ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(指定薬物部会)> 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録(2015年12月14日)




2015年12月14日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成27年12月14日(月)18:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(8名)五十音順

石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、
曽 良 一 郎、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)五十音順

関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、 成 瀬 暢 也

行政機関出席者

木 下 勝 美(監視指導室長) 

○議事

○監視指導室長 ただ今から、「薬事・食品衛生審議会平成27年度第9回指定薬物部会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中、委員の先生方には御出席を賜りまして誠にありがとうございます。本日は関野委員、妹尾委員、成瀬委員から御欠席の御連絡を頂いております。また、桐井委員におかれましては若干遅れると聞いております。現在のところ当部会の委員数11名のうち7名御出席いただいておりますので、定足数に達していることを報告いたします。

 本部会の公開・非公開の取扱いについては、総会における議論の結果、会議を公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者などに対して外部からの圧力、干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。

 それでは、以後の議事進行については鈴木部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に事務局より資料の確認をお願いします。

○事務局 本日の資料ですが、資料1、資料1-2、資料2、参考文献は1~9、参考資料は1~3です。以上です。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合は、お知らせ願います。よろしいでしょうか。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。審議物質について事務局より説明をお願いします。

○事務局 今回、御審議いただきたい物質については、国内外で流通実態が認められた物質です。資料1は、各物質の名称、通称名、構造式が1~3まで、それぞれ記載しております。これらの物質について指定薬物として指定し、規制対象とする必要があるか否かについて御審議いただきたいと思っております。

 資料1-2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて一覧表にまとめたものです。資料2は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。資料1-2に審議物質及び構造が類似する物質について、文献資料や過去の指定薬物部会の資料から確認できたデータを取りまとめております。

 1ページです。審議物質. の3-MeO-PCMo、構造が類似する指定薬物、麻薬であるPCPについて、自発運動量への影響、NMDA受容体への作用のデータを示しております。審議物質はNMDA受容体拮抗作用を有し、興奮の作用を有する物質であると考えております。2ページです。審議物質. のDF-MDBP、構造が類似する指定薬物や、麻薬である1-Benzylpiperazineについて、症状観察結果、自発運動量への影響、モノアミントランスポーター阻害作用、マイクロダイアリシス試験によるモノアミン量の変化のデータを示しております。審議物質はセロトニントランスポーターの阻害作用を有し、抑制の作用を有する物質であると考えております。

 3ページです。審議物質. のTH-PVP、構造が類似する指定薬物、麻薬であるα-PVPについて、症状観察結果、自発運動量への影響、モノアミントランスポーター阻害作用、マイクロダイアリシス試験によるモノアミン量の変化のデータ、その他、細胞毒性のデータなどを示しております。審議物質はモノアミントランスポーター阻害作用を有し、抑制の作用を有する物質であると考えております。

 資料2-1です。通称3-MeO-PCMoですが、麻薬であるPCPなどと構造が類似する化合物です。NMDA受容体に対する拮抗作用について検討した結果を表に示しております。3-MeO-PCMoのIC50値が15.44nM、指定薬物である3-MeO-PCPのIC50値が474.93nMとなっております。

 2ページです。構造が類似する物質である麻薬PCP、指定薬物である3-MeO-PCP、4-MeO-PCPのNMDA受容体のPCP結合部位親和性に関する知見がありましたので、参考として示しております。PCPのKi値が59nM、3-MeO-PCPのKi値が20nM、4-MeO-PCPのKi値が404nMとなっております。運動活性に対する影響については、3-MeO-PCMoを5mg/kg又は50mg/kgを腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定したところ、5mg/kg投与群では対照群と比較して自発運動量に有意な差は認められませんでしたが、50mg/kg投与群では有意に増加することが確認されました。

 3ページです。Fig.1は3-MeO-PCMoを50mg/kgで投与後、1時間ごとの自発運動量を示した結果です。対照群と比較して投与2時間後まで有意に増加することが確認されました。Fig.2は陽性対照であるmethamphetamineの結果です。Fig.3は投与後0~6時間における自発運動量の変化を示したもので、点線で囲んでいるものが3-MeO-PCMoの結果です。コントロールを100%とし、有意に増加することが確認されております。また、投与後のマウスの行動を観察したところ、投与約10分後から過活動が観察されております。これらの結果から、3-MeO-PCMoはNMDA受容体拮抗作用を有し、興奮の作用を示す物質であると考えております。

 資料2-2です。通称DF-MDBPですが、指定薬物であるMDBPなどと構造が類似する化合物です。モノアミントランスポーター阻害作用について検討した結果を表に示しております。DF-MDBPのドパミン、ノルアドレナリンに対するIC50は1×10 -5乗Mを上回る結果となっており、セロトニンに対するIC506.85×10 -6乗Mとなっております。

 5ページです。構造が類似する物質で指定薬物であるMDBPや麻薬である1-Benzylpiperazine、そのほか指定薬物である1-(-Methylbenzyl)piperazineのモノアミントランスポーター阻害作用に対する知見がありましたので参考に示しております。MDBPのセロトニントランスポーターに対するIC505.56×10 -5乗M、1-Benzylpiperazine5.37×10 -5乗Mとなっております。そのほかに1-(-Methylbenzyl)piperazineのドパミントランスポーターに対するIC502.1×10 -5乗M、セロトニントランスポーターに対するIC503.5×10 -5乗Mとなっております。

 6ページです。運動活性に対する影響について、結果を示しております。DF-MDBPを5mg/kg又は50mg/kgを腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定したところ、5mg/kg投与群では対照群と比較して自発運動量に有意な差は確認されませんでしたが、50mg/kg投与群では有意に減少することが確認されました。

 Fig.4は、DF-MDBPを50mg/kgで投与後、1時間ごとの自発運動量を示したものです。対照群と比較して投与1時間後まで有意に減少することが確認されました。Fig.2はmethamphetamineの結果となっております。Fig.3は、投与後0~6時間における自発運動量の変化を示したもので、点線で囲んでいるものがDF-MDBPの結果です。コントロールを100%とし、有意に減少することが確認されております。また、投与後のマウスの行動を観察したところ、投与約10分後からぐったりと四肢が伸び無動状態が観察されております。海外における流通状況については、2015年にオランダにおいて流通が確認されております。これらの結果から、DF-MDBPはセロトニントランスポーター阻害作用を有し、抑制の作用を示す物質であると考えております。

 資料2-3です。通称TH-PVPですが、指定薬物であるNaphyroneなどと構造が類似する化合物です。モノアミントランスポーター阻害作用について検討した結果を表に示しております。TH-PVPのドパミン対するIC502.83×10 -6乗M、ノルアドレナリンに対するIC504.13×10 -6乗M、セロトニンに対するIC502.91×10 -7乗Mとなっております。

 8ページです。指定薬物であるNaphyroneや麻薬であるCocaine、指定薬物である5-BPDIのモノアミントランスポーター阻害作用の知見がありましたので参考に示しております。Naphyroneのドパミンに対するIC504.0×10 -8乗M、ノルアドレナリンに対するIC501.2×10 -8乗M、セロトニンに対するIC504.6×10 -8乗Mとなっております。Cocaineのドパミンに対するIC504.6×10 -7乗M、ノルアドレナリンに対するIC503.8×10 -7乗M、セロトニンに対するIC504.9×10 -7乗Mとなっております。そのほか、5-BPDIのドパミンに対するIC508.5×10 -8乗M、セロトニンに対するIC506.6×10 -7乗Mとなっております。

 運動活性に対する影響については、TH-PVPを5mg/kg又は50mg/kg腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を観察したところ、1時間ごとの運動量については、対照群と比較して自発運動量に有意な差は認められませんでした。

 9ページです。Fig.5は、TH-PVP50mg/kgの投与後の1時間ごとの自発運動量の結果を示したものです。Fig.2はmethamphetamineの結果です。Fig.6はTH-PVP50mg/kgの投与3時間後までの10分ごとの自発運動量を示したもので、対照群と比較して投与直後の10分後までで自発運動量が有意に減少することが確認されております。Fig.3は、投与後0~6時間における自発運動量の変化を示したもので、点線で囲んでいるものがTH-PVPの結果で、有意な差は確認されませんでした。また、投与後のマウスの行動を観察したところ、投与約5分後から若干の無動状態が観察されております。これらの結果から、TH-PVPはモノアミントランスポーター阻害作用を有し、抑制の作用を示す物質であると考えております。

 以上の3物質について指定薬物として差し支えないと考えておりますが、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、最初に□□先生から流通実態をお願いいたします。

□□委員 いずれの3化合物においても、国内への流入が粉末の形で認められております。また、DF-MDBPに関しては国内流通製品として、液体の形で4製品から検出されております。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、ただ今説明のありました3物質について先生方より御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 この3物質ですが、それぞれいつ頃見つかったのか、買上げで引っ掛かったのか、そういうことは分かるのでしょうか。

□□委員 □□□の分析調査の結果においては、DF-MDBPが製品から検出されたのが2015年の春、また、ほかの化合物においても□□□□□で粉末の形態で同定したのが春から夏にかけてということになっております。

○鈴木部会長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。資料2-1、資料2-2に関してはデータがあり十分だと思いますので、特に資料2-3の物質で、最初の10分に渡って有意な行動抑制が見られております。この1ポイントのみ有意差が得られております。その辺が議論のポイントかと思うのですが、いかがでしょうか。

□□委員 この手の化合物についてin vivoの形で評価するのは難しいところがあります。モノアミン再取り込み阻害作用の検討において、ドパミンとノルアドレナリンについても阻害活性が認められている化合物ですが、セロトニンに対して最も大きい取り込み阻害が認められており、in vivoにおいては、このような結果として現れた可能性があるのではないかと考えております。なかなかin vivoで総合的に判断するということが、この手の化合物では難しいのではないかと考えております。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

□□委員 単なるコメントなのですが、今日まとめてくださっている資料1-2の3.を御覧になると分かると思うのですが、3番目の化合物の通称がTH-PVPになっています。このPVPの部分は、多分麻薬のα-PVPから由来していると思います。私自身気になってネットでも調べてみたのですが、今回、対象としている化合物は世の中でTH-PVPという略称で流通していることは確かです。

 ですから、略称としてはこれでいいのですが、この化合物をTH-PVPと呼ぶというのは実際にはいかがなものかと思います。だからといって、この場で世の中で通用している名前を変えることはできないので、これは了解せざるを得ません。今回に限らず通称名がかなりいい加減に付けられて、それが流通してしまっている例があります。確かに通称ですからそれでもいいのですが、やはり規制当局といいますか、国が関与するときには、もう少しきちんと合理的な名前のみを採用するとか、あるいは合理的な名前を与えて、それをこれから通称にしていこうとか、そういうことは日本だけでやれる話ではないと思うのですが、そういう方向性が取られるべきではないかと思っていました。ただ単にコメントです。

○鈴木部会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。

○事務局 通称名の取扱いについては、省令に記載することはありません。あくまで省令に記載するものは、物質名訳に記載している名称のみです。ホームページやインターネットなどでこういう名前で掲載されているということもありますので、通称名として広報、啓発活動などに使っております。以上です。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 私も構造に関しては全く専門外なのですが、□□先生がおっしゃったように、α-PVPはリストに挙げてくださっているので似ているのかと思ったら、少し違うのですね。審議対象になったものが、α-PVPの後でα-PHPというものが審議対象になって出てきた、これが一番最後の参考資料3の2ページの真ん中にあります。ですから、こちらと似ているという意味で名前が付けられているのに違っているということなのですね、先生。

□□委員 そうです。

□□委員 そこで混乱したという。全然、専門ではないのですが□□先生がおっしゃっているように感じました。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、発言が出尽したと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました3物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると、決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、引き続き事務局より説明をお願いします。

○事務局 今後のスケジュール等について説明いたします。本件の結果については次回の薬事分科会で報告する予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、正規用途については、物質No.2の1-[(,-ジフルオロベンゾ[][,]ジオキソール--イル)メチル]ピペラジンに、化学合成用途での有用性があると情報を確認しております。いずれにしても、可能な限り適正使用に支障を来さぬように対応する所存です。以上です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上です。それでは、事務局からその他の連絡事項があればお願いします。

○事務局 次回の部会日程については、1月中を予定しております。正式に決まり次第、連絡いたします。また、本部会の資料は回収いたしますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議、誠にありがとうございました。以上をもちまして、薬事・食品衛生審議会平成27年度第9回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された




連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(指定薬物部会)> 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録(2015年12月14日)

ページの先頭へ戻る