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2015年10月30日 平成27年度第1回血液事業部会適正使用調査会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成27年10月30日(金)
17:00~19:00


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○出席者

出席委員:(12名)五十音順、敬称略、○座長

稲田 英一 稲波 弘彦 薄井 紀子 大戸 斉
兼松 隆之 上條 亜紀 鈴木 洋史 田中 純子
田中 政信 種本 和雄 ○半田 誠 益子 邦洋

欠席委員:(3名)五十音順、敬称略

鈴木 邦彦
三谷 絹子
矢口 有乃

参考人:五十音順

菅野 仁 北澤 淳一 牧野 茂義 安村 敏

日本赤十字社:

西田 一雄 旗持 俊洋 高瀬 隆義

事務局:

武井 貞冶(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐) 金子 健太郎(需給専門官)

○議題

・輸血用血液製剤の供給量について
・アルブミン製剤の供給量について
・平成26年度血液製剤使用実態調査(日本輸血・細胞治療学会)
・平成27年度血液製剤適正化方策調査研究事業について
・「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン」について
・その他

○議事

○近藤血液対策課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「平成27年度第1回血液事業部会適正使用調査会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。

 本日の委員の出欠状況を御報告いたします。鈴木邦彦委員、三谷絹子委員、そして矢口有乃委員より、御欠席との連絡をいただいておりますが、15名中12名の委員に出席していただいておりますので、本日の調査会の開催が可能であることをお知らせいたします。

 また、本日は参考人として、日本輸血・細胞治療学会より

 虎の門病院の牧野茂義先生

 東京女子医科大学より菅野仁先生

 青森県立中央病院の北澤淳一先生

 富山大学附属病院の安村敏先生

 にお越しいただいております。

 また、日本赤十字社血液事業本部より

 西田一雄血液事業本部副本部長

 旗持俊洋血液事業本部供給管理課長

 高瀬隆義血液事業本部学術情報課長

 にお越しいただいております。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 事務局より異動がありましたので、御報告いたします。

 血液対策課長、お願いします。

○武井血液対策課長 武井です。どうぞよろしくお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 私は課長補佐を拝命しました近藤です。よろしくお願いします。

 なお、カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。

 それでは、この後の進行につきましては、半田座長にお願いいたします。

○半田座長 皆様、こんばんは。

 それでは、まず議事に先立ちまして、審議参加に関する遵守事項について、事務局より御報告願います。

○近藤血液対策課課長補佐 本日出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受取状況を報告いたします。

 本日の議事に関して「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議事1から議事5に関して、稲田委員、薄井委員、鈴木委員、種本委員から関連企業より一定額の寄附金、契約金等の受け取りの申告がなされております。意見を述べることはできますが、議決の際には参加いただけないこととなりますが、本日の議事は全て報告事項になりますので、特段の措置はございません。

○半田座長 それでは、資料の確認をよろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料でございますが、クリップどめを外していただきまして、一番上に議事次第、次に座席表、委員名簿及び参考人名簿と続いております。

 次に、

 資料1「輸血用血液製剤の供給量について」

 資料2-1「アルブミン製剤の供給量と自給率の推移」

 資料2-2「血漿分画製剤の自給率の推移」

 資料3-1「平成26年度血液製剤使用実態調査(輸血管理体制)(牧野参考人)」

 資料3-2「平成26年度血液製剤使用実態調査(血液製剤使用実態)(菅野参考人)」

 資料3-3「平成26年度血液製剤使用実態調査(小規模輸血、外来輸血、病院外の輸血)(北澤参考人)」

 資料4「血液製剤使用適正化方策調査研究事業 関連資料」

 資料5「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン(安村参考人)」

 資料は以上です。不足等ありましたら、事務局までお知らせください。

○半田座長 特に資料のほうは大丈夫でしょうか。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。本日の議題は5項目ということで、最初に議題1「輸血用血液製剤の供給量について」と議題2「アルブミン製剤の供給量について」を一緒にやりたいと思います。資料1、資料2-1と2-2を続けてごらんただきたいと思います。

 それでは、事務局から御説明をよろしくお願いします。

○金子血液対策課需給専門官 それでは、事務局から説明させていただきます。

 まず資料1でございますが、本調査会におきまして毎年報告させていただいている輸血用血液製剤についての資料になります。平成18年を基準とした直近平成26年までの輸血用血液製剤の供給量の推移を示している資料でございます。データは血液製剤調査機構調べとなっております。

 上から赤血球製剤、新鮮凍結血漿、血小板製剤となっており、昨年と比較しますと大きな変動はなく、赤血球製剤と血小板製剤は少し減少しております。今後も人口の高齢化に伴い、がんなどの患者さんが多くなり、輸血医療の増加が考えられますが、輸血用血液製剤の供給量の動向について、引き続き今後の推移を見ていくことが必要と考えております。

 続きまして、資料2も本調査会におきまして、毎年報告させていただいている血漿分画製剤についての資料になります。

 資料2-1はアルブミン製剤の供給量と自給率の推移を示しております。1980年代に世界の生産量の3分の1を我が国で使用しておりましたアルブミン製剤ですが、その後の適正使用の推進、普及によりまして供給量は減少してまいりました。

 供給量の減少に伴い、長期的には国内自給率は上昇しているのですが、平成21年度以降は50%台後半で推移しております。供給量については、適正使用が進み、今後も減少傾向が続いていくのか、引き続き今後の推移を見ていくことが必要と考えております。

 なお、アルブミン製剤の適正使用につきましては、資料5で後ほど安村先生から「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン」について御報告をいただくことになっております。

 次に資料2-2は血漿分画製剤のうち、主要な3製剤の国内自給率の推移をお示ししたグラフになります。

 平成26年度の自給率ですが、前年度と比較しますとアルブミン製剤は資料2-1の数字と重複しますが58.7%から1%下がり57.7%。グロブリン製剤は95.9%から0.1%下がり95.8%となっております。第VIII因子製剤は、遺伝子組換え製剤の供給が年々ふえまして、遺伝子組換え製剤を含め全体で見ますと、前年度の15.0%から0.7%下がり、14.3%でした。遺伝子組換え製剤の供給量が増加する中、国内献血由来血漿の製剤を使用し続けたいという患者さんがいることや、第VIII因子製剤の8割以上を占めている遺伝子組換え製剤が何らかの理由で供給されなくなった際の危機管理の観点からも、安定供給に支障を来さないよう、国内血漿由来製剤の製造能力を維持していくことが必要と考えております。

 以上が資料1及び2の説明でございました。

○半田座長 ありがとうございました。

 輸血用血液製剤3剤の供給量に関しては、ほとんど前年と変わらず推移している。一方、アルブミン製剤に関しては、今回は過去最低。適正使用が進んで使用量、供給量が減っているという傾向を御報告いただきました。

 それでは、委員の方々から御意見等々お願いいたします。いかがでしょうか。

 どうぞ、薄井委員。

○薄井委員 薄井ですけれども、先ほど御説明があった資料2-2の血漿分画製剤の自給率推移のグラフで--で表されている第VIII因子の部分ですが、遺伝子組換え製剤を含む凝固製剤全体とすると14.3%の自給率ということでしょうか。これは先ほどリスクのためにある程度国内で自給をするようにということから乖離しているようなのですが、目標値はどれ位に設定しているのでしょうか。

○金子血液対策課需給専門官 特段目標値を設定しているわけではないのですけれども、血液法の中で国内自給の推進を基本理念としてございますので、最終的には国内自給率100%を達成したいと考えてはいるのですが、とりあえずは今、リコンビナント製剤が海外からかなり入ってきていますので、それに対していかに国内自給を高めていくか。例えば、国内のメーカーにリコンビナント製剤を開発していただくような、国として研究費を補助するとか、そういったことを考えるかと思います。

○薄井委員 極端にこの製剤の自給率が低いのでちょっと気になったものですから御質問しました。

○半田座長 大戸委員。

○大戸委員 血漿分画製剤なのですけれども、実際の供給量は年々減っているわけで、こういう縮小再生産のところで健全な企業マインドを維持するのはかなり困難ではないかと推測するのです。ある製薬会社が行ったような、いわばモラルハザードに陥る危険性が出てきているのではないか。

 これは一種の環境。企業の競争心、競争する能力を維持しつつ、国内自給率が上がるような方策を考えていかなければならないのではないか。例えば、国内の血漿メーカー、分画製剤メーカーは他の国の原料血漿を搬入して、受託生産してその国に戻すことは今はゆるされていませんが、そういうことまで考えないといけないと思っています。

○半田座長 ありがとうございます。

 今の大戸委員の御意見、薄井委員の御意見も含めて、いわゆる輸出貿易管理令が厳然とある。これはかなり古いものであるのですけれども、今後、この管理令を取り払うとか、その辺はどの辺まで可能なのかどうか等々を、事務局でお答えできる範囲内でいいので教えてください。

○武井血液対策課長 委員の先生方、御指摘ありがとうございました。

 非常に重要なポイントと思いますし、輸出貿易管理令については経済産業省の所管になっておりまして、今、国際貿易を取り巻く環境は大きく変わりつつありますので、血液製剤の現状について関係省庁と議論を進めたいと考えておりますし、この場の議論をしっかりと関係各省に伝えることが我々のミッションかと思っております。

 きょういただいた御意見を踏まえて、この問題にどのように対処してくかという点についても、さらに詰めていきたいと考えております。

 ありがとうございました。

○半田座長 ほかにいかがでしょうか。

 もう一つ、私から先ほどの薄井委員の御意見なのですが、リコンビナント製剤は外国のものが多いわけです。ということは、国内自給という意味ですよね。基本的な国内自給の目的は危機管理的な問題で、それが一つ一番大きいのですけれども、むしろこれは逆行している。

 大戸委員がおっしゃったように、国内メーカーも第VIII因子製剤等々の凝固因子の、リコンビナント製剤の開発力をつける必要があるのではないかと思うのですが、この辺はいかがなのでしょうか。

○武井血液対策課長 御指摘ありがとうございました。

 血液製剤については特殊な要因がございますし、今までの経緯もございますので、そういったものを十分踏まえつつ、今後の対応が重要になってくると思います。特に民間との対話の中で、私どももこれからこうした製剤をつくっている企業さんとの対話を深めながら、国内の自給率をどうやって上げていくかという点について対応していきたいと思っております。

 具体的に言いますと、製造している企業さんがありますので、そういった現場を担当されている方々と直接対応をしながら、技術的にも、恐らく知的財産の部分も大きなところになってくるかと思いますので、そういった点について今後の対応について協議してまいりたいと考えております。

○半田座長 稲田委員。

○稲田委員 先ほどアルブミン製剤の供給量について、適正使用が随分進んできて供給量が減ってきたというお話があったのですが、これに関して目標値はどれぐらいなのか。それから、先ほど国際的に見た場合、日本が世界で一番使っていたという状況から、世界的に見て例えば人口比であるとか、あるいは人口構成であるとか、輸血製剤の比から考えてどれぐらいが最終的な供給量として落ちつくべきなのかが、もし、わかれば教えていただきたいと思います。

○半田座長 事務局、いかがでしょうか。

○武井血液対策課長 現時点で具体的な数字を持ち合わせているわけではないので、後ほどこれは調べさせていただきたいと思います。

 法律に書いてあるところが我々の行動する上での基準になりますので、そうなりますと高い水準での自給率の達成を目指しております。

○稲田委員 ありがとうございました。

○半田座長 よろしいでしょうか。

 ただいま非常に貴重な御意見をいただきましたので、事務局におかれましては、今の御意見を参考にして適正使用の推進をどうかよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、議題3「平成26年度血液製剤使用実態調査(日本輸血・細胞治療学会)」ということで、まず事務局から調査の背景を説明していただいて、参考人御三人の説明に入りたいと思います。

 よろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局より御説明いたします。

 まず調査の経緯でございますけれども、本議題にございます「平成26年度血液製剤使用実態調査」とは、医療機関における血液製剤の使用実態を把握することを目的として、国が日本輸血・細胞治療学会に委託して毎年実施いただいているものでございます。

 調査結果について同学会の牧野参考人、菅野参考人及び北澤参考人に発表していただきます。

 初めに牧野参考人には輸血管理体制について発表いただきます。次に菅野参考人には、血液製剤の使用実態について、北澤参考人には対象を中小施設、外来輸血及び病院外の輸血に絞った詳細な解析をお願いいたします。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○半田座長 それでは、牧野参考人から資料3-1に基づいて御説明をよろしくお願いします。

○牧野参考人 まず輸血管理及び実施体制の要点について御報告したいと思います。お手元の資料3-1を御参照ください。

2013年に日赤より輸血用血液製剤が供給されました実績のある1万802施設のうち、返却もしくは辞退された76施設を除く1万726施設をアンケート対象施設としました。今回の回答施設は5,434施設であり、回答率は50.66%に達し、過去7年間で最も高い値を示しました。

 表2に示しますように、病床数が多くなるにつれまして回答率は上昇し、500床以上の施設では85%以上でした。日赤から輸血用血液製剤が供給された施設の中で、300床未満施設は全体の約90%を占め、300床以上施設はわずか10%でした。

 回答した5,434施設の中で使用されました総血液製剤量(1,377万単位)は、日赤から2014年に供給されました総血液製剤量(1,781万単位)の77.3%に相当しまして、国内で使用の8割近い血液製剤の情報が含まれていることになります。

 全血液製剤の82.5%は全体の1割の施設に当たる、300床以上施設で使用されていることがわかりました。

DPC取得施設は、全体では1,209施設で29.1%ですが、300床未満施設では16.5%と低く、500床以上施設では93.1%においてDPCPDPSを導入しており、年々微増しています。また図1に示しますように、輸血用血液製剤の8割以上はDPC取得施設で使用されていました。

 輸血管理料取得施設は、2012年4月の保険改定によりまして、輸血管理料と輸血適正使用加算に分かれまして、輸血管理体制が整備されて基準を満たせば取得可能になることから、表7aに示しますように、輸血管理料Iが475施設、II1,205施設に増加しました。

 輸血適正使用加算を取得している施設は1,181施設であり、取得していない施設での理由は、300床以上施設ではAlbRBC比の基準がクリアできない施設が多くを占めていました。

 輸血適正使用加算を取得していない施設での血液使用状況は、各血液製剤とも使用量が多く、特にFFPとアルブミン製剤の使用量が多い傾向が見られ、その結果8ページの図3に示しますように、FFPRBC及びAlbRBC比が2倍程度になっていました。

 しかしながら、6ページの図2では、輸血管理料I+II施設において輸血用血液製剤及びアルブミン製剤の約9割が使用されておりまして、少なくとも輸血管理体制が整備された施設で本邦の血液製剤は使用されている現状が確認できました。

 各施設における全身麻酔手術件数、心臓手術件数、造血幹細胞移植件数、血漿交換療法件数を病床規模別に解析したところ、表8bに示しますように、医療施設の規模が大きくなるにつれて各血液製剤の使用量は増加し、全麻件数の多い施設や心臓手術、造血幹細胞移植術、血漿交換療法実施施設が病床当たりの血液製剤使用料は3~7倍多い傾向が見られました。

 また、FFPRBC比も約1.5~3倍高値を示しました。

 一方、AlbRBC比は大きな差はないのですが、8ページの図3に示しますように、輸血適正使用加算未取得施設であるBとDのAlbRBC比は2倍以上であり、施設機能としましては、7ページ目の表7gに示しますように、1施設当たりの年間手術件数と血漿交換療法件数が2~4倍と多いことが一因と考えられました。

 施設機能別血液使用状況を10ページの表8cに示しています。1病床当たりの血液製剤の使用量が多いのは、赤血球製剤・血小板製剤・アルブミン製剤では、中規模医療施設で全麻件数が多く、心臓手術、造血幹細胞移植及び血漿交換療法を実施している施設であり、FFPは施設規模が500床以上施設でした。

FFPRBC比が高い施設は表8dに示しますように、心臓手術または血漿交換療法を実施している施設であり、AlbRBCが最も高い施設は表8eに示しますように血漿交換療法のみを行っている施設群でした。これは凝固因子の補充の必要のない血漿交換療法に際して、アルブミン製剤を使用していることが一因と考えられました。

 また、2014年に保険改定で新規収載されました「貯血式自己血輸血管理体制加算」取得施設は13ページの表10に示しますように237施設でした。取得施設におきましては、自己血採取件数がやや多く、輸血マニュアル及びVVRマニュアルがよく整備されていました。

 血液製剤の適正使用について、国の適正基準を遵守していると回答した施設は、図4に示しますように輸血用血液製剤(赤血球製剤、血小板製剤)では80%以上でしたが、300床以上施設においては、血漿製剤及びアルブミン製剤は80%を下回り、適正使用基準の遵守率がやや低いという結果でした。

 次に、医療機関の輸血管理体制の整備状況について、1516ページの図5と図6にまとめています

 「輸血業務の一元管理」「輸血責任医師の任命」「輸血担当検査技師の配置」「輸血検査の24時間実施体制」「輸血療法委員会の設立」の輸血管理体制5項目は、輸血管理料が実施される前の2005年と比較しまして急速に整備されており、300床以上施設においては、いずれも90%以上の施設で整備が完了しています。

 しかし、300床未満施設では50%前後の整備率であり、小規模医療施設における安全で適正な輸血医療の実施のための輸血管理・実施体制づくりが今後の課題と思われます。これに関しましては、後の北澤先生からの報告があります。

 各項目について見てみますと「輸血業務の一元管理」は全ての施設では67.6%で実施されており、特に300床以上の施設では90%以上の実施率でした。300床未満の施設でも一元管理は徐々に整備されており、3分の2の施設では既に実現しています。

 「輸血責任医師の任命」は、全ての施設では66.4%で実施されており、300床以上施設では90.9%の施設で任命されていました。この傾向を2005年と比較しますと大きく改善していますが、300床未満の小規模医療施設では約50%の任命率にとどまっております。

 「輸血担当検査技師の配置」は、全ての施設では55.9%で実施されており、特に300床以上施設では92.8%で配置していました。

 「輸血検査の24時間体制」は300床以上施設では96%の施設で実施されていますが、300床未満施設では60%の実施率でした。しかし図5に示しますように、20床以上施設で見た場合、2005年は300床未満施設では59.6%であったものが2014年には69.8%に改善し、300床以上施設では85.4%から96%まで改善しております。

 「輸血療法委員会の設立」は、17ページの表12に示しますように、全ての施設では59.1%の設置率であり、300床以上施設では実に96.3%で設立していました。輸血療法委員会設置施設における年間開催回数も6回以上が45.5%を占めていました。しかし、いまだに全回答施設の中で41%の施設では、院内の輸血療法委員会自体が設置されていないのも事実です。

 また、表13cと図7に示しますように、都道府県ごとの輸血管理体制の整備率は、最も高い新潟県と低い宮崎県で2倍の差があり、各県や日赤と一緒に行っています合同輸血療法委員会などによる地域のさらなる活性化が今後の課題と思われます。

20ページの図8に示しますように、300床以上施設におきまして、輸血責任医師及び輸血担当検査技師が専任>兼任>不在の順で、赤血球使用量は多いのですが、逆に廃棄率は低値を示しました。また、5年前から学会が認定しています臨床輸血看護師がいる施設でも同様の傾向が見られました。

 一方、300床未満施設においては、赤血球使用量は300床以上の施設と同じですが、廃棄率は強い相関は認められず、転用不可などの小規模医療施設特有のほかの原因が考えられました。

 最後に、検査法について報告します。

21ページでは、ABO型及びRh血液型検査の実施及び検査内容について、300床以上施設では97%で院内の検査技師がABORh血液型検査を担当して「オモテ・ウラ試験」とD抗原検査を行っていますが、300床未満施設では35%程度は外注機関に委託していました。

22ページの表16aに示しますように、不規則抗体スクリーニングは、300床以上施設では97.6%で院内の検査技師が実施しており、間接抗グロブリン血漿を用いているのに対しまして、300床未満施設では58.3%は院外の検査機関に委託していました。交差適合試験は300床以上施設ではほとんど院内検査技師が行っていますが、300床未満施設では62.2%にとどまっていました。

 臨床検査技師以外の職員が交差適合試験を行って赤血球輸血を実施したことがあるという216施設の情報を24ページの図9にまとめています。その90%以上は100床未満の小規模医療施設であり、実施者は担当医と看護師で65%を占めていました。

 コンピュータークロスマッチの実施率は、全ての施設ではわずか3.4%であり、500床以上の施設でも半数以上で全く使用されていませんでした。自動輸血検査機器導入率は、300床以上施設では71.7%と高く、300床未満施設では12.7%と低いのですが、近年この導入率は徐々に増加しています。25ページの図10に示しますように「輸血用血液の依頼時」「輸血検査の依頼時」「輸血用血液の出入庫管理」「輸血時の携帯端末の使用」などにコンピューターシステムが用いられており、いずれも徐々に増加しています。

26ページの図11に示しますように、輸血前の感染症検査は入院時検査と同時に行っている場合を含め84.4%の実施率であり、輸血前検体保存は300床以上施設では97.1%で実施しています。一方、300床未満施設では63.5%とやや差を認めました。

 輸血後感染症検査は必ず実施している施設は30.4%にすぎず、2008年以降は5%程度の改善率です。また、輸血後検体保存も20.3%程度でした。

 これらの輸血前後の感染症検査や検体保存に関するマニュアルがある施設は、100床以上の施設では68.7%でした。

28ページの図12に示しますように、輸血副作用報告体制は、輸血用血液製剤65.7%に対し、血漿分画製剤61.4%とやや差を認めました。輸血用血液製剤の副作用報告体制は、300床以上施設では96.8%と整備されているのに対し、300床未満施設では59.4%の整備率でした。

 報告体制を2008年と比較した場合、表19に示しますように300床以上施設において輸血部門へ報告する施設が増加していました。

 適正使用に関する取り組みは、300床以上施設では76.5%の施設で、院内輸血療法委員会で検討し病院全体で取り組んでいるのに対し、300床未満施設では39.2%でした。これは表20に表示しています。

 また、適正使用の院内浸透のために具体的な取り組みとしましては、輸血マニュアルの配付、輸血療法委員会での話し合い、院内輸血指針の改定が挙げられました。

 「血液法」の基本理念や「指針」の内容を院内周知している施設は300床以上施設では48.2%であり、300床未満施設では25.7%であり、決して十分とは言えない結果でした。

 以上、輸血管理及び実施体制について、アンケート調査の結果を過去のデータを含めて報告しました。

 私の報告は以上です。

○半田座長 牧野先生、ありがとうございました。

 それでは、委員の方から御意見等々よろしくお願いします。いかがでしょうか。

 どうぞ、稲田委員。

○稲田委員 非常に大規模な調査で大変大きな成果だと思うのですが、一つ調査結果の解釈という点で、300床以上とそれ以外で、300床未満ではいろいろな輸血体制の整備が不十分だということを示されていると思います。

 調査の回答率を見ますと、300床未満のところでは51.74%とかなり低いことを考えると、かなり意識が高いところがアンケートをしてくださっているので、全ての方が答えると、実際はさらに大規模病院と小さな病院では差があると考えてよろしいでしょうか。

○牧野参考人 そうです。

 2ページ目の「年次別推移」で見まして、20床未満の施設の回答率が年々増加してまいっています。今回は特にこの20床以下の回答がふえて回答率が50%になりましたけれども、今までの結果を見ますと300床以上施設での輸血の管理体制、使用状況は非常に正確に把握できておりますが、300床未満がやはり不十分であるのがどうしも結果としてあります。

 今までは300床未満の施設の現状がなかなかつかめなかったのですが、ようやく徐々にわかってきた状況であろうと思います。

 今回は、この小規模医療施設を中心に北澤先生から報告をしていただきますけれども、まだまだ回答が十分とは言えませんので、今後、さらに300床未満の小規模医療施設での回答をさらにふやすように、回答の工夫をやっていきたいとは思います。

○稲田委員 ありがとうございました。

○半田座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○兼松委員 御説明いただきました資料の18ページ「都道府県別の輸血管理体制の整備状況」でございます。これは内容ではなくて、都道府県の欄の一番右に「管理体制総和」というものがございますけれども、ここの数値と都道府県が少しずれているのではないか。

 と申しますのは、私は長崎県ですので、長崎のところを計算いたしますと、この表では254.97となっておりますが、実際には318.07で上の欄に数値が来るのです。それが佐賀でして、佐賀のところを計算しますとこれが福岡県のところの224.99で、このところにずれが起こっているのではないかと思います。

 私もそれ以上はしておりませんけれども、ちょっと御確認いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○牧野参考人 済みません。計算し直してまた訂正をしたいと思います。

 これは各管理体制を100点満点の点数で、それを合わせて500点満点の点数で計算しました。

 やり直してみます。

○半田座長 御指摘ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 どうぞ。

○牧野参考人 それから、図7は過去5年間の輸血総和の平均とSDになっております。SDが余り大きくないのは変動がないということで、できればある程度変動があって改善していますという傾向が見られるといいかと思ったのですが、都道府県によっては余り変化がないということで、低目で変化がないのは問題かなということで、今回はこういうデータも出してみました。

○半田座長 ほかにいかがでしょうか。

 私から一つですけれども、非常に詳細かつ示唆に富むデータで年々把握率も上がってきて、実態がかなり反映されてきているのではないかということですが、輸血管理料I、IIを取っている施設がほとんどの輸血用血液製剤を使っているというわけで、なおかつ適正使用加算が取れていない施設がたくさんあるということで、その原因はアルブミンあるいはFFPの使用量の問題があるというデータだと思うのですが、これに関して実際にどういうところを例えば改善すれば、適正使用がさらに推進されるかは何か御意見がございますでしょうか。

○牧野参考人 8ページの図3を見ていただきますと、適正使用加算が取れていない施設がBとDなのです。BとDをAとBの比較、CとDの比較と見てみますと、どの血液製剤も大目だなというのがあると思います。

 その中でもFFPとアルブミンの使用量がAとBを比較しますと2倍ぐらいの違いがあるというデータなのです。それがどこから来るのかということで、その前の各施設の特徴を見てみまして、病床の規模、全麻件数とか心臓手術とか造血幹細胞の数とか血漿交換の数とかを見たものが前の7ページにあるわけですけれども、表7gを見ていただきますと、BとDの施設は血漿交換の数と心臓手術の数が、Aと比較してBは心臓手術の数が2倍。CとDを比較しますと3倍ぐらい多い。それから、血漿交換の数も3~4倍多いというのがありまして、どうしてもこういう心臓手術を年間かなり多くやっている施設、もしくは血漿交換を多くやっている施設はどうしてもFFP、アルブミンの使用が多くなってしまうところがあるのではないかというのが一つだと思います。これで全ては言えないかと思うのですが、一つのことだろうと思います。

 特に血漿交換でアルブミンの使用が多くなってしまうというのが後のデータでもありますけれども、それに関しましては、輸血管理料の中でAlb/RBCを計算するときに、アルブミンの全体量から血漿交換をするときのアルブミンは少し憂慮していただけないかというのが我々学会としても考えているところではあります。

○半田座長 ありがとうございました。

 委員の方々、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、菅野参考人から血液製剤の使用実態調査ということで、製剤の使用実態について資料3-2に基づいて御報告をお願いいたします。

○菅野参考人 報告させていただきます。

 資料3-2の1ページ目は過去1年間の輸血実施状況。施設数、患者数、予測患者数を同種血のみ、自己血のみ、併用で描いた表でございます。文章に書いてあるとおり、同種血のみ、自己血のみは前年度に比べてやや減っているのに対して、併用施設が621施設で前年度に比べると130%で、併用施設数のみ増加傾向を認めているのが特徴でございます。

 輸血実施施設を300床以上の医療機関で比較すると、同種血、自己血のみ併用が占める割合はそれぞれ15%、41%、56%となりまして、同種血のみを使用する医療機関の病床数は85%が300床以下である。逆に言うと、300床を超える医療機関では徐々に自己血の使用がふえてくるということが見えてまいります。

 次のページの表2でございますが、これは2008年から2014年にかけての同種血輸血患者数、自己血輸血患者数の推移を表にしております。先ほどのデータから、全体として自己血の輸血患者数の60%が併用していることを鑑みて計算し直しますと、全体の輸血患者数はここでのデータでは979,600人という計算になりまして、2008年以来初めて100万人を下回ったというデータになっております。

 次の3ページ目は製剤別の血液製剤使用量。これは病床当たりの使用単位数ですので、これは外来の輸血に関しては含まれていないので、解釈の注意が必要かと思いますが、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤、自己血、血漿分画製剤と並べております。

 表4のほうがわかりやすいのですけれども、1病床当たりの血液・血漿分画製剤別の使用量に関しては、ここではモノクロになってしまっていますが、赤字で血小板製剤の300床未満のところが63%。等張アルブミン製剤が300床未満のところが4.1%。ここがはっきりとした減少傾向にあるということで、これは300床未満なので、そのことを踏まえてどのような解釈をするか、この調査の中ではその原因については言及できてはおりません。

 次の4ページ目の表5は全血製剤。成分輸血をしないでなぜ全血を使ったのかということと、全血を選択した施設数と使用単位数についての表でございます。日赤血を使用したという4,577施設のうち、全血を使用した施設は今でも3%にすぎないということでございます。

 特徴的なのは、全血製剤を使用するほとんど全てが300床未満であるということで、赤血球製剤(RBC)ではなく全血を選択した理由を書いていただきましたけれども、この中では「新生児の心臓手術に使用のため」以外は適切な理由は見当たりません。ここに抜粋で書いてありますけれども「がんによる貧血」「術中出血に伴う貧血」等々いろいろ書いてありますけれども、なぜこれで全血が必要かは読み取ることができず、これは適切な全血使用とは言えないと結論できると思います。

 その次のページは血小板別製剤の外来・病棟別使用量ですけれども、病床の規模の大小にかかわらず、大体外来での血小板製剤の使用が10%でございます。これは慢性の血小板減少症を来すような血液疾患の患者さんについては、外来で血小板を使用していることが多いだろうということで、頻回の輸血によって血小板輸血効果が上がらない血小板不応状態において適用となるHLAPCに関しては外来での使用比率が22%で、特に300床未満では30%なので、300床未満の病院でも外来でこういう慢性の血小板減少症を伴う血液疾患を見ていらっしゃるところが多いのだろうと解釈できます。

 次の6ページの表7「血液製剤使用量の総供給量に占める比率」ということで、これはこの日赤からの総供給量、本調査で回答された総使用量を比較しております。

 どれぐらい赤十字から供給された使用の実態が本調査で捕捉できているかですけれども、赤血球製剤が72.8%。血小板製剤が81.2%。血漿製剤が76.8%ということで、この2011年からの4年間で捕捉率は最も高い値。すなわちこのアンケート調査が比較的日本全体の輸血の実情を反映できるようになっているのかなと考えられます。

 7ページ目は「血液製剤使用状況の年次推移」ですけれども、赤血球製剤は全体、病床ベースとも病床当たりの使用単位数は横ばいでございます。血小板製剤に関しては、全体、特に300床未満での施設での病床当たりの使用単位数に減少傾向が認められたということで、これは病床当たりの単位数でございますので、先ほどの外来輸血のデータとは反対の傾向がありました。

 次は8ページ目ですが、血漿製剤は病床当たりの使用単位数が500床以上の大規模施設で増加しているという傾向が昨年度に引き続き顕著に見られました。

 「300499床」のグループでも増加していますが、300床未満の施設で減少している。全体では横ばいであるということで、アルブミン製剤は先ほどの御報告にもありましたように各病床数で減少しており、全体で明らかな減少を認めた。これはイコール適正使用の結果かどうかはこの調査ではなかなか難しいと思います。

 血漿製剤は特に9ページ目にありますように、免疫グロブリン製剤の病床当たり使用数は全体に増加傾向で、2011年から2014年まで4年続けてふえてきているということで、特にこれは500床以上の大規模施設での増加が著しいという傾向が認められます。

10ページ目「輸血を受けた1患者あたりの赤血球使用量」に関しては、この「全体」をごらんになっていただくとわかりますが、1患者当たり2014年は5.69単位で、これもここ数年、2011年以降6単位以上だったのが6単位を下回ったということで、特に500床以上の施設での減少が約12%で最も大きく認められます。

11ページ目は「1病床あたりの赤血球使用患者数」ですが、1病床当たりの赤血球使用患者数は逆に6%増加していたということで、これは前回の報告と同様の傾向でございました。

 それから、12ページ目は過去1年間の製剤別血液製剤使用量を赤血球からここに表現しておりますが、赤血球製剤の廃棄量です。特に小規模施設での低下が顕著であるということで、先ほどの牧野先生の御発表にもありましたように、輸血管理の問題あるいは使い回しができないということがあるのかもしれません。赤血球製剤の購入量は1,000床以上の施設において3年連続で減少傾向にございます。

13ページ目は赤血球の総廃棄量。500床以上の施設では減少を認めてございます。血小板製剤の廃棄量と廃棄率に関しては、800床以上の大規模施設で増加。施設規模別の血小板製剤廃棄量では、500床以上の大規模施設で増加傾向にございます。

16ページ目は「血漿製剤廃棄率と購入量の推移」これもグラフに示しているとおりですが、廃棄率はそれほど大きく変動はないのですけれども、量的には500床以上の大規模施設では減少傾向がございました。

 少し飛ばしまして18ページ目は「過去1年間の放射線未照射輸血用血液製剤」これは輸血後GVHD予防をしていないということで、日赤血あるいは院内血ともに使用したのかしないのか、したのだったらどれくらい使ったのか、その理由はどうなのかということです。

 全体で未照射使用単位数は赤血球製剤は227単位で、上からずっと行って54単位。大学病院の分院の神奈川県ということで、これは54単位未照射で使っている。下から3番目の新潟県の公立・自治体病院で88単位の赤血球製剤が使われているということで、これに関しては管理体制のこととも共通したことなので、やはり合同輸血療法委員会等で各県別でのディスカッションをお願いしたいと考えています。

19ページ目は、なぜ未照射院内血を使ったかということですけれども、照射の機械がない、備蓄在庫を使用し、なくなった等々、これも一番下のドナーリンパ球輸注以外のところでは未照射の正当な理由は見当たりませんでした。

20ページのカリウム吸着フィルターに移りますけれども、輸血後の高カリウム血症は病症別だと300床未満に多く認められています。どの病床規模でも心停止には至っていませんけれども、輸血後の高カリウム血症は300床未満のところであったという回答が一番多かったということです。

21ページ目は「輸血後高カリウム血症予防対策」に関しても、いろいろなアンケートが出ていますけれども、何もしていない、診療科への注意喚起も行っていないというものもございますし、病床規模が多くなるとカリウム吸着フィルターが対策として出てまいります。

 どういう疾患に対してということに関しては、心臓手術、急速大量輸血、腎不全患者、あとは新生児の輸血等がありました。

22ページ目は、今度は大量出血時の輸血ですけれども、赤血球輸血10単位以上ということで、輸血した症例数があったほうが青でなかったほうがオレンジ色のカラムになりますが、あったという症例数が病床の規模に限らずこのように出てくるということで、大規模病院だから心臓血管外科の手術をたくさんしているからというわけではなくて、これも個々の事例分析が必要かと思いますが、規模と赤血球の大量出血の症例数に関しては全然相関が見当たらないということでございます。

 大量出血時は、希釈性凝固障害に対してFFPではなくてクリオあるいはフィブリノゲン製剤という選択ですけれども、500床以上の施設で26施設が院内調整でクリオを使っているということですが、まだまだこれは全体として普及してない。逆にフィブリノゲン製剤は適用外使用ですが、数値的にはクリオよりも多く認められる。これは院内調整の仕組みが整わなくても、フィブリノゲンという選択肢を選ばざるを得ないという現場の判断と感じております。

23ページ目は赤血球輸血に関して、今度は大量輸血をした場合にクリオ・フィブリノゲン適用と考えられた症例があったかですけれども、あったというお答えは規模が大きくなるとだんだんふえてくるということで、希釈性凝固障害に対しての有効な手立てに関する輸血医学的な備え、知識の差なのかなと感じております。実際にそういう凝固障害のときにどれを使用したいかに関しては、特別な傾向は見当たりませんでした。

24ページ目は自己血輸血に関してのデータでございます。

 病床を細かく区切って、これで使用単位数と廃棄単位数を見ていますが、お気づきのように「700799床」「800899床」「900999床」の廃棄率が20%を超えているということで、これはいわゆる同種血RBCLRの廃棄率が規模にもよりますが1~5%にとどまっているというところからすると、せっかく事前貯血式の自己血と考えますが、とったものがこれぐらいの規模の病院でもこれだけ廃棄されてしまっているという現状が見て取れました。

25ページ目は「貯血式自己血の年次推移」でございますが、500床以上の病院では年々少なくなっていて、300床未満の病院あるいは300499の病院では微増あるいは横ばい状態と見て取れます。

26ページ目は希釈式自己血。これは各病院でも輸血部門がかかわりにくいタイプの自己血でございますが、希釈式自己血輸血は全体の2%。整形外科の領域とかが多いと思いますが、回収式自己血輸血が6%ぐらいという現状がわかりました。

27ページ目は、抗HBs人免疫グロブリン製剤の使用実績ですけれども、管理している部門は非常にさまざまである。大規模病院だと輸血部門が管理している。それでも30%強というところです。それから、過去1年間の抗HBs人免疫グロブリン製剤の使用の有無に関しては、図の22に示してあります。

28ページ目の図の23は過去1年間のHBs抗原陽性血液の汚染事故のことですけれども、これは筋注あるいは静注、単位数としては小児には0.160.24mg/kgということが決まっていますので、小児の上に示す新生児の母子間HBV感染には1ccの筋注200単位製剤が重宝である。それ以外の成人領域の、例えば針刺し事故の後はこの1,000単位製剤が必要であるということですけれども、このような使用内訳になっております。

30ページ目からの「都道府県別年間赤血球製剤使用量」に関して、これだけの格差があるということが例年同じような示し方をしておりますが、少し飛んでいただいて37ページ目の表17でございますが、赤血球製剤の病床数当たりの使用単位数が多い10都道府県ということで、神奈川県、東京都、千葉県。それから、血小板製剤がこのように並んでおります。

38ページ目の表19が血漿製剤、39ページ目の表20が総アルブミン製剤ということで、これは1年で見てもなかなか傾向がつかめないので、最後になりますが4041ページ目に色つきで表現してみました。

 3年間続けて上位ベスト10というのかワースト10というのかわかりませんけれども、ランクインの県を色つきのセルで示してございます。赤血球製剤は順位が少し入れかわっておりますけれども、東京都、千葉県、埼玉県と首都圏が多いという傾向がこのように見て取れます。

 表22は血小板製剤ですが、これは多分例年指摘されていることだと思いますけれども、広島県がずっと一番なので、こういうことも先生方の御意見を承っていると思いますが、各県の合同輸血療法委員会に調査の依頼をする時期が来ているのかなと感じています。

 表23の血漿製剤に関しては、このようにほとんど毎年常連のところがあるということで、大きな診療内容の変化がないのだろうと見て取れます。ところが、アルブミン製剤に関しては、これは等張と高張の合計でございますが、意外とランクの出入りが激しいということなので、これは1年間でその県でどのような患者さんを対象にして使ったのかということで大きく入れかわるのかなと、同じようなことは最後の41ページ目の免疫グロブリン製剤でも見て取れます。

 全体としての流れだと、なぜこういうことになるのかがなかなかつかめないので、各県レベルとの連携でもう少し輸血の使用状況の実情を把握したいと考えました。

 以上です。

○半田座長 菅野先生、非常に詳細かつ示唆に富むデータをありがとうございました。

 それでは、委員の方々、御意見あるいは御質問をよろしくお願いします。

 どうぞ。

○種本委員 2ページの表2を御確認いただきたいのですが、2011年が2つあるのですが、これはどう違うのでしょうか。

○菅野参考人 済みません。過去にさかのぼって、これは2007年からとなっていると思います。

○種本委員 これは2007年、2008年ですか。

 わかりました。

○菅野参考人 申しわけございません。

○種本委員 それから、毎年申し上げる自己血輸血の患者数がどんどん減ってまいりまして、10万を切ってしましまして、これで言うと特に2008年と比べて半減しております。特に最近、ここ数年は前年比で比べると7.2%減、10.8%減、22.3%減と加速度的に減ってきておりますけれども、これは大きな問題であろうと思いますが、どういう要因があるとつかんでおられますか。

○菅野参考人 これはなかなか難しいと思いますが、一つは日本の同種血の安全性です。個別NATも導入されたここ何年かHCVHIVの感染がないとかいうところからすると、例えば整形外科領域で自己血の対象となるような御高齢の方に2回、3回と来ていただいて採血をするよりは、ここまで安全であれば同種血でいいと御判断される現場の先生方がいらっしゃるのではないかと判断はしています。

○種本委員 これは国の考え方として、今のようなお考えで自己血が減っていくことを是認するかどうかですよね。将来的に供給のショーテッジにショートする可能性のある中で、自己血というものを国として推進していくのかどうかという、これは非常に大事なことだと思います。

○半田座長 種本先生、ありがとうございました。

 今の議論で、私も現場では見ていますけれども、例えば整形外科ですと股関節の手術に昔は1,200mlの自己血をとったのですが、今は400600mlぐらいに貯血量が減少してきています。出血量というのは例えば術式の進歩によって減ってきているという見方はないのでしょうか。

 いかがでしょうか。

○種本委員 心臓に関しては、確かにおっしゃるとおりオフポンプバイパスの普及等々で手術の出血が少なくなったという面はございますが、しかし現場の中では、先ほどのお話のようにもう同種血が安全になったのだから自己血などはやらなくてもという空気が流れていることも事実です。

○半田座長 稲田委員。

○稲田委員 今、半田座長がおっしゃったように術式によってかなり出血量が変わっていて、自己血をとらなくなっている事例もあるかと思います。例えば、股関節の置換率も今までの後方アプローチ、側方アプローチから前方アプローチで出血量もはるかに少なくなって、輸血する機会も非常に少なくなっています。

 前立腺手術もかなりダヴィンチ手術、ロボット支援下の手術がふえてきて、以前は1,000ミリリットルぐらい出血していたのが今はほとんど出血しないといったところも変わってきたようで、今、おっしゃったのはどれぐらい関与していいかわからないのですが、術式による出血量の減少、自己血輸血の貯血の減少には関与している可能性があると思います。

○半田座長 ほかに御意見、御質問等々はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○牧野参考人 今の意見と同じなのですが、当院の自己血の件数を見ましても、整形外科が極端に下がってきていまして、整形外科の先生にお聞きしますと、トラネキサム酸とかの投与によって出血の量が極端に下がってきているのが一つ大きな理由かなと思います。

 もう一つだけ、先ほどの同種血の患者数が減ってきたという先ほどの表2ですけれども、2011年が2つあるのは、たしかこれは東日本大震災があって東北の4県のデータがないものと、そこをなしにして計算したもので2つあったと思います。ですから、右のほうのデータで計算したと思います。失礼しました。

○半田座長 ということは、確認ですけれども、2011年が2つあるのは少ないほうが東北3県を除いたものであって、多いほうがシミュレートして入れたものである。

 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○益子委員 2点お伺いしたいのですが、22ページのクリオの件なのですが、使用されたのは院内製剤が可能な500床以上の病院がほとんどであったということなのですが、23ページを見ますと適用と考えられた症例は意外に300床未満のところでも結構あるわけですけれども、こういうデータから見て輸血・細胞治療学会としてクリオの商品化はどのようにお考えなのか教えていただきたいと思うのです。

○半田座長 それでは、参考人の方、どうぞ。

○菅野参考人 輸血・細胞治療学会としても、毎年大学病院輸血部会議等の行政サイドとの接点において、クリオはやはり赤十字血液センターで調整して供給していただきたいということは毎年申し上げております。

 ただし、それが今、まだ十分にお答えいただいていないのが現状です。それを踏まえて、製剤委員会等でクリオの院内調整の標準化あるいは合理的コントロールをどうしたらいいのかということは並行して進めていますけれども、実際には御指摘のように、小規模で自前で院内調整がとても無理な施設に関しても必要性は十分にあると思いますので、私一人の言葉で学会を代表して言っていいかわかりませんが、ぜひ再度クリオの赤十字センターでの調整は学会としても要望している次第でございます。

○半田座長 益子先生、いかがでしょうか。今のでもう一つですね。

○益子委員 もう一点は33ページなのですが、アルブミンの製剤の使用量に関して沖縄県が他都道府県の倍以上と突出しているのですけれども、これはどのように解釈すればよろしいのでしょうか。

○菅野参考人 これは現時点ではまだ十分に沖縄県側とは対話が始まっておりませんので、今、明確な答えは申し上げることができません。

○半田座長 どうぞ。

○田中(純)委員 田中と申します。産婦人科が多分ここには余りほかにいらっしゃらないので、先ほどの種本委員の自己血に関しての御意見ですが、恐らく整形外科もたくさん使っておりますが、産婦人科も大分ここ数年自己血を推進されてきているのです。学会でもそうですし、産婦人科、特に分娩を扱うところです。高齢の人がふえてきて、前置胎盤だとか子宮筋腫合併だとか、前もって貯血できる人も結構いらっしゃるわけです。

 しかし、これが病院経営としてペイできるものであればどんどん推進できる。そうでもなくて、もしこれが収益に余りつながらないというのであれば、これだけ自己血の安全性が確立してきていますし、専任の看護師の制度もありますし、これを国として進めるというのであれば、その辺もぜひ考慮に入れてどんどん推進していただければ、産科領域は今後ふえていくのではないかという気がいたしますので、この場をおかりして要望をぜひしたいと思います。

 以上です。

○半田座長 田中委員、ありがとうございました。

 それでは、続きまして資料3-3を北澤参考人から御報告をお願いいたします。

○北澤参考人 青森県立中央病院の北澤です。よろしくお願いします。

 まず資料3-3マル1「輸血管理体制~小規模機関を中心に~」をごらんいただきたいのですが、右上にスライドの番号が入っていますのでスライドの番号でお話ししたいと思います。

 前回まで診療所に関する回答で未回答が大変多かったので、今回からは資料の2ページをごらんいただくと、一番右上の2つの紫色の「両方とも使用しなかった」という施設の回答を除いて検討をいたしました。

 その結果、未回答という回答がかなり減りましたので、この回答で見ていきたいと思います。

 3ページは輸血に関する管理なのですけれども、先ほど牧野参考人からのお話がありましたが、特に300床未満の小規模では病床数が少なくなるに従って管理体制が悪化していることが見て取れます。特に診療所では、院外の検査機関に委託しているという回答等が多く、輸血用血液の管理部門に関しては「その他」が多かったのですが「その他」の内容は現状では把握できておりません。

 4ページの輸血責任医師の有無に関しましても、小規模機関では特に100床未満では40%未満の在籍率となるのですが、昨年小山先生からお話がありましたけれども、特にゼロ床の診療所とかでは医師が一人しかいないところが多いと思いますので、輸血責任医師はその方がなるはずなのですが、そこに「いない」という回答をされているので、自分が責任を持っているという意識がないのかもしれないという判断です。

 5ページは学会認定看護師さんがどれぐらいの施設にいるかですけれども、現状、まだ200床未満、特に100床未満ではほとんどがまだ「いない」ということでした。

 6ページでは、臨床検査技師の有無ということを聞いてございますが、特に診療所では人件費のためか、臨床検査技師を雇っていないところが6070%いるということで、輸血担当技師の有無に関しては、これは検査技師が「いる」というところを100%として計算しておりますけれども、輸血を担当する技師さんが「いない」というところのほうが多いというのは、200床未満にふえてくるようでした。

 7ページは、アルブミンやグロブリンの製剤部門も診療所では「その他」というところが多いのですが、その詳細はよくわかりませんでした。

 8ページの輸血療法委員会の設置率は牧野参考人の御意見のとおりで、病床数が少なくなるほど低いのですけれども、委員の出席率に関しては小さい施設のほうが小回りはきくのか、出席率がいいという回答でした。

 9ページ以降は血液型の検査の実施者をプロットしております。これはどうも複数回答のようでしたので、今回からはそれぞれ何%というのを記載しました。日勤帯に関しまして輸血専任の技師さんがいるというのは多くは500床以上、300床以上の病院で、特に300床以下の病床の病院では、その他の臨床検査の検査部門の方がやっているという返事でした。

 また、100床未満の診療所に関しては、院外の検査機関に委託しているというところが多く、夜間・休日と日勤帯に関しては、100床未満の診療所に関しては検査を実施していないというところがふえてきております。

Rh検査や不規則抗体検査、クロスマッチ検査についても同様でしたので割愛します。

11ページは血液型検査の方法なのですけれども、100床未満の施設の回答が得られておりませんでしたので、これはウェブ回答の中で回答をしない方向になっていたのかなと思いまして、ここは未回答が多くありました。

 右側の血液型検査の内容をごらんいただくと、下の図で抗A、抗Bの「オモテ検査」の実施率や「ウラ検査」の実施率も、診療所に関しては50%程度でかなり低くなっております。

12ページは例年出しておりますけれども、二重チェックの実施体制なのですが、ここも100床未満のところは未回答でしたので回答が不十分でした。

 続きまして、17ページは「輸血前検体保存」で「1-067 保存の実情」をごらんいただくと、100床未満から「保存していない」という施設がふえてきておりますが、100床以上のところでは80%以上で保存しているという回答が得られています。診療所では「保存していない」という施設は50%ぐらいあるのですけれども、保存するための血清採取ができていないところも院外の機関に委託しているのであるかと思うのでそちらの検体を保管してもらっているという回答もありましたので、この辺はそういうことが周知されればいいのかなと感じました。

 続きまして18ページ「輸血後の検体保存」に関しては、先ほどの御意見と同じなのですけれども、多くの場合ほとんど実施されておりませんでした。これはどちらかと言うと実施してほしいというくらいの書き方かと思いますので、していない施設が多くなっております。

19ページの輸血前の感染症マーカー検査を行っているかという回答には、病院では80%以上の実施率なのですけれども、診療所ではだんだん下がってきておりますが、それでも6070%で、輸血前検査の感染症検査を行わない理由の中には「輸血前検体保存を行っているため」という施設が大規模施設では多いのですが、小規模施設では「その他」が多くて、これは細かく解析できておりません。

 輸血前検査の実施項目が20ページですけれども、今回は輸血前に検査を実施している入院前検査として実施を除く数を100%として計算しましたので、100%以上になっている検査の部分は入院前検査として行われていると考えております。

 右側を見ていただくと、HBc抗体の実施率に関しては、そのような観点でいくと300床未満の病院では実施率が60%程度になり、小規模の診療所では20%程度になってきておりますので、このような実施率が正しいかと思います。

HIV抗体に関しては、やはり大きな病院だと実施しやすいのかもしれないのですけれども、小さい病院では実施していないところが多かったです。

21ページでは、輸血後の感染症マーカーの実施率を調べておりますけれども、やはり100床未満の施設では50%程度の実施率になっております。その検査の実施も先ほどと同様に輸血後の検査実施を100%として計算しておりますので、これに関しては入院時の検査とかはありませんので、これが実施率として正しく反映していると思いますが、いまだにHBs抗原やHCV抗体を実施しているところが診療所のほうに多いことがわかりました。

 診療所に関しては主にそこまでで、続いて資料3-3のマル2「外来輸血」をごらんいただきたく思います。外来輸血に関しては、資料の2ページをごらんいただいて、今回は「外来輸血を実施したことがある」に「はい」と答えた施設を対象といたしました。

 外来輸血実施医療機関の全国分布を3ページに示しておりますが、4ページをごらんいただくと、外来輸血を実施している病院の病院形態は、多くは「診療所」「個人病院」というところが多くなっておりました。大学病院等も入っているのですけれども、多くの施設は小さい施設のほうが多かったと感じます。

 5ページはDPC算定をしている病院の割合を見ているのですが、当然大きい病院のほうが高いのですが、これは後ほど使いたいと思います。

 6ページでは、血小板製剤の使用はやはり小さい施設になるほど使っていないところが多く、外来輸血でマニュアルを作成しているという施設も、有床診療所でちょっと低かったのですけれども、それ以外は6070%でした。

 外来輸血をして離院した後に副作用が発現した場合の対応方法をどうしているかでは、「口頭で説明している」まで含めると4分の3程度の施設できちんと説明しているのですが「特に決めていない」という施設もまだまだ多くありました。

 赤い字で「『輸血手帳』を作成し」とあるのですが、これは今のところまだ恐らく東京都だけでしか実施されておりませんので、数としては少なくなっております。

 9ページなのですが、DPCと外来輸血でDPC算定をしている病院としていない病院と、外来輸血のありなしを見たところ、DPC算定をしている病院では外来輸血をしているという病院がかなり多く、DPC算定をしていない病院では、かえって外来輸血をしていないという病院も半々ぐらいになりました。

10ページでは輸血管理料を取得、算定している施設と外来輸血マニュアルの整備の状況を確認したのですけれども、管理料I、管理料IIを算定している施設では、外来輸血マニュアルを整備しているという施設が多く、算定なしのところでは「なし」というところが多くなっておりました。

11ページは、輸血管理料を算定している施設と輸血副作用の体制整備について確認したのですけれども、割合としては管理料を算定している施設のほうがインフォームド・コンセントをとった体制をとっている施設の割合が多くなり、算定していない施設では口頭でというところや、何もしていないという施設の割合が多くなっておりました。

 続きまして、資料3-3マル3「病院外の輸血」をごらんいただきたいと思います。

 これも2ページをごらんいただくと、今回も「病院外の輸血を実施した」と回答した施設の回答のみを抽出して検討いたしました。年間の病院外で輸血を行った施設の内容としては、関連病院と連携して行ったという施設が多く、特に連携なしという施設が少な目ではありました。

 都道府県別に病院外輸血があると回答した施設の数を見たのですが、秋田県は個人的な情報では、病院外の輸血をしている施設がないと伺ったことがありますが、山形県は合同輸血療法委員会でも盛んに在宅輸血を勧めているので、回答が得られていなかったのかなと思います。山梨等に関してはわかりません。

 病院形態は「診療所」が多くなっておりました。

 6ページですけれども、クロスマッチ試験はどうしているかということですが、これは当然なのでしょうがきちんとやっている施設が多くありました。

 7ページでは、在宅の場合に輸血中の患者さんの観察をやっているかという設問で、回答上は90%の施設で観察しているという回答でした。

 ここに関しては、うわさでは、行って輸血を始めたら後は家族に任せて家族に針を抜いてもらうと伺ったことがありましたので、そのような施設が多いのかと考えておりました。実は先日、福岡の先生とお話ししたところ、福岡の大学病院の先生がお手伝いに行っている病院では、在宅で輸血を実施していて、そこでは輸血を始めて1時間患者さんのところにいて、残りの1時間を24時間の訪問看護ステーションの方にお願いして1時間見ていただいて抜針してもらう方法をとっているということでしたので、このような対応をとられている訪問看護ステーション等もあるのだということがわかりました。

 8ページでは、輸血後の副作用の発症時の対応ということで、今、言ったとおりで実は半数以上の施設で連絡をもらってから適切な処置をとるように決めているということなのですけれども、緊急的な本当に命が落ちてしまうような副作用もあるとは思うのですが、そういう場合にはこれでは間に合わない状況なのかなと感じています。

 9ページでは、今まで「その他」が多過ぎたのですけれども、今回、輸血を実施していないという施設を除去したところ、在宅での輸血を実施した患者さんの理由がこのように出てまいりまして、非常にわかりやすくなったかと思います。

 在宅を行っているためとか、終末期医療のためというところが多くありましたけれども、中には患者さんからの希望というものもありました。

 また、その他の自由記載欄は11施設が記載しておりましたが、患者さんの病気によってとか、在宅の患者さんで血液透析をやっているとかいうことがあったのと、その他の理由で「9.輸血を唯一の治療として生き抜く患者の思いを叶える現状で中断はできない」というなかなか難しいというか厳しい問題があるかと思った次第です。

 以上です。

○半田座長 北澤先生、ありがとうございました。

 小規模施設、院外、外来輸血についての実態調査です。

 委員の皆様は御意見、御質問はいかがでしょうか。

 一つは質問として、こういう実態が明らかになってきた、適正使用の面からも、あとは安全の面からの一部危惧がある。ただし在宅医療を国が推進してきているということで、それとの間の整合性に関しては、例えば学会ではどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○北澤参考人 学会では、今回の名古屋大学の松下教授が担当されている科学的な根拠に基づいたガイドライン作成には間に合わなかったのですけれども、学会として在宅、病院外の輸血、小規模施設での輸血も含めてある程度のガイドラインを示したらいいのではないかということで、委員会活動が始まりまして、それを始めたところです。

 大もとになっているのは、山形県の合同輸血療法委員会で作成して、昨年度の合同委員会の研究事業で行った「在宅輸血のガイドライン素案(手引書)」が出ておりましたので、それをもとに今後は話し合いを進めていきたいと思っております。

 その中の目玉は、訪問看護ステーションとかを使うのではなくて、患者さんの周囲にいる方をきちんと教育する教育の仕方を決めようではないかということなのかなと思っております。

○半田座長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

 それでは、輸血・細胞治療学会から実態調査の御報告をいただきましたが、事務局におかれましては適正使用の推進について、ただいまの御意見等々を参考にしてよろしくお願いしたいと思います。

 それから、来年度も当該調査は継続されると思うのですが、今回の御意見等々を参考にしてより効果的な方策をしていただければと思います。よろしいでしょうか。

 続きまして、議題4「平成27年度血液製剤適正化方策調査研究事業について」です。資料4を事務局から御説明お願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料4「平成27年度血液製剤使用適正化方策調査研究事業に係る企画書募集要領」をごらんください。

 本議題は、ことしは報告事項となります。平成18年より実施している血液製剤使用適正化方策調査研究事業ですけれども、今年度も実施させていただいております。この事業は各都道府県にある合同輸血療法委員会のうち、適正使用に資する研究計画を立てていただいた10個の県を選定いたしまして、調査研究を委託するものでございます。

 昨年度は、体制整備が不十分な地域の事業の採択も促進するという観点から、評価事項の見直しを行いました。本年度も同じくそのように行っておりまして、適正使用推進体制と事業計画が高評価の県や、適正使用推進体制と事業の発展性が高評価の県、それぞれ5県程度を選びまして、両者は重複して選定されないようにいたしました。

 今年度ですけれども、19県から応募があり、評価の結果ですが、最後の12ページに10個の県、青森県、山形県、福島県、茨城県、長野県、新潟県、兵庫県、広島県、福岡県、宮崎県の課題を採択させていただきました。

 来年度も同様の形式で事業を行う予定でございます。公募の日程等の詳細は、ホームページ等で御連絡いたしますので、各地区の皆様方に御連絡の上御応募いただき、適正使用の推進に向けての事業を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 説明は以上になります。

○半田座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御報告に関しまして、御意見あるいは御質問を委員の方、いかがでしょうか。

 それでは、私から一つですけれども、この研究事業に関してはもう5年以上の実績が多分あると思うのですが、この事業の実効性というのですか、検証としてこの事業は何らかの適正使用の推進等々、あるいは合同輸血療法委員会を介したそれぞれの地域の整備に関しては非常に貢献している事業なのかどうかの御評価はされているのでしょうか。

○武井血液対策課長 先生、ありがとうございました。

 今、事業全体を見直す中で、御指摘いただいたことも取り込んで評価をしていこうと考えておりますので、きょうはいろいろ御意見をいただきましたので、実は研究班会議とリンクといいますか協力もございますので、将来の適正評価に向けて次の議題とも関連するのですけれども、将来ガイドラインをどう変えていくのかですとか、今まで行ったアンケート調査も含めて、それにどれくらい実効性があったのかといった点も検討しながら次の作業につなげていきたいと考えております。

○半田座長 ありがとうございました。

 多分、発展性を見込んだ事業を半分はそういう研究課題を選ばれているということなので、かなり伸び代が期待できるということなので、今後それが本当に伸びたかどうかですね。その辺を評価していただけるといいのではないかと私は個人的には考えています。

 よろしいでしょうか。

 それでは、最後になりますが、議題5「『科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン』について」ということで、安村参考人から御報告をお願いいたします。

○安村参考人 ことしの6月1日に輸血・細胞治療学会で出しました「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン」について御説明いたします。

 我が国では、皆さん御存じのとおり、1999年に「血液製剤の使用指針」が策定されまして、輸血管理料制度の創設や輸血部門の努力で国際的にも問題になったアルブミン治療は減少してまいりましたが、厚労省が目指す2018年の国内自給の達成には一層の適正使用が必要と思われます。

 また、近年アルブミン使用に関する研究が多く発表され、さまざまな病態の治療に重要な知見がもたらされております。

 このたび、学会のほうにありますアルブミン製剤の使用指針策定に関するタスクフォースが中心になりましてこのガイドラインを作成いたしました。このガイドラインでは、アルブミン使用の有用性と適用に対する文献を紹介して、その推奨される使用について概説いたしました。

 順にお話ししてまいりますけれども、まず「1.初めに」です。ガイドライン作成の目的でありますけれども、このガイドラインは医療従事者がアルブミン使用において適切な判断を行うための支援を目的としておりまして、アルブミンの適正使用を推進し治療の向上を図るものであります。

 この事業は2012年に厚労科研の「アルブミン製剤の適正使用に関するガイドライン作成のための文献検索事業」として開始されまして、2013年からは学会のガイドライン委員会の分科会であります「アルブミン製剤の使用指針策定に関するタスクフォース」厚労科研の「科学的根拠に基づく輸血ガイドラインの策定等に関する研究」に継続されました。

 5章「アルブミン製剤の適正使用」にある適用疾患と不適切使用、今まで使われてきた指針にある個別の使用項目に対して、17個の病態についてClinical Questionを策定いたしまして、ここに示しますように19722014年におけるアルブミンに関する国内外の論文3,059件より検索し、310件が1次選択されまして、それ以外の重要文献やステートメントに必要な論文はハンドサーチ文献として2次選択に追加いたしまして、それぞれのCQレベルに対するエビデンスレベルと推奨グレードを「Minds診療ガイドラインの作成の手引き2014」に準じて決定いたしました。

 そのステートメントの書き方ですけれども、3ページ目にありますが、推奨の強さは「『1』:強く推奨する」「『2』:弱く推奨する」あと、アウトカムは全体のエビデンスの強さで強いほうからA、B、C、Dとつけてございます。

 次に「2.アルブミン製剤の種類と投与の評価」でございますけれども、アルブミン製剤は等張製剤と高張製剤がございまして「加熱人血漿蛋白」がありますが、こちらは血圧低下等も来すことがあるので、その使用がある程度限定されております。

 治療的な血漿交換療法や人工心肺の使用には原則として使用しないということになっておりますし、使用の速度も決められておりますのでこちらを表記いたしました。

 「3.低アルブミン血症の病態とアルブミン投与の目的」でありますが、急性期にアルブミンの目標値を2.53.0gdLに設定して行われた臨床研究は多いのでありますけれども、その有意性はほとんど示されていないということをまず書かせていただきました。また、各病態でアルブミン投与の目標値を2.02.5gdLにするガイドラインもあるのですけれども、実際のところは科学的にコンセンサスが得られたトリガー値は存在しません。

 したがいまして、アルブミン投与には明確なトリガー値はなく、低アルブミン血症のみではアルブミン製剤の適用とはならないということで、疾患や患者さんの状態を勘案して使用を決定する。全ての血液製剤は同じでありますけれども、アルブミンでもこういう原則であるということであります。

 次は「4.測定法による血清アルブミン値の影響」でありますが、我が国ではBCG法とBCP法がほぼ50%対50%で二分されています。だからどちらの施設がどちらの方法ではかっているかがしっかりわからないといけないということなのです。

 というのは、この2つの方法の測定誤差が約0.3gdLございます。これが非常に重要なポイントでありまして、2000年以降に報告された大きな臨床試験、SAFE studyとかALBIOS studyは実際どういう方法で測定されたのかをもとの論文を読んでも実は書いていないということであります。

 したがいまして、測定別の使用指針の策定はもちろんできませんし、もともと先ほど言いましたようにトリガーレベルが明確でないということですので、それを考慮してアルブミンの必要性を考えていかなければいけないということであります。

 次は「5.病態別のアルブミン使用の有用性と推奨」なのですけれども、全部で17あるのでここは細かく見ていくことはいたしませんが、まず特にアルブミンが臨床の現場で多く使用されると思われる5ページの「マル1出血性ショック」と6ページの「マル2重症敗血症」「マル7重症熱傷」ですが、これらはアルブミンを用いても死亡率を含む有用評価項目をほとんど改善しません。また「マル10脳虚血(頭部外傷)」ですけれども、こちらはアルブミン使用で死亡率が有意に増加するために使用を強く推奨しないという形でステートメントを書かせていただきました。

 ただし、一時的に循環動態の改善とか合併症の減少などの効果を期待する場合の使用は、弱い推奨として認めることといたしました。

 ほかの輸液製剤の代替が困難になった場合です。これは「マル17他の血漿増量剤が適用とならない病態」としてアルブミンの使用を認めております。

 簡単にステートメントだけ申しますと、5ページ目の出血性ショックでは、外傷、手術などによる血管内容量に対して、それを維持または増量する目的で輸液を行う必要があると判断された患者へのアルブミン投与は、晶質液投与と比べた場合、死亡率を改善するという効果はないということです。ただ、合併症の発症を改善できる可能性があるということで、弱い推奨を残しました。

 また、重症敗血症でも、昨年ALBIOS studyという大きなstudyNew England Journal of Medicineに発表されましたけれども、これも敗血性ショックの患者さんへのアルブミン投与は、晶質液と比べて死亡率が全く改善しなかったという結果でありました。でも、循環動態は安定させるということですので、そういう目的で使うなら認めてもいいということになります。

 あとは重症熱傷ですけれども、アルブミンで入院期間や死亡率に対する効果は見られないということなのですが、ほかの文献等も加味しまして、熱傷も18時間以降でアルブミンが2.0以下になった場合は限定的に行ってもいいのではないかというステートメントをつけました。

 あと、頭部外傷ですけれども、先ほど言いましたが、急性蘇生、急性脳梗塞の治療には推奨されないということで、推奨しないということで「1」「A」というエビデンスレベルにいたしました。

14ページ目の他の血漿増量剤が適用にならない病態でありますが、アルブミン以外にHESとかデキストラン製剤がvolume expanderとして使われますけれども、大量投与が必要になりますと、鬱血性心不全とか腎障害とかアナフィラキシー等が問題になってまいりますので、そういう状況ではアルブミンの使用はしてもいいのではないか。ただ、アルブミンと比較してこういう製剤の有害性もいろいろ挙げられておりますが、第3世代のHES1300.41製剤は結構すぐれているということで、今後の検討が待たれるというステートメントも入れさせていただきました。

 一方、有用性がかなり認められているものといたしまして「マル3肝硬変に伴う腹水」「マル6凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法」がございます。

 例えば6ページ目の肝硬変に伴う腹水ですけれども、大量の腹水排液におきまして、循環不全が起きるので5リットル以上の大量排液では1リットル当たり8~10グラムの高張アルブミンの投与が有効である。ですから、普通投与するよりもはるかに多い40グラムとか50グラムの量の使用が推奨されておりますし、肝硬変の末期に見られる特発性細菌性腹膜炎には6時間以内に高張アルブミンを体重1キロ当たり1.5グラム、3日目に1キロ当たり1グラムの投与が有効であるということも認められておりますし、あとは肝硬変の末期の副作用の一つであります1型の肝腎症候群の改善には高張アルブミンと血管収縮で行う投与が有効であります。

 この使用も1日目は体重1キロ当たり1グラム。それ以降も2040グラムという非常に多くの量の使用が推奨されている。現状での日本の保険診療では認められないようなアルブミンの大量投与が有効であることが海外の文献で示されております。

 あとは凝固因子の補充を必要としない血漿交換療法ですけれども、慢性炎症性脱髄性多発神経炎とか、ギラン・バレーのようなものにはPEが非常に有用であるということでありますので、そちらも述べさせていただきました。

 それ以外の病態ですけれども、実際のところエビデンスレベルの高い報告は少なくて、アルブミンは限定的に使用するもしくは推奨しないといたしました。具体的には「マル4難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群」「マル5循環動態が不安定な体外循環」「マル8低蛋白血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫」「マル9循環血漿量の著明な減少」「マル11人工心肺を使用する心臓手術」「マル12周術期の循環動態の安定した低アルブミン血症」や「マル13妊娠高血圧症候群」「マル14炎症性腸疾患」がそれに入ります。

 また、これまで不適切な使用とされておりました「マル15蛋白質源としての影響補給」と「マル16末期患者」についての投与ですけれどもこちらも栄養補給の意味が少なくてほかの栄養療法が重要であるということとか、ほかの合併症の頻度や入院期間、予後に影響を与えないというエビデンスもありましたので、強い推奨にはならないのですが、使用しないことについての弱い推奨という形で記載いたしました。

 また、末期患者ですけれども、これもアルブミン投与は予後に当然改善いたしませんし、かえって感染症の頻度が増加するという報告がございますので、これも使用しないことについての弱い推奨といたしました。

 以上をまとめますと、近年のアルブミン治療の臨床研究はアルブミンの適正使用について重要な情報をもたらしております。今の血液製剤の使用指針にあります使用の目安で、急性期3.0グラム、慢性期2.5グラムというトリガー値には科学的根拠はありません。

 また、病態別の推奨度のまとめですけれども、これは巻末の表をごらんいただきたいのですが、高張アルブミン製剤で本当に強く推奨されるものは肝硬変と治療的な血漿交換療法。等張のアルブミン製剤では、治療的な血漿交換療法と他の血漿増量剤が適用とならない病態が推奨になります。

 ほかの病態については、通常は使用しないのですけれども、病態に限って限定的な使用をしてもいいものも大半でございますし、不適切な使用としては今まで挙げられたものも挙がります。特に頭部外傷につきましては、投与すると明らかに予後が悪くなるというデータがありますので、一応禁忌というところに入れさせていただいております。

 このように重症の患者さんにアルブミン投与による予後の改善の報告は少なくて、特に外傷性の脳損傷を持つ患者さんでは回避されるべきでありますし、肝硬変の使用のようにアルブミン大量投与の効果が示されておりまして、日本でもこのような使用は本来認められるべきだと思っております。

 ただ、このガイドラインのリミテーションといたしましては、このガイドラインは学会員で作成されたものでありまして、今後は関連学会とのコンセンサスもとっていく必要がございますし、実臨床におきましては、アルブミンの使用は医療従事者の総合的な判断のもとに行われる使用がございますので、その使用を拘束するものではありません。

 ですから、皆様にアルブミン使用の適用となる病態を理解していただいて、現場での適正使用の推進に役立てていただきたいところであります。

 ですが、この使用がある程度各病院で進みますと、アルブミン使用のさらなる減少が期待されるのではないかと思っております。

 以上です。

○半田座長 安村先生、詳細かつわかりやすい御報告をありがとうございました。

 それでは、委員の先生方、御質問あるいは御意見はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○薄井委員 先生が最後におっしゃったように、関連学会とのコンセンサスを得ると伺ったのでそれでいいと思うのですけれども、全く先生の出されたとおりだと思うのですが、実際に外科の先生方とかあるいは消化器内科の先生方、さまざまな先生方が本当にこれを周知するということをしていただかない限り、実際にアルブミンの使用量は減らないと思うのです。

○安村参考人 先生、どうもありがとうございます。そのとおりだと思います。

 基本的に輸血管理部門は適正使用を推進することが求められているのですが、実際にどれくらいのエビデンスがその使用にあるのかは、ほとんどみんな御存じないのではないかということで、こういうものを調べてみようということを始めました。

 見てみますと、ごらんのとおりほとんど強い推奨度を持って使えるものは少なくて、今まで皆さんが恐らく大量にこういう病態に使っていたというものについては有用性がほとんど認められていないということですので、その病態に絶対使うなとは言いませんけれども、最初からその製剤を投与するとかそういうことは控えていただきたいと思いますし、そういうことが進めばアルブミンの使用が病院だけではなく国全体でも減らせるのではないかと思っています。

○半田座長 ほかにいかがでしょうか。

 稲田先生。

○稲田委員 先ほど牧野参考人が、輸血管理料のところでこういった血漿交換療法に使うアルブミンについて少し考慮すべきだというお話があったと思うのですが、こういった安村参考人のガイドラインを拝見しても、凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法は推奨するとなっていますので、そういったところを含めて保険償還、輸血管理料のところも考えるべきだろうと感じました。

 以上です。

○半田座長 どうぞ。

○稲波委員 薄井委員がおっしゃったように、これを広く周知する一つの手段としてMindsではガイドラインを公開しています。そこにぜひ応募していただければと思っています。

○安村参考人 ありがとうございます。

○半田座長 いかがでしょうか。

 周知ということがこれからは問題であるという御指摘だったと思いますが、よろしいでしょうか。

 私から一点ですけれども、先ほども言及されたように、今、厚生労働省が主体になった使用指針の中にアルブミンの項目が入って、それが一つのバイブルになっている。ただこれは通知として成立したものであって、2005年に作成されてもう10年たっているわけです。

 このガイドラインと今回のエビデンスに基づいたガイドラインをどのようにこれから扱っていけばいいのかをもしあれでしたら、御意見があればお願いします。

○安村参考人 これは学会としてではなくて私見でありますが、やはり10年たっていますしエビデンスもかなり変わっていますし、皆さん保険診療の委員の方が見ながら保険の査定とかをしていらっしゃるのに2.5とか3.0という数字が書いてあって、それに対するエクスキューズが患者さんのアルブミン値はこれだけでしたというものがつけて出されているという国内の状況があると思います。

 先ほど言いましたけれども、測定法でその数字が0.3ぐらい変わりますし、その数字自体に余り意味がないことなので、それを使っていろいろ国の施策をやっていくということは問題があると思う。

 もちろんこのとおりにやればとかこれが法律のようになっては当然いけないと思っているのですが、私といたしましては厚労省の指針を書きかえていただきたい。こういうものも参考にしていただいて新しく全面的に書きかえていただくのが一番よろしいのではないかと思っております。

○半田座長 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。よろしいですか。

 どうぞ。

○薄井委員 もちろん行政のほうで指針として出していただくのはいいことなのですが、実際に使うのは医療者ですから、学会が主体となってガイドラインを策定するということでないと、実際の医療現場では使いにくい指針になってしまうと懸念されます。ぜひ先生がつくられたガイドラインをうまく周知させて頂き、先ほど先生がおっしゃったようにここの内容を公開をして、十分にディスカッションして、医療者主導で良いガイドラインを作成し、行政サイドに投げかけるという方向性を取るほうが良いのではないかと思います。

○安村参考人 ありがとうございます。

○半田座長 ありがとうございました。

 もう時間もちょうどなのですけれども、最後にですが、今回のアルブミンガイドラインも含めた全体のガイドライン作成につきまして、今後の進め方ということで事務局から御説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 ありがとうございます。

 きょう、御討議いただいたことを踏まえまして、ガイドラインと現行の指針の相違点について引き続き研究班とこの調査会において御議論いただき、今後は指針の大幅な改訂も含めた方向に検討していこうと考えております。

 今回はアルブミンだけでしたけれども、今後は厚生労働科学研究費の松下班でアルブミン以外の血液製剤に関してもガイドラインの作成をお願いしておりまして、それが今年度中に出てきますので、それも含めた改訂作業を行ってまいります。

 本調査会においても、改訂作業が円滑に進むよう皆様の御協力をお願いしたいと思っております。

 以上です。

○半田座長 ありがとうございました。

 特によろしいでしょうか。議題6「その他」となっていますけれども、事務局は何かほかにございますか。

○近藤血液対策課課長補佐 特にございません。

○半田座長 それでは、今回の調査会をこれでおしまいにしたいと思いますが、次回以降の予定に関しては、また事務局から調整していただいてよろしくお願いいたします。

 本日は皆様ありがとうございました。


(了)

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