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2016年3月10日 第3回「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会 議事概要

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

2016年3月10日 14:00~16:00


○場所

厚生労働省共用第7会議室(5階)


○出席者

青野氏、磯山事務局次長、金丸座長、小林(庸)氏、小林(り)氏、中野氏、松尾氏、柳川事務局長

○議事

○金丸座長
  
それでは、定刻となりましたので、ただ今から第3回「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会を開催いたします。

  皆様、大変御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。

  本日、浦野さん、大内さん、冨山さん、御手洗さん、山内さん、山川さんは御都合が合わずに欠席でございます。

  また、小林りんさんは所用のため、会の途中、3時半くらいに御退席される御予定でございます。

  それでは、進めさせていただきます。1つ目の議題ですけれども、本日は外部有識者の方をお招きしております。新規事業の企画立案、研究開発戦略の立案、経営リモデリングなどの事業計画立案を担当されている株式会社アクアビット代表取締役の田中栄様から資料1に基づき、「未来予測20152030 ~ライフ・イノベーション~」というテーマで御説明いただきたいと思います。田中様、よろしくお願いいたします。

 

○田中氏 

改めまして、皆さんこんにちは。アクアビットの田中と申します。今日は、このような機会をいただきましてありがとうございます。

(資料1 1枚目)

 私のほうから、今日は未来がテーマということで、この医療・ヘルスケア分野と関連が非常に深いライフ・イノベーションというものをメガトレンドのひとつとして捉え、2030年まで私達は未来を予測しています。これから、医療を取り巻く環境を皆さんと一緒に振り返ることになると思うのですけれども、まずこれが大きくどう変わっていくのか。そのもとに皆さんのこれからのテーマであります企業がどう変わるのか、あるいは働き方がどう変わるのかということで、我々はこう考えているということを今日はお話ししたいと思います。

 その前に少しだけ自己紹介させていただくと、アクアビットという会社の代表をしております。今年で創立12年になりました。色々な分野で中長期の戦略を立案するということを仕事としております。

 もう一つの顔は、KPMGあずさ監査法人で顧問を務めております。こちらのほうは何をしているかというとROAROEを高める。これは、企業価値です。企業価値を高めるというのは、ひとえに将来のニーズを見極めてそれに応えるような新しいビジネスを創るということです。

 どちらもこれはやっていることは同じで、新しいビジネスを創るということが私の仕事です。

(資料1 2枚目)

 その一環として、「未来予測レポート」というものを執筆しています。これは、法人向けのレポートです。簡単にいうと10年先、15年先、これから世の中がどう変わるのかということを皆さんにお伝えするための本です。本といっても、情報を伝えるためのものですね。中長期の戦略、あるいはビジョンを立てるためには前提が必要です。今どうなっているのか。そして、これからどう変わるか。それがあって、ではこういう中で我々はどうするのかということを考える。

 当たり前のことなのですけれども、実際に見ているとこういう前提がなくいきなり本題に入って、円高になるんだろうとか、円安に向けて安倍さんが頑張るはずだとか、そのような話ばかりをして、そこで将来の予測が結構ぼろぼろになっているケースもあります。だから、前提が大事だということです。

 この仕事を10年以上やっているのですが、この「未来予測2015-2030」というものから、デジタルサービスというものを新たに始めました。これは、本という形態だと回し読みするのはなかなか難しい。今の時代は、ネットで同じコンテンツを皆さんいつでも好きなときに見られる。未来を議論するためには共通認識を持つことが大事ですから、そのためにデジタルサービスという形で情報を提供しています。

 あとは、中野サンプラザで定期的に集まって、新しいものをつくりたいと思っている実際の会社が顔を合わせる機会を提供しています。去年1年だけでも色々なビジネスができています。流通に出したものもあります。今日は残念ながら御紹介する機会はありませんが、そのようなこともやっています。

 「未来予測レポート」は10年以上書いていまして、ダブルカウント抜きで今は1,300カ所くらいで使っていただいています。

(資料1 3枚目)

 私どもの会社は非常に小さい会社なのでろくに宣伝もしていないのですけれども、ありがたいことにこれだけ色々な会社が探して求めていただいています。

 ちなみに、これは一冊30万円します。それを、本当に皆さんありがたいことに求めていただいています。

(資料1 4枚目)

 分野でいくとこのクラウドロニクスというのは、今でいうと半導体ですとかデータ通信、データセンター、あるいは自動車、いわゆるエレクトロニクスですね。部品も含めて、あとは充電とか、一部工学系も入ってくるのですけれども、こういった分野のアロケーションをすると、大体、今、主要企業だと言われているところはほとんど今この「未来予測レポート」を導入していただいています。

 これからするお話というのは、私の未来予測の中では「ライフ・イノベーション」というメガトレンドになりますが、これは私の妄想ということではなく、こういった会社がもう既に共通のシナリオとして使っていただいているものです。私は、去年だけでも200社以上の企業や組織に直接出向いて話をしています。実際、戦略をこの会社の中に私が入って立てています。そういうストーリーのお話であるということを、あらかじめお話ししておきたいと思います。

(資料1 5枚目)

 「未来予測レポート」で一番お伝えしたいこと、これは一言でいうと過去の延長線上に未来はないという話です。今、皆さんも生活の中で色々お感じになっていると思います。私も最初は分からなかったです。でも、今はどの業界も考えていただければ、この医療・ヘルスケア分野もそうですけれども、例えばエネルギー、自動車、放送、通信、農業、何でも構いませんが、本業をきっちりやっていれば10年先、うちの会社は大丈夫ですよと言えるような会社はどこかにありますか。

 信じられないことですけれども、ないんです。私は今50歳くらいですけれども、今日お集まりの皆さんもそうだと思います。私の世代はちょうどバブルでしたから、いい会社、いわゆる安定企業に入ったら一生安泰だと言われていたんです。

 ところが、今、安泰な会社なんてどこにもないという現実があります。

 では、改めて何でこんなことが起こっているのか。社会が構造的に変わってきているから、過去の延長線上にない未来が今、本当に始まっているからです。

(資料1 6枚目)

 それはなぜかというと、この「3つのメガトレンド」に集約されます。サステイナビリティ、クラウド・コンピューティング、ライフ・イノベーションという3つに集約していますけれども、これを私はメガトレンドと言っています。何か大きなニュースがあるわけではないので、注目を浴びることは少ないのですが、社会の大きな潮流が今、大きなうねりとなって変わっている現実を、私も日々戦略を立てていて感じます。最初は分からなかったんです。だけど、皆さんが言っていることは結局このことなんです。

 今日は時間の関係でライフ・イノベーション中心ですけれども、サステイナビリティ、これは最近よく聞く言葉になってきましたが、「未来予測レポート」ではサステイナビリティは一言でいうと「足りない」ということ、「足りない」がこれからのビジネスの新しい前提になるということだと説明しています。

 これは、100年先の話ではないです。2030年の話です。2030年というのはどういう世界かというと、今のままいくと中国にかわって世界の人口ナンバーワンの国としてインドが出てきます。もちろん、中国もまだ人口は伸びます。今73億人の人口が80億を超えます。ただでさえ頭数が増える。そこに、経済成長が入ってくる。中国1つだけでも大変でした。でも、インドという、いわばもう一個の「中国」ができるのです。

 こういった中で、我々は、今は食料、資源、エネルギーなどは、お金を出せば好きなだけ買えますね。こんな時代が本当にずっと続くのでしょうかという話です。もし仮にそうじゃないとしたら、ものづくりが変わるという話です。これが「サステイナビリティ」というメガトレンドです。

 クラウド・コンピューティング、これは前回人工知能の話をされたということで今日は割愛させていただきます。私は元々、今の仕事をやる前はマイクロソフトに10年いました。Windowsが出始めのころからずっとコンピューティングを見てきました。その私の目から見ても今、起こっていることは間違いなく革命です。最近この世界だとIoTとか、ビッグデータとか、ディープラーニングとか、皆さん「私はついていっていますよ」と。私たちに言わせると、何を言っているんだ。それは全然本質じゃありません。コンピューティングそのものに今、革命が起こっているんです。人工知能そのものが次世代のコンピューターです。それがモノではなくサービスとして提供されるというのが、これから始まろうとしている時代です。今日は残念ながら時間がないので詳しくご説明できませんが、これが「クラウド・コンピューティング」というメガトレンドです。

(資料1 7枚目)

 それで、今日はライフ・イノベーションの話です。

(資料1 8枚目)

 「ライフ・イノベーション」、ここで言っているのは生命の設計図であるゲノムです。今、ゲノムというのは生命の設計図であり、更に、テクノロジーで改変すら可能になってきたというのは皆さんも御存じのとおりです。

 これは直接的には医療、そして食料、具体的には例えば遺伝子組み換えの農業とか、漁業とか、畜産物とか、あるいはバイオ分野も含めて、こういった分野もまず革命的に変えることになるはずです。

 さらに、我々の価値観とかライフスタイルまで大きく変えるだろうというのがここでのライフ・イノベーションという話です。ゲノム、遺伝子、DNA、細かくは違いますけれども、特に人間の場合、DNAの解明がほぼ進んだのは2003年の4月、今から約10年前というのは皆さんここにいらっしゃる方は知っていると思います。

 ちゃんと出来始めて、まだわずか10年ちょっとです。これによって生命のメカニズムが分かってきたわけです。人はなぜ死ぬのか。病気になるのか。老いとは何だというような当たり前過ぎることが今、本当に分かってきてしまった。その象徴的なことはこのアンチエイジングで、山中先生はノーベル賞を取られました。

 でも、あの本質はiPS細胞じゃないんです。皆さん御存じだと思います。あの日、ちょうどノーベル賞を取ったときに日経新聞に書かれていたのは、生命のタイムマシーンという言葉です。彼が見つけたのは、生命のタイムマシーンです。今まで時間は一方向にしか流れていかないと思われていたものが、たった幾つかのスイッチを入れれば細胞レベルをゼロ歳児に戻せるということを発見してしまったんです。老いとは何だ。しかも、それは可逆であるということを証明してしまったんです。多分、これから研究が進む中で老いとは何かというのがどんどん分かっていくでしょう。これは、一つの象徴的なことです。

(資料1 9枚目)

 もう一つ、皆様がよく御存じなのはアンジェリーナ・ジョリーさんのニュースですね。BRCA1というこの世界では有名な遺伝子です。これが原因で80%以上を超える確率で乳がんになるということで、彼女は乳房を切除したというのが話題になりました。

 ただ、専門の先生にお伺いすると、こういった遺伝子は既に6,000以上分かっている。原因はまだ分からない。メカニズムは分からない。だけど、シーケンサーが非常に発達したことによって非常に似通った遺伝子を持っている。これはこういう病気じゃないかという当たりをつけて逆説的に調べることによって、原因遺伝子というのはどんどん分かってきている。これが今の現実です。

 ただ、これを皆さん御理解いただいている前提でお話をすると、こういった変化が今、医療そのものを革命的に今までと全く違うものに変えようとしていると言ってもいいと思います。

 まず、遺伝子が分かれば病気になるかどうかが分かる。少なくとも、こんな病気になる可能性がこのくらいの確率であるということがどんどん分かってきている。これが1番です。

 2番目、こんな病気になるという原因が分かるということは治せるということです。少なくとも治せる可能性がある。実際、このペースだとアンジェリーナ・ジョリーさんは物理的に切っちゃいましたけれども、今アメリカでは臨床薬、オラパリブ等々が出てきていますので、原因が分かるというのは少なくとも治せる可能性がある。しかも、根治です。従来の西洋医学とも違う、対処療法ではない。こういった根治的にできるもの、全てがもちろん遺伝子によるものではないわけですが、そういったものがどんどん分かってきているわけです。

 さらに言えば、これは抑制遺伝子ですけれども、遺伝子が原因になっている病気だとしたら、それにスイッチを入れなければ、発症そのものを止めることも理論的には可能になるわけです。これは理論だけではなくて本当に今、起こっていることです。予防医療は今までのようなイメージではない。そういったことも、この21世紀に入った今、始まっているのです。21世紀になって、我々が生命の設計図にたどり着いた。それに基づく新しい医療が始まっている。これが革命じゃなくて、何が革命なのかという話です。

(資料1 10枚目)

 先ほどの遺伝子などもそうですけれども、今分かってきたのは生命のメカニズムに基づいて、例えば先ほどの遺伝子を修復しましょうというようなことが仮にできるようになってくるとすると、どちらかというとこういう化学物質ではなくて高分子、例えばインスリンなどは大きい物質なわけですけれども、今は一方ではバイオ医薬品というものがいろいろなニュース等々で出てきています。

 これは皆さん、厚生労働省の関係者の方なのでお分かりのとおり、今、生命のメカニズムの解明によって新しい医療が始まっている。それに基づいて使われる薬というのは、こういった化学品から高分子のもの中心にどんどん変わってきている。

 でも、それを作るためには、これはフラスコでできる世界ではないので、これを作るためには、味噌、醤油と一緒です。生命を使って工業的に作る。だから、バイオ医薬が必要になってきている。今日の話に繋がることは、厚生労働省の皆さんはお分かりになっていると信じます。

 だけど、日本の製薬会社はいつそうなりましたか。グローバルでは、製薬のトップは化学ではなくてバイオですね。医者です。作るのも、そこにいるのは統計学者であり、そして法学者であったり、あるいはファイナンスの人だったりというチームに変わってきています。日本は未だに従来型のものが残っている。これも多分このまま続くということは現実的には考えにくいので、これから製薬業界というのは日本ではものすごく大きく変わってくるだろうというのがこの「未来予測レポート」に盛り込まれています。

(資料1 11枚目)

 ただ、こういった新しい技術が出てきて進歩するのはいいのですけれども、問題は金がかかる。これは、言うまでもないことです。これは端的なデータで、アメリカの自己破産の実に6割は医療が原因です。

 今日は関係者の方なのでお分かりだと思いますけれども、日本では盲腸だったらせいぜい10万~20万円で治療できますが、アメリカ本土では聞くところによると平均180万円、ハワイだと220万円くらいだそうです。私たちはそれを見て、あいつらはひどいよね、かわいそうに、アメリカはダサいみたいな感じで言っているわけですけれども、でも皆さんは多分お分かりだと思います。私たちの方が異常なんです。私たちが社会主義的に今、盲腸は10万円ですと言われたら、はいと言うしかない現実があります。

 私たちはそれによって非常に低コスト、安い価格で素晴らしい医療を受けられた。その反面、今、起こっていることは、例えばオーファンドラッグの治療、希少薬、海外にしかないものというのは当然彼らのプライシングに則るしかないわけです。

 あとは、やはり日本では、非常に私の認識、今やっている先生方の認識というのは、日本はゲノム分野が全般的に遅れている。iPS細胞等々は今、進んでいますけれども、それ以外のゲノム全般に関してはやはり遅れている。でも、もしそういった先端の医療を受けたいと思ったら必然的に海外の治療を持ち込んでくるしかなくて、そのプライシングが適用される。こういったことというのは、決して他人ごとではない。治るのはいいけれども、非常にお金がかかる。

(資料1 12枚目)

 これは、皆さんの普段扱っておられるデータです。2014年度は月1,000万円以上の医療費がかかっていたのが1,600件、最高にかかったのが1億5,500万円、オーファンドラッグというのは血友病患者さんです。今は保険で持っていただいているからいいけれども、日本はそこまでお金持ちじゃないというのは皆さんが御承知のとおりです。

 申し上げたかったのは、これからはいかに病気にならないか。そして、病気を重くしないか。今までは掛け声で済んでいたものが、これからはゲノム等々でできることがたくさん出てくる。これは、ひいて言えば新しいビジネスの芽でもある。

 一方、もう一つ触れたいのは糖尿病です。生活習慣病として非常に広く知られています。皆さん御存じのとおり、1型と2型があります。2型が95%、1型はざっくりいえば先天性で、2型が生活習慣と言われています。それで、ちょっと悪くするとインスリンで年間50万円、今度は3割負担です。

 だけど、人工透析になったら年間500万円が必要となり、身体障害者となります。全額負担です。働けなくなれば、当然、障害厚生年金の対象にもなります。あるいは、生活保護です。こういった人が1970年に1,000人いなかったのが、今は2014年に31万人です。こういう時代が本当に今後も続けられるのかどうか。

(資料1 13枚目)

 今は厚生労働省として例えば糖に関していえば知っている方は多いと思いますけれども、WHOが去年砂糖の一日当たりの摂取量の基準を変えました。ティースプーン6杯です。ティースプーン6杯というのはどのくらいかというと、コーラを1本飲むと角砂糖15個分と考えればイメージしやすいでしょう。もっと厄介なのは、いわゆる低糖系のヘルシーなイメージの商品の話でいくと、例えば「午後の紅茶」などは低糖で有名です。あるいは、スポーツ飲料とか。それらでも1本当たり角砂糖9個分とかになっちゃうわけです。これ1本で、今のWHOの新しい基準を超えてしまうわけです。

 ここで一番申し上げたかったことは、病気にならない、ならせない。去年、「保険医療2035」でもキュアからケアへというのが出ていましたけれども、本当に病気にいかにならせないか。その中で、こういった食に対する意識というのは大きく変わってくるのだろう。

 さらに言えば、最後に一言だけここで触れると、ここに含まれている糖、いわゆる果糖ブドウ糖液糖というのはトウモロコシを加水分解したものです。つまり、これはほとんど遺伝子組み換えです。遺伝子組み換えというのは、ライフ・イノベーションとして医療で素晴らしい成果をもたらすことになる反面、こういった食の安心・安全とか、別な意味での健康意識に違った意味でのリスクをもたらす、非常に大きな意味で我々の生活に大きな影響を与えるだろうということを最後に触れて、ライフ・イノベーションの入り口の話をします。

(資料1 14枚目)

 こういう中で、これは皆さん多分ほとんどの方が既に知っていることの復習みたいな話です。今日の本題は、こういう中で社会からは当然求められるビジネスが変わる。今日は働き方がテーマですので、その話の御参考になるように、今、私たちがこれから医療、ヘルスケア等々がどう変わろうとしているのか。どういうシナリオを今、提示しているかということをここでお話をいたします。

(資料1 15枚目)

 その前に、まず全体像として社会が変われば求められるビジネスが変わるということで、ではどんなふうに変わっていくのか。産業の形も変わっていく。それは、具体的にはクラウドロニクス産業というものが土台になる。その上に色々な業種、業界が形・枠組みを変え、さらに重なり合ってくる。今色々な分野で仕事をしていて、これをすごく強く感じます。

 特にクラウドロニクスというもの、今はエレクトロニクス業界の人たちは、うちはものづくりだとか、あるいはコンピューティングの人たちとか、皆ばらばらに言っていますけれども、ただ、今ユーザーから見れば半導体もソフトも通信も皆コンピューティングです。そして、どの業界にあっても今やコンピューティングを抜きに10年先、15年先の未来を考えられる業界というのはもう無くなっています。コンピューティングというのは、昔のようなパソコンを使っていますとか、情報端末とか経理処理端末のことじゃないです。例えばエネルギーだったらスマートグリッドとか、あるいは食料・バイオだったら植物工場とか、もうコンピューティングがないと話にならないという世界です。あとは、車だったら今はスマートグリッドもやっていますけれども、こういう世界です。

 今日お話するのは、この医療とヘルスケアです。これは先日の都市の話もありますが、今までは医療・ヘルスケアというのは別物だったけれども、もうそんなことは言っていられない。病気にならせないんだ。それを守ることだ。これはもちろん国民生活もそうですし、何よりも国家財政を考えたらこれに力を入れてやっていくというのは必然だろうと私は見ています。

(資料1 16枚目)

 こういうことを前提に、これから具体的に「医療・ヘルスケアサービス産業」というのはどんなものか。これは、全体の概念図です。すごくシンプルに書いております。今日、私がこの場で言って本当に良いのだろうかということがありますけれども、1つは自由診療と保険診療で、自由診療はこれから前提になるだろうというのがまず「未来予測レポート」の予測です。既に一部、先進医療として始まっていますけれども、これからはごく近い将来、自由診療と保険診療というのはばっちり2つに分かれると予測をしております。

 それに対応する形でまず自由診療ですが、これの中心になるのはゲノム、オーダーメイド治療なので全ての人が受けられない現実があります。それ以外にも様々なすごい治療効果を発揮するんだけれども、数千万かかって全員が受けられるわけではない現実がある。そういったものがまず出てくる。

 そして、もう一つあるのは海外から来る人たちです。2011年に日本も医療技術が解禁されたのは皆さんも知ってのとおりです。今の爆買いではありませんが、外国人患者さんが当然来るでしょう。今、歯ではお金持ちの人は自分の歯を入れている。それで、お金のない人は入れ歯だとなっていますけれども、いいことだとは思いませんが、多分こういった自由診療を専門とするものが一般の医療にも入ってくる。

 もう一つ、こちらとセットになるのは健康管理センターです。これは、多分連携したサービスになるだろうというのがもう一つの予測です。アメリカでは、既にどこで自分の健康データを持っているかというのは一つのステータスになっています。さらに言えば、こういったところに持っていて日ごろのケアですね。食べ物ですとか、エクササイズですとか、あるいはその体質に合ったサプリ、こういったものを処方する。それで、日ごろのライフログを見ていて何かおかしかったらこちらの適正なところに診断を求める。こういう連携したサービスが自由診療のメインになるだろうというのが、私たちが今持っている予測です。

 一般のほとんどの人たちは私も含めてこちらになるわけですけれども、これから一般の保険診療の方でも大きな再編を幾つか予測しています。

 1つは、今は大病院か、個人病院か、非常に極端になっていますけれども、個人病院、小規模な病院のチェーン店化が一気に進んでいくだろうという予測です。これは色々な理由があります。特に大きいこれからのファクターとしては、まずは今、お医者さんだからといって銀行がお金を容易に貸してくれる時代じゃなくなっている。システムや患者のネタを共有しなければならない。特にゲノムです。こういったもののシステムが必要になってきます。

 それから、これからは海外から来るのと同じで海外に出ていく人たちのサポートも必要になってきます。これもやはり個人でできるレベルではなくてシステム、組織としてやらなければいけない現実がある。こういった諸々のことから、特にシステム系を中心にチェーン展開が進んでいくだろうというのがここでの予測です。

 一方、私たちはこんなグループに入りたくないという先生方も当然いらっしゃいます。そういった方たちは、これはアメリカでもホームドクターといいます。日本では総合内科という科目はありますけれども、入り口の部分、今はアメリカもそうですが、一般治療と、あとはそれでエスカレーションするときにはこちらに持っていくという形にしていますけれども、それとこれから特に予防医療が大事だということが、もし、これからばしっと出てくると、それを担うのはこういった先生方になるだろう。それは従来型の医療だけではなく、こういったいかに病気にさせないかということで、場合によっては食生活とか、サプリメントとか、エクササイズ、こういったものも使いながらという流れになっていくのではないかというのが今のここでの予測です。

 今、歯医者さんなどは、昔は例えばキシリトールとか反対していましたけれども、今はむしろ予防を積極的に受けとめたのは、虫歯にならないために病院に通うという新しいライフスタイルをつくったからです。あれと同じことがここでも起こるだろうというのが根底にあります。

(資料1 17枚目)

 知っている方は知っていると思います。アメリカでは、例えばドクターエクスプレスというもののチェーン展開が今どんどん広がっています。個人経営では、患者の集客が難しい。団体契約はできない。割高になってしまう。あとは、アメリカでも大体1軒1億円くらいかかるそうですけれども、これは個人では調達が難しいので共同経営にするというようなことをやっているそうです。

 もう一つ注目しているのは、コンビニエント・ケア・クリニックです。どんなところかというと、No appointmentsOpen 7days a week、いつでも来てください。アメリカだと予約して大体1週間、2週間は平気で待たされたりするのが、いつでも来ていい。しかも固定料金で、料金は普通より安いです。スーパーやショッピングモールや薬局等々に行く、そのついでに寄るということがアメリカでは非常に評価が上がっている。

 日本では、医療制度は違う。今はそうです。だけど、一方では今、私も病院に通っていますけれども、医療費はどんどん上がっています。こういう中で、まず日本でも同じように今、具体的に言えばイオン等は自分で病院を作ったりし始めていますし、似たような気軽に行けるショッピングモール等々にあるクリニック、そして検査というものが増えてくるだろう。これは、多分近い将来の日本でも同じことが起こるということでお話をしています。

(資料1 18枚目)

 あとは、前回人工知能の話とかをされたということで、いろいろな業種が入ってきて、これの最たるものはロボットも含めて医療分野というふうに予測をしております。

 皆さん、前回、人工知能の話を聞かれたと思うんですけれども、1つだけお聞きしたいのですが、普段皆さんは仕事で音声入力を使っておられる方はどのくらいいらっしゃいますか。

 いらっしゃいましたね。さすがです。私は、「未来予測レポート」の9割は音声入力です。ここで今、試してみます。

 「皆さん御存じでしたか。今や、音声を使うとこんなに簡単にデータが入力できるのです。特別なトレーニングは一切していません。私も、最初はびっくりしました。これが、コンピューターのパラダイムが変わるということです。」

 何でこんなにスムーズにできるかというと、裏側に人工知能が動いているからです。裏側にスパコンがあるんです。だから、コンピューターの革命なんです。今日はちょっとお話できませんけれども、こういうものは例えば今、医療の現場で日本でもこんなことが起こっています。

(動画)

 これは、画像処理診断ですね。画像診断のもので、聞くところによると6割が先ほどと全く同じ音声システムを使っているそうです。もうこれがないと仕事にならないと言っていました。先生はずっとディスプレイを見ています。あれで一日20人しか見られない画面を見ている人たちが、音声だと60人見られると言っていました。しかも、患者さんの顔を見てです。

 アメリカで一番仕事が減ったことの最たるものはこれです。向こうはクラークがいてカルテを書いていたのが、音声認識になって一気にその仕事がなくなったという話も聞いていますね。働き方の変化の一つの象徴的な例です。

 これからは、先ほどお話ししたように外国人の患者さんが増えてきます。そうなってくると、本当に対応をどうするかという話も出てきます。特に英語圏だったらいいですけれども、それ以外の人たちも当然出てくるわけです。

 こんなものは御存じですか。これはスカイプですが、今はもう海外は変わっているんです。

(動画)

 ここでお話をしたかったのは、今まで英語を喋ることができるとか、外国語を喋ることができるとか、もちろん喋ることができたほうがいいんですけれども、私たちの一昔前のそろばんが電卓とかエクセルの時代に全くというか、ほとんど意味がなくなったように、これからコンピューターというのは、話の流れなどは読めないので通訳者の代わりにはなれないです。だけど、私たちが片言でやるような第2言語、第3言語はあっという間に追い抜いたはずです。

 つまり、こういった言葉をしゃべることよりも、本当にその人の仕事の能力というのは何かということが、こういったコンピューティングの進歩によって変わってくる。例えば、ロボットもそうです。これから人工知能がどんどん入ってくるはずです。特にゲノムが入ってくると、日々新しいデータがどんどん入ってくるわけです。その最新の知見に基づいて適切な判断をする。これは、人間技では不可能になる。これをやっている先生方は皆、そう仰っています。

 こういう中でいくと、いかにこういったツールを使いこなすかということがこれから医療の中では非常に重要になってくるでしょう。

(資料1 19枚目)

 外国という意味では、グローバル化は今どんどん進んでいます。ただ、競争相手はこういったサムスンなどは世界最大級の病院をやっていたりする企業です。あとは、日本は遅ればせながら医療ツーリズムを念頭にビザを解禁しましたけれども、今、例えば先進国の一つとして知られているタイなどだと、ここだけで190カ国、42万人、株式会社で年間300億円を超えているような大きいビジネスになっています。色々なグローバルで今、直球でいえば患者さんの取り合いみたいなことも起こっています。

 では、こういう中で日本が対応するためには、今日の働き方でいったら今までと違う先生方のスキル、あるいはそれを支える人たち、例えば医療専門の通訳さんですとか、ガイドさんですとか、いろいろな周辺のビジネスができてくるということもまたイエスだと思います。

(資料1 20枚目)

 あとは、ヘルスケアですね。皆さん御関心が非常に強いかと思います。皆さん御存じのとおり、まずゲノム情報によって色々な病気のリスクが年を追うごとに分かってくる。そして、ライフログです。今、ウェアラブルではせいぜい体温とか血圧とか、その程度のものしかデータが取れないですけれども、これからまず一番大きなターニングポイントになるのは血液のデータがリアルタイムで取れるようになったときで、既に1つ今はグルコース、血糖値に関しては医療機器としての申請が日本にも出たということは聞いています。あとはグーグルアイ、グーグルで今やっているものはグルコースを狙ったものです。

 今はグルコースだけではなく、血液データが1滴採れるとゲノムの解析によっていろいろな新しいことが分かってきたというのも、日々のニュースの中で私自身も聞こえています。これが、今日のもう一つの医療としての広がりである予防医療の分野を大きく変えることになるだろう。それが、ここでのお話です。

(資料1 21枚目)

 これは、先日ニュースリリースが出ていますのでお分かりだと思いますけれども、NEDOで今やっている研究の一つが、たった1滴で13種類のがんが99%の精度でわかる。「マイクロRNA」を使ったものです。細胞によって特徴的なマイクロRNA、たんぱく質の断片が出ます。例えばマイクロRNA195というのがあると、これはどこかに乳がんの細胞があるという証拠である。今までこのシーケンスが簡単にできなかったのが今は簡単にできるようになったので、それによってこういった新しい診断、血液1滴があれば今までのようにたんぱく質とかガンマGDPとか、あんなレベルじゃない。色々なものの病気が非常に高い精度でわかるようになってくる。これも、まだ入り口だと思います。

(資料1 22枚目)

 ただ、油断してならないのは、アメリカも追いかけて来ているということです。具体的に言えばIllumina社、これは遺伝子検査で有名ですけれども、ここは先日、新会社を作ったばかりで一気に120億円の出資を集めました。日本では税金でかなり大病院がやっている。これがせいぜいですけれども、海外では、特にアメリカではめちゃくちゃ大きい商売になる。そういう中でこういうものをがつんと入れて一気に力技で進めていくということが今、始まっています。

 今、客観的に見れば日本はまだ技術的には進んでいるようですけれども、このままいくと元々、ここはシーケンスの会社ですから一気に離される可能性が非常に高いと思っています。こういったところも、広い意味では周辺の新しいビジネスです。

(資料1 23枚目)

 最後に申し上げたかったのは、医療にしてもヘルスケアにしても今までの領域だけではないんだというお話です。その象徴が、これは例に出ることも多いと思いますけれども、イオンさんです。幾つかでやっています。例えば、船橋などはドクターランドというほぼ総合病院です。いい先生を連れてくれば調剤薬局ができる。

 あともう一つやっているのは今、幾つかの自治体では無料で血液データをとります。そのお金は自治体が出します。病気にさせたくないから。それによって、そのデータをWAONに紐付けて来てもらえればまず集客ができる。それで、健康意識の高いものを買ってもらえる。自治体は、特に会社員さんじゃない人たちがこういうものを受けてくれるのは非常にハッピーだということで、喜んでお金を出すという流れができているということがあります。

 ここで申し上げたかったことをもう一度繰り返しますが、今までの医療の枠組みじゃないんだということの象徴で、例えばそれ以外のところでもローソンさんとか、いろいろなところが出ています。

(資料1 24枚目)

 これは、最後のポイントをまとめただけです。特に今日は触れていませんけれども、医薬品の方でもこれから大きな再編が起こるでしょうということがございます。

 今日は短い時間でしたけれども、私のほうの話はこれで終わります。こちらの方でデジタルの未来予測を一部参照もできますので、御興味があれば是非のぞいてみてください。ありがとうございました。

 

○金丸座長 

ありがとうございました。

 それでは、皆様との意見交換に移らせていただきたいと思います。皆様から田中さんに御質問とか御意見がありましたらお願いいたします。

 

○小林()氏 

お話をどうもありがとうございました。

 幾つか御質問と感想なんですけれども、さっきの音声入力はあんなにスムーズにいくんだなと思って、私も仕事柄インタビューをするたびに毎回メモを起こして、それで3時間くらいかかっている気がするので、ツールを使いこなすことが重要とおっしゃっていたのですが、使いこなせていないなということを痛感いたしました。

 それで、2つ御質問なのですけれども、1つはエイジングが不可逆的ではないというご指摘は面白いと思ったのですが、そうするともしかすると、働き方も今までみたいに年齢で切るのではなかったり、人によっては65歳じゃなくて70歳、75歳とか、より長く働ける可能性があると思っています。

 私が以前、これも本当にただの数字遊びなんですけれども、高齢化率は今65歳で切っていると思うのですが、4年に1歳ずつ高齢化率の定義を上げていく。例えば今は2015年ですけれども、2019年には66歳にして、その次は67歳とやっていって、75歳まで上げると高齢化率は全く動かない。横ばいになる。これは本当にただの数字遊びなんですけれども、そういうことをやっていて、そうすると、もしかしたらこれはパラダイムシフトというか、今まで上の世代を支えなければいけないとか、上の世代、高齢者が働けないというような前提で作っていたものが、もしかしたらこういうところで変わってくるのかと思ったのですが、そこはひとつ教えていただきたい。

 あとは、最初の感想と関連するのですけれども、ツールを使いこなすというのはなかなか人によっては心理的なハードルがあったり、私も職場で声を出して喋っていると変な人だと思われそうで嫌だなとか、そういうのはあるのですが、ツールを使いこなすための働き方の変え方というか、そういうところも教えていただければと思います。

 

○金丸座長 

では、お願いいたします。

 

○田中氏 

両方とも興味深い御質問でありがとうございます。

 年齢に関しては、私も似たようなことを未来予測の中でも考えております。今、御指摘があったように一昔前、例えば特に今の年金制度ができたころ、1970年代というのは平均寿命はたしか60歳ちょっとくらいで、そこから見ても20年くらい増えているとか、色々な指摘が今までもありますね。ですから、今の例えば高齢化の定義とか、そもそも青年の定義も今は20歳から18歳に下げてしまいましたけれども、本当に良いのかなと思ったり、そういうのはあります。

 ただ、今日は仕事の話なので、今仰ったようにこういった肉体的な衰えがどんどん遅くなっているというのは、今までの定義を変えるきっかけになるんじゃないか。私も、それは同意見です。

 ただ、それ以上に影響が自分では大きいと未来予測の中でも申し上げているのは、今まで日本の20世紀というのは工業化社会です。その中では、汗水垂らして働くイコール仕事である。

 ところが、実際に例えばものづくりという話でいっても、このアップルのコンピューターというのは首から下をつくったのは中国人とかですね。でも、クリエイテッド・バイ・アップル・イン・カリフォルニアです。モノをつくるというのは、モノのクリエイトの部分と、モノのメイクの部分があって、では実際に先進国でやっているのは何かというとクリエイトの部分です。それだけではなくて、例えばサービス業全般もそうですし、今そこでいったら昔のように肉体がということよりも、やはり経験とか、知識とか、そういったものが非常に大きくなっている。

 あとは、感性がおじさんなどは古くなると仰るかと思いますけれども、実は私はそんなことは必ずしも限らないと思っていて、はっきり言うと30代でスマホを覚えるのは面倒臭いという人もいれば、80代で目をキラキラさせて、すごい、これは面白いとかやっているおじいちゃんもいるんです。そこは、純粋に年齢で切るということ自体が私は個人的にはナンセンスだと理解しています。

 ただ、そのベースにあるのは、働き方そのものがオペレイティブからクリエイティブにどんどん先進国のモデルとしてシフトしていることが非常に大きいということをここでまずお話をするのが適切かと思います。

 もう一つのツールの話ですけれども、これは私の経験を話すのがいいと思います。私は、もともとマイクロソフトでした。ITです。しかも、ワードの担当でした。仮名入力ですが、人の3倍くらい打つのが早いんです。でも、これを見た瞬間にあっさり自分のスタイルを変えました。自分がやっていた世界は、所詮、武士の刀である。自分でこのくらい打てると悦に入るわけです。俺ってすごいな、仕事できるなと、キーボード歴が長くなると思います。

 ところが、あっさりやられちゃうわけです。これは、信長の鉄砲です。今もありましたけれども、よくこの話をすると色々な会社にいる方で「田中さん、聞かれたら恥ずかしいじゃないですか」というおじさんに限って電話で「あの件さー」とか身振り手振りで喋っているんです。そうでしょう。

 だから、慣れなんです。信長はこう言ったわけです。ほかの大名たちは、こんなものは濡れたら使い物にならないじゃないか。連発は撃てないと言ったけれども、そうじゃないでしょう。あの人は、だったら散弾にすればいいじゃないか。雨に濡れないように巻いておけばいいじゃないかというので天下を取ってしまったわけじゃないですか。これが、テクノロジーがパラダイムシフトが起こる中でそれをうまく活用し、自分の戦闘力を高め、ばんといくという一つの象徴である。意識の問題であると私は非常に強く思いまして、私も変えました。これは、多分お答えの一つとして申し上げていいと思います。ありがとうございます。

 

○金丸座長 

ありがとうございました。

 それでは、どなたかありますか。

 

○小林()氏 

もしよければ、青野さんの話とあわせて討議ができればと思います。

 

○金丸座長 

そうしましょうか。

 では、どうぞ中野さん。

 

○中野氏 

質問なんですけれども、こういうヘルスケア分野のテクノロジーが働く人に適用されていったときに、例えば生産性が高い状態がウェアラブル端末などによって分かるようになると、今までの労働時間を制限するという考え方が変わる余地があるのでしょうか。

 例えば、今、過労死ラインの月80時間以上の残業というものが、何時間という定義ではなくて個人個人で、あなたはもう危ないから働くのはやめなさいというアラートで管理されるようなことが訪れるのか。そういう場合に、どういうふうに労務管理というか、経営者がどう使うかということもありますし労働者が個人情報をある意味、吸い取られるというところもあると思うので、どういうふうに利用してくのが良いのだろうかと思いました。

 あとは、これも質問というか、感想なんですけれども、労働時間の管理と過労死とか体調、生産性の関係もそうなんですが、女性の場合、生理休暇というものがあるんですが、ほとんど今は使われていない。生理が重くて働くのが辛いんですということを言うのが憚られるというので、今、多くの人は使っていないと思うんです。

 その生理の問題とか、あとは妊娠したときの悪阻がどれぐらい酷いかというのも人からは分からないので、「気合いで乗り切れ」というようなことを言われてマタハラみたいなことが起こっていたりします。そういうものもヘルスケア分野のテクノロジーが発達すると、それもプライバシーの問題はすごくあると思うのでいいか悪いかは微妙なんですけれども、可視化できるのかもしれないと思いました。そういう働く人とヘルスケアのテクノロジーというところでもし御示唆があれば教えてください。

 

○田中氏 

仕事の中では結構、今みたいな話は、特にここは本拠地なので健康経営の話ですね。健康経営で、しかも今まずは健康診断のデータとか、そういうものを管理しよう。それで、そういうときに出てくるのはプライバシーをどうしようとか、まずそういう新しい心配も出てくる反面、もう一つ、これも厚労省を初め今は経産省もそれによって政策金利を上げたり、やはり私たちに今、抜けていたのは、頭の良い学校を出て頭の良い人をとりましょう。でも、どんなに頭が良くても心の健康を含めて健康でなければ良いパフォーマンスが出るわけはない。分かっていたけれども、でも学校の成績から見ていない現実がありました。あるいは、入れた後もやはりそういったことというのは余り考えていなかった現実があった。

 そういう中で、会社のパフォーマンスを上げるためにもちゃんと健康に対する留意をしましょう。これは日本だけではなく、グローバルの取り組みとして始まっているのは皆さん御承知のとおりで、今のお話の中で私たちが今やっていることも皆、模索しています。ただ、こういったライフログ、ゲノム情報だけではなくて、今、例えば生理の話とか出ましたけれども、生理のことはもっと客観的に数字で出そうと思えば出るでしょうし、それがどう痛いのかというのはもしかしたら数値化することも可能でしょうし、例えば精神の状態とかもマーカーみたいなものが見つかったら、それを指標としてやるというようなこともこれからできるようになるかもしれない。今は、そういうレベルだと思うんです。

 もう一つは、今のプライバシーの問題というのは常に表裏一体で出てくることで、残念ながら私も答えを持っているわけではないですけれども、今はそもそもまずこういったライフログをとるとか、ゲノム情報をとるとか、こういったこと、あとは事態が新しいことで多分こういったことはまだ10年もたっていないので、皆でまさにそういうことを考えるためにこういうふうに集まってどうしたらいいか、ああいうふうにしたらいいんじゃないかということを話し合っていくしかないんじゃないか。今、少なくとも私たちが仕事をやっているところは、皆さんそういうふうに感じながらやっているみたいです。

 1つはゲノムの話で、実は某自民党の国会議員さんに相談をしに行ったことがあるんですけれども、これは最終的に国が持つんですかねと言ったら、田中さん、絶対持たない。そんなことでは政権が飛ぶと言われました。だったら、グーグルが持っちゃってもいいんですかと言ったら、だって安倍さんのものなんて今はどこかの病院の紙になっているだけで、民間で今でも持っているんだから、嫌だったら100万とか200万払って頑丈なところに入れておけ。それで良いやと思う人は今までどおりやっておけばいいじゃないか。今だってやっているんだから。でも、少なくとも国では持てないよという話があったり、こんなようなプライバシーの話というのはまだ国の調整もそんな状態です。

 ここで言うのも変ですけれども、これは皆さんも一緒に話し合いながらコンセンサスを作っていくしかないんじゃないかと私は今、感じています。お答えになっていないかもしれませんけれども。

 

○金丸座長 

ありがとうございます。

 それでは、ちょっと早目なのですけれども、青野さんの御説明を聞かせていただいた後で、また田中さんの御説明も振り返りつつ、あるいは組み合わせつつ、意見交換をさせていただきたいと思います。

 では、青野さんよろしくお願いします。

 

○青野氏 

サイボウズの青野です。サイボウズという会社の社長をしていまして、多分面白い働き方をしているということでここに呼んでいただけているんだと思います。なので、2035年を考えるときに、もしかしたらこんな会社が増えているのかなということを想像しながら聞いていただければと思います。

(資料2 2枚目)

 これは、私の自己紹介になります。もともと理系の情報系の人間ですので、前回松尾先生のお話を聞けなかったのが本当に残念で、私の昨年読んだベスト書が松尾先生の本だったので、また機会を見つけてお話を聞ければと思います。

 最近、本を書きまして、『チームのことだけ、考えた。』というサイボウズでやってきたことを書きました。そうしましたら、中野さんが良い本だと書いてくださったので一応紹介しておきます。

(資料2 3枚目)

 サイボウズなんですけれども、今は11拠点、550人くらいの会社になってきました。中小企業というにはちょっと大きいくらいの規模です。11拠点、550人くらいの規模になってきました。

(資料2 4枚目)

 情報共有のソフトをやっていて、このグループウェアに情報をアップしておくと家からでも働けるとか、時差があってもグループウェアを見れば後からキャッチアップできるとか、こんなものをつくっています。

(資料2 5枚目)

 これを18年もやっているので、一応日本では一番使われるグループウェア会社になっていて、今はこの右のkintoneというのがイチ押しになっています。

(資料2 6枚目)

 私としては、海外進出も進みながらすごく御機嫌で働いているんですけれども、以前からこんな感じであったわけではなくて、基本的にはドITベンチャーなので離職率が15%から20%くらいあって、これが当たり前でした。悪いとも何とも思っていなくて、そんなものだろう。土日には出るだろう。何でおまえは土日に来ないんだくらいの勢いだったんですけれども、さすがに離職率が28%まで上がると効率が悪い。次の人を採用して教育するのに莫大なコストがかかってしまって、これは辞めさせないようにしたほうが効率が上がるんじゃないかという経済合理性の観点からやり始めたというのが発端です。なので、社員のためを思ってとか、そういう綺麗事ではなくて、あくまでも経済合理性に沿ってやったということになります。

(資料2 7枚目)

 それで、理解できたのは皆、求めているものが違うんだということです。必死に辞める人を食いとめようと給料を上げたんですけれども、皆そんなものは無視して辞めていく。なぜ給料を上げるのにおまえは辞めるんだと、そこは分からなかったんですけれども、どうもモチベーションというのは人それぞれだから、家庭とのバランスみたいな人もいるし、夜に学校に行きたい人もいるし、いろいろな人がいる。その個別の事情をいかに反映させるかがコツなんだなということで、この「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」ということを考えました。

(資料2 8枚目)

 そこからやったことをその後に書いていますが、簡単にいうと皆がこんな制度が欲しいと言ったらできる範囲でやってきたというだけになります。

 主だったものを紹介しますと、まずは時間ですね。めちゃくちゃ残業をしても全然大丈夫という人もいれば、ちょっと残業したいという人もいれば、定時もしくは短時間で働きたいという人もいるので、それぞれコースを選べるようにしました。

(資料2 9枚目)

 それで、その選んだ分以上、上司は仕事を渡してはいけないというルールになります。場合によっては週3日だけ働きたいとか、そういう変則的なものも認めていきました。

(資料2 10枚目)

 そうすると、ワーク・ライフ・バランスが保てるようになってきて離職率ががんと下がっていて、特に女性が辞める理由が減ってきたので女性社員比率が今4割まで上がっている。ソフトウェア開発企業というのは普通女性は1~2割くらいですけれども、4割と結構不思議な値になってきました。今は新卒の社員とかは女性のほうが6割くらいになっています。

(資料2 11枚目)

 これが、下がってきたグラフになります。ここまで下がると、ちょっと下がり過ぎじゃないか。なまぬるいぞということを思っていまして、辞めやすい制度もつくっています。

(資料2 8枚目)

 6番の、退社しても再入社できる。6年間は戻ってきていいから、全く後ろめたく感じることなく辞めていけという制度をつくったら、7人戻ってきたというようなことが起きています。

(資料2 12枚目)

 今はもうちょっと進化していまして、時間の長さと場所の自由度を3掛ける3のマトリックスで選べるようになっています。ですから、家に帰ってからまた働きたい人もいらっしゃって、できるだけ会社に来たくないけれども夜でも働くという人もいるので、そういう人はA3ですね。場所は自由だけれども長く働く人もいるし、短いけれども会社に来ていいよと、会社があそこに行けと言ったら行くというC1みたいな働き方もある。これを選んで、メンバーで共有していますから、あの人は何かとぱっと家に帰ったと言っても、あの人はA3だからとか、C3だからとか、こんな感じで働いています。

(資料2 13枚目)

 そうすると、ママさんでも重要な役をする人が出てきまして、これは一番代表的な中根弓佳ですが、彼女は30代で2人子供がいて、今日は下の子が保育園の卒園式で会社には来ておりません。5時半になると退社していますが、一部上場企業の執行役員をしている。こんな人まで出てきました。

(資料2 14枚目)

 それから、育児休暇を6年間取れるといったら、4年8カ月くらい取る人が出てきて、大抵1年くらいで戻ってくるんですけれども、長く取る人も出てきたりしています。

(資料2 15枚目)

 これはちょっと面白いのですけれども、ストックオプションを機に辞める人が結構いて、ストックオプションを貰うと株価が上がると働く気が失せるわけです。売ったら何百万、何千万貰えたりするのに何故だというようなことがあって、それでストックオプションを廃止して持ち株会というものにしました。

 資産を増やすのは皆のモチベーションの一つですけれども、ここで補助金を出すんですが、100%同額補助金ということで、自分で3万円毎月払うと、もう3万円会社から毎月貰えて、6万円分株式が買える。これが結構お買い得だぞということで、今は90%の社員が持ち株会に入っていまして、どんどん社員が株式を買っているので大株主になってきて、今1位と2位が創業者の私と畑なんですけれども、何と第3位株主に社員持ち株が上がってきて、株価が低迷しているものですからどんどん買っていって、もうすぐ社員に買収されるんじゃないかというところです。

 これも、本当に未来の働き方を考える上では面白いことだと思っているんです。社員が保有する会社という考え方が起きそうな感じになってきています。

(資料2 16枚目)

 あとは、在宅勤務を普通にやっています。

(資料2 17枚目)

 それから、時間のシフトも認めるようにしたので、朝型の人は朝に働くとか、夜型の人は夜に働くということができます。

(資料2 18枚目)

 それから、辞めて復帰できるという制度を作ったりしました。

(資料2 19枚目)

 あとは、副業を自由化しました。ですから、サイボウズで働きながら会社に断わりなくどこかで働いて良いというものになります。色々な人がいまして、カレー屋さんでカレーを作っている人もいたり、カメラマンをしている人がいたり、彼が一番有名なんですけれども、中村龍太というのはもともとマイクロソフト出身で、サイボウズに転職する条件が副業をさせてくれ。サイボウズで働きながら、ほかのシステムインテグレーターで働きながら、かつ農業をしております。

 これが会社にどんな影響があるのか分からなかったんですけれども、最近農業のIoT化が進んでいまして、彼は両方分かるわけです。それで、今、彼は総務省のIoTの委員会で農業とIoTについて多分一番誰よりも詳しく語れる。農機具はどのメーカーの何が幾らするかまで分かるわけです。本当に農家の気持ちが分かるITみたいなものが出てくる。これは面白いということが起きたりしています。

(資料2 20枚目)

 これだけ多様化したときに、ではどう評価するんだという話があります。私たちも結構困ったんですけれども、今、行きついているのはこの「市場性」というところになります。

簡単に言うと、この人がもし今、転職したいと入ってきたら幾らつけるのかという話です。転職していくときに、大体この人は幾らくらいの幅で評価される人なのかを基準にするということに今は落ち着いています。

 なぜかというと、社員が多様なので社員同士を比較することが難しいです。早く来る人もいれば、家で働く人もいれば、やっている職種も全部違うのでわけがわからない。その給与テーブルで社員同士を比較することは止めて、あくまでも転職市場と照らし合わせてどうなんだというところで今は落ち着いております。これが良いかどうかわからないですけれども、今はそうなっております。

 そうすると、ある意味、社員からすると、私は市場性から考えたらもっと他で給料を貰える人ですよ、サイボウズさん、青野さんはもっと私に給料与えるべきじゃないですかと交渉する余地が出てくるわけです。

(資料2 21枚目)

 そうしてくる子もいっぱいいますけれども、結論としてはそんなに給料の高騰というのが今は起きておりません。これは、上場ソフトウェア企業の平均年収一覧です。今、サイボウズはパッケージソフト業界のこの辺にいます。33.8歳の601万ということで、どちらかというと安いじゃないか。

 ただ、この中には週3日しか働かない人もいますし、女性も相当な割合でいますし、会社に来ない人もいっぱいいるということです。

(資料2 22枚目)

 ただ、今はちょっと制度の面白い話だけをしたのですけれども、変えるのは制度だけでは駄目だというのが結論です。

 1つは、ツールです。では、家で働くのに家で働ける環境がなければ働けないという話になるので、では働き方の多様化を実現するツールをちゃんと入れましょう。どんなツールを入れればいいかというと、簡単に言うとチームで働くためのツールになります。もっと言うと、仕事をチームで共有できればいい。あの仕事を今、誰がやっていてどこまで進んでいるのか。それを皆で見られるようにする。

 これが皆で見られると、例えば私が子供が熱を出してぱっと帰っても、私が持っていた仕事が幾つあって、それがどこまで進んでいるのか、他のメンバーは見えますから、引き継いでやってくれることができる。これが、こういう紙であったり、属人化していると、結局私がやらないと誰もできない。

(資料2 23枚目)

 例えば、皆さんメールの返答というのは個人がやらないといけないと思っていませんか。メールというは個人宛てに来るので、その人がいないと返せない。メールが来るから俺は帰れないと思ってしまうんですけれども、これも共有してしまうわけです。それで、例えば営業だったらsales@~とか、代表メールアドレスで受けてしまえば、自分が答えなくてもそれを引き継いだ他のメンバーが答えてくれるわけです。それで、ノウハウも全部そこに貯まるので、これは教育にも活かせますし、とても良い。とにかくこの「ワーク」を共有するという発想にシフトしていくんじゃないかと思います。

(資料2 2425枚目)

 そうなると、サイボウズ製品を使ってくださいということを書いているんですけれども、こういうものです。今は便利なツールがありますので、是非使ったらと思います。

(資料2 26枚目)

 あとは、リアルオフィスがどうなるのかをちょっと見ていまして、私はもうリアルオフィスは要らないんじゃないかと思って、去年、人数が増えたので引っ越ししないといけなくなって、リアルオフィスを止めましょうといったら結構反発を食らいました。それは若手のメンバーから結構反発を食らって、やはり先輩の近くにいないと仕事を覚えるのが遅くなるし、まだまだ私は自立できていないので家では働けませんという話があって、では本当にリアルオフィスが必要とされている要件だけを満たすように再設計しようよということで、日本橋にオフィスをつくり直したというものになります。

 本当に来たくなるような、五感に刺激を与えるような造りになっています。これは酒場みたいですけれども、キッチンが付いていて酒場みたいになっていますが、一応会議室です。こういうものがあると会社に来たくもなるし、来ても話も盛り上がる。つまらないオフィスだったら、もうそれは要らない。そんな時代がくる気がします。

(資料2 27枚目)

 あとは、「風土」ですね。制度とツールがあっても結局、使いこなす風土がなければ上手くいかないということになります。

 では、どんな風土を作ればいいのかというところを御紹介すると、まず絶対必要だと思っているのがこの公明正大という文化、風土になります。言い換えると、嘘を決してつかないようにしておかないと、働き方を多様化すると崩壊します。在宅勤務しますと言っておいて家で寝ている。それで、私は家で働いていましたと言う。そうなると、お互いに信頼できなくなって、やっぱりお前は来いとなる。この絶対嘘をつかないような社風を作っていくということが、実はこの多様化をしたときにインフラになります。これができていないと、残念ながら多様化なんてできないと思っています。

(資料2 28枚目)

 では、これはどう作るのかという話ですけれども、シンプルに言うと嘘をついた奴を徹底的に追及するということになります。本当にちょっとしたことで、遅刻したときに遅刻した原因の嘘をついたりとか、会社の中にいると小さい嘘をつくチャンスがいっぱいあるんですけれども、そういうのは絶対許さずにとっつかまえて皆の前で謝らせるというようなことを徹底していると、当たり前ですけれども、この会社は嘘をつかない方が良いんだということになっていく。

(資料2 29枚目)

 もう一つは、多様化したときに自立を引き出す必要があると思っています。例えば、朝来る時間は9時じゃなくても良いわけです。それで、若手の社員は、では私は何時に来たらいいんですかと聞くんです。知らない。考えろ。おまえは何時に来たいんだ。どんな働き方をしたいんだ。それを問うて考えさせて、自分で答えを出させて、その結果に責任を持たせるようにしていかないと多様化なんかできないと思っています。この公明正大というのと、自立させるというのが2つ大事です。

 もう一つは、では自立させたときに私はこんな働き方をしたいです。でも、その制度がないので困っていますというときに、ちゃんと提案して周りを動かせる力がないと、結局その人はスポイルされるということで、このコンサルの会社などで使っています問題解決のフレームワークですね。これを新入社員の時から教えていて、提案させる時はこのフレームワークに沿って提案させる。これは強制しています。

 こうすると、皆が、私はこんな働き方がしたいです。なぜならば、現実はこうなんですけれども、理想ではこう思っておりまして、こんな原因があるのでこんな課題設定をしたいですというようなことを新入社員でも偉そうに喋る。こんなことが起きています。

(資料2 3032枚目)

 あとは色々書いていますけれども、これだけ制度をいっぱい作るとぶら下がる人が出てきませんかと良く言われます。それを防ぐにはどうすればいいのかということの私なりの答えなのですけれども、目的を徹底させるということになります。在宅勤務の制度があるんだから、私が家で働いて何が悪いんですかと言われた瞬間に負けなんです。育休を6年取れるんだから5年取って何が悪いんですかと言い始めると、信頼関係が崩れて、何か制限を入れなきゃなとか思い始めるわけです。

 そうではなくて、では育休を6年取れるのは何のためなのか。在宅勤務ができるのは何のためなんだ。それは、私たちがもっと良いグループウェアをつくってそれを広げるためでしょう。そのために使ってください。その目的以外でこの制度を使うんだったら廃止するよということを徹底するということになります。これができれば、そんなに悪用する人はいないし、悪用する人が出てきたときには周りの人が注意をします。おまえ、その使い方は目的に沿っていないんじゃないかと注意する。そうすると、自浄作用でぶら下がる人が消えていくことになります。そんなことが今、起きております。

(資料2 33枚目)

 最後のページですけれども、2035年に私の理想とする一人一人が個性的に働ける社会にしようと思ったときに、こうなるといいんじゃないかということを幾つか挙げてみました。

 いっぱい書いたので2つ目だけ紹介しますと、法人が強過ぎる気がします。人が集まって、個人が集まって法人になるんですけれども、法人がバーチャルなものにもかかわらず、法人が命令をするわけですね。おまえは何時に来い、ここで働けと言うわけです。この法人がすごく力が強くてどんどん拡大するし、資産がたまって相続税すら払わないし、永続する会社が良い会社とかと言われるわけです。生身の人間は死ぬのに、何でバーチャルなものが永続しないといけないのか。本当に理屈はよく分からないんですけれども、私たちが当たり前だと思い込まされているところがあるのですが、法人の力を下げて個人に、生身の人間に力を戻してあげる必要があると思っています。

 法人は、ある意味で潰れても構わない。そこにいた生身の人間が生き生きと生き続けるんだったら、会社が吹っ飛んでも全然構わない。バーチャルなものだから、誰も痛くない。そういうふうに、法人よりも個人というふうに考え方をシフトさせないと、この働き方というのはいつまでも法人というよく分からないけだものに支配されることになるような気がします。

 副業などもそうですね。法人が副業するなというわけです。おまえは何様の権利をもって俺の働き方を制限するんだ。俺は2つ仕事をしたいんだ。何でそれを認めないんだと思うわけです。なので、法律でできるとすると副業を禁止するのを禁止してほしい。私がパナソニックに勤めていたときは、原則副業は禁止でした。ああいうものを取り払っていかないと、なかなか個人に力が戻らないような気がします。

 以上になります。ありがとうございました。

 

○金丸座長 

最後の所感の部分をもう少し詳しく聞かせてください。

 

○青野氏 

33 枚目の5番目は中野さんの分野かもしれませんけれども、性別役割分業というのがこの働き方を阻害していると思います。よく女性の社会進出を進めましょうということがあるんですけれども、これもやはり車の両輪で、男性の家庭進出を進めないで女性で社会進出を進めると、女性は家庭も社会も両方担わないといけなくなる。言いかえると、男性が家庭進出をして社会進出を下げてあげないと、会社でめちゃくちゃ働いた後、家でイクメンしまくって疲弊して倒れるというようなことが起きます。だから、男性大黒柱思想みたいなものを捨てて、どちらがやってもいい。社会進出も家庭進出もどちらがどうやってもいいというような価値観に切りかえていかないと、なかなか性別役割分業というのは減らないかと思ったりしています。

 あとは、6番目も先ほどの流れと一緒ですけれども、今、会社に出てこいというルールをほとんどの会社は決めていると思うんですが、あれを禁止してほしいです。もちろん出てこないといけない仕事については仕方がないけれども、必ずしも出てこないでもやれる仕事に出てこいというのはやはりおかしいと思います。それは個人の力を奪っていると思うので、それは是非禁止してほしいと思います。

 

○金丸座長 

ありがとうございました。

 では、早目に退室される小林りんさんからいきましょう。

 

○小林()氏 

大変ワクワクする思いで拝聴しました。ありがとうございました。

 私たちの学校も、立ち上げなどのときはほぼ全員リモートで、20人中8割女性、半分お母さんというような感じの布陣で、常勤は2人であとは皆自宅から勤務して週に1度だけオフィスに集まるような体制だったのですごく良く分かります。

 そこで、3つ伺わせてください。働き方という意味ではかなり既に自由に設定されていらっしゃると思うんですけれども、働き方を設計するに当たって制度面からいってこういうことが変わったらこんなことがやれるのに、とか、やりたいのに今何か規制があるからできないとか、そういうことがあるかどうかというのが1点です。

 あとは、前回の松尾先生の回でも、労働は「組織」から「個」に移っていくというのがキーワードだったと思うんですけれども、そうすると、やはり失業という概念がすごく変わってくると思うんですけれども、そういう時代における失業保険とか失業手当について、何かお考えがあるかということが2点目です。

 3つ目に、さっきの育「自分」休暇ですか、すごく素敵な制度だと思ったんですけれども、そういうときの学び直しについては、激変する世界の中で色々なことを自発的に色々な人が学んでいく時代だと思うんです。そういうときに、今日は手元に厚労省さんの資料があって、学び直しを政府が環境を整備するというようなことが書かれていますけれど、それはどういうふうに御覧になっているかということを3点伺えればと思いました。

 よろしくお願いします。

 

○金丸座長 

では、青野さんよろしくお願いします。

 

○青野氏 

1点目の法律の規制によって何かできていないことがあるかという御質問については、それは大体ないかと思っています。何となく説明がつく形でできていて、よくここの法律を直してくれたらみたいなアイデアはありますかと言われるんですけれども、今でも何とかなっているのであまり変えなくても良いかなと思います。

ホワイトカラーエグゼンプションとか、ああいうものを入れないとできないかと言われると、何とか説明がつくよねというようなことで、時々は労基署と闘っています。時々、闘っていますけれども、いい感じの緊張感くらいでいっているので、そんなに困ってはいないです。

 2点目の法人が潰れたときの失業の考え方なんですけれども、確かにそうなのですが、そことセットで考えたいのが副業という考え方で、もし私がパナソニックに入ってずっとパナソニックしか知らないまま50歳で会社が崩壊したら、私は本当に行くあてはないと思うんですけれども、副業をしていいよというようなことが当たり前の時代になっていれば、多分それなりの年齢になってきたらちょっとほかの会社のアドバイスもしようかということで、副業で顧問として色々な会社を見る。そうすると、パナソニックが潰れても、私自身は生きていけるんです。そんな感じの時代が来るんじゃないかと思っています。

 それは3番目の御質問の学び直しのところもそうなんですけれども、自分の会社で自分の仕事しかずっと見てこないから学び直しをしないといけないんですが、もっと色々なところを見ている人というのは、実はそちらの副業先でいろいろな知恵をつけていたりするので、実は学び直しという観点においても副業というのは進めておくべきじゃないかと思ったりします。

 ですから、確かに失業する人が出て失業保険の制度が必要なのかもしれないですけれども、この副業あたりとセットでうまく進めればそんなに悲惨なことにはならない気がするのですが、どうでしょうか。

 

○金丸座長 

他に、どなたかいかがですか。

 

○磯山事務局次長 

青野さんに伺いたいのですが、市場価値で人事評価をするというのは的確だと思うんですけれども、でもそれは長く働いて私くらいの年になってきて、あとは会社にぶら下がっていたいなと思い始める年代になった人にはすごく厳しい制度で、これはまだ平均年齢はすごく若いので成り立っているだけで、実は皆、高齢化してくるとすごく苦しい制度なんじゃないかというイメージがあるんですが、その辺はどう考えていらっしゃいますか。

 

○青野氏 

仰るとおりでして、今、遂にサイボウズも50代に入ってくる人がそれなりの数出てきて、市場性からいくと下がっていくはずなんです。転職するのに厳しくなりますから下がっていくので、今は何を勧めているかというと副業しろと言っているんです。申し訳ないけれども、お前がいるとこのサイボウズにおける価値が下がる。認めろ。もうそれは若いメンバーに任せていかないといけないし、でもお前の今まで培ってきた知識は他のソフトウェア会社にとっては資産になるはずだから、それを他のソフト会社なり、もしくは他の会社なりに還元したらどうだと言っているんですけれども、どうなるか分からないです。

 ただ、いけそうな気がしているんです。何が良いかというと、面食らったような顔をするんですけれども、それを突きつけた後、彼は本当によく考えるんです。自分のキャリアについて考えたりして、そこで自立心が生まれるんです。私は仕事人としてこれからどう生きていきたいのだろうか。このサイボウズを離れたときにどんな可能性があるのだろうかというところに目がいき始めるので、意外と生き生きするんです。給料は下がっているのに、何か生き生きし始めるというようなことも起きています。面白いです。

 

○金丸座長 

今、温かく感じました。

 磯山さんは、別に個人的には何の問題もないでしょう。

 

○磯山事務局次長 

新聞社というのは昔は副業が文化だったので、副業がなかったら今の私はないと思うんです。ですから、副業で人を育てるというのはある意味、非常に正しい戦略だと思いますが、やはり年を取ってきてだんだん体力がなくなったりすると、また副業も辛いなとか、早く年金が欲しいなとか思ってくる人もいるのは事実だと思うので、多分サイボウズは若くて元気でバリバリ働ける人が勤める会社なんだなというふうに批判されることも多いんじゃないかという気もするのですが、どうですか。

 

○青野氏 

そうですね。若くて元気でバリバリ働ける人が多いのは多いんですけれども、私たちが大事にしている人は多様性で、ハンディキャップを持っていてもOKだし、体調が悪いので週3日だけしか働きたくないというのもOKだし、副業しながら働くのもOKだし、全然サイボウズに全力を尽くせなどと言うつもりはない。色々な人がいていいんじゃないかと思うんです。のんびり働いて、のんびり給料をもらって、のんびり過ごす人がいてもいいと思いますし。

 

○金丸座長 

柳川さん、どうぞ。

 

○柳川事務局長 

大変ありがとうございました。副業推進の話はまさにそのとおりで、私が言っていることもまさにその話だと思って、少なくとも日本に関してはそういう仕組みが大事だと思うんです。

 それで、幾つか御質問したいんですけれども、1つはやはり今、出ています自立というところが多分一番のキーポイントで、そういう話がある前提だろうと思うんです。さっきの磯山さんみたいな心配も、自立を自分で考えられる頭があればかなり切り開いていけるのだろう。

 そこで、最初からそういう自立心がある社員ばかりではないというお話があったと思うんです。そういうものを経験させるというか、考えさせることで自立心が芽生えてくるというお話だったかと思うんですけれども、それは本当にある程度、何も考えてこなかったような社員でも、しばらくそういう自立して考えろとやらせるとできてくるものなのか。そこは、やはりできる人とできない人がいるのが現実なのか。そのあたりを伺いたいというのが1点目です。

 もう一つはチームワークの話で、これもよく日本で言われる話は、チームワークというのは長期で皆が一緒にいるからできてくるもので、そんな離職率が高いところでチームワークなんか育たないんじゃないかという議論が割とあると思うんですけれども、それに関してはどういう反論をされるのか。あるいは、そんな長期なんか必要ないと考えるのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

 3点目はテクニカルな話なんですけれども、社員持ち株会の話があって、これは辞めたときにはどうされるのか。売るのか、持っていっていいのか。そのあたりがよく分からなかったので、教えていただきたいと思います。その3点です。

 

○青野氏 

1点目の自立心の高さは人それぞれ、まさにそのとおりで、なかなか育たないなという人もいらっしゃいます。

 ただ、全員が俺はこう働きたいというところまで上げようとも思っていない。というのは、私はそんなことを考えるのは苦手なんです。言ってくれたらやりますので言ってくださいというのもある意味、自立だと思っています。ただ、それを自分で受け入れて責任を取るという覚悟があるということですね。わっとパニクってしまって、もやもやしているような人を出さない。そういう意味で、自立という言葉を使っています。なので、分からないんだったら分からないでいいけれども、その代わり言われたことを受け入れるつもりでやるんだったらやろう。そんな育て方をしています。

 2つ目について、もう一度御質問をお願いします。

 

○柳川事務局長 

チームワークあふれる会社をつくるということで、チームワークがとても大事だという話をされていて、日本の会社でよく聞く話は、長期雇用で皆がずっといるからチームワークがいいんだ。これが皆ばらばらで、すぐ辞める人ばかりだったらチームワークが育たない。だから長期雇用が大事なんだというロジックをよく聞くんですけれども、そういうものでもないような気がするのですが、そこはどうお考えですか。

 

○青野氏 

うちもチームワークを掲げるので、チームワークに関する研究の文献を色々見てみたんですけれども、チームの定義みたいなものがあって、共通の目的があって共感しているメンバーがいる。シンプルに言うと、それがチームだ。なので、ばんばん入ってばんばん抜けていっても、短期間楽しければいいじゃないかということに皆が共感していれば、ある意味チームとしては成立している。その目的で皆がワークすればいい。

 ただ、悲しいのはその目的がずれている。それは、皆で長く良いチームを作りたいのにという人と、いいじゃないか、短期でばんばん入って抜けてという人と共存するとチームとして理想がぶれている。こうなると、お互いに心地よくなくなる。ですから、これから会社に求められるのは共通のビジョンをはっきりさせようというのが大事になってくると思います。

 私はまたパナソニックを揶揄って申しわけないんですけれども、幸之助さんという偉大な人がいて、そこに水道哲学というビジョンがあったんです。ところが、私が入ったときには幸之助さんはもうお亡くなりになっているし、売り上げ目標だけそこにあったんです。それで、水道哲学というのは安く広くという発想なんですけれども、何かえらく高いものを作っていないか。にもかかわらず、水道哲学だけ残っている。それで、売り上げ目標がある。そうすると、共感できるビジョンがない状態になっている。これは、チームとしてある意味成立していない。

 ですから、これからこの多様性を重視しようと思うと、その多様性をカオスにしないための支柱となるビジョンというものがとても大事になってきて、これをはっきり持っていない会社は多様性を入れた瞬間にカオスになって終わる。そんな感じがしております。

 3つ目の持ち株会のところは、やめた社員はそのまま株式を持っていくことができます。

 

○金丸座長 

副業の種類というか、あるいは副業先の会社の制約、要するに競合している会社は駄目とか、そういうのは何かあるんですか。全く自由なんですか。

 

○青野氏 

条件がありまして、このサイボウズに不利益をもたらさない副業であることというのがあるので、競合に行ってもいいんですけれども、自社の情報を漏らすとか、こうなると不利益になるのでそれは止めてくださいということと、もう一つはサイボウズの名前を使って副業する。私はサイボウズの開発部の誰ですと言って副業するときは、報告はください。そうしないと、サイボウズブランドが色々なところに出ることになるので、それは報告ください。それ以外は、基本的にフリーです。

 なので、私たちも実は把握できていないんです。この間、カレー屋でバイトというか、カレーを作っている人がいるというのがわかってびっくりしました。

 

○金丸座長 

うちも、カレー屋で起業した人がいました。

 松尾先生、どうぞ。

 

○松尾氏 

とても面白いお話をありがとうございます。感動しました。私がいつも考えているのと同じことを的確に言っていただいて本当に感動したんですけれども、質問が3つほどあります。

 まず、大学の中でも私は多様性を重視したいと思って、自立させるにはどうしたらいいかとか、問題解決メソッドが必要なんじゃないかとか、そういうことをいろいろ模索してきました。大学の中もグローバル化しないといけないと言っていますが、私は絶対できないんじゃないかと思っています。

 なぜかというと、英語の問題じゃなくて表、裏があるんですね。本音と建前のところがすごくたくさんあって、これはグローバルに絶対通用しないんじゃないかと思います。多分役所などもそうじゃないかと思うのですが、そういったところで多様性を増やしていくためにはどういうことをやっていけばいいのかというのが1つ目の質問です。

 2つ目はすごく腑に落ちることがたくさんあるんですが、なぜ青野さんはそれを発見できるのかということです。

 3つ目は、先ほどアルファ碁の話がありましたけれども、今まさに対戦していてずっと気になってしようがないのですが、今は結構均衡しているようですけれども、昨日はアルファ碁のほうが勝ちました。これは歴史的な勝利で、昨年の10月にヨーロッパチャンピオンの2段に勝ったのが、今、対戦しているのは9段ですから、わずか5カ月の間にそこまで腕を上げているということで、ディープマインドという会社は圧倒的な開発力だと思います。

 やはりポイントはそのディープラーニングの技術を使っているというところで、ディープラーニングの技術で一番大きなわかりやすい革新が画像認識の精度が向上する。要するに、人間が目で見てわかることはコンピューターにも分かるようになるということだと思うんです。

 そのときに、その画像認識の精度が向上するということが、恐らくサイボウズさんのシステムの中に組み込まれるか何かによって働き方がどういうふうに変わってくることにつながるのかをお聞きしたいのというのが3点目です。

 

○青野氏 

1点目の表、裏のところは全く同じだと思っていまして、表、裏があるまま多様化することは無理だと思っています。多様化すると、さらにより一層、その表、裏が発見しづらくなって、お互いの信頼感がさらに下がって、チームワークの効率が悪くなるので多分崩壊するので、その表、裏を無くすというのは絶対条件のような気がします。

 公明正大という言葉は、明らかになったときにこれは正しいと言える状態なので、そこは厳しく見ています。

 

○松尾氏 

表と裏は本音と建前というか、割と日本文化としてそういうふうになっているところがあると思うんですけれども、そういうのはもう無理ということなんですか。

 

○青野氏 

そうですね、無理だと思います。例えば、サイボウズは何を禁止しているかというと、会社について酒場で愚痴を言うのを禁止しているんです。それは言うな、卑怯だ。それを聞くプロセスまで用意しているのに、何か足りなかったら聞いて取り入れるプロセスまで作っているのに、それを酒場で言うのは卑怯だ。それはこの自立の精神に反するから止めろということを社員に言っています。

 そうすると、面白いです。それを私が毎日言うものだから社員の間でも浸透していて、社員同士で酒場に行って愚痴を言うと、社員同士でお前それはおかしいとか言うみたいです。それは大事かと思います。

 2つ目の、なぜ青野は発見できるのかというところはちょっと私も分からないので、逆になぜ日本企業はこんなに変われないのだろうと思うんです。やったら楽しいのに、なぜやらないんだろうと思います。

 

○松尾氏 

やはり、作られている製品に関連するんですかね。

 

○青野氏 

そうですね。そういう意味では、私が起業するときにこのグループウェアというものを選んだわけですけれども、インターネットの技術を見たときに90年代前半、94年とか95年あたりを見たときにやはり衝撃を受けたんです。技術者として衝撃を受けて、そこでこれからインターネットで物が売れるということで三木谷さんはECのほうにいくし、これからインターネット広告が出てくると思った人はネット広告をやるんですけれども、私はやはりそれがともに働く人を幸せにできる技術だなと思ったんです。

 これで簡単に情報共有できて、皆、楽しく働けるぞ、わーいみたいなことを思って、それがやりたくて起業したので、もともとマインドとしてはそちら向きだったのかなと思います。

 あとは、この人工知能のところがどういうふうに働き方に影響を与えるのかは実は私も答えがまだなくて、めちゃくちゃ便利にしてくれそうな気もする反面、もしかしたら一歩間違えると人間の楽しさを奪うものにもなりかねないという気はします。例えば、エクセルでこんな作業をするのが好きなんですという人に、それは人工知能ですぐ終わるからと言ったら、ではこの人は何を次に楽しみにしていけばいいんだろうかとか、そんなことも起きるのかなと思うんですけれども、ただ、歴史上は奪われる仕事もあれば生まれる仕事もあるので、多分、何かまた面白いものが見つかるんじゃないかと思ったりします。

 

○金丸座長 

中野さん、どうぞ。

 

○中野氏 

1個目は感想で、御本は大変面白く読ませていただきました。ダイバーシティの議論は今多くの会社がやっているんですけれども、女性活用とか、外国人、高齢者、障害者などのカテゴリーの話が中心になっています。働き方のダイバーシティという意味で、既に多様な社員をどう生かすかというところで、公明正大とか、自立心というキーワードを出されたというのはすごく斬新で、他の誰もこうした内容を打ち出せていないという意味で非常に面白く読みせていただきました。

 あとは、これも感想なんですけれども、私も、先ほど仰っていた、「会社にぶら下がる人が出てくるんだけれどもどうすればいいですか」というような質問をすごくよく受けるんですね。それで「目的に合っていない制度は廃止する」というやり方は目から鱗でして、この間ダイバーシティ系のイベントで早速引用させていただきました。

 質問なんですけれども、先ほどリアルオフィスのお話があって、サイボウズさん自身もトライされていると思いますし、あとはグループウェアを売られている会社として顧客企業も含めてどうなるかというところでお伺したいことがあります。ちょっと話がずれるようですが、昨今、保育園の待機児童問題がすごく話題になっていて、毎年この時期は話題になるんですけれども、待機児童の解消と保育の質というところで、子供が伸び伸び過ごせる場所を確保しながら待機児童を解決しようとすると、東京で解決しようとするんじゃなくて仕事を地方に持っていって、そこに保育園を作るほうが現実的なんじゃないかという気がしてきているんです。

 それで、先ほどの3掛ける3の働き方で、場所のほうは自由とはいっても80%以下という形になっていて、やはりそのパーセンテージが20%、30%、あるいは本当にゼロに限りなく近いような、ほとんど会社に来ないという形がどこまで成り立つのかというところをお伺いできたらと思います。

 それから、今日はあまり話題に出なかったんですけれども、本の中で社員が家族の事情で地方で働きたい場合、その地方拠点の開設を認めているというようなことを仰っていて、そういう形での場所の選択性というのがこのグループウェアによってどれぐらいまでならば可能なのかというところを教えていただきたいです。

 

○青野氏 

場所の自由度についてですと、ほとんど出社しない社員はいます。月1回という人もいますし、何カ月ぶりかに会社で見ましたという人もいます。それが成り立つのは、その人が自立してくれていて自分の成果物をちゃんとグループウェア上で共有してくれているので安心して任せられる。彼は公明正大だし、任せられます。なので、まあまあいけるんじゃないかと思います。

 ただ、職種によっては無理な職種もあるのは事実で、営業でお客さんとかに会いに行かないといけない人は、その職種についている以上はこの場所の自由度はここまでしか下げられませんというのはローカルルールとして決めてもらっています。一応、会社の方針としては在宅は自由ということを言っているんですけれども、部門にその承認権限を渡していて、この人はここまでとかというのは各部の部長が決められることになっています。ですから、お前は新人だからまだ会社に来いというのも部長の権限としてできる。そうしないと、なかなか実用上ちょっと厳しいかなと思っています。

 あとは、場所をどこまで自由にするか。私はハワイが好きなのでハワイに行ってハワイ拠点を立ち上げますというのが認められるかどうかですけれども、そこで大事になってくるのが市場性というものだと思っていまして、今からハワイに行って拠点を立ち上げたいという人に私たちは幾らつけるんだろうかというところで給料の提示をする。それが、今までの給与を維持してくださいという話になると、ちょっと待て、それは話が違う。うちの会社では給与は市場性なんだから、ハワイに行っても多分グループウェアはあまり売れないだろうから、お前はこれぐらいまで下げるよというような会話ができる状態にしているということです。

 東京から九州に移った社員も、給料はやはり瞬間的には下がりました。ただ、そこで実績が上がってくるとまた戻ってくるみたいな感じでしょうか。

 

○金丸座長 

ちなみに、12ページのPSDSとかはどんな意味なんですか。

 

○青野氏 

PS DSはプレイステーションと任天堂DSをとっているだけで、意味はないんです。なぜそんなことにしたかというと、避けたかったのは上下関係を意識させたくなかったんです。長いこと働く人が偉くて、短く働く人はだめであるというふうにしたくなかったので、比べようのないもののネーミングにした。本当にそれだけのことです。

 本当は2種類あったんですけれども、途中でもう一個ふえたので、PSPS2PSに分かれたという感じです。

 

○金丸座長 

ありがとうございます。

17ページの絵の一番右上のウルトラワークと書いてあるところにいる人の仕事に対して、労働基準監督署にはどんな説明をしているんですか。

 

○青野氏 

そこは戦うネタにもなるんですけれども、基本的にサイボウズの社員はできる限りいわゆる企画業務社員みたいにしていて、裁量労働型で届け出をしています。

 ただ、一部、サポートのメンバーは来たお問い合わせに対して答えるわけだから、これは企画業務じゃないだろうということで指摘されたので、そこは確かにそういう面はありますねということで、サポート業務のメンバーは違う形の時間管理をしているということにしています。

 

○金丸座長 

ありがとうございます。他に何かありますか。

 では、小林さんどうぞ。

 

○小林(庸)氏 

非常に面白かったです。どうもありがとうございます。

 特に育「自分」休暇ですか、これはいいなと思って、私もこの会社に入って4年ぐらい働いた後、経済産業省で2年ちょっと働いたんですけれども、あのとき私は任期付任用というステータスで行ったので退職しなければいけませんでした。そのため復職の際は中途採用で面接を受けて入る形で、これがあったらもっと快く行けたと思ってうちの会社も欲しいなと思いました。

 それで、質問なんですけれども、テレワークについては理解がかなり進んできて色々な会社もやり始めていると思っているんですけれども、やはり副業はまだまだハードルが高いという気がしていて、先ほど仰っていたことで副業の条件は2つだ。サイボウズさんに不利益をもたらさないことと、サイボウズさんの名前を使うときは届け出るということなんですが、それだけで基本的に問題は解決できているのか。それとも、やはり労務管理みたいなところが曖昧になってしまって何か問題が起きることがないのかというところが1つの御質問です。

 もう一つが、先ほどの社員が提案をして人事制度を変えていくという、ある種ボトムアップで変えていく仕組みですとか、あとはビジョンを共有するというのが多様な働き方で大事だと仰っていたと思うんですが、それをやるためにどうやったらそれができるのか。言ってもなかなか会社の制度を変えてもらえないみたいな経験が蓄積してしまえば誰も言わなくなると思うので、おそらく会社の方針が変わっていくことが目に見えていくことが大事だったり、社長がビジョンを常に言い続けることが大事だったりすると思うのですが、そこの具体的なやり方というのを教えていただけないかというのが2点目の質問です。

 

○青野氏 

1点目の副業問題のことですけれども、起きています。具体的には、例えば講演依頼を受けたときに、これは個人で受けるべきか、会社で受けるべきか。講演料を個人の懐に入れていいのか、会社に入れていいのか。はっきりサイボウズの何々という約束で来てくださいと言われたら、それは会社で受けたらいいと思います。平日の昼間の講演だったらそうなんですけれども、平日の夜ですとか結構微妙なものもいっぱいあって、でも内容は会社のことを喋らないわけにもいかないので、これは微妙というものがあります。

 そこで、やはり効いてくるのが公明正大という価値観で、私はこういう判断でもって今回は個人で受けましたということを嘘偽りなく話すことができることが、副業を認めるインフラとして大事かと思います。

 あとは、事例がいっぱい貯まってくると何となく判断基準ができてくるので、今、事例をどんどん貯めていっているところです。

 もう一つは、社内の人から、おたくの社員はこんなところでこんな仕事をしていますよという指摘が入ることがあって、結構ここで言いにくいような内容だったりすると、それはどうしようか。一応そういう報告があったということだけ本人に伝えますけれども、だからと言ってやめさせたりはしていないです。どこまでが公序良俗なのか、難しいですね。多分色々起こると思うんですけれども、それは問題が起きたときに包み隠さずに共有して課題を設定していく文化があれば、むしろ問題が起きたらそれはそれで楽しいという感じです。

 それから、もう一つはビジョンの徹底の方法なんですけれども、ルールを社員に公開するときに目的と必ずセットで共有するというのを徹底しています。それで、この人事制度は何のために作ったんだということを徹底しています。例えば部活動補助、部活動に入ると1部当たり1人年間1万円貰えるんです。野球のユニフォームにしたり、皆の飲み会に使ったりするんですけれども、では部活動補助は何のためにあるかというと、これは部をまたがったコミュニケーションを円滑化するためである。

 ですから、部活動は必ず3つの部以上にまたがって人を集めないといけないとか、活動した報告は必ず全社掲示板で報告しなければいけない。なぜならば、この部活動というのは部を超えたコミュニケーションを活性化する、それは、グループウェアの開発にとっても生かされるはずだということです。ですから、その情報発信なくして部活動をしても補助は出しませんよという感じです。

 だから、ルールと目的は常にセットで理解してもらうようにする。ルールだけが一人歩きすると怖いです。ルールがあるのにいいじゃないですかみたいなことを言われるので。

 

○松尾氏 

そうすると、制度ごとに目的を明示するんですか。

 

○青野氏 

そうなんです。本当に面倒くさいんですけれども、ルールには必ず、こういうビジョンを持ってつくったルールであると明示する。もしそのルールだけ出すとすると、本当に細則をいっぱい決めなければいけなくなってくるんです。この穴を悪用する人を防ぐためにどんどん細則を出していくと、全然面白くないルールになっていく。だから、ビジョンを出してそれに共感してもらった上でルールを出すことが大事かと思います。

 

○中野氏 

さっき松尾先生も仰っていたんですけれども、他の企業がこれを真似したいと思ったときにどうしたらいいのでしょうか。青野社長のこれまでの経緯というのは、多分いろいろ試行錯誤しながら失敗したらこういうものを入れてみるという形でやられたと思うんですけれども、今は既存のガチガチの制度はこうなっていますというような企業が移行していくとしたら、どういうプロセスがあり得ますか。

 

○青野氏 

例えば労働時間なんですけれども、サイボウズの場合はめちゃくちゃ働いてもいいんです。めちゃくちゃ働くもよし、短時間で働くもよしなんです。それが、今ガチガチの長時間労働をやっている会社にそれを入れたときに、多分何も変わらないだろうと思うんです。皆、長時間労働に慣らされまくっていますから、そのまま続くと思います。

 そういうときは、やはり一回強引に労働時間規制をして、短時間で働くやり方を皆に味わってもらってからだんだん自由度を渡していかないと、ある意味ちょっと強制していかないといけない。

 男性育休なども同じだと思うんです。私たちは強制はしていないです。取る男性は多いんですけれども、強制はしていない。でも、世の中の企業でやっていこうと思うと、ある程度強制しないと本当に何も動かないかもしれないので、そこは現実として強制はあるかと思います。

 

○中野氏 

ありがとうございます。

 

○松尾氏 

これは、製品を入れるときに青野さんのコンサルティングみたいなものを受けられたりするんですか。

 

○青野氏 

それは、まずないです。基本はソフト屋で、ソフトをつくってソフトのライセンスを買ってもらえればハッピーなので、ないんですけれども、本当にこの1年ぐらいすごく講演依頼がふえていて、2年前までは私はどちらかというとクラウドのテクノロジーについて講演することが多かったんですけれども、この1年ぐらいは逆にクラウドの話なんか要りません。働き方について話してくださいとなるので、コンサルはまだやれていないんですけれども、ただ、やはりあわせてやらないと、車を売るんだったら車の乗り方も教えないといけないですね。

 

○松尾氏 

それで少しずつ変わっていった企業も事例としてはあるんですか。

 

○青野氏 

あります。入ってくれと言われて、サイボウズの人事のメンバーとかが管理職を集めて研修したりした結果、グループウェアが入ったところはやはり定着もいいです、上手に使いますね。

 

○金丸座長 

青野さんのところの経営戦略の制度のことをちょっと聞きたいんですけれども、今日のお話をお聞きしたら経済合理性という言葉がありましたね。それから、今の制度の設計のポリシーとかも聞いているとロジカルというか、ストーリーがはっきりしていて、経営戦略としての質が高いのかなと私は思ったんです。

 そのときに、青野さんのところのビジネスモデルは、色々な人が色々な状況によって散れば散るほど、R&D的にいうとグループウェアの品質というか、使い勝手が良くなるということと実はセットになっていることも大きいんじゃないかと思うんですけれども、それはそう思っていいですか。

 

○青野氏 

そうですね。先ほど松尾先生が仰ったように、それは私のバックグラウンドとして皆が楽しく働くというのが好きで、そのためのツールを作りたくてやったので、自分たちのやっているこのサイボウズが楽しく働けないとそもそもそこは面白くない。

 ですから、セットで進んでいる感じがありますけれども、そんな深く経営戦略として考えて選んだわけではないです。

 

○柳川事務局長 

今のことで、すごく重要なことでしたので別の角度でお伺いすると、今もパナソニックに在籍していて、仮にそこで一部門任せるから全部好きにやっていい。ただ、プロダクトは伝統的な家電のものをつくってくれということで仮にトップになったとしたら同じことをされますか。違う仕組みをつくりますか。

 

○青野氏 

同じようなことをやるんじゃないかと思います。

 

○柳川事務局長 

プロダクトは家電製品を作るという話であっても、やはり同じような会社の仕組みと人事システムをつくられる。

 

○青野氏 

そうですね。やはりこういう会社が増えるといいなと思ってやっているので、どんな会社であっても。

 ただ、全ての会社がこういう多様性を認める会社になるというビジョンもあまり持っていなくて、軍隊式の営業会社も個人的には嫌いじゃない。入りたくはないけれども、それも会社の一つの個性だと思うんです。ただ、今はそういうやり方の会社が多くて、そのやり方が時代的にはちょっと厳しくなっているので、そういう会社は減るべきであると思っているだけで、そういう会社がゼロになれとは思っていないです。

 

○金丸座長 

よろしいですか。

 田中さんから青野さんに何か御質問とか御意見とございますか。

 

○田中氏 

1つお伺いしたかったのは、先ほど自分でサイボウズと名乗って仕事をしても構わないということをおっしゃっていたんですけれども、私も自分の会社をやっていて、一番嫌な話ですが、もしトラブルがあった場合、お客さんのほうはサイボウズの誰さんだからというふうにクレームを言われる可能性があったときに、結局どっちつかずの曖昧になってしまう可能性があるんじゃないかと聞いていて思ったんですけれども、その点はいかがでしょうか。

 

○青野氏 

多分、起こるのだろうと思います。起こったら、それはそれでまた一個の事例として残しながら、ではどんなルールをつくればいいんだろうとか、どこを押さえておかなければいけないんだろうとか学んでいくと思うんです。

 そういう意味で、私たちにとって大事な考え方は人事制度は生ものだということがあって、基本はどんどん変えていくものだ。決めたらずっと守らないといけないものじゃなくて、皆、一緒である必要もなくて、どんどん変えていくんだよということが何となく当たり前になりつつあるので、ある意味、思い切った人事制度もできる。うまくいかなかったら閉じろというのを当たり前でやる会社だから、大胆なこともできる。それが、大きい会社の人事とかは一回決めたらこれは全員に適用しないといけないとか、変えるには何年もかかるとかという話になると、副業とかは怖くてできない。

 一つエピソードを挙げると、会社のボーナスの決め方に納得がいかない3年目の社員がいて、ボーナスはこうあるべきだというふうに私にプレゼンをしに来て、面白かったので採用されて、それで結構多くの人のボーナスの形が決まったということがあるんです。そういうのを皆、見ていると、何か言っていいんだとか、変えられるんだとか、むしろ今、変わらないのは自分に責任があるんだとか、そういう発想になってくれるように思います。

 

○田中氏 

では、変えられると。

 

○青野氏 

そうですね。

 

○田中氏 

走りながら考えて、失敗してもそれは事例としていい。そこは別にびくびくするんじゃなくて、やってみる。

 これは私の感想というか、自分自身も実は今日御挨拶をいただいたときに、私はアクアビットの名刺とKPMGの名刺を両方持っているんです。KPMGは知っている方は知っていると思うんですけれども、物すごく堅い会社なんです。コンプライアンスみたいなことを仕事でやっている。未来予測は、はっきり言ってその逆なんです。アクアビットという会社は、これはこうなるぞという話をしなければいけない立場で、私自身、自分の会社をやりながら人の会社で顧問をやっているというのはすごく働きながら困っているんです。

 ただ、かなり会計監査ですごく堅い会社が余り細かいルールを考えずにとりあえず入れて何とか考えようみたいなことをやっている勇気には私も敬服したし、私自身は自分の中ではKPMGと名乗るときと、アクアビットと名乗るときと、両方名乗るときと、一応仕事の中で自分で分けながらやっているんですね。

 今日の話というのは、社員さんの中での話でしたが、多分これから会社の経営者自体が人の会社に行ってやるということが増えてくるだろうというのがあって、それもこれからの議論で是非考えていただけると面白いテーマになるかと思います。これは、感想でした。

 

○金丸座長 

ありがとうございました。言い足りない方はいらっしゃいませんでしょうか。

 それでは、以上で本日の議題は終わらせていただきます。本当に本日は田中さん、青野さん、名プレゼンをありがとうございました。

 それでは、次回の懇談会では大変無理をお願いして小林庸平さんと、あとは厚労省から御説明いただく予定です。

 最後に、厚生労働省から連絡があればお願いいたします。

 

○鈴木労働政策担当参事官 

次回でございますけれども、3月1714時から16時までを予定しておりまして、場所は本日と同じこの共用第7会議室でございます。

 詳細につきましては、また別途御案内させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

 

○金丸座長 

ありがとうございます。

 それでは、これをもちまして本日の懇談会は終了させていただきます。本日は、お忙しい中ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

政策統括官付労働政策担当参事官室

03-5253-1111(内線:7992)

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