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2016年3月29日 社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第4回)
雇用均等・児童家庭局
○日時
平成28年3月29日(火)15:00~17:00
○場所
中央合同庁舎第5号館 12階 専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
○出席者
委員
汐見座長 秋田委員 安達委員 阿部委員 |
大方委員 岡村委員 木戸委員 清水委員 |
鈴木委員 砂上委員 堤委員 寺田委員 |
橋本委員 三代川委員 村松委員 山縣委員 |
参考人
奥山千鶴子 (NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長) |
川副孝夫 (日本子ども子育て支援センター連絡協議会副会長) |
鈴木真廣 (日本子ども子育て支援センター連絡協議会理事) |
村上千幸 (日本子ども子育て支援センター連絡協議会事務局長) |
網野武博 (一般社団法人全国保育士養成協議会常務理事) |
平野 清 (一般社団法人全国保育士養成協議会事務局長) |
佐藤絹枝 (一般社団法人全国保育士養成協議会事業調査課長) |
厚生労働省
朝川保育課長 楠目保育課企画官 |
里平保育課課長補佐 加藤保育課課長補佐 馬場保育指導専門官 |
○議題
(1)保護者支援について
(2)職員の資質向上について
(3)関係団体からのヒアリング
(4)その他
○議事
議事
○ 馬場保育指導専門官
定刻となりましたので,ただいまから社会保障審議会児童部会保育専門委員会 ( 第4回 ) を開催いたします。委員の皆様におかれましてはお忙しい中,お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
初めに専門委員会の運営にあたり委員の皆様へお願いがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から,ご発言等をされる場合には発言者は必ず挙手をする。挙手をした発言者に対し委員長から指名する。指名を受けた発言者は氏名を名乗ってから発言するという運営を徹底したいと考えておりますので,ご協力お願いいたします。
最初に資料の確認をさせていただきます。配布資料は議事次第,資料1 ~ 7までと参考資料1,2となっております。資料の欠落等ございましたら,事務局までお申し付けください。
なお,松井委員,和田委員におかれましては,本日は所用によりご欠席と伺っております。なお,カメラの撮影はここまでとさせていただきますので,報道関係者の皆様におかれましてはご了承のほど,よろしくお願いいたします。
それでは以降の議事進行につきましては汐見委員長にお願いいたします。
○ 汐見委員長
年度末のお忙しい中,お集まりいただきましてありがとうございます。それでは早速議事に入らせていただきます。前回と同じく今回も関係委員の意見を踏まえまして事務局において論点の整理をしていただいています。それらを含めまして,まず,まとめた資料の説明の方をお願いいたします。
まず議事の1番ですね,保護者支援,職員の資質向上について事務局の方からご説明をお願いいたします。
○ 楠目企画官
失礼いたします。企画官の楠目でございます。よろしくお願いいたします。それでは資料の1から3,それから資料5につきまして順にご説明させていただきたいと思います。
初めに資料1の方をご覧いただければと思います。本日,議題の方が保護者支援及び職員の資質向上ということでございまして,大きくその2点につきまして主な論点の例についてまとめさせていただいております。
まず1つ目は,保護者支援についてでございますが,2つ○がございまして,まず1点目につきましては,核家族化が進み,地域の結びつきが薄れていく中で,子育て世帯の孤立化が問題となっているような状況の中で,様々な子育て支援事業が,現在政策化されているところですが,保育所としてどのように取り組みを進めていくべきかという事でございます。もう1点が,育児に関する悩みを抱える保護者が数多く,児童虐待の対応件数も増加を続けるなどの状況がある中で,保育所のソーシャルワーク機能の充実を求める声もあるところでございますが,保育所として,どのようにこうした専門性の充実を図ることが望ましいかという点。こうしたことも踏まえまして保護者支援の内容の充実あるいは内容の精査等についてご議論をいただければと思います。
それから,二つ目の職員の資質向上に関してでございますけれども,まず1点目といたしまして,保育士の職務である子どもたちへの保育や保護者支援に関しては,様々な課題への対応が求められているところでございますが,関連する職種の業務内容や専門性との関係も踏まえつつ,保育士に求められる専門性をどのように捉え,その向上方策をどのように図っていくべきかということ。
それから2点目といたしまして,現行の保育指針におきましては,保育課程の下で,保育所として様々な計画等を策定し,組織として一体的・効果的に取組を行うことが求められております。また関係機関との連携や,保護者への対応などにおいても,組織としての対応の重要性が増大しているところでございますが,こうしたことを踏まえまして,組織のマネジメントを担う施設長や,組織の中核としての役割を担う主任保育士等の能力の向上をどのように図っていくべきかということ。
それから3点目といたしまして,保育所としての組織的な対応や,様々な課題に応じた専門性の向上が求められる中で,それぞれの保育士が自らの職位や職務内容等に応じて,組織の中でどのような役割を求められているかを理解し,必要な力を身につけることができるよう,キャリアパスの明確化と合わせた研修体系の構築が必要ではないかということ。こうしたことを踏まえまして,職員の資質向上の方の内容の充実等についてご議論をいただければと考えているところでございます。
続きまして,資料2の方をご覧いただければと思います。保護者支援及び職員の資質向上に関する参考資料となってございます。まず1ページ目の下の方でございますけれども,少子化の進行などに関する資料でございまして,子育て世代の孤立化等の背景となりますようなデータ等もお示しをしているところでございます。ご参照いただければと思います。
少し飛びますが, 13 ページをお願いいたします。 13 ページの方が,そうしたこれまでにありますような背景を踏まえまして,これまで展開されて参りました少子化対策の取り組みについての経緯をお示ししたものでございます。本年度から施行されております子ども・子育て支援新制度につきましても,こうした流れの中で位置づけられているものでございますのでご参照いただければと思います。
次のページをお願いいたします。スライド番号の 15 , 16 につきましては諸外国と比較した場合の状況でございます。
続きまして,スライド番号の 17 からでございますけれども,こちらは保育士の資格に関する資料でございます。 17 ページの方ですけれども,保育士資格につきましては,大きく二つ資格を取得するための方法がございまして,一つがこちらの図の左側にありますように大学,短期大学,専門学校等の指定保育士養成施設において単位を履修しまして保育資格を取得する方法と,右側にありますように保育士試験を受験いたしまして保育士の資格を取得する方法と,大きく二つの方法がございます。下の方の資料は保育士養成課程の教科及び保育士試験の科目について,ご参考までに載せさせていただいております。
次のページをお願いいたします。「指定保育士養成施設種別ごとの保育士となる資格取得者の就職状況」とあります資料でございますけれども,保育士の資格を大学,短期大学等で取得した者がどのような就職をしているかというようなことをご参考までに示しているものでございます。下の計の欄のところにございますが,資格取得者が平成 26 年度末で 41,851 人おりまして,保育所に就職する者は 51.8 %となっております。そのほか福祉施設関係に就職する者と幼稚園に就職する者と合わせまして3割くらいとなっているところでございます。 20 ページは保育士試験の概要についての資料でございます。
次のページをご覧いただければと思いますが, 21 ページでございます。保育士試験の過去の受験者・合格者の推移のデータでございます。平成 26 年の欄をご覧いただければと思いますけれども,大体 5 万人が受験の申請をいたしまして, 1 万人弱が合格するということで,合格率が直近では 20 %弱となっているところでございます。また新制度になりましてから幼稚園教諭についての特例等が設けられておりますので,一番右側はそうしたことを反映したものでございます。それから下の欄でございますが,保育士試験につきましては本年度から全国的に年 2 回実施をすることで制度が変更されておりますのでご参照いただければと思います。
次のページをお願いいたします。 23 ページにつきましては,登録されている保育士さんの数と実際に保育士として勤務されている方のグラフでございます。こちらを見ますと,保育士資格を持って登録をされている一方で,社会福祉施設等で勤務していない者,いわゆる潜在保育士といわれる方が 80 万人弱いらっしゃるという状況でございます。
それから 24 ページ, 25 ページにつきましては,新制度の公定価格の資料でございます。主に運営費についての資料だと思っていただければと思いますけれども, 25 ページの右の上の欄に書いてありますが,運営費上も研修機会確保のための代替要員の経費等を措置しているところでございます。また,下の 26 ページの方は,こちらは予算事業で実施しているものでございますけれども,保育の質の向上のための研修事業ということで,都道府県または市町村が実施する研修事業に対して国として補助を行っているものでございます。また,こちらの資料にはありませんけれども,保育所で指導的立場にある職員の資質向上を図るために施設長でありますとか主任保育士等を対象とする研修を国において民間団体に委託して,別途実施をしているところでございます。
次のページをお願いいたします。「子育て支援員研修について」でございます。子ども・子育て支援新制度において実施されます各種の事業におきまして,地域の実情やニーズに応じて,これらの支援の担い手となる人材を確保するために,新たに設けられている研修の制度でございます。市町村が主体となって,国が定めたカリキュラムの体系に基づいて,こうした子育て支援員の研修を実施するという制度となっております。参考資料につきましては以上でございます。
続きまして,資料3でございますけれども,本日ご議論いただきます内容につきましては保育所保育指針の第6章「保護者に対する支援」の部分と,第7章「職員の資質向上」に関する部分と関連が大変深いところでございますので,そちらの指針の内容を抜粋しているものでございます。
資料5につきましては参考資料でございますので,適宜ご参照いただければと思います。資料の方の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。それでは議事の方に移りたいと思います。議事の2番目が関係団体からのヒアリングであります。まず事務局の方からご説明をお願いいたします。
○ 馬場保育指導専門官
本日は3つの関係団体の皆様にお越しいただき,保育所保育指針に関するヒアリングを行うこととしており,一団体あたり8分程度でのご発表,その後5分程度の質疑応答をする入れ替え制で行わせていただければと思います。
まず,ご対応いただく皆様のご紹介をさせていただきます。 NPO 法人子育てひろば全国連絡協議会より奥山理事長様,日本子ども子育て支援センター連絡協議会より川副副会長様,一般社団法人全国保育士養成協議会より網野常務理事様,以上3つの団体の皆様について進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたます。以上です。
○ 汐見委員長
それでは,まず NPO 法人子育てひろば全国連絡協議会からご説明をお願いしたいと思います。では奥山さん,お願いいたします。
○ NPO 法人子育てひろば全国連絡協議会 奥山理事長
本日は,このような貴重なお時間を頂戴いたしましてありがとうございます。私は子育てひろば全国連絡協議会の代表をしております奥山と申します。普段は幼稚園や保育園に行く前の子育て家庭,親子ですけれども,交流の場の運営をさせていただいております。この事業を地域子育て支援拠点事業として,いわゆる13事業の一つとして展開しておりまして,現在では全国で 7,000 箇所近く実施されております。ご存知の通り拠点事業の方は,まずは保育所に併設された地域子育てセンター事業として始まりまして,その後,つどいの広場事業という,市民活動団体等が地域や行政施設の空きスペース,商店街等で展開してきたつどいの広場事業,こちらと一緒になりまして地域子育て支援拠点事業と,現在なっております。
さて,私は資料6-1というところで1枚資料を提出させていただいております。この子育てひろば,地域子育て支援拠点なのですけれども,こちらの方は,やはり子育てに少し悩む保護者を含めて草の根的に展開してきたという経緯の中で,保護者支援が非常に重要であるというふうに認識しております。先ごろの NHK での子育ての危機的な放送番組でもございます通り,保護者の方々は漠然とした不安を抱える中で,私の子育ては間違っていないのだろうか,これでいいのだろうかという不安の中で子育てをしております。とても反響があった NHK の番組は,そのモヤモヤ感や不安感,そういったものが保護者の養育の仕方のせいだけでなくて,人類の子育ての中でこれまでなかった核家族での子育てが,子どもにとっても家族にとってもとても苦しいものであるということ。社会的な,構造的な課題,そちらの方を払拭していかないと,なかなか保護者の不安というのが払拭されないのであるというような観点からの放送で,科学的なエビデンスに基づいた内容だったので,とても保護者の共感を得られているのかなというふうに思っております。また最近,私どもの方で調査をした全国の地域子育て支援拠点を利用する母親 1,175 人にアンケートを取ったところ,母親自身が育った市町で子育てをしていない,そういった方が 72 %にのぼります。私たちはアウェイ育児と名前を付けたんですけれども,その 72 %の方々にとって,やはり拠点というのは非常に大きな力を持つというようなことがアンケートから導き出されております。そのような背景を踏まえまして保護者支援が非常に重要であるということについては,保育園の現場でも全く一緒ではないかというふうに思っています。保育所における保護者支援は,共に子どもを育てるパートナーシップとしての役割が,これまで以上に強く求められてきていると思っています。従って親の養育力の低下ではなく,社会の構造的変化に着目した背景の記述がふさわしいのではないかなというふうに思っております。親のエンパワーメントにつながるような表現に配慮が必要ではないかというふうに思います。たとえばなんですけれども,保護者の養育力の向上につながるよう,その通りなのですが,保護者の養育力を発揮できるというような文脈で語られていただきたいなというふうに思っているところです。
次に,保育所に入所している子どもの保護者支援についてです。私は保育所に一番求めたいなと思っているのは,この部分です。さまざまな困難を抱えている子育て家庭が増えています。それは,私たち地域子育て支援拠点の現場でも同様です。これまで以上に保護者に寄り添い,信頼できるパートナーシップが求められることから,保育士の力量の向上が不可欠だというふうに思っております。つまり,保護者の養育力を発揮させるためには,保育士の力量の向上こそが重要だと考えています。子どもの最善の利益を図る観点からも,保育所業務の本来業務である,保育所に入所している子どもとその保護者,特に保護者支援の重要性を認識し,保護者が安心して利用できる関わりや配慮が望まれていると思っています。保育所の保育機能が女性の社会的な活躍を後押しするためにも,より期待されている現状を踏まえて,より精神的に就労と子育てに逡巡しがちな保護者を支え,子育て家庭の安心につながるような関わりが求められていると思っています。昨年4月から小規模保育事業に取り組んでいるんですけれども,その中でも仕事を見つけてやっと就労した家庭,子育てと仕事,これをどう両立していくことや夫婦の協力関係を構築していくのが不安だという保護者も多くおります。そして次のお子さんを妊娠された時に,今度は上の子が次の園にどう入れるのかとか,育休とれるのかどうか,会社の働き方,そういったことで不安いっぱいの保護者に寄り添うことが求められます。小規模保育なので一人一人に寄り添える関わりというものが得られるんですが,この人数ですら,このような課題を抱えている保護者,それを丁寧にやろうと思ったら,とても保育所というのは大変な業務だなと改めて感じているところです。ここが今,パートナーシップとして本当に求められているところではないかと思っています。
次に,地域における子育て支援です。地域における子育て支援の社会資源がほとんど保育所のみだった時代と異なり, 2000 年ごろから多様な子育て支援の場が増えてきたことから,保育所における地域に対する子育て支援は,保育所本来の機能を活かした内容に焦点化すべきではないかと考えております。保育所本来の機能を活かした内容としては,以下のように今,先生方がずいぶん一生懸命されていらっしゃると思います。さて,保育所保育指針に記載されている「地域における子育て支援の内容」は,本来業務に支障のない範囲において,その社会的役割を十分自覚し,他の関係機関,サービスと連携しながら,保育所の機能や特性を活かした支援を行うとされていますが,この地域子育て支援の内容は,私どもが運営している地域子育て支援拠点事業に求められる内容と,ほぼ同様の内容となっております。また保育所保育指針では,「保育所に入所している子どもの保護者支援」及び「地域における子育て支援」が少し混在して記入されている,並行して書かれている場所があり,分かりづらいなというふうに感じております。私としては,先ほども申し上げたとおり,保育所に入所している子どもの保護者支援,こちらの方を強調していただいて,分けて記述をしていただいた方がいいのではないかというふうに思っています。地域子育て支援拠点,そしてこの13事業に入ってきました新たな利用者支援事業,こういったものが,よりソーシャルワークの機能を発揮するものとして位置づけられています。それぞれの事業者間の役割を,より明確化し,連携を強調した方がいいのではないかなというふうに思っているところです。以下に,少し拠点事業の経緯を書かせていただいておりまして,現在地域子育て支援は地域子育て支援拠点事業,これは市町村事業を含むと 9,000 カ所に増えております。さらに認定こども園の中でも地域子育て支援が求められているという中で,そういう意味で少し書き分けを強調していただければよろしいのではないかというふうに思っております。以上です。
○ 汐見委員長
どうもありがとうございました。それでは,5分ほどに限ってですけれども,今のご提案,ご意見に対してご質問をお願いいたします。山縣委員,お願いいたします。
○ 山縣委員
関西大学の山縣です。先ほどの最後の提案部分ですけれども,拠点事業を利用した支援事業と保育所の子育て支援を少し分けたらどうかという提案ですが,その場合,従事者,特に後者については,拠点事業等についてはソーシャルワークの話をしておられましたが,その場合には従事者というのは,今の拠点事業の方々,これはソーシャルワーカーとみなしていく,あるいは別途,今とは違うソーシャルワーク職を配置するのか,ソーシャルワークの視点程度でいいのか,その辺はどのようにお考えなんでしょうか。
○ 奥山理事長
拠点事業そのものは,今も人員配置がそう多くありませんし,地域との連携ということは求めていても,なかなかちょっとソーシャルワーク的なところまでは行けない部分もあると思います。しかし利用者支援事業につきましては,拠点だけに配置されているわけではありませんけれども,しっかり個別支援と地域連携のところが事業の中に入ってきておりますので,まだ始まったばかりではありますけれども,今後そういった機能が発揮できるような体制作りになっていくのではないかと期待しているところです。
○ 山縣委員
その場合に保育所の方の機能というのはどうなりますか。
○ 奥山理事長
たぶん利用者支援事業等を通じて支援が必要なご家庭というところを,しっかりと保育所の方にはつないでいく形になると思うんですね。そうした時に保育所側としては,それは利用者として受け入れて,保護者支援という観点から,しっかり子どもの保育を見て,さらにそのご家庭も,ここで言っているところの利用者の保護者対応という形で見ていっていただくということがよろしいのではないかなと思います。なかなか今は就労要件でなければ保育所に入りにくい,特に都市部ではあります。そういった中で,子育てに非常に負担感とかいろいろな理由で子どもがうまく保護者としか関われないというご家庭に対しては保育園という機能を得ることで,一緒に子育てを伴走していく機能を発揮できるのではないかというふうに感じております。
○ 汐見委員長
あまり時間はないんですが,ほかにございますか。橋本委員,お願いします。
○ 橋本委員
関西学院大学の橋本です。私の方からは1点目の保護者支援についての保護者の養育力の向上につながるようということと,それから保護者の持つ養育力が発揮できるようという,この書き分けのところですが,もう少しその違いについてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○ 奥山理事長
たぶんもう多くの保育所が,保護者のためにというよりは,保護者とともにという考え方で運営されていることとは思うんですけれども,やはりなかなか,先ほど申し上げたとおり保護者も私のこの子育てでいいのかということは,自分の能力というよりは,やはり小さい子どもに触れることなく母親になっている,父親になっているというような関係性もあり,どうしても自分を責めてしまいがちなんだと思うんですね。ただ保護者には機会さえあればしっかりと子どもたちを見ていけるし,というようなエンパーメントの観点で,例えば保育に一緒に保護者も関わってもらうとか,そういったことも含めて保護者が従来持っている力をしっかりと引き出せるような,保護者と共にという観点を入れていくべきではないかというふうに思います。
○ 汐見委員長
よろしいでしょうか。それでは,また後で総合討論ございますので。ありがとうございました。
それでは,次に日本子ども子育て支援センター連絡協議会から,川副さん,お願いいたします。よろしくお願いいたします。
○ 川副副会長
ご指名がございました日本子ども子育て支援センター連絡協議会副会長の川副と申します。あと事務局長の村上,それから鈴木が同行しておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
前置きは除きまして,私は子育て支援と保育園と共にやっています。病後児もそれから一時保育も,総合的に日本の優れた機能をやっているというのは自負しております。
それでは,この保育指針の折り込むべき子育て支援に関する視点ということで,第1章の総則の保育所の役割というところで,線を引いてございますが,今まであるところで,子どもの育ちに関するというところを入れたらどうかということです。入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭と,その次に及び子どもの育ち,地域にいる子どもたち,すべての子どもに対する支援をどう担っていくかということを一つの視点に入れています。それについては,また詳細に説明をさせていただきたいと思います。
次に2ですが,保育所の役割としまして,子どもの保護者に対する保育に関する指導をというふうに記載されています,この役割のところに。この指導がすごく引っかかるんですね,私たち現場にいますと。なぜかというと,どちらかというと,指導というよりは保護者が持っている養育力を高めるために支えるといった方が現場には即しています。実際には,そういう形をやっているのは,親には親の力がちゃんとあるので,自分自身で育っていく力がある。だけど,これは歴史的にこうせざるを得なかったんだろうと思いますので,一応妥協して,保育に関する指導及び養育力を高める援助というふうにいたしました。本当は,指導は外していただければというふうには思っています。
それから,次に2ですが,保護者に対する支援に関して保育所保育指針に盛り込むべき事項ということで,第6章にやはり,これも子どもの育ちに関する支援というのを入れさせてもらったらどうかということを提案しています。読ませていただきますと,「保育所に入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭への支援」を「入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭及び子どもの育ちに関する支援」ということを入れたらどうかなという事を提案したいと思います。
それから次に3番目ですが,「保育所に入所している子どもの保護者に対する支援」に加筆すべき視点ということで,保育所は子どもの育つ場だけではなくて,保護者も地域の人々も,それから私たち保育士も共に育つ場であるという,その共にというところを是非解説書の方には入れていただければなあというふうに思います。このことの視点は,そのあと全部にかかってきます。必要なことなので,まず,その視点を申し上げたいと思いました。それから,保育所は保護者にとって,真の家庭基盤を形成し,真の社会人になる重要な人生の通過点であるということで,本当に生涯だけでなくて次世代までつながるような大きな役割を果たしていると思います。私たちの目の前にいる子どもたちは,この子どもたちが親になる,その時に今の親を超える親になるなあということを,本当にのびのびと豊かに育っている子どもにはそれを感じます。そして,その親が今度はおじいちゃん,おばあちゃんになるイメージを持って,やはりおじいちゃん,おばあちゃんになっても孫育てをして完成していくという大事な家族の基盤形成というのは大事かなというふうに思っています。それから3で,保育所の保護者は,保育所等の行事等を共同して行うことを通じて,保護者同士のつながりが生まれて,地域社会を担う一人の存在として芽生える場であるという,これは保育所が持っている機能としてはすごく重要な機能だと思います。そこの保護者に視点がいくかどうかというのは,地域を担う方は保護者なんだという事は,ぜひ大事にしていただければと思います。
それから4番目に「地域における子育て支援」に加筆すべき視点としまして,地域における子育て支援「その行う保育に支障がない限り」というのが,これがすごく引っかかりました。これは保育指針として本来の保育を損なってはいけないという視点で,子育て支援は付け足しみたいな,そういうものがすごく伝わってきます。これはもう削除してほしい。「地域の保護者に対する子育て支援を積極的に行うよう努めること」を「積極的に行うこと」と。ですから,保育所の機能は保育をやるということは,目の前にある子どもと保護者を支えるだけではなくて,いわば地域すべての子どもの育ちの,家族と子どもを支えるという視点に保育所の機能は持っていますので,そのことをはっきりうたっていいんじゃないかと,そういうことを本来業務として理解していい時期に来ているのではないかというふうに思います。それから2としまして,「助言,紹介,情報の提供」について,子育ての保護者にとっては,それが実はかえって理解できずに,私たち専門家が助言したり紹介したり情報提供するというのは,非常にストレスを抱えるケースが多いです。ですから,その方が理解できるようにソーシャルワークするというよりは,どちらかというと,その人が持っている力を本当に経過観察し,そして必要であれば紹介等の提供機関に私たちが仲介したり同行したり問題解決に援助する必要があることを,ぜひ明記してほしいと思います。ですから保育士の配置というのは,ただ単なる保育士の配置だけではなくて,やはりこういうことができる子育て支援のスタッフというのはすごい重要だというふうに思います。それから3ですが,子どもも保護者も地域の自然,人とのつながり,伝統文化,生活文化等に積極的に触れ,社会の担い手として育まれるよう働きかけるということを申し上げたいと思います。
それでは時間になりましたので,後の部分はまた質疑等で申し上げたいと思います。あとちょっと付け加えさせていただきます。
○ 事務局 村上氏
事務局の村上と申します。一つ,子ども支援のことについて追加したいと思います。現在さまざまな子育て支援策が立てられておりますけれども,いま子ども支援栄えて子ども滅ぶみたいなイメージが私たちの現場ではあります。子どもたちの生理的な基盤というのがものすごく損なわれている,十分発達成長が保障されていないというような感じがあります。そういうことで,いま,子どもの成長の,4ページ目に様々な生理的な基盤のデータを出しています。睡眠障害のこととか味覚障害のこと,便秘また発育空隙の無さとか,様々なことを出していますけども,子どもたちが,この生理的な基盤というのが生涯の健康課題となるわけです。ということは,親の良し悪しではなくて,子どもたちが一生健康に育つという権利を守るということも大事な社会的な役割だろうと。その親に生まれた子どもが不幸ではなくて,私たちは子どもの一生涯の課題になるという事をイメージして,子どもの権利を擁護するための子ども支援という視点がないと,どうしても子どもが育ちにくい。確かに子育て支援は確かに豊かになって,もっともっと進めるべきですけれども,子ども支援というのを明確に,こども子育て支援というものになりましたので,そこのところが唯一欠けているところではなかろうかというふうに考えています。以上です。
○ 汐見委員長
どうぞ。
○ 事務局 鈴木氏
時間大丈夫でしょうか。
○ 汐見委員長
大丈夫ではありません。8分を超えてますので。
○ 事務局 鈴木氏
それでは一言だけいいでしょうか。今日,お話したいことは,実は文章にしたためたんですが,私おっちょこちょいで,こんな大事な会議におっちょこちょいしましてメールがエラーで返ってきてしまいましたので,帰ってから馬場専門官の方に送らせていただきますので,後日その文章を読んでいただけたらということで,それにかえたいと思います。ありがとうございました。宜しくお願いします。
○ 汐見委員長
申し訳ございません。全体の討論を進めなければいけませんので,十分にご説明できる時間がなかったかもしれませんが,文章がございますので,みなさん必ず目を通すことでお願いしたいと思いますが,5分間質問の時間を取りたいと思います。今のご説明,ご提案に対してご質問をお願いします。
○ 秋田委員
東京大学の秋田です。保護者の支援の中に,子どもの支援というところを,子どもの育ちに関する支援を行うという事を新たなご提案としてくださっているわけですが,そこで言う子どもというのは,保育所に通う子どもを指すのか,地域の子ども全体の支援を指すのか。また,これを保護者に対する支援の関連部分に入れるということが妥当なのか,それとも保育所保育指針の保育に関するほかのところで,保育所の中にいる子どもについて書くところに入れるのが妥当とお考えなのか,このあたり少し明確にさせていただけたらと思います。
○ 川副副会長
子どもに関しては,保育所指針に書かれているのだけは保育所の本来業務としてあるんですが,保育所に通っていない0,1,2歳。3歳までの発達の過程というのがものすごく大きな影響を与えるというように考えております。そうすると,やはり地域の在宅の子どもたちの支援という視点が無いとどうしても難しい。だから,すべての保育所,こども園,幼稚園等が子どもの発達支援センターという形になって支援できるような体制を作る。それは子どもの育ちを守る権利擁護の視点から必要になってくるのではなかろうかというふうに思っています。ポイントとしては保育所なのか地域支援なのか,なかなか難しいところなのですけれども,他に保育指針の中に入れるところがちょっと見つからなかったものですから,この保護者支援のところに入れたらどうだろうかというふうに考えていますが。
○ 秋田委員
ありがとうございました。それは保育士が行う業務ということですか。
○ 川副副会長
そうです。
○ 汐見委員長
他にございませんか。山縣さん。
○ 山縣委員
山縣です。保育所における子育て支援の義務化という提案だというふうに受け止めたのですけれども,そうすると今日は保育所から来ておられるというよりも,連絡協議会の方から来ておられるわけで,保育所は支援センター等を持たなくて良くなる,それとも二重にあって意味があるのだと。機能の違いがあるのだと。そちらはどうなりますか。
○ 川副副会長
これは本来の業務だというふうに考えるのが一つの基本で,支援センターの機能を持つ持たないは別にしても,本来の業務として子育て支援はすべての保育所が機能を持つというのをご提案したいと思います。ですから支援センターが今あるのはもちろん,支援センターの機能としては,保育所が十分に機能を果たせないというのがありますので,保育園のセンターは併設するというのも重要な視点です。
○ 山縣委員
両者に機能の違いがあるという理解でよろしいんですか。
○ 川副副会長
そうです。
○ 汐見委員長
私,ちょっと質問している立場にないんですけれども,ちょっと一つ確認したいので。最初のこの子ども支援という言葉がキーワードになっているんですが,いま,秋田委員からご質問がありましたけれども,地域の子育て家庭および子どもの育ちに関する支援というふうに書いてございますよね。これは地域で育っている子どもたちへの支援ということを意味しているんだというご説明がございました。そうすると,たとえばこの言い方を簡単に「地域の子育て・子ども支援」というような言い方ではまずいんですか。「地域の家庭の子育て・子ども支援」子育て支援,子ども支援というのはまずいんですか。ちょっと意味が違うんですか。
○ 事務局 鈴木氏
子育てを支えていくという時に,その子育てを支えあう群れを作るということがものすごく重要だというふうに考えておりまして,その群れを作る要件としては子どもが輝いて生きているということが絶対条件として必要だなと。その生きているという事を語り合う関係というのが保育園と保護者の関係の中にあって,そういう群れが一つのベースになって,地域にいる人たちも,その中に混ぜてもらって学ぶというか育ててもらうという関係を作り出していけたらいいなというのが保育園と併設した支援センターの役割意義としてあるんではないかというふうに考えています。詳しくは後ほどのメールで読んでいただけたらと思います。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。ほかにございませんか。それではどうもありがとうございました。文書が別にあるということでございますので,また皆さん,お読みいただきたいと思います。
それでは,次に,一般社団法人全国保育士養成協議会からご説明をお願いいたしのす。網野先生お願いいたします。
○ 網野常務理事
今回のヒアリングに意見を提供する機会をいただきましてありがとうございます。本日は私,常務理事の網野,それから事務局長の平野,事業調査課長の佐藤が出席いたします。宜しくお願い致します。
それでは資料の一般社団法人保育士養成協議会の意見ということをもとにお話し申し上げたいと思います。保養協は全国の保育士養成施設が加盟校として加盟しておりますが,現在 600 を超える保育士養成施設がございまして,その8割以上になります 500 余りの学校が私ども保養協の会員となっております。本日,出席されております委員の皆様方もほとんど,この保養協のいろいろな活動にご協力いただいておりますので,詳しい状況については省略させていただきまして,特に現行保育所保育指針の第 7 章,職員の資質向上,このことを踏まえながら新たな課題あるいは必要な資質向上に関する意見を中心に述べさせていただきます。言うまでもなく保養協の活動は,学校で保育士となる人の専門性をしっかりと形成させるということが一番の役割でありますが,今回は特に養成そのものの課題を保育指針でということよりも,むしろ保育実践。一番この中心にある保育所での保育実践ということに観点を置きまして,以下三つ申し上げたいと思います。
第一点は,保育士養成と連動する保育者,管理職者等の資質向上でございます。ただいま申し上げましたように保育士養成校は保育士としての専門性,保育の専門性,これを形成するということが一番大きな役割ですが,もう一つの保育職を担っている人たちの実践段階における専門性,この維持向上,これは深く結び付いておりまして,特に一番の接点は,保育士養成と施設現場との接点にある保育実習であります。最近,非常に保育実習の重要性が,質を確保し維持する上で重要なものとして,いろいろな点で再確認されておりますが,保育所が実習に係わるということは現場でもその資質向上に不可欠なことだというふうに言えます。他の国家資格の専門職を養成する際には,施設実習を担当する保育者,それから管理職者,この役割を非常に重視しておりますが,残念ながら保育士養成にあたっては必ずしも十分ではありません。保育指針に,このような実習に関わる意義とか,実習担当者を配置することとか,あるいは実習担当者に対する研修を実施するというようなことについて明記することは,私ども非常に大切だと思っております。
第一の2番目は,保育実践と研修の努力義務です。まさに実践段階での資質の維持向上,これが常に大事なことになるかと思いますが,現行の保育指針でも外部研修,内部研修,自己研修,これらについていろいろ述べられています。外部研修で特に国の制度,仕組み。制度上では実践段階での,例えば初任者とか中堅職者とか高度経験者とか管理職者に対しての研修というものはほとんど義務付けられておりません。ただし先程,保護者支援に関していろいろご意見をお聞きしましたが,この部分については児童福祉法 48 条の3の第2項で,保護者支援に関して,研修という表現ではありませんが,知識,技能の習得,維持・向上などの研修の努力義務が付されております。それ以外については,ほとんど実質上,具体的にはいろいろな進め方,多様に行われておりますがまだ十分に行われているとは言いがたく,これが確実なキャリアアップとかキャリアラダーと深く結びつく必要があります。現在のところ保養協とかあるいはさまざまな保育団体等が積極的に関与して,この保育者養成と園長などを含みます現職者の資質の維持向上,これを連動したシステムとして構築して,たとえば認証制度であるとか処遇改善に反映させるというようなことで進めるということは,かなり意見として出ておりまして,私どももその検討を昨年あたりから具体的に進めております。この制度化を図ることは期待されるのですが,まずは保育所と連携・協力して資質向上のための研修を強化するという事を実際に努めていきたいと思います。すべての保育所が初任,中堅,高度研修の段階,あるいは保育マネージメントの段階を踏まえたキャリアラダーに合わせた資質向上を図るという事を意図的に進める,この趣旨を保育指針の中でも種類の列記,あるいは努力義務について明記するということを期待したいと思います。
次の大きな2番目ですが,多様な保育サービスに焦点を当てた保育者の資質の維持・向上についてです。これにつきましては,保育所の保育,施設型集団保育の一番大事なポイントでありますが,幅広く,現在,保育者の資質に関する懸念・課題・問題が次々と指摘されております。特に乳幼児保育での質の問題は,かなり深刻に取り上げられています。したがいまして,保育所での,単に資質の維持・向上だけではなくて,総体的に保育の質の確保のために保育所以外の多様な保育サービス,これにも視野をおいて資質の維持向上に努めるということが必要になってきているかと思います。具体的には,例えば保育所の退職者の方の再雇用に当たっての保育の質,あるいはさまざまな保育給付や子ども子育て支援が新しい体制として進んでおります。これらの幅広い,奥深い保育サービス全体に対応した保育の質,さらにはちょっと心配なくらいですが,本当に小学校教員であるとかあるいは子育て支援員,どんどん保育に関わる人々が増加しておりまして,これは,私は単にマイナスということだけでは受け止められない部分もずいぶんあるかと思います。保育士に準ずるような役割が求められている保育者,小学校教員の場合は保育士とほとんど対等なのかもしれませんが,本来的な意味の本質を踏まえた,そのような保育に当たって全体的にも質の維持向上を図るという事が保育所の役割でもあるかと思います。しかし,これは非常に難しい面もあります。私どもは,先ほども申し上げましたが,保育関係諸団体と連携しながら,たとえば現実にもございますが,自治体には中央保育所というような趣旨で,特別な保育所がいろいろな活動をしたりしておりますが,センター的な保育所あるいは特定の保育所が,その地域性や多様性を考慮して,適切な資質の維持向上を図る業務,これはますます大事かなと思っております。もし保育指針に,このようなすべての保育所ではなくても一部の保育所が関係諸団体と連携して多様な保育者の養成,育成,現任研修の役割を担うというようなことについても検討していただければと思います。
最後に,参考として付けましたが,これは直接保養協自体の役割,仕事ではございませんが,保養協が深く絡んで動き出した大きな最新の動向としてここにも書いておりますが,日本保育者養成教育学会の設立ということについて保養協を中心にいろいろ検討をしてまいりました。その理由については,上の方にいろいろ書いておりますが,具体的に申し上げますと,本年3月 22 日に全く保養協とは独立した,組織はもちろん別ですが,学術団体として日本保育者養成教育学会が発足いたしました。学会の目的は,保育者養成教育に関する研究を行い,保育者教育の発展に寄与することを目的とするとなっております。ここの保育者養成教育と言いますのは,養成段階における教育,それから採用,研修などを通じた保育者の資質向上,力量形成,これらのことについて保育者の専門性の開発に関わるすべての取り組みということで表現されております。具体的には以下のような方針で大会あるいは学会誌発行が予定されております。したがいまして,保育指針の中には,現在でも自己研修,自己研鑚,これを非常に重視して解説の中でも書かれておりますが,学会活動というのが,いかに実践力の向上にかかわるかということも踏まえまして,もし保育者,管理職者,職員がこのような学会へ積極的に参加し関与するというふうなことについて言及することについてもご議論いただければと思います。以上でございます。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。それでは質疑を行いたいと思います。ご自由に出してください。それでは秋田委員お願いします。
○ 秋田委員
東京大学の秋田です。貴重なご示唆をありがとうございます。1点目に関しましては本当にまさにその通りだと思いながらうかがわせて頂きました。
2番並びに3番の方向性について伺いたいと思ったのですけども,あの個人が外部でキャリアアップしていく為に,保育士個人を対象にしながら研修でこうキャリアップを外部研修ではかると言う方向性と保育所などチームで,シフトの多い職場なので,むしろその,園全体の資質を図るという方向性とあると思います。たとえばあの教員養成部会の答申などでは従来前者に力を置いてきたのですけども,なかなかそれだけだと,上手くいかないと。今回教員養成部会とりまとめでも,チームと言うようなことを出してきている訳なんですけども,今日のご報告はどちらかとうと,この前者を強調されるかたちのご報告であったかと言うふうに思います。その辺りを,その背景を伺わせて頂きたいということと,それからそのセンター的な保育所と言う時に中心になるのは,誰が研修の主体になり,誰がその研修を受ける側になるというようなイメージなのか,この辺り力量を形成していく為に,研修が大事ということは間違いがないと思うのですけれども,その辺りの構図を,少したぶん外部の場合は団体とかその講師が来て研修をするというイメージだと思いますので,少し伺わせて頂けたらと思います。
○ 網野常務理事
保養協としてという部分と,やや個人的見解も含まれるかもしれませんが,まず前者につきましては個人の研修の重要さも言い尽くされていると思いますね。で,現在の保育指針もいわゆる自己研修とか自己評価,第三者評価は明らかに個人だけではなくて,よく言葉としては組織としての保育力と言いますか,その部分を高めるという趣旨の研修,研鑚が主旨では十分に含まれていると思うのですね。それをもう少し具体的に進めるのには,やはりできればラダーをこう重視したそれぞれの段階での自己研修を,自己といいますのは,個人の研修もそうですけれども組織として保育所自らの全体の保育力を上げるという視点からの研修,先生のおっしゃるようにそれをねらいとした組織としての研修というのはあっても良いと思います。その二つは現行の保育指針でも書かれていますが読み取れない部分もあるかと思いますので,その辺りをもう少しこう検討していただければというふうに思います。
それから2番目については例えばですね,私が関わった例で言いますと,これは実際名前を申し上げてもよろしいかと思いまが,例えば三鷹市は非常に公立の保育園がいつも全体的な視点で市全体の保育を考え,その質を維持し向上させるということを進めたりする非常に一つの特徴を持っておりますが,やはりその場合には職制として行政の保育担当課と,それぞれその役割を担う保育園が職制としてきちっとして位置づけられて,その観点は私たちの保育所と言うだけではなくて,地域全体を視野に入れて保育に関わる様々な方達をいつも視点に置きながらアップを図っていくと言う趣旨ですね。その為には職制とか組織機能が今のままだと難しい面は多いかと思いますが,非常に有効な方法だと例えばそのように思っております。
○ 汐見委員長 はい,他にございますでしょうか?
はい,では橋本委員お願いします。
○ 橋本委員
関西学院大学の橋本でございます。貴重なご意見ありがとうございました。1番目の保育士養成と保育実践との連携のところに保育士養成段階における専門性,保育職の実践段階の専門性ということを述べて頂いておりますけれども,この専門性もしくは養成科目等の編成の根拠というのを私は保育所保育指針,根拠のひとつに保育所保育指針があるというふうに考えておりますが,貴団体の方ではそのことをどの様に考えておられますか,ご意見をお願いいたします。はい
○ 網野常務理事
はい,ちょうどですね,本年度国の大きな子ども子育ての推進の為の調査研究のプロジェクトが予算化されましたね。で,そのひとつに保育士養成のあり方に関する研究というのがございまして,私ども保養協が申請して受託して進めております。まさに先生が今おっしゃった事もかなり重要なテーマとして今検討しておりまして,社会福祉士,介護福祉士も含めて非常に関連する分野の養成の科目もそうですし,いろいろなあり方についてもっと深めていこう,という段階で間もなく報告書を出しますので,ちょっと細かい事は具体的に申し上げる時間がないかと思いますが,例えばそのような事を含めて非常にいろんな点で検討を加えるところがあるかなと言う風に,これは個人的な感想を含めてですがもっております。
○ 汐見委員長
はい,じゃ手短にお願いします
○ 寺田委員
東京成徳短期大学の寺田でございます。貴重なご意見ありがとうございます。
1番のところの実習に関するところを少し質問させて下さい。実習担当者を配置する事並びに実習担当者に対す研修を実施する事についての明記。私も共感いたしますがこれを具体的に例えばどれくらいの日程であるとか,どういう内容であるだとかいう事は,お考えでいらっしゃいますでしょうか。その辺りのところをもしお考えでしたらお聞かせいただければと思います。
○ 網野常務理事
今お話申し上げた研究でもその分野は関連しておりますが,実際には非常に保養協ブロックの研究グループ,あるいは専門委員会で保育実習指導マニュアルとういのを以前から作ってはいるのですが,やはり時代に合わせてということで今はいろいろ検討しておりまして,来年度になりますかこの4月からはその辺りをひとつ重点的に深めていこうという事になっておりまして,今のご質問がまさにどういう仕組みで行うのかということなど,常に保養教の研修会ではいろいろ意見が出ております。その辺りについては今年度は深めるひとつの内容として重視しております。
○ 寺田委員
ありがとうございました。
○ 汐見委員長
はい,それじゃご質問ここで切らして頂きます。
どうもありがとうございました。短い時間の中で要領よくご説明していただいて感謝いたします。で,関係団体のヒアリング以上で終了致します。3つの団体の皆様ありがとうございました。さっきのその事務局からの説明とですね,今の関係団体からのヒアリングを受けたうえで本日のメインの議題ですが保護者支援,職員の資質向上について忌憚のないご意見を伺えればと思います。自由にご意見をお願い致します。
○ 村松委員
全国保育士会から参りました村松です。よろしくお願い致します。今もヒアリングなどでお話しを伺ったところで共感するところが沢山ありました。
ひとつは保護者支援についてですが,あの意見を出させて頂いておりますのでお手元の資料の方をご覧頂きたいと思います。それであの先ほども保育士の専門性のところでお話がありましたが,やはりここに保育士等という言葉で支援の仕事が書かれています。益々保育士の専門性が問われている中で,ここははやり保育士等とひとくくりにされるのではなくて,保育士が専門性を持っている保育士,様々な専門性を持つ保育士と他の職種との連携の元に行うとかいうふうに保育士と言う言葉を特に抜き書きをしていただけると保育士としての専門性も更にそこではっきりしてくるのではないかというふうに思いました。それから,様々な子どもたちの状況がありますので,その状況の中で沢山の関係機関との連携は本当に必要になってきています。これも努めるという言葉を書いてありますけれども,やはりこれも先ほどおっしゃっておられた,行うという事に書き方を変える必要はあるかなと思っております。これが私たちの役割の中に書かれている以上はやはり努めることでなくてその先にやはり行うというより積極的な姿勢はここで示していた方が良いのかなと言うふうに思っております。
それから,児童虐待子どもの貧困等様々な複雑な社会情勢の中から生まれてきております問題も沢山でています。その意味ではやはり保育所だけでは完結しない事が沢山これからも出てきます。今もそうですしこれからも出てきています。やはりそこで特にですね,様々な機関との連携は不可欠でありますけども,それが更に今だけでなくその先への連携にも繋がっていく様な方策が書かれると良いかなと思っています。ですけれども,特に指針の中にはあの児童虐待への対応とかについては要対協の関わりが具体的にここに書かれていますけれども,まずはその関係機関に繋げていく事を大前提にその先の要対協との関わりについては解説書の方に盛り込んでも良いのかなと思いました。いわゆる詳細については解説書の方へ盛り込んで,まずすべき事,各関係機関との連携に特化しても良いのではないかなと思っております。それから異なる文化や習慣を持つ外国人の方々のお子さん達も非常に多くなっておりますので,そこのところも指針の方に書き込むのは難しいかもしれせんが,解説書の中でコラムなどで書いていただけると嬉しいかなと思っています。
それから職員の資質の向上についてですが,まずは一番大事な保育士の倫理観についてここをきちんと併記されていますけれども。まず倫理観とか様々なものに。倫理観に基づいてという風にそれを抜き書きするという事,それが保育所内の保育士による虐待なども生まれております。子どもの権利擁護だとかそれから様々のプライバシーの保護だとかそう言うところに対する視点もこの倫理観と言う言葉でやはり集約していくべきかなと思っておりますし,今もこの指針の中には解説書のところに私たち保育士会の倫理綱領がコラムとして載っておりますけども,更に今後もここに書き加えて頂きたいという風に思っております。それから今,非常にニーズが求められています私たちの仕事は非常に心も体も疲れる仕事でございます。心身の健康をやはり最大限保障されるような体制づくり,これを施設長の責務としてきちんと書き込むという事,これがないと子どもたちへの健全な保育,子どもたちの健全な育ちということが成立しないのではないかと思っています。本来は私たち保育に携わる者たちの心の健康,体の健康は大事な資質なのかもしれませんけども,そこまで書き込んで頂くと語弊があるかもしれませんので,施設長の責務としてそれをきちんと守る事を書いても良いのかなと思っております。
それからひとつお聞きしたいのですが,主任保育士は特別に要件みたいなものがどこかにちゃんと整備されて書かれたものがあるのかどうなのかお聞きしたいと思います。保育士資格を有してないとなれないよとか,そういう制度であるのかどうか,私たちは主任保育士なんだからとうぜん保育士資格があるべきでしょ。という風に思っていますが,園長というのは資格要件がなくてもできてしまっているという事もあります。ですので,主任保育士のところはどうなのかな。というところを教えて頂きたいのですけども,いずれにしてもやはり専門性,ましてや主任保育士というものは資格を有した者による,主任保育士としての役割みたいなものを指針のところに書いていく,リーダー的役割を更に明確にその様な書き方をした方が良いのかなと思います。特に先ほど実習の事もありました,実習を担当するもの私たち園長も最後に印鑑を押しますけれども,そこのところで資格のある者の印鑑なのか,資格の無いものの印鑑なのかそこのところは私たちが実習を受けるうえで大事なところかなと思っていますので,せめて園長の資格要件がなかなか資格を持つものまでいたらないとするならば,せめて主任保育士の資格というものについてはきちんと明記されてその資格を持つものによってちゃんと実習が展開されていくという視点は必要かと思っています,以上です,ありがとうございました。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございます。ちょっと確認させて下さい。あの,今の件については後でお願いしますけど。主任の資格についてですが。最初の私うっかりしていまして,今努力するというのではなくて行うべきだと書くべきだとおっしゃったのは,現在の指針では第6章で保育所に在園している子どもや保護者に対する支援第2項は,これは義務規定になっているんですね。第3項は地域の保護者に対する支援は努力義務になっているんですね,この第3の地域の保護者に対する努力義務を義務規定に上げると言うご意見だと。
○ 村松委員
村松です。すべてのところに対して努める事という言葉が書かれているので,努める事は当然なので,更にそういう事を行うっていう様な書き方にしても良いのではないかと事です。
○ 汐見委員長
はい,分かりました。ごめんなさいね。確認をさせて頂いているのですが
今の指針の資料はどこでしたっけ。
資料3の1ページ,大きな2で保育所に入所している子どもの保護者に対する支援1ページ目の最後にありましたね,ここが行うこととかって書いてあるのとそれから努めることとかって書き分けてあるわけですよね。それから6番は図る事って。法令的な文書では,図ることとかは義務規定で努めることっていうのは努力義務規定できれいに書き分けないといけない訳ですよね。今1番の方の書いてある様な努める事もこれ全部義務規定に書き換えた方が良いというご意見と解釈して良いですか。はい,分かりました。
その場合2の方もって事になりますか。これはちょっと論点になりそうなんですけどね。3の方,つまり地域の子育て支援はすべて努める事になっているんですですが,これを義務規定にするとかなり実は保育所の役割が変わるんですね。
○ 村松委員
はい,そこまでちょっと不勉強ですので,せめてですね,保育所に入所している子どもの保護者に対する支援この部分においては努めるよりは行うっていう言葉にした方が良いのではと思います。
○ 汐見委員長
はい,分かりました。先ほどのことについて何かお分かりになりますか。主任の法的な規定は何かございますか。
○ 楠目企画官
主任保育士については,保育士のうち,各施設での職責や職務に応じて主任として任命されている者について,法律上規定はありませんけども,告示である公定価格の算定の際にそういう役割を担っている保育士さんについて規定がされているというものでありますので,保育士であることは当然前提だと思っております。
また,保育指針の書き分けの部分ですけども,基本的に保育指針の中の具合的な書きぶりですが遵守しなければならないものと,努力義務が課されるものと,基本原則にとどめて各保育所の裁量を許容するかたちで規定するものとに大きく分けられていまして,努力義務はわりと強い書きぶりかとも思うのですけども,そこは,その上位の法令の規定も踏まえて書き分けがされているところでございますので,いただいたご意見を踏まえて全体の法律上の規定等も踏まえて検討していく必要があろうかと思っております。
○ 汐見委員長
ありがとうございます。今の主任の規定についてもですね,法整備上その辺は幼稚園なんかは少し違うところかもしれません。主任っていうのか主任保育士というのはたぶん違うと思うのですね,それ以外に副園長っていうのがあって園長は必ず保育資格がなくても良いのですが,副園長はどうかって事についてはまた法的な規定は必ずしもないんだと思うのですね。ですからそこはこれからどう整備していただくのかって事とたぶん連動した問題になっていくと思いますね。
それから,議論の為に私だけ勝手に言って申し訳ないのですけども,前回の指針に議論の時にこれが告示化されると。つまり法的な正確な文書になるということで,書き方例えば1番2番とか,ア・イとか法律の用語に沿って書き方が揃えられたわけですね。その時に例えば先ほどもありましたけれども,保護者の指導するって言葉が入ってきたのがこれは先ほど援助だってございましたが,これはなぜこうなっているかと言いますと,児童福祉法が親法でしてその児童福祉法にはそういった言葉が入っていてそれと違う言葉を指針では書きづらいと言いますか。それでその言葉を持ってこざるをえなかったと私などは説明受けたんですね。解釈は実際,上から目線でやるって事とは全く違うんだって解説書にはちゃんと書かれているんですけどね。
はい,どうぞお願いします。
○ 楠目企画官
同じ事を申し上げることになるかもしれませんが,委員長におっしゃっていただいた通りでございまして,平成 15 年の児童福祉法改正で保育士の職務として,保育士とは専門的知識及び技術をもって児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行う事を業とするものをいうと定められておりますので,指針はそれを受けた形になっております。解説書等では,保育士の保育指導につきまして保育に関する専門的知識・技術を背景としながら,保護者が支援を求めている子育ての問題や課題に対して,保護者の気持ちを受け止めつつ,安定した親子関係や養育力の向上を目指して行う子どもの養育に関する相談,助言,行動見本の提示その他の援助業務の総体という事で,ご指摘のようなことにも配慮して記載しているところでございます。
○ 汐見委員長
今回も多分,法律の文言からは大きく外れることはなかなかできないって事はたぶんついてまわる問題だとおもいますので。それでは他の案件,はい,寺田委員。
○ 寺田委員
ただ今の保育指導に関するところ,前回の保育指針の6章の中でも大変検討重ねられ
できれば保育指導と言う文言ではなくて,こう保育援助だとかサポートする様なウィンウィンな形でいく様な文言にしたいという願いがあったのですが,今企画官がおっしゃってくださった様な内容で,それは改定する中でみなさんに理解していただこうということで各全国にもその様な説明をして歩いた事がございます。
それが1点と,もう1点主任保育士に関する事なのですけども,例えば 23 区の行政区の場合ですと勤務して保育士が5年経ちますと主任主事という扱いになります,ここで主任主事試験に合格すると主任になります。で,この主任主事を5年以上経過して主査試験に合格した人間を係長職として主査と値します。主査がイコール副園長というかたちになります。ですので,主任という言い方は 23 区の中ではそういう言い方ですし,また私立の保育園の中では幼児のクラスをリーダー的に束ねる事を幼児主任とか乳児を乳児主任と言ういい方をしていますので,ここでいう主任を言う場合,副園長を指すのだというような書きぶりをどこかで入れて頂いたほうが混乱は少ないのかと思いましたのでご提案させて頂きます。以上です。
○ 汐見委員長
ちょっとそのことについては議論させて頂きたいと,複雑な問題もありますので今日のテーマに戻させて頂いてよろしいですか。
○ 寺田委員
はい,結構でございます。
○ 汐見委員長
すみません,今日のテーマに戻ります。お願いします。
○ 山懸委員
関西大学の山縣です。個人の意見として 21 ~ 24 ページまで資料を添えて提出してま すが,詳細は読んで頂くとして,あえて言葉で補足していきたいところ4点だけお話をさせてください。
1点目ですけども 1 番目の保護者支援というところ,特に後段の方に関わるのですが,指針とか養成課程においてさまざまな言葉が使われている。最後の黒まるになりますが「子育てに関する支援」とか「保護者に対する指導」とか「保護者への支援」「保育相談支援」その辺の言葉が混乱したままに使われている。指導,支援,先ほどは援助という言葉も入っていました。その辺は整理した方が良いのかなと思います。それから,奥山委員が保育所の地域支援と拠点ひろばは違うものではないかと言われた。更に利用者支援を含めてですねキーワードは,情報提供,相談,助言この3つがキーワードにそれぞれなっている。その根拠は後ろに書いてありますが,違うのは保育所の場合は「保育に関するうんぬん」とか,幼稚園の場合は「教育に関する」とか,拠点事業の場合は「子育てに関する」と書いているだけの違いなんですけれども,やることは一緒なんですね。テーマが違うだけなんです。それらの手法は同じものなのかどうなのかこれからは整理していった方が良いのではないか。更に指導支援と今の関係がどうつながっていくのかって辺りが必要のところではないかと思いました。
それから2点目,専門性に関するところです。特にここには明確には書いてないのですが,先ほどヒアリングの発言の中で,保育所に義務化したらどうかという話がありました。それもひとつの考え方なのですが,義務化するとなると予算措置が,義務については予算がいるのではないかと思うんです。と言いますのも運用に関する基準が最低基準だと理解すると新たな業務を保育所に義務として付加すれば予算を取らなければ最低基準を犯すことになってしまう。今ある予算から削れと言う事になる。そこはしっかり考えていってどちらの方が良いのか。各委員がお考えを提示されたらどうかと思います。
3番目はその後段の辺です。ソーシャルワーク関係の話しなのですが,ここもどちらが良いか正直分かっていないのですが,保育所という特定の拠点に保育ソーシャルワークという機能をつけるのか,地域を面としてとらえて面の中に保育ソーシャルワークの機能が必要なんだと,それを保育所が担う事もありうるという風な関係にするのか,各委員の意見で地域においてその機能が必要だということはどうも共通理解で,私もそう思っています。 だからどこでやるかについては予算の問題から面をカバーできるかどうかという問題も考えて議論し答えを出すべきではないかなと思います。
最後4点目になりますけども,次のページでその他,ちょっと今日のテーマからずれるので短めに言いますが,特に幼稚園教育要領と比較した場合の保育所保育指針の分かりづらさは,幼稚園教育要領は幼稚園教育についてのみ書いてある。それがほとんど8割,9割が占めている。一方保育所保育指針は私流の説明をすると,保育所の運営指針と,保育所保育の指針が合体してしまっている。そこに大きな違いがあって,この構造を合わせるのか,合わせないのか。合わせないとするならば違いがあってよいという理解でこれから進めていくべきではないかと思います。以上です。
○ 汐見委員長
とても大きな内容に。その前に,現在のところ新制度の中で子育て支援を積極的に行うという事で,申請していただければ,特にこども園がそうですけども,共有部分のあれを出すっていう形で,要するに義務化してしまうとその財政的なまた新しい費用が必要なので,加算というかたちで義務的に行うようなところについては措置をするというようなかたちに今なっていますね。それを変えるかたちにするのかどうかが論点になるんだと思うんですね。私は加算だと。
○ 山縣委員
認定こども園は子育て支援が義務になっていますから,そこが違いだと。保育所はあくまでも努力義務である。幼稚園は努力目標かな。
○ 汐見委員長
地域の子育て支援をしっかりやるところについても,たしか加算だと思いますね。
地域の子育て支援に専門家を置くという新制度で…
○ 山縣委員
そこら辺の法律の書きぶりと予算も組み方も違う部分もある。
汐見委員長
はい,すみません,時間もございませんので岡村委員お願いします。
○ 岡村委員
認定こども園ポプラの木の岡村でございます。資料 4 の最初にまとめた意見を記述させて頂いております。それぞれ第6章と第7章について書いてありますが,
前半のところは割愛しますが,特に 1 ページの第6章の保護者支援をめぐる状況の認識の中で2つ目の段落の一番初めにある様に,女性が社会の中で大切な役割を担うためのインフラとして社会の機能は未成熟,これはまだまだ未成熟なんだと。その前提の中で,実は子育て現場がさまざまな課題を背負いながら社会の中で子育てに立ち向かっている中で,実は私たちの保育所あるいは認定こども園等の働きは後から一生懸命追いかけている状態なんだと。ここの認識を持っておかないいけなんじゃないかとひとつ思っています,その中で今出来ている事出来ていない事,あるいは更に充実させる事,そういうことを考えていく必要があるんでないかと思っています。保護者に対する支援についは(2)にある様に告示文の中のことが書かれておりますけれども,在園時の保護者に対する支援と地域における子育ての支援,その支援の基本のあり方が示されております。今日の資料の資料3の1ページのところに,保育所における保護者に対す支援の基本というふうなところでは,(4)ですね,一人一人の保護者の状況を踏まえ,子どもと保護者の安定した関係に配慮して,保護者の養育力の向上に資するよう適切に支援する,あるいはその次の(5)は保護者一人一人の自己決定を尊重する。大事な事柄が書かれているんです。これは保育所の中での保護者の支援についてもそうですし,実は地域の保護者支援についてもそうなんだと思います。子育てにあたっているのは保護者自身,その方があたっている訳で,それを支援する事で何かこちらが肩代わりをしていく,決めていくのではなくて,その一人一人に寄り添いながらその方が保護者として親として決定をし,そして養育力を発揮していく,ということの為に私たちが寄り添うという事なんだと思うんですね。この基本的な姿勢の中でそういう一人一人に出会うとか寄り添うとかそういうところが書かれた方が良いのではないかと思います。課題意識(3)のところを少し読みますけども,保育所における保護者支援,地域における保護者支援と書かれていますけども,かつては東京のひとつの保育園が保護者向けに作ったカフェを地域にも開こうと言って始めた,そういう働きが支援センターの働きになって全国に広がっている訳ですけども,今保育指針の中でどうなっているかと言うと,4つの項目が出てきている。こういう事をやりましょうねとか,情報の提供であるとか,そういう事をやりましょうねと書かれているんですけども,私はこれまで 1990 年からの保育園長の歩みの中で感じてきたことは,その4つの項目をやっていれば保護者支援をやっていると勘違いをしてしまっているとことが決して少なくはない。子育て支援やっていますか。やっています。こういう事業をやっています,実は私が経験した保育所の中での地域の支援の中でとても辛い経験を沢山しているのは,あの人に寄り添えなかった,この人に寄り添えなかった。私たちがやっている支援事業の中には沢山のお母さん,親子が来るんですけども,保健センターや公民館のいろんなところの支援の営みをはしごする様にして,そうやって群れになる,群れになれる方々は良いんです。そうではない人たちのところにどうやって届くのかっていうところをどこかで書いておく必要があるかと思います。実はあの高度経済成長期以降の子どもが育っていく状況の中では,コミュニケーション力が不足していくという中で,実はお母さんたちも誰かに相談したりとかそういう事がとても苦手になっている訳で,そういう意味では一人一人にどうやって届くかということがとても大事な事なんじゃないかということ。最初の意見のところで書いてあります。本来はニーズに応えていったらこの4つの事がみんなやっていましたということ本当な流れではないかと思います。
それから職員資質向上については,私はいつも悩んでいます。短大を出て卒業して採用します。決して十分な力を持ってきている訳ではなく,基本的な学びはできているが,やっぱりそこから一緒に学び合って高め合ってということになっていく。そこで子どもの育ちに対する専門性と保護者の支援に対する専門性両面を実は今,一生懸命みんなが,職員が育っていることになるんですけど,そこの専門性を育てていく中では,先ほどから網野先生の話しも出てきましたけどキャリアラダーとかキャリアアップとかそういうかたちで職員の役割を意識しながら私は今この園の中ではこういう立場,だからこういう力を発揮する,こういう事を学ぶということが明確になることと一緒にもうひとつ下に書いてあるのは,同僚性の発揮と書いてありますが,私の園でも3年目になっていますが,園長は責任を取るけれども現場の先生たちが自分たちで考え決めた事をやってごらん,失敗しても OK その中で自分たちで高めあっていく。1年目の人も 10 年の経験の人も高めあっていくような役割,関わりを果たしていった時に,園長が考えている以上に職員は成長していくっていう事を経験をしているんですね。そういう意味では職員同士が学び合う空気,高めあう空気なんていうものを考えていく必要があるだろうと思うのです。それは保育者の営みの中では,ここで最後に書いてありますけど,本当にデスクワークをする時間がなくて,その為に4歳になっても5歳になっても子どもを午睡させなければならない状況が,本当がこれではいけないのだけどという状況で私もやってきた経緯があります。でも,4歳くらいからは午睡をしなくても良いような時期,それは成長にとってとても大きな問題になっているという事も問題提起されている訳ですから,そういう意味ではデスクワークの時間,研修の時間というふうな事を考えた職員の配置をできる様な,これは指針の内容からは離れて職員の配置の事にもなっていくのですが,そういうことは必要ではないかと,それは直接先ほどの子育て支援についてもそこで専門性を発揮する人というのは別枠で加算ということはやっぱり必要ではないかと思っています。すみません長い話になりました以上です。
〇 汐見委員長
ありがとうございました。いくつかの論点が出ていましたけども,また改めて整理して
では次へ,木戸委員お願いします。
〇 木戸委員
倉敷市立短期大学の木戸と申します。今回資料5ページにまとめさせていただいております。まず保護者支援ですけれども,相談援助技術と保育参観を示しております
相談技術については必要不可欠な事だと私も考えております。ただ現状では相談援助に関する職員の専門性は必ずしも十分だとは言えないと思っています。保育資格には相談援助の基礎基本を習得している事含まれておりますけれども,実際にはさまざまなニーズのある保護者に対応する事が出来る高度な専門性をすべての職員がもっているわけではないと思っております。保育者だけで対応しようとすると無理が出てしまい大きな負担になってしまう恐れや,対応を誤って問題をこじらせてしまう,私自身も体験しております。
ソーシャルワーカーなどの専門家を配置することで,日常の保育に集中できる体制,そして専門家や関係機関と連携や協働を進めていく環境づくりが必要だと思っています。もう一方で専門家の配置だけでなく,保育士自身が保育ソーシャルワーカーなどの資格を得やすいような取り組みも必要ではないかと思っています。
2点目としましては,保育参観などの保育者参加型保育についてです。これは第6章の保護者に対する支援の中で保護者が参加する行事について書かれていますが,傍観的な一斉の保育参観だけでなく,保護者の興味や関心,保護者自身の生活のリズムで自由に保育に参加できる機会を増やす事がより深く子どもの姿や保育士の子どもに対する姿に触れる事ができるのではないかと思っています。
それから職員の資質向上ですけれども,第1章総則において,保育所はその目的を達成するために,保育に関する専門性を有する職員として,施設長,保育士,調理員,栄養士,看護師等を保育士等と明記していますが,とくに,第3章の保育の内容に示されていることは,保育指針の専門性の関わる部分ではないかと考えております,そのため保育士等ではなく,保育士としての専門性を明確にし,保育士と保育士等との専門性の違いを検討頂きたいと思っております。そして2点目として職員の研修ですけれども,ここも保育士等の自己評価のところには保育を謙虚に振り返る姿勢とか責任感,自覚といった保育の質向上のための研修が保育の内容だけには限らないような事が書かれております,その為には今日何度も出てきておりますけれども体系的な研修制度,公立幼稚園で実施されている様な研修制度というのは私立の保育所についてもそして保育士資格を有していない管理職の研修なども必要でないかと思っております,以上です。
○ 汐見委員長
はい,どうもありがとうございました。では橋本委員,お願いします。
○ 橋本委員
関西学院大学,橋本真紀です。保護者支援及び職員の資質向上について意見を述べさせていただきます。資料の方は 11 ページとなっております。ちょっと長い資料になっておりますので抜粋して読ませて頂きます。最初に保護者支援に対する支援にかかわる改定のポイントについてですが,大きく,保育所における保護者支援の構造,役割,特性を明記することを提案したいと思います。以下に3つの改定のポイントと7つの具体的内容をお示し致しました。この改定の際の留意点としましては現行の保育所保育指針第6章を踏襲しつつ,内容を整理し大綱化する事,保育所における他機関との連携とソーシャルワークの理解を混同しないよう,保育所における他機関等と共に行う保護者への支援は連携である,ということを明確にする事,保育所の地域子育て支援と地域の子育て支援拠点事業を整理して理解できるよう保育所保育指針や解説書の記述に留意すること,の3点です。
12 ページにまいります。次に項目ページの理由について述べさせていただきます。まず,保育所における保護者支援の構造の明確化,とは保護者支援における基本姿勢と言える価値・原則・倫理を示し,保育士が担わなければならないすべての保護者への支援と組織として取り組む特別なニーズを有する家庭への支援の方法を整理して明示する,という事です。その際に,先ずは援助の共通基盤となる価値・原則・倫理を示す事が必要であると考えます。その理由はそちらの方に記載させて頂きました。
次に,すべての入所児童の保護者への支援は,現行の保育所保育指針第6章の内容を踏襲しつつも,家庭との連携を表現することを提案したいと思います。入所児童の保護者への支援は,保育の実践的には家庭と連携して子どもの育ちを支える,と捉えられることも多く,実践において,この2つの業務を切り分けることは困難であると言えます。更に保護者を支援対象と位置づけるのか,共同者と位置づけるかは,その後の関係形成や働きかけの展開にも影響することから,家庭との連携と言う用語の使用を提案したいと思います。
次に保育所における保護者支援の役割の明確化に示す子育て家庭を日常の中で直接的に支援する,という項目については,保育所の保護者支援は他の専門職に比較して日常の中で直接的,継続的に支援が展開できる,という特性を有しております。この,他の専門職が担う事が少ない日常の中で直接的に支援を行うという役割を明確に打ち出し,保育所や保育士の間で共有する必要がある,と考えています。
5つめの必要に応じて他の専門機関・地域の団体等と連携して支援する,という点については特別なニーズを有する家庭の支援は,他の委員のご意見にもありましたように,特に地域資源との連携により支援体制を構築しながら組織として対応することが重要となっております。その際,保育所や保育士が行うのは連携である事を保育所保育指針に明示しソーシャルワークでないことが理解できるように解説書やガイドラインに示す必要があると考えています。この連携とソーシャルワークの混同が,保育士の保護者支援・地域子育て支援の負担感に影響していると考えております。なお,私は保育所本体にソーシャルワーク機能を付ける,ということは賛同致しておりません。後ろの方にその意見について述べさせて頂いております。
次に, 13 ページで御座いますが,保育所における保護者支援の特性の明確化に関する3つ目に,保育の専門性を基盤とし,保育所の環境・機能を活かす。ということですが現行の保育所保育指針では保育の専門性を活かした保護者支援が明確に示されております。それにより保育所保育士の保護者への働きかけが業務であり,保育に基づく専門的な援助行為として認知され,より意識的に取り組まれるようになっております。この状況は保育士の専門性の明確化のみならず,保育士に専門職としての自覚を促し,保育の質の向上に寄与することとして評価されることから,本改定においても踏襲すべきと主張致します。
7つ目は地域子育て支援に関わる項目ですが,地域の子育て家庭への支援は,地域資源の充実と子育て家庭を核とした地域におけるサポート体制の構築,その関係性の調整に大別されます。後者がソーシャルワーク機能と言えます。ソーシャルワークの視点や専門性の獲得は,保育の経験のみでは困難であることからも,保育所における地域の子育て支援は地域資源の充実にある事を明確にし,その展開についてガイドライン等で解説する必要がある,と考えます。さらに,保育所の地域子育て支援は,都市部と地方の状況の格差等を踏まえれば現段階では努力義務にとどめることが妥当であり,地域子育て支援には保育士の配置が規定されていないことから子育て支援員の配置等も可能であると考えております。
次に 14 ページですが,職員の資質向上に対する改定のポイントです。こちらも大きく保育の専門性を核とした保育所機能の構築と,職員の資質向上を指示する現職研修の位置づけの強化が必要であると考えます。改定のポイントと具体的内容を以下にお示し致しました。改定の際の留意点と致しましては,保育士の専門性をまず明確にする,ということ。そのうえで組織マネジメント,カリキュラムマネジメント,それらの連動と,総合評価により組織として保育の質を向上することを保育所保育指針に明記する,ということです。職員の質向上における保育所における保育の専門性の明示では,第3章の保育内容における保育者の表記を保育士と限定すること。それにより保育士の専門性を明示したうえで他の職員はそれに準ずる,ということ。このことを,2点を提案します。第3章の保育内容の保育者の表記を保育士に限定することは,保育士の専門性を明示することとなります。また,保育実践の質の維持,向上の為には保育士が保育実践において中心的な責任を負う事を明確にし,保育士の専門性を中核とした組織としての実践の仕組みを構築する必要があります。こども園化における幼稚園教諭と保育士の保育実践についての専門性の統合が対等になされるためにも,現段階で保育所における保育士の専門性を明確にしておくことが必須であると考えます。
15 ページに参ります。2つ目の保育の内容等の自己評価と職員の資質向上の関連の明確化では,保育の内容等の自己評価,これは第4章にありますが,職員の資質向上,第7章の関連をより明確にし,組織としての実践の質と職員の資質向上の双方の実現を支持することが必要であると考えます。さらに,その責任主体は,施設長及び保育士にある事を明示し,かつ組織全体で取り組んでいくことを明確にすることが必要であると考えます。保育所において作成される計画はそれぞれの内容が連動するよう相互の関連付けを意図しながら作成し,全計画が総体として,子どもが健全な心身の発達を図り,保育の改善に向けて機能するように編成する必要があると考えます。また保育課程の編成,実践,評価,改善の取り組みと研修の関連をより明確に記述することで,保育士や他職員が自らの課題と改善点を自覚しながら研修を受講することを支持します。さらに組織マネジメント,カリキュラムマネジメント,それらの連動と総合評価により組織として保育の質を向上することを保育所保育指針に明記する必要があると考えます。
最後に,研修の機会を確保する施設の義務を明示することについてですが,児童福祉施設の設備及び運営に関する基準,第7条の2で,児童福祉施設に,職員の資質の向上のための研修の機会を確保しなければならないと書かれてありますが,一方で,保育所保育指針第7章では,それが努力義務に留まっております。運営に関する基準に基づき,研修機会を確保する施設の義務を明示する必要があると考えます。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。あとでまた丁寧に読ませていただきます。
清水委員が資料を出してくださっておりますので,お願いいたします。
○ 清水委員
7ページからの資料について意見を述べさせていただきます。1の法令との比較のところでは,ちょうど今,橋本委員のお話にもありましたけれども,資質向上に関する省令の部分として保育士はこの部分が中心です。これに対して幼稚園教諭や保育教諭に関しましては,そこに挙げましたような幾つかの法令が関係しますし,さらに9ページの頭に昨年 12 月に出ました答申,これは先ほど秋田委員がチームの話をされましたけれども,その話と思います。何とか保育所も追いつきたい。そのためには指針の中に何をどのように書き入れるかという部分かなと思います。では,どう書き入れたら,資質向上につなげられるかという問いに対するわたしの意見が,2のキャリアパスのところです。これはこんな報告書が出ています。来ていただいていますが,日本保育協会さんが出して下さった報告書です。この中で検討されていることです。9ページの図のところに保育所長として実際に行っていると,理想として任せたい,保育士として7年以上と7年未満という4つの欄がありますけれども,所長さんには,次の各業務を実際に行っているのは概ね何年の経験を持つ保育士ですか,理想として任せたいのは概ね何年の経験を持つ保育士に任せたいですか,そんな尋ね方をしています。保育士に関しましては,次の各業務を自信を持ってできるようになるには概ね何年の経験が必要だと思いますかと尋ねています。選択肢としましては, 10 ページの方をご覧いただきたいと思います。 10 ページのキャリアパスモデル案の一番左のところに1,1年未満,2,1年以上3年未満,3年以上5年未満と7, 15 年以上と,この1から7の選択肢を設けました。実は,平均するというのは本当は適当なやり方ではないのですけれども,順番だけを見るということで,平均値を出してみました。それが先ほどの9ページの図に載っています数字です。同じ業務を線で結んでみましたら,それほど大きな違いがない。保育所長も,勤務年数が7年以上の保育士も7年未満の保育士も考えている業務の難易度はほぼ同じだったということです。この値を元に作られたキャリアパスモデルが 10 ページのものです。このようなモデルを作り,たとえば法人の中であるとか,場合によっては基礎自治体の中で共通理解ができ,給与等に結びつくようになると目標にもなるし,研修にも利用できると思います。これこそ資質向上ではないかと思います。また,このようなキャリアパスの構築は勤務していく上で見通しが立ち職員の定着につながります。さらに,再雇用の際,この業務まではできるなどという目安にも役立つと思います。このように考える と保育士確保にこのモデルがうまく役立つのではないかなという気がいたします。そこで,このようなキャリアパスに絡むことを指針の中で書き入れていただけたらと思います。それが私の意見です。ありがとうございます。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。それでは資料を出して下さった方はご発言いただいたことになりますでしょうか。そのほかのご意見お願いいたします。それでは安達委員お願いいたします。
○ 安達委員
お時間1分とかで済ませます。この保護者に対する支援と園内研修で共通して,こういう視点が入ったらいいのではないかというところが2つございまして,1つはやはり先ほど村上さんがおっしつやったように育ち合うというか,やっぱり子どもも人も,そして施設長も多分一人では育たないので,やはり育ち合うという観点をもう少し。子育て支援に関しましても園内研修に関しても至らない親,至らない先生を指導するということではなくて,やはりその人たちが育つということ,いかにその関係性のなかで育ち合うようにするかということは要るのではないかと思います。それと,もう1点は肯定的視点といいますか,良さとして見るとか,保護者のいろいろな悩み,やはり家庭の状況もありますけれども,たとえばクラス懇談で入ったときに,こういう困った状況のときはこうしたらいいですよというような方法を言うことよりも,そもそも例えば1歳や2歳児のその姿というのは,実はのちのちの育ちにとってはとても大切なその子の,実は感情の表現であって,特にそういうアクティブラーニングや主体性,能動性を達成しようと思うと,そういうことって,実はとても大切にされなければいけないのに,それが親としては困った姿として見ているというところがあるので,保育士の専門性というのはどうするかということよりも,その子の育ちの見通しを,今,お母さんこれだけど実はこれがこの子の良さなんだよということを伝えるっていうようなことも専門性であって,保護者に対する支援というのは,今,書かれていることにプラスして,子どもの育ちの見通しとか,良さとして見るというようなことがあってもいいのではないかな。できるようになるというわかりやすい育ちではなくて,今,育とうとしているという見方で見るということが何か要るのではないかなというふうに思いました。それと,さっき言いましたように保護者同士で育ち合うというか,保護者同士が支え合うような関係を作る。特に自ら関係を作るのが苦手な方が増えているように思いますので,そういうところは専門性に入ってくるのではないかと思います。
それから園内研修ですけれども,やはりここも施設長の役割が非常に重要かと思いますので,ある程度具体的に研修の方法とか視点は提示してもいいのではないかなと思います。 育とうとしていない子どもも,頑張っていない保育士もいないと思いますので,それはやはり肯定的に見られる施設長がその人たちの良さを育てられるようというようなことが言えると思います。その中でやはり子どもを理解するというようなことに関しての外部の研修よりも,今いる子どもたちの育とうとしているところを見るということが,まず基本で,それがあってこそ次の関わり方や環境の構成や手立てになってくるかと思いますので,そこのところは施設長の役割としてきちっとそこは。また,それができないと保護者にも伝わらないと思いますので。あと研修の義務化ということがあってもいいのではないかなと思ったりもいたします。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。それでは他にどうぞ。砂上委員お願いします。
○ 砂上委員
今回の議論の中で,保育者の専門性ということと,保護者支援というところが,入所している子どもの保護者支援と,地域における子育て支援を義務化するかどうかというのが一つの論点になるかと思います。私は,先程橋本委員がおっしゃいましたように地域差ですとか,あと園のさまざまな実態もあるかと思うので,その地域における子育て支援を保育所の義務にしてしまうというところが現状からすると少し難しくなってしまうところもあるかと思います。機能を充実させるということと,保育所の機能を拡大するということ,どちらが今回優先すべきかというところで議論していくということも大事かと思います。その専門性を考えていく時に,保育者の専門性というのは本当にどんどん年が増すごとにさまざまなことが入ってきています。やはり心理的な臨床などの専門性などもそうですが,やはり自分の力量で対応できることとできないことの見極めがつくというのも一つ大事な専門性で,ここまでは抱えられるけれど,ここはより専門的なところにつないでいくという判断ができるかどうかということも,とても大事な専門性だと思うので,その辺で,ソーシャルワーク的な機能を持たせるというよりは,これも橋本委員の意見に賛成なのですが,むしろソーシャルワークを中心にやっているところとどう連携するか,あと,その機能をいかに活用するかというような視点が大事かと思います。
あともう一つ,ソーシャルワークだけではなくて,臨床心理士,臨床発達心理士などといいますか,そうした様々な専門性とか資格を有している人もいますので,そこともどう連携していくかということ。おそらく個人の力量をアップするのか園の機能を高めるのかという時におそらく保育士一人一人の専門性を高めていくという事と同時に保育所の援助機能を最大限発揮できるようにするにはどういう体制が必要かというような研修や養成の在り方も大事になるかと思います。機能を高めていくという部分は,やはり現職者研修,特に中堅以上の管理職の研修に大きく関わってくるのではないかと考えました。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。阿部委員お願いします。
○ 阿部委員
大妻女子大学の阿部と申します。先ほどのヒアリングで網野先生がおっしゃっていた実習ということなのですが,今,保育士の専門性ということに合わせて研修のあり方を考えてみていたところなのですが,保育士の専門性という倫理観に裏付けられた専門的な知識・技術及び判断というところまで入っています。養成校では実習に出した時に教員が巡回指導をする,その場所を研修の場にできないのかなと。つまり判断というところがなかなか大学の講義室では難しく,現場に行ってそこで何かやりとりすることで,保育園の先生とか養成校の教員,それから実習生で共に考えていける場というのが,すべて研修の場になるのではないかなと,今,思いました。
もう一つ反省点として,専門職を養成している養成校の姿が指針の中には見えてこないなというのがちょっとありまして,ちょっと今日は雷に打たれました。全く欠落していましたので,そこは考えていきたいなというふうに思います。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。大方さん。
○ 大方委員
大方でございます。一つは幼保連携型認定子ども園における保育要領との整合性ということをどう考えるかということで,特に幼稚園教育よりは子育ての支援という書きぶりになっていますので,保護者といった時にはいろいろな生活背景があるわけですから,それをなんでもかんでも一緒というわけではなくて,やはりそのところが活かされるようなアセスメントを活かしていくということが非常に大事ではないかなというふうに思っています。
それから,これは乳児保育とも関係があると思うのですけれども,一つの関係性ということを非常に重視してこどもが育つということを考えたときに, 11 時間以上保育の場に子どもがいるということを考えたときに,単なる地域の子育て支援ということだけではなく,子どもにとってもいろいろな人と出会う場であり,保護者の方々もいろいろな方々と出会いながら共に育っていくということが,子どもにとっても保護者にとっても大事なのだと。それは未成熟であったとしても,初めから出来上がっているものではなく,その関係性の中でつむいでいくということの大事さを,どう保育士の中に位置づけるかということが必要ではないかというふうに思っております。そして倫理的な配慮ということで,これだけ情報が流出していく時代の中で,その辺のセーフティネットというものを,個人情報等の情報の取り扱いということは,先ほどの倫理構成にするのかどうかは別として一定の配慮が要るのかなと思いました。以上でございます。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。では堤さんお願いします。
○ 堤委員
相模女子大学の堤です。今まで研修について保育士の研修の話が主だったと思うのですが,調理員についても保育園では必置なので,調理員の研修についてお話しさせていただきます。これまで調理員の研修と言いますと,献立作成や調理実習というものが主であったことが多いかと思います。ところが調理員というのは,調理の専門家でもあると同時に,児童福祉施設である保育所の職員でもあるということですね。そうなると,やはり子どもの育ちを食の分野で支援している一員であるということを,もう少し前面に出した,子どもの育ちであったり,保育についての研修もこれからは求められると思います。そういう研修の学びを経て,初めて保育計画の中に位置付けられた食育の効果的な推進が,多職種連携のもとに実施されていくのではないかと思います。以上でございます。
○ 汐見委員長
それでは鈴木先生お願いします。
○ 鈴木委員
和洋女子大学の鈴木です。今まで沢山の先生方がおっしゃったように本当に,保育所の中での地域における子育て支援というのがすごく重要だと私も思います。と同時に地域が保育所を支えていくという,そういう支援も双方向で考えていかないと,保育所だけが一方的にというよりは,むしろ地域の力をもっと活用していくという双方向が大事なのと同時に保育所に子どもを入れて卒園させて,その後育った後に保護者が逆に保育所を支えていくような循環のシステム,支えられた人が支えていくというような,そういう循環のシステム作りというようなのも解説書などで入ったらいいかなというふうに考えております。以上です。
○ 汐見委員長
ありがとうございました。秋田委員お願いします。
○ 秋田委員
私の方は一点だけです。施設長は資格要件がないわけですけれども,ここに書かれているのも職員の資質向上は書かれているんですが,施設長自身の資質向上が大事で,特に保育内容とかですね,子ども理解について,やはり施設長が資格の有無にかかわらずきちんと自分で理解を深めていくということを書き込んでもらいたいと思います。職員頑張れよというだけではなくて自らも園として育ち合うという輪に入るというところがきちっと明示されるということが園が一体になっていく上では重要ではないかと思っております。以上です。
○ 寺田委員
すいません。一言だけいいですか。
○ 汐見委員長
はい,寺田委員,お願いします。
○ 寺田委員
先ほど,発言が途中であったので,主任保育士に対する意見を補足させてください。今,秋田先生がおっしゃっていただいたことに大変共感致します。園長先生が特に資格が,資格要件がないだけに,主任保育士というところでは資格要件のところをもう少し何か書きぶりを変えた方がよろしいのかなと,という風に思います。 2010 年に日本保育協会から主任保育士の実態とあり方に関する調査研究報告書というものを出させていただきましたが,それは全国の 10 分の1の認可保育所 2 , 325 施設を対象に実施しました。その時に,主任保育士という言い方があまりにも全国的にまちまちである,ということの実態がここで浮き彫りになってきました。そのことからも,全体の園長としての責務と,それから役割の研修,それと同時に主任がそれをサポートする意味でも,園の中でどういう位置づけでどういう資質向上に対して色々なことをサポートしていくことが大事なのか,ということの書きぶりを少し考えていく必要があるのではないかなと思いましたので補足させてください。
○ 汐見委員長
はい,ありがとうございました。大分時間が押してきたのですが,どうしても発言しておきたいという方に限って受け付けます。三代川委員が発言されていませんでした。宜しくお願い致します。
○ 三代川委員
三代川です。保育士の資質向上のところで,ちょっとお話をさせてください。先ほど,研修の義務化というようなお話もありました。制度等の改正があった場合,保育士資格を取得する単位内容も変わってくると思うのです。改正以前に取得した保育士と新たに単位を取得した保育士と,とがいることになると思います。そこで,どうしてもそういったものは研修なので努力義務というのですかね,講習を受けなさい,というような話は来るのですが,そこはきちんと義務化して,不足している単位は,現在,保育士資格を持っている人も研修等で必ずこれを受けてください,といった方に,なるといいなと思いました。やっぱり0歳から2歳の重要な時期を保育しているからこその保育士の専門性です。人が足りないからと言って誰でもいいわけではない,と思います。あとは保育士と,保育士等というような研修内容についても明記されるといいかなという風に感じました。以上です。
○ 汐見委員長
有難うございました。他にございますか。今日はかなり,議論の難しいテーマですね。いろんな意見を出して頂いて論点を整理するのがなかなか大変かもしれませんが,確認だけさせていただきたい,あと2,3分くださいね。前回の保育士の議論の時からほぼ 10 年経っているわけなのですけど,大きな状況でやっぱり変わっているものがあります。一つは今日奥山委員が報告してくださいましたけど,地域で子育て支援をするっていうグループがもう既に 9 , 000 団体もあるっていうことで,それまでそういうことが十分ない中で保育所が両方やならくてはいけなかったのに対して,間違いなく状況は変わっています。その地域の子育て支援をやっている団体の専門性をどうやってあげていくか,ということが独自のテーマがあるのですが,そうなると今度は保育所がやる地域の子育て支援というのを限定することが出来るようになってきます。そのあたりを上手に分担しながら連携していくという構図が大事になってきているのだろうと,まずは思います。それから先ほど山縣委員の方から幼稚園教育要領は,実は教育についての要領にほぼ限定していて保育所の方は保育の内容と,それから運営上の指針ということが両方入っている,ということで,これをどうするかということ。これを長い目で見たら大きなテーマなのですが,ただ例えば7章に専門性を高めるという章をわざわざなぜ入れているか,ということなのですが,これは教育職であれば研修は権利であり義務であるということで十分補償されるわけで,わざわざ書かなくても済むわけです。しかし,児童福祉職ということは必ずしも研修が権利として保障されているわけではない。そのなかで,やはり専門性を上げていきたいということをどこで強調していくのか,主張していくのかといったときに,こういう章を作るということが指針のなかでは大事なのではないか,という判断が多分あったのだと思うのですね。まだやっぱり,児童福祉職の人たちの研修の権利等については教育職に比べ十分ではないということがありますので,やっぱり今回もこの章というのは必要なのかな,と思いながら聞いていました。
それから皆さんのご意見の中で,やはり個別の努力というのはとても大事なのだけれども,そして個別の支援は大事なのだけれども人間は仲間の中で支え合って育っていくという側面があって,それをどういう風に大事にするか。今日の聞き取り調査の中でも,やはり子どもたちは群れているなかで育っていくのだ,というのをどう支援していくのかということがやっぱり大事だということが出てきましたね。これは7章の研修,職場づくりもやっぱり,個別の研修も大事なのだけれども,職場をどう作っていくのかという課題がいっぱい出てきましたので,そのあたりがどう書き込めるかというあたりはこれから大事になってくるな,という風に思いました。
もともとですね,子育て支援という言葉自体が,私の個人的な意見ですけど,エンゼルプランから出ているのですね。行政の文書では。その時に子育て支援というのは何か,という定義がないまま,この個別のいろんなものが書かれているために様々なところで誤解が起こるわけなのですね。その問題は今もひきずっているような感じが致します。私は子育て支援という言葉が出て,しばらくやった時に,保育士さんだけ集まって勉強会をした時に,子育て支援ってどこか上から目線のような気がしない,という話をしました。支援している方は良いことしていると思っている。でもね,どこいくの?今日子育て支援されてくるの,なんてめったに言わないわけですよ。つまり,どこか共に育ちあう,とかそういう奥山委員のあれにもありましたけど,力付けてあげるのだという風な,見方によっては驕り高ぶったような視点があって,お母さん方はもともとそういう力を持っているのをね,上手に引き出せるような環境を作っていこう,とそれで保育者も育つのだ,というようなね,そういう言葉にした方がいいのではないかと,もうずいぶん 10 年以上になりますかね,言葉ってすごく大事ですからね,そういうあたりが 10 年間の実践の広まり,深まりによってですねテーマ化してきている,それをどういう風に反映していくのかというのもやっぱり課題かな,と思って今日お伺いしました。そういうあたりを含めて,まだいろんな多分,言い足りなかったことがあると思いますので,ぜひそのあたりを文章にして事務局の方にお送りいただいて論点整理の助けにして頂きたいと思います。今日はどうも有難うございました。それでは事務局の方からお願いします。
○ 楠目企画官
それでは資料7をお願い致します。次回のスケジュールでございますけれども,次回第5回でございますが4月 25 日月曜日 13 時から 15 時で予定しておりますので,詳細についてはご連絡をさせていただきます。また下の※のところにございますけれども,中間とりまとめについてでございますが諸般の事情を踏まえまして本年の夏ごろを目標に,今後の幼稚園教育要領でありますとか,認定こども園教育・保育要領との検討状況等も踏まえまして,具体的なスケジュールについては委員長,副委員長とご相談させていただきたいと思いますので宜しくお願い致します。以上でございます。
○ 汐見委員長
はい,わかりました。少しみなさんゆとりが入ったということで,そのかわり,その間しっかりと議論したいと思いますので宜しくお願い致します。それでは次回は4月の 25 日でございますので,またお集まりいただきたいと思います。どうも今日はありがとうございました。
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