ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会)> 第42回社会保障審議会児童部会議事録(2016年3月16日)




2016年3月16日 第42回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成28年3月16日(水)15時00分~17時00分


○場所

厚生労働省省議室


○出席者

委員

大日向部会長      松原部会長代理      大塚委員      小國委員
奥山委員         権丈委員          新保委員       林委員
松田委員         宮島委員          矢藤委員

事務局

吉本大臣官房審議官    横幕総務課長         野村少子化総合対策室長
大隈家庭福祉課長      岡本家庭養護推進官    楠目保育課企画官 
一瀬母子保健課長  

○議題

(1)「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」報告及び児童福祉法等の改正について
(2)児童扶養手当法の一部を改正する法律案について(報告)
(3)子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について(報告)
(4)その他

○配布資料

資料1-1  「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」報告(平成28年3月10日)
資料1-2 社会的養護専門委員会(平成27年12月14日)における審議状況
資料1-3 児童虐待防止対策の検討に関する経緯
資料1-4 児童福祉法等の改正について
資料1-5 すべての子どもの安心と実現の希望プロジェクト(平成27年12月21日)概要
資料1-6 すべての子どもの安心と実現の希望プロジェクト(平成27年12月21日)本文
資料2 児童扶養手当法の一部を改正する法律案概要
資料3 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案概要
資料4-1 教育・保育施設等における重大事故の再発防止に関する研究会最終とりまとめ(平成27年12月21日)概要
資料4-2 教育・保育施設等における重大事故の再発防止に関する研究会最終とりまとめ(平成27年12月21日)本文
資料4-3 1人でも乳幼児を保育する事業を行う場合の届出に関するリーフレット
資料4-4  遊びのプログラム等に関する専門委員会「こどもの城が開発した遊びのプログラム等の実践状況調査」結果
資料4-5 地域子ども・子育て支援事業の実施状況
参考資料1 一億総活躍社会関係資料
参考資料2 平成27年度補正予算の概要(雇用均等・児童家庭局)
参考資料3 平成28年度予算案の概要(雇用均等・児童家庭局)

○議事

 

○大日向部会長
  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第42回社会保障審議会児童部会を開催いたします。
  委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりくださいましてありがとうございます。
  開議に先立ちまして、前回の児童部会以降、事務局に異動がありましたので、新しく着任された方々の御紹介をお願いいたします。また、委員の出欠状況につきましても御報告をお願いいたします。


○横幕総務課長
10月に総務課長に参りました横幕と申します。よろしくお願いします。
  それでは、まず、前回の児童部会以降、事務局に異動がございましたので紹介をさせていただきます。
  大臣官房審議官の吉本でございます。

○吉本大臣官房審議官
  吉本でございます。よろしくお願いいたします。


○横幕総務課長 
  少子化総合対策室長の野村です。


○野村少子化総合対策室長 
  野村でございます。よろしくお願いいたします。


○横幕総務課長 
  今、おりませんけれども、雇用均等・児童家庭局長に香取、官房審議官に濱谷が同じく10月以降着任しております。本日は国会で審議がございまして、欠席をさせていただきます。
  委員の出欠状況でありますけれども、秋田委員、矢藤委員、山縣委員、お三方は所用により御欠席、それから、大塚委員はしばらく遅れて来られると伺っています。以上でございます。


○大日向部会長
  ありがとうございました。それでは、ここから議事に入りますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。


(報道関係者退室)


○大日向部会長
  それでは、最初の議題1でございます。「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」報告及び児童福祉法等の改正でございます。
  この専門委員会は、新たな子ども家庭福祉のあり方について包括的に検討するとともに、児童虐待の発生予防から自立支援までの一連の対策のさらなる強化について検討を行うため、昨年9月に本部会の下に設置されました。それ以降、議論を重ね、去る3月10日に報告書が取りまとめられました。厚生労働省では、この内容を踏まえて今通常国会に児童福祉法等の一部を改正する法律案を提出する予定と聞いております。本日は、専門委員会で委員長をお務めくださいました松原部会長代理から報告書の内容について御説明をいただきまして、続いて改正法案の考え方等につきまして事務局から御説明をいただきます。
  それでは、松原部会長代理、お願いいたします。

○松原部会長代理 
  松原でございます。それでは、報告書の内容についての御報告をさせていただきます。
  資料1-1に沿って御報告しますが、時間も限られておりますので、少し要約しながらお話をしたいと思います。
  1ページですが、「はじめに」のところを見ていただきますと、昨年の9月7日に第1回を開きまして、計13回にわたってこの議論をしてまいりました。一番後ろに専門委員会の委員メンバーが出ておりますが、31人という大きな委員会の中で非常に多岐にわたる専門分野をお持ちの方、児童相談所等を初めとして児童養護施設、乳児院、里親、グループホームなど現場の方々にも多く参加をしていただいて、幅広い議論ができたというふうに考えております。幾つか特徴があるのですけれども、制度的な改正だけではなくて少し理念のところをきちんと議論しようということで議論を進めたことも特徴の一つだと思います。その結果、1ページのところに「基本的な考え方」ということで(1)から3ページの(9)のところまで全般的な基本的な考え方をお示ししてあります。
  その後の4ページから「理念」というところが始まるのですけれども、子どもの権利保障を基礎としたい、そして、何よりも児童虐待予防という観点からも子ども家庭の支援が必要であるということを明確化しました。あわせて、しつけを理由として必要な範囲を超えて子どもを懲戒してはならないことを明確にすることも提案をしております。それから、こういった子どもの主体的な権利保障ということを認めつつ、もう一方では子どもは成長発達過程にございますから、子どもの権利養護ということも非常に大切だというふうに委員会では考えました。第三者性を有する機関の設置が求められる、そういう認識にはなりましたけれども、なかなかこれを一朝一夕には実現することができないということで、当面、現存する都道府県の児童福祉審議会を活用して子供の権利擁護に努めていただきたいという内容になっております。
  それから、報告書5ページになりますけれども、「国・都道府県・市区町村の責任と役割」。今までは国と地方自治体という形で児童福祉法の中では規定をされておりましたけれども、国と都道府県と市区町村というふうに少し区分けをしまして、それぞれの責任と役割を児童福祉法の中で明確に規定をしていただきたい、そういう報告書の内容といたしました。
  それから、これは大きな議論にもなり、社会的な関心も集めたところですけれども、支援の対象年齢ということです。6ページからその内容が始まっております。全般的な年齢を一律に上げるかということもありましたけれども、現実的になかなかそういかないだろうということで、里親委託等の措置を受けていた者について、18歳到達後も、少なくとも22歳、措置の延長は20歳ということですけれども、これを22歳に達した日の属する年度末まで、つまり、例えばその年度で5月、6月に当該の年齢になっても、その年度末、翌年3月31日までは支援が継続できるような、そういった仕組みを整備していただきたいということを中身に盛り込んでおります。
  それから、実際的な支援をどういう形で提供していくかということが7ページのところから「新たな子ども家庭福祉体制の整備」ということで幾つか書かせていただいております。1つは、市区町村における地域子ども家庭支援拠点の整備。身近なところで支援というのは提供されるべきです。車で何時間もかけて行く、あるいは来ていただくということは日々の支援ということにはつながりませんから、実際にその方が生活をしていらっしゃるということで、市区町村にこの支援の拠点整備をして日々の支援の厚みを増していただきたい、これが1つの中身になっております。これを基盤にしまして、通所・在宅支援の積極的な実施ということも提案しております。実際に虐待等の対応ということを見てみましても、親子分離になるケースというのは相対的には低い割合になっておりますから、この通所・在宅支援は非常に重要だというふうに考えました。同時に、3番目に母子保健における虐待予防の法的な裏づけということも必要だろうという結論になりまして、特定妊婦の発見と支援、育児支援、子ども虐待の予防や早期発見に関して母子保健が果たしている役割の大きさを認知し、母子保健法の中でこれを位置づけていただきたいという報告書になっております。その上で特定妊婦等への支援もしていただくということになります。
  それから、少しページを進んでいただきますが、11ページになります。「児童相談所を設置する自治体の拡大」ということで、現在、中核市で設置できる規定になっておりますが、特別区でも児童相談所を設置できる、そういう規定をすることが必要であろうという結論に至っております。また、5年を目途にして中核市や特別区が児童相談所を設置することができるように、国として専門職の育成等の必要な支援を実施してほしいということも記載をさせていただいております。児童相談所を強化していくという観点から、機能分化ということも提案をさせていただいております。緊急対応の必要性を判断できる虐待通告相談窓口の設置、受理した事例の調査、評価、措置を行う機能と支援をマネジメントする機能を別の機関で行うことを提案しております。当面、児童相談所と市区町村の間で共通のアセスメント基準を作成するとともに、児童相談所から市区町村へ措置する仕組みを創設したらいかがかということを書かせていただいております。それから、子どもを守るということでは、必要な情報を入手できるようにすることが大切だというふうに考えました。児童相談所長は、地方公共団体に加えて、医療機関、学校等に照会をして必要な報告を聴取することができるよう、そういう仕組みづくりということも提案しております。児童相談所は一時保護ということも行っております。一時保護については、子どもの心身への安全の確保、子どもや家庭への支援計画を導くためのアセスメントの的確な実施という2つの大きな目的があることを法律に明記していただきたいというふうに書いております。
  それから、「子ども家庭福祉への司法関与の整備」ということで、これは報告書で言いますと少し先に進むことになりますが、16ページになります。ここで臨検捜索についてその要件となっている再出頭要求を削除したらいかがかという提案をしておりますし、要保護児童の保護措置等の手続における裁判所の関与のあり方について、関与を一層強化する制度の導入に向けて関係者と協議を行った上、早期に所要の措置を実施してほしい旨を書かせていただいております。こういった制度を動かしていくためには職員の専門性の向上が必要だというふうに考えました。このことを報告書20ページから記載させていただいております。子ども家庭福祉を担う職員の配置基準、任用要件について、実際に法律上に位置づけてほしいということ、そして、児童福祉司については一定の基準に適合する研修の受講を義務づけるとともに、児童福祉司の配置基準について、児童虐待相談対応件数を考慮したものに見直したらどうかという提言もさせていただいております。子ども家庭福祉を担う指導的職員の資格のあり方についても検討をしてほしいことを書かせていただいて、これについては公的な資格を創設することも提言させていただいております。それから、里親の充実強化をする。就学前の子供の代替的養育を家庭的な養育というふうにする。特別養子縁組制度の利用促進のために必要な措置をとる。社会的養護の対象となった子どもたちに自立支援のあり方をきちんと位置づけて機能を向上してほしいというようなことを書きました。最後に統計データベース等の整備をして、こういったデータの蓄積を通じて子どもたちの虐待への予防、対応ということについてきちんと研究でもその分野を充実していってほしいということを提言させていただいております。
28ページのところに制度・法改正の時期について、「直ちに実施すべき事項」と「一定期間内で実施に移すべき事項」と「速やかに関係省庁・機関等と協議を開始し、一定期間内に結論を得るよう努めるべき事項」とを区分させていただきました。
  30ページのところ、最後の3行だけ読ませていただいて、報告を終えたいと思います。
  新しい制度を構築するには多くの努力が必要であり、その実現に当たっては当事者参加の観点も踏まえつつ、未来を創造する子どもの福祉の向上に向けて、今こそ全ての関係者が力を合わせて推し進めていく時である。
  報告書の内容がこれから実現に向けていくよう、委員長として願っております。以上でございます。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。
  それでは、事務局から御説明をお願いいたします。


○横幕総務課長
  今、松原部会長代理から御報告をいただいた専門委員会の報告に基づきまして、今、私どもが検討している状況について御報告をしたいと思います。
  まず、経緯ですが、資料1-3を御覧いただきますと、一昨年の夏以降の動きを簡単に整理してございます。一方で官邸を中心として政府全体としての検討の動き、他方でそれと並行して、より具体的に検討するための厚生労働省における委員会等での動きというのがございます。下半分、昨年の9月以降、新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会というところが、今、松原先生から御紹介をいただいたところです。
  先週、取りまとめていただく過程の中で、資料の1-2につけておりますけれども、この児童部会の下にございます社会的養護専門委員会でも御議論をいただきました。1214日に開催されておりますけれども、その時点までの家庭福祉のほうの専門委員会での議論の状況に対して、社会的養護専門委員会で議論いただいた状況が資料1-2として添付しております。
  それから、資料1-5として、「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」とございますが、これは去年の予算編成のタイミングで政府全体として取りまとめたものです。「子どもの貧困対策会議」は総理を議長とする会議で、関係省庁が集まっておりますけれども、この時点で関係省庁間で整理がつくものを取りまとめております。
  1ページを御覧いただくと、真ん中辺、左右に2つの箱がございますが、このうち右に「児童虐待防止対策強化プロジェクト」というところがございます。その中身は、後ろのほう、3ページ、14ページ以降についておりますけれども、予算編成の時点でここまで来ておりました。さらに、今、御紹介いただいた専門委員会で突っ込んだ議論をいただきまして、これらを踏まえまして私どもで法案として出すべく、今、準備中のところの、いわば考え方といいますか、骨格を資料1-4にまとめておりますので、この1-4に沿って御紹介をさせていただきたいと思います。
  ここに書いてございますものは、主な法律事項ということになります。今、松原先生から御紹介いただいた報告書は非常に多岐に渡ることが中身として含まれておりまして、法律だけではなくていろいろな制度の運用面でありますとか、予算面でありますとか、その他ソフト的な取り組みを含めて進めていくべきことが多く含まれておりますし、それから、時系列で考えても、最後に御紹介がありましたとおり、直ちに手をつけるべきことと、さらに検討を進めていくべきことがかなり多く含まれておりますけれども、これから御紹介します資料1-4は、そのうち今回の改正法案に盛り込む、その中でもまた主な事項というものを整理してございますので、個々具体的に見ていきますと、提言の中に盛り込まれている事項で、かつ、私どもとしても今回の法案の中に盛り込んでいこうと思っているもので、資料1-4の中にはまだ入っていないものも幾つかあるということをあらかじめ申し上げた上で中身を御紹介したいと思います。
  1ページ、「児童福祉法等の理念の見直し」でございます。松原先生から御紹介がありましたとおり、児童福祉法は非常に古い法律でありますけれども、今日的な状況に照らして今後進むべき考え方、理念を改めて明確化すべきという議論が強くございました。
  (1)ですが、子どもを中心にして適切に養育を受け、健やかに成長・発達していく、こういったことを権利として明らかにして、子どもの最善の利益を目指していくということを明確化したいと考えています。その上で、国民、保護者、国、地方公共団体らがそれぞれの立場で子どもの成長を支えていく、こういった仕組みを明らかにしたいというふうに考えています。
  (2)ですが、大前提として子どもは家庭において養育される。そのために保護者を支援するということをした上で、家庭での養育が適当でない場合には、家庭と同様の養育環境において継続的に養育されるという考え方を原理として明らかにするというものです。
  (3)国・地方公共団体の役割です。現行法では平成16年の改正に基づきまして、県、市町村の役割分担の基本的なところが規定されておりますけれども、必ずしも十分ではないのではないか、あるいは、わかりにくいところもあるのではないかといった御意見がございました。改めまして明確化をするということで、1、市町村は、基礎的な地方公共団体として、身近な場所で支援業務を行う。2、都道府県は、市町村に対する助言や援助、専門的な、あるいは広域的な対応が業務。国は、これらが適正、円滑に行われるよう体制の確保、助言、情報提供等の措置を講じると整理をしてございます。
  (4)ですが、これも委員会の報告にございました体罰の禁止というところが一つの論点としてございました。民法との関係がございますので、今回は虐待防止法の中で、しつけを名目として必要な範囲を超えて懲戒してはならないということを明らかにするという規定を盛り込んではどうかと考えています。
  2ページ、「児童虐待の発生予防」です。
  (1)妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を提供する子育て世代包括支援センター、現在、事業で行っておりますけれども、これを法律に定めて全国展開を目指すというものです。
  (2)支援を要する妊婦等とございますが、リスクの高い妊婦さん、妊娠の届出が出ない、健診に来ない等、リスクが高いと思われる妊婦さんについては市町村での把握が非常に難しいという状況がございますので、そこをある程度把握しやすいと考えられる医療機関、学校等から市町村に情報提供するという規定を設けるというものです。
  (3)今御紹介したところと重なりますけれども、母子保健施策は虐待防止に資するものであるということを母子保健法上明らかにする。こうすることによりまして、市町村での縦割りの弊害をなくしていくというものでございます。
  3ページ、「児童虐待発生時の迅速・的確な対応」です。(1)、(2)が市町村に係るところでございます。
  (1)、これも委員会の提言にございましたけれども、支援拠点です。法律上、市町村はさまざまな業務、支援を行うという旨が規定されておりますけれども、これらをできる限り一体として届けられることができるようにするという意味で拠点の整備に努めるというものです。
  (2)市町村における要保護児童対策地域協議会でありますけれども、これは関係機関がネットワークを形成するものですが、その中で1つ調整機関を選ぶということとされています。この調整機関が協議会のいわば統括をしていく、コーディネートをしていく、こういった機能を担う旨が現行法上規定をされておりますけれども、ここに専門職を配置するものとする。それから、その専門職は研修を受けることとする、こういった規定です。
  (3)児童相談所設置自治体の拡大。これは、先ほど委員長から御紹介がありましたとおり、結構な御意見がございました。虐待の相談件数が増えていく中で、なるべく児童相談所を厚く配置していくべきではないかという考え方がございました。ここでは2つです。
  1つ目のポツは、東京都の特別区でありますけれども、現行法上は、市は手を挙げれば児童相談所を設置することができるという仕組みになっていますけれども、特別区はそれができないという構成になっておりますので、これを改めまして、特別区の中で手を挙げるところは児童相談所を設置することができるようにするというものです。
  2つ目のポツ、とりわけ中核市について、あまねく児童相談所を設置すべきではないかという考え方もございましたけれども、議論を踏まえまして施行後5年を目途として中核市、特別区が児童相談所を設置できるように政府が支援等の必要な措置を講ずる、こういう規定を盛り込んではどうかというものです。
  4ページ、(4)児童相談所の体制強化です。
  1つ目、私ども、総務省さんと連携協力をしまして、地方交付税を手厚くしていくという方向で相談中でありますけれども、それとセットで法律上、心理司、医師又は保健師、スーパーバイザーの配置を規定していきたいというものです。あわせまして、※でございますけれども、現行、児童福祉司、直接的な支援を担当する職員でありますけれども、配置標準は人口4万人から7万人ごとに置くというのが標準となっておりますけれども、これに実績見合いということで相談対応件数を考慮しつつ、配置標準そのものも厚くしていくということを考えたいと思います。これらを計画的に進めるため、厚生労働省において体制強化プランというものを策定したいと考えています。
  2つ目、児童福祉司について研修の受講を義務付けるものです。
  3つ目、現在、児童相談所におきましては法律に関する業務が保護者との関係でかなり多い、あるいは難しいという御意見があります。保護者の同意が得られない場合に、措置しようとする場合の28条措置あるいは親権の喪失・停止などをめぐる議論でありますけれども、こういった業務を適切かつ円滑に行うため弁護士を配置してはどうかというものです。他方で、それぞれの児童相談所におきましては、こういった業務を本当に担っていただく弁護士さんをどういうふうに確保していったらいいだろうかという御意見もありまして、弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うという旨を規定したいというものです。
  (5)児童相談所の権限強化です。
  1つ目ですが、現行制度では、市町村から児童相談所に対しまして措置などの行政処分を必要とするような難しいケースを送致するという規定が法律上設けられておりますけれども、逆方向の規定がございませんので、今回、児童相談所から市町村に送致するという規定を盛り込んではどうかというものです。2つ目の※にございますが、あわせまして児童相談所と市町村の間で漏れが生じないようにするために、共通の尺度、基準を私どものほうで作成いたしまして、これに基づいてあらかじめ児童相談所と市町村の間で役割分担を定めておく、こういったことを念頭に置いています。
  2つ目は臨検・捜索。これは平成19年の改正で設けられた仕組みですが、保護者の同意がなくても強制的に家に入って子供の安全を確認、確保できるようにする仕組みでありますけれども、現行の手続がやや厳し過ぎるのではないかという御指摘がありました。今回、立入調査を経て、その後、再出頭要求という規定がありますが、これを経なくても裁判所の許可を得て臨検・捜索を実施できるようにするというものです。
  3つ目、児童相談所や市町村がいろいろな関係者に調査、資料の提供を求める場合に個人情報保護を懸念して協力を得られない場合があるという御意見がありました。これを乗り越えるために医療機関、学校等から資料を提供できる旨を規定するというものです。
  4つ目、これも委員長の御紹介にありましたが、裁判所、司法の関与をより強化すべきではないかという議論がかなりございました。これについては、政府内での調整、関係者との調整がさらに必要でありますので、施行後速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということにしたいと考えております。
 (6)は、これも委員会の議論の中でさまざまな御意見があったところです。児童相談所の業務のあり方、機能を分化していくというところです。
  それから、要保護児童の通告のあり方、これは虐待に関する連絡とか通告の窓口を一元化してはどうかというものです。
  それから、児童福祉に関する業務に従事する者の資質の向上を図るための方策。委員会の中では専門資格をつくってはどうかという御議論もありました。これらについてもまださまざまな御意見がありますので、施行後2年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとするというものです。
  最後、5ページ、「被虐待児童への自立支援」です。
 (1)親子関係の再構築。一旦は親子の分離によって子どもの安全確保を優先したとしても、やはり親子関係の再構築をまずは第一の選択肢とすることを念頭に置いて関係機関の連携等を規定するというものです。
  (2)も委員会でございました、保護者による適切な養育を確保しがたい場合には、なるべく里親等、あるいは養子縁組で養育を進めていこうという考え方に立ちまして、里親支援を包括的な形で児童相談所の業務として位置付ける、あるいは養子縁組についても必要な支援、あるいは養子縁組里親に関して法定化するというものです。
  そこの部分の4つ目のところですが、特別養子縁組の利用促進、これも委員会の報告の中では多くの御意見がありました。特別養子縁組制度につきましては、例えば現行6歳までしか認められないとか、原則、実親の同意が要るなど、そういったところを利用促進という観点からどう考えたらいいかということであります。これらは民法で規定される仕組みでございますので、施行後速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうにしてはどうかというものでございます。
  最後、18歳以上の方への支援。これも年齢をめぐって多くの議論があったところですけれども、児童福祉法の児童全体として、現在18歳になっているところを引き上げるということにつきましては、さすがにそれは各方面への影響も大きく、また、成年年齢の引き下げが議論されている中でどうかということで、社会的養護の観点から支援を必要とする方に18歳を超えても必要に応じて支援を提供する仕組みをつくっていこうという考え方です。
  1つ目のポツのところ、現行、18歳に達する時点で入所等の措置の対象になっている方については継続するという仕組みがございますが、似たような部分で継続できないようなところが結構ございます。一時保護中に18歳になった方、あるいは、家庭裁判所での審判中に18歳になった方、あるいは、延長されていたけれども19歳で終わった場合に、さらに延長することができない等々、そういったところがございますので、基本的に必要ある方について、18歳に達した時点で支援を受けている方について20歳まで延長できるようにするというのが1つ目のポツです。
  2つ目、現在、自立援助ホームという仕組みがございます。これは措置ではなくて契約でありますけれども、住居を確保しつつ就業、就学等に向けての相談支援などを受けられるという仕組みですが、現行20歳までということになっていますので、これを就学中の方について22歳の年度末まで拡大しようというものであります。
  以上、御紹介したような中身を主たる柱といたしまして、先ほど松原部会長代理から御紹介いただいた報告を最大限実現していきたいという方向で、現在、私ども法律案の提出に向けて準備を進めているところでございます。御意見をどうかよろしくお願いしたいと思います。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。
  それでは、ただいま御説明いただきました内容について、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
  どうぞ、小國委員。


○小國委員
  とてもすばらしいプロジェクトで、これが推進されるといいなという思いでおります。
  その中で、しつけというところが非常に難しいかと思いますが、つまり、どこまでの範囲かという、それが先生から提示いただきました統計データというのがとても大切になってくるのではないかと思います。多分、児童相談所に全てのデータが集まるかもしれないのですが、そのデータを処理と言ったらいいのでしょうか、どういうふうなところがしつけで、どういうところがそれ以上になってしまうのかというような客観的なことを分析するという機関は、恐らく専門家の大学でありましたり、教授、先生方であったりというところではないかと思われるのですが、個人情報の保護などがあってかなり難しいのではないかと思います。それはとても急務で必要なことではないかと思うのですが、そのあたりはプロジェクトとしてデータの収集を速やかに、大学との協働のような形で研究を進めていくようなことが可能なのでしょうかというところが質問でございます。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。これは、松原先生からお願いいたします。


○松原部会長代理 
  貴重な御指摘ありがとうございます。専門委員会の中では、むしろチャイルドデスレビューの話を中核にして議論をしておりましたので、たしかそういった体罰というところまで議論が及んでいなかったと思いますので、今後こういうデータ等を、もちろん現場と研究者と国が協力をしながら収集して分析していくことになると思いますので、今、御指摘をいただいた観点というのは、私も大切だなというふうに考えております。


○大日向部会長 
  よろしゅうございますか。他にいかがでしょうか。最初に宮島先生、どうぞ。


○宮島委員 
  何点かあるのですけれども、2回に分けて、最初に総論的なことでお聞きしたいと思います。
  この専門委員会の議論は、ずっと関心を持って見てまいりました。速やかに配付資料がネットに載りますので、すぐ見て、また審議録が出ますとそれを細かく見ておりました。本当に白熱した議論で、途中までまとまるのかということを心配するほどでしたけれども、先週、最後のまとめがアップされたのを見て、すばらしいなと、本当に期待と、これをぜひ実現して、まずは立法化してほしいという思いを強く持っております。また、御説明を受けて、本当に何とか実現してほしい。法律だけではなくて、予算面でも、さまざまな運用面でも改善していきたいと力強いお言葉をいただいたなというふうに感じております。その上で最初の質問としては、理念のところで1つ質問をさせていただきたいと思います。
  ぜひともここも見直す必要があるというふうに思っておりますが、同時に児童福祉法の70年近い歴史ですばらしいなと思っているところがありまして、そのところがどうなるのかという関心を持っています。ですから、ここは質問というより要望という形になるかもしれませんが、先ほど課長の説明の中で権利というお言葉を使われていらしたし、報告書の中でも権利と最善の利益ということをぜひ盛り込んでほしいということがありましたので、法律改正の資料には権利という言葉が見当たらないように思ったのですけれども、ぜひとも子どもの権利という言葉を取り込んでいただきたいという要望が1点です。
  もう一つの要望は、児童福祉法の最初の1条、2条、3条児童福祉の権利には「権利」という言葉はないのですけれども、非常に包括的なことが書いてあって、今、法律化したらこれは成立しないだろうなと。第1条と第2条の内容を日本における全ての法令でちゃんと踏まえて対応してくださいと、福祉の個別法で日本全体の法律を規定するような内容は盛り込めないだろうなと。では、これはどうなるのかということですけれども、やはりこのためには、日本が締結して批准して締約国になっている児童の権利に関する条約をもっと日本で大事にして広めていく必要があるのではないかと考えます。恐らく次の国連への報告も準備中だと思いますけれども、それをぜひとも速やかに実施していただきたいということが1つ。
  あと、実践者とか自治体とか福祉関係者に広く周知するための取り組みをぜひともしてほしい。研修で自治体職員の保育士さんの研修なんかも引き受けることがあるのですけれども、50人ぐらいいて、全文を読んだことがありますかというふうに聞きますと、3人ぐらいしかいなかったりするのです。やはり子供の権利に関する条約を浸透させる取り組みとセットで行わないと、今ある包括性が失われるのではないかというふうに思いますので、ぜひともそのあたりの取り組みをお願いしたい、長くなりましたけれども、そのように考えます。よろしくお願いいたします。


○大日向部会長 
  まとめていただいてよろしゅうございますか。ほかの方との関係もございますし、時間の関係もございますので、今の御要望はまた後でまとめてお答えいただくと思います。


○宮島委員 
  極めて細かいところなのですけれども、同じく改正の資料の最後のページ、被虐待児童への自立支援のところで2か所ちょっと気になることがありますので、要望になるでしょうが、2点お願いしたいと思います。
  1つは、(1)の「親子関係再構築支援」の■の最後の言葉なのですが、「児童の継続的な安全確認を行うとともに」という言葉があります。この安全確認という言葉が、どうも実践レベルだと非常に平板とか狭く扱われて、傷があるかないかということだけを見て大丈夫だということでやり過ごしてしまって、そして亡くなってしまうというようなことが少なくないように思っています。本来ここで言う安全確認というのは、かなり包括的なものだと思いますし、生活の全体や家族の歴史を見るものだという意味で使われていると思いますし、厚生労働省が出している手引書なんかにもそのように書いてあるのですけれども、やはり言葉はひとり歩きしやすいので、この安全確認というのが傷あざを見て大丈夫だというような平板な理解にならないように一層の取り組みをしてほしい。
  同じ児童福祉法の中には、児童の状況の把握というのが25条の6にあるのですけれども、本当はそちらの言葉のほうが望ましいぐらいに思っております。とにかく安全確認ということが平板に狭く扱われないように要望したいと思います。
  もう1点は、一番下の(3)の2つ目の■なのですけれども、自立援助ホームの対象を22歳の年度末まで延ばす。それが大学等就学中の者を対象というふうに書いてあって、すばらしいなと思うのですけれども、1点ちょっと気にかかるのは、例えば21歳になっていて、そこで大学中退とかをしてしまったら、その時点で支援の対象ではなくなってしまうということが起こり得ないのかどうか。それこそ大学をやめなければならないようなことというのは、何らかのトラブルや困難な状況が生じている、そのときに支援がなくなるというのはかえって混乱しますので、この就学中ということがあまり厳格に扱われ過ぎないように考える必要があるのではないかというふうに思いますので、御考慮いただきたいと思います。以上です。

○大日向部会長
  ありがとうございました。何かお答えになりますか。よろしいですか。
  では、事務局からお答えをお願いいたします。

○横幕総務課長
  今いただいた各点は、いずれも十分念頭に置いて具体的な作業を進めていきたいと思います。特に前半の最後の部分、周知のところとか安全確認という表現のところ、どちらも法律上はいろいろな法令との整合性があって、それぞれの用語を使わざるを得ないというところがあろうかと思いますが、今回、全般にそうなのですけれども、現行の法律の書き方なり構成なりが結構わかりにくいとか、それがやはり実態としてなかなか浸透していないところの一つの要因にもなっているのではないかというのは、いろいろな御意見を伺いながら私どものほうでも感じておりますので、そこは意識をしてきちんと意図が広く共有できるような形を目指していきたいというふうに思います。

○大隈家庭福祉課長 
  家庭福祉課長です。最後にいただいた点で自立援助ホームの22歳の年度末までの就学中の者を追加ということで、今回、法律としてはそこの部分を念頭に置いているのですけれども、この資料のその下に※がございまして、2つ目の※で、それ以外の場合でも18歳到達後も22歳の年度末まで引き続き必要な支援を受けることができる事業の創設を検討ということで、予算措置なども含めて今後検討ですけれども、今、御指摘のあったような場合も支援が直ちに切れるということがないような仕組みがどうつくれるかということは考えていきたいと思います。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。それでは、林委員、どうぞ。


○林委員 
  私のほうからは極めて各論的な提案です。
  1つは、この報告書の24ページの(3)の「特別養子縁組制度の利用促進のために必要な措置」というところです。
  1つ目は、第2段落のところに養子縁組の意義として子どもへの永続的な家庭の保障という観点から、この言葉が頻繁に報告書の中に出てまいります。確かにこれは養子縁組の意義の一つとして規定できるかと思うのですけれども、現実にどういうことが起こっているかというと、養子縁組に代わって長期里親委託が養子縁組の代替的な役割をしているという側面があるかと思います。養子縁組をどう促進するかといったときに、里親制度と区別化するような養子縁組の意義の強調というのは極めて重要なことではないか。それが何かというと法律的な親子関係に基づいた永続的な家族の保障というあたりかというふうに思っていますので、里親制度と区別する養子縁組制度の意義というところを強調していただけたらということが1点目です。
  2点目は、その段落の下から2行目に「養子縁組里親」という言葉が出てまいります。これは法律上、文字どおり言うと、正確には「養子縁組希望里親」です。それで、やはり修飾矛盾的な言葉を重ねて用いることによって、さまざまな社会的な誤解を生み出している側面があるかと思います。いかに養子縁組制度と里親制度が違うものだということを社会的に伝えていく必要性をすごく感じています。もうちょっと突っ込んで言うならば、今後、民間機関における養子縁組機関の対応との整合性、あるいは公平感という立場からすれば、本来的には養子縁組希望里親という制度そのものを廃止して、いかなる機関で対応されようと養子縁組が成立するまでの養育費、あるいは事業費を公的に負担するということが今後必要なことではないかというふうに考えています。長期的なスパンの中でそのことも考えていただけたらということが2点目です。
  3点目は、市町村の役割の中に里親支援業務とか里親の普及啓発業務を入れることの是非というのはあるかと思うのですけれども、現実には市町村で先行して、例えば要対協のケースに里親さんを挙げるとか、そういうものが先駆的に行われている実態があるかと思います。こうなっていくと市町村の格差、普及啓発あるいは里親家庭支援における、どこに住むかによる市町村の格差が非常に大きくなってきている面もあるかと思います。里親支援機関事業を市町村が受けるということもあるのでしょうけれども、そういうことを含めて言うならば、市町村業務の中に里親普及啓発、あるいは里親家庭支援業務というものを位置づけられないかというのが3つ目の提案です。以上です。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。御意見として承っておきます。ほかに。松田委員、どうぞ。


○松田委員 
  専門委員会からの報告及び今回の新しい児童福祉法の改正案等、私も非常に賛成するところであります。その上で1か所少し気になるところがありましたので申し上げておきます。それは、資料1-4の4ページ、資格の話です。専門委員会からの提案としても22ページに専門の資格を将来的にはつくるべきではないかという御提案ということですけれども、結論から言いますと、今の新しい資料1-4の文面に私は賛成します。そして、2年後に検討するというときですけれども、それについて少しこういう点も検討してはどうかということを申し上げたいと思います。
  それは、類似する資格がかなり多いのではないかというように思います。それらの資格の整理が必要ではないか。それは、ここに書いてある資格の名前だけ読み上げさせていただきましても、児童福祉司、児童心理司、社会福祉士、社会保健衛生士等々たくさんあります。かなり近い関連する知識を使うものもあるかと思いますので、そうしたものを有効に活用できるような方法を模索されるべきではないかというのが1点。
  2点目は、今回、必要となる人数はどのくらいかということにおきましても、それがかなりの人数に及ぶのでしたら公的資格、専門の資格を創設していくほうに進めるというのは賛成でございますけれども、それほどでないということであれば既存の資格をうまく運用する、あるいは、この研修を受講するというのはまさにそれに関わると思います。ですから、そうした柔軟な対応が人材のまさに有効活用につながるのではないかと思いました。以上です。

○大日向部会長 
  貴重な御意見をありがとうございます。ほかにいかがですか。奥山委員、どうぞ。

○奥山委員
  まずは、こちらの専門委員会が13回の半年間ぐらいでしょうか、その間に綿密に話し合いのもと、ここまでおまとめいただいたことに感謝申し上げます。私のほうから3点ほど意見等を申し上げたいと思います。
  まず、専門委員会の報告書の9ページのところです。「市区町村における地域子ども家庭支援拠点の整備」というところが出ております。全体として、まず、児童相談所そのものの数をふやしていくという方向性は、今、本当に必要なことだろうと思います。一方で市区町村においてもこういった対応ができるような拠点の整備ということが求められているというふうに思います。しかしながら、今もいろいろな関連の似たような資格という話がありましたが、この全体資料の中にも幾つも、例えば地域子ども家庭支援拠点という新しい名称が出てまいりましたけれども、私どもが全国で展開している地域子育て支援拠点も名称がとても似ております。また、母子保健との連携の中で子育て世代包括支援センターということや、子ども家庭支援センター、児童家庭支援センターということで、それぞれの自治体でも似たような名称のものがたくさんあります。そういった中で、この予防型の社会的養護のところの各施設が拡充していくことは本当に大事なことだと思うのですけれども、一方で自治体によっては幾つもできないというところがあると思うのです。そうなると1つの施設の中で包括的に実施する、ここを中心にやっていくというような自治体において選択をしていく部分というのもあるのかというふうに思いまして、そのあたり、少し文言や制度や施設の整理をしていただくといいのではないかというふうに感じております。
  2つ目ですけれども、先ほども児童相談所の役割の中で通告、相談等の分離の問題というのが出ておりました。私どもも市区町村の虐待予防のパンフレットなどを見ますと、まずは通告してくださいというふうに書いてあって、裏を見ると、子育て家庭の皆さん、気軽に御相談くださいと書いてあるのです。同じパンフレットの裏表で。それが、今、両方求められているのが実態だと思います。ですけれども、保護者の方が御相談したいと思ったときに、裏に通告のことが書いてあったりすると、どうしたって電話がかけられないということがあると思うので、やはり役割をしっかり分担して、子育て家庭が本当に相談しやすい、そういう環境整備というのも今後求められてくるのではないかというふうに思っております。
  3つ目ですけれども、今回、踏み込んだ形でしつけのことを明記していただきました。しつけを名目とした児童虐待の防止ということで、必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならないということなのですけれども、これが民法上の体罰のところはしっかりと禁止になっていない日本の民法の中で、この部分を書かれたのは非常に重要な点だというふうに思っております。ただ、一方で、小國委員からも御指摘があったとおり、どこまでがしつけなのかということについて、やはり世論の中で、また、保護者の中でもいろいろ戸惑いも出てくるところがあると思います。それは、今後さらに検討を重ねて、本当であれば民法の改定まで進められるような力を子どもの権利保障ということも含めて、そういったことにつながるような形になればいいなというふうに思うのですが、このあたりで、私も議事録をしっかり見ていなかったものですからどんな議論がされたのか、もしお話しいただける範囲でお聞かせ願えればと思っております。以上です。

○大日向部会長 
ありがとうございました。最後の点については、よろしいですか。


○松原部会長代理 
  委員御指摘のように、どこまでを体罰にするかということについては、専門委員会の中でも、あるいは専門委員会の前に準備的にする作業の中でも議論をしたところで、委員会としてもなかなか結論が出ない中で、報告書では「理念」のところに書かせていただいて、それを受けていただいて、本日お出しいただいた資料1-4は本当にぎりぎりの線で踏み込んで書いていただけたのかというふうに委員長としては思っております。

○大日向部会長 
  ありがとうございました。ほかにありますか。新保委員、どうぞ。

○新保委員
  可能でしたら3つお願いします。
  1つ目は、多分、提案されるという新しい児童福祉法の頭のほうに入るのだろうと思うのですが、「児童が家庭において健やかに養育されるように」以下で家庭という言葉が何か所か出ています。これは学術的にどう扱うのかというのも1つあるのですが、児童福祉法の中に、現在、家庭という言葉がどう使われているのかということを調べてみますと、家庭裁判所という言葉であったり、児童家庭支援センターという言葉であったりしているのです。それらで使うところの家庭という言葉の中には、個別具体的に言うと、例えば里親家庭で言うところの家庭というのが入るのだろうと思います。児童家庭支援センターという言葉の中には、児童家庭支援センターには里親家庭の方が何らかの自分のお子さんの養育について相談をするというときも家庭という言葉の中に入るのだろうと思います。第1条か2条か3条かわかりませんが、ここに書かれるであろう「児童が家庭において」というところの家庭の中に里親家庭が入るのかどうかということが私の中ではすごく気になるところです。これをどう考えるのかというのは一つの判断なのだろうと思いますが、支援の対象となるもの、もしくは代替となるものとしてどう扱うのかということ。これは、多分、条文を書かれるときに丁寧に他の条文と比べながらお書きいただけると思うので、念の為申し上げました。
  2つ目は、0歳前後のこと、子どもの出生前後のことです。これは、報告書の中で産前産後母子ホームという言葉があって、私、子供の貧困対策とかひとり親家庭というテーマで研究させていただいていると、貧困の連鎖ということを考えると、子どもが生まれる前後の支援というのはとても大事だろうと思います。ですから、この産前産後母子ホームで生活をしながら1人の女性がこれからどういう生き方をしていくのかということを支えることができるような仕組みを並行して考えていくということが必要なのではないかと思います。0歳前後のこととして、特にこれを推進していただければありがたいと思いました。
  3つ目は、二十歳前後のことです。法令上、一部のところで就学と22歳というところで限定せざるを得なかったというのは前後の今までの検討である程度想像がつくような気がいたします。ですから、今回、事務局から御提出いただいた児童福祉法等の改正についての最後のところにありますが、児童養護施設の対象児童等を対象にして18歳措置後も22歳の年度末までという、これは予算措置になるのだろうと思いますので、予算をしっかりおとりいただいて対応していただければと思います。このことは、多分、現在ある児童養護施設の機能を有効に活用するとともに、先ほどの世代の連鎖というテーマ、そして、一人の人間として自信を持って生きていくことができるというところの支援、背中を押すということも含めて大きな仕事になるのではないかと思っていて、これは児童養護施設が今までお持ちいただいたノウハウをしっかり生かしながらできる仕事ではないかと思うので、このあたりも推進していただきたいというふうに思います。以上でございます。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。ただいま3点につきまして、事務局から特に最初の家庭のところで何かお答えはありますか。里親家庭が入るのかという。


○大隈家庭福祉課長 
  ここの資料の1ページは概要という形で書いてございますので、具体的な条文のところでの法律全体の中での用語の整理は別途させていただきたいと思っております。
  ここで書いてあるのは、最初のところは、児童がもともと生まれた家庭において健やかに養育されるようということをまず書いた上で、「ただし」以降は代替的養育という形で書いてございますので、里親とかファミリーホームの場合は児童が家庭における養育環境と同様の養育環境というほうに入るというような考えで書いてございますけれども、児童福祉法の中の用語の整理はしっかり法律の中で整理して御説明できるようにしたいと思っております。

○大日向部会長 
  ほかはありますか。もうよろしゅうございますか。どうぞ。


○宮島委員 
  機会をいただきまして、申し訳ありません。特定妊婦への支援ということが1点と、あと、児童相談所への弁護士の配置という点で1点、要望になると思いますけれども時間をいただきたいと思います。特定妊婦に関わった場合には、市町村へちゃんと連絡をするという努力が課される、これは必要だと思います。そして、市町村で具体的なサービスも含めて支えられて、地域で親子が健やかに生きていける、危機を乗り越えられる、とても大事だと思っております。一方で産婦人科に未受診の方がつながるということはとても難しいという現実を感じています。一回も妊婦健診を受けていないからリスクが高いので、うちの病院では受けられませんというような形ではじかれてしまう。それで転々とする妊婦さんがいらっしゃる。この辺は、そういった連絡が来た、それこそ産婦人科等への、そういった手厚い支援をした場合に保険点数とかが厚くなるような、あるいはリスクを抱えてもそこは乗り越えられるような仕組みを同時に構築しないと難しいのではないか。あと、実際に出産を引き受けるにしても、中学生や高校生のお子さん、あるいは精神的な問題を持っていらっしゃる方を引き受けるというのはとても大変なことで、実際、高校生なんかだと学校に知られたら中退になってしまう、どう子どもたちを守るのか、このあたりなども丁寧な仕組みをつくらないと難しいと思いますので、ぜひとも重点的に力を入れて取り組んでいただきたいというお願いです。
  もう1点は、児童相談所への弁護士の配置のことなのですけれども、ともすれば法的な対応で児童相談所の意向が通るようにという形ばかりが目指されてしまうと、ちょっと危険な気がします。やはり弁護士配置をすることは、児童相談所が良かれと思ってやることが当事者への過剰な権利制限にならないように謙抑的にするというようなこともとても大事なことだと思います。一時保護がむしろ人権侵害に当たる可能性もあるのだということで報告書に踏み込んだ記述がありますけれども、ぜひともその辺のこともあわせて円滑な業務、適正な業務ということが図られるように周知していただきたいと要望いたします。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。皆様からたくさん御意見をいただきましてありがとうございます。大方の委員の方がおっしゃっておられますように、松原先生を初め専門委員の先生方には、限られた時間、本当に精力的に御議論をいただき、すばらしいおまとめをしていただいたことに感謝申し上げます。また、事務局におかれましても、大変な作業をしていただいたと思います。ありがとうございます。
  今日、本当に皆様から貴重な御意見、御要望をいただきました。事務局におかれましては、本日の委員の御要望、意見、議論を十分に踏まえまして、今後、検討を進めていただくようお願いをしたいと思います。
  それでは、時間の関係もございますので、議題の1はこのあたりとさせていただきまして、議題の2に移りたいと思います。児童扶養手当法の一部を改正する法律案でございます。これにつきましても、まず事務局から御説明をお願いいたします。


○大隈家庭福祉課長 
  事務局から議題2、児童扶養手当法の一部を改正する法律案について御報告いたします。配付資料は、資料2を御覧いただければと思います。
  児童扶養手当法の一部を改正する法律案につきましては、2月9日に閣議決定をいたしまして、国会に提出させていただいております。審議はこれからという状況でございますが、その内容を御説明させていただきます。制度の概要のところにつきましては、御案内のとおりかと思いますけれども、児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活の安定と自立の促進のための手当ということで、平成27年度は月額4万2,000円ということでございますが、児童の数に応じて第2子についての加算が5,000円、第3子以降は3,000円ということでございます。それから、手当額(加算額を除く)ということで、この4万2,000円の部分につきまして、現在、物価スライド適用、年収に応じて支給額を逓減させるという仕組みになっております。
  今回の改正の内容でございますけれども、児童が2人以上のひとり親家庭について特に経済的負担があるということで、その軽減のために第2子加算額を5,000円から1万円に、第3子以降加算額を3,000円から6,000円に見直すというものでございます。あわせて加算額につきましても、現在は基本額4万2,000円部分だけにかかっている物価スライドを新たに適用するということと、年収に応じた支給額の逓減もあわせて導入したい。この支給額の逓減部分は、直接法律事項ではなくて政令改正事項となります。これは、これから国会での審議ということですけれども、法律案の中では平成28年8月1日施行ということで、これによりまして直近の新しい仕組みのもとでの実際に支給されるのは平成2812月に、8月、9月、10月、11月分が支給されるということでございます。その下に「(例)」とございますけれども、左半分が現在改正前の、例として母1人子3人の場合のそれぞれ年収に応じた支給額のイメージ。これが改正後ということで、第2子、第3子は1万円、6,000円ということですが、この一部支給停止が開始となる227万円までは倍になる。それから徐々に支給額逓減になりますけれども、460万円のところで、ここについては現在と全く同じ額になるというものでございます。
  これが法律案の概要でございまして、若干補足で2ページでございます。2ページ目に「児童扶養手当の機能の拡充」と書いてございまして、赤い矢印で「最大で倍増」と書いてある下に吹き出しがございます。これまでの経緯として、第2子加算額、第3子以降加算額は長らく5,000円、3,000円で据え置かれておりました。物価スライドもございませんでしたので、今回、第2子が36年ぶり、第3子が22年ぶりの引き上げということでございます。
  それから、※の3つ目にございますが、今、全児童扶養手当受給世帯は106万世帯ございます。このうち第2子加算額が33万世帯、第3子以降加算額は約10万世帯ということで、こちらが今回の引き上げの対象になるところでございます。それから、28年度予算案というところで、予算額として総額5,238億円、これは国3分の1、自治体3分の2という負担割合になっておりまして、このうち今回の多子加算額の増額による所要額につきましては、括弧の中、平年度化した場合の額として250億余りがこの引き上げに必要な額ということになっております。
3ページ目は制度そのものの概要ですので省略させていただきまして、4ページ目に「これまでの経緯」がございます。去年、平成27年4月2日からでございますが、子供の未来応援国民運動の発起人集会がございまして、総理からの御挨拶、御指示がございました。この中で経済的に厳しいひとり親家庭などの自立を応援していく必要があるということで、子育て、生活、就業、経済面などの一層の充実を図るという旨が言われ、厚生労働大臣を初めとする関係閣僚に対する指示がございました。それを受けて、平成27年6月30日、いわゆる骨太の方針でその旨が閣議決定をされ、その後、8月28日、施策の方向性ということで、この中で財源確保策とあわせて児童扶養手当の機能の充実について検討するということで、その後、予算編成過程に入って、年末1221日に子どもの貧困対策会議において、この政策パッケージが策定され、この中で先ほど申し上げた児童扶養手当の充実の内容が盛り込まれたというところでございます。
  以上のような経緯を経て、次の5ページでございますけれども、政策パッケージが策定されました。これは、先ほどの児童福祉法の説明の資料の中にも入ってございましたけれども、この年末に策定されたパッケージの中の左半分がひとり親の関係でございます。就業による自立を基本としつつ、総合的な取り組みを推進するという中で、主な内容のうちの一つとして児童扶養手当の機能の充実が入っているところでございます。このひとり親のプロジェクトについて、6ページ以降にポイントだけおつけしております。6ページに「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」ということでございます。現状と課題が上の半分に書いてございますけれども、右側に四角い箱がございまして、昭和63年から平成23年の25年間で母子世帯の数がふえている。父子世帯もふえております。この中で母子世帯について見ると、約8割は就業されているところですけれども、パート・アルバイトなどの就業形態が多いということで、平均年間収入も180万ぐらいというような厳しい状況でございます。ということで、「対応」という欄で1から6までございますけれども、「支援につながる」というところから「社会全体で応援」ということでカテゴリーに分けて支援策を取りまとめたところでございます。
  1について「支援につながる」というところは、これまでの意見でなかなか支援が必要なひとり親の方が行政のサービスに届いていないということがございましたので、自治体の窓口のワンストップ化の推進などにも取り組むこととしております。
  2から5までに個別のメニューですけれども、この中に児童扶養手当が入っているというところでございます。
  あと、7ページ以降、若干幾つか新しいところでお付けしておりますけれども、7ページは子どもの居場所づくりということで、ひとり親のお母さんが夜もパートに出ているというようなケースについて、子どもが1人で過ごす時間も多いというようなこともあり、ここは自治体の取り組みとして、居場所をつくって学習支援などの活動に取り組んでいただけるような予算の仕組みを用意しているところでございます。
  それから、8ページですけれども、多子世帯・ひとり親世帯の保育所利用の負担軽減ということで、これも28年度予算で盛り込んでおりますけれども、年収360万未満の保育料につきまして、第2子半額、第3子以降無償化とともに、ひとり親については第1子から半額、第2子以降無償化というような内容も盛り込んでおります。
  最後のページですけれども、9ページで就業による自立を基本とするという流れの中でこれまでも取り組んできておりますけれども、ここでは特に資格の取得支援ということで、この図で下から児童手当、児童扶養手当とございますが、その上の緑のところで高等職業訓練促進給付金、これも現在、月額10万円、2年間の給付ということで資格取得を促進しておりますけれども、支給期間を3年にする、対象資格も1年以上の資格にするというようなことで、より資格を取得していただくために使いやすいようにする。
  それから、左と右に「創設」と2つございますが、こうした学校に通って例えば看護師の資格を取っていただくときの入学のために必要な準備金、就職するに当たって必要な経費についての準備金をそれぞれ設けております。これも就職した後、一定期間就業継続した場合は返還免除というような仕組みもあわせて設けております。
  こうした形であらゆる側面からひとり親の支援をする中で、法律的な手当が必要な部分が今回の児童扶養手当法ということになりますので、国会に提出させていただいたので、これから審議になるという状況でございます。
  御説明は以上でございます。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明につきまして、御意見、御質問ありましたらお願いいたします。


○新保委員
  まず、丁寧に取り組んでいただいていることをとてもありがたく思います。ひとり親家庭のこと、そして、児童扶養手当に関すること、なかなか改正できなかったものを36年ぶり、22年ぶりにということで取り組んでいただいたこと、かなりお手間だったのだろうなというふうに思いながらも、とてもありがたいなと思いながら法案を見せていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。


○大日向部会長
  ありがとうございます。よろしいですか。ほかはいかがですか。
  それでは、今、新保委員が言ってくださったとおりかと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  次に、議題3に移ります。子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について、事務局から御説明をお願いいたします。


○楠目保育課企画官 
  保育課企画官の楠目でございます。よろしくお願いいたします。
  子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案の概要につきまして、こちらは内閣府所管の法律でございますけれども、御説明をさせていただきたいと思います。資料3のほうをよろしくお願いいたします。
  こちらの法律案につきましても、現在、国会に提出をされておりまして、近く衆議院での審議が開始される予定のものでございます。
  法案の必要性でございますけれども、上の四角の枠のところに書いてございますが、政府におきましては、現在、今後、女性の就業率がさらに上昇することを念頭に、待機児童解消加速化プランに基づく平成29年度末までの保育の受け皿整備の目標を上積みしておりまして、40万人分から50万人分の整備をすることとしているところでございます。
  こうしたことを踏まえまして、事業所内保育等への助成事業等を新たに法律上位置づけますとともに、こちらの赤字で書いてございますが、事業主拠出金制度を拡充し、最大5万人分の保育の受け皿の整備など子ども・子育て支援の提供体制の充実を図ることを目的とするものでございます。なお、こちらの事業主拠出金でございますけれども、厚生年金保険料とあわせて一般の事業主から徴収をしているものでございます。
  法案の概要につきましては、黄色の背景のところを御覧いただければと思います。2点ございまして、1点目は仕事・子育て両立支援事業の創設でございます。政府が事業所内保育業務を目的とする施設等の設置者に対する助成及び援助を行う事業(仕事・子育て両立支援事業)を新たに創設いたしまして、法律上位置づけるというのが1点目でございます。
  2点目といたしまして、事業主拠出金の率の引き上げ等でございまして、一般事業主から徴収しております事業主拠出金の対象事業に、今回新たに設けます仕事・子育て両立支援事業を追加いたしますとともに、下の○にございますけれども、事業主拠出金の率の上限を1,000分の1.5以内から1,000分の2.5以内に引き上げるという内容でございます。施行期日については、平成28年4月1日からの施行とさせていただいているところでございます。
  より具体的なイメージにつきましては、次のページを御覧いただければと思います。
  子ども・子育て支援新制度と事業主拠出金につきまして示したものでございます。上の段が現行でございまして、下の段が今回の拡充後の状況を示したものでございます。
  まず、上の段を御覧いただければと思いますが、子ども・子育て支援新制度におきましては、事業主等からの事業主拠出金を財源として事業を実施するという仕組みが現在も設けられているところでございます。支援法上、こちらの拠出金の上限でありますとか、拠出金をどのような事業に充当することができるかということが法定をされておりまして、現在はこちらの拠出金につきましては、児童手当及び地域子ども・子育て支援事業のうち、放課後児童クラブ、病児保育、延長保育の3事業に限定をして充当されているという状況でございます。こちらにつきまして、今回、法律を改正いたしまして、拠出金の制度を拡充して、下の欄にあるような形を目指しているところでございまして、赤字のところが変更点でございますので御覧いただければと思います。
  まず、左下のところにございますが、拠出金の上限を現在のものから0.25%(+0.1%)引き上げるという内容でございます。なお、法律上は拠出金の上限が定められておりまして、実際の率は政令で定めることとなりますけれども、平成27年度につきましては0.2%(+0.05%)の引き上げとさせていただきまして、835億円の財源を活用する予定としているところでございます。
  こちらの財源を右側にありますように、新たに赤字のところの事業にも充当する内容としておりまして、まず、仕事・子育て両立支援事業ということで、事業所内保育等の運営費、整備費等に充てさせていただきますのと、病児保育の充実について、現在、病児保育の事業費、運営費のみがこちらの拠出金を充てておりますが、さらに整備費等へも充てるような形で充実をさせていただきたいと考えているところでございます。
  具体的な事業につきましては、その次のページを御覧いただければと思います。
  3ページ目でございます。先ほど申し上げました拠出金率の引き上げに伴う財源を活用いたしまして、平成28年度予算案に盛り込んでおります内容についてこちらにお示しさせていただいております。
  まず、上の左の欄で言いますと2つでございますが、企業主導型保育事業、いわゆる事業所内保育等の整備費、運営費に充てるものとして、それぞれ487.8億円、308.7億円を予算上計上しているところでございます。
  また、真ん中の欄でございますが、病児保育普及促進事業ということで、施設の改修費や整備費等に充てられるものとして26.7億円を計上しております。
  最後に、一番下の欄でございますが、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業ということで、ベビーシッターの利用料の一部を補助するような内容の事業を3.8億円計上しているところでございます。
  以上が28年度予算に盛り込んでいる内容でございます。
  最後のページを御覧いただければと思います。
  最後の4ページ目は参考でございますが、仕事・子育て両立支援事業等のイメージ図でございます。今回、目標を40万人から50万人に上積みいたしました10万人分の内訳でございますとか、今回新たに設けます企業主導型保育事業につきまして、企業の負担により従業員の多様な働き方に応じた柔軟な事業所内保育を支援するという事業の特徴等についてまとめさせていただいているものでございますので、御参照いただければと思います。
  御説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。
  ただいまの御説明につきまして、皆様から御質問、御意見ありましたらお願いいたします。権丈委員、どうぞ。


○権丈委員 
  御説明ありがとうございました。待機児童の問題が深刻である中で、今回、企業側の協力も大きく求めて、保育サービスの供給をふやすというのは一つの有効なアプローチだと評価したいというふうに考えております。
  その上で厚労省の認可外保育施設のデータなどを見ますと、事業所内保育施設の利用児童は7万4,000人、うち院内保育施設が3分の2以上を占める状況にあります。その現状を考えると、5万人分の保育の受け皿整備というのはかなり大きな積極的な目標だというふうに理解しております。具体的なところは、今回、資料で示していただきましたし、また、予算案の概要でも6ページにございますので、ここにあるようなことが中心になるかと思いますが、ぜひ企業側にインセンティブをつけて積極的に進めていただければと思います。また、周知などにもよく取り組んでいただければと思います。以上でございます。

○大日向部会長 
ありがとうございます。ほかはいかがですか。小國委員、どうぞ。


○小國委員
  とてもすばらしい支援体制だと思って聞いておりました。私が関係するところで病児保育がございますが、これは企業なのかもしれないのですけれども、ベビーシッターといいますか、その補助金がさらに加えられたということはとても大きいことだと思うのですが、やはり女性の社会進出に伴いまして、病児保育の重要さというのはとても大きくあります。子どもが病気になるというところが仕事を辞めざるを得ない一つの大きな要因になっているのが現状だと思うので、実はここを本当に重点的に考えていただけると、女性が長く持続して働けるということにつながると思いますので、ぜひ今後もそこを重点的に考えていただければと思います。


○大日向部会長 
  ありがとうございます。松田委員、どうぞ。

○松田委員 
  感想と意見だけなのですけれども、今回の制度の新しい改正で、企業主導型保育事業、事業所内保育所とかそうしたものに設備、受け皿をどんどん増やしていきましょうという話ですけれども、それは地域的な偏在性を生むのではないかということと、そして、企業規模としてはかなり限られたところ、より恵まれたところに重点配分されることになりはしないかという懸念を申し上げます。理由を申し上げると、全国的に待機児童が多いというのは基本的に東京ですよね。愛知県はほとんどいません。そして、事業所内保育所は、私、以前調査したことがありますけれども、基本的に大企業を中心に、都心の企業を中心に実施されている。そう考えると、かなり恩恵を受ける層が限られてしまわないかというのが少し懸念されるところです。以上です。

○大日向部会長 
  ありがとうございます。何かありますか。どうぞ。


○楠目保育課企画官 
  今回の事業につきまして、御説明が不十分だったかもしれませんけれども、中小企業とか単独で事業を実施するのが非常に難しいところにも取り組んでいただきやすいように、中小企業が単独で設置するのが難しい場合には合同するような共同の形で設置するようなやり方でありますとか、あるいは、ショッピングモールとかそういうところで企業主導型事業を設ける場合にテナントとして入っている事業者とかも受け入れることができるようにとか、ある程度柔軟な形で実施ができるようにしまして、なかなか単独では事業所内保育を整備できないような中小企業等にも取り組んでいただきやすいような形で取り組むようにまた留意していきたいと思っております。ありがとうございます。


○大日向部会長 
  ありがとうございます。ほかはいかがですか。よろしゅうございますか。
  この問題は、今、社会でも大変取り上げられている待機児対策にも関連すると思います。子ども・子育て支援新制度においても、保育の量的拡充と質の向上は、喫緊の課題として、しかしながら、かなり時間をかけて整備に向けて議論をし、また、充実に向けて各方面が努力をしてきたのだと思います。そこに、今回、更に、プラスの方向での施策を出してくださったということで大変ありがたいと思います。今、社会では、ブログ上流れで、今まで国が何もしてこなかったかのような受け取られ方をしているのは、若干事実とは違うと思います。もちろん、充分では決してない中で、でも、ここまではしてきた、そして、ここが足りないからこれを足すというような広報周知を国からも積極的にしていただきたいと思いますが、今回もそういう意味では一つの朗報といいますか、重点方向でのありがたい施策ではないかというふうに思います。
  それでは、この点はよろしゅうございますか。
  次に、議題4に移りたいと思います。関連施策の状況ということで、最近の関連施策の状況につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。


○楠目保育課企画官 
  それでは、資料4-1をお願いいたします。教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会の最終取りまとめにつきまして御報告をさせていただきます。
  こちらの検討会の背景でございますけれども、子ども・子育て支援新制度におきましては、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業者は、事故の発生又は再発防止をするための措置及び事故が発生した場合における市町村、家族等に対する連絡等の措置を講ずることとされております。こうしたことを踏まえまして、平成26年9月に内閣府において教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会が設置されまして、内閣府、厚労省、文科省、3省連携のもとで対応してきたものでございます。こちらの検討会につきましては、資料の3.のところにございますように、平成2611月に中間取りまとめをいただいておりまして、重大事故の集約範囲・方法・公表のあり方等につきまして取りまとめをいただいております。こちらを踏まえまして、重大事故についての施設・事業者、地方自治体が国への報告の仕組みを定め、運用を行っておりますほか、公表のあり方といたしまして、国におきまして事故報告をデータベース化し、内閣府ホームページで公表するなどの取り組みをこれまで行ってきているところでございます。その後、昨年12月に最終取りまとめがなされましたので御報告させていただきたいと思います。具体的な内容につきましては、2枚目を御覧いただければと思います。こちらの検討会の最終取りまとめの概要でございますけれども、重大事故の発生防止のための今後の取り組みとして、3点取りまとめがなされております。
  まず、1点目といたしましては、事故の発生防止(予防)のためのガイドライン、事故発生時の対応マニュアルの作成ということで、こちらの検討会でガイドライン等に盛り込むべき内容や骨子等が提言をされておりますけれども、これを踏まえまして具体的なガイドラインマニュアルを別途調査研究事業で作成することが提言されているところでございます。こちらの調査研究事業につきましては、現在、実施しておりまして、近く取りまとめをさせていただく予定でございます。
  2点目でございますけれども、事故の再発防止のための事後的な検証について御提言をいただいております。
  まず1つ目が、地方自治体における検証のあり方といたしまして、検証の実施主体、検証の対象範囲について御提言をいただいております。具体的には検証の実施主体といたしましては、行政主体におけるそれぞれの法律上の役割分担等も踏まえまして、特定教育・保育施設、特定地域型保育事業、地域子ども・子育て支援事業に関しましては市町村が検証を行う。それから、認可を受けていない保育施設・事業(認可外保育施設)につきましては都道府県が検証を行うということで御提言をいただいております。
  また、検証の対象範囲でございますけれども、死亡事故、国への報告の対象となっております死亡事故以外の重大事故のうち、検証を必要と判断した事例について検証の対象範囲とすると提言をいただいているところでございます。
  また、国における再発防止策の取り組みといたしましては、国において有識者会議を設置いたしまして、地方自治体の検証報告等を踏まえた再発防止策を検討・提言するという枠組みについて御提言をいただいているところでございます。こちらについても、現在、内閣府を中心に検討を進めているところでございます。
  3点目でございますが、3つ目が事故の発生・再発防止のための指導監督のあり方ということで、重大事故の発生・再発防止の観点から指導監督の効果的な運用が必要であるということを踏まえまして、重大事故が発生した場合等に事前予告なく指導監査を実施すること等を通知等で明確化することが提言されておりまして、年度内にこちらの通知のほうも準備して発出することを現在検討しているところでございます。
  4-2が最終取りまとめの本文になっております。こちらの検討会の取りまとめについては、以上でございます。


○大日向部会長 
  ありがとうございます。続いて御説明ありますか。


○楠目保育課企画官 
  続けてお願いいたします。資料4-3でございます。
  資料4-3はリーフレットのコピーになってございますけれども、こちらにつきましては、認可外保育施設の届出についての児童福祉法施行規則の改正に関するものとなってございます。こちらの制度の改正の背景といたしましては、平成26年3月に発生いたしましたベビーシッターに関する事件を受けまして、本児童部会のもとに子供の預かりサービスのあり方に関する専門委員会を設置いただきまして、平成2611月に議論の取りまとめをいただいたところでございます。こちらの議論の取りまとめにつきましては、前回の児童部会でも御報告をさせていただいたところでございますが、こちらの取りまとめを踏まえまして、児童福祉法の施行規則を改正いたしまして、平成28年4月から1日に保育する乳幼児の数が1人以上の施設、こちらにはベビーシッター等の居宅訪問型の事業を含みますけれども、そうした施設に対して都道府県等への届け出義務を課すこととしたものでございます。新たに届け出義務が課される既存施設の設置者につきましては、本年5月1日までに届け出事故を都道府県知事等に届け出なければならないこととされておりますので、経過措置として本年1月1日から届け出を行うことを可能としているところでございます。
  現在、本日お配りしているリーフレット等を用いまして、各地方自治体等に対しての周知等に取り組んでいるところでございますので、御報告をさせていただきます。リーフレットの内容でございますけれども、こちらは記載のとおりでございますけれども、届出対象となる1日に保育する乳幼児の数が、これまでは6人以上だったのがこの4月から1人以上になるということと、裏を御覧いただきますと、認可外のベビーシッター事業とか、あるいは、乳幼児の数が5人以下の認可外保育施設については研修の受講状況等も届出事項となっておりますので、そうしたことをあわせて周知するような内容となっているところでございます。こちらについては以上でございます。


○野村少子化総合対策室長 
  それでは、引き続きまして、少子化対策室長の野村でございますけれども、資料4-4と4-5につきまして御紹介を申し上げたいと思います。
  まず、資料4-4でございます。表紙をめくっていただきますと、「遊びのプログラム等に関する専門委員会」ということで、これは部会のもとに置かせていただきました専門委員会でございます。こどもの城が渋谷・青山にございましたけれども、こちらが昨年3月末で完全閉館ということでありましたけれども、従来いろいろな遊びのプログラムの開発等を行ってきて、その知識を伝授するといったことも行ってまいりました。そういった機能を今後どう位置づけていくのか、さらには、そういった活動というのはこれまで全国各地の児童館等でどのようにいかされてきたのかといったことなどを調べ、その結果も踏まえて児童館というのが地域の中でどういった役割を果たしていくのだろうかということを検討するために発足いたしました専門委員会でございます。
  概要といたしましては、3ページ、4ページに書いてございますけれども、全国の児童館にアンケートを発送いたしましてお答えいただきまして、回収率は71%ということで、うち有効回答は6割弱でございますけれども、この手のアンケートとしてはそこそこの回収率にいったのではないかと思います。それらをまとめた結果が6ページ、7ページのポイントだけ御紹介を申し上げたいと思います。
  まず最初に、こどもの城が果たしてきた機能、役割といったものはどう評価ができるのだろうかということでございますけれども、アンケートで聞いてみましたところ、こどもの城で行われていた実践であるとか、そこで開発されたプログラム、そういったものについてある程度影響を受けたとか、そういったプログラムを実際に導入していると答えているところがかなりの数に上っておりますので、そういう意味で、こどもの城で積み重ねられてきた実践、プログラムといったものはある程度全国の児童館においても生かされている、一定の役割を果たしてきたというふうに評価ができるのかというふうに思います。
  それを具体的にどうやって取り入れてきたのかということでございますけれども、これはこどもの城で行われた研修会、あるいは動くこどもの城という出張型といいましょうか、そういったところで学んだであるとか、要は、何か本で読んだというよりは実際に人対人で伝えられたとかそういったところがある程度効き目があったというようなことが言われているところでございます。
  それと、児童館といいますと、いろいろな子どもに対して開かれた施設ということになりますけれども、その中で障害のあるお子さんがお見えになったときにどうなるだろうかということで、障害のある子に配慮したようなプログラムがあるでしょうか、どうでしょうかと聞いてみたところ、障害のある児童が参加しやすいように配慮しているプログラムがあるというふうに答えたところは4.3%と数字を見ると少なかったという状態になっています。これを専門委員の先生方に御議論いただいたところ、もともと普通にプログラムがあって、そのプログラムの中で障害のある子が参加している場合には、そのプログラムの中でルールを工夫したり、やり方を工夫するということで対応しておりますので、そういう意味では専用のプログラムといったものがない、つまり、設問を障害のある子専用のプログラムがあるというふうに誤解されてしまったのではなかろうかというような指摘も受けたところでありまして、大体普通はいろいろプログラムなり実践する中で配慮というのは当然のように織り込まれている、そのために独自のプログラム、新しいものがあるわけではないというような状況が見られるということでございました。
  こうしたこどもの城でのプログラムの開発等々を勘案して、評価を踏まえて今後どうするかというのを考えますと、ある程度時代の要請、時代に応じて子どもにどういった機会に触れてもらうか、活動してもらうかとかそういったことを考えると、時代に合わせて見直していく、あるいは障害とか配慮が必要な子にはどういった工夫が考えられるのか、そういったプログラム開発のための実践事例の収集であるとか情報の共有といったものを進めていくことは必要で、厚労省のホームページにのせていくとかそういったことも必要ではないか。
  さらに、児童厚生員研修、児童館スタッフへの研修なども行っておりますけれども、そうした中で職員の専門性というのを高める中でこういった実践事例の紹介であるとかノウハウの共有といったものもやっていくことが必要ではないかといったことなどが指摘をされております。
  裏面に行っていただきまして、7ページでございますけれども、児童館ガイドラインは、児童館の活動方針といいましょうか、こういった方向で児童館をやってもらいたいということでガイドラインを策定しておりますけれども、このガイドラインを知っていて、それを踏まえてやっていますというところは9割強ということで、おおむねガイドラインを踏まえて運営していただいているということにはなるのですけれども、ただ、一方で逆に返せば、数%はまだそれを踏まえられていないとか、中には「それは何か」というような回答もあったということでありますので、そういう意味では、引き続きガイドラインについて周知を図っていくとともに、アップツーデートな内容になっているのかとか、そういったところは検証が必要なのかということでございます。
  さらに、先ほど前半のほうで政策パッケージの話もございましたけれども、地域の子供たちの中を見てみると、貧困家庭、ひとり親家庭といろいろな支援が必要な子供がいらっしゃるというようなことでもありますので、こういった今日的な課題について取り組み始めている児童館も見られるということであります。そういう意味では児童館が地域の中でいろいろな子供が寄ってこれる場所ということで、こうしたいろいろなウイングを広げたような取り組みについて、さらにノウハウとか環境設定などについても検討、収集していく必要があるのではということでございます。
  あと、利用者向けにも今回はアンケートをとらせていただきました。保護者の方、利用されているお子さん方、それぞれにアンケートをとらせていただきましたけれども、保護者の方向けにアンケートをとりますと、保護者ともども来ることによって、ほかの親と触れ合うこと等を通じて気分転換になったとか、あるいは子どもが生き生きと遊ぶ姿が見られてよかったとか、さらには職員と何か困ったことがあったときの相談関係ができたというようなこともありますので、そういう意味では、これは児童館の専売特許ではなく、ほかのいろいろな子育て支援サービス関係全般に言えることかもしれませんけれども、保護者にとっても立ち寄りやすい場所であるとか、そういったところでいろいろなことに接することができるというのが大事なのかということを考えているところでございます。
  子ども向けではありますけれども、これも子どもが来ることによって、普段通っている学校等々とは違った意味での友達ができたとか、普段できないような経験ができましたということでありますから、やはり児童館というのは、そういった学校、家庭、地域という地域の中で子どもがどういうところに接するとか、新しい経験をする、そういった場所として引き続きどういったことをやっていくのかというのを考えていかなければいけないのかというところであるかと考えております。
  この専門委員会につきましては、引き続きこういった調査結果等も踏まえまして議論を深めていく予定でございます。今後、児童館はどういったことを課題として取り組んでいくのか等々について引き続き議論をしていただく予定でございます。
  次、資料4-5でございます。子ども・子育て支援法に基づきます地域子ども・子育て支援事業、いわゆる13事業でございます。1ページめくっていただきますと概要が書いてございますけれども、これは確かに子ども・子育て支援法に書いてあるものではございますけれども、その元をたどれば、児童福祉法ないしは母子保健法に根拠のある事業、サービスというものが大宗でございますので、この場をお借りして御報告をさせていただきたいと思います。
  これは、いわゆる13事業、支援事業に関する補助金の交付申請のデータをもとに、各都道府県ごとにどれぐらいの市町村から申請が出てきているかということをお示ししたものでございます。ですので、まず、あらかじめおことわり申し上げておきますと、例えば人口5,000人の町で1か所でやりますといって申請した場合も、人口30万の町で1か所でやりますといった場合も、どちらも1市町村としてカウントされておりますので、必ずしもニーズが充足されているかどうかというのを示すものではない。どれぐらいの市町村の中においてニーズに足りているか、まだ整備途上かというのは別にして事業に着手がなされているかというのをお示しするようなデータであるということをお含みおきいただければ。
  もう一つ、必ずしも似たような取り組み、この13種類の事業について子ども・子育て支援法に基づく13事業でしかやってはならないというような独占事業ではございません。例えば子育て支援拠点事業とかも地方単独事業でやっているところもありますので、そういう意味では、ここで補助金の申請がなかったからといって、では、本当にその市町村で類似のものが全くないのかというと、それもそうとは限らないという限界がある中でのグラフになっていることをお含みおきいただければと思います。
  こちらはざくっと傾向で申し上げますと、いきなり2ページ目で出ておりますけれども、子ども・子育て支援法の中で新たに位置づけられた事業、こちらのほうは制度施行直後ということもありますので、まだ着手ができていないというような市町村が多いのかと傾向的には思います。その一方で、例えば延長保育であるとか、放課後児童育成事業であるとか、あるいは全戸訪問事業、さらには地域子育て支援拠点事業、こういったあたりは割と実施率が高くなっている、言うなれば市町村ごとに見たときの実績はあるということが見えますので、あとは、着手したところというのは、それが事業計画で見込んだニーズに見合っているのかどうかとか、そういうふうにして進捗を管理していっていただくのかというふうに考えております。
  さらには、これはまだ事業初年度でございますから、事業計画で盛り込んでいるけれども、実はまだ事業が立ち上がっていないというような市町村には、近隣での実施事例なども参考にしながら早期に事業実施につなげていただくというようなことで働きかけをしていくのかというふうに思っております。
  以上、資料4と5の御報告でございます。以上でございます。


○大日向部会長 
  ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明に関しまして、皆様から御質問、御意見ありましたらお願いしたいと思います。どうぞ、奥山委員。

○奥山委員
  御説明ありがとうございます。私も勉強不足で確認をさせていただきたいのですけれども、資料4-3で「1人でも乳幼児を保育する(預かる)事業を行う皆様へのお知らせ」が4月から1人以上届け出制ということなのですけれども、今、13事業の中でも御説明がありましたが、ファミリー・サポート・センター事業も対象なのかどうかということを教えていただければと思います。
  それと、今の13事業の中に子育て短期支援事業という、7ページのところですね。この子育て短期支援事業というのは大分前から取り組まれている事業ではありますが、いわゆる夜間もお預かりするようなショートステイですとか、遅くまでお預かりするトワイライトステイみたいなものが入っていると思うのですが、これもかなり社会的養護との関係も深い事業だと思うのですが、まだまだ偏在しているという状況ですよね。それと、また今、企業さんの保育が単独で新しく事業化されるという中では夜間のところも入ってくるのかとは思うのですけれども、社会的養護の部分と実際にサービスがつながってくるということがとても重要かと思うのですけれども、これはそれぞれ縦割りになる部分があると思うのですけれども、連携よくやらなければいけないなと、改めて資料を見させていただいて感じたところです。
  ファミリー・サポート・センター事業のところだけちょっと教えていただければと思います。


○楠目保育課企画官 
  御説明が不十分で失礼いたしました。こちらの資料には十分書き切れていないのですけれども、従来から適用除外になっているものがございまして、例えば親族等の親しい間柄、いわゆる顔の見える関係の間での預かり合いとかというのは届出の対象外になっておりますので、そこは引き続き変わりませんので、恐らくほとんどのものは今と同じく対象外のままではないかと思っております。


○大日向部会長 
  私ももう少し伺いたかったのですが、顔見知りで善意のもとに預かるのではなくて、ファミリー・サポート・センター事業とか、あるいは、今度、厚生労働省がなさっている子育て支援員研修を受けて訪問型一時保育をする方々というのは、特定の方と有償で比較的安定した形で1か月に3日とか4日とか保育をする場合もあると思うのですが、その場合は除外ですか、含まれますか。

○楠目保育課企画官 
  もともとの問題で生じたのが、マッチングサイトとかで顔の見えない関係で行ったということも背景としてあるわけでございますけれども、基本的に業として行うような場合には適用除外にはなりませんので、今、おっしゃられたような研修を受けて、比較的特定の相手ということになるのかもしれませんけれども、あくまで最初は知らない相手の方と業として行うような場合については、厳密に言いますと、こちらの適用除外にはならないというふうに考えているところでございます。


○大日向部会長 
  わかりました。ありがとうございました。ほかに御質問、御意見ありますか。よろしいでしょうか。
  それでは、そろそろ時間となりました。最後に、お手元に参考資料といたしまして一億総活躍社会関係資料と平成27年度補正予算概要及び平成28年度予算案概要を配付しておりますので、御参照ください。
  本日の議事は以上でございます。

○大塚委員 
  ちょっとだけよろしいですか。

○大日向部会長 
  どうぞ。

○大塚委員
  後から来てすみません。1つ、既に議論されたかもしれませんけれども、新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会の提言のことで一言だけよろしいですか。
8ページの4の児童相談所の機能分化のことなのですけれども、障害相談について児童相談所で機能分化によって市町村などに下ろして役割分担をしていくという方向性は非常によくわかると思っています。児童相談所における虐待の相談も多いということを含めて。ただ、市町村との役割分担で相談についてもかなり専門性の高いものからいろいろなものがあります。こういうものをどういうふうに仕分けしながら役割分担をしていくかということを一つ考えていただきたいと思います。
  それから、児童発達支援センターについては、確かに市町村レベルにおけるいろいろな相談に乗るということなのですけれども、これについては地域の実態はいろいろ異なっています。そういう意味では、実態を踏まえて考えていただきたい。さらには、多分、これから児童発達支援センター活用ということになれば、職員配置やさまざまな機能の強化も含めて考えていただきたい、そういうふうに考えてよろしくお願いいたします。

○大日向部会長 
わかりました。ありがとうございました。

  ほかに特段御発言がありましたら、どうぞ。よろしゅうございますか。
それでは、御発言がないようでございますので、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会)> 第42回社会保障審議会児童部会議事録(2016年3月16日)

ページの先頭へ戻る