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2019年11月18日 革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品創出のための官民対話 議事概要
医政局経済課
○日時
令和元年11月18日16:00~17:30
○場所
TKP新橋カンファレンスセンター「ホール12E」
○出席者
(1)産業側
(医薬品・再生医療産業界)
手代木 功 (日本製薬団体連合会会長) |
中山 讓治 (日本製薬工業協会会長) |
畠 賢一郎 (再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)会長) |
クリス・フウリガン (米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会委員長) |
オーレ・ムルスコウ・ベック (欧州製薬団体連合会(EFPIA)会長) |
(医療機器産業界)
松本 謙一 (日本医療機器産業連合会会長) |
三村 孝仁 (日本医療機器産業連合会副会長) |
加藤 幸輔 (米国医療機器・IVD工業会会長) |
森 秀顕 (EBC医療機器・IVD委員会委員長) |
(2)アカデミア
中釜 斉 (国立がん研究センター理事長) |
望月 直樹 (国立循環器病研究センター理事・研究所長) |
宮田 敏男 (東北大学副理事(研究担当)・大学院医学系研究科 教授) |
(3)行政庁
加藤 勝信 (厚生労働大臣) |
上野 通子 (文部科学副大臣) |
中野 洋昌 (経済産業大臣政務官) |
末松 誠 (日本医療研究開発機構(AMED)理事長) |
藤原 康弘 (医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長) |
○議事
冒頭、加藤厚生労働大臣よりご挨拶。
【医薬品・再生医療産業界】
○ 医薬品・再生医療産業界から、主に以下の意見が述べられた。
➣ 昨年度、今年度の薬価制度改革により全体的に薬価が引き下げられ、製薬業界は大きなダメージを受けている。今後、通常改定や中間年改定が予定されているが、新薬開発を続けるためにもイノベーションを適切に評価してほしい。
➣ 研究開発税制については、期限の延長や対象の拡充など、良い内容であった。特にオープンイノベーション型は、民間大企業への委託研究が対象に追加されたことや、控除上限が引き上げられたこともあり、業界としても積極的に活用していきたい。
➣ セルフメディケーション税制については、国民にとってより使いやすい制度となるよう、対象範囲の拡大や手続きの簡素化とともに、恒久化をお願いしたい。
➣ AMR(薬剤耐性)対策については、抗生物質の安定供給が問題となっており、安定供給のためのインセンティブの検討や環境整備をお願いしたい。
➣ イノベーションの創出にはビッグデータの活用等が重要であるが、企業単独で進めるのは難しい。産学官連携事業を推進するAMEDが、長期・大型事業を安定的に行えるよう基金を創設することが必要と考えている。企業も資金、人材面から貢献する。
➣ 全ゲノム解析の推進は患者の選択肢拡大につながる。産業界も期待を持っており、実行計画を具体的に策定し、スピード感を持って進めてほしい。また、産業界が参画する体制を整備していただきたい。
➣ 全世代型社会保障については、2025年ではなくて2040年を見据えて長期的な視点で検討を行うこと、超高齢社会における社会保障のあるべき姿、ビジョンを示し、国民的議論を喚起すること、社会保障の「支える側」を増やすことについて検討することについて期待している。
➣ 全世代型社会保障における創薬の貢献については、ライフステージ、疾患ステージに応じた創薬に取り組むことで、「支え手」の増加や、QOLの改善等につなげていきたい。
➣ 再生医療については、多様なモダリティについて定義が必要であるという点、産学官間のみならず、産学官内での対話、患者を巻き込んだ対話を進めていく必要がある。
➣ 再生医療に係るすべてのステークホルダーの課題について、継続的な議論が必要である。また、再生医療の実情に則った品質管理のあり方並びに製品価値を適切に価格へ反映する仕組みの検討を期待している。
➣ 患者登録システム(レジストリ)について、治験の比較対照群として利活用するなど、新たな展開について検討してほしい。
➣ 既存の細胞調達の仕組みは商業利用を前提として構築されておらず、使用時に改めて同意を取り直す必要があるため、提供者からの包括同意等も含めて、商業利用を見据えた細胞調達システムを構築し、提供者との合意形成のモデルケースを構築してほしい。
➣ 既にアジア各国との規制調和を進めていただいているが、引き続き、欧米を含めた規制調和を推進し、我が国の規制制度の価値・意義を外国にアピールしてほしい。
➣ 日本においてイノベーションを促進し、日本の患者に革新的な新薬をいち早く届けるためには、イノベーションを適切に評価する薬価制度、国際競争力のある臨床開発・薬事環境、予防医療を促進するための制度が必要。
➣ また、政策決定プロセスにおける透明性の向上も重要。官民対話や中医協の意見陳述のみならず、製薬業界と実質的な意見交換の機会を増やして欲しい。
➣ 2018年の薬価制度抜本改革は製薬業界に大きな影響を与えた。
➣ 革新的な新薬をできるだけ早く日本の患者に届けるためには、イノベーションの適切な評価が必要。作用機序が同じ医薬品でも患者へのベネフィットがあることについて十分評価されない場合がある。また、医学的イノベーションだけでなく、在院日数を減らすとか副作用を軽減するなどの革新も評価すべき。1番手が収載されて3年以上経って上市される新薬についても、有用性をきちんと評価すべき。
➣ 費用対効果評価制度については、償還可否の判断に使わないという決断を評価。今後も産業界とオープンな対話が継続され、評価過程の透明性を確保して欲しい。
➣ イノベーションの適切な評価、透明性の高い長期的な対話、また、日本独自の規制の緩和やGMP MRAを利用した効率化をお願いしたい。
○ 意見交換では、主に以下に掲げる事項について意見が述べられた。
➣ 社会の変化を長期的に考えるにあたり、ゲノム情報などのデータ基盤整備のために、年度の区切りを超えた財政支援が必要である。また、産業界の利活用も念頭に、基盤整備いただきたい。
➣ 疾患を発症するまでのデータを含めた、リアルワールドデータを活用した医薬品開発の効率化の重要性
➣ 業界の意見を聞く場を設けることの重要性
➣ 国民皆保険制度の維持に向けた、薬価だけでなく医療費全体での対応の必要性
【医療機器産業界】
○ 医療機器産業界から、主に以下の意見が述べられた。
➣ リアルワールドデータの利活用等によるイノベーション加速に向けた環境整備への期待
➣ 医療機器がウィルスに感染し、診療に影響が出るような事例があることから、医療機関におけるサイバーセキュリティへの取組を促進することが必要。
➣ UDIの活用により、医療安全、流通の効率化などへの貢献が期待されることから、医療現場での利用を促進することが必要。
➣ 団体としてイノベーションの促進に取り組む一環として、スタートアップ支援施策と連携を図っていきたい。
➣ 官民一体でのグローバル展開の推進の必要性。特に欧州の新たな規制制度(MDR)への対応と中国進出への後押し。
➣ イノベーションとメンタルヘルスの両立。「生きがい」の重要性。
➣ 海外企業との連携、協力関係の推進について、サンドボックスなどの取組を日本でも積極的に導入してほしい。
➣ 医療技術の評価に当たっても、海外での評価と大きな隔たりがあるものについて、特定保険材料制度と同様に、「臨床的評価を踏まえて再申請」を企業側からできる仕組みを創設する可能性の議論を深めさせてほしい。
➣ また、ICTを用いた遠隔診療などのオンライン診療についての議論を進めてほしい。
➣ 予防医療や健康維持に貢献する製品は、国民の健康増進や国民医療費のコントロールに大きく貢献するものであり、進めていくべき。
➣ 手術・処置時間の短縮に寄与するデバイスや、作業の省力化・効率化に寄与するデバイスなど、医療従事者の働き方改革、負担軽減に貢献する医療機器に対して適切な評価を希望。
➣ 人生100年時代において、より低侵襲な治療デバイス、QOLの向上につながる治療デバイスが求められており、医療機器業界としても引き続きこうした機器の開発を進めていく。
○ 意見交換では、主に以下に掲げる事項について意見が述べられた。
➣ 世界の医療機器市場における日本の相対的シェア減少といった状況を踏まえた官民連携での米国及び中国市場展開の重要性
➣ 中国における知的財産保護に対する国の支援の必要性
➣ 医療機器のイノベーションに対する診療報酬上の評価をcostからvalueに変換する必要性と保険以外の促進策の必要性
➣ 予防医療について、国として財政的・制度的なインセンティブを付与する必要性
○ 締め括りに大臣より、以下の旨発言があった。
➣ 今後の診療報酬改定、研究・開発予算編成、税制改正に向けて、皆様方ともよく連携しながら、革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出をどのように進めていくのかという課題に取り組んでいきたい。
➣ 日本の医薬品や医療機器は輸入超過という状況が続いている中で、グローバルな展開をどう進めていくのかという課題にも取り組まなければいけない。国際規制調和を進めながら、日本において作られたものが海外においてもしっかり展開されることが日本における様々なメリットを及ぼしていくという観点に立って、グローバルな展開政策を進めたい。
➣ いずれについてもここで決まるのでなく、いわばキックオフとして事務レベルでも議論を進めていきたい。
➣ 今後も官民対話を大事にしながら政策を進めていきたいので、御出席の皆様はじめ関係者の皆様からの更なる御協力を心からお願い申し上げる。
以 上
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