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2016年1月20日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成28年1月20日(水)16:00~


○場所

新橋会議室5A


○出席者

出席委員(8名)五十音順

石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、
関 野 祐 子、 曽 良 一 郎、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)五十音順

妹 尾 栄 一、 成 瀬 暢 也、○和 田   清

行政機関出席者

森   和 彦 (大臣官房審議官)
須 田 俊 孝 (監視指導・麻薬対策課長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 ただ今から、「薬事・食品衛生審議会平成27年度第10回指定薬物部会」を開催させていただきます。本日は、大変お忙しい中、委員の先生方にはお集まりいただきまして本当にありがとうございます。本日は、妹尾委員、成瀬委員、和田委員から欠席の御連絡を頂いております。当部会の委員数11名のうち8名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。総会における議論の結果、この会議については会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから非公開とされております。また、会議の議事録の公開ですけれども、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して、外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れがあるということで、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされております。あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、資料1、資料1-2、資料2、参考文献は1~8、参考資料は1~3です。以上です。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合はお知らせください。本日の議題は、指定薬物の指定についてです。審議物質について事務局より説明をお願いします。

○事務局 今回御審議いただきたい物質については、国内外で流通実態が認められた物質になります。資料1は、各物質の名称、通称名、構造式が1~3まで、それぞれ記載しております。これらの物質について指定薬物として指定をし、規制の対象とする必要があるか否かについて御審議いただきたいと思います。資料1-2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて一覧表にまとめたものです。資料2は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 資料1-2を説明させていただきます。詳細は資料2を用いて説明いたしますが、資料1-2に審議リスト及び構造が類似する物質について、文献資料や過去の指定薬物部会の資料から確認できたデータを取りまとめております。1ページに審議物質一つ目の2C-D、構造が類似する指定薬物や麻薬について症状観察の結果、弁別試験、自発運動量への影響、セロトニン受容体活性、モノアミントランスポーター阻害作用のデータを示しております。審議物質は5-HT2A受容体や、5-HT2C受容体への活性を有するなど、表に示しております過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 2ページに審議物質二つ目のModafiendz、構造が類似する向精神薬であるModafinilについて症状観察の結果、自発運動量への影響、GABAリリースへの影響、モノアミントランスポーター阻害作用、マイクロダイアリシス試験によるモノアミン量の変化のデータを示しております。審議物質はModafinilと比較すると、セロトニントランスポーターの阻害作用は弱いものの、Modafinilと同種の作用を有することを確認しております。

 3ページの審議物質三つ目の、MO-CHMINACA、構造が類似する指定薬物や麻薬について症状観察の結果、自発運動量への影響、カンナビノイド受容体活性のデータを示しております。審議物質は、カンナビノイド受容体活性を有するなど、表に示しております過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料2-1を説明させていただきます。通称2C-Dですが、指定薬物である2C-Eや、麻薬である2C-Iと構造が類似する化合物です。2C-Dの行動・中枢神経症状について、マウスに2mg/kg20mg/kg100mg/kgを経口投与し、投与後30分、1時間、2時間の行動・中枢神経症状の観察を行った結果を2ページにまとめております。2mg/kg投与群では、対照群と比べて耳介反射がやや強く現れております。20mg/kg投与群では、攻撃性のやや亢進、洗顔運動の抑制、腹部を床に擦り付け気味の異常歩行、払いのけ動作の亢進、瞳孔散大が観察されております。100mg/kg投与群では、20mg/kg投与群よりも症状が強く現れたのに加え、腹ばいで動かない異常姿勢、しゃっくり様の動作のほか、首を細かく上下に振る動作のような常同行動が観察されております。

 運動活性に対する影響については3ページに、2C-Dを20mg/kg経口投与し、投与後3時間まで10分ごとの自発運動量の測定をした結果を示しております。対照群と比べて総運動量、1回の運動量が3cm以上の大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離のいずれも有意な差は確認されませんでした。

 運動活性に対する影響については、その他に報告された文献がありましたので4ページに示しています。こちらの文献では、被験物質を腹腔内投与し、投与後8時間までの10分ごとの自発運動量を測定した結果、2C-Dの3mg/kg投与群では、対照群と比較して、投与後50分から運動量は多い傾向となり、その後180分間継続しております。30mg/kg投与群では、対照群と比較して、投与後10分から運動量が少ない傾向となり、その後40分継続しております。なお100mg/kg投与群では、8匹のマウスが全て投与後30分のうちに死亡したと報告されております。

 構造が類似する指定薬物2C-Eの1mg/kgの投与群では対照群と比較して、投与後50分から運動量は多い傾向となり、その後100分間継続しております。30mg/kg投与群では対照群と比較して、投与後10分から運動量は少ない傾向となり、その後70分継続しております。構造が類似する麻薬2C-Iの30mg/kg投与群では対照群と比較して、投与後10分から運動量は少ない傾向となり、その後60分継続しております。

 モノアミントランスポーター阻害作用について検討した結果を5ページに示しております。2C-Dのドパミントランスポーターに対するIC5010nMを上回る結果となっており、セロトニントランスポーターに対するIC50は4万2,000nMとなっております。陽性対照物質であるコカインのドパミントランスポーターに対するIC50370nM、セロトニントランスポーターに対するIC50850nMとなっております。

 モノアミントランスポーター阻害作用については、その他に報告された文献がありましたので、続いて()に示しております。こちらの文献ではドパミン、ノルアドレナリン、セロトニンのトランスポーターへの親和性及び阻害作用を検討しており、2C-Dは構造が類似する指定薬物は麻薬と同様に作用が弱いですが、ノルアドレナリンとセロトニンのトランスポーターを阻害する結果が報告されております。

 6ページにセロトニン受容体、5-HT2Aに対するアゴニスト活性、EC50を測定した結果を示しております。2C-DのEC5088nMとなっております。

 セロトニン受容体に対するアゴニスト活性については、その他に報告された文献がありましたので、続いて()に示しております。こちらの文献では、5-HT1A、5-HT2A及び5-HT2Cについて検討しており、2C-Dは構造が類似する指定薬物や麻薬と同様に、5-HT2A及び5-HT2C活性を有する結果が得られております。

 7ページに薬物弁別試験を実施した結果を示しております。N,N-dimethyltryptamine(DMT)2,5-dimethoxy-4-methylamphetamine(DOM)lysergic acid diethylamide(LSD)3,4-methylenedioxymethamphetamine(MDMA)methamphetamine(METH)により訓練を行ったラットにて薬物弁別試験を行った結果、2C-DはDMT、DOM及びLSDに般化し、MDMAに部分般化することが確認されております。その他、海外における流通状況については、2015年にブラジルやベルギーなどにおいて流通が確認されております。これらの結果から、2C-Dはセロトニン受容体5-HT2A及び5-HT2Cに対するアゴニスト活性を有し、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 資料2-2を御説明いたします。通称Modafiendzですが、向精神薬であるModafinilと構造が類似する化合物です。Modafiendzの行動・中枢神経症状について、マウスに2mg/kg20mg/kg100mg/kgを経口投与し、投与後30分、1時間、2時間の行動・中枢神経症状の観察を行った結果を9ページにまとめております。症状が強く現れたものとしては、2mg/kg投与群では対照群と比べて、洗顔運動、角膜反射が抑制されております。20mg/kg投与群では、洗顔運動が抑制され、瞳孔散大が観察されております。100mg/kg投与群では、攻撃性の亢進、洗顔運動が抑制されたほか、首を小刻みに上下に振る動作のような常同行動が観察されております。

 運動活性に対する影響については、Modafiendz20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定した結果を10ページに示しております。対照群と比べて総運動量、1回の運動量が3cm以上の大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離はいずれも有意な差は確認されませんでした。

 構造が類似するModafinilについて、運動量及び常同行動に関する文献がありましたので参考に示しております。ラットにModafinilを静脈内投与し、投与後120分までの20分ごとの移動距離及び常同行動を測定したところ、移動距離及び常同行動は有意に増加することが確認されております。

 モノアミントランスポーター阻害作用について検討した結果を11ページに示しております。Modafiendzのドパミントランスポーターに対するIC50が1万6,000nM、セロトニントランスポーターに対するIC5010nMを上回る結果となっております。陽性対照物質であるコカインのドパミントランスポーターに対するIC50300nM、セロトニントランスポーターに対するIC501,100nMとなっております。構造が類似するModafinilのモノアミントランスポーター阻害作用に関する文献がありましたので参考に下に示しております。Modafinilについても、ドパミントランスポーターを阻害する結果が報告されております。

12ページに、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の結果を示しております。セロトニンについては、Modafiendzの投与後増加しておりますが、対照群である溶媒の4%ジメチルスルホキシド(DMSO)と有意な差は確認されませんでした。ドパミンについては、測定終了、投与後3時間後まで有意に増加することが確認されております。ノルアドレナリンについては、Modafiendzの投与後増加しており、投与後20分、40分、100分で有意な差が確認されておりますが、対照群である溶媒の4%DMSOも増加する結果となっております。

 構造が類似するModafinilのマイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化に関する文献がありましたので、参考に13ページに示しております。ドパミンについては、Modafinil投与後有意に増加することが確認されております。セロトニンについてはModafinilの投与後の変化は認められておりません。その他、海外における流通状況については、2014年にルクセンブルクにおいて流通が確認されております。これらの結果から、Modafiendzはドパミントランスポーター阻害作用を有し、向精神薬であるModafinilと同種の作用を有する物質であると考えております。

 資料2-3を御説明いたします。通称MO-CHMINACAですが、指定薬物であるAB-CHMINACAや5F-AMBと構造が類似する化合物です。MO-CHMINACAの行動・中枢神経症状観察の結果を最初に示しておりますが、今回薬物の投与経路として、吸入ばく露の手法にて行っておりますので、まず吸入ばく露装置について説明いたします。

 文献7の18ページを御覧ください。装置は、人工呼吸器、燃焼部、ばく露ボックス、ガス回収瓶から構成されております。燃焼部で燃焼させて発生した煙を、人工呼吸器により、毎分600ccの流速で吸引させて、容量8,020ccのばく露ボックス内へ送り込ませ、ばく露ボックス内に設置したファンにより煙をばく露ボックス内に拡散させます。人工呼吸器により毎分600ccの流速で排気を行い、ばく露ボックス内の空気が15分間で換気される設定となっております。排気された煙はガス回収瓶にてトラップし、煙中の成分を回収した後、排気する構造となっております。燃焼に用いた支持植物は、危険ドラッグの総統に用いられている植物葉片であるマーシュマローリーフ、学名Althaea officinalisを用いました。

 実験方法については、戻って資料2-314ページを御覧ください。MO-CHMINACA15mgを添加したマーシュマローリーフ0.5gを、タバコ両切り用さや紙に充填したものを燃焼させ、煙をばく露ボックス内に導入し、マウスを薬物にばく露しました。ばく露ボックス内では約4分で燃焼し尽くした後も人工呼吸器を運転し続け、ばく露ボックス内の空気がほぼ入れ替わる15分後にマウスをばく露ボックスから取り出し、燃焼終了後15分、30分、60分の神経症状観察をしております。

 また同様の手法により、陰性対照としてマーシュマローリーフ、陽性対照としてAB-CHMINACAを2mg、5F-AMB13mgを含む危険ドラッグの総統を用いて試験を実施しております。その結果を15ページにまとめております。MO-CHMINACAばく露群では、陽性対照と比較して、攻撃性のやや亢進、洗顔運動の抑制、痛反応のやや亢進、呼吸数のやや減少、体温の減少が観察されたほか、体勢が低く、体が傾く異常姿勢や、立ち上がると腹部がけいれんする症状が観察されております。また、自発運動のように、陰性対照と比較して作用が弱く現れるものもありました。

16ページにカタレプシー試験を実施した結果を示しております。先ほどのばく露装置を用い、燃焼終了後15分、30分、60分に、高さ6.5cmの針金の横棒にマウスの前脚をかけ、後脚を台上に降ろして2本足で立たせたまま、動かない秒数を計時し、30秒以上動かない場合をカタレプシー陽性とし、最大90秒まで計時しました。30秒未満の場合には、試験を3回まで繰り返し、平均値を求めております。その結果、陰性対照のマーシュマローリーフでは15分で5匹が全て陰性、30分で1匹陽性、4匹陰性、60分で1匹陽性、4匹陰性となっております。陽性対照の総統では、15分で2匹が陽性、3匹が陰性、30分で5匹全て陰性、60分で5匹全て陰性となっております。MO-CHMINACAでは、15分、30分、60分で、5匹全てが陰性となっております。

17ページに、ヒトカンナビノイド受容体、CB1及びCB2に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を示しております。MO-CHMINACAのCB1受容体の値が1.43×10 -7乗、CB2受容体の値が7.76×10 -8乗となっております。

 他の文献に、麻薬であるJWH-018のCB1及びCB2受容体に対する親和性等の文献がありましたので参考に表に示しております。JWH-018では、CB1受容体のEC50値は1.47×10 -8乗となっております。また構造が類似する化合物で、吸入ばく露に使用した陽性対照物質である5F-AMB及びAB-CHMINACAのCB1及びCB2受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果は、5F-AMBのCB1受容体の値が4.23×10 -10、CB2受容体の値が5.45×10 -10となっております。AB-CHMINACAのCB1受容体の値は2.26×10 -10、CB2受容体の値が1.52×10 -10となっております。これらの結果から、MO-CHMINACAはカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 参考資料1を御覧ください。今回の審議物質の流通状況について、□□□が調査した結果を示しております。審議物質1の2C-Dは粉末、審議物質2のModafiendzは粉末及び植物片、審議物質3のMO-CHMINACAは植物片としての製品が確認されております。以上の3物質について指定薬物として差し支えないと考えますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。事務局より説明のありました3物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 Modafiendzについてですが、この薬物は中枢刺激作用があって、行動、それからモノアミンの阻害作用も確認できているということで、指定薬物にすることに対して全く異存はないのですが、一つだけ少し気になることがあります。類似構造物質としてModafinilを挙げてくださっています。これは向精神薬として我々も睡眠・覚醒リズム障害、日中の眠気を強く持っている方には処方して治療薬として用いるのですが、今回、審議物質としてModafiendzModafinilを比べたときに、Modafinilの方が薬理作用としては強い。行動についても自発運動量は、Modafinilは増加が確認できるのですが、Modafiendzは今回は確認できなかった。

 それから、モノアミンのトランスポーターの阻害作用についても値としては3分の1であったり、マイクロダイアリシスについてもModafinilを上回るというようなデータでは、どうもなさそうだということですから、Modafinilは向精神薬として認められているのですが、それより薬理作用が弱い今回の審議対象物質が、危険ドラッグとして認めて、その整合性が取れるのかどうかが少し気になるのですが。

○鈴木部会長 関連の質問ですか。では□□委員、お願いします。

□□委員 今回このModafiendzが指定薬物の候補に挙がっていますが、実は□□□□でも錠剤の形で本化合物の国内流入を認めております。このModafiendzのほかに、Modafinilの構造類似化合物が何種類か危険ドラッグとして国内流入しております。このように複数種類の構造類似化合物が国内流入しているということを考慮すると、やはり何らかの規制が必要ではないかと考えております。

○鈴木部会長 それでは、関連して事務局からありますか。

○事務局 まず、□□先生の御質問に対してお答えします。今回、審議対象の物質と向精神薬との整合性の部分ですが、向精神薬については□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□向精神薬への指定を行うのですが、今回の審議物質については、いわゆる危険ドラッグの中に混じり込んでいて、我々が今日までの間で集められる情報としてはここまでしかない状況で、危険ドラッグの蓋然性も含めて、まずは指定しようというところでは、ここまでですが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□になるのであれば、向精神薬に指定していくことも必要でしょうし、そこの並びはデータの揃え方に応じて規制を検討していくことは考えていかなければと思っています。

 ただ、今日の時点では一応ここまでの情報しか集まっていないという状況です。丁寧な審議をするために、同じような情報を集めたいと思っているのですが、どうしても実験で積み重ねていかなければいけない場合であるとか、あるいは最近特に危険ドラッグの物質の特性としては、新しい物質がどんどん出ているので、過去に指定したときに文献だけでデータが結構揃ったものに対して、新たに実験を行わないとデータが揃わないというものが出てきていますので、その辺はデータの揃い具合によってということを考えていくべきかと思います。

□□委員 情報がある程度限られた中で指定物質にするのが我々の務めなので、最初に申し上げたように指定物質にすること自体に全く異存はないのです。ただ、整合性というか薬理作用が弱いにも関わらず敢えて指定薬物にする、その差をどこで見極めるかということで、一つは文献の5に米国のNIHの薬物依存研究所のMichael H. Baumannという危険ドラッグの研究で最近、論文も発表している人ですが、彼が2009年にJPETという薬理の雑誌にModafinilについての、かなり詳しい報告をされています。それの考察の後半の部分ですが、一つはコカインに対しての拮抗作用、それからModafinilに対する拮抗作用、あるいはコカインの治療薬としての有用性について述べています。

 ですから、今回のModafiendzを指定するに当たって、Modafinilは少なくとも既存の中枢刺激薬に対して拮抗作用を持って、覚醒体系の治療薬としての可能性があるというところを一つ押さえておけば、理屈としては通るのかと私は思いました。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、この件に関してはよろしいでしょうか。向精神薬と指定薬物の位置関係を考えていかなければいけないと思います。これまでも議論で、まず指定薬物にして、それでも乱用が続くようであれば、更なる規制を考えるという形で進んでいると思います。今回、指定した後にどうなるかということを見守りながら、また今、御指摘いただいたようなことも今後検討していかなければいけないかと思います。ほかにいかがでしょうか。

□□委員 12ページのデータだけ確認させていただきたいのですが、Modafiendzのコントロールのデータのばらつきが非常に大きいことがとても気になっています。私のデータの見方の問題もあるかもしれないのですが、少し検討していただきたいと思ったのは、ドパミンに対してですが、有意にということで、これはマイクロダイアリシスのモノアミンの変化は非常に重要なデータになってくると思うのですが、この重要なデータが4%DMSOで全然動いていないと。ほかのコントロールの所で、必ず投与の所で少し上昇をしているというのがコントロール値になっているということなので、このデータの信頼性という言い方はよろしくないのかもしれないですが、これは何か実験上の問題があるのかどうかということだけ知りたいと思いました。このようにばらつくとなると。

○鈴木部会長 それはどうしましょう、私からよろしいですか。

□□委員 はい、教えていただければ嬉しいです。

○鈴木部会長 これは線条体で測定しています。ドパミンリッチなのですが、セロトニンとノルアドレナリンの含量はかなり少ない。それで、一番フォーカスを当てなければいけないのは、この部位で見ている限りはドパミンなのだと思います。ほかのものをどれだけ評価するかは、解剖生理学的な背景を考えながら議論しなければいけないと思います。ここでコントロールのDMSOで上昇していること自体が少し私自身も気になっていて、果たしてドパミンと同じような評価をしていいかどうか、私も疑問を感じているところです。ドパミンに関しては、きちんと評価していいと私は思っています。

□□委員 そうですね、上がっている所の方がむしろ問題だということですね。

○鈴木部会長 事務局から何か、更にコメントはありますか。

○事務局 確かに御指摘のとおりで、この三つを比較したときに、これだけ少し振れているので、確かに信頼性の観点でどうかということはあるのかもしれないのですが、実験手法の所で何か問題があったかどうか、分かる部分の記載があるかというと、今のところ我々の方では、後ろに付けている文献も含めて把握できておりません。この有意差からしか見ることができないという状況です。ただ、御指摘のとおり、確かにDMSOのバックグラウンドだけでなぜこんなに振れているのだろうということは、一つあるのはあるのだろうと思いますが。

□□委員 ほかの所で、行動解析でも差がなかったりしますから、ここのデータが一番重要なポイントになってくると思うのですね、動物については。それなので、ちょっとここは慎重に検討した方がいいという気がします。ただ、タイム構造を見ていると、確かにずっと上昇しているということがありますので、ほかの所で一過性でピュッと上がって元に戻るという所がないのですが、でもやはりNAを測っているときのコントロールも150%ぐらいまでずっと推移していますから、元のレベルに戻っていないですね。それなので、ここはコントロールが随分不安定なので、少なくとも論文だったらこれは通らないと思います。

○鈴木部会長 そうですね、私も少し気になってチャートも見せていただいたのですが、やはりドパミンはかなり大きなピークを示しているのですが、セロトニンとノルアドレナリンはそれに比べると非常に小さいです。カラムも、結局同じカラムで評価しているので、例えばセロトニンに合ったカラムや条件を設定して行うなどしないと、どうしてもこの程度の変化になるのだと思います。したがって今回の条件では、ドパミンに注目して見るというのが妥当ではないかと思います。

□□委員 感度の問題があって、要するに、非常に増幅された形で見えているのだろうということですね。

○鈴木部会長 数値として取っているから、変化として出やすい面もあるかと思います。それでよろしいですか、先生。

□□委員 はい。

○鈴木部会長 では、ほかにいかがでしょうか。

□□委員 すみません、もし御存知だったら教えていただきたいのですが、14ページのMO-CHMINACAの中枢神経系の作用の検討において、これは実際の製品の使用方法を踏まえた上でのばく露試験だと思うのですが、実際にマーシュマローリーフにMO-CHMINACAを加えて燃焼させて気化したものをマウスにばく露させています。この際、気化の効率や分解の度合いなどで、化合物成分のマウスに対するばく露量はだいぶ変わってきます。気化成分中にどれぐらいの化合物が含まれているかというデータはありますでしょうか。

 あと、カタレプシーなどの実際の実験結果を見ると、陰性対照であるマーシュマローリーフそのものも結構陽性の結果が出ており、気になっています。その辺のデータがあれば教えてください。

○鈴木部会長 では、事務局からお願いします。

○事務局 MO-CHMINACAのばく露させた煙の方のインピンジャーで回収したものを分析しており、MO-CHMINACAが煙の中に含まれていたのは確認が取れております。しかしながら定量には至っておりません。チャートにその他の分解物質と考えられるもののピークも観察されているので、一部、MO-CHMINACAが分解された状態のものも煙の中に含まれていると考えていただければと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

□□委員 流通実態の参考資料を見て、ここでは植物片でしか製品形状例がないので、この投与法にしたのかと想像したのですが、通常の行動解析などは用量依存性もきちんと見ているので、こういう方法ができないという明確な理由があればと思ったのですが、バインディングの方は出ているので、指定薬物にすることには全く異存はないのですが、少しこの実験系を、やはり先ほどの□□委員からの質問と同じで、やはり用量依存性が見えないとなると、どういう形で解釈したらいいかという所が。

○事務局 やはり、危険ドラッグが燃焼して吸引するような手法で用いられるケースが多々ありますので、こういった経路も実験として、まだ課題はありますが、今後実施していかなければと考えております。先生が仰るとおり、用量依存の関係が見にくくなっているというところは、今後の実験系を組んでいく上での課題だと認識しております。

○鈴木部会長 今まで従来のCB1、CB2へのバインディングだけで評価した場合に、非常にぎりぎりの□□□□□□□でも指定してきた訳ですが、そのときの議論では燃やして違う物質が出てきて、それが作用するのではないかという議論があった訳です。それを今回はこういう実験系で評価することができるようになってきたということです。

 ただ、課題はまだまだあるのだと思いますが、従来よりは一歩進んだと捉えていいかと思うのですが、いかがでしょうか。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました3物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは引き続き、事務局より説明をお願いします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明させていただきます。本件の結果については次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、審議物質一つ目の2-(2,5-ジメトキシ-4-メチルフェニル)エタンアミンに、化学合成用途での有用性があるとの情報を確認しております。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応する所存です。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。それでは事務局からその他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 次回の部会日程については、2月中を予定しております。正式に決まり次第、御連絡させていただきます。また、本部会の資料は回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議いただきありがとうございました。以上をもちまして、平成27年度第10回指定薬物部会を閉会いたします。


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

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