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2016年3月29日 第97回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

○日時

平成28年3月29日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議題

(1)雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)雇用保険法第60条の2第1項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準の一部を改正する告示案要綱について(諮問)
(3)職業能力開発促進法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(4)職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(5)第10次職業能力開発基本計画について(諮問)
(6)2015年度の年度目標の中間評価について
(7)その他

○議事

○小杉分科会長 それでは、若干早いですが、委員の皆様おそろいですので始めたいと思います。定足数に達しておりますので、ただいまから第97回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。本日の出欠状況ですけれども、大久保委員、高橋了委員、大隈委員、諏訪委員、中村委員が御欠席です。それでは、議事に移ります。議題がたくさんございますので、さくさくと進めたいと思います。

 まず、議題14の省令案要綱・告示案要綱の諮問案件につきまして、まとめて事務局から説明をしていただいた上で議論したいと思います。議題1、キャリア形成促進助成金の見直しについてです。議題2、専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて。議題3、公共職業能力開発施設における職業訓練基準等の見直し、技能検定「複写機組立て職種」の廃止等について。議題4、求職者支援訓練の見直しについて。これらは、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところであり、これを受けて本分科会において審議を行うものです。内容について、事務局から説明をお願いします。

○藤浪企業内人材育成支援室長 それでは議題1に関しまして、資料1に基づいて御説明をいたします。内容は、キャリア形成促進助成金の改正についてです。具体的な内容につきましては、資料1-2の改正省令案の概要に基づいて御説明をいたしますが、資料1-31ページを御覧いただくと見直し部分を赤字で示した一覧を載せてありますので、こちらも併せて御覧いただければと思います。

 今回のキャリア形成促進助成金の見直しですが、昨年の日本再興戦略を踏まえまして、企業の人材育成の取組に向けたインセンティブを強化する観点から支援メニューの拡充等を行うとともに、それに併せて企業内人材育成推進助成金の統合を含む抜本的な再編を行いまして、支援メニューの目的等に応じて大括り化することにより、より分かりやすさ、利用しやすさの向上を図るものであります。

 まず、資料の1ページにありますとおり、新制度におきましては、助成メニューを重点訓練コース・雇用型訓練コース・一般型訓練コース・制度導入コースの4類型に整理することとしております。2ページでは、個別の拡充・見直しの内容等について御説明をいたします。まず、(2)でありますが、特定分野認定実習併用職業訓練と中高年齢者雇用型訓練の創設であります。はじめに、特定分野認定実習併用職業訓練でありますけども、これは現行の製造業及び建設業を対象分野とする「ものづくり人材育成訓練」、これに情報通信業その他高度で実践的な訓練の必要性の高い分野を加え、新たに「特定分野認定実習併用職業訓練」とするものです。生産性向上に向けてのIT人材の育成促進の観点から情報通信業を追加して、これに併せて名称を変更するというものです。なお、その他高度で実践的な訓練の必要性の高い分野につきましては、現時点想定はしておりませんで、今後政府の方針等により追加すべき分野が出てきた場合に機動的に適用できるよう規定を置いておくものです。

 次に、中高年齢者雇用型訓練の創設です。中高年齢者の活躍促進が求められている中、現状では正社員として雇用される中高年齢者に対する雇用型訓練のメニューがないということから、45歳以上の中高年齢者、直前に正社員雇用の経験のない方に限ることとしておりますが、そういった方々を対象とした雇用型訓練を新たに創設するというものです。これによりまして、特に人材不足の分野の企業におきましては、実践的な職業訓練を通じての人材の確保・育成、また中高年齢者にとっては正社員としての円滑な就職につながるものと考えているところです。

 次に、制度導入コースの創設です。現行の企業内人材育成推進助成金を廃止し、新制度に統合するというものです。現行の制度におきましては、制度導入時点での助成と、その後の10人までの「実施助成」、これを分けておりましたが、新制度におきましては、より簡潔で活用、運用しやすい仕組み、そういう観点から「導入実施助成」に1本化をしております。また、助成額も分かりやすさという観点から統一化をしているところです。なお、助成要件としては、各制度とも原則5人以上の労働者への実施というものを要件として課すということを考えております。

 また、メニューの追加・拡充をしたものとしまして、まず「セルフ・キャリアドック制度」ですが、これにつきましては次の3ページの(4)(5)とも関連しますので、後ほどまとめて御説明をしたいと思います。他に追加するものとしましては、「教育訓練休暇等制度」と「社内検定制度」です。これら制度の普及を図るために就業規則等に休暇制度等を導入して休暇を取らせた場合、あるいは社内検定制度を整備して実施した場合にそれぞれ助成をするというものであります。さらに、団体助成としまして、今般「業界検定」、「教育訓練プログラム」の開発、これにつきましては、資料1-31ページの表に記載をしておりますが、事業主団体助成ということでこれらを追加することとしております。

 次に、先ほどのセルフ・キャリアドック関連ですが、資料1-32ページを御覧いただきたいと思います。セルフ・キャリアドックにつきましては、この資料の課題のところに小さい文字で書いてありますが、セルフ・キャリアドック、年齢等の節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を提供する仕組みですが、これを普及するために導入助成としまして、中ほどの具体の助成措置というところにありますように資格を有するキャリアコンサルタントが行って、就業規則等に定めるといった一定の要件を満たすセルフ・キャリアドック制度を導入した場合に助成をするということとしております。また、○の2つ目ですが、一定の要件を満たすセルフ・キャリアドックにつきましては、その普及・促進に向けまして、これを導入している企業が雇用型訓練コース等の訓練を実施する場合に、助成率をワンランク引き上げることとしております。また、一般企業型訓練につきましても、節目における定期的なキャリアコンサルティングを実施している事業主であることを要件として追加をしまして、セルフ・キャリアドックの普及を図っていくこととしているものです。

 次に、資料1-24ページを御覧ください。(6)以下、細かい事項なので簡潔に御説明をさせていただきます。まず、(6)の認定実習併用職業訓練につきましては、中小企業のOJT実施助成額の引き上げ等です。(7)の育休中・復職後等人材育成訓練につきましては、その利用促進を図る観点から助成対象の訓練時間を、これまでの「20時間以上」から「10時間以上」に緩和をするというものです。(8)は東日本大震災に伴う特例措置の再延長を盛り込んでいます。

 最後、5ページですが、大きい2番及び3番、これは企業内人材育成推進助成金の廃止と認定訓練関係に係る東日本大震災の特例措置の再延長です。資料1につきましては以上でございます。

○伊藤キャリア形成支援課長 引き続きまして、議題2、専門実践教育訓練指定基準の見直しに関しまして、お手元の資料2-1及び2-2に基づきまして、キャリア形成支援課から御説明申し上げます。告示案要綱にかかわる諮問文そのものに関しましては、資料2-1ですが、その内容を簡潔にまとめました資料2-2に基づいて基本的に御説明申し上げたいと思います。前回の第96回分科会におきまして各方面の御助力を頂き、本年1月に取りまとめをさせていただきましたIT専門検討会議報告書の概要について御報告を申し上げますとともに、これを踏まえた専門実践教育訓練の指定基準の見直しの基本的な考え方、方向性について御説明を申し上げ、委員の皆様から御意見を頂戴したところです。今回改めて指定基準を定める告示改正案要綱という形で、そのポイントについて御説明を申し上げたいと考えております。2-21ページ、2ページとありますが、まずこの度の指定基準の見直しの基本的な考え方について、前回もほぼ同様の資料で御説明申し上げておりますけれども、この2ページの教育訓練の追加の考え方にございますように、今後高度人材が求められ、また全産業的な雇用拡大効果が見込まれ、さらに、現実にも人手不足が深刻化しているなどの状況が見られる情報通信技術の分野に関し、同分野の特性に鑑みまして、取分け民間資格等がその能力評価の仕組みとして普及をしている。こういった実態に鑑みまして、下のスキーム図にありますように、現行の専門実践教育訓練課程4類型では、対象として位置付けられていない業務独占・名称独占資格以外のIT技術に関する資格を取得するための講座で一定の要件を満たすもの、この取得を目標とする教育訓練を新たに専門実践教育訓練制度の中に位置付けさせていただきたい、こういった考え方です。

 具体的な指定基準案に関しまして、1ページを御覧いただければと思います。基準案に関しまして、上の囲みです。まず課程レベルの要件ですけれども、専門実践教育訓練の中長期キャリア形成に資する教育訓練という基本的な考え方、また、本分野の特性も踏まえた上で、情報通信技術に関する資格のうち中長期的なキャリア形成に資するものとして、能力開発局長が定める基準に該当するものの取得を訓練の目標とする課程であること。告示の形式としてはこのような形式を考えております。この基準の具体の考え方ですが、前回も触れさせていただきましたように、目標とする資格のレベルに関しまして、本分野の能力水準に係る最も普及しているスタンダード、物差しであるITスキル標準を用いるという考え方で、この中で当該資格を用いて独力で職務を遂行できる基準、このITスキルスタンダードのレベル3以上ということになるわけですが、これに達しているということを具体的な基準として用いたいと考えております。2つ目の要件です。既存の4課程類型との整合性、本制度の目的に鑑みまして、教育訓練の時間が120時間以上、期間2年以内といった期間・時間数に関する要件設定をさせていただきたいと考えております。

 次に講座レベルの要件です。これに関しましても既存の課程類型要件との整合性、またそれぞれの講座の質を確実に保証するという観点から目標資格に係る受験状況、その結果、訓練修了後の就職等の状況の実績からみて、教育訓練に十分な効果があると認められるものという考え方で、より具体的な基準といたしましては資格の受験率80%、合格率が当該資格の平均合格率以上、就職又は在職をしている者の比率が80%以上といった客観的な基準を設定したいと考えております。

 今後のスケジュールの考え方です。本日答申を頂けますならば、今後速やかに告示、また具体的な申請にかかわる事務手続の準備等を進めた上で、4月中下旬から5月にかけましての今ほど申しました要件を満たす指定希望の申請受付を開始し、この専門実践教育

訓練に関しましては、半年ごとに審査・指定を行っているところですが、いわば最短コースということで、平成2810月、次回の講座指定に間に合うような形での準備を速やかに進めていきたいと考えております。前回も御意見を頂戴しておりますように、この見直しが行われた場合に、これを有効に活用する上では、教育訓練プロバイダー、関係省庁、関係機関の協力を得ての周知、あるいは的確な運用のための協力を得ることが不可欠であると考えておりまして、私ども、そうした観点からの準備に関しましては、関係省庁、関係機関との間で順次進めさせていただきつつあるところです。このような形でこの指定基準の見直しにかかわる効果を最大限に発揮するよう、この基準に該当する教育訓練の積極的な開拓、指定等に努めていきたいと考えているところです。以上でございます、よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 議題3をお願いします。

○波積能力開発課長 議題3は、「職業能力開発促進法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」です。資料は資料3-13-2です。資料3-1は諮問文です。中身については3-2で説明いたします。中身は大きく2つに分かれており、職業訓練基準部分と技能検定部分のそれぞれの改正です。職業訓練基準の改正の中身は能力開発課から説明をいたします。

 職業訓練基準ですが、職業能力開発促進法の第19条に基づき、普通職業訓練、高度職業訓練、それぞれに省令で基準を定めます。そして、都道府県においては、この基準を参考にしながら条例に定めるという立て付けになっております。こういうことを踏まえ、主要産業分野の標準的な訓練内容、教科の細目や訓練時間数の配分等について、4年で全ての訓練系について見直しを行うという立て付けになっております。

 今回の改正もスケジュールに沿った対応です。有識者を集めて構成される専門調査委員会で議論頂き、その中で内容の見直しを行いました。今回の改正ですが、対象となった普通職業訓練、いわゆる離職者訓練のものとしては、ここに書いてあります電力系、製織系、アパレル系、裁縫系、木材加工系、石材系、工芸系、通信系、第一種情報処理系、第二種情報処理系の10系統。そして、高度職業訓練、いわゆる学卒訓練ですが、輸送機械整備技術系、服飾技術系、食品製造技術系、化学システム系、エネルギー技術系、物流システム系、接客サービス技術系、調理技術系の8つについて内容の見直しを行っております。

 具体的な中身は、主な改正内容以下、それぞれ書いてあります。例えば電力系を見ていただくと重複している訓練時間を削った上で、縮減した10時間を使い各訓練施設で柔軟に技術革新に対応できるための訓練を行うという形にしており、中身をアップデートしております。そのほか文言の調整等も行っております。以上が職業訓練基準の改正の概要です。

○宮本能力評価課長 続きまして技能検定に関する改正概要について説明します。資料は5ページです。技能検定については、社会情勢の変化等を踏まえて見直しを行うこととしております。改正点は3点あります。まず、複写機組立ての検定職種の廃止です。複写機の組立て工場の海外移転などにより、国内において複写機の組立て技能の必要がなくなったことなどにより、受検申請者数が減少しております。こうしたことを踏まえて廃止するものです。

2点目は、写真についてです。人物写真の業界においては、デジタル写真への移行により、銀塩写真、これはフィルムカメラで撮影した写真ですが、このニーズが減少している状況、それから関係業界団体よりデジタル写真に特化した試験の実施について要望がなされたことなどを踏まえて、試験科目等の見直しを行います。具体的には、銀塩写真関連部分の削除やデジタル仕様の写真に関する知識の重点化を行うものです。3点目として、1の改正に伴う技能士コースの普通職業訓練の基準から複写機組立てを除く等の改正を行います。以上です。

○小杉分科会長 議題4はどうしますか。

○松瀬就労支援企画官 資料4-2に基づいて説明いたします。昨年の第9194回の本分科会において御議論いただいた内容を本日は省令としてお諮りするものです。なお、昨年の分科会で資料でお示ししました論点14の順ではなくて、省令の条文の順に並び変えて説明することとします。

1.訓練の認定基準の改正の(1)、就職率実績の取扱いについてです。マル1のイ)ですが、65歳以上の方については算定対象から外します。ロ)については、除外する対象に基礎から実践コースへの連続受講を加えるという少し分かりにくい書き方になっております。基礎から実践コースへの連続受講をお認めいただきました。その結果として、基礎コースにおいて実践へ連続受講される方については、基礎コースにおける算定対象から外すという意味です。マル2は欠格要件です。現行は過去3年間で2回以上下回ると不認定としておりましたが、今後は3年間で2回下回った場合、まず1年間の欠格とし、その後再び3年間で2回下回った場合に永年欠格とすると見直すものです。(2)は訓練期間と時間です。マル1の基礎コースについては、早期就職を求める方のニーズに応えて短期化を図るため2か月以上4か月以下と設定いたします。マル2は訓練時間です。育児中の方々に対する訓練として、14時間まで訓練の短縮が可能とするものです。(3)は、いわゆる社会人スキル科目の充実をお認めいただきましたが、委託を認めるということにしておりましたので、委託する際には講師等の要件、欠格要件に該当しないこと等の要件をかけるというものです。なお、三村委員から御指摘がありましたが、社会人スキル科目という名称については、その後の議論の中で職業能力開発講習というニュートラルな名前が適当ではないかとして議論を進めております。

2.奨励金の改正です。託児サービス付きの訓練を実施する場合については、児童1人につき1月当たり66,000円を限度として奨励金を付加するというものです。

3番目は給付金の改正です。これは、この職業能力開発分科会ではなく職業安定局の所管する審議会において議論がなされたもので、寄宿手当を新設するというものです。これは、現在の公共職業訓練との並びを取るために雇用保険法と同様の規定をそのままこちらの省令にも置くというもので、寄宿手当として約1月当たり1700円を支給するというものです。

4.震災特例の延長です。昨年秋頃、対象被災県と協議をして、なお引き続きこの特例措置は必要であるという結論に達しましたことから、1年間の延長をするというものです。

5.建設人材不足への対応です。これは平成32331日までに開始されるものですので、オリンピックイヤーの間は、実施される訓練とお考えいただければと思います。建設機械運転に係る訓練については奨励金の額を単価10万円に引き上げて実施するというものです。

6.施行期日です。本年101日を考えております。これは、現行でも41日にスタートする訓練というのは、その前の年の12月には認定申請の募集を始めないと間に合いません。今回はさらに託児サービスの付け加え等、制度の見直しに当たって業者が対応しなければいけません。そういう期間を入れると、半年ぐらいは時間がかかってしまうということで101日のスタートです。なお、1(1)のマル1の65歳以上を算定対象から除外すること、マル2の欠格要件のこと、4.震災特例の延長については41日からの施行と考えております。以上です。

○小杉分科会長 それでは、ただいまの14の議題に関して皆様から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○河本委員 質問なのですが、資料1-21ページです。今回、平成27年度から平成28年度に向けて、カテゴライズする形で制度を見直されたということについては理解しております。その中で唯一といいますか、政策課題対応型訓練の中にあった成長分野の人材コースとグローバル人材育成コースが今回、一緒になる形に統合されています。丸められたといいますか、なっています。特にグローバル人材の話に関しては、従来の議論の中でも1つの目玉というか特徴としていくべきではないかとしたと思います。

 平成27年度のグローバル人材訓練の実績がどのようなものであったかということと、統合に至った背景について少し御説明いただければと思います。

○藤浪企業内人材育成支援室長 今、御質問がありましたグローバル人材育成コース実績ですが、平成26年度におけるグローバル人材育成コースの支給件数は56件、支給額は約2,000万円です。また、本年度1月までの実績ですが、件数としては60件、支給決定額は同じく約2,000万円という状況です。

 グローバル人材育成コースについて、成長分野等人材育成コースとの統合の背景ですが、今回の見直しの趣旨は、支援メニューの目的等に応じた整理統合であり、それにより、より分かりやすさや利用しやすさの向上を図るという観点ですので、グローバル人材育成コースについては海外関連の業務を行っている、あるいは今後、海外関連の業務を展開する予定の企業における訓練。一方、成長分野については成長分野に属する企業、あるいは成長分野の事業を実施している企業における訓練ということで、極めて類似性がありますので、両コースについて統合を図ったというものです。

 統合はしましたが、グローバル人材の育成の重要性には何ら変わりはありませんので、当然ながらグローバル人材という名称も残しておりますし、助成対象の訓練についても現行の海外関連の業務に関連する訓練ということで変更はないものであります。

○河本委員 今、御説明を頂いた中で、使用実績が非常に少ないということで、状況についてなぜそうなっているのかということを分析するとともに、確かに統合した形で類似性があるというか関連性があるということで、それは理解するものの、やはりそれぞれ別に分けて分析してより促進していくということによって、従来の計画を推進していく原動力としていくべきではないかと思います。こちらは意見です。

○藤浪企業内人材育成支援室長 今、御指摘いただきました実績の把握については、両コース、成長分野とグローバル人材育成を統合はしますが実績については現行どおり、それぞれ別々に把握していくこととしております。

○小杉分科会長 ほかに何かありますか。

○板垣委員 資料2-2で取り上げられている合格率についての根拠、講座レベルの要件について質問いたします。専門実践教育の指定基準については前回、対象となる講座がITスキルスタンダードのレベル3以上であることを十分に周知してほしいという点や誤解がないようにということ、一方で職業能力開発が不十分な方への対応として、専門実践教育訓練の対象にはならない講座については、一般教育訓練での拡充を図ること、この2点についてお願いをさせていただきました。

 その上で1点、質問いたします。資料2-21ページに講座指定基準のうち講座レベルの要件として資格の受験率80%以上、合格率が平均合格率以上、就職率80%以上とあります。雇用保険から手厚く助成がされる制度である以上、それに見合う水準の講座であることが求められるということは当然なのですが、情報通信技術に関する資格の中に合格率を非公表としているものがあるというように聞いております。そのような資格の場合に当該資格の平均合格率以上をどのように取り扱うのかという点について確認したいと思います。以上です。

○伊藤キャリア形成支援課長 まず、直接お尋ねがあった部分についてお答え申し上げます。この度の見直し案についてお諮りする前提としてのIT専門検討会議の中でも、資格、運営主体等からのヒアリング、その他、様々な情報収集を行う中で、例えば資格運営主体のヘッドクウオーターが国外に所在して、そことの協定等との関わりで、合格率について公表がなされていない資格があるという実態については、私どもも一部状況を承知しております。

 これに関しては、私どもが今現在考えている対応方針として、この指定基準見直しが行われた場合に大いに活用が想定される資格で、今ほど申し上げたような制約があるものに関しては、日本に所在する運営主体を通じて様々な調整を行う中で、可能な限り厚生労働省の立場としては当該資格の本邦における合格率を把握するという形でここにお示ししている受験率、合格率に関わる運営基準、イコールフッティングの中での運営を図るということを基本として考えていきたいと思っています。

 ただ、今後の調整の中で、なかなか理解が得られない場合の対応についてどのような形を取っていくのかということについては、かなり技術的な課題ということになってくるわけですが、幾つかの選択肢があるかと思っておりますが、でき得る限り公平性を失しない又は透明性を失しないような形で工夫していきたいという考え方です。

 今の御質問の前提となるITSSの基準に基づく適正な運営、また、専門実践ではなかなか支援が難しい層について、一般教育訓練制度も、この指定基準の見直しに併せて、より積極的な啓発を行う。取分け、今回ターゲットとする情報通信技術分野について積極的な働き掛けをするという点については、先般、頂戴した御意見、また、それを踏まえての私どもの考え方は申し上げたとおりです。先ほども説明の中で申し上げた関係機関との今後のより本格的な調整、あるいは様々な媒体等の協力を得ての広報活動の中で、今ほど申し上げたような点についてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

○板垣委員 念のための確認なのですが、日本国内における合格率を厚生労働省として可能な限り把握されるという意味に捉えて良いですか。

○伊藤キャリア形成支援課長 はい。そういうことです。

○板垣委員 ありがとうございます。

○小杉分科会長 ほかに何かございますか。

○三村委員 セルフ・キャリアドック制度の拡充について新たに導入されますので、せっかくいい制度ですので、円滑な実施に至ればと願っております。まずは、これが企業内人材育成という観点からセルフキャリアという個人のキャリア形成へと大きくパラダイムが変わったと思うのです。そういう意味で資料1-22ページの所にあるかと思いますが、こういう理解を雇用者側にどのように浸透させるのかという点が1つ。

2つ目として、個人のキャリア形成と企業における経営戦略が必ずしも一致しない場合があると思いますが、そういう場合にキャリアドックから、いわゆる企業の経営戦略が影響しないような個人のキャリア形成を主体とした上でコンサルティングの機関にどのようにつなげていくかまで考えているのかどうかという2点を質問いたします。

○伊藤キャリア形成支援課長 セルフ・キャリアドックについて、キャリア支援という観点での政策的な考え方についての御確認、御質問ということで、私からお答え申し上げます。

 この度のセルフ・キャリアドックの名称、また、政策的な狙いですが、日本再興戦略の中にも位置付けられているように、基本的には労働者がそれぞれ自らのキャリアについて主体的に考える機会をそれぞれのキャリアの節目の中で提供していくということで、考え方の基本としては労働者個々人の主体的なキャリア形成支援の促進をするということが、政策的な狙い、眼目です。

 そういう機会をより確実に提供していく上で、働き手が実際にキャリア形成をする場である、それぞれの企業の中で仕組みを構築することが、より確実、効率的であるという考え方で、先ほど説明申し上げたように、キャリア形成促進助成金による助成対象メニューの位置付けという形で、それぞれの企業の取組を進めていこうということが基本の考え方です。

 したがって、この取組をその狙いに即した形でしっかり進めていく上では、労働者個々人に対してセルフ・キャリアドックを活用する狙い、また、それぞれの企業がこの仕組みを構築することが企業経営上、また、従業員の人材育成、キャリア形成上どのような狙いがあるのかという点についてまずは正確、丁寧に周知を行っていくということが大変重要であると思っております。

 その上で、今現在、私どもが考えいるセルフ・キャリアドックの狙い、あるいはそれに関わる企業や労働者の基本的な役割、さらには先ほど企業内室長から説明したような助成金の要件という観点での周知等について、正確に行うことは当然のことですが、そうした中で、ただいま三村委員からも御指摘がありましたように、企業経営の立場と労働者の立場で、時に、部分的に捉えた場合には、いろいろな価値観や方向性がコンフリクトを生ずることがあり得るということは、私どもも問題意識として持っております。

 私どもは、これまでも様々な研究を通じて企業内のキャリア形成支援の実態、課題について個別事例、また、データ分析等を進めてきたところですが、セルフ・キャリアドックについては今後のキャリア形成支援に関わる中心的な取組であり、かつ、今ほど御指摘のとおり非常に複雑な課題でもあるということで、今日、お諮りをしているキャリア形成促進助成金等を通じての活用促進という切り口だけではなくて、中小企業、あるいは様々な業態の企業に実際にセルフ・キャリアドック的な取組に着手してもらい、その中では企業と労働者の関係についても幾つかのパターンがあり得ようと。人事部門との密接なつながりで行うセルフ・キャリアドック、教育訓練に寄せるセルフ・キャリアドックもあると思います。個々の面談中心というやり方もあり得るかと思っております。

 そして、幾つかの狙い、類型の中でのセルフ・キャリアドックの効果なり課題も個別に検証した上で、今後セルフ・キャリアドックを狙いに即した形で、より的確に運用するためのマニュアル、あるいはモデル的な就業規則というもののインフラ整備を並行的に進めていくことによって、今ほど委員から御指摘があったような弊害が発生しないということをより確実に確保する。あるいは、より企業にとっても労働者個々人にとっても役に立つセルフ・キャリアドックの普及を図っていきたいという考え方です。

○三村委員 ありがとうございました。理解しました。

○小杉分科会長 ほかに何かございますか。

○高倉委員 資料3-2についてです。訓練内容の見直しは、その時々の実態に合うようにタイムリーに見直すということが大変必要なことだと思うのですが、如何せん、それぞれの分野で今実態がどのようになっているかということはなかなか把握できていないものですから、判断がしにくいという問題があります。例えば、2ページですが、中ほどに輸送機械整備技術系で航空機整備科の所で、「洗浄装置について、現在使われていないため削る」と書いてあります。そうすると、何だ今、飛行機は洗っていないのかと思ってしまうものですから、そういうことではないですよね。

 ですから、そこだけではないですけれども、少し補足ができれば、していただいたほうが非常に理解しやすくなるであろうという要望です。

○波積能力開発課長 飛行機の洗浄は当然やっております。航空機整備科の具体的な内容については、確認した上で説明いたします。

 他の訓練系については、例えば、前ページの工芸系では印章彫刻課の名称を変更しております。こちらは、現段階ではゴム印以外に実際に削るわけではなく感光性樹脂を使用したような形で、作成方法がかなり変わったため、鋳造ではなくて製造に変えるとか、こういう形で実際の中身を見ながら変更しているところです。

○宮川職業能力開発局長 いずれにしても次回以降の資料では、もう少し分かりやすいような形でということでお許しいただければと思います。

○高倉委員 はい。

○小杉分科会長 では、お待たせしました。村上委員、お願いいたします。

○村上委員 先ほどのセルフ・キャリアドックについて、少し助成金の話をお伺いしたいと思います。資料に「定期的なキャリアコンサルティングの機会の確保」という文言が3回出てきておりますが、少し違う部分があるのかと思い、その確認をしたいと思います。

 資料1-32ページです。具体的な助成措置では制度導入コースとキャリア形成促進助成金のコース、一般企業型訓練の対象事業主要件の3点でセルフ・キャリアドックを導入していくということで、いずれもセルフ・キャリアドックというのは、その上に書かれているように「年齢、就業年数、役職等の節目において労働者に定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を提供する仕組み」であるというところは共通しているということと、制度の導入については、就業規則や労働協約等で定めがあるということが記載されています。

 違いがあるのは、制度導入コースとキャリア形成促進助成金の助成率の引上げの部分に関しては、有資格者によるキャリアコンサルティングが実施されることなのだということです。その違いでいいのかということと、できれば先ほどのお話にもありましたが、定期的なキャリアコンサルティングを労働協約や就業規則に定めていく際に、「定期的な」ということがあるので、10年目に1回という話ではなくて、何らかの節目、節目だということで複数回はあるのだろうと思っておりますので、その辺りもきちんと確認していただくような助成金の要件の説明などをしていただければと考えております。以上です。

○藤浪企業内人材育成支援室長 今、御質問いただきましたセルフ・キャリアドックの要件ですが、御指摘いただきましたように制度導入コースについては、資料に※で記載しておりますが、一定の要件を満たすセルフ・キャリアドックということで、一定の要件、これはキャリアコンサルタント有資格者が行う定期的なキャリアコンサルティングであること、また、就業規則等へ定めることというものが一定の要件となります。

 ○の2つ目も同じ要件です。一定の要件を満たすセルフ・キャリアドックを行っている企業であれば雇用型訓練コース等における助成率の引上げになります。3点目の一般企業型訓練については、一定の要件を満たすものとは付けておりませんので、有資格者である必要はない。いわゆるセルフ・キャリアドック、上のほうに書いてあります、節目における定期的なキャリアコンサルティングの機会の提供というものがあれば、それで十分ということです。ですので、一番大きな違いは有資格者が行うか否かと、就業規則等、労働協約等に定めるか否かが大きな違いです。

 また、定期的なということの要件ですが、各企業によって年齢、就業年数、役職などいろいろなパターンがあると思いますので、要件としては固定的に何年以上、何年以内に最低何回という要件は現時点では設けておりません。一般的に考えると我が国の労働者のキャリアパスの実態、あるいはキャリア形成の節目において自らの職業生活設計を振り返って、それを能力開発の行動に結び付けていくということを踏まえていくと、典型的には10年に1回以上の頻度での実施が期待されると理解しております。

 いずれにしても、制度導入コースについて、その後の実施状況等について把握することとしておりますので、それを踏まえて、また要件等について必要があれば検証等を行っていきたいと考えております。

○村上委員 今の前半の御説明なのですが、一般企業型訓練においても、これは就業規則や労働協約や事業内職業能力開発計画での定めは必要ではないかと書いてありますが、そういうことなので、違いは有資格者によるキャリアコンサルティングの有無というところでよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○藤浪企業内人材育成支援室長 表現が分かりにくくて大変申し訳ございません。一般企業型訓練については、当然ながら一定の要件を満たすセルフ・キャリアドックでもいいわけですので、就業規則、労働協約等と書いてあります。基本的にこちらが想定しているのは有資格者ではない、かつ、事業内計画で構わないという点です。ですので、規定しなければいけないという観点で見れば同じであるので、御指摘のとおり一番の大きな違いは有資格者のキャリコンが行われているか、いないかということです。

○小杉分科会長 先ほどの補足ですね。

○波積能力開発課長 もちろん洗浄そのものは行われているのですが、ここで書いている意味は、洗浄装置という、言わば建物に設置している大型の施設での洗浄は現在は行っていないという意味で、削ったということです。洗浄そのものは当然行われております。

○高倉委員 ほかもあるので、補足できるところは今後補足いただきたいと思います。今日はこれで結構です。

○波積能力開発課長 恐縮でございます。

○小杉分科会長 ほかに何かございますか。

○原委員 資料1-2で、制度導入コースの中で新しく拡充された教育訓練休暇等制度についてお伺いしたいのです。個人が主体的にキャリア形成をするに当たって、労働者が個人で行う教育訓練というのは、自己啓発がとても大事になってくると思うのですが、労働者個人で行う教育訓練の制約要件としてよく知られているのが、金銭的な制約、時間的な制約、もう1つが何をどこで学んだらいいのかがよく分かっていないということ、知らないということが制約になっているということがよく言われていることです。

 金銭的制約と知らせるということに対しては、今までもいろいろな政策が導入されてきていて、時間的な制約を取り除くという意味でも教育訓練休暇等制度、このキャリア形成促進助成金の中に導入されたのはとてもいい取組だなと思っております。それで関心を持っているので教えていただきたいのですが、教育訓練休暇等制度は無給の休暇だと伺っているのですが、これは大体見込みとして何件ぐらい、幾らぐらいの見込みなのか、どのくらい使われる見込みがあるのか教えていただけたらと思います。

○藤浪企業内人材育成支援室長 今の御指摘でありますが、この休暇制度については有給、無給いずれでもということで規定しております。どれだけ使われるかということですが、これは予算要求上においては、休暇制度については700件程度を見込んでおります。今、御指摘がありましたように、こういう制度導入についての助成を行うということですので、これについてはより効果的に使われるよう周知等については来年度以降効果的に工夫をして行っていきたいと考えております。

○小杉分科会長 ほかに何かございますか。それでは、当分科会としては「雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正をする省令案要綱」、「雇用保険法第60条の21項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準の一部を改正する告示案要綱」、「職業能力開発促進法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、「妥当」と認める旨を、私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文()の配布をお願いいたします。

(報告文()配布)

○小杉分科会長 では、お手元に配布された報告文案により労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。

 では、続いて議題5に入ります。議題5は、「第10次職業能力開発基本計画について(諮問)」です。これは本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところで、これを受けて本分科会において審議を行うものです。内容について事務局から説明をお願いします。

○尾田基盤整備室長 資料5に基づき、御説明させていただきます。今回の職業能力開発基本計画については、昨年の9月以来、この分科会において集中して御議論いただき、前回、一応議論を集約していただいたところです。今回、諮問という形でお示ししている内容をお認めいただけましたら、今後、正式に都道府県、各省庁との協議の上、大臣告示という形で告示したいと考えております。

 まず、資料5-1の別添が計画の本体です。資料5-2が事務局で作成した今回の計画の概要です。資料5-3が前回もお示しした目標です。目標の位置付けについては本体の計画とは切り離し、今後、計画の運用の進捗管理のために活用していくことを想定しております。次に資料5-4が、前回までに頂いた指摘事項です。資料5-4の前回の指摘事項に沿って、今回の修正点等について御説明いたします。

 資料5-41点目が、離職者訓練の就職率について、もう少し高い目標とすることができないかということです。2点目が、離職者訓練の就職率について、委託訓練の目標が70%というのはどうなのかという御意見がありました。1つ飛ばして4点目が、関連目標については各年度達成すべきもの、平成32年度までに達成すべきものが混在しているのではないかという御指摘がありました。

 資料5-3で、今の4点目の御指摘について整理いたしました。上段が各年度で毎年達成すべき目標、下段が平成32年度を達成時期として、そこに向けて達成すべき目標という考えで2種類に分けました。また、訓練の目標に関する御指摘については後ほど担当課長から、御説明させていただきます。

3つ目の○が、労働市場インフラの戦略的展開の部分です。個人のキャリア形成の視点が少し足りないのではないかという御指摘を頂きました。これについては資料5-110ページにありますように、第3部の4で、労働市場インフラの戦略的展開について記述しております。前回御指摘いただいたのは、ここでは経済社会の文脈の中で、戦略的展開の必要性を縷々書かれているが、個人の視点がないという御指摘でした。この第4段落、「労働者等のキャリア形成といった観点からは、将来の経済社会と就業構造の変化に先手を打って対応していくことが重要であり、そのため、労働者等が自らのキャリアについて主体的に考え、能力開発を行うことについて、より一層の支援を行う等の環境整備が必要である」ということで、労働者のキャリア形成の観点からの必要性を追記したところです。

 続いて、資料5-45点目の御指摘です。中高年の能力開発の部分で、離職したら再就職が難しいので、在職中の能力開発や転職に向けた支援が必要ということが伝わるような記述の工夫を、という御指摘を頂きました。これについては資料5-115ページの(3)、中高年齢者の職業能力開発についての第1段落の中盤から後半にかけて、「中高年層の強みを発揮できるよう職業能力の蓄積を図るとともに、キャリア転換を希望する中高年の職業能力開発を推進することが必要である」というように記述を変えました。

 次の段落はそのままですが、3段落目からは、「また、在職中の職業能力開発の向上が必要とする視点から、キャリア形成促進助成金による雇用する労働者に対する訓練機会の確保や、更なるスキルアップを図る在職者向けの訓練の実施のほか、雇用型訓練を実施する事業主への支援を行う。さらに、新たな場での活躍を期する中高年に対して、今までの経験・能力に足りない知識や技能を付与するとともに」云々という形で、御指摘いただいた内容を踏まえて修正したところです。

 続いて資料5-46点目、就職氷河期への支援を安定行政を含めたパッケージでやっていくというメッセージが必要ではないかという点については、資料5-19ページの「全員参加の社会の実現加速」に向けた対応の最後の段落、「非正期雇用労働者の中でも、就職氷河期」云々の下から2行目で、「雇用対策と一体となって、これらの者に対する継続的支援によるキャリアアップの実現が引き続き重要である」ということで、「雇用対策と一体となって」という文言を追記したところです。

 また、資料5-47点目の御指摘として、非正期労働者に対する求職者支援制度の活用の記述が適切ではないという御指摘がありました。これについては資料5-116ページの(5)の第4段落目の「さらに」で、「離職した非正規雇用労働者の就職を促進するため、求職者支援訓練を活用」と記述を適正化いたしました。

 続いて資料5-4の次のページでは、ジョブ・カードも能力評価のツールであるという御指摘がありました。これについては20ページの「ジョブ・カードの活用促進」の冒頭で、ジョブ・カードの歴史といいますか、これまでの経緯について4行ほど追記いたしました。「平成20年の制度創設以降、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング、実践的な職業訓練機会の提供及び職業能力評価基準等を用いた職業能力の見える化、これらの結果を取りまとめた、求職者と求人企業とのマッチング等に活用する制度として運用されてきたが」ということで、これまでのジョブ・カードの役割について追記いたしました。ただ、能力評価制度そのものとは、一応役割を分けて考えるということで、計画中の位置付けについては、前回のままということで御了解いただければと思っております。

 資料5-4、次の○では、「企業における自発的な人材育成投資の促進」とあるけれども、「自発的」というのは当たり前であるという御指摘を頂きました。これはごもっともですので、資料5-120ページの(5)の表題も含めて、「自発的な」という言葉を削除いたしました。

5-4、次の○では、「計画のねらい」に、9次計画との対応関係についての記述が無いという御指摘を頂きました。これについては資料5-13ページの冒頭の「計画のねらい」の一番下の段落に、9次計画との関係を書かせていただいております。「第9次職業能力開発基本計画では、厳しい雇用情勢を背景に非正規労働者に対するセーフティネットとしての能力開発の強化を図ると同時に、将来の成長分野を見越した人材育成の推進等を今後の方向性とした。これについては引き続き重要である一方、今回の生産性の向上が重要である」ということで、9次計画の趣旨を踏まえつつ、今回の計画がどういう位置付けなのかという1段落を追記いたしました。

 最後に、生産性向上についての御指摘がありました。具体的に今回の計画の副題が、「生産性向上に向けた人材育成戦略」ですが、内容の記述がややミスリーディングで、生産性向上があたかもIT人材の育成だけに収斂しているかのように見える、という御指摘を頂きました。それについては資料5-112ページの第4部の冒頭の「生産性向上に向けた人材育成の強化」の(1)が、前回までは「生産性向上に資するIT人材育成の強化・加速化」となっておりましたが、こうしますと、あたかも生産性向上はこれだけというように見えかねませんので、ここは削除して、副題は全体に掛かるという趣旨で、そういう誤解を解くように修正いたしました。

 また、これはあくまでも事務局の参考資料ですが、先ほど御説明した資料5-2の真ん中の2つ、「今後の方向性」と「施策の展開」は、主に第3部、第4部の記述を書かせていただいております。その一番左に「生産性向上に向けた人材育成戦略」ということで、全体に掛かるという趣旨を、こういった形で明確にさせていただきました。私からは以上です。

○波積能力開発課長 先ほどの2番目の○ですが、離職者訓練の就職率については、過去の実績を分析した上で立てるべきであり、その上で離職者向けの委託訓練の目標について各年度70%の目標には若干疑問があるという御指摘に対するお答えです。私どもの施設内訓練は、主にものづくり分野の訓練を実施している一方で、こちらの委託訓練が対象とする分野が多岐にわたっており、事務系や情報系など、ものづくり分野と比較いたしますと、実績の上がりにくいものがかなり含まれているかと思います。過去10年間の就職の実績の推移を見ても、常に大体10%程度の差があるというのが実態です。

 もちろん、委託訓練の就職実績を施設内になるべく近づけるということは、必要な努力目標です。実際に平成22年度に目標を立てたときは、新成長戦略を策定して、委託訓練の就職率を2020年には65%という数字を立てました。こちらの数字ですけれども、直近の平成23年から25年の間、70%を超えるようなこともありましたので、そういう実績を踏まえて平成26年度から自主的に目標を、65%から70%に上げたという経緯がありました。

 これまでの経緯を見ても、過去10年間で70%を超えた年は平成19年、25年、26年の3か年です。例えば、平成20年度などはリーマンショックがありましたので68%に下がり、平成21年度には62.4%まで下がったという形で、かなり景気の動向に影響されて振れることが考えられるのではないかということです。直近に上げたことや景気の動向もありますし、常に10%ぐらいの差があるといったことも踏まえて、更に年度の目標を引き上げることが必要かというのは、慎重に判断する必要があると考えております。10次計画を策定する段階では、70%に据え置くという形になっておりますけれども、平成27年度の実績、あるいは今後の平成28年度の景気動向も踏まえながら、目標値として何が適切なのか、見直しも含めて適切な設定をさせていただければと考えている次第です。よろしく御検討のほど、お願いいたします。

○小杉分科会長 それでは、ただいまの説明に対して皆様の御質問、御意見をお伺いいたします。

○荘司委員 要望を述べたいと思います。資料5-119ページ、対人サービス分野を重点とした技能検定の整備等の関係です。このイの技能検定の活用促進で、「若者等に対する技能検定の積極的な活用を促進する」という記述があります。こういった3級の技術検定は、専門高校や職業訓練校などで技能を学ぶ学生や訓練生の技能習得の意欲を増進させ、技能及び職業に関する教育訓練の成果に対する社会一般の評価を高めることを目的とした試験であると考えております。

 ただ、都道府県知事が実施するものについて、3級技能検定の受検料がおおむね実技試験が1万円、学科試験が約3,000円となっております。指定機関が実施する3級技能検定については個別に定められており、一部では1万円、3,000円の合計を上回るものもあります。そういった受検手数料の妥当性というのは、定期的に見直しがされていると思いますけれども、教育現場からはやはり高いという声も上がっております。さらに、学生や訓練生の受検拡大を進めていくのであれば、そういった受検生への助成なども含めて、より受検しやすい環境が必要であろうかと思います。技能検定の活用は、ものづくり分野の人材育成や学校段階からの適切な職業意識の醸成にも資するものです。技能検定の実務を担っている業界団体にとっては、負担も大きくなろうかと思いますけれども、是非ともそういった業界の将来を担う若者を呼び寄せる先行投資という観点も持っていただき、経済的負担の軽減の検討をお願いしたいと思います。

○宮本能力評価課長 技能検定については、平成12年に自治事務として位置付けられ、国は地方公共団体の手数料の表示に関する政令で標準額を示しております。各都道府県はそれを参考に、それぞれが設定することになっております。技能検定試験は、国・都道府県からも補助金を出しております。そのため、現行の手数料で収まっておりますが、実技試験を伴うために、試験実施費用も高額になっております。このため、自治事務になる前から工業高校などの在校生の3級受検については、3分の1の減免措置を行ってきたところですが、平成12年に自治事務に位置付けられた以降も、全都道府県で同様の措置が取られております。都道府県によっては更なる減免措置を講じている所もあると承知しております。今後とも業界団体などの事実を踏まえ、新たな3級の設定を進めるほか、受検しやすい実施時期の設定、ものづくりマイスターによる実技指導を行うなど、引き続き在校生が受検しやすい環境整備に努めてまいりたいと考えております。

○田口委員 前回途中退席をしたので、今の段になって大変申し訳ないのですけれども、ちょっと見させていただきました。この表題が「生産性向上に向けた人材育成戦略」ということで、人がいないから生産性を高めようということだと思うのです。総説の「計画のねらい」で、今は成長戦略で地方創生と言われていますよね。これは表現は別としても、政権が代わってもずっと同じだと思うのです。地域の経済社会を維持しておかないと日本の社会が成り立たない、経済が成り立たないということだと思います。そのことは「計画のねらい」に、しっかり書き込まれないといけないのではないかと思っています。

10ページの、産業界のニーズや地域の創意工夫を活かした人材育成の推進の最初の2行に、それが非常に正しく記載されていると思います。国の経済成長は、地域経済の成長に支えられているということです。この視点と言いますか位置付けは、むしろ「計画のねらい」のほうに書かれないといけない観点ではないかと思います。そういう点で「地域」や「地方」という文言が「計画のねらい」に出てこないというか、1か所ぐらい出てくるだけですよね。ですから、これを。人材育成というのは、どこかにバーチャルに存在しているわけではない。保育所も問題になっていますけれども、要するに生産性向上にしても食住接近で、やはり地域で人材育成をしていかないと生産性向上にもつながらないので、そういう観点を書き込むべきではないかと思います。その点はいかがでしょうか。

○尾田基盤整備室長 そこについては座長とも御相談して、御指摘を踏まえた形で考えたいと思います。

○小杉分科会長 「計画のねらい」に「地域」という言葉を入れるということですか。

○田口委員 確か以前に審議会等で、地方の代表が審議会に入っているのかとか、地域経済や地方についての発言が、審議会でなされているのかという御質問もあったようにお聞きしています。そういう観点がないと、国会審議等でもいろいろそういう御質問が出てくるのではないかという心配もありますので、よろしくお願いしたいと思います。

○小杉分科会長 その件については事務局と私が相談した上で、何らかの形を考えたいということで、ほかによろしいですか。

○村上委員 資料5-1の第10次職業能力開発基本計画についてです。この文言がどうこうという話ではなく、質問と要望です。16ページに非正規労働者の職業能力開発についていろいろ書き込んでいただき、就職氷河期世代の問題も書いていただきまして、ありがとうございました。では、それをどうやって具体化していくかが次の課題であろうと思います。(5)の最後の段落で、「キャリアアップを目指す非正規雇用労働者に対する一層の支援の在り方について検討を行う」と書いていただいておりますが、具体的にいつからどのような場で検討するのか、今何かお考えがあれば教えていただければと思います。

 あと、要望として、この間も非正規労働者の問題や能力開発の問題も、様々取り上げてきていただいておりますが、まだまだ人数も多く、それぞれ置かれている状況も多様であるということで、様々な施策、もう少し対象別の施策も必要ではないかと考えております。派遣社員の方と契約社員の方とは違いますし、就職氷河期世代の方とまだ若い方とも違いますので、それぞれ対象別にどのような施策が真に実効性があるのかということを、是非検討する場を設けていただければと思っております。

○宮川職業能力開発局長 非正規労働者の職業能力開発の点で、今後の支援の在り方の検討について、御要望と御質問という形ですが、この計画自体が5か年間の計画であるということと、非正規労働者に対する能力開発を含めた処遇の改善や様々な政策の取組は、既に現に一定の取りまとめを行った上で公表しております。しかしそこに安住することなく、様々な能力開発施策あるいは雇用対策を、今後も厚生労働行政として打っていくという思想を示したものと御理解いただければと思います。正に検討を行うという意味の中で、不断の検討を行っていく大きな課題ではなかろうかと認識しているところです。また、様々な場での検討という御要望については、適切に考えていきたいと思います。

○小杉分科会長 ほかに御質問がなければ、本日の議論はここまでとさせていただきます。先ほどの田口委員からの件については、私と事務局で検討いたします。「第10次職業能力開発基本計画(諮問)」について、当分科会としては「妥当」と認めるということで、私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは事務局から、報告文()の配布をお願いいたします。

(報告文()配布)

○小杉分科会長 では、お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいですか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告いたします。続いて議題6、「2015年度の年度目標の中間評価について」です。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

○木塚総務課長 それでは、資料6に基づき御説明いたします。資料63ページを御覧ください。年度目標の中間評価ということで、PDCAサイクルの機能の充実強化を図るため実施するものでございまして、今年度の中間評価につきまして御報告をさせていただきます。目標の項目としましては、一番左側にあるとおり、4つございます。1つはニートの縮減として、サポステによるニート等の就職者数。2つ目として、ジョブ・カードの新規取得者数。3つ目といたしまして、公共職業訓練の終了3か月後の就職率。4つ目といたしまして、求職者支援制度による職業訓練の終了3か月後の就職率の4項目を挙げています。2015年度目標はちょうど中段にあります。実績が一番右手のほうになるわけですが、まず、1つ目のニートの関係ですが、目標が17,000人に対しまして、2015年度の4-10月間の実績については9,262人となっています。景気動向等の改善により新規登録数が減少したことが主な要因ですが、現時点ではなかなか目標の達成が厳しい状況です。今後、ニートの職業的自立の支援ということで、キャリアコンサルタント等による専門的相談、協力企業への職場体験等を積極的に実施、あるいはハローワークや高校との連携強化といったことで、新規登録者の拡大に努めてまいりたいと考えています。

2つ目のジョブ・カードの関係ですが、目標が232,000人に対しまして、10月時点の実績は94,000人となっています。2015年度中にジョブ・カード制度を見直すとしていたこともあり、旧ジョブ・カード制度の周知方法に影響があったこと、あるいは離職者訓練や休職者支援訓練の受講者数が、131,000人から115,000人に減少したといったことが要因で、現時点では目標達成は厳しい状況ということです。今後、ハローワークにおける求職者を対象にした就職相談等の際のツールとしての活用、あるいはジョブ・カード制度総合サイトというのを作っておりますので、これの周知、あるいはスマートフォンのアプリも作成していますので、そういうものによりジョブ・カード作成支援アプリ等の活用促進などによって、一層の取得促進を図りたいと考えています。

3つ目は、公共職業訓練の関係です。目標が施設内が80%、委託訓練が70%ということですけれども、現段階での実績は、それぞれ84.1%、73.7%となっています。ニーズに応じた訓練の設定ですとか、あるいは訓練実施機関・ハローワーク等の連携による就職支援等の推進ということで、今のところ目標は達成できるのではないかと考えております。今後も引き続き、訓練の質の確保、訓練効果の維持・向上、必要に応じた、より良い内容になるように見直しを進めてまいりたいと考えております。

 それから、4点目ですが、求職者支援訓練の関係につきましては、目標が基礎コースが55%、実践コースが60%となっています。一方で実績ですが、実績は基礎コースが53.6%、実践コースが60.2%となっております。現段階につきましては、基礎コースは若干目標を下回っているところですけれども、これまでの傾向としまして、就職率が年度後半に上がる傾向があるということで、就職支援をしっかりやっていけば、目標水準となることができるのではないかと考えています。今後、目標達成のために、効果的な訓練の設定、ハローワークにおける担当者制などによる集中的な支援、訓練実施機関の就職支援に関するノウハウ向上のための支援の実施などによりまして、就職に向けた取組を一層強化させていきたいと考えています。説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、この件につきまして皆様から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○高倉委員 マル2のジョブ・カードの新規取得者数についてですが、今説明があったとおり目標達成は厳しい状況だということですけれども、目標の在り方について意見を申し述べたいと思います。この件に関しては、先の317日の厚労省の第22回政策評価に関する有識者会議、そしてこの分科会でも意見が出たかと思います。更にはジョブ・カード制度推進会議の中でも指摘されているというように理解をしております。ジョブ・カード取得者数の目標を掲げるということ自体を否定するものではありませんが、ジョブ・カードを労働市場の基礎インフラに位置付けて、その活用を進めていくためには、どれだけ労働市場で実際に活用されているのか、その実態を図ることができるような事項を目標に掲げるべきではないかと思います。先ほど議論がありました第10次職業能力開発基本計画の中でも、ジョブ・カードの活用促進という項があって、「求職活動や職業能力開発などの各場面において一層の活用を促進していく」という記載があります。例えば、ジョブ・カードを応募書類として活用している企業数がどれぐらいあるかなど、ジョブ・カードの取得者数だけではなくて、もう一方の利用者である使用者側に立った目標を設定することも検討すべきではないかと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援課長 このジョブ・カードの狙い、運営の基本的な考え方について、今ほど委員からも御指摘いただきまして、また、先の議題、第10次能開計画案にも示されておりますように、生涯にわたるキャリアプランニング、また、円滑な就職等を実現するための能力証明、こういう位置付けを改めて明確化したということで、このジョブ・カードの目標設定の在り方に関しましても、見直しをしたジョブ・カードの在り方に、できるだけ即した形で順次見直しをしていくべきという基本的な考え方は、今ほど委員から御指摘があったことと全く同様でございます。

 当面の見直しの具体的な在り方としましては、先ほどの議題の中で、基本計画に係る関連目標ということで一覧表を掲げさせていただいているものもありますが、こういったものの中でも、ジョブ・カードの取得者数そのものというよりは、もちろんこれはジョブ・カードの全てを表したものではありませんが、ジョブ・カードを活用する主要な場面である有期実習型訓練の正社員就職率といった目標設定をさせていただくなど、具体的に就職、キャリアアップに結び付けるという観点から、順次様々な場面で、このジョブ・カードの活用に関わる、より適正な、また、多角的な目標設定をするという考え方。今ほどお話がありましたような、応募書類における活用状況ということも、私ども大変問題意識を持っており、労働市場全体の中でということはなかなか捕捉も難しいわけですが、安定局とも連携をする中で、ハローワークの職業紹介場面の中では、ジョブ・カードの応募書類の位置付けがどの程度のものかということについて、いろいろな把握・分析も行っているところであります。更に言えば、先ほど少し説明の中でも触れられたジョブ・カード制度総合サイトによるジョブ・カード作成支援ソフトの目玉となる機能としまして、ジョブ・カードの情報を入力することによって、おおむね自動的に履歴書又は職務経歴書といった、一般的に用いられる応募書類に非常に簡便にコンバートできるといった機能も位置付けているところですので、そういったものも、より積極的にアピールをしていきたいと考えております。今ほど申し上げました考え方を前提とした上で、こうした活用促進を図るに当たりましても、言わばジョブ・カードを作成する母数が一定数確保されないと、そうした効果も十全に発揮されないという部分もありますので、本日頂いた御意見も十分踏まえつつ、こうした取得者数という、言わば母数目標プラス、より就職キャリアアップに資するという観点での実践的なアウトカム目標を的確に組み合わせ、実現を目指していくというような考え方で、今後とも、このジョブ・カード事業の運営そのもの、また、適切な目標管理に努めていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ほかにございますか。特にございませんようでしたら、この議題についてはここまでとさせていただきます。

 次に、議題7、「その他」です。事務局から報告がございます。内容について事務局から説明をお願いします。

○宮本能力評価課長 資料7、資料8に基づきまして、「技能検定『ビルクリーニング職種』の複数等級化について」、「職業能力検定を適正に実施するために必要な事項に関する基準の制定と社内検定認定規定の改正」について御説明をいたします。まず、資料7についてです。技能検定「ビルクリーニング職種」につきましては、現在、等級に区分しない単一等級による試験を実施しています。また、業界団体である公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が、指定試験機関として実施しています。今回の複数等級化の背景・理由ですが、2にあります。清掃対象、清掃方法の多様化によりまして、求められる技能が変化したこと、技能検定「ビルクリーニング職種」に期待される役割が広がってきていることから、段階的な評価が可能な複数等級、具体的には単一等級から1級、2級、3級、外国人技能実習生向けの基礎1級、基礎2級による試験に変更するため、所要の省令等の改正をすることとしております。

 具体的には3の部分ですが、青い枠の中を御覧いただけますでしょうか。まず、1点目として、単一等級で試験を実施する職種からビルクリーニングを削除しまして、等級区分を設定するために「職業能力開発促進法施行規則」の一部改正を行います。

2点目は、指定試験機関である全国ビルメンテナンス協会によるビルクリーニング職種の試験業務の範囲について、単一等級から複数等級に変更するため、「職業能力開発促進法第47条第1項に規定する指定試験機関の指定に関する省令」の一部改正を行います。

3点目、一番右側の青枠ですが、各等級の受検手数料の金額を定めるため、「厚生労働大臣が定める手数料の金額」の告示の一部改正を行う予定としております。なお、これらの省令等は、本年3月中に公布し、平成2841日付けで施行する予定でございます。改正省令等の公布後、厚生労働省の指導の下、全国ビルメンテナンス協会による試験内容の変更等につきまして、計画的に周知を図っていくこととしております。

 続きまして、資料8の御説明をいたします。資料8は、職業能力検定を適正に実施する事項に関する基準の設定と社内検定認定規定の改正の2点があります。まず、基準の制定がありますけれども、この告示につきましては、職業能力開発促進法の改正によりまして、法第50条の2の規定が新設されております。これは、右側の枠の「改正後」の枠の赤い文字の部分です。この新設に伴いまして、同条に基づく基準、具体的には下のほうの赤枠の中ですが、同条に基づく基準として制定するものです。この告示では、改正前に社内検定認定規定という告示がありました。これに定められた事項から事業主その他の関係者が職業能力検定を適正に実施するために必要と考えられる、安定性、公正性、客観性に関する基本的な事項を基準として定めたものです。具体的には赤枠の中にありますが、営利を目的としない、経理的・技術的基礎を有すること、公正な組織の確立、客観的な検定基準の整備、技能・知識を検定できる試験方法等です。

 続きまして、社内検定認定規定の改正です。この告示は、これまで大臣告示に認定根拠を置いてきたものですが、この体系を改めまして、省令に認定根拠、具体的には71条の2、右側の青い文字の部分ですが、この根拠規定を置いたことに伴う所要の改正を行うとともに、規則の第71条の4に基づきまして認定要件の明確化を行うものです。

 主な改正点は裏面です。裏面の図が、改正前の認定要件と改正後の認定要件ですが、青字の部分が改正後の変更点です。主な改正点ですが、まず認定要件に先ほど御説明しました大臣基準、点線の中ですが、これを規定しています。それから、試験方法につきまして、学科試験及び実技試験で行うことを規定するほか、検定の実施に関する計画として、必要な職員の確保、必要な事務所その他の設備の確保、区分経理、定期的な点検の実施を規定し明確化しております。さらに、検定の合格者の称号が、消費者や顧客に与える影響も考慮し、合格者の称号が適切であることを付け加えています。

 加えて、現行では取消事由が限定的であるため、不正な手段による認定のほか、認定事業主として適当でなくなったと認めるときも、取消しが行えるよう取消事由として新設するなどの改正を行うものです。なお、これらの告示につきましては、3月下旬に公布し平成2841日付けで施行する予定です。御説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、皆様からの御質問、御意見はございますでしょうか。

○村上委員 今、資料7で、技能検定のビルクリーニング職種の複数等級化の御報告を頂きました。直接この複数等級化の話ではないのですが、ビルクリーニング職種を技能実習職種に追加するような動きもあるのではないかと認識しております。その点に関連して、サービス業を技能実習職種に追加するという点に関して、意見を申し述べたいと思います。サービス業は、移転対象とする技能や技術が世界に冠たる技能レベルにあるのかという判断が大変難しいと感じております。ですから、その判断が難しいという中で、判断を緩めて、労働力確保のために職種追加をするというような動きも生じかねないと考えています。最近では、コンビニエンスストアの店舗職などを追加したいというような声もあると聞いていまして、こういった動きの背景には、人手不足を解消したいというニーズがあると思わざるを得ない状況だと思います。しかし、技能実習制度というのは、国際協力の観点から、世界で冠たる日本の技能・技術を移転していくという目的であるはずなのです。従って、職種の追加に関しては、今後とも、技能実習評価試験専門家会議等もあるので、そこの意見も十分尊重していただきたいと思いますし、特にサービス業については、人手不足のための受入れではないということも含めて、慎重に職種追加の是非を判断いただきたいと思っております。

○宮川職業能力開発局長 技能実習の趣旨と申しますのは、今ほど御説明があったとおりでございまして、いわゆる国際協力ということです。技能移転ということも国際協力でございます。そういう点は今回、技能実習法案の中にも明定されていまして、職種追加につきましても、従来から行ってきた専門家会議での御議論を踏まえた形で、いわゆる単純労働ではないこと、公的な評価システムが適切なものがあること等々、きちんとチェックさせていただいておりますので、今後ともそういう形で引き続き行っていきたいと考えています。以上です。

○小杉部会長 ほかにございますか。特にないようでしたら、本日の議論は以上といたします。次回の日程等につきましては、改めて事務局から連絡をさせていただきます。本日の議事録の署名委員ですが、労働者側は村上委員、使用者側は河本委員、それぞれお願いいたします。それでは、本日はこれにて終了いたします。どうも進行に御協力、ありがとうございました。


(了)

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