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2016年3月10日 第2回 医療情報データベースの運営等に関する検討会

○日時

日時 平成28年3月10日(木)
18:00~


○場所

場所 厚生労働省3階共用第6会議室


○議事

○安全使用推進室室長補佐 定刻になりましたので、第2回医療情報データベースの運営等に関する検討会を開催いたします。本検討会の構成員については、現時点で 16 名中 12 名の御出席を頂いております。小泉構成員、柴田構成員、松田構成員は御都合が付かないため、本日は御欠席です。石川構成員については、到着が遅れているようです。

 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、申込時の留意事項の遵守をお願いいたします。以後の進行については、永井座長にお願いいたします。

○永井座長 それでは、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 まず初めに、前回の検討会の資料をファイリングしたものを準備いたしましたので、適宜御参照ください。続いて、今回準備した資料として、開催要綱、構成員名簿、資料1「第1回検討会における意見まとめ」、資料2「電子診療情報等の安全対策への利活用事例」、資料3「本検討会における検討事項(事務局整理案)」になります。また、資料3の別添として、利活用のルールに関連した内容を整理した表もお配りしております。資料4「今後の検討スケジュール」です。最後に当日資料として、 MID-NET の利活用の仕組みをまとめたスライドをお配りしております。配布資料の不足、乱丁等がありましたら、事務局までお知らせください。

○永井座長 それでは、議事に入ります。まず初めに、前回の主な議論及び検討課題についてです。資料1、第1回検討会における意見まとめについて、事務局から説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 資料1を御覧ください。第1回検討会において頂いた御意見をまとめました。全般的な事項ですが、1点目で、利活用目的、ルール、費用負担のそれぞれの検討課題は、互いにリンクをしているため、次回の検討会では事務局案を提示すべき。6点目で、 MID-NET の特徴やデータの構造を熟知している人材の育成の在り方も検討してほしいとの御意見を頂きました。これらを受け、資料3として、検討課題について事務局案を整理いたしましたので、後ほど御議論いただきたいと思います。

 また、2点目、3点目として、大規模医療情報の利活用により、どのようにして現在の副作用の自発報告等の限界を補うのか、具体的に明示をすること。それに関連して、 MIHARI Project の事例や、結果を示してほしいとの御意見がありました。これらについても、資料2で MIHARI Project を含めた大規模医療情報の安全対策への利活用事例をまとめましたので、後ほど説明いたします。

 そのほか、4点目は、本事業に関する周知。5点目は、継続的にデータの品質を管理する仕組みの構築。7点目は、本事業の経験を次の事業に生かすこと。8点目は、拠点以外の医療機関による利活用のメリットについても御意見を頂いたところですので、今回の議論の中で引き続き検討を進めていきたいと考えております。

 次に、それぞれの課題についてです。利活用の範囲については、「データベースの利活用による最終受益者は国民」との考えに基づき検討すべき。利活用ルールについては、 MID-NET における匿名加工の考え方など、情報の取扱いについては次回の検討会で議論をし、対外的に発信すべき。個票や集計結果など、利活用をする情報の取扱いの種類により分類をして検討すべき。費用負担の枠組みについては、リアルタイムでの品質管理など、医療機関での維持経費も必要であり、本格運用後の費用負担で考慮してほしいとの御意見がありました。このうち、2番目の「利活用ルール」の1点目にあります匿名加工の考え方ですが、改正個人情報保護法の匿名加工基準については、現在、個人情報保護委員会などで検討されているところです。本検討会では、本格運用後の利活用の在り方を中心に御議論いただきたいこと。それから、匿名加工の考え方を短時間で取りまとめることは難しいため、厚労省として個人情報保護委員会等の関係部署と密接に連携をして、調整を行い、今後の MID-NET の運営に支障が生じないように、適切に対応を行っていくこととしたいと考えております。

 また、それぞれの課題に対するこれらの御意見も踏まえて、今回は資料3で検討課題について事務局案を整理しましたので、後ほど説明いたします。資料1については以上です。

○永井座長 ただいまの説明について、御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。また後ほど戻ることもあるかと思いますが、先にまいります。資料2、電子診療情報等の安全対策への利活用事例について、説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 資料2を御覧ください。電子診療情報等の安全対策への利活用事例について説明いたします。スライド2を御覧ください。資料2では、初めに大規模データベースの必要性と海外における安全対策への活用事例を説明し、次に日本の状況として、 MIHARI Project にて病院情報システムデータとレセプトデータを用いて検討した事例について説明いたします。スライド3を御覧ください。現在、医薬品等の安全対策は、主に副作用報告制度に基づいて行われておりますが、医薬品の投与人数、すなわち母集団を把握できないことや、医療関係者が報告をしなければ副作用の存在が分からないなどの限界があります。そこで、今後は副作用報告制度に加えて、大規模医療情報の利活用によって、副作用について母集団を把握した上での発生頻度の調査や、医薬品が投与されていない患者さんとの比較、また、安全対策の措置の前後の比較などを行い、定量的な情報を基に安全対策につなげる方策を実施していきたいと考えております。

 続いて、スライド4、5を御覧ください。米国では、既に数千万人規模のデータベースが存在し、医薬品の安全対策に積極的に利用されております。詳細は割愛いたしますが、いずれも副作用報告から検出されたリスクについて、大規模症例のデータベースの利活用により、医薬品を使用した際における特定のイベントの発生頻度を迅速に解析し、その結果、措置の判断も迅速に行うことができた事例になります。スライド4では、免疫グロブリン製剤における血栓リスク、スライド5ではダビガトランにおける出血リスクについて、解析結果と安全対策措置等について示しております。

 続いて、スライド6を御覧ください。日本では、 PMDA による MIHARI Project において電子化された医療情報の安全対策への利活用を目指した検討が進められております。以降の内容は、 PMDA より御説明いたします。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 以降の内容について、 PMDA から説明いたします。スライド7を御覧ください。こちらに、 MIHARI Project の概要をお示ししております。 MIHARI Project は、平成 21 年から開始しましたプロジェクトで、それまでは副作用の自発報告が主なデータソースということで安全性評価を進めてまいりましたが、それに加えて、電子診療情報を何とか安全性評価に活用できないかということで、まずは体制の構築作りからプロジェクトとしてスタートしております。我々としては、今までやってきた副作用自発報告、あるいは文献情報、海外規制当局情報、学会情報に加えて、電子診療情報に基づく安全性評価を活用して、より適切な安全対策につなげていくことができないかということで、この MIHARI Project を始めました。

 スライド8を御覧ください。平成 25 年度までに解析を実施できる体制を PMDA で構築してまいりまして、そのパイロットフェーズは平成 25 年度までに終了しております。平成 26 年度からは、実運用ということで、実際にこの MIHARI Project の中で構築してきた経験等を踏まえて、例えば文献レビュー、あるいはレセプトに基づく調査等を、実際の安全性の評価の中で活用を開始し始めているところです。この中では、今申し上げました薬剤疫学調査のほかに、実際に、「分析手法高度化」と書いてありますが、更に新たなデータソースとしてどんなものがあるのかといったことについても検討を進めております。本日御議論いただく MID-NET とは、将来運用が始まれば、こういった我々の安全評価の中で非常に重要なデータソースと位置付けられるものと認識しております。

9 ページを御覧ください。この MIHARI Project の中で実際に病院情報システムデータを活用した事例を御紹介したいと考えて持ってきたスライドですが、こちらは本日お越しいただいております浜松医科大の木村先生をはじめ、 5 病院の方々に御協力を頂いて進めたプロジェクトです。ここでは、 SS-MIX のデータを使い、制酸剤の新規処方患者さんを同定します。そして、その新規処方患者さんの中で白血球減少を起こした患者さんを、こういったデータを使ってうまく特定できないだろうかといったことを試みました。それぞれの諸条件については、詳細は割愛いたしますが、例えば白血球数減少については 2,000/ μ L 以下になった患者さんを定義として使用しております。

10 ページは、実際の結果です。今回のデータの中では、 3 5,846 人の患者さんが制酸剤を新規に処方されており、そのうち白血球減少を起こした患者さんが 103 人ということで、発生割合が計算できることと、実際この 103 人の患者さんの背景として、性別、年齢区分、入外区分といったものも明らかにすることができるものです。次のページは、 103 人の患者さんが実際にほかにどんな併用薬を使用されていたのかという情報も分かるということで、ここに書かせていただいたようなものが、白血球減少を起こした患者さんにおいて同時に処方されていたことが分かっております。

12 ページは、白血球数 2,000/ μ L 以下の中でも、実際どのぐらい減少を起こしたのかを、もう少し詳しいレベルで層別解析をしようと思うと、例えば 1,000 未満、 1,000 1,500 といった切り口を変えて、実際に患者さんがどのぐらいいらっしゃるかを集計することもできます。この調査自体は、 MIHARI Project の早期の段階で、実際我々が SS-MIX データがどんな特徴を有しているのか、あるいはそれによってどういう活用の仕方があるのかを学ばせていただく目的でやらせていただきましたので、何か具体的な安全対策措置を念頭に置いた調査ではないということは御理解いただければと思います。これと同様の調査が MID-NET であれば更に規模が拡大いたしますので、ここで積み上げた経験等に基づいて、より大きな規模での調査を実施できるのではないかと期待しております。

13 ページからは、 SS-MIX データではないのですが、レセプトを使った MIHARI での経験を幾つか御紹介いたします。 14 ページは、このレセプトデータで試行的に実施したものとして、非定型抗精神病薬の糖代謝異常をうまく同定できないかということを試みました。その背景ですが、先生方御承知のとおり、非定型抗精神病薬の中には、重大な副作用として高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、昏睡、糖尿病性昏睡といったことがあります。また、イエローレターとしてオランザピンによる糖尿病性ケトアシドーシス、それから糖尿病性昏睡のことを緊急安全性情報として発出した経緯等がありました。こういった背景に基づき、こういったことをレセプトデータでどこまで再現、あるいは同定できるのだろうかということを試みるため、 MIHARI Project の中で試行調査として実施しました。

 実際にレセプトを使って何をやったかということですが、この非定型抗精神病薬の処方をされた患者さんの中で、どうやってこの糖尿病の高血糖を同定するかですが、我々がやったのは抗精神病薬の処方のあった患者さんのうち、新たにまた糖尿病の治療薬の処方を受けた患者さんを定義として用いております。ここで、アウトカムを定義する際の処方データを用いることで、糖代謝異常を発現したと考えられる人を同定することはできたのですが、逆に言うと、代謝異常の有無を処方の有無のみによって判断しておりますので、もしかするとこういった処方には至らなかったけれども、ある程度糖代謝異常を起こしていた患者さんもいたかもしれないと。こういったものは、レセプトではなかなか限界として難しいと。その一方で、今回この MID-NET のような検査値データを使うことによって、こういった軽度の変化ももしかしたら特定できる可能性があるのではないかと考えております。

 最後は、チアマゾールの定期的な血液検査の実施です。この背景も、無顆粒球症というものが重篤な副作用として知られております。ですので、このチアマゾールを処方した後の無顆粒球症の発症を、レセプトデータを使って何か同定できないかということを試みたものです。このときに、白血球検査のアウトカム定義として用いたのが、医科レセプトの中で行われております末梢血液の一般検査、あるいは血液像、骨髄像の算定があった場合に、白血球減少があったものと定義をし、同定しております。当然のことながら、これにもリミテーションがありますので、白血球検査が行われているのですが、これが実際に包括的な請求名ですから、白血球検査ではなくて、より過大評価をしているような可能性があります。それを、今回の MID-NET の検査データを使うことによって、より詳細な検査値のデータを比較することが可能になりますので、こういう目的のためには MID-NET というものを使うことによってより正確な調査が可能になるのではないかと考えております。ですので、レセプトデータはレセプトデータで非常に我々の安全対策にも有用だと考えておりますが、特にこういう検査値、検査結果等を有するようなイベントを精密に、正確に評価したいときには、今回御議論いただいております MID-NET のデータがかなり役立つのではないかと考えております。説明は以上です。

○永井座長 それでは、御質問をお願いいたします。

○山口構成員 素人で分からないので教えていただきたいのですが、先ほど5病院で病院情報システムデータを利用した解析事例ということで、スライド9、 10 11 12 で御説明を頂きました。これは、実際に解析した結果、年齢別でどうなのかとか、どれぐらいの方に副作用が出ているか、あるいは併用していた薬が何だったかというようなことが分かってきたということです。これによって、例えば最終の受益者は国民にあるということからしますと、何らかの医療関係者に対しての注意喚起などの対策があって、初めて国民が益を受けると思うのですが、この例で言いますとどういう注意喚起につながったのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 この例は、あくまでも既に分かっている副作用について、我々が実際に電子診療情報を活用してどこまで再現できるかという初期の段階で実施したものですので、これに基づいて何か具体的な安全対策を取ったわけではありません。今後こういうことができるようになれば、先ほど自発報告の中でリミテーションとして挙げられていた、そもそも全ての副作用が上がってきていないであるとか、ほかの薬と比べてどうであるといったことができますので、より早い段階で今までは白血球減少というリスクが知られていなかった薬でも、こういうことをすることによって白血球減少のリスクがどうもあるということが分かってくると、その段階で何らかの注意喚起、例えば添付文書改訂をするなどの何らかの情報を臨床現場にお届けすることが可能になってくると思われます。

○山口構成員 ということは、今回この例については、何ができるのかの検証を実際に行ったということですか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 平成 21 年度から 25 年度までは、我々は電子診療情報を活用してどんなことができるのだろうということを学ばせていただくフェーズでやったものですので、むしろ既によく分かっている副作用をどのぐらい評価できるのだろうかという目的でやらせていただいたものです。

○山口構成員 分かりました。

○木村構成員 浜松医大の木村です。これの関連という意味では、早く論文を書かなければいけないのは私の仕事ですので、急ぎたいと思います。今の御説明のとおり、きちんと知られているものはきちんと出るということを確認したのですよね。やはり急性期病院が多いので、少し多いかなという感じの所見でした。ですから、これが新しい発見ではなくて、このやり方でも出るものは出るということが確認されました。そう御理解ください。

○永井座長 これを解析するためのソフトは、そう手間がかかるものではないのですか。あるいは、もうできたものがあるのですか。

○木村構成員 先生もデモを御覧になったことがあると思いますが、我々の開発したものでやりました。

○永井座長 しかし、これから MID-NET が出来てきたときには、 MID-NET 用のものをまた作らなければいけないのですか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長  MID-NET に関しては、木村先生の所の経験等に基づくものですが、もう開発が終わっておりますので、実際に MID-NET のデータを使った解析が可能な状況ではあります。

○中島構成員 これは質問というかお願いなのですが、この MIHARI の結果はとても分かりやすくて、そういう意味では、見ている人はこれで MIHARI がどういうことをやろうとしているかはよく理解できるのですね。一方で、やはり大きな税金を使って作っている MID-NET は、まだ何も外に見せることができていないと。もちろん、それはまだデータの品質もきちんと管理されていない時期があったので、この薬がどうだという形では出すことはできないのですが、例えば薬の名前は伏せながら、あるいは副作用の名前も伏せながら、ただ、今はほぼ 100 %の品質になったデータベースで MIHARI と同じような結果がどれぐらいの規模で、どれぐらいの品質で、どれぐらいの時間で出るのかを、次回の運営委員会などに出していただくようなことはできないものですか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 それは、正に今、先生方に御協力をしていただいて試行調査をやろうとしている結果については、積極的に公表していこうと思っておりますが、今の御質問は、これまでやった結果についても何らかの形でということですか。

○中島構成員 そうですね。今までの結果はその薬に対してどうこうということではなく、これだけ今まで何年間かやってきた結果でここまできたというのを是非示す必要があるのではないかと。まだ全くできていないから何も見せることはできないというのでは、少し寂しいなと。もうすぐこれができるから期待してほしいということを見せたら、非常に良いのではないかという気がしております。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 今、品質管理を並行しながらやっていますので。

○中島構成員 つまり、見せられる範囲で MID-NET のアピールといいますか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 分かりました。

○中島構成員 これぐらい税金を使ったけれども、これぐらいのことがもうすぐできるということを示していただきたいということです。

○安全対策課長 分かりました。出せるものを見つくろって出すように検討します。

○山本座長代理 スライド 10 のテーブルですが、この試行においてリスクがどれだけあるかは分からないのですが、それでも年齢が 40 歳未満で*( 10 未満の値)人という数字を出してしまうのは、いかがなものですかね。例えば、一般に米国の CMS がデータ提供をするときの結果のテーブルは、 10 人以下はマスクすると一応ルールに決まっているのですね。不明の 2 人はしょうがないとしても、 40 歳未満が*( 10 未満の値)人で、この5病院で、しかも制酸剤を飲んでいて、何らかの白血球減少があるみたいなことが仮に周りから分かるとすると、*( 10 未満の値)人というのは相当特定性が高いデータになってしまいますので、ここは私はマスクすべきだと思うのですよね。ですから、これを出すという感覚で MID-NET をやっていると、相当ハレーションを起こすので、今回の試行でこれがどうのこうのというわけではないですが、そこは少し気を遣ったほうがいいのではないかと思っています。

○永井座長 具体的には、どのようにこういうものを出せば。

○山本座長代理 この*( 10 未満の値)人の場合は、 10 以下ということでダッシュに変えるとか、要するに人数が余り確定しないような形で出しておかないと、例えばこれが 1 人とかになってしまうと、相当特定性が高くなりますから。

○安全対策課長 この点については、この後の議論でどういうデータをどのように扱うかという御議論を頂きたいと思います。御指摘ありがとうございました。気を付けます。○永井座長 よろしいでしょうか。それでは、資料3の本検討会における検討事項(事務局整理案)について、説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 それでは、資料3を御覧ください。本検討会における検討事項について事務局で整理した案を御説明いたします。

 1ページ目を御覧ください。初めに、利活用の範囲ですが、今回の検討会では利活用者の範囲と利活用の目的の範囲の基本的な考え方について御議論いただければと考えております。まず、利活用者の範囲としては、現状の協力医療機関と行政に加えて、製薬業界やアカデミアなども利活用を可能としてはどうかと考えております。

 また、利活用の目的の範囲としては、医薬品等の市販後安全監視や、リスク・ベネフィット評価を含めた安全対策を軸としつつも、公益性の高い調査・研究の利活用も一定の範囲で可能としてはどうかと考えております。ここに示した公益性の高い調査・研究については、本検討会で基本的な考え方をまとめ、個々の利活用の目的については、その基本的な考え方への該当性を、本事業における有識者会議のような会議体で個別に審査をすることとしてはどうかと考えております。

 また、事務局としては、公益性の高い調査・研究として、具体的には、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討結果に基づき、開発要請を行った医薬品について、企業が使用実態を把握するために実施する研究や、厚生労働科学研究費や AMED 研究費の事業で採択された研究を想定しております。なお、 NDB におけるデータの提供依頼申出者の範囲を、以下に示しましたので、適宜御参考ください。

 2ページは、利活用のルールです。今回の検討会では、取り扱う情報の種類と利活用方法のパターンを踏まえて、利活用形態の方向について御議論いただければと思います。事務局としては、利活用者自らの責任の下で、オンサイトセンターで必要な解析を行うことを可能とし、また、一次統計処理結果データ、いわゆる集計表の一部は、自施設の利活用も可能としてはどうかという案をお示ししております。このような考えに至った経緯については、資料3の別添にまとめましたので、資料3別添のスライド1を御覧ください。

 初めに、利活用をする情報の種類に分けて、それぞれの法的な位置付けや、システムの安全管理上の課題等について整理をいたしました。なお、ここでは、表の下の※の上から2番目に示したとおり、 MID-NET で取り扱う匿名化データは、改正個人情報保護法上の匿名加工情報に該当することを前提に考え方などを整理していますので、今回の検討会では、このことを前提に御議論いただきますようお願いいたします。

 法的な位置付けについては、左側の一次統計処理結果データ、こちらは集計表であるため、非個人情報に当たると考えております。ただし、表の下の※の1番目にお示ししたとおり、そもそもの分析対象数、いわゆる全体の N 数が極めて小さい場合や、集計結果値が極めて小さい場合、例えば、年齢層ごとに人数を集計した際に、特定の年齢層の人数が極めて小さかった場合、これらについては、非個人情報には当たらないと考えております。また、分析用データセット、いわゆる個票については、匿名加工情報としての位置付けとして整理されると考えております。

 これらの考え方を踏まえ、それぞれの情報について、表の上から3行目のとおり、システムの安全管理上の課題を整理しました。まず、左側の集計表のうち、非個人情報の利活用については、特段の対応は不要と考えておりますが、※の1番目のケースのように、分析対象数や、集計結果値が極めて小さい場合は、一定以上の安全管理の要件を満たすことが必要ではないかと考えております。また、右側の個票については、患者単位のデータであるため、利活用の際には、データの漏洩を防ぐことなど安全管理上の対応は必要ではないかと考えております。

 以上の考え方を整理すると、一番下の枠内にお示ししたとおり、分析対象数や集計結果値が極めて小さい集計表と、匿名加工情報である個票を利活用する場合には、一定以上の安全管理の確保を求める必要があるのではないかと考えております。

 スライド2は、利活用方法のパターンを分けて、それぞれの課題等について整理をしました。左側から順に、自施設から統合データ処理センターにアクセスして利活用する場合、オンサイトで統合データ処理センターにアクセスをして利活用する場合、利活用者が PMDA に研究計画書を提出して解析をする場合について、それぞれのメリットと課題を整理しました。

 このうち一番右の PMDA に解析を依頼する場合、「課題」の箇所に記載しているとおり、データの解析依頼に対応するための PMDA の人員体制の確保が必要となること、それから、再審査申請に利用されるデータの解析については、 COI の整理が必要。すなわち、製薬企業の依頼により、 PMDA が解析したデータ、こちらのデータが薬事申請の資料として利用された場合、その資料の審査も PMDA が行うことになります。これではデータの解析者とデータの審査を行う者が同じになってしまうため、 COI の観点上、ふさわしくない状況となってしまいます。また、利活用者の利便性の観点からは PMDA に解析を依頼する場合よりも、自施設あるいはオンサイトセンターから統合データ処理センターにアクセスをして、自ら解析を行うほうが利便性も高いと考えられます。

 したがって、事務局としては、赤枠で囲んだ左側の2つの利活用のパターン、すなわち、利活用者自らの責任の下で、自施設あるいはオンサイトセンターから MID-NET のシステムである複数システムである統合データ処理センターにアクセスをして、利活用するといった形態が望ましいのではないかと考えております。

 スライド3です。以上のように、利活用をする情報の種類と利活用方法のパターンを整理した上で、それぞれのケースについてシステムの安全管理上の課題を整理しました。今回の検討会では、ここに挙げられた課題なども踏まえて、利活用形態の方向性について御議論いただければと考えております。

まず、オンサイトセンターから MID-NET のシステムにアクセスする場合、個票を含めた情報を取り扱うに当たって、どの程度の安全管理要件を求めるのか、オンサイトセンターからのデータの持ち出しについてどのようなルールとするのか、ということについて検討が必要と考えております。また、仮に自施設から MID-NET のシステムにアクセスする場合、自施設が各自で利活用の環境を整備する必要がありますが、集計結果を取り扱う場合には、非個人情報の利活用についてどの程度の安全管理の要件を求めるのか。集計結果について、分析対象数や集計結果値が極めて小さい場合、その利活用をどのように制限するのか、ということについて検討が必要と考えております。さらに、個票を取り扱う場合は、そもそも自施設からのアクセスによる利活用が認められるのか。仮に、自施設からのアクセスによる利活用を求める場合、どの程度の安全管理の要件を求めるのか、ということについて検討が必要と考えております。

 資料3の2ページ目の冒頭のほうに戻ります。以上の内容を踏まえて、事務局としては、当面の間はオンサイトセンターにてデータの利活用を可能とし、集計表の一部は自施設での利活用も可能となるようにしてはどうかと考えております。

 次に、費用負担の枠組みです。負担元の選択肢としては、利用料、国費、安全対策拠出金が考えられ、受益者負担の考え方から、利活用者が利用料を負担することを基本としてはどうかと考えております。また、行政による医薬品の安全対策のための利活用は、利活用者が行政となることから、国費と安全対策拠出金により、利用料を負担するという整理ができるのではないかと考えております。併せて、システムの長期安定稼働を実現するために、当面の期間、国費の負担が必要ではないかと考えております。

 なお、費用負担の枠組みを今回考える上で、データの継続的な品質管理を含めた、必要な費用の内訳を以下に示しましたので、適宜御参考ください。また、その下の利用料の額については、一律ではなく、例えば利用するデータの量とか、協力医療機関に送付するスクリプトの数などの解析内容に応じて設定してはどうかと考えております。

 最後、4番目の人材育成についてです。 MID-NET のデータベースの特徴や、データの構造を熟知している人材を育成するために、利活用のための研修会の実施や、教育資材の作成を行うとともに、利活用の目的の箇所にお示ししたように、公的研究費により利活用をする場合は、研修を受講することを要件としてはどうかと考えております。資料3については、以上です。

○永井室長 個別の議論に入る前に、今の御説明で何か質問はありますでしょうか。よろしいですか。では、個別に意見を頂きたいと思います。最初に利活用の範囲ということで、いかがでしょうか。

○石川構成員 先行して日本には NDB があって、そこにはきちんとした利活用のルールがあります。先ほど山本先生から結果の公表の仕方についても NDB のほうでは、かなりきっちりと個人情報にリンクしないような形での公表の仕方、そういったところまで審査をする。事前にその利活用者が出す結果について、どういう公表の仕方をするのかという形で審査をしているわけです。そこに倣って私は、利活用を申し出る者に対して、どういう目的でこの研究をされるのかということ。それから、公表の仕方についても、一定の慣れる時期まで審査をするべきと思います。あと、「 MID-NET 」がどこまでの範囲を指すのかは分かりませんが、これは「 MID-NET 」という名前にするのですか。

○永井室長 どうなのでしょうか。

○石川構成員 「 MID-NET 」というのは時々出てきて、後で確認しますが、この言葉が指し示す範囲についてはきちんと決めてもらいたいのです。是非、 MID-NET の利活用が習熟するまで、国民に良い材料を提供することが、一定のところまでに進むまで有識者会議のようなものを設けてきちんと審査をするべきだと考えております。そうすれば、結果に対しても責任が負えるのではないかと。それが、やはり長い間、このシステムをきちんと国民のために活用するノウハウだと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○永井室長 いかがでしょうか。緊急の場合だとどうするかという問題もありますが、それはまた別に考えればいいのかもしれませんが、ある程度のチェックは必要だということだと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。

○大江構成員 この公益性の高い調査・研究というのをどのように範囲を定めるかということで、難しい問題だとは思いますが、ここに想定される例とか、あるいは NDB の場合だと、2)に費用の全部又は一部を国の行政機関や研究開発、独立行政法人等から補助されているものと書かれていまして、つまり、研究費の出所によって、出所を縛ることで、公益性が高いかどうかを判断するという、そういう仕組みになっていますし、そうなりがちだと思いますが、私は少しここは、この MID-NET の事業のデータベースは、もう少し柔軟でもいいのではないかと思っています。

 例えば、公益的な研究を助成している研究財団だとか、あるいはそれほど大規模な研究費を要さないような研究テーマで純粋にアカデミアの研究チームが発案して、このデータベースを利用する学術研究というのは多々あるわけですし、そういったものが数多く実施されることで、今まで着想できなかったような手法による新しい医薬品の安全性調査というのも出てくると思います。ですから、必ずしも、いわゆる国の公益的な研究助成がないと認めないという形にはしないでいくべきではないかと思います。

○永井室長 何かよい表現はありますか。

○山本座長代理  NDB の場合、2)が適用されるのは、例えば一般の民間のシンクタンクとか、そういった所が公的な資金を受けて研究している場合で、アカデミアの場合は、1)の学校教育法に規定する大学・大学院を含む。この場合は、研究費を取っていようが取ってなかろうが全く関係ありませんので、研究費の出所で決めているわけではない。

○大江構成員 分かりました。必ずしもそういうわけではないことを理解しました。そうすると、1)の範囲がいいのかという議論を今後していく必要があるということだと思います。

 例えば、今、ある専門領域の複数の学会で共通のテーマを提示して、それの調査を行うといったような場合に、 MID-NET を利用する研究というのは、幾らでも考えられると思いますので、その辺りもうまく考慮して、幅を定義するのは非常に難しいのですけれども、そういう視点は必要ではないかと思います。

○永井室長 学会というのは、どこに位置付けられるのでしょうか。

○山本座長代理  NDB では、学会は入っていません。

○永井室長 何か別に設けなければいけないということはないのでしょうか。

○石川構成員 ですから、 NDB では、学会というのは認めていないわけですが、それは今のところですね、今のところだと思います。これは、座長は山本先生ですので、山本先生からおっしゃられればいいと思いますが、いずれ、いろいろな形で習熟してきて、安全に国民のデータを守られるということであれば、そういう利用もできるのだと思いますので、是非、 MID-NET も、そういう形で運用し始めたらどうかというのが、先ほどの私の提案です。

○山本座長代理  NDB の場合は、これは常に議論になっているのですが、 NDB は高齢者の医療の確保に関する法律に基づくデータベースで、あくまでも法律の規定外利用を決めているわけで、そういう意味では、もしも間違いがあった場合の規制というのがないのです。したがって、厚生労働大臣と提供先との民事上の契約でこれを決めているわけです。契約による罰則ですので、相手がしっかりした法人でないと、なかなか有効ではないのですね。それがしっかりとした法人ということを確認できることが一番リミティングファクターになっていて、そういう意味で、学会等は当然入ってもいいのですが、やはり中には余りしっかりしていないような所もあるように思います。そこは実績を見ながら決めていくということになるのだろうと思います。 MID-NET の場合も、若干、似たところがあるのではないかと思いますので、万が一、何かがあった場合に責任の所在がどこにあるのかというのが確実であれば、それはそれなりに考えられると思います。

○大江構成員 それを全て了解した上で、更に追加発言ですが、この事業の場合には、先ほど資料3の別添でも仕分けが説明されましたように、一次統計処理結果の場合には、それぞれの医療機関で統計処理をした後のデータを使うというケースがあるわけで、これが主な利用方法だと思います。

 そうすると、 NDB と非常に大きな違いがあるのは、 NDB の場合は、個々の研究テーマごとに基本的には抽出データセットを作って、この表で言うと、右側に相当するわけですね。分析データセット(個票)を作って、それを利活用者に提供するという意味で、慎重な取扱いが求められるわけですが、この事業の場合で、一次統計処理結果を使うという場合には、一定数の集計結果値が例えば 10 以上、 20 以上と得られていることが保証されていれば、もう少し緩い利用形態、利用範囲というのを考えて然るべきというか、そのほうがいいのではないかと思います。

○永井室長 いかがでしょうか。

○石川構成員 今のことですが、これは実は、すごく問題でして、各協力医療機関の方たちは大変な思いをして、これをやっているのですが、一次統計処理システムは匿名化処理前なのですね。

○木村構成員 これはもう匿名化処理後です。

○石川構成員 後ですか。匿名化は一体どこで行われているのですか。正直言って、きちんとした医療機関は生データも使えるわけです。生データを持っているわけです、医療機関として。そうすると、一番問題なのは、各協力医療機関同士で、例えば同じ研究をやってみたいということがあったときのデータの供出の仕方というのが、一定の範囲でルールを決めておかないと、なかなか難しいと思います。例えば、大江先生の所と木村先生の所が、糖尿病のデータをまとめようと言ったときに、それぞれが生データを持っているわけですから、この糖尿病のデータをどうやってまとめるのかと、お互いに一番問題なのは、患者さんにそのデータの利用まで、個人情報の問題は厳しくなりますので、許諾を得ている、得ていないという、医療機関がその研究に使うことについて、やはりうるさくなってくると思います。その辺のところは、きちんと考えないといけない。ですから、私はこれがすごく気になったのです。ここはきちんと匿名化処理をしているのですね。

○安全使用推進室長 前回の資料をファイリングしてありますので、そちらをもう一度御確認いただければと思います。

MID-NET の匿名化処理に関しては、前回の検討会の資料1のスライド4になります。「医療情報データベースにおける情報の取扱い」を御覧いただくと、一番左からいくと、医療機関で様々な電子カルテなどの病院情報システムがありまして、それから標準化ストレージを経由して、統合データソースという所に入ります。統合データソースに入っている段階のデータは、この図の下のほうにありますとおり、連結可能な匿名化された情報ということで、実患者 ID は変換された ID になりますが、氏名、住所などは入っていない。匿名化はされているというデータになります。

 この統合データソースに対して、様々な条件の抽出スクリプトが投げられまして、そのスクリプトの条件に応じて、データが抽出されます。抽出されるパターンとして、1つは「抽出後個票」とありますが、この段階では、先ほどの変換した ID というのも、もう無くなっているということになります。さらに、先ほどの御質問の集計結果データというのは、この個票から集計表の形に集計したものですので、抽出後個票 DB ID なし)の右上のほうにある、集計結果データに当たります。したがって、抽出処理が行われた後のものについては連結もできない匿名化された情報ということになります。これらの集計データが、右にいくと「センター」とありますが、統合処理システムのセンターのほうに行って、そこを経由して、利活用者が解析できるといった形になっております。

○石川構成員 ちょっとおかしいのでは。要するに、本日の当日資料では抽出システムは上にありますが、これは一次統計処理システムが抽出システムの、どちらが加工したものなのですか。今のお話だと、第1回検討会の資料1のスライド4の「抽出処理」は真ん中にありますよね。

○安全使用推進室長 はい、「抽出処理」は真ん中にあります。

○石川構成員 閉じられたネットワークの中で、この赤い「連結不可能匿名化」の部分というのは、今は一次統計処理システムに該当するのですか。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 すみません、分かりにくくて申し訳ありません。「一次統計処理システム」という所と「抽出システム」の2つが、この表にあると思います。抽出システムというもので、まず分析用データセット、いわゆる個票というものが作成されます。その個票から一次統計処理システムを通じて、この集計表、ここで我々が一次統計処理結果と申し上げているものが作成されます。

○石川構成員 では、抽出処理を通った後が一次統計処理システムということなのですね。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 そうです。抽出システムを通って出来た個票を使って、更に統計処理を加えたものが、統計処理結果と申し上げているものです。

○石川構成員 分かりました。では、そういう考えですね。

○永井室長 そうすると、もう少し緩和してもいいかということにもなりますか。ただ、チェックは必要だと。

○石川構成員 ええ。

○永井室長 でも、どこまで対象を広げるかですね。学会から要望があったときに、どこかで審査委員会を通して、また公表のときにはチェックを受けて出していただくと。そういう意味では、 NDB よりは少し緩和してもいいだろうということでよろしいでしょうか。

○安全対策課長 事務局の整理案として出させていただいたものを、もう一度御説明をさせていただきます。資料3の1番目の所です。目的の所で、医薬品等の市販後安全監視や、リスク・ベネフィット評価を含めた安全対策を目的とした利活用を軸という形で、この「目的」の場合は、利用者は限定なく、当然、製薬企業の方が市販後の安全性調査にも、このデータベースを使っていただくことも考えております。安全監視、それからリスク・ベネフィット評価、市販後のそういうものについては利用者の制限はないと。次に、それ以外の目的でも、このデータベースについては使いたい所があるだろうということで、それ以外の部分については、公益性の高い調査・研究ということでやってはどうかという御提案です。

 それから、その調査・研究が妥当かどうかというのは、その箇所の下に「公益性の高い調査・研究」という所がありますが、先ほど石川先生からもおっしゃられたとおり、会議体で個別に審査と書いてありますので、何らかの有識者会議のようなものも設置して、その利用の妥当性について審査することを想定しているということです。

 ですから、1つの利用形態としては、安全対策関係のもの、これは利用者の制限なく、それ以外については、公益性が高いということで、一定の縛りを入れていく。全ての利用については、有識者会議でその妥当性を個々に審査するというようなシステムを考えております。

 事務局の整理案としては、こういうものでとりあえず動かして、それでその運用状況を見ながら今後の取扱いというか、利活用範囲の拡大を検討してより有用なデータベースにしていけたらと私どもは考えております。いろいろな部分に広げていくということも運用状況を見ながら、世の中の動きも見つつ考えてはどうかということで整理案を作ったところです。

○永井室長 ただ、行政の場合はどうなのですか。先ほどの緊急の場合とか、 PMDA でも独自に調べたいと、それも全部会議体を通すのかということになりますが。

○安全対策課長 そこは、当然使うものだと思っておりましたが、そこも一定のルールを作って。

○永井室長 この書きぶりだと、横並びに見えてしまうので。

○安全対策課長 そうですね。そこは、また整理いたします。

○医薬品医療機器総合機構医療情報活用推進室長 今の試行的利活用の中では、我々のほうで想定しているのは、例えば、処方の実態調査とか、安全対策の措置、影響評価、リスク・ベネフィット評価、いわゆる PMDA が業務として実施するようなものに関しては、いわゆる迅速性を有しますので、個別の審査というよりは、こういうことをやらせていただきますということを御報告して、そして、やらせていただくというような形態を、試行的利活用の利活用要綱の中には書かせていただいております。有識者会議に御了解いただくのですが、個別に審議するというよりは、こういうことを PMDA はやりますということを、きちんと情報提供をして、御報告させていただくというスキームでやらせていただいております。

○永井室長 大江構成員、どうぞ。

○大江構成員 ちょっと念のために確認させていただきますが、現在、試行期間において、利活用申出者から申出を受けた後、原則としては、有識者会議で PMDA が審査に当たって、有識者会議の意見を原則として求めるというように、試行期間用の利活用要綱、これは前回資料の参考資料4-1ですが、そこに書かれているルールでやっているわけですね。その中に、当然、有識者会議の意見を求めないでできるという、行政が行う本来の目的に合致するものについては省略できるというような書きぶりでやっていると思います。これが試行期間用のルールなわけですが、あくまでも利活用申出者から申出を一定のルールで審査した後に実施するということは、資料3には全く書かれていないわけですけれども、それは前提になっているというように考えてよいのか、それとも、これはあくまでも試行期間用のルールだったので、もう一遍ガラガラポンで考え直しますということなのか、そこがちょっとはっきりしないと思います。それで議論がちょっと混乱しているのではないでしょうか。

○安全使用推進室長 明記はされておりませんが、基本的には、やはり有識者会議のようなところで一つ一つの審査を行っていくという枠組みとするように考えてはおります。ただし、先ほどの迅速性が求められるような調査の場合についての取扱いは、その中でまた検討しなければいけないと思っております。

 最終的には、先生方に御議論いただきながら、今、試行期間中の利活用要綱、参考資料4-1がありますが、これを本格運用後の利活用要綱として最終的には定めていかなければいけないと思っております。詳しくは本日御議論いただいているところも含めたルールを書き込んでいくという予定で考えているところです。

○安全使用推進室長 繰り返しになりますが、有識者会議のような会議体を置いて、そこで個別に審査することを原則として考えていきたいと思っております。

○大江構成員 はい、分かりました。

○永井室長 企業のお立場で青木さん、いかがでしょうか。

○青木構成員 企業側として少し気になることは、安全性の監視という点でいうと、先ほど御議論いただいた、山本先生もおっしゃいましたが、スモールセルの問題がちょっと気になるところと言えば気になります。実際の 10 を切ったところで削るというアプローチをしたときに、比較的に多いと考えられるのは発売した直後、いろいろな併用薬剤がある中で、重篤な副作用報告が懸念されて、果たして、併用薬の相乗効果によるリスクかどうかを見ようとしたときに、もし 10 を切ったら削るというアプローチをした際に、その発現が何例かある。その後どのような処置をなされて、どのような処置が最適であったかということを観察する中では、見えなさ過ぎて適切な意思決定ができないということがないだろうかという視点があります。

 また、資料2のスライド 10 にあるような件で、例えば*( 10 未満の値)を削ったとしても、少し幼稚な話で申し訳ありませんが、割合の数字が出ていたら、これは、*( 10 未満の値)は計算できてしまいますし、黒く塗れば、 10 は切ったのだなということが分かってしまうようなことがあって、どのようにして患者さんの情報を隠せるというか、守れるかということが難しいという印象を受けました。

○山本座長代理 まず大事な点は、それが公表されるデータかどうかということが一番大事で、これはオープンな会議でこの資料は公表されますから、*( 10 未満の値)では困るというように申し上げたのです。例えば研究の途中で、それが1であろうが0であろうが3であろうが、別に消す必要はなくて、それに対していろいろなことを分析するというのはそのままやっていただいて結構なのですけれども、例えば論文で、誰が読んでも分かるというような状態で、その値が出るのはやはり患者さんが特定される可能性があるという意味で、 NDB では一定数以上の母集団では 10 、小さな母集団では 20 になっていますが、あるいは 2,000 を切る場合は分析そのものができないというルールになっているのですが、そういう公表基準を設けています。これはあくまでも公表の基準でありまして、研究の途中、調査の途中でそれが1であろうが2であろうが、それは重要なことですからやっていただいたらいいですし。

 もう一つは、医薬品の安全の場合は、これはやはり、たとえ1例であってもどうしてもオープンにしなければならないということが多分出てくるとは思います。その場合はその場合で、その都度判断をして、これはオープンにするほうが公益にかなうということであれば、例えば、その患者さんが亡くなっていれば仕方ないですが、生きていらしたら同意を取るとか、何かの方法を取って、それをオープンにしていくべきだというように考えます。

 それから、パーセントが残ったら分かるというのは、これはそのとおりで、当然、消さないといけないですね。もっといろいろな状況があって、例えば、0というのは個人が特定される可能性はないので、0は0でいいと。ですから、0と1~ 10 まで、これは 10 以下というのは明示するのです。1~ 10 までと、それ以上の個々の数字というように出していくと、0を明示したために、今度は隠さなければいけない数字が増えてしまうことがあるのです。ですから、0は0で消してしまったほうが、より少ないマスクで済む場合とかも、その状況はデータによってたくさんありますので、その都度判断をしていただかないとしようがない。ただ、原則として、特定につながるような場合は、マスクをするというようなルールがあったほうが明確だというように思います。

 今、 NDB では、一次統計をオーダーメイドというか、レディメイドでやってしまって、 600 幾つのテーブルを作っているのです。それを多分、来月オープンにしますが、そのときに、この 10 以下の問題はたくさん出てくるのです。例えば、お子様にめったに使わないような薬などを年齢階層別にやったら、もうほとんど0になってしまったり、1になったりするのです。それをどう表記するかというのは、今、一生懸命、精査しているところです。余り安易にやってしまうと、やはり問題かと思います。あくまでも公表の話です。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。

○我妻構成員 極めて基本的なことをお尋ねしたいのですが、先ほど事務局の説明では、確かに利活用範囲についての目的として、医薬品等の市販後安全監視ということで、製薬企業の想定される例で使用実態を把握することを例として挙げているのですが、試行の段階の、前回の検討会の参考資料4-1の「第4 3 利活用申出者及び利活用者」の一番最後に、「解析の対象となる医薬品等に関して利害関係がある者」と、恐らくこれは細かい議論は必ずしも正確に覚えていませんが、この中に製薬企業は入るのではないかという議論をしたと思っています。そこのところで考えると、市販後の安全監視というのはもちろん製薬企業も責任があるわけですが、行政との役割分担で、責任の所在が先ほど議論されましたが、その辺との関係で、果たして公益性の高い調査・研究の中に、企業をこの範疇の中に入れてしまっていいのかと、私自身は若干疑問を持ちますので、どのように事務局はお考えなのかをお尋ねしたいのですが。

○安全対策課長 公益性の高いという部分について、その企業として想定されるものとして例示させていただいたのは、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討結果に基づくということで、承認はされていないとか、適応はもっていないという医薬品であって、一方で、医療現場で非常に求められている医薬品があります。そういうものについて、例えば患者数が少なくて企業が開発をしていないものがあるので、開発をしてくださいと、公の会議でお願いをする場合があります。そういうことで指定をされた薬剤については、例えば患者さんがどれくらい使われているのかとかなどのデータを取るときにこのデータベースを使ってもいいのではないかと。これは安全対策というよりは開発へのデータベースの活用となるので、そういうものについても企業は使ってもいいのではないかということで御提案したものです。

 もう一つの、この MID-NET が目的としているのは市販後の安全性情報の収集ということですので、それについては企業も承認後、未知の副作用とか発現率を調べなければいけない場合があるので、そういうものについては使っていただくということです。

○我妻構成員 公益性が高いとまで言えるのかどうか、そこのところの切り分けですね。行政側がお願いしているというのであればそういうことになるのかもしれませんが、その辺は議論として分けたほうがいいのかなという気はします。

○安全対策課長 公益性が高いというので、医薬品の開発部分でどこで線引きができるのか、一応国の公の会議で要請したものを取りあえず入れてはどうかということで、例示として挙げさせていただきました。

○我妻構成員 その前のところと今の話では必ずしも一致しないような気はします。

○永井座長 企業について、ちょっと分けて項目に挙げるとか。

○我妻構成員 そうですね。

○永井座長 ただ、利益相反状態にもあるわけです。不都合なデータが何か不適切に処理されていないかとか、その辺のチェックはどうしたらよろしいのですか。

○我妻構成員 その辺は利活用の、試行段階は最初のところでチェックをしますということで、利用するかどうかを決めましょうという立て付けだったと思います。本格運用になった場合にどうなるのかという先ほどの議論と同じだと思います。そこは最初から絞るのがいいのか、ある程度調査していただくのか、その辺の兼ね合いもあると思います。

○永井座長 いかがでしょうか。再現性が確認できるように、検証できるようにしておかないといけないと思うのです。どういう条件でどういう検索をして、それを第三者が後でも検証できるという仕組みを用意しておく必要があると思いますが、その辺はいかがでしょうか。ちょっとデリケートな問題にだんだん触れてくるのですが。

○大臣官房審議官 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での例を挙げているものですから、ここの具体的なやり方の実態に即して少し申し上げますと、ここで議論になるものは医療の現場で実際に使われています。しかもそれは患者にとってどうしても必要で使われているような、そういうケースについて、患者さんやあるいは学会から、この適応をちゃんと取ってくれという要望が公に出てきて、それを公の会議の中で検討をした上で、確かに医療上の必要性が高いですねという判断をされているようなケースのことを対象にしています。したがってそれを開発すること自体、企業にとっては決して、そのままやるだけだとそんなにメリットが高いわけでは必ずしもないというような事情もあるような、そういうケースがほとんどです。それらについて実は使用の実態を調べるというのは、どれぐらい使われているのかのほかに、どれぐらいの用量で使われているのかとか、そういった内容も含まれているので、一般的には要望している学会の中でのアンケート調査などをやっていただいて、それを基にしたりしています。これもアンケートの方法や、どういう対象で調べたかとかいったことが結構説明されて、その上でこんな実態ですということをレポートにして、それを審査の際にも活用し、それは公表されているのです。そのようなやり方をしているものに倣って、ここでこのデータベースを利用して、実態の調査をするということですので、当然、永井先生がおっしゃったように、どんな方法でどんな対象に、どういう検索をかけて、それで出てきた結果から数はこのくらい、あるいはこういう用量、レンジで使われているというようなことがレポートされて、それを公開される場に提供をして、審査も受けるという格好に流れるものだと想定されていると思います。

 そういう点では、かなり透明性と公益性という目的性からいっても比較的納得が得られるような話ではないだろうかと、このように考えられるものを例示して申し上げているということです。ただ、企業というように特定して書いていますけれども、この例示だと企業だけがやるように一見見えますけれども、要望している学会が調査をするということも少なからずありますので、ここの例示の実際上の膨らみ、範囲というのは、もう少し実態に即して御説明したほうがよろしいかなと、このように考えた次第です。

○医薬品医療機器総合機構安全管理監 我妻先生の御指摘は、前回の検討会の参考資料4-1の3ページに、第4の3として「利活用申出者及び利活用者」が規定されている点についてかと思います。これは試行期間中の取扱いについて規定したものです。その(5)に、「解析の対象となる医薬品等に関して利害関係がある者その他利活用を行うことが不適切と思われる者は、利活用申出者又は利活用者となることはできない。」とされており、試行期間中は、企業の方、企業と利害関係があるような方は利活用者になれないということで規定されておりますが、この試行期間中の利活用要綱を御議論いただいた検討会においても、将来的には企業の利用も考えていくということで御議論を頂いたというように記憶しておりまして、事務局としましては、安全対策に活用ということであれば、企業においても、この MID-NET の活用をしていただくということを基本的には考えているものです。

 また、先ほどのデータの、例えば改ざんみたいなことがあったらそのデータの信頼性はどうするのかということですけれども、企業が利活用する場合にも、申出していただいて、有識者会議で、例えばプロトコールもどういうことをやるのか見せていただいた上で、スクリプトが投げられることになり、さらにスクリプトを投げて出てくるこの一次統計処理結果データというものは、保管され、記録されてしまいますので、そこは企業が数字をいじることはできませんので、その後に何か数字がいじられることは基本的には考え難いと考えていただいていいのではないかと思います。

○永井座長 これは今後規約を成文化するわけですね。今日はまだ意見交換というところで、大体の枠を決めると。

○大江構成員 資料3の利活用者で、「製薬業界」とあるのは、事務局案としてはその製薬業界のうちの特定の1社が申し込むことも想定されていると、そういうことでよろしいですか。そうしますと例えば、これは頭の中を自分なりに整理するための質問ですけれども、例えば A 社が B 社そのほか、 A 社以外の他社の同じ一般名の医薬品について、市販後の副作用の発生頻度を A 社と他社と比較したいというように A 社が利活用すると、こういったケースは公益性が高いと考えるのか、単にアウトカムの比較を他社としたいと考えるのか、どのように考えればいいのか、この辺を少し。でも、結構これは起こってくる話だと思うのです。

○永井座長 これはあり得る話です。

○安全対策課長 大変難しいところだと思います。例えば今日のデータベースの事例で、アメリカの事例ですが、タビガトランという血栓の薬とワルファリンとの比較というのが出ていますけれども、そういうのをやることになると、やはり必要なところもあるので、ただ、頭の整理でいうと、先生が言われるようにもう少し踏み込んだような話もあると思うので、そこは整理をさせていただきます。

○大江構成員 私なりの意見としては、こういうケースはやってもかまわないけれども、結果は国民の前にきちんと公表します、それでもやるのですねということが大事なのではないかと。公表されれば私は、こういうケースにおいてはむしろ利用していただいたほうがいいのではないかと思っています。

○永井座長 よろしいでしょうか。費用負担の枠組みについてはいかがでしょうか。

○大江構成員 座長、その上にある「利活用ルール」の所の議論をよろしいですか。

○永井座長 はい、どうぞ。もう既にルールに入っていたかと思いましたので。

○大江構成員 この「利活用ルール」の所の4分割の表の一番右下の「×」が付いている部分です。これは分析用の匿名化された個票のデータを、利活用者が自施設からシステムに遠隔ログインか何かをして使うというケースで、それは「×」であると、そういう意味だと思いますけれども、そもそもこの個票データを医療機関が了承して出すかどうかは、合意の下で出しているわけですので、利活用者が申請時に、これは解析をオンサイトセンターでオンサイトで行うのか、それとも自施設の設備からリモートログインして行うのかを、申出時にきちんと利用形態として書いていただいて、その上で各協力医療機関が承認するのであれば、必ずしもここは「×」ではなくて、「○」でもいいのではないかと思っています。

○永井座長 患者さんの同意を得ていればということですか。

○大江構成員 いいえ、そういう意味ではなくて、利活用者が申請時にどのような利活用形態で申請するかを書いていただいて、これが自施設からの利活用をしたいと書いてあった場合に、それでもなおかつ各医療機関が了承するのであれば、それは私としてはいいのではないかなと思っています。

○安全対策課長 このような扱いをしてはどうかと整理をした背景としましては、その利活用者の自施設の方のセキュリティ環境はなかなか確認ができないところで、査察をするとかそういうことで確認をすることがなかなか難しいものですから、やはりこの個票については慎重に扱って、オンサイトセンターで利用することにしてはどうか、という御提案をさせていただきました。

○大江構成員 やはり私は、これは自施設が遠隔から操作する環境はきちんと定義して、もちろんチェックもした上で、それが OK ならば使えるようにするということが大事で、そうしませんと協力医療機関は、首都圏に近い所はいいですけれども、全国に分布しているわけでして、そのオンサイトセンターが各県に用意されるとか、あるいは各医療機関に用意されるなら別ですが、仮に東京にしかないとすると、例えば九大の先生は協力医療機関同士で共同の研究をするというときに、個票ベースでやりたいといったとたんに、東京まで出て来ないといけないことになるわけですね。ちょっと勘違いでしょうか。違うのでしたら御説明いただきたいのですが。そのように理解していたものですから、それであればやはり、これはもう少し柔軟に対応できるようにしていただきたいと思っています。

○山本座長代理 自施設であろうと、一定のセキュリティが担保できるのであれば、これは許されると思うのです。先生が最初におっしゃったように、出すほうが同意しているとか、それはちょっと問題外だと思っていて、これは法的な要請で、匿名加工情報に対して安全管理義務があるので、それをどう担保するかという問題ですから、オンサイトセンターはこちらでそれを担保する環境を用意いたしましたということです。そうでないのだったら、同じようなセキュリティレベルをその施設で担保していただくということになって、それをどう審査するかという問題がまた出てきますけれども、まずそれが満たされれば別に問題はないと思います。ここで書かれているのは、多分それが、担保が確認できない場合だろうと思います。

○大江構成員 分かりました。

○石川構成員 これも整理のためにお聞きしたいのですが、今議論している自施設というのは、例えば院長がいてその下で管理されていることをいうのか、それともネットワーク全体のことをいっているわけではないですよね。そしたら自施設の所では、前回の検討会の資料1のスライド4にあった抽出処理前のデータというのは、基本的には生データを持っているわけですね。それで実際に今までの様々な臨床研究発表とか、そういった所ではそれを処理してやっているわけですよね。だから、それは抽出処理前のものを自施設は使っているわけです。そこについては基本的には診療をやっている上で、患者さんに同意を得ているわけですね、大学病院だとかはそういうのを。ですからそれ以降、抽出処理以降が、乗り合いとかそういったことをやっていいのかどうなのかを今おっしゃっているということでよろしいですか。

○大江構成員 私が理解していたのは、この表の自施設の利用というのは、資料3別添のスライド2の左にある、自施設から複数施設センターにアクセスして利用する場合という、そういうケースのことと理解して発言しておりました。

○安全使用推進室長 1つ補足説明ですけれども、「自施設にて利用」というのは、自施設から統合データ処理センターにアクセスして、この MID-NET を活用する場合を想定しております。ここで言う「自施設」というのは、現在協力いただいている協力医療機関は除きます。すなわち協力医療機関は今の試行期間中、統合データ処理センターにアクセスできるという環境が整っていますがそこの状況は変えずに、協力医療機関以外の者、すなわちアカデミアあるいは企業が自分の所の施設からアクセスをする場合を想定しております。

○山口構成員 今のは、つまり自施設というのは利活用者の自施設ということであって、データを出している自施設ではないということですね。何かその辺が混乱しているような気がしました。

○山本座長代理 経験上申し上げますけれども、 NDB の特別抽出で個票提供をするというのが始まったときに、最初に提供した 10 幾つの施設は、実際にセキュリティ基準は決めてあったのですが、実際に事務局が現場にセキュリティ監査に行ったところ、確か 14 15 の施設のうち合格は1例もなかったのです。全部何か問題があったのです。もちろん軽微な問題が多いのですけれども。そういう経験を踏まえた上で、その審査の要領を掴んで、セキュリティを確保することが審査できるようになったということで、現状は監査には全て行っているわけではないですけれども、この自施設の「×」を「○」にするというのが、意外と難しいものだということは少し御理解いただくほうがいいのではないかと思います。

○永井座長 しばらく実績を重ねてから緩和していくほうが適切のように思いますけれど。

○大江構成員 私は、この事業は実績を重ねるのはむしろ試行期間であって、本格運用期間からはやはり、それに基づいてきちんとしたルールを作るべきだと思っています。ですので、確かにその自施設で一定基準を満たす環境をつくるのが難しいというのはよく分かるのですが、きっと難しいだろうから「×」というのはちょっとどうかなと思います。

○永井座長 どんなルールを作るかにもよりますけれど。いかがでしょうか。もう少し具体的なものが出てこないと何とも判断しかねるところがありますので、今後文章化したときに更に議論をしたいと思います。

 それでは、次の費用負担の件はいかがでしょうか。利用料、国費、安全対策拠出金が考えられると。利活用者が利用料を負担することを基本としてはどうか。システムの長期安定稼動を実現するためには、当面の期間、国費の負担は必要ではないか。この辺りはいかがでしょうか。

○山口構成員 国費ということは税金ですから、やはりこれは、国民感情としてはアカデミアにしても企業にしても、お使いになるときは利用者負担ということが当然だと思います。ここに書いてあるような御提案のとおりで私はいいのではないかなと思っております。

○永井座長 そうすると国費は、原則は入らないと。

○山口構成員 行政が使われる場合は国費になると思いますが。

○永井座長 行政については国費を。長期安定稼動の実現のための国費も、これはやむを得ないということでよろしいでしょうか。ただ、額によりますね。これも具体的な数字を見ないとなかなか分からないので、今後どのぐらい掛かるのでしょうか。

○安全使用推進室長 前回の検討会の場でも申し上げておりますけれども、具体的な額につきましては、別途この検討会の下にワーキンググループを設けさせていただき、そちらのほうでどれぐらい実際に費用が掛かり、利用料の額をどれぐらいで設定するのか検討していきたいと思っております。なお、もちろんそのワーキンググループでの検討結果につきましては、こちらの検討会のほうにまた御報告をさせていただきたいと思っております。

○田尻構成員 お金の話になったら、途端に少し話が見えてきたのです。この事業自体、どの程度の国費を入れながら、継続していく姿を持つのか。若しくは、利用者については医療機関は置いておいても、行政その他、製薬業界、アカデミアといった種類によって、「費用負担の利用額については一律でなく」とは書いてあるのですけれども、これはどうなのでしょうか。先ほどのお話にもありましたが、例えば製薬企業であれば市販後調査の代わりにデータベースを利活用することによって、スピーディーに苦もなくデータを手に入れられるわけですから、そこら辺の係数的な設定は、やはり考える必要があります。

 また、調査をして得られた結果が、どの程度公益性を持つか。これはもともと医療安全、医薬品の利用安全に向けてのデータベースだと、私自身は思っているのです。国民に対してそういう意味での利益を、どの程度お返しできるかという内容も含めて考えていく。すごく手間が掛かるのかなと想像はするのですけれども、そこら辺の考慮も一つ必要な部分ではないかと思います。

○永井座長 場合によって、市販後調査は不要になるのですか。そこはどういう住み分けになるのか。

○安全対策課長 その点については、これから詰めていくことになりますが、基本的に今やられている 1,000 例、 2,000 例、 3,000 例の使用成績調査が、このデータベースを利用することによってより良い調査になれば、実際の 1,000 例、 2,000 例、 3,000 例のデータベースによる調査というように置き替わるというのが、当然想定されます。ですから、こういうデータベースを利用するメリットは出てくるのではないかと思います。

 利用負担の枠組みについては2つ目のマルの所で、「当面の間、国費での負担が必要ではないか」というように、こちらで整理させていただいたのは、事務局としてもこのシステムを動かしていくことについては、国も含めて利用者の負担で回していくというのを原則としてはどうかということです。ところが、 30 年度からの本格実施を考えておりますけれども、立上げのときにはどうしても利用者の数がどれぐらい来るか分からないので、最初のうちは国費をある程度入れておくと。利用者が少なくて回らなくなったら困ると思いますので、そういう部分についてはある程度国費を入れて、ソフトランディングが必要ではないかということで書かせていただいています。

 それと、利用者によって費用負担をどう傾斜するかという点ですが、利用料でシステムを維持するということを考えますと、軽減した場合、その他の人にその部分を負担していただくこととなります。そうなってくると、利用者によって負担の割合を変えるというのは、なかなか難しい。例えば、解析するデータの量でやってはどうかというのが、整理した御提案の内容です。

○田尻構成員 例えば、利活用者として協力医療機関は、今までずっと御苦労なさっていました。そこの所は当然同じ扱いは。若しくは違う格好で。そうですね。そこまではもう申しません。分かりました。

○我妻構成員 やや建前論になるのかもしれませんが、利活用範囲の第1回検討会で、「利活用の範囲は、利活用による最終受益者は国民だ」としている以上、たしかに、全部行政なり国なりが負担するというのは、現在の状況には必ずしも合わないのかもしれません。ただ、幾らという先ほどの話もあるので、具体的な詰めはなかなか難しいかもしれませんが、余り細かくコストをキツキツにやると、かえって研究機関による利活用を阻害してしまうおそれがあるのではないか。利活用を阻害しない程度でソフトランディングしていくほうが、話としては筋がいいのかと思います。

○永井座長 先ほどのお話ですと、アカデミックディスカウントは特にないということですか。

○安全対策課長 整理させていただいたのはそのような形で、利用者によってというのは、事務局としては出していないのです。ただ、企業が行う市販後調査ですと、調査項目とかがいろいろなものが出てくるので、どうしてもデータ量や解析が多くなるのではないかと、我々は想定しているのです。そうすると、利用するデータ量や解析の内容が複雑になってくるので、内容によって高くなってくるのではないかと考えたわけです。

○永井座長 しかし現在の市販後調査も、それなりにコストを掛けてなさっているわけです。それに比べれば、少しはそれなりに負担していただいてもいいように思うのです。そうしないと回らないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

○青木構成員 非常にお断りづらいところではあるのですけれども、今行政の方と議論させていただいているのは、いろいろなデータベースを活用するという形が、本来的なファーマコビジランスとしてふさわしいだろうということでやっております。その中では商用のデータベースを活用することも考えなければいけないでしょうし、海外のデータベース、あるいは学会の持っていらっしゃるレセプトのデータも使っていくべきです。その中においての費用というのは、どうしても競争原理にのっとらざるを得ない部分があるのです。それだけの魅力があるならば、それだけのものを出すという論理があるのかなと思うところが 1 つあります。

 使用成績調査等としては昨今、学会等でも批判的なこともあって、もう少し目的を正した上でやるべきだということで、私もそれには全く賛成です。ただし、1つの製剤において7つの調査をするとか、1つの製剤において1つも追加の調査をしないというアプローチは、まず諸外国と同じようなやり方がなされてなければならない。その上で、そのリサーチクエスチョンにふさわしいもの、ピッタリくるものがデータベースあるいは MID-NET であるならば、それは使うべきでしょう。まずは今のファーマコビジランスの在り方を少し是正していただくというのがあった上で、御議論いただくほうがいいのではないかと思っています。

○永井座長 額については、もうちょっと先で更に議論すればいいのではないかと思うのですが。

○安全対策課長 利用者によってという話ですけれども、国費と安全対策拠出金というのも、1つの中に入っております。安全対策拠出金は企業の出荷額で一律に出していただくものからある程度回すので、1調査当たりの内容についての差は、傾斜は求めないけれども、実質的に一定の負担は頂いているという整理も、一応できるかと思います。

○永井座長 しかし研究しようと思ったら、むしろ企業よりも詳細に、大量のデータを調べる可能性があると思います。ですから、そこはある所はあるなりに、ない所はないなりにうまく調整していただいたほうがいいのではないかと思うのです。それでは、最後の人材育成についてはいかがでしょうか。

○大江構成員 協力医療機関、特に大学にとっては、この事業に協力することによって得られるものが何かというと、やはり人材育成が非常に大きなアウトカムだと思います。ここに書いていただいているように、積極的に一種のデータサイエンティストという方を育てる研修会を実施し、実際にそういう方々に MID-NET のデータベースを使って作業をしてもらうと。そういう人を1人でも多く増やすことが重要だと思います。ですから公的研究費により利活用する場合に、こういう研修を受講するというのは、是非要件に入れていただきたいと思っています。

○中島構成員 ちなみにこの2年間、1年目は厚労科研で、2年目が AMED 研究で、 MID-NET の設置の仕方、あるいは抽出したデータの解析の仕方の教材の開発と人材育成の補助金を頂きました。実際に昨年の秋、 10 の医療機関を全部集めて 100 人ぐらい来ていただいて、そういう研修会を行いました。来年からも数年間はそれを続けていけたらと思いますので、私としてはそういうことも利用しながら、その中で分かってきたことをできれば 10 協力医療機関以外にも広げていってオープンなものに。今まではクローズでやっていたのですが、来年度以降はオープンにして、ほかの利用者にも分かるような形で続けていけたらと思います。もちろん、これにはいろいろ複数のトライアルがあってもいいとは思うのです。実際にそういう形で少し考えているということをお伝えしておきたいと思います。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。これももう少しいろいろな細かい成文化した資料が出てくれば、更に議論が深まるのではないかと思いますが、取りあえず今日はここまでにしたいと思います。丸山先生、全体を通して御意見はありますか。

○丸山構成員 前回欠席したので今日が初めてです。先ほどのスライドにもあったのですが、平成 22 年、 23 年の頃から、永井先生が座長で議論を始めたので、早く成果が得られるといいなと強く思いました。

○石川構成員 2点あります。先ほども言ったのですけれども、「 MID-NET 」という名称や「医療情報データベース」という名称が余りにも一般的なので、きちんと分かりやすいものにしていただきたいと思います。これは私が宿題にしていましたよね。それについて何か提案はありますか。そうでないと「医療情報データベース」というのは一般語ですから、全然特定されないので、正直言ってスケジュールに入れるのも大変なのです。だから何とかしてもらいたいのです。それと、 MID-NET というのがどこからどこのことを言っているのか。これはデータベースを言っているのか、ネットワークを言っているのか。この辺の定義をきちんとしてもらいたいのです。それをよろしくお願いしたい。宿題はもうやってきましたか。

○永井座長 確かに、もう少し明確な名前に。

○安全使用推進室専門官 第1回の資料1を御覧ください。スライドの3番目、医療情報データベースの基本構成の図が載っております。例えば病院 A を御覧いただきますと、ここの一番左にある緑の筒は、各医療機関の通常の業務で使われている電子カルテのデータです。その右側に「レセプト DB 」「 SS-MIX 」と記載されています。ここはいわゆる SS-MIX2 のデータベースということになります。その SS-MIX2 のデータベースから統合データソースとか、その先のいろいろなシステムが最後の「利活用者」の一番右上の所まで続いています。そこまで全てを MID-NET と規定していると言いますか、範囲として含まれるということです。

○石川構成員  SS-MIX から外ということですか。定義では、それが MID-NET なのですか。

○安全使用推進室専門官 はい。 MID-NET については、商標登録も既にされているところです。

○石川構成員 では、統合データベースで「データソース」と書いてある所からこちらがということで、まだ匿名化されていないのですね。

○安全使用推進室専門官 はい。

○石川構成員 それでは、みんながこれで共通して、いろいろとものを言わないといけないと思うのです。例えば大江先生はネットワークを構成している1つですから、 MID-NET を作っている医療機関の1つという感じで取られるわけですね。 MID-NET はまだ匿名化されてない部分もあるということですね。

 もう1つは、「これらの情報は利活用者が取り扱うものではない」ということと、「連結不可能匿名化」というのが赤く括って、前回の検討会の資料1のスライド4に出ています。この中で「郵便番号なし」と書いてありますね。これは個人情報保護上の観点では、もちろん常識的なのですけれども、これが将来的にすごく欲しくなることが大いにあるので、こういうものもいろいろな有識者会議の中で見直しをすることになると思うのです。しかし今はずっと匿名化ということでいいのですね。

○大江構成員 これは公開で議事録に残りますし、重要な点ですので再確認しておきたい。先ほどスライド3で御説明くださったのですけれども、スライド4で説明いただくと、統合データソースより右側の集合体が MID-NET ということになりますから、統合データソースは各医療機関では、連続可能匿名化が行われています。それより右側ですから、「匿名化していないものを含んでいる」という言い方は正確ではないと思います。連結可能な匿名化部分が残っている、というように議論していただかないといけないのではないでしょうか。

○永井座長 大事な所ですのでよろしいですか。

○安全対策課長 正確に確認をして、次回に示したいと思います。

○木村構成員 我々の所に PMDA の皆さんがいらっしゃって、すごく大変な作業をしておられる。当然ながらコストも掛かっていると思います。最初の大風呂敷は 1,000 万人ですから、今後も協力医療機関が増えていくように考えたときに、研究というのは、まずはシグナルを検出して、どうかなと思ってきっちりスタディーを設計してやるということになりますと、確かに今やっておられるのは、きっちりとスタディーを組めるレベルでやっておられることは認めます。大変御苦労様です。しかしシグナルディテクトを考えて。これは質的・量的のどちらを緩めるかは分かりません。例えば細菌検査はすごくバリエーションが多いからやめようとか、検体検査も頻用の部分だけにするとか、いろいろなエリアがあるかと思うのです。しかし協力医療機関も一律とは考えずにクラスを考えて、ディテクトするための協力医療機関と、あとはスタディーをきっちり組んでやるための協力医療機関という感じにしたほうが、将来の裾野が広がるのではないかと思いますので、これはまた御検討いただけたらと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。大体時間になりましたので、今日頂いたいろいろな御意見あるいは御提案は、次回までに整理いただいて、更に議事を進めたいと思います。では、今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

○安全使用推進室専門官 それでは資料4を御覧ください。資料4では、本検討会の今後のスケジュールについてお示ししております。今回、ここにお示しした第3回以降のスケジュールは、前回の検討会でお示しした案から変更ありません。本日は第2回として利活用の範囲、利活用のルール、運営に掛かる費用負担の枠組み、人材育成について事務局で整理した案を御議論・御検討いただきました。次回、第3回は5月 11 日の 14 16 時に開催を予定しております。これまでに御議論いただいた内容などを踏まえ、中間報告書の案の検討を進めていきたいと考えております。その後の第4回は現在、6月中旬から下旬にて調整を進めております。引き続き中間報告書(案)の検討を進めて、平成 28 年の夏までをめどに中間報告書を確定し、公表していきたいと考えております。

 中間報告書の公表までのスケジュールは以上のとおり考えておりますが、検討会当日のみの御議論・御検討ではお時間が限られておりますので、構成員の先生方からの御意見などを事前に書面等にて御提出いただいたり、必要に応じてメールベースでの議論も含めて御協力をお願いできればと考えております。中間報告書の公表に向けて、これから具体的な準備を進めていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

○永井座長 よろしいでしょうか。御質問等がなければ、議事は以上です。また、いろいろお気付きの点がありましたら、事務局までお申出ください。あと、追加で事務局から連絡事項をお願いいたします。

○安全使用推進室室長補佐 本日は、活発な御議論を頂きましてありがとうございました。本日頂いた御意見等を踏まえ、次回の検討会では中間報告書(案)の取りまとめに向けて、御議論いただきたいと考えております。後日、本日の検討会の議事録案をお送りいたしますので、御確認のほど、よろしくお願いいたします。御確認いただいた後、公表させていただくこととなります。次回の検討会は5月 11 日の水曜日、 14 16 時に開催を予定しております。開催場所を含め、改めて御案内させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○永井座長 では、これで終了いたします。どうも長時間、ありがとうございました。


(了)

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