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2016年3月14日 第3回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局健康課

○日時

平成28年3月14日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○議事

○事務局 それでは、定刻より若干早いですが、第3回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催いたします。

 本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 また、傍聴の方は傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。

 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。

 本日は、委員8名全員に御参加いただいております。定足数に達しておりますので、会議が成立したことを御報告いたします。

 なお、本日は、参考人として、まず、ファクトシートの作成の関係で、明治薬科大学公衆衛生・疫学教授の赤沢学参考人、国立感染症研究所感染症疫学センター長の大石和徳参考人、国立感染症研究所細菌第一部部長の大西真参考人、国立感染症研究所細菌第二部部長の柴山恵吾参考人に御出席をいただいております。

 続きまして、予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡歯科大学総合医学講座小児科学分野教授の岡田賢司参考人に御出席をいただいております。

 さらに、武田薬品工業株式会社、森光宏参考人、武田薬品工業株式会社、狩野宗英参考人に御出席をいただいております。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○事務局 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1~3、参考資料1~6と、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配付資料一覧と御確認いただきまして、不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。

 それでは、ここからの進行は、倉根委員長にお願いいたします。

○倉根委員長 こんにちは。皆様、御出席いただきまして、ありがとうございます。感染症研究所の倉根です。

 それでは、利益相反の確認をいたしたいと思いますので、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いいたします。

○事務局 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。

 本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請書類への関与について申告をいただきました。各委員、参考人からの申告内容については机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。

 本日の審議事項は、沈降ヘモフィルスb型ワクチン 武田薬品工業株式会社、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチン ジャパンワクチン株式会社を予定しております。

 本日出席の岡田参考人が、寄附金等の受け取り状況から、議題(2)「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種での使用の是非について」の審議の際に「議決に参加しない」に該当いたします。

 また、本日出席の森参考人及び狩野参考人が、沈降ヘモフィルスb型ワクチンの申請書類に関与されていますので、この取り扱いについてお諮りいたします。

 なお、このほか「退室」や「議決に参加しない」に該当される委員、参考人はいらっしゃいません。

 事務局からの報告は以上でございます。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 事務局から本日の審議参加についての説明がありました。

 森参考人及び狩野参考人が、申請書類に関与しているために、参加規程により退室となりますが、メーカーの方ですので、申請書類への関与というのは当然、あることであります。それらを承知した上で、データや質問につい回答いただきたいと思いますので、本日、出席をお願いした次第であります。

 また、岡田参考人は、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンについて非常に高い見識をお持ちの先生でございます。

 そのため、3人とも参考人ですので、当然、議決には参加いただけないわけですけれども、退室せずに御意見を述べていただきたいと思いますが、そのような形でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○倉根委員長 ありがとうございます。

 皆様の了解が得られましたので、そのように取り扱いたいと思います。

 それでは、議事を進めたいと思います。議題(1)「沈降ヘモフィルスb型ワクチンの定期接種での使用の是非について」ということであります。

 平成27年5月13日に開催された、第13回の予防接種基本方針部会において、ワクチンの予防接種法上の位置づけに関する検討がなされました。そこで、ワクチンが新たに製造販売承認を得た際には、ワクチン評価に関する小委員会において、予防接種法上の位置づけに関して審議を行うこととする。その審議結果については、予報接種基本方針部会に報告して、改めて審議を実施する。広く接種を推進することの是非に関して、検討を行うことになった際には、評価・検討に必要な具体的な論点や化学的知見の収集方法について、ワクチン評価に関する小委員会が、可能な限り具体的な指示を行うと取りまとめられたところであります。

 今般、武田薬品工業株式会社のヴァクセムヒブについては、新たに薬機法上の製造販売承認をされことから、まずは、臨床データの概要について、説明をいただきたいと思います。

 資料1に基づきまして、森参考人から説明をお願いいたします。

○森参考人 ありがとうございます。

 武田薬品工業株式会社日本ワクチン事業部臨床開発の森でございます。

 本日は、沈降ヘモフィルスb型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)ヴァクセムヒブ水性懸濁注の臨床試験データについて紹介いたします。

 下段に移ります。本日の説明内容です。最初に、本ワクチンについて説明し、次いで、国内第3相臨床試験の成績について紹介いたします。その後、用法・用量、接種上の注意及びまとめといたします。

 次の2ページをお願いいたします。まず、本ワクチンについて説明いたします。

 下段に移ります。本ワクチンは、海外で既に「VAXEM Hib」という商品名で承認されております。

 平成7年に旧Novartis社、現在のGSK社により、イタリアで承認を取得しております。

 平成9年にWHOPrequalified vaccineに指定されています。

 国内におきましては、平成21年に弊社が輸入販売を目的に導入し、開発コードTAK-816として開発を開始いたしました。

 平成22年3月から平成25年2月にかけて、国内第1相試験及び第3相試験を順次実施し、平成25年9月に承認申請、本年1月にヴァクセムヒブ水性懸濁注として承認を取得いたしました。

 国内における本剤の開発は、武田薬品が単独で実施し、今後、製品はGSK社より原液及びアジュバント充填済みのバイアルを輸入し、武田薬品が包装して販売を行います。

 次の3ページをお願いします。このスライドは、ヴァクセムヒブと既存のアクトヒブとの比較です。

 生物学的製剤基準名はこのように異なっております。ヴァクセムヒブがキャリアたんぱくを無毒性変異ジフテリア毒素を用いているのに対して、アクトヒブは破傷風トキソイドを用いています。

 一方、抗原であるHib多糖の含有量はいずれも10マイクログラムと同様です。

 ヴァクセムヒブはアジュバントとしてリン酸アルミニウムを含有した懸濁液であり、アクトヒブはアジュバントを含有しない乾燥製剤です。

 下段に移ります。引き続きまして、国内第3相臨床試験の概要について紹介いたします。

 次の4ページをお願いします。本試験の目的は、TAK-816の免疫原性及び安全性を、既承認のHibワクチンを対照として比較検討をすること、及び、DPTと同時接種したときのDPTの免疫原性を対照群と比較することです。

 下段に移ります。試験デザインは、他施設共同、無作為化、二重盲検比較試験でした。

TAK-186群として、278例、アクトヒブ群として138例を組み入れました。

 また、対象は生後3~7カ月齢未満の日本人健康乳児でした。

 次の5ページをお願いいたします。主要評価項目は、初回免疫4週後のHib莢膜多糖体に対する抗体である抗PRP抗体の保有率で、閾値として、WHOポジションペーパーで長期的な発症予防に関連するとされている1.0マイクログラム/ML以上を設定いたしました。

 副次評価項目は、初回免疫4週後における、同じく短期的な発症予防に関連するとされている0.15マイクログラム/ML以上の抗PRP抗体保有率並びにDPTに対する抗体保有率、及び、それぞれの抗体価の幾何平均値でありますそれぞれのGMT、また、追加免疫4週後における抗PRP抗体保有率並びにDPTに対する抗体保有率、及び、それぞれのGMTを設定いたしました。

 安全性の評価として、治験期間中の有害事象を収集いたしました。

 下段に移ります。接種スケジュールでございます。初回免疫期として、3~8週間隔で3回HibワクチンとDPTワクチンを同時接種いたしました。初回免疫期の3回目の接種の約1年後に、追加免疫期として4回目の接種を行いました。抗体価測定のための採血は、それぞれの免疫期の前後に実施しました。

 次の6ページをお願いいたします。免疫原性成績について説明いたします。

 下段に移ります。主要評価項目である初回免疫4週後の抗PRP抗体が長期的な発症予防と関連していると言われている1.0マイクログラム/ML以上の抗体保有率について、TAK-816のアクトヒブに対する非劣性が検証されました。初回免疫前、追加免疫前、副次評価項目である追加免疫4週後の抗体保有率に有意差は認めませんでした。

 次の7ページをお願いいたします。副次評価項目であります初回免疫4週後及び追加免疫4週後の抗PRP抗体の保有率について、短期的な発症予防効果に関連すると言われている0.15マイクログラム/ML以上の抗体保有率に、TAK-816群とアクトヒブ群で有意な差は認めませんでした。追加免疫前の0.15マイクログラム/ML以上の抗体保有率において、TAK-816群の抗体保有率はアクトヒブ群に対して有意に高いという結果が得られました。

 下段に移ります。各時点の抗PRP抗体の抗体価のGMT及びその比並びに95%信頼区間を示しています。

 右の表の右2つのカラムは、それぞれの時点における抗体価のGMTを示しています。ごらんのとおり、TAK-816群、アクトヒブ群ともに初回免疫4週後及び追加免疫4週後で、投与前に比べて抗体価が上昇いたしました。

 左のグラフで、初回免疫前及び追加免疫4週後のGMTの比について、TAK-816群とアクトヒブ群では有意な差は認めませんでした。一方、初回免疫4週後及び追加免疫前におきましては、TAK-816群に有意に高いという成績が得られました。

 次の8ページをお願いいたします。これは、反対の腕に同時接種いたしましたDPTに対する各抗体保有率でございます。ごらんいただいているとおり、TAK-816群とDPTを同時接種した場合と、アクトヒブとDPTを同時接種した場合の、DPTに対する抗体保有率について、群間に有意な差は認めませんでした。

 下段に移ります。続いて、安全性の成績となります。

 次の9ページをお願いします。全身性の副反応の発現頻度を示します。事象間で発現頻度が群間でばらついておりますが、いずれも群間の発現頻度に有意差は認めませんでした。

 なお、この安全性の成績で行われた検定は、あらかじめ本試験の統計解析計画書に設定されていなかった、追加解析に基づく結果でございます。これ以後、同様でございます。

 下段に移ります。局所反応の成績です。左腕に接種したTAK-816群の局所反応の発現頻度はアクトヒブと比較して高いものでしたが、臨床的に忍容可能な範囲でした。また、TAK-816で認めた局所反応の発現頻度について、右腕に接種した同じくアジュバントを含有するDPTワクチンにおける発現頻度と比較したところ、有意な差は認めませんでした。

 次の10ページをお願いいたします。局所反応の発現頻度を接種回ごとに示したのが、この図でございます。2回接種以降、TAK-816接種による局所反応の副反応の発現頻度に増加は認めませんでした。

 下段に移ります。局所反応の発現頻度を大きさ別に層別して示した図です。50ミリメートルを超える局所反応の発現頻度はTAK-816群で、アクトヒブ群に対して有意に高かったものの、局所反応の多くが長径50ミリメートル以下でございました。

 次の11ページに移ります。本試験のまとめです。

 下段に移ります。免疫原性において、主要評価項目である初回免疫4週後の抗PRP抗体1.0マイクログラム/ML以上の抗体保有率において、TAK-816のアクトヒブに対する非劣性が検証されました。追加免疫により、アクトヒブと同程度の抗体価を示し、ブースター効果を認めました。発症予防効果と相関するとされる抗PRP抗体保有率を指標に、アクトヒブに対して非劣性が検証されたことにより、Hib感染症に対してTAK-816にはアクトヒブと同等の有効性が期待できるとの結論に至りました。

 次の12ページに移ります。安全性のまとめでございます。安全性について、重篤な副反応はなく、全身性の副反応の発現頻度も忍容可能でした。局所反応の副反応発現率は、アクトヒブと比較すると高く、5センチメートルを超える局所反応の発現頻度はアクトヒブと比較して有意に高かったものの、その多くが5センチメートル以下であったこと、瘢痕化などの後遺症もなく、全て解決したこと、局所反応により接種中止に至った例はなかったことから、安全性は忍容可能との結論に至りました。

 下段に移ります。引き続きまして、用法・用量、接種対象者及び接種時期について紹介いたします。

 次の13ページをお願いいたします。添付文書上の用法・用量は、現行のHibワクチンであります、アクトヒブと同じでございます。

 下段に移ります。接種対象者及び接種時期についてもアクトヒブと同じです。一方、接種漏れ者に対する用法・用量については、ヴァクセムヒブの添付文書上に規定はございません。

 では次の14ページをお願いいたします。最後に、まとめになります。

 下段に移ります。ヴァクセムヒブの効果について、免疫原性で非劣性が検証され、アクトヒブと同等のHib感染、予防効果が期待でき、安全性については忍容可能で、また、国内臨床試験で重篤な副反応は認めませんでした。

 用法・用量・接種上の注意は、既承認のHibワクチンと同時に接種可能でございます。

 以上から、ヴァクセムヒブはアクトヒブと同様に、Hibワクチンの選択肢の一つになり得るとの結論に至りました。

 以上でございます。ありがとうございました。

○倉根委員長 ありがとうございました。

 それでは、御意見等は資料2の説明後にまた委員の先生方あるいは参考人の先生方にも伺いますので、事務局、まず、資料2の説明をお願いいたします。

○芳川室長補佐 それでは、事務局より御説明をさせていただきます。

 まず、Hib感染症に関する予防接種の変遷と現状につきまして、参考資料2から御説明させていただきますので、参考資料2をお手元に御準備ください。

Hibワクチンの国内における変遷でございますけれども、平成19年1月にアクトヒブが製造販売承認をされまして、平成2211月より子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の開始により、Hibワクチンの接種が促進をされてございました。平成25年4月にHibワクチンが定期接種化をされてございます。そして、本日、武田薬品工業株式会社より説明をいただきました、沈降ヘモフィルスb型ワクチン(ヴァクセムヒブ)が平成28年1月に製造販売承認を受けたところでございます。

 続きまして、現行のHib感染症に対する定期予防接種についてでございますけれども、予防接種法第2条に、A類疾病と位置づけられてございまして、対象年齢につきましては、生後2カ月から生後60カ月に至るまでの間にある者を対象年齢として規定してございます。

 具体的な接種方法については、実施規則の中で以下の表のとおりとされているところでございますけれども、特に使用する製剤については、乾燥ヘモフィルスb型ワクチン、国内ではアクトヒブと記載されているところでございます。

 それでは、資料2「沈降ヘモフィルスb型ワクチンを定期接種に用いることの是非に関する検討の今後の進め方」に移らせていただきます。

 まず、本製剤ヴァクセムヒブとアクトヒブを比較する観点で、別添1、2を裏面に御用意してございます。先ほど武田薬品工業株式会社様から御説明がございましたが、別添1では製剤、剤型、アジュバント化剤の有無、用法・用量、接種上の注意、重大な副反応についてそれぞれ違いを示してございます。

 製剤名としましては、本剤は沈降ヘモフィルスb型ワクチン、一方、アクトヒブは乾燥ヘモフィルスb型ワクチンとなってございます。

 剤型は、ヴァクセムヒブが懸濁液であるのに対して、アクトヒブは白色乾燥製材となってございます。

 有効成分については無毒性変異ジフテリア毒素がヴァクセムヒブの有効成分でございます。

 アジュバント化剤につきましては、ヴァクセムヒブのほうにリン酸アルミニウムが含まれてございます。用法・用量、接種上の注意につきましては、先ほど武田薬品工業株式会社から御説明があったとおりでございます。

 重大な副反応につきましては、ショック、アナフィラキシー、けいれん、血小板減少性紫斑病という記載がございますが、アクトヒブとの違いはございません。

 続きまして、別添2において、G8諸国及びアジア地域におけるHibワクチンの定期接種状況及び承認状況について示しております。ヴァクセムヒブについては、イタリア、韓国、中国において承認を受け、使用されているということでございます。

 表面にお戻りいただきまして、今、御説明させていただきました違いを念頭に置いた上で、沈降ヘモフィルスb型ワクチンを定期接種に用いることの是非に関する「検討開始にあたっての留意点」として、事務局から以下の4点について整理させていただきました。

 1点目といたしまして、有効性、安全性、費用対効果については、沈降ヘモフィルスb型ワクチンそのものの評価だけではなく、乾燥ヘモフィルスb型ワクチンと比較する観点での評価も必要であると考えてございます。

 続きまして、定期接種として、仮に両方の製剤を位置づける場合には、現場での混乱を避けるため、可能な限り現行の接種方法で両方の製剤が接種できる方向で考えることが望ましい。

 3点目、両方の製剤を組み合わせ接種することの可否についても、可能な限り評価に必要なデータを収集することが望ましいと考えてございます。

 最後に、Hib感染症に対するHibワクチンの有効性を評価する観点から、近年の国内の疫学状況の変化についても評価することが望ましいと考えてございます。

 これらの留意点を踏まえた上で、「検討にあたり整理すべき事項」といたしまして、以下6点掲げさせていただいておりますが、沈降ヘモフィルスb型ワクチンの有効性を、乾燥ヘモフィルスb型ワクチンとの比較の観点を含んだ形で評価をする。沈降ヘモフィルスb型ワクチンの安全性、沈降ヘモフィルスb型ワクチンの費用対効果、沈降ヘモフィルスb型ワクチンの接種方法につきましては、現行のアクトヒブでの予防接種法上における接種方法での本剤のエビデンスという観点でございます。

 続きまして、沈降ヘモフィルスb型ワクチンと乾燥ヘモフィルスb型ワクチンの交叉免疫性、国内におけるHibワクチンの定期接種化前後のHib感染症に係る疫学状況といった観点を整理する必要があると考えてございます。

 したがいまして、本委員会における、ヴァクセムヒブを定期接種に用いることの是非に関する検討に先立ちまして、上記留意点を踏まえた上で、整理すべき事項等について国立感染症研究所にファクトシートを作成いただいてはどうかと考えているところでございます。

 事務局からは以上です。

○倉根委員長 どうもありがとうございました。

 まず、武田薬品から説明いただき、それから、事務局からも説明をいただきました。何か御質問、御意見ございますでしょうか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 武田薬品工業様の資料の4ページ目の、試験デザインの対象被験者の月齢なのですけれども、Hibワクチンは定期接種で通常2カ月からの接種開始となっておりますが、治験では生後2カ月のお子さんに接種されたことはなかったのかという点。

 それから、4回目の追加接種は通常、1歳以上での接種なのですが、ここは対象被験者の月齢の幅が、後ろが間違っていないでしょうかという2点について、最初に、教えいただきたいと思います。

○倉根委員長 いかがでしょうか。

 武田薬品さん。

○森参考人 ありがとうございます。

 本試験は、御指摘がございましたとおり、3カ月齢以上のお子さんを対象としておりますが、これはDPTの適用が3カ月齢以上ということに起因しております。2カ月齢のお子様への投与ということですけれども、第1相試験では2カ月齢以上を対象にして実施しておりますので、投与の実績としてはデータがございます。

 また、追加免疫の投与時期ですけれども、本試験では3回目投与から起算いたしまして、約1年後といった投与期間を設定させていただいておりますので、ここに書いてございますとおりということになっております。

○倉根委員長 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 ということは、生後3カ月から7カ月未満に初回接種を始めた方が対象ということですね。

○森参考人 そのとおりでございます。

○多屋委員 4回目は1歳のお子様に接種をされているということですかね。

○森参考人 そうです。

○多屋委員 あと、2カ月のお子様にも接種が行われているということが確認できました。時々治験で実施されていないと接種を認めていただけなかったということが以前にあったかと思いますので、そのために定期接種として2カ月からの開始ができないとなると、ちょっと困ったと思ったものですから、確認させていただきました。ありがとうございます。

○森参考人 ありがとうございます。

○倉根委員長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○池田委員 事務局から御説明いただきましたが、資料2の裏の別添2ですが、武田薬品工業株式会社提供資料ということなので、どちらに伺ったらいいかちょっとわかりませんが、このヴァクセムヒブは、G8の中だとイタリア以外は承認発売されていないということで理解していいのでしょうかということですね。もし、そうだとしたら、その理由がわかれば教えてほしいと思います。

 あともう一点は、両方発売されている国では、それぞれのワクチンの費用は同じ価格なのか、それとも安いのか。それらもわかったら教えてください。

○倉根委員長 では、池田委員からの御質問ですが、いかがでしょうか。

○狩野参考人 武田薬品の狩野です。G8の各国での承認状況、発売状況に関しては、別添2のとおりでございます。

 理由に関しては、推測の域になる可能性はあるのですけれども、後発品であったというのが理由として大きいのではないかと考えております。

 あと、ほかの製品と同時に発売されている国に関して、価格情報は、正確なものはございませんが、いわゆる同価格帯の製品であると認識しております。

○倉根委員長 ほか、よろしいですか。

 菅沼委員、どうぞ。

○菅沼委員 今のとも少し関係するのですけれども、主要国の中ではイタリアが使っているということなのですけれども、大きなデータとして何か、調べてみると、中国とかで多分、最近出たのがあるかと思うのですけれども、それ以外で何か大きな、ワクチンに関するデータとかというのも今、出てきているのでしょうか。

○狩野参考人 ヴァクセムヒブに関してですと、ヨーロッパでは、イタリアが承認をとるときの臨床試験が主なものとなっております。そして、ヴァクセムヒブそのものでの近年のデータとなりますと、やはり2000年代に入ってから承認を取得しました中国、韓国のデータが中心になってまいります。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。何かありますか。

 岡田参考人、どうぞ。

○岡田参考人 菅沼先生と池田先生に関連するのですけれども、別添2で、ヴァクセムヒブとアクトヒブが両方入っている国では、この2つのワクチンの互換性に関してはどのような状況になっているのでしょうか。

○狩野参考人 両方入っている国としまして、代表的なものは中国と韓国になるかと思います。

 韓国に関しては、いわゆる初回免疫、プライミングシリーズ、ブースターともに互換性ありという形で使われていると聞いております。

 中国の関しては、申しわけございませんが、詳細な情報を現時点では得ておりません。

 イタリアに関しては、現状、承認はされておりますが、余り発売はされていないと聞いておりまして、ただし、ヴァクセムヒブに関しては、WHOの5種類ありますPrequalified vaccineの中に設定されていまして、そこでのインターチェンジアビリティー関しては、WHOのマネジメントガイドラインというものに、互換性ありと記載されています。

○倉根委員長 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 一つ、メーカーのほうに教えてほしいのですけれども、資料で、抗PRP抗体保有率1.0マイクログラム/ML以上、これが長期の感染防御を示すWHOの基準であるということでしたが、恐らくこれは相当古い基準かなと思うのです。特に細菌抗体は、結合抗体だと殺菌能と余り相関しないというようなこともあるので、これは殺菌機能ともかなり相関すると考えてよろしいのですか。

○狩野参考人 まず、この1.0という基準なのですけれども、90年代、80年代での、Hibワクチンが最初に導入された時代でのフィールドスタディーから得られたデータで、現在の基準からしますと若干古いものかもしれません。

 弊社のほうで行っておりますデータによりますと、殺菌能と抗体価に関しては、関連性があると考えて問題ないデータではないかと思っております。

○森参考人 実際にHib殺菌能との相関を臨床試験の中で検討しておりまして、抗体価と殺菌能の間に相関が示唆されたという成績が得られております。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 よろしいですか。

 柴山参考人、どうぞ。

○柴山参考人 互換性、インターチェンジアビリティーについて、ちょっと確認させていただきたいのですけれども、先ほど中国で既にそのようなことがあるということで進められているという御説明だったと思うのですけれども、アクトヒブとヴァクセムヒブ、抗原の糖鎖はたしか若干違うと聞いておりますし、あるいは、もちろんキャリアたんぱくも違うと。抗原の糖鎖も若干化学的な修飾がされていると思うのですが、それも違うと思うので、インターチェンジアビリティーについては非常に慎重に検討する必要があるかと思うのですが、中国あるいはWHOという話も先ほどありましたけれども、この辺はかなり検討されているということでしょうか。

○狩野参考人 まず、ヴァクセムヒブとアクトヒブに関して言いますと、直接比較したデータはございません。ただし、同じ結合たんぱくを有するワクチン同士での互換性を示すデータというのは出ております。その中で、組み合わせとしてはかなり多い組み合わせになりまして、実際、臨床試験で検証されているのはその中の部分的なものですが、その中の範囲では、互換性を示唆するようなデータになっております。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。

 柴山参考人、どうぞ。

○柴山参考人 あと、もう一点ですけれども、臨床試験の試験デザインについて、TAK-816群というのが278例ということで、これは単一のロットなのか、あるいは複数のロットで使った結果なのかはいかがでしょうか。

○森参考人 今、細かいデータを持ち合わせておりませんで、御回答することができません。申しわけございません。

○倉根委員長 よろしいですか。

 福島委員、どうぞ。

○福島委員 安全性のデータについて、少しお尋ねいたします。2群の比較について、あらかじめ統計解析計画書に設定されていない追加解析に基づくと書かれておりますのは、ヴァクセムヒブのほうがアジュバントを搭載しているということで、統計解析をしても意味がないというか、そういう意味での、もともと予定されていなかったという理解でいいでしょうか。

○森参考人 最近と申しますか、ICH-E9という統計解析のガイドラインが出た後は、比較的安全性に関して集計はしても、有意差検定はしない。要するに、仮説を立てたものしか検定による検証は行わないといったのが、現在の臨床試験の中ではスタンダードになってございます。ですので、そういった臨床試験の最近の流れと申しますか、国際的な基準にのっとりまして、検定に関しましては、安全性の各項目について設定していない。これは特にこのものに限ったことではなく、最近行われている臨床試験の中では、特に安全性で何かを見たい、検証したいといった試験でない限りは、安全性成績の群間比較の検定というのは、通常行われておりません。ですので、特にこの者に対して何か懸念があったからというわけではなく、通常の最近の治験といったもののプロセスに従いまして行った判断ということになります。

○倉根委員長 福島委員、どうぞ。

○福島委員 それでは、結論として書かれていますように、このワクチンに関しては、アジュバントを搭載しているワクチンとして想定される発現頻度から見て、臨床的に忍容されていたという点がプライマリーエンドポイントであったということでいいでしょうか。

○森参考人 あくまでも主要評価項目は有効性の抗体価といった抗体価の非劣性でございますので、プライマリーエンドポイントといいますと、そこになります。あくまでも安全性に関しましては、現在、得られている成績を総合的に評価する形で、今、福島委員がおっしゃいまたように、見比べてみたときに同じくアジュバントを含有しているDPTワクチンの局所発現と、大きく見て変わるものではないといったところです。

 ただ、そこにはやはり臨床試験としての統計学的な結論といったものは、事前に仮説を立てておりませんので、ございません。あくまでも見た目といいますか、出てきた数字を記述的に比較した結果という形での評価となっています。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。

 金川委員、どうぞ。

○金川委員 確認のためにお聞きしたいのですが、テーブルの別添の2ですけれども、定期接種状況及び承認状況ということで、定期接種として採用されているというのが一番右側の欄だとは思うのですが、ヴァクセムヒブのところに日本とかアメリカとか○が入っていないのは、承認もされていないという意味にとられてしまう可能性があるのですが定期として加えられていないという意味でよろしいでしょうか。日本では承認されたとなっているので。

○狩野参考人 承認という観点でいいますと、日本は承認されておりますので、これは間違いでございます。抜けておりました。そして、米国に関しては、いわゆる承認をとっておりませんので。

○金川委員 ○が入っていないところは承認もとれていないということですか。

○狩野参考人 そう考えて結構でございます。

○倉根委員長 今の点、よろしいですか。

 ほかに。

 原委員、どうぞ。

○原委員 質問ですけれども、局所反応のところなのですが、17枚目の全体で見たというのは、前回、1回目から4回目までの接種でいずれかこの反応があった割合を示されているということでよろしいですか。

○森参考人 そのとおりでございます。どこかで一回でも出てきた例というものを集計しております。

○原委員 わかりました。

 これを見て、18枚目の接種回数ごとというので見ると、2回目以降、実現頻度はふえなかったというか、1回目の次、2回目で最多になって、それ以降ふえなかったという意味でよろしいでしょうか。

○森参考人 そういった理解で結構でございます。

○原委員 ありがとうございます。

○倉根委員長 ほかに質問ございませんか。

 赤沢参考人、どうぞ。

○赤沢参考人 費用対効果という観点から、ちょっとお聞きしたいのですけれども。今あるアクトヒブと新しいワクチンは管理上、いわゆる冷所保存とか、そういうことの違いがあるかというのが1点。

もう一点は、今回は基本的に非劣性ということで、効果は同じだが、副作用の発現頻度が少し多目だったときに、費用対効果をやるとどうしても勝つのは難しい。どういう点において臨床的なメリットをお考えなのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○倉根委員長 武田薬品、どうぞ。

○狩野参考人 いわゆる保存に関しては、同じ条件で、冷蔵保存になっております。

 それから、この製品の特性と費用対効果という面に関しては、免疫原性、忍容性上、アクトヒブと同様のものと我々は考えております。

 そして、いわゆる副反応の点に関しては、この製剤に関しては、現在、筋注として開発を進めて申請を開始しております。

 価格的なところに関しては、この場で確定的なことは申し上げられませんが、2番目に出てくるというワクチンでございますので、現場に混乱のないような価格設定で考えております。こちらの製剤はバイアル製剤になりますので、その分のところも考慮して、考えていきたいと考えております。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

 私から一つ、局所反応で、アクトヒブと比べてパーセントは高い。ですから、スライドでいうと9ページになるのですけれども、局所反応が消えていく時間というのはどのぐらいの差があるのでしょうか。腫脹であるとか、硬結であるとか、あるのですが、何かそういうデータというのはとってあるのですか。あるいは、本来とっていないことになるのですか。

○森参考人 申しわけございません。今、消失までの期間ということで、すぐお答えすることができないのですけれども、基本的には全ての局所反応は後遺症を残すことなく、瘢痕等を残すことなく消失はしておりますので、発現した局所反応については、最終的には一定の期間をもって消失するといったような経過でございました。

○倉根委員長 ほかにこの項目に関して、御質問ございませんでしょうか。

 まず、原委員、どうぞ。

○原委員 先ほど筋注で開発されているとおっしゃったのですが、この試験自体はどちらで実施された結果でしょうか。

○狩野参考人 ここでお示ししました試験は皮下注になります。

○原委員 それで、結果が変わってくることとかはございませんでしょうか。

○狩野参考人 現状の申し上げられる範囲ですと、恐らくいわゆる接種法の追加という形で承認がとれるのではないかと予測しております。

○倉根委員長 菅沼委員、どうぞ。

○菅沼委員 同じようなところなのですけれども、確認ですけれども、海外のデータ等は全部筋注でという形で考えてよろしいでしょうか。

○狩野参考人 海外の臨床試験に関しては、全て筋注で行われております。

○倉根委員長 よろしいですか。

 いろいろな質問が出ましたけれども、あと、事務局からの先ほどの提案に関しては、何か御意見あるいは御質問はございますでしょうか。資料2に基づいて、今後、どう進めていくかという提案が先ほどされたのですが、そこに関しての質問なり御意見ございますでしょうか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 「検討に当たり整理すべき事項」の4つ目のポツですけれども、「沈降ヘモフィルスb型ワクチンの接種方法(現行の接種方法におけるEvidence等)」という記載があると思うのですけれども、これは今の筋注での開発のこと、今回の結果が皮下注のことということを考え合わせますと、どういったところについて整理すべき事項と事務局のほうでは考えておられますでしょうか。

○倉根委員長 事務局、お願いします。

○芳川室長補佐 事務局からお答えいたします。

 整理すべき事項の4ポツ目にございます接種方法(現行の接種方法におけるEvidence等)というのは、ここでわかりづらい記載になってございますが、用法・用量に関する接種上の注意の中である、いわゆる打ち漏れ者における対応という観点でのエビデンスが、アクトヒブと同様に打ち漏れ者に対しても同様に接種できるかという点におけるエビデンスが十分かどうかということについても、一定評価をいただくことで、現行の制度、アクトヒブを用いている打ち方で、ヴァクセムヒブも用いることができるといった観点でのエビデンスがあるかということでの項目でございます。

○倉根委員長 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 接種方法、接種スケジュールとの関連ということで理解してよろしいですね。

○芳川室長補佐 はい。

○倉根委員長 ほかにいかがでしょうか。事務局からの提案に関しての御質問はございませんか。よろしいでしょうか。

 特に今、多屋委員から御質問がありましたけれども、そこはお答えいただいたということでよろしいですね。

○多屋委員 と理解しました。

○倉根委員長 わかりました。

 そうしましたら、議論といいますか、御質問もなさそうですので、議題(1)について、今後の進め方としては、事務局から提案がありましたように、この資料のような形でファクトシートを作成していくということで、そこがまとめになるかと思いますが、そのような形でよろしいですか。

(「はい」と声あり)

○倉根委員長 それでは、最初の議案については、今後、まずはファクトシートをこのような提案に基づいて作成していくという結論になろうかと思いますということで、まとめたいと思います。ありがとうございます。

 次に、議題(2)に入ります。「沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンの定期接種での使用の是非について」であります。沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンについては、平成27年7月28日に開催された第2回ワクチン評価小委員会において審議を行っております。今般、10価肺炎球菌ワクチンに関するファクトシートができ上がりましたので、まずはそちらについての報告をお願いしたいと思います。

 大西参考人からお願いします。

○大西参考人 国立感染症研究所の大西です。

 今回、提出いたしました参考資料3、ファクトシートは、要約と本体とで構成されております。できるだけ広く論文報告された知見を収集して、そのサマリーを積み重ねたファクトシートになっています。

 詳細は、本体を読んでいただきたいと思いますが、ここでは約10分でかいつまんで紹介させていただきます。

 今回は、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が定期の予防接種として用いられている国内の現状で、沈降10価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV10)も同様に定期の予防接種として用いるワクチンとすることの是非について議論するために、作成されています。そのため、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果を検討するための情報を収集いたしました。

 特に、PCV13に含有されるが、PCV10に含有されない3つの血清型3、6A19Aの肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症、IPDに関する有効性について検討しています。

 また、費用対効果を検討する際には、症例数の多い急性中耳炎に対する効果に関しても検討が必要であるため、その情報も記載しました。

PCV10は、10種の肺炎球菌莢膜血清型の多糖体をたんぱく質と共有結合させ、アルミニウム塩を加えて不溶性とした液剤であります。PCV10は、PCV13に含有される多糖体のうち、血清型3、6A19A肺炎球菌の多糖体が含まれていません。しかしながら、9ページの図1に示しましたが、PCV10に含有される6B及び19Fは、それぞれ6B6Aと、19F19Aの多糖体とが構造的には非常に類似していることから、PCV10に含まれております6B及び19Fに対する抗体が、6A及び19Aに交叉反応することが期待されます。

 また、7ページの表2に示しましたが、PCV10は3種類のキャリアたんぱく質を利用しています。このうちの主に用いられているプロテインDは、インフルエンザ菌由来のものであるということが特徴の一つとなっております。

 9ページに記載しましたけれども、プロテインDが含有されることで、無莢膜型インフルエンザ菌に対する感染防御効果も期待されて開発されたと考えられます。

10ページからは、国内の疫学状況について記載しました。小児のIPDに関しましては、10道県におけるアクティブサーベイランスの結果から、IPD罹患率が、5歳未満児10万人当たり1年当たりですが、2011年から2014年の間に20.2から1.04に半減し、PCV13血清型による症例が占める割合も87.3%から36.5%に減少しています。

 現状、国内で最も分離率が高い血清型19Aが占める割合は、PCV13の導入により、2013年には全体の44.6%を占めていましたが、2014年では全体の33.3%となり、減少傾向にあります。

 肺炎球菌による肺炎については、千葉市における小児市中肺炎の罹患率が14.31、5歳未満時1,000人当たりと推定するスタディーがございます。そのうち、肺炎球菌が原因である症例の割合は9.4%と推定されています。しかし、全国的なデータは存在しません。

 肺炎球菌による中耳炎に関しましては、急性外来受診者を対象としたコホート研究がございまして、急性中耳炎の発症率は、ゼロ歳児から5歳児の間で、5歳児が最も低く0.09//年、1歳児が0.54//年という発症率が示されております。

 肺炎球菌陽性例が48.1%、インフルエンザ菌陽性例が45.2%でありました。調査が実施された2010年から2011年においては、PCV7PCV10PCV13のカバー率はそれぞれ38%、38%、62.8%でありました。

 また、レセプト情報を利用した調査からは、小児急性中耳炎推定患者数は2歳未満で2026万人、2歳~6歳で85108万人と推定されております。

 次に、PCV10の免疫原性について、13ページから記載させていただいています。ワクチン効果に密接に関与していると考えられる血清オプソニン活性opsonization indexOIと略しますけれども、これを指標としてPCV10の免疫原性について検討しています。多くの論文において、PCV10に含まれる10種の血清型に関しては、PCV10接種によって十分な免疫が得られると推測されています。13ページの表4になります。

 一方で、PCV13の追加血清型のうち、血清型3に関しては、PCV10は交叉反応性が期待されません。ただ、血清型6A及び19Aに関しては、交叉反応で免疫が得られるという考え方もございます。

 これまでの報告をまとめたものを、14ページの図2に示しました。Postpriming、プライミング後、追加接種前、後という3つの期間において、PCV10を接種して、OI値が8以上になるもののパーセンテージをそれぞれ複数の論文がありますので、その全容をまとめたものになります。

 追加接種後、Postbooster、血清型6Aに対するOIが8以上となる被験者の割合は、図の右から2つ目のカラムになりますけれども、58.7%から95.5%と報告によってばらつきが認められますが、中央値87.0%と比較的高率に免疫が得られる可能性が示唆されています。

 一方、19Aに関しましては、Postbooster、追加接種後、OIが8以上となる被験者の割合は、中央値で66.8%、報告によっては外れ値になりますけれども、23.6%から89.6%と非常に大きくばらつきがみられます。

 さらに、小児に対するPCV13の免疫原性に関してOIを指標に評価した論文報告は限られてはありますけれども、OIが8以上となる被験者の割合が100%となる報告があることから、PCV1019Aに対する免疫原性はPCV13に比較して劣る可能性があります。

 予防接種の効果については、16ページ以降に記載しました。PCV10PCV13を直接比較するデータというものはございません。

 1)及び2)に記載しましたが、2つの二重盲検ランダム化比較試験が実施されています。PCV10の小児IPD全症例に関するワクチンエフィカシーが認められています。ただし、PCV13の追加血清型、6A19Aに関しても効果があるとした報告が、フィンランドのFinIPという調査で、効果が認められていないとしたCOMPAS試験というものが混在いたします。フィンランドにおける試験は4万7,336人を対象としておりまして、中南米で実施されたCOMPAS試験というのも2万3,600人程度を対象としており、大規模な試験ではあるのですが、PCV13の追加血清型である6A19Aというものに対する効果を評価するためには、これらの血清型の症例というのが比較的少なくて、どちらの解析も両研究ともサンプル数が十分ではなかったから、効果の有無が分かれてしまった可能性があると考えます。

17ページ、3)及び4)で記載した2つの市販後症例対照研究でも、PCV10含有の血清型に対するIPDに対しては有効性が確認されています。PCV10に含まれない血清型に関しましては、6Aに関しましては、こちらも有効性が確認されたものとないものとが混在いたします。

 ただし、19Aに関しましては、2つの症例対照研究ともに、19AIPDに対する効果は80%であるということが示されています。

18ページ、6)フィンランド及び20ページの8)ニュージーランドにおけるPCV10導入後のIPD発生動向を観察した結果を記載しております。どちらにおいても、PCV10血清型のIPDは減少が確認されている。フィンランドにおいては、PCV10導入以前との比較からは、ワクチン接種を受けた子供の6A19AによるIPDの減少が認められていますが、ワクチン非接種児、2歳~5歳児の6A19AによるIPDに対する間接効果は認められていません。

 ニュージーランドにおいても、PCV13追加血清型のうち、血清型19によるIPD症例数の明らかな減少は認められていません。

 肺炎や中耳炎に関しては、二重盲検ランダム化試験によってPCV10による細菌性肺炎や急性中耳炎に対するワクチン効果が認められています。

 一方で、インフルエンザ菌による中耳炎に対するランダム化比較試験、中南米の中耳炎に関しましては、パナマのデータでは、ワクチン効果は認められていません。17ページの上から3分の1あたりにある3ポツのところに書いてございます。

 小児市中肺炎については、18ページの5)になりますが、入院症例について検討した報告で、4歳未満の肺炎入院症例を12.65%減少させるというデータがございます。

 直接比較することはできませんが、PCV13の市販後のポピュレーションベースのサーベイランスによるIPDに対する効果検証を21ページの9)に記載しました。PCV13は、米国では2010年に、それまで使用されていたPCV7から132010年に変更となっております。5歳未満時のすべての血清型のIPD症例は、2012年~2013年において64%減少しPCV7に含まれないが、PCV13に含まれる血清型が6種類ありますけれども、そのIPD症例が93%減少したとされています。IPD症例の減少は、5歳以上の各年齢軍においても観察されていて、間接効果という形で広範によい効果を与えているということが観察されています。ただし、血清型1、3、5、6Aに関しては、PCV13導入前の症例数が少なく、傾向を捉えることができていないという観察結果となっています。

 安全性については、23ページに記載しましたが、大きな有害事象は観察されていません。

24ページ以降に、医療経済学的評価の論文を紹介しております。マルコフモデルを用いて日本の新生児コホートを対象に、PCV10PCV13について、医療経済学的検討をした結果になります。3回プラス追加接種1回、3プラス1のワクチンスケジュールを実施し、ワクチンが同価格であると仮定した場合、PCV10接種はPCV13接種と比較して、医療費及び社会的にそれぞれ19億円、39億円の費用効果をもたらすことが推計されています。また、PCV10を投与することによって、433QALYを獲得できると推計されています。すなわち、PCV13に比べ、PCV10は有意と結論づけている論文になります。ただし、この結論は主にPCV10の無莢膜型インフルエンザ菌性中耳炎に対する効果を仮定したときにもたらされているということも、同時に解析されております。

PCV13の追加血清型に関するPCV10の有効性は、PCV10に含有されている6B19F多糖体に対する抗体の交叉反応性でもたらされる可能性はありますが、PCV13と比較した場合には、この有効性は若干劣る可能性が否定できません。PCV10が、インフルエンザ菌による急性中耳炎に対して予防効果を発揮すると仮定した場合には、PCV13に比べて費用対効果は良好と推計されています。しかしながら、現状では、PCV10のインフルエンザ菌による急性中耳炎に対する有効性は立証されていないことから、費用対効果の推計結果の不確実性には留意する必要があると考えます。

 少し長くなりましたが、以上です。

○倉根委員長 大西先生、ありがとうございました。

 それでは、説明いただいたファクトシートの情報を参考にして、具体的な審議に移りたいと思います。

 池田先生がこのファクトシートの作成協力者となっていますが、何か補足することはございますでしょうか。

○池田委員 医療経済評価の部分を少しお手伝いさせていただきました。

 こちらに示したとおりで、今回の文献の47では、PCV10のほうが優位、すなわち最終的な費用が削減になり、健康結果であるQALY、質調整生存年もよりすぐれたものになるPCV13に比べてPCV10のほうが費用が安くなり、健康結果が改善するというものなのですが、今、御説明があったように、いろいろな仮定を置いた上での分析結果でございまして、諸外国の経済評価の結果を見ると、PCV10のほうがすぐれているという論文とPCV13のほうがすぐれているという論文が半々ぐらいあって、前提条件の置き方によって結果が変わってまいります。

 また、今回は、1つの論文を御紹介したのですが、国内では日本語の論文でありますけれども、2015年にまた別の費用対効果の論文が出ておりまして、その論文ですと、今、御紹介いただいた論文とは結論が逆なのです。PCV13のほうが費用が安くなり、健康化結果が改善するというので前提条件の置き方によっていろいろ結果が変わってまいりますので、その点十分に吟味しながら検討する必要があると思います。

 以上です。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 それでは、ファクトシートの説明をいただきましたので、何かファクトシートに関しての御質問はございますでしょうか。

 近藤委員、どうぞ。

○近藤委員 今の費用対効果のところの関連なのですけれども、ファクトシートで御紹介されている論文についてはCOIの開示があったと思うのですが、これはメーカーが関与しているということで学術的には問題ないのですが、その結果を政策決定を判断するに当たってはバイアスを注意しなければいけないと思うのですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

○倉根委員長 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 今回のファクトシートは、ワクチンに関するいろいろ効果、特になると、かなりの文献がCOIの開示がついています。今回、参考にした文献に関して、もし必要があれば、全てそこのところを整理して、送って、つけておくということは可能かと思っているのですけれども、全てを精査しないといけないかなとは思っています。

○近藤委員 私の観点としては、臨床的なデータの部分についてではなくて、モデリングスタディーという性質であるゆえ、費用対効果についてはそういうバイアスを考えなければいけないかなと思っておりまして、今回についてはそういうCOIの開示があった研究という理解でよろしいかということを、一応確認したかったと。

○大西参考人 COIがあるオーサーの論文になります。

○近藤委員 わかりました。

○倉根委員長 ほかに質問はございますでしょうか。

 原委員、どうぞ。

○原委員 確認させていただきたいのですけれども、PCV10は、19Aに対しても交叉免疫を持つけれども、それはPCV13に比べて弱いという理解でよろしいですか。

○大西参考人 OIのデータを見ますと、論文報告によってばらつきはありますけれども、19A自体を抗原にしてやる場合よりは恐らく低いと思います。恐らくというのは、きちっとした比較ができるようなスタディーが存在しませんので、データを見る限りでは低いと判断はしています。

○倉根委員長 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 その点ですけれども、19Fで免疫すると、19Fに対する免疫応答があって、感染防御に一定の効果があるわけですね。それが個人差もあって、90%、95%とか、そのぐらいのレベルでホモの血清型に対してはあるだろうと。19Aに対しても19Fを打つことで、クロスリアクティビティーは一定のものがある。しかし、そのぶれというものが個人で打った場合に、少し下がってくる部分がある。先ほどダイアグラムでお示しになった、ああいう結果になっていると理解します。

 よろしいですか。

○倉根委員長 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 少し補足しますが、先ほど図のほうの説明を十分にしていませんが、一番右端の赤のばらつきの大きいものが19Aに対するOIのばらつきになります。その2つ左側に19Fに対する効果を黒いバーで示していますけれども、これはPCV10の効果ですが、19Fに対する効果に比べると低い。

 ですので、ここから考えると、通常は交叉反応性はあるのだけれども、若干低いだろうと考える。

○倉根委員長 原委員、どうぞ。

○原委員 そうなりますと、PCV10が先に導入されたような国で、19Aが減ってきていなかったという疫学のデータがあるということになりますか。

○倉根委員長 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 PCV10が。

○原委員 PCV10が先に導入されて、その後PCV13が入ったような国では、19AIPDがそんなに減ってこなかったのか。それとも、交叉免疫があったので割と減ってきたのかというのは報告によってばらつきがあるのか、一定の方向があったのか、教えていただけますか。

○大西参考人 PCV10を導入した後、PCV13を導入した国は幾つかありますが、PCV13を導入した後に19Aに対する減少効果が認められる、7、1013という順番で打った場合に、PCV10でも19Aに対して減少がありました。ただ、PCV13にかえて、PCV13でも減少が認められますというような形の報告が、カナダのケベックの報告ではあります。

○倉根委員長 よろしいですか。

○原委員 はい。

○倉根委員長 福島委員、どうぞ。

○福島委員 交叉反応について少しお尋ねしたいのですけれども、14ページのファクトシートの最後の段落に書いておられる日本のデータですが、私、最初、このファクトシートを読ませていただいたときに、確かにここの段落の1行目に書いているように、国内での試験結果の交叉反応の結果が非常にいいなという印象を持ったのですが、スタディー間のばらつきがあるというのは当然理解しておりますが、先生の印象で、国内で特異的に交叉反応がいいということを示唆するような何か理由があるのかどうか。それとも、単なるばらつきと見ていいのかどうか、何かサジェスチョンがあればお願いいたします。○大西参考人 国内で複数スタディーがなされていれば、もう少し国内では高い結果になるだろうという推計はできるのかもしれませんが、今回のこの状態では、スタディー間、日本とほかの国との差はちょっと言えないかなと思っていまして、国内で高くOI価が出てくる19Aに対する交叉反応性が高く出る根拠というのは全く現時点では明確ではないと思っています。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。

 私からちょっと質問していいですか。交叉性の抗体というものは、言っている意味はわかるのだけれども、ホモの抗体、ホモロガスにインデュースされた抗体と交叉性としてインデュースされた抗体は、本質的には、機能としてはある程度かぶる部分はあるのでしょうけれども、これは、個々の抗体の分子を考えると同じなのですかね。クロスはホモ交代に比べアフィニティーが弱いものがでている。何かそこら辺の解析はあるのですか。交叉とは一体何だと。

○大西参考人 済みません、私の知る限りでは、ここでワクチンを打ってできてきているもので、実際、OIとして機能性がありそうな値が上がっている。その本質は何かという質問だと思うのですが、見たことはないです。

○倉根委員長 赤沢参考人、どうぞ。

○赤沢参考人 先ほどの費用対効果に戻りますが、結局、インフルエンザ菌に対する効果が10価だとあって13価だとないという結果になっていると思うのですけれども、13価はそもそもワクチン的に効かないのか、それとも、試験的に全くやっていなくてデータがないからこうなっているのか。逆に、インフルエンザ菌にこれだけ効くという話であると、今まで議論してきた10価と13価の比較ではなくて、10プラスインフルエンザ菌のワクチンのような気がするのですけれども、その辺をちょっと教えてください。

○倉根委員長 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 まず、1点目は、13価が効かないのかというお話だと思うのですが、10価のほうはインフルエンザ菌の持っているたんぱく質をキャリアたんぱくとして利用している。なので、効くのではないかということです。

13価のほうは、インフルエンザ菌由来のたんぱくを使っているわけではないので、実際にはかっているかどうかわからないですが、恐らく検討はしていないと思いますが、そこに効果が認められるとは考えられないということです。

 後半の話はちょっと、肺炎球菌プラスインフルエンザ菌で考えるべきではないのかといいう。

○赤沢参考人 この結果が結局大きく効いてくるのであれば、同じものを比較しているとはなかなか考えられないのかなとちょっと思ったので。

○倉根委員長 大石参考人、どうぞ。

○大石参考人 その点は、これは肺炎球菌ワクチンであって、そのためにワクチンを接種して、被験者の血清中のオプソニン活性でサロゲートマーカーにしているわけですね。ですから、基本は肺炎球菌ワクチンであって、インフルエンザ菌に対しては、確かにプロテインDが感染防御能があるという動物実験とかはある。プロテインに対する抗体はヒトでは上がっているというデータがファクトシートにも書かれているのですけれども、ここで殺菌能とかは示されていないわけです。ですから、基本的にはインフルエンザ菌に対する、Hibとは違うのですけれども、無莢膜型のインフルエンザ菌に対するワクチンとしては、基本的にデータがそろっていないということです。

○倉根委員長 赤沢参考人、どうぞ。

○赤沢参考人 とすると、そこでここが一番効いてくる結果で費用対効果が逆転しているというのは、何となく変な話かなと思いました、

○倉根委員長 ほかに、ファクトシートに対する質問はございますか。あるいは理解をクリアするために。

 それでは、少し論点を絞るために、事務局から主な論点について御説明をお願いしたいと思います。

○氏家室長補佐 事務局から御説明させていただきます。

 委員の先生方は既によく御存じのことと思いますが、もう一度論点を整理する前に、参考資料4と参考資料5を用いまして、これまでの経緯等を御説明させていただきたいと思います。

 まず、参考資料4をお手元に御準備ください。今回の小児肺炎球菌結合型ワクチンの検討でございますけれども、既に13価が定期接種されているところでございまして、これは200910月に7価のものが日本で導入され、2013年4月に定期接種化された。同年6月に13価のものが製造販売承認されて、同じく201311月に小児での定期接種ということになっています。

 約2年ほどおくれて、10価の肺炎球菌ワクチンが製造販売承認されたということで、今回の検討に至っています。

 ページをめくっていただきまして、2ページ目、これまで日本で製造販売承認を得た7価、10価、13価、それぞれのワクチンに含まれる抗原の血清型でございますが、全て7価のものは10価ものに含まれる、10価のものは13価のものに含まれるという内容のものでして、単純に、血清型の数については3つずつふえているワクチンであるということになります。

 また、今回、議論していただいていますシンフロリックスPCV10と、現在、定期接種化されていますプレベナー13の製剤の比較でございますが、先ほど申し上げましたように、血清型の数が違うということで、10価と13価の製剤です。

 それ以外の異なった点としましては、接種開始年齢が、シンフロリックスは生後6週から接種が開始できるということで、少し早い段階から接種の開始が可能となっています。

 また、用法につきましても、筋肉内注射で接種することが前提となっていますので、この点についても異なるということになります。

 プレベナー13については、希望納入価格は7,200円ということで、メーカーから聞いているところです。

 次の3ページ目、先進諸国における小児でのワクチン導入状況ということでございまして、ここにつきまして、G7に関して記載をさせていただいてございますけれども、多くの国においてはPCV10が先に製造販売承認されて、PCV13が後から製造販売されているというところでございます。この平成27年4月当時の内容でございますけれども、定期接種としての導入状況としましては、ドイツで両剤を併用して、ワクチンプログラムを実行しているというところでございます。

 日本と同様に、13価が承認されてから、10価が製造販売承認されたような国にロシアがございまして、ロシアの状況を見ますと、10価の導入がされた後も、引き続き13価の製剤でのプログラムを運用しているというところでございます。

 こういった背景を踏まえて、現在、検討していただいていますように、広く接種を促進することの是非について、そして、その検討を行うための製剤の安全性、有効性、費用対効果の検討をしていただいているところになってございます。

 参考資料5につきまして、追加で情報提供させていただきたいと思います。今回、小委員会で評価検討を開始するに当たって、ジャパンワクチン株式会社から、シンフロリックスの希望納入価格について情報提供をいただきました。その結果、ここに記載させていただいていますように、1本当たりの希望納入価格が6,800円ということで、情報提供をいただいていますので、検討の参考にしていただきたいと考えてございます。

 資料3に戻りまして、今回の検討に当たっての論点ということで、御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、「背景」ですが、先ほど参考資料で詳細に御説明させていただきましたので、この点については同様の観点でございますので、割愛させていただきます。

 「ファクトシートの概要」につきましては、先ほど、大西参考人から御説明があったところではございますが、ファクトシートに有効性、安全性、費用対効果について、このような記載がされているというところでございます。

 裏面に行っていただきまして、検討方針についてでございますけれども、事務局としまして、ここに記載させていただいています4点について、特に検討を行っていただきたいと考えている次第です。

 まず、ワクチンの有効性について。定期接種に使用されている既存の製剤(PCV13)と比較して、PCV10がどうかということでございまして、先ほど御説明させていただきましたように、PCV10の特徴としまして、接種開始時期や接種方法が異なるということ、そして、含まれている血清型が異なるということを踏まえて、現行の定期接種で使用されているPCV13と有効性の観点で同等と考えられるか否か、こういった観点について御議論いただきたいと考えてございます。

 2番目としまして、ワクチンの安全性についてということでございまして、これも同様に現行の制度で使用されているPCV13と比較して、何らかの懸念があるかどうかということについても確認をさせていただきたいと考えてございます。

 3番目としまして、ワクチンの費用対効果につきまして、先ほどお話がありましたように、PCV10の希望納入価格というものが、今回の検討に先立ちまして、情報提供いただいたというところでございますので、現時点で2剤を比較した詳細なデータの評価はないという状況でございますけれども、1番の有効性の観点に関連して、仮に、有効性がPCV13と比較して、同等とは言えないという立場でお考えになられた場合に、どの程度詳細な費用対効果のデータというものが必要になるのか。こういった観点で御議論をいただきたいと考えてございます。

 最後に、全ての1から3までのことにもかかわるところでございますけれども、定期接種のワクチンとして使用することの是非について、PCV13に加え、PCV10を定期接種に用いることが適当かというところでございます。これにつきましては、現在、定期接種にPCV13が使用されているところでございますので、2剤を定期接種として使用することに関連して、安定供給や価格競争、実際の定期接種を行うに当たっての影響、こういったことを踏まえて、総合的にこの是非について検討をいただきたいと考えているところでございます。

 事務局からは以上です。

○倉根委員長 ありがとうございました。

 幾つかの論点を既に示しておりますし、先ほどの議論なり質問でも大分この論点に関する議論は出ておったのですが、まず、ファクトシートの概要については、今まで既に何度かいろいろ詳細に議論してもらいましたし、質問も大分受けていただきましたので、そこについての御質問というのはないのかなと思いますが、まず、2ページ目に、有効性に関してどう考えるかということですが、委員の先生方に御意見をいただければと思います。折に触れて、また参考人に御質問していただきつつでも結構でございますのでいかがでしょうか。

 私のほうから大西先生なり大石さんのほうに質問で、あるメーカーが10価をつくった。他のメーカーが13価をつくった。13価にしたという理由というのは本来何だったのでしょうか。3足したという理由。

○大西参考人 私にわかりません。恐らく、頻度、要は分離、どの血清型が重要かというようなサーベイランスのデータに基づいて考えられたものだとは思いますが、私は詳細は知りません。

○倉根委員長 あとは、先ほどの質問にこだわるような質問になってしまうのですけれども、クロスの免疫よりはやはりホモの免疫のほうがすぐれているであろうという、ここは細菌学として、その理解でいいのですか。

○大石参考人 私から意見ですけれども、13価になった理由というところから見ると、やはり7価が導入されて、7価の血清型についてはホモのは劇的に99%まで減ってしまった。ところが、19Aとか、7価に含まれていなかったものがセロタイプリプレースメントで増えてきたというところがあって、特にアメリカ、ヨーロッパの減少から13価ということが決まったと思うのです。血清型は、日本で全てが共通しているわけではないのですが、最初に7価が導入された地域でのメジャーな血清型を抑えるというところが主眼だったと思います。

6Aについても、クロスはあるとされていたのですけれども、やはり7価に入っていなかったものを13価に入れるというところで、フォーミュレーションが決まったと思います。

 あと、ホモと血清型亜型という感じで、6Aだったり6Bだったり、あるいは19Fだったり19A、それは似ているのですけれども、ホモのものがワクチンを打つことで個人差がまず出てくる。そして、個人差で得られた抗体が、先生がおっしゃった19Fに特異的なモノクローナルなオプソニン活性を示すような多糖体の組成があって、それがモノクローナルであればいいのですけれども、ヒトの場合はポリクローナルであって、個人差もある程度出てくるというところで、個々人でやられた血清についてはオプソニン活性で使っているターゲット菌があるのでしょうけれども、それに対して応答が多少変わってくるということだろうと思います。

○倉根委員長 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 あくまでも、ワクチンを打ってでき上がるものはポリクローナルなものができ上がって、それは19Fに対するものであっても、ポリクローナルな可能性を考えておくべきだと思います。

 交叉反応性と言っているのは、19Aを入れていないのに19Aに反応するから交叉反応性という言葉を私は使わせていただいていますけれども、共通抗原を認識しているものが一部まざっている可能性があれば、抗原に対する同一のものが19F19Aの共通抗原の部分に反応していることは否定できません。そういう意味で、先ほど何が入っているのですかという質問に関しては、わからないと言いましたが、可能性としてはそういうことがある。

 なので、大石先生がおっしゃるように、反応性というのは個々人で同じ抗原を打っていても、どの抗体が上がってくるのかは違う。あとは確率の問題に恐らくなる部分で、若干そのものに対する抗体、広くかかる抗体の量の比が違うことは致し方ないのかなと思います。

○倉根委員長 ありがとうございました。

 生物学的な説明をしつこく質問したのですけれども、ワクチンとして見ると、13価のほうが特に6A19Aに対して効果を示す。10価が同等とは、ファクトシートにも難しい書き方をしてあるのですけれども、同等と考えないほうがいいという言い方なのでしょうか。ちょっと難しい物言いですが、どうでしょう。

○大西参考人 3ページの要約のところでは、下から2行目では、有効性は若干劣る可能性が否定できないという言い方をしています。直接比較したものがございませんので、これがいっぱいいっぱいかなと思っています。

○倉根委員長 データを見ると、やはりこう考えるのが適切だろうというのがファクトシートをつくった側の意見だということかと思います。

○大西参考人 これを、非劣性を証明しなさいと言われたら、非劣性は恐らく、そういうことを試みているもの、スタディーもないですが、10価が13価に対して劣っていないことを証明しろという問いであれば、それが証明されているものはないということにはなろうかと思います。

○倉根委員長 そういうことですね。わかりました。

 委員の先生方、いかがでしょうか。ここについての御意見をいただきたいと思うのですけれども、それぞれの専門の立場があるかと思いますので。難しい質問ですけれども、いかがでしょうか。

 ここの書きぶりにもよるのですけれども、若干劣る可能性がデータとして否定できないというのが、書いたとおりの素直な解釈なのかなと、私個人としてはと思うのですが、その点、いかがでございましょうか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 私もファクトシートの作成で勉強させてもらっているので、同じ意見です。やはり有効性は若干劣る可能性は否定できないという表現が、最も現時点では適切かなと考えております。

○倉根委員長 ほかの委員の方々、いかがでしょうか。

 いろいろなスタディーをサマライズしてもらっていますので、中立の立場でサマライズしてもらっておりますので、それを最大限科学的なエビデンスとして考えるのがいいのかなとは思いますけれども、いかがでしょうか。

 菅沼委員、どうぞ。

○菅沼委員 意見としては同じで、今、御説明があったとおり、交叉はあるけれどもばらつきが出るという可能性が高いということで、そこら辺のところが確実性が落ちるという意味合いかなと考えられますので、そう考えると、少なくとも同等とはちょっと言えないという状況かなと思います。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。交叉反応が人によって恐らく、かなりなのか、幾分なのか、違うということはどうもありそうだということなのだろうと思いますけれども。ですから、ある人にとってはそれなりに交叉が出てくるけれども、ある人にとっては、これはHLAなのか何なのか、他の遺伝的背景なのかわかりませんが、十分に交叉反応が出てこないということは、免疫学的には、それはあっても当然なのかなと思います。

 いかがでしょうか。ほかに御意見いただけますか。

 金川先生、どうぞ。

○金川委員 皆さんが言われていることそのままだと思うのですけれども、実際にそのワクチンを打つときに、もし2つともあった場合、勧める場合に、有用性、これがあるからメリットがありますよという説明がつかないような気がするのです。同等であっても同じですし、PCV10のほうが何かすぐれているところがあるのだったら、説明の仕方もあるのですが、例えば今、Hibにも効きますといっても、同時にHibも打っているわけですから、PCV10を推奨する理由というのがなかなか見つけにくいかなと思ったのです。

○倉根委員長 大西参考人、どうぞ。

○大西参考人 1点だけ、私の説明が悪かったのだと思うのですが、Hibに対する予防効果ではないです。Hibワクチンが中耳炎に効くことも恐らく考えにくい。中耳炎を起こすのはHibではないインフルエンザ菌ですので、そこは重なっていないと理解して。

○金川委員 その点を踏まえても、そこをメリットにするということで説明がつかないかなと思いました。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。

 どの疾患に対してを中心に考えるかということだと思うのです。このワクチンが他のベネフィットがあったとしても、どの疾患を最も中心において考えるかということだと思いますが、先生方、ほかにいかがでしょうか。

 そうしますと、ちょっとクリアな物言いではないのですが、やはりここに書いてあるように、有効性についてはPCV13 に比べて劣るという可能性は否定できないという話であろうかなと、それが今回の結論かなと思いますが、この結論といいますか、こういう考え方はいかがか。

 それでは、次に、安全性についてはどうでしょうか。

 参考人の先生方、この2つを比べたときに、安全性についてはどうお考えになりますか。

○大西参考人 特段大きな問題はないと私は理解しています。

○倉根委員長 委員の方、いかがでしょうか。何か御意見あるいは確認すべきことはございますでしょうか。

 原委員、どうぞ。

○原委員 PCV10のほうは筋注ということだったので、局所反応などの点では、PCV13より抑えられると考えてよろしいでしょうか。

○倉根委員長 ここはどうでしょうか。

○大西参考人 一般的にはそう考えられると思います。ただ、PCV13を皮下で打つ国というのはなかなかないですので、比較があるわけではないと思います。

○倉根委員長 ほか、いかがでしょうか。質問あるいは御意見。

 そうすると、安全性については恐らく、PCV10PCV13を比べた場合に、結論としては、特に問題はないということでしょうか。

 次の、費用対効果、仮に有効性が1の議論で、PCV10については有効性について劣る可能性は否定できないと考えた場合に、あるいは、有効性が若干劣る可能性は否定できないということを考えた場合に、費用対効果による評価というのはどう考えればよろしいでしょうか。幾つか費用対効果がすぐれている、すぐれていないというスタディーがあるようですが、専門の先生が何人かおられますので、こういうものをどう考えればよろしいか、少し御意見をいただければと思います。

 赤沢参考人、どうぞ。

○赤沢参考人 先ほども申し上げたように、有効性でインフルエンザ菌による中耳炎は認められていないというか、エビデンスとしては乏しいという話であれば、そういうのを含めた、今回、ファクトシートに載ったような費用対効果の結果は、その部分を差し引いた形で見ないといけないのではないかと私は思います。そこは、先ほどの有効性に関してはプラスではない評価があるという前提の上です。

○倉根委員長 ここはいかがでございましょうか。

 近藤委員、どうぞ。

○近藤委員 ちょっと別の観点なのですけ、保健医療プログラムに関して、費用対効果をやるか、やらないかという場合について、いわゆる臨床モデルのような、治療的なサービスであって、有効な治療があれば、医療保障として皆様個人個人に適切な医療を受けてもらうというのが前提の場合、非劣性が証明されないというものについては、費用対効果をやる、やらない以前の問題で結論が出ているので、やらないという考え方が一個ありまして、それに対して逆になると、多少有効性が劣っても、安くて、それをうまく公的な支出などでやったほうがいいというような、公衆衛生的な観点になってくると、典型的には健康診断のようなものの場合は、どれぐらい安いもので広くやって、フォールスネガティブ、フォールスポジティブがあるにしても、やってみましょうよという話を、税金を使ってでもやりましょうというときは、費用対効果は非常に重要である。

 予防接種は、かなり中間的な予防医療でありますが、個人が受けているものであって、ワクチン・プリベンタブル・ディジーズを個人で受けていただくという観点になれば、国民皆保険に近いほうにいくのか。近いということであれば、非劣性であるという有効性の評価があるということであれば、費用対効果をあえてする必要はないという考え方は成り立つのではないか。ただ、そこのところは多少どういうところでコンセンサスがあるか、ないかというところは、価値判断がありますし、いろいろな方々の御意見があるかなと思いますけれども、そういう観点でいいますと、そういう立場に近い立場に立てば、同等未満という言葉が前提であれば、費用対効果はそもそもやらないでもいいのかもしれないなという考え方もあるかなと思います。

○倉根委員長 近藤委員からこういう御意見が出ておりますが、ほか、いかがでしょうか。

 近藤委員にというか、専門家の先生にちょっと伺いたいのですが、費用対効果の場合には、その時々の値段といいますか、ワクチンの値段というのはひょっとするとちょっとずつ変わるかもしれないと。あるAの会社がこれを費用対効果のために下げるかもしれない。Bの会社はさらに下げるかもしれない。Cの会社も下げるかもしれない。一般論としてですよ。そうしていくと、費用対効果の計算をしつつ決めていくというのは、可能性としては、そういうことは余りないのでしょうけれども、あり得るのかな。つまり、費用対効果を出すとき、仮定であるとか、ピックアップの仕方によって結果がかなり違ってくるということはあり得るわけですか。

○近藤委員 費用対効果というのは、社会的意思決定を1回で決めるときに決めるものなのです。決める時点で、この場合は、現行、何もしないままでいったばあい、それから、新しい選択肢を加えるという変化をするとした場合と、どう社会の成り行きが違いますかということを、その時点でわかる範囲でベストを尽くして、仮定を置いて、将来にわたって動く資源の変化について、それをまた遠いものは軽んじて、近いものは多くして、現在価値に換算して、その費用と効果のバランスを考えるという形でありまして、おっしゃられるとおり、2つにすると、費用対効果とは別の経済分析で、マーケット、市場の分析という経済学の立場で言えば、競争原理が働いていくでしょうという話になって、そういったものでの予測というものを、評価分析に入れるか、入れないかというと、なかなか入れられないというのが通常ですし、時期というのですけれども、意思決定をする時点の現在価値換算であくまでやるというので、1回で決まりと。どちらかというと、公的なお金でダムをつくるとかと同じですね。これだと、東名高速道路が名古屋まであるけれども、その前提の上で、2本目で第二東名を引くか、引かないか。ただし、引くと決めたらその後、工事の値段が上がる、下がるというのはもちろんあるわけですけれども、決めるときは最善の工事でかかる費用とか、どれぐらいベネフィットがあるかということを計算した上で、それを全て現在価値に換算して、えいやと決めるということでありますので、多分、今、この状況ですと、メーカーの方がこういう値段で出したいといったお値段が、その先しばらくは続くでしょうという前提で分析をせざるを得ないのではないかと思います。

○倉根委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 私は少し違う考えを持っていまして、例えばアメリカのACIPなどでも、価格に関しての感度分析を行って、この価格であれば、費用対効果はいい、悪いといったことの、価格に関する、あるいは接種方法に関する幾つかのシナリオで分析をして、意思決定をしているということもあるので、えいやだけではない使い方もあるのかなと、個人的には思っています。

 あと、今回のPCV10PCV13に関しては、既にさまざまな国で経済評価の分析がございまして、昨年出た文献のレビューによりますと、複数のものがレビューされていますが、その大半は企業のスポンサーになったもの、あるいは企業の方が共同調査になったものであるということです。当然ながら、そういったものは、その会社の製品のほうがよいという結果が書いてある。これは、要するに、分析が間違っているとか、何か意図的に細工しているのではなくて、前提条件を変えればもちろん結果は変わるわけでございますし、今回のようにさまざま、両者の直接比較のデータがなかったりとか、中耳炎に対する効果はどう見るかとか、あるいは、いわゆる間接効果のようなものをどの程度入れるかとか、前提を変えると結果も変わってくるわけでありまして、今回、私の知る限り、日本では既に2つの論文が出ておりますが、それぞれ逆の結果が示されていること、そして、価格の設定が今、企業から提案されている価格とは違う価格でやられていること、そして、きょう議論されたさまざまな新しい情報、データなどがそこには考慮されていないことなどを考えますと、財政的な影響などの予測も新たにやり直すといいますか、これまでの先行研究についての前提条件がどう違って、どう結果が違っているのかということ。その中から、今回、意思決定をするに当たっての最善の推計値を出していくということが必要かなと個人的には思っております。

 ただ、そのためには、今、申し上げたようなさまざまな前提条件、どういう前提条件を置くのが最も妥当なのかということについて、専門の先生方からいろいろ御指示をいただいた上で、分析を進めるということが必要になると思います。

○倉根委員長 ありがとうございました。

 近藤委員、どうぞ。

○近藤委員 池田先生の御意見もごもっともで、それはそのとおりだと思うのです。

 そして、やるとするともう一個問題点がありまして、少し安くなって、効果のほうも少し下がったという結果になりますと、実は、分析をやったとしても、結果をどう解釈するかというデシジョンルールは確立されていないと、学術的には合意が足りないという状況で、なかなかそこのところは、やって、結果をどうするのかなというのが、ちょっと疑問があるところでございます。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 ほかに御意見いかがでしょうか。よろしいですか。

 今、伺っていると、なかなか難しいですが、現時点で費用対効果を、PCV10PCV13と比べて同等であったり、あるいは有効性について劣る可能性が否定できないという状況で、特に今、費用対効果を考えて、すぐ結論を出すというか、費用対効果を重視して、結論を出すそれをということではなく、費用対効果あり、なしという両方の解析があるから、そこはそういう両方の解析結果があるという考え方でいいのではないかということかと思います。

 そして、なかなか新しいデータを出すということも現時点で難しいだろうということを考えると、そこについて費用対効果は、重要なことではあるけれども、費用対効果を判断の基本に据えるよりは、どちらが有効性が高いのかということを重視して考えるべきではないかという御意見だと伺いました。

 そうしますと、1、2、3をまとめた形で、定期接種のワクチンとして使用することの是非について、ここがなかなか難しい判断だと思いますが、まとめなのですが、小委員会として、やはり沈降10価肺炎球菌結合型ワクチンについては、13価の肺炎球菌結合型ワクチンよりも有効性について劣るという可能性は否定できないだろう。

 そうすると、定期接種への使用については、慎重な判断が必要であるということなのかなと、ここについて、こういうまとめかなと思うのですが、いかがでしょうか。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 有効性、安全性のところは十分議論されたところだと思うのですけれども、今までPCV13については安定供給もしっかりされていて、何か問題が起こったということもなく、これについては全く心配をしているというわけではないのですけれども、そういうワクチンであったとしても、少し前にあったように、何か問題が起こったときに、1つだけというよりも、2つ使えるという考え方というのはなくはないかなと感じているところです。明らかに効果がよくないとか、副反応が非常に多いというものではないということが、今日わかりましたので、効果が少し劣るという可能性は否定できないのですけれども、そのように感じているところです。

○倉根委員長 ほかに御意見いかがでしょうか。

 先ほど金川先生が今度、どのように説明するかという論点からおっしゃってはくれたのですが、金川先生、どうですか。

○金川委員 先ほど言ったように、シェア100%だと安定供給が問題かということと、価格競争の原理に入らないという、そのデメリットがあると思うのですが、ワクチンの接種に関して、事故報告とか事故の相談というのをちょっとやらせていただいているときに、自治体とか、そういうところから、誤接種、互換性の問題があるかもしれないのですけれども、交互に違うのを打ってしまいました、どうしましょうとか、開始時期が違うときに違うものを打ってしまいましたというのは、バラエティーの問題があっていいという問題と、誤接種の要因になるという部分があって、二律背反というか、どちらを選ぶかというところもあるのですが、実際に相談内容としては、間違えましたというのは、非常に多いです。4種混合みたいに内容の抗原量が違っても、別のものを打っていいと最初から言っておいていただければいいのですが、ガーダシルとかロタのときは、一緒に打ってはいけない、完全に別のものとして考えなければいけないというときに、どうしても誤接種というのが、そういうのをどうなくすかという方法論をある程度考えておかないと、結構混乱が起こるかなと思っています。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 あと、臨床的なところ、菅沼先生、どんな御意見でございましょうか。

○菅沼委員 今、ある程度13価で進んでいる状況で、確かに不足したらという話はあるのですけれども、現状、新しくワクチンをということで、変えることのデメリットのことをお話しされましたけれども、そういったことが、臨床で混乱が起こるのはちょっと心配かなということは、金川先生がおっしゃるとおりで、それはプラスアルファで懸念するところではあるかと思います。

○倉根委員長 ありがとうございます。

 この委員会、ワクチン小委員会は、ここでの議論をまとめて、さらにこれは基本方針部会に上げることになります。

 もちろん、基本方針部会でいろいろな議論がされるわけで、そこでこのワクチン小委員会の意見がすっと通るのか、あるいは、いろいろな違う立場の委員の方がおりますので、そうならないか。まとめとして、沈降10価のワクチンについては、有効性については劣ることが否定できないために、定期接種への使用については慎重な判断をしたらいかがであろうかという意見を、基本方針部会に上げていく。もちろん、また基本方針部会では、恐らく、その観点もありましょうし、少し違う観点も入ろうかと思います。

 きょう、御意見が非常に難しい状況でのまとめを委員の先生方にお願いするということになりまして、この委員会として、そこをやらなければならないという状況でありますが、皆様の御意見を聞いてまとめると、これが総論であろうかなと、この委員会としての現在の結論かなと思います。非常に慎重な判断が必要であるという、少し微妙な物言いにはなりますけれども、このようなまとめで、基本方針部会にそれを上げていくという形でいかがでございましょうか。

 委員の先生、よろしいですか。

 もちろん、また基本方針部会での説明、この委員会での議論等は、誰がどういう形で説明するかはまだ決まっていないと思いますけれども、そういう形で上げていくということで、取りまとめたいと思いますが、これでよろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○倉根委員長 ありがとうございます。

 それでは、また具体的な文言、取りまとめについては、取りまとめまして、委員の皆様にも、こういう取りまとめ方になるけれどもということは、再度御確認いただくことにしたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。

 それでは、(1)(2)はそういうことでまとめたいと思います。

 (3)報告事項は何かございますか。

○石川予防接種室長 報告事項は、参考資料6をお願いいたします。

○倉根委員長 これは大石参考人からですね。

○大石参考人 参考資料6が準備されておりますが、これは、研究計画1、2、3とありますが、これはどういうことかといいますと、現在、成人に対するPCV13の位置づけを評価しているところでありますが、今、この小委員会でも評価中という位置づけで、研究計画1から3までの内容を、私が研究代表をしておりますAMEDの予防接種班の研究の中で、平成27年度からこの3つの研究を開始しております。その研究計画について、私のほうから1番、2番について御説明させていただいて、3番目を赤沢先生に話していただきたいと思います。

 1つは、PCV13の侵襲性肺炎球菌感染症に対する効果ということも大事なのですけれども、ここでは市中発症肺炎と書いておりますけれども、いわゆる市中肺炎プラス高齢者施設等で発生した医療関連肺炎、そういったものに対しての評価をするということで、成人市中発症肺炎などの発生頻度、血清型の分布の検討を今年度から計画し、また、実施しているところであります。

 研究デザインとしては、多施設共同前向きの観察研究であります。全国で5カ所の共同研究医療機関で、外来あるいは病棟におきまして、市中発症肺炎の患者さんを登録して、評価をしていきます。この中で、市中発症肺炎の中で肺炎球菌性肺炎と診断された者について、血清型の分布等を中心に解析をしていく予定であります。

 細菌学的解析につきましては、肺炎球菌だけではなくて、それ以外の細菌、ウイルスまで、計画としては書かれておりますが、基本的に肺炎球菌を中心にフォーカスして、検討して進めていくということが趣旨でございます。

 以上が研究計画1でございます。

 もう一つ、研究計画2は、成人の肺炎球菌ワクチンPCV13、そして、PPSV2323価の肺炎球菌ワクチンと連続接種の免疫原性と安全性の検討であります。

 御存じのとおり、米国ではここのPCV13PPSV23と両方定期接種ワクチンとして、特に米国ACIPのほうでは、PCV13PPSV23の連続接種ということを提案しているところであります。そういったことで、現在は日本呼吸器学会、感染症学会のほうで、こういった接種方法がありますよといったことで、提示はしておりますけれども、まだ免疫原性、安全性についての国内でのエビデンスはございません。そういったことで、このような形で65歳以上の高齢者に対して、3群に無作為に割りつけをして、PCV13を接種後半年後に23価ワクチンを打つ。そして、2群としてはPCV13を接種後1年後に23価ワクチンを接種する群、3群としては、PPSV2323価ワクチンだけの群、この3群で向こう2年間接種を進めていき、接種前後で血清サンプリングし、13価血清型についての得意IgGやオプソニン活性についての評価を進めていくということであります。同時に、安全性についても評価をしていく予定であります。

 以上が計画2であります。

 計画3については、赤沢先生のほうにお願いします。

○倉根委員長 赤沢先生、お願いします。

○赤沢参考人 引き続きまして、計画3ですけれども、PCV13の費用対効果を分析するに当たり、過去の論文等を見ますと、医療費に関するところがいろいろ報告によってデータが違うものですから、少なくとも少し精査をした上で、きちっと分析したほうがいいのではないかということで、計画しています。

 現在、200DPC関連病院から、入院と外来の医療費、レセプトになりますけれども、情報を提供していただいたので、それを使って、入院と外来の肺炎の医療費を推定しようと。

 もう一つは、やはり重症化、特にIPDも含めまして、軽度の方、重症の方がいらっしゃいますので、その辺も分けてやっていこうということを、医療費の問題がある程度情報がとれた後に、費用対効果が必要であれば、続けてやっていこうと考えております。

 以上です。

○倉根委員長 ありがとうございました。

 今、研究計画の1、2、3を報告していただきました。報告事項でありますので、何かここで特に緊急の質問がございますれば、1つ、2つは受けられるかと思いますが、よろしいですか。

 では、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 それでは、あとはその他でありますが、特にありますか。事務局、よろしゅうございましょうか。

○事務局 次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○倉根委員長 それでは、本日の第3回ワクチン表に関する小委員会をこれで終了したいと思います。少しおくれまして、申しわけございませんでした。また、非常に活発な議論をいただきまして、ありがとうございました。それでは、これで終了したいと思います。ありがとうございます。


(了)

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