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2016年1月21日 第8回外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会 議事録

社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室

○日時

平成28年1月21日(木)10:00~12:00


○場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール3A


○議題

EPAの更なる活用方策について

○議事

○堀室長補佐 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第8回「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきましてまことにありがとうございます。
 私は、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室室長補佐をしております堀と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、開会に当たり、社会・援護局長の石井より一言、御挨拶を申し上げます。
○石井社会・援護局長 皆様、おはようございます。社会・援護局長の石井と申します。本日は大変御多忙の中、またお寒い中お集まりくださいましてまことにありがとうございます。
 この検討会は、御案内のとおり、外国人介護人材受入れの在り方について検討するため、これまで7回にわたり精力的に御検討を賜ってきたわけでございまして、その結果を昨年2月4日に中間まとめという形で御報告させていただいたところでございます。
 その際には、この検討会における3つの検討課題のうち、まず1つとして技能実習制度への介護職種の追加。そしてもう一つ、介護福祉士資格取得者に在留資格を認める在留資格「介護」の創設、この2つについてお取りまとめいただきました。そして、今般再開をさせていただきますこの場におきましては、残された課題でございますEPAの更なる活用方策について御議論を賜りたいと思っております。
 平成20年度から、EPAに基づき介護福祉士候補者の受入れを順次開始し、現在3カ国から受入れを行っておりますが、「日本再興戦略」改訂2015、これは平成27年6月30日に閣議決定されておりますが、そこにおきまして経済連携協定に基づきインドネシア、ベトナム及びフィリピンから受け入れている外国人介護福祉士候補者について、その更なる活躍を促進するための具体的方策について検討を開始し、本年度中に結論を得るとされているところでございます。
 そのため、委員の皆様方には大変タイトなスケジュールとなりましてまことに恐縮でございますが、精力的な御議論をお願い申し上げまして、私からの挨拶にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○堀室長補佐 報道関係者の皆様、撮影はここで終了といたしますのでよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
それでは、本日御出席の構成員の皆様を五十音順で御紹介させていただきます。
 公益社団法人日本介護福祉士会会長、石橋真二構成員でございます。
 日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、伊藤彰久構成員でございます。
 社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会高齢者福祉事業経営委員長、加中英喜構成員でございます。
 公益財団法人日本生産性本部参事、北浦正行構成員でございます。
 公益社団法人全国老人福祉施設協議会副会長、熊谷和正構成員でございます。
 学校法人滋慶学園東京福祉専門学校副学校長、白井孝子構成員でございます。
 公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会参与、田中愽一構成員でございます。
 神奈川県立保健福祉大学名誉教授、根本嘉昭座長でございます。
 公益社団法人全国老人保健施設協会副会長、平川博之構成員でございます。
 以上の皆様にお越しいただいております。
 なお、株式会社読売新聞東京本社編集局社会保障部部長の猪熊律子構成員でございますが、本日体調不良のため御欠席との御連絡をいただいておりますので御報告いたします。
 続きまして、事務局の出席者について御紹介させていただきます。
 社会・援護局長、石井淳子でございます。
 大臣官房審議官、堀江裕でございます。
 社会・援護局福祉基盤課長、岩井勝弘でございます。
 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長、榊原毅でございます。
 社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室室長補佐、安田正人でございます。
 大臣官房国際課課長補佐、遠坂佳将でございます。
 職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課経済連携協定受入対策室長、望月知子でございます。
 職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課課長補佐、國代尚章でございます。
 老健局振興課課長補佐、川島英紀でございます。
 続きまして、オブザーバーの御出席者につきましても御紹介させていただきます。
 本日お越しいただいております法務省入国管理局総務課補佐官、佐藤浩朗様でございます。ネームプレートが長尾となっておりますが、長尾にかわりまして本日佐藤が出席しております。
 続きまして、外務省アジア大洋州局南部アジア部南東アジア第一課主席事務官、安藤重実様でございます。
 外務省アジア大洋州局南部アジア部南東アジア第二課地域調整官の千葉広久様でございます。こちらもネームプレートは北川様のお名前になっておりますが、本日は千葉様に御出席いただいているところでございます。
 御紹介は以上でございます。
○根本座長 ありがとうございます。
 皆さん、おはようございます。本当にお久し振りでございますけれども、どうか今年もよろしくお願いいたします。
 まず、議事に入ります前に、前回中間まとめにおいて御議論いただきました技能実習制度への介護職種追加と在留資格「介護」の創設に関連いたします技能実習法案及び入管法の改正案の審議状況等につきまして、福祉人材確保対策室長から御説明をお願いいたします。
○榊原室長 人材室長の榊原でございます。両法案の審議状況について、御報告申し上げます。
 技能実習法案は第189回通常国会へ提出されまして、昨年9月3日に衆議院本会議での趣旨説明質疑、そして4日に衆議院法務委員会での提案理由説明が行われました。そのまま継続審議となっております。
 また、入管法改正案につきましても第189回通常国会へ提出されましたが、そのまま、まだ付託されることなく継続審議となっているところでございます。
 いずれの法案につきましても、早期に可決成立いただけるよう、政府としても全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
○根本座長 ありがとうございます。
 さて、前回、中間まとめを行いましてから先ほどの局長さんの御挨拶にもありましたようにちょうど約1年経つわけでございます。そして、本日は当初より議題にございました第3番目の議題、EPA介護福祉士候補者等の更なる活用というテーマにつきまして、現在EPA介護福祉士候補者等を実際に受け入れておられる施設、あるいは団体の現状、EPAの更なる活用に向けた課題等についてヒアリングを行うこととしております。
 まずは、事務局より資料の確認と、本日お招きしております皆様方の御紹介をお願いいたします。
○堀室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。
 皆様のお手元には、資料1、「公益社団法人国際厚生事業団説明資料」。
 資料2、「社会福祉法人明照会特別養護老人ホームあそか苑説明資料」。
 資料3、「医療法人地塩会介護老人保健施設夢の里説明資料」。
 資料4、「基礎資料」の4点を配付しております。
 資料の過不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。以上でございます。
 次に、本日のヒアリングに御参加いただく方々を事務局より御紹介させていただきます。
 候補者のあっせん等の業務を行いますJICWELSの角田様。
 そして、同じく稲垣様。
 EPA介護福祉士候補者等の受入れ施設でございます社会福祉法人明照会特別養護老人ホームあそか苑、河原様。
 そして、医療法人地塩会介護老人保健施設夢の里、山本様。
 以上でございます。
○根本座長 ありがとうございます。
 それでは、初めにまず資料4の「基礎資料」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○榊原室長 それでは、資料4をお開きいただきたいと思います。基本的に、もう皆様十分御案内のことかと思いますが、間もあきましたので基礎資料につきましてもう一回簡潔に御説明申し上げたいと思います。
 1ページ目でございます。「日本で就労する外国人のカテゴリー」ということで、身分に基づいて家族の方など在留する場合もございますが、それ以外ですと就労目的で在留が認められる者として高度専門的な職業の方、あるいは技能実習の方、それからEPAなども含みます特定活動の方、それ以外に資格外のアルバイトなどがございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。EPAに基づく受入れの枠組みということで、現在インドネシア、フィリピン、ベトナムについて経済活動の連携の強化の観点から特例的に受け入れを行っているところでございます。インドネシアとフィリピンにつきましては受入れ施設とのマッチングの後、訪日前の6カ月の研修、そして日本語能力の試験があって訪日後にまた6カ月の研修があるという形になっております。
 ベトナムのほうにつきましては、訪日前に12カ月の研修を終えて、日本語能力試験N3以上の方のみがマッチングとなります。それで、訪日後にまた2.5カ月の研修をするという形になってございます。
 3ページにお進みいただきたいと思います。受入れの枠組みということで、入国しました後は介護施設・病院等で就労・研修を行うということでございます。3年間経った段階で介護福祉士の受験資格が発生しますので、その段階で国家試験を受験いただくということでございます。受かった場合は、そのまま日本で就労可能ということでございます。また不合格の場合も1年間救済措置がございまして、もう一回、国家試験を受けることができまして、それで合格すればそのまま日本に残れるということでございます。
 4ページに進んでいただきたいと思います。これまでの受入れ実績ということでございます。特に平成22年、23年度あたりを底といたしまして、その後、日本語の研修の強化などによりまして受入れ施設側の評価も高まったということだと思いますが、受入れ人数が増加してきているところでございます。これまでの累計の受入れは2,000人超、27年度の受入れが500人ぐらいとなっています。また、むしろ要望はどんどんふえているという状況でございます。
 5ページ目にお進みいただきたいと思います。介護福祉士の受入れに対する政府の取組ということでございます。こちらは、協定上の枠組みとそれ以外に政府としてやっているものがございます。上が協定上の枠組みでございまして、介護についてはもともと看護学校の卒業者等のみを対象としまして、日本に来た後に6カ月の研修をする。その後、受入れ施設で就労していただきまして国家試験を1回受けていただくという仕組みでございます。
 これに加えまして、協定外の我が国の取組といたしまして、訪日前の6カ月の研修の実施、あるいは就労中もEラーニング・通信添削、模擬試験等々をやっております。また、国家試験におきましても、ふりがなの付記ですとか時間の延長等の配慮をしております。また、残念ながら試験に失敗された場合も1年間の滞在期間の延長をしている。また、帰国した後も日本企業の説明会、再受験支援等々を行っているところでございます。
 6ページに進んでいただきたいと思います。介護福祉士候補者への学習支援等でございます。こちらも、訪日前に日本語研修を6カ月行います。また、訪日後にも6カ月の研修がございますが、その中で介護導入研修ということで40時間の介護の基礎的な研修を行っております。また、受入れ施設に行かれました後も受入れ施設での学習支援ということで、候補者一人頭23万5,000円を支給いたしまして日本語講師、あるいは養成施設の教員などの派遣、日本語学校への通学、それから介護技術講習会の参加等の費用に充てているということでございます。
 また、受入れ施設の担当者の方にも年間8万円の支給をしているということでございます。あとは日本語、それから社会保障制度等についての集合研修ですとか通信添削指導、それから残念ながら落ちた場合には母国での再チャレンジ支援など行っております。
 また、国際厚生事業団による受入れ支援ということで巡回訪問指導、相談窓口の設置、日本語・漢字の試験、それから受入れ施設担当者向けの説明会、過去の国家試験の翻訳、学習教材の配布等を行っているところでございます。
 7ページに進んでいただきたいと思います。「EPA受入れ施設が求める日本語能力」ということで、N2が14.1%、N3が73.2%ということで、やはりコミュニケーションが大切な職場でございますので、9割以上がN3以上のレベルを求めているということでございます。
このN3、新聞の見出しが読める程度ですとか、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる程度と言われています。基本的に、通じていることがよくわかるレベルというふうに理解しております。
 8ページでございます。試験合格者の推移ということで、学習支援の強化などによりまして順調に上がってきているところでございます。初回受験で見ますとインドネシア、フィリピン、それぞれ上昇傾向ということだと思います。再受験につきましても、インドネシアの1回目は非常に高かったわけでございますが、その他についても上がってきているであろうと思っております。
 9ページに進んでいただきたいと思います。「国家試験合格者・合格率の推移」ということで、1回目、2回目が終わった段階での累積合格率ということです。インドネシアも48.9、49.7、73.2と上がってきているところでございます。第4陣につきましては本年度2回目が行われますので、またここで合格率のかさ上げがあると考えております。
 また、フィリピンについても、36.5、61.5と上がってきているところでございます。第3陣につきましては、本年度2回目でまた合格率が上がってくるだろうと思っております。
 10ページ目でございます。特例的な滞在延長ということで、協定上は試験は1回ということでございますが、閣議決定を行いまして、残念であった場合も、もう1年、我が国に滞在して試験を受けられることができるようにしているところでございます。
 また、あわせまして今後の進め方について若干イメージ的なことを御紹介申し上げたいと思います。本日は、ヒアリングということでございます。その後、次回、本日のヒアリングの内容も踏まえまして論点整理的なものを出させていただきまして、その後、取りまとめ、あるいは結論に向けて議論の集約を図っていくということかと考えているところでございます。
 また、本検討会は社会・援護局長の参集するものとなっておりますので、EPAへの協定とか、そういった本体にかかわるものというよりは、運用を中心にどういう改善方策があるのか、現場の方々の意見も伺いながらそういったものを中心に御議論いただければと考えているところでございます。以上でございます。
○根本座長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの基本的な情報を御確認された上で、早速ヒアリングに入っていきたいと思います。
 ヒアリング対象の方々からは、まずEPA介護福祉士候補者等の受入れの状況、それから研修体制、業務遂行の状況、教育指導の体制、それからEPAの更なる活用に向けた課題等についてプレゼンテーションをしていただくこととしております。
 それでは、まず最初にJICWELSの角田様、稲垣様よりお願いいたします。よろしくお願いします。
○角田JICWELS専務理事 JICWELSの角田でございます。本日は、このヒアリングの機会をいただきまして大変ありがとうございました。
 私どもはEPA事業の一部を実施させていただいておりますので、候補者、あるいは施設の方々からの御意見を聞く機会も多くございます。そういったことも受けまして、今回資料をまとめております。
 資料に従いまして、支援部長の稲垣が御説明します。よろしくお願いいたします。
○稲垣JICWELS支援部長 受入れ支援部長の稲垣と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料1に基づいて説明をさせていただきます。「EPAによる外国人介護福祉士候補者等受入れのさらなる活用策」ということで御説明させていただきます。
 それでは、資料の1ページをごらんください。こちら、先ほど厚生労働省から御説明いただきましたので割愛をさせていただきます。ポイントといたしましてはインドネシア、フィリピン、ベトナムとも看護大学等、4年制大学といった高等教育を受けた方々が入ってきているところでございます。
 続きまして、3ページをお開きください。このEPAの受入れ、JICWELSは何をやっているかというところをまとめたものでございます。私どもは、こちらの日本国内唯一の受入れ調整機関として受入れ希望機関の募集とか要件審査、マッチング、巡回訪問の実施とか、あるいは相談業務、それから学習支援といったことをやっております。
 4ページを開いてください。このEPAの「介護福祉士候補者受入れ機関・施設の主な要件」でございますけれども、ここに6つほどポイントが書いてあります。ポイントは、適切な労務管理体制と、それから研修体制が確保されているといったことを要件として受入れを認めているところでございます。
 次に、5ページをお開きください。具体的にどういった施設が候補者、あるいは資格取得者を受け入れられるかというところをまとめたものでございます。
 上の段が「入所型施設」で資格取得前に受入れが可能な施設ということで、特別養護老人ホームとか介護老人保健施設といったところがございます。
 そして、その真ん中の少しブルーの資格取得後は受け入れられるものといったところで有料老人ホーム等というのがあります。
 その下の段、「通所型施設」「短期入所型施設等」というのは条件つきで資格取得前に受入れができるということでございます。
 そして一番下でございますが、「居宅系サービス」につきましては、これは候補者、または資格取得後も受入れができない。就労不可となっております。
 こちらの欄外の左にございます別表第1、2、4の表につきましては、次の6ページに掲げております。
 次に、7ページをごらんください。「EPAによる入国者数等」ということで、現在、入国者に関しましては3カ国あわせて2,000人を超えておりまして、資格取得者につきましては今、就労中の方々は全体の7割の方が施設で働いていらっしゃいます。
 次に、8ページをごらんください。先ほどの基礎資料で説明がございました、平成23年度まで入国した方のうち、現在317名が合格しておりまして、合格率は50%を超えております。
 次に、9ページをごらんください。「介護福祉士候補者受入れ人数の推移」でございますが、これは近年ベトナムも始まりまして非常にこの受入れの人数が急増しているという傾向でございます。今後も、この傾向は続くのではないかと見ております。
 次に、10ページをごらんください。私どもが候補者、または資格取得者に対する支援の概要をまとめております。試験の合格率の向上とか、また皆さんの定着促進のため、さまざまな学習支援を行っております。特に、一番下の資格取得者に対する研修に関しましては初めて実施をするものでございます。異文化ストレスの対策であるとか、実践的な介護の日本語といったことを研修する予定です。
 次に、11ページをごらんください。この介護福祉士候補者に対する施設の方々の反応でございますけれども、施設の皆様方の御努力、あるいは候補者のいろいろな勤勉的な姿勢ということで、約8割の方がこの候補者に対して非常に「良好」、または「概ね良好」な印象を持っているというものでございます。
 次に、12ページをお開きください。私どもが実施しております相談窓口で、これまでどんな相談案件があったかというのを平成25年度から3年間の推移をまとめたものでございます。過去3年間を見ますと、雇用管理面が約5割、研修が大体14%、メンタルヘルスにつきましては約3%程度と少ない状況でございます。
 ここまでが、私どものこのEPAの概要等でございます。今後、これからさらなる活用策について御説明をいたします。
 14ページをお開きください。「さらなる円滑な候補者受入れに向けて」ということで、4つポイントを挙げさせていただきます。
 まず1番でございますが、全受入れ施設について一施設当たりの年間受入れ人数候補者を1名から認めてはどうかということでございます。受入れ当初、現状はメンタルヘルスの観点から2名以上の受入れということになっておりましたけれども、これまでその候補者の間のSNSといったネットワークが大変発達して、お互い状況を知らせ合うことはできる。また、受入れ施設できちんと十分に対応いただいているため、先ほど相談件数でごらんいただきましたけれども、「メンタルヘルス」の相談件数は非常に少ない状況でございます。
 また、これまで候補者1名を受け入れている施設に対しましては、相談窓口から定期的に母国語でアプローチをして状況を確認したりとか、あるいは集合研修や巡回訪問で特に1名の方には個別面談等をしてフォローするということで、メンタルヘルスといったところの対応をしてまいりました。これについては、今後も徹底してまいりたいと考えております。それが1点目でございます。
 2点目でございますが、受入れ施設の対象の拡大ということで研修体制の確保といったものを前提として、例えば介護型有料老人ホームとか、あるいはサテライト型施設等での受入れを認めてはどうかと考えております。
 この理由でございますが、まず介護型有料老人ホームにつきましては人員配置基準があるということで、受入れ説明会等でもどうしてこの有料老人ホームが受け入れられないのかといった声もございます。ですので、こういった介護型有料老人ホームも受入れ対象とすることで、設置主体の多様化がEPAにおいて図れるのではないかと考えております。
 それから、サテライト型施設等ということで、こちらは本体施設と密接な連携を確保していて、その本体施設とは別の場所で運営されている地域密着型特養をイメージしております。実際に受入れ施設のほうからも、こういった施設での就労を認めてはどうかという声も巡回訪問等で挙がってきております。
 続きまして3番でございますけれども、受入れ施設が作成する報告書等の簡素化を行ってはどうかということを政府のほうで御検討いただければと思っております。特に、滞在延長をする際に受入れ施設が作成する書類について挙げたいと思っております。具体的には何かといいますと、現在、滞在延長をする際に施設において研修改善計画書というものをつくっていただいて厚生労働省に提出していただいておりますが、これは今、施設の研修責任者と、それから支援者の方がその研修体制についてそれぞれこれまでの研修指導方法の評価とか、あるいはどういう指導をしてきたかといったことを書いて、さらに研修方法についてはこれまでの研修方法と評価、そして本人の到達度を書く。いろいろと書くことが多いということで、施設の事務作業量の負担があるのではないかといった声も一部、聞かれております。
 ですので、提案といたしましてはこの研修改善計画書、大事な書類ではございますけれども、これまでのやり方とか、これまでの評価というものはやめて、今後延長した後どういう研修指導方法や学習計画を考えているかだけにとどめて、そうすることで書類の作成事務作業量を減らすことができるのではないか。それで、また円滑な受入れが図れるのではないかと考えております。
 次に、4番でございます。「研修が十分でない受入れ施設や候補者への対応を明らかにする」ということでございますが、これは具体的にどういうことかといいますと、候補者の場合でございますが、中には国家資格を取得するつもりはないと明言する候補者がいると聞いております。それでなかなか施設側も帰国させることが非常に難しい状況で、対応に苦労されているということが一部聞かれております。
 当方は、こういったケースは巡回訪問とか学習支援等でそういった候補者の方々に働きかけて何とか改善を図ろうと努力しておりますけれども、それでも本人の改善が見られなかった場合、このEPAの受入れの趣旨から見て、こういった候補者に今後どういうふうに対応するかというルール決めといったものが必要ではないかと考えております。
 次に、15ページをお開きください。「さらなる国家試験合格率の向上に向けて」ということで、2つ挙げております。
 まず1つは滞在延長関係でございますけれども、やはりその施設の方、候補者の方、受験機会をふやしてほしいという声がございます。ですので、受入れ施設と候補者が滞在期間延長を活用して受験機会が得られるように、この期間延長の引き続きの実施を要望させていただきたいと思っております。JICWELSのほうにつきましても、滞在延長の内容が政府によって決定次第、受入れ施設のほうにJICWELSから周知をさせていただいて円滑な制度の実施を図るようにしたいと思っております。
 次に、2点目でございます。先ほど、受入れ人数のグラフ等でもごらんいただきましたけれども、受入れ人数が今後もふえてまいります。それに対する学習支援事業、これも合格率向上に非常に重要な事業でございますので、こちらの予算の増額も必要かと考えております。
 次に、16ページをごらんください。資格取得者の定着促進に関する幾つかの考えを述べさせていただきます。
 まず1点目でございますが、資格取得者が家族を呼び寄せる際の手続を迅速化してはどうかということでございます。特に、その家族の入国ビザの取得手続ということで、こちらは具体的には呼び寄せる家族が母国で日本に入国する際の査証申請をした際、許可が下りるまで半年近くかかったというケースもございます。それだけ時間がかかってしまいますと、来日しようとする家族もその後の予定がなかなか立てられない。そういったことが非常にストレスであったり、あるいは経済的な負担になるということで、そういう入国ビザの取得手続の迅速化といったことが必要ではないかと考えます。
 それから、2番目の「呼び寄せた資格取得者の家族の就労制限を緩和する」ということでございます。これは具体的にどういうことかといいますと、簡単に3つほど挙げさせていただきます。
 まず1つ目は、外国人留学生と同じようにこのEPAの家族の方にも、一度就労許可申請をすれば就労許可がなされるように、いわゆる包括的な許可を受けられるように改善してはどうかと考えております。
 理由といたしましては、現状、EPAの合格者の配偶者の場合はこういった外国人留学生と違って、資格外活動をするたびに許可を求める必要があるということで、場合によってはその許可が下りるまでは数カ月かかるということも聞いております。また、就労希望先に行っても、入管の許可がなければ雇うことはできないと言われてしまうことが多くて、なかなかEPAの家族の方が仕事を探すのは難しいという実態があるというふうに受入れ施設からもいただいております。それが1つ目です。
 2つ目は、週28時間という制限の緩和でございます。この理由といたしましては、特にEPAの資格取得者の方が女性の場合に問題が発生するんですけれども、この女性の方が妊娠、出産等で仕事を休みますと、やはりこの配偶者である例えば旦那さんが週28時間以内のアルバイトだけではなかなか家族の収入が減ってしまって生活が苦しくなって日本ではちょっと生活できないのではないか。帰国といったようなケースもあるからでございます。
 最後に3番目でございますけれども、EPA介護福祉士資格取得者の配偶者の方にもその介護業務ができるように許可をするという緩和はできるのではないかと考えております。具体的には、そのEPA資格取得者の配偶者の方が仕事先がなかなか見つからないので、受入れ施設の方が仕事をしながら介護や日本語を覚えられるようにということでその配偶者を雇おうとしたんですけれども、入管のほうからEPAの家族の方については介護業務はできないと言われまして、就労の許可が下りなかったという声も聞かれております。
 外国人留学生の場合は、こういった介護業務はアルバイト等でできると聞いておりますので、同じ外国人であるEPAの配偶者の方にも認めてはどうかということで提案をさせていただきます。
 次に、3番でございます。「資格取得者は訪問介護等に従事できるようにする」ということで、先ほどの受入れ施設の範囲の資料でもお示ししましたけれども、EPAでは資格取得後も訪問介護はできないことになっております。日本人の介護職員の方は訪問介護等に従事できますけれども、専門家であるEPAの資格取得者は従事できないというのはちょっと差別的な扱いといいますか、そういうふうにもとられかねませんので、こういうふうに訪問介護等にも従事できるようにしてはどうかと考えております。
 次に、17ページを開いてください。引き続き資格取得者の定着促進策でございますけれども、4番目でございます。このEPAの合格者としてスキルアップ、それから介護現場のリーダー、またはマネジメントへの道筋並びにキャリアアップの選択肢を明示することで、この資格を取った後も日本で働こうというモチベーションを持っていただくことが必要ではないかと思っております。
 私どもの調査で、この資格取得者の方々は非常に向上心が強くて、例えばケアマネなどの資格を取りたい。そして、さらに介護の分野で活躍をしたい。また、それを施設側も後押しをしたいという声も多く聞かれております。ですので、例えばキャリア段位制度といったものもあるかと思いますけれども、そういったもので資格取得した後もEPAの介護福祉士としてこういうふうにキャリアを積んでいくことができるといったようなことをきちんと明示することが大事ではないかと考えております。
 それから、5番目でございます。これは資格取得者に対する支援ということで、候補者のときは学習支援等、さまざま支援がありますけれども、資格取得後の支援が非常に少なくてそれが不安であるという声が資格取得者から、あるいは受入れ施設からございます。
 今般、私ども試験的に研修会というのを2月に実施する予定でございますけれども、こういった資格取得者が集まってお互い情報交換をする場、あるいはこれから働いて定着していくための研修等というのを、これからも恒常的に、また計画的に実施できるようにすることが必要であると考えております。
 それから、6番目でございますけれども、「表彰制度を導入する」。入国して候補者のころから同じ施設で研修して、さらに合格した後も同じ施設で一定年数以上働いた方を、例えば国の厚生労働省が表彰するということでモチベーションにつなげてはどうかと考えております。
 それから18ページ、最後でございます。「EPAの積極的活用の促進を」ということで、まず1つ目でございますが、外国人介護人材の受入れの多様化ということでEPA、それから今、議論されています技能実習であるとか、あるいは介護の在留資格といった多様化と、それからEPAの受入れの役割、先駆的に外国人の介護労働者の受入れといった役割をしてきたEPAの役割の重要性というものがますます増してくると思われます。さらに、送り出し政府からの送り出しの要望とか、それから日本国内の施設のほうからの受入れの要望というのもふえてくると思います。引き続き、円滑に受入れをするための実施体制というものを確保した上で、受入れ人数の増などを積極的に進めるべきであると考えます。
 それから2つ目でございますけれども、日本語研修の件でございます。受入れ当初に比べて現在、訪日前、それから訪日後、日本語研修は拡充されまして、関係省庁の皆様の御努力に大変JICWELSとしても感謝しているところでございます。このEPAの積極的活用でございますけれども、やはり就労開始時点での候補者の日本語能力は一定程度達していることが今後の合格率向上にも大変重要でございますので、引き続きこの日本語研修については十分に実施できる体制の確保に留意いただきたいと思っております。
 それから最後でございますけれども、さらにこのEPAの受入れを円滑に推進するために必要な予算措置です。介護導入研修であるとか巡回訪問事業等といったこと、施設数もふえてまいりますので、こういった予算も確保いただきたいということでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○根本座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのJICWELSさんからの御説明に関しまして御質問等がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。
○北浦構成員 それでは、ひとつ口火切りですが、大変立派な活動をされているというふうにお伺いいたしました。
 相談活動というのがあるわけですけれども、12ページのところでJICWELSさんの相談窓口の状況が出ているのです。雇用管理面がやはり50%の相談になっているということ、それから研修面が次いでということでメンタルヘルスは少ないという御説明だったと思うのですが、どのような点が相談内容になっているのか。特に、教育研修ということではJICWELSさん自体が御対応できる点があると思うのですが、就労管理面ということになりますと関係機関との連携、その他の問題も出ていると思います。この点お願いいたします。
○根本座長 どうぞお願いします。
○角田JICWELS専務理事 12ページの相談窓口の対応状況ということで、まず雇用管理でございますけれども、主にどういったものかといいますと退職に関する相談でございます。相談といっても、例えば退職に伴ってどんな手続が必要なのかといった相談であったり、国家試験不合格になった場合は延長となるのですが、その際の延長手続の相談がございます。
 そのほかにも、雇用管理面では給与に関して受入れ施設から説明を受けたが、なかなかわかりづらいので母国語でもう一度説明してほしいといった面とか契約内容、あるいは生活処遇面の相談でございます。何か不満があるというよりも、契約書の内容とか、それに関しての不明な点を確認したいということで相談を受けております。
 それから研修の面でございますけれども、例えば受験の手続についてもう少し具体的に母国語で説明してほしいということであったり、あるいは国家試験に向けての学習支援といいますか、施設から受ける支援がちょっと足りないんだけれどもどうしたらいいのだろうかとか、あとはその研修時間とか、それから職員の講師の配置といったものがほかの施設と比べるとちょっと不足しているんだけれども、どうしてだろうかといったような相談がございます。なかなか研修時間とか、そういったものは施設の研修環境等で異なりますので、そういったところはちゃんと状況を説明して御理解いただいております。
 それから、メンタルヘルスの面もあったかと思います。これは相談案件としては少ないのですが、例えばどんなことがあるかというとルームメイトですね。ルームメイト同士がちょっと仲が悪いのでこれをどうしたらいいのかとか、あとは人間関係からくる仕事上のストレスがあったり、あるいは受験が近づいて合格できるかどうか不安なんだけれどもといったような相談があります。
 あとは、ホームシック的なものがございます。そういった相談でございます。
○根本座長 ありがとうございます。北浦先生、よろしいですか。
○北浦構成員 はい。
○根本座長 ほかは、いかがでしょうか。
 では、どうぞ石橋先生。
○石橋構成員 資料の7ページのところですが、主にこの受入れ施設というところはいわゆる高齢者施設、特別養護老人ホームや老人保健施設が中心だと思いますけれども、大体その割合でしょうか。
 それともう一つ、障害者関係の施設を受け入れているかどうかというところが1点。
 それから、7ページの資格取得者で雇用契約終了・帰国者者、結構103名と多い人数がせっかく資格を取られても帰られていますけれども、もしその理由等がわかるのであればそのお話も聞きたいと思います。
○根本座長 ありがとうございます。よろしいですか。
○角田JICWELS専務理事 最初の御質問ですが、今は資料がないのですけれども、大体イメージで申し上げますと特養関係が5割5分か6割ぐらいで、残りが老健施設ですね。それで、障害者施設もございます。それは、そういう人に会ったことがあるという程度で少ないですけれども、障害施設もございます。あやふやな答えで申しわけございませんが、イメージとしてはそんな感じですので、御理解願います。
○稲垣JICWELS受入支援部長 あとは、資格取得した後の帰国の理由でございます。これは、受入れ施設から雇用契約を終了して帰国する際は報告をいただくのですが、その報告ベースでお話を申し上げますと、やはり多いのは母国にいる親の看病とか介護、それから妊娠・出産、そして母国にいる親から帰ってきてほしいというふうに言われたという、いわゆる家庭の事情が多うございます。
 この家庭の事情の中で一番多いケースは何かというと、やはり親の看病や介護、それから妊娠・出産でございます。次に多い理由が、母国に戻って結婚をしたいということで帰られた理由でございます。この親御さんの看病であったり、出産あるいは結婚のために帰国した資格取得者の中には、状況が落ち着いたらもう一度やはり日本で働きたいという方々も一部いらっしゃいます。そういう状況でございます。
○根本座長 よろしいですか。
○石橋構成員 はい。
○根本座長 ほかに御質問ございますか。
 では、どうぞ。
○伊藤構成員 きょうから参加させていただきます伊藤と申します。深みのある質問にはならないかもしれないのでお恥ずかしいのですが、お聞きしていて実態はこういうことなんだということでしたので、さらにまた教えていただければということで質問させていただきます。
 14ページに要望といいましょうか、提言がございますが、4番目に「研修が十分でない受入れ施設や候補者への対応」ということで、施設のほうで苦慮されている例がある。受入れ施設の問題もあるかもしれませんが、そういうことですが、帰国させられず困っているというのがどれぐらいのボリューム感があるかを教えていただければありがたいと思います。
 それから、3番目の提言では簡素化の一つ例として、これまでの評価については記載しなくてもいいのではないか。今後の研修内容とか、そういった計画とか、こういったものを書けばいいということだと理解しましたが、一般的には何を進めていくかというときに、PDCA的にこれまでの評価をして、それで今後対応することを明確にするというのも一般的かと思うのですが、そういったあたりとの関係で簡素化しても問題はないというような御評価なのかということです。
 最後に、初めてきょうJICWELSという団体のお話を聞いたんですけれども、3ページに役割ということで受入れ調整機関と、日本国内唯一の受入れ調整機関という大変な役割を果たされているということですが、経済活動の連携の強化というEPAの趣旨に照らして大変重要な役割を果たされていると思うのですが、こういった提言活動をされるということは常にされている機関なんですか。事業としてそういうことをされているのかなと思いまして、ちょっと教えていただければと思った次第です。以上です。
○根本座長 ありがとうございます。
 3点ほどありましたけれども、お願いします。
○角田JICWELS専務理事 最初の点は、実はそんなに多くないですね。年に1~2件あるかないかという感じです。ただ、私どもはそういうふうにちゃんと対応したいということで書かせていただいた。今のことは、候補者からの話ですね。
 それから、次の簡素化の件につきましては、理論上は確かに両方書くほうがいいと私も思っていますが、現実的にそれが本当に果たして機能しているのかというのは若干疑問がありまして、それだったら今後のことだけ書いてですね。
 というのは、延長の基準には、試験結果が基準点を満たすというものがございまして、その試験結果を満たした人の申請は全部OKになっています。ということは、そう厳しくしなくても認めているということであるならば書類も簡素化したらどうかという話でございます。
 それから、3番目の点につきましては、私どもは要望というのをほとんどしたことはございません。それは、施設の方などからはJICWELSもちゃんと言うべきだということも言われているのですけれども、やはり実施機関ということなのでなかなか政府に対して要望書を出したりする活動というのはしていません。
 ただ、こういうヒアリングの機会を与えてくださって、その場でいろいろ申し上げているという状況でございます。
○根本座長 ありがとうございます。それでよろしいですか。
○伊藤構成員 はい。
○根本座長 ありがとうございます。
 どうぞ、田中委員。
○田中構成員 1点だけ、9ページの受入れ人数の推移でございますが、22年度から低迷していたのが25年度から非常に延びておりますけれども、JICWELSとしてそれはどういう要因で候補者がふえたかということをお教えいただければと思います。
○角田JICWELS専務理事 最初の基礎資料の説明にございましたけれども、役所においてそれぞれ対応を打っているわけですね。その結果、制度に対して信頼を得たんだろうということでございます。実は当初は非常に御批判があった制度でございまして私どもも随分言われました。日本語ができないじゃないかとか、学習を放ったらかしにされたとか、そういうことを非常に言われましたので、国におかれて日本語研修期間を長くした。
 そうすると、今、大体N3の人が入っているという状況をつくれたということ。それから、学習支援事業も始まったということで、だんだん施設の皆さんに信頼を得てきたのではないかと思っています。
○根本座長 ありがとうございます。ほかはよろしゅうございましょうか。
 では、どうぞ。
○北浦構成員 今の点ともちょっと絡むのですが、資格者の日本語能力の向上がさらに必要という御指摘はそのとおりだと思います。ベトナムの場合は訪日前に1年間かなりしっかりした研修をして、あとは前後挟む形でやっておりますね。これは建前というか、条件づけとしては、1ページの絵ではまだ訪日前はN5以上というような言い方になっておりますが、これは実態的には「以上」ですからかなりの水準まで上がっているというふうに見てよろしいんでしょうか。訪日後が6カ月ですので、そこでいろいろな学習支援があるのは拝見いたしましたが、どの程度の実態なのかを教えていただければと思います。
○根本座長 お願いします。
○角田JICWELS専務理事 N5につきましては、実は訪日前の6カ月間の研修が終わったときのN5でございまして、おととしからインドネシアで始まりましたけれども、その年はクリアーしなかった人はゼロだったんですね。去年は実は数名出たんですけれども、そういうことでむしろ足切りではないかと思っています。
 それで、N3という要件とするべきではないかという御意見もあることはあると思いますけれども、そうすると私ども非常に仕組みが難しくなりますね。今のベトナムのようにできればそれはいいのかもしれませんけれども、なかなかそうなっていないので。
 ただ、現実を申し上げますと、今、就労するときにインドネシアとフィリピンの場合は93%ぐらいの人がN3相当となっていますので、私どもとすればそれで十分かなという感じは持っておりますけれども。
○根本座長 ありがとうございます。よろしいですか。
○北浦構成員 結構です。
○根本座長 それでは、次にEPAの介護福祉士候補者等の受入れ施設から2カ所にプレゼンテーションをお願いしております。まず、社会福祉法人明照会特別養護老人ホームあそか苑の河原様、お願いいたします。
○河原あそか苑理事長 失礼いたします。兵庫県伊丹市からやってまいりました社会福祉法人明照会理事長をさせていただいております河原と申します。EPA受入れに関する検討会で発表させていただくということで準備して来させていただきました。簡単に、法人のほうの説明から入らせていただきます。
 2010年からEPAの受入れを開始させていただきまして、10年後の介護人材不足ということは確実にくるということを予見いたしまして当初受入れを始めたということでございます。
 法人は、特別養護老人ホーム50床を中心として、サテライト型の地域密着型特別養護老人ホームが3施設、単独の地域密着型が1施設、それに付随する形でショートステイサービス、デイサービス、グループホーム、小規模多機能、訪問介護、訪問看護、居宅支援事業所を運営させていただいているという形でございます。
 2010年にインドネシア1名を受け入れまして、2011年にフィリピン2名、インドネシア2名、2014年フィリピン2名、インドネシア3名、2015年にフィリピン4名を受け入れ、トータルで現在15名を受け入れて11名が施設の中で就労していただいている形でございます。そのうち、2名が国家試験を合格しているような状況でございます。
 続きまして、「EPA介護福祉士候補者、EPA介護福祉士の研修体制、業務遂行状況、教育指導体制について」ということですけれども、介護業務にかかる教育指導体制といたしましては研修指導責任者、そして研修支援者が現場職員によるOJT、Off-JTもありますが、そういう形で支援をしております。
 夜勤に関しましては少し慎重にしておりまして、日本語能力試験N2をしっかりと合格した者で、日本に来て1年以上勤務している者の中で研修責任者が認めた者を夜勤ができる者と現在しております。
 「国家試験合格に向けた教育指導体制と現状」といたしましては、勤務時間中に日本語教師による日本語と国家試験対策をしていただいております。そして、勤務時間外での自習をしっかりとするようにという形で、研修責任者が課題を出してそれを提出してもらうような形で自習をしっかりと促すような形での自習をしてもらっております。
 「職員人数と研修体制の関係など」ということですけれども、EPA職員を現在は多数雇用するようにしておりまして、日本語教師のほうが確保できたと書かせていただいております。当初、1名、2名のみ受け入れていた状況がありました。そのときは、日本語教師を見つけてくるといっても、なかなかあいた時間だけ教えに来てくれるというような先生を、ボランティアであったり、パートとして来てもらいたいという形で打診をしても、なかなか短い時間だけ来てもらうというのが難しかったもので、ある程度、EPA職員を多数雇用することで先生の働いてもらう時間も確保できるということで、先生の確保がやりやすくなったということでございます。
 そして、長く今、続けておりますので、日本語教師が介護の国家試験の内容も理解してもらえるようになってまいりまして、簡単な日本語というか、介護に関係のない日本語を当初勉強していましたけれども、今は国家試験の内容に応じて日本語を教えてもらっているという状況で、その国家試験の内容に対する質問も先生は答えられるようになってきておりまして、大変効率がよくなってきているんじゃないかと思っております。
 続きまして、「EPAの更なる活用に向けた課題について」という形で幾つか書かせていただいております。
 「EPA介護福祉士候補者の受入れ対象施設の拡大」という形で提案を書かせていただいているのですけれども、候補者の段階では研修体制と生活面でのフォローアップ体制の確保が大変重要だと認識しております。
 しかし、それは施設単位というよりは法人単位で確保している場合が多いというふうに周りの状況を見ても思っております。現在の要件であれば、施設と同一敷地内で一体的に運営されているという条件つきで施設以外でも勤務が可能ですけれども、法人としてその研修体制や生活面のフォローアップ体制が整っている場合は、この条件に限らず働くことができる研修が十分できるんじゃないかと考えております。
 特に、当法人ではサテライトの特養が3施設ございまして、サテライトですので歩きや自転車で通えるような距離でございます。研修責任者の兼務なども可能ではないかと思いますし、同じところに寄宿舎を設けてもそこから通えるような状況ではないかと思っております。
 そしてまた、特定施設入居者生活介護、一定希望以上だとかグループホーム、通所リハ、デイサービス等もそういう中では考えられるのではないかと思っております。
 続きまして、「EPA介護福祉士の受入れ対象施設の拡大」です。訪問介護の話が先ほど出ておりましたけれども、訪問介護は日本の生活習慣への理解が大変重要な仕事ではないかと思っております。日本人の中でも、やはり訪問介護でお宅に行っていただいて仕事をしていただくというのは、少し施設の中で働くよりもハードルが上がる業務でございます。ですので、国家試験を合格したということで可能というわけではなく、個人個人の資質が問題になる業務だと思っておりますので、その辺は少し慎重に考えるべきではないかと私は考えております。
 4番目、「その他」です。「適切な受入れの視点から、見直しが必要な事項など」という形で2点書かせていただいております。
 1点が、「1施設あたりの受入れ人数について」と書かせていただいております。うちの法人で当初、最初に受け入れた候補者は1名での受け入れになりました。それは、こちらの理由ではなくて来日時の最終段階でもう一人の候補者の方が行くのをためらったということで、仕方なく1名での受け入れをしたというところだったんですけれども、逆に1名来日した候補者の生活が本当に日本人の中で一人で生活するような環境になったということで、日本語の上達のスピードは後で何人かで受け入れた職員よりも早かったですし、もうそこで日本の生活に慣れたということで合格後も定着していると感じております。ですので、1名、2名以上という原則にこだわらなくてもいいのかなと思っております。
 また、一方で研修の実施体制を確保するという観点で先ほども少し説明させていただきましたけれども、原則として1年間で5名以内とすると書かれておりますが、研修の体制を確保するということを考えれば、ある程度、一定規模の受入れをすることで日本語の講師の確保を効率的に行うことができるかと思っております。
 日本語の講師というと、当初、私どもも日本語がしゃべれる介護職が日本語を教えたらいいんじゃないかと結構安易に考えて始めたところがあったんですけれども、やはり日本語がわかるという状況と、日本語を教えることができるというのは本当に専門性が違うところがありまして、しっかりと日本語の研修ができる、指導ができる人を確保するというのは結構、地域、地域によっては難しいと聞いております。ですので、ある一定規模を受け入れることで先生の仕事の量も確保できるということで、優秀な日本語講師を受入れ施設が確保できる側面もあるのではないかと感じております。
 そして、2ですけれども、「家族の呼び寄せに関する条件について」と書かせていただいております。EPA介護福祉士が退職する理由の多くは、うちでも3名ほど帰国しておりますけれども、やはり2名帰った理由が結婚を母国でしたいということでした。日本よりも結婚の時期が早い文化でございますので、早目に帰って結婚しろということを親に言われて泣く泣く帰るということがありました。
 先ほどJICWELSさんの説明にもあったように、結婚して家族を呼び寄せることができたとしても、就労が28時間と制限されているということで、現実的に経済的な面でこちらに来てもらうことは難しいというふうに話を聞きますので、その辺の緩和ができれば、このEPAの介護福祉士の受入れはもう少し柔軟になるのではないか、促進されるのではないかと感じております。
 私の考えといたしましては、EPAの制度で来日してもらっている看護師さん、介護福祉士候補者の方は現在とても優秀な方だと感じております。今後、東アジアの高齢化がどんどん日本以上に進んでいくという話を考えれば、インドネシアとかフィリピンの方の看護師や介護士の候補者の方が世界的に争奪戦になるようなことを予想しております。
 ぜひ日本にいいイメージを持って、ほかの国ではなくて日本で働きたいという夢を抱いてきた若者でございますので、その期待を裏切らないようにというところもそうですし、母国に帰って、日本に行ったら難しかったよとか、厳しかった、嫌だったというようなイメージが流れることがないようにしていただきまして、今後も日本に来る人材が多いというような状況、いい流れをつくっていただきたいと感じております。
 そしてまた、技能実習生という形で介護士が来るという話も耳にしておりますので、そういう方と高度人材として来ているEPAの方との処遇の整合性というあたりを少し考えていただきたいと思っております。以上です。
○根本座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に対しての御質問等は後で受入れ施設としてまとめて伺うことといたしまして、引き続き医療法人地塩会介護老人保健施設夢の里の山本様、よろしくお願いします。
○山本夢の里理事 よろしくお願いします。医療法人地塩会介護老人保健施設夢の里、その中のEPAの責任者として本日ここに来させていただきました。
 当法人は、医療法人地塩会、医療法人香美会、社会福祉法人ふるさと自然村、この3法人からなっているグループです。自分は、そこでドクターとして働いています。
 法人のある場所は高知県というところにあります。高知県で従業員、大体1,400人の方が働いているある程度規模の大きな医療法人、社会福祉法人になります。
 EPA受入れ施設というのを4ページから列挙していっているんですけれども、細かい内容は割愛してトータル的なことをちょっと話させていただきます。現在、外国の方、当法人ではフィリピン人、ベトナム人、この2カ国の方を受け入れています。合計は22人、その中で看護師、介護士、この2つの職種でEPAを担当させてもらっています。そして、平成21年度からフィリピン人を受け入れていったことから始まっています。現在は、ベトナムも受入れを行っています。
 それで、当初の課題として何が挙がっていたのか。これは日本語の習得レベルが低いということ、今は8ページを説明しています。その中で受入れ体制、あとは整備のおくれ、研修の成果が出ない、このあたりで試行錯誤をしていっていたようです。
 それで、私自身がEPAの事業にかかわり始めたのは3年前になります。法人の中で、EPAの子たちは勉強に困っている。日本語の能力が上達しない。どういう形で外国の子に日本の教育というものを教えたらいいかという相談を受けて、自分がこの事業に参入したのが最初です。
 その中で、自分が引き継いだ後にカリキュラムの全面の見直しを行いました。EPAの候補者自体は、JICWELSさんが頑張って日本語の習得レベルというものを上げてくれている。それによって、日本に来た後にある程度、日本語での意思疎通が可能になってくる。外国人個人の日本語の能力というものが、もう来日前にかなり完成しているというのがまず一つの大きな理由です。
 それで、施設側でどういうふうに変えていったかというと、まずルールも何もなかった中にこのOJTのシステムを組み込んで、いかに実地の中で介護という技術を学ぶことができるかどうか。今後は、JICWELSさんの話にもあったようにキャリア段位制度、アセッサー、そういった日本人が求めていくであろう資格といったものを外国の人にも求めていってもらいたいというのが自分の中の考えです。
 外国人の方が勉強を学ぶ上で多分、一番困ることというのが、いわゆる日本独特の受験戦争、試験の勉強、そういったものに慣れていないということがあると思います。自分自身が見ていたときに、覚えるものをとりあえず全部覚えてみる。書かれていることを全て覚えようとする。けれども、それではやはりどんな科目も量が多過ぎて学べない。その中で、いかに効率よく勉強して学んで合格するかということにまず特化していくということを第一に据えました。
 もう一つ、勉強時間をふやしました。もちろん勤務というものも技術を学ぶ上で大切なんですけれども、この外国の子たちというのは3年間の若い大切な時間を使って日本に来ます。その大切な3年間というのは、特に女性の場合は大きいと思うんですけれども、やはり二度と返ってこない。その中で、日本で何も手に入れることができずに国に帰るということだけは自分はしてもらいたくなかった。その中で、勉強時間をふやしました。
 日本人からクレームが出るかなとは思ったんですけれども、当法人で働いているスタッフからは逆に応援の声、3年間の時間を使って必死で勉強を頑張って、その後、一緒に働こう。いっぱい働こうという声を挙げてもらって、大体、月、火、木、金、この日は1日のうち半分が勉強時間になっています。それで、水曜日だけ1日勤務で、あとは家に帰った後は自習をしてもらうために、職場でやった勉強、実技を家に帰って復習してもらう時間をつくるのに夜勤というものは全て外しました。日中は勉強と仕事、それ以外は自習です。
 あとは、自分自身が据えているものとして仕事、勉強、仕事、勉強だけの生活だと必ず疲れてきます。私自身、やはりいろいろ受験をしてきた中で勉強だけだと息が詰まることはたくさんありました。
 その中で、私たちの法人で大事にしていることは遊ぶこと、これも一つの目的に入れています。それによって、例えば年末にお餅つきに連れて行ってあげる。日本の典型的な文化だと思います。スキーに連れて行ってあげる。お祭り、納涼祭に連れて行く。踊りに連れて行く。地域のお祭りの踊りですね。そういったものに連れて行くことによって、息抜きができてモチベーションが上がる。あとは、日本の文化に直接触れることによって日本自体を好きになってくれるようになります。
 ことし、12月の末にお餅つきに連れて行ったんですけれども、やはり評判はいいです。どんどん日本が好きになる。日本人が好きだ。現場の子たちからこういう感想が挙がるということは、自分自身がしていることは間違いじゃないというふうに自分は思っています。
 それで、介護の業務のカリキュラムなんですけれども、これは日本人の高校を卒業して介護の現場に入る子たちと同じように、ベテランの介護士がそばについて常に仕事の内容をチェックし、指導して教えていくという体制をとっていっています。
 外国の子が介護の介護日誌を書くということは最初は難しいので、丸であったり、バツであったり、その中で気がついたことのキーワードを出してもらうというような訓練の中から、3年かけて介護日誌を書いていけるようにという形をつくっています。
 14ページはおまけですけれども、勉強風景を載せています。
 自分がこのEPAの事業の担当になってから3年目がもうすぐ終わるんですけれども、自分が1年目から勉強をさせ始めた子たちにやっと成果が出始めています。ことし、介護国家試験を6人受けるんですけれども、120点満点の試験で得点率は大体60%以上が合格の目安と言われている中で、満点を2人取って、あとは大体8割から9割以上ばかりです。多分、皆さん試験には合格してくれると思っています。
 では、この合格というものが個の能力によるものなのか。得意、不得意といった分野、あとは個の長所、短所、そういったものにかかわるのかということをちょっと調べてみたんですけれども、そういったものでもなさそう。
 結論からいうと、やはり勉強を効率的に行うということに慣れていない外国人の方を日本の看護、介護の国家試験に合格させるためには多分、時間を使うというのが一番手っ取り早いのではないかと思っています。手っ取り早くはないんですけれども、その子たちの使った時間を無駄にしないためには、やはり施設側は100%合格をさせてあげることが私は大切なことじゃないかと思っています。
 さらに、高知県の立地条件の中で、高知県は全国の中で唯一、日本語学校がありません。日本語学校がなくて、日本語教育に本当に困りました。日本語を教えてくれる先生すら、ボランティアで見つけられる程度の先生です。
 では、自分が日本語学校をつくってもらえるようにほかの英語の語学学校の先生たちに交渉するという選択肢もありました。それで、実際に話してみた中で前向きには捉えてくれていたんですけれども、それにはちょっと時間がかかる。けれども、EPAの子たちの時間というのは待ってもらえないという中でいろいろ考えた結果、今スカイプによる日本語の授業というものを少し取り入れています。実際にそれがどの程度この子たちにとってプラスになるかというのはわからないんですけれども、しっかりした日本語の文学として、文としての日本語の構築というものをしてもらう中で、やはりきちんと専門の知識を持った日本語の先生の教育ということで今はスカイプの授業を入れていっています。
 2年ほど前に看護の国家試験に受かった子がいたんですけれども、国家試験に合格したら、ではどうするかというのが今後の取り組みになってきます。今、やはり多く希望が出ているのが、現地で結婚していた方が日本に来て、日本でEPAの勉強をして介護の国家試験に合格をして旦那さんを連れて来たい。子どもを連れて来たい。
 けれども、フィリピンは言語がタガログ語と英語です。もちろん、日本語は旦那さんも子供もしゃべれない。その中で、高知という立地条件の中では旦那さんの雇用であったり、子供さんの勉強であったり、そういったものに弊害が出てくる可能性がとてもあります。
 当法人の運がよかったのは、神奈川県横浜市にも1つ特養を持っています。その特養に移動させてあげることで子供たちの教育、旦那さんの雇用の援助、そういったものに対応していこうと今、考えています。
 今後の展開についての要望ですけれども、受入れ施設の拡大ですね。特定施設の入居者生活介護、例えばケアハウスになります。では、どういう目的でケアハウスを希望するかというと特養、老健、やはり入っている方は重症であったり、介護度が結構高かったりします。
 その中で、ケアハウスの場合、介護度は少し低目ではあるんですけれども、日本語のコミュニケーション、入所している方とのコミュニケーションを十分とることができる。その中で、やはり今の若い子に日本の話を聞くより、年を取っている方に日本の話を聞くほうが、彼女たちの日本に対するイメージというのは確実にプラスになります。昔は日本でこんなだったんだよ、こんなだったんだよという話の中で自分が聞かれるのは、先生、入所している人にこういう話を聞いた。私たちは、それをやってみたい。例えば、その典型がお餅つきだったんですけれども、そういったいろいろな古い日本の話というのを聞かせてもらう中で、その子たちが日本を好きになっていく。もちろん、将来的に母国に帰る方たちだと思います。
 けれども、母国に帰った後に日本の話をする中で、日本は楽しかった。本当に日本が好きになった。そういったことを言ってもらえるように、自分はこれからEPAの子たちを育てていきたいと思っています。ありがとうございました。
○根本座長 ありがとうございました。
 ただいま受入れ施設の2つ、お2人からプレゼンテーションいただいたわけでありますけれども、それではお2人に対する質疑をここで行いたいと思います。ただいまのお2人からのプレゼンテーションに関しまして、御質問等がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ、石橋さん。
○石橋構成員 発表、どうもお疲れ様でした。ありがとうございました。
 後のほうで述べられました山本さんは非常に丁寧な取り組みをされていると感心したところですけれども、特に勤務だけではなくてしっかりと日常生活の中でも学習支援を取り入れているというお話をお聞きしたところでございます。
 その前に、特養の河原さんから発表がありましたけれども、この受け入れている人たちの学習支援の状況などについて、1日8時間勤務してその後行っているのか。どのような形で学習支援をしているのか。もう少し具体的に、まずお聞きしたいと思いました。
○河原あそか苑理事長 学習支援の状況ですけれども、勤務時間内での学習の時間は一応決まりに入っておりますので、1日2時間を週に3回、先生に来ていただいて学習しているというような状況でございます。
○石橋構成員 済みません。1日2時間、週3回ぐらいというのは日本語研修がメインですか。それとも、介護福祉士国家試験対策が中心ですか。どちらですか。
○河原あそか苑理事長 日本に来てN2を取るまで基本的にはしっかりと日本語研修をしないといけないと思っているんですけれども、スケジュールでいいますと2年間はしっかりと日本語研修のほうに時間を使っております。
 それで、最後の1年間は国家試験対策のほうに重きを置いて、今は両方、同じ先生でやってもらえるような状況になってきておりますので、先生にお願いして年次に応じてその人の大事なところを教えてもらっている。弱いところを教えてもらっているというような状況でございます。
○石橋構成員 ありがとうございました。
○根本座長 よろしいですか。
○加中構成員 本日から参加させていただいております経営協の加中と申します。
 河原さんにお伺いしたいのですが、先ほど御説明の中で2010年に受入れを開始されたときに人材不足がくると考えていたというお話をされました。その人材不足というのは、基本的には人材、要するに人数がなかなか集まらないだろうという時代がやってくる。それに対して、EPAでの受入れを始めた。
 それで、先ほどのお話ですと今はとても優秀な介護士、看護師さんだというふうな印象を持っていらっしゃる。その当初の受入れ始めた理由から、今の優秀なお一人お一人のいわゆるレベルと申しますか、要するに優秀な方だというような認識を持っていらっしゃる、その気持ちの移りかわりと申しますか、当時の思いと今の思いがEPAの受入れに関してどのように変わってきたのか。それをお伺いしたいと思いました。
○河原あそか苑理事長 本当に当初、受入れを始めたときはどういう人材が来るのかというのも見えない部分で、EPAという形である程度優秀な人材、一定以上の教育を受けた人材ということはわかっていたんですけれども、どちらかといえばマンパワー不足のために現場で介護をしてくれる人材が日本に、うちの施設に来てくれるということで、そういう人が一人でも多く必要になってくるんじゃないかと思って受け入れ出したというのが正直なところです。
 それで、受け入れて、その候補者たちが国家試験に合格して現場で働いている姿は管理者等の評価もありまして、今で言えば当初考えていた以上に、期待以上の人材が日本に来てくれていると思っておりまして、日本語のレベルの問題でいろいろな差はあると思うんですけれども、もししっかりと今以上に日本語ができるようになれば、能力的には管理職などにも登用したいような優秀な人材でありまして、今、管理職というか、役職付ぐらいまでにしか育たないですけれども、この書類面の問題がなくなれば管理職に登用してもいいなという人材は何名かいます。
○根本座長 よろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。
 では、どうぞ。
○白井構成員 御発表ありがとうございます。
 山本様にちょっとお聞きしたいのですが、資料の15ページで模擬試験の結果を見せていただき、非常に優秀ですごいなと思ったんです。私は養成校に勤めておりますので、すごい結果だなと思いますし、このくらい頑張れたEPAの方たちは、頑張った自分に対してやはりすごく自信を持っているのかなと思うのですが、それと一緒にきっと施設様にはまだ無資格でこれから国家試験を受けようという形たちもいらっしゃいますね。そういう方たちとの関係性というか、すごくいい刺激を与えていたとか、お互いの関係性がきっとよくなっていったのではないかと思うのですが、そんなところを少しお聞きしたいです。
○山本夢の里理事 日本人はやはり語学で勝っている分、負けたくない。外国の子たちが合格をするのに、自分たちが落ちるのは嫌だという思いは多分、強いです。このEPAの子たちが施設に来るようになってから日本人の介護福祉士の試験、受験者数もそうなんですけれども、合格者数も法人内で上がってきています。やはり負けたくないという思いが強いと思います。
 あとは、これは私の考えを法人内で通させてもらっているんですけれども、この子たちは一番は勉強でまず資格を取ること。その後に、日本で働くならばうちで働いてねというような形で、そのかわり自分はできることは全てするというスタンスでこの子たちと接しています。
 その典型なのが、安倍内閣に変わってからEPAの子たちが来日して1年間働いたら配置基準の中に入れていいというようになっているはずです。けれども、この子たちは配置基準には入れていません。私たちのところでは、どうしても配置基準に入れてしまうと業務というもので生活が左右されてしまう。それは、やはり勉強するということからは本末転倒になってきてしまう。自分はやはり学んでもらいたいということが一番なので、そこは配置基準から今は外しています。
○根本座長 ありがとうございます。よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。
 では、伊藤さんどうぞ。
○伊藤構成員 大変すばらしい取り組みをしているということを、きょう伺えて本当にありがたかったと思っております。単にEPAの受入れというよりクールジャパン的な、日本を好きになってもらうというような視点もあるんだなということがわかったような気がしました。
 それで、1つ伺いたいと思ったのが、これまで受け入れられているEPAでいらっしゃっている方は大変優秀な方だということは共通していたと思います。管理職に登用することが視野に入るようなという話だったので大変優秀だと思うんですが、先ほどのJICWELS様のプレゼンテーションというか、要望の中で、資格取得後の支援が少なくて不安の声があるということがございました。そういった皆様の両施設のほうで、資格取得後についてどういった不安の声があるのか。どんなものが必要なのかというようなことを伺えれば思います。
○根本座長 ありがとうございます。どちらからでもどうぞ。
 では、河原さんお願いします。
○河原あそか苑理事長 資格取得後ということで、私の考え方としても山本さんのお話にもあったように国家試験を合格するということは日本語がちゃんと話せるということとはまた別だと思っておりまして、試験に関してはテクニック的な部分が結構比重が多くて、日本人であれば試験の中で選択肢が5つあって、日本語の使い方だとか雰囲気で幾つか削れる。何とかでなければいけないとかという文言でちょっと雰囲気で感じられる部分があったりするのを、本当に日本語がしっかりわかっている日本人ではない候補者たちは雰囲気で読みますので、その辺の語尾のところの違いがわらないということで、結構その辺のテクニックが日本語の国家試験の前は我々も重要だと思ってしっかり指導しているんですけれども、そういうこともあってしっかりと日本語がしゃべれるのか。国家試験を通ったら日本語がしゃべれるのかというと、そういうわけではないというところであれば、やはり生活面の支援であったり、あとはメンタルヘルスの部分であったり、そういう部分でやはり国家試験合格後もフォローアップは必要かと思っております。
 あとは、先ほど山本さんも言われていたんですけれども、ある程度の数の外国人を受け入れるようになるとどうしても固まりますので、固まっていろいろ行動すると近隣の住民から外国人がたくさんいるという形で、放っておいたら心配される部分もなくはないので、近隣の方とのソーシャルインクルージョンというか、社会にどう巻き込んでいくのかという部分は重要に考えております。
○根本座長 ありがとうございます。
 山本さん、何かありましたらどうぞ。
○山本夢の里理事 合格した後のケアですけれども、多分、一番大事なのはやはり語学になってくると思います。国家試験に合格したからといって日本で生きていく、日本でいろいろな話をしていく、患者さんたちと接していく中で語学にこれぐらいでいいというものはないと思います。幾らでも学んでいきたい。学びたい。
 けれども、EPA、学生さんのほうからいうと、やはり働き始めたらそれは難しいという中で、自分たちの法人の中で合格していった子たちに対しては別箇での日本語教育というのを今つくろうとしているところです。
 あとは、外国の子たちが集まっていると地域の方が変に思うという話がちょっと出ていたんですけれども、確かにあると思うのですが、高知県というのは物すごく田舎です。別に田舎に外国の方がいても多分、大して皆、気にならないような感じで、逆にお祭りとかにも本人たちが顔を出したりしている中で、地元の人たちも人数が少ないので自然に顔見知りになっていく。その中で、小さなコミュニティですけれどもしっかりでき上がっているんじゃないか。
 あとは、困るのが、結婚していて日本に来た場合、これはやはり対応が一番大変になってくると思います。一番大変になるのは、都会に出してあげるということができたとしても、その旦那さんの就労時間の制限があると、EPAの子が女性だった場合には結構大変になってくるんじゃないか。今後、やはりそれは心配です。
○根本座長 ありがとうございます。
 では、どうぞ。
○河原あそか苑理事長 済みません。もう一点だけですが、国家試験までは候補者は皆、国家試験という大きな目標があって、それに向かって学習をしっかりとそれこそ本当に必死にするんですけれども、介護福祉士を取ったときにそこでバーンアウトじゃないですが、その次のステップが何なのかというのが正直、見えなくなるタイミングでもあるのかなと思っておりますので、次の課題を少し与えたり、そういうことが重要になってくるかと感じております。
○根本座長 ありがとうございます。伊藤さん、よろしいですか。
○伊藤構成員 はい。
○根本座長 では、どうぞ平川さん。
○平川構成員 1つ質問と、意見です。
 まず質問のことで、山本先生の施設ではここまで研修していると、ある意味、養成校並みかなという印象もあるんですけれども、実際にきな臭い話で賃金といいますか、そのあたりについては一般就労の方々とはどんなふうになっているんですか。
○山本夢の里理事 日本人の介護福祉士の免許を持っていない子たちと、全く同額です。この子たちにとっては、勉強は仕事です。
○平川構成員 そうすると、これはあくまでも就労という形に読みかえているということですか。
○山本夢の里理事 そうです。
○平川構成員 わかりました。それについては、職員の方々も仕事なんだということを理解しているということですね。
○山本夢の里理事 納得してくれています。
○平川構成員 それから意見ですけれども、多分きょうの2つの法人というのは、おしなべて多分この事業に取り組んでいる法人はどこも頑張っているんですが、とりわけ頑張っているところではないかということで、これをスタンダードに議論していくのはなかなか難しいのではないか。ヒト、モノ、カネじゃないですし、しかも法人の規模も大きいですし、本音でいえば受入れ施設によってはやはり人員基準が入ってよかったねというようなレベルのことは幾らでもありますし、また、志が高い候補者もいらっしゃれば、やはり家族の生活を考えれば稼ぎたいんだという方がいらっしゃるところもあります。
 そこで、これから先、きょうの当初の話からすると、これをどう進めていくか。よりよいものにもっていきながら、ある意味では規制も緩和という議論になっていくと思うんですけれども、やはりそのあたりは明るい部分、暗い部分、両方見ていかないと、余り早いテンポでいってしまうと大変かなと思いますので、ちょっと気になったもので。
○根本座長 ありがとうございます。
○山本夢の里理事 先ほど賃金の話が少し出たんですけれども、私たちの法人がこれぐらい勉強にかじを切っている理由に、1つは賃金があります。やはり東京都内、同じEPAの面接会場に行っていても、東京で1人のEPAの子に出してあげる給料と、自分たちが出してあげられる給料というのは雲泥の差です。
 とあるお金をいっぱい持っている法人とかだと、下世話な話ですけれども月24万円、それもEPAの子にです。例えば、ベトナム人だったら旧正月に2週間帰っていい。そういった条件がいろいろなところで出てくる中で、では自分たちがそのお金を持っている法人と人材の取り合いじゃないですけれども、戦うためには、やはり自分は教育特化しかないということでかじを切りました。
 地域特性で、高知県という地域特性があり、圧倒的に劣っている中で自分たちがやってあげられることというのは、本当に日本の文化を大切にしていろいろなことを教えてあげるということと、何が何でも国家試験を通すということ。多分、この2つがないと自分は都内の大きな施設に金銭的に立ち向かうことはできないと思っていますので、そこは自分が伸ばしたところです。
○根本座長 ありがとうございます。今、言われた御意見等につきましてはまた次回以降に持ち越させていただくこととしまして、とりあえずプレゼンテーションに対してのお2人方、それからさらにはまたJICWELSさんに対しての御質問等でもよろしいと思いますが、プレゼンテーション全体を通して何か御質問はございますか。
 先ほど、石橋さんは手を挙げられましたので、どうぞ。
○石橋構成員 最初のJICWELSさんの提案のところで、資格取得後の定着促進のために資格取得者がその家族を呼び寄せて就労制限を緩和したらどうだ。特養の河原さんのほうからも御提案があったところでございますけれども、その就労支援などについては特段、望ましいのではないかと思います。
 ただ、ちょっと気になったのは、働く場所が介護現場というお声をちょっと聞いたんですけれども、先般の検討会において技能実習でさえ日本語能力がある程度ないと働けないという状況の中で、単に家族というだけで日本語など、また介護に関する知識、技術も全くない中において、いきなり介護現場で働けるようになるということに関してはかなり違和感があると思います。
○根本座長 ありがとうございます。何か今のことについてよろしいですか。
○角田JICWELS専務理事 家族の就労というのは非常に大変で、先ほどお話もありましたけれども、日本語がまずできないわけですね。そういうことももちろんわかって事業を進めなければいけないと思いますけれども、家族で一番働きやすいのはやはり介護分野ですね。一緒に働かせる。それで、施設の人が、では一緒に教えてあげるよというものでも、制度一般的に介護はだめだということはやはりおかしいんじゃないかと思っています。
 それはその人の適性においてやるべき話であって、とにかくEPAの家族で来た人は介護はできませんというのはおかしいのではないか。一律に家族は介護はいけないということはないだろうということだと思います。
○石橋構成員 そうじゃなくて、もし介護の業務を行うに当たっては技能実習生もそうなんですけれども、やはり日本語がある程度できないと介護自体ができないんじゃないかという話なので、もちろん全く介護はだめだというわけではなくて、それなりに日本語能力を高めて、また介護に関する技術を高めていけば当然そこで働くことも可能じゃないかということです。
○根本座長 どうぞ。
○熊谷構成員 実例を申し上げます。私のところも特養で、EPAの外国人を受け入れておりまして、平成20年にインドネシアの候補生を2人受入れをいたしました。1人は第1回目で合格をしまして、もう一人は2度チャレンジをしたんですが、なかなか合格ができずに帰国しました。
 その第1回目の合格した女性なのですが、ほかの技能実習で来ている同じインドネシアの人と結婚しました。それで、技能実習でいる方は一旦帰国したんですけれども、配偶者という在留資格で結婚して日本に戻ってきておりまして、今は28時間資格外活動で働いて夫婦で生活していたんですが、実はEPAの子のほうが妊娠して産休に入ったんです。そうすると、実質的には幾らか補助があるにしても旦那さんの収入で1年間生活しなければならないということで、なかなか経済的に大変のようです。
 たまたま技能実習で来ていたんですが、3年間、日本にいたから日本語はかなり達者でして、介護現場で働けるということであれば、ほかの雑務ですね。介護以外にもいろいろな仕事がありますから働かせてあげたいなと思うのですが、そういう制限があるから老人ホームでは働けないということで他業種で働いているんですけれども、若干緩和してケースバイケースで日本語の能力がある程度認められれば、緩和してあげてもいいかと感じております。
○根本座長 ありがとうございます。この件につきましては、特にきょうはもうこれ以上深めないということにさせていただきます。
 とりあえず、本日のヒアリングについて何か御質問があればどうぞ。
○北浦構成員 1つだけですが、河原さんのお話の中で受入れ人数との関係で1名の受入れだとしっかりと日本語を学ぶこともできるけれども、ある程度の人数がいないと日本語講師の確保ができない。
 そういうことでいうと、ここで書かれていることの趣旨は、やはりある程度の人数がいたほうがいいという考え方なのか。あるいは、日本語の講師確保というような何か別建てのいろいろな手段をとりながら、例えば共同でやるとか、そういうことをやっていけばよろしいという意味を持っているのかを教えてください。
○河原あそか苑理事長 日本人の受入れ人数の原則というか、制限というものが、余り私の中ではわざわざ設けなくてもいいんじゃないかと思っておりまして、少なければ少なくて日本人の中で生活することで日本語の能力は上がるという一面もありますし、多ければ多くて確保はしやすいという形だと思っております。
○根本座長 よろしいですか。
 どうぞ、田中さん。
○田中構成員 お二方にお聞きしたいのですが、2010年から開始されていますけれども、それ以降の候補者はどのようなルートで来られたのか。具体的にどういうふうに河原さんのところや山本さんのところに就職されたのかというルートを教えていただきたいと思います。
 例えば、勤められた方が呼んだとか、そういうことなんですけれども。
○河原あそか苑理事長 基本的にはマッチングですので、JICWELSさんでしていただく。一度だけ現地に行かずに書類で選考したことがあって、その方は2人とも帰ってしまったんですけれども、現地に行って面接させていただいて、基本はその中でよさそうな人を採用させていただいておりまして、1人だけその前に来た人が、あそか苑はよかったよという形で親戚のいとこの方が来てうちで今、就労しているという状況はあります。
○山本夢の里理事 全く同じです。
○根本座長 それでよろしいですか。
○田中構成員 はい。
○根本座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 それでは、これでヒアリングを終えたいと思います。ヒアリングに御出席いただきました団体施設の先生方、どうもお忙しいところ御協力いただきありがとうございました。
 それでは、ちょうどというか、数分時間を残しておりますけれども、ほぼ予定の時間となりましたので、本日はここまでにしたいと思います。
 次回の開催につきまして、事務局より御連絡をお願いいたします。
○堀室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思っております。事務局からは、以上でございます。
○根本座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の検討会は終了いたします。皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました。


 


(了)

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