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2016年1月21日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成28年1月21日(木)10:00~


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

衞 藤   隆、 大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 倉 根 一 郎、
千 堂 年 昭、 花 井 十 伍、○濱 口   功、◎半 田   誠、
前 野 一 雄、 益 子 邦 洋、 溝 上 雅 史、 三 谷 絹 子、 
三 村 優美子、 室 井 一 男
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(8名)五十音順

稲 田 英 一、 大 戸   斉、 小 幡 純 子、 嶋   緑 倫、
鈴 木 邦 彦、 田野崎 隆 二、 長 村 登紀子、 山 口 照 英

日本赤十字社

佐竹経営会議委員、日野総括副本部長、西田副本部長

行政機関出席者

武 井 貞 治(血液対策課長) 他

○議事

○血液対策課長 ただ今から「平成27年度第1回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」を開催いた します。なお、本日は公開で行うこととなっておりますのでよろしくお願いいたします。

 本日は、稲田委員、大戸委員、小幡委員、嶋委員、鈴木委員、田野崎委員、山口委員から御欠席との御連絡をいただいております。全委員22名中15名の出席をいただき、定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第9条により、本部会が成立しましたことを御報告申し上げます。

 また本日は、日本赤十字社血液事業本部から佐竹血液事業経営会議委員、日野総括副本部長、西田副本部長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。次に、事務局に異動がありましたので御紹介させていただきます。血液対策課長の武井です。血液対策課長補佐の近藤です。同じく血液対策課長補佐の清水です。委員の交代がありましたので御報告します。渡邉委員が退任され、新たに国立感染症研究所長の倉根一郎委員に御就任いただいております。

 議事に入る前に、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて各委員の利益相反の確認を行いましたところ、岡田委員、千堂委員、三谷委員、室井委員から関連企業より一定額の寄附金、契約金などの受取りの報告をいただきましたので御報告いたします。なお、本日の議題は利益相反に関係する審議事項はなく報告事項のみとなっております。カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます、このあとの進行につきましては、半田部会長にお願いいたします。

○半田部会長 皆様、おはようございます。最初に事務局より資料の確認をよろしくお願いします。

○血液対策課長 お手元の資料を御覧ください。資料1-1、平成28年度血液製剤の安定供給に関する計画()について、資料1-2、平成27年度原料血漿の配分変更について、

資料2-1、「献血推進2014」結果について、資料2-2、平成28年度献血の推進に関する計画()、資料2-3、平成28年度献血の推進に関する計画()新旧対照表があります。

 参考資料1として、献血者数の推移、参考資料2として、献血率の推移(年代別)があります。

 資料3-1、個別NAT導入に伴う安全対策の見直しの関係のものが載っています。丸1.HBs抗原検査陽性検体のHBs抗原抑制試験の中止について、丸2.ALT値による製品除外の見直しについて、資料3-2、血小板製剤に係る病原因子低減化技術導入の検討状況について、資料3-3、日本赤十字社におけるヘモビジランスについて、資料3-4、平成26年度感染症安全対策整備事業について、資料3-5、平成26年度NATコントロールサーベイ事業についてです。以上の資料につきまして、不足などあれば事務局にお申し付けください。

○半田部会長 よろしいでしょうか、それでは早速議題に入りたいと思います。議題1は平成28年度の血液製剤の安定供給に関する計画()についてです。これは血液法の規定に基づき、当該審議会の意見を聞いて作成されるものです。本日はこの場で皆様方の御意見を伺って、部会としての意見をまとめたいと存じます。、皆様方に次回、3月にまた部会を予定していますが、そこで最終的な御判断をいただきたいということです。それでは、事務局から資料1-1と2について御説明をお願いいたします。

○事務局 議題1について説明させていただきます。議題1は平成28年度血液製剤の安定供給に関する計画、需給計画()についてになります。

 まず資料1-1について説明させていただきます。需給計画は血液法第25条の規定に基づき、翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画を策定するものです。

 資料1-1の2ページを御覧ください。血液法第25条第2項に規定されている本計画で定めることとされている各事項について、第1の「平成28年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量」につきましては4ページの別表第1に、第2の「平成28年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標」につきましては5ページの別表第2に、一つ飛んで第4の「平成28年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標」については6ページの別表第3にそれぞれお示ししています。

 この別表第1から第3の需要見込量や目標量に関しては、血液法に基づく関係製造販売業者からの届け出や近年の供給実績を基に、医療需要に対して過不足が生じることなく安定的に供給されるよう算出したものです。

 2ページに戻り、第3の「平成28年度に確保されるべき原料血漿の量の目標」につきましては、95万Lを目標量としております。この目標量の算出の考え方については8ページで触れさせていただきます。

 次に2ページの下、第5「その他原料血漿の有効利用に関する重要事項」の1の原料血漿の配分ですが、3ページを御覧ください。1の原料血漿の種類ごとの標準価格につきましては、次回開催される当部会において日本赤十字社や国内製造販売業者の財務状況等を踏まえ御審議いただくことになりますので、今回は空欄とさせていただいております。

 また、2は採血事業者である日本赤十字社から、各国内製造販売業者への平成28年度における原料血漿の種類ごとの配分見込量です。昨年6月以降の承認書との不整合による化血研の血液製剤の出荷差し止めの影響で、化血研に配分する()のロの「その他の分画用原料血漿の見込量」が平成27年度の17万Lと比較して11万Lの大幅減となっております。

 一方、他の2社が増産して代替製品を供給する予定であることから、その他の分画用原料血漿の配分見込量について、平成27年度と比較すると、日本製薬に対しては2万Lの増、一般社団法人日本血液製剤機構(JB)に対しては9万Lの増となっております。以上より、全体としては安定供給に必要な量の配分が可能となるよう調整いたしました。

 なお、1ページの6番の血液凝固第 X III 因子の箇所と、7ページ(参考)の血液凝固第 X III 因子の欄と、2ページの上の乾燥濃縮人アンチトロンビン、7ページの(参考)の乾燥濃縮人アンチトロンビンIIIの欄には、昨年承認され供給が開始されておりますノボ ノルディスク ファーマ株式会社の遺伝子組換え型血液凝固第 X III 因子、販売名はノボサーティーン静注用2500と言いますが、こちらの製剤と()協和発酵キリンの遺伝子組換え型人アンチトロンビン製剤、販売名がアコアラン静注用、こちらの2製剤を新たに追加しております。

 次に8ページを御覧ください。平成28年度の原料血漿確保目標量()は、平成27年度と比較して4万Lの増とし、95万Lとしております。

 2.各社の受入希望量は、凝固因子製剤用が計53万L、その他の分画製剤用が計44万L、合計は97万Lとなります。平成27年度と比較すると、高単位製剤の製造開始により凝固因子製剤用が増加しております。なお、その他の分画製剤用は化血研の製剤の出荷差し止めに対応するため、他の2社が代替して製剤を供給する予定であることから全体の希望量は前年度と変わっておりません。

 また、各メーカーの受入希望量と日赤の確保目標量との差の2万L分につきましては平成17年度以降、国内需給の推進には将来にわたって安定的に原料血漿が確保・供給される必要があり、毎年度献血者を安定的に確保する必要があるので、製造業者の原料血漿必要量に多少の余裕を見込んだ確保目標量の設定が必要という考え方に基づき、これまで一定量の上乗せを行ってきました。その結果、日赤の方の在庫量が、ある程度確保されていることから、有効期間の問題もあり、日赤の在庫分から一部2万Lを配分するものとなります。

 次に11ページ、平成28年度都道府県別原料血漿確保目標量(事務局案)です。従来から原料血漿の確保については都道府県別に目標を定め、御協力をいただいております。これは全体の確保目標量()95万Lを各都道府県別に割り当てたものです。計算の考え方は従来どおりです。

 なお、12ページの表については、日本赤十字社が全国を7つのブロックに分けた広域事業運用体制を導入し、ブロックごとに地域の特性を考慮した需給管理を行っていることから、原料血漿確保につきましても都道府県を超えた調整をしていただいております。こうしたことから、表の右側から二つ目の欄に(参考)として、ブロック別の割り当て量を記載することにしました。

13ページの「平成26年度需給計画の実施状況」です。一番下の原料血漿確保量の実績ですが、確保目標量92万Lに対し、92.4万Lを確保し、確保目標量を達成しております。

15ページの別表を御覧ください、こちらは分画製剤の平成26年度の需給状況になります。一番上のアルブミン製剤の国内自給率につきましては、平成19年度の62.8%をピークに横ばいの状況が続いており、平成26年度は前年度と比較すると1%下がり57.7%となっております。上から四つ目の血液凝固第VIII因子製剤については、遺伝子組換え製剤のシェアの伸長により、国内血漿由来製剤の自給率は低下の状況が続いております。真ん中よりやや下の人免疫グロブリン製剤につきましては、国内自給率は0.1%下がり95.8%となっております。各製剤の国内自給率の推移については21ページ及び22ページを後ほど御参照ください。

 次に16ページ、平成27年度需給計画の上半期の実施状況です。化血研製剤の出荷差し止めに対応するため、他社に増産や追加輸入を依頼しています。また、化血研製剤のうち、代替製品がない等の製剤については、医療現場での使用に影響が出ないよう、安全性を確認した上で、一部変更承認等の前でも出荷を認めています。こうした取組みにより、全体としては製造・輸入量は概ね順調に推移していますが、組織接着剤、乾燥人血液凝固第 IX 因子製剤、インヒビター製剤、乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤については、化血研製剤の出荷差し止めにより、上半期の製造輸入量や供給量の需給計画に対する達成率が低くなっております。

 今年度上半期の原料血漿確保量の実績ですが、確保目標量91万Lに対し、達成率49%の44.6万Lが確保できており、製造販売業者へは計画どおり配分できるものと見込まれます。なお、5.の二つ目の○については、このあと資料1-2で説明させていただきます。

 次に18ページの別表を御覧ください。こちらは、今年度上半期の血漿分画製剤の需給状況になります。一番上のアルブミン製剤の国内自給率は53.2%となっております。ここ数年横ばいの傾向が続いておりましたが、化血研製剤の出荷差し止めの影響もあり、平成27年度は下がってしまうのか、下半期の状況を注視したいと思います。また、上から3番目の組織接着剤、5番目の乾燥濃縮人血液凝固第 IX 因子製剤の自給率が低下しているのも化血研製剤の出荷差し止めの影響によるものです。また、血液凝固第VIII因子製剤は、引続き国内血漿由来製剤のシェアが低下しております。人免疫グロブリン製剤の国内需給率は0.2%低下し、95.6%となっています。以上、平成26年度及び平成27年度上半期のいずれも化血研製剤の出荷差し止めがあったものの、全体としては国内での医療需要をほぼ満たす血液製剤が供給されていると考えております。

 製剤ごとの供給量や国内自給率の状況については、19ページに、平成26年度需給計画の計画及び実績、平成27年度需給計画の計画及び上半期の実績、平成28年度需給計画の計画値を並べ、更に各年度における原料血漿の配分計画と実績についてまとめた資料をお示ししています。

20ページから25ページは各製剤の状況を図表やグラフにまとめてお示ししたものです。すみません、ここで資料の訂正がございます。23ページから25ページの各グラフ、下の方に※の記載があります。ここは「平成26年」ではなく、正しくは「平成27年度(見込)は、平成27年4月~9月供給実績値より算出」の間違いですので、ここで訂正させていただきます。

 次に、26ページから27ページは、昨年6月の化血研製剤の出荷差し止めに関するPress Releaseを添付しております。のちほど御覧いただければと思います。

 続いて、資料1-2について報告させていただきます。2.状況を御覧ください。日本製薬株式会社より、平成27年度の原料血漿配分量について、7.6万Lの追加要望がありました。理由としては、昨年6月の化血研製剤の出荷差し止めにより、代替製品として静注用グロブリン製剤を増産する必要があるためとのことです。それに対しては、3.対応で、血液製剤の安定供給を確保する観点から日赤等と調整した結果、原料血漿4.96万Lについて、今年の1月以降に化血研に配分する予定の原料血漿から融通の上、日本製薬株式会社に配分することとしました。資料1-1、資料1-2の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは、当該、平成28年需給計画()について御意見や御質問を委員の方々、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか、よろしゅうございますか。

 ということは、平成27年度からの見込みとしても安定供給はなされるということでよろしいわけですね。基本的には化血研の出荷差し止めによって、国内自給というところではちょっと落ち込んだというサマリーでよろしいということですね。特に御意見がありませんので、原料血漿の配分確保も含めた決定を次回の部会で審議させていただきたいと思います。ありがとうございました。

 続いて、議題2に移りたいと思います。平成27年度献血推進調査会の審議結果及び平成28年度の献血の推進に関する計画()について、資料2-1から3まで御説明をよろしくお願いいたします。

○事務局 資料2について説明させていただきます。本日の血液事業部会に先立ち、昨年10月と先週の1月13日の2回、献血推進調査会を開催いたしました。本日御覧いただいている資料は、いずれも調査会の議論を踏まえたものです。

 まず、資料2-1「『献血推進2014』の結果について」を御説明します。「献血推進2014」は、血液の安定的確保のための献血活動の達成目標として、平成22年に当時の将来推計を基にして、平成22年度から昨年度、平成26年度までの5年間の中期目標として設定されたものです。大きく三つの目標を掲げておりました。2.にある表の項目に記載されているとおりで、1点目は若年層の献血率について、2点目は集団献血について、3点目は複数回献血についてです。表の下に評価結果を記載しております。

 1点目の「若年層の献血者数の増加について」、それぞれ10代、20代の献血率の目標を定めておりました。10代は平成23年度に一時減少し、平成2425年度と増加したものの、平成26年度は再び減少となり、残念ながら目標並びに平成21年度の献血率を下回る結果となりました。また、20代は、平成22年度に若干増加しましたが、その後は減少し続け、こちらも目標、並びに平成21年度の献血率を下回る結果となっております。

 これらの要因としては200mL献血由来製品に係る医療機関の需要動向を踏まえた400mL献血の推進方策によって、結果として200mLの献血者数が減少したことが大きな要因であると考えております。この200mL献血の在り方については、今後も引き続き検討していく必要があると考えておりますが、この後の資料である献血推進計画にも記載があるとおり、学校献血時における初めての献血の経験は、その後の献血行動への動機付けに有効であり、200mL献血も含めて、可能な限り献血を経験していただくということが重要であることから、そういった記載をさせていただいております。今後、少子高齢化による献血可能人口の減少を踏まえ、若年層の方々に継続的に献血を行っていただけるような取組が一層重要となってくることから、事前に献血セミナーを開催し、献血の意義、必要性等、知識、思想の普及を図った上で、実際に献血を経験していただくなど、効果的な働き掛けを行うことが大切と考えております。

 続いて、2点目の「安定的な集団献血の確保について」は、集団献血等に協力していただける企業や団体の数を目標値として定めておりました。こちらは、平成25年度に目標である5万社を超え、平成26年度は5万2,084社に御協力いただき目標を達成しておりますが、まだ新規開拓を行う余地はあるため、引き続き企業・団体献血の働き掛けを積極的に行っていく必要があると考えております。また、先ほどの若年層献血の献血率の部分と一部重複する内容となりますが、集団献血においても1稼動当たりの若年層献血者が減少してきていることから、そういった世代の取組も必要と考えております。引き続き、特に企業の代表者の方々の御理解、御協力を得られるように取り組んでまいりたいと思います。

 3点目の「複数回献血の増加について」は、年間の複数回献血者数の目標値を定めております。平成24年度までは着実に数字を伸ばしてまいりましたが、平成2526年度と減少が続き、こちらも目標、並びに平成21年度の複数回献血者数を下回る結果となりました。引き続き、複数回献血者の確保に取り組むことはもちろんのことながら、複数回献血者における若年層献血者の割合を向上させるような取組も重要であると考えております。当面は、血液製剤の安定供給を行うことはできるものの、現状のままでは将来的な血液不足は大いに心配されるところです。

 厚生労働省としては今回の結果を真摯に受け止め、今年度よりスタートしている新たな中期目標「献血推進2020」の目標達成に向け、若年層献血者確保のための効果的な方策の更なる検討を行うとともに、各都道府県や日本赤十字社と協力して、引き続き献血の推進に取り組んでまいります。

 続いて資料2-2、資料2-3について御説明します。これは国が策定する平成28年度の献血の推進に関する計画、いわゆる献血推進計画の案であり、資料2-2は、今回の案の修正箇所を反映させて溶け込ませたもの、資料2-3は、平成27年度計画との新旧対照表となっています。説明は資料2-3の新旧対照表に沿って行います。左の枠が平成28年度の計画()、右の枠が平成27年度計画です。

 まず1ページ冒頭の、平成28年度の献血により確保すべき血液の目標量についてです。平成28年度に必要と見込まれる輸血用血液製剤の量と、原料血漿の必要量も含めて全体として確保する必要がある血液の量が記載されています。これは各都道府県で調査を実施して、来年度の需要を予測したものです。その結果は、合計で201万Lの血液を献血により確保することが必要となりますが、平成27年度計画では199万Lでしたので、若干の増加となる予定です。

 次に2ページ中段の部分、資料2-2で言うと4ページの2ポツ目です。「企業等における献血の推進対策」として、採血事業者は、企業等に対して「献血セミナー」を実施し、正しい知識の普及啓発を図ることを追加しました。特に企業等の代表者を含め、献血の意義や知識の普及を図ることにより、企業全体を通して、社会貢献活動としての献血の更なる推進を促すことができればと考えております。現在、既に企業向けセミナーを実施している血液センターもありますが、全国統一的な取組事項として意識付けるため、このように明記させていただきました。

 次に3ページ中ほどの部分、資料2-2で言うと5ページ中ほどです。1「献血の推進に際し、考慮すべき事項」の丸1.の1ポツ目です。文章の終わりの方の部分の「栄養士」に「等」を追加しました。栄養士と限定せず、看護師や保健師、医師など、健康相談を受け持つ職種を広げることにより、健康相談の実施の場が広がったり、実施回数を増やすことができればと考えております。また、同じページの下の丸2.の1ポツ目ですが、ここについては文脈の整理を行いました。利便性に配慮しつつ、安全で安心かつ効率的に採血を行うこと。そのための具体的な取組がどういったものなのかを分かりやすくしたものです。

 最後に4ページですが、丸6.の2ポツ目、資料2-2で言うと6ページの中ほどです。こちらも文章の整理を行いました。まず、「周知啓発」の主語を明確にしました。また、1ポツ目で「400mL全血採血を基本的に推進する」としていることに対して、2ポツ目はその逆説として「しかしながら」を用いていました。「400mL献血に不安がある場合には200mL献血を」とつなげる意図があったのですが、これまでの文章では「セミナーを行う」で文章が一度切れてしまっているため、「しかしながら」が後半の200mL献血の部分にもかかってくるよう、文章をつなげた形としました。

 なお、参考資料1として献血者数の推移、参考資料2として献血率の推移を添付させていただきました。資料の説明は以上です。

○半田部会長 それでは、委員の方々から御意見、御質問をお願いします。

○三村委員 全体的に方向性はいいと思っております。ただ、より効果を高めるためにということで、この中にいろいろ工夫を書かれていらっしゃるのですが、「献血セミナー」というものについて、先ほど各所で結構良いものをやっていらっしゃる、それがなかなか全国的な活動になってないところが問題だろうという話もあったと思います。そうしたときに、この献血セミナーというものを、できれば全国統一プログラムにしていくとか、何かそういう考え方が出てくると非常にいいのではないかということです。

 それから、献血セミナーの中身なのですが、企業向けのセミナーと学校向けのセミナーというと、やはり内容的にも少し工夫が必要ではないか。特に企業向けセミナーというと、先ほどありましたように、健康に対する相談などいろいろな要素を入れながらということですので、「献血セミナー」ということで結構なのですが、そのプログラムについて、もう少し参加してみたいなと思うような形で何か工夫していただければ有り難いと思います。

 確かに若年層を巻き込むのは大変難しいと思いますが、特に企業に対してもっと積極的に出していただいて、やはり協力した企業をしっかりと、ときにはお名前を出してもいいし、そういう形の中で評価するような仕組みがあるといいのではないかと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。非常に重要なポイントなのですが、具体的に、この献血セミナーというのは今までもやられていたということで、今回新たに加わった一番重要な変更点というか、新しいところだと思うのですが、日本赤十字社の方から、具体的にどういう工夫をされるかというところで、何かよろしいですか。

○日本赤十字社西田副本部長 日本赤十字社の西田でございます。過去の献血推進調査会等の中でも、この辺りの方法論も頂戴しており、先ほど三村委員から頂いたご意見も踏まえつつ、統一したプログラムに一部トライアルしております。

 実際には、学校に出向いて、保健や道徳の授業の間で、お時間を頂戴して、道徳教育若しくは公衆衛生的な観点も含めつつ献血の大切さ、命の大切さというものをセミナーしているところです。

 御指摘いただきましたように、生徒、学生や幼少期の子供たちと企業ということになると、対象が違いますので、対象者に合わせた推進のプログラムの内容は重要であります

 一部の地域では、例えば献血の協力団体等の御協力を得ながら、献血セミナーを企業の中で開催させていただいているという実績があります。しかしながら、プログラムの整理という課題から、まだ十分なものになっていないということも認識しており、今後も御意見を頂きながら取り組んでいきたいと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。三村委員、よろしいでしょうか。

○三村委員 はい。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○岡田委員 何年か前の資料にはあったのですが、高校で献血車を受け入れている割合が、都道府県ですごく差があったのを記億しております。受け入れている県は90%以上の高校が献血車を受け入れているし、受け入れていない県においては数パーセントぐらいの高校が受け入れているということで、大分、都道府県の差があるので、献血車を実際に受け入れるかどうかという話は別として、やはり献血を経験する機会を与えるということは必要ですので、都道府県の教育委員会などと調整をして、いきなり献血車を受け入れろというのは無理かもしれませんが、その前に、先ほど出ましたが、献血の必要性を伝えるようなセミナー等をやった後に、受け入れてもらえるような交渉などが必要ではないかと思います。

 それと、今、献血を推進しようということですが、実際に献血をされている方は、採血された血液がどういうふうに使われたかというのを意外に知らないのです。ですので、献血セミナーの中にも、例えば、外傷や白血病等で大量に輸血を受けられて、それで元気になった患者さんの声を、何人かの患者さんに協力をお願いして、その患者さんの声をそういうセミナーで伝えると、なお献血をしている方の励みにもなるし、あとは、経験したことがない人でも「そういうふうに重要だったら献血をしようか」という意識に変わるかと思いますので、是非、輸血を受けられて疾患が治られた方の話を乗せるというのもいいのではないかと思います。

○事務局 岡田先生、御意見をどうもありがとうございました。おっしゃるところはそのとおりだと思います。まず、高校献血について、各地域で実施率に差があるという御指摘です。それはそのとおりなのですが、私どもとしましては、文部科学省の方に働き掛けを行い、文部科学省より各都道府県の教育担当の部署の方に、献血セミナーの受入れ、献血車の受入れとともに協力をしていただけるような通知を出していただいております。

 ただ、実際には献血推進の現場の声も大事だと思っておりますので、今、日本赤十字社を通じて、現場の推進担当の声を集めているところです。その集計結果をもって、高校への働き掛けについても、今後も更に積極的に、一緒に取り組んでいきたいと考えております。

○濱口部会長代理 今のお答えに関連してなのですが、できれば、高校献血における現場というか、受け入れる側の意識というものをもう少し解析していく必要があるのではないか。始めからこれは受け入れられないというスタンスをずっと取られているのか、若しくは、どういう条件が整えば受け入れられるのだけれどもというようなところをもう少し解析しないことには、外からやらせてくれということの要望だけでは、これはなかなか改善が見込めないのではないかという気も少ししますので、そこも検討していただければと思います。

○事務局 ありがとうございます。

○半田部会長 一つ気になったのが、今回、平成25年度から平成26年度に、若年層の献血率が下がりましたよね。これは200mL献血を推奨しない、なるべく400mL献血に移行しようということで若年層の献血率が下がったというふうに言われたのですが、これは献血しようとされる方々の意欲自体は減っていないのに、受入側が、やはり200より400ということで、結果的に受入側の意欲が低下したために献血率が下がったということでしょうか。

○事務局 御指摘ありがとうございます。結果としては、そういうことになっているのかというところもあります。

○日本赤十字社西田副本部長 最終的には輸血用血液製剤としてお届けしなくてはならないため医療機関のニーズは重要です。医療機関からの発注は95%が2単位の赤血球製剤を御要望され、1単位は一部の診療領域で必要だという報告はあります。このような医療機関からの御要望に応える形で採血のコントロールを行っているのが現状です。

○岡田委員 確認ですが、400mLを優先ということで、200mLはある程度抑制するということなのですが、その場合、例えば年齢によって、高校生や10代の人は積極的に受け入れて、それで、年齢的には4050歳で体重が非常に軽い方には御遠慮してもらうような取組はしているのでしょうか。

○日本赤十字社西田副本部長 先ほどの献血推進計画の中にもあるように、基本的には400mL採血を主としますが、高校生で400mLに不安のある方については200mLで採血を行うことから、やはり若い方からの200mL採血というものを優先に考えております。

○半田部会長 ありがとうございました。本日のいろいろな御意見が出ましたが、それらを踏まえて、さらに、パブリックコメントの聴取を含めて、必要な手続を経た上で、当該計画()については、最終案を次回の部会に提示していただくように、事務局には、よろしくお願いいたします。

 続いて議題3「平成27年度安全技術調査会の審議結果について」です。まず、資料3-1、資料3-2について御説明をお願いします。

○事務局 資料3-1の丸1.を御覧ください。「HBs抗原検査陽性検体のHBs抗原抑制試験の廃止について」という紙です。日本赤十字社の方では、献血血液に対するB型肝炎ウイルス(HBV)スクリーニングとして、HBs抗原検査、HBc抗体検査及び核酸増幅検査を実施して、いずれかの検査で陽性の場合には、輸血用血液製剤や原料血漿としては使用されておりません。HBc抗体又はNATが陽性の場合は献血者へ結果が通知され、必要に応じて遡及調査が行われております。HBs抗原検査が陽性の場合は、確認検査としてHBs抗原抑制試験と個別NATを実施して、どちらかが陽性の場合には陽性と確定して献血者へ通知され遡及されているという状況でした。

 今般、HBc抗体検査の判定基準が2012年8月に強化され、また、一昨年、平成26年8月には全献血検体への個別NATが導入されたことに伴い、抑制試験を廃止することについて、第1回安全技術調査会で審議されました。

 調査会では、HBs抗原陽性は確定ではないけれども精査を促すような案内を知らせるべきではないかという意見が検討されました。結論としては、HBs抗原検査陽性検体のHBs抗原抑制試験の廃止をしても、現状においては血液の安全性への影響はなく、献血者への通知及び遡及調査への影響はないことが確認されたため、抑制試験を廃止することが、条件付きで認められました。その条件としては、現在は献血者へのサービスとして、ほかの検査結果が陰性でも、HBs抗原陽性であれば通知をするということになっておりますが、検査結果の乖離があった場合への対応についても検討することとされました。現在、そのような方向で運用が検討されており、来年度よりHBs抗体抑制試験は廃止される予定と聞いております。

 引き続き資料3-1の丸2.です。こちらも第1回安全技術調査会の資料ですが、「ALT検査による製品除外の見直しについて」です。背景として、日本赤十字社では現在、ALT61以上の献血血液は、ほかの病原体検査が陰性であっても、製品検査「不適」として、輸血用血液製剤や原料血漿には使用されておりません。これにより、年間約500万献血中11万人分、すなわち約40人から50人に1人の献血血液がALT「不適」で廃棄されているというのが実状です。将来、献血者の減少が見込まれること、また、スクリーニング検査技術の向上でHCV、HBVの代用マーカーとしての意義が乏しいこと。また、諸外国ではALT検査は中止されており、WHOのリコメンデーションでもALT検査のスクリーニングについては表記されていないことから、検査結果の報告というサービスは続けながら、安全性向上のために製品検査として継続する必要があるかについて議論をされました。

 2番のALT値と血液の安全性に関してですが、E型肝炎のスクリーニングが今、北海道の方でされており、ALT高値とE型肝炎のNAT陽性に関してのデータが出されました。また、()サイトメガロウイルスやEBウイルスとの関連性、また、ALT高値のものに関して、()のウイルスの次世代シークエンサーによる網羅的な解析の結果なども報告されました。(4)のALTの上昇の原因についても、甲状腺の機能の異常でも見られるのではないかという意見もありましたし、脂肪肝などのものも考えられるという意見は出されました。実際、日赤の方で解析した結果、ALTが60以下又は61以上であることと強い正の相関を示したのは、BMI、ガンマGTP、及び年齢であり、肝炎関連検査項目は全く関連性を示さなかったという結果でした。

 以上のような議論がされており、あと、現状においてはALT基準値を設定せずにやめるという方向性ではなく、段階的にやめるということも考えてはどうかということ。あとは、念には念を入れてというような、慎重にするべきというような議論もされていました。したがって、このALTの検査を製品除外に使うかどうかというのは、引き続き継続的な検討課題となっております。以上が資料3-1の2の説明となります。

 続いて資料3-2です。こちらも第1回安全技術調査会の資料ですが、「血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入について」というものです。こちらの検討の経緯ですが、日本赤十字社の方で血小板製剤の感染性因子低減化技術というものを、ミラソルでずっと検討されており、血液事業部会運営委員会、安全技術調査会において、その導入に向けた検討が続けられてきました。その間、問診の強化や皮膚の消毒法の改良、白血球除去・初流血除去の導入、出庫時における外観確認検査等の細菌対策を進めた結果、かなり輸血による細菌感染が減少しており、死亡例も見られなくなりました。

 一方、日本においても、一昨年のデング熱の流行や、SFTSなどのように、新興再興感染症の新たな輸血感染症発症の懸念が高まっているという背景もあります。6月23日の血液事業部会の運営委員会で報告したところ、血小板製剤の不活化技術の導入目的について改めて議論するようにということで、安全技術調査会で挙げさせていただきました。

 まとめの資料ですが、その下の2ですが、導入に関しては、細菌感染と新興再興感染症対策というものがあり、どちらも重要であるという議論がされました。今後の方針に関してですが、いろいろな意見が出ましたが、ミラソルやインターセプトを比較して、実際に導入するに当たって、どのようなコストや初期投資や維持の費用といった観点からの資料を出してほしいという意見も出ました。あと、安全性の面ではどうかという話も出ておりました。血小板製剤に対して何か操作を加えることで、血小板機能そのものがきちんと働くかという議論もありました。

 これまでミラソルの方を日赤としては検討を続けてきたのですが、場合によっては今後、インターセプトという不活化技術に関しても十分な検討を進めておく必要があるだろうという意見になりましたので、ミラソルとインターセプト両方とも同時に検討を進めていくという結論になっております。以上が資料3-2の説明です。

○半田部会長 委員の方々、御質問、御意見をお願いします。

○溝上委員 資料3-1についてお聞きします。まず、HBs抗原の抑制試験ですが、NATでは前例陰性ということですね。そうすると、NATが導入されれば、HBs抗原そのものを測らなくても、と思ったのですが、どうなのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 おっしゃるとおりで、現実的にはs抗原を測っている意味というのは極めて僅かのところしか現在はない状況です。ですので、そういう中で、非特異反応が多く信頼性のやや乏しい抑制試験を入れておくことは、かえって問題だろうということです。

○溝上委員 二つ目なのですが、資料3-1の丸2.ですが、これはALTが61としてあり、昔アメリカなどは80などと言っていましたが、これはBMIなどと比較はなさっていたのでしょうか。つまり、今は脂肪肝の人がどんどん増えています。そうすると、感染性はないにしてもどうしても上がってきますので、それでお聞きしているのです。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 そこにも書いてありますが、1,600万の検体を用いて解析し、BMIと非常にきれいに相関しています。今の御意見にありましたように、アメリカで80という基準はなく、アメリカはもう完全にありません。

○溝上委員 もう一つよろしいでしょうか。

○半田部会長 どうぞ。

○溝上委員 今これだけ2,000万人も人が海外から来ているという状況ですので、HBs抗原の問題とのからみがありますが、HDVについては何か検討なさっているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 日赤では検討したことはありません。

○半田部会長 よろしいでしょうか。確認なのですが、今のことに関して、ALTの導入に関しては、この結論では、製品の方には導入すると書いてあるのですが、完全にこれをやめてしまうということではなくて、まだしばらくは、やるということですよね。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 すみません、何の方にはと?

○半田部会長 ALTの検査をやめるということに関して、製品の方では除外すると、ここに書いてありますが。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 先ほどの説明にもありましたように、通知についてはそのまま継続するわけです。製品除外の方だけということですが、いろいろな御意見が出た中では、全部撤廃というのは非常に問題ではないかという意見もありましたし、段階的にやったらどうかという意見もありましたし、もっと慎重にという意見も、いろいろな意見がありましたので、継続して、更にこれから一緒に検討を進めていくという状況にあります。

○三谷委員 私も二つ確認させていただきたいことがあったのですが、1点は半田部会長が今おっしゃったとおりのことで、このALT検査をどうされるのか、資料に書いてあることと御説明が少し違ったようなので確認をさせていただきたいと思いました。

 同様なのですが、資料3-2の話題で、血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入に関して、いろいろまた検討していただいたようなのですが、資料から拝見するに、ミラソルで今後も継続するという記載があるように思うのですが、御説明では何か並列で、今後も検討していくとおっしゃったように聞こえたのです。確認をさせていただけますか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 二つを同時に併行でやるということは、人員や時間などいろいろな面で極めて困難であるのは確かです。ですので、我々としてはミラソルをまずやっていくというふうにしたいと思います。もちろんこれはインターセプトを完全に最後まで排除するという意味ではなくて、何か瑕疵が認められれば、もちろん別のものも考慮に入れるという考えではおります。

○倉根委員 資料3-2の6ページの別添の表の読み方なのですが、ウイルスが書いてあって、右に数字が書いてあるのですが、これはどう読めばいいのですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 申し訳ありません、これは全部ロガリズムのリダクションデータですので、102.8ならば、102.8乗分の1になるという。

○倉根委員 減するということですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 はい。

○半田部会長 減ずるということですね。他にいかがですか。

○花井委員 委員の皆様の疑問と同じなのですが、つまり、安全技術調査会の意見と、日本赤十字社のやりたい方向がずれたまま何となく、では、ここで決められるのかということなど、少し曖昧っぽい話になっている。基本的には安全技術調査会の結論に沿った形で日本赤十字社にはお願いしたいという筋だとは思うのですが。

 とは言え、この親部会としても、例えばALTについては、基本的に献血者へのサービスとしては継続するのですから、それはやめてコストダウンはないのであって、要は、捨てている使わない分を使うという献血の有効利用という観点からいかがかという御提案で、安全技術調査会は依然として慎重だと言っているということだと思うのですが。やはり、献血血液がある種無駄になっているとも言えるわけで、ここの結論は、やはり安全技術調査会も、今回、慎重に、ちょっとこれも玉虫色の結論になっているのですが。私個人的にはもうほかのマーカー、要するに代用マーカーだったわけですからいいのかとは思うのです。もちろん私は素人で、専門家がちょっと慎重にと言っているので、そこは早めに結論を出す必要があるかと思います。

 それから、不活化については、安全技術調査会としては、やはり新興感染症が今後増えていく中で、インターセプトも捨て難いというところが多分あると思うし、今後、感染症がどういう形で広がるかが分からないから、いろいろなワイドレンジレシーバーを用意したいという感じで、両方ということだと思うのです。日赤としては、これまでの検討と、技術導入の経緯からミラソルをやってきているのに、ここで併行してインターセプトをやるのは事実上無理というのであれば、もう無理だということを、やはりそこはきっちり、何とか曖昧にやり取りするのもいいのですが、それで結論を出して、導入はまだ早いというのであれば、導入は早いということでもいいですし。

 それから、多分、薬機法上の承認が要るのです。そうすると、製品としてミラソルバージョンを一部出荷してもいいわけですね。それも薬価がどうなるかという問題はあるのですが。それを踏まえて、また次の開発としてインターセプトをやるとか、もう少し具体的な方向性に結論付けないと、多分またこのまま何となく進むような感じがあるのです。これは事務局として説明してもらうしかないと思うのですが、どうですか。

○血液対策課長 今、花井委員から御指摘されたことは非常に重要であると事務局でも認識しております。もう少し早い段階で、今後の方向性を決めていくということで、安全技術調査会の方にもお願いしていきたいと思います。特にALTの話については、善意の献血に基づいた貴重な血液ですので、やはりそれを有効活用するというところが重要なポイントだと思いますので、それを十分踏まえた上で、今後早い段階で結論を出すというようなこと。

 それから、インターセプトとミラソルについては、特にミラソルについては、今後もう少し具体的な検討に入ってデータをしっかり出していくということです。インターセプトについては、海外で使われているデータがかなりありますので、直接、治験などのデータを取ることは、すぐに日本でということではないかと思うのですが、海外のデータを最大限有効に活用して、我々の検討に資するということは重要かと思います。海外のデータを積極的に取りながら、日本のデータと比較検討して、調査会の方で鋭意、結論を出していただけるように事務局としてもお願いしたいと考えております。

○濱口部会長代理 安全技術調査会の部会長をしております濱口です。少し補足させていただきますと、ALTについては、もう少しデータを出してほしいということで、継続審議をさせていただく予定です。ですので、その中で、本日も幾つか御議論いただいているような内容を、全部、日赤の方で整理していただいて、その上で結論をできるだけ早いうちに出したいと考えています。

 それから、ミラソルについては、今、日赤がやられているような方向性は、一応それでオーケーであろうと。ただ、一つはやはりコストの問題がありますし、それから、例えば新興再興感染症が全てこれでカバーできるかという問題がまた別にありますので、ここも含めて検討が必要であろうと思います。ですので、ミラソルを先行させるということについてはオーケーで、ただ、それだけではなくて、更に付随する問題点についても一緒に検討していただくというような形で、今、考えております。

○室井委員 ちょっと細かいことなのですが、資料3-1の5ページに、HBs抗原抑制試験が陽性で個別NAT陰性の5例が挙がっていて、1から4は非特異反応というのですが、この5番の例というのはどういうふうに考えるのでしょうか。つまり、抑制試験陽性で個別NAT陰性だったけれども、その後、抗原が陽性と分かったような。

○半田部会長 資料3-1の丸1の4枚目ですね。

○室井委員 5ページのNo.5という症例は。

○半田部会長 24例の抗原陽性でNAT陰性の中で、一番最後のNo.5のことですね。

○室井委員 はい。50歳代女性の、この方はどのように考えるのでしょうか。抑制試験の方が個別NATよりも感度が良いから、これが陽性になってしまったと考えるのですか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 抑制試験にも非特異反応があるということがよく知られています。

○室井委員 この方は最初だけ陽性だったみたいなのです。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 そうですね。

○室井委員 普通に考えると、個別NATの方が多分感度が良いので、どうしてこういう結果になったのかと思ったものですから、今、質問したのですが。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 やはりこれは、NATの感度は非常に高いとはいっても、極めて低濃度の所であって、こういった場合にはストカスティックな、つまりヒットレートの問題でNATが陰性になることは当然あります。ですので、そういったところで個別NATが陰性になることは稀ではありますが、やはり起こり得ることだと思います。

○岡田委員 この解釈ですが、NATが万能ではないので、プライマーが合わなければ陰性になってしまいます。ただ、その割合がB型肝炎は幸いに非常に低いので、ほとんどはNATで見つかるのですが、一部、すり抜けがあると思います。そういう意味で、このHBs抗原を測るというのはそれなりの意味があります。ただ、今回の安全技術調査会の方は、もちろんこのs抗原が陽性になったものに関しては輸血用の血液としては使わないということで、直接的な被害はないと思いますが、検査的にはHBs抗原が陽性でNAT陰性というのは、理論的には十分考えられます。

○室井委員 この5番の方というのは、通常のHBs抗原は陽性で、抑制試験も陽性だったけれども個別NATは陰性だった。それが先ほどのプライマー等の問題で、やむを得ないという。

○岡田委員 そうだと思います。例えばこれを、いろいろなプライマーを当てれば、陽性になることがあると思います。

○室井委員 現時点の限界みたいなものなのですかね。

○岡田委員 そうですね。ですので、こういうスクリーニング検査に関しては、やはり漏れが生じる可能性があるということで、複数の試験をやることによって、そういう漏れをできるだけ少なくするということで、別に、確認試験は廃止になりますが、HBs抗原の試験と、もちろん個別NATということは、通常のスクリーニング試験として実施しておりますので。そういう面では併せることによって安全性を確認されていると思います。

○室井委員 分かりました。

○半田部会長 一つ追加です。献血者の方に通知するとここに書いてあるのですが、抗原が陽性でNAT陰性で、ほとんど、24例中の23例がc抗体の方で確認できたのですが、この最後の例だけは確認できていないのです。それで、なおかつ献血者に通知するというのはどういうことでしょうか。

○日本赤十字社佐竹経営会議委員 それは、この方がs抗原が陽性ですし、それから、この方の血液が使われないということがありますので、そういう意味では、黙っていて、いつまでも献血を受けるということはよろしくないだろうと。

 あと、本質的には、これはコア抗体が、陰性なのですが0.8ということで、s抗体の極めて弱い陽性と一緒に考えれば、これは、いわゆるオカルト感染の部類に入るのだろうと思います。そういう意味では、この献血者にも通知をするのが妥当だと思われます。

○溝上委員 1番から4番の方は免疫抑制剤を使うと陽性になる可能性が極めて高いです。したがって、こういう方に通知することはリーズナブルだと思います。それが一つです。

 二つ目は5番の方ですが、実は濱口先生の所と一緒になって、日赤から検体を頂いて、いろいろなキットでやると、あるキットではプラス、あるキットではマイナスです。つまり、国産のキットでは非常によく当たりますが、海外のキットだとマーケットの抗原が違う抗体を使っています。その関係があって、こういうことが起こります。ただ、こういう方についても、見ていただければ分かりますが、抗原があって、s抗体が被っている状態で、多分、引っ掛かってこないのだろうと。これはイムノコンプレックスを作っているような状態だと理解しております。したがって、これを壊して、そしてPCRをかけると出てくるというのが基本的な考え方なのです。

 ただ、それは量が少ないから、今度は、その取ってきた血清の中になかっただけで、ほかの所にはいた可能性はあると思います。したがって、そういう意味では、こういうことは十分に起こり得る可能性は高いのではないかと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。大分時間を使ってしまいました。

 それでは、残りの資料3-33-43-5を御説明願います。

○事務局 引き続き資料3-3、「日本赤十字社におけるヘモビジランス2014」を御覧ください。1枚目のスライドですが、2014年では「感染症疑」は約81件と、やや減少しております。「GVHD疑」に関しては、全て輸血との関連は否定されております。

 5枚目のスライドが「TRALI/TACO症例と評価件数の推移」です。TRALIと評価されたものは2件と減っております。一方、緑のTACOについては、2012年の4月から評価を開始しておりますけれども、やや増加傾向にあります。

 次に9枚目のスライド、「輸血による感染が確認された症例の推移」を御覧ください。2012年8月にHBc抗体判定基準を変更して厳格化しており、2014年8月に個別NATを導入しております。以降、感染が確認された症例はHBV、HCV、HIVともにゼロとなっており、現在もゼロのままになっております。その下のスライドでは、個別NAT導入による感度向上が書いてあります。

 スライド番号12番に、「輸血後E型肝炎感染の推移」というのがあります。北海道では2006年3月から、試行的NATを開始しております。そして2011年には、IgA抗体の測定試薬が保険収載されており、それによってE型肝炎の報告例は増えております。日赤では、今年度中に首都圏のE型肝炎の疫学調査を始めるという計画で進めていると聞いております。

 最後のスライド、13枚目がサイトメガロウイルスについてですが、一応全て、輸血との関連は否定されております。2014年の2例に関して、解析結果として1例目は母乳と患者のサイトヘガロウイルスの塩基配列が100%一致しております。2例目の方は因果関係の特定には至っておりません。これはウイルス量が少なかったためと聞いております。以上がヘモビジランスの資料です。

 次に資料3-4で、国立感染症研究所の感染症安全対策体制整備事業の実績報告をしていただいております。平成26年度の実施内容は2番にありますように、()国内感染報告が相次いだデングウイルスに対する高感度核酸検査法の開発、()献血で検査落ちした血液検体及びコールバック検体におけるデングウイルス核酸検査の実施、()海外における血液安全に関する情報の収集及び交換をしていただきました。

 その結果、日本赤十字社の協力の下、平成26年6月以降に得られた献血血液、2,000人分の血液検体をスクリーニングしたところ、9月から11月の間に献血後の発熱やデング熱ウイルスの疑いがあるという申出があったコールバック検体の23検体を調べたら、全ての検体においてデングウイルス1~4の核酸は陰性と判定されたという報告です。デングウイルスの高感度核酸検査法に関しては、高感度な検出法が構築できたと考えられており、今後のデングウイルスの血液への混入をモニターする有力なツールになると考えております。

 資料3-5が、NATコントロールサーベイについてです。これも国立感染研でやっていただいています。この事業の目的は、NATガイドラインに基づいて、我が国で使用する分画製剤の製造所と輸血用血液製剤のスクリーニングをしております。それによってバリデーションと精度管理がきちんとしているかという実情を把握するために、コントロールサーベイをしております。

 平成25年に国内の分画製剤製造所の原料血漿プールのNATが、マルチプレックス法のTaqScreen MPXに更新されて、HBV、HCV、HIVのウイルスを識別して検出することが可能になりました。平成26年8月には、日本赤十字社で個別NATを導入しております。それに伴い、平成26年にNATガイドラインの改訂と献血個別NAT導入に伴う検出限界の改正が行われたところです。そこで、平成26年度は現に実施されている試験法で三つのウイルスの検出と識別ができているかどうかの実情把握を目的として、NATコントロールサーベイが実施されております。

 その結果、2.実施内容の()に書いてありますように、国内標準品の精査を行ったところ、HCV-RNA国内標準品とHIV-RNA国内標準品への微量なHBV-DNAの混入が示唆されたため、それに関して精査したところ、微量のHBV-DNAが混入していることが判明した。それに関しては、平成26年度第2回安全技術調査会に報告され、利用者にも周知されております。

()実施要綱の作成に関しては、HIVとしてHIV-2の検出も可能になっております。

 次のページの3.「平成27年度の実施計画」です。昨年度に引き続き、実施中のNATコントロールサーベイの結果の解析と、NATの精度管理の評価をいたします。分画製剤製造所と輸血用血液製剤スクリーニング施設を対象としたHBV遺伝子型パネルを用いたNATコントロールサーベイの材料の入手と実施要綱()の検討をしていただく予定です。以上が資料3-5の説明です。

○半田部会長 ただいまの御説明に関して、御質問あるいは御意見等々はありますか。

○大平委員 デング熱ウイルスの点です。平成26年度はかなり発生して、平成27年度はニュースにもならなかったという点もあったのですけれども、こういった検査方法が開発されたというのは大変いいことだろうと思っております。ただ平成27年度で、何かサンプルとして引っ掛かった例は出たのでしょうか。

○濱口部会長代理 今年度も引き続き同じような形で、日本赤十字社の方から報告していただいています。表に出てきていないものも、内容については一応同じ規模で検討しておりますので、結果が出次第、また報告という形にしたいと考えております。ただ、この場合は実際に起こる可能性を想定した上で、いろいろな新しい病原体についてのNAT解析系を作っております。日本国内でこれに類するような新しい病原体が入ってきたときにも、対応できるような体制でこの事業を続けていきたいと考えております。結果については、次回また御報告させていただきます。

○倉根委員 デング熱の輸入患者、つまり海外で感染してお帰りになって発症した患者は、詳細な数までは覚えておりませんが、確か200人前後はおりました。そういう意味では例年と変わらないのです。ただ、国内で感染した方がいなかったというだけです。

○溝上委員 資料3-5の4ページです。これは感度パネルですけれども、HCV、HBV、HIVの陽性血漿の材料は、「国際標準品」と書いてありますね。これはどういう材料ですか。例えば、ジェノタイプなどはどういうようになっているのでしょうか。

○濱口部会長代理 これについて、私もジェノタイプ等の詳しいデータは、ここには持ち合わせておりませんけれども、これはNIBSCが作成している国際標準品を購入して配布しています。

○溝上委員 先ほどもありましたように、HVBは非常にバラエティーに富みますので、どういうシークエンスでどういうものが入っているかというのを確認しないと、プライマーが当たるとか当たらないとか、キットが違うとか、あるキットではプラスになって、あるキットではマイナスになるということがあります。しかも日本の場合、B型だと「ジェノタイプBJ」といって、非常に特殊なタイプがありますが、、それは海外のキットではなかなか引っかからないということがあります。そういうことも含めて、国際標準品ですからこれでいいというのではなく、国際基準品そのものがどういうものであるかも一度検討しておかないと、日本では外れる可能性があると思います。

○岡田委員 国際標準品はWHOが選定して、国際共同研究によって力価を決定したものです。標準的なウイルスを使っているということで、もちろん特殊なジェノタイプだと検出感度は劣ったりしますけれども、核酸増幅検査の感度というのは、方法が違うと著変します。そういう意味では国際標準品との相対的な比較ということで、国際的に、ある一定の感度が示されるように、国際標準品が作られております。主にヨーロッパで流行している株が国際標準品として用いられておりますので、例えばHCVに関してはIa、Bに関してはジェノタイプA、HIVに関してはジェノタイプBです。我が国の国内標準品は、HCVに関しては国内に主に分布している「Ib」を使っています。Bに関してはジェノタイプC、HIVに関してはジェノタイプBを使っております。それぞれの国内標準品は、国際標準品として一応相対的な力価として表し、各検出試薬の感度が国際標準と比較できるようなシステムになっております。

○溝上委員 B型HBVの場合、3万例ぐらいの配列のデータベースを持ってきて保存されている領域を探し出し、そこでPCRを掛けるようにしたという経験があります。その場合と海外のキットとでは、桁が1桁違ってきました。したがって、国際標準品と合わせるのは結構です。しかし実際に日本で輸血に使うのですから、日本でどうなるのかというところも押さえておかないと。今まではそういうことが分からなかったから良かったのですけれども、分かってきましたので、そこら辺も押さえておかないといけないのではないかということでお聞きした次第です。是非、御検討いただければと思います。

○半田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。大分時間が超過しましたので、議題4、「平成27年度の運営委員会の審議結果」として、資料4-14-2の御説明をよろしくお願いします。

○事務局 資料4-1を御覧ください。「供血者から始まる遡及調査実施状況」です。右端の列、4月1日から9月30日が直近の情報です。1,909件が遡及対象になったのですけれども、そのうち真ん中の8件がNAT陽性になったということで、これは全てHBVでした。一番下の最終的な報告になったものは、HBV、HCV、HIVともにゼロ件でした。

 3ページが平成2611月から平成2710月の感染症報告事例のまとめです。HBV感染報告事例は11件、HCVは29件、HIVは昨年3月にあった1件で、いずれも献血者の保管検体の個別NATは陰性でした。その他32件はA型が1件、E型肝炎ウイルスが4件、サイトメガロが7件、細菌感染が20件でした。

 4ページでは献血者のHIV抗体・NAT陽性件数を示しております。一番右下の数字を御覧ください。献血10万件当たりの陽性件数は、平成26年度が1.24でしたけれども、平成27年の1月から9月の状況は、0.954と減少しております。NAT陽性になったものは、昨年及び一昨年ともにゼロ件です。

 続いて資料4-2を御覧ください。献血血液のシャーガス病に対する疫学調査結果に関する資料です。1ページですが、疫学調査を行っておりました。安全対策としては、中南米諸国で生まれた又は育った方、母親が中南米諸国で生まれた又は育った方、中南米諸国に通算4週間以上滞在した方からの献血血液は、現在、原料血漿のみとして使用するという製造制限を実施しています。疫学調査の対象者に対して、検査を希望される方のみ検査をしたところ、11,192人中3人が陽性になっております。この3名の内訳は一番下に書いてあるとおりです。1人目のAの方は、複数回献血をされていましたけれども、受血者の中で感染を確認された例はありません。BとCの方は初回献血でした。

 裏のページを御覧ください。過去の献血検体に対するシャーガス病の調査の結果です。平成26年6月の安全技術調査会で、過去検体で血小板製剤のみ、シャーガス病の調査を実施することになりました。検査をしたところ、合計4,778名の献血者数が対象になりました。これは平成14年から平成2410月までの11年間の検体を調べたところ、全て陰性でした。以上が資料4-2の説明です。

○半田部会長 ただいまの御説明に関して御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、続いて資料の残りの御説明をよろしくお願いします。

○事務局 資料4-3を御覧ください。こちらは6月5日にPress Releaseしたものですが、化血研(化学及血清療法研究所)において12製品26品目が、承認書と異なる製造方法により製造されていることが分かったという内容です。この時点で健康被害の報告はないということで、出荷を差し止めて更に速やかに承認内容の一部変更申請等の必要な対応を行うよう化血研に指導いたしました。

 一方、代替品に切り替えると患者の生命に影響を及ぼす6製品16品目に関しては、医療現場での使用に影響が出ないよう、現在の正確な製造工程、製造記録などにより安全性を確認した上で、一部変更承認等の必要な対応が取られる前であっても例外として出荷を認めてきたところです。そして血液事業部会の運営委員会の方で審議をしていただき、必要な製品に関しては医療現場の混乱がないようにということで、安全性と有効性に関しては一定程度の確認をした上で諮り、出荷を認めていただいてきたところです。

 資料4-4を御覧ください。今回分かった不正行為に至った経緯、動機並びに事実関係、いわゆるコンプライアンス体制等をめぐる事実関係等の調査を実施するために、第三者委員会を立ち上げ、この委員会で再発防止策の提言が行われました。調査結果に関してですけれども、血漿分画製剤について、承認書と実製造との不整合及びその隠蔽を行った事実が認められました。

 2ページの()です。安全性に関しては、国家検定も受けて合格しており、重篤な副作用の報告がなされた事実も確認できなかった、また製剤品質の影響についての検討結果の根拠を精査し、特に根拠に不合理な点が見当たらなかったことなどから、本件不整合に係る血漿分画製剤が人体に対して危険を及ぼすことを示す証拠は見当たらなかったと報告されております。

 2.ワクチン製剤に関しても、9月1日に薬機法に基づき、報告命令を出しました。18日に化血研への立入検査をし、その後、承認書と製造実態の齟齬等についての厚生労働省への報告が適切になされていないとして、出荷の自粛が要請されています。再発防止策に関しては、第3に書かれております。第三者委員会で、再発防止策に加え、企業倫理の確立や適切なガバナンス体制の確立等を提言したことで、今後これらが確実に実行されることを強く期待すると結ばれております。

 これを受けて資料4-5です。これは1月8日の医薬品医療機器法違反業者に対する行政処分というPress Releaseで、1月18日から5月6日までの110日間の行政処分を行ったというものです。違反事実に関しては、承認書の製造方法と整合させた虚偽の製造指図書及び製造記録等を作成し、厚生労働省等の査察に対して組織的欺罔及び隠蔽を図ってきたこと、厚生労働省が昨年9月1日に行ったワクチン等に関する報告命令に対しても、適切な報告を行わなかったこと、及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構による立入調査においても、虚偽の製造記録等を提出する等、適切な対応を行わなかったことが違反事実として確認されました。

 4.業務停止除外品目に関しては、別添の資料を御覧ください。以上が資料4の説明です。

○半田部会長 それでは、ただいまの御説明に関して御意見、御質問はいかがでしょうか。

○前野委員 化血研の事件は、コンプライアンス以前の問題として非常な根深さを感じるとともに悲しみを覚える次第です。しかし同時に、それが化血研だけの問題なのかという不安も、一般の国民は持っていると思います。血液製剤メーカーは言うまでもなく、国民の献血で成り立つものであるので、一般の製薬メーカー以上に、厳しい倫理性が求められると思います。国民の不安・不信の解消策を直ちに実施して、信頼性の回復に努めていくことを厚労省が先頭に立っていただきたいと思います。

○半田部会長 大変、核心を突いた御指摘だと思います。事務局はいかがでしょうか。これは個別企業の問題ではなく、やはり国内の血漿分画製剤の体制自体の問題ですね。それが非常に根本にあるという御指摘も聞いたことがあります。全体の再発防止策も含めたところで、何か取組をしていらっしゃるのでしょうか。

○血液対策課長 御指摘、ありがとうございました。今回は、ただ単に1社のみの問題でなく、もう少し広い視点から、ほかの社における取組状況とか、似たようなケースがないかどうかという御心配もあるかと思います。そのために今後、対象企業1,200社ぐらいに、一斉調査を行い、各企業の取組状況を厚生労働省に報告してもらうようなことを進めております。ですから、ほかの企業でどうだったかということも併せて情報が入ってきますので、それを踏まえ、今後適切な対応を取っていくということを考えております。

 それから、やはり産業の在り方としてどうあるべきなのかという論点も、もう1点あるかと思います。この点に関しては昨年末、事務次官をヘッドとするタスクフォースを厚労省内に設置したところです。そちらで今後の産業の在り方とか、やはり最終的に重要なのは、必要な製剤、この対象にはワクチンと血液製剤の両方が入っているのですが、それらを安定的に供給するには、どういう対策が必要かという点について議論をしていくことになっております。そちらの結論は4月中をめどに検討が進んでいきますので、その結論と言いますか、検討結果も踏まえながら、今後の対策を更に強化していくということを考えています。いずれにしても今回の事案を踏まえ、やはり国民の不安は非常に大きかったと思いますので、信頼性の回復に向けて1日も早い安定供給が実現できるように、厚生労働省としても全力を挙げて、今取り組んでいるところです。よろしくお願いします。

○半田部会長 よろしいでしょうか。

○大平委員 今、御説明がありましたけれども、この問題は大変重要な問題だと思います。また、厚労省の中できちんと、今後の体制の問題などを議論されているというお話ですけれども、安全性を保ちながら、安定性を保ちながら、国内需給をきちんと推進していくということは、献血の在り方に多分に影響するものなので、そこをしっかりと逸脱しないように、是非方向性はしっかりと定めていただきたいと思います。それが一番です。そうした国内需給の安定的な供給をどうしていくかということを、是非検討していただきたいと思っております。

○半田部会長 よろしいでしょうか。それでは、本日最後の議題に移りたいと思います。「平成27年度適正使用調査会の審議結果について」ということで、資料5-1から5-4までの御説明を、よろしくお願いします。

○事務局 資料5を御覧ください。これは昨年10月に行われた、平成27年度適正使用調査会での報告事項です。資料5-1を御覧ください。血液製剤使用実態調査は、国が日本輸血・細胞治療学会に委託して実施していただいたものです。資料5-2を御覧ください。これは輸血管理体制についての調査結果です。表1にありますように、輸血が行われている医療機関は1万1,000程度あり、アンケートの回収率は50.66%と、近年では最も多くて半数を超えております。施設の9割は300床未満ですし、全血液製剤の8割以上は300床以上の医療機関で使用されていることが分かりました。

 次にスライド6、6ページの図2です。全血液製剤の9割は、輸血管理料I又はIIの施設で使用されていることから、血液製剤は輸血管理体制が整備された施設で使用されております。一方、BとDを見ていただくと、輸血管理料は取れても適正使用加算が取れていない病院も、3割以上含まれております。この理由としては、大きな施設では心臓血管手術や血漿交換療法の件数が多いために、FFPとアルブミンの使用量が特に多いことが一因と考えられております。

 次にスライド14です。表11にありますように、輸血管理体制に関しては、2005年に比べて大分改善しており、7割以上が整備されております。

 スライド17の表13aにありますように、施設の規模別で見ますと、300床以上の医療機関では9割以上が、こういう輸血業務に関して、きちんと管理体制が整備されているという状況です。

19枚目のスライドの図7にありますように、まだ都道府県では差があるために、各県と日赤が中心となった合同輸血療法委員会などによる地域の活性化が、今後の課題と考えております。

 次に、検査体制についてです。24枚目のスライドの図9にありますように、臨床検査技師以外がクロスマッチを行っているという状況が見られますので、今後は現場の先生の輸血に関する知識のブラッシュアップも必要と考えております。今年度からは医師や看護師のeラーニングのシステムを開発する研究班を立ち上げて、研究していただいております。

 次に、26枚目のスライドの図11aです。輸血前検体に関しては、300床以上の医療機関で9割以上保存されており、輸血前感染症検査がされております。

27枚目のスライドです。輸血後感染症検査を行う施設は徐々に増加しているという状況で、半分以上の施設で実施されております。以上が資料5-2の説明です。

 資料5-3が、「血液製剤使用実態の調査結果」です。輸血用血液製剤、アルブミン製剤、グロブリン製剤に関して、病床規模別の使用量、都道府県別使用量などが分析されています。スライド2の図1にありますように、自己血輸血の患者は減少しています。その原因について会議の中では、同種血による輸血の安全性の向上、及び術式による出血量の減少で、輸血する機会の減少が指摘されておりました。

 6枚目の表7には、血液製剤使用量の総供給量に占める比率があります。この実態調査では、日赤の総供給量の7、8割が把握されており、この数字が年々上昇しております。

 8ページのグラフでは、500床以上の病院で病床当たりの血液製剤の使用量が増加しておりますが、アルブミン製剤は全ての規模の施設で減少しております。グロブリン製剤については9枚目のスライドにありますように、病床当たりの使用量は全体的に増加傾向です。世界的にも免疫グロブリン製剤は適用拡大などにより、使用量が増加傾向です。

 スライド22は、大量出血時の院内調整のクリオプレシピテートやフィブリノゲンの適用外使用がされているという状況の報告があり、学会からはクリオ製剤の商品化について、日赤に要望されているという状況です。大量出血に関するガイドラインに関しては、現在研究班の先生にお願いして作成していただいております。また、血液製剤の使用指針に関しても、2005年に作成して10年以上たっていることから、今後改訂を予定しております。輸血・細胞治療学会の先生方に今、ガイドラインの作成をお願いしているのですけれども、今後は学会のガイドラインと指針をすり合わせていく必要があり、先生方の御協力を賜りたいと思っております。

31枚目のスライドからは、各輸血製剤の都道府県別の1病床当たりの使用量が載っております。まだ都道府県によって差があるという状況です。血液対策課には血液製剤使用適正化方策調査研究事業というのがあり、各都道府県の合同輸血療法委員会で適正使用に資する研究計画を立てていただき、合計10個の委員会に対して調査研究を委託しております。

 資料5-4の丸1は、小規模医療機関の輸血管理体制について分析したものです。資料5-4の丸2.は、輸血用の血液製剤やアルブミン製剤等の診療科別・病床別・都道府県別の使用実態調査の内容となっております。資料5-4の丸3.は、病院外の輸血の実態が報告されております。学会でも、在宅や病院外での輸血、小規模医療施設での輸血も含めて、ガイドライン策定に向けて委員会活動が始まったと聞いております。今後も小規模医療機関の回答率を上げる工夫などをしていただいた上で、更なる詳細な実態調査が必要と考えております。

○半田部会長 ただいまの御説明に対して、御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。

○花井委員 大変詳細な報告ですが、無床診療所でも1,800施設ぐらいで輸血がされていて、いわゆる小規模施設の輸血管理体制のデータを見ると、輸血後検査を行っていないということがかなりあります。では、何か要因があるのかと思って20枚目のスライドを見ると、査定はそれほどされていなくても保険できちんと見てもらえているということなのです。これを行った所でそういう結果なのです。ところが輸血前検査については、「査定されるかもしれない」という理由が書いてある。

 ですから診療所と病院の病診連携の問題など、いろいろな事情も絡んでいるとは思うのですが、やはり小規模施設できちんと輸血前後の検査ができるように、何らかの対策というか、若しくは査定されるという誤解があるのであれば、それはきちんと保険でカバーするというところを周知するなどして、少なくとも前後検査をするという形にしないと、全体に対してこの報告例にも影響があります。前後検査というのは、全体の中ではかなりされているのですけれども、施設別に見ると、年に1回しか輸血していないという所も入っていると思うのですが、そういう所に対して、何らかのきめ細やかなアプローチが必要かと思います。この辺は事務局で、何かいい方法がありますか。

○血液対策課長 御指摘があったポイントというのは、今後、日本が長寿社会を迎えていく中で、ますます重要性が増してくるポイントだと思います。病診連携もそうですし、介護施設併設の所なども、どういうように輸血をしていくのかという問題が、今後ますます出てくるかと思います。省内の関係部署と連携しながら、より良い方策が提言できるように、まずは情報共有をしっかりしたいと思いますし、具体的なデータも関係部署と共有するなりして、対応を取っていきたいと思います。今日の指摘を踏まえて、次のステップにつながるように準備を進めていきたいと思います。

○花井委員 医療法が改正されて、医療計画の中に地域医療構想というものがうたわれていて、自治体の地域医療に関する役割が増しているので、各自治体においてもそういうことに協力していただくような形でやっていただけたらと思います。よろしくお願いします。

○半田部会長 これは現在の日本の輸血製剤の使用状況と、輸血療法の現状というものを反映しているデータであるということで、学会あるいは研究班等々と、適正使用の推進等々への取組をよく相談していただいて、是非とも適切な方策を練っていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。本日の議題はここまでですが、そのほかに委員の方々、よろしいでしょうか。次回の日程については後日、また事務局よりお知らせがあるかと思いますが、3月に最後の部会がありますので、どうかよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 血液対策課 課長補佐 近藤(2905)

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