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2015年12月4日 社会保障審議会児童部会保育専門委員会(第1回)
雇用均等・児童家庭局保育課
○日時
平成27年12月4日(金) 13:30~15:30
○場所
中央合同庁舎5号館19階共用第9会議室
○出席者
委員
汐見座長 安達委員 阿部委員 大方委員 岡村委員 木戸委員 清水委員 鈴木委員 |
砂上委員 堤委員 寺田委員 橋本委員 三代川委員 村松委員 山縣委員 和田委員 |
事務局
香取雇用均等・児童家庭局長 朝川保育課長 楠目企画官 |
里平課長補佐 加藤課長補佐 馬場保育指導専門官 |
○議事
○加藤課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「社会保障審議会児童部会保育専門委員会」の第1回を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
委員会の開催に当たりまして、まず雇用均等・児童家庭局長の香取より御挨拶を申し上げます。
なお、所用により途中で退席させていただきますので、御了承いただければと思います。
○香取雇用均等・児童家庭局長 予算編成時期なものですから、申し訳ございません。中座させていただきます。
本日、保育専門委員会を開始させていただきます、御出席の皆様方には委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろから保育行政は大変難しい局面になっていますけれども、推進に御協力いただいております。心から感謝いたします。
本委員会は、保育所保育指針の改定ということで設置をさせていただきました。御案内のように保育所保育指針は、保育の理念、あるいは保育の内容、方法論といったものを体系的に示すものということで設置をされております。昭和40年、保育所の設置と同時につくられたものですが、おおむね10年に1度、諸情勢を踏まえて改定するということでここまできております。
直近の保育所保育指針は平成20年に改定をいたしておりますが、その後、全体として0、1、2、特に1、2歳の利用児童の数が増えていること。それから、これはもう新聞等でも報道されていますが、この間、児童虐待が非常に大きな社会的な問題になっているということもございます。
さらには、本年4月から子ども・子育て支援新制度が施行されているということで、この平成20年以降、保育をめぐる状況が大きく変わっているということになります。
新制度との関係でいいますと、新制度の中で小規模保育が新しく制度としてつくられたということで、こういった認可保育所以外のさまざまな地域型保育事業については、基本的には保育所保育指針に準じて事業を行う、保育を行うということになっておりますので、そういった多様な保育についても視野に入れた保育所保育指針のあり方というものもこれから考えていかなければいけないということで、今般、10年目に向けての改定ということで、お時間をいただいて検討を始めるということでございます。
保育所保育指針は当然ながら現場の保育所、保育士の皆様にとっては非常に重要な、現場の皆さんのケアを支えるものでもありますし、これから保育士になろうとされている方々にとっての1つのカリキュラムの指針にもなっているということで大変重要なものでございますし、教育現場からも注目をされているものということになります。
そういうことで、この専門委員会はさまざまなこの間の保育をめぐる状況の変化を踏まえて、幾つか大きな論点もあろうかと思いますが、幅広い見地から御検討いただいて御議論を進めていただきたいと思っているところでございます。
また、あわせまして幼稚園教育要領、あるいは認定こども園の教育保育要領といったものの検討も別途進んでいるということで、こういったものとも歩調を合わせて整合性をとっていくということが必要でございますので、またこれは後で担当課長のほうから御説明申し上げようかと思っておりますけれども、来年の春ぐらいをめどにまず一つの大きな方向性といいますか、考え方の整理をしていただいて、さらにそこから具体的な中身を詰めていくということで、少しそういったスケジュールを頭に置きながら御議論していただければと思っております。
10年に一度という大きい改正をする割には結構タイトな日程をお願いすることになりますので、大変恐縮でございますけれども、委員の皆様方におかれましては、それぞれ御専門のお立場からできるだけ自由で活発な御意見をいただいて成案を得たいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上、簡単ではございますが、私からの御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。
○加藤課長補佐 ありがとうございます。
それでは、まず始めに専門委員会の運営に当たりまして委員の皆様にお願いがございます。視覚聴覚障害をお持ちの方などへ情報保証の観点から、御発言等をされる場合には、発言者はまず必ず挙手をしていただく。それで、挙手をした発言者に対し、委員長から指名をいただく。指名を受けた発言者は、指名の後に発言いただくという運営を徹底したいと考えておりますので御協力をお願いいたします。
では、資料の確認に移らせていただきます。
配付資料は、議事次第と資料1から4までと、あとは参考資料となっております。資料の欠落等がございましたら事務局までお申しつけください。
それでは、最初にまず資料1を用いまして本専門委員会設置の趣旨について御説明いたします。
資料1、「設置」の目的にありますように、平成20年に改定された保育所保育指針について、この改定時から現在に至るまでの社会情勢の変化等を踏まえまして、その内容がこれらの保育を取り巻くさまざまな社会の変化に沿ったものか、検討する必要がございます。
また、幼児期の教育についても、幼稚園教育要領の構造的な見直しに向けた検討等が文部科学省において進められているということでございます。
これらを踏まえまして、保育所保育指針の改定等に資する検討を行うため、この社会保障審議会児童部会に「保育専門委員会」を設置するというものでございます。
本委員会の設置につきましては、本年9月15日付で社会保障審議会児童部会の御了承をいただいております。また、本委員会の委員につきましては資料1の別紙のとおりでございます。後ほど、委員の御紹介とともに委員長の選任も行わせていただければと思います。
続きまして、資料1の「3.主な検討事項」についてでございますが、本専門委員会では保育所における保育の基本的なあり方の検討、保育所保育指針の改定等に向けた検討等について御議論いただきまして取りまとめをお願いしたいと考えております。
また、資料1の「4.その他」につきまして、本専門委員会は原則公開で開催するということといたしまして、資料及び議事録も公開ということにさせていただきますけれども、必要に応じ、一部非公開とする場合もございますのでよろしくお願いいたします。
それでは、本日は第1回目の委員会となりますので委員の皆様を順に御紹介させていただきます。
資料1の別紙に名簿がありますので、その順に紹介させていただければと思います。
まず、認定こども園せんりひじり幼稚園・ひじりにじいろ保育園園長の安達譲委員です。御挨拶を一言だけお願いします。
○安達委員 安達と申します。どうぞよろしくお願いします。
4月から、認定こども園を始めました。あとは、小規模保育所をこの年度途中から急きょ、市に頼まれてスタートすることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 大妻女子大学教授の阿部和子委員です。
○阿部委員 大妻女子大学の阿部と申します。
大学では、保育者養成の科目を担当いたしております。主には乳児保育とか発達心理学、保育内容総論を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 大阪総合保育大学の大方美香委員です。
○大方委員 大阪総合保育大学の大方と申します。よろしくお願いいたします。
保育学が専門でございます。乳児保育、またはカリキュラムのほうが専門でございまして、子育て支援は自宅を開放して30年ほどやっております。以上でございます。
○加藤課長補佐 認定こども園ポプラの木園長の岡村宣委員です。
○岡村委員 岡村と申します。福島の被災地の中で4つの認定こども園の運営をさせていただきながら、この委員会の中では認定こども園という現場の中から少し発言をさせていただく責任なのだろうと思いながら務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○加藤課長補佐 倉敷市立短期大学准教授の木戸啓子委員です。
○木戸委員 木戸と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
保育現場を経て養成校に入らせていただいております。担当科目は主に保育内容総論、それから保育実習を担当させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 次は、白梅学園大学学長の汐見稔幸委員です。
○汐見委員 汐見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
これとは別に来年、保育学会という大事な学会が大学でございまして、その準備の最終版に大変、今、苦慮しておりますが、皆さんこちらのほうも御協力くださいませ。
○加藤課長補佐 帝塚山大学教授の清水益治委員です。
○清水委員 帝塚山大学の清水と申します。よろしくお願いいたします。
専門は教育心理学のほうでして、教育心理学といいましてもホームページには保育心理学ということで名前を挙げさせていただいております。授業としましては教育心理学と、あとは保育原理、保育者論のあたりを担当させていただいております。よろしくお願いします。
○加藤課長補佐 和洋女子大学教授の鈴木みゆき委員です。
○鈴木委員 鈴木みゆきと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
和洋女子大学で保育者養成をしております。担当科目は保育内容の健康、それから乳児保育などで、子どもの生活リズムと発達を研究しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 千葉大学教育学部准教授の砂上史子委員です。
○砂上委員 千葉大学の砂上と申します。よろしくお願いいたします。
大学のほうで保育者養成をしております。千葉大学のほうも、今年度から幼稚園と並んで保育士の養成もしております。専門は保育学で、授業で担当しておりますのは指導法ですとか保育内容の言葉、人間関係等です。
また、大学の外では、保育カウンセラーとして浦安市のほうで幼稚園の先生方、保護者の方の子育て支援にも関わらせていただいております。よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 続きまして、相模女子大学教授の堤ちはる委員です。
○堤委員 堤ちはると申します。どうぞよろしくお願いいたします。
大学では調理学系の科目を担当させていただいていて、あとは保育士養成課程において子どもの食と栄養という科目を担当させていただいております。管理栄養士として関わらせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 東京成徳短期大学教授の寺田清美委員です。
○寺田委員 寺田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私も、保育現場を経て大学と養成校の教員に今なっております。
大学の授業では乳児保育、家庭支援論、あとは教職実践演習などを担当しております。
子育て支援関係はハートフルママというものを地域、それから今は大学の中で立ち上げて活動しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 関西学院大学教授の橋本真紀委員です。
○橋本委員 関西学院大学の橋本真紀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は私立幼稚園、それから公立保育所、そして地域子育て支援に勤務の後、保育士養成のほうに携わらせていただいております。専門は保育所の保護者支援、そして地域の子育て支援です。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 浦安市立東野保育園副園長の三代川紀子委員です。
○三代川委員 浦安市の東野保育園からまいりました三代川と申します。よろしくお願いいたします。
私は、保育現場もそうなんですけれども、市役所で行政職としても多少経験をさせていただきました。今、この保育所保育指針をもとに現場のほうで保育を実際に行っています。よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 たかくさ保育園園長の村松幹子委員です。
○村松委員 こんにちは。村松幹子と申します。
静岡県焼津市というところにあります社会福祉法人の理事長兼園長です。法人としては特養と、それから保育園、学童保育という形で設置経営をしております。でも、保育士の立場できょうはここで発言をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 関西大学教授の山縣文治委員です。
○山縣委員 関西大学の山縣です。よろしくお願いします。
国の委員は時々お手伝いさせていただくのですが、委員紹介でこんなにいろいろな肩書をしゃべるというのは初めてで、しまったと思っています。実践をされている方、それから保育者養成にかかわっている方ばかりですが、私は実践もしていません。保育者養成は、教員になって35年ですけれども、一度もやったことがありません。
こんな人間ですけれども、一応、子どもの福祉のほうの専門で、最近はちょっと子育て支援にも興味を持ってやっていますが、専門家と言うにはちょっとほど遠い状況です。よろしくお願いします。
○加藤課長補佐 和田小児科医院院長の和田紀之委員です。
○和田委員 私は昭和47年に大学を卒業しまして20年間勤務して、平成4年から和田小児科医院を開業しています。
この間、医師会の中に保育園部を設立しました。現在、保育園の嘱託医を務めさせてもらっています。
保育園の感染症ガイドラインなどでも関与しているということで、今回こういう機会に保育園の感染症対策のところを中心に意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 和田委員におかれましては、本日は所用により3時ごろ中途退席と伺っております。
なお、本日は所用により御欠席との連絡をいただいておりますが、ほかに東京大学大学院教授の秋田喜代美委員、香川大学准教授の松井剛太委員が本専門委員会の委員に就任されております。
委員の御紹介は、以上でございます。
続きまして、事務局の職員を紹介させていただきます。
保育課企画官の楠目でございます。
○楠目企画官 楠目でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 保育課保育指導専門官の馬場でございます。
○馬場保育指導専門官 馬場でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 私は、保育課課長補佐の加藤でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきたいと思います。まず、最初に委員長の選任を行わせていただければと思います。事務局からは、汐見委員に委員長をお願いしたいと考えておりますが、委員の皆様はよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○加藤課長補佐 ありがとうございます。それでは、本専門委員会の委員長は汐見委員にお願いしたいと思います。
では、早速ですが、汐見委員長より一言御挨拶をいただければと思います。お願いいたします。
○汐見委員長 汐見でございます。専門委員会の委員長を仰せつかりました。
先ほど局長のほうからお話がありましたけれども、この10年の間にやはり保育をめぐる環境とか状況はかなり変わっておりますし、さらにこれから先、10年先を読んでどういうことが大事になっていくかということを考えた改定になりますので、かなり大事な改定になると私は思っております。
それから、新制度というのが始まったと同時に、世界的な流れというのはやはり保育の一般化というんでしょうか。どんどん義務教育を下げていく流れの中で、保育幼児教育に対する社会的期待が非常に大きくなってきている。そういう流れも少し念頭に置きながら、我が国がどういう保育の指針をつくっていくのかということ、そういう意味で大事な会議になると思っております。
微力ですが、皆さんの御意見がうまく反映できるような努力をして進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 ありがとうございます。
では、以降の議事進行につきましては汐見委員長にお願いしたいと思います。
○汐見委員長 それでは、早速でございますが、本日の議題の2番目が「保育所保育指針の改定」という、大変大きなテーマですけれども、改定ということの中身について事務局よりまず説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
申し訳ありません。私と一緒にいろいろ進めてくださる相談相手であり、私が何かあった場合に代行もしていただくということで副委員長というものを置きたいと思いますが、きょう御欠席なんですけれども、秋田さんにお願いしようと個人的には思っているんですが、正式にはいらっしゃいませんので、改めて御相談させていただきますが、一応、秋田さんにお願いしたいということで御了解いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ではそういう形で進めさせていただきます。
それでは、議事の2のほうに入らせていただきます。事務局のほうから御説明をお願いします。
○楠目企画官 保育課の楠目でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料2-1のほうをお願いいたします。これから、資料2-1から3まで順次御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず資料2-1でございますけれども、今回改定のほうを御検討いただきます保育所保育指針についての概要でございます。
まず、保育所保育指針についてでございますが、一番上の丸にありますように保育所保育指針とは、保育所における保育の内容やこれに関する運営等について定めたものでございます。
保育所における保育の内容につきましては、各保育所の独自性や創意工夫が第一義的に尊重されるものでございますが、一方で全ての子どもの最善の利益のためには全国共通の枠組みが必要でございます。
このため、保育所保育指針におきまして、全保育所がよるべき保育の基本的事項を定め、一定の保育の推進を確保することとされているところでございます。
全国の保育所におきましては、保育所保育指針に基づきまして子どもの健康及び安全を確保しつつ、一日の生活や発達過程を見通し、保育内容を組織的・計画的に構成し、保育を実践されているところでございます。
矢印のところにありますが、保育所保育指針と施設設備基準、職員配置基準等、各種の基準とが相まって、保育所保育の質を担保するという仕組みとなっているところでございます。
根拠法令については、下に掲げておりますので御参照いただければと思います。
次のページをお願いいたします。次は色つきのページでございますが、現行の「保育所保育指針について」でございます。
現行の保育所保育指針ですが、第1章から第7章で構成されておりまして、保育所における保育の内容及びこれに関連して運営に関する事項を定めてございます。厚生労働大臣の告示として、平成20年3月に告示をされているところでございます。
下でございますが、真ん中に総則がございますけれども、第1章の「総則」から第2章の「子どもの発達」、第3章「保育の内容」、第4章「保育の計画及び評価」、第5章「健康及び安全」、第6章「保護者に対する支援」、第7章「職員の資質向上」ということで、7章の構成となっております。
このうち、第3章の「保育の内容」における教育につきましては、下のほうに「別紙」と書かれているところがございますが、「教育における五つの領域」といたしまして「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」、「表現」の5つを定めておりまして、これらにつきましては幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領と同様の内容のものとなっているところでございます。
次のページをお願いいたします。こちらは参考でございますが、「保育所保育指針の策定及び改定の経緯」についてまとめさせていただいた資料でございます。
繰り返しになりますが、現行の保育所保育指針につきましては平成20年3月に改定をされ、平成21年4月から施行されているものでございます。
その下の丸にございますが、昭和40年8月に保育所保育の理念や保育内容、方法等を体系的に示すものとして保育所保育指針が定められてから、3回の改定が過去に行われておりまして、直近の平成20年改定におきましては、規範性を有する指針としての位置づけをより明確にするために、大臣告示として定められているところでございます。
下半分に年表の形で示させていただいておりますけれども、ずっと下にいきまして直近のところが下の2段の部分になりますが、平成20年3月の第3次の改定告示の際には、幼稚園教育要領と同時期に整合性を確保しながら作成したという経緯があるところでございます。
なお、一番下に※で書かせていただいておりますが、平成26年4月には保育所保育指針、幼稚園教育要領を参酌いたしまして「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」が告示をされております。本年4月から施行されているという状況でございます。
次のページからは各改定の概要でございますので御参照いただければと思いますが、直近のものを少しごらんいただきますと、下に3ページと書いてあるところ、「第3次改定(平成20年)の概要」というところでございますが、若干御説明させていただければと思います。
直近の改定におきましては、改定の視点といたしまして保育所の役割の明確化、それから保育の内容、養護と教育の記載の充実、保育要録の導入など小学校との連携、それから保育所の特性や保育士の専門性を生かした保護者に対する支援の記載の充実、計画・評価、職員の資質向上、またそのための施設長の責務の明確化などの視点から改定を行っているところでございまして、告示化に伴いまして内容の大幅な大綱化等の大きな改定を展開しているところでございます。
資料2-1は、以上でございます。
続きまして、資料2-2のほうをごらんいただければと思います。
現行の保育所保育指針が定められて以降、最近の保育をめぐる現状についてまとめさせていただいた資料でございます。
まず最初でございますが、皆様御案内のとおり、本年4月から子ども・子育て支援の新制度がスタートしておりまして、そちらが最初のページの下のほうにある資料でございます。
子ども・子育て支援新制度の背景・趣旨といたしましては、こちらの一番上の欄に書いてありますが、核家族化の進展、地域のつながりの希薄化、共働き家庭の増加などを踏まえまして、子育て家庭や子どもの育ちをめぐる環境が大きく変化している。そうしたことを背景といたしまして、矢印のところにありますが、子どもの年齢や親の就労状況などに応じた多様かつ質の高い支援を実現するため、消費税財源も活用して幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援等を総合的に推進するものとなっております。
新制度の主なポイントといたしまして、主なものだけ述べさせていただきますと、保育所、認定こども園、幼稚園を通じた共通の給付として施設型給付が創設されましたこと、及び新たに制度化されました小規模保育等への給付が地域型保育給付という形で創設されたこと等がございます。
次のページをお願いいたします。次のページでございますが、上の欄にありますのが「子ども・子育て支援新制度の概要」を一覧する形で示させていただいたものでございます。
下のほうのポンチ絵をごらんいただければと思いますが、下半分につきましては地域型保育事業について御説明させていただいたものでございます。
今回、新制度におきまして0歳から2歳児を対象とするものとして、新たに小規模保育等の地域型保育事業が創設をされております。こちらにございますように小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育という4つの形態で、新たにこうした制度が設けられたものでございます。これらの小規模保育等の地域型保育事業につきましても、保育所保育指針に準じまして保育を提供することとされているところでございます。
次のページをお願いいたします。地域型保育事業のそれぞれについての概要を示したものでございます。
上の欄が小規模保育になっておりますが、小規模保育事業につきましては少人数、6人から19人を対象に、家庭的保育に近い雰囲気のもとできめ細かな保育を行う事業となっておりまして、多様な事業からの移行を想定いたしまして、A型、B型、C型の3類型を設けて認可基準をそれぞれ設定しているものとなってございます。詳細の部分は、また御参照いただければと思います。
下の半分につきましては、児童福祉法上、小規模保育等の地域型保育事業について家庭的保育事業等という形で出てまいりますけれども、これらの概要でございます。家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業、それぞれの概要と認可基準を記載させていただいておりますので、また御参照いただければと思います。
次のページをお願いいたします。本年4月からスタートいたしましたそれらの地域型保育事業でございますけれども、本年4月1日現在の数といたしましては全国で2,740件となっております。家庭的保育事業が931件、小規模保育事業が1,655件等となってございます。内訳につきましては、下の資料を御参照ください。
都市部等を中心に、やはり全国的に整備が進められているという状況でございます。また、最近、自治体との意見交換等の場に出席をいたしますと、地方のそれほど待機児童が問題になっていないような地域でも、徐々に小規模保育等の活用について検討が進んできているような状況でございます。
下のグラフをお願いいたします。保育所等の定員及び児童数の推移のグラフでございます。本年度につきましては、幼保連携型認定こども園や地域型保育事業を含んだグラフになっておりますけれども、保育所の利用定員、児童数ですが、保育の受け皿、利用者ともに増加している傾向が見られるところでございます。
次のページをお願いいたします。保育所等の数の推移と年齢別の保育所の利用率、または待機児童数のグラフが上下に並んでいるところでございます。保育所等の推移も増加傾向にございまして、利用児童数の割合についても増加傾向があるところでございます。
待機児童につきましては0歳から2歳で86%ぐらい、1、2歳で72%ぐらいでありますけれども、こうした待機児童の解消の取り組みを進めていること等も相まって、1、2歳児の利用率が非常に近年上昇している傾向が見られるところでございます。
次のページをお願いいたします。以下、その周辺的な状況も含めたものでございますが、「就学前教育・保育の実施状況」というものでございます。
平成25年度の数字となりますけれども、左側は0歳児から5歳児までの幼稚園、保育所への就園率について記載したグラフでございますが、3歳以上児の多く、特に4歳以上児についてはほとんどが保育所、または幼稚園に入所しているという状況でございます。
下の資料でございますが「女性の就業率と保育所等利用率の関係」を示したものでございまして、女性の就業率の上昇を保育の受け皿拡大が支えていることを示したものとなっておりますので御参照いただければと思います。
次のページをお願いいたします。13ページ目でございますが、「児童虐待相談の対応件数の推移」でございます。近年、全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は増加傾向を続けておりまして、保育所の保護者支援等においても課題となるものでございます。
下半分のグラフをお願いいたします。「アレルギー疾患の現状」についての状況のグラフでございますが、下の左側の欄をごらんいただきますと、やはり低年齢の子どもほど対応が必要な食物アレルギーを有しているというような状況がございます。特に保育所では初めて口にするものがあったりしますので、そうしたことへの対応が課題となるところでございます。
次のページをお願いいたします。「幼児教育への投資の効果 学力・経済力の向上」ということで、質の高い幼児期の教育を受けることによりまして、その後の学力の向上等につながるという調査結果が示されている海外の調査の例でございます。
なお、こちらの調査以外の海外の調査におきましても、就学前の保育や教育がその後の成長発達に与える影響の重要性を示す調査結果につきまして、いくつか他の調査もあるということを委員の先生方からも御紹介いただいているところでございますので、次回の会合までには資料として御準備させていただきたいと考えております。
資料2-2については、以上でございます。
恐縮ですが、続きまして資料3をお願いいたします。
こうした近年の状況等を踏まえまして、保育所保育指針改定に向けまして検討課題の例として事務局のほうで少しまとめさせていただいたものでございます。
まず1点目でございますが、子ども・子育て支援新制度の施行等に伴いまして、保育をめぐる環境が大きく変化しているところでございます。利用児童数の増加、小規模保育等の多様な保育機会の充実などがあるところでございますので、こうしたことを踏まえまして、全般的にどのような見直しを行うかということが1つ目でございます。
2点目といたしましては、0歳から2歳児の利用率が増加しているということとも関係することでございますが、乳児保育、3歳未満児保育に関しまして、この時期の発達の特性等を踏まえつつ、どのように内容を充実するかということでございます。
3つ目が小学校との接続等とも関わってくることでございますが、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた保育のあり方の検討と、目標に向けた保育課程、指導計画、自己評価をどのように確立するかということでございます。
4つ目が養護、健康及び安全に関して、どのように記載を整理し、内容を充実するかということでございます。
5つ目が、虐待防止に関する内容を含め、保護者支援に関する内容をどのように充実するかということでございます。
こうしたことを含めまして、幅広い観点から委員の皆様方には御議論をいただければと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
事務局からの説明は以上でございます。
○汐見委員長 ありがとうございました。
それでは、今の事務局案の説明を受けて、これからの議論に当たって、この保育所保育指針の改定に向けてどういうことを大事にすべきか等々の御意見を、きょうは最初ですから思っていることを忌憚なく言っていただきたい。それを受けて少し整理させていただいて、改めて論点を整理するという形にしたいのですが、きょうは今の御説明を受けて、御質問も含めて結構ですので、この改定に向けてそれぞれの委員の方がどういうふうに考えておられるかというあたりを自由に出していただければと思っております。
最初の会合ですので、できればどの委員の方も1回は発言していただきたいということをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それから、先ほどありましたが、発言する際には挙手をしていただいて、御自身でお名前を言っていただいてから発言を、記録等の関係でよろしくお願いしたいと思います。
それでは、御自由に挙手をして御発言いただきたいと思います。今の御説明に対する御質問も含めて結構ですのでお願いします。
では、清水委員お願いします。
○清水委員 それでは、口火を切らせていただきます。今の資料2-1の矢印のところに
「保育指針と施設設備基準、職員配置基準や保育に従事する者の基準とが相まって、保育所保育の質を担保する仕組み」であるという形で書いていただいています。
この指針以外の部分に関して、きょうの午前中にもちょっとありましたけれども、だんだん保育所にさまざまな資格の方が入ってくる可能性があります。場合によっては、保育補助という形で入ってこられるかもしれません。
そういうことを考えると、この指針をつくる中で保育士の立場といいますか、保育士の役割といいますか、業務といいますか、そのあたりをしっかり規定しておくほうが、最終的には業務独占みたいなところまでいけたらいいかもしれませんけれども、かちっとしたものができれば保育の質の向上につながるかと思います。
保育の質の向上に関しては、先ほど幼稚園教育要領と保育所保育指針と幼保連携型認定こども園というものが出ていましたけれども、認定こども園教育・保育要領ですか、最後の幼保連携型のあたりをつくる段階でしたでしょうか、子ども・子育て支援法等の新しい法律をつくるときだったでしょうか。世界に誇る幼児教育、保育を全ての子どもにということが出ていました。できれば、この指針がまさに世界に誇る指針になってもらえたらと思いますので、書きぶり等はよろしくお願いします。
私のほうからは、まず口火ということで。
○汐見委員長 ありがとうございました。今、保育士の役割についてある程度明確な規定を入れたらどうか等の御意見がございました。そういう形でどんどん出していただければと思います。
では、山縣委員お願いいたします。
○山縣委員 関西大学の山縣です。大きく3点、意見を言わせてください。
まず1点目ですけれども、前回までと今回の保育所保育指針の社会的意義といいますか、発信先が変わるのではないかと思っています。あるいは、発信先を変えるべきではないかと思っています。
今までは当然ですけれども、保育所向けに発信していたということで、これは当然これからも必要なわけですが、先ほどの事務局の説明にもありましたように地域型保育などに向けても発信できる中身、そうするとそこで十分整合性がとれていないような領域といいますか、例えば地域型保育になると必ずと言っていいほど小規模になるわけですね。
小規模型のことというのは、実は余り書いていない。ある程度、集団があるという前提で物事が構築されている。小規模の保育所もあったんだけれども、余りクローズアップされていなかった部分を、意識したらどうでしょうかということです。
それから、さらにもっと重要なのは、私は幼保連携型認定こども園に対する発信をしないといけないのではないか。実は幼保連携型認定こども園の関係でいうと、私はつくられたことには非常に同意をしているんですけれども、教育・保育要領の中身を見たら残念なところが幾つかあります。
例えば、保育所保育指針で非常に重視してきた保育所の社会的責任とか、子育て支援とか、子ども発達論とか、そういうものが全部抜けてしまっている。あるいは、薄められて、完全に抜けたわけではないけれども、特記事項、配慮事項みたいな形で小さくしか書かれていない。そういうところが、実は今、非常に重要なのではないだろうか。
特に、認定こども園では子育て支援が義務化されているにもかかわらず、ほとんど書かれていない。そういうあたりはこちらのほうから積極的に発信して盛り込んでもらうような、あるいは並行して勉強すべきだというぐらいの発信があってもいいのではないかということを考えています。
それからもう一つは社会的責任のところで、私学助成はやはり税金を薄めた形だったと思うんですね。でも、今度の認定こども園は税金が直接入ってくるということで、その税金を直接使うという意味をしっかり理解していただかないといけないのではないかということも含めて社会的責任を捉えています。
2点目は、これも幾つか説明がありましたけれども、現状の変化にしっかり対応すべきだ。ここは私の専門内容でないところが幾つかありますので、あとは皆さん方のほうにお任せをしたいのですが、0歳、1歳が非常に増えてきているということに関する中身の強化が必要ではないかということですね。
それから、特に認定こども園への発信でいうと、3歳以上の保育と学校教育を分けてしまったものだから、結果として学校教育部分は書いてあるけれども、保育部分が非常に読みづらい形になっている。そこに対する発信も、しっかりすべきではないかと思います。
それから、それに関連して保護者の様子、保護者像が相当変わってきている。そこに対する子育て支援の部分ですね。ここも、今まで以上に書く必要がある。それは子ども、保護者、どちらも生活の基本が整っていないと、家庭づくりといいますか、ソーシャルワーク的な視点もここでは導入する必要があるのではないだろうか。
それも含めて3点目になりますけれども、保育所業務の明確化とそれに対応する職員配置とか、職員配置は指針の中身ではありませんけれども、指針をベースにしてこういう職員が必要であるというイメージをつくることができたらいいと思います。それは、例えば学校でいいますと学校の専任配置ではありませんけれども、社会的な仕組みとして心理領域ではスクールカウンセラー、福祉領域ではスクールソーシャルワーカーが徐々に応援されてきているという中で、保育所はかつて保育カウンセラーという言葉を使ったけれども、保育士がやろうとした。今、保育ソーシャルワーク学会というものが去年からでき上がって活動しておられるけれども、ここも保育士がソーシャルワークをやろうとしている。
否定するつもりはありませんけれども、もうちょっとこれは慎重に考えて、学校はなぜ教員ができなかったのか、やろうとしなかったのかと考えたときに、私は保育所とか認定こども園においても保育士以外の専門職との連携、そういうところの必要性、それが見えてくるような指針の中身になればいいというようなことを考えています。以上です。
○汐見委員長 大事な論点がたくさん出てきました。繰り返しませんけれども、後で整理させていただきたいと思いますが、大事なことをたくさん出してくださったと思います。
それでは、村松委員。
○村松委員 村松です。よろしくお願いします。山縣先生の非常に専門的なお話の後で、私は一人の園長として、それから保育の現場の者としての発言になりますので、若干レベル的にどうかとは思いますけれども、私が今、思っていることをお伝えしたいと思います。
今、先生もおっしゃっておられましたけれども、制度が変わったということ、現状も変化していること、それから清水先生もおっしゃっておりましたが、さまざまな保育の現場が変わろうとしているというところで、やはり大事なのは施設長がどれだけその意識を持って保育の現場を見据えているかということだと私は思います。
この新制度に向けて、園長というのはやはり経営のことも考えながらそちらのほうの視野というか、制度が変わるということに対する非常に戸惑いとか、そういうものの中におりますけれども、やはり忘れてならないのは目の前にいる私の園の子どもたちという視点だと思っています。さまざまな保育をめぐる環境が変化しつつ、そしてさまざまな保育士だけではない方たちが保育の現場にこれから入ってくるというような形になってきておりますけれども、ではちゃんとどういう意図を持ってその方たちに入ってきていただかなければならないのか、もしくは入っていただく必要がないのかもしれませんが、さまざまな面で情勢をきちんと見極める目と、そして自分の園でどんな保育をしたいのかという確固たるビジョンと、それがちゃんと相まった両輪で自分の園の保育を語れる園長、施設長でなければいけないかと思います。
その意味では、やはりこの施設長の責務といいますか、資質といいますか、その辺のところをきちんと書き込んで、その上での各保育士の保育があるというような見方は非常に必要かと思います。
それからもう一つ、先ほどから教育という言葉も盛り込まれておりますが、私たち保育の現場では保育にも教育があるんだと言ってきていましたが、世の中の教育と私たち保育が使う教育ということの日本語には若干温度差があると思っていますし、それは事実だと思いますが、ただ、大事なのはどんな教育なのか。私たちは、子どもたちをどんな人にしたいのか。やはりそういうところのビジョンも持っていると、この教育という言葉をどういう意味で使っていったらいいのかということがもっとはっきりしてくるのではないかと思っています。
教育とは本来、生涯教育という言葉もありますが、そういう意味で非常に広範性を持った言葉であると思っておりますので、そこのところがもうちょっとはっきりと明確に、人間教育とか、全人教育とか、そのような言葉で書き込まれていくと、私たちも保育の現場における教育をもっと力を持って発信できるかと思います。もちろん、その先に学校教育がありますので、その学校教育の中でやはり自分を発揮していかなければならない。その力の教育でもあるというふうに私は思っています。
ほかにもありますけれども、とりあえずということでありがとうございました。
○汐見委員長 ありがとうございました。
それでは、安達委員どうぞ。
○安達委員 安達です。私は、元小学校の教員を14年ほどしていたという立場と、今、全国の私立幼稚園団体の教育研究機構というところで、この何年間か評価のことですとか、あとは研修のことですとか、させていただいていることから少しお話させていただきます。
まず、先ほど山縣委員がもっと発信をということを言いましたけれども、僕はニュージーランドのテファリキではないですが、国民皆が乳幼児期にやはりこういうことが大切なんだということを共有しないと、私も努力はしているんですけれども、やはりやらせの保育ですとか、何かができるというような、今回の教育でも育ってほしい姿という非常に危険な部分も関わっていると思うんですけれども、やはりできるというところで、保育の質を高めていかないといけないというのは、皆さんこれに異論を唱える方はいらっしゃらないと思うのですが、例えば構造の質のようなことですね。
今度の質改善で3歳児は15対1というようなことはわかりやすいですし、育ってほしい姿というのはわかりやすいですが、プロセスの質を上げていくということに関しては、これは何らかの言葉ではなく、ある意味では今こういう時代ですから可視化することを含めて、社会の皆さんとこういうことが子どもたちにとって大切なんだということが伝わらないと、何々式ですとか、そういうことがなかなかなくならないので、やはりここは皆さんとともに共有できる部分を、簡単なものでいいから皆でこういうことを大事にしましょうということを共有できたらいいと思います。
特に、最近話題のキャシー・デビッドソンの話ですが、これから職業がなくなって新しい本当に人間らしい姿というのは、やはり自ら創造することであったり、人と協働するようなことを大切にしているんですということ。言われたことを正確に再現するようなことではないんだ、機械に代えられるようなことではないんだということを皆で共有するのがまず一番かと思います。
もう一つは、12年ほど前に虐待が家庭、園内でありまして、やはり家庭にいる1歳、2歳の子を預かってあげたくて無認可保育所を始めた関係で、5年前に認可保育所でも0、1歳にしてくれということになって今年から幼保連携型認定こども園になったんですけれども、やはり0、1、2歳と、3、4、5歳はある意味では私はやはり切り分けてきちんとやったほうがいいのではないか。具体的に示したほうがいいのではないか。食の問題ですとか、午睡の問題ですとか、それから噛みつきで困っている園も多いですし、2歳児のテリブルツーというところが、実は成長の上で本当に大切なことなのに何か困っておられる方がたくさんいらっしゃる。
それは3号の施設だけじゃなくて、家庭にいる0号か4号かはわかりませんけれども、そういう方々も参考にできるようなものというのは、本当はあってもいいかと思いますので、そこは何か具体的に、特に僕が危惧しておりますのは、やはり私立幼稚園がこれから、0、1、2歳を担おうとしたときに、私の反省も含めて、うちは1歳とか2歳のときに、この0、1、2歳を自分の園でするまでは3歳の前倒しをしていた2歳をしていたかもしれないなと、今すごく反省しております。ですから、やはり2歳が2歳として育つということを大切にしたような、1歳は1歳としてというようなことはきちんと発信してもいいのかなと思います。
最後にマネジメントとリーダーシップといいますか、この中で研修のところに施設長の責務みたいなことが書いてありますけれども、やはり今いろいろな園に寄せていただくことが多くて、現場上がりの施設長の先生方が若い先生方、自信のない方に、何をしているの、こうやるのよ、と見本を見せて、かえって自信をなくさせて退職に追い込んでいる事例が実は多いです。
それで、僕が例えば海外へ行きますと、50代の保育者に30代の施設長というのは、やはりリーダーシップの部分と保育する部分というのはちょっと専門性が違うところがあると思うので、そこはちょっと書き分けて、ファシリテーションですとか、やはりそのアクティブ・ラーニングが大切と言いますけれども、子どもがアクティブに学ぼうと思うと、保育者自身が本当にこの仕事のやりがいを感じて、主体性をもって保育をしなければいけないんですけれども、それを阻害しているのがやはりリーダーだと思うんですね。
お世話になっている臨床心理士の方が、園長主任と保育者との関係が保育者と子どもの関係にすごく似てくるので、縦の関係のきついリーダーの園で育った保育者、働いている保育者というのはやはりどうしてもきつい。できたか、できていないかということになってしまうので、本当に子どもたちも肯定的に見ているような保育をしていくためには、やはりリーダーシップというようなことを今回ちょっと書き込んでもいいのかなと思ったりいたします。すみません。以上です。
○汐見委員長 ありがとうございました。大切な論点がどんどん出てきますね。後でまた整理させていただきますので、どんどんお出しください。
では、和田委員お願いします。
○和田委員 2015年4月に子ども・子育て支援新制度が始まって、保育所に入れない待機児童の解消を目指しています。
2017年度中の待機児童ゼロを目標に、受け皿をふやす計画だと思います。各自治体では、3歳未満児を対象にした小規模保育を含む保育所の整備等により保育定員を増やすなど、急ピッチでさまざまな取り組みが行われています。
一方、保育士の確保は追いつかず、保育現場の経験の浅い保育士にも頼らざるを得ない状況だと思います。
このように急増する保育施設に比べ、保育士の数や育成が追いつかず、保育中の事故がふえる可能性もあると考えるわけであります。
目先の待機児童解消を急ぐ余り、保育のサービスの質の低下があれば、保護者が安心して子どもを預け、働くことが妨げられると思います。保育士自身の気持ちの余裕及び子どもとじっくり向き合える手厚い配慮と、質の高い保育内容の維持が課題だと考えます。
健康及びその安全の確保方策に関して、2つほどお話をしたいと思います。
1つは、総論的に看護師の全園配置が不可欠ではないかと考えます。事故予防、安全対策の上で看護師の果たす役割は大きくて、保育士の人員の代替ではなく、加配として看護師配置が不可欠だと思います。保育士を代替とする保育士が不足し、保育全体が不十分となります。それを避けるために、看護師の配置に抑制となる現場のニーズも配慮すべきだと考えるわけであります。
その上で、保育士と看護師がともに協力して、保育看護という保育保健の専門性の向上を図っていくことが極めて重要だと考えます。特に、看護師の導入によって必然的に保育室の保育保健に対する専門性が向上していくことに配慮する必要があると思います。
もう一つは事故予防、安全対策に関わる研修会の保育所、保育士、看護師等の参加が不可欠となっておりますが、事故予防、安全対策システムの参加費等、あるいはシステムの充実、例えば各園に事故予防、あるいは安全システム、パソコンの導入とか、インターネット接続環境の整備等にかかわる研修費等の予算化が求められるということが必要だと考えております。
○汐見委員長 ありがとうございました。先ほどの山縣委員の保育にいろいろな専門職というものをどうリンクしていくかということとつながった御発言だったと思います。
和田委員は3時に退席されますが、まだ大丈夫ですか。
○和田委員 もう少し大丈夫です。
○汐見委員長 では、御発言をどうぞ。
○三代川委員 三代川です。よろしくお願いいたします。
一保育士の立場としてのお話にはなってしまうんですけれども、現在やはり村松先生もおっしゃったように保育園で教育をしていますと言っているものの、その教育としての明確化というところがやはり薄いかとは感じています。
ただ、どうしても学校教育法に書いていないから保育所は教育はしていないというふうに結構、一方的な意見が言われたりしていますので、やはり保育所としての教育というところをしっかりしていきたいと思います。
あとは、0歳から2歳児の乳幼児についても自己形成の視点からも教育というものを入れていければいいかとは感じております。
それから、保護者に対する支援です。結構、保護者の人数がいたらその人数分のいろいろな手腕とか手法でかかわっていかなくてはいけないんですけれども、やはり難しい対応に迫られる保護者の方も増加しているといったらいけないですが、増えてきているのは事実だと思いますので、そこを保育士が本当に人が足りない中で、どの専門性を使ってどうやって保護者に対応していくのかというところが非常に難しくなってきていると思いますので、先ほど先生方もおっしゃられているようにそういう専門職、カウンセラーさんとかケースワーカーさんなどの配置というところがあると、保護者に対してもそうですし、実際に保育士に対してのケアというものもあわせて充足できるかとは考えております。
あとは、近年、虐待ということが非常にふえていますが、虐待に至るというか、例えばこういうことをしたら相手はどんな気持ちなんだろうというところの欠落というんですか、そういうところを補うため、ちょっと指針とは離れてしまうんですけれども、命の大切さを教えるような、保育園時代もそうですが、もっと親になる前の時期にそういった経験ができる機会があるといいかとは思っております。以上です。
○汐見委員長 ありがとうございました。
では、橋本委員お願いします。
○橋本委員 関西学院大学の橋本でございます。
清水先生の御意見、山縣先生の御意見と関連してということになります。私は、保育の質というのは組織で保障していくものだと考えております。保育所保育指針におきましても、前回の改定の折に保育所の役割ということが明確にされました。
ただ、保育所の役割と保育士の役割というのが余り整理して書かれていないようにも考えられます。先ほどの清水委員の御意見にもございましたけれども、保育所という組織としてどのような役割を果たしていくのか。その中で、保育士が何を担っていくのかということをまず明確にしていく必要があるのではないかと考えております。
もう一点は、私は保護者支援が専門にございます。現在の保育所保育指針におきましては、保育の専門性を基盤として保護者を支援していくということが明確に書かれております。そのことには私は賛同しているのですけれども、まず保育士と家庭との関係、保育所と家庭の関係というのは連携してともに子どもの育ちを支えるということがあるかと思います。まずそのことが前提にあって、そして必要とされている家庭に支援を行っていくということを整理して書いていく必要があるかと考えております。
あとは、保育士の専門性でその保護者支援をどこまで担うのか。先ほど、山縣委員のほうからソーシャルワークというものを誰が担うのかという話もございました。またソーシャルワーカーを保育所に配置してはという御意見もございました。私はそこに賛同しておりまして、保育士がソーシャルワークを担うというよりは、ほかの機関と連携をしながらさまざまな家庭を支援していくということを、より明確に書き分けていったほうがいいのではないかと考えております。
そのためにはやはり保育所が、あるいは保育士が何をどこまで担うのかということを明確にする必要があるかと考えております。以上です。
○汐見委員長 ありがとうございました。
私は余りコメントすべきではないのですが、今の御発言は、今の保育指針でいうと6章、7章のあたりの書き方のことで、7章には前の保育指針もそうなんですが、その保育の専門性を上げるための研修の大事さとか園長の大事さは一応書いてあるのですが、ただ、保育士それぞれの研修だとか園長の大事さと書いてあるけれども、組織としてその力をどうつけていくかという視点は若干弱いんですね。
そのあたりのことを少し改善する必要はあるんじゃないかというような御意見だとお伺いしましたが、それは第6章の保護者支援のあり方にもリンクしてくるということで、そういう形で分けて書いていいかどうかあたりが検討課題ということになるのでしょうか。そういうふうに聞きました。ありがとうございました。
それでは、阿部委員お願いします。
○阿部委員 大妻女子大学の阿部と申します。今までのお話を伺って、山縣先生がおっしゃったとおりかと思うのですが、そこに少し加えさせていただきたいと思います。
保育所保育指針の役割として保育所とか、多分、地域型保育がこれから増えていくので、そこは絶対に視野に入れなければいけないし、幼保連携型認定こども園もそうですが、私の記憶に間違いがなければ、今の指針においても家庭も視野に入れていたことが書かれていたような気がするので、やはり家庭の方にも読んでいただけるような書きぶりがいいのかなというふうに1つ思いました。
小規模保育が増えていくということで、家庭、それから地域における家庭の子育て支援を視野に入れたときに、やはり0、1、2歳の発達とか、そこで大切にすることということはきちんと伝えていかなければいけないのではないかと思いました。
ただ、指針ですのでたくさん書き込むことは難しいと思うのですが、私は、0、1、2歳の未分化性というところですね。未分化な状態というのは、一方から見ると早く脱したほうがいい未熟な状態というふうに捉えられがちだと思うのですが、そこの未分化性というものは早く脱したらいいのではなくて、十分にそこを生きるということが人としての土台、先ほど人の気持ちがわかるとか、わからないとかというお話がありましたが、そこにつながっていくのではないかと思っています。
特に、まだ言葉も十分ではない時期の世界、人とのかかわりの中で、何が人とかかわりを成立させていくかといったときに、やはり情動とか、感情とか、そういうところだと思うんですね。
その情動が、心理学で言うところの大人の基本的な感情が出そろうのが2歳と言われていますので、その未文化で曖昧な状態のときに十分に情動のやりとりができるような時期であってほしいというふうに思いまして、何を置いてもそこのところを強調していけるといいかと思っております。そうしますと、保育者の気持ちのありよう、精神的な状態のありようというものがとても重要になってきますので、そこら辺も考えていかなければいけません。
それからもう一つは、山縣委員がおっしゃっていました家族とか家庭ですね、私は子どもと家庭、家族というのは一つの単語だと思っております。子どもが自分の家庭とか家族を誇りに思えないところで自己肯定感は育たないと思っておりますので、そのあたりは子どもが誇りに思えるような家庭、家族関係になるような支援ということができたら、かなり乳児保育を担当する者としてはいいところにいくのかなという感じを持っております。
それから、最後は用語です。学校教育、それから保育と分けて書かれていて戸惑っているところが多いですので、ぜひそこら辺は整理をしてどこかに書き込んでおかれたらいいかと思います。以上です。
○汐見委員長 ありがとうございました。いろいろ意見が出ているので簡単に整理しながら進めたいんですが、今、何人かの御意見の中に、特に0、1、2歳の重要性をもう少し丁寧に書いたほうがいいのではないかというあたりが共通に出ていた感じがいたします。
実は、前回の平成20年の告示化へ向けた改定の際に、その前の13章の保育指針を7章に縮めましたね。13章の元の平成11年に改定された保育指針はどうなっていたかといいますと、0歳児の保育の章、1歳児の保育の章、2歳児の保育の章ときれいに年齢別に書かれていたんですね。そして、その章の各初めにこの年齢の発達の特徴というようなことがまず書かれていて、だからこういう保育をというような形になっていて、それなりに0も1も2歳も保育については書かれていたんですね。
ところが、告示化のために大綱化するということで、どこかもっとスリムにするとなったときに、大事な考え方をきちんと書いて、あとは年齢ごとにそれを応用していただこうとなって、3、4、5歳のところは幼稚園と同じツールということで幼稚園教育要領をそのままコピーしたようなものです。
そうすると、0、1、2歳のところが結局どちらかというとちょっと抜けた感じになっちゃうんですね。それで、年齢ごとの発達の特徴をまとめて2章に持っていったといういきさつがあります。
ですから、おっしゃっているように前の保育所保育指針ではある程度書かれたことの中にも、現在の保育所保育指針の中では少し弱くなっている部分がある。その1つが、乳児の保育のところです。それで、安達委員のように、0、1、2歳と3、4、5歳をむしろ積極的に分けていいんじゃないかという御意見も出ていますし、そのあたりを丁寧に書くということです。
それから、小規模保育というのは大体、0、1、2歳なんですね。そこが、これを使ってなるほどというような指針にするためという意味でも、そのあたりを少し丁寧に書かなければいけないという御意見だというふうに今、承りました。大体、その辺では共通しているような感じがいたしました。そのほか、いろいろ意見が出ていますが、ありがとうございました。
では、鈴木さんお願いします。
○鈴木委員 和洋女子大の鈴木です。
私も今までのお話を伺って、まさにその0、1、2歳のところはすごく大切だと思っています。
それで、安達先生がおっしゃったことがやはりきちんと最初に押さえられていないとだめかなと思っているのは、やはり赤ちゃん、乳児は生まれたときから主体性を持っているんだ。その主体性を持った存在である乳児にどうかかわっていくのか、その応答性がすごく大事なんだということをきちんと書いておかないといけないのではないかと思います。
特に、0、1歳、そして2歳があってやはり3歳につないで、その後、3歳、4歳、5歳と育っていく。就学前までにどういうふうに育つかという中で、そこを踏まえた上での0歳児保育があっていいのではないかと思うので、縦の長い、長いつながりをきちんと書いたほうがいいのではないかと思います。
それで、阿部先生がおっしゃったように、まさにその情動というのは0、1、2歳児のところできちんと根っこをつくり、やはり5歳の最後あたりに情感ということですね。思いやりであったり、譲り合いであったりというような情動から情感へというふうな育ちを保育所の中で育てていけるといいのではないかと思っています。
同時に、一日一日の流れの中で、やはり24時間を見通した中での8時間という、そういう育ちを家庭と連携してというのは橋本先生のおっしゃるとおりで、やはり家庭との連携の中での24時間の中の8時間をどうつくっていくかということを大事にしたらいいのかなと思っております。
○汐見委員長 ありがとうございました。
では、砂上委員からお願いします。
○砂上委員 千葉大学の砂上です。
先ほど、安達先生のほうからも0、1、2歳と、また3、4、5歳と、ということなのですが、特にその方法ですね。保育の方法ということに関して、より保育所保育指針でも、幼稚園教育要領でも、認定こども園の教育・保育要領でも、保育の方法の確たるものとして保育内容、保育方法としての遊び、保育所保育指針の場合は生活と遊びを通しての総合的な保育ということが語られているのですが、そこのところをやはりしっかりと、安達先生からも国民に発信していく視点が大事というお話があったんですが、やはりそこのところの理解が乳幼児期の教育ということについてどうも誤解があったりとか、うまく伝わり切っていない部分があると思うので、そこは保育所保育指針、または幼稚園教育要領を含めて、どうして乳幼児期に遊びが重要であるのか、どうしてそれが保育の中心的な内容であり、方法なのかというところをしっかり書いていくということも大事ではないかと思っています。
特に、今回、新制度に当たって保育所から認定こども園に変わられた施設長の先生などにお話を聞くと、認定こども園になると教育的な部分が強くなるからよかったというような反応が保護者から返ってくると、では今まで保育所でやっていた教育は何だと思われていたのかというのでがっかりしてしまうところもあって、保育所でもしっかりと養護と教育を一体化して行っていて、教育ということは確実にやっているわけで、それが制度上、学校教育とは呼んでいないという話ではあるのですが、しかし、保育所保育指針と幼稚園教育要領の3歳以上のところは、先ほど汐見先生もおっしゃられたようにほぼ実質的に共通化しているわけなので、やはり保育所でもしっかりと教育を行ってきている。そこのところは、特に3、4、5歳のところでの幼稚園教育要領と共通化して書いていくというところで、書き方であるとか構成もある程度そろえていくことでその誤解が少なくなっていくのではないかということは1つあります。
ただ、幼稚園教育要領にせよ、保育所保育指針にせよ、認定こども園教育・保育要領にせよ、どうして遊びが重要なのかというところはやはり科学的根拠があってやっていることであるので、そこのところをよりしっかり書いて、実際に実践する保育士も0歳から遊ぶというところで何を育てているのかという意識をしっかり持っていってほしいということは1つあります。
そうすると、遊びと生活を通しての保育というところで、やはり幼児期後半になってくると遊びも大分、様相が変わってくるということもありますし、教育的な意図を持っての遊びということが、いわゆる3歳児ごろの素朴な遊びから、幼児期後半の5、6歳ごろになると、やはり協同して目当てを持ってということに変わっていくので、そこはどういうふうに少し表現を書き分けていくかということも、とても重要なことではないかと思います。
だから、その辺は幼稚園教育要領だったり、認定こども園の教育・保育要領などともうまく整合性を図って、またしっかりと書き込んでいくことが必要ではないかということと、あとは保育所を修了した子たちの小学校の義務教育へのつながりも、幼稚園や幼保連携型認定こども園は学校教育としてそのまま移行していくという形に思われているところがあると思うんですけれども、保育所も学校教育という枠には入っていなくてもやっていることは実質同じで、保育所で保育を受けた子たちもスムーズに、また円滑に自信を持って接続して送り出していくためにはというところで、0から6歳を通して遊びが重要ということをしっかり書くということと、幼児期後半、3、4、5歳、特にその接続の時期の書き方というところはまたひとつ検討していく必要があるのではないかと思っています。以上です。
○汐見委員長 ありがとうございました。
参考のために申し上げておきますが、世界的に遊びを中心としたような保育に切りかえていくという流れがあるのですが、日本語で遊びというと、遊ばせているだけじゃないですかとか、そういう理解があるので、アメリカなどでもそのようですけれども、やはりプレイという言葉だけではなくてプレイの中で、あるいはプレイを通じた学びというものが一番大事なんだということで、プレイと言わないでプレイ・アンド・ラーニングというのが一般化してきているみたいですね。プレイ・アンド・ラーニング、P&Lと言うんです。
だから、なぜ遊びを大事にするかというと、そこでいろいろな学びが行われるからとなって、それがある意味では教育なんですね。つまり、子どもが遊びの中でさまざまな学びをして、頭も心も体も少しずつ変容していくようなこと、それはある意味ではさっきおっしゃったプロセスですね。
だけど、学んだ結果、何が育ったのかというふうに、そこまでいってしまいますと、つまり遊んで、いろいろなことを学んで、その結果こういうことができるようになったとか、そういう形になりますと、今度はその育ちというのは何が育ったか、結果主義的になっていきますね。
保護者などは、ここまで育ったと言ったほうがわかりやすいからそういうふうにいきがちなのですが、そうすると遊びが育ちの手段みたいになっていくというようなことが逆に起こってしまいます。だから、遊びを大事にするということが、子どもの育ちにとってもすごく大事だということをどう説明するかというあたりは、今回の指針の中では大事なテーマに多分なっていくということだと思います。
ただ、その場合、0、1、2歳の場合と、3、4、5歳はある程度書き分けるかどうかという問題は相変わらず残るということだと思いますが、そういう問題もあるということでした。
では、大方委員お願いします。
○大方委員 ありがとうございます。先生方がおっしゃっていることと重複する部分もありますが、これだけ「子育ての支援」「子育て支援」と言われるようになった中で今、汐見委員長もおっしゃっていますが、乳児保育の重要性ということをどうこの保育所保育指針に書いていくかということは、今回の改定の大きなポイントになるのではないかと思います。
特に、「子育て支援」ということがもう少し前ならば本当に場所を提供というか、お母さん同士、お父さん同士が出会うような場という社会的責任でよかったかもしれないです。しかしながら、先ほど安達先生もおっしゃいましたが、この乳児期に大人が、たとえ保護者ではなくても絆をちゃんとつくっておくということが未来に向かって非常に大事なんだという社会的責任、その中でクラス運営をしている。乳児といえども1対1ではない集団保育としての乳児保育の役割と、その保育者としての大人の役割を明確に書いておかないといけない。そこにいればいいような、預けたらそれでいいような子育て支援で場所提供だけではなくて、むしろ乳児期にこういうことをちゃんとしたらいいんだよということも保育所運営の中で、それこそ0~5歳か、4~5歳か知りませんが、来ている方々を別室ではなく、外から見てもらうのかどうかは別として、具体的に提案できるようなことも踏まえていかないと、これからの子育て支援ということはかなり難しいと思いますし、そこがキーワードになるのではないかと考えています。
いろいろな研究でも出ていると思うんですけれども、本当に絆は別に保護者でなくても虐待も含めてですが、この乳児期に出会った大人の責任として誰か一人でもきちんとした絆、人との関係性を人間としてつくれるかということになりますから、具体的にどんな遊びやどんな活動をするかということももちろん大事なのですけれども、その根幹に人との関係性という絆づくりがあるんだという保育者側の意識ですね。それは小規模であろうが、大きな保育園であろうが、そこが軸になってきてほしいという思いはあります。
さらに、さきほど委員長がおっしゃいましたけれども、1965年の保育所保育指針というのは割と望ましい活動という内容が明確に書いてあったので、カリキュラムをつくる現場の先生はそれがいいか悪いかとかいう問題じゃなくてつくりやすい部分があって、2008年の保育所保育指針というのは本当に創意工夫できるような豊かさと、5領域をベースにしたねらいを中心に書かれていて、それはそれで本当にとても素敵な書きぶりだったと思うんですけれども、現実的にはねらいと内容と両方セットで、コインの裏表みたいな形でもっと融合したもの、そしてそれが学生も含めてわかりやすくと言ったら非常にこれは難しいんですけれども、本当に2008年の保育所保育指針の保育の内容のところも保育士等がしなければならない事項、子どもが主体的に活動を選択する事項の2つの事項が大事なんだということもちゃんと書いてくださっているのですが、なかなかそれを読み取っていけなかった部分の反省もあるのではないかという気もします。
ですから、その辺のところが現場の先生方、さらに清水先生がおっしゃったようないろいろなタイプの方々がかかわったときに一応最低限押さえなければいけない、共通理解しなければいけないことを整理していただいた上で、さらに任せる部分と、保育者の専門性としてやらなければいけない部分の住み分けですね。何でもかんでも保育者が、保育士がということにならないようにお願いできたらいいのかなと思っています。
やはり言葉の使い方も現場の混乱があるのではないかと思うのですけれども、養護と教育という意味がよくわからなかったり、とても大事なことなのですが、法律的なことがあるのでどうできるかはわかりませんが、保育の内容と、保育内容と、保育目標と同じ言葉が大きな話や中くらいだったり、きょうの保育のことだったりして、その辺のところも若干わかりにくいので、幼稚園教育要領や、教育・保育要領との整合性も含めて、今回の改定で少し整理をして現場の先生にわかりやすくなればと思います。以上でございます。
○汐見委員長 これはどこかでまた議論になるかなと思ったので少しだけ整理しておきますと、ねらいと内容という書き方をしているということにどういう意味があるかということなのですけれども、なかなか保育学では余り議論されないのですが、教育学の世界では目標をどうつくるかということについて到達目標と方向目標という考え方があるんですね。
例えば、跳び箱3段が跳べるようになるというのは到達目標的な言い方なのですが、跳び箱等で遊ぶことを好きになるとか、そういうことに興味を持つというのは、ある意味では方向目標といって、別にここまでやらなければいけないということはないんだけれどもということですね。
実は、幼児教育ではそれまでは到達目標というのはかなり書かれていたんですね。しかし、そうなるとそこに向けて子どもたちをいわば叱咤激励する型の保育になっていく可能性が高いので、それをやめようというのは前回の改定の趣旨なんですね。それで、内容に書かれているのは心情と意欲と態度というふうに必ず3つずつ書かれているわけです。よく見てください。それで、その方向目標は心情、こういう気持ちになるとか、意欲を持つとか、こういう態度ができるとかということを3つずつ書いていこうとなっている。
教育学では、教育内容というのは具体的な活動だとか具体的な行為に落とし込んだものを目標というんですね。ですから、その3つの内容、ねらいを達成するためにこういうことをやろうとか、ああいうことをやろうと書いているのが内容になっているんですね。
だから、私はそれなりにできていると思うんだけれども、説明がないんですよ。だから、よく理解できない人が出てくるんじゃないかという今の御意見があったと思うのですが、それでもう一回到達目標みたいなものを少し入れるというようなことをやるかどうかというあたりが理論的な問題になってきているということだと思うんです。その辺をつくる側としては整理してかかりたいと思います。
では、寺田委員お願いします。
○寺田委員 寺田でございます。何人かの先生がおっしゃってくださったことと重複するところがあるかもしれませんが、基本的に今、大方先生がおっしゃってくださったことに大変共感いたします。
乳児期はやはり人生の出発点であって、人間が一生のうちで最も成長する時期でありますから、この乳児期に安心感を抱いて毎日を過ごすということが、将来の健全な情緒と心を形成する上で非常に重要だと思うんですね。
しかし、なかなかそのことの重要性を感じていても、日々の保育の中でそのことを本当に重要として捉えて保育されているんだろうかというところで少し疑問に感じるところがあったり、また、家庭の方に対しても保護者を含め、地域の保護者の方を含め、もう少し養育力の向上に対して保育者が何か提供できるような場面があれば痛ましい事件に結びつかないのではないかと、最近のニュースなどで感じることがございますね。
そのときに、やはり三つ子の魂ではないですけれども、3歳までの時期にどのような人にどういうふうな愛情を持って育てられたかということが、その後に本当に子どもにとって生き方が変わっていくぐらい痛ましい事故があったり、それから事件があったりしたときに、その子がやはり0歳から3歳までに不幸な育ちをしているというケースがとても多いんですね。
ある例を言うと、長崎のほうで子どもを刺してしまった、刺されてしまった。それを幼児期に私は他人でしたという方、ちょうど2人に研修会場で、高校生の方が亡くなった10日後にたまたま佐世保に研修に行ってそういう場面に出くわしましたけれども、ものすごく現場は疲弊していまして、ましてや10年前にも同じ事件があった佐世保だということでした。
結局、そのときにどうしたらいいかということを話し合った中で、地域の中でお互いの見守りをすること、声掛け運動であったりすることがお互いを支えていくことだろうということで、乳幼児期と小学生、中学生との触れ合い活動をなさるとよろしいんじゃないですかということを提案させていただき、今その活動が佐世保で始まっているんですけれども、地域の主任児童員さんや民生委員さん、児童館、保健センター、いろいろな方たちを巻き込むことができるのが保育園だと思いますので、保育園の中でこそ地域の方たちも含んだ次世代育成支援をしていくことだと思います。
先ほど、どなたか委員から、命を大事にするようなことを育んでいけないかということがありましたが、まさに小学生や中学生が職場体験をしたり保育園訪問に来るときに、乳児期の大事さのようなことを徐々に伝えておくことが、やがて自分の子どもを産もうとか、それから子どもが誕生したときにそのことを想起できるような子育て視点の現場は、まさに保育園にほかならないと私は思うんですね。
そういうことが、この保育所保育指針の6章の中にも今コラムで少し入っていますが、より地域子育て支援計画というようなものを、今回の計画はいろいろこれから見直されると思うのですが、そういうものを少し入れていくことが地域に発信できますし、そういう利用の仕方が、例えば小規模保育の中でも活用できるのではないか。地域型保育の中でも活用できることにつながるのではないかと感じております。
アメリカでの研究にもございますように、3歳までの間を専門性の高い保育士に保育された場合とそうでない場合では、その後の子どもと、そして保護者に大きな影響を与えると言われています。
具体的には、ちょうど1歳半から2歳の時期に専門性の高い保育者の言語ですね。言葉による接し方が一番効果があったということなので、やはり乳児保育のところの書きぶり、それから保育者がどのように接していくのか、そのあたりのところの姿勢ですね、清水委員もおっしゃっていましたけれども、これからは多様な保育者が保育現場の中に入ってくるであるのならば、やはり保育所の業務の中身の明確化であるとか、それから保育者の仕事の役割ですね。
橋本委員もおっしゃいましたけれども、そういうことの明確化をしていくこと、全ての人が全て完璧にやるというのはなかなか難しいことだと思うので、保育士という資格を持った、国家資格を持った保育者が、これから子育て支援員のような方がもしお入りになるのだとしたら、そのような方がなさる部分と、そうではなく指導的な立場になる保育士の方がなさる、例えば記録だとか、計画だとか、そういうものを立案したり、または日誌を書いたり連絡帳を書いたりというような業務をする方と、そうではなく保育の補助的な準備であるとか、お昼寝の補助であるとか、そういうような仕事の内容の書きぶりでしょうか。仕事の内容自体の中身を検討して、誰もが理解しやすいような指針をつくっていくことが大事なのではないかと感じます。
また、もう一つ、今、保育現場に行き、いろいろなところで研修を担当させていただきますと、大変記録を上手にかけている現場と、そうではなく、大丈夫でしょうかと不安になるような現場も実はございます。そうすると、やはり保育の現場が可視化して、もっと見える化をして、こんなに保育は頑張ってやっているんだよということが伝わるためには、もっと書きやすさの工夫だとか、こういう内容をこういうふうに保護者に伝えていったらいいんだとか、伝える力、保育力、そういうようなものも理解しやすいような指針にしていく必要もあるかと思っています。
具体的には資料3に示されていますように、保育課程とか、指導計画とか、自己評価とかというものがもう少し幼稚園教育要領と、それから認定こども園教育・保育要領と整合性を持たせて、特に小学校への接続の保育所児童保育要録と、子ども子育て支援要録と、幼稚園指導要録と3本があり、そこの園によって全然書きぶりが違うものがくると、やはり小学校の先生が読みたい1枚かというとちょっと敬遠したい1枚になりかねませんので、このあたりのところも検討し、できれば1枚の用紙で皆さんが書きやすいような要録を検討していくということも必要なのではないかという点を御提案させていただきます。以上でございます。
○汐見委員長 ありがとうございました。幾つも新たな点が出てきたと思いますが、本当に指導要録、教育要録を置くときの形式がばらばらだと小学校が困ってしまうということもあります。これは今回、同時につながりが進みますので、情報交換しながらできるだけあわせられるところはあわせていきたいと思いました。
それでは、木戸委員お願いします。
○木戸委員 倉敷市立短期大学の木戸と申します。養成校の立場から、2つお話をさせてください。
今、私が所属しているのは短期大学2年制の養成校ですけれども、保育所保育指針と幼稚園教育要領、それから認定こども園教育・保育要領を照らし合わせながら学んでいるというのが実情です。2年制というのは本当に詰め込んで現場に出るというのが実情ですので、保育所で実習をする学生と、それから認定こども園で実習する学生がおりますけれども、保育指針を通して学ぶ学生と、それから教育・保育要領を通して学ぶ学生がお互いに理解し合えるような工夫がや整理ができるとありがたいと思っています。
それからもう一点、現場とかかわらせていただいて最近よくお聞きすることが、配慮を必要とする子どもについてですけれども、個別の指導はそれぞれ現場の先生方がとてもよく工夫をされているようなのですが、最近よく耳にするのが、配慮を必要とする子どものいるクラス保育について悩みを持たれている先生方が多いように実感をしています。
ですので、個別の支援と並行してそういったクラスの保育というようなものも少し強調して表現できればありがたいと思っています。以上です。
○汐見委員長 ありがとうございました。
それでは、岡村委員お願いします。
○岡村委員 認定こども園ポプラの木の岡村です。
まず、きょう説明していただいた資料をもとに少し気づいたことなんですけれども、資料2-2の9ページに「保育所等数の推移」というものがあります。平成20年から27年までの保育所の数の推移が示されていて、26年までは社会の要請に従ってどんどん増えてきていて待機児童解消のための取り組みがここにあらわれているのですが、突然27年度にがんと増えている。
この絵だけでは説明がつかないんですね。私立幼稚園から幼保連携型認定こども園になってきたところがこの紫のところには入っているわけですし、保育所から幼保連携型になったところが紫に入っているわけですし、それから認可外保育所が認可を得て保育所になったところがあるわけですし、いろいろなニーズに対して応えてきた事業体があって、それがそれぞれに箇所数といいますか、数があって地域を支えてきたわけですから、もしこういう表を出すとすれば今、保育所保育指針と幼稚園教育要領、認定こども園教育・保育要領を連動して改定していこうということであれば、相対的な縦割りのものではなくて全体をあらわせるような形で、幼稚園の数がこれぐらい、認可保育所の数がこれぐらい、認可外保育所がこれぐらい、今はそれがこういうふうに変わったというふうなものを見ていかないと、保育所のところだけを私たちは見て、この保育所保育指針をつくったのでは、これから社会の中で、この新制度の中ではかえっていろいろな不都合が出てくるのではないかと思うんですね。
今、幼稚園教育要領の改訂の作業が進んでいるとすれば、そこで何が課題になっているかを私たちも聞かなければいけないし、ここで話題になっていることを向こうにも伝えなければいけないし、そこでこそ、できてしまってからしまったではなくて、整合性を保つことができるのではないかな。
そのためにも私たち保育所が今までは保育に欠けている子どもたち、その家庭しかカバーできなかったけれども、新制度の中ではもっと広く、もう既に保育制度改革の中では地域の子育て支援の機能を持ちましょうと言われて20年たつわけですから、そういう機能からいくと、保育に欠けていない家庭も私たちの視野には、現場の言葉でいくと私たちの視野の中には入っていたはずで、それがゼロ号認定とかいろいろな言葉で言われるわけですけれども、子育て支援の機能も発揮しながら、幼稚園も、保育園も、認定こども園も、認可外保育も、いわゆる小規模の施設も一緒になって地域を包むような視点を持っていかないと、この保育所保育指針は浮き上がってしまうような気がしてならないんですね。そこはやはり連動させていくことが必要でしょうし、全体の数を見ていく必要があるんじゃないかということを思います。
それと、この表についての意見なのですが、関連していくんですけれども、認定こども園教育・保育要領の検討委員会に私も委員を務めさせていただきましたが、最後のまとめのときに汐見先生も意見を発言してくださった中で、幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の合同検討会議で最後のまとめのときに、幼保連携型認定こども園保育要領の(仮称)を取って保育要領でいいよねと、半分以上の委員の方々がそういう発言をなさったんですね。
それは、幼保連携型認定こども園は幼稚園の機能と保育所の機能、子育て支援の機能を総合的に持っている場所というところでは、幼稚園でも保育所でも大事に使ってきた保育という現場の言葉を大事にしよう。法律的に教育基本法の第6条で、あるいは学校教育法で規定されている学校としての学校教育と、それは保育所にはないもので、こちらは保育所保育の保育なんだという法律的な言葉のすみ分けというところは確かに必要で、それで制度ができるわけですけれども、これはもう現場の言葉としての保育でいいじゃないかという意見がずっと出ていたと思うんですね。
けれども、結局、認定こども園法という8年前にできた法律の縛りの中にある教育・保育要領ということで教育・保育要領という形になってしまった。これは、私にとってはとても残念なことだったんですが、中身は教育と保育が一体的にというところではとても豊かなものになっていて、私は中身としてはほっとしたところがあるんですね。
けれども、やはり先ほどからの議論の中でもあるように、保育所には教育がないとか、そんな議論がこれまである中で、教育という言葉の概念をどう考えるかですれ違ってきたり、理解が深まらなかったりということがあったんだろうと思うんです。
実際、教育・保育要領の解説書の中では、国としての公な形の理解は、幼保連携型認定こども園は学校教育を提供する場所です。そして、児童福祉施設の保育所としての機能(保育)教育及び養護(学校教育を除く)という解説がなされていくわけですね。それは法律的にはそうなんだろうと思うのですが、学校教育は確かに保育所にはない。学校にしかない。けれども、私たちがやっているのは、先ほどから出ているように、幼稚園でも教育でも整合性が保たれてきた5領域の中で豊かに子どもの育ちを見通した保育をしているということでは、例えば学校教育という言葉を乳幼児期には使いません。
確かに、幼稚園は学校教育です。認定こども園は学校教育の機能を持ちます。法律的にはそうです。でも、私たちのところでは乳幼児期の教育という言葉にしましょうというふうな言い方で、むしろそこに保育の中身が豊かにあらわされるような言い方ができないのだろうかということで、ぜひそういうことを新しい取り組みの中で幼稚園教育要領、保育所保育指針、認定こども園教育保育要領の検討の中で議論のテーブルに挙げていただきたいということが1つあります。
そこで、食い違っていくのではなくて今、本当にいろいろな課題が社会、時代の中で出ているものを皆が担うとすれば、そこで一つの土俵をつくらないと進めないんじゃないかという気がするんですね。
それで、ひとつ現場から感じていることをお話ししたいのですが、先ほどから乳児保育、個別の保育の計画、対応ということが言われているんですが、要するにアタッチメントですよね。私の学園では、4つの認定こども園を運営していて2つの認定こども園の園長をしていますけれども、認定こども園ぶどうの木というところでは毎月の誕生会で最初に園長の私が話をして、例えば11月は障がいを持っている友達がいるんだよね、皆違っていて当たり前なんだよねなどという話を子どもたちとした後に、今度は誕生日の子どものお母さんたちが生まれたときのこと、うれしかったときのことを話してもらうんですね。
ことしの4月、5月、6月も、3、4歳のお母さんたちが全てぼろぼろ泣き始めるんです。
何かというと、4歳の子どもたちはあの震災、原発事故の直後に生まれた子どもたちなんです。3歳の子どもたちはその1年後に生まれてその4月、5月ごろということで、何でこんなに皆、泣くんだろうと思ったんですけれども、それだけ不安だったんですね。ここで私は産んでいいんだろうか、ここで育てていいんだろうか、食べるものは大丈夫だろうか。そういう中でこの4年間をこうやって大きくなれた、なってきたというのはとてもうれしかったということでしょうし、それだけため込んできたものをあそこで涙を流しながら言葉にしてうれしかったと言えたというのは、そのお母さんたちにとってみればとても癒しになるような出来事だったんだろうと思うんですね。
それと連動しているかどうかはわからないです。私は、愛着障害の子どもたちがふえているという感覚を持っています。お母さんたちがなぜアタッチメント、愛着形成がうまくいかないかというところの原因というのが、お母さんたちがネグレクトであるとか、子どもにどう接していいかわからないとか、そういうことだけを私たちは考えがちですけれども、そうではなくてむしろ一生懸命のお母さんたちが不安な中で、これでいいんだろうか。私の子育てはこれでいいんだろうかという中で、アタッチメントに失敗していくという状況があるんですね。
これは二極化と言いますか、本当に子育てが嫌だという人たちと、そうじゃなくて一生懸命だからこそ不安がいっぱいで、本当はにこっとした笑顔で子育てをしてくれればいいんだけれども、それがないのでお母さんの笑顔がない中で子どもたちは愛着形成ができない中で育ってしまうということがあります。
特に今、4歳の中で何人もの子どもたちが、ちょっと不安なことがあるともうパニックになる。そして暴力的な行為、周りの子どもたちが遊んでいるものを全て破壊し尽くしていく行為に出るような子どもたちに私たちも出会っています。
これは、福島だからということではないかもしれません。ほかの地域でもそうなのかもしれません。小さな不安に対応できない若いお母さんたち、そして福島ではそういう原発事故という大きな不安の中でということがあって、一生懸命子育てをするんだけれどもうまくいかない。とても不安、心配というものがそうしているとすれば、やはりそれは子どもの育ちが高度経済成長期から後、家庭の変化、社会の変化の中で変化してきたことの中では、今そこに一番大きな課題があるように思えてならないんですね。
0、1、2歳のところで子どもたちがどう育つか、この人がいれば大丈夫、この先生がいれば大丈夫、このお母さんがいれば私は大丈夫と言って自己肯定感、私は大丈夫というものをいっぱいにして育っていくということをどうやってあらわすのか。網野先生は能動的な権利保障とおっしゃいましたけれども、やはり0、1、2歳のところにも教育がある。赤ちゃんが、おむつが濡れたよと泣いてお母さんに知らせる。お母さんが来て、おむつをかえてくれる。にこっと笑い合う。環境に対して主体的に働きかけて、生きる力の基礎を自分のものにしていくという教育がそこに息づいているわけで、そういう中でアタッチメントが育っていくとすれば、乳幼児期の教育というのは何かということをやはりこの指針の最初のところで幼稚園教育要領も、認定こども園教育・保育要領のほうでも共通のような理念をしっかりと語って、乳幼児期の教育というのはこういうことなんだということをちゃんと語って具体的なことを語り始めていただきたいと思いますし、やはり0、1、2歳の個別の計画、アタッチメントのことをもっと書きあらわしていく必要があると思うんです。
もう一つ、長くなりますけれども、地域というところでいくと、保育所保育指針が保育所の事柄だけではなくて、先ほどから意見が出ていますように家庭や地域ということをやはり意識して書きぶりを変えていく必要があるだろうと思いますし、むしろ特に家庭にどういうふうに私たちはかかわっていく可能性があるのかということですね。
そして、そこではぜひその理念のところにあると思うんですけれども、そこで働く保育士、保育教諭、教諭の人たちが、私たちは一生懸命、教育要領保育指針に従って子どもの主体的なものを支えようとするんだけれども、お母さんたちに理解してもらえないなどというものがあったり、そこはやはり理念、乳幼児期の育ちというのはこういうことなんだということが明確に通っていないからということなんだと思います。
そこを明確に書いて、現場の職員がこうやって子どもたちは育っていますよということを視覚化したり、見える化したりして伝えながら一緒に喜び合えるようなものをつくるような現場をやはりつくらなければいけないということだと思いますし、理念のところにぜひ社会的な評価として、これはすばらしい仕事なんだということもやはり書かないと、今、人がいなくて一番困っているのは私たちなんですけれども、給料が低くて人が少なくてということは、どんなにすばらしい計画を立てても動かなくなりますので、そこでは社会的な評価を上げるということをこの理念の中でも、それから給付とか、お金のほうでもあらわしていくということがこれから必要なんじゃないかと思います。
長くなりました。すみません。
○汐見委員長 ありがとうございました。この用語をどうするか。この委員会だけではなかなか決めることはできないんですが、前の認定こども園教育・保育要領の議論の中では今のことは確かにテーマになりまして、法律の言葉はとても今はややこしくなっていますので、現場の感覚の用語でその指針ないし要領は統一したらいいのではないかという御意見だったんですが、もともと法的な文書だというのでなかなかそれがかなわなかったという事情があるんですね。
今回、改めてその辺をどこかの段階でここだけじゃなくて議論しなければいけないということになるかどうかですね。そのあたりも、論点としてはあるということでした。
それでは、皆さん大変上手に配慮していただいてきちんとキープできたので、あと一人、堤委員のほうからお願いいたします。
○堤委員 私は、食の分野について3点申し上げたいと思います。
山縣委員が、保護者が随分変わってきていると最初にお話になっていらっしゃいましたけれども、現在、偏食、小食、食べ過ぎなどで悩んでいらっしゃる保護者が就学前の子どもさんの保護者の40%いるというデータがあります。保護者が、食の悩みがあると子育ての負担感が強い。食の悩みがないと、子育ての負担感を持つ方が悩みがある人の半分に減るというデータがあったり、また、子育てで食の悩みがあると子育てに困難を感じることが強いという傾向が出ております。
ですから、保護者の食を支援することが非常に子どもとハッピーな気持ちで向き合える。そのためには、保護者の食の状況もきちんと把握できるような保育士になってほしい。なぜならば、食生活というのは非常に外から見えにくいんですね。服であったり、持ち物であったり、スマホが最新鋭の機器を持っているとか、そういうことには結構お金は使うんですが、食というのはほかから見えないがためにかなり削っていて、余り適切でない環境にあるおうちもあるかなと思いますので、そのあたり、保護者の食の支援をもっと現行以上に強めていただきたいということです。
また、その保護者を支える保育士自身の食生活の充実についても言っていただかないと、例えば保育士が朝御飯を食べてこないのに、保護者に食べてきてよと言ってもなかなか説得力が増さないと思いますので、その点はもうちょっと詳しく書いたほうがいいかと思いました。
それからもう一点は、調理員の現場においての役割の明確化ということを、今も書いてあるんですけれども、もう少し丁寧にしていただきたいと思います。なぜかと申しますと、一部の施設長の先生の中にはまだ、調理員は調理をする人だから厨房にいればいいよというふうなことで、保育室に立ち入ることができていない園もあります。やはりそれはおかしくて、その調理をする人は子どもに適した調理をしなければいけないので、自分の目でその子どもの食べている様子だとか、あるいは食事の時間だけではなくて今どんな遊びに興味を持っている。だから、こんなふうにお腹がすくんだとか、あるいはおうちでゴーヤのカーテンをつくっているという話をしていたから、ではゴーヤを出そうかなというふうなことで、調理員がやはり保育室に入ることの重要性ですね。
それは、調理員が食育の重要な人材であるということを今以上に丁寧に記述していただけたらありがたいと思います。
それからもう一点ですけれども、資料2-2の5枚目のスライド、6枚目のスライドにもありましたけれども、小規模保育事業であったり家庭的保育事業になりますと、これまで自園調理が多かったものが関連施設などからの搬入が可能になります。
そうすると、質の担保であったり、または適温適時の給食がどれだけ保障されるのかということですね。特に家庭的保育になりますと、有資格者でない方が献立調理をすることも多くなったりということがありますので、そのあたりはやはりきちんと子どもにとって栄養というのは非常に重要であるので質の担保を保つということ。
それからまた、そういう内容的なこともそうなんですけれども、やはり外部から搬入してきたりするとなると、今まで自園調理の中で、自分のところでつくっていて、つくっている人の姿を見て、そしてそこで感謝の気持ちが育まれるというようなことがあったと思うのですが、それが外から車でぱっと運んできたりすると感謝の気持ちが育ちにくくなると思っていますので、そのあたりがちゃんと育つようなかかわりがどういうふうにしたらできるのか。たとえ、外から運んできたものであっても、どうやったら感謝の気持ちであったり、物を大事にするとか、そういうふうなことの気持ちが育まれていくかということをやはり丁寧に記述する必要があろうかと思いました。以上でございます。
○汐見委員長 ありがとうございました。
本当に皆さんよく計算してしゃべっていただいて、聞いていて発言したいということがたくさん出てこられた方もいらっしゃると思うのですが、本日のところは一通りこういうことをやるべきじゃないかと考えておられることを出していただきました。
繰り返すことはいたしませんけれども、最初に資料3で出していただいた検討課題とかなり重なった議論になったと思います。先ほど岡村委員が最後のほうで出された、被災地の保護者が言葉にならない不安を無意識の世界で抱えていて、そうして一生懸命育てている子どもの中に愛着障害的なものが出てくる。
これは、1980年の初めにアメリカでゴースト・イン・ザ・ナーサリーということを言い出した、名前は忘れましたけれども女性の医者が、その当時はたたかれたんですけれども、授乳室の幽霊ですね。授乳室で親が不安を抱えていると、それが見事に子どもに出てくる。最初は、そんなばかなという話があったんですが、どうもそれは事実らしいということで、子どもを育てている一番近いところの保護者がメンタルヘルスをきちんと保つということが実は子どもの育ちにとってもとても大事で、だから私たちが行う子育て支援ということの中にそういうことをもう少し明確に書いていくことも必要なのかなと思って、ちょっとお伺いしていました。
それから、地域子育て支援計画などというような言葉も出てきましたけれども、やはりここにあるのは虐待防止とか、それからきょう直接言葉は出てこなかったのですが、日本の社会でじわじわと進んでいる貧困問題、その貧困問題が私はちょっとこの間、韓国のことを調べたら、韓国のほうがはるかに対策が進んでいまして、日本では食べることができない子どもたちというのはかなりいまして、夏休みになって学校給食がなくなると大変だという子どももいるんですが、韓国では学校の給食と、それからあなたの家庭は貧困の支援を受ける権利がありますと言われたら地域何とかセンターで毎日、夕食は食べさせてもらえるというシステムがあるとか、いろいろやっておられるんです。
だから、保育所でできることと、保育所だけではできないけれども、きちんとリンクしていかなければいけないことと、地域で一番大変な子どもたちを支えていくようなシステムをつくるのに保育所がどう貢献していくのかというようなこととかは、やはり少し頭出ししなければいけない時代になったのかなと思ってちょっとお伺いしてみました。
乳児の保育について、あるいは3歳未満児の保育について丁寧にという御意見とともに、そのことが出て、これが資料3の最後の5番目などにもつながることであったのかもしれません。
それから、きょうは出てこなかったのですが、先ほど少し安達さんのほうからテファリキについてありました。幼稚園、保育所、それから認定こども園という3つがあるのですが、いずれも法的な文書で、親が読んでもなるほどという文書じゃないですね。だから、実は子ども・子育て会議か、その前の新制度をめぐる議論のときに、それとは別に国民が全て使えるような指針をつくろうというような意見もありましたね。
それは今からは難しいかもしれませんが、今の時点でそれに一番近いのは保育所保育指針なんですね。ですから、保育所保育指針の中身を非常にわかりやすく、保護者にとって身近な形で解説書をつくるとか、解説書のあり方について私などはちょっと意見があるんですが、今は大変厚いものになって、あれはあれで保育士は持つべきだと思うんですが、同時に国民が読めるような解説書というのはあってもいいかと思っているんですが、どうやって地域の教育力を高めていくかということにも関わることなので、そういうことも考えられたらと思っています。
いずれにしても、大事な論点がたくさん出されたので、これを整理していただいた上で次の会から少しずつ、ポイントを絞ってやっていきたいと思います。
そのために最後の議案なのですが、今後のスケジュールについて御提案をいただきたいと思います。資料4について、事務局のほうからお願いいたします。
○楠目企画官 それでは、資料4のほうをお願いいたします。
保育所保育指針改定の今後のスケジュールでございますけれども、月1回程度開催することといたしまして、検討期間はおおむね1年程度を目途としているところでございます。
本日は第1回目を開催いたしましたけれども、こちらの資料にございますように、次回につきましては来年の1月7日木曜日の午後で現在調整をさせていただいているところですので、よろしくお願いします。
議題としましては、乳児保育、3歳未満児の保育に関する論点等について予定をしているところでございます。
また、3回目以降につきましては、平成28年2月以降、おおむね月1回程度の開催を予定しておりまして、平成28年春ごろを目途に中間取りまとめを予定させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
あとは、すみません、1点補足でございますけれども、何人かの委員の先生から幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改定について御意見等をいただいたと思うのですが、認定こども園教育・保育要領の改定につきましては、現在関係の3府省でどういう進め方をするか、事務的に検討している状況でございます。
いずれにいたしましても、こちらの専門委員会での御議論の成果が認定こども園教育・保育要領の改定の議論にもつながっていくような方法について、関係府省でよく相談してまいりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。以上でございます。
○汐見委員長 ありがとうございます。
私のほうからお願いですが、今ちょっとお伺いしておわかりだと思うのですが、一応平成30年に実施になるわけですが、平成30年の前の平成29年の末には文書ができていなくてはなりません。
1年間、その期間があるんですね。その1年間に説明に回ったり、現場でいろいろ議論していただくということに充てるわけですから、平成28年度の末にはちゃんとした指針と解説書、その他ができていなければなりません。平成28年度の末にできているということは、来年度文書が全部できなければいけないということになります。
そうすると逆算していきますと、来年の4、5月には大体の案ができていなければいけないということになるんです。8月あたりから皆さんにはいろいろお願いして執筆、解説書と、さっきも言ったように解説書がすごく大事です。ということは、この半年が勝負だというぐらいのスケジュールに実はなるんですね。
だから、大分先の話というふうに皆さん思っておられたら頭をちょっと切りかえていただいて、毎月1回は最低会議をして、そして間に合わなければもう一回でもやるというようなことでやっていかないと、来年の4、5月に大体の素案ができるというふうにはならないものですから、相当タイトなスケジュールなんだなということを御理解いただきたいということが私からのお願いです。よろしく御協力のほどをお願いします。
それでは、今日はどうもありがとうございました。これで終わります。
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