ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会)> 第4回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2016年3月29日)




2016年3月29日 第4回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録

○日時

平成28年3月29日(火)15時40分~16時40分(目途)


○場所

全国都市会館 大ホール(2階)


○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 新田秀樹 原田啓一郎
河野雅行 清水恵一郎 高橋直人
池上秀樹 飯山幸雄 山崎岳
仲野彌和 杉田久雄 時任基清 小川幹雄(代理)
<事務局>
唐澤保険局長 吉田審議官 宮嵜医療課長 三浦保険医療企画調査室長 他

○議題

あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費に関する現状と課題

○議事

15時40分 開会

○遠藤座長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第4回社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、委員の交代について御報告いたします。

 江口隆裕委員にかわりまして新田秀樹委員。

 笠木映里委員にかわりまして原田啓一郎委員。

 嘉数研二委員にかわりまして河野雅行委員が、それぞれ専門委員として発令されております。

 また、新たに東京都後期高齢者医療広域連合保険課長の山崎岳委員が専門委員として発令されております。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、委員の出欠状況について御報告をいたします。

 本日は、村岡委員、佐久間委員、竹下委員が御欠席されます。

 また、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りしたいと思います。竹下委員の代理としまして小川参考人の御出席につき御承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費に関する現状と課題」の資料が事務局より提出されておりますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。お手元に、右肩に「あ-2」と振られております資料を御用意いただければと思います。表題といたしまして「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費に関する現状と課題」と振られているものでございます。

 こちらは昨年1年ほどかけまして私ども事務局といたしまして、保険者の先生方あるいは施術者の先生方から現状の制度につきまして、どのような課題があるかといった御指摘をいただきながら、その点について補足するような形で資料を追加して整理させていただいているものでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 1ページをごらんいただければと思いますが、5つほどに整理しているところでございます。最初に、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費の概要、支給基準に関する課題と論点、施術所の登録管理等に関する課題と論点、給付対象に関する課題と論点、その他という形で進めさせていただければと思います。

 1ページおめくりいただきまして、しばらくあん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費の概要が書いてございます。

 ほぼ同様でございまして、それぞれ3ページに書いてあるとおり、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうにつきまして、対象疾患あるいは同意の要件等々について、このように定めさせていただいているところでございます。

 4ページをごらんいただければと思います。保険給付の支給の仕組みとなっております。療養費につきましては御案内のとおり、原則といたしまして償還払いという形になっておりまして、患者の皆様は施術者の方から施術を受けられた後、一旦患者から施術者に対しまして全額を支払い、その領収書を受け取った上で療養費の請求を保険者に対して行うというルールとなっております。

 5ページが、実際に受けていらっしゃる方の年齢構造などでございます。まず、マッサージ指圧でございますけれども、年齢分布は8089歳が約4割といった形、あるいは70歳以上が全体の9割を占めているものでございます。

 6ページをごらんいただければと思います。あん摩マッサージ指圧の疾病別、月当たりの回数区分の割合をお示ししております。左側の疾患といたしまして、その他というのが6割ぐらいあるのを除きますれば、筋麻痺ですとか関節拘縮、脳出血による片麻痺等々ということが原疾病として挙げられております。

 また、月当たりの回数割合は右の表にあるとおりでございます。

 続きまして、はり・きゅうの場合の年齢分布をお示ししておりますのが7ページでございます。こちらはピークが70歳代となっておりまして、あん摩と比べますと少しピークの低い形での分布が見てとれようかと思います。

 8ページにお進みいただきますと、同じようにはり・きゅうにつきまして疾病別割合、月当たりの回数区分割合をお示ししております。はり・きゅうの場合には原疾病といたしましては、神経痛あるいは腰痛などが大きなウエートを占めているのが見てとれようかと思います。

 9ページ以降は、養成数に関連した資料を挙げさせていただいているところでございます。9ページが、あん摩マッサージ指圧師、あはき師に関する学校の養成施設の定員などの推移でございます。ほぼフラットであるということが見てとれようかと思います。

10ページをごらんいただきたいのですが、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律第19条という規定がございまして、定員についての一定の管理ができるという根拠条文が示されているところでございます。その結果を受けて供給量と申しましょうか、育成の量につきましてコントロールしているところでございます。

 一方、はり・きゅうに関しましての推移が11ページ以降でございます。こちらは厚生労働省の施設も平成10年以降非常にふえてきているというところで、養成施設数の定員もこのぐらいにふえてきているというものでございます。

 これを受けまして12ページでございますが、あん摩マッサージ指圧師の実際の従事者数はそこまで大きくふえていない一方で、はり師・きゅう師というのは急激な増加を見ているというのがこの実態でございます。

 療養費の推移につきましては13ページにあるとおりでございまして、はり・きゅうにつきましては、一時的に大きな伸びがあった一方、最近は鈍化していると。マッサージについては堅調に推移してきているといったあたりが見てとれようかと思います。

14ページ以降に、支給基準に関する課題と論点という形で整理を試みております。

 ほかの療養費でも同様の事案がございましたけれども、支給基準について曖昧な点があるのではないかというあたりを指摘いただいているというのが15ページの具体的なものでございます。例えば、下の箱の一番上の○ですけれども、あん摩マッサージの支給対象となる適応症といたしまして「筋麻痺・関節拘縮等であって」と「等」がついてございます。この「等」の範囲についてどうなっているのかですとか、あるいは原疾病名について多々あるところをどう考えたらよいのかといったような具体的なお尋ねをちょうだいしておると。このあたりを御相談しながら整理しないといけないかなと考えているところでございます。

16ページをごらんいただきたいと思います。それを踏まえまして論点をごらんいただきたいのですが、療養費の取り扱いの理解や支給判断に悩む事案を整理共有するということを試みてはどうかということ。あるいは審査を行うための基準といったものを統一的なものがつくれないかという形で整理しているところでございます。

17ページでございます。施術所の登録管理・指導監督、受領委任制度に関する課題と論点と整理させていただきました。

18ページにお進みいただければと思います。受領委任払いというのが柔道整復の世界にはございます。また一方で、先ほど御説明しましたとおり、いわゆる償還払いというのがあん摩マッサージ、はり・きゅうの原則ですよと申し上げました。また、その中間と申ししましょうか、代理受領という形での取り扱いが一定割合あるということを御紹介したいと思います。

 1つ目の○をごらんいただきたいと思います。あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師の施術に係る療養費について、制度上は償還払いである一方で、代理受領を認めている保険者もあり、その取り扱いは各保険者によって異なるのが現状でございます。国・保険者が施術者を登録管理する統一的な仕組みがないという一方で、不適正な事案が発生した場合でも統一的なペナルティーが科せられないといった状況でございます。

19ページをごらんいただければと思います。このような代理受領の取り扱いがどれくらい実際に行われているかを見たものでございます。全体で申し上げれば代理受領、いわゆる被保険者からの償還払いの請求ではなくて、施術者からの請求に応じているかという問いに対しまして、全体では64%が応じている、あるいは8%は一部応じているということで、7割程度は何らかの形で代理受領という形を取り入れているということが見てとれようかと思います。また、一方で、応じていない償還払いの原則を徹底されているところが28%あったところでございます。

 この取り扱いにつきましては、各保険者によりまして少し比率が変わっておりまして、健康保険組合におきましては52%が応じている、一部応じているのが11%、応じていないのは4割弱という取り扱いである一方で、協会健保さんあるいは後期高齢者、国民健康保険では比較的高い比率になっていることが19ページの表でおわかりかと思います。

20ページ、21ページは少し字が細かくなって恐縮ですが、ここで御説明申し上げなければいけない点というのは1つでございまして、いわゆる施術所の登録管理あるいは指導監督につきましては、基本的に償還払いの仕組みをとっておりますので、そのような根拠規定もなく、そのような仕組みがないということを申し上げたいということが書いてございます。

 以上を踏まえまして、22ページにお進みいただければと思います。論点といたしまして、施術者に対して適正な療養費の請求を徹底するために、療養費の取り扱いの理解や支給判断に悩む事案を整理して共有してはどうか。先ほどの支給基準の話にも相通ずる部分がございますが、このような点を挙げさせていただいております。

 続きまして、不適切な請求事案の再発を防ぐという観点から、例えば保険者間で不適切な請求があった施術所情報を共有するといった仕組みが検討できないかということ。あるいは一部負担で書かれる制度を創設すべしという意見をちょうだいしたこともございました。このような制度、すなわち原則であるところの償還払いではなく、現物化をしたような給付として再構築できないかという御提案かと思いますが、これをどのように考えるか。

 また、あわせて施術者に対する指導監督の仕組みを設けることについて、どのように考えるか。要はセットだと思いますけれども、そのような現物化をした上で施術所・施術者に対する管理を取り入れてはどうかということを御提案いただいておりますことについて、どのように考えるかということかと思います。

23ページ以降、今度は給付対象に関する課題と論点としております。

24ページをごらんいただければと思います。あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの療養費の中のシェアを分解したものです。赤丸がついているところで少し大きい数字、金額ベースで例えば全国健康保険協会では57.3%が往療費の占める割合であるというものでございます。金額ベース全体で63.5%、件数ベースでも88.4%といった大きな割合となっています。すなわち施術をする上で手を動かすという部分ではなく、往療がこれほど高い割合を占めているといった現状があるということでございます。

25ページは、往療料の割合、距離、回数の推移、平成2426年度までの推移を追ったものでございます。往療料の割合が、あん摩マッサージの場合にはこのようになっているということ、あるいは1回当たりの距離がごらんのとおりで、あん摩マッサージの場合は少し延びてきている、またはり・きゅうも延びてきている。また、一月当たりの往療の回数というのは逆に減ってきている。このようなトレンドとなっていることをお含みおきいただければと思います。

26ページは往療料の算定基準ということで、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう、柔道整復、それぞれほぼ類似した形で算定基準として設けているということをお示ししているものでございます。基本的には患家の求めに応じて行うものであること、あるいは計画的な訪問という形での施術は算定できないという形でお示ししてございます。

27ページは支給対象の比較でございまして、冒頭の支給基準が不明確であるという例として申し上げたところが1つ入っております。あん摩マッサージ指圧のところでございますけれども、適応症といたしまして「一律にその診断名によることなく筋麻痺、関節拘縮等であって」といったような形でお示ししていると。それから「骨折、脱臼はもとより、脳出血による片麻痺」云々ということで、医師の同意により必要性が認められる場合には支給対象となるといった形でお示ししてございます。逆を申し上げれば、この程度のもので運用してきているということでございます。

 はり・きゅうも真ん中の欄にありますような形でお示ししているところでございます。

 また、それぞれ医師の同意につきましては、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうについては必要だということ。また、あん摩マッサージ指圧につきましては、往療が行われた場合には往療の必要性についても同意をいただくという形で運用させていただいております。

 これらを踏まえまして28ページでございます。論点の欄をごらんいただければと思いますが、曖昧となっている給付対象の事例を整理してはどうか。2点目、あん摩マッサージ指圧に係る療養費では、療養費全体に占める往療料が6割を超えているといった実態、あるいはあん摩マッサージ指圧、はり・きゅうにおける往療料の基本額の引き下げや、施術料単価の引き上げを行った結果、往療1回当たりの距離が延びてきている実態をどのように考えるか。それから、あはき療養費、柔整療養費の併給についても少し考えていく必要があるのではないか、このような形で整理をさせていただいているところでございます。

 最後30ページにお進みいただければと思います。その他の課題と論点ということで、個別に保険者あるいは施術者の皆様からちょうだいいたしました意見を3点ほど挙げてございます。

 真ん中の「保険者・施術者の意見」をごらんいただきたいのですが、一定の局所数以上の施術に係る包括料金化、あるいは長期患者の施術期間上限、施術回数の上限などを検討してはどうか。2点目が、医師の再同意について、再同意書の添付を求めてはどうか。それから、3点目、支給申請書様式の統一による電子化に向けた方策検討が必要ではないか、この3点をちょうだいしております。

 論点といたしまして同様の内容を少し踏まえております。マル2では過去の経緯を追加させていただいております。再同意書の添付につきましては、過去再同意の各論を簡素化した経緯がございます。順序は逆になりましたけれども、1番上の「現状と背景」の欄のマル2をごらんいただきたいのですが、昭和57年の老人保健法案の審議の際の附帯決議を受けまして、医師の再同意があれば同意書の添付まで求めないという取り扱いに変更にしたという歴史的な経緯がございます。このようなことを踏まえてどのように考えるかといったようなことを追加的に情報として入れさせていただいているところでございます。

 私からの御説明は以上となります。

○遠藤座長

 ありがとうございました。現状の説明と課題、論点についてまとめて御報告をいただきました。

 それでは、ただいまの説明に関連しまして、御質問・御意見等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。それでは、小川参考人、よろしくお願いいたします。

○小川参考人

 柔整との併給についてお聞きしたいと思います。

 まず質問なのですけれども、現状はどんな状態かを知りたいのが1つと、もう一点は、もし併給を禁止するということであれば、あはきの場合は全て医師の同意書つきなのですけれども、柔整の場合は99.3%は医師の同意書がないということを聞いておりますし、会計検査院も相当数請求に疑義があるということもおっしゃっておりますので、もし併給を禁止するとすれば、医師の同意書を優先してやるべきではないかと思います。

○遠藤座長

 御質問でしたので、比較をということでしたが、事務局からコメントは可能ですか。お願いいたします。

○保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。

 お尋ねが2つほどあったかと思います。1点目は、そもそも現状がどうなっているのかというお尋ね、2点目が制度上あはきの場合には同意が必要で、柔整の場合には同意が要らないものが大層を占めておるということから、仮に併給を禁止するということであれば、医師の同意のあるあはきを優先するべきではないかという御意見の2つかと思います。

 まず、前段の実情でございますけれども、私ども実はコメントとして併給が多く見られるようになってきているという御指摘はいただいておりますけれども、正直に申し上げましてどういう実態にあるかは今、手元に持ち合わせておりません。ですので、まず、そのあたりを整理しながら、どのような取り扱いとすべきかを考えていきたいというのが現状でございます。

○遠藤座長

 小川参考人、よろしいですか。

○小川参考人

 問題があれば、また次の機会でも話題に出していただきたいと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。池上委員お願いいたします。

○池上委員

 今、御説明いただいた19ページの資料の関係で、きょうは傍聴の方もたくさんいらっしゃいますので、万一誤解をされるといけないので念のためということで申し上げておきたいことがあります。あはきの代理受領云々で、例えば健康保険組合だと52%が実施していますというようなグラフがありますけれども、先ほどやっておりました柔整の受領委任払いと、あたかも同じような実態が5割あると誤解されるといけないので、あえて申し上げておきますけれども、柔道整復師の受領委任払いは保険者と施術者側が主体的に協定を結んでいるという性質のものでありまして、ここに書かれているものは患者さんと施術者の方が民法上の請求権の委任を受けられて、その委任に基づいて施術者が保険者に7割分を請求されて、その請求を患者さんのことをおもんぱかってという言い方がいいかどうかわからないですけれども、それを容認しているということで、本質的に柔整さんの受領委任払いとここに書かれている受領委任というのは非常に似ている言葉なのですけれども、まるで違うのだということだけはきちんと御理解しておいていただきたいというのが1つです。

 それから、きょうまとめられた論点の中で1点気になるところがあるのですが、22ページの登録管理・指導監督、受領委任制度に関する課題と論点と一番下の「論点」で3つ○がございます。3つ目の○ですが、「一部負担金でかかれる制度の創設についてどのように考えるか」、これはまさに今申し上げた柔整の受領委任を多少意識された表現なのだろうと思うのですけれども、「合わせて、施術者・施術所に対する指導監督の仕組みを設けることについてどのように考えるか」、これも多分前のページの資料で、柔整の場合は受領委任の契約の中できちんとそういう指導監督がうたわれていると。あはきの場合は、そういう根拠規定がないということを受けての表現だと思うのですけれども、あたかも受領委任と施術者に対する指導監督がセットでなければいけないかのごとき1項目にまとめられているのは、私としては非常に心外に思っております。受領委任という払い方の問題と施術者に対する指導監督とは別の問題であって、例えば、指導監督だけを充実するのであれば、それはあはきの法律もあるわけですから、必要な指導監督について法改正をすればいいわけで、これがあたかもセットであるかのような資料づくり、先ほどの御説明は、保険者としては少々納得しがたいということもあえて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。御意見として承りました。

 ほかにただいまの御発言に関連してでも結構でございますし、そうでなくても結構でございますが、いかがでしょうか。高橋委員お願いします。

○高橋委員

 「保険者・施術者の意見」の2つ目の○の意味がわからないのですが、「療養費の対象となる施術所を管理登録する仕組みをつくってはどうか」、この仕組みというのは、私どもは代理受領をやっていますけれども、先ほど池上委員からお話があったように、民事上の患者さんと施術者との間で、7割を御本人が保険者に請求する権利を施術者に委任して代理で受け取るという話ですけれども、そういう民事上の仕組みからは管理登録という話が出てこないんですね。ですから、これは先ほど来池上委員がおっしゃったように、代理受領という話ではなくて、全然別の柔整のような受領委任制度をつくるという前提でのお話だと受け止めてよろしいのですね。

○遠藤座長

 事務局への御質問と伺ってよろしいですね。では、事務局からコメントをお願いしたいと思います。

○保険医療企画調査室長

 こちらは保険者あるいは施術者の方からいろいろ教えていただく中で意見として整理しているものでございまして、今、高橋委員から御指摘がありましたとおり、一種一部負担でかかる制度とパッケージにして、受領委任的に施術所の登録管理ということも含めて行ってはどうかという御提案だったと記憶しております。もしも誤解がありましたら御指摘いただければと思います。

○遠藤座長

 ありがとうございます。施術者側でただいまのコメントについて何かございますか。あるいは御発言の趣旨をもう一度確認する必要があれば、そのようにしますが。では、杉田委員お願いいたします。

○杉田委員

 確かに、一部負担金でかかれる制度ということをやってもらいたいなというのが我々の考えであることはそうなのですが、そのときになぜそんなことまで考えたかというと、不正請求ということをよく言われていますけれども、果たして不正請求という言葉が適当なのかということが一つあります。なぜかといいますと、我々の中では今もそうなのですけれども、保険制度そのものを勉強する機会がないということがあるんです。ですから、指導監督や登録管理ということも含めて、そういうことがないと不適切ということはあり得ると思います。でも、不正であるかどうかということに対しては、本人自体が不正だと思っていないということも多分あるだろうと思います。ですから、そういう機会をぜひ与えてほしいなと。そのために今、いわゆる養成学校のカリキュラムの中でも保険について勉強する機会を与えようということが今検討されておりまして、ほぼそういう方向になるのだろうと思っています。

 不正請求というのはけしからん話だと思うのですけれども、不正なのか不適切なのかということになると、必ずしも不正と表現されているものに対して、本人は本当に不正だとは思っていないというものも結構あるのではないかと。ですから、ここはぜひ、いろいろな制度の中でそういう機会も与えてもらいたい。そのためには一部負担金でかかれる制度という中でやられることが一番みんなが納得しやすいのではないだろうかと考えているわけです。

○遠藤座長

 ありがとうございます。池上委員どうぞ。

○池上委員

 施術者側の方から一部負担金でかかれる制度をつくれないか、あわせて指導監督の仕組みもセットにしたような仕組みはどうだろうということを御提案されるのは別に構わないのですけれども、書かれている場所が問題だと思っているんです。今のようなお話で施術者側からそういう提案がありましたというのであれば、中段の「保険者・施術者の意見」に書かれるべきであって、それを踏まえて厚生労働省として、この専門委員会で今後どういうことを論点として議論していこうかというときに、それがセットでなければいけないかごとき表現はいかがなものかと私は申し上げたわけでございます。要するに、例えば、一部負担金でかかれる制度みたいなものをつくらないとしたら、施術者に対する指導監督もセットであきらめなくてはいけませんという論理構成になるわけで、それはおかしいでしょうということを私は申し上げただけです。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。池上委員どうぞ。

○池上委員

 続けてで申しわけないのですが、24ページを見ていただきたいのですけれども、往療料の関係で、先ほど金額ベースの数字を中心に御紹介があったのですけれども、件数ベースのところを見ていただくと88.4%、約9割ということなのですが、御承知のとおり往療料の支給はどういうときかというのはきちんと定義されていて、ある意味例外的取り扱いの記述になっているわけですよね。そういったケースのものが全体の9割を占めているということは、保険者としてなかなか飲み込みにくい実態の数値なのかなと思っておりまして、今後の議論に向けてここをもう少し実態解明を厚生労働省にしていただきたいと思います。

 例えば、あわせて関連するものとして、6ページの図で患者の疾患別割合というのが左側にありますけれども、その他が全体の6割を占めている分析データというのは、データとしてそもそもおかしいなと思っておりまして、その他というのは幾つかの大きな要因がグラフ化されて、残った分をまとめてその他というのはあれなのですが、その他が最も大きい。昔、統計の先生にこういうものは怒られたことがあるので、あえて申し上げるのですけれども、これは分析なり区分の仕方が悪いだけで、こういうデータだとなかなか次の議論につながっていかない。この中身をもう少し精査していただいて、病名別の分布割合と、今、往療料はどういう場合に払うのかという定義との関係でいったときに、先ほどの件数で9割往療料が算定されているという実態が本当にリンクするのかどうか、その辺に非常に大きな問題をはらんでいるような、データが不十分なので断定はしませんが、そこをもう少し精査していただいた上で、何か問題があれば、そこをきちんと正していくといったことも今後の議論として大事なのではないかと思いますので、ぜひ厚労省のほうで、さらなる分析をお願いしたいと思います。

○遠藤座長

 御意見として承りました。事務局としては可能な範囲でトライアルをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 小川参考人どうぞ。

○小川参考人

 今の往療料の問題なのですけれども、大分是正されたということですが、実は私も教育のほうに携わっておりますが、あはきを通して疾病のとらえ方あるいは対応の仕方を指導するわけで、それが国民医療に寄与するものだと思っております。にもかかわらず、いわゆる施術料が4割で往療料が6割というのは、学校教育というか、あはきの本質からすると本末転倒のような気がしますので、施術料に一層ウエートを置くような改定作業を行っていただければと思いますので、よろしくお願いします。

○遠藤座長

 御意見として承りました。ありがとうございました。

 杉田委員どうぞ。

○杉田委員

 まず、手技の評価が不当に低いのではないか。ですから、まず手技と往療を分けて考えて、往療料がどれくらい占めているということを言われるけれども、往療料よりも手技の料金が高くなれば、これは逆転するわけですよね。ですから、余りにも不当に安いのではないかと私たちは感じています。それでは往療料が高いのかというと、例えばほかの介護保険や何かから見ると、必ずしも我々の往療料が高いわけではないのではないか。そうすると、手技の料金が安過ぎるのではないだろうかと感じています。

○遠藤座長

 そういう御要望だと承りました。

 池上委員どうぞ。

○池上委員

 今の御意見に真っ向から反論するのもちょっと気が引けなくはないのですけれども、手技のほうが高い低いという話と、明確に支給するケースが定義されている往療料が9割近いという実態との関係、そこに関連は私はないと思います。手技のほうでもう少し金額が上がれば往療料が減りますという理屈は、要するに、正規の形ではない形でそこで稼いでいますということを公言されているようにしか保険者としては聞こえないのですが。

○遠藤座長

 杉田委員どうぞ。

○杉田委員

 そういうふうに受け取られるとちょっと困るんです。というのは、実はそうではなくて、往療と手技を両方含めた金額の中の往療の割合が多いということは、要するに、同じ件数であっても手技の値段が高くなれば割合としては当然違ってきますよねと私は言ったつもりなのですが、以前にも同じような発言をしたら、そういうふうに受け取られてそういうふうに報道されたところもありまして、非常に困ったなと思ったのですけれども、そういうつもりは全くございません。

○遠藤座長

 わかりました。この話はこれぐらいにさせていただいて、ほかにございますか。飯山委員どうぞ。

○飯山委員

22ページで「現状と背景」「保険者・施術者の意見」と来て「論点」と3段に分かれて記述されています。論点の3つ目の○の「一部負担金でかかれる制度の創設についてどのように考えるか。合わせて、施術者・施術所に対する指導監督の仕組みを設けることについてどのように考えるか」という記述につきましては、「合わせて」ということでセットになっているのはおかしいのではないかという池上委員の意見がございました。その点を整理していただいて、この3つの論点についてこれから検討するということについては、私は異存がありませんので、これはこれでいいのではないかと思っております。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。山崎委員どうぞ。

○山崎委員

 今のお話に関連することなのですけれども、先ほどの「一部負担金でかかれる制度の創設について」というところと、「指導監督の仕組み」というのはセットでないといけないということなのですか。それとも、別々に考えることは今後可能なのでしょうか。というのも、マッサージ、はり・きゅうの全体の医療給付費の中で占める割合も年々高まってきています。今後、後期高齢者の被保険者もふえ続けますし、医療費もどんどん伸びていきます。その伸びをなるべく緩やかなものにしないと、我々の後期医療制度の財政も破綻というのは大げさかもしれませんけれども、本当に行き詰まってしまう可能性もございますので、適切な受診はしていただかないといけないのですけれども、医療費の伸びに関してはなるべく抑えたいというのが保険者としての考え方となっております。マッサージなどに関しては、現状でも伸びが非常に大きいんですね。そうした中でも、これは例えばの話で確実な話ではないけれども、不正請求やちょっとした水増し請求をしている事例は、ほかの広域連合などの事例でも見受けることがあります。そういったためにも指導監督というのは必要ではないかと私は考えております。

 例えば、これをセットでやってしまうと、そういった指導監督というのは大分後にならないと出てこないのかなと思えて仕方がないので、できれば別に考えて、それぞれのほうで議論していただければと私は考えております。

 以上です。

○遠藤座長

 これまでの話を伺っていると、そこはある意味比較的柔軟で、セットでということを前提で議論しなくてもいいというように理解しておりますけれども、事務局はそれでよろしいですか。

○保険医療企画調査室長

 まだ私のほうで整理ができておりませんで、少し時間をいただければと思います。考えたいと思います。

○遠藤座長

 わかりました。したがって、それぞれについて課題があるし、重要性もあるということなので、セットにするかどうかについては若干の疑義があるということもあるので、その辺も考えて再整理をお願いしたいと思います。

 ほかにございますか。杉田委員どうぞ。

○杉田委員

 我々としても、これがどんどん伸びていくことを望んでいるわけではありません。正当な部分として伸びていくのはいいのですけれども、明らかに不正だとか不適切なもので伸びていくということは望んでいないわけです。そういうことからすると、指導監督とセットのほうがやりやすいのではないかと感じているわけです。

 ただ、こういうことは言えると思います。マッサージが伸びているとか、はり・きゅうが伸びているということについては、この前も申し上げたのですけれども、元が物すごく少なかったから、それに対して伸びが高くなっている。ただし、今はその伸び率は随分下がってきていると思います。マイナスにはなっていないにしても、かなりの率で伸びていたものが伸び率はどんどん減っていると思います。ですけれども、これをもっと適切なものにしたいと思っているわけで、別にこれがどんどん伸びることを期待しているわけではないわけです。

 以上です。

○遠藤座長

 ありがとうございます。

 それでは、仲野委員どうぞ。

○仲野委員

 非常に整理しにくいのだろうと思いますけれども、私どもも実は厳しくやってくださいと、とんでもない請求はできないようにしてほしいと思っているわけです。一番はそこにあるんです。では、マッサージにしろ、鍼灸にしろ、それぞれ疾患に適応があるかというと、鍼灸に対して言うならば私どもは疾患が絞られているわけです。そうすると、かなりはっきりした形で同意書が出ていなければ、言わば使えない状態にあるわけです。その中で、どんどん今のように高齢化してくれば、決められた形で定期的に、例えば往診するような形をとらざるを得ないようなものが出てくるのも当たり前だし、それぞれ時代のニーズに合ってきているのだと思いますが、それがだんだん使いにくくなっていることは事実です。使いにくいというのはどういうことかというと、言わば本当に大事なところにそういう手当ができていない、やはり大急ぎで土俵をつくり上げていただきたいと思っているわけです。今までの土俵では間に合わないのだろうと思っています。

○遠藤座長

 承りました、ありがとうございます。

 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、大体御意見は承ったということでございますので、いろいろな御意見ございましたので、論点整理を事務局で少ししていただきまして、次回の検討の場でさらに内容が進むように準備をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次回の日程について事務局から何かございますか。

○保険医療企画調査室長

 現在、調整中でございますので、決まりますれば御連絡させていただければと思っております。

○遠藤座長

 よろしくお願いします。

 それでは、これをもちまして「第4回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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