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2016年3月9日 第6回医療介護総合確保促進会議 議事録

保険局医療介護連携政策課

○日時

平成28年3月9日(水)16時~18時


○場所

ホテルグランドアーク半蔵門(3階 華の間)


○議題

1.平成27年度地域医療介護総合確保基金の交付状況等
2.平成28年度地域医療介護総合確保基金の予算案等
3.総合確保方針の改定に向けた論点(たたき台)

○議事

○田中座長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第6回「医療介護総合確保促進会議」を開催いたします。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 会議に先立ちまして、本日の出欠状況について事務局から報告をお願いします。


○城課長 事務局でございます。本日の構成員の皆様の出欠状況を報告させていただきます。
 本日は、荒井構成員、石川構成員、内田構成員、大西構成員、河村構成員、鷲見構成員、樋口構成員から御欠席との連絡をいただいております。
 また、石川構成員の代理として、全国老人福祉施設協議会介護人材対策委員会委員長、筒井参考人に、鷲見構成員の代理として、日本介護支援専門員協会副会長、原田参考人に、樋口構成員の代理として、高齢社会をよくする女性の会事務局長、新井参考人に御出席をいただいております。
 以上でございます。


○田中座長 ありがとうございました。
 早速ですが、議事に入ります。カメラはここで御退室願います。


(カメラ退室)


○田中座長 初めに、事務局より資料の説明をお願いします。


○迫井課長 資料1でございます。「平成27年度地域医療介護総合確保基金の交付状況等」でございます。
 おめくりいただきまして、27年度の交付状況でございます。
実は前回、ほとんど同じ構成の資料をお示ししてございます。
 1ページ目は全体像でございます。交付の決定日でございます。
これは、介護分、医療分と分けてございますけれども、前回のときには最終的な2回目の部分につきまして十分お示しできておりませんでしたけれども、最終的にこういった形で数字を取りまとめさせていただいております。それから、公民の割合につきましても同様でございまして、時点の修正をさせていただいております。
 2ページ目は基金の医療分、3ページ目は介護分・全体、4ページ目は介護分の施設等整備、5ページ目は従事者確保、こういった内訳で分けてございます。
 それから、6ページ目でございますけれども、医療分の事業区分につきまして都道府県ごとに概要をお示ししております。これは、先ほど申し上げましたとおり、前回、類似の資料をお示ししておりまして、今回、最終的な時点修正的な形で数字を示させていただいております。
 以下、同様でございます。繰り返しですが、6ページが医療分、7ページ目が介護分、8ページは公的機関及び民間機関への交付額の割合(医療分)でございます。同様に、9ページ目が介護分、10ページ目が医療分、11ページ目が介護分ということでございます。
 時間の関係もございますので、詳細な御説明は省略させていただきます。
 以上でございます。


○佐藤(守)課長 高齢者支援課長でございます。続きまして、資料2の御説明をさせていただきます。「平成28年度地域医療介護総合確保基金の予算案等」についてでございます。
 おめくりいただきまして、1ページ目が基金の概要でございます。
 今日御報告いたしますのは、2ページ目、平成27年度補正予算及び28年度予算案についてでございます。先に28年度の予算案にまいりますけれども、公費ベースで1,628億円、このうち医療分904億円、介護分724億円となってございまして、27年度当初予算と同額でございます。
 それから、27年度の補正予算につきましては、「新三本の矢」の中の「安心につながる社会保障」の中の「介護離職ゼロ」という政府全体の施策方針に基づきまして必要な所要額を積み上げたものでございまして、公費ベースで1,561億円となってございます。対象事業については、右上のオレンジのところにございますように、このうちの3の介護施設と5の介護従事者ということでございます。
 スケジュールといたしましては、右下に記載のとおりでございます。具体的に補正予算のメニューにつきましては、おめくりいただきまして、3ページ以降でございます。3ページは、地域医療介護総合確保基金を活用した在宅・施設サービスの整備の加速化といたしまして、介護離職防止及び特養待機者の解消を図るために、2020年代初頭までに約10万人分の在宅・施設サービスを前倒し、上乗せ整備するように基金の上積みの措置をさせていただいたものでございます。
 その他、拡充したメニューといたしまして、定期借地権の一時金の支援、介護施設等の合築等支援の新設などがございます。
 4ページにまいりまして、介護の人材確保分でございます。こちらも介護人材の就労促進として、ボランティアセンターとシルバー人材センター等の連携強化、就労未経験者の就労・定着促進、新人教育やキャリアパスなど雇用管理体制の改善。
 それから、2つ目として、子育ての支援でございます。これについては、事業所内保育施設、あるいは代替職員の確保ということがございます。
 おめくりいただきまして、5ページでございます。介護従事者の業務効率化・負担軽減としまして、介護ロボットの関係。4番目といたしまして、人材の資質向上としまして研修に関する事業。5点目といたしまして、潜在的な介護人材、介護福祉士などでございますけれども、その再就職の支援。6点目としまして、地域全体で高齢者を見守る社会づくりということでございます。
 参考資料1には、去る2月23日に補正予算の介護分についての内示をさせていただきましたので、この資料を載せております。
 説明は以上でございます。


○田中座長 ありがとうございました。
 報告のありました資料1、2は報告事項になります。これについて御質問等おありでしたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。
 菊池構成員、お願いします。


○菊池構成員 資料2につきまして意見と要望を申し上げます。
 資料2の4ページ、5ページで示されております介護人材確保の事業メニューは、人材確保に向けた多様な事業例が挙げられておりまして、これは地域医療介護総合確保基金の管理運営要領から抜粋されたものかなと思いますけれども、管理運営要領のこの事業例は、事業を立案する都道府県の担当者にとってはよいヒントになると思います。
 介護人材確保分の基金は、介護保険施設で働く看護師や在宅での介護保険サービスを提供する看護師などの医療職を確保するための事業にも使えると聞いておりますが、まだ、都道府県の基金事業担当者の方にそのことが広く理解されているようには思われません。そこで、看護師等確保の事業例を管理運営要領の事業例に追加して明示していただきたいと思います。
 現状では、在宅や介護領域での看護職員の確保も困難と言われており、日本看護協会が昨年実施した調査では、特別養護老人ホームや老人保健施設では、介護職員の離職率もですけれども、看護職員の離職率も高いという結果もございました。居宅等での医療を必要とする高齢者が増える中で、介護領域で働く看護職員の確保も重要ですが、介護職員と同様に、採用が困難であり、離職が多いという状況がございます。
 介護施設などでは、施設内で看護職への教育研修体制が組まれておらず、また、外部研修に出ようにも代替要員がいないため出られないという状況があります。例えば、5ページの「介護職員の研修参加のための代替要員の確保」などは、介護領域で働く看護師など医療職にも適用される事業例として管理運営要領に明記して、都道府県や市町村に周知していただきたいと思います。


○田中座長 御要望ですね。
 他にいかがでしょうか。
 今村構成員、お願いします。


○今村構成員 今の菊池委員のお話に若干関係あるかもしれませんが、資料2の2ページの27年度補正予算1,561億円ということ。事務局から御説明していただいたように、「新三本の矢」の3本目の「介護離職ゼロ」ということで介護にこういった予算がついたということなのですけれども、このときに何らかの医療分についての配分というか、そういう御検討は全くされなかったのかどうかということだけ教えていただければと思います。


○田中座長 どなたがお答えになりますか。
 局長。


○神田医政局長 検討の過程では、当然、検討はさせていただきましたけれども、予算編成の方針として、「新三本の矢」に直結するものに限定するということでございましたので、一般の補正予算としては、例えば産科とか小児科の一定の設備整備費を補正予算で20億円とか確保できたものはございますけれども、財政当局との調整の中では「新三本の矢」に直結するとは評価されていなかったということで、補正予算で基金に大きく上積みするという形にはならなかったということでございます。


○田中座長 白川構成員、お願いします。


○白川構成員 質問兼要望みたいなことで発言させていただきたいと思います。
 介護の補正予算1,561億円は相当巨額でございますし、本予算と合わせると2,200~2,300億円という額になります。何を意図しているかというのは大体わかりますけれども、心配なのは、言い方はよくないかもしれませんが、使い切れるかどうかという問題。当然、地方側も一定の額の手当が必要で、中央側も当然予算措置が必要だと思うのです。基金ですから、28年度中に使う必要はないというのはもちろんわかっておりますけれども、せっかくこの予算がついたからには、使い切れという言い方が適切かどうかは別にして、必要なものにはどんどん手当てをしていただく、あるいは前倒しをしてやっていただくということで、是非そういう政策的配慮をお願いしたいと要望させていただければと思っております。
 以上でございます。


○田中座長 御要望ですね。ありがとうございます。
 東構成員、お願いします。


○東構成員 ありがとうございます。
 資料2の2ページでございますが、今般、平成27年度補正予算で、1,561億円という大変大きな金額を介護分につけていただいたことはありがたいと思っています。しかし、その介護分の内訳を見ますと、施設整備の方にかなり多く振り分けられております。介護の現場では、介護人材の不足が逼迫しておりまして、施設整備がどんどん進められましても、介護人材がますます足らないという矛盾をはらんでおります。
一方、平成27年度補正予算では、介護人材確保分の予算も組まれてはおります。しかし、厳しいことを申し上げるようですが、資料2の4ページ、5ページの介護人材の確保のための項目を見ましても、効果的であると思われるようなものが、余り見当たらないように思います。私は、介護現場の仕事の切り分けとか、切り分けた仕事を誰がどのように担うのかという、より基本的なことを議論して対応しないと、介護人材に対する有効なものが出ないのではないかと考えております。
 それから、先ほど菊池構成員からございましたが、もちろん看護職についても老健施設の現場でも非常に逼迫しておりますので、この人材確保の中に看護職の項目も入れていただくというのは、私も重ねて御要望を申し上げておきます。
 以上でございます。


○田中座長 大変的確な御指摘、ありがとうございました。
 筒井参考人、お願いします。


○筒井参考人 済みません。
 医療分における地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設または設備の整備に関する事業、それから介護分における介護施設等の整備に関する事業については、この先未定のものが比較的多く存在しています。理由としては、まだ全ての事業が上がってきていないことも考えられますけれども、基金事業としての事業者としても手が出しづらい事業となっていないかなど、検討する必要があるのではないかと思います。
 それから、これらの事業費総額でも160億円程度となっており、決して少なくない額が未交付となっているのは余り好ましくない状態ではないかと思います。
 それから、応募の段階で、各都道府県での取り扱いに差異がないかなどチェックする必要があるのではないかと思います。
 以上です。


○田中座長 ありがとうございます。
 他によろしゅうございますか。
 幾つかの御意見をありがとうございました。
 続いて、資料3の説明をお願いします。


○城課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料3、それから、本日は構成員から参考資料4、5、6を御提出いただいております。これにつきましては、後の御議論の中で御紹介をいただければと思っております。私からは資料3について御説明をいたします。
 おめくりいただきまして1ページ目から御覧ください。医療介護総合確保の基本方針でございます。本会議は基金の御議論をいただくということと、基本方針の御議論をいただくということ、2つミッションがございますが、その基本方針のほうのお話でございます。
 平成30年から、次の医療計画、介護保険事業計画、介護保険事業支援計画等々が始まります。この関係の総合確保の都道府県計画・市町村計画もそれに合わせてということになります。それに向けて基本方針の見直しを行っていく必要があるのではないかということで、前回、議論のキックオフをさせていただきました。今回、その御議論の続きということで資料を用意しております。
 まず、1ページ、2ページは、現行の基本方針の概要でございます。改めまして、その構成、記載事項のポイントを御確認いただくという趣旨であります。本文は参考資料でつけております。今回、この基本方針の概要で御説明いたします。
 今の基本方針は大きく4部構成になっております。
 第1として、地域における医療及び介護の総合的な確保の意義・基本的な方向となっております。まず、地域での医療・介護の総合確保の理念とか意義・方向性をきちんと明らかにするということで記載されてございます。
 意義としては、簡単に申し上げれば、団塊の世代が全て75歳以上になってしまっている2025年に向けての取り組みが非常に重要になるということで、その手前の数年間は非常に高齢化し、支える側が非常に多くなる。こういったことも踏まえまして、地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していく。いわゆる地域包括ケアの概念でありますが、そういったことが喫緊の課題である。そして、それに向けて、利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築して、自立と尊厳を支えるケアを実現していくことを理念として、今の基本方針には記載しているということであります。
 基本的な方向性としては、その下に5つございます。「1.効率的で質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築」「2.地域の創意工夫を活かせる仕組み」「3.質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推進」「4.限りある資源の効率的かつ効果的な活用」、社会資源も含めてということでここは記載しております。そして「5.情報通信技術(ICT)の活用」であります。
 そして、行政の役割、サービス提供者の役割、そして利用者の役割ということをその後に記載しております。この辺りは御覧いただいたとおりであります。国は指針を策定したり、財政支援をしたり、事例の収集・分析・周知といった基盤整備をするということがございます。都道府県は、地域医療構想に基づく医療機能の分化・連携の推進、それから市町村の支援等々も含めて役割を記載しております。市町村は、地域包括ケアシステムの推進等が記載をされております。それと、やはり人材育成が重要ということで、研修の充実等により支援をしていくということであります。
 サービス提供者については、利用者に関する情報の共有、人材の確保・定着のための取り組みをするということ。サービス利用者については、使う側として効果的・効率的な利用をする。それと、地域の構成員として積極的に社会参加していくといったことが記載されております。
 それから、第2として、都道府県での計画の整合性についての記載がございます。総合確保の都道府県計画と医療計画と介護保険事業支援計画の整合性の確保、そして、そのもとになる医療計画の基本方針、介護保険事業計画の基本指針、これは国で定めるものでありますが、その基本となる事項の記載といったことがございます。ここは、整合性の確保ということで2ページ目にまたがりますが、平成30年度以降に医療計画と介護保険事業計画、支援計画が同じサイクルで動くようになりますが、そこに向けた取り組みをどうするか。そして、それまでの間にどのようにするかということの記載がございます。例えば作成に当たっての緊密な連携体制ということ、区域の整合性や基礎データの整合性を確保することということは今でも記載はございます。
 それから、30年度までに行うこととしては、第6期の3カ年の介護保険事業計画がございましたから、そのときの取り組み事項ということで、在宅医療・介護連携、認知症対策、地域ケア会議の開催等々による多職種協働の推進といった記載がございました。
 第3のパーツとしては、都道府県計画・市町村計画。これは、この指針に基づく総合確保計画でありますが、その都道府県計画と市町村計画の整合性の確保等の記載がございます。これは、特に基金事業についての留意事項、それからどのように整合性をとるかといったことの記載がございました。
 第4として、新たな財政支援制度、まさに基金に関する事項として、先ほど御覧いただきましたような5つの分類でありますとか、どのように決定するか、消費税財源であることを踏まえて、透明性を確保してといったようなことが記載をされております。
 こういった状況になっております。これを30年以降の計画に向けてこの指針レベルで見直すことがあるのではないかということで、前回も少し御議論いただきましたが、今回、我々として考えている論点をお示しして、さらに御議論いただきたいという趣旨でございます。
 3ページを御覧ください。これは、前回御議論した際にいただいた御意見を簡単にまとめたものでございます。念のためというか、御確認も含めて記載をいたしました。
 1つ目に、退院時に備えた切れ目のない医療・介護提供に関する視点が大事ではないかという御議論をいただいておりました。
 2つ目のところですが、多職種協働・医療・介護の連携の核となる人材ということで、どういったものが多職種協働を支え、担うのかといったことであるとか、核となるコーディネーターが必要ではないかということ。それを誰がやるのかといったこと。逆に、それは職種限定とか割り当てるということではなくて、機能を明確化して地域の中で作っていくことが重要ではないかという御議論がありました。
 それから、多職種連携の視点として、地域の実情に応じた取り組みが必要だろうということ。ただ、多職種なら研修がいいということで、医療、福祉、各領域の相互理解が前提で、そういったものの標準化が要るのではないかといったお話もございました。
 それから、住まいに関する視点ということ。地域包括ケアを考える際には住まいの視点は重要であるということで、他省庁とも関わる分野でありますが、そこをきちんとやってほしいということがございました。
 それから、基金に関する医療・介護連携の視点ということ。医療と介護の連携で、その基金の中で、医療分でも介護に関係ある事業が入り得るし、介護分でも医療に関係のある事業が入り得るということで、この基金の中でも医療・介護の連携が進められるのではないかということ。
 それから、計画策定主体ということで、都道府県と市町村。特に医療は都道府県が中心にということでありますが、介護はどちらかといえば市町村が中心になっておりますので、都道府県と市町村の医療部局と介護部局の連携も必要ではないかという御議論をいただいておりました。
 こういったことを踏まえまして、事務局のほうで現段階で気がついている、もしくはこれから御議論いただきたい論点を4ページ以降に例として示しております。
 4ページを御覧ください。次の総合確保方針、改定ということでありますが、そこに向けて論点の例として、これから何ページかにわたって記載をいたしております。
 まず≪医療計画と介護保険事業支援計画、介護保険事業計画の一体的かつ整合的な策定≫というところで見たときに、どういったことがあるかということであります。計画策定に関する整合性確保ということであります。この下に小さいポツが2つありますが、そこのあたりに記載をいたしております。
 両計画における区域や人口推計などの基礎データの検証をしなければいけないのではないか。特に地域医療構想を含む医療計画などとの整合性の確保であります。これは、将来推計とか需要推計ということであります。慢性期の機能とか、在宅医療、こういう医療介護の連携が特に必要となるステージにおいての需要の推計でありますが、そういったものの見込み量、サービスの見込み量などで、必ずしも整合がとれていない例があるのではないかということであります。そこをどのようにしていくべきかという論点であります。それから、区域についても、今も理由があってということかもしれませんが、一致していないところがございます。そういったものをどう考えるかということだと思います。
 それから、一体的な作成体制を実現するための地方自治体間の協議・連携のあり方。これは、都道府県と市町村であったり、市町村間であったりということでありますが、そういった連携を取りましょうというのは今でもあるわけでありますが、どのように進めていくかというところが課題になるだろうということでございます。
 5ページを御覧ください。個別の分野として、特に医療・介護の連携が重要になるステージとして在宅医療というのがございますが、その在宅医療の推進、そして在宅医療の場面での在宅医療と在宅介護の連携という視点で整理をしております。都道府県で地域医療構想を策定して、そして市町村と連携しながら慢性期の医療サービスの確保を進めていくということでありますが、市町村でも平成27年度から在宅医療・介護連携推進事業が開始されております。という中で、これからさらに在宅医療の分野についての連携が特に市町村レベルの範囲で行われていくべきだということでありますが、これまで在宅の医療分野は特に市町村では余り馴染みがなかった分野であるということもありますので、都道府県がバックアップをしていかないとなかなか進まないのではないかという問題意識がございます。こういったことも踏まえて、この在宅医療分野、特に市町村との連携についてどのように考えていったらいいかということを記載しております。
 特に在宅の提供体制として、退院支援。退院支援というのは、別に退院時ということに限ったことではなく、入院前、もしくは入院初期からの支援が必要だということを注釈で記載していますが、退院支援であったり、日常の療養生活の支援であったり、急変時の対応であったり、看取りであったりということがございます。こういった機能がありますが、それぞれ展開するステージの大きさも違ってまいります。そういう観点から幾つか視点を挙げております。
 まず、退院時に備えた切れ目のない医療・介護提供という視点。在宅の生活から病院に入院し、また在宅へと戻っていくというシームレスな提供を実現するためにどのような取り組みが必要かということ。
 それから、居宅での看取りについての視点であります。できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続していただき、その地域で人生の最期を迎えることができるような環境整備を言っておりますが、連携してそのために取り組むにはどのような視点が必要かということであります。
 それから、多職種連携の必要性と言っておりますが、多職種連携の推進に当たって、顔の見える関係で相互の理解を進める、役割分担を通じて連携できるということを言っておりますが、地域でどのような取り組みを行うことでこれが進むのかといったことでございます。
 さらに6ページでございます。前回も御議論いただきましたが、医療・介護の連携の核となる人材であります。特に医療と介護の連携を促進するための人材確保、人材の育成が必要だということでありますが、大きく2つの切り口があるのかなということで下に整理をしております。
 1つ目は、直接、対利用者の場面で連携をするということであります。入退院時、それから在宅での医療・介護サービス連携など切れ目のない支援を実現するための連携ということで、実際の現場での連携をするための人材の必要性がさらに高まるのではないかということであります。
 もう一つ、下のほうのポツですが、地域でそういった医療・介護連携ができる体制を実現するということであります。そうすると、医療と介護の垣根を越えて自由闊達な意見交換ができるような場の提供が必要になるだろうということであります。それを担っていけるのはリーダーであったり、コーディネーターであったりということかと思いますが、そういう先導をしていくような人材、地域の医療・介護連携を支える人材という視点も必要ではないかということで記載をしております。
 資料上、記載したのは以上でございます。本日は、私どもで気がついております論点に加えまして、こういったこともあるのではないかといった御意見等々を含めて、さまざまな御指摘をいただければ、それを踏まえて、整理して、資料を整えて、今後の議論に用意していきたいと考えております。さまざまな御意見をいただければと思います。
 以上でございます。


○田中座長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明いただいた資料3「総合確保方針の改定に向けた論点(たたき台)」について皆様からの意見を頂戴いたします。挙手の上、発言をお願いします。
 武久構成員、どうぞ。


○武久構成員 皆様、御存じのように、療養病床の在り方等に関する検討会ですが、ここで病院の中での病床を、サービス内包型、要するに病院の中に施設とか住居を展開していこうということで1月28日に選択肢の整理案が出ております。これは、30年に向かってより精緻なものにするために、多分、審議会もできるのだろうと思うのですけれども、そういう流れ。
 それと、この4月の診療報酬改定でも、急性期病床の調整というか、そこでベッドがあいてきて、一般病床というのは普通の病床という意味だろうと思うのですけれども、ここのところに、今、空床ができてくる。そうすると、療養病床とか一般病床とか余り関係なく、病院内であいてきた病床に対するスタンス。5ページ、6ページには、退院とか入院とかいうことがありますけれども、その病院の中にそういう連携が密になっていくような、30年に対してのベクトルについての記載がなかったように思います。そこのところは少し検討会でやられていることでございますので、何かちょっと入れていただいて、ある程度こんなふうにしたいという方針があればよりいいかなと思いました。
 以上です。


○田中座長 ありがとうございます。療養病床の在り方等に関する検討会を踏まえての記述もあって然るべきとおっしゃっています。
 今村構成員、お願いします。


○今村構成員 5ページの在宅医療の推進のところの2つ目のポツで「なお、在宅医療の提供体制については」と、一応ここは在宅医療に限定されていますが、もうちょっと幅広のお話として急変時の対応ということです。
 実は最近、全国で検案に関わっておられる「都道府県医師会警察活動に協力する医師の部会連絡協議会及び学術大会」がございました。今、高齢者の入浴の死亡例だとか、熱中症に伴う救急搬送や死亡例が非常に急増しているとの報告がありました。かかりつけ医として、例えば、入浴の仕方であるとか熱中症対策の啓発を行うという我々としての責務もあるのですが、そこで御報告があった例というのは、熱中症で搬送される高齢者は、同じ方が繰り返し救急搬送されて、結局、最後は亡くなっているということでした。
 高齢者の方に、エアコンをつけてくださいとお願いしても、そういう例は、電気代が払えないとかリモコンがうまく使えないということがある。一度目は仕方がないにしても、そういうことが起こったということは、その方にリスクがあるということをそこで把握されているはずなのに、それが何度も何度も繰り返されて、そして結局、防げる死亡を防げなかった。これは大変大きな問題だと私は思っています。地域包括ケアの中で、地域の全体のシステムも大事ですけれども、ここのお一人お一人の方がちゃんと安心して暮らせるためには、誰の目がそこで入って、その方に対してどういう取り組みをしていくのかということがないと、これは、また今年の夏も熱中症の患者たちがどんどん発症していることから、ただでさえ救急車の搬送事例が増しているのに、同じようなことを繰り返して何度もそれが救急医療にかかる。最後は亡くなる。こういうことについてはどこかが考えなければいけない。こういったことを、論点を具体化していく際に検討していただければというお願いでございます。


○田中座長 問題点の指摘も頂戴しました。ありがとうございます。
 加納構成員。


○加納構成員 今のにも少し関係するかと思うのですが、1ページ目における基本的な方向性の「5.情報通信技術(ICT)の活用」という問題と「行政の役割」というところです。今後、地域包括ケアの一番のポイントは、先ほど個人の、それぞれの住民の情報を一元化するということで、医療及び介護の両面にわたって、今、考えられているクラウドなどの問題で、現実的にもう既に業者単位で動き出しているのです。うちのクラウドでやった地域包括ケアシステムはうまくいきますよとか。そんなことでは、我々病院界にとって一番問題になっている電子カルテと同じように、いわゆるシステムの乱立の二の舞になってしまいます。全国的にデータをとるにしろ、今後の効率化においてはかなり問題を起こしてくる可能性が出てきているのではないかと思います。今後、地域包括ケアにおけるクラウドに関しては、システムの一元化を国、行政のほうで提案をしていただいて、それに画一的にそろえていくという形を全国的にやっていく必要があるのではないかと思っているのですが、どうでしょうか。


○田中座長 それは、今、何かお答えをお求めになりますか。よろしいですか。


○加納構成員 そういう提案が可能なのかどうかということを御返事いただけたらと思います。


○田中座長 吉田審議官、お願いします。


○吉田審議官 医療介護連携担当審議官でございます。非常に今風のといいましょうか、今、まさに動いている事態を踏まえての御指摘、大変ありがとうございます。
 今、御案内のように、ICTを進めております中で、それがそれぞれセグメント化してしまうといいましょうか、カスタマイズしたことによって互換性がなくなるようなことをどうやって防ぐか。既に先行したところの分野については、それをどう克服するかでありましょうし、これから新たに広げる部分については、その轍を踏まないようにするということは、我々も同じような問題意識を持っています。
 いろいろなクラウド方式を初めとしてそれぞれのシステムがありますので、行政として、国として1つに決める、一元化ということはなかなかというのは、今、率直に思っております。さりながら、そこの間における互換性、標準化、あるいはお一人お一人それぞれのシステムにおいては分散管理をされる形であるとしても、別途、御議論いただいております医療等番号という形で人をつなげることによって情報を一元化することができないだろうか。もちろん、アクセス制限の問題、個人情報保護の問題、同意の問題、いろいろな課題もありますけれども、まず、ハードの面で先行している部分について、ハードとしての標準化をある程度きちっと明確化していくという方針と、ソフトにおける互換性、あるいは広がり、そしてセキュリティーというものを全体として考えていかなければいけないと思います。まず、国としてやるべきこと、そしてそれを踏まえて現場においていろいろと。例えば基金を使って実際行われることも進んでおりますので、そのあたり、手戻りのないような形で我々としても関心を持っていきたいと思いますので、また、具体的な御意見、いろいろな機会を持っていただければありがたいと思います。


○田中座長 山科構成員、どうぞ。


○山科構成員 本日の資料3の4ページの医療計画と介護事業計画の部分で、今後は具体的に都道府県で医療計画を策定されることになります。その中で、ここに書いてございますとおり、各計画における区域や人口推計等の基礎データの検証と書いてあって、括弧して「在宅医療等の需要の将来推計」と書いてございます。私は歯科の立場でございますけれども、口腔管理というものが、周術期などで非常に重要でして、病院に入院していても、口腔をきれいに管理していると重症化の予防にもつながるし、QOLにもつながる。これは在宅にあっても同じということでございます。
 その上で、まず第1点目は、在宅歯科医療がどれぐらいの需要があるか。ここの部分に「在宅医療等の需要の将来推計」と書いてございますので、是非とも在宅歯科医療の需要の将来推計等についても挙げていただきたい。
 それから、2点目ですが病院であろうが、在宅であろうが、どのような形でも歯科医療単独ではなく、他職種との連携が大事なので、各医療圏における連携のあり方、具体的にこういうものがあるというような集計等ができれば、あわせてお願いしたい。その上で、各都道府県が医療計画を策定していくということが今後重要かなと思っておりますので、この将来推計のところに在宅歯科医療の項目を是非入れていただきたいという要望でございます。


○田中座長 御要望ですね。事務局で検討してください。
 山口構成員、お願いします。


○山口構成員 これを拝見していますと、例えば、今現在の基本的な方針のところに、サービス利用者の役割ということで、効率的かつ効果的なサービス利用とか、地域の構成員として積極的に社会参加するということが挙げられています。ですので、論点を見ていましても、ほとんどが提供する側の視点でいろいろなものが書かれていると思います。でも、切れ目なく医療・介護を利用していくとしたら、利用者の理解ということがなくては、実際問題、全く進まないと思っているのです。
 では、実際に、現状として一般的にどうなのかと申し上げますと、例えば2025年問題自体を知らないとか、もう10年切っているという状況にあるのに切迫感がないというのが一般的な状況ではないかと思っています。ですので、国民の側に、例えば何を知ってもらわないといけないのか。そして、その理解を進めていって、例えば在宅での看取りとありますけれども、システムが整ったらそれができるかというと、家で死ぬというようなことを経験していない人から見れば、全くイメージがつかないのが現状です。そのため、在宅で看取る選択をすること自体できないということもあると思います。ですので、この論点の中に、国民に十分理解していただくためにどんな方策があるのかということを是非入れていただきたい。
 といいますのも、今、情報化の時代になってきていることで、逆に、本当は必要なのだけれども、その方が今、関心を持っていないことの情報を提供することがとても難しい時代になってきていると感じています。例えば、新聞を読まない、テレビも見ないという方が増えてきている中で、どうやって情報を手にしているかというと、ほとんどがネットです。そうすると、自分に関心がある分野に入って深掘りしていくという情報の取り方をしていますと、本当は、今、関心がなくても知っておいてもらいたい情報を提供するのがなかなか難しい時代に来ていると思います。だからこそ、国としてどのようにすれば、多くの方に必要な情報をきちんと理解して2025年に向けて備えてもらえるのか。そういったことも是非視点の中に入れていただきたいと思います。


○田中座長 ありがとうございます。
 森構成員、どうぞ。


○森構成員 ありがとうございます。
 少し先の長い話ですが、6ページ目の≪医療・介護の連携の核となる人材に関する視点≫です。先日、薬剤師の国家試験も終わりましたけれども、私が国家試験を受けたときは、医療・介護の連携もなければ、チーム医療というものも試験の中に出ていませんでした。ある意味で、医療と介護の核となる人材を育成することを考えると、薬剤師は、どうしても介護の部分に関しては弱いですし、介護職は医療のことに弱いかもしれません。そもそもの教育の中で医療・介護の連携についての教育を充実する必要があるのではないかというのが1点目でございます。
 もう一点は、5ページのところの≪在宅医療の推進及び在宅医療と介護の連携の推進に関する視点≫の2つ目の●の「退院支援」のところです。入院中の医療機関から退院後に関しての連携はできてきたと思うのですけれども、入院支援というのは急に入院されることもあり、十分な連携ができていないケースもあると思います。入院前に行われている、私どもで言えば外来での薬物治療の中での問題点、それを入院中の病院に伝える必要があり、外来で、その療養環境を含めてなかなか服薬ができないということがあれば、そういうことを視野に入れて、入院中に退院後の在宅での薬物治療をどう考えていくか、そのための教育をどうしていくのか、そのためには、入院前から入院した医療機関へのバトン渡しということが必要だと思います。今、退院支援よりは少し弱いような気がしますので、そこの充実が必要になるのではないかと思います。
 以上です。


○田中座長 いろいろな御指摘をありがとうございます。
 相澤構成員、お願いします。それから、原田参考人にご発言いただきます。


○相澤構成員 まず、私たちが一番困っているのは、ここにも書かれていますように、医療計画というのは県が主体でやっておりまして、しかも二次医療圏。今は構想区域が中心と言っていますが、ほとんどが二次医療圏でやっております。ところが、在宅、特に介護ということになりますと、市町村がおのおの生活圏域を作ってやっているのです。そうすると、そこの介護を担っている人たちと、入院を中心とした医療を担っている人が顔を合わせて議論をする場がないというのが現実だと思います。
 では、そこの中で、入院から在宅、あるいは介護というところをうまくつなげているかというと、うまくつなげていない。まず、そういう場がないという大きな原因があると思います。
 もう一つは、入院中は多職種の人がかかってチーム医療をします。でも、それは病院という中なものですから、いつでもどこでも自由に話し合いができて情報交換ができるのです。ところが、その人が在宅へ帰りますと、何が起こるかというと、関わる人はいっぱいいるのですが、みんなそれぞれ設立主体も違って、考え方も違って、受けてきた教育も全く違う人が集まって1人の御利用者に対してサービスを提供しようとしたときに、これは非常に大変です。連絡するだけで時間がとられて、連絡するだけで疲れて切って終わってしまうという現実があります。
 では、それをどうするのかといったときに、先ほどITを利用して情報を伝えればいいという話があったのですが、残念ながら、それでは伝わらない。生活に密着しているものですから、微妙なニュアンスがあるのです。そのときに私たちが常に感ずるのは、顔を合わせてお互いに真剣に話し合う場があって、その場を上手にコーディネートする人、要するに場と人の組み合わせが大変重要ではないかと思っております。
 そこでもう一つ、私たちが日ごろ感じているのは、かかりつけ医の先生がやっている在宅医療というのは入院医療とも介護とも両方に関わるところですが、病院だけはちょっと取り離されておりまして、かかりつけ医の先生があって病院がある。ところが、退院するときはこの病院から突然家庭に帰るのです。このギャップをいかに埋めていくかという仕組みと、そこでのお互いの顔を見合ってやっていくということがすごく大事だと思っています。
 ただ、もう一つだけ言わせていただくと、私たちはそういう中で苦労しながらやっていて、一番助かるのは訪問看護師さんです。訪問看護師さんがきちんと一生懸命やっていてくださると、かかりつけ医の先生も非常に助かりますし、我々病院も突然入院してくるときに一番助かるのは、私は訪問看護をやっている看護師さんではないかと思っています。
 今、訪問看護も、診療報酬を中心にしていろいろな改革を図っているのですが、私は、訪問看護はばらばらにするよりも、ある大きな塊で、24時間365日、少なくとも生活圏をカバーできるような訪問看護ステーションを作って、そこを中心に人が集まれるようなことを考えていったらいいのではないか。これは私の私見ですが、日ごろやっていてそんなことを感じるということをお話ししたいと思います。


○田中座長 関連してですか。
 どうぞ。


○今村構成員 相澤先生のおっしゃった医療計画と介護の整合性みたいな話はずっと前から課題としてある。それを踏まえた上で、それをどうやって解決するかということで、例えば、介護保険の地域支援事業の中で、在宅医療において協議の場を作るとか、都道府県、市町村がそういうことをやる。つまり、制度的には、この参考資料3を見ても、その課題を解決するために都道府県が組織改編を行って、こういうふうに地域と市町村と連携していきますということはやられているのでしょうけれども、それが全国的に幅広く行われているかどうか。そこが課題であって、そういう情報共有を全ての都道府県がきちんと行って、少なくともこの体制をきちんと構築すれば、現場でできる体制というのはあるはずなのです。こういう課題がある、こういう課題があるといつまで言い続けていても何も進まない。制度的にはそれをちゃんと担保するものが、今、準備されているので、あとは現場でそれをどのように行っていくのかという、我々の問題もあるのではないかと思っています。やっているところ、そういう協議の場をきちんと設けているところもたくさんあるのです。そこを全国的に行うために、こういういい取り組みをしているところがたくさんあるぞという情報を厚生労働省なりがきちんと示して、それを横展開していただくことが大事なのではないかと思っております。


○田中座長 コメント、ありがとうございます。
 原田参考人、お待たせしました。


○原田参考人 ありがとうございます。
 6ページの≪医療・介護の連携の核となる人材に関する視点≫というところです。前回からこの議論のところで、誰がコーディネーターをするのが一番ベターなのかという議論が始まっております。本日、会長が欠席なので代理で出させていただいていますが、機能というところで少し議論がとまっていたと思いますので、この辺のところ、うちの協会内でも少し議論させていただきました。
 ここにも書いていただいていますが、1つ目のポツの後半の「高齢者の様々な生活上の課題を把握し」というくだりなどは、高齢者を現場で一番身近に見ているのは、本来、介護の認定を受けているものであれば居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援者については、原則として地域包括支援センターに併設されている予防支援事業所のケアマネジャーが見ているという形になります。そういったケアマネジャーという職種が現場で一応見ている。
 縷々いろいろな御指摘もあるのは重々承知しております。できている部分、できていない部分、多々あるのも理解しておりますが、これからのこういった切れ目のないサポート体制を考えていく中で、先般、吉田審議官からも、介護保険では介護支援専門員という制度に位置づけられた職種があると言っていただいています。この辺のところ、議論のスタートとして、やはりできていないというところのスタートではなく、介護保険ができてから15年弱というところで、ケアマネジャーが果たしてきた役割もしっかり評価していただきながら、今後どういう形でというところは議論していただきたいと思います。
 これからの議論が進む中では、機能というだけではなく、既に介護保険が始まってから動き出しているケアマネジャー、介護保険の中では介護支援専門員という有資格者を置いてここまで来たというところも踏まえていただいて、その上で。あと、各市町村での仕組みという中では、医師会さん、薬剤師会さん、歯科医師会さん、一般的に三師会さんと連携する形で、各地区・地域の中でも既に仕組みができつつあるところも多々ありますので、その辺も踏まえていただいて、どういう人材をどういう形で使っていくのかというところでは再度お考えいただきたいと思います。よろしくお願いします。


○田中座長 ありがとうございました。
 武居構成員、お願いします。


○武居構成員 資料を用意させていただきましたので、その資料にも関連してお話をさせていただきたいと思います。全国社会福祉法人経営者協議会の武居でございます。
 特に資料3の5ページ、6ページに関わる部分で、多職種連携に関する視点ということと、医療・介護の連携の核となる人材に関する視点、この問題について私なりの意見を少し申し述べたいと思っております。
 今、福祉・介護全体の大きな課題は、もちろん人材の問題でございます。そのサービス提供側として、今、決定打がなかなかないという現実があると思います。そういう意味で、これからの視点についても多職種連携とか、連携におけるどのような役割があるのかということが大変重要だと思います。
 その中で、誰がリーダーシップをとるかという話ではなくて、誰が調整役となるかという視点で少しお話をさせていただきたい。医療や介護に関係した職種として社会福祉士の役割について今回の会議のメンバーに含まれていないので、私からお話しさせていただければと思います。
 資料の1ページ目は、社会福祉士及び介護福祉士法の中身であります。もう既に御存じの方は当然だろうと思いますが、まず2条のところで「専門的知識・技術をもって、福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者」と、もう一つ並列に「医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整」というのが社会福祉士の役割として書かれてございます。
 関連をして社会福祉士の役割について幾つか述べてある部分がございますので、次の2ページ目、近年の主な動きについて申し上げますと、社会福祉士に求められる役割というのが最初のところに3つ書いてあります。2つ目の○に「利用者が」と書いてありますが、利用者主体にして考えたときに、それに関連する職種が、その2行目、「連携を図り、自ら解決することのできない課題については当該担当者への橋渡しを行い、総合的かつ包括的に援助していく役割」が社会福祉士の役割だと。さらに3つ目の○には「地域の福祉課題の把握や社会資源の調整・開発、ネットワークの形成を図るなど、地域福祉の増進に働きかける役割」。つまり、現行の制度の中で、多職種連携に関わる調整役というのは、社会福祉士が非常に重要な役割を占めるべき立場にあるのだろうと思います。
 さらに関連をして、資料の5ページ目「最近の研究報告書から」というところに社会福祉士の役割があります。1つ目の○の上から2行目「スペシャリスト」という個別の専門職の役割と、さらに2行目の後段のほうで「相談者のあらゆる状況を受け止めてその課題の整理・提示と多職種のコーディネートを担う『ゼネラリスト』に分類できる。社会福祉士は後者であり、特に活動の範囲が特定の制度によって規定されていないため、最も広範かつ総合的に相談者の課題を捉えることができる専門職である」。そのようになってほしいというようなこと。次の○のところにも似たような記述がございます。
 さて、1つ戻っていただきまして、そういう役割が期待されているのですが、これは他の職種も同じだと思うのですけれども、資格取得イコール実践力があるわけではない。関連の職種からのいろいろな意見もあるのだろうと思います。その意味で、社会福祉士に関しては、認定社会福祉士の制度が平成24年に創設されました。4ページの一番上の四角です。そして、左側は認定社会福祉士の説明で、まだ3年ぐらいしかたっておりませんので、現在350人ぐらいしか認定社会福祉士は養成されておりませんけれども、いわゆる実践力のある社会福祉士を養成するというシステムになってきています。さらには、もうしばらくたてば、それを指導するためのスーパーバイザー、つまり、右側にあります認定上級社会福祉士の資格も取得する人が出てくるのではないかと思われるわけであります。
 さて、そういう現状の制度及び実態の中で社会福祉士の問題を少し考えたときに、業界全体、社会保障に関する人材というのは全体的に不足しているわけでありますので、そこをどう有効に使うのかということを十分考えていく必要があるのだろう。その意味では、現在の制度の中にある社会福祉士も非常に有効に使っていただく必要があるのではないかと思っております。
 例えば、資料の7ページ目のところには、現在、任用されている職種の仕事の内容が書いてございます。広がってきてはいますが、残念ながらまだ不十分な部分があって、毎年多数の社会福祉士資格を取れる学生が大学を卒業しているにもかかわらず、他の業界に流出してしまっている現実がございます。企業等においては、いわゆる職種についてのコミュニケーション力や調整力を買われて社会福祉士資格者の雇用をしているという企業もございますので、社会保障分野全体から他の業界に人材が流出している現状を考え、流出しないような形でこれらの職種も有効に使っていく必要があるのだろうと思われます。その意味で、多職種連携の中にそういう視点も是非加えていただければありがたいと思っております。
 以上でございます。


○田中座長 関連して、武久構成員、どうぞ。


○武久構成員 武居構成員のおっしゃるように、社会福祉士は非常に優秀です。受験も難しい。合格者も非常に少ない。現実に3万幾らいますけれども、病院とか、特養施設とか、公務員などで、まだフリーに活躍できる現状ではないのが非常に残念です。
 このたびの4月の診療報酬改定でも、社会福祉士を徴用するという方向に、はっきりと「社会福祉士」として書かれておりますので、私は非常にいい方向かと思います。
 ただし、30年にはとりあえずこのことが進まないとどうにもならない。では、病院の地域連携の人がこのコーディネーターになるのか、それとも介護側のいわゆるケアマネジャー、介護支援専門員がなるのかというと、介護支援専門員は残念ながら福祉系の方が多いということで医療にはちょっと難しい面があって、医療にちょっと取っつきにくいところがありますが、これは是非、人数の面からいっても介護福祉士を医療介護福祉士的に教育して、現在の介護支援専門員をとにかく利用して、コーディネーター役になる。それにはかなりの研修時間が要ると思いますけれども、先ほど相澤先生も今村先生もおっしゃったように、いろいろな人が寄って会議するというのは時間のロスもありますし、しょっちゅう、しょっちゅう無理です。誰かコーディネーター役がいて、その後でそういう会議が時々開かれるというのだったらいいのですけれども、先兵隊として誰が行くかというと、私は介護支援専門員に、とりあえず2年の間にかなり研修をして、医療介護支援専門員的な要素を強めて担っていただくしか方法がないと。そのうちに社会福祉士もどんどん育ってくると思いますけれども、国家試験のレベルを非常に高くしていますから、急に増えないというところもあります。そのように私は思いますので、是非そういう視点も使っていただかないと、ここで幾ら論議していてもコーディネーター役がいないと進まないと思うのです。是非よろしくお願いします。


○田中座長 関連ですね。


○今村構成員 まさしく、先ほどからあった人材の養成というのが重要だと。そのためにはどうやって教育するか、誰が教育するのかという話になると思います。
 参考資料4で私から提出させていただいているものをちょっと見ていただきたいのです。以前、この会でも御紹介申し上げました。文部科学省の委託を受けて、地域包括ケアを担う医療・介護分野の中核的専門人材養成のための教育プログラム作成ということを医師会で3年計画で行わせていただいています。結局、何かツールを使ってやらない限り、お互いに医療や介護の立場を越えて理解が進まない。教育のこういう道具が要るということでこれは開発させていただいたものです。本当は今日、できた成果物を先生方に全部お渡しできればよかったのですけれども、これはできたてのほやほやなので一部だけ御紹介申し上げて、後ほど先生方にお送りしたいと思っています。
 1ページを見ていただきますと、今、武久委員からケアマネジャーというお話がありましたが、私は、必ずしも職種を限定する必要はなくて、看護職・介護職を対象にして適切にコーディネートでき、ワンストップで患者・要介護者や家族に対応できる人材養成、そのための研修プログラムということ。
 2ページを御覧いただきます。何をやってきたかと申しますと、全国の地域医師会891に対して、研修・連携体制の整備の現在の実施状況、それから、これは医師会ということなので医師会立という限定はございますが、訪問看護ステーションの連携教育の実施状況の、合わせて1,334カ所のアンケート調査を行って、そして現場に出向いて実地調査・ヒアリング調査を行っております。それに基づいて、まずはパンフレットを作らせていただいたと。
 一番下に、平成26年度、27年度、28年度ということで3年計画がございます。平成27年はその教材の作成ということで、1つは、地域包括ケアと多職種連携という学習用のワークブックを作っています。もう一つは、実際の患者さんの実像を映したDVDも作っております。
 3ページは、連携体制でいいのですが、4ページは、パンフレットの中身で、構築に向けてというもの。まず、これは基本的な知識としてやってもらう。
 5ページは、実際に、既にワンストップでこういった機能を果たしている地域を取り上げさせていただいている。
 そして、6ページは、この調査に基づいて何が課題かということが抽出されているということでございます。
 7ページ以降がDVDの中身、一部です。住み慣れた自宅や地域で暮らすということ。
 高齢者の実際の暮らしということで、8ページを見ていただきますと、まず、89歳で元気にひとりで生活できている方が、ちょっとしたきっかけで急に生活が成り立たなくなるという実例を取り上げさせていただいています。
 9ページにございますように、対談形式なのですが、高齢者では1つの歯車が狂うと一気に生活が崩れる。
 そして、10ページを見ていただくと、第2部では、ふだんの暮らしを見据えた多角的なアセスメントと情報共有。お年寄りが病気やケガをしたときということ。
 11ページは、先ほどございましたように、入院したときから退院後を見据えたケアということで、退院支援や退院調整は入院直後から始まるということ。
 12ページは、退院前カンファレンスの実際の議論を聞いていただく。
 13ページは、自宅や地域で暮らしを支える多職種連携ということです。
 14ページは実際にワークシートを埋めているところです。どういうワークシートになっているかというと、1つは、連携ワークシートという形での情報共有ワークシート、もう1つは、その情報共有ワークシートの中で、医療職、介護職、それぞれの立場によって書くことが違ってくるので、そういうものを書き込んでいただいて、自分の立場で、この患者さんにとって何が大事かということを書いていただくということであります。
 16ページ、17ページにその一部が抜粋されております。
 18ページを見ていただくと、この情報共有ワークシートというものがあるということです。
 このシートは、単にこういう書き込みをするだけではなくて、これを実際に使って、ワークショップ形式で実例に基づいてグループワークをやっていただくとか、多職種の専門性を理解するとか、それぞれの地域の現状をどこまで把握しているかという確認をしていただくとか、最終的には、自分たちが学んだことをどこまできちんと理解しているかという自分でできる確認テストをつけているという形で一応完結しているものであります。今後はこれを使って実践的にどこまで人材が養成できるかということをこれから現場で進めていく段階に入っておりますけれども、是非お目通しをいただいて、こういう視点をもうちょっと入れたらいいのではないかとか、いろいろな御意見をいただきながら、少しでもこの道具を使って、コーディネーター機能を持っていただく方を増やしていきたいという思いでおりますので、御紹介ということで申し上げました。
 大変恐縮ですが、一旦お時間をいただいて、情報共有のことにつきまして、今の話を離れて、現場からの声ということで、先ほどの資料3に基づきまして1点だけお願いがあります。これは厚労省へのお願いなのですが、県医師会を訪れた際に、今回の基金で地域医療支援センターに予算がついている。もう一つは、医療勤務環境改善支援センターにも予算がついている。これは両輪として、あるいはナースセンターを入れて3つの輪として地域できちんと連携を取りながらやっていただくということですが、県の医師会が医療勤務環境改善支援センターをやってさまざまな取り組みをしていただいている。
 参考資料6にあります東構成員の県医師会ですけれども、いろいろな取り組みをしている。ところが、地域医療支援センターは県が実施していて、県がやろうとしている医師の派遣と医療勤務環境改善支援センターの連携がほとんどとれない。ですから、そもそもこの2つを医療法の中に位置づけたのは、連携が前提になっているはずであって、厚労省から都道府県にしっかりと、こういった連携体制を作りながら進めていただくということをやっていただきたい。これは基金を有効に活用することにとっても非常に重要なことだと思いますので、お願いを申し上げたいと思います。
 以上です。


○田中座長 要望は別として、コーディネーターに関する発言がずっと続いています。
 先ほど手を挙げていらっしゃった原田参考人、お願いします。


○原田参考人 追加で発言させていただきます。
 先ほどから介護支援専門員のところで少し議論していただいていますが、先ほどちゃんと言えなかったかもしれないのですけれども、28年度から介護支援専門員の更新、あるいは主任介護支援専門員の更新制の導入ということで、今年度から研修体制が少しずつ動き始めるというところでございます。その辺も踏まえていただいてとなりますが、私ども日本介護支援専門員協会はあくまで職能団体でございます。事業者団体ではなく介護支援専門員、ケアマネジャーの職能団体という立場ですので、自分たちの専門性、対人援助の専門職としてどこでどういう力を発揮するかというのは、それぞれの事業所に所属してという形になっていきますが、ややもすると、事業者の議論と職能の議論が混在するような場面に対して、我々としては少し懸念するところもございます。専門職としてどういう機能を持った専門職がというところで、繰り返しになりますが、介護支援専門員、ケアマネジャーというところが今まで担ってきた、できていない部分も含めてこれから担っていくべきだと自分たちは考えておりますので、それも踏まえてまた議論を進めていただければと思います。よろしくお願いします。


○田中座長 山崎構成員。


○山崎構成員 先ほど今村構成員から御発言がありましたが、基本的に私もそのように思っております。前回の介護保険法の改正に関わり、今も横浜市の介護保険の運営に関わっているわけでございます。前回の改正で、地域支援事業の中で、この参考資料にもありますけれども、例えば25ページあたりに詳細に出ておりますが、ここに在宅医療・介護連携推進事業として下に「事業項目と取組例」もあります。横浜市の場合は、18区のうち既に17区まで医療・介護の連携拠点ができております。今年の5月に残る1区でスタートします。したがって、各区で全部出そろうことになります。これは横浜市医師会の全面的な協力があって実現しているものでございます。スタート時期の違いによって若干の濃淡はありますが、目指している方向は、25ページで掲げてあるような事業を展開しようとしているわけでございます。
 人材の問題が議論されているわけでございますが、誰がコーディネーターになるか、核になるかということでございます。横浜市の場合、全ての拠点におきましてケアマネの資格を持っている看護師が複数置かれております。そして、現実に地域のケアマネジャーなり包括支援センターからの相談も随分増えているようでございまして、事例検討会をしたり、関係者の連携会議も既に実施、あるいは情報共有なども進めているわけでございます。
 先ほど今村構成員の御発言にもありましたけれども、横浜市は先進事例かもわかりませんが、既にスタートしているわけでございますから、先進事例を収集しつつ、あるいは遅れているところはそれなりの問題もあるでしょうから、問題を整理し、課題を抽出する中で、介護保険法の改正なり、この方針の見直しに結びつけていくという取り組みをすべきではないかと思っております。既に動き出しているという現実を踏まえた上で見直しにかかってはどうかということが1つ。
 それから、ケアマネジャーは一般的に医療面が弱いと言われているわけでございますが、研修課程の見直しでこの辺の取り組みも進めておられるはずでございますから、事務局のほうで報告していただければと思っております。
 今の取り組み状況につきまして26ページに出ております。まだ全く実施されていないところもありますが、多くの市町村で既に着手しているわけでございますから、最新の状況を改めて把握していただいて、ここに出していただけたらと思っております。
 以上でございます。
 ともかく、医師会の協力が得られているというのが非常に強みでございます。行政だけではとてもできないわけで、医師会なり病院団体の協力を得つつ、これを進めていくということが鍵になって、市町村では専門家というのは現実に乏しいわけでございまして、市町村は事務局に徹するということがきれいな整理の仕方ではないかと思っております。
 以上でございます。


○田中座長 ありがとうございました。
 山本構成員、どうぞ。


○山本構成員 今、医療と介護の連携の関係で議論が進んでいるわけですが、先ほど今村構成員からあった職種を限定する必要がないという考え方は、私もそうだと思っています。一方で、介護現場、あるいは生活全般を一番理解している人は一体誰だということになると、先ほどから出ているケアマネジャーの皆さんだろうと思います。その意味から、職種を限定する必要はまるでないわけですが、大半の場合はケアマネジャーが中心になっていろいろなケース検討をされていくべきではないか。結果的にはそうなっていくのではないかと思っています。
 今、医療と介護全体の流れとして、国民の負担が上がってきていて、2割負担の方々が昨年の8月から登場しました。ケアプランも、今、負担がないという形であるわけですが、いずれ、今の介護給付費分科会の中で、その負担の問題でそこの部分も焦点が当たることは間違いないだろうなと、そんなふうに勝手に想像しているわけです。そういう流れから、ケアマネジャーの教育、あるいは人材育成のあり方、期待されるケアマネジャーの役割等が議論の俎上に出てくるのではないかと考えています。
 社会福祉士は、一方でゼネラリスト的な教育をされていますので、ゼネラリスト的な教育をされているがゆえに、重宝がられて現実的には活躍の場が薄くなっているみたいな側面があるのではないかと思っています。
 各職種の段階で人づくり進めていく施策を講じていきながら、土づくりというイメージで、時間をかけて土壌を作って、連携を深める基礎を作るという方法が効能があると思っています。一方で、即効性も欲しい。30年の診療報酬と介護報酬の同時改定はもう迫ってきていますので、即効性を考えたときには、先ほど山崎構成員からも出たような行政主体の、既にスタートしている会議の中で、誰が一番主導権、あるいはリーダーを務めているかというところに焦点を当てると、私自身は、どうしても職種で、あるいは現場で考えるのですが、それを促進させるむしろ行政マンのほうなのではないかと考えます。例えば地域包括ケアシステムを推進しようというときに、包括ケアを推進する、各地域で行われる地域ケア会議の中の推進役、これが1つあるわけです。現場レベルの個別のケース検討では担当者会議の中で誰が仕切るかということがあるわけですが、地域レベルで、あるいは行政単位の大きな面でといったときには、当然、医師会の御協力がないと進まないところがあるとは思うのですが、行政職の知識のばらつきが相当ある。知識のばらつきがあるがゆえに、行政単位で介護保険料の格差が生じているという事実もあるのだろうと思います。行政職のほうへのアプローチという側面も。在宅医療と介護の連携というところで、どうしても職種にとらわれて議論しがちなのですが、介護保険課の係長クラスのイメージですが、その人たちをいかにこの連携という仕事の中に引き込んでいくか、レベルアップしていくかというところにも焦点を当てていただきたい。それは、そこの部分に即効性があるのではないかと私自身は思っています。
 以上です。


○田中座長 平川委員、お願いします。


○平川委員 今の山本構成員の御発言と関連しますけれども、基本的に、人材確保という観点の中で、地方自治体の人材育成をどのように進めていくか、より具体的な対応策が必要なのではないかと思っています。自治体間の取り組みの格差についてですが、極めて優秀な自治体職員がいれば、たまたまその自治体は地域包括ケアシステムの連携が進むという実態があると思いますけれども、そうでない自治体は、この連携そのものに対しての意識が薄いのではないかという危機感を持っているところであります。
 そういった意味で、この基金の活用に関しても、自治体職員の人件費に使うというのはあり得ないと思いますが、例えば、自治体職員の人材育成に対する研修に資するような活用ということも検討いただければと思います。
 行政職員もそうですけれども、地域包括支援センターが直営のところもありますので、そこにおける社会福祉士やケアマネ、また地域によっては保健センターの保健師さんも核になってやっているところもありますので、その辺、幅広く体制の強化に資するようなものにしていくべきではないかと考えているところであります。
 また、多職種の連携ということでいいますと、これからどんどん進めていくべきだと思いますが、研修をどうやって進めていくのかということが各施設などについては大きな課第ではないかと思っているところであります。
 今回、これは中医協で評価されましたけれども、認知行動療法における要件においては、研修を受けた看護師さんがその条件の中にしっかりと入ってくることになります。議論の中では、心理士さんも国家資格になれば配置の要件に入ってくるということもあり得ますので、そういった場合、研修をどうやって受けていただくのか、それをどうやって支援していくのかという観点も重要ではないかと思います。医療・介護現場においては人員が不足していて研修になかなか行けないという実態もありますけれども、それをどうやって支えていくのかという観点も重要ではないかと思っているところであります。
 また、先ほどケアマネジャーさんのスキルアップといいますか、そういう観点の議論もありました。これは介護全体の話でありますけれども、そういうスキルアップと同時に、ケアマネさんも含めた介護職員の処遇をどうやって改善していくのかということが極めて重要であります。先ほど補正でいろいろな対策がとられていますけれども、残念ながら、今の対策では職員の給与の改善という本丸に行っていない。周辺環境だけを整備しているけれども、本当の労働条件の改善や処遇の改善につながっていくのかというと、まだまだ厳しいのかなと思いますので、引き続きその追求が重要なのではないかと思っているところであります。
 次に、基金の関係です。前回少し話をさせていただきましたが、基金の使い道が地域医療構想の達成に向けた使い道などになっているかどうかというと、各県の一つ一つの使い道を見てみると、これはどうなのかなというのが散見されます。これは別の審議会でも指摘させていただきましたけれども、ある県では、MRIの機器の導入に基金を使いましたとなっています。理由は、MRIの機器を導入して十数年経過しているから入れました、使いましたとあります。いろいろな事情があるのでしょうけれども、これでいいのかなというところもあります。基金の位置付けをしっかりと明確にしていくというのが引き続き重要なのではないかと思います。
 資料3の2ページの「第4 新たな財政支援制度に関する事項」の2つ目の○の「1 基金を充てて実施する事業の範囲」に「1 地域医療構想の達成に向けた」云々とありまして「医療機関の施設又は設備の整備」のところにアンダーラインが引いてありますけれども、アンダーラインを引くべきところは「地域医療構想の達成」だと思いますので、趣旨が損なわれないような方向というのは是非ともお願いしたいと考えているところであります。
 済みません。先ほどちょっと言い忘れましたけれども、そういった意味で、自治体の職員の人材育成が重要だということでありますので、これは総務省のほうともしっかりと話し合っていただいて、地方財政措置の中で、これはこのために使えというのはなかなか言いづらいところでありますけれども、その地方財政措置の充実とともに、何らかの形で地方財政の地財計画の趣旨を説明するときに、地方自治体に対して、こういう医療・介護の連携のスキルアップ、そしてそれに伴っての人材育成が重要だということについて地方自治体がしっかりと理解され、また、財政的に裏づけがあるような方向で関係省庁と連携をとっていただければなと思っているところであります。
 以上です。


○田中座長 相澤構成員、どうぞ。


○相澤構成員 今、皆さんたちの話を聞いて、なるほどなと思うところもあるのですが、現場で実際に御利用者と接してやっていますと、何か違和感があるのです。仕組みをちゃんと作ったからといって、1人の御利用者に、その人に本当に適切なサービスを提供できるかどうかという問題と、仕組みとしてどう動いていくかという2つの面を考えなければいけないのではないかと私は思っています。今のお話を聞いていると、仕組みとして作れば何となくうまくいくのではないかというところにあると思うのですが、そんなに簡単なものではないと私は思っています。
 私のところも在宅医療拠点をやれと言われてやっています。いろいろな方を集めて会議をするという仕組みを作っているのですが、それで一人一人の御利用者にきちんとしたサービスが提供できるかというと、必ずしもそうではないというのがあります。ですから、その辺はちょっと分けて考える必要性があるのではないかと思うことが第1点。
 第2点は、例えば、私たちは御利用者に関わっていて、ある2つの家があったとします。両方の家とも同じような支援が必要であったとします。そうすると、その両方の家が同じサービスの提供機関を利用しているかというと、全然違うのです。ばらばらなのです。これが現場に関わっている人の仕事を複雑怪奇にしているのです。今、そういう仕組みができ上がっている以上、これをどうやってうまく動かしていくかということがもう一つ考えていかなければいけないところで、形だけ作っても、そこに暮らしている方にしっかりとしたサービスが提供できなければいけない。では、それをどうしていくのかという議論。そういうところの人をどう育てるのかということと、仕組みとしてどうやっていくのかということを少し切り話して考えていただきたいなと思っております。
 あえて少しだけ申し上げますと、恐らくそれは都会と田舎と、多分、地域の中核都市では全然違うと思います。私たちのところは田舎ですから、訪問するのに90分もかかるところにも行っています。そうすると、そこで一番簡単なのは、全部顔の見える関係ですから、そこで大体済んでしまうのですが、今度、私たちのやっている近くの、地域の中核都市の住居がいっぱいあるところでサービスをしようとすると、先ほど言ったように、多彩なサービスが多種類入ってきて、ここが非常に大変になっているということを理解しつつ、でも、それを壊すわけにいかないので、それを利用してやっていくためにはどうすればいいか、現場でどうやっていくかという知恵を出すことだと思います。
 その上でもう一つだけ言わせていただくと、先ほど今村先生が言った、そこに関わる全ての人がチームとして1人の御利用者に関わっていくにはどうすればいいかという、そういう研修をしたり、勉強するところをたくさん作っていただくということが、解決していく1つの道ではないかということを申し上げておきたいなと思います。
 現場からの声として聞いていただければありがたいです。


○田中座長 井上構成員、手を挙げておられましたか。


○井上構成員 ありがとうございます。
 ペーパーの6ページ目を見ていただいてよろしいでしょうか。
 2つの観点が出ていまして、今まで議論していたのは、上のポツだと理解しています。ケアマネについて話が出ていましたけれども、先ほどの相澤先生のお話では医療と介護というところで訪問看護の重要性がありましたし、武居構成員からは社会福祉士の重要性がございました。利用者に対して支援の全体像を描けるのは誰なのか、描くのに必要な知識は何なのか、ということだと思うのです。ケアマネがその役割を担っているのですけれども、そのなかには、社会福祉士の資格をお持ちの方、看護師の資格をお持ちの方がいらっしゃいます。医療と介護の連携においては、医療職と会話ができることがケアマネには必須要件ですので、それに向けた研修体系が構築できることが大事だろうと思います。もう一つ、今日はあまり議論になっていないのですが、介護と福祉の連携においては、別の観点での幅広い知識が必要です。社会福祉士がもつ知識を有するケアマネが重要な役割を持つと感じました。
 6ページ目の2つ目のポツは、先ほどお話があったように、自治体職員の育成だと思います。ケアマネさんも含めて専門職は学び続ける責務があるため研修体系がありますが、自治体職員についてそのような研修体系があるのだろうか。それも地域包括ケアに焦点をあてた研修についてです。そういうものはまだ構築されていないと私は理解しています。もしあるということなら、事務局に教えていただきたいと思うのです。ないとなると、研修プログラムを作るところから始めなければいけません。先進的に行っている地域の行政官の力を集めて研修プログラムを作り、都道府県の医療と市町村の介護が対話がを通じて、お互いが何につまずいていて、何を考えているのかを知ることができる研修がまず必要と思います。それをそれぞれの地域に落とすときには、地域包括ケアを担う行政職と医療福祉の専門職との場を作ることが必要と考えました。
 あと、先ほど相澤先生が指摘されたことは、何かを作ることと、それを使って何かをすることを分断させるのではなく、ある程度リンクさせないと難しいというご指摘だと思いました。研修の体系があって、枠組みがあって、これをやればいいよというお話ではなくて、そこに思考する余地みたいなものを残し、現場の職員の人たちがそれぞれの場でそれについてそのフレームを使ってさらに学べるという枠組みがそれぞれの場にあるといいのかなと思って聞いていました。


○田中座長 質問が1つございまして、地域包括ケアに関する自治体の人材育成について何かプログラムがあるかというお尋ねでしたが、いかがですか。


○城課長 事務局でございます。
 地域包括ケアについてという形で何をするかというのは、まだ開発中というか、発展途上だという理解でありますが、そもそも地域包括ケアのそれぞれのパーツになってくると思います。例えば地域医療構想であるとか、介護のほうでも、この間、在宅医療等支援の事業もありますが、こういったものの中で、まず、それぞれの制度の中でやるべきことについての研修というのはもちろんございます。ただ、それで尽きるものではないということはもちろんであります。例えば好事例集を作成して事例の周知を図るという形であったり、手引の作成・周知、研修事業を組んだり、担当者の全国の実務者の会議を行ったり、研修を行ったりということはありますが、実際に地域でコーディネートする能力をそのまま高められるような効果的な研修というものが自治体職員向けにきちっとあるかというところが多分問われているのだと思います。
 今、私どものほうでありますのは、自治大学校での研修、それから政策研究大学院大学の自治体職員のそういった研修というプログラムをやっているのがございまして、今あるものの中では、多分、それがそれに当たるのではないかと思います。あとは、地域との会議の場での実際の意見交換会等々でどういったものを進めているかというこちらのお話を伝えるとか、そういうさまざまな場でも、そういった研修の必要性をお伝えし、実際、自治体においてもそういった研修を利用していただく、もしくは自治体でやっていただくということも進めております。体系的に整理したものは、今、手元にございませんが、そんな形になっていると思います。


○田中座長 千葉構成員、どうぞ。


○千葉構成員 連携のところのお話を、さすがに各職種の代表の方々があるので、白熱したお話をいろいろ聞いているところに、ちょっと視点の違うお話をさせていただきたいと思います。
 介護、医療とも一番大きな問題になってくるのは人材の確保でして、現在の人口動態を見るにも、14歳以下人口が物の見事に減少していく。10年後にこの方々は24~25歳になってくるわけでございます。そのころにちょうど2025というところにかかってきて、そこから20年を考えたときにはかなり絶望的な気分にならざるを得ないと思います。そういった基盤がきちんとあっての今のいろいろなお話ではないかと思うのです。今までのお話の中に、そういったところに対しての強力な施策といいますか、対応といったものが余り盛られていないように思って大変不安な思いをしております。
 2つのことを申し上げたいと思います。介護の方々がこの業界に入ってこなくなった、あるいはこの業界から離職していく、介護をしなくなっていくということは、何が大きな原因か。もちろん、言われているように、待遇面でのこともありますけれども、何よりも感謝されなくなったということが一番大きいのだろうと思います。介護保険制度が入ってから非常に感じることですけれども、保険を使ってやっている、保険料を払っているのだから、介護の人たちがちゃんと働くのは当たり前だという形で利用者及び利用者の御家族さんたちは考えるようになってきて、いわゆる一般の職業であるとか、販売業であるとか、そういったサービス業と同等な形で介護職、介護のサービスを見るようになっているのだろうと思います。ですから、ちょっとでも行き届かなければ、あるいは別にミスがなくても大変大きなクレームにもなりますし、要求も過大になってきているのです。
 介護の仕事をやろうと思って入ってきた人たちは、皆、人のためになりたい、お年寄りのためになりたい、そのような思いで入ってきています。ですが、こういっては何ですけれども、いじわるな姑が嫁をいびるような形で現場で物事が言われているのは、皆さん、もう十分御存じかと思います。しかし、サービス業である以上、もちろん言い返しもできないし、それにじっと耐えていなければならない、心が折れるということで、せっかく志を持ってきた人たちが感謝されないために絶望してこの仕事から離れてしまうというところが一番大きいのではないか。介護職の立場といいますか、そういうものを向上させることがまず大切なことなのではないだろうか。一般の社会の中に、介護サービスを受けることに対する感謝の気持ちとか、そういったところの理解を深めていくような形の方策を何か打ち出していけないものなのだろうかということが今後にあるのかと思います。そのような大きなこと。
 もう一つは、そうはいっても、10年やそこらでその辺をどう作れるかというのもあるとは思いますが、減少は著しいわけで、足らなくなることは目に見えている。であれば、ここではタブーなのかもしれませんが、外国人労働者をどのように使うのか。日本はもうそういう時代になってくるのは間違いがない。いろいろな立場の方やいろいろな考えの方があるのも十分承知をしております。また、法律的にも、今、審議中やいろいろなものがありますけれども、まだそういうものを導入できるような整備がされていない。ですが、足らないことは確かだということになります。そういう方々をどのような形で導入し、それらを現場の中で使っていくのか。もちろん、業務の内容の切り分けとか、いろいろなこともあろうと思いますし、また、言われているように、コミュニケーション能力がというのであれば、そういう方々に対してコミュニケーション能力をつけたり、スキルをアップさせるための訓練を行ったり、研修を行ったり、そのようなシステムにこういう基金とかそういったものをしっかりと手当てしていって、質の高い外国人労働の介護者をふやしていくのだといった視点も必要ではないかと思います。どうもそういった大本のところが抜けている。今の話ももちろん大切な話だと思いますけれども、このまま行きますと、10年後に現場で働いている人がいないんだよねという話。介護のサービス量も減らすし、医療のサービス量も減らしてしまうのではないかと危惧しておりますので、そのあたりのところも方針の中にどのように書き込んでいくのか、あるいはどう立てられるのか考えていただきたいと思います。
 以上です。


○田中座長 西澤構成員、東構成員、それから森田座長代理の順でお願いします。


○西澤構成員 今の厚労省からの提案とか各委員の方々の発言は全てもっともだなと思って反対しません。ただ、前提となるものは、今、千葉先生も言いましたけれども、研修システムを作るコーディネーター役の育成だとか、協議会を作ることはいいのですが、今、その大本である、働いている人が少ないということが一番問題で、直接提供者をどうやって増やすかが第一であって、そういう方々がいてはじめて今提案されたことが必要だし、できるのではないかと思います。そのあたりはもう少し考えたほうがいいと思います。
 それと、今、私たちの職種はとか、まず我々の事業者はという話とか、行政はこうだ、医療はこうだ、介護はこうだと、何年も同じような議論をまだ繰り返しているのかなと。ここにいるいろいろな職種の方はどのような仕事をしているか、どういう教育を受けているかというのは、ここにいる全員がすでに知っているという前提で話をするべきではないか。でないと時間の無駄だと感じました。
 全ての職種がそろっていない地域もあり、そういう現場では、チーム医療というか、カバーし合いながらやっています。そのような現場感覚もここで言う必要があると思います。ここでは非常にお偉い方々が集まっていて、現場と少し離れた議論をしているような気もします。私が言うのもおかしいのですが。このようないいシステムを作る、だからいいサービスができるのだ、私たちはいいサービスをしてあげるのだという、利用者不在と言ったら云いすぎですが、上から目線的なものがちょっとあるように感じました。
 私が何でこういうことを言うかというと、20年ぐらい前にある市民団体の方から「先生は『○○してあげる』という言い方で、先生は常に上から見ていますね」と言われて、反省した記憶があります。今、聞いていて、その言葉を思い出しました。利用者の方々、医療や介護を受ける方々、高齢者の方々が今何を望んでいるのか、そこに我々はどうしたらいいのかということを真剣に考えて仕組みを作ったらどうかなと思いました。
 感想です。


○田中座長 東構成員。


○東構成員 ありがとうございます。
 他の構成員の提出された参考資料4と5の説明が、もう終わられたようなので、私の提出した参考資料6の説明の時間がなくなるといけないなと思いまして、参考資料6を使ってお願いを1点、質問を1点お願いいたします。
 まず、参考資料6をご覧ください。これは私の老健施設があります三重県での基金の活用の状況をお示ししたものであります。皆さん御存じのように、基金に関しましては、資料3の2ページの一番下にございますが、1が「医療機関の施設又は設備の整備」、2が「居宅等における医療の提供」、3が「介護施設等の整備」、4が「医療従事者の確保」、5が「介護従事者の確保」、この5本が基金を充てて実施する事業の範囲と法律で定められています。
 ただ、この5本の中には、残念ながら、「医療と介護の連携」というような、もともとの基金を作ったときの根本的な分野そのものの項目がございません。参考資料6でございますが、私ども三重県老健協会の方で、病院勤務医等への老健機能理解促進研修という事業をお出ししました。まさに医療機関と老健という介護サービスを提供している施設との連携をするための事業でございますが、これをお出ししたときに、三重県の方でもどの項目に入れていいのかと迷ったそうでございます。結局、最終的には2番の「居宅等における医療の提供」というところに「病院勤務医等への老健機能理解促進研修事業」が入ったところでございます。
 それでお願いでございますが、各都道府県に対しまして、このような「医療と介護の連携」の事業が出てきたときに、介護に入れるのか、医療に入れるのか、そのどちらにも入らないから落とすのではなく、そういう連携であればどちらかには必ず入れていただくということで、有意義な提案事業が落ちることがないようにお願いをしたい。それが1点でございます。
 もう一点、質問がございます。資料3の5ページをご覧ください。総合確保方針改定にあたっての論点の≪在宅医療の推進及び在宅医療と介護の連携の推進に関する視点≫のところに●が2つございます。2つ目の●で「なお、在宅医療の提供体制については」ということで論点が述べられておりますが、私はなぜここに3つ目の●で、「なお、在宅介護の提供体制については」ということがないのでしょうか。例えば「適切なるショートステイの利用ができているのか」とか。在宅介護の提供体制についても様々な問題があると思います。在宅医療の提供体制についての論点はあるのですが、在宅介護の提供体制について論点がないのは何か理由があるのか、教えていただきたいと思います。


○田中座長 城課長、お願いします。


○城課長 今、理由をお答えするのも変ではありますが、あくまでも現段階で例示としてこういった例が私どもの論点として考え得るということであります。他に御議論いただくべき、もしくはこれから御議論いただいて追加していくべきものがありませんかということで、今日はフリーディスカッションということでお願いしておりますので、そういう御意見をいただければ、私どもとしてそれを準備して、次回お出しすることができればと考えております。


○東構成員 是非在宅介護に関しても問題点を列記して論点に挙げていただきたいと思います。
 以上でございます。


○田中座長 森田座長代理。


○森田座長代理 ありがとうございます。
 今回は、方針を見直すといいましょうか、それに対して新しい論点はどういうことかということですので、それに関連して、今までの御意見、御発言を聞いていて感じたことを述べさせていただきたいと思います。
 地域包括ケア、地域医療の医療・介護連携ということで、マネジメントの強化であるとか、人材の育成、人材の連携ということは非常に重要だと思いますし、それに必要な施設の整備等も重要なことだと思います。いずれにしましても、これはまさに基金によってといいましょうか、財政的な裏づけがあって初めて可能になることではないかと思います。
 それは申し上げるまでもないわけですけれども、資料3の論点のところの例示から始まります4ページ以降ですけれども、そこに「両計画における区域や人口推計等の基礎データの検証」ということがございますし、先ほども御発言がございましたけれども、地域のほうで人口減少が進んでくる。私は今、社会保障・人口問題研究所に所属しておりますけれども、長期的な人口推計を見た場合に、日本は今、恐らく多くの方が想像している以上に人口が減少いたします。しかも、地域的にかなり大きな減少の差が生じてくるわけでございます。例えば、秋田県ですと、2010年の国調に基づく推計ですと、30年間で人口が3分の2に減ってまいります。このことは、医療・介護のサービスの受給者、対象者の数も当然減ってくることになるわけです。その場合に、地域でどのような形で十分な医療・介護連携も含めたこうしたサービスの水準を維持していくかということを考えたときに、これで言いますと、前の2ページの「第4 新たな財政支援制度(基金)に関する事項」に「診療報酬・介護報酬等との役割分担」ということがございます。現在の診療報酬・介護報酬の制度では、人口減少、需要の減少に対して十分なサービスを維持していくことがかなり難しい状態だと思います。そこで、この分担をした役割として基金というものが存在しているとするならば、今、申し上げましたことから言えることですけれども、いわゆる人口減少が急速に進んでいる地域、現実に診療報酬・介護報酬ではサービスの維持が難しくなる地域に対して、そこでも同じような形でのサービスの水準を維持するような形での基金の配分も配慮されて然るべきではないかと思っております。
 これは、今までの指針ですと、基金の使途として、事業については列挙されているわけでございますけれども、そうした全国的に一定のサービスの水準を維持するためにこの基金というものが診療報酬、介護報酬とは違う形で活用されるべきではないか。そうしたことも、この方針の中に少し入れておくといいましょうか、そうした配慮もあって然るべきではないかと思いました。その点につきましては、これまでの御議論では幾つか御発言がございましたけれども、この紙のほうでは余り明記されておりませんので、あえて発言させていただきました。
 以上でございます。


○田中座長 ありがとうございました。
 山本構成員、どうぞ。


○山本構成員 さまざまな議論が出ている中で、資料3ですが、直近で出ている話を幾つかさせていただきます。
 まず、1ページ目のところに「基本的な考え方」が出ておりまして「行政の役割」「サービス提供者・利用者の役割」ということ。最初、山口構成員から出ていましたとおり、国民の目線の観点から、この中に「国民の役割」あるいは「地域住民の役割」というものが「基本的な考え方」の中にあっていいのではないかと思ったということが1つです。
 それから、ちょっとめくっていただきまして、先ほど4ページのところでいろいろな計画の話が出ました。この資料そのものではないのですが、我々、日本経済全体を見たときに、高度成長期にずっと人口ボーナスで支えられてきて、今、人口オーナスという減少で経済が縮小するのではないかというのが一番心配されているわけです。ビッグデータが集まりつつある中で、何か知恵が出るのではないかという期待をしているところです。
 そういう意味からすると、いろいろな視点があるのですが、人口減少という町の話も出ました。例えば、日本版のCCRCだとか、地方行政のところにいろいろな動きが出ていることも事実です。そういった新たな切り口の中にあって、医療と介護の専門職が関わる、CCRCが注目されてきています。経産省だとか国交省だとかそちらのほうの話になりがちなのですが、実はCCRCの中には、医療・介護の専門家が関わるべきだという文面があって、ディベロッパー中心の議論ではないなという思いがあります。そんな分野にも我々医療介護分野の専門家が関わっていくべきではないかと、そんなことも思ったところであります。
 では、人口が集中している地域に財政配分を多くという論点もあるのかもしれませんが、都道府県庁所在地の介護保険料のアップ水準だとか水準を見ると、郡部は高齢化率が高いので介護保険料あるいはアップ率が高いのかというと、さにあらずで、県庁所在地というのは相当高いのです。なぜそうなのだと。若い人も多くて人口も多いのにという疑問が1つあります。それはなぜかという回答はないわけですが、恐らく、いろいろな施策の打ち方での差がそのように出ているのではないかと勝手に考えています。
 もう一つは、資料3の6ページです。ポツが2つあって、ここの中でいろいろな議論が出たわけですが、その1つ目のポツの1行目の最後に「高齢者の様々な生活上の課題」と。生活上の課題を見つけられている人は一体誰だという議論がずっと続いてきたわけですが、実は、この生活上の課題を見つけるのが非常に難しいとよく言われています。研修でこれが解決できるかというとそうでもなく、いろいろな経験が作用すると言われています。作業療法士とか理学療法士は、意外と、生活課題の把握というのは得意分野なのではないか。なぜならば、その専門職種の人たちはどういう施術をしたらいいのかという視点で見ますので、生活上の課題の見つけ方が実はケアマネ以上にうまいわけです。その意味から、この生活上の課題を見つける目を持つ事が、今、介護保険でも医療でも一番重要なのではないかと考えます。在宅あるいは「自立の支援」が重要とうたっていますので、「自立の支援」という言葉を置きかえると「生活上の課題を解決すること」が「自立の支援」だという公式も成り立つと考えています。その意味で、この「高齢者の様々な生活上の課題」を見つける知識あるいは技術をさせるというのが全ての職種の一番の課題なのだろうと思っています。
 我々は、民間介護事業者の中で、近年、一番大変だろうな、これからも大変だろうと思っているのがデイサービスの職員の利用者へのアセスメントです。デイを利用していないときに、在宅でどんな生活をしているかというのをアセスメントした上でサービスを提供する。まさに生活上の課題を見つける訓練を、今、介護職員はしていることになります。その意味からすると、生活上の課題という視点の中でいろいろな施策を講じて、全体的にいえば、人材育成研修会への支援等ソフト面で予算を十分使って乗り切っていただきたい。
 最後に、個人的な意見としては、外国人労働者の受入れには知恵が出てくるのではないかという期待を持っているということがあります。とりわけ、我々日本の社会は、諸外国と比べれば多様性に馴染みが薄い。外国と違って、介護分野の中で多様性に応えるには、非常に応えにくいような社会なのではないかと考えます。この問題については、知恵が出てくるものと思っています。
 先般、私が経験したデイサービス開設の事例では、ときに16人の新規の採用者がいましたが、そのうちの3分の1は、子育てが終わった方、あるいは、社会的な役割を果たすことができたらということで初任者研修を自発的に受講し採用された方とか、50代で復帰してくれている方が3分の1を占めています。そのような流れが新たに出てきていると思っています。財政とともに介護人材確保が一番の課題だと思っています。多分、それを乗り切っていける知恵が出るのではないかという淡い期待を持っています。
 以上でございます。


○田中座長 他にございますか。
 武久構成員。


○武久構成員 先ほどの皆さんの議論を私なりにまとめてみると、今村構成員がおっしゃったように、職種は何でもいいのだということですが、今から新しい職責を作るというのはとんでもなく大変だと。一応、介護支援専門員は給付管理とケアプランを15年間ずっと立ててきたわけです。それが十分だったかどうかは別として、そういう役割を現状に果たしていますから、彼らを中心として医療的な教育を日本医師会にお願いするという形が一番手っ取り早い。各地の医師会の先生方に教えていただくと、医師とケアマネジャーとのコミュニケーションも図れるし、一挙両得になるのではないかという感じを持ちました。
 以上です。


○田中座長 白川構成員、どうぞ。


○白川構成員 
 皆様方の御発言はごもっともだと思いますが、そもそもこの仕組みができたのは、言うまでもなく、医療計画あるいは介護をうまく橋渡ししようということなのですけれども、資料3に書かれております視点等を見ましても、はっきり言って目新しいものはない。今まで言われてきたことを整理している感じがするのです。
 申し上げたいのは、30年度に医療計画と介護保険事業支援計画が同時改定だということですから、こういうスキームができたということを機に仕組みを少し変えていかないといけない。例えば医療計画で言えば、都道府県の医療審議会で議論される。介護の場合はよく承知しておりませんが、多分別の審議会があって、そちらで審議される。その中にこの思いを入れてくれというような言い方をしていても、今までと変わらないのではないかと思うのです。先ほど東構成員が医療分と介護分と分かれているが、それを一緒にしたようなものはないのかという趣旨の御発言をされました。厚労省で言えば、医政局と老健局と保険局があって、地方に行けば、県と市町村で役割分担が違うとか、今のままの検討体制、審議体制、財政の仕組みの中で、何か変えよう、後で両方につけてもらおうというのは相当至難のわざではないかなという気がするのです。
 例えば退院支援の話が出ていますけれども、診療報酬と介護報酬が違うものですから、診療報酬で退院支援に評価しようとしたときに、受け取る側の介護保険のほうで同じように評価しないと一気通貫にならないのです。たまたま同時改定ですから、そういう具体的な形で変えるということを示さないと、例えば医療計画と介護保険事業支援計画を1つの会議体で作れということだけでも随分変わると思うのです。診療報酬と介護報酬について連携の部分は共通してやれとか、そのように、今までの仕組みと違う流れを作っていかないと、30年度の同時改定あるいは同時に計画策定を行うというのは非常に重要な時期なので、厚労省としても、今までとは違う思い切ったやり方を是非とも工夫していただきたいと要望いたします。
 以上でございます。


○田中座長 計画策定のプロセスを革新しなければ、実は結ばないであろうと言っていただきました。よろしゅうございますか。


○田中座長 まだ御意見があるかもしれませんが、一応時間になりました。本日はここまでとさせていただきます。大変活発な御議論をありがとうございました。
 次回の日程について事務局から連絡をお願いします。


○城課長 次回の日程でございます。
 次回の会議につきましては、本日いただいた御意見等を整理させていただいて、引き続き、総合確保方針の改定に向けた御議論をお願いしたいと思っております。日程などにつきましては追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 本日はありがとうございました。


○田中座長 以上をもちまして、第6回「医療介護総合確保促進会議」を終了いたします。御議論ありがとうございました。


(了)

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