり、逆に田中委員長のほうから、この会がそうではないのかという御質問がありました。要は、団体によってはやはり各団体の実情が必ずしも把握できていないことがあるのだなと。それはやはり、さらに言えば各事業所で自分のところのことが余り把握できていないこともあるというような理解をせざるを得ない状況があると考えてよろしいということですね。わかりました。

○田中委員長 非課税は、損税・益税の問題は別として、事業者自体、税の姿が見えなくなる欠点がありますね。

○藤井委員 グループホーム協会さんにお尋ねします。住居費というのは基本的に非課税扱いで、基準費用額というのはないということですから、各事業所ごとに設定できる。したがって、課税分は資本調達コストや金利コストはあるにせよ、その分を見込んで設定するということですよね。ここに書いてある、スプリンクラーの設置というのは、基本的に住居部分に属すので、役所が通達を出していたりするのかもしれませんが、基本的な考え方とすればスプリンクラーを設置しました、したがって幾ら値上げをさせていただきますということは理屈上言えるのではないか。そういう話を聞いたことはないのですけれども、そのように思います。それはとめられていたり、あるいは現実的ではないということがあるのでしょうか。

○日本認知症グループホーム協会 全体的なことは把握していませんけれども、私自身、1ユニットの小さなグループホームを経営しています。しかしスプリンクラーを設置したから、それでコストを上げるとか、そういう形はとっていません。また、特にその辺の通達についても、しっかりと、こうしてはいけないというようなものはなかったと思います。

○藤井委員 ありがとうございます。

 そうしますとこれは、やはり基本的に消費税は消費者に負担していただくというものですから、非課税ということですから、事業所側の付加価値には足さないにしても、消費税分は全部、消費者に負担していただくので、消費税の筋から言うと、スプリンクラーを設定しましたよ、だから月々1,000円上げますよとか、1,000円までは上がらないかもしれませんが、そういうことをやって国民が果たしてどうおっしゃるのかは別にして、理屈上はそうでありまして、例えば介護報酬に乗っけるという整理はとてもしにくいのではないか。したがって、この問題はこの問題として、この中で言いますと、報酬としてということに直接なりにくいように思っております。ただ、私もちょっと、細かいことを理解できておりませんので、この場のみならずグループホーム協会さんのほうで御検討されたり厚労省のほうと御相談される部分もあるのかなと。つまり報酬に反映するというだけでお考えいただく部分ではないような気がしたということです。基本、住居部分というのは、新しくかかったコストは利用者に払っていただくというのが、消費税という大変厳しい税の基本ではないかということでございます。

○山本委員 全体的な意見として申し上げるのですけれども、幾つかの御発表の中にも、そもそも外注をするのか人件費として内製化するのかという議論がございました。本来、内製か外注かというのは経営判断であって、消費税が影響することではないだろうと思います。そもそも経営の効率化を目指して外注化するのか内製化するのか、これが本来、経営のあるべき議論だと思うのですが、皆様の施設の中で、消費税が上がったから外注化するのではなくて内製に切りかえようとか、逆にそうではないとか、そのような状況が現場において、そういう傾向が見えてきているのかどうなのか。そのあたりについて少し御意見をいただければありがたいと思います。

○全国老人福祉施設協議会 5%が8%になったときに、調理のほうの外注は、5%程度は下がると見ていました。その時点で大体50%弱だったのですけれども、逆に上がってなおかつ今、ふえ続けています。それほど調理員さんを雇うことのほうが難しくなってきている。そうすると、やはり業者さんのほうで集めていただいてと。一番最初に取りかかったのは、コストを削減するために調理部門を委託するということだった。でも、それが今は逆転しています。実際に直営でするよりも委託のほうがコストが高いけれども、安定的な職員の問題をクリアするために業者委託というほうが今は強くなっています。現場のほうでは、朝早くから土日も関係なしに調理をするのだったら働けませんという。だから非常に年配の方ばかりの職場になりつつあります。業者委託すればちょっと変わるのですけれども、ただ業者委託のほうもなかなか人が集まらないという実態が出てきていまして、介護職だけでなく調理部門についても少し考えなければいけないのかなと。セントラルキッチン等の検討も、もう、業者さんのほうでは入っていますし、事業所のほうもそれをしないとだめな時代に入りつつあるのかなと思っています。

○田中委員長 単にコストの比較だけでなく、むしろ人材確保の観点のほうが大きいということですね。

○全国老人保健施設協会(平川副会長) 全く同意見でございます。苦労する部分をどこで苦労するかということを考えると、人材問題については相当時間がかかってしまいますし、それを考えれば、やはり今言われたような意見になって、何も経営効率だけではないなという気がいたします。コストだけでは決められなくなってしまっています。

○全国老人保健施設協会(東会長) 全老健の会長の東でございます。ここは消費税に関して議論するところでございますので、先ほどから藤井委員のおっしゃる御意見、それから山本委員のおっしゃる御意見に、基本的に何ら反するものではございません。法人として、何らかの費用がかかって、それを報酬上、消費税に転嫁してくれということは私も今まで介護給付費分科会では一度も申し上げたことはございません。

 ただ今回、私どもはお出ししていませんが、冒頭、平川副会長が申し上げたように、いわゆる低所得者対策である補足給付の基準費用額に関しましては、これは国が定めている額でございます。今回の全国老人福祉施設協議会の資料にもございますが、食費については、これは個々の状況があると思いますが、少なくとも居住費に関しましては、これを設定当初、減価償却費で規定したことについては、議論をしなくてはいけないところだと思っております。これに関しましては、介護給付費分科会で議論をするというお約束をいただいていますので、今回はあえて意見を出しませんでしたけれども、この低所得者対策の補足給付における基準費用額の居住費の部分に関しては議論をしていただかない限り、これは未来永劫、消費税が上がっても減価償却費で規定されている限り、低所得者の居住費の基準費用額は一切消費税では見られないという矛盾をはらんでおりますので、そこのところはよろしく御検討のほどお願いいたします。

○田中委員長 ありがとうございます。

 委託費について、いかがでしょうか。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) これは本当に規模によって違うと思うのですけれども、大規模な法人ではどんどん委託業務を削減して内製化をしている。あとはリースも廃止していく。あるいは共同購入で会社をつくることも廃止していこうと。さらには人材派遣も廃止していこうという方向に、大規模法人は流れている。これは本当に規模によって違うと思います。特に日慢協のうちの会長あたりは、行け行けどんどんというタイプなので、そういうことを結構、皆さんの前でお話しはしますけれども、これは規模によって違うと思います。規模が大きくなければ、今言ったようなことはなかなかできるものではない。あるいはもう、グループ化するようなことをやっていかなければいけないかなと。

○田中委員長 経済合理性的にはそうなりますよね。

○日本慢性期医療協会(安藤副会長) そうですよね。

 それから、先ほどの大規模投資に関しても、日慢協というのはやはり歴史的な流れがあって、特例許可老人病院から介護力強化、それから療養病床、これも介護保険と医療保険があって、今度また新類型という形で、絶えずハード面の投資を考えなければいけないということで、すごくセンシティブになっている。そういう意味で、やはりこのハード面の投資に関しては考えてほしいという意見が強いだろうと思います。

 だから逆に、今、日医と四病協が主張していたように、診療所は診療報酬の上乗せで、病院に関しては仕入れ税額控除というような形で、藤井先生がおっしゃるように、本当にゼロ課税ができれば一番わかりやすいと思うのですけれどもね。ですから、日慢協的な考え方とすると、在宅サービスは介護報酬に上乗せで、施設サービスはこのような補填でというような形も考えられるのかなと思います。

○田中委員長 ありがとうございます。

 大体よろしゅうございますか。ほかに御質問がなければ。

 皆さんのおかげで実態がよくわかる回答をいただきまして、ありがとうございます。

 では、本日のヒアリングはここまでとさせていただきます。

 次回の日程について、事務局から連絡をお願いします。

○西嶋介護保険データ分析室長 本日はありがとうございました。

 次回の日程は事務局より追って御連絡させていただきたいと思います。

○田中委員長 繰り返しになりますが、ヒアリングに応じていただいた方々、そして委員からの質問、感謝いたします。

 どうもありがとうございました。


(了)

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