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2016年3月3日 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第3回)議事録
医政局医事課
○日時
平成28年3月3日(木)10:00~12:00
○場所
厚生労働省省議室(9階)
○出席者
構成員
荒川 哲男 (全国医学部長病院長会議会長) |
今村 聡 (日本医師会副会長) |
小川 彰 (岩手医科大学学長) |
片峰 茂 (長崎大学学長) |
神野 正博 (全日本病院協会副会長) |
北村 聖 (東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授) |
権丈 善一 (慶應義塾大学商学部教授) |
小森 貴 (日本医師会常任理事) |
平川 淳一 (日本精神科病院協会常務理事) |
平川 博之 (全国老人保健施設協会副会長) |
福井 次矢 (聖路加国際病院院長) |
本田 麻由美 (読売新聞東京本社編集局社会保障部次長) |
松田 晋哉 (産業医科大学医学部教授) |
山口 育子 (NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長) |
参考人
藤田 伸輔 (千葉大学予防医学センター教授) |
山本 紘子 (日本女医会 会長) |
○議題
1.医師の需要推計、供給推計の方法について
2.医師偏在の課題について
○議事
○海老名医事課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第 3 回「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」を開催いたします。構成員の先生方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。カメラ撮りはここまでとしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
初めに、本日の出欠について御連絡をいたします。本日、一戸構成員、森田構成員より所用により御欠席との連絡を頂戴しております。また、松田構成員から、所用により遅れて御出席との連絡を頂戴しております。
本日の会議には、参考人として日本女医会会長の山本絋子様、千葉大学医学部附属病院地域医療連携部教授の藤田伸輔様にも御参加いただいております。以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。それでは片峰座長、よろしくお願いいたします。
○片峰座長 それでは、議事を進めたいと思います。初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○海老名医事課長補佐 それでは、資料の確認をいたします。まず、本日の議事次第、資料 1 「医師の需給推計方法について ( その 2) 」、資料 2 「医師の供給推計方法について」、資料 3-1 「医師偏在に係る課題 ( その 2) 」、資料 3-2 「医師偏在に係る参考資料」です。なお、青の紙ファイルは、前回までの資料等がつづってあります。議論の参考にしていただければと思います。以上です。
○片峰座長 それでは、本会の冒頭に当たりまして、前回の会議の最後のほうで、座長の理解不足もあって、この会の議事の進め方について少し議論がありました。今日は、改めて当面のこの会議の進め方について事務局から御説明を頂いて、皆様と共有した上で本日の議事を進めたいと思います。よろしくお願いします。
○渡辺医事課長 医事課長の渡辺でございます。今後の議論の進め方につきまして御説明をさせていただきます。まず本日ですが、議事次第にもありますように、推計方法につきまして御説明をさせていただき、御確認いただいた後、今後マクロベース、すなわち全国ベースの需給推計を次回以降お示しさせていただければと思います。
もう 1 点、地域医療の確保に関して、医師数の議論だけではなく偏在対策についても非常に重要ですので、本日もその要因の御議論をお願いするものです。次回以降も、本日の議論を踏まえまして、要因を解決する方策の議論をお願いできればと思っています。
したがいまして、中間取りまとめにおいては 2 点ほど想定しています。 1 点目は、 29 年度で終了する暫定的な医学部定員増の措置の取扱いでございまして、同時に 2 点目として地域偏在対策、診療科偏在対策の考え方を整理して盛り込んでいければと思っています。次回は 3 月 31 日を予定しておりまして、次々回以降、中間取りまとめに向けた御議論をお願いできればと思います。
その後、第 1 回の分科会でもお示ししましたが、中間取りまとめ以降に、地域偏在対策、診療科偏在対策の更なる深掘りといいますか、具体的な各論について議論を深めていただければと思っています。大変過密な日程となっていまして恐縮ですが、そのような形で進めさせていただければと思っていますので、構成員の先生方の御協力をお願いできればと思っております。以上です。
○片峰座長 ありがとうございました。そのようなことでよろしゅうございましょうか。それでは、そういった方向性で進めさせていただきます。最初に議題 1 、「医師の需要推計、供給推計の方法について」です。まず、資料 1 に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○松本地域医療構想策定支援専門官 資料の説明をさせていただきます。資料 1 「医師の需要推計方法について ( その 2) 」を御覧ください。
1 ページは前回のおさらいから入らせていただきますが、○の 1 つ目、医師の需要推計ですが、大きく 2 つに分けたいと思っています。 1 つは、臨床に従事する医師、もう 1 つは臨床以外に従事する医師です。そこでまず、 1. 臨床に従事する医師ですが、前回のまとめとして、まず確認させていただきたいのが、前回、松田構成員から推計のプロトタイプというか、原案をお示しいただきまして、大きな意味での基本的な手法については、おおむね合意されていると。細かいところについてはまだですが、大きな方向性については合意をされていると考えています。その中身ですが、基本方針のところにありますように、まず 3 つに分けます。入院医療、外来医療、介護福祉、この 3 つに分けて推計を行おうということが基本方針。もう少し詳しく推計方法の中身を申し上げますと、1から4までありますが、1、医療需要あたりの医師数をもとに医師の需要推計を行う。この場合の医療需要については、入院では病床数が基本、外来では患者数を基本とするということです。
次に2ですが、現在の医療体制で必要な医療需要については、おおむね対応できているという前提に立ちまして、これは地域医療構想と同じ前提なのですが、現在の医療需要あたり医師数を算出して、将来に投影する。
3は、入院医療のうち一般病床及び療養病床につきましては、医療需要の推計は地域医療構想と同じ手法で行うということを前回説明しておりますけれども、この推計結果に1で求めた医療需要あたりの医師数を掛けて、必要医師数を求めるということです。
4ですが、地域医療構想で将来推計を行っていない医療需要、すなわち精神病床や外来医療等ですが、これは現状分析等に基づいて一定の仮定を置いて推計をして、幅をもった値として回答を出していくということで、需要あたり医師数を掛ける、1を掛けるというのは同じです。
今回何をやるかということを詳しく 2 ページで説明をします。まず、今回の検討の中身ですが、推計を行うに当たって、必要となるいくつかの前提及び仮定等について確認をしていきたいと考えています。幾つかに分けたいと思っていまして、 2 ページの枠の中ですが、 1 つ目は入院医療、一般病床及び療養病床のものと精神病床のものを分けたいと。あとは外来と介護ということになります。
ここまでが臨床従事医師ですが、 2. 以降、臨床従事以外の医師ですが、今回、大まかな考え方をお示しするのみですが、○の 1 つ目、三師調査における「医療施設に従事する医師」以外の類型の医師の推計を主に対象とするということで、基本的な考え方を検討していくということです。
そこでは、臨床従事医師のほうについて御説明をしますので、 3 ページ以降を御覧いただきたいのですが、 3 ページは、参考で前回松田構成員がお示しをした資料です。大まかなコンセプトになっていまして、入院、外来を分けて、需要あたり医師数を掛けて必要医師数を出すという形になっています。
4 ページは、少し細かいところもありますが、推計の基本的な前提について幾つか確認をしておきたいと考えています。括弧の中は共通事項となっていますが、医師数の総体として何を使うかということですが、三師調査をベースとしていきたいと考えています。三師調査の中には、細かい分類が入っていないということで、一般病床と精神病床の分け方は、医療施設調査ベースの常勤換算で按分をしていきたいと考えています。
具体的に、1以降でお示しをします。まず1の 1 つ目は、一般病床及び療養病床です。こちらについては、医療需要の将来推計については、先ほどお示ししたとおり、地域医療構想のものがありますので、医療需要あたり医師数のところだけの御説明になります。 i) ですが、ペケが 4 つありまして、 1 つずつ説明をしていきますが、ペケの 1 つ目ですが、医療需要あたり医師数につきましては、需要と同様に地域医療構想の 4 機能を使っていく。 2 つ目、どうやって分けるかというと、直近の医療施設調査の中に、病院に勤務している医師数というカテゴリーがありまして、その中に精神病床というジャンルがありますので、これを引くということと、これに有床診療所の勤務医師数を足しまして、一般病床及び療養病床に勤務する医師数として需要と合わせていくということです。さらに、 3 ペケですが、これを 4 機能に分ける、按分していくわけですが、この按分した数字をそれぞれの病床数で割ることで、医療需要あたり医師数を求めていくということです。最後のペケですが、どうやって 4 つに按分するのかということについては、幾つか方法を考えておりまして、 1 つは、各医療機能における平均的な医療資源投入量というのを地域医療構想の策定時に計算をしておりますので、こういうものに基づいて按分する方法ですとか、今、病床機能報告制度ということで情報を収集しておりますので、こういうものをそのまま用いるだけではなくて、幾つかの仮定を設定しまして、複数の推計値、幅をもって推計を行っていきたいと考えています。
5 ページは、精神病床についてです。精神病床については将来需要推計を行っていないので、医療需要、すなわち病床数の推計からする必要がある。 2 つ目のペケですが、機械的に計算をしていきたいと思っておりますので、性・年齢階級別の入院受療率などを求めた上で、将来の人口に投影するという方法を取るというのが基本です。 2 ペケの後半、「その際」以降ですが、受療動向につきましては、動いているということもあろうかと思いますので、患者調査ですとか社会医療診療行為別調査のような診療行為の中身を見ていくような調査を活用しまして、受療実態や診療実態の推移、トレンド等を分析していきたいと考えています。 3 つ目ですけれども、留意点といたしまして、機能区分はどうするのかということですが、地域医療構想と同じように、病床機能区分を行った上で推計する方法ですとか、病床機能区分を行わず一体として推計する方法等がありますので、幾つか仮定を置いて複数の推計値を出していきたいと思っておりますが、留意点として、「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会」等、これまでの考え方の整理が既にあるものにつきましては参考としていきたいと考えています。ちなみに、平成 24 年の取りまとめにおきましては、精神病床を 3 つの機能、期間、入院期間が 3 か月未満、 3 か月~ 1 年未満、 1 年以上に分けて検討するというような考え方も示していますので、適宜参考にしていきたいと考えています。
6 ページです。もう 1 つ留意点がありまして、なお書きの所ですが、今回の対応については、あくまで喫緊に医師数推計を求められているために行う機械的な試算ですので、例えば今、並行して行われている「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」のような、今後の精神保健医療福祉のあり方の検討に影響を与えるようなものではないと考えています。
ii) の所ですが、医師の配置、医療需要あたり医師数ですが、この 24 年取りまとめにおいて、 3 つの機能それぞれに、 3 か月未満については一般病床と同等の配置、 3 か月~ 1 年未満については現在の精神病床と同等の配置とする等、案が示されておりますすので、これらを参考にしていきたいと考えています。
7 ページ、外来医療の部分です。外来医療も、将来需要推計は地域医療構想で行っていませんので、まずは患者数の推計からということです。医療需要の推計の 2 ペケですが、病院及び有床診療所でも外来を行っているということは我々も認識しているのですが、これらの施設においては、入院医療とともに外来医療にも対応を行っているということです。この外来の医療需要、有床診と病院の医療需要につきましては、入院医療需要と同様に推移をすると仮定して、 4 ページの一般病床及び療養病床に従事する医師数のところで一体として推計を行っていきたいと考えています。そのために、 3 ペケ目ですが、2外来医療のパートでは、無床診療所において提供している部分の推計のみ行うということであります。
4 つ目ですが、基本的には外来の受療率とか、その辺りの需要動向を踏まえて受療率の推計をしていきたいのですが、これを将来人口に掛けるという形でやりたいと考えています。このトレンド等につきましても、精神と同じようにこれまでのトレンド等を分析して、幾つかの仮定を設定して複数の推計値を出していきたいと考えております。
最後のペケですが、無床診療所が訪問して行う診療、いわゆる在宅医療のところですが、これは、レセプト上も捉えられるものですので、ほかの外来需要とは分離して、別建てで推計を行っていきたいと考えています。特に、地域医療構想における慢性期医療の需要推計を踏まえまして、将来は在宅医療等で対応するとされている医療需要の増加分を含めて、きちんと推計をしていきたいと考えております。
ii) の医療需要あたり医師数ですが、直近の医療施設調査を使って求めていって、医療需要あたり医師数を設定するということにしたいと思います。
8 ページです。介護・福祉分野です。これも入所者推計というか需要推計をしていくのですが、この三師調査を見ますと、介護・福祉分野に従事する医師は大半が介護老人保健施設の従事者であることから、介護老人保健施設の需要の推移をもって、需要の伸びの割合を計算していきたいと思っております。具体的には、既存調査・推計において示されている、直近の介護老人保健施設の入所者数と将来の入所者数を活用していきたいと考えています。医師数につきましては、直近の三師調査で、介護老健の施設に従事している医師数等を使っていきたいと考えていまます。
4のその他のところですが、労働時間の取扱いです。労働の基準点となる現在の労働時間、あと、将来時点の労働時間というのがありますが、足下については、既存の複数の調査を分析した上で、これも区分をどのように置くのか。全体が同じ労働時間なのか、それとも診療形態によって違うのか等々、複数のシナリオが必要だと思いますが、それと、将来の労働時間の考え方についても、複数の仮定を設定していきたいと考えています。なお、医師の勤務環境改善策の効果を一定程度見込んだ推計を行っていきたいと考えております。
続きまして 9 ページですが、ここからは、臨床以外に従事する医師の推計ということです。 1. 推計の対象ですが、三師調査で医療施設に従事する医師以外の部分を基本としていきます。介護・福祉分野の、介護老健の部分については、臨床従事医師で整理しておりますので、それ以外ということになりますので、下の表を見ていただきますと、介護老健、無職、その他のところを今回は含めないということで、医育機関の従事者、産業医、行政機関、保健衛生業務という 4 つを基本軸として推計していきたいと考えています。
10 ページに少し詳しく書いていますが、 2. 基本的な考え方にありますように、臨床以外に従事する医師の推計を先ほど申し上げた 4 つに分けていくということで、今後、関係者の御意見、これまでの経年変化や、行われている行政的な検討等を勘案して、更に精査をしていきたいと考えております。
11 ページです。 10 年前、前回の医師需給推計のときの考え方をお示ししています。長くなって申し訳ありませんが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○片峰座長 引き続き、資料 2 「医師の供給推計方法について」、事務局から説明をお願いします。
○海老名医事課長補佐 資料 2 に基づいて御説明いたします。女性医師・高齢医師・研修医についてです。第 1 回分科会の際に、供給推計について千葉大学の藤田先生からお示しいただきました。これを基にして、女性医師・高齢医師・研修医について、供給推計で加味していきたいと考えております。
1 点目の女性医師の関係です。前回の分科会で伺った女医会の山本先生のお話を踏まえ、配偶者、また子供の有無によって、女性医師の働き方は変わっているということですので、その点を勘案して今後推計を進めてまいりたいと考えております。
2 点目の高齢医師の関係ですけれども、お年を召した医師の先生と、若い先生方の労働時間には差異があるようですので、この点を考慮して推計を進めてまいりたいと考えております。
3 点目の研修医ですけれども、研修医 1 年目の方は卒後すぐということもありますので、労働力という点では小さいだろうという点、研修医 2 年目になると労働力が若干改善してくるだろうという点を考慮して、今後推計を進めてまいりたいと考えております。この点についての考え方は以上です。
○片峰座長 資料 1 、資料 2 に関して質疑を行います。
○山口構成員 資料 1 と資料 2 で 1 点ずつ質問があります。資料 1 の 5 ページに精神病床のことが書かれています。高齢者がどんどん増えてくる中で、認知症の患者さんもかなり増えてくるという推計がいろいろ出されています。現在見ていると、認知症も重症化すると精神病床に入院される方が結構います。それが適切かどうかというのは非常に議論があるところだと思うのです。この推計をする上で、認知症の患者さんがどう位置付けられていくのかによって、かなり推計の数に違いが出てくるのではないかという気がします。その辺りをどう考えているのか。これからの精神保健医療の在り方に関する検討会で話し合われるということですけれども、もしかしてそこでそういうことが話し合われるとしたら、その結果が逆にこの推計に関係してくるのではないかと思いました。認知症の患者さんの位置付けということについてのお考えを聞かせてください。
資料 2 で「高齢医師」とくくってありますけれども、診療所と病院とでは働かれる方の上限がかなり違いがあるのかという気がします。高齢医師ということで推計されるときには何歳で切っているのか。その基準と考え方を聞かせていただければと思います。
○片峰座長 2 点ありましたが、どなたかお願いします。
○松本地域医療構想策定支援専門官 1 点目の認知症の受け止めということですけれども、山口構成員が御指摘のように、現在でも御高齢の方の中に一定数重度の認知症の方の入院受療率、これは精神病床に限らず一般のほうにも入っていると思います。それが既に需要として捉えられているという前提に立って、これを高齢者が増えるという将来推計人口に投影することによって患者も増える部分というのは基本的には受け止められていると考えております。ですから、それに追加して何かということに関して、もし特段何かあるのであれば、その幅の中で何らか見込むということもあるかもしれませんけれども、基本的には溶け込んでいる、将来推計に含まれていると考えております。
○山口構成員 ということは、全体の中で認知症の方を前提に考えていて、その配分がどう変わるかということが違うだけで、全体としては捉えられていると受け止めればいいのでしょうか。
○松本地域医療構想策定支援専門官 今後の 10 年間、 20 年間の高齢化については、人口推計の中で、高齢者の増は必ず見込んでいきますので、それに関しての需要増としては反映されていると考えています。
○海老名医事課長補佐 労働力の関係ですが、こちらは主に病院医師の労働時間が差異につながってくると考えております。開業の先生は基本的にお歳によって働き方が大きく変わることは少なく、病院の先生はお歳によって働き方が変わってくるようですので、そういったことを加味したいと思っております。この点については、いろいろな団体で出している調査がありますので、その調査の対象となっている年代や労働時間を加味しながら、今後推計を進めていくというように考えております。何歳ぐらいということに関して、今のデータでは 60 歳代というのが 1 つのメルクマールになると考えております。
○山口構成員 60 歳台はかなり幅が広いと思うのです。
○海老名医事課長補佐 これはかなり難しいと言うと語弊がありますけれども、今、病院に勤めておられる方が三師調査において 65 歳ぐらいの所で大体開業のほうにシフトしてくるということがありますので、恐らく 65 歳ぐらいの所で働き方が変わってくるのではないかと事務局では考えております。
○小森構成員 1 点お考えいただきたいのは、救急に対してどう考えるかという視点です。そういう補正も必要なのではないかと思います。病院を中心として、診療所も夜間の救急に対応する。全国郡市区医師会を中心として、休日の診療所、あるいは平日夜間の診療所ということもあります。私自身有床診療所で、年間 300 名足らずの数を夜間も診ています。そういう補正といいますか、これは国民の方々を診るので、救急に対する対応、そこに対する必要な医師数というのを、何らかの形で補正を加える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松本地域医療構想策定支援専門官 まず、医療需要の推計の中で、夜間救急の対応です。こちらに関しては、需要として受診している部分はきっちりカウントされていますので、需要総体としては捉えられているということが 1 点あります。また、夜間来て入院されるような方というのは重症が多いということで考えれば、高度急性期から 4 機能に分けていく際に、その入院受療の中で、一定程度医療機能が加味されて、将来推計されるということがありますので、夜間の重症患者の一定程度加味されていると考えております。
○小森構成員 これは、国民の方もみんな注目している審議会で、国民の方々にとっても重大関心事でもあります。根本的にということではなくてその補正です、そのことについては考えていただきたい。これは要望です。
○福井構成員 1 点要望と、 1 点質問です。資料 1 の 1 ページの下の四角の推計方法の2です。現在の医療体制で、必要な医療需要におおむね対応できているという前提で、取りあえずの数値を出すことについては賛成ですが、加えて理想的な医療提供体制ではどうなるのかを考えてもいいのではないかと思います。
次は質問です。資料 1 の 7 ページの医療需要の推計の 2 番目のチェックのパラグラフです。入院医療とともに、外来医療にも病院の医師は対応しています。これを一体として推計するというのが少し分かりにくい。多くの医師は年齢にもよりますけれども、例えば 50 歳台の医師だと、週のうち 4 日とか 3 日は外来をやって、朝晩は病棟の患者さんを見に行きます。 1 日のうち病棟の患者さんを診る時間がどれくらいあるのか、どれぐらいの割合で外来なのか、どれぐらいの割合で病棟なのかが試算に大きく関係すると思います。そこのところは難しいとは思いますが、数値化するときに明確にしてもらえればと思います。
○神野構成員 関連です。福井構成員がおっしゃった、 1 ページの2の「必要な医療需要におおむね対応できている前提に立ち」という話なのですけれども、これは前回松田構成員から出た推計方法の所に、この前提はないです。現状分析を基に、一定の幅を持ってうんぬんと書いてあるわけです。福井先生は医師が多い所にいらっしゃるからあれですけれども、ここに書いてある「現在の医療体制で必要な医療需要におおむね対応できている」というのをここに書いたのは初めて出てきたわけなので、これは今までの議論のおさらいではなくて、ここに出てきたのは納得できないという意見です。
同じく外来需要に関してですけれども、恐らくこれは同じ入院医療をやっている病院でも、高度急性をやっている病院と、普通の急性をやっている病院、療養をやっている病院で、外来と入院の比率が随分違うので、その辺のところを加味していただかないと、誤った数字になるのかと思いました。
○片峰座長 今の件に関して、厚生労働省から何かありますか。
○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長です。この推計は確かに少し分かりにくいところがあります。福井構成員、小森構成員、神野構成員の御指摘はある種共通するところがあるので、念のため私どもの認識をお伝えしておきます。例えば、入院医療機関が外来をやっている、それを一体的にという意味は、今回は医療需要を推計して、その医療需要に対して医師を何人という推計をしましょうと言っています。今回お示ししているスキームで、例えば入院医療機関は、福井構成員の御指摘にもつながるのですけれども、現時点で外来もやっていて、それは現にドクターの方々が、実際に配置されている人数なり労働力で対応されていますという趣旨です。
我々として強調しておきたいのは、過小評価をしようとしているのではなくて、現在入院医療も、外来医療も労働時間の問題があります。過重労働だという御指摘も含めて労働時間の問題がありますが、例えば入院医療機関が外来を放棄しているとか、やっていないという状況では全くありません。逆にやっておられる中で、仮定としては今と同じぐらいの入院のワークロードと、外来のワークロードを、将来も同じバランスでやるとするならば、入院医療機関にどれぐらいのドクターが必要かという推計方法ですという趣旨です。そこにアンダーエスティメイションしようとかオーバーエスティメイションしようということではなくて、あくまで入外バランスは今のままだという仮定ですということです。その割合については、推計の中で試算なり何なり数字として何らかの形でお示しをする努力はいたしますので、その点は 1 つ明確にしておきたいと思います。
それから神野構成員の御指摘ですが、ここで申し上げている「必要な医療を提供されている」という仮定の趣旨は、先ほどと同じで労働時間とかワークロードが非常に過大だったり、あるいはものすごく大変だという御趣旨だろうと思います。ですが、必要なサービスが全く提供されていなくて、医療の受けられない方が日本中におられます、そういう前提に立つと推計が成り立たないので、基本的に必要な医療サービスは提供されていますよ、という趣旨で、仮定として置かせてくださいということです。その上で労働時間の所に記載させていただいていると思うのですが、資料 1 の 8 ページの4の所で、ワークロードとして労働時間を現在の労働時間が例えば何時間、推計したときに将来それを何時間に置くのかということで、例えば今は人数的に厳しくやってるので、同じような前提に立たれたら困るというのは、ここで我々としては試算としてちゃんと勘案させていただきたいと考えています。
小森構成員の御指摘にもつながるのですが、救急とか、もっと言うと周産期、小児科と様々な診療科についての御指摘が多分あると思います。これは後半の議論になると思いますが、その部分の様々な診療科の違いを個別に加算するのは少し難しいと思います。一方で4つの医療機能別に見たときに、ワークロードのきつい所、医療需要の高い所については医師の配置を厚めにするという対応で推計全体としては勘案させていただきたいというのが我々の御提案です。
○神野構成員 今のお話で、「必要な医療需要に、おおむね対応できている前提」というのは前回のまとめではないですよ。前回はそんな話はなかったので、今回新たに加えた事柄ではないかと思います。おっしゃることはよく分かりました。
○片峰座長 1 ページの2「現在の医療体制でおおむね対応できている」というのは、この推計をするに当たっての前提ということであって、判断として今の医療体制で十分なのだということを言っているのではないということですよね。
○迫井地域医療計画課長 大事な点ですので再度確認させていただきます。あくまで医療のサービスがどの程度提供できているかという、医療サービスの総量をある程度固定しないと推計自体が成り立ちませんので、そういう前提です。松田構成員が提出された資料は 3 ページにあります。確かにこの中に今のような明記はないのですが、逆に言うと、そのことを確認させていただかないと推計自体が成り立たないので、言ってみれば前提条件として確認させていただきたいという趣旨です。
○松田構成員 コメントをいただいた部分について説明いたします。基本的には 3 ページの図を見ていただきたいのです。「現在の医療提供体制で、必要な医療需要におおむね対応できている」というのはどういうことかというと、いずれ詳しい計算の方法を示しますけれども、高度急性期病床数に対する診療密度、医師の配分を決めるための係数というのは、一応現状のこの分析の中から出てくる数字が、例えばこれが 6:1:0.8:0.4 、 0.6 ぐらいになったりすることになるのかもしれませんけれども、まずそういう値を置いて、それの上で先ほどからいろいろお話がありますような、救急とか理想的な提供体制をどうするのか、入院・外来の費用、高度急性期、急性期、回復期、慢性期をどうするのかとか、いろいろなことを考えていきながら、ここのところの 100 床当たりの必要医師数、これは未知数になるわけですけれども、それを多分補正していくという考え方になるのだろうと思っています。
取りあえず一旦現在の高度急性期、急性期、回復期、慢性期における診療密度から推計される医師数というものを前提としてということが、多分ここに書いてある現在の医療提供体制で対応できているということの趣旨なのだろうと思います。いったんそういう形で推計しますが、この必要医師数の幅を見るというところが、今後いろいろと御検討いただくところになってくるのだろうと思います。
ただ、ここで 1 点問題になってくるのが、個々の医師がどのように医療をやっているのかというデータがこの国にはないということです。私が知っている限りでそういうデータがあるとすれば、かつて DPC でやった原価計算のデータだけですので、もしかしたらそれを流用することになるのかもしれません。要するに各傷病を持つ患者に対して急性期に、いろいろな所で個々の医師が何をやっているか、どういう時間配分で働いているかというデータが、今のところあるのは DPC の原価計算のデータだけだと思いますので、それを流用させていただいて推計を行うということもあり得るのかもしれません。いずれにしても然るべき検討会で議論していただいて、その幅というのは決めていただくことになるのだろうと思います。
○小川構成員 そもそも論で申し訳ないのですが、本日の資料 1 の 1 ページです。一番初めに推計方法の基本に挙がっているのが、地域医療構想での医療需要で、これは入院に関しては病床数だと言っているわけです。病床数については、厚生労働省の「地域医療構想について」を見ると、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、これを医療機関がというのが主語だと思うのだけれども、医療機能を自主的に選択をする、それで数を出すということになっているのではないかと思うのです。この中で 1 点は、入院受療率のデータは厚生労働省が持っているはずなのです。入院受療率みたいな、そういう患者さん側の数というファクターが入らなくてもいいのかどうかということが 1 点です。
それから、人口動態統計がずっと出ていますから、何年になったら何歳の方々がどの程度の人口になるかという、こういう時間軸もデータとしてお持ちだと思います。入院受療率の中にも、年齢階級別の入院受療率も全部出ていますから、そういうファクターは入らなくてもいいのでしょうか。そういう時間軸が 1 点と、現在ベースになっているのが地域医療構想による医療需要で、入院の病床数をベースにしているということなのですけれども。
○松田構成員 私は地域医療構想の病床推計のロジック作成を担当しました。先生が御指摘された点は、病床推計は全てやっております。要するに何をやったのかと言うと、現時点で性・年齢階級別の、傷病別の病床機能別の受療率をまず計算します。それを二次医療圏単位まで落として計算しています。先生がおっしゃられたように、将来の人口推計をそれに掛けて、現在の傷病構造が変わらないとすれば、将来どのぐらいの病床が、それぞれの機能別に必要になってくるのかという推計をやっております。ですから、先生が御指摘になった点は、完全ではありませんけれども、今回の推計の中には反映されていることになります。
○平川 ( 淳 ) 構成員 今の話に関連するのですけれども、我々精神科病棟は、今後の在り方検討会においても認知症は外されている状況です。先ほどの認知症についてのお話はちょっと納得のできないところもあります。一方で認知症の治療も進んでいて、アルツハイマー等については今後治療が進めば、そういう患者さんの数は減る可能性も秘めています。本日の議論を一から聞いていると、暫定措置をやるかやめるかという、そのスイッチを入れるか切るかという話ばかりですけれども、これから、 30 年から大きな医療制度改革もあるでしょうし、この激動の時代に、このスイッチを入れるか入れないかという話ではなくて、ボリュームを付けるような、必要なときには増やす、そうでなければ減らすような、少し柔軟な考え方を入れないと、非常に紋切り的な話で、推計はこうだこうだという話ばかりが今は進んでいるので、何か不安な気がするのでそういう意見を述べさせていただきました。
○片峰座長 この件に関しては何かありますか。
○迫井地域医療計画課長 先ほど事務局のほうから御説明させていただいたことを繰り返すことになるのかもしれません。御指摘のとおり認知症に対する様々な現場の対応の在り方とかケアの在り方、どういう体制を組むのかというのは非常に重要で、様々な議論がなされているところです。またトレンドで見ても、少し考え方が動いてきていることは間違いないと理解しております。ですから、慎重に断り書き的に書かせていただいておりますけれども、資料の 6 ページで、まず一番重要な断り書きは、今回推計させていただくことが必要に迫られていますので、推計をするということは我々としてはやらせていただきたいと考えています。
でも、一方で障害部をはじめとして、これは老健局も絡むと思いますけれども、認知症のケアに対してどう考えていくのかということは、繰り返しになりますが議論がなされていて、そちらのほうで本来やっていただくべきことだと思います。ただ、それには一定程度時間を要しますので、我々としてはそこの精神科医療の分についても、医師の数として勘案せざるを得ないし、するべきだと考えています。ですから断り書きとして、あくまで今考えられる、我々としては最善の方法で推計はします。その際に、先ほどの事務局の説明では、高齢化の進展など、今のケアの在り方を前提とした場合の推計は出します。それから、一応幾つかの仮定として、例えばこういうふうになったらということは、当然複数のシナリオとしてお示しします。
ただ、それが本来あるべき議論より先行して行うことになりますので、尻尾が胴体を振り回すつもりはないという趣旨で、あくまで推計は推計ですが、議論は議論としてそちらで、我々としては見守る必要がありますよねという趣旨で影響を与えるものではないという断り書きをさせていただきました。そういう趣旨です。
○平川 ( 淳 ) 構成員 よく分かりましたが、その将来というのは、いつの時点の将来なのか。 20 年後と 50 年後は違うわけですから、今話をしている将来というのは、 15 年とか 20 年先の話をしているのでしょうか。 2050 年とかの先まで推計があるので、将来人口が減るから、全体に少なくていいのだというような議論に聞こえてならないので、その辺はいつ頃の将来を見据えてということはどう考えたらいいのでしょうか。
○迫井地域医療計画課長 これは、全体の推計をどれぐらいのスパンでやっていくのかというのは、別に精神科に限らず、他の診療科も含め、全体の医療体制をどう組むのかという議論です。そのスパンについては、あえて「機械的」と書かせていただいておりますけれども、なし得る推計はさせていただきたいという趣旨です。
○今村構成員 確認させていただきます。資料 1 の 10 ページ、 11 ページで、「臨床以外に従事する医師の推計」ということで、今回は 10 ページにあるように 4 つの分野に分けて、それぞれの分野でどのぐらいの数が足りないか、余っているかの推計をして、それを足し合わせるということをします。これはこれでいいと思います。
11 ページに参考資料として、平成 18 年の推計方法が出ています。総医師数の 5 %が、臨床以外の医師だということです。これは平成 20 年から平成 26 年まで割合が毎回毎回下がってきています。平成 26 年現在で 4.61 %ということですから、推計から言えば 0.39 %分は、ほぼ医師数に対して 1,200 人ぐらい不足しているというのが、今までのデータになっています。これは参考として出ているけれども、今回のやり方でやれば、この数字の不足ということは一切無視して、ゼロベースで、 10 ページにあるような 4 つのやり方で合計を出すという理解でいいのかどうか。つまり「参考」と書いてあるけれども、参考にしないという意味を言っているのかどうかという確認をしたいのです。
○松本地域医療構想策定支援専門官 現時点でスペシフィックに詳細な推計方法はこれですというよりは、 10 ページにお示ししましたように、 4 つに分けるという合意を頂いた上で、更に関係者の御意見とかこれまでのデータ、今後オンゴーイングの検討等もありますので、それらを総合的に勘案して精査をして、詳細な考え方を今後整理していきたいという趣旨です。ですから、今後の検討に関してはまだ幅がありますが、これを前提としています、つまり平成 18 年のときのやり方を前提としません、というのはそのとおりだと思います。
○福井構成員 先ほど松田先生がおっしゃった、病院で働いている医師の仕事の内容とかパーセンテージが分からないという件ですけれども、調査方法は幾つもありますので、できるだけエビデンスベーストの数値に基づいてお願いしたいと思います。比較的簡単な調査も可能ですが、私たちは研修医を対象にタイムスタディを行ったことがありますが、何パーセントぐらいの時間を診療、あるいは家族への対応に費やしているのか分かりますので、ある程度の調査をして数値を出した上で、予測したほうがいいのではないかと思います。
○本田構成員 少し関連していることなので発言させてください。推計そのものに影響を与えることではないのかもしれませんが、先ほど福井構成員もおっしゃったような、必要な医療需要におおむね対応できているという前提で、まずは推計するということは理解できます。ただ、その幅というところで、理想的な体制ではどうなのかという話の中で、タイムスタディをすればある程度分かるのであれば、本来医師がするべき仕事にどれくらいかかっているのかという点も見えるようにしていただきたい。とても忙しくて大変だとおっしゃる医師がたくさんおられるとは思いますが、医師でなくても可能な業務に多くの時間がまだ割かれているようであれば、医師の数というより、その対策こそがさらに必要だと考えられますので、エビデンスベースという意味でも、お願いしたいと思います。
○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長です。我々はミッションとして推計するということを背負っておりますので、一応お断りと説明をさせていただきます。福井構成員と本田構成員の御指摘は、最大限我々としては努力させていただくつもりです。その上でですが、コストに係る、例えば診療報酬の議論でよく出てくると思うのですけれども、コストに係るようなタイムスタディとか、施設ごとのコスト調査をするというのは過去何度もやられてきているというのが私どもの理解です。
ただ、これを普遍的に活用することには非常に難しい課題があります。 2 つあって、 1 つは施設ごとに実態がって大きく違うという問題があります。 2 つ目は、時間的な問題です。調査には膨大な時間と労力がかかりますが、サービスの内容とか、サービスの提供の仕方は医療機関が工夫をしますので、調査で実態が分かった頃にはそのモデルが既に変わってきているという難しさがあります。このようなことから、なかなか普遍的なモデルというのは作りがたしというのが、得られた我々のノウハウだという理解でおります。ですから、過去のデータについては最大限我々としても調べる努力をさせていただきますけれども、今から調査をしてということは基本的にはちょっと難しかろうと思いますので、その点については是非御理解いただきたいと考えております。
○片峰座長 そろそろ次に移りたいと思いますが、最後に座長から 1 つ質問させていただきます。先ほどからありますように、現状の医療状況をベースにして推計しますという前提はそれでいいと思うのです。これから医師をめぐる労働環境というのは大きく変わってくる可能性はものすごく大きいと思います。例えば、女性医師の労働環境は非常に改善していくでしょうし、医師の役割分担に関しても考え方は変わってくるでしょう。それから IoT とか、 Web データ、人工知能等とイノベーションで大きく変わってくるわけです。そういう改善要因というのは、 8 ページの一番下にある、労働時間の所でそういうものを勘案すべきものはするという理解でよろしいのですか。
○松本地域医療構想策定支援専門官 御指摘のとおりだと考えております。
○片峰座長 それでは、取りあえずここまでにいたしまして、次に移ります。
次は議題 2 「医師偏在の課題について」です。資料 3-1 、 3-2 に関して事務局より御説明をお願いいたします。
○木下地域医療計画課長補佐 資料 3-1 、 3-2 を御用意ください。医師偏在の課題については、前回、第 2 回の本分科会において、どういう課題があるのかというところを事務局より整理して御提示したところです。前回、十分な御議論の時間がなかったこともありますが、今回は、その課題に対して、要因となっているものがどういうことが考えられるのかという点について御意見を頂きたいと思っております。その要因をある程度整理した上で、次回以降、その要因に対してどういう対策が必要かというふうに議論を進めていければと考えております。
資料 3-1 の 1 ページです。前回、御議論いただく際に、医師のサービス・分野別の配置や、医療サービスにおける医師のキャリア形成を踏まえた現状と課題を整理させていただいております。その中で、医療サービスにおける課題とその要因について、今回、御検討いただきたいと考えております。前回お示しした資料の中で、「患者・住民・自治体の視点」というくくりと、もう一つ、「サービス提供者等の視点」という大きな 2 つのくくりに分けて整理しており、今回もそれに準じた整理とさせていただいております。
3 ページ以降に、まず左の列に前回お示しした「課題」、真ん中の列に「考えられる要因」、一番右の列に「整理番号」という 3 つの箱を用意しております。一番左については、先ほど申しましたように、前回整理した課題を並べております。次の「考えられる要因」については、患者・住民側の視点で見た場合と、サービス提供者側で見た場合で、双方お互いに同じ事象を逆の側から見ているということもあるので、整理するに当たっては、後ほど、一番最後のページになりますが、一体となって整理させていただいております。その最後のページの整理番号に対応するものを一番右の列に入れているのですが、今申しましたように、住民から見た視点のものと、提供者から見た視点が重複しているものについては、後段の提供者から見た視点の所で整理させていただいており、その部分が 3 、 4 ページでは空欄になっている所です。
5 ページです。こちらは患者・住民・自治体の視点の3ですが、施設に係る課題として整理しております。まず (1) 特定施設への集中という課題があります。それに関しては、「考えられる要因」として、住民、患者の大病院志向や、患者にとって、医療機関の役割分担が明確でない、また、医療技術の高度化 / 複雑化 / 多様化に伴う技術志向といったものが要因として考えられるのではないかと考えております。下段の (2) 専門医療や特定のサービスへのアクセスという課題については、ライフスタイルの変化、特に核家族化や共働きに伴う夜間・休日受診のニーズの増加、少子化に伴う医療受療動向の変化といったものが要因として考えられるところです。また、それ以外にも、○の 4 つ目にありますが、医療に関する知識や情報、マスメディアやインターネットの普及ということに対して、国民の皆様が全て質の高い医療を受けたいといったニーズ、「専門医志向」と書かせていただきますが、こういったものが背景にあるのではないかと考えております。
6 ページ以降の「サービス提供者等の視点」について御説明します。 7 ページです。まず、サービス提供者側の視点の 1 ですが、地域に関する課題のうちの医師の赴任に係る課題の要因としては、先ほどのライフスタイルの変化の中で、医師のライフスタイルの変化として、本人や家族の QOL を重視した考え方に基づいて勤務地を選ぶ傾向が見られるというところで、後ほど御説明いたしますが、参考資料 3-2 の 19 ページに、そういった医師のライフスタイルの変化というものも見られます。参考資料については後でまとめて御説明いたします。
また、○の 2 つ目ですが、勤務地により経験できる症例数や質が異なって、キャリアアップや専門医の維持に影響が出ること。また、急激な過疎化の進展等の社会環境の変化というものも影響していると考えております。
8 ページです。都道府県間の格差に関するものの要因としては、医学部卒業後の勤務地として出身地を選択する傾向があるということが、後ほど御説明しますが、各県の医大の所在地と、その後の、医学生が学生時代どこで過ごしたか、また、その後どこで就職するのかといったことに一定の傾向が見られますので、そういったことも要因として考えられるのではないか。また、経営上の課題としては、人口規模の小さい地域では患者数が確保できず、十分な医業収益が得られない、また、医師派遣機能の低下ということも考えられる要因として挙げさせていただいております。
9 ページです。診療科に関する課題とその要因ですが、産科、小児科、外科、救急科といった特定の診療科には、その要因として、他の診療科よりも労働時間が長い、また、夜間や休日を含めた、 24 時間対応が求められること。これらの診療科のうち産科や小児科に関しては、他の診療科よりも女性の割合が大きいといったような要因があるかと思っております。また2の課題については、人口規模の特に小さな地域においては施設規模に応じた医師数が確保できない、結果として少人数のスタッフに業務が集中していること。また、産科については、外科もですが訴訟のリスクが大きいということも要因として挙げられると考えております。
10 ページです。その他サービスの受益者から直接見えにくい診療科として、病理診断科、放射線科、麻酔科といった診療科に関しては、その背景要因として、患者さんを直接診療はしない等、他の診療科との診療形態の違い。また○の 2 つ目ですが、本分科会でも何度か御指摘があったところですが、どこにも所属しない非常勤の医師、いわゆるフリーランスの医師が増えて、相対的に常勤医師の確保が困難になっている。その確保の際にもいろいろな費用負担が求められる場合もあるということが背景要因としてあるのではないかと考えております。
12 ページです。施設に係る課題のうち (2) で病院と診療所の違いについてまとめております。最初は、医療機関に滞在する時間が相対的に病院の常勤のほうが長い。さらに、本来の業務以外の業務負担というものに差があるのではないかということも要因として考えております。また、3平日の日中以外は診療しない診療所の増加という所で、診療に関する考え方の変化といったものも背景にあろうかとも考えておりますし、その下ですが、開業に関する考え方や傾向も異なっていることが考えられます。
13 ページです。就労環境に関する課題として整理しており、 (1) 持続的に勤務できる環境の整備の2ですが、専門医資格を維持できる環境、十分な指導医の確保という観点においては、症例数や経験できる機会といったもので地域差や施設差があるのではないか。また、自己研鑽の機会である学会への参加といったものについても、施設や地域差があるのではないかというような背景要因があると考えております。3ですが、再掲ですが、多様化する価値観といったもので、いろいろな原因が背景としてあるのではないかと考えております。
14 ページです。就労環境に関する課題のうち、特に女性医師の増加への対応に関して、このページにまとめております。女性医師が増加することによって、やはり、出産、育児の時期と医師の働き盛りの時期とが重なって、キャリアデザインが描きにくいこと。また、出産や育児をサポートする文化・職場の理解不足やインフラの不足といったものが、その背景要因としてあるのではないかと考えております。
これらをまとめたものが、 15 、 16 ページです。資料 3-2 を御用意ください。今申しました要因につながるようなデータを幾つか御紹介いたします。
資料 3-2 の 3 ページです。まず、こちらの資料の見方を説明させていただきます。左から 2 番目の日本地図に、まず、どこの大学、どこの医学部を卒業したのかというところを基準とお考えください。 3 ページでは、北海道の医学部を卒業した 190 名に対するアンケートになっております。その左を見ていただくと、入学の前にどこで一番長く過ごしましたかというのが一番左の列です。この場合では、北海道の医学部に入学した、若しくはそこを卒業した人のうちの約 49.5 %は北海道から来ていることがわかります。次に右の図ですが、医師 1 年目は、卒業後に 64.2 %は北海道の中で研修を行ったことがわかります。次は一番右の図ですが、将来の希望としては 58.9 %は引き続き北海道で就労したいというアンケート結果になります。ポイントとしては、入学前は北海道の学生さんが 49.5 %でしたが、卒業後、さらに将来ということにおいては、その入学前の割合よりも高くなっているという傾向が見て取れます。都市部ということで、東日本ということもありまして、東京の数値を入れていますが、北海道に東京から 6.8 %の学生が来ており、戻り先としては東京のほうが増えているということで、北海道には残るものの、東京にも一定程度行っているという傾向が見て取れるかと思います。
4 ページ以降、それを一部の県を挙げさせていただいております。入学前の数よりも、卒業後の数値が増えているという傾向は、ほぼ全ての県において同じ傾向を示しておりますので、やはり医学部の学生としてどこで過ごしたかということが、その後の就労する場所に一定程度影響があるのではないかと考えております。また、その中で、 9 ページや 10 ページでは島根県と愛媛県になりますが、こちらの場合は、そもそも大学に地元の学生が、島根の場合は 22.7 %、愛媛では 36.6 %ということで、もともと地元から来ている割合が低いという結果も得られています。
13 ページです。北海道の二次医療圏ごとに見た場合の虚血性心疾患と、その地域にいる専門医の数を比較したものです。症例数と専門医の数を比較した場合にどういう傾向があるのか。また、都市部などへの集中がどうなっているかということも、こういった形で比較ができます。
18 ページです。医師のライフスタイルといったところに関する調査の中で参考になるものとして、今回、「初期研修医が将来の最終的な勤務地決定の際に重視するとした項目」ということで、やはり、上位の項目は、子供の教育環境や自分のライフスタイルを重視する傾向が見て取れるところです。
21 ページ以降、「診療科に関する課題」の中で考えられるものとしてデータを付けております。まず 22 ページに関しては、これまでも何度かお示ししていますが、診療科ごとに男性と女性の比率が異なっているというところで、小児科、産婦人科、麻酔科、眼科、皮膚科といった所で女性医師の割合が 3 割を超えています。一方で 5 %程度の診療科もあるということで、診療科ごとに女性医師の割合は大きく差があります。
23 ページです。こちらは日本外科学会の会員数を性・年齢階級別にプロットしているものです。外科領域でも女性の医師が増えてきていることが見て取れるとともに、男性の医師も減ってきているということで、診療科ごとにこういった 1 時点の結果のみならず、経年的な変化も大きく変わってきていることが見て取れるかと思います。
24 ページ以降、診療科ごとの労働時間の比較を付けております。まず 24 ページについては、比較的左は労働時間が長く、右は短い診療科順に並べています。外科、救急科、脳神経外科、小児科については、 6 割以上で労働時間が 50 時間を超えているという結果が見て取れます。
25 ページです。診療科ごとの勤務医の宿直の回数を比較しております。左から 2 つ目の救急科については、当直、宿直の回数が突出しています。
26 ページに関しては、表題が同じになっていますが、こちらはオンコールの回数です。表題の一部修正をお願いいたします。 25 ページが「宿直回数」で、 26 ページは「オンコール回数」の資料です。
27 ページです。全ての外来診療に占める休日・夜間診療の発生頻度を比較しており、 15 歳未満において休日・夜間の診療の割合が高いということで、小児に関してはこういった傾向が見て取れるかと思います。
29 ページ以降ですが、「施設に係る課題」の例示を幾つか用意しております。まず 30 ページですが、病床規模別に見た勤務医の労働時間の比較のデータです。これに関しては、下の方が病床数は少なく、上に行けば行くほど病床数が多くなります。上に行けば行くほど勤務医の労働時間が長くなっているという傾向が見て取れるかと思います。大病院に対して患者が集中しているということも背景事情として考えられるのではないかと考えております。
33 ページです。診療所の従事の医師数を全国と、指定都市、中核市、いわゆる都市部と、それ以外とに分けたものです。一番上の点線が指定都市、中核市の診療所従事医師数の増加の割合ということで、平成 18 年を基準に置いていますが、この 8 年間において 1 割以上増えているという傾向が見て取れる一方で、それ以外の地域においては、さほど診療所の従事医師数が増えていないということで、都市部とそれ以外でも開業の傾向に違いが大きく見られるという結果になっています。
34 ページ以降、「就労環境に関する課題」のデータを幾つか付けております。 36 ページです。出産後に勤務医が常勤として継続できない理由として上位に挙げられている項目としては、業務量が多い、仕事と家庭の両立が困難、当直、オンコールといったものがその理由に挙がっており、次の 37 ページではそれに対する方策として何が必要かということで、上司・同僚の理解、託児育児施設の整備、 24 時間保育の実施というものが、そのための方策として挙げられております。それについては 38 ページ以降、同じ傾向を示しています。以上が参考資料の御紹介です。
資料 3-1 にお戻りください。 15 、 16 ページは、今御説明したような要因を改めて整理させていただいたものです。 15 ページの左の列に「課題」としてI ) から VI) まで挙げております。まずI ) 医師の養成、キャリア形成に関する課題、その考えられる要因としては、1として、医学部の卒業後の勤務地として出身地を選択する傾向、2として、勤務地によって経験できる症例数の差、3として、先端医療に触れる機会に施設や地域で違いがあるといったものが要因と考えられます。
II) 医師の労働環境に関する課題では、地域に関する課題として、 1 つ目は、人口の規模に応じて患者数が確保できず、十分な医業収益が得られないこと、 2 つ目として、人口規模の小さい地域においては医師数の確保が困難になっているということもあります。次に診療科に関する課題として、産科、小児科、救急科といったところに関しては、そちらに挙げています1から3のようなものが考えられること。また、病理診断科、放射線科、麻酔科といった診療科については異なる要因があるということを整理させていただいております。また、施設に関する課題としては、医療機関に勤務する時間が病院の常勤のほうが長い、また、診療以外の業務負担が大きいということを要因として考えております。
16 ページは続きになりますが、 III) 医師派遣機能に関する課題として、従来あったような医師派遣機能が低下していること。 IV) 医師の生活環境に関する課題については、先ほど御説明しましたようなライフスタイルの変化、また、診療に関する考え方、開業に関する考え方といったものが、その背景要因としてあるのではないか。 V) 育児等に関する就労への支援に関する課題については、女性医師の増加、出産・育児の課題というものがその要因にあると考えております。 VI) 住民、患者のニーズの変化というものに関しては、その要因として、やはり住民、患者のほうのライフスタイルも変化してきていること、専門医を求める傾向が強いこと、また、様々な情報に触れるということも要因としてあろうかと思いますが、高い医療を受けたいというニーズの変化、また、実際に医療技術そのものも複雑化 / 高度化 / 多様化していることも背景要因にあろうかと考えております。
これらについて、今回御議論いただきまして、次回以降、この要因に対する対策を御検討いただきたいと考えております。説明は以上です。
○片峰座長 ありがとうございました。それでは、質疑、御審議お願いいたします。いかがですか。
○山口構成員 意見が 2 点と質問というか確認が 2 点あります。まず、意見として、資料 3-1 の 3 ページに都道府県格差のことが挙げられているのですが、もちろん都道府県格差もありますけれども、都道府県の中での地域格差ということも、やはりすごく重要なことだと思うのですね。ですので、ちょっとこれは都道府県だけに限定するのではなくて、同じ都道府県の中でも医師が十分いらっしゃる地域と、非常にそうではない地域とあるというところを少し書き加えていただいたほうがいいのではないかというのが、まず 1 点目です。
それから、次に 5 ページで、「患者にとって、医療機関の役割分担が明確ではない ( 病診連携等が進んでいない ) 」とありますが、どちらかというと、今、患者さんの声やからの声として相談などを聞いていますと、長く入院できないということは、もう、皆さん周知のところになってきていますし、大きな病院に行くには紹介状が必要だということは割と共通認識になってきていると思います。ですので、病診連携等が進んでいないというよりは、その進んでいる機能分化に対しての周知が十分ではないとか、理解が進んでいないということのほうが現状ではないかなと思います。
ただ、それに併せて次の病院とか、次の施設という所に移っていったときに、そこが十分な役割を発揮してくださらないと、言われったとおりにしたら、こんな、今までと同じレベルの医療が受けられないじゃないかと、そういう実態になっている所にやはり不満がくすぶって、やはりまた大きな医療機関のほうがいい所にというような志向がより高まってしまっているという、いたちごっこの現状があると思うのです。むしろ機能分化が進んでいるということをもっと明確に伝えていくということが、私は重要ではないかと思いました。
それから、質問と確認ですが、 1 つ戻りまして、 4 ページに産科、小児科のこと、特定の診療科に係るサービスの不足というのがあるのですが、考えられる要因の中の4に、「小規模施設での少人数スタッフへの業務負担集中」と書いてあります。私は、例えば小児科にしても産婦人科にしても、ある程度センター化することが必要な地域があるのではないかと思っています。必要な人数のスタッフをそろえるためには、やはりある程度センター化しないことには、少ない人数の医療機関があちこちにあることで、それぞれの負担が増しているというような原因もあると思うのです。そういうことをこの4では言っているのかというのが確認です。ちょっと分かりにくかったので、もしそうでないとすれば、この4の理解の仕方というのをちょっと教えていただきたいと思います。
最後ですけれども、 14 ページで女性医師の増加への対応ということがあります。この中で今日、山本参考人がいらっしゃるので、もしよろしかったらお聞かせいただきたいと思うのですが、やはり卒業してすぐに女性医師が働く医療機関と、例えば出産・育児の後に、復職するときの医療機関というのは、同じ所を選ぶのはということが、かなり難しいのではないかと私は感じています。例えば、育児中であれば、卒業してすぐの医療機関ではなくて、もう少しその形に合った働き方のできる医療機関のということでは、異なる医療機関を選ばれることのほうが働きやすくなるのではないかと思うのですが、そういったことの、その後のニーズの違いを考えた環境整備ということが、まだ十分ではないのかなと感じます。復職支援のところについて、そういった異なる医療機関で復職するというような整備の状況が足りないということも問題の 1 つではないかと私は思っているのですが、その辺り、もし何か御見解があれば教えていただきたいと思いました。すみません、長くなりました。以上です。
○山本参考人 山本でございます。ただいまの御質問ですが、御指摘のとおり、出産・育児の時期には、やはり急性期の病院、あるいは高度機能の病院に復職することはなかなか難しくて、基本的には、彼らのネットワークは非常に進んでおりまして、こういう病院だと 9 時から 5 時まででいいとか、そういうのが分かっている、あるいは先輩だとか、かつての医局の先生方がこういう病院もありますよという提示をして、結局、基本的には 9 時から 5 時で日当直内という、そういう所を選ばれる方が結構多いですね。
ただ、それだけに満足しているというわけでもなくて、どこかの時期にもう 1 回、自分のキャリアをアップさせたいために、元の独身の頃に働いていた病院にというお考えの方もいらっしゃる。その病院以外に出産・育児の後には、何にもしないと自分の経歴がなくなってしまうので、やはり外来診療というのはとても要求が強いので、忙しい外来診療だけ助けてほしいという病院は非常にたくさんありますので、そういう所に週に 2 回ぐらい外来をしながら、もちろんその場合は入院患者も持ちませんし、日当直もありませんので、そういう外来診療だけでしばらく子供が大きくなるまでしているという形の方もいらっしゃる。それが余り長くなりますと、本来戻りたい病院になかなか戻れなくなるということもありますけれども、その中でも自分の意思でもって、やはり急性期の病院に戻るという方もいらっしゃいますので、それは女性医師の考え方の違いもあると思います。
○山口構成員 今、ネットワークが結構広がってきているというお話だったのですが、その個々のネットワークに任されているのか、その復職支援をするような何かシステムというものをある程度構築するようになってきているのですか。
○山本参考人 日本医師会では、女性医師の支援をセンター化して行っておりまして、その公的なものはそういうところでありますし、それから、各都道府県にもやはり復職支援といいますか、医師が欲しい病院と、それから就職したいという医師がうまくマッチングできるようなシステムができていますけれども、なかなか難しいところがありまして、地域だとか科だとかによって大きく異なりますので、意外と自分たちの大学のネットワークだとかお友達のネットワークを通じて見つけていくということが多いのではないかと思います。
○片峰座長 前半の小児科、産科のセンター化の話はそういったことだろうと思うのですが、何かコメントはありますか。
○木下地域医療計画課長補佐 事務局でございます。山口構成員から御提案がありましたセンター化が必要かどうかということにつきまして、その対策を、今後御議論いただきたいと考えておりますが、現状として人員の配置が薄くなっていることによって、多忙感が生じているというところが背景要因としてあるということも、整理させていただいているところです。今後の対策、あるべき姿ということを御議論いただく際に、センター化はどうなのかということについて御議論いただければと思っております。
○片峰座長 ほかにありますか。
○福井構成員 偏在に関わる要因について大変よくまとめていただいているのですが、ちょっと違う視点で意見を申し上げたいと思います。この資料に記載された要因の大部分は以前から分かっていたことです。多くの要因については何十年間も。私は、ステークホルダーが困難な対策とか効果的な対策を勇気を持って行わなかったことが最大の原因、課題だと思っています。いろいろ細かい対策は、個人あるいは組織として行ってきていると思うのですが、効果的ではあるが難しい対策というのは、ほとんどみなさん避けてきています。ところが外国ではそれなりのことをやっているわけです。例えばフランスでしたら、大学を卒業する時点で専門診療科にある割合で医師を割り振っています。米国ではフェローシップに入るところで専門医の割振りが行われています。ドイツでは開業する場所が決まっていて、それぞれの国で、導入するには恐らく大変な困難があると思いますが、それなりの効果が見込めることをやっているわけです。しかしながら、日本では、パワーのあるステークホルダーが勇気を持って対応してこなかったというのが、私にとっては何十年間か見ていると、最大の課題だと思います。
○権丈構成員 私も第 1 回目の会議で、医師の地域偏在と診療科偏在というのは、もう長い間言われていながら、解決していない問題だと位置付ける発言をさせていただきました。医師の地域偏在を考えますと、昔から増やすべきだ、いや、減らすべきだという人たちの意見がずっと対立しているわけなのですが、それは私たちのような社会科学系から見ますと、ある面、当たり前のことで、この前、神野構成員のほうからも話がありましたように、バケツに水を入れて、中央でこぼれたら地方に行くというような、私は市場メカニズムと呼んでいるのですが、中央が満たされて順に地域のほうに行くという方法でいくと、地方は足りない、中央のほうはもう充分だというようなことになるのは、ずっと起こると思うのですね。ただ、この新しい推計方式でいくと、その第 1 回目で発言したような充足率が各地域で同じような形で推計されてくるのではないか。地域医療構想のほうから積算してやっていきますので。そうなってくると、バケツに水を入れるようなトリクルダウンの方法で地方まで充足するように推計された人数とは変わってきます。ただ、困るのが、充足率は全国地域で同じになるように推計された場合に、運営をバケツに水方式でやっていくと、地方はたまったものではない。地方のほうで深刻な医師不足問題が起こってきますので、ここは何とか調整しなければいけなくなってくると思います。
前回に、『医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言』という報告書が配付されました。「日本医師会・全国医学部長病院長会議」のほうから、提言がなされているわけですが、私はここに書いてある「現在の医師不足の本質は医師の地域・診療科偏在であり、これらの解消こそ喫緊の課題であると考えられる。この課題解決のためには、医師自らが新たな規制を設けられることも受け入れなければならない」と書いてあることは非常に重要だと思います。社会保障制度改革国民会議の報告書には、「適切な場で適切な医療を提供できる人材が確保できるよう、職能団体には中心となって計画的に養成・研修することを考えていく責務がある」という文言があります。私は最初に「必要がある」と書いておりましたら、大島先生から「責務にしろ」と言われて責務に変えたわけなのですが、この職能団体と、それに加えて政府というか公共にも同様の責務があると思います。公共政策ですからね、医療というのは。そういうものが、また大島先生の言葉を使いますと、総力戦としてやっていかざるを得ない段階に、もう来ておりまして、同時に今日の資料3-1の 8 ページに書かれているように、大学と医局とかの医師派遣機能が低下しているのですね。だから、事態は前よりも悪くなってきているということもありますので、私は職能団体の責務、そしてこの公共政策を担っていく人たちの政府方の責務というのを、今回、この研究会の中ではしっかりと明示していくべきではないかと思っております。
○片峰座長 ありがとうございました。
○荒川構成員 全国医学部長病院長会議の荒川ですけれども、先ほど福井先生が言われた、 10 年以上ステークホルダーが何もしていないというのは、ちょっと言い過ぎだと思うのですね。医師臨床研修制度が始まった平成 16 年から、いきなり欧米のマッチング制度がそのまま導入されたために、卒業した医師が自由に自分の診療ができる場所とか診療科を選べるようになったという、それが一番大きな原因だと思います。ですから、平成 16 年以前は、結構、 1 つの都道府県の中でも、地方にも医師が行っていたのですね。それが、例えば大阪ですら、この間も話しましたけれども、 2 つの自治体病院が潰れているのですよ。そういうことが起こっているというのは、 1 つの府県でも中心部に集まって、周辺部は医師不足になっていると。それが拡大しているわけなのですよね。ですので、この間、提案させていただいた日本医師会と全国医学部長病院長会議で合同で出した提言の中には、各大学に医師キャリア支援センターというのを設けて、そこで例えば診療科や地域医療に対する相談とか、不足している診療科を勧めるとか、そういったことも機能としてできるでしょうし、そういうことを、プロフェッショナル・オートノミーとしてまずやってみるということが非常に大事だと思います。それでも医師の偏在が解消できないときに、保険医登録とか診療報酬で規制をかけるという、次のステップに進む必要があると思うのですけれども、まずは日本の良さというのは、やはり自由に診療を選べるというところなので、それを大事にしながらも、ある程度、指導によって医師のキャリアを将来進める上で、その人に一番適切なものを指導しながらバランスを取っていくというのが、まずはやらないといけないことではないかと思うのですね。ですので、そういう医師キャリア支援センターというものの構想に関して、やはり国もそれを支援、それは資金だけの問題ではなくて、そういうことがいいんだということを市民に分かりやすく説明していただけるような、そういう支援をしていただいて、国と医療機関が一体となって、偏在を解消していく方向に進まないといけないのではないかと思っております。
○今村構成員 すみません、大きなお話の後に、ちょっと細かいお話で恐縮ですけれども、全体としての課題についてはこれでよろしいかと思うのですが、若干、意見と質問があります。 1 つは資料 3-1 の 12 ページですが、前回もちょっと申し上げて、「若干記載については」と申し上げたら、いやいや、これは過去の検討会で既に報告されているということで、私の不勉強で申し訳なくて、ここはこの記載でよろしいと思うのですが、ここは病院と診療所というかかり方をしている中で、 (2) の2で、地域の中核病院の標榜診療科すべてに常勤医を配置できないのは医師の派遣機能の低下という記載になっていて、これは前の、 11 ページの、いわゆる医師の派遣機能の低下という欄に本来は書かれるべきものではないのかと思いますので、整理をしていただいたらと思います。
それで改めて 12 ページの134、いわゆる診療所と病院の様々な違いということなのだと思いますが、これは偏在に係る課題ということで挙げられているとすると、こういった1~4までの課題があるから、病院から診療所に医師の偏在が起こっているという論点で挙げられているのかどうか。参考資料の 33 ページだったと思いますけれども、診療所医師数は間違いなく増えていて、なおかつ診療所の医師も偏在があると。同じ都市部であっても、都市部の中でもターミナルみたいに人がたくさん集まる所と、住宅地の間で大きくどんどん偏在が起こっているというのも間違いない事実で、こういうデータは客観的なデータだと思うのですが、診療所医師は増えていますけれども、この増え方は、勤務医は増えていないのに診療所だけが増えている。つまり、勤務医のほうから診療所に偏在化がどんどん起こっているという客観的なデータがあるのかどうか。もしあるとすれば、先ほどのような1~4の課題というのは論点だと思うのですけれども、そうでなければそれは単に、今の診療所の在り方の問題であって、例えば、病診の先生の診療をどうするのかとか、高齢化した地域の診療所をどうやって承継していくのかという、そういう論点の話であって、偏在の話とちょっと違うのではないかなと思いますので、その辺、事務局の御意見を頂きたいと思います。
○片峰座長 この件、何かございますか。
○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長です。 12 ページの課題の整理は、必ずしも病院、診療所と、そこの部分にだけフォーカスを当てたということではなくて、先ほど、 12 ページの記載と 11 ページの記載は整理が必要と、それは御指摘のとおりかなり交錯しているところもありますので、改めてもう一度チェックして整理をさせていただきたいと思っております。
その上でですが、言ってみれば病院、診療所だけということではなくて、これは従来からずっと指摘されているとおり、施設によっては医師がかなり充足していて、充実した診療ができていると認識もされて世の中の人もそのように考えている施設もあれば、へき地とは別の世界で、例えば東京は比較的医師の数が多いにもかかわらず、東京都内であってもドクターの十分な供給を得られていないという御指摘もある。そういったことについて、どういった要因で起こっているかということを記載しているのであって、病院から診療所に流れているのだという、何か前提でもってこれを書いているというよりは、まずは、どういった要因で、そういった施設間の偏在が起きているのか、次にその要因として考えられるものを解決するには、先ほども事務局から申し上げましたが、どういう対応が考えられるのかといった議論につなげていきたいと、そういう趣旨でこれを整理させていただいているということです。
○神野構成員 先ほどのバケツの話ですけれども、先ほど福井構成員からも規制の話がありましたが、今のバケツのままだったらまだ溢れ出る量が非常に少ないわけであります。なので、ここで勇気を持って、先ほどお話があったようにバケツを少し小さくするとか、あるいはマグカップにするとか、ワイングラスにするとかすれば、溢れる量が増えてきて、地方に回ってくるか、あるいは偏在の解消につながると思います。それがない場合には、やはりバケツに注入せざるを得ないという、その辺のところかなと思うのです。そもそも冒頭でお話があった 29 年のスイッチをどうするかという話につながると思うのですが、この医学部定員は何で増やしたのかという話で、私の知る限りというか、恐らく厚労省あるいは文科省の方のほうがお詳しいと思うのですが、経済財政改革の基本方針 2008 という非常に高いレベルといいますか、そういうところで緊急医師確保対策ということで、医学部定員を増やしたと伺っております。とするならば、そのときの目的がきちんとかなえられているかどうかということも精査しなければいけないし、そのときに、厚労省、文科省のほうで恐らくいろいろな検討をなされているのだと思いますので、あるいは大臣レベルかもしれませんが、そのときにどういう経緯があって医学部を増やして、目的が達成されているかどうかということを検証する必要がある。そうすると、ここにいろいろな問題点が、どこに問題があるのかということが分かってくるのかと思いますが、いかがでしょうか。
○片峰座長 重要な議論に入ってきたかと思います。先ほど福井先生から言われた件、恐らくこの 15 ページ、 16 ページの論点のまとめの裏には、福井先生の言われたような問題意識を厚労省として持たれているのだと私は理解しているのですが、その上で、なぜ今までそのことに手が付いてこなかったのかと、厚生労働省としてどういう総括をされているのかなというのは非常に興味があるのですが。どなたかその辺で御発言いただけますか。要するにお医者さんの就職の自由であったり、就職地の選択の自由であったり、そういった人権が最優先されたということは非常によく分かるのですが、社会のニーズというのは違う所に実はあって、その辺をどう埋めていくかということだと思うのですが、なかなか難しかった理由はどのように考えられているのかということなのですけれども。
○迫井地域医療計画課長 地域医療計画課長です。総括をするような立場でお話をするというのはちょっと難しいのですが、幾つか背景については御説明したいと思っております。これは本田構成員も当時、構成員として参加されていると思いますが、前回、医師の需給の関係の議論のときに既にこういった地域の偏在や診療科の偏在、これらの議論がされておりますし、いみじくも今回資料を作るに当たっては、我々も構成員の方々の御認識と全く同じで、何かすごく新しい大発見があるとかいうことではなくて、基本的に現状を整理すると自然にこうなりますということですので、問題は、ではこれをどうやって解決するのですかということだと思います。そして、逆の問い掛けとして、なぜこれが今日に至るまでこういう状況なのかという御指摘なのだろうと思います。私の認識といいますか、過去、旧医政局指導課の時代から、一貫して地域医療の確保については打てる施策は打たせていただいたつもりでおりますし、それから、医療法、医療計画の様々な見直しのプロセスですとか、先ほど骨太の話にも言及されましたが、いろいろな節目においてでき得ることはやってきたということだろうと思います。これは今後の対策の御議論の中でも事務局としての御提示も考えていかなければいけないと思っておりますが、例えば、医師の育成に当たって様々な要件を付けたり、あるいは研修に当たっての勤務地や診療科の制約を課すべきなのか、課すべきではないのか。どういった形でできるのかというのは、これは就業に係る、いわゆる基本的な人権に関わるような部分もありまして、正直デリケートな問題をはらんでいるということです。それは制度上、あるいは法制上どこまでできるかという話もさることながら、やはりいろいろな関係者に理解をしていただけるのかという問題もあります。
よしんば不足地域に、ある意味、御本人の意思とは別に、そういう周辺状況で強いられて赴任した際に、そういった形で診療を受けることが、果たして受療者の立場としてどうかと。例えば、小児科のドクター、それから産科のドクターが地域で不足している場合に、御本人の本来の意思とは別に、そういった任地に赴いたとします。それで例えば、お産で子どもを取り上げるというようなことについて、妊婦さんあるいはその御家族の方々がどう考えるのかみたいなことも、真摯な議論がなされたと私どもでは理解しております。その際、ですから、そういったことではなく、まずは、先ほどの荒川構成員からも少しお話がありましたが、まずは御本人のボランタリーなといいますか、ある程度、自らの意思で基本的な診療科とか任地を考えていくプロセスを、基本的には重視して何とかやっていけないかというのが根底にはあり、勘案されながら今日に至っているというのが、ちょっと概括的な話かもしれませんけれども、地域医療計画課長としての認識です。
○小川構成員 ただいま大変重要な点について、いろいろ御議論いただいたわけですが、ちょっと違う観点でお話ししたいのです。さっき権丈先生のほうからも日医と全国医学部長病院長会議の合同委員会で出した地域偏在解消の緊急提言ということがありました。あと、荒川先生もこのことについてちょっと触れられたわけですが、恐らくここの委員会の先生方も薄々感じているとは思うのですが、言葉には言わない違う観点のポイントがあるのですね。これは国民もそうなのですけれども、国民も皆さんも、お医者さんはみんな同じ質のレベルのお医者さんがいらっしゃると思っている。 20 何万人同じ質でいらっしゃるということを前提にしてお話をしているようにしか聞こえないのです。ところがそこにものすごい差があるわけですよ。レベルの高いお医者さんから、もう、ちょっと、辞めてほしいなと思うお医者さんまでいっぱいいらっしゃるわけで、質保証が必要なのです。先ほど来ずっともう 1 つ問題になっていましたが、フリーランス医師が増えているということの指摘がありました。実は私は日医と全国医学部長病院長会議の合同会議の委員会に入っておりまして、この中で議論をしていて愕然としたことがあります。何で愕然としたかというと、一番最初に医師キャリア支援センターの設置というのがありまして、 3 ページにポンチ絵が載っているのですが、要するに医者の異動とか、大学を卒業して国家試験に通ったお医者さんがどこでどういうキャリアパスのトレーニングをして、どういうディグリーをもらって、どういう勉強をして、現在、どのぐらいの臨床経験を積んで、現在どこの病院にいるんだということすら把握されていいないことが判明したわけですよ。
それで、この合同会議の提言の中に、医師キャリア支援センターというものを作って、出身大学がこれからずっとお医者さんがどういうキャリアパスの中で働いていて、ちゃんとお勉強をしているのかということをチェックしましょうというのが、この医師キャリア支援センター構想なわけです。一方、これからこれをスタートさせたときに、卒業後 10 年目 20 年目ぐらいの現場で頑張って頂かなければならない医師を把握することができるようになるのは、 10 年後なわけです。これは私見なのですが、厚生労働省が全部これをコントロールするということになるといろいろ問題なので、やはりプロフェッショナルオートノミーからすれば、我々といいますか、医師側がそういう団体を作ってやらなければならないのだと思うのですけれども、三師調査のデータを卒業のときの医師の医籍登録番号と紐付けをすれば、それはいつでもできるわけです。ですから、そういうことをベースにしてやった上で、いろいろ議論をする。皆さんも国民もお医者さんは皆、均質なお医者さんが 20 何万人いると思ったら大間違いで、こういうお医者さんから、もう辞めてほしいと思うようなお医者さんまでいろいろあるわけですから、その中で医師需給を議論するときには、そういう視点も必要です。どういう形にすればいいのかよく分かりませんが、三師調査のデータを使わせていただいて、そしてそれを医籍登録番号と紐付けをして、今現在どこでどのようなトレーニングをしてどうやっているのだというような、一人一人の質保証のデータを作っていかないと始まらないのではないかと思うのです。ちょっと大きくなり過ぎて申し訳ないのですが、こういう視点もあるのだということをお話させていただきたいと思います。
○藤田参考人 すみません、千葉大学の藤田です。参考人の立場から、千葉県の中でキャリアパスでどんな方々が今働いているのかというのは、私たちは把握しているのですが、そのキャリアパスを見ますと、医師が動くのは幾つかタイミングがあるのです。まず卒業時、それから初期研修修了時、後期研修修了時、それから次に、 40 歳から 50 歳頃にもう 1 つあるのです。今までの政策というのは、若いほうはやってきて、しかも地域枠は若い時代にどこで過ごしなさいということなのですが、地域が本当に求めているのは 40 歳以上の医師で、脂の乗り切った質の高い医師が欲しいのだろうと思うのですが、そこの支援システムはないので、医師の数の推計あるいは計画とは別に、今後、 40 歳から 50 歳の医師の転職支援といいますか、そういうシステムをやっていくことを前提にして数のコントロールをしましょうという議論になると、ここの中で迷走せずに良い方向に行くのではないかと感じました。
○本田構成員 私も意見を言わせていただきます。先ほど来議論されている件ですけれども、事務局が提出された「医師偏在にかかる課題」という資料は大変まとまっていると思いました。ただ、その内容は、先ほどから何人かの構成員から意見が出されているように、私も、ずっと言われ続けてきたことではないかと感じます。 10 年前の需給検討会でも出ていたことがほとんどではないかと思います。出される課題が何も変わっていないということは、この 10 年間、何も変わらなかった、何もできていなかったんじゃないかとさえ思ってしまうのです。例えば、「医師キャリア支援センター」のような提案が出てくるのも大変素晴らしいと思うのですけれども、 10 年前も医師の派遣機能を担う「地域医療支援センター」をつくることになった。それが、どう機能したのかしなかったのかなどの検証や反省がなく、新たに提案されているものが機能するものになるのか。この 10 年間、変わらなかったのではないかという現実があるので、どうしてもその辺に対する不信というか懸念というものを感じてしまいます。私は大学ごとにセンターを置くという方法で機能するのか、ちょっと懸念を感じていますが、細かいことは今後の議論になるのだと思うので控えます。最も言いたいことは、 10 年前の議論でも申し上げていたことと同じですが、医師不足の本質である医師の地域・診療科偏在の解消に向けた何かしらの規制というか、権丈構成員がおっしゃっていた責務というか、医師の養成・研修・配置といったことのあり方、規制というものを、今回こそ、きちんとやっていくべきではないかということです。
それと、医師の質の問題の話が出ましたが、資料 3-1 の 5 ページの患者・住民側からの視点の所で、ちょっと付け足していただけないのかなと思ったのが、患者にとって、医療機関の役割分担が明確ではないとか、病診連携等が進んでいないというところに関連してなのですが、結局、大病院に集中してしまうというのは、その背景に不信感のようなものがあるのではないかという点です。例えば、いろんな診療所があっても、どこに行っていいか分からない、質が分からないという点。また、専門的な診療が必要になった際に、きちんと適切な病院等につないでもらえるかどうか分からないという点。もちろん、大病院への集中の理由はそれだけに限らないでしょうが、そういう懸念があり、それの裏返しが患者の専門医志向なのだということをしっかり書いていただくべきではないかと思います。ちょっと取りとめもなくなってしまい、すみません。
○小森構成員 すみません、本田先生、 10 年前の議事録も丹念に拝見して有り難いと思いますが、そこまで言われると、ちょっと言い過ぎかなと。つまり、この 10 年間、不十分であったという御意見も本当に内心忸怩たる思いがいたしますが、今日の議論でも、前回に荒川先生のほうから、我々も一定の規制は受けざるを得ないということをプロフェッションとして宣言をして、制度設計をしているわけですね。本当に不十分であるという認識は受け取めたいと思いますが、我々が何もしなかったわけではないということだけは理解していただきたいということと、私は田舎におりますので、都心部の特別な状況をもって全国を敷衍化して言っていただくのにも問題があるなと思います。
もう 1 点だけ、診療所の医師として、こう書かれると大変残念に思うのは、私も 40 歳近くまで病院におりましたが、そのときは習練を積む時期であり、なおかつ研究をするということで、病院にいてなおかつ急患を診て、なおかつ一旦家に帰って子供の世話をして、また病院に行って、それからリサーチを夜中にすると、こういうことなのですよね。診療所の医師というのは相対的に構成年齢も高いので、そこはちょっと病院の勤務医と診療所の医師とは労働時間等に違いがある。全くそのとおりなのですが、年齢構成とか、そこは少し丁寧に書いていただきたいなという感じがいたします。今回フリーランスという問題意識が小川先生から提言されたと。これは我々も非常に重大視していまして、そこのところにスポットを当てて検討をしていく。この方々にどういうキャリアをちゃんとしっかりさせるかということは重要な視点で、せっかく医師免許を持っていながら、それこそ経済的な理由で自らの習練を怠っている医師に対する対策がないと、大幅な不足感が出てくると思います。本田先生、申し訳ございません。
○本田構成員 一言だけ。口が過ぎた点もあったかもしれませんけれども、高名な先生ばかりいらっしゃる中で、ちょっとドキドキして、うまく発言できなかった点もあり、それはお許しください。あと、 10 年前の会議の議論でも、規制とか責務とかを考えるべきだということはありましたが、医師の人数を増やすという結論になった理由の一つとしては、やはり若い先生方にハードワークというか様々なしわ寄せが行っていたというか、そういう問題意識が高かったということもあったと思います。
○北村構成員 本田構成員に別に反論ではないのですが、一般の国民から見ると 10 年間で何も変わっていないではないかという。ただ、それは All or none ではなくて、確かに課題として、こうやってリストアップすれば同じ課題は挙がってきています。されど、 10 年前に比べて 10 万人当たり 200 人だったのが、 230 人、 240 人ぐらいに増えていますし、現場の感覚でも足りている感じも出てきています。それから、小川先生がおっしゃったような医師の能力の均霑化、それはまだ全然いっていないのですが、臨床研修制度というものが定着して、それを卒業した人が 12 年目になるので、ある程度の、正にある程度の均霑化もできてきていると思います。現状で言うと、医学部の教育機能のフォローのために、現在各医学部で、 IR(Institutional Research) という部門を作っていただいて、卒業生を全部悉皆的にフォローアップするシステムを作ろうとしています。そうすると、今までは、例えば国立大学は卒業証書を渡すまでが国立大学の使命であって、そこから先は同窓会の仕事だったのですが、そうではなくて教育機能を、この教育で良かったのかというのを見るためには、卒業生が社会でどのように評価され、どういう所で働いているかを振り返って、そういうデータを取って、それが大学のミッションと適合しているものかというようなことまで含めて、教育に反映させるということを試みています。
それから、臨床研修病院でも、その病院を卒業した人のキャリアをフォローするような仕組みを求めています。そういう意味ではかなり対応をしようとはしています。それで、事務局にお願いなのですが、リストアップしたら 10 年間、何も変わっていないという感覚を持ってしまいます。そうではなくて、いろいろな具体的な数字を挙げて 10 年前と同じ指標で比べていただいて、それで 10 年間で変わったこと、変わらないことというのがあると思うのですね。 10 万人当たりの医師数、女性医師の就業数とかいろいろな細かい数字で、 10 年間の経緯を是非出していただきたい。
それから、今回、前半の話になりますが、新しい指標を作るのは結構ですが、平成 10 年、平成 18 年、その頃は医師数は当面足りているという結論が出たのですが、それと同じ指標で計算してどうなったのか。この会が 10 年ごとなり 8 年ごとに開かれる度に、計算方法を変えていったら、何が新しいのかよく分からないと思うのですね。だから、平成 18 年のときの指標で計算するとどうなるかとか、平成 10 年のときの指標で計算するとどうなるかというようなことも含める。新しいのが良くないと言っているわけではないのですが、過去のでやったらこういう数字になりますと。もちろん社会が変わり保険制度が変わり、マインドも変わっているので、 1 要素で、そう変化したと短絡的には思いませんが、参考的な数値として出していただくのが希望です。
○片峰座長 ここで、もう終わってよろしいですか。
○神田医政局長 10 年前と変わらないのではないかというお話がありましたので、巨視的に見てどうかということで言うと、平成 18 年のときの需給に関する検討会でも、マクロの需給は将来足りるでしょうと。お手元の資料の第 1 回の分科会の資料 3 「医師の需給に関するこれまでの経緯」の裏側に、平成 18 年とありますが、そのときもマクロでは需給は足りるということですけれども、先ほど神野さんがおっしゃっていたように、足りない所があって、医学部定員が少ないために未だに不足していて水が行き渡っていない所があるから、有り体に言うと実効性ある地域定着策を講じながら、上から水を注ぎましょうというのが平成 18 年の考え方だったのだと思うのですね。それから 1,600 人の、ある意味で言えば水を注いできたということかと思います。したがって何もやっていないわけではなくて、需給はマクロでは当時も足りるだろうと言われていましたけれども、やはり水が行き渡らないので、 1,600 人の定員という水を注いできましたと。それから、本質的に言うと職業選択の自由との関係があって、先ほどからプロフェッショナルオートノミーとありますが、では、極端に典型的に言えば保険医の定数枠を診療科ごとに決めて、それでどこの地域ではこれだけしか、例えば、こういう診療科は認めないと。そういうやり方もあるのでしょうけれども、できるだけ強制力ではなくて、憲法上の問題も公益性が十分にあれば成り立ち得るとは思いますけれども、まずは職業選択の自由を尊重しながら、嫌々へき地に来て、嫌々診てもらうということではなくて、やはり医師が自らそういう選択をできるだけしていただけるようにしていこうというのが定数の話でもありますし、それから地域医療支援センターでやっているのも、キャリア形成のインセンティブを持っていただきながら、地域枠を使ってそれぞれ地域に定着していただくということと併せて、そういった地域枠の卒業生の方々を使って足りない所にできるだけ行っていただこうと。ですから、職業選択の自由というのを尊重しながら、できるだけ自らの意思として偏在を解消していけるようにしようということとの板挟みの中でこれまで歩んできたのだろうと思っております。ただ、要因的には変わらないじゃないかということかと思いますが、政策は打ってきていると。しかし、それがまだ十分ではないので、そのためにはどうしたらいいかということかなと巨視的に言うと、そのように感じております。
○片峰座長 ありがとうございました。それでは今日はこれまでにしたいと思います。今日はなかなかいい議論ができたと思います。恐らく次回は、推計に関しては具体的なデータが出てくると思いますし、偏在問題に関しては今言われました、ではどうするのかという議論に入れると思います。また、よろしくお願いいたします。それでは事務局どうぞ。
○海老名医事課長補佐 最後に事務局から連絡です。冒頭でも申し上げましたとおり、次回の日程ですが、次回は 3 月 31 日、本当に年度末最後の日で申し訳ありませんが、 31 日の午後 1 時からを予定しております。場所等は追って連絡させていただきます。繰り返しになりますが、この紙ファイルのほうは順次、会議の資料をつづってまいりますので、机上にお残しいただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
○片峰座長 それでは終了いたします。
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(代表) 03(5253)1111(内線4127)
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