ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会> 第15回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会(2015年12月3日)




2015年12月3日 第15回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会

○日時

平成27年12月3日(木) 18:00~20:00


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階国会議事堂側)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館


○議題

1 「薬害を学ぼう」に関するアンケート調査結果について(報告)
2 「薬害を学ぼう」指導の手引き(案)の修正について
3 視聴覚教材(案)について
4 薬害に関する資料調査等について(報告)

○議事

○衞藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第15回「薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」を開催いたします。

皆様には、お忙しい中御出席をいただきありがとうございます。

まず、委員の出欠状況について、事務局から報告をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 本日は、館構成員が1時間遅れて御出席されるとの連絡をいただいていますことを御報告いたします。

また、先ほど、大平構成員から急遽御欠席との御連絡をいただいておりますことを併せて御報告いたします。

本日は、参考人として、法政大学大原社会問題研究所の金先生に御出席いただいております。金先生には、後ほど、薬害に関する資料等の調査状況について御報告いただきますので、よろしくお願いいたします。

○衞藤座長 それでは、次に、前回の検討会を開催した6月以降に、事務局の組織変更と人事異動がありましたので、事務局から報告をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 6月以降の事務局の組織変更及び人事異動について報告いたします。

まず、本年10月に、厚生労働省の組織再編があり、医薬食品局は医薬・生活衛生局に名称が改まっております。

次に、人事異動に伴う事務局の変更について申し上げます。

医薬・生活衛生局長の中垣より一言御挨拶申し上げます。

○医薬・生活衛生局長 どうも、皆さんこんばんは。

ただいま御紹介いただきました中垣でございます。

今日はこんな遅い時間に御参集いただきまして、ありがとうございます。

今、事務局の紹介がございましたように、10月に局名が変わりまして、私も10月1日に着任いたしました。4年ぐらい前に総務課長をしておりましたので、お顔を知っていらっしゃる方も何人かいらっしゃって、懐かしいような、また、気の引き締まる思いでございます。

私が前いたときは、ちょうどあのパンフレットをつくろうということでずっとやっておって、今こういった形で成果が出てきておるのは非常にうれしく思っております。

皆様方御案内のことだと思いますけれども、昨日、私どもの血液事業部会の運営委員会におきまして、化血研の第三者委員会の報告がございました。大きく報道等をされておりますけれども、40年近くの長きにわたって、言ってみれば組織ぐるみで法律違反のことをやっておったということであります。私どもは、これも既に報道もありますが、本日から、熊本に職員を派遣して、立ち入りで調べておるところでございます。こういった事実が何十年も続いておったということは極めて遺憾でございますし、また、私どもとして、当然、反省すべき点があるのかどうか、あるいは、今後どうするのかといったこともこれから十分検討していかなければと思っておるところでございます。

いずれにいたしましても、私どもも含めまして、薬に関わる者、常に高い使命感とそういったものを持ってやっていかなければいかんということを再度認識して、それを徹底していかなければと思っておるところでございます。

また、いろいろ御指摘をいただければと思っております。

本日は、議事次第に書いてございますような内容でございますけれども、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 引き続き、御紹介申し上げます。

大臣官房審議官(医薬担当)の森です。

○大臣官房審議官(医薬担当) 森でございます。よろしくお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 医薬・生活衛生局総務課長の森です。

○総務課長 森でございます。よろしくお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 医薬・生活衛生局総務課医薬品副作用被害対策室長の小野です。

○医薬品副作用被害対策室長 小野でございます。よろしくお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 そして、私は医薬・生活衛生局総務課医薬品副作用被害対策室長補佐の山田です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

また、医薬・生活衛生局長は、公務のため途中退席させていただきます。

事務局からは以上です。

○衞藤座長 本日は、薬害教育教材に関する議題がありますので、前回に引き続き、文部科学省の方にも御参加いただいております。事務局から紹介をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 文部科学省からの御出席者について報告いたします。

初等中等教育局教育課程課課長補佐の米原様です。

○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 米原です。よろしくお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 なお、カメラによる撮影については、ここまでといたします。御退室をお願いします。

○衞藤座長 それでは、本日の検討会の議題について報告いただくとともに、資料の確認をお願いいたします。事務局から説明してください。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 まず、本日の検討会の議題についてです。

本日は、1点目として、薬害教育教材に関する今年度分のアンケート結果について報告いたします。

その上で、このアンケート結果を踏まえた、来年度の教材配布の方針について説明いたします。

2点目として、前回検討会で御議論いただきました、指導の手引き(案)について、御指摘を踏まえ修正を行いましたので、御議論いただければと考えております。

3点目として、授業の際に利用していただくための視聴覚教材の案について、薬害被害者の方々の御協力を得て作成いたしましたので、そちらについて御視聴いただいた上で、御議論をいただければと考えております。

4点目として、先ほど申し上げましたとおり、薬害に関する資料等の調査について、金先生に御報告いただき、その後、今後の調査の進め方について、御議論をいただければと考えております。

次に、配付しています資料について説明いたします。

まず、本日の検討会の議事次第、名簿、座席図を配付しております。

そして、

資料1-1 「薬害を学ぼう」に関するアンケート調査結果

資料1-2 薬害教育教材の活用方法等について(案)

資料2-1 「薬害を学ぼう」指導の手引き(案)

資料2-2 資料の手引き(案)への委員からの御意見

資料3 視聴覚教材(案)について

資料4-1 薬害関連資料データ・アーカイブズの構築研究(金参考人提出資料)

資料4-2 薬害に関する資料等の調査・管理・活用等に関する研究(平成26年度厚生労働省科学研究費補助金 研究現況調査 総合報告書)

参考資料 「薬害を学ぼう」のテキスト、「薬害を学ぼう」用ワークシート【例】

を配付しております。

さらに、2種類机上に配付させていただいておりますけれども、A3の大きい紙につきましては、高橋寛構成員から御提出いただいた資料でございます。「秋田高校における薬害教育の試行」と題した紙でございます。

もう一枚、黄色い紙でございますけれども、こちらは栗原構成員から御提供いただきました資料でございます。

不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

よろしいでしょうか。

○衞藤座長 それでは、本日の議題に入ります。

最初の議題は、平成27年度の「薬害を学ぼう」に関するアンケート調査結果について」です。

事務局において、昨年度に引き続き、薬害教材に関するアンケート調査を実施したとのことでございますので、その結果について事務局から説明をお願いします。

また、このアンケート調査結果を踏まえた、来年度の資料配布の方針についても併せて事務局から説明してください。

それでは、お願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、資料1-1を御覧ください。

「薬害教育教材に関するアンケート調査結果(平成27年度)」について御説明いたします。

まず、「目的」ですが、教材のより有効な活用方法等の検討につなげるため、教育現場での使用状況、問題点等の把握をするために行っています。

「調査対象」は全国の中学校。

「調査内容」は大きく3つ、教科等の使用状況、教材の発送時期、使用した場合の感想等から成っております。

「調査方法」は、平成27年度の教材発送時にアンケート用紙を同梱し、約3か月後に中学校において必要事項を記載の上、検討会の事務局まで返送を依頼したというものです。

回収率については約15%で、昨年度よりも回収率は上昇しております。

結果の概要について、2ページ目を御覧ください。

まず、使用状況についてです。「授業で使用」との回答の割合が昨年度に比べて上昇するとともに、「配布のみ(使用等の予定はない)」との回答の割合が減少しております。「使用」と回答されたうち、教科について複数回答で聞いたところ、「社会科、総合的な学習の時間で用いた」との回答が上昇しております。また、単元についても尋ねたところ、これも複数回答ですが、いわゆる上の3つ、これが社会科系ですけれども、そして、中段が保健体育系、そのいずれも昨年度に比べて、多くの単元で取り上げていることがわかります。

そして、発送時期ですが、「ちょうどよい」との回答が75%を超えました。発送時期が「早すぎる」または「遅すぎる」との回答のうち、その理由等を尋ねたところ、「早い」と回答された中学校からは、公民分野の授業開始時期が1学期の後半となるところが多く、それまでの教材の保管に苦労されているようです。また、「遅い」と回答された中学校からは、次年度以降の授業計画の組立てに当たって早目の授業資料の提供を望んでいるようです。

次に、教材の活用の手引きについての感想です。

各中学校からは様々な御意見を500件ほどいただきました。事務局において回答を要約するなどの整理をさせていただいたのが3ページの2でございます。

まず、社会科で実践に使った際の御意見として、「教材と完全に内容が一致しないゆえに取り上げにくい」「授業の展開が難しい」「取り上げようとする単元に完全に一致するものがない」との意見がある一方で、「薬害について正しく理解し、差別しないような社会をつくるためにはどうしたらよいか生徒に考えさせたい」「保健体育や家庭科とも連携したい」といった意見もありました。

次に、保健体育で活用された際の御意見として、「保健で取り上げることの難しさ」をコメントされる一方で、「教材があることで、生徒の興味・関心が高まる」といった意見、「「健康な生活」「疾病の予防」との関連づけにより理解が深まる」という意見がありました。

その他の教科で活用された際の御意見として、「社会科や保健体育では扱う単元がないので、総合的な学習の時間で実施する」といった意見もありました。

4ページを御覧ください。

また、学校によっては、健康教室や薬物乱用教室を行っているところもあり、その際に併せて活用しているという意見もありました。そこでは、「薬害と薬物乱用の違いを意識させることができた」「学校薬剤師に取り扱ってもらった」という意見がありました。

「時間がない」という点では、4ページから5ページにかけてですが、学習内容を深めること、教材を教えるために必要な時間数を確保することの難しさを指摘する意見がある一方で、資料に触れることで、このようなことがあるということを知ることの意味についても言及されているものもありました。

教材の内容・難易度について、「難しい」という御意見もありますが、「現状を知るにはよい」といった意見や、「先生が独自に身近な薬品の使い方と併せて授業を組み立てた」といった意見もいただいております。

関連して、「DVDなどの映像教材があると、教材を活用しやすい、指導しやすい」といった意見がありました。

5ページの下の部分ですが、「類似する資料が多すぎる」というものですが、これは年度末や年度当初に、生徒への配布物が集中する。そして、それらを配布して使うことが難しいといった意見もございました。

6ページですが、このほか、特別支援学校からの御意見やその他の部分ですが、「真摯な姿勢で仕事に向き合うことの大切さを感じてもらうことができた」「被害者の実際の声を聴く機会となっている」などの意見をいただきました。

最後になりましたが、アンケートに回答、また、御意見をいただいた中学校の皆様に御礼を申し上げます。ありがとうございます。

次に、資料1-2を御覧ください。

「薬害教育教材の活用方法等について」今説明しました資料1-1のアンケート結果も踏まえた来年度以降の案をお示ししております。

まず、前提として、今年度(平成27年度)の教材配布についてです。

平成26年度のアンケート結果を踏まえまして、平成27年度は前年度末(平成27年1月)に各中学校に、資料送付の予告をしました。その上で、資料本体は平成27年4月に送っております。

また、アンケートの調査項目について質問の項目を厳選しています。

さらに、学校現場からのアクセスをよくする観点から、文部科学省の御協力を得て、文部科学省のホームページ、そして、消費者庁のホームページにも教材を掲載しております。

このような今年度の取組を踏まえ、来年度の発送についてですが、資料1-1で紹介しましたように、配布時期が適切との意見が全体の4分の3を超えましたこと、また、年度開始前に資料の存在がわかったほうがよいことを踏まえまして、別添1も併せて御参照ください。

来る平成28年1月ごろに、「指導の手引き」、「視聴覚教材」のURLを含め、資料の予告を全中学校に送付した上で、平成28年度の開始した4月を目途に、「指導の手引き」、視聴覚教材のURLを添えてテキストを送付したいと考えております。

「指導の手引き」と「視聴覚教材」については、この後、次の議題2、議題3で御議論をいただき、御了解が得られましたら、テキストと併せて送付したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

その上で、引き続き、別添1を御覧ください。

前回、第14回の検討会にて、構成員の先生から、薬害に関する教材を使うことで生徒の成長につながるといった長所をアピールしていくことが教材の普及につながるという趣旨の御意見を頂戴しました。

これを受けて、枠囲みの部分です。

まず、薬害を学ぶ趣旨を太ゴシック体で強調するとともに、教材を利用することで生徒が課題を解決するために必要な思考力等を育み、主体的に学習に取り組む態度を養うのにも役立つと考えられる旨記載するとともに、教員の授業の準備に役立つものとして、「指導の手引き」と視聴覚教材を新たに作ったことを明記しました。

その上でアンケート調査についてですが、次は別添2を御参照ください。

調査項目について、「指導の手引き」と「視聴覚教材」についての御意見をいただく形で追加しております。

最後に、来年度以降についてですが、これまでのアンケート調査結果や検討会での御意見を踏まえて、「指導の手引き」と「視聴覚教材」を作成しています。このように教材がそろいましたので、これらの使用による薬害教育の普及に努めていきたいと思っております。具体的には、構成員の皆様とも御相談させていただければと思いますが、事務局としましては、教材の検証あるいは好事例の紹介と展開を行っていければと考えております。

説明は以上です。

○衞藤座長 それでは、ただいま御説明のありました調査結果と来年度の方針に関して、御質問あるいは御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

特にございませんでしょうか。

花井構成員、どうぞ。

○花井構成員 アンケートの結果を見ると、回収率が上がっている。この中で、それぞれ活用しているところは微増しているし、それから、「配布予定はない」が6.2%から3.7%に落ちていて、ここは恐らくバイアスがかかっていて、アンケートに回答する人たちは何らかの意識が向いているので、その中では多分「配布の予定はない」という形になっていて、アンケートを送ってないほうはこちらがちょっと上がるのだと思います。

そうすると、これはざくっと見ると、15%ぐらいは何らかの活用をしていただいているというふうに結果として読み取れます。それから、アンケートの送付時期についても、早い・遅いという意見はあるものの、概ね現状の時期で大体皆さんよいような感じだと思うので、その対応でよいし、それから、それに対応して事前に情報を提供するというのもよろしいと思います。この方向性は非常によいのではないか。まさに、次回は手引きと映像教材が増えるので、その効果が次のアンケートにかなり効果が出るとなると、さらに、喜ばしいということだと思うので、今回は、新しいコンテンツが2つ追加されるので、一応他の条件は同様であるというのが妥当ではないかと思うので、事務局案はいいのではないかと思います。

○衞藤座長 そのほか、いかがでしょうか。

それでは、ほか議題が控えておりますし、また、後の議題とも関連することでもございますので、この件に関して何かありましたら、そのときでも構いませんので、御意見をお願いします。

それでは、この資料についての質疑応答は、以上で終わりといたします。

続きまして、次の議題「「薬害を学ぼう」指導の手引き(案)の修正について」に移りたいと思います。

前回の検討会で手引き案を事務局が提示いたしまして、議論を行いました。その際、内容面のみならず、作成に当たって、事務局だけで手引き案を作成するのではなく、専門家の意見を聞くようにとのお話もありました。

こうした経過を踏まえて、事務局において、案の修正を行ったということでございますので、まず、事務局から御報告をお願いいたします。

なお、指導の手引きについては、平成28年度から配布・使用できるよう、構成員の皆様の御意見等を集約できればと考えておりますので、御協力をお願いいたします。

それでは、資料の御説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 座長からもお話がありましたとおり、前回の検討会において、複数の構成員の先生から指導の手引き(案)の作成については、事務局だけで作成するのではなく、専門家の意見も踏まえて作成するべきとの御意見もいただきました。

これを受けて、文部科学省の御協力をいただき、中学社会の教育課程の専門家として、中学校で実際に教育に携わられている先生に御意見をお伺いしました。

この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。

また、事務局作成の修正案については、座長の衞藤先生にも御相談の上で、専門家の構成員の方々に御意見を頂戴し、その御意見も踏まえて資料の修正を行い、資料2-1として提出しています。

なお、前回の検討会の議事録を基に、構成員からの修正に関する指摘事項をまとめ、対応状況を記したものとして資料2-2を作成しています。

それでは、資料2-1について説明いたします。資料2-2については、前回検討会での指摘と今回お示ししている修正内容につきまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。

それでは、1ページ目を御覧ください。本資料につきましても、恐縮ですが、幾つかのポイントに絞って説明してまいります。

まず、テキストのねらいについてです。大きな目的として、「薬害を知り、被害にあった方々の声を聴き、薬害発生のプロセスを学び、薬害が起こらない社会の仕組みを考える」ということ、そして、その目的を達成する過程にある目的として、マル1からマル4を付しまして、4つの過程にある目標を明示しました。

次に、2ページ目と3ページ目を御覧ください。実際に授業などで取り上げていただく先生方にとってのガイドとなる部分であり、文部科学省の協力もいただき、教育現場の方の御意見を伺って修正しています。学校の先生方の創意工夫を尊重し、あくまでも一参考あるいは部分的にでも活用いただきたいということで修正しています。

<本時のねらい>と<本時の評価>を追加し、目的を意識していただけるようにしました。

手引きの4ページ以下を御覧ください。

各項目の冒頭にテキストの図を貼りつけまして、手引きとテキストの関連を明らかにしました。また、タイトル下の枠囲みについて、従前は、「このページのねらい」としていましたが、「学習のねらい」と改め、各項目の生徒の到達点を明らかにしました。

次に、6ページの図を御覧ください。ここでは、前回の検討会で、医薬品の安全確保には、販売後の情報を医療関係者にフィードバックすることが重要であるということ、製薬会社の段階でも厳格なルールを遵守した製造により、安全性・品質の確保を図っている旨を追加するべきとの意見をいただきましたので、そのように修正しております。

7ページです。後に、抗がん剤のゲフィチニブ(販売名イレッサ)に関する記述が出てまいりますが、抗がん剤の副作用については、一般の医薬品とは異なることを補足しています。

8ページと9ページを御覧ください。用語解説について、最後に、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)と医薬品医療機器等法(旧薬事法)の解説を追加しました。これらは本文や【プラス情報】で出てくることから、追加をしたものです。

飛びまして、11ページを御覧ください。「学習のポイント」において、国、製薬会社、医療従事者は何をすべきだったのか考えてみようというところで、回答例をお示ししていますが、ここでは、医療従事者等がなすべきこととして、何か起こったときに早期に発見していくことが重要との趣旨の御意見をいただきましたので、それを踏まえまして、マル2という項目を追記しています。

また飛びますが、14ページでございます。この【プラス情報】の第2パラグラフでございます。薬事法の改正で、関係者の責務と国民の役割が法律の規定として盛り込まれたことをしっかりと記載すべきとの御意見をいただきましたので、なお書きとして追記いたしました。

次に、15ページ上段の図を御覧ください。前回お示しした図については、「国民から出る矢印が足りない」「もっと情報を書き込むべき」という意見や「もう少しわかりやすい図にすべき」との意見をいただきましたので、なるべくわかりやすいものとなるように見直しをさせていただきました。

まず、図の構成についてですが、「国民が一番下の隅にあるのは適切ではない」という意見をいただいております。この点については、テキストの図と平仄をとらないとかえってわかりにくくなり、混乱を招くおそれがあることから、図の4者の構成は当初案どおりとしています。事務局としては、隅というよりも基点として国民が位置づいていると考えております。

また、矢印については、テキストの図をベースとしつつ、関係者間の情報のやりとりに関する矢印を、4者間のそれぞれで双方向となるように加えさせていただきました。

その上で、情報の内容としては、1つ目として「開発・製造段階での安全性に関わる情報」、2つ目として「販売・使用後の起こり得る副作用の情報」、3つ目として「販売・使用後の異常に関する抜粋情報」と整理しました。

また、先ほどの御指摘もあった関係者の役割をしっかり明記するという趣旨で、記載も追加しております。吹き出しの部分でございます。

次に、15ページ下段の【プラス情報】。ゲフィチニブ(販売名イレッサ)に関する記載です。この点については、冒頭で「医薬品をめぐり、社会問題化した最近の具体的事例」として取り上げるという修正をしています。

また、「間質性肺炎による死者を「一部」とするのではなく、数字で示すべき」との御意見をいただきました。御指摘を踏まえて、事務局にて検討いたしましたが、間質性肺炎で亡くなった方ということは仮に把握できたとしても、それが抗がん剤による副作用なのか、原疾患によるものなのかは判然としないことから、数字を記入することは難しいと考え、一部の記載を削った上で「抗がん剤の使用により改善した方も亡くなった方もいる」旨の記載に改めています。

また、薬事法による承認前の企業の宣伝、点滴ではなく、錠剤ゆえの使用のしやすさについても御意見をいただいていますが、教材としての正確性を期すこと、また、限られた時間の中で伝えるべき情報を厳選することといった観点から、記載のとおりとしております。

なお、これまでの記載では、抗がん剤イレッサが現在どのようになっているのかがわかりにくいということで、現在も使われていることを追記しております。

以上のほか、事務局において、用語の不適切な部分は全体的に修正をさせていただきました。

説明は以上です。

○衞藤座長 それでは、ただいまの事務局からの御説明に関して、御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

矢倉構成員、どうぞお願いします。

○矢倉構成員 15ページの4つの国と製薬会社・医療従事者・国民というこのシートですけれども、前回は、国民から発信する矢印がなかったわけですね。それが今度きちんとつけられたということはやはりいいことではないかと思います。

○衞藤座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

花井構成員、どうぞ。

○花井構成員 関連してです。15ページの国民と製薬会社間の矢印ですが、今、イレッサで言及があったイレッサのプロモーションのことがちょっと書きにくいということを事務局から説明があって、それ自体はちょっと不満ですが、一方で、医師がすべきところで、「製薬企業の宣伝には」と書いてあるのですね。MR活動と書いてない。「宣伝」と書いている。これは踏み込んでいるものですね。医師が宣伝で処方していると書いている。これは踏み込んでいて、つまり、実態と制度上の説明とが微妙に入り組んでいる。基本的に、製薬会社から医療用医薬品を国民に直接情報提供すると、逆に、これは違反になるのですね。ダイレクトマーケティングは禁止されているので、それは患者会等に情報提供することはあるわけですね。医師にもMRとしての情報提供という話と、それから、雑誌に載っている広告という側面があって、情報提供と宣伝はいつも医師法上でもいろいろ常に問題になっています。

中学生と中学校の先生ですが、国民と製薬会社間の矢印は、ただ矢印。その辺の事情は、今みたいなあんまり込み入った話はちょっと専門的過ぎるとは思うのですが、例えば「医療用医薬品を直接宣伝することは禁止されています」とか、ちょっと何かあったほうが、国民と製薬会社は、慢性疾患の患者会とかがんの患者会とか、組織に関わっている人は製薬企業等の情報提供は意識できるけれども、一般的に考えて、製薬企業からの情報提供は多分、中学生とか一般の人は、イメージとしてOTCの宣伝だと思うのです。その話とどういうことかな、わかりにくいかなと思うのですね。

ただ、この図はこのままでいいのかな。この図もちょっと微妙な気はしているのですけれども、このままで行くとしたら、「医療用医薬品の宣伝は禁止されています」とか、そこのわかりやすいところを先生には伝えてあげたほうがいいかもしれませんね。中学生にそこまで知ってもらう必要はないけれども、先生は理解の深まった子供に対して深い説明を先生ができるような何か情報があったほうがいいと思いました。

あと、「国民」はそうですね、基点ですね。ちょっと大きくするというのはありですか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 その点に関して申し上げれば、前回に比べますと、「国民」という文字は大きくさせていただきました。

○花井構成員 はい。

いかがでしょうか。情報提供とどういうイメージで書いたのですか。実態としては、開発・製造段階での安全性に関わる情報の提供を製薬会社から国民にしているとまでは考えてないですね。

○医薬品副作用被害対策室長 こちらですけれども、先ほど矢倉構成員からも御意見のあった国民からの矢印という部分の話もある中で、何をどこまで書き込むかと。まさに、書き込んでいくと、さらに、いろいろな情報がかなり追加して書かなければいけないというところで、ここは正直事務局も非常に悩みながら書かせていただいた部分だと思います。

今、特に国民と製薬会社の間の情報が双方向矢印になっていますが、ここはわかりやすさということでこのぐらいの表現にとどめているというぐらいですので、逆に、誤解を招くとか正確性を欠くということであれば、ここは少し書きぶりを追加するとか、注を入れるとか、そういったところは検討してもよろしいかなと、事務局としては思っております。

○衞藤座長 望月構成員、どうぞ。

○望月構成員 今の件に関連してですが、花井構成員が御指摘くださって、私もそうだなと思ったのですが、まずは、宣伝というのと適正に使うための情報提供は分けなければいけないのかなというのを思いましたので、それは教員の方々にきちんとお伝えしたほうがいいということと。

それから、先ほどの製薬企業と国民の間のこの矢印ですが、新しい医薬品医療機器等法になったときに、例えば安全性速報とか緊急安全性情報とかをきちんと患者のバージョンみたいなのを作成して、早くお伝えしなければいけないということがたしか制度の中でできたと思うのですね。法律の中には書いてないかもしれないのですが、そういう患者に対しても、今までは医療従事者しか緊急安全性情報とか安全性速報とか、ブルーレターとかイエローレターが来なかったのを、患者さん向けもつくるということになっているので、マル2とマル3はちょっとあるのかなと。マル1が開発段階でどのぐらい全ての国民に向けて情報が提供されているかというのはちょっと「はてな」かもしれないなというのを、さっき花井さんの話を聞いていて思いました。

○衞藤座長 藤原構成員、どうぞ。

○藤原構成員 原則上、メーカーの人間は国民の皆さんに直接コンタクトをしてはいけないという医薬品医療機器等法上の規制がありますので、確かに、今、望月構成員がおっしゃったようなものはあるのですけれども、この製薬会社から国民への矢印はなくしたほうがいいのではないかと思います。国民から製薬会社に行くことはいいのですけれども、製薬会社から国民に行くという、双方向矢印になっていますね。これはやはりないほうが私はいいと思います。

実際、今、企業は患者さんと直接やりとりしないで、必ず医療従事者(医療機関/薬局)を通して患者さんに伝達しています。先ほどの緊急安全性情報関係の患者用の説明書も、原則上は、医療機関にお渡ししています。ただ、OTCの場合はちょっと違うので、医療用医薬品と一般用医薬品をどうするかというのはちょっと難しいところです。今のままの図では、これだと一方的に行けるのだなという感覚を持つので、少し工夫をしたほうがいいと思います。

○衞藤座長 込み入った難しい問題が出ているようですけれども、ほかにお気づきの点がございましたら、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高橋浩之構成員、どうぞ。

○高橋浩之構成員 私からは、内容ではなくて、形式的なことについて申し上げます。

ある面ですごく書き込まれて、綿密なものになったと思いますが、これはすごく使いづらいような気がします。どのような使い方を想定しているのかということがちょっと見えにくいということです。指導案なんかが加わったのはいいと思うのですけれども、すごくたくさんページがあって、各ページの中にパンフレットの抜き書きとそうでない部分が入りまじっていて、先生がこれをもって授業をやろうと思ったときに、ちょっと戸惑うのではないかと考えました。

今回ちょっと工夫して、縮刷で右上のほうに図を入れていただきました。見本というか、これは高校の教科書ですが、ここが抜き書きなのですね。それで、縮刷されていて、読もうと思えば、小さい字ですけど読めるのです。その脇に、どう使うかということが書いてあって、私のイメージでは、こういうもののほうが、先生はさっと見てやりやすいのではないかと提案したつもりです。

今回の案では右上のほうに極めて小さな縮刷があり、どこの部分の手引きかは示してありますが、結局、字が読めないからもう一回本文を読むことになります。しかし、手引きに書いてあることが、パンフレットに書いてあることなのか、そうでないのかというのがよくわからなくて使いづらいように思います。

○衞藤座長 ありがとうございました。

そのほかはいかがですか。

手嶋構成員、どうぞ。

○手嶋構成員 このシートを見て、わかりにくいなとは思ったのですね。一応読んでいって、医療従事者・薬局のところで、「薬を正しく処方する役割、薬の情報を正しく説明する役割」、そして、「薬の副作用が起きた場合に国や製薬企業に報告する役割」と書いてある。その後はどうされるのだろうと、私もちょっと疑問になったのですね。薬の副作用が起きた場合に、国や製薬企業に報告する。そして、その後どうなるのだろうというのが、薬の副作用が起きた場合に一番これを知らないといけないのは国民なので、だから、それはそのままどうするかという続きが書いてないという感じがするのですね。

だから、「これは公表します」とか、「○○を通じて即座にみんなに公表します」という、それがちょっと書いてなくて、この後は隠蔽するのかなと、また思ってしまったりするのです。ちょっと不安がそこにある。国民が一番知らないといけないのに、ただ国や製薬企業に報告するで終わり。そこら辺は何となくこれを見て教えてもらっている先生や生徒さんたちも、最終的にどうなるかという答えが出てないので、そこまで親切に書いてもらったほうがいいと思うけれども、何せこのシートが難し過ぎて、私もぱっと見はこんがらかってしまう。1番、2番、3番とずっと書いてあるから、この下を見ながら解釈しないといけないのかなというのがある。もっとお知恵を拝借して色々作っていただきたいなと思います。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 御指摘ありがとうございます。

いわゆる顛末がやや見えにくいという御指摘なので、そこは、改めて検討できるところは検討してみたいと思いますが、矢印のように情報が流れていくというのを意図させていただいているつもりです。つまり、医療従事者が仮にしかるべきところに報告すれば、その次のところで、医療従事者から製薬会社に報告ということになれば、それが例えば国からも流れて、つまり、それが公表とかそういう形では書いておりませんけれども、常に、何か起きたときに、情報がそれぞれ流れて、しかるべきところに伝わっていくことを一応表現させていただいたつもりです。

マル1マル2マル3についてですけれども、前回は、矢印のところにこの字を書いておったのですけれども、そこにもいろいろ情報があったほうがいいのではないか、あるいは、逆に、字が多過ぎて、矢印と字の関連がわからないというような話もあって、そういうことも踏まえて、ちょっと修正をさせていただいたという次第であります。ちょっとわかりにくいという御指摘については、また、検討できる部分は検討させていただけたらと思っております。

○衞藤座長 藤原構成員、お願いします。

○藤原構成員 14ページですけれども、下段に今回の医薬品医療機器等法の改正で国民の役割が明記されたことを書いていただいたのは非常に結構なのですけれども、たしか検討会では枕言葉がありまして、「薬害の再発を防止するため」という表現も入っていたと思うので、これは追記をしていただければと思います。

○衞藤座長 ありがとうございます。

そのほかいかがですか。

花井構成員、どうぞ。

○花井構成員 縮刷版のテキストも読める感じにすると、文字ポイントを小さくすれば可能だと思うのですけれども、これは結構大きめの文字ですね。14ポイントぐらいですね。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 12ポイントぐらいだと思います。

○花井構成員 そうすると、例えば文字を割と細かい感じにしても、これを大きくしたほうが使いやすいですとか、それだったら、そのほうがいいと思います。文字を小さく書いてもらっていいというのは、トレードオフの関係なので、どちらが現場では使いやすいのでしょうか。

○衞藤座長 高橋浩之構成員、どうぞ。

○高橋浩之構成員 一概には言えないのですけれど、見本はこのページだけで終わっているのではないのです。このページは本当にここが縮刷版になっていて、この脇にどこのところがどうということが書いてあるのですね。これだけで終わるのではなくて、この後ろに、さらに詳しい解説が書いてあるのです。だから、別なところへ持っていっても構わないわけでここだと入らなくなるということはないのです。この中の後ろに指導案がこういうふうに進めると書いてあったりという形で、これはいろいろな形があると思うのですけれども、私は、今のままだと、教師が授業をする前に予習するためにこれをやるのか、授業のときにこれを使いながらやれるのかというところがちょっとよく見えないと思います。

もう一つ、追加させていただくと、ここで何が正しい表現かということを議論するのはとても大事だと思うのですけれども、これは指導の手引きなので、先生が的確に子供に教えられるようにしなければ意味がありません。どんどん複雑に難しくしていくと、結局は、ちゃんとした授業を先生にやってもらえなくなってしまうと思うのです。だから、そういう意味で使いやすさということにもっと目を向けないと、せっかくの手引きがちょっと惜しいように私は思うので、中身ではないのですけれども、ちょっとこだわって申し上げているところです。

○衞藤座長 ほかに御意見はございますか。

それでは、「「薬害を学ぼう」指導の手引き(案)に関しては、本日さまざまな御意見をいただけたと思いますので、それを踏まえて事務局で修正をお願いしたいと思います。

望月構成員、どうぞ。

○望月構成員 先ほどの議論を聞いていて、患者さんから集めた情報を、今度、それは最終的にどういうふうに出されるのかというところがわからないというお話だったので、そこは今度もう少し考えていただけるのかなと思うのですけれども、それに関連すると、6ページがちょっと気になってしまって、開発から、承認されて、販売されるまでを図式化していただいたという、これ自体はとてもわかる形になっているのですが、その右側に吹き出しで、市販された医薬品の利用により得られた情報が、国と製薬会社に戻るのですけれども、その後がつながっていないので、これがわかりにくいと思うのですね。ここの【プラス情報】が、薬の製造から販売までということを先生方にプラス情報として理解していただくためのものだとすると、ここを取ったほうがわかりやすいかもしれないと思いました。これが入っていると、かえって、さっきみたいなところがつながらなくなるので、そのつなげるのが、先ほどの4つの人たちの役割の図のほうで説明をしていただくというのがいいかなと私は思いましたが、いかがでしょうか。

○衞藤座長 この件に関して、ほかに御意見はございますか。

花井構成員、どうぞ。

○花井構成員 望月構成員の意見に賛成です。確かに市販後安全対策はさまざまあるのですけれども、使いやすさを考えれば、医薬品が出てくるプロセスということで、図もそれだと大きくなるし、そのほうがいいと思います。市販後安全対策の情報の流れまでここに入れると、どんどんビジーになるので、確かに医薬品が出てくるプロセスに特化したほうがきれいという意見に賛成です。

○衞藤座長 それでは、この部分はその方向で修正をお願いするということで、そのほかはございますか。

高橋寛構成員、どうぞ。

○高橋寛構成員 いつも言っているのですけれども、結局、中学校ではこれを1時間1コマか2コマの授業しか現実にはできないので、この資料の充実は全然いいのですけれども、さっき高橋浩之構成員が言われたように、今聞くと、授業でできるのはこれの数ページ分しかないので、結局、その時間内に授業ができる内容におさまらないと、要するに、授業は実践不可ということですので、その辺を考慮してやっていただきたい。もしかすれば、この指導の手引き(案)のほかに、こういったものの1ページ物が必要なのかもしれませんけれども、そこのところは併せて、ぜひお願いしたいと思います。

○衞藤座長 ありがとうございました。

それでは、「「薬害を学ぼう」指導の手引き(案)」に関して出されました意見を踏まえて事務局で修正をお願いしたいと思います。

その確認については、私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○衞藤座長 ありがとうございます。

では、異議がないとさせていただきますので、そのように進めさせていただきます。

それでは、本日の3つ目の議題であります視聴覚教材(案)に移りたいと思います。

この視聴覚教材(案)については、前回の検討会で作成に当たっての基本的な方針、そして、具体的な内容について御意見をいただき、事務局にて作成することを御了解いただきました。

そして、視聴覚教材(案)ができたということでございますので、早速視聴をしてみたいと思います。

なお、この視聴覚教材についても、これまでの検討会の中で、平成28年度からの教材としての利用に向けて作業を進めていくこととされておりますので、御協力をお願いいたします。

それでは、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、資料3について説明します。

まず、こちらの資料は前回第14回の検討会において提出した資料について、時点修正を加えたものです。具体的には、パート1の記載順をでき上がった視聴覚教材の構成に即したものとし、撮影事業者を明記したというものです。視聴覚教材の内容については、資料にありますとおり、パンフレットの流れに沿ったものにする。「薬害に学ぼう」にある内容を足しも引きもせず、忠実に反映させております。

また、時間については前回の検討会において、20分程度との案をお示ししましたが、実際にこの方針に沿って教材を作成したところ、現状では約27分程度のものとなっております。ナレーションの読み上げの速度を上げることも検討したのですが、そうすることで、かえって中学生には理解がしにくくなるのではないかと考え、約27分のものをこれから御視聴いただきます。

前置きが長くなりましたが、それでは、これから皆様に通して視聴いただきます。御質問・御意見については、視聴後にまとめていただきますようにお願いいたします。

それでは、お願いします。

(視聴覚教材(案)を視聴)

○医薬品副作用被害対策室長補佐 以上が視聴覚教材(案)でございます。

ただいま通して御覧いただきましたけれども、資料3にも書いてございますとおり、それぞれのパート1、パート2、パート3、パート4、さらには、パート2の被害者の方の声については、それぞれをピックアップして視聴できるように準備いたします。

また、御覧いただきました映像において、一部、字句やナレーションに誤りがありました。こちらについては、検討会終了後、修正をいたします。失礼いたしました。

そして、ここで御議論いただきまして、御了解いただければ、現在、この「薬害を学ぼう」とか、参考資料でお配りしていますワークシートの例は、厚生労働省ホームページの中にある「薬害を学ぼう」というページに掲載しているのですけれども、ここに掲載することを予定しております。先生方にも、掲載している場所を御案内して、必要に応じてダウンロードしていただくというようなことを現在考えている次第です。

事務局からの説明は以上です。

○衞藤座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明と御覧いただきました視聴覚教材(案)に関しまして、御質問・御意見がありましたら、よろしくお願いします。

矢倉構成員、どうぞお願いします。

○矢倉構成員 先ほどの15ページのことから派生するのですけれども、例えばこのパンフレット(「薬害を学ぼう」)も、国民からもアプローチが全然出ていないのですね。

それから、先ほどの映像の中にも出ていませんでした。ただ、文章的にはちょっと入っていましたけれども、図式の中には共通して入れるべきものがあるのではないかと思いますので、その点はいかがでしょうか。

○衞藤座長 事務局、お願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 お答え申し上げます。

確かに、指導の手引きとこちらについて、その情報に若干差があるのはそのとおりです。ただ、こちらはどちらかというと、見て、考えていただくというものでございまして、この中には情報に関するやりとりは矢印としては入れていません。そこをある意味生徒さんに考えていただきたいということで、あえて入れていないということです。先生用には、授業の準備をしていただくに当たって、ここにない矢印としてどういうものがあるかというのをあらかじめお示しをさせていただいているというような構成にさせていただいているというものです。

○矢倉構成員 実用性が高いものですか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 今申し上げたような違いで、生徒さんが例えばこれに書き込んでいただくとか、そういう使い方はあり得るのではないかと思います。

○衞藤座長 高橋浩之構成員、どうぞ。

○高橋浩之構成員 ちょっとお伺いしたいのですが、基本的な方針として、1時間の授業での活用を前提として、20分程度、これが27分になるとしても、あと20分ぐらいは余っていると思うのですが、その時間は何をやるというイメージなのでしょうか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 確かに難しいところではございますけれども、例えば、それぞれポイントをお示しさせていただいておりましたので、20分という時間なので、どこまでできるかというのはもちろんあるかもしれませんが、ポイントの一部について御議論いただく、あるいは、今日参考資料としてお配りさせていただいていますけれども、ワークシート。これはあくまで例でありますので、これが全てということではありませんけれども、例えばワークシートに記入してもらって、それについて発表をするとか、そういうことを念頭に置いてはいますが、如何せん、現場の感覚がややないところではありますので、こちらとしてはそういうことを想定というか念頭に置いている次第です。

○高橋浩之構成員 この映像自体、パンフレットがよく考えて作られているので、ストーリーとしてはしっかりしているとは思います。しかし、パンフレットそのままのものなので、あと、何もやることがないというか、授業で残った時間は何をやっていいのか。あるいは、せっかくこのパンフレットを配って、この映像もあるのだと思うのですけれども、パンフレットをどう使ったらいいのかということがちょっとわからなくなってしまうように思うのです。

私は映像でやるのだったら、もっと独立して、そこで完結するような、例えばパンフレットだったら問いかけて終わってもいいと思うのですけれども、映像だったら、しっかりと答えが出るところまで子供が納得するようなものである必要があると思います。あるいは、教育の世界では「教材」という言い方をするのですが、何かを学んでもらうためには、全部を言う必要はなくて、むしろ、学ぶべき何か材料をもって、子供が学ぶべきことは役割の全部の一つ一つというよりも、何が問題なのか、どうしたらいいのかということを学んでもらうために教育はあるのですね。そのような教育の特性から考えると、余りに細々と色々なものがパンフレットどおりということで入ってしまっているので、かえって、目的が達成できなくなってしまうように思うのです。

もっと言ってしまうと、例えばスモンの話でも、インタビューの後にすぐに、実はこういうことだったというふうに入ったほうが、こういう被害にあった方というのは実はこの背景があってという方が、子供はすっとわかると思うのです。しかし、今の映像、パンフレットのままなぞったのでは、子供になってほしい姿には余り役に立たないように、正直言って思うのです。私の意見です。

○衞藤座長 事務局、どうぞ。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 御意見ありがとうございます。

先ほどの高橋浩之先生へのお答えについては、通して視聴した上でその後の時間の使い方ということで申し上げました。

あとは、教員の使用方法の想定としてあり得るのかというのはもちろんあるのですけれども、先に申し上げたとおり、チャプターで分かれて使うこともできるようにしていますので、例えば最初の部分、年表の部分で言いますと、割と知識にまたがる部分が多いので、他のところに時間をかけていただくという点で、そこは例えば映像を使っていただき、教員による説明を省くとかいうことはあり得るのではないか。

今、スモンの例をおっしゃっていただきましたけれども、使い方としては高橋浩之先生がおっしゃられたようなことが一応できるようにはしております。というのは、被害者の声はそれぞれがピックアップできるように準備したいと思っておりますし、今のスモンで、被害者の声を聞いた後に、すぐその次のページのスモンの事例に移って御覧いただけるということで、その手間がというのはあるかもしれませんが、一応そういう使い方もできるのではないかというふうには考えている次第です。

○高橋浩之構成員 おっしゃることもよくわかります。最初に、足してもいないし、引いてもいないという説明もありました。しかし、映像で流すという意味といいますか、チャプターで使うにしても、余りにパンフレットの言葉どおりで、同じ写真を使っているので、教師が求めるものに答えていないのではないでしょうか。使ってもらえないのではないかという心配をします。

○衞藤座長 そのほかはいかがですか。

倉田構成員、どうぞ。

○倉田構成員 皆様構成員がおっしゃっているのは、とてもレベルの高いお話だと思って伺っていました。

というのは、このテキストを配るだけで、授業に取り入れるところまで行っていないというところが数多くあるわけですから、まず教師に、これを教材にして生徒たちに話してみようという気になってもらうのが第一だと私は思っていました。ですから、このDVDを見ながら、これだったら自分にもできるのではないかと思ってもらうためには、この視聴覚教材は非常にいい手段ではないかと思います。

それと、学校薬剤師の方に出張してもらって話をしてもらうという方法もありますが、何しろ担任の教師が生徒たちに話をするわけですから、事前の準備として、まず視聴覚教材のこのDVDを見ながら、自分にできるか、自分だったらどこを強調して話をするか。また、パートごとに分かれて見ることもできるというふうにつくっていただいていますから、この辺を大事にして話してみようとかという、その前段階のことがこれでできるのではないかと思って私は見ました。

○衞藤座長 いかがですか。

高橋寛構成員、どうぞ。

○高橋寛構成員 多分、これも議論すると、ずっと長くなってしまうと思いますけれども、当初の目的はいいのではないかと思います。ですけれども、多分やっていく段階で、2回目、3回目になると、物足りないとか使い勝手が悪いと思いますけれども、全く知識のない人が学ぶという意味では、当初の目的は達成できるのではないかと思います。

○衞藤座長 手嶋構成員、どうぞ。

○手嶋構成員 私も被害者として、今そのDVDの中に出ています。他の被害者の方のDVDを今見てから、胸に来るものがやはり同じ薬害被害者としてありました。これは最初の段階で、二人ずつぐらい抜粋して授業で見せるというお話を聞いていましたけれども、できるだけ中学生の方に見ていただいて、そして、難を言えば、最初のレイアウトですけれども、一つずつ薬害を出してありましたけれども、字が小さいので、ナレーションはあったけれども、そのときだけぽっと拡大できればいいかなと思いました。

それから、どうしても私の気持ちの中で、最後に、国民の「消費者として主体的に関わる役割」と書いてありますけれども、「自分の使う薬に関心を持つ」その後ですけれども、「関係者(国、製薬会社、医療機関)の役割や行動をチェックするなど」と書かれています。

一般の国民がそれをチェックするのはちょっと難しいのではないかというのが、今すごく身にしみてわかるわけですよ。薬害が起こらないようにするにはどうしたらいいのかというのが、そこに何となく答えがあるような気がするというか、結局は、薬の副作用が起きた場合に、国や製薬企業に報告する役割とか、医療従事者はありますけれども、その報告した後、なるべく早く国民に教えないといけない。10か月もたって、ほかの国ではその薬害はもうわかっていたけれども、日本ではそれを止めることができなかった。国民に知らせなかったというのは国や製薬企業が今までとってきた。それで被害者が増えた。だから、これを提起してくれたのだなというのは物すごく思いました。ここで第三者の監視委員会を作るとか、そういう答えが出るのではないかというのを本当思いました。

○衞藤座長 ありがとうございます。

花井構成員、どうぞ。

○花井構成員 高橋構成員の言ったことはよくわかる。僕、当初ちょっとそういうイメージしていて、だけど、今から話されたような構成の製作をするとなると監督を雇ってやらないと無理だと思うので、とりあえず、これは被害者の映像があるので使えるのではないかなと思うのですね。アンケートもやっているので、フィードバックが、よほどこれは使いにくいということがあれば、また、ちょっと検討するとして、とりあえずこれをベースに今回は映像教材を出すというのがよいかなと思いました。

さっき、テキストもいろいろ問題があるという話がありますが、突き合わせなくていいですか。僕も何か所か拾ったのですけれども、落ちているところがないか。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでしたら、次の関係もありますので、もし、よろしければ、別途、個別に教えていただいて、それで、反映させていただければと存じます。

○花井構成員 1つだけいいですか。業者の方にだと思うのですけれども、ナレーションの方が関西アクセントと東京アクセントと混ざっていて、「薬」のところで、関西アクセントで標準語を話しているので、ちょっと引っかかるので、標準語で、テキストで関東アクセントに。「薬」と「社会」ですね。相当気になる感じなのです。細かい話ですが、以上です。

○衞藤座長 それでは、意見はまだおありかとは思うのですけれども、これから金先生からの御報告をいただく予定でございますので、視聴覚教材に関する議論はここまでとしたいと思います。

先ほど事務局から説明もありましたように、この視聴覚教材は、「薬害を学ぼう」をそのまま映像化するという考え方に沿って作成されたものであるということで、限られた時間の中で生徒に的確に理解してもらうためのものということで作られたということで御承知おきいただきたいと思います。

なお、本日、皆様にこの場でいただいた御意見に関しましては、事務局から作成業者に対して修正を御依頼すると。また、一部誤りがあったところに関しては、全部情報を収集していただいて、また、後ほど、構成員にはフィードバックしていただければと思います。

最終的な確認については、この件に関しては、私のほうに御一任いただけるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○衞藤座長 ありがとうございます。

では、そのように進めさせていただきたいと思います。

その上で、この映像教材に関して御意見を希望される場合には、1210日を目途に事務局まで御提出くださいということでございますので、よろしくお願いいたします。

この後、金先生から御報告いただくこととしておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、残り時間が大変少なくなってまいりましたが、最後に、「薬害に関する資料調査等について」の直近の状況を御報告いただきたいと思います。

それでは、金先生、長らくお待たせしましたが、よろしくお願いいたします。

○金参考人 法政大学の金と申します。よろしくお願いいたします。

薬害資料に関しては、2年間やって、今年は3年目ですが、今年はちょっと名前を変えて、「薬害関連資料データ・アーカイブズの構築研究」ということで行っております。

概要について少し申し上げますと、この研究は戦後の薬害事件と関連する薬害資料を対象に、その保存状況を調査、整理して、共有、活用するシステムとして、薬害資料データ・アーカイブズの基盤を構築することが目的です。

この作業は、薬害資料を活用して、持続可能な研究、教育、展示などなどのためのインフラストラクチャー、ハブ機能を構築するものであります。特に、最近のグローバル化とインターネットの発展にふさわしいメタデータ作成を通して、薬害と関連している機関や被害者、研究者、一般の利用者などが、ネット上でデータを見られるような、そういう基盤を構築するのが目的です。

研究方法については、アーカイブズ学のメタデータ管理方法と手順に基づいて、対象となる資料を選別、整理、目録入力、デジタル化、公開資料の選別、検索機能の設計、共有方法を模索することであります。

期待される効果としては、薬害に関する資料などの詳細について速やかに調査し、統一的・体系的な整理を行うことにより、過去の貴重な資料の散逸を防止することです。

また、「薬害資料データ・アーカイブズ」の基盤構築により、必要な情報を迅速・確実に手に入れることが可能となります。薬害に関する啓発や教育、研究等への効果的な利用、あるいは被害者等対策への検討材料として活用できると思います。

このような基盤構築によって、国民が医薬品等に対して安全対策への認識が向上することと、薬害の再発防止に寄与することが期待されています。

これは研究の流れです。被害者団体が各自でマニュアルに従って資料等の整理・保管を実施しています。それに研究班が確認を一緒にやることで、支援をしたり、指導を行っています。

それから、各団体別に統一的・体系的な整理・保管方法の検討を行って、修正作業をやっています。

それから、データを分析して、データ・アーカイブズ項目などを選別した後に、薬害資料データ・アーカイブズの基盤構築が可能になります。

2015年度の研究内容と実践事項について考えてみます。

まず、データ・アーカイブズ構築機関の調査ですが、代表的な機関の概要調査に入りました。それで、東京大学や北海道大学、法政大学、イギリスの市民団体等で、データ・アーカイブズの構築・運営・管理等について調査・分析を行っています。

まず、事例の1つとして、イギリスにおけるアーカイブズ教育・管理体制を御覧ください。THE COMMUNITY ARCHIVES AND HERITAGE GROUPという団体ですが、イギリスの主に市民団体とアーカイブズ団体が、この協同管理体制を作って、イギリスの歴史遺産の1つの部門として、地域社会アーカイブズに対する知識にアプローチすることを目指しています。地域社会アーカイブズを教育発展と歴史研究に使用しています。

それから、地域社会におけるアーカイブズ・コレクションでの持続可能性とアクセスを支援する標準と教育教材の開発を目指しています。そういった資料を公開して、利用可能な情報を提供しています。

日本の法政大学の大原社会問題研究所の環境アーカイブズです。これは私が中心になって5年間で作ったもので、主要な役割としては環境問題ですね。その中で薬害が入っております。市民活動アーカイブズを中心に収集をして、歴史的に重要な市民たちの記録が散逸されることを防止しています。アーカイブズを教育・歴史・社会史研究に寄与しています。市民活動アーカイブズの整理・保存・活用等に関する標準を開発しています。

イギリスと同じく、公開して、利用可能な情報を提供しています。

この大学組織は、大学法人で、大学の研究所でやっております。

この写真が法政大学の閲覧室です。左のほうが保存書架になっていますが、こういった資料をちゃんと整理をして保存するというスタンスを持っています。

これは、去年から継続の薬害資料所蔵機関の調査を行う内容です。調査内容については、目録整理状況、公開分類進捗状況について継続して調査しています。

薬害団体の活動状況についても調査しています。これは高齢化による資料整理の困難さなどがありますので、速やかにやらないといけないことがわかりましたので、こういう調査をやっています。

その中で、資料を全て永久保存するわけではないから、その中で収集すべき資料の判定を行っています。

それから、薬害関連資料データ・アーカイブズの構築可能性について検討を行っています。内容については、対象団体の目録データ提供が可能かどうかです。特に、個人情報が薬害資料の中には多く、非公開資料もたくさんありますので、今回、データ・アーカイブズの中に非公開資料を載せるのは不可能です。そういったものについて、公開・分類について検討することが一番大切なことになります。

それで、公開判定された資料は公開してもいいけれども、非公開判定された資料は、目録を非公開にすることを原則にしたいと思っています。

要審査資料の分類をどうするかについて、その実践方法について検討して、今、要審査資料は、我々が支援して、各団体を回るときに、要審査資料について検討して、確定する、そういう方法を使っています。

データ・アーカイブズの要素についても、検討しております。

実践事項について、「薬害データ・アーカイブズ基盤構築」のために、資料管理対象団体の選定、入力項目の選定、資料概要・目録記述の作成、形態別(文章・視聴覚・物資料・刊行物など)の目録入力などを行っています。

被害者団体や個人において、資料整理マニュアルの訂正や整理・保存の実施に当たっての助言や指導を実施しています。

今回、緊急収集というものがありますが、資料調査を先にやっていったところで、筋短縮症記録と福岡スモン団体の資料が散逸してしまう可能性が高いので、薬被連と厚生労働省との緊急対策で臨時的に収集しております。福岡スモン団体の事務所の移転に伴い、資料が保存されていた建物が壊されることから、資料を臨時的に大阪人権博物館の一角に移管しました。

今こちらに御覧になっているのが福岡スモンの資料で、こちらにあるものが筋短縮症の資料です。これは人権博物館の地下にあって、これは2階の作業室になります。そのために私が行って、どうするかについて対策を模索しています。

このように永久保存資料の分類が大切になっています。薬害資料の中で、データ・アーカイブズの基盤構築のために、歴史的に価値のある資料を管理対象として選定しなければなりません。そのためには、さっき申し上げたように、その中に何があるか、どういったものがあるかなどの選定を行わなければなりません。これは目録入力ですね。目録入力の実際にどうなっているかについては、この資料の後ろの(資料4-287ページを御覧ください。ここには、公開することだけをサンプルとして載せてありますので、そういうふうに行っていることを申し上げます。

倫理面への配慮は、薬害資料の中では、個人情報・写真などが含まれているので、匿名にする場合がいっぱいあります。

薬害資料を公開する際は、その所蔵者に問い合わせをした後に、公開するように処置しています。

こちらにある報告書も全部匿名にしたことと、年表には、皆さんの許可を得て、そのまま団体名が入っておりますけれども、ほかについては、個人情報などがあれば、全部「○○」にしています。

この写真が、収集選別・整理作業をやっているところです。

こちらは、各資料を形態別に分ける作業で、ここは写真が出たら、何年に何があるかがわかりますけれども、今現在、被害者団体の中で、この活動について御存知の人は大丈夫ですけれども、そうでない人が見ると全然わからない状態です。ですので、今回は、おおよそ年代ごとに分けて、それを整理する。そういうスタンスを持っていますが、時間がとても足りないことがわかりました。

目録入力をした後は、公開分類をして、こちらに公開・非公開・要審査ということを書いております。その後、真ん中のパネルを御覧ください。これを見ると、黄色と緑と赤いシールが張ってありますけれども、これ(赤)は非公開ですね。信号灯と同じです。これ(緑)は公開。黄は要審査です。中性紙の保存封筒に入れたものをこちらの保存箱に入れて、全部書いてあるものはこれをつけて、公開というものは公開というシールを貼ります。これを見ると、この中に何年に何があるか番号でわかりますので、こういうふうに団体ごとに整理を行っています。

今回、薬被連の主催で、大阪人権博物館で行った展示です。薬害資料を使った展示でこれぐらい大きく企画をして、皆さんに伝えることは薬害を防ぐためにすごく重要な役割ではないかと思うのですね。その中で、薬害資料を使った展示ですので、これを永久的に保存する方法をこれから考えなければなりません。

緊急避難保存場所として、大阪人権博物館の写真です。これは書庫ですが、ここが一般の書庫です。

ここが特別書庫です。ここは木で作られて、すごく立派な書庫ですけれども、問題は、大阪人権博物館がいつ閉鎖されるかわからない状態で、こういった建物は建てるときにすごくお金がかかるところですね。だから、壊さないで、そのまま書架として使うことが望ましいのですけれども、今の状態は何とも言えない状況です。とりあえず、さっき段ボールがあったままを整理した後に、こちらの緊急避難保存場所に移管しなければいけないのです。なぜかと言えば、その中に虫がいたりするので、一般は、燻蒸して、虫による食害を防いだ後にこちらに配置しなければなりません。ほかの資料にも影響が多くありますので、それをこちらにすぐ移動することはできないのです。

今回の研究の方法の協力体制について、調査・研究・作業支援などは、薬害資料研究班(法政大学)で行っています。作業対象は、主に薬害被害者団体でありますが、今年は主に5団体を中心にやっています。5団体は主に自力で整理ができない団体でございます。作業の支援とかは薬被連が支援をして、また、費用的な支援は、厚労省の医薬品副作用被害対策室が行っています。

それから、「薬害資料データ・アーカイブズの可能性と歴史的意義」として、これはちょっとお金がかかる問題や組織的な問題ですので、できるかどうかはわかりません。しかし、今までのほかの国や日本の事例もありますので、少しずつやっていけば、何とかできるのではないかなということで、一応私が知る限りのことでちょっと考えてみました。

まず、薬害関連資料の存在と体系的な収集が必要になります。研究対象にしている今年までの資料は、主に被害者団体の資料です。しかし、薬害関連資料は国と民間ということで多く分けられます。官庁所蔵資料は、国・地方自治体・裁判所・立法機関になります。民間所蔵資料は、被害者団体・企業・市民活動団体・大学など教育機関や研究所の活動資料が考えられます。

それから、薬害資料アーカイブズの管理組織と定員についてちょっと考えてみましたが、これは最小限これぐらいあればアーカイブズの管理ができるということです。必要な部署と定員としては、記録管理士1人を含みます。記録政策部と管理部は一緒になってもいいのですが、とりあえず、政策部・管理部・記録サービス部(閲覧)があれば、アーカイブズは管理組織として維持できます。

薬害被害対策への提案ですけれども、事例として、アーカイブズの体制として、先ほど申し上げたように、情報公開部、記録管理部、展示室を一貫体制として運営すると、専門性もあって、費用の問題も解決できるのではないかなという気がします。だから、情報公開部と管理部を一緒にすればできるシステムですね。それは、韓国の場合は、ソウル特別市と釜山広域市とかいろいろな地方自治体がもうやっていますので、そういうことはちょっと学んでもいいのではないかなという気がします。

日本の場合は、各公文書館があるので、そこでも何か管理ができるようなものが、組織として運用できるものがないかなという気がします。

あとは、「体系的な管理体制と期待効果」ですけれども、薬害関連資料の収集をまずして、目録作成と概要調査の整理をやっています。あと、公開・分類。それから、薬害資料の情報サービス。薬害資料を利用した薬害を防ぐための教育。人間の生命を尊重し、薬害を防ぐための展示などを行うことができます。

「薬害関連資料データ・アーカイブズ構築の歴史的意義」と言いますと、貴重な資料の散逸を防止するのが一番大きな意義です。日本の官・民・学の協同活動による民主主義的実践になります。というのは、今まで被害者団体が持っていた思いと資料について、歴史的に、それを永久的に保存するための研究を我々は行って、それに対する活動に官が支援する。そういう実践ではないかなというふうな気がします。

薬害資料を利用して、薬害を防ぐための教育ができます。さっき御覧になった視聴覚教材がありましたが、こういった集めた資料の中で価値のあるものをそこで使うことが可能ですね。

それから、今は情報システム時代ですね。それにふさわしいシステムの構築が可能ではないかなと思います。

しかし、今回、今年まではデータ・アーカイブズの構築のための基礎材料として資料を整理するということになります。だから、ホームページとか何かに載せてやるものは、また、別の作業になります。

歴史的な価値と共生的な価値、証拠としての価値の高い資料については、歴史的遺産として永久保存ができると思います。

以上で、簡単に御説明をいたしましたが、最後に申し上げますと、日本は、歴史の資料をとても大切に保存してきた国です。私もいろいろなアメリカとか韓国とか中国とかヨーロッパの公文書館を回りましたが、資料についてアーカイブズは大切にしておりました。日本の場合もすごく大切にしてきていましたが、戦後になって、敗戦と戦後処理の過程でアーカイブズについて、資料について、そんなに発展しなかった経緯はあります。だけど、これからは、アーカイブズについてもっと関心を持って、薬害を防ぐための教育材料として利用できればうれしいと思います。

以上です。ご静聴ありがとうございました。

○衞藤座長 ありがとうございました。

少々時間を過ぎておりますので、事務局からの説明を簡単にお願いします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 現在、来年度の予算編成過程において調整を行っている状況ではございますけれども、事務局といたしましては、可能な限りこの研究を継続していただきたいと考えております。

以上です。

○衞藤座長 報告事項でございますけれども、ただいまの御発表に関しまして、何か御意見とか御質問はございますか。

よろしいでしょうか。

それでは、ほかに、この検討会全体を通じて何かございますか。

栗原構成員、どうぞ。

○栗原構成員 感想ですが、冒頭、局長さんから化血研のお話が一部報告されましたが、私はMMRワクチンの関係でここにおらせてもらっています。やはり同じことが繰り返されているという現実を昨日のニュースでも知ったわけですけれども、それがゆえに、この検討会で取り組んでいる教育の問題が必要なのだということを改めて実感した次第です。

ありがとうございました。

○衞藤座長 ありがとうございました。

それでは、金先生、今年度の進捗状況については、また、来年度どこかで御報告をしていただければと思います。

それでは、以上で本日の議題は全て終了いたしました。

次回の日程等について、事務局から御報告をお願いいたします。

○医薬品副作用被害対策室長補佐 次回につきましては、事務局より追って日程調整をいたしますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

○衞藤座長 それでは、本日の検討会をこれにて終了いたしたいと思います。

長時間にわたり大変お疲れさまでございました。ありがとうございました。


(了)

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