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2016年4月13日 第3回ジョブ・カード制度推進会議議事録

職業能力開発局

○日時

平成28年4月13日(水) 13:00~15:00


○場所

厚生労働省 専用第12会議室
(千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館12階)


○議題

1 新ジョブ・カード制度をめぐるこれまでの取組について
2 ジョブ・カード制度推進のための当面の取組と重点事項・課題について
3 その他

○議事

 

○樋口座長

 定刻となりましたので、ただいまより第3回ジョブ・カード制度推進会議を開催いたします。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。最初に、事務局から開催要綱の一部改正、構成員の交代並びに出席状況について説明をお願い致します。

○伊藤課長

 本日の会議の開催に当たりまして、年度当初大変ご多忙のところ、委員の皆様方ご出席をいただきまして誠にありがとうございます。本会議の事務局を仰せつかっておりますキャリア形成支援課課長の伊藤でございます。よろしくお願い申し上げます。冒頭若干のご報告を申し上げたいというふうに思います。

 恐縮でございます、お手元の資料1、開催要綱をお開きをいただけますでしょうか。昨年10月に私ども職業能力開発局内の組織改正が行われていたところでございまして、従前、本会議の事務局を担当しておりました実習併用職業訓練推進室から、本会議を含めてのジョブ・カード制度推進に係る事務が当課、新設をされましたキャリア形成支援課に移管されたということで、お手元の開催要綱について一部改正をさせていただいているところでございます。今後、本会議の庶務は当課が担当させていただくことになります。何とぞよろしくお願い申し上げます。また、要綱の裏面でございます。本会議の委員名簿をお付けを申し上げております。

 前回の会議開催以降に委員の交代がございましたので、ご紹介を申し上げたいというふうに思います。日本労働組合総連合会内の異動に伴いまして、高橋前委員に替わりまして、安永副事務局長様に委員にご就任いただいたところでございます。恐れ入ります、安永委員から一言ご挨拶いただけますでしょうか。

○安永委員

 安永でございます。よろしくお願いいたします。

○伊藤課長

 また、本日の出欠等について、私のほうからご報告を申し上げたいと思います。まず、相原全日本自動車産業労働組合総連合会会長様、委員がご欠席でございます。また、小沢横須賀商工会議所名誉会頭様、委員の代理として、同商工会議所菊池専務理事様に代理出席をいただいておるところでございます。また、日本商工会議所常務理事久貝委員におかれましては所用により遅れてご参加の予定ということであわせてご報告申し上げたいと思います。冒頭の事務局からの報告事項は以上でございます。よろしくお願い致します。

○樋口座長

 それでは、早速議事に入ります。議事次第にございますように、本日は3つほど議題が用意されてございます。1番目、新ジョブ・カード制度をめぐるこれまでの取組について、2番目、ジョブ・カード制度推進のための当面の取組と重点事項・課題について、そして、3番目、その他でございます。まず、最初に、1番目の「新ジョブ・カード制度をめぐるこれまでの取組について」厚生労働省から説明をお願いいたします。

○花咲推進官

 はい。そういたしましたら資料につきまして私の方からご説明させていただきます。座って大変失礼致します。それでは資料2、「新ジョブ・カード制度をめぐるこれまでの状況・取組について」についてご説明いたします。時間が限られておりますので、ポイントをかいつまんでご説明させていただきますがお許しいただければと思います。

 まず資料をおめくりいただきまして、1ページ目をご覧ください。1ページ目は本会議でのご議論も踏まえて創設されました新ジョブ・カード制度の概要になっております。皆様ご承知おきのとおり、目的を「生涯を通じたキャリア・プランニングのツール」と「円滑な就職等のための職業能力証明のツール」の二本立てといたしまして、学生から引退期までを通じてジョブ・カードを利用していただくというものになっております。下の左のハコにございます、活用の形態・様式ということでございますけれども、皆様にご議論いただきまして定めたジョブ・カードの様式につきましては、職業能力開発促進法の規定に基づきまして、大臣告示で様式を定めております。右の周知・広報につきましては追って出てまいりますので、この場では割愛させていただきます。

 続きまして、2ページ以降をご覧いただけますでしょうか。2ページ以降は、昨年9月に成立いたしました「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律」に関する資料でございます。この改正は、「適切な職業選択の支援に関する措置、職業能力の開発・向上に関する措置等を総合的に講ずることにより、青少年の雇用の安定、能力を有効に発揮できる環境整備」を目的としたものでございます。勤労青少年福祉法は、この改正に伴いまして、「青少年の雇用の促進等に関する法律」という名称になっております。まず、1つ目のハコをご覧ください。こちらは、青少年雇用促進法の内容になっております。この中で、ジョブ・カードに関係するものといたしましては、(3)[1]にございますとおり、国は、地方公共団体その他の関係者と連携し、青少年に対し、職業訓練の推進、職務経歴等記録書、これはすなわちジョブ・カードのことですけれども、その普及の促進等に努めるとされております。また、下のハコ2つ目でございますけれども、職業能力開発促進法につきましても、まず(1)にございますとおり、国はジョブ・カードの様式を定め、その普及に努める、とされております。また、新制度になりまして、必ずしもジョブ・カードの作成時にキャリアコンサルティングを受けていただくことは必要ではなくなっておりますけれども、今後も作成支援が必要な場合には、その中心的な主体となっていただくことが期待されますキャリアコンサルタントにつきまして、(2)にございますように、登録制の名称独占資格として国家資格化されたところでございます。続く2枚をご覧いただけますでしょうか。こちらはキャリアコンサルタントの登録制度の概要でございます。まず一番上のハコにございますように、キャリアコンサルタントは、職業選択、職業生活設計、職業能力開発に関する相談に応じ、助言・指導を行う専門家として国家資格化されております。また、2つ目のマルにございますが、5年ごとの更新制となっておりまして、ジョブ・カードを含めまして、最新の労働市場等に関する知識などがきちんとブラッシュアップされるような仕組みになっております。また、守秘義務等を課しておりまして、キャリアコンサルタント自身の質保障もしっかりと担保していくことになっております。続く4ページ目の資料は登録制度のスキーム図でございます。新制度施行後、すなわち28年の4月以降は、スキーム図の右半分にございますように、基本的には、大臣が認定した講習を修了していただいた方が受験資格を得て、その方が実際の国家試験に合格された場合に、指定登録機関に登録していただくという仕組みになっております。その下の(注)にございますように、この大臣が認定しました講習の中身につきましては、ジョブ・カードを含むキャリアシートの作成指導及び活用の技能に関する講習というものが含まれる、ということを省令で明確に定めております。

 続く5ページをご覧ください。5ページは「ジョブ・カード作成アドバイザー」に関する資料でございます。旧制度下では「登録キャリアコンサルタント」という名称を用いておりましたが、今般国家資格化されましたキャリアコンサルタントとの紛れをなくすために名称を変更しております。しかしながら、従前の標準レベルキャリアコンサルタント試験に合格している方などにつきましては、ジョブ・カード講習を受講後、ジョブ・カード作成アドバイザーとして登録していただければ、引き続き作成を支援していただけるような仕組みが変わらず設けられております。

 続く6ページをご覧ください。6ページは2710月の新ジョブ・カード制度の施行後、この半年の間に行ってまいりました周知広報の取組についてご紹介した資料でございます。まず「広く一般向け」といたしまして、「ジョブ・カード制度総合サイト」というポータルサイトを10月に仮で開設、12月に本格運用を開始いたしまして、その中で新ジョブ・カードの様式、ジョブ・カードの使用方法、また、関連する諸制度について周知を行っております。2つ目といたしまして、政府広報や当省の広報誌等を活用いたしまして、新ジョブ・カード制度を周知しております。特に、政府広報といたしまして、昨年末に、インターネットテキスト一行広告を出しましたところ、この期間、ポータルサイトへのアクセス数が非常に伸びておりまして、一定の効果があったものと思っております。また、3つ目のマルでございまして、ポスターやリーフレットの配布を行っております。今回、このリーフレット等は参考資料でお配りしておりますが、その中に黄色い表紙のパンフレットがございます。このパンフレットにつきましては、ジョブ・カードの様式のページがございまして、そちらには切り取り線が入ってございます。この切り取り線で切り取っていただいて手書きでジョブ・カードを作成していただくことも可能にはなっております。資料に戻らせていただきまして、続きまして、「事業主向け」の周知広報についてご説明いたします。事業主向けといたしましては、当省のほか中企庁や関連団体でもメールマガジンなどを使いまして周知を行っております。最後になりますが、「大学、専修学校等」に対しましては、先月、文部科学省と連名で、学校や都道府県、教育委員会に対して、ジョブ・カードをキャリア教育や就職活動の準備段階で活用していただけるよう通知を出させていただきますとともに、私ども労働局の方にも同じ内容を通知しております。

 続きまして7ページ目をご覧ください。7ページ目は、少々見づらくて大変恐縮なんですけれども、ジョブ・カード制度総合サイトを中心といたしました支援の概要を1枚にまとめたものでございます。左側の青い四角で囲みましたハコ、「ジョブ・カード制度総合サイト」の部分をご覧いただければと思います。このサイトでは、ジョブ・カード制度の概要やジョブ・カードの様式などの情報提供のほか、簡単なスキルチェックができたり、また、各種関連制度のホームページへのリンクを設けることなどによって、資格や免許の情報、キャリアコンサルティングに関する情報、助成金に関する情報など、個人、企業、その他関係機関の方々が各種情報を得られるようにしております。また、本サイト内で複数のソフトウェアを無償提供しておりまして、1つ目がこの緑のハコでございます。そこにございます「登録・検索ソフトウェア」でございます。こちらは主として職業紹介事業者などによって利用をしていただくことを念頭においたものでございまして、個人がそれぞれ作成したジョブ・カードのエクセルファイルを当該職業紹介等事業者に対して送っていただいた場合に、事業者がこのソフトウェアを使って、送られてきたジョブ・カードの内容を容易にデータベース化して、さらにそのできあがったデータベースを元にマッチングを図ることができるという機能を備えてございます。2つめのソフトウェアがその下にございますオレンジのハコ、「JC作成支援ソフトウェア」でございます。これはパソコン用でございまして、その下にございますように、スマホ版のジョブ・カード作成支援アプリというものも先月末にリリースしております。この作成支援ソフトウェアをお使いいただきますと、右上の「求職者、在職労働者等」というハコがございますけれども、その中にございますように、作成支援機能を使っていただいて容易にジョブ・カードを作成していただけるだけではなく、ジョブ・カード記載情報を利用してJIS規格の履歴書、また、職務経歴書などへのコンバートもすることができるようになっております。なお、本サイトへのアクセス等の実績ですけれども、トップページへのアクセス者数は昨年12月以降2月末までの3ヶ月間で約31万人、ジョブ・カード作成支援ソフトウェアのダウンロード者数は約1.5万人となっております。

 続く8ページから14ページですが、こちらは作成支援ソフトウェアの利用方法等についてでございます。後ほどデモンストレーションを実際に行う予定でございますので、この資料に関しての説明は割愛させていただきます。

 ということで15ページまで飛んでいただいてよろしいでしょうか。15ページから18ページにつきましてはジョブ・カード制度の推進状況ということで、取得者数の実態についてお示しした資料でございます。15ページは累計と単年度実績で取得者数の推移と、また、ジョブ・カードに関連する制度改正等を一枚にまとめた資料でございます。28年1月末現在の速報値でございますけれども、取得者数の合計は1429,312人となっております。ご案内のとおり、平成20年にジョブ・カード制度が創設されて以降、職業能力形成プログラムなどとしてジョブ・カードと紐付いた各種訓練を助成金などによって促進してまいりました。また、ジョブ・カード自体の種類を増やしたりとか、その、先程申し上げたジョブ・カードと紐付いた訓練の種類を増やしたりとかしてまいりましたけれども、この間の推移に関しましては、残念なことに、年度ごとで見ますと横ばいからだんだん漸減の傾向にある、という状況になっております。

 続いて16ページをご覧ください。こちらは先程お示ししました全体の取得者をより詳細に、訓練種別などで分類してお示ししたものでございます。前年度から今年度にかけてみますと、訓練受講者数そのものの減少に伴いまして、下の表、ちょっと見づらくて恐縮ですけれども、[1]訓練機関での取得者自体が減少しております。一方で、[2]その他支援機関での取得者、このその他支援機関にはハローワークなどが入りますけれども、こちらは増加しているという状況にございます。また、ジョブ・カード制度総合サイトのオープンに伴いまして、新たに今回から[3]ということで、総合サイトによる取得者を12月以降把握できるようになっておりまして、こちらが現在のところ5,674人となっております。[2][3]のような増加要因があるものの[1]の減少分を埋めることができていないという状況になっております。なお、[2]に関して申し上げますと、27年度の[2]のその他支援機関での取得者数22,400人となっておりますが、このうちハローワークでの職業相談等に際してジョブ・カードを取得された方はその約7割に当たります16,000人弱となっております。

 続きまして17ページをご覧ください。17ページは前ページの[1][2]で計上いたしました数を、交付機関の所在都道府県別にお示ししたものでございます。やはり都市部は取得者数が多くなっております。

 続きまして18ページ以下をご覧頂ければと思います。18ページ以下は、ジョブ・カードに対する定性的な評価をお示ししたいと思いまして、個別の雇用型訓練実施企業による評価を日本商工会議所様のホームページ「企業のためのジョブ・カード制度」から事務局の責任で抜き書きさせていただいたものでございます。いずれも旧ジョブ・カードを利用したものではございますけれども、新ジョブ・カードと目的や趣旨が同じであれば、今の現行制度下でも同様の評価をいただけるのではないかと思いまして、この資料をまとめさせていただきました。まず、企業側でございますけれども、「評価」に関することといたしましては、評価シートを作成することで、プログラマーの評価基準が構築できた、指導側にとっても評価のポイントが明確になって、自信をもって指導することが可能になった、とか、評価シートを加工して業務査定表を作成して公平な人事考課に寄与した、といった評価をしていただいております。続きまして「採用」に関しましては、履歴書と比べて、職務経歴や作成支援者の第三者としてのコメントがわかりやすく記載されているので面接時に使いやすい、というご意見がございました。現行の新ジョブ・カード制度では、必ずしも作成時のキャリアコンサルティングは必要ではないですけれども、もし作成者である個人の方が納得した上で作成支援者のコメント付きのジョブ・カードを応募の際に活用した場合にはこのような評価を受けられるのではないか、と思っております。最後に「その他」といたしまして、社内の人材育成に絡んだ評価をご紹介いたします。1つめは、採用から2年後に実施する研修の際に、採用前に作成したジョブ・カードを見返すことで本人のレベルアップにつながると思うというご意見、2つ目は新人スタッフの教育訓練に学生用ジョブ・カードを活用することでより効果的に仕事の意義を納得してもらえると期待しているというご意見でございます。

 一方で、労働者の方からの評価といたしましては、ジョブ・カードを作成することで自分に足りないものや仕事に生かせるスキルの棚卸しができたので面接前に変な緊張をせずに済んだとか、これまでの振り返りができて自分のことを色々と反省なりできましたというご意見、また2点目といたしまして、キャリアコンサルティングを通じて正社員になるという強い動機付けができた、また、訓練期間中に身に付けた自信と今後の課題、目標が明確になったというものがございました。

 最後のページ、19ページをご覧ください。19ページは同じく日本商工会議所様のホームページから具体的な雇用型訓練の実施例をピックアップさせていただいたものでございます。1の深江特殊鋼株式会社様は従業員数100名超の企業でいらっしゃって、営業など複数職種で雇用型訓練を実施して、訓練終了後全員を正社員として採用していらっしゃいます。2の有限会社原田左官工業所様は、従業員38名の企業でいらっしゃって、左官職種で雇用型訓練を実施、終了後4名中3名の方を正社員採用されております。なお、こちらの会社は、左官としては珍しく女性に対する訓練を実施してらっしゃって、東京都の「中小企業人材大賞」や弊省の「キャリア形成支援企業表彰」も受賞していらっしゃいます。両企業におきましても、18ページの先程の資料と同様に、指導役のスキルアップ、社員教育体制の充実、訓練生や社員の適性や能力の正確な把握、効果的な人材育成などが制度活用による効果として挙げられております。

 資料2については以上でございます。

○樋口座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの厚生労働省からの説明がございましたが、これと関連して、「ジョブ・カード作成支援ソフトウェア」を用いたジョブ・カードの作成手順について、ジョブ・カード制度総合サイトの運営委託事業でございます株式会社NTTデータのご担当者の方にデモンストレーションをしていただきます。その後続きまして、日本商工会議所からご提供いただきましたジョブ・カードを活用した雇用型訓練を実施した企業に関する動画をご覧いただきます。以上は、すべて関連しますので、質疑はその後させていただきたいと思います。

(デモンストレーション)

○花咲推進官

 続きまして、高松市の有限会社岡本石材という企業に関する動画をご紹介いたします。この企業では、ジョブ・カード制度を活用した有期実習型訓練を実施し、訓練対象者を訓練終了後に正社員として採用なさったところ、その方が採用から約3年たった平成27年8月にブラジルで開催されました技能五輪世界大会に日本代表として出場なさったという事例です。

(動画視聴)

○樋口座長

 どうもありがとうございました。それではただいまの説明とプレゼンテーションについて、ご意見、ご質問等がありましたらお願いします。

○関口委員

 資料でいいますとP16のジョブ・カード制度の推進状況[2]ということですが、ここで訓練種別を含む取得者数という数字が出ておりますが、学生用ジョブカード取得者は15,608人で、下の訓練別という視点と、活用者の属性というか、プロフィールの話の数字が出ていますが、別な場所でも求職者訓練について申し上げたことですが、利用者別の数字というのが、学生と言っても大学生、短大生、専門学校生などがいますし、それから、在職者の中でも正規雇用者非正規雇用者と、どういう人たち活用しているということが、増減と言いますか経年的にわかるものなのかどうか。それがわかったほうが属性ごとのどこが大きな可能性があるのかだとか、個別の課題は何なのか、詰めていけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤課長

 お答え申し上げたいと思います。このジョブ・カード取得の実績、とりわけ属性分析の必要性という観点からのご質問ですが、まず結論的に申し上げますと、これまでの仕組みでは、ご指摘のありましたジョブ・カードを取得した個別の属性についてきちんと積み上げ、分析できるような仕組み、仕掛けにはなっていなかったところでございます。当初、ジョブ・カードについては、交付という概念を用いていた期間が長かったわけでございますが、どちらかというと訓練関係機関側で、どのようなところでジョブ・カードを取得しているかという視点から集計してきている。また、先程ご説明申し上げましたようなサイトを通じての作成といった仕組みにもなっていなかったことも相まって、今申し上げたような観点での属性分析がしっかりできていなかったところであります。この点については、これまでの会議でも、また樋口座長からもご指摘ご質問いただいている点です。後ほどこの点申し上げようと思っていたのですが、このジョブ・カード制度総合サイトによるジョブ・カード作成支援ソフトウエアを活用しての作成が、今後のジョブ・カード作成のメインストリームとなるということで、そのアンケート機能を通じて取得者に関わる属性、具体的には年齢であったり性別・雇用形態等等、そこはあまりヘビーになりすぎますとアンケートの負荷が発生してしまいますのでプライオリティ付けをする必要はあるとは思いますけれども、属性分析を今後のサイト、作成支援ソフトウエアの機能を通じて把握をすることで、次回以降この会議ではそうした点についてはご報告できるものと思いますし、分析をしたいと思っております。ただ、これまでの仕組みの経過から、過去との比較は率直に申し上げてなかなか難しいところです。

○安永委員

 安永でございます。同じ資料の1516両方に、2020年までにジョブ・カード取得者300万人という目標を記述していただいているところです。これは加速度的に取り組まないと達成が大変厳しい数字だなと思っています。それをどう達成するかは次の資料3の課題になるとは思っておりますが、目標については、ジョブ・カード取得者数自体を目標に掲げることは否定しませんが、ジョブ・カードの活用を進めるという政策意図があるとすれば、実際の活用度合いといったものを測る目標も掲げてはどうかと思っています。その活用度合いを上げることで取得者数も増えるというところにつながっていくと思います。それから、求職者側だけではなくて、企業の側に立った目線も必要と思っているところでして、ジョブ・カードを活用している企業数などの目標を定めることで、それを達成するために行政側も検討が進められるのではないか思っています。

○伊藤課長

 ジョブ・カードの今後の活用促進に関わる重要な点についてご指摘いただいたところです。この資料に掲げている取得者数の目標数については、まずは、ジョブ・カードをより多くの人に認知いただきまた活用してもらう、いわばアウトプットという観点から取り組みを進めるということで目標を掲げ、当然、今年度以降ももちろんこの点を念頭に置いたうえで活用を進めていきたいと考えておりますが、同時に、これまでの取組の経過、実績も踏まえた上で、企業を含めた活用度合いもよりきめ細やかに把握し、その成果によって在り方の見直しをすることは一層重要であると思っております。今現在は、様々な政策評価の中で、先ほど動画でご紹介いたしました雇用型訓練とペアでのジョブ・カードの活用、その成果という観点で、雇用型訓練を受講した方のその後の正社員率ということもモニターしておりまして、85%という目標に対して関係者のご尽力により80%後半という高い実績を上げているところです。ただ、先ほどご指摘いただいたいわば活用と普及の相乗効果を期するという観点については、企業・労働者双方の立場での活用効果の観点から重要と考えておりまして、先ほどご紹介申し上げましたようなアンケート機能を使い、ジョブ・カードの取得が自らの能力向上に貢献したかといった観点での調査は今現在行っております。また、助成金の仕組みと連動する形でジョブ・カードを活用している企業の立場で人材育成上有益であったかという点についても今後追加的なモニターを計画しているところです。データについて今回間に合わなかったことについては、総合サイトの開設時期等から恐縮でございますが、今ほど申し上げました点についても、次回以降の会議において、できるだけ精緻な形でご報告申し上げる中で、その成果等の状況について、ご意見を頂戴できればと考えております。

○樋口座長

 歴史的な背景を考えると2020年までに300万人というのは、もともとWLB憲章の成立のときにKPIとしていくつかの指標を出した、その一つだったと思います。安永委員はWLBの委員でもありますので、ぜひそちらでご発言していただいて、KPIの改訂であるとか出てくると思いますので、そちらでも議論といいますか、こちらではKPIとしてとりあげなくても、というような事かと思います。

○菊地代理

 小沢の代理で参りました菊池と申します。いま安永委員からご意見がございましたが、私も同様に考えています。定性的・定量的な評価については、企業側の立場として、日商が中央ジョブ・カードセンターを、傘下の商工会議所がサポートセンターを担っており、毎年そこで計画を立ててジョブ・カードサポーター企業を何社にするか、雇用型訓練にどれだけの方を誘導するか、そういったことをハローワークと一緒にやっております。また、毎年、研究会を立ち上げて、事業成果の検証を行っておりますが、この場でその内容をつぶさにご報告する機会がないものですから、いずれ事務局と相談して、一年間の活動評価というものが端的に分かるようなものも盛り込んでいただくようで配慮をさせていただければと思います。

○樋口座長

 ありがとうございました。次の質問がございましたらよろしくお願いします。

 数年前とはジョブ・カードのイメージがまったく変わってきたと。まさに手書きのカードでしたから、統計をとるにもこれを再入力しなければいけないという状況だったのが今回こういう形になりましたので、自動的に入力ができてということで。後は集計がぱっとできてくればというように思いますので、前進したなあと感じます。

○樋口座長

 もしよろしければ次の議題に移りますがよろしいですか。

 それでは、2番目の議題として、(2)の「ジョブ・カード制度推進のための当面の取組と重点事項・課題について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤課長説明

 それでは議題(2)に関しましてお手元の資料の3に基づきまして私の方からご説明申し上げたいというふうに思います。

 資料の3、1ページお繰りいただけますでしょうか。まずジョブ・カード制度に係る今後の取組ということで、その基本的な事項であります今年度のジョブ・カードに係る予算について、ご報告を申し上げたいと思います。まず、1ページが、このジョブ・カード制度そのものに関わる予算ということで、その資料をお示しをしているところでございます。上の囲みにございますように、このジョブ・カードに関しまして、議題の(1)でもご報告申し上げましたように昨年10月から、生涯を通じたキャリアプランニング、また、職業能力見える化のツールとして抜本的な見直しを行ったところでございますけれども、これも踏まえた上で今年度28年度のジョブ・カード制度に関わる関連予算を計上させていただいてます。大きくは2つの柱がございます。

 1つが、雇用型訓練を活用する企業に対する支援等の実施ということで、ここにございますように、ジョブ・カードを活用しての雇用型訓練に取り組む企業の開拓や、当該企業におきますジョブ・カード作成そのものの支援、またこれに関わるキャリアコンサルティングの実施、さらには、能力評価、教育訓練プログラム編成等に関わる技術的な助言、こういったことを、各地域の中小企業等を対象にきめ細かく実施をするための専門的な体制でございます。ここでの支援内容の一端が、先程の動画でもご紹介されたものということでご理解いただければというふうに思っております。

 またもう1つの柱が、ジョブ・カードそのものに関しましての周知広報、活用に関わる予算ということで、本会議の関係予算もこの項目に位置づけられるものでございますけれども、様々なジョブ・カードに関わる周知広報、それぞれの労働局が主体、事務局となりましての地域ジョブ・カード運営本部の運営、また先ほどプレゼンテーションでご覧をいただきました、ジョブ・カード制度総合サイト、また、これに紐づけておりますジョブ・カード作成支援ソフトウェア、これらに関わる開発・運用・メンテナンスに関わる予算、大きくこの2つの予算でございます。

 後者に関しましては、ジョブ・カード制度総合サイトの開発経費、イニシャルコストが27年度は必要だったということで、この部分が、28年度については必要ない部分ということで、予算額の見え方としてはこの部分だけ少し減額となっている形になっておりますが、総額といたしましてはほぼ前年度と同額の24億円余の関連予算をこのジョブ・カード制度関連予算ということで計上させていただいております。ちなみに、このジョブ・カード制度総合サイトの、運営にかかる経費にはサイトの機能のメンテナンスにかかる経費も計上しておりますので、本日のこの会議でのご意見、また利用者のニーズモニター等を通じ、随時必要な見直し、ブラッシュアップを図っていきたいというふうに考えております。

 予算の関連2点目でございます。次の2ページの、キャリア形成促進助成金の見直し等に関わる予算資料でございます。このキャリア形成促進助成金でございますが、企業や業界団体が一定の要件を満たす職業訓練を実施をした場合、あるいは、人材育成に関わる仕組み整備を行った場合に、その経費や、あるいは、訓練受講中の賃金等の一部を助成することによって、職業訓練等の取組を促進支援をする仕組みでございます。このキャリア形成促進助成金に関しまして、昨年の日本再興戦略改訂版を踏まえまして、特に生産性向上等の観点から必要性の高い職業訓練、また、人材育成の仕組み整備等に関わるメニューの拡充等を行ったところでございます。ここにございますように多岐にわたる見直しを行っておりますが、特にこのジョブ・カードに関わりの深いという観点で2点ご紹介申し上げますと、

 一つはこの資料の[1]の最初の二重マルにございます、セルフ・キャリアドックを導入・適用した事業主に対する助成メニューの創設でございます。このセルフ・キャリアドックというのは、労働者の生涯にわたるキャリア開発、また、キャリアの気づきの機会を提供するために、職業生涯の節目にキャリアコンサルティングの機会を提供する、こういった仕組みを、それぞれの企業が整備する、こういった取組を支援していくといった考え方でございます。一定の要件を満たす、今ほど申し上げたような、セルフ・キャリアドックの仕組みを導入・適用した企業に対する助成の仕組みを設けることによりまして、このセルフ・キャリアドックの取組の中で、ジョブ・カードの積極的な活用をはかっていくということも併せて促進していきたいという考えでございます。

 もう1点、その3つ下の二重マル、でございます中高年齢者を対象とした雇用型訓練に係る助成メニューの創設でございます。議題の(1)でも雇用型訓練という点については、繰り返しご説明ご報告申し上げているところでございます。基本的には、新たに雇用した方に対し、比較的長期のOJTOff-JTを組み合わせた実践的な訓練機会を提供することによって、能力の向上、また、正社員化、キャリアアップを図っていくといったことを目的とした助成メニューでございます。議題の(1)にも出てきておりますように、これまでは、この雇用型訓練については主に若者また非正規雇用労働者などを対象とした訓練メニューが中心でございました。今回のこの日本再興戦略の趣旨を踏まえるならば、中高年齢者の方々で現在、正社員の職に就いていない方、あるいは、これまでの職業経験を活かしつつ、職種の転換により、安定した雇用機会の確保、能力開発を図ることが期待される、こういった方々をターゲットとして、実践的な訓練機会の提供が重要ではないか、ということで、中高年齢者、45歳以上の方で、一定期間、正規雇用の経験のない新たな雇用者、こういった方々を対象とした、OJTOff-JTを組み合わせての比較的長期の訓練を実施をした場合、訓練実施経費また訓練受講中の賃金等を助成をするというメニューを新たに創設したところでございます。この訓練に関しましても、訓練の質を高め、確実にキャリアアップにつなげていくという観点から、そのツールとして、このジョブ・カードを積極的に活用していきたいという考えでございます。次のページの資料は、このキャリア形成促進助成金の全体像でございますので、とりあえず説明上は割愛させて頂きます。

 次の4ページでございます。ジョブ・カードの作成を要件とする現行の施策について整理をした資料でございます。このジョブ・カードに関しましては、生涯を通じたキャリアアップ、また職業能力見える化ツールということで、様々な人材育成に係る支援施策、あるいは、就職支援施策と結びつけることによって、相乗効果が期待できる仕組みであるというふうに私ども考えておるところでございます。こうした観点から、現状でも、ここにございます様々な職業訓練、就職支援に関わる様々な施策・制度の要件、あるいは支援ツールとして位置づけを行っているところでございます。最初に上の表をご覧いただければと思います。先程来登場しております、雇用型訓練、公共職業訓練、また、教育訓練給付の一類型として、2610月に創設をした専門実践教育訓練、これら制度におきまして、それぞれ位置づけについては、少しずつ相違はあるわけではございますけれども、大まかに申し上げますと、それぞれの訓練等の仕組みの入り口、訓練期間中、また出口と、この3つのフェーズ、観点で、できる限りこのジョブ・カードを活用していく、という観点でそれぞれの要件等に位置づけをしているところでございます。

 受講前の時点ではそれぞれの訓練目的や性格に応じ、当該受講希望者が当該メニュー受講の適格性を有するかどうかということに関し、ジョブ・カードの記載内容、また、キャリアコンサルタントの意見等を踏まえ、確認するという観点での活用を行っております。

 また、訓練受講中の、訓練そのものの到達度を的確に評価をし、それを受講者にフィードバックをするという観点から、訓練受講中の中間評価のツールとしてもこのジョブ・カード評価シートを活用しているところでございます。さらに、訓練修了時点におきまして、当該受講者そのもののパフォーマンスという視点、また、当該訓練コース全体の施策評価という観点で、このジョブ・カード、とりわけ評価シートを活用し、さらには、先程のプレゼンテーションの中でもご紹介申し上げましたように、ここで整理をしたジョブ・カードを、履歴書また職務経歴書といった応募用紙にコンバートし、さらにご本人の意思に応じ、能力評価シートも添付をする形で、ご本人が持っております資格能力その他の職業資産を応募先企業に有効にアピールいただくことによって就職可能性、キャリアアップを高めていこう、ということでの現状での各制度との紐付けになっております。

 さらに、教育訓練に係る各施策以外にも、このページの一番下にございますが、高年齢者雇用安定法の中で、事業主に求職活動支援書の作成というものが義務づけられているところでございますけれども、この求職活動支援書に関しまして、ジョブ・カードと搭載情報項目が非常に重なっているということで、このジョブ・カードの様式2から様式3-2を、この求職活動支援書として活用することが可能な仕組みとしておりまして、先ほどのプレゼンテーションでは割愛をしておりますけれども、今回のこのジョブ・カード制度総合サイトの中でも、各企業に対し、この求職活動支援書を作成する場合には、このサイトから様式をダウンロードして活用することができるといったサービスも提供しているところでございます。

 以上が、現状でのジョブ・カードに関わる予算、また、様々な人材育成や就職支援に関わる制度・事業との関連づけの概要を示したものでございます。こうした現状、また、議題の(1)でご報告申し上げましたような現時点での到達点を踏まえた課題などを勘案をした上で、次の資料の5でございますけれども、前回までの本推進会議においておまとめ頂きました新たなジョブ・カードに関わる推進基本計画をより効果的・着実に実施をし、議題の(1)でご審議いただきましたような目標達成を期す上で、当面、どのような観点からこのジョブ・カードあるいは関連制度に係る取組を進めることが効果的ではないかということで、現時点で私どもが事務局として検討している、あるいは作業に着手をしている主な観点について、ざっくりとたたき台として整理させていただいたものが、お手元の資料の5ページ、でございます。

 まず始めに、今日ご紹介申し上げておりますジョブ・カード制度総合サイトでございます。すでに議題の(1)でも様々なご意見を頂戴しておりますように、このサイトというツール・基盤を活用することによって、新たに発揮をしうる効果、機能というものが大いにありうるというふうに私ども考えております。この特性をいかに生かすか、という観点で一つは、幅広い労働者・求職者層、また企業、支援者であるキャリアコンサルタント等、ジョブ・カードに関わる様々な方々に対し、ジョブ・カードの作成、あるいはジョブ・カードの作成支援上必要な情報、支援機能というものを効果的に発信をすることによって、ジョブ・カードを作成、また活用しやすい環境を作るということが大変重要な点であると思っております。またすでに、議題(1)の中でご意見頂戴をしておりますように、この仕組みを活用することによって、ジョブ・カード取得者の属性、また、このジョブ・カードの活用目的、効果ということについても、よりきめ細かくまたもれなく把握をすることによりまして、今後のジョブ・カード関連施策のあり方についての見直し等の検討に結びつけていくということについても強化をしていきたいというふうに思っております。

 2点目、雇用型訓練の推進と連動してのジョブ・カードの活用促進でございます。先ほど日本再興戦略について若干ご紹介申し上げましたが、この日本再興戦略の中でも、労働者各層の能力アップ・キャリアアップという観点からこの雇用型訓練の有用性について、指摘、方向付けがなされているところでございます。先ほどご紹介申し上げました、中高年齢者雇用型訓練を含めまして、また既存の有期実習、実習併用型職業訓練も含めまして、この雇用型訓練をより幅広い企業で、活用いただくとともに、これをジョブ・カードやジョブ・カードに付帯をした、先程のプレゼンの中では、訓練日誌といった紹介もあったわけでございますけれども、こういった様々な仕組みと連動することによって、雇用型訓練、またジョブ・カードの相乗効果、さらには労働者の定着・キャリアアップこうした効果も確実に発揮をしていくという取り組みを進めていきたいという考え方でございます。

 3点目、今ほど申し上げた観点以外の様々な職業訓練や、ハローワークにおける職業相談、紹介場面での活用促進を図っていきたいということでございます。先ほど、前の資料でも申し上げましたように、まだまだ少数ではございますけれども、職業訓練と直接紐づかない形での、ハローワークのいわゆる一般職業相談・紹介場面での、このジョブ・カードの活用について、職業安定局との連携のもとで、かなり広がってきているという状況でございます。典型的には、予約制・担当制窓口などでのじっくり相談の中での活用、といったことを念頭に置いているところでございます。また、ハローワークでは現在、就職活動の支援という観点で、応募書類の作成支援ということにも大変力を入れておりまして、先ほどのプレゼンテーションでもご確認をいただきましたように、このジョブ・カード作成支援ソフトウェアが持っております、履歴書・職務経歴書へのコンバート機能というものは、就職活動支援上も有力な武器となり得るものと思っております。こうしたジョブ・カードの利点というものを活かした形で、ハローワークにおける幅広い求職者層に対する職業相談・紹介場面での活用促進も図り、またそのために、各地域のハローワークの事業運営をマネージしております都道府県労働局との連携も一層強化していきたいという考え方でございます。それ以外の様々な就職支援また人材育成支援制度のそれぞれの実効性、より有効な対象者の選定、また就職支援や訓練の精度を上げるという観点でも、私ども、このジョブ・カードが有効に活用しうるものというふうに思っております。

 そうした観点から、関係部局の協力も得つつ、ジョブ・カードの活用によってより一層実績向上が期待をできる様々な制度とのジョブ・カードの要件又は支援ツールとしての活用促進を図っていきたいというふうに思っております。

 また、議題の(1)でもご紹介申し上げましたように、これまでもジョブ・カードの作成支援機能の一部を担ってきたキャリアコンサルタントについて、今般28年4月に国家資格化・登録制度化がなされたところでございます。私ども制度的なアプローチだけではなくて、個々のキャリアコンサルタントが、有効なキャリアコンサルティングサービスを展開するうえでの有力なツールとしてこのジョブ・カードの作成をリコメンドする、あるいはジョブ・カードを使いこなして的確なキャリアプランニング支援を行うということが大変重要ではないかと思っております。今後、試験機関、養成機関等との連携も図った上で、いわばキャリアコンサルタント資格化登録制度の中で、「ジョブ・カードの標準装備」ということをより一層徹底することによりまして、このキャリアコンサルタントを通じてのジョブ・カードの活用促進についても強化をしていきたいと思っております。

 先程、ハローワークの相談・紹介場面での活用促進についてご紹介申し上げましたが、これをより徹底をさせる上で、せっかく私どもジョブ・カードについて、今日ご紹介申し上げておりますようにサイト、作成支援ソフトというツール・基盤整備をしたわけでございますが、ハローワークの側でも、現在ハローワークシステム、あるいはハローワークインターネットサービスといった形で、求人情報の発信その他様々な情報発信・支援を行っているところでございます。このハローワークシステムに関しましても、数年に一度の更改、大規模な見直しということも行っているわけでございまして、こうしたハローワーク側のシステム、インターネットサービスと、今日ご紹介申し上げました、ジョブ・カード制度総合サイト、作成支援ソフトウェアの機能をシステム上紐づけていくことについても、ぜひとも検討、具体化することによりまして、上の方の各項目でご紹介申し上げておりますような活用促進の取組の、いわばシステム上の基盤としていきたいと考えております。

 最後の項目でございます。本日の会議には、これまでと同様、文部科学省、経済産業省の関係部局、担当課室長等にもご出席頂いているところでございます。大学・専修学校、また企業に対する働きかけに当たりましては、とりわけ文部科学省、経済産業省との連携は不可欠でございまして、すでに昨年度の時点でも、連名通知の発出、それぞれの媒体の中での情報発信もいただいているところでございますが、本日頂戴いたしましたご意見、ご提言も踏まえた形で、両省との具体的な連携をより一層強化をする形で、一番上の柱にもございますような幅広い関係各層に対する発信あるいは情報活用の働きかけをぜひとも進めていきたいというふうに考えております。

 お持ちの資料としては、今ご紹介申し上げました資料の3以外に、さらに、前回おまとめを頂きましたジョブ・カード制度推進基本計画、また先ほどの説明の中で若干ご紹介申し上げております関係各層向けのジョブ・カードに関わる周知・活用促進のリーフレットも添付しております。こちらの参考資料については具体な説明は割愛をしたいと思いますが、適宜ご参照も頂きつつ、今ほど申し上げた内容はあくまでも、予算検討施策と今後の重点課題の事務局としてのたたき台でございますので、こちらもご参照いただきながら、今後のジョブ・カード活用促進のあり方、方向性等についてぜひともご審議を頂ければというふうに考えておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。

○樋口座長

 どうもありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見ありましたらお願いします。

○大久保委員

 ジョブ・カード制度の総合サイトができたことはとてもよかったと思うんです。ジョブ・カードの普及促進という意味で、もっと早く作っておけばよかったと思うんです。ただ、いまここに重点事項とか課題として書かれているものはどちらかというとそれの周辺的な部分について書かれているんですけど、ジョブ・カード総合サイトをバージョンアップしていくことがとても大事なのではないかないかと思っています。履歴書とか職務経歴書の制作を支援することが本来の目的ではなくて、キャリアプランニングを支援するということなんですが、キャリアプランニングを支援することの部分のサービスについてはまだ弱い。去年のこの時期に議論したときは、実際にはジョブ・カードの作成について必ずしもキャリアコンサルタントとコミットするわけではなくなったので、逆にサイト上で作るダウンロードする人たちも、あたかも近くにキャリアコンサルタントがいてそこでサポートアドバイスしてくれてるかのような気持ちで作成できるようにしようじゃないかという議論をしたんですけど、まだそこには到達していないと思うんです。関連する情報も資格一覧とか職業紹介に飛ぶとかというぐらいであんまりそれにプラスアルファのサービスがないですし、今も見たところキャリアコンサルティングを受けるをクリックするとキャリアコンサルネットにつながって、キャリアコンサルネットをクリックするとこの事業は終了しましたとなっている。全体的に見るとまだまだ愛想がよくないサイトだなという感じはしてて。まず、本丸であるサイトの機能を充実させて、本来のキャリアプランニング機能とか能力証明ツールとしての機能のレベルアップを図っていくことが大事だと思います。

○伊藤課長

 ただいま大久保委員から大変重要な点ご提言いただいたところございます。第1回、第2回の本会議でも多くの委員からご指摘いただいておりますように、このジョブ・カードに関しましてこのたびの見直しの本旨を生かす意味では、もちろんこのキャリアコンサルタントがパーソン・ツー・パーソンのきめ細かい支援を行うということが一番理想的ではありますけれども、全員が直ちにそのような環境を得がたいとするならば、このサイト上でもいわばバーチャルキャリアコンサルティング的機能が発信されることは大変重要であると私ども思っております。今日のプレゼンテーションの中では、すべての機能について時間制約もありましてご紹介できませんでしたが、現在このサイトに実装しております機能の中で、なかなかすぐには先ほどご紹介申し上げましたような項目に沿っての記入が難しいとか、記入する判断材料が十分揃っていない方のために画面上の質問ガイダンスに答える形で自然に自ずとジョブ・カードの入力ができるような一定のガイダンス機能は一応盛り込んでいるところではございます。ただ、そうした機能がわかりやすい、使いやすい、あるいはバーチャルキャリコンといえるだけの精度に達しているかというと、率直に言って私ども事務局としてもそうした域には達していないという認識を持っているところでございます。先ほど予算の紹介でも少し触れましたように、今日ご紹介しましたサイトまた作成支援ソフトは最終形到達点ということで思っておりませんで、まずはこれで走り始めたというところでございます。本日のご指摘、また先ほど申し上げました関係者利用者からのご意見も踏まえながら、もちろん技術的予算的制約はなしといたしませんけれども、可能な限り有用で使いやすいサイトまた作成支援ソフトにバージョンアップしていくという心意気、心づもりで取り組んでいきたいと思っております。先ほど大久保委員のご指摘の中で少し触れられました、ずっとリンクをたどっていくとクローズしている部分について、今一部的に関連サイトがクローズしていて、そこのメンテナンスが不十分であるという技術的な理由によるものでございまして、そうしたものも近々また復旧復興する予定になっております。ただ、そういう細かい部分で利用者をがっかりさせることは当然ありえると思いますので、よりきめ細かくウォッチメンテをしていきたいというふうに思っております。

○樋口座長

 サイトはやっぱり使って改善していくしかないので、逆にみなさんからいろいろ助言をどう改善しろというようなことをいただいたほうがよろしいかと思います。他にどうでしょう。

○関口委員

 この資料の5ページの当面の重点事項課題の一番最後に、私ども専修学校のことに触れていただいているんですが、専門学校のほうはジョブ・カードを活用していくという可能性は基本的に非常にあると私は思うんです。そのためにフォームの問題等前回のお話でもあったのですけど。大学と違いまして、専門学校の場合は特定の職業に向けた、しかもその職業というのはかなり狭い教育をしているということなんですね。ですから、自分の将来のキャリアプランというふうなこととか、いま何が自分で獲得しているのかとか書いていく際に、そうした特定の狭い職業に向けた教育なんだということから書けるようなほうがいいのではないか。例えば情報処理系の何とかという職種につくとしたら、その職種に必要な知識とか、その職種に必要な知識技術というものはどういうものなのか本人がどのように認識しているのかということを書かせて、その必要とされる要件に対して、自分は、専門性の上ではこのような獲得できているというふうに自分で書いて、それは証明としてはどんな資格であるとか学校の成績証明書なのか裏付けるものを出すと。さらに、ここは大事だと思うんですが、必ず企業の現場に出て実習してますが、いわゆるインターンシップではなく、特定の職業に関わる現場に行って、期間はさまざまですが、学科実習をしているのは確かなんですね。そこで専門的技能知識、特に技能でこれはできると感じたものがなんであるのか、それは専門性ですが、同時にその場で感じたいわゆるコンピテンシーに関わるような能力の中で、自分はこういうことができた、こういう部分は苦手だった、自己認識を書かせて、非常に狭い分野に就職するんですが、情報だったら情報という分野で、分野共通の知識も学んでいます。現場に出た経験だとか分野全般の知識みたいなものを書かせた上で、将来的に今はこの職に就くけれども、その先自分が関心がある関連の職種は何なのかというに、将来こんな風にキャリアアップというのはなかなか書くのは難しいとは思うんですが、私は、ひとまずプログラマーならプログラマーにつくけど、将来的には関連したとこでこういうことをやってみたいと考えているということを記録させると、専門学校生にとってはとても必要だし、有効であるし。背景的なことを言うと専門学校全体は大きな制度改革の中にあるが、学校段階と就業段階と企業について一貫したキャリア形成はどういうことなのかを捉えようとしている。それから学校評価ですね、学習成果をどのように明確に把握するのかという機運も背景的なこととしてあわせて、ジョブ・カードが専門学生にふさわしいようにフォームで書かせるのであれば大いに活用できるのではないかと感じております。

○樋口座長

 コンテンツについては厚生労働省の方で改善していただいて。

○伊藤課長

 検討させていただきます。

○小杉委員

 入り口の入り方について、ある程度機関によってカスタマイズするということが関口さんの話だろうと。そうすると、専門学校だけではなくて、実は大学でも大学改革の中で、ポートフォリオという形で、誰がどういうふうな学習をしてどのような能力を身につけてきたのか、教育改革が進んでるんですよね。そことの入り口をつけやすくする、そういう接続を、有効な情報の入り方をそういうところからも入っていけるような接続をしていく可能性もあるので。ポートフォリオは各大学で作っているのですが。その辺もうまく連動させていく可能性もあるので、入り口の情報の取り方というところをカスタマイズできる仕組みにするのはどうかなと思います。

○伊藤課長

 学校との連携に関して、両委員から、特に専修学校・大学生を念頭に置いてのご意見を頂戴したところでございます。先ほど座長からもお話いただきましたように、コンテンツ、あるいは場合によっては様式そのもののあり方についての見直しにもつながりうるご意見ではないかと思っております。私ども、それぞれの大学また専修学校では、キャリア教育また就職支援という観点でこのジョブ・カードの活用ご着手いただいている事例が、ここにいらっしゃる各委員関係団体の御尽力によりまして少しずつ広がってきていると思っておりますが、具体の事例としては、先ほどの議題の中でご紹介申し上げました企業の事例ほどには発信また横展開できていないという反省もございます。本日頂戴しているご意見、また今後、文部科学省はじめ関係者のご理解もいただきながら、学校サイドの事例と学校で活用する場合の課題といったものについてもぜひ私ども事務局として、しっかり汲み取ったうえで、今ほど頂戴したご指摘ご意見を踏まえたうえでの課題改善策をできる限り明確化した上で、次回以降の本会議でもしっかりご審議いただけるような材料を整備していきたいと考えているところでございます。

○樋口座長

 ありがとうございます。本日は文部科学省から高等局と生涯局に来ていただいております。何かこの時点でお話できることがございましたらお願いします。

○小谷参事官

 生涯学習政策局参事官の小谷と申します。キャリア形成支援課長からの説明にございましたとおり、文部科学省としましても、厚生労働省と連名で大学・専修学校等に対して3月15日付けで通知を発出して、新しいジョブ・カードについて周知を図っているところでございます。また各種会合等もございますので、そういったところも活用しながら、先ほどご指摘のございました学校サイドでの事例ですとか、改善につきまして、きちんと連携して考えて、推進を図っていけるよう、協力してまいりたいと考えています。

○樋口座長

 高等局はよろしいですか。これは1省庁ではできないことですし、もともと内閣府にジョブ・カードの推進協議会がおかれた背景はまさに政府全体でというようなことだと。経済産業省は何かありますか。

○伊藤参事官

 経済産業省産業人材政策担当参事官の伊藤でございます。前回からもお話ありましたとおり、とにもかくにもこの制度を知ってもらうことが大事だと考えております。特に中堅・中小企業に対してしっかりとこの制度について知ってもらうことが重要です。ちょっとした例ではございますけれども、経済産業省としてもメールマガジンというものを使って周知に努めております。中小企業は幅広く使っているメールマガジンでありまして、登録者数だけで約8万5千社ということで、こういったものを通じて。さらに地方の経済産業局でも広報周知の媒体を通じて周知を行っております。先ほどの8万5千を加えますと、だいたい累計でございますけれどもこれまでに約12万6千社の企業の皆様方に周知広報を行っているところでございます。引き続き、さらに拡大して関係省庁と相談しながらしっかりと周知広報をしてきたいと考えております。

○樋口座長

 よろしくお願いします。他にございますか。

○五十嵐委員

 大学の立場、現場の立場ということで申し上げます。先ほどカスタマイズについてお話がありましたが。大学に入ってきて目的はそれになりに持ってきているのですが、例えば地方の国立大学ですと実は8割近くが公務員希望なのですね。教育現場でジョブというものをどう考えさせるかといったときに、ジョブ・カードにおいてツールとして迷える部分を是非用意してもらいたい。汎用性とか、こういう教育を受けるとこんな風に可能性が広がるのだというところがむしろ大事だと考える、そうするとさらに大学でも使える可能性が出てくるのではないか。キャリア教育として使えるものとなります。どうしても好景気ですとどこかに就職するだけになったり、困ったキャリアコンサルタントや相談者は決めつけよう、決めさせようとするばかりである。大学では、迷う機会を大切にしたい。なお、ジョブ・カードの資料やパンフレットをせっかく送っていただいたようなのですが、3月になって送っていただくと、この時期は会社説明会とぶつかってしまって担当教職員も十分把握していないようなのでまずかったかなとか、現場の声として余計なことかもしれませんがお伝えしておきます。

○今野委員

 先ほどから見ている資料2P16と資料3P5の取得者数の推移を見ると、ご説明のあったとおり[2][3]300万人に向かって大いに期待できる新規分野かなと。中身はP5でいうとハローワークの職業相談で使うか、あるいは企業で使うか、教育で使うか、ここが成長分野だと思うのですね。どの程度増えるかはよくわかりませんが、一応現在のポジショニングは知っていた方がいいので、例えばハローワークの職業相談でだいたい100回やったうち5回ジョブ・カードを作っていると、5%までいっているので、これを10%にしようとかという意味で、ポジショニングを知っといた方がいい。同じように教育現場でもそうですが、大学生の全体を母集団とするとそのうちどの程度使っているのか、ポジショニングしといて、1%増やそうか2%増やそうか、といった方向性があった方がいいと思うので。そうすると、私が知りたいのは2つで、職業相談ではどの程度ジョブ・カードを作るということに結びついているのか、もう1つは、教育現場でP16では1万6千人となってますが、これは累積ですから、一番最近はだいたい何%ぐらい作っている状況なのかわかると、どうしろという訳ではないのですが、今こんなポジショニングにあるのかということがわかりやすくなるのではないか。もしわかれば。わからなければいいです。

○伊藤課長

 ありがとうございます。今後の目標達成の道筋をしっかりと考えていくうえで大変重要なご指摘だと考えております。今手元にある数字でお答え申し上げますが、ハローワークの年間の新規求職者数は、同じ人が年間複数回求職するということもありえますが、500600万というオーダーでございます。それとの関わりで申し上げますと、先ほど資料2P16で花咲から補足説明申し上げましたように、本年度1月末時点でございますけれど、この表でいうと「[2]その他支援機関」2万2千中、ハローワーク相談・紹介場面での取得者数が1万6千でございますので、通年ベースでみた場合に見込みでざっくり2万程度、というのが今のハローワークでの活用状況ということでございます。ただ、ハローワークとの関わりという観点で申し上げますと、上の訓練関係機関での取得ということに関しましても、多くの場合最初の取得はハローワークで行われるなどハローワークが関わっているということでございます。それを含めて、言ってみれば訓練ハローワーク両方の属性備えた部分というふうに考えますと、500万人といった新規求職者の中で現在訓練関係その他関係を含めてジョブ・カードを何らか活用する形での職業相談・職業紹介を行っているのはざっくりと10数万ということもできます。訓練関係に関しまして、これは当然それぞれの訓練関係の予算との関わり、また、先ほどご紹介申し上げました特に離職者対象の訓練に関しましては景気変動によりましてアップダウンがあって、今回の27年度の訓練関係取得者数が伸び悩んでいるということに関しまして、そうした景気要因というものも多々影響しているところでございます。逆にいうと今後の景気変動によっては伸びていくこともありえるわけです。したがしまして、我々が自律的に今後伸ばしうる部分としては、やはり元に戻りまして、[2]の中の訓練とは紐付かないハローワークでの活用。ここはまだ率直に申し上げまして、今日安定局からも出席しておりますが、ハローワークの中で具体的に目標設定して、いま2万のものを、例えば当面3万にするとか、5万にするとか具体的な目標目安まで設定しているわけではございません。ただ、能開局の立場でみたハローワークの今後の重点ということからいたしましても、さまざまな課題を抱え、予約制・担当制で継続的に支援しなければならない層というのは着実に増えてきているという認識でございますので、そういうきめ細かい職業相談の有力なツールとして、ジョブ・カードの活用促進を今後とも進めていくというベクトルでぜひとも取り組んでいきたいということでございます。それから、もう1点の学生用ジョブ・カードでございますけれども、資料にございます、これまでののべ取得者数の内訳としては140万に対して1万5千でございますけれども、単年単年で捉えた場合には、だいたい5千人ぐらいが学生用ジョブ・カードを取得としているという状況でございまして。

○今野委員

 学生って何人いるのですか。

○伊藤課長

 大学生、専修学校生すべて含め、単学年でいうと5060万ぐらい。

○小谷参事官

 大学は5060万人、専修学校生は20万人。

○伊藤課長

 これは新規取得でございますので、全学年というよりは1学年でとらえるのが母数として適切だと。そういう意味で5060万の大台に対して、甚だ恥ずかしながら現時点ではそうした普及状況ですと約1%でございます。これをどう伸ばすかというのは、先ほどからご指摘頂戴しておりますとおり、引き続き300万人目標を掲げる中では、今後当然フォーカスすべき重要な課題であるということは私ども文部科学省共通の課題として持っているところでございます。

○樋口座長

 今年の就職活動はなぜ7月1日から解禁なったのか、大学が始まったとたん解禁という、みんなエントリーシートを平均で100枚ぐらい出すので、もっぱら履修届とよりそっちに必死に4年生になってという状況で。これジョブ・カードである程度提出ができるようになってくれば、100枚でもどうかと。それぞれの企業が求めるものはあるでしょうが、それを追加してもらって使っていく、ということができてくるといいとは思いますけどね。

○野中委員

 質問を1つと、ご意見を1つ。1年ぶりの参加なので思い出しながらやっているのですけれども。日本の大きな問題として労働人口が減ってきている。非正規と呼ばれる方々が4割を占めており、ここをどうするのかが大きな課題だと思っています。その中で、個人が自分からライフプランといいますかキャリアプランみたいなものをツールにして自分を売り込むというが重要だと思いますので。非正規から正社員化ということに対して、ジョブ・カードがどれだけ寄与しているのかということについて出来た数字があればぜひ教えていただきたいですし、その際の課題をぜひ教えていただければ。これは質問です。2つ目はご意見ですけれども、裏のページに当面の課題ですが、私が言うのは当面の課題なんですが、新ジョブ・カードの目的は2つあって、キャリアプランニングのツールであることは間違いないのでその前提を崩すことはできないと思います。けれどももう1つあるのが、高齢社会に向けて、定年後とジョブ・カードの関連をどんなふうに考えていくのかというのを視点として持っていかなくちゃいけないんだと思うんです。長い間培ってきた自分のキャリアをどう活かすのかということと言い換えてもいいかもしれないけど、今後の課題としてどのように考えているのか教えていただければと。以上2点お願いします。

○伊藤課長

 2点お答え申し上げたいと思います。まず、ジョブ・カードの政策的な狙い・目指すところの1つとして、いまご指摘いただきましたとおり非正規雇用労働者などキャリア形成上課題を抱える方々のキャリアアップの有力なツールの1つとして活用するという重要な側面があるとふうに思っております。ジョブ・カード取得者全体の中での非正規雇用労働者の割合、あるいはその方々全体としてのキャリアアップの実態については、先ほどの議題でご説明申し上げましたとおり、まだ捕捉できる仕組みにはなっていませんが、雇用型訓練と附帯としてのジョブ・カード作成者に関しましては、まさに雇用型訓練そのものが、非正規雇用労働者として新たに雇用されたあるいは今現在非正規雇用労働者として雇用されている方々の訓練を通じてのキャリアアップ正社員転換を目標とした仕組みでございまして、この雇用型訓練終了者については、基本的にはその方々を当該訓練実施企業もしくは同業類似業態の他社での正社員就職を目指す訓練&ジョブ・カードということで運営としておりまして、これに関しましては、年間約1万人程度の方が雇用型訓練を受講したうえで、その85%といった3ヶ月後正社員就職目標を掲げているところではございますけれども、これまでの実績で言いますとこの85%という目標を上回る、言ってみれば大多数の方々がジョブ・カードを作成して雇用型訓練を受けることによって正社員就職に至っているという実績をあげているところでございます。この雇用型訓練については相当密度の高い訓練を実施することによってそこまで至っているということで、そういった密度の高い訓練を伴わない方々に関してジョブ・カード作成それによるキャリアプランニングツールで正社員化までどこまで射程に入れられるかといったあたりについては、次の課題ではないかと認識しているところですし、それに資するようなデータ分析について今後進めていきたいと思っております。また、職業生涯の長期化等にあわせて、あるいは定年・再雇用といった職業生涯のいわば後半戦というものを念頭においたうえでのジョブ・カードの活用という視点でございますけれども、ジョブ・カードの見直しの趣旨として生涯に渡るキャリアプランニングツールでございます。当然そういった職業生涯の後半戦も視野に入れた活用をもともと念頭においたものであり、先ほどご紹介申し上げましたとおり、今年度から日本再興戦略に基づきまして、セルフキャリアドックといった、それぞれの企業の中で入社から年数なり役職等に応じて定期的にキャリアコンサルティングの機会を提供する仕組みといったものを企業のご協力ご理解をいただきながら普及していく、そういった中では当然シニアの方々というものも、若い方々とまたキャリアプランニングの目的が違ってくる訳でございますけれど、対象として位置づけていくという考え方でございます。1つにはこうしたセルフキャリアドックの普及の中で、中高年齢者の方々のキャリアプランツールとしてのジョブ・カードを活用していくということがございます。また、先ほど制度の中で若干ご説明申し上げました、高年齢者雇用安定法の中で求職活動支援書、就職活動される高齢者の方々に対し、もともと雇用していた事業主に求職活動支援書の義務付けるといった仕組みもございます。これはもちろん高齢者の中のごく一部という訳でございますけれども、こうした際にジョブ・カードの様式を求職活動支援書として活用していく仕組みは現状でも整備をしているところでございますので、就職活動を余儀なくされる高齢者の方々に対しては、こうした仕組みを活用しながらジョブ・カードまたジョブ・カードを用いてのキャリアプランニング支援を積極的に行っていく、こういった取組を職業安定局などとも連携しながら、さらにここの重要ターゲットの1つとして位置付けて、しっかり積極的に取り組んでいきたいと思っております。

○久貝委員

 日本商工会議所でございます。私どもは、厚生労働省から委託を受けまして全国111カ所の商工会議所でジョブ・カード制度活用の雇用型訓練を実施する企業を支援しております。先ほど野中委員からご指摘がありましたが、非正規との関係、類型的な統計がございますのでそれを最初に申し上げますと、一般に中小企業の場合は、即戦力、経験がある人を求める傾向にあるのですが、最近は雇用型訓練を初めて実施して、非正規の方のキャリアアップを図ったうえで正規雇用するという中小企業が増えております。実施した企業の96%は中小企業ということで、それから、訓練生の72%が34歳以下です。平成20年度からの8年間の累計で言いますと、雇用型訓練を終了した企業は3.5万社、雇用型訓練を修了した5.6万人の方のうち4.5万人が正規雇用されています。先ほどお話しがあったとおり、80%強といった高い正規雇用率を示しているという訳で、雇用型訓練を実施した中小企業だけでなく、訓練生からも高く評価されています。その上で、いくつか課題を申し上げたいと思います。1つは、やっぱりPRが足りないということです。まだまだ認知度が足りないのではないかと。先ほど300万人の目標は大変ではないかというご指摘だったと思いますけど、その点については、個別に企業訪問するなど、商工会議所としてもPRしていますが、民間としての限界がありますので、是非、政府のほうでも頑張っていただきたいと思います。先ほど説明があったように、厚生労働省がいわばリーダーだと思いますけれども、文部科学省、経済産業省も是非お願いしたいと思います。もう1つは、ハローワークの話が再三出ておりますけれども、ハローワークはずいぶん頑張っていただいていると思いますが、ハローワークの事務所では、求職者に対して雇用型訓練を説明する広報媒体があまりないところが多い。それから、窓口で職員の方が雇用型訓練について求職者にあまり説明されていないということがあります。それで、ジョブ・カードを活用した雇用型訓練を中止した中小企業が多いということが報告されています。中心は、厚生労働省の職業能力開発局と思いますけれども、職業安定局と連携を取っていただきたいということが2点目でございます。これは、前回も申し上げましたが、それほど改善されていないと思いますので、再度お願いします。3点目は地方創生との関係でして、先ほどの岡本石材の動画にありますように、地方では人手不足の問題と技能労働者の不足、将来いなくなるという不安に駆られております。需要というよりは、むしろ供給サイドの問題が大きいと思いますので、そういう点からも、ジョブ・カードの雇用型訓練と併せて地方への展開、地方創生に資するということでぜひお願いしたいと思います。資料2で都道府県別のジョブ・カードの取得者数というのがありますが、これを見てみますと、東京がダントツに多くて、大阪、名古屋もありますけれども、それぞれ全部足しても10ぐらいですが、今日ご出席いただいている横須賀商工会議所も計画を作って取り組んでいます。やはり、県庁所在地はポテンシャルがあると思いますので、地方創生、あるいは、まち・ひと・しごとの観点から、是非、地方展開をお願いしたい。それから、県庁所在地や地方の中核的な都市は、県庁所在地に負けない取り組みをしているところもありますので、そういうところにも目を配っていただきたいと思います。以上です。

○樋口座長

 ありがとうございました。まち・ひと・しごとの方で地方創生会議が都道府県単位であり、そこにおける働き方改革の推進ということで、まさにジョブ・カードも関連してきますので、安定局とか局のほうでよろしくお願いいしたいと思います。よろしいでしょうか。

○高橋委員

 資料3P5当面の重点事項・課題なんですが、これ自身が悪いわけではないのですが、改めて見させていただきますと、これはやはり訓練に紐付いたものであったり、求職時に関わるものの課題が主であると思います。他方で昨年この会議でとりまとめた基本計画に則れば、新しいジョブ・カードは個人が生涯活用するキャリアプランニングのツールに見直しをしていくんだと、そういう観点からの課題というものがこのP5には抜けているのかなという気がしておりまして。私もいい知恵が全く無いんですけども、大変重要な視点なので、とりわけ人事評価制度が未整備のような中小企業等において新ジョブ・カードを活用していただくということが、ひいては会社の属する社員の方が長期にわたってジョブ・カードを活用していただく端緒にもなるのではないかと思います。例えば中央職業能力開発協会さんと連携しながらですね、どういう活用の仕方があるのかもう少し検討していただくといったようなことも考えられるのではないか。以上でございます。

○伊藤課長

 ありがとうございます。私どもも、本会議におまとめいただきました推進基本計画に基づきながら、今後のジョブ・カードの活用促進のいわばフィールド、この最後の当面の重点事項・課題に取り上げた以上に当然幅広い領域での活用促進を図るべきというふうに考えております。ただ、そこは私どももなかなか具体的なビジョンまでは直ちに描きにくいということで、少し限定的なたたき台として本日の会議資料としてご提示いただいていることについてはご容赦いただければというふうに思っております。それぞれの企業の人事、教育訓練との紐付け、キャリア支援との紐付けは大変重要な視点である私ども考えております。例えば、各都道府県の能力開発協会。それぞれの地域における教育訓練、それから検定なども含めた能力開発に係る技術的な支援の機能を担っている拠点でございます。私どもも、今後、特に企業におきましてジョブ・カードの普及を図っていくうえでは、関係機関として能開協会なども含めての連携、ネットワークの整備は大変重要な点と思っておりまして、本会議での議論を含めたジョブ・カードに係る様々な情報をこれら関係機関に発信することによって、いわば「ジョブ・カード推進チーム」としてこうした機関も巻き込んでの取組強化をしていきたいと思っております。また、先ほど、労働局、ハローワークでの周知活用促進の取組についてご指摘いただきました。それについても、ごく簡単に触れさせていただきたいと思っております。雇用型訓練とペアでのジョブ・カード活用促進に関しましては、雇用型訓練そのものについての技術的な側面要件、また、雇用型訓練を実施した場合の助成金の要件、さらに、ジョブ・カード作成に係る技術的な事項、そうした初めて活用する企業に対してお知らせしなければならないことが大変多岐に渡るということで、そうした観点からの労働局、ハローワークからのわかりやすい周知というものはやはりこれまで十分ではなかったという反省を持っております。私どもそういった反省も踏まえまして、雇用型訓練及びジョブ・カードの活用を含め、それぞれの企業の人材育成のニーズに応じてジャストフィットのいろんな仕組みがあるという訳で、そういった観点から、いままで大変分厚い助成金のパンフレットなど主に用いてきたところでございますけれど、そうした反省に立ちまして、人材育成に関わる主な施策について非常に端的に、それぞれの施策ごとののターゲット、要件等を紹介した人材支援策のご案内といったリーフレットを整備することによって、各労働局、ハローワークの窓口で、各求人企業等とのニーズに応じたご紹介ができるような、ツール上の整備は少しづつ図っているところでございます。また、昨年10月以降、各労働局ごとに人材育成に関わる専門官担当官を配置をしているところでございまして、労働局ごとにジョブ・カードも含めた能力開発施策について、その制度の全体像をしっかく掌握したうえで、ハローワークへの指導を含め、また地域の企業等に対する周知を含め、より本格的に展開できる体制の第一歩は踏み出したというふうに私ども思っているところでございます。こうした体制、またツールを活かしながら、せっかくの今日もご紹介ご議論いただいております有効な各制度について、労働局、ハローワークのネットワークでもしっかりこれらの仕組みの意図なり具体の活用方法が伝わるような工夫を一層講じていきたいと考えております。

○菊池代理

 私ども地域ジョブ・カードセンターという現場の声ということで申し上げたいのですが、この制度自体が、当初はやはり就職するためのキャリアを立体的に表現して、企業の必要な人材とマッチングさせるというわかりやすい制度として7年半やってきた。そして、前年の10月から新ジョブ・カード制度になり、先ほど来出ておりますように、今のそういう形になっていくと、ジョブ・カードというより、どちらかというとキャリアプランニングカードに近くなっているかと思います。そうなってくると、いろいろな立場の方々が、何のために利用するか、何のために活用できるかということが明確に表現できていないと、数だけが先行して、そこに陥ってしまうと、非常に間違った方向にいってしまうのではないかと危惧しております。その中で、我々ジョブ・カードセンターということで、中小企業の方々を対象に、企業開拓を主にやっており、毎月推進員の会議と事務担当者会議を開催し、進捗状況や広報戦略などを検証、共有しております。もう1つ、労働局が事務局を務めている運営本部会議という重要な組織があります。ここが年1回か2回開催される。そこには様々な分野の方がおられるのですが、今までの議事録をご覧いただければどれだけの温度差があるのかというのがよくわかると思います。先ほど来申し上げましたように、キャリアプランニングカードになることによって、対象分野が幅広くなって、何のためにということが明確に周知されないことには活用されない。ではどこが組織として重要になるかというと、運営本部がすごく重要な役割を担わないと普及していかないんですね。先ほど担当官の方を増強されたとご説明ありましたが、人員的な増強はいいんですが、明確に機能させるオペレーションを労働局が検証していくぐらいの、先ほど今野委員からもありましたけれども、例えば、ハローワークでいま何%を、KPIではないですけれども、10%にするには全部でこれだけ伸ばさなければならない、その進捗管理を運営本部が担っていく、そういう運営計画のようなものが絶対的に必要になるのではないかという認識を持っています。

○加藤委員

 先ほどシステムのカスタマイズやバージョンアップは非常に重要なことだろうと思っております。実際に試しにやってみたうちの職員がおりまして、普通に使う分にはわりとさらっといけるようです。ただ、特に中小事業者の従業員、有期で働いていらっしゃる方は、非常にそのあたり自分でやるのはなかなか難しい、とっつきにくい、極端な話、文字入力をするのも大変な方も中にはいらっしゃるかもしれない。そういう面でキャリアコンサルタントの方々が、今回非常にレベルアップしていただけるということでありがたいと思っているのですが、さらにその方々の充実、いまどの程度いらっしゃるのか私も把握していないのですけれども、特にシステムを十分に理解していただくような周知を図っていただいて、そういう方々のサポートがさらに中小企業者に向けて行っていただけるように、お願いできればなと感じております。以上でございます。

○樋口座長

 ありがとうございます。たくさんご要望もあり、また、貴重なご意見もいただきましたので、事務局におきましては、やはり適切に反映して改善していただきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。その他ですが、厚生労働省より次回の会議等について説明をお願いします。

○花咲推進官

 次回会議につきましては、ジョブ・カード制度を取り巻く状況の変化などをみつつ、座長ともご相談させていただいたうえで、開催日程を決めさせていただきたいと思っております。具体的な開催時期が決まりましたら、各委員あてに日程調整のご案内を差し上げたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○樋口座長

 何かみなさまからございますでしょうか。よろしければ、以上で本日の会議は閉会いたします。どうもありがとうございました。

 

 


(了)

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