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2016年3月16日 第29回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 議事録

○日時

平成28年3月16日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(19階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

1.社会医療診療行為別調査にかかる整理について
2.基本データセットの提供について
3.オンサイトリサーチセンターについて(一部非公開)
4.レセプト情報等の民間提供について(非公開)
5.その他

○議事

○山本座長 定刻となりましたので、ただいまより第29回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催いたします。

 構成員の皆様方には、年度末の御多忙の折、お集まりいただきどうもありがとうございます。きょうも活発に御議論をよろしくお願いいたします。

 本日の構成員の出欠状況について、事務局からお願いします。また、構成員の交代がありましたので、あわせて事務局から確認をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 とりあえずこのままで失礼させていただきます。

 本日の構成員の出欠状況について御報告させていただきます。

 石川構成員、印南構成員、霜鳥構成員、新保構成員、頭金構成員、府川構成員、宮島構成員から、本日御欠席の御連絡をいただいております。

 松田構成員におかれましては、少しおくれられるという御連絡をいただいておりますので、本日10名ということで開催要件を満たしておりますことを御報告させていただきます。

 前回から構成員の交代がございましたので、御紹介をさせていただきます。

 小泉構成員にかわりまして、日本歯科医師会の杉山茂夫常務理事に御就任いただいております。

 続きまして、本日は議事に関連して参考人をお呼びしております。参考人についても御紹介をさせていただきます。

 霜鳥構成員が本日御欠席ということですので、健康保険組合連合会から松本義幸様に御出席いただいております。

 本日、オンサイトリサーチセンターに関連しまして、京都大学大学院から黒田知宏様に御出席いただいております。同じく加藤源太様、岡本和也様、酒井未知様に御出席いただいております。

 本日、社会医療診療行為別調査の関係がございますので、大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課から衣笠室長。

○衣笠室長 よろしくお願いします。

○赤羽根室長 山田室長補佐。

○山田補佐 山田です。お願いします。

○赤羽根室長 町田室長補佐が出席しております。

 参考人に関しましては、以上でございます。

 本日は、オンサイトリサーチセンターについて、議事後半部分と、それから、レセプト情報等の民間提供について、情報セキュリティに関連する事柄や公表前のデータの内容についての議論も予定しておりますので、11時ごろに休みを入れさせていただいた上で、残り60分ほどを非公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 本日、構成員の何名かの方が後半に所用があるということをお聞きしておりますので、できるだけ議事を迅速に進めたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

 それでは早速、本日の議題の1つ目「社会医療診療行為別調査にかかる整理について」事務局より説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。ちょっとお聞き苦しい状況で大変失礼いたします。

 資料1「社会医療診療行為別調査に係る整理について」という資料をごらんいただければと思います。こちらで事務局のほうから御説明をさせていただきます。

 2ページ「社会医療診療行為別調査の概要」でございます。そもそも社会医療診療行為別調査とは何なのかということで、概要をお示しさせていただいております。

 【調査の目的】ですが、この調査というのは、医療保険制度における医療の給付の受給者にかかる診療行為の内容、傷病の状況、調剤行為の内容、薬剤の使用状況等を明らかにするということで、医療保険行政に必要な基礎資料を得ることを目的として実施されております。

 【調査の対象】ということで、社会保険診療報酬支払基金であるとか、国保連に提出され、審査決定された診療報酬明細書、調剤報酬明細書を調査の対象にしているというものでございます。

 【調査の客体】ということで平成26年調査を書いておりますが、医科病院、医科診療所及び歯科病院であるとか、歯科診療所の診療報酬明細書ということで書いております。

 【調査の時期】は毎年6月審査分ということでございます。

 【調査の事項】も下に書いてあるとおり、診療報酬明細書に書いてある年齢、傷病名等々の事柄ということです。

 今回、議題に上げさせていただきましたことということで、3ページ「社会医療診療行為別調査の今後の取扱いについて」のほうで少し御説明をさせていただければと思います。

 まず、社会医療診療行為別調査についての現状なのですけれども、この調査については、長年、統計法のもとで医療保険行政に必要な基礎資料を得るということで実施されてきたものでございます。

 平成23年度の集計から、この調査については、一部抽出でございますけれども、NDBデータの利用を開始しております。具体的に申し上げると、医科病院、調剤は平成23年度、医科診療所は平成25年度、歯科病院については平成26年度ということで、順次NDBデータの利用を始めていたところなのですけれども、このたび平成27年度につきましては、歯科診療所についてもNDBデータからデータを活用するということで、NDB全数を集計対象にするということに至っております。

 当該調査の集計が全てNDBデータをもとにしたものになるというこの機会に、この調査について、NDBデータ第三者提供の枠組みの中で改めて位置づけを整理してはどうかということで今回御提案させていただいております。

 今回提案させていただく主な論点としては、以下3つございます。

 1つ目なのですが、この調査の情報を使って実施されてきました省内部局からの要望に対する特別集計という枠組みがあるのですけれども、これをどのように扱うのかというのが1点目でございます。

 2点目でございますが、省外の研究者等に当該調査に係る情報を提供してきたという枠組みがあるのですけれども、これについてどのように扱うのかということがございます。

 3点目でございますが、この調査とそのデータを活用した特別集計について、従前から第三者提供の枠組みの中では適用している最小集計単位の原則の適用について、どのように考えるのかというのが3点目でございます。

 以上3点について御検討いただければと思っております。

 次の4ページ目から、一つ一つの項目についてもう少し詳細に御説明をさせていただければと思います。

 「1特別集計の扱いについて」ですけれども、社会医療診療行為別調査では、これまで統計法第32条に基づいて省内部局からの集計依頼に対して特別集計を行って、結果の提供を行ってきたという経緯がございます。これは主なところでいうと、保険局医療課がやっている診療報酬改定の際などにも特別集計を使うといったことがよく行われております。

 一方で、NDBデータの第三者提供では、これまで特別集計のような枠組みというのは明確には位置づけられてこなかったという経緯がございます。

 こういう状況で当該調査をどのように整理するかということなのですが、下の「整理の方向性案」というところをごらんいただければと思うのですけれども、今回、NDBデータの第三者提供の枠組みの中でも、この社会医療診療行為別調査に限っては従前同様に近いような取り扱いをガイドラインの中で位置づけられないかと考えております。具体的には、要望部局から統計情報部に申し出をして、これを受けて統計情報部で特別集計を行って提供する。これを明示的にガイドラインの中に位置づけられないかと考えております。

 ただ、この場合、統計情報部のほうで、特別集計の状況について、定期的に保険局と有識者会議のほうに御報告を行っていただくということを前提にこういうことをしてはどうかと考えております。これが1点目でございます。

 次に「2研究者等への集計用データの提供に関する扱い」でございます。5ページ目をごらんいただければと思います。

 従前から社会医療診療行為別調査では、こちらは統計法第33条なのですけれども、この33条に基づいて研究者等から申し出があって、要件を満たしている場合には調査票情報の提供を行ってきたという枠組みがございます。これについてもNDBデータの第三者提供の枠組みの中では存在してこなかったということなのですけれども、これについてどう整理するかということでございます。

 「整理の方向性案」としては、研究者への提供についても、できるだけこれまでの流れに支障を来さないということを考えて、可能な限り従前の枠組みに近い形で整理できないかということで検討を進めることとしてはどうかと考えております。これが2点目でございます。

 6ページ目「3最小集計単位の原則の適用」というところをごらんいただければと思います。

 現状についてですが、社会医療診療行為別調査については、統計法に基づいて集計結果の公表を行ってきたというところでございます。統計法では、その基本理念として個人や団体等の秘密の保護というところが掲げられているのですけれども、NDBデータの第三者提供における最小集計単位の原則に相当するようなはっきりした定量的な公表基準というのは存在しておりませんでした。

 そういうこともありまして、当該調査については、明示的な形で幾つ以下をマスクするというような形の運用はなされてきていないのですけれども、今後これについてどのように整理するのかということで「整理の方向性案」を御提示させていただいておりますので、御説明させていただきます。

 社会医療診療行為別調査については、これまでのところ最小集計単位の原則は明示的に用いてはいないのですけれども、現在までのところ特段の問題なく実施されているというところがあります。診療行為の詳細が把握できる統計として社会的にも定着しているということがございます。

 こういった経緯とか、この調査の持つ公的性質とか、集計方法が継続性を持ちながら定型化しているということも鑑みて、今後この調査については最小集計単位の原則の適用除外としてはどうかと考えております。

 定期的に公表する調査については適用除外ということで、特別集計については必ずしも集計方法が定型化しているわけではないので、提供を受けた省内部局が集計結果を公表するということになった場合には最小集計単位の原則を遵守するという運用ではどうかということで考えております。

 以上3点について御提案をさせていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 いかがでございましょうか。今の事務局からの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

 どうぞ、松田先生。

○松田構成員 公的に今まで使われてきたものですので、事務局の提案でよろしいのではないかなと思います。

 ただ、1点お願いしたいのが、せっかくNDBからいろいろなものを出すようになりますので、実はいろいろな統計で例えば年齢区分の定義が違ったりしているのです。それを使うときにいろいろと使いにくい部分が出てくるので、もし可能であれば、これを機に年齢区分とか分類の項目のところのカテゴリーを合わせていただくと非常にいいのかなと思います。

 でも、基本的には事務局御提案の方針でよろしいのではないかなと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほかの構成員の先生方はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○大久保構成員 私も基本的にこれでよろしいかと思いますが、社会医療が全部ナショナル・データ・ベースのデータになるということですが、そうすると、第三者の利用というのはわざわざ社会医療診療行為別調査を使う必要がないのではないか。実際こういう申し出というのは、現実的に将来出てくる可能性は非常に限られているかと思うのですが、あえてNDBのデータを使わないで社会医療診療行為別調査のデータを利用したいというのは、メリットとしては、すぐ出てくるとか、そういうことなのでしょうか。どうですか。

○赤羽根室長 そうですね。恐らく従前からずっと使われている方がいらっしゃるかと思いますので、そういう意味での継続性というか、そういうことで申し出てくる方がいらっしゃる可能性はあるのかなと思っております。この枠組みでやっていって、申し出の状況とか、そういうものを見ながら先々また考えていくということかなと考えております。

○山本座長 ほかに。

 松本参考人。

○松本参考人 紙のレセプトの時代は、社会医療診療行為別調査しかレセプトの細かいことがわからなくて、実際、厚労省医療課で使われる以外の特別調査はこれしかなかったわけです。

 ところがNDBという巨大なデータベースができたということで状況が全然変わりました。特別調査は、この社会医療診療行為別調査の中で考えるのではなくて、従来のNDBデータの第三者提供の中で分けて考えたほうがいいのではないかというのが1つ。

 それと、この社会医療診療行為別調査につきましては、長年ずっと診療報酬改定のときに使われておりましたので、これは継続して事務局の提案どおり使われたらどうか。特に最小集計単位の原則がありますけれども、以前はそういうものがなかったわけでございまして、それが途端に見えなくなることでは困りますので、事務局提案のように、社会医療診療行為別調査については、最小集計単位の原則の適用を除外するということで運用されたらどうかという気がいたします。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほかは御意見ございますでしょうか。

○衣笠室長 ちょっと補足だけなのですが、社会医療診療行為別調査ですけれども、こちらはNDBデータとは違いまして、病院・診療所とか、要は医療機関の属性もNDBデータに附属させて集計をしているということなので、NDBデータだけではなかなか捉えられない部分も一応把握できるようなものですので、そういう意味では、利用がこれからどれぐらいあるかはなかなかわからない面はありますけれども、一応、残す意味はあるのかなとは思っております。

○山本座長 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○松田構成員 社会医療診療行為別調査を何回か使わせていただいたことがあるのですけれども、非常に使いやすいデータなので、このフォーマットで国のほうで整理したものが第三者提供で出していただけるのであれば、非常にありがたいので、それはそれでやっていただいたほうがいいのではないかなと思います。

 今の御指摘のように、病院と診療所の区別とか、そういうものがNDBだけではなかなかできませんので、これはお願いしたいなと思います。

 そうなってきた場合にもう一つ考えなければいけないのが、この社会医療診療行為別調査で上がってくるデータと、この後議論する予定の基本データセットの目的がかなりダブってくる可能性があるので、その辺のところの整理は必要なのかなと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 第三者提供に関しては今までは統計法のルールでやってきたのが、NDBのデータが全てになると統計法というわけにはいかなくなりますので、では、一体何を根拠にそれを決めていくのか、また議論が必要なことになってくるだろうという気がしますけれども、それはこれから考えていくということで、一応、事務局の御提案どおりに進めさせていただいてよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○山本座長 わかりました。では、そのようにさせていただきたいと思います。

 それでは、引き続いて「基本データセットの提供について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 資料2「基本データセットの提供について」という資料をごらんいただければと思います。

 2ページ目に「現在提供されているNDBデータの種類」をまとめさせていただいております。この中で、基本データセットの位置づけというものを少し書かせていただいております。

 データとしては特別抽出と集計表情報の間に位置するような形ということで、サンプリングデータセットと同じような抽出データという位置づけのものになっております。加工して抽出した個票という位置づけのものが基本データセットになります。

 サンプリングデータセットと違いますのは、サンプリングデータセットは本当にランダムサンプリングというような形になっているのですけれども、基本データセットの場合は入院のエピソードとか、レセプト構造のようなものをもう少し残したような形での抽出というのを行っている点でございます。そういう点で、ある程度レセプトの構造が残っているとか、エピソード単位での分析が必要なものについて、使っていただくという用途があるのではないかなということで御用意させていただいております。

 3ページ「第三者提供の承諾状況」でございます。

 基本データセットについては、一昨年、平成26年3月に2件承諾させていただいております。大江先生と野口先生のもので、大江先生について、提供に向けた準備をずっと進めさせていただいていて、調整を進めさせていただいて、ようやく提供に至りそうだということもありますので、今回このような御報告をさせていただくというものでございます。

 4ページ「基本データセットの特徴」でございます。

 この基本データセットは、もともと平成24年度からの厚生労働科学研究で、満武先生、大江先生に御尽力いただいて開発を進めてきたものでございます。

 現在あるのが平成22年度のデータセットということでございまして、例えば平成22年度のデータセットについて、どういう形になっているかというのがここで示させていただいているようなもので、要は入院の一月のエピソードを一応全て含むという形にしております。平成22年度4月以降で入院を開始したものについては、平成23年4月を超えたものについても入院を入れるというような形のエピソード単位の形を残したデータセットになっております。

 5ページ目「基本データセット:医科入院・DPCデータセット」をごらんいただければと思います。

 この基本データセットなのですけれども、データセットCとデータセットDというのがございます。データセットCは、診療実日数とか、合計点数が入っておりまして、例えば医療経済的な分析であるとか、記述統計等に活用できるのではないかということで御用意させていただいております。

 一方、データセットDは、さらに診療行為とか処方の情報なども入っておりますので、もう少し医学の内容に踏み込んだ分析が可能なデータセットということで用意させていただいております。

 また、データセットDについては、下のほうで少し書かせていただいているのですけれども、申出者の研究テーマに合わせて条件の設定が可能な仕組みになっております。一方で、このあたりの調整に少し時間がかかって提供がおくれたというところもありますので、条件の設定については、一定の枠をはめるとか、もう少し迅速に提供できるような方法を考えたいと思っています。

 6ページ目「入院データセットC、Dについて」でございます。先ほどからのそれぞれのデータセットCとDに関する説明ということです。

 基本的には抽出された保険者の全患者からの20%分に該当する患者をランダムに抽出しているということでございまして、先ほど御説明したように、入院ベッドごとというくくりで抽出をしております。

 特徴としては、抽出方法から個人の特定性は非常に低いということ。それから、申出者は各ファイルのデータ項目を確認して、あらかじめ用意された上記データセットを選択して、研究目的に必要なデータ項目の指定を行うということにさせていただいております。

 7ページ「提供するデータの特性とセキュリティの確保について」でございます。

 セキュリティとデータ特性との関係は、これまでも時々、図にさせていただいているのですけれども、セキュリティという観点でいうと、特別抽出と本当にオープンなデータの間に位置するようなものということで、特別抽出ほど厳しいセキュリティは求めないけれども、さすがにどこにでも公表できるというものでもないので、一定程度のセキュリティの環境で使っていただくということを想定しているものでございます。

 8ページ目「基本データセットに関する今後の予定」でございますが、この基本データセットに関して、今後考えている予定ということで出させていただいております。

 今回、大江先生も提供が完了するということでございまして、そういう意味でも、平成22年度の基本データセットの仕様の確定と提供がおおむねできたという状況でございます。

 今後の話としては、平成23年度以降の基本データセットの作成と提供というのを進めていきたいと考えております。これについては4月から作成・提供を進めていくということで事務局としては考えておりますので、この機会に御報告をさせていただきました。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 基本的には御報告でありますけれども、今の事務局からの御報告に対して御意見、御議論がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

 松本参考人。

○松本参考人 まだこれを使いたいという方は数少ないからいいですけれども、これからどんどんふえてきたときに、事務局の体制、あるいはいろいろなシステムをメンテナンスするという費用が予算で毎年大体削られると思いますので、こういうものを使う方については、将来的には使用料をいただくことを考えたらどうか。その使用料でシステムの運用管理費に充てるということも考えないと、そのうち動かなくなるのではないかという心配をしております。

 もう一つは、最初の社会医療診療行為別調査のところで申し上げればよかったのですけれども、今後、非常に使い勝手がよくなると、多くの人が出てきて、これだけの事務量をこなすということがなかなかできなくなる。実際、厚労省のほうの体制もよく考えていただいたほうがいいのではないかということで、そこのところを心配しております。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

 何年も前からその議論はしているのですけれども、なかなかうまくいかないですね。

 ほかに御意見いかがでしょうか。

 7ページの図ですけれども、リスクという面から見て、基本データセットとサンプリングデータセットの上下関係というのは、こうでしょうかというのがあると思うのですが。

○吉村補佐 事務局でございます。追加で御説明申し上げます。

 2ページ目のところに、サンプリングデータセットと基本データセットの特徴、種類というところで差を挙げておりますが、提供データのところを見ていただくとわかるとおり、サンプリングデータセットは、一部個人を特定する部分については匿名化を行った個票でありますが、基本的にレセプトデータのほかの部分については全て見られる状況になっています。ただ、地域情報は落としておりますので、全国のどこで発行されたレセプトであるかはわからないというところですが、地域を含んだ個人を特定する情報を削除したものがランダムにサンプリングされたものということでサンプリングデータセットはつくられています。

 一方、基本データセットについては、そこの部分を大幅に加工した個票と理解しておりまして、レセプト情報の中で、先ほど仕様のところで若干述べさせていただいた部分については情報は残っておりますが、それ以外のところは削除されているというところから、レセプトのもともとの情報源の中から分量としては少ない情報が基本データセットの中に盛り込まれていると考えて、7ページのような位置づけで整理しております。

 ただ、若干この辺は悩ましいところもありまして、基本的には個人の特定性は低いのだというところは共通した部分でございますので、その点、追加で御説明申し上げます。

 以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

 御意見ございませんでしょうか。

 サンプリングデータセットは、外来100分の1、入院10分の1にサンプリングした上で、診療行為も病名も約80%がダミーに置きかえられているということですよね。そうすると、少なくとも少数の医療行為、あるいは少数病名というのも全く外れているわけで、なおかつ100分の1あるいは10分の1でありまして、基本データセットも保険者から20%ランダム、ないしは保険者もランダムに抽出しているということで、これもサンプリングの割合としては相当程度高いのですね。

 ただ、少なくともDに関して言うと、希少な病名あるいは希少な医療行為が入ってくる可能性がありますよね。なおかつ、これはレセプト同士をひもづけできるということが一つの特徴ですので、どちらがリスクが高いかというと、私は基本データセットのDのほうが高いと思うのです。Cは低いです。間違いない。このあたりはどうですか。

 これまでの御議論で、最初はデータセットAもBもあったのですが、AとBは普通は使うことがないでしょうから、Dに関して言うと、若干リスクがありますよねという議論をずっとしてきたように思うのです。したがって、Cまではサンプリングデータセットと同様のセキュリティ基準でオーケーだと。

 ただ、一応、Dは申請ごとに閾値をこの有識者会議で判断しようということで整理をしていたように私は記憶しているのですけれども、要するに、研究者が決めることができる200項目だったか、それぐらいの条件を決めることができますので、この中に本当に例えば日本で数十人しか使われていないような薬剤とか、極めて少ない疾患名とかが入ってくるということも要望としてはないではないですよね。その要望に応じてセキュリティ基準というのを考えたほうがいいのかなという気はしていたのですけれども、御意見ございませんでしょうか。そもそももうサンプリングしているのだからいいやという考えもあるとは思うのですが。

○赤羽根室長 事務局でございますけれども、御指摘のとおり、特に基本データセットDについては、実際、特定されるリスクという意味ではサンプリングデータセットより上がってくる可能性もあると思いますので、データセットCとDを分けた上でもう少し丁寧な整理をして、また機会を改めてお示しさせていただきたいなと思っております。

○山本座長 わかりました。ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

 松本さんの言われたように、人気が出てくればこれも多分対応できなくなることは、もう目に見えるといいますか、火を見るより明らかだと思うのです。

 もう一つ、価格については、今の高齢者の医療の確保に関する法律のもとでというデータベースの位置づけである以上なかなか難しいので、これは制度整備といいますか、法制化が必要で、それに関しても多分今はまだ無理だとは思うのですけれども、もし何か見込みがあれば。

○赤羽根室長 そうですね。この場で今すぐ申し上げられるようなことはなかなかないのですけれども、基本的には制度と密接にかかわっている話なので、例えば大きな制度が変わるようなタイミングでNDBも一緒に乗っていくことができないかとか、体制についても、もう少し分析とか、そういうところに知見のある方がある程度恒常的にいるとか、恐らくそういうものが理想だろうと思いますので、長年の議論ですので、そこら辺は本当に事務局というか、保険局としても認識は持っておりますので、タイミングを捉えてうまく軟着陸をできればなと思っております。

○山本座長 これは引き続き努力をしていくということでございます。

 ほかに御意見ございませんでしょうか。

 それでは、今の議論も踏まえてまた整理をお願いいたします。

 それでは、本日の議題の3つ目「オンサイトリサーチセンターについて」事務局から説明をお願いいたします。

○赤羽根室長 事務局でございます。

 本日の議題の3つ目、資料3の「オンサイトリサーチセンターについて」という資料をごらんいただければと思います。

 2ページ「規制改革実施計画について」でございます。こちらで規制改革実施計画というのを出させていただいて、この実施計画の中で、オンサイトについては今年度で運用ルールの確立ということを言われております。

 3ページ目「レセプト情報等オンサイトリサーチセンターの試行的利用について」でございます。オンサイトの状況ということを書かせていただいております。これは前回もお出しさせていただきましたけれども、オンサイトリサーチセンターは、東京については昨年の12月から、京都についてはことしの2月から試行利用を開始しております。

 4ページ目でございます。「オンサイトリサーチセンターに関するスケジュール」ということで出させていただいておりまして、今年度めどで運用ルールの確立ということを言われておりますので、これに応える意味でオンサイトリサーチセンターの運用の基本方針というのを今年度で策定いただこうと考えております。

 4月以降、来年度からはこの基本方針に沿ってガイドライン等の諸規定の整備を進めていって、第三者への開放を目指すということを考えております。有識者会議構成員に向けましても、適当なタイミングでオンサイト視察の機会の確保ということも考えております。

 5ページ目でございます。これは前回、非公開でしたけれども、御議論いただきました「オンサイト運用のための基本方針」でございます。御指摘を踏まえ、若干の修正を入れたものを出させていただいております。

 ポイントとしては、オンサイトの利用の前後で審査を行っていただくということで、オンサイトの中での集計・分析については、一定の自由を確保するということを主眼に置いた基本方針になっております。一応、1~5まで申し上げさせていただきます。

 1が、オンサイトの利用に当たっては有識者会議分科会の審査を受けるというものです。

 2が、オンサイト内でのデータの集計・分析については、申し出た利用目的の範囲内で一定の自由を認めるというものでございます。

 3は、オンサイトを利用する際には、それぞれのオンサイトの利用ルールを遵守していただくというものです。

 4が、オンサイトの集計を外に持ち出して公表する場合には、原則、有識者会議分科会の審査を受けるというものです。

 5は、漏えい・不正利用等に関するペナルティーというものについては、従来の第三者提供とおおむね同等のものを整備するというものでございます。

 基本的にはここの基本方針を今回御確認いただいた上で、4月以降もう少し具体の議論に入っていただければと思っております。

 6ページ目に「(参考)不適切利用等に対する措置」ということで、第三者提供で措置しているものを載せさせていただいております。参考までにごらんいただければと思います。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 どうもありがとうございました。

 ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問はございますでしょうか。

 特に前回、非公開ではありましたが、御議論いただいた基本方針の若干の修正がスライド5枚目にございますけれども、4月以降、おおむねこのような基本方針でまた御議論をしていただくということでよろしゅうございますでしょうか。

 どうぞ。

○松本参考人 まだオンサイトが東京と京都という2カ所ということで試行的という範囲ですから、この事務局提案の基本方針でいいかと思います。ただ、もっとオンサイトを広げろとなったときにはもう少し考えないといけないので、そのときはもう一度この会議で見直すということも含めて、事務局の提案でよろしいかと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、4月以降、この方針で運用ルールの詳細を詰めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日の公開の議事はここまでですけれども、事務局から何かお知らせはございますでしょうか。

○赤羽根室長 ありがとうございます。

 本日の公開の議事はここまででございます。

 事務局からのお知らせとしましては、次回の本会議の日程はまだ調整中でございますので、決まりましたら、また追って御連絡をさせていただければと思っております。

 事務局からは以上でございます。

○山本座長 ありがとうございます。

 それでは、本日の公開分はこれで終了とさせていただきます。


(了)

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