ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 治療用装具療養費検討専門委員会)> 第1回社会保障審議会医療保険部会 治療用装具療養費検討専門委員会議事録(2016年3月29日)




2016年3月29日 第1回社会保障審議会医療保険部会 治療用装具療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成28年3月29日(火)16時50分~17時50分


○場所

全国都市会館 大ホール(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 新田秀樹 原田啓一郎
河野雅行 清水恵一郎 高橋直人
池上秀樹 飯山幸雄 山崎岳
徳田章三 高橋啓次 坂井 一浩
<事務局>
唐澤保険局長 吉田審議官 宮嵜医療課長 三浦保険医療企画調査室長 他

○議題

〇 委員の紹介及び座長の選出について

○ 治療用装具に係る療養費に関する現状と課題

○議事

16時50分 開会

○保険医療企画調査室長

 少し定刻よりも早いのですけれども、委員の先生方、皆様おそろいのようでございますので、ただいまより「第1回社会保障審議会医療保険部会 治療用装具療養費検討専門委員会」を開催いたしたいと思います。

 まず、初めに、委員の先生方の御紹介をさせていただきます。

 学習院大学経済学部教授の遠藤久夫委員です。

 中央大学法学部教授の新田秀樹委員です。

 駒澤大学法学部教授の原田啓一郎委員です。

 宮崎県医師会会長の河野雅行委員です。

 東京内科医会副会長の清水惠一郎委員です。

 全国健康保険協会理事の伊奈川秀和委員です。

 健康保険組合連合会理事の池上秀樹委員です。

 国民健康保険中央会常務理事の飯山幸雄委員です。

 高知市健康福祉部長の村岡晃先生に委員をお願いしておりますが、本日は御欠席でございます。

 あわせて、新潟県聖籠町町民課長の佐久間雅之先生にも委員に御就任いただいておりますが、本日は御欠席でございます。

 東京都後期高齢者医療広域連合保険課長の山崎岳委員です。

 日本義肢協会理事長の徳田章三委員です。

 同じく同会理事の高橋啓次委員です。

 日本義肢装具士協会会長の坂井一浩委員です。

 以上、治療用装具療養費検討専門委員会の委員の皆様方でいらっしゃいます。

 続きまして、事務局側の出席者を御紹介いたします。

 唐澤剛厚生労働省保険局長でございます。

 吉田学大臣官房審議官でございます。

 宮嵜雅則保険局医療課長でございます。

 宮本直樹保険局保険課長でございます。

 友田輝明保険局全国健康保険協会管理室長でございます。

 藤原朋子保険局高齢者医療課長でございます。

 なお、調査課長は本日、代理の者が出席しております。

 また、総務課長は欠席しております。

 最後に、私、保険局医療課保険医療企画調査室長の三浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。

 まずは、座長の選任について御議論いただきたいと思いますが、通例このような委員会の座長は有識者の委員にお願いしております。本委員会におきましては、医療保険部会の部会長でもあります遠藤先生にお願いしてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○保険医療企画調査室長

 どうもありがとうございました。

 それでは、遠藤委員に座長をお願いしたいと思います。大変恐縮ではございますけれども、座長から一言いただければと思います。

○遠藤座長

 ただいま座長を就任させていただきました遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 治療用装具の療養費に関するこれまでの決め方というのは、どちらかというと、このような平場で審議会形式で決めるというものではなかったわけでございますけれども、これを実際の施術者側と支払い側との間で議論をし、また、我々公益がその間に入るというような形で議論する。これは診療報酬を決める中医協と似たような考え方でございますけれども、このような形で平場で議論していくのが適切だろうということで、今回このような会が発足したということでございますので、ぜひ皆様方、忌憚のない御意見をいただくと同時に、また御協力をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○保険医療企画調査室長

 どうもありがとうございました。

 それでは、以後の議事につきましては遠藤座長にお願いしたいと思います。

○遠藤座長

 それでは、議事に移らせていただきます。

 まずは、「治療用装具に係る療養費に関する現状と課題」という内容で事務局から資料が出されておりますので、それに関して説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○保険医療企画調査室長

 事務局でございます。お手元に「治-2」と右肩に振っております資料を御用意いただければと思います。「治療用装具に係る療養費に関する現状と課題」と題を振っているものでございます。

 2ページ目をごらんいただければと思いますが、治療用装具に係る療養費に関する現状やあるいは論点、課題などを整理させていただきました。こちらは保険者と治療用装具の専門家の先生方に、昨年1年間かけましていろいろなお話をちょうだいしながら論点を整理してまいったものでございます。

 それでは、始めたいと思います。まず、現状ということで3ページ以降をごらんいただきたいと思います。

 4ページに、治療用装具に係る療養費の概要ということで書いてございます。医療保険におきましては、保険医が疾病または負傷の治療上必要であると認めて患者に装具を装着させた場合に、患者が支払った装具購入に要した費用につきまして、保険者はその費用の限度内で療養費の支給を行うことになっております。

 支給の対象といたしましては、点線囲いの中にございますが、疾病または負傷の治療遂行上必要なものといたしまして、義肢(義手・義足)、義眼、コルセット、関節用装具などがございます。支給の対象とならないものといたしましては、日常生活や職業上の必要性によるもの、美容目的といったものが書いてございまして、眼鏡ですとか補聴器、人工肛門の受便器などが該当するものでございます。

 また、治療用装具の療養費の支給額につきましては、基本的に2つ目の○の括弧で書いてありますが、「障害者総合支援法の規定に基づく補装具の種目、購入または修理に要する費用の額の算定等に関する基準」というものがございまして、そちらの別表の中に定められた装具の価格を基準として算定することとなっております。

 また、購入基準につきましては、支給額を算定する場合の基準でありまして、支給対象装具の範囲までも示したものではないという取り扱いとなっております。別途支給対象といたしまして、4ページの一番下に書いてございますが、四肢のリンパ浮腫治療のための弾性着衣、弾性ストッキングなどでございますが、こういったものも類型としてはあるということを御紹介したいと思います。

 5ページにお進みいただければと思います。こちらは保険給付の仕組みを描いたものでございますが、治療用装具につきましては、いわゆる療養の給付という現物化された給付の形はとっておりませんで、療養費払いということで実際に治療用装具の支給を受けられた患者さんが、装具の製作事業者からまず装具を装着いただきまして、それに対して全額をお支払いいただく。そして、領収書を受け取って、それに基づきまして患者から今度は保険者に療養費の請求をしていくと。また、その請求に基づいて療養費の支給を事後的に患者に対して保険者が行うという手順で療養費の支払いが行われております。

 6ページが、支給範囲のイメージという形で整理したものでございまして、赤線で囲んである治療用装具と補装具というものがございます。補装具が先ほど申し上げた福祉の世界で決めている補装具でございますが、かなり大きく重なる部分があって、義肢ですとか義眼、下肢装具、靴型装具、体幹装具、上肢装具などにつきましては、治療上必要だと認められる場合につきましては、治療用装具の療養費の対象となるといったものでございます。

 また、青い二重線の外、赤の枠線の中という意味では、先ほど例として申し上げました弾性ストッキングとか、あるいは変形性膝関節症等に対する膝サポーターといったようなものがあるという現状でございます。

 7ページ、装具というもの、今回初めて療養費の検討会をお願いするということで、少し全体像と申しましょうか、どのようなものがあるかを整理したものでございます。恐らく保険者の方あるいは施術者の方と申しましょうか、専門の方は見慣れたものかと思いますけれども、少しお時間をいただければと思います。部位といたしましては、下肢、靴型、体幹、上肢となっておりまして、それぞれ股の装具ですとか、長下肢の装具、膝装具等々が存在しております。

 8ページ以降に写真を載せております。股の装具というのはこのようなものでありまして、長下肢、膝、短下肢といったもので写真をごらんいただければと思います。この写真が13ページまで続きますので、今後の議論の参考にしていただければと思います。

14ページ、療養費の推移ということで、治療用装具に係る療養費が金額的にこのように推移しているというものが赤線で囲んだものでございます。伸び等につきましては、御確認いただければと思います。

15ページは、装具の種類別の給付件数の割合をお示ししたものでございます。半分弱を下肢が占めておりまして、4割弱が体幹装具、1割が上肢装具といった形で分布しているということが見てとれようかと思います。

16ページ、装具の平均的な価格を表としております。それぞれの部位の区分に応じまして件数、合計金額などを挙げておりますので、御参照いただければと思います。

17ページ以降に課題と論点ということで整理を試みたものでございます。

 まず、支給対象範囲についてでございます。18ページ、補装具の価格の基準。これは障害の世界でどのように決めているかというものでございます。障害の世界で障害者総合支援法に基づく補装具の購入基準に基づいて治療用装具の療養費というのは決めているということで、そこの根拠と申しましょうか、もととなっております障害者総合支援法の補装具の基準の押さえをするという趣旨で18ページに設けたものでございます。

 下に青い○が4点あると思います。基本価格、製作要素価格、完成用部品価格を全て加えまして補装具の費用という形で計算すると。そのルールを療養費としても使っているというのが現状でございます。

 基本価格と申しますのは、左の点線囲いに書いております製作の加工費でございまして、義肢装具士の手間賃といったように表現できるかと思います。義肢及び患部の観察や採型、陽性モデル製作、組み立て、仮合わせ、あるいは適合検査、あるいは調整を行っていくといったあたりが基本価格に含まれていると。

 それから、製作要素という部分につきましては、素材・材料費や素材のロス、材料の管理費等々が含まれる。

 それから、完成用部品価格というのは、一種パーツを組み合わせるような場合のパーツにつきまして完成用部品と表現しておりまして、そのパーツの値段と。この3つを足しまして補装具の額として計算するということになっております。こちらは飯田方式と呼ばれる計算式だそうですけれども、これを治療用装具の中でも活用させていただいているというのが現状でございます。

19ページでは、既製品についての議論をしたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、治療用装具につきましては基本価格があり、製作要素、完成用部品を足し合わせてつくっていくと。すなわち、患者さん個々の身体に合わせまして一からつくっていく、あるいは既製のパーツを組み合わせながらつくっていくというのが基本形だと理解しておりますが、一方で、19ページの上に書いてございますが、医療現場においては治療上の緊急性あるいはリハビリテーションの早期化といったような状況を踏まえまして、医師の要望によって補装具の製作事業者が所有するいわゆる既製品、ある程度でき上がったものの在庫を医療機関内で保管するといったケースがふえてきていると承知しております。

19ページに保管していただいておりますアイテムの数がこれぐらいふえてきていると。これぐらいと申しましても、一番マックスで60弱というのが2015年の現状ではありますけれども、1970年にはほとんど見られなかったものが現在は60弱という数に至っているというのが見てとれようかと思います。

 これらを踏まえまして20ページに論点としてお示ししております。既製品についての取り扱いについては、保険者の対応においても差があるいう指摘がございます。先ほど冒頭に保険者の皆様あるいは施術者の方からいろいろ教えていただいたと申し上げましたけれども、いわゆる既製品というものがこれまで一からつくる補装具とは、物として少し違うのではないかということで、逆に療養費の請求が認められなかったといったケースもあるといった曖昧さが残っているのではないかという御指摘を受けていることを踏まえまして、一定の基準を満たす既製品についてリスト化を試みられないかと論点としては示しております。その結果として、支給決定の円滑化に資するということが期待されるのではないかと。

 2点目ですけれども、療養費の支給対象となるかどうかが特に曖昧となっている既製品を優先的に挙げていただきまして、支給対象品目あるいは基準価格についてリスト化を試みてはどうかという、手順も含めて踏み込んで御提案をさせていただいているものでございます。

21ページ以降は、事業所の管理登録あるいは指導監督、受領委任制度に関する課題と論点ということで整理させていただきました。

22ページ、23ページがいわゆる療養費の中でも柔道整復という受領委任が認められているものがございます。また、通常、医療の場で認められている療養の給付と比べましても、指導監督あるいは登録といったような仕組み、あるいは23ページでございますが、調査権といったものについても少し違いがあるということを表にまとめたものでございます。

24ページにお進みいただければと思います。代理受領と申しまして、保険者の方が患者の方から代理で保険給付分について保険者に対する請求を認めるという形で認めていると承知しておりますが、代理受領の取り扱いを認めているのがどのくらいの割合であるかというものの実態を調査した結果です。

24ページの赤い部分でございますけれども、応じていないというのが大層を占めているというのが、こちらをごらんになれば御確認できるかと思います。

25ページをごらんいただければと思います。以上を踏まえまして論点として、まずそもそもの受領委任払いの話、できれば受領委任払いをという話も当初私ども御意見として承ったこともございましたけれども、その心といたしましては、支給対象が曖昧であるがゆえに、患者さんが後々に償還払いという形での療養費の支給を受けられないようなリスクがあるということを避けなければいけないのだということが優先的な課題であると理解いたしまして、このように整理いたしております。支給対象相互の範囲が明確となり、償還される基準が明確となれば、申請後に不支給となる事例が減少し、受領委任制度がなくても患者にとって安心して申請が行えることつながるのではないかと。

 また、不適切な請求事例というのがあるのだとすれば、保険者間で不適切な請求があった事業所情報を共有するなどの対応を検討してはどうか。

 それから、事業所の登録管理、指導監督あるいは受領委任制度の導入に関しては、一から仕組みを構築する必要がある。すなわち、実態がないということを踏まえつつ、また地方厚生局及び都道府県のマンパワーを考えなければいけないといったことを踏まえて、なかなか実際にワークをする仕組みというのは難しいのではないかという形で整理させていただきました。

26ページ以降ですが、先ほどまずリスト化をしてはどうか、あるいは優先的に進めてはどうかといった具体的なお話をさせていただきましたので、少し踏み込んだ資料を掲載させていただいています。

27ページ以降ですが、例えばこんな基準はどうかということで、完成品いわゆる既製品的なもの。それから、疾病または負傷の治療遂行上必要なもの、これは当然です。それから、オーダーメイドで製作したものと同様、もしくはそれに準ずるような機能が得られるのではないかということが認められると。このあたりを軸としながらリスト化をしてはどうかと。もちろん当然、現場で困っていらっしゃる事案として上がるものということは、頭の片隅に置いておかなければいけないとは思いますけれども、そのことを踏まえてリスト化をしてはどうか。今後のリスト化について、例えば基準となる価格の設定をどうするのかですとか、安全性・耐久性の確保といった論点があるということは、ここでテークノートしたいと思います。

 リスト化をまず急ぐにしても、当面は例えばオーダーメイドで製作した場合の価格を上限とするとか、今後例えば市場実勢価格のことをどう考えていくのかといったことも考えつつ、将来検討を進めていきたいなと思っております。

 また、安全性・耐久性に関しましては、義肢について一部義足については安全性のJIS規格というものがあるのですけれども、装具の世界では完成品に関するJIS規格はないという現状を踏まえてどう考えるか。一方で、もちろんオーダーメイドで製作した場合には、安全性・耐久性については一定の規格は存在しないということの対照でどう考えていくかということがございます。

28ページに進みまして、先ほどの治療用装具のイメージ図をもう一度模式図的に利用しているものでございますけれども、補装具に該当せずして治療用装具の範囲内として取り扱うべきものがあるのではないかと。その完成品あるいは装具としての機能が同等もしくはそれに準ずるものについて、ここをリスト化してはどうかということで、少し重ねての表現でございますけれども、図示したものが28ページとなっております。

29ページでございます。既製品の価格について少し調べております。補装具の製作事業者における既製品の仕入れ・販売形態についてはこちらに書いてあるとおりでございまして、他の補装具製作事業者や医療機器メーカーが製作した既製品を仕入れて、義肢装具士が医師の指示に基づいて仕入れを行った既製品の装具を患者に対して装着した際に、仕入れ価格に一定の上乗せを行い、患者へ請求、販売しているという実態があると。

 その際に、義肢装具士さんは何をしているかというのを2のマル1~マル3に挙げてございます。医師による最終確認ですとか、患者に対する説明、あるいはメンテナンス等装着後のフォローアップ、これらの業務を行っていただいていると理解しているところでございます。

30ページが義肢装具士に対するJISの規格の現状でございます。上の箱に書いてございますけれども、義肢装具関係の安全性・耐久性に関する規格で、日本で発行されているものはいわゆるJIS、国際規格のISOでございます。義肢装具関係のJIS規格というのは、一般社団法人日本義肢装具学会の中にJISの作成・改正の委員会が組織され、作成または改正等が行われていると。それから、JISISOでは全ての義肢装具に関して試験規格が定められているわけではなく、装具に関しては完成品についての規格がない。完成用部品にあっても規格がないものも存在すると。その上、義肢装具に関しては網羅的にJISあるいはISOでカバーされているわけではないという実態があるということの御紹介です。

 一方で、個々のオーダーメイドの場合には、このような規格はないということは重ねて御説明したいと思います。

 続きまして31ページ、今後の進め方ということで御提案をお認めいただければということで案をつくらせていただいております。3点ございます。候補品目及びその参考となる価格について、義肢装具の関係者及び保険者との協力を得ながら、事務局においてまず精査したいと思います。

 2点目ですが、療養費としての支給対象とすることが適当と認められるという一定の整理が事務局でできますれば、リスト化の作業を行いまして、この場においてお諮りして支給対象として決定していくという手続とさせていただいてはどうかということでございます。

 最後でございますが、対象品目の追加見直しについては、この場におきまして必要に応じて決定の手続をとらせていただくということで御議論をお願いできないかという進め方の御提案でございます。

 私からの説明は以上となります。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ただいま事務局から説明されました内容につきまして、御質問・御意見等があれば承りたいと思います。どなたでも結構でございます、いかがでしょうか。

 池上委員どうぞ。

○池上委員

 3つの専門委員会の中で治療用装具について具体的な一つの取り扱いが最後にリスト化という形で提案されているのですけれども、事務局のお考えになっているところで1点確認したいのですが、最終ページに書いてあるような進め方で仮にリスト化がされたときに、そのリストに載っている治療用装具をどこかの医療機関で使った場合、そこで今現在の最終的に保険者判断という領域を超えて、一律的に治療用装具の療養費として支給するのだというイメージでお考えなのか、要するに、今の保険者の判断は、疾病または負傷の治療遂行上必要かという一つの視点と、もう一つは、ものが治療用装具としてどうかという2つの視点で最終判断しているわけですけれども、最初の判断は引き続き残るという理解でいいのか、そこだけお聞きしたいのですが。

○遠藤座長

 事務局からお願いします。

○保険医療企画調査室長

 御指摘のとおりと理解しております。すなわち、ものとして治療用装具も療養費の支給対象となることが明らかとなっても、その患者にこの局面で使うかどうかということについては別の判断があり得るかと思いますので、先ほど池上委員から御指摘があったとおりだと理解しております。

○遠藤座長

 池上委員どうぞ。

○池上委員

 もう1~2点意見なのですけれども、27ページでリスト化に当たっての論点の中に、価格の3つ目ですが、「当面はオーダーメイドで製作した場合の価格を上限としてはどうか」ということがあるのですけれども、当然ながらオーダーメイドと既製品では一般論的に言えばオーダーメイドのほうがそれなりにお金がかかるというのが自然な考え方だと思うのですけれども、既製品とオーダーメイドの基準価を同じ金額にそろえるというのは不公平というか、納得は得にくいと思っています。

 この「当面」という表現は非常に危険を感じておりまして、すぐできない理由が何かあって、例えば、ここでこういう調査をするとか、データをとらなければいけないとか、そういうことによって改めて値づけをするのだということであれば、例えば、半年間とか1年間とか期間を区切って、この間はこうするけれども次は結果によって変えるよと。そのためにこういう作業をするんだよということを明確にしていただきたいと思います。当面ということで放置されるのが、一番高止まりしてしまうことにつながるのかなということを危惧しています。

 それと、もう一点、最終ページの今後の進め方の中で、特に1番の義肢装具関係者の方と保険者等の協力を得ながらリスト化に対しての精査をしていくということですが、ここにお医者さん方の参画を必要としないかどうか、そこは要検討かなと思っておりますので、御配慮いただければと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございました。ただいまの2つについては御要望ということでよろしゅうございますね。回答は必要ないということで。

 ほかにございますか。高橋委員どうぞ。

○高橋委員

28ページですけれども、リスト化のイメージの部分で、点線で既製品という枠組みがございますが、A、B、CのAというのはオーダーメイドという形が定義づけられておりますので、Aを点線から外していただいたほうが図としては正しいのではないかと思います。

 その中のBをリスト化したらどうかという案でございますけれども、先ほど池上委員から言われたように、我々も医師を入れて検討したほうがいいと思います。Cの中にもリスト化の対象部分があるのではないかと思っておりますので、それも御検討いただければと思います。よろしくお願いします。

○遠藤座長

 御意見として承りました。事務局から何かコメントはありますか。どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 両側の先生方から、リスト化の作業におけるドクターの先生方にしっかりコンサルテーションをしなさいという御指摘をいただきましたので、そこは私どものほうで考えたいと思います。

 今、高橋委員がおっしゃっていただいことで一部理解が及んでいない点がございますので確認させていただいてもよろしゅうございますか。治療用装具の範囲が赤の線だといたしますれば、治療用装具から外れるもののリストをこの場で議論するというのは、今Cについてもリスト化をというお話があったと一部間違って聞いたかもしれませんが。

○遠藤座長

 高橋委員どうぞ。

○高橋委員

 Cの部分ですけれども、完成品という同じ枠の中で装具の機能がAと比べ劣るものという形になっておりますので、そういう定義の中でしたらCの中にも一部治療の遂行上必要であると医師が認めるものがあるのではないかということです。

○遠藤座長

 事務局どうぞ。

○保険医療企画調査室長

 そういう趣旨であれば理解いたしました。きょう資料としてお示ししておきながら、もう少し考えたいなと思っておりますのが、機能として劣るかどうかが物差しなのかというのは少し考えたほうがいいかなと点は思っているところでございまして、考え方も含めて今後リストをつくる中で御相談しながら整理していきたいなと思っております。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。徳田委員お願いいたします。

○徳田委員

 まず、今回第1回目ですけれども、治療用装具検討専門委員会を開催していただきまして、ありがとうございます。

 先ほど「当面はオーダーメイドで製作した場合の価格」の「当面は」についての御意見がありましたけれども、実は私たちは、障害者総合支援法の支給基準というのがベースとして算定されているものですから、全て治療用装具もそれを準用しているというのが現状なんです。オーダーメイドは特に問題ありませんけれども、今、既製品が使用されてきておりまして、それもふえているという現状で、それを算定するときにどうしても現行の基準が総合支援法しかないものですから、それを使用しているという現状です。ですから、ここで先々既製品のリスト化がはっきり決まってしまえば、それにすぐ移行できると考えております。

○遠藤座長

 ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。伊奈川委員お願いいたします。

○伊奈川委員

 事務局におかれては、少ない人数でこれだけの資料をつくっていただきまして、大変ありがとうございます。その上で、お願いめいた話になって恐縮なのですけれども、私の理解の仕方が正しければ、今後の進め方にありますリスト化というのは単に製品のリストだけではなく、価格も含めてという理解でよろしいかどうかという点。そして、もしそうであるとすると、医薬品や医療用具ではありませんけれども、いかなるコストがかかっているのか、それなりのエビデンスがなければ、なかなか今後の検討はできないと思うのですが、そのあたりは今後の見通しなり、お考えがあれば教えていただければと思います。

○遠藤座長

 事務局お願いします。

○保険医療企画調査室長

 伊奈川委員御指摘のとおりでありまして、実勢価のようなもの、いわゆる薬価とか特定保険医療材料のような取り扱いにしていくかどうか。あるいは、義肢装具の場合の特徴として、先ほどの池上委員の御質問に答える部分も少しございますが、「当面は」としておりますのは実際の流通過程がどうなっているか、あるいは義肢装具士の手間はどのように考えるべきか。ものによって手間がかかるものと、調整やアフターサービス的なもので手間がかかるものもあれば、そうではないものもあるやに聞いております。そのあたりを整理していかないと、まず一定のルールをつくって、その後でといった手順が必要かなと思っています。そのために少し時間がかかるだろうと。

 一方で、いわゆる既製品が支給対象になるかならないか判然としないでお困りの患者さんがいらっしゃることについて早急に対応すべきかといった2つの養成に対する一種の苦渋の策として、このように表現させていただいたものでございます。

 今後につきましては、私どもそのような論点があることをある程度理解いたしまして、27ページにあるような1の4つ目のブレットですけれども、市場実勢価格の把握を考えていきたいなと。あるいは、2つ目のブレットにありますような手間をどのように考えていくかという、物代プラス2%のようないわゆるR幅的な薬価のようなやり方がよいのかどうかということは、もう少し精査をしたいと思っておりますので、御理解いただければと思っております。

○遠藤座長

 ただいまの点について施術側は何かありますか。もし何かあれば、そのときで結構ですが。高橋委員どうぞ。

○高橋委員

 補装具の価格の基準ですけれども、治療用装具、補装具にかかわらず、基本価格と製作要素価格、完成用部品価格を合算しての補装具という価格です。これは治療用装具に関しても同じようにオーダーメイドでつくるのと全く同じ時間、手間、メンテナンス、フォロー全て義肢装具士がかかわることもほとんど一緒で、この基準に基づいて価格が決められているわけです。今回問題になっているのが、既製品的な装具を治療用装具に使っていることで、この中で製作要素的な部分が除かれて基本と完成品的なもので構成されたのが既製品的な価格であるというふうに当協会は認識しているわけです。その中で、基本価格の中の一部、どけだけ医療職の義肢装具士がかかわるかによってウエートをある程度価格に反映していただければ、一番適正な価格になるのではないかと思っております。

○遠藤座長

 ありがとうございます。徳田委員どうぞ。

○徳田委員

 今の問題で製品の価格を決める場合に、製品単体の価格、仕入れ、必要に応じて材料の管理費もかかりますし、また、それに対しては一定の利益率も必要なのですが、それに今、高橋委員が言ったように基本価格の部分、これは義肢装具士の作業時間、手間が必要ですので、29ページにマル1マル2マル3と書いてあります。義肢装具士の手間、初回装着時の修正・調整、適合の確認。それから、適合確認後の医師による最終確認の依頼をするということ。それから、患者に対する取り扱い説明、衛生管理をする。メンテナンス、フォローアップというのは義肢装具士の役割ですので、その辺も基本価格という形でとらえていただければいいかなと思います。今現在は、総合支援法は基本価格はありますけれども、採型と採寸だけの価格体系になっておりますので、そこは少しこれとは意味合いが違うかなと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかに何かございますか。飯山委員お願いします。

○飯山委員

 治療用装具の完成品の件については、いろいろ御議論のあるところですので、4以降に示されたようなことでリスト化を図るということについては、私も賛成でございますので、今出ましたいろいろな意見を踏まえて十分御検討をお願いしたいと思います。

 別のところもよろしいですか。25ページの論点の一番下の○で、「事業所の登録管理・指導監督、受領委任制度の導入に関しては、一から仕組みを構築する必要があること、また地方厚生局及び都道府県のマンパワーの問題もあり、仕組みを作ったとしても、実際に実施するのは困難ではないか」とありますが、申しわけないですが、受領委任制度はともかくとしまして、事業所の登録管理、指導監督につきましても、ここであきらめてしまっているような表現になっておりまして、これだと今後もう一度検討するのは難しいような感じを受けますので、このところはもうちょっとどうにかならないのかなと思いますが、事務局のお考えはいかがでしょうか。

○遠藤座長

 このような表記をされたのは事務局ですので、事務局から何かこれに関してコメントをいただければと思います。

○保険医療企画調査室長

 宿題として今、御指摘をいただいたことは理解いたします。ただ、私どもの台所事情と申しましょうか、そちらを書いているというところは御理解いただければと思います。いずれにせよ、御指摘いただいたことはテークノートして引き続き考えたいと思います。

○遠藤座長

 飯山委員どうぞ。

○飯山委員

 済みません、応援になるかならないかわかりませんけれども、所管課がどこかに要求される際には、我々としてそういう問題意識を持っているということ、こういう強い意見もあったということをぜひ言っていただければと思いますので、よろしくお願いします。

○遠藤座長

 どうもありがとうございます。

 ほかに何かございますか。徳田委員どうぞ。

○徳田委員

 今、受領委任制度というお話が出ましたけれども、私たちは受領委任制度というのは全く考えておりませんで、いわゆる現行の償還払い制度を基本に考えております。そのうち支払いが困難な患者さんに関しては、一部代理受領制度を入れてほしいという要望があるのですが、これにつきまして、かねてから私ども協会で要望を申し上げている事項がありますけれども、これについて御説明させていただいてもよろしいでしょうか。

 治療用装具の療養費給付の仕組みにつきましては、先ほどいろいろ御説明がありましたが、義足の製作事業者は治療を必要とする患者様に対して、医師の処方に基づき治療用装具の製作にかかわる採型・採寸、適合の業務を行い、その費用の支払いについては患者本人が当該代金の全額を私ども義足製作事業者にお支払いし、後日、本人が自ら加入する保険者に対して請求を行って、保険者から本人に所定の金額が支給される扱いとなっております。

 近年、治療用装具につきましては、装具の軽量性、装着性、動的機能性など、高機能の内容が求められていること、それから、完成用部品の高額化により装具の価格もおのずと高くなってきております。

 一方、治療用装具を必要とする人の多くは、厳しい社会経済状況のもと、高齢化または核家族化の進行も相まって、治療用装具製作のためのまとまった資金の確保ができず、当該補装具の代金を一時的に全額負担することが困難な人が年々増加している状況にあります。そして、一時的に負担する当該代金の工面ができないために、入院中における治療用装具製作をやむなく断念せざるを得ないケースも見られます。このような場合、時間の経過から補装具を装着する部位の拘縮や筋力の低下など、症状の悪化によって歩行が困難な状態になるなど治療が長期化することになり、この結果、日常生活や社会生活への復帰が大きく妨げられ、また、治療費の一層の増大を招くこととなるなどの問題が生じております。

 義肢装具製作事業者にあっては、義肢装具を必要とする人の心身の状態に配慮して、代金の支払い時期を一時猶予することは多々ありますけれども、代金の回収が困難となっているケースも多く見られており、製作事業者にとって難渋する問題となっております。

 このような状況を踏まえまして、現状これらの資金がないため、必要な治療用装具をつくることができない人を救済するため、例えば、本人が希望する場合にあっては装具の療養費について義肢装具製作事業者が本人の委任により請求受領する方法などを講じていただくことはできないか、また、あるいはほかに適切な方策がないか、これらの問題について本委員会において協議・検討をお願い申し上げるものです。

 以上ですが、何とぞよろしくお願いいたします。

○遠藤座長

 御要望として承りました。何かコメントはございますか。特段なければ御意見として承ります。

 ほかにございますか。清水委員お願いいたします。

○清水委員

29ページですが、「(参考)既製品の価格について」ということですけれども、「一定の上乗せを行い」ということですね。多分この一定の上乗せは「2.義肢装具士の具体的な業務」が上乗せになると思うのですけれども、具体的には技術料と思っていいのでしょうか。それが1つ。

 それから、この上乗せというのは、それぞれ個別に行われるのか、あるいは公定価格のように上乗せされるのか、その辺はこれからの議論なのか、何かお考えなのか、ひとつよろしくお願いします。

○遠藤座長

 では、事務局お答えください。

○保険医療企画調査室長

 今後、御議論をお願いしたいところではあるのですけれども、純粋に技術料に加えまして、いわゆるシッピング・アンド・ハンドリングのお金も見ないとフェアではないかなと思いますので、その点具体に決めていきたいなと思っております。

 それから、公定価格のようにというものがなじむのかどうか、また少し御議論をお願いできればと思いますが、恐らく保険者さんのほうで困らないようにするためには、一定の枠があったほうがよろしいでしょうし、個別性が高いのであれば一定だと困るだろうといったようなことは実態を見ながら決めていくべきかと思っております。

○遠藤座長

 ほかにございますか。ただいまのことに関連してでも結構ですし、そうでなくても結構ですが。山崎委員どうぞ。

○山崎委員

 我々、後期高齢者医療広域連合としては、出された今後の進め方のリスト化については、支給決定がわかりやすく明確になるため、とてもよいことだと思いますので、このまま検討を進めていただければと思っております。

 また、指導監督業務に関しては、我々保険者が保険者機能を使ってやれる範囲というのは非常に限られている部分もございますので、指導や監督という立場から見ると、国や都道府県の役割は大きなものだと思いますので、できれば検討は引き続きしていただければと考えております。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、伊奈川委員お願いいたします。

○伊奈川委員

 今の御発言とも少し関係するかもしれませんけれども、今後の論点ということで申し上げたい点が1点ございます。何かといいますと、この制度自体、療養費の支払いですので、保険者から見ますと患者さん、加入者の方との関係で成り立っているわけですけれども、ここにも少し出ていますような、仮に不適切な事例が出てきた場合、今のところ保険者の権限としては、健康保険法ですと第59条に加入者の方に対しては照会ができるようにはなっているのですけれども、医療関係の提供側にはあくまでも厚生労働大臣の権限ということで法律の第60条に規定があります。そういう点からいいますと、そのあたり保険者から照会ができるような余地があるのかどうかという点も、もしかしたら論点としてあるのかなと思いましたので、指摘させていただきました。

○遠藤座長

 ありがとうございます。今後の議論をする上での新たな視点ということで御発言いただいたと思います。

 ほかにございますか。よろしゅうございますか。それでは、大体の御意見を承ったということでございますので、さまざまな御意見をいただきましたので、事務局におかれましは、ただいまの意見を整理していただいて、次回の議論に資するようなものをまたつくっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次回の日程でございますけれども、事務局から何かございますか。

○保険医療企画調査室長

 調整の上、後日御連絡させていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

○遠藤座長

 それでは、これをもちまして「第1回治療用装具療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございました。


(了)

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