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2015年11月16日 第2回保育士等確保対策検討会
雇用均等・児童家庭局保育課
○日時
平成27年11月16日(月)
○場所
中央合同庁舎5号館12階専用第14会議室
○出席者
構成員
駒村座長 | 吉田副座長 | 井内構成員 | 池田構成員 | 伊原構成員 |
清水構成員 | 寺田構成員 | 西村構成員 | 宮崎構成員 | 宮本構成員 |
関係団体
高橋保育問題検討委員会委員長 (社会福祉法人日本保育協会) |
坂崎理事 (社会福祉法人日本保育協会) |
塚本常務理事 (公益社団法人全国私立保育園連盟) |
小島全国保育協議会副会長 (社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会) |
上村全国保育協議会副会長 (社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会) |
宮田保育事業経営委員会委員長 (社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会) |
忽那保育事業経営委員会専門委員 (社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会) |
廣島会長 (一般社団法人日本こども育成協議会) |
溝口副会長 (一般社団法人日本こども育成協議会) |
株式会社ポピンズ井上様 (保育の未来を創る会) |
株式会社ベネッセスタイルケア佐久間様 (保育の未来を創る会) |
厚生労働省
朝川保育課長 | 楠目企画官 | 里平課長補佐 | 田野課長補佐 | 加藤課長補佐 |
○議事
○駒村座長 おはようございます。
定刻になりましたので、ただいまから第2回「保育士等確保対策検討会」を開催いたします。
構成員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
議事に入る前に、事務局より構成員の出席状況と資料の確認をお願いいたします。
○加藤課長補佐 本日は、構成員10名に御出席いただいており、秋田構成員、佐藤構成員は御欠席との連絡をいただいております。
ここで、前回御紹介できなかった構成員の方を御紹介させていただきます。
富山県厚生部長の井内努構成員です。
○井内構成員 富山県厚生部長の井内でございます。よろしくお願いいたします。
○加藤課長補佐 それでは、お手元に配付しております資料の確認をさせていただきます。
今回、配付資料は議事次第、資料1~3、資料4-1~4-6、参考資料1~3となっておりまして、また席上に参考資料2の関連として、「短時間正社員制度導入支援マニュアル」の冊子と、前回の資料をファイルで御用意しておりますので、適宜御活用ください。
資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。
では、カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、報道関係の皆様におかれましては、御了承よろしくお願いいたします。
以上でございます。
(カメラ退室)
○駒村座長 それでは、議事に入りたいと思います。まず議事「(1)当検討会で先行して検討すべき事案(案)について」を事務局より説明をお願いいたします。
○朝川保育課長 保育課長です。
まず資料1は前回、先週の月曜日にこの検討会で出していただきましたいろいろな御意見を項目ごとに整理させていただいたものでございます。
1ページから≪緊急の課題≫と書いておりますが、本日は次に御説明します課題で関係します御意見を1~2ページ目で整理しておりまして、3~6ページ目については≪中長期的な課題≫ということで、年内に一定の結論を出していただきたいと考えているもの以外のものを3ページ以降で整理させていただいています。
最後は7ページ目の≪データ、考え方の整理≫で、こちらは前回、いろいろな宿題をいただいているものでございます。最後のページに関連しまして、まず後ろのほうにあります参考資料1「第1回検討会での指摘に関する資料」という束がありますので、何の資料があるかだけざっと目を通していただきますと、1ページ目は保育士と全業種で比較したときの都道府県別の年収の状況でございます。
水色の棒グラフが保育士、赤い棒グラフが全業種、紫の折れ線グラフが全業種の年収に占める保育士の年収の割合。どれぐらい開きがあるかを参考に折れ線グラフで掲げております。
2ページ目は、折れ線グラフのほうが都道府県別の有効求人倍率、棒グラフのほうが賃金で、重ねて比較して見たものでございます。
3ページ目は、保育士さんの平均賃金を年齢階級別に男女別で見たものでございます。
4ページ目は、平均勤続年数についての都道府県別の状況。保育士さんと全業種を重ね合わせて見たものです。なお、都道府県別にしますと、各都道府県のサンプル数が限られることから、少し異常値的な数字が県によっては挙がっていると思われます。
5ページ目は養成校です。保育士さんの指定養成施設について、左側にありますとおり、大学卒、短大卒、専修学校卒、その他の施設卒ごとに、卒業生のうち保育所にどれぐらいの割合が勤務されるようになったかの違いを見られるようにという宿題がありましたので、そちらを挙げています。保育所の欄の割合のところを見ていただくと、四年制大学の場合は43.7%。専修学校であれば54.4%でございます。
6ページ目は非正規職員が最近、特に公立中心にふえているのではないかという御指摘があって、ずばりではないのですけれども、参考になる関連データを挙げたものでございます。
7ページ目は、保育所などの社会福祉施設に勤務していない保育士さんが都道府県別にどれぐらいいらっしゃるか。右から2つ目の欄がそういう数字なのですけれども、都道府県別に見たものです。
8ページ目は、いわゆる潜在保育士さんと言われている、保育所等に勤務していない保育士さんの年齢別の状況を推計して見たものでございます。
最後の9ページ目は、さらにその潜在保育士さんについて、東京都と埼玉県で、より詳しい把握状況がございましたので、そちらを挙げさせていただいています。例えば右側の埼玉県で見ますと、潜在保育士さんの年齢別の分布状況が真ん中あたりにありまして、50歳未満でほとんどであるという状況と、4番の潜在保育士さんの中で就業していない方は約半分ぐらいで、残りの半分ぐらいはどこかで働いていらっしゃる。そんな状況が見てとれます。
以上が参考資料1について、前回いただいた宿題に関する資料です。
次に、その下に参考資料2がございます。前回も見ていただきましたが、一番下の束の中にあります参考資料3の7ページ目で、保育士さんの平均賃金等についてのデータがございますが、その下の表に短時間労働者の賃金、時給をお示ししましたけれども、保育士さんの場合は980円という数字をお示ししましたが、それに関連して、参考資料2は「短時間正社員制度」という仕組みがあることを御紹介申し上げたものでございます。
上にあります棒グラフは、平成21年度で少し古いのですけれども、保育士の仕事に再就職する際に課題になることは何かと聞いたデータが、厚生労働省の委託調査研究でございます。その一番上に挙がっておりますのは、子育てや家庭との両立が課題であるというお答えが非常に多くなっております。子育て期に保育士さんもあるということで、なかなか復帰がしづらいということでございます。その際、できる限り賃金などの処遇を正社員並みに引き上げていただく。そういうことも現場ではお考えいただくことも重要だと思いまして「短時間正社員制度」が一般的な制度としてありますということを御紹介申し上げるものでございます。
裏のページを見ていただきますと、短時間正社員というのは期間の定めのない労働契約を締結している人で、時間が短いという方でございます。
なお、構成員の皆様方の机上には「短時間正社員制度」導入のマニュアルをお配りしておりますし、このマニュアル自体はネットからダウンロードできるものでございます。御参照いただければということで用意しました。
次に、資料2「当検討会で先行して検討すべき事項(案)」でございます。1ページ目は前回に出した資料と同じ記述ですが、一応振り返りますと、1つ目の○で、現在、待機児童対策として受け皿拡大を大幅に進めてきている状況にあるわけですけれども、保育士の有効求人倍率は年々高くなって、今年度に入って保育士確保は非常に厳しい状況が見て取れるということでございます。
これについては、前回も見ていただきましたが、参考資料3の2~3ページ目に有効求人倍率の推移の表がございます。全国値でいきますと、昨年度のピークが2.18に対してことしの9月で1.85になってきていますし、東京都で見ますと、昨年のピーク5.37に対して既に9月の時点で5.44とピークを越えている状況で、大変厳しい状況にあるということでございます。
戻って2つ目の○ですけれども「このため」ということで、保育の質を落とさずに、保育士が行う業務について要件を一定程度柔軟化することで、保育の担い手の裾野を広げていくという検討も必要ではないかというのが問題意識でございます。
3つ目の○ですけれども、具体的には、これから見ていただく3つの課題につきまして、来年度の保育士の採用にできるだけ間に合うように先行して検討したいというものでございます。
一番下の○ですが、これらの措置はいずれにしても、待機児童対策による受け皿拡大が一段落するまでの一定の間の継続で実施してはどうかというものでございます。
2ページ目は、まず「1.朝夕の保育士配置の要件弾力化」でございます。こちらにつきましては、まず資料3の5ページ目を見ていただきますと、前回に御説明申し上げましたとおり、今年度特例的な措置として実施している緩和の取り組み状況でございます。
実際には、都道府県、政令市、中核市がこの取り扱いを取り組むかどうかによって、実際の保育所で取り組めるかどうかが決まってくるわけですけれども、今年度の自治体の取組状況をアンケートして整理したものが5ページ目でございます。
全体の欄が都道府県、政令市、中核市を合わせたものですけれども、特例的な取り扱いを認めているという自治体が12、認めていないのが63、検討中が14。さらに、今年度限りとして実施している措置を来年度以降延長すべきかについての御回答として、延長すべきが23、延長すべきでないが25、その他が38でございます。
取り組んでいない理由として挙げられておりますのは、6ページ目の上から3つ目の箱でございますが、省令の規定と抵触することあるいはその定義の不明確さといったことに言及する意見が全体の21件ございました。また、その1個の下の「質の低下を懸念する」という声も28件ほどある。さらにその下は、保育士不足は深刻ではないという御意見もあるということでございます。
ただ、保育士不足が深刻ではないという御意見につきましては、前回も見ていただきましたけれども、有効求人倍率で見ますとほとんどの都道府県が1倍を超えていて、有効求人倍率で見ると、どの都道府県においても保育士の確保は難しいという状況が見てとれるというのが、数字から見える状況でございます。
戻っていただきまして、資料2の2ページ目ですけれども、現行の取り扱いは、保育所の最低基準で保育所1につき保育士さん2人を下回ることができないという規定がございます。
2つ目の○で、保育士最低2人配置の要件につきまして、平成27年度は自治体からの要望を踏まえ、緊急的に要件の弾力化を行っている。その取り組み状況が今、見ていただいたところでございます。
一番下の○は今年度も地方分権の提案募集の中で、この延長について要請が来ておりますのと、ことし6月の「日本再興戦略」でもこの取り扱いを検討するとされています。
3ページ目は<対応方針>でございます。平成28年度以降については、省令を改正することによって、延長保育も含みますが、朝夕の児童が少数である時間帯に限って、当分の間、1人は資格を有さない者も活用することとしてはどうかということです。
その一定の者については、2つ目の○ですけれども、質の確保の観点から、資格は有しないけれども当該施設等で十分な業務経験を有する者、あるいは子育て支援研修を修了した者、家庭的保育者など、適切な対応が可能な者に限ってはどうかということでございます。
その考え方、効果としましては、一般的に11時間開所をしていますので、いずれにしても、勤務シフトで保育士さんの配置をしているというのが現場の実情ですけれども、その勤務シフト作成上等の人事管理が、保育士さんの確保が難しいということで非常に困難な状況にある。児童が少数である時間帯について、緊急的に保育士要件の弾力化を行うことで、園児の多い日中のコアタイムに保育士資格者を集中的に配置することが可能になって、保育所全体で見ると保育の質の向上にもつながるのではないかという考え方でございます。
下の図にありますとおり、保育士さんだけでシフトを組もうとすると、どうしても日中のコアタイムの時間帯が、全員保育士さんを配置できないということになります。
右側のように、朝夕の時間帯に一定程度保育士資格を有しない者の配置を可能とすることで、コアタイムに集中して保育士の有資格者を配置することが可能になるということでございます。こちらが1つ目でございます。
次に4ページ目は、前回も構成員の間で少し議論が交わされたところでございますが、「2.幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用」についてでございます。現行の取り扱いとして、類似の仕組みが参考になるものとしてあるということですが、3行目に、最低基準で乳児が4人以上いる保育所の場合、当分の間、保育所に勤務する保健師、看護師、准看護師の方々を1人に限って保育士とみなすことができるという特例措置がございます。
<対応方針>でございますが、こういう取り扱いと同様に、当分の間、保育士と近接する職種である幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭の方々を一定範囲内で保育士とみなすことができることとしてはどうかというものでございます。
その際、幼稚園教諭の活用につきましては、3~5歳児を中心に、小学校教諭の活用につきましては、幼保小接続の観点から主に5歳児中心。養護教諭の活用については、特段年齢要件を設けないということにして、各教諭合わせて、例えば配置する保育士の3分の1を超えないとか、そういう一定の範囲を限って実施したらどうかというものでございます。
5ページ目は、この中で特に小学校教諭が保育を行う場合につきましては、もともと免許の対象年齢が違う小学校以降の教育と就学前教育では、かなり教育の仕方も考え方も違うところがございますので、保育士養成課程における「保育過程論」さらには「保育の表現技術」を足し合わせますと6単位ぐらいございますが、これらの履修をすることが望ましいと考えます。少なくとも、子育て支援研修を受けるなど、保育を行う上で必要な研修の受講を求めてはどうかということでございます。
また、幼稚園教諭あるいは養護教諭についても、一定程度の保育に関する研修を受けていただいたらどうかと考えております。
この措置の考え方、あるいは効果でございますけれども、保育士の確保が困難な状況がありますが、保育士と近接する職種の活用をすることを限定的に認めることによって、一つは、幼稚園教諭は3~5歳の教育、小学校教諭は幼保小接続の観点から、多様な者が加わることによって、保育所にとって一定の効果的なことが期待できるということと、あとは、保育所などの事業者側から見た採用あるいは人事配置の選択肢をふやすことにつながるというものでございます。
なお、これらの幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭の参考資料については、資料3の15ページ以降に何枚か資料を挙げてございますので、適宜御参照いただければと思います。
次に、6ページ目は「3.研修代替要員等の加配人員における保育士以外の人員配置の弾力化」という論点でございます。少しわかりづらいところがございますので丁寧に御説明いたしますけれども、保育所は11時間開所を求めております。個々のお子さんに対する保育の原則は8時間保育なのですが、11時間開所を求めています。
その結果、11時間に近い時間いらっしゃるお子さんもいるわけですけれども、一方で保育士さんの働き方としては8時間労働になります。
保育所を認可する際には、その職員配置基準は、前回も見ていただきましたが、1歳児については6対1。3歳児については20対1。4~5歳児については30対1とか、年齢ごとにお子さんの人数に対して必要となる保育士さんを足し上げていくわけですけれども、その際、例えば60人定員の保育所があって、その計算をした結果、括弧書きでありますとおり15人と計算できた場合、15人保育士さんを配置することになるわけですが、しかしながら実際の運用面では先ほど見た8時間労働で11時間開所というずれがありますので、一定の保育士、例えば3人ぐらいをプラスアルファして保育士を確保していただいているというのが実際の運用状況です。
※にありますとおり、この例でいくと合計して18人です。18人を満たさないと指導監督の対象になるというのが現行の取り扱いでございます。
2つ目の○は、これを運営費上の費用面から見るとどういうことになっているかと言いますと、公定価格上最低基準は上の例でいくと15名分という必要なものがまず基本分として算定されて、それ以外の要因も運営費上は算定される仕組みになっています。
資料3の21ページ目を見ていただきますと「公定価格からみた保育所における職員配置のイメージ」ですけれども、上にオレンジの点線の箱囲みで「年齢別配置基準」があって、ここが今の例でいくと15人なのですが、ここの15人は主任保育士と保育士さんで15人確保してくださいということになるわけです。
それ以外に、実際の11時間開所を満たすために、何人かの累計で、保育士をプラスアルファで配置できる単価が計算されています。それが赤いマル印がくっついているものですけれども「休けい保育士」であるとか、あるいは「保育標準時間対応」の保育士さんであるとか、左側の「研修代替保育士」「年休代替保育士」など、そういう方々の運営費上の算定がされています。
例えば、研究代替保育士さんであれば、今年度新制度が始まったときに、保育士さんがなかなか研修に出られる環境がないということで、全ての職員について年間2日分代替職員を配置可能にすることによって、保育士さんが研修に外に出ていけるようにしましょうということ。そういう人の配置が可能になるような単価計算をしています。
一方で現場の声としましては、保育士の確保がなかなか難しいので、研修の代替職員を保育士として確保することが難しいので、従って運営費上の算定はできているのだけれども、実際に研修に外に出すわけにもいかないというお声も聞くわけでございます。こういうプラスアルファで配置されているところについての議論でございます。
6ページ目にお戻りいただいて2つ目の○は、公定価格上、基本分の単価であるとか、加算要件として、今、見ていただいたような研修代替要員あるいは休憩保育士などの加配人員が算定されているということです。
その下に、今、見ていただいたような要因について解説をしています。
一番下の※ですけれども、これらの人は認可の際の職員の配置基準として定める保育士のほかに、加配する保育士として費用を算定しているということでございます。
さらに7ページ目は<対応方針>の案ですけれども、認可の際の職員の配置基準として定める保育士数、この例でいくと15人のほかに、この例でいくと追加の3名の、確保を求めている一定の保育士数について、保育士資格を有しない一定の者の活用を可能としてはどうかというものでございます。
公定価格上は今、見ていただきましたとおり、研修代替要員あるいは休憩保育士を初めとする保育所及び地域型保育事業における加配人員要件について、当分の間、現場で柔軟に配置可能としてはどうかというものでございます。
3つ目の○ですけれども、この一定の者、上記の者については、質の確保の観点から、保育士資格を有しないが、当該施設等で十分な業務経験を有する者あるいは子育て支援研修を修了した者、家庭的保育者など、適切な対応が可能な者に限ってはどうか。その際、これらの者については、働きながら保育士資格取得を促していくこととしてはどうかということでございます。
一番下の○ですが、これらの者は、最低基準で配置されている保育士とともに保育に当たっていただいて、また、可能な限り、1人の保育士を1人の資格を有しない者に単純に置きかえるのではなくて、置きかえるほうは1人を超えた配置に配慮しながら実施してはどうかということでございます。
8ページ目は、こうした措置の考え方あるいは効果でございますけれども、保育士の確保が困難な状況がある中、認可基準としての最低基準は満たしながら、かつ、一定の要件のもと、保育士資格を有さない一定の者の活用を可能とすることによって、保育士の勤務シフト等の人事管理を柔軟に行うことを可能にする。その際、日中のコアタイムの保育の質の確保に最大限配慮していただく。
そういったことで実施したらどうかという案でございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○駒村座長 ありがとうございました。
これからは、事務局の今の御説明を受けて、構成員間での意見交換に入りたいと思います。資料1が宿題というか、前回の議論を整理していただき、あとは最後に7ページの宿題というものがあったかと思います。
きょう、議論しなければいけない重要なものは資料2「当検討会で先行して検討すべき事項(案)」についてで、皆さんの御意見をいただきたいと思っております。資料の内容についての確認を含めても結構ですけれども、どうぞ自由なところから御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。
先ほど参考資料の7ページで潜在保育士の話がありましたけれども、割合というのは登録しているけれども勤務はしていない人の割合ですね。割合というのは何と何の比なのかがちょっとはっきりしません。
○朝川保育課長 登録している保育者に対して、保育所等で働いていない人。したがって、一般の事務職で働いていたりする可能性はあるわけですが、保育所等で働いていない人の割合です。
○駒村座長 特段年齢を区切って見ているわけではない。65歳以上は含めないとか、そういうわけでもない。それは登録されている年齢にかかわらず、全部入れて見ているということですか。
○朝川保育課長 都道府県別のほうは年齢に区分せず計算しています。
○駒村座長 その結果、全国では64%の人が保育士としては働いていないということですね。
○朝川保育課長 そういうことです。
○駒村座長 それから、検討すべき議論で3ページですけれども、これは<対応方針>が朝夕の児童が少数である時間帯と言っているわけで、何時から何時までと言っているわけではない。だから、下の図は、あくまでもイメージ図ということですね。
○朝川保育課長 そういうことです。
○駒村座長 この時間がオーケーということではなくて、この時間に仮にいなかったとしたらということで説明しているということですね。
構成員の皆様からいかかでしょうか。
吉田副座長、お願いします。
○吉田副座長 2点御質問と、2点は次回以降の要望でございますが、朝夕の弾力化について、資料3ページで<対応方針>として「当分の間」とございます。行政的に「当分の間」というのが非常に微妙で、本当に当分の間の「当分の間」もあれば、エンドレスな「当分の間」もあって、ここをどう押さえるかについて、もし何か基本的なお考えがあれば教えていただきたい。
それから、現場がかなり心配するのは、資格外の方を緊急避難的に入れることはやむを得ないケースだと思いますが、これによってその分だけ保育士資格がないのだから単価が下がるのではないかとか、そういう懸念の声も聞きますので、その辺はどういうことなのかの2点をまずお願いします。
○朝川保育課長 ありがとうございます。
まず1点目の「当分の間」のところは、全体にかけた感じで書いているつもりなのですが、1ページ目の一番下で、1~3の論点に共通して、待機児童対策による受け皿拡大が一段落するまでということでございます。
いずれにしても、保育士確保の状況が厳しいのは、背景としては受け皿拡大をかなりのペースで進めてきていることに影響されていますので、その間を念頭に置いているというものでございます。
単価につきましては、もともと冒頭で御説明しましたとおり、保育士さんの給与が必ずしも今、高い状況にもありませんし、短時間労働者でいくと1,000円を切るような時給の提示になっていたりしますので、そこを下げるほどの余裕はないと状況認識していますので、運営費の単価を下げるということは、この措置で考えてはいません。
○吉田副座長 ありがとうございます。
あと、次回以降もし、状況データがわかればという要望ですけれども、既に今年度、この弾力化に対応している自治体があるということで、まだ1年たっていませんが、実際にこれに対応しているケースの状況であったり評価であったり、実際にやっているわけですから、やってみたらそんな心配はなかったとか、こういう効果があったとかがあり得るので、もしそれがわかれば、次回以降の会議で少し示していただければというのが1点です。
もう一点は、朝夕の弾力化。このケースでは1時間半ですが、1~2時間ぐらいの間だと私も思っていますが、実際には各園によって、例えば7時から8時ないしは8時半までに、地域によっては4~5人のお子さんしか来ない場合もあれば、この時間の幅の中でもう30人ぐらい来るケースもある。
そうすると、例えば30人来ると、本来の年齢に応じた職員配置を積み上げていきますから、その場合の1人こういうケースでいいというのと、数人で1人でいいというのと、多分、実際はイメージがかなり変わってきて、現場も多分答えは一つではないと思いますので、典型的な幾つかのパターンを少し示していただいたほうが、不安が取り除かれていいのではないかと思いますので、それもまた次回以降お願いできればと思っています。
○駒村座長 事務局、お願いします。
○朝川保育課長 いただいた宿題は、ちゃんと次回までにこなしたいと思いますが、今の最後の点についてわかりづらいので補足しますと、1個目で議論している措置は、いずれにしても年齢別の人員配置で計算したときに、2人と出てこないケースです。例えば、1歳児が6人しかいなければ、6対1ですから1人で出てくるわけですけれども、その場合も2人配置となっているので、そういうケースについてだけ、2人のうち1人は保育士以外の人というのが第1の提案の内容でございます。
したがって、お子さんが30人いるようなケースについては、仮に朝夕の時間帯であっても、1つ目の検討課題では緩和されないというのが第1の提案でしている内容です。
もし、朝夕の時間帯に30人お子さんがいるようなケースについて、さらに緩和を考えるのであれば、きょうの提案でいくと3つ目の提案を御活用いただく。そのような関係になっているということでございます。
○駒村座長 ほかに構成員の皆様からございますか。
お願いいたします。
○清水構成員 提案の間の関係なのですけれども、提案の2にあります幼稚園及び小学校教諭等の活用という話と、3にあります保育士以外の人員配置の弾力化の話の関係について、お聞かせいただけたらと思うのです。
○駒村座長 事務局。
○朝川保育課長 一応、現時点での頭の整理は、2つ目の提案は4ページ目の真ん中でも<対応方針>の1個目の○でもいいのですが、保育士とみなすことができるということにする案でございますので、ここは保育士カウントするということですから、これは独立して保育士カウントするということです。
したがって(2)と(3)で(3)のほうは保育士以外の人の配置を一定程度認めていったらどうかというものでございますので、2つ同時に実施があり得るという関係にあるということでございます。
○駒村座長 よろしいですか。
ほかに皆さんから御確認、御質問があればと思うのですが、いかがでしょうか。
では、資料3で、既に朝夕の特例取り扱いについて自治体から意見が出ていて、5~6ページが意見なのですけれども、例えば7ページの当該保育所において保育する児童が少数である時間帯というのが、少数である時間帯というのはどのような状況であるかがわからないというのが自治体の意見なのです。
この少数である時間帯というのは、厚労省はどのように考えているのかということです。
もう一つは、6ページでこれは事実としてそういうことが起きているのかどうかですけれども、質の低下に言及する意見で、朝夕の延長保育の時間帯は、児童の方が少ない時間帯だということですが、それにもかかわらず、けが等の発生が多いというのは、統計的に事実なのかどうかを確認したいのですが、いかがでしょうか。
○朝川保育課長 お子さんの人数が少数の時間帯の定義にかかわるところは、もう少し明確に今後、やるとしたらお示ししていく必要があると思いますけれども、先ほど申し上げたことなのです。
年齢別の人員配置の基準を当てはめていったら、2人以上と計算できた場合はこの問題は関係なくて、1人と計算ができたときに、そこでも2人保育士さんを配置してくださいという、プラスアルファの最低基準がかかっていますので、そういう時間帯についてのことを我々としては言っているつもりです。
そこがわかりづらいという御意見をいただいていますので、少しそれがはっきりわかるようにお示ししていく必要があるのではないかというのが1点目です。
2つ目は、資料3の6ページ目を座長がおっしゃったのですけれども、下から3つ目の箱の、質の低下に言及する意見の1つ目の○ですが、これは御意見としてそういう意見が出ているということなのですが、一般的には、朝と夕方は保護者が保育園にお子さんを連れてくる時間帯であったりお迎えに来る時間帯だったりするので、出入りが激しいので、十分配慮しながら保育に携わらなければいけない時間帯であるということをおっしゃっていると我々は理解しています。
時間帯ごとにけがの発生率が高いかどうかは、統計データとしてはないわけですけれども、ちなみにこの検討会とは別の検討会で、昨年度から保育事故の検討会を開いてございますが、死亡事故などの重大事故については、一般的に発生する場面は午睡中と食事中とプール遊びの時間の3つの時間帯に多く発生するというのが専門家の間でも言われておりますし、実際に発生しているのもそういう時間帯となっています。
○駒村座長 ありがとうございます。
お願いします。
○西村構成員 福井県の保育士会が、平成20年だと思いましたが福井県内の全部の保育所のヒヤリハットの調査をした結果、職員の少ない朝夕の時間帯よりも月曜日の9時から11時の間が一番ヒヤリとかハットとすることが多くまた、事故の率が高いという結果を出しています。
このように朝とか夕方の職員が少なくなった時間帯には、比較的事故とかヒヤリハットの報告は余りないという結果が出ているのですが、これは福井県の保育所の状態であって全国的にそうなっているのかどうかはわかりませんが、そのようなデータがありますので、つけ加えておきます。
○駒村座長 どうもありがとうございます。
ほかに構成員の皆様から、現時点で議論、確認したいことがありましたら、どこの点でも構いませんので、どうぞ御発言ください。いかがでしょうか。
お願いいたします。
○宮本構成員 朝夕の時間帯のことに関して、今、時間の考え方をお聞きして、少し安心をした感がございます。ありがとうございます。
ただ、これを全ての園に認めるのか、一定の運営に支障がないということの条件をつけていくのかがかなり大きな問題だと思っております。本市で議論をしたときには、運営に問題がある園には認めるべきではないということで、例えば、3年間指導監査において指摘がないとか、そういった一定の条件を付したらどうかと考えていたのですが、その点、何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思うのです。
○駒村座長 事務局、いかがでしょうか。
○朝川保育課長 きょう、御提案申し上げている内容で申し上げれば、そういう園ごとの区別をするということではなくて、提案申し上げているつもりですけれども、ただし、これは最終的には都道府県、政令市、中核市の条例あるいは指導監督の方針に委ねられるところになりますので、今、横浜市さんからそういう御提案をいただきましたので、そういったことは考える余地もあるのではないかと思います。
○駒村座長 とりあえず今の回答、考え方でいいですか。
ほかに皆様から御意見があればお願いします。
○池田構成員 幼稚園教諭とか小学校の先生を使うという案なのですが、中長期的に見てそういうことが適切かどうかという議論は当然あると思います。しかし、例えば来年度、人が埋まるのかどうかということを考えると、既に先行してそういうことをやっておられる保育所で、現実的に人が確保できているのか気になります。
要するに、労働供給がなければ間口が広くても需要は満たされないので、労働供給の当てがあってそういうことが議論されているのかどうかということが、喫緊の課題としてはすごく大事だと思うのです。
そういう意味で言うと、例えば学校の先生は余り来ないけれども、ファミリーサポートセンターでやっている方がかなり当てにできるということであれば、そこを重点的に議論したほうがいいと思います。そういう意味で、どういう労働供給のもとで、人員の確保が可能になっているのかを、御存じの範囲で教えていただきたいと思います。
○駒村座長 事務局、いいですか。
○朝川保育課長 幾つかあるのですけれども、現に最低基準を守りながら幼稚園教諭、小学校教諭を入れている、あるいは子育て支援に相当するファミリーサポートセンターのような方を入れている保育園は多数ありまして、データとして把握できていませんが、我々が日々接する保育所の皆様方とお話をしていると、そういう人たちの活用は現にもう既にされていて、それは地域性があると思いますけれども、一定程度の確保はできていると思います。ただ、これは非常に定性的な話でございます。
一応参考になるデータとして、ずばりではないのですけれども、資料3の19ページ目「(参考)幼稚園教諭、小学校教諭及び養護教諭の比較表」を挙げていますが、数字はよく留意しながら見なければいけないので、必ずしもこのものずばりではないのですが、真ん中あたりの上から5個目の欄に「免許状取得者数/新規採用数(人)」を比較した数字がございます。
幼稚園教諭のところで見ると、免許取得者が平成25年度に4万4,000人いて、新規採用者数が7,900人。この数字だけ見ると、残り3万6,000人ぐらいが幼稚園教諭として新規採用されていないということになるわけです。その下にある数字です。
ただ、幼稚園教諭の場合は、保育所に勤めている保育士と資格を併有している人が多くいらっしゃいますので、実際は保育所で勤めている方が多いので、こんなに余っていないということになります。
いずれにしても、保育士さんと幼稚園教諭はかなりダブった、重なり合った労働市場にいらっしゃいますので、幼稚園教諭は非常に潤沢に数がいるかというと、そういうことはないと思っています。
真ん中の欄の小学校教諭については、2万8,000人に対して7,500人の採用になっていますので、これも地域差があると思いますけれども、現に例えば学童保育などで小学校教諭が活用されている事例などもありますので、一定程度、保育の分野にも目を向けていただける方はいるのではないかと思っています。
いずれにしても、幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭で物すごい数の方が保育現場に入ってくることを期待しているかというと、必ずしもそういうことではなくて、現場でいろいろな人員確保の弾力的なやり方ができるような、その選択肢を広げるというのが趣旨でございます。
したがって、選択肢を広げるという意味で、案の2も御提案をしているし、3つ目の案も御提案しているという関係でございます。
○駒村座長 池田構成員、いいですか。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
きょうは、もう一つテーマがありまして、もし今の時点で資料について特段コメントがなければ、また後日ということで、もう一つのテーマの「(2)関係団体からのヒアリング」について入りたいと思います。
では、事務局から、ヒアリングについて説明をお願いいたします。
○加藤課長補佐 では、本日後半は、6つの関係団体の皆様にお越しいただいておりまして、保育士等確保に関するヒアリングということでさせていただきたいと思っております。大体、1団体15分程度の入れかえ制という形で行わせていただければと思います。
本日ですけれども、対応いただく皆様を簡単に御紹介させていただきます。
社会福祉法人日本保育協会より、高橋保育問題検討委員会委員長。坂崎理事。
公益社団法人全国私立保育園連盟より、塚本常務理事。
社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会より、小島全国保育協議会副会長
上村全国保育協議会副会長。
社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会より、宮田保育事業経営委員会委員長。忽那保育事業経営委員会専門委員。
一般社団法人日本こども育成協議会より廣島会長。溝口副会長。
最後に、保育の未来を創る会より、株式会社ポピンズ井上様。株式会社ベネッセスタイルケアの佐久間様。
以上6つの団体の皆様から、説明をいただけばと思います。
団体の皆様には、事前に送付しております資料2の検討事項(案)に対しても御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○駒沢座長 まず、社会福祉法人日本保育協会から御説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
(日本保育協会着席)
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 日本保育協会の保育問題検討委員会委員長の高橋でございます。
きょうは、このような貴重な時間を与えていただきまして、ありがとうございました。
時間が短いので簡潔に説明をさせていただきたいと思います。
私どもの意見はお手元にあるとは思うのですけれども、まず全体的に御説明させていただきます。
まず「1.保育士等を取り巻く現状認識」でございますけれども、御案内のように、いずれも待機児童がある地域のみならず、人口減少地域においても、どこの地方においても現在は非常に深刻な保育士不足であるということがあります。
また、新規の資格取得者の現場への就職の状況とか、現場からの離職などの状況を考えますと、保育士の職は大切な業務でありますけれども、給与のみならず評価が必ずしも高くない。
また、職務内容としましても、11時間開所の中での8時間勤務ということで、ローテーションを組みつつも仕事をする中で、教材準備であるとか会議の時間であるとか、そういったものを十分にとれていないという現状があり、非常に多忙な業務を送っているのが現状でございます。
「2.保育士等の確保を進めるに当たっての課題・要望」でありますけれども、先ほど申しましたように、保育士という仕事の大切さを正しく評価して、魅力ある職場として団体、個人の施設としてもさらに努力する必要があるということは認識しておりますが、質の改善をさらに実現するために、恒久的な財源確保による処遇改善にとどまらず、抜本的な処遇改善を実現する給付としていくことがさらに必要ではないかと思っています。
別添としまして、参考までに保育三団体の来年度の予算要望書をつけておりますけれども、さらなる処遇改善に努める必要があるということでございます。
喫緊の確保という問題が一つあるわけですが、もう一方で、将来的には専門職としての保育士の資格の体系をきっちりとベースにした上でという議論があって、さらにキャリアパスなども含めた専門性の向上を図るための制度をどのように構築していくかも非常に大切な課題であるのではないかと思っております。
給与面だけの評価ではない評価によって、職員のモチベーションを維持する仕組みを設けることも必要ではないかと考えております。
「次のような実例」といいますのは、先般、保育問題検討委員会を開いた際に、参加したメンバーから出てきた意見ですので、ここは割愛をさせていただきます。
「(3)厚生労働省案に対する意見」としまして、1番目の○につきましては、先ほど申しましたように、保育士の処遇改善等を行うことが必要。さらには、保育士養成施設の増設、定員増なども図る必要があるのではないかということも書いております。
以下は(1)~(3)に相当しますので、少し省略をさせていただきます。
まず、具体の課題についてですけれども、先ほど御議論をしていらっしゃいました「(1)朝夕の保育士配置の要件緩和」でございますが、朝夕の時間帯におきましては、保育士2人以上の体制については、既に一部の自治体において緊急的な要件緩和が行われている結果を踏まえた上で、緩和することについてやむを得ない措置と考えております。
先ほど、朝川保育課長の御説明である程度理解が深まったところでありますけれども、あくまでそこはカウント上、2を超える部分についてはだめで、あくまで2を超えない部分についてということの御説明をお伺いしましたので、なるほどということで、さらに納得したわけです。ただし、ここについては運用上、そこの人数のカウントをどの時点のどの平均値をもってするのかというのは、現場としてはなかなか難しいので、瞬間風速的にはいろいろなケースが考えられると思うのですけれども、いざ現場でやっている状況の中では、どこをどう切ってその判断をするのかが非常に難しいので、これから運用上の問題は多分いろいろ出て来るとは思うのですが、全体的な考え方としてはおおむねやむを得ないのではないかと思っております。
「(2)幼稚園教諭及び小学校教諭の活用」につきましては、緊急的な代用としてやむを得ない措置であるのかなと考えておりますけれども、そこをいざ保育を組み立てるに当たって、単独で果たしてそれをするのはいかがなものか。例えばそこを複数の職員で保育する場合であれば、ある程度対応が考えられるかと思うのですが、それにしても慎重な対応が必要ではないか。
現場では、先ほども御説明がありましたけれども、現状では最低基準を超えた状況の中で、小学校教諭の教員免許を持たれている方で運用しているという実態があるわけですが、ただ、これも現在、新制度が始まりまして、幼保連携認定こども園に移行する。また、その5年間の経過措置はありますが、原則は保育教諭という格好で保育士資格と幼稚園免許状の両方の資格が必要という状況の中で、幼稚園教諭のみもしくは小学校教諭のみの資格でいくということ。一方で、保育教諭でいくのだということがありながら、片一方ではこのようなことが起こり得るというのは、そこら辺がどうなのか。少し整理が必要ではないかと考えております。
「(3)研修代替要員等の加配人員における保育士資格要件の緩和」でありますけれども、ここにつきましては、現状、保育現場で何が起こっているかと言いますと、最低基準を超えた部分についても含めてですが、この対応は、現実のそれらの配置は個々のケースで本当にさまざまな工夫をして行っておるわけでありますので、一律的にここを緩和することについては、少し慎重な対応が必要ではないかと考えております。
さらに、それとはまた少し話が違うのですが、保育士とは別に、恒常的に保育補助・用務等に対応する人員が必要であるのではないかと思っております。冒頭に申し上げましたように、11時間開所の中での8時間労働ということで、さまざまなローテーションを組んで会議の時間、教材の準備等、内部研修等も含めてそういった時間がなかなかできないという状況の中においては、ある程度保育補助とか用務等に対する人員は別の意味で必要ではないかと思っております。
大体、全体的な説明は以上でございますけれども、いずれにしましても、繰り返しですが、保育士不足は待機児童がいるところに限った問題ではないというのをまず御理解いただきたいということと、喫緊の確保の問題と、専門職としての保育士の資格の立ち位置というか、専門性の向上は切り分けて、決して保育士という資格は何なのだというように、逆に専門職としての保育士という位置づけが低くならないような配慮をぜひお願いしたいと思っております。
私からは以上でございます。
○駒村座長 ありがとうございました。
明確な御主張だったと思いますので、多くの点で我々にとっても参考になったかと思います。幾つかの点については、私どもが非常に同意するところもありましたが、恒久的な財源をちゃんと確保して、処遇としての質の確保、向上を目指してもらいたいというのは、それはそうなのだろうと思いました。
構成員の皆様から、今の御発言、御意見について、確認したい点等々ありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
どうぞ。
○吉田副座長 ごもっともなご意見だと思います。
「(2)幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用」について「単独ではなく保育士と複数で保育する場合に限り」ということもわかるわけですが、これは具体的なイメージとしては、例えば異年齢で3~5歳児で2~3人先生が入っているケース等が想定できますよね。大規模園であれば、チーム保育をやっているケースもある。
これは実際の保育現場のざくっとしたイメージとして、この条件をつけた場合でもそれなりにこういうケースは多いと考えていいのでしょうか。
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 幼稚園教諭に限って申しますと、現実的にはそう多くないと思います。
といいますのは幼稚園教諭しか持っていない方すらもういないという状況です。求人で保育士資格所有者とは別に幼稚園教諭免許所有者と書いても、今はまさにそれでも全く求人が来ないということですので、そういう状態がまず少ない。そう多くないということであります。
○吉田副座長 それは重々承知で全くそうだと思います。
そうではなくて、保育現場のほうが単独ではなくて保育士資格を持った方と複数で保育する場合が、仮に幼稚園教諭がたくさんいたとして、確率的に結構想定はされるのでしょうか。
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 大丈夫だと思います。
○吉田副座長 レアケースではないのですか。
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 レアケースです。
○吉田副座長 ありがとうございます。
○駒村座長 ほかにいかがでしょうか。
お願いします。
○池田構成員 すごくわかりやすいお話だったと思うのですが、私も単独ではなく保育士と複数で保育をする場合というところが、かなり強調されているところが気になりまして、一つ確認なのですけれども、保育士の保育園における役割が、イメージとして自分で保育士が保育をするというよりも、資格を持っていない人も含めて保育をマネジメントするようなイメージ、あるいは幼稚園の先生とか、保育士ではない人がいる場合にも一緒にやって、指導したり助言したりとか、そういう役割を保育士にこれから求めていく。
実際に子供と遊んだりとか、おむつをかえたりとかいうことは必ずしも資格を持っていない人でもいいのではないかとか、そういうイメージなのか、そうではないということなのか。
何が気になるかと言うと、幼稚園の教諭すらもいないということになると、もっといろいろなところから人を連れてこないと人が確保できないという危機感をお持ちなのではないかと思いまして、そうなったときに、どこからどういう人を連れてくることができるのか。そのときに保育士さんがその現場でどういう役割を担うのかを、もう少し踏み込んだイメージをお聞かせいただけると、よりこれからの人員確保の具体像が見えてくるかと思いましたので、お願いします。
○駒村座長 では、お願いいたします。
○日本保育協会坂崎理事 (2)に直接かかわらないとすれば、今の池田構成員の答えに当てはまるとすれば、例えば0~2歳児において、おむつをかえることを保育士以外の方が行うということは、非常にそれは難しい。逆になぜかというと、おむつを取りかえることによって、そこに生ずる本来の養護と教育が一体となっているので、そういうことについては、きちんと保育士さんが行うべきだという考え方なのです。
一方、例えば、保育士さんの周りの仕事で、全てではないかと思いますが、例えば掃除とかそういうことについても、相当今、だんだんいろいろな保育現場で違う人がやる形にはなってきていますけれども、それらをもう少し仕事を細分化していって、保育士の行うべき仕事と考えていけば、分けていくことによって違う人たちを入れていって、保育士の軽減をすることができるだろうと思います。
3、4、5に関して言うと、ここは少し踏み込んだ話をするのですけれども、今まで保育所保育指針と幼稚園教育要領の3歳以上というものに関して、これから話し合いが進んでいくと思うのです。
そういう中であって、保育士しか持っていない方々の教育と、幼稚園教育要領を中心とした幼稚園教諭しか持っていない方の教育をどのようにきちんと考えていくのかによっては、随分この幼稚園教諭のみ、また、保育士のみの緩和を考える必要があるのだと思います。
実質的に言うと、逆の考え方をすると、保育教諭というものが5年間片一方の中でお互いを補填していくということを考えていけば、この緊急時にどうやって考えていくのかというのが一つあると思います。
小学校教諭に関して言うと、小学校教諭が本当に3~4歳で対応できるのかは非常に大きな問題だと思います。
一方、ここは寺田先生とかのほうが本職なのですけれども、例えば何らかの形で小学校教諭に5歳児を持たせるための仕組みをどのように考えていくのか。そういうことをきちんと系統立てて考えていけば、今すぐのことも含めて対応し得ることができるのではないかと思えないこともない。考える余地が相当あるのではないかというのが、今、つまるところは資格の要件と待機児童との問題を、少し突っ込んで考えていかないと、こういう問題の解決にはいかないのではないかと思うのです。
○池田構成員 私はこの分野は詳しくないのですが、用務員さんとか清掃員の方は雇っていないのですか。普通雇っているものなのですか。
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 さまざまです。
○駒村座長 清水構成員がよく御存じと思います。
○清水構成員 雇っていないと思います。
多くの園の場合は、設備と運営に関する基準に、保育所の職員は保育士及び嘱託医、調理員とするとあるのです。
嘱託医は非常勤ですし、調理員の場合は全ての業務を委託する場合は置かなくてもいいという形ですから、事務職員すらいないというのが現状かもしれません。もちろん、園の工夫によってある程度のことはできるのですけれども、まさに工夫であって工夫しづらい部分もいろいろ出てきているかと思います。
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 時間がないので、言いたいことだけ言うことにしますが、今、御質問があったことはまさにそのとおりで、大体、園長が事務もやっていたりとか、園長があるときは水道屋、あるときは電気屋になったりするわけなので、そういった意味での用務員は置いていないところが多いと思います。
先ほど坂崎が少し申しましたけれども、保育士は何をするのかが、そういった意味では明確になっていないというのが非常に残念なところでありますが、職務内容の洗い出しとか、職務基準をきちんとつくっていかないと、これは保育士でないと絶対無理だということがなかなか明確に言えない。
例えて言うなら、看護師においては養成校の卒業時にある程度到達度レベルが国で定められていると思うのですが、ここまでは1人でできるとか、さまざまなそういったものが既にできていると思うのですけれども、保育士という部分については、そこすらなかなかできていないので、おむつの交換であったり、授乳の問題にしても、ミルクの与え方が温度はどうだとか角度はどうだとかいろいろなことがあると思うのですが、そういったことも含めて、細かい職務の洗い出しがなかなかこなされていないというのがありますので、そこがなかなか難しいというのが現状だと思っております。
○駒村座長 では、寺田構成員、お願いします。
○寺田構成員 貴重な御意見をありがとうございました。寺田でございます。
今、とても大事なことをおっしゃっていただいたと思います。保育士は社会的に地位が低いというか認められていない現状があります。保育士は命を預かる本当に大切な業務であります。特に乳幼児期は人生の出発点であり、人間が一生のうちで最も成長する時期であります。先ほど坂崎先生もおっしゃいましたけれども、乳児期はアタッチメントが形成される重要な時期です。つまり、おむつをかえていただく、離乳食をいただくなどの大切に保育される行為の中で愛着関係が築かれ、乳児が最初に人を信頼する第一歩であると思うのです。保育士はその大切な業務をしながら、発達の連続性、生活の連続性を見守りながら子供に寄り添い、保育の展開とともに保護者の気持ちも酌み取っています。これらの多様な業務を日常的に行っているということをもう少し社会的にも認識していただけると良いと感じます。この検討会の中で、皆様も認識していただいていると思いますが、発信していく必要があると思います。
冒頭の資料の中にお示しいただいた、保育現場からの離職者の現状を考えると、保育士の職が大切な業務であるのに対して、評価が必ずしも高くないという現状。これに対して、日保協はどのような対策が必要だとお考えなのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○駒村座長 いかがでしょうか。
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 一つは、これも口頭で説明しましたけれども、ある意味では処遇改善という待遇面は必要であると思います。
誤解を恐れずに申しますと、単に子守をしているだけではないかという評価も往々にしてあって、昔でいう保母さんというか、現在は保育士ですけれども、専門性がなかなか外に出てきていないというのが、そういった意味での誤解を生んでいるところもあるのかもわかりません。
そういった意味では、繰り返しになりますけれども、専門職である保育士としての保育とは何であるかをきちんと系統立てて、これは保育士でしかできないというものをつくり上げていただいて、それをさらに世に発信していくことが必要ではないかと思っております。
それは一つ、今後、キャリアパスをつくるとなると、そこがベースになってキャリアパスができていくべきものではないかと考えています。
○日本保育協会坂崎理事 直接、寺田先生のお話の回答とは違うかもしれませんが、私は今回、こういうことの根幹にある問題というのは、一つは、実はこの新制度に当たって、もともと保育所が抱えていた問題があるのだと思うのです。
つまるところは8時間と11時間の問題とか、今、清水先生がおっしゃいましたけれども、仕事柄でいうと保育士のみです。最低基準上で調理員です。そうすると、本来であれば園長、主任保育士でさえ置くという規定がありません。どういうことかと言うと、保育所が抱えている問題そのものが置かれていて、ここのところに来ている。
つまるところは、本来、制度でいろいろな形のものが改善したにもかかわらず、保育所そのものに置かれている問題が非常に大きくて、この問題を解決していこうと思えば思うほど、そういう問題も一緒に抱えているのだと私は認識していますし、それらのことは、保育団体としても、日保協としても改善をしていくことによって、いろいろなものが保育士の処遇も含めて改善していくのだと思っているのです。
○駒村座長 よろしいですか。
○池田構成員 用務員さんを雇っている保育園は、人件費をどこから充当しているのですか。
○日本保育協会高橋保育問題検討委員会委員長 自腹です。
○池田構成員 自腹ですか。
○日本保育協会坂崎理事 調理員等です。私は3つ施設を持っているのですが、用務員を3名抱えている施設もあれば、調理員等の1.5で調理と用務をやっているところもあります。
だからそれは随分違います。
○駒村座長 事務局。
○朝川保育課長 一般的には、今、坂崎先生とか高橋先生がおっしゃったような、全体の運営費の中で工面して、プラスアルファの職員を配置されている園が多いというのはそのとおりだと思います。
ちなみにPRも含めて申し上げますと、国の予算事業で保育体制強化事業がありまして、プラスアルファの周辺業務をやる人を雇い上げたら人件費を出すという補助金も近年つくりましたので、まだ活用されていないところもたくさんありますので、ぜひ御活用いただければ、プラスアルファの職員が配置できます。
○駒村座長 それは恒久的なものですか。
○朝川保育課長 恒久的というか、公定価格上の対応ではなくて、一般的な予算補助として、当初予算に毎年計上する類いのものでございます。
○駒村座長 ということであります。
そろそろ時間ですので、ただ、どうしても緊急対策的なところばかり目が行くわけですけれども、今のお話があったように、業務内容と人員配置と専門性と役割分業の話といった、少し中長期的な課題もあわせて議論しなければいけないという御指摘だったと思いますので、これは検討会としても受けとめさせていただきたいと思います。
本日はお忙しいところ、大変ありがとうございました。
(日本保育協会退席、全国私立保育園連盟着席)
○駒村座長 それでは、時間も迫っておりますので、次の方に入りたいと思います。
次は、公益社団法人全国私立保育園連盟から、御説明をお願いいたします。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 おはようございます。全国私立保育園連盟常務理事の塚本でございます。
きょうはこういった機会をいただきましてありがとうございます。
私から、資料4-2に基づきまして、全私保連の考え方について、御説明をさせていただきたいと思います。
まず「(1)保育士等を取り巻く現状認識」でございますけれども、先ほど日保協さんからもございましたが、今、保育士に求められている職務が非常に多岐にわたっているということでございます。ここにございますように、子供の保育のほか、保護者への子育ての助言指導あるいは地域への子育て支援に加えまして、アレルギー児への対応。配慮の必要な子供が大変ふえてきておりまして、そういったことにも保育士が対応することで、業務が多様化しているということでございます。
また、8時間勤務でございますけれども、そのほとんどを保育業務に充ててございますので、例えば行事の準備でありますとか教材の準備、あるいは研修は全て時間外で行うということになっている現状でございます。
こういったことにもかかわらず、処遇面では大変低い。特に給与面では、一般職と比べて10万円ぐらいの差があるという報告がされているところでございます。
「(2)保育士等の確保を進めるに当たっての課題・要望」でございますけれども、何と言いましても、まずは早急な給与改善が必要だと考えております。ことし新制度の施行に伴いまして、3%の処遇改善を実施していただきましたけれども、実は私の法人でも、新規の職員の給与を1万円アップしまして募集をしておりますが、大きな効果がないというのが現状でございます。
ぜひ、新制度で1兆円超の財源が確保された際に5%の処遇改善を予定していただいておりますので、それを早期に実施していただくことが、何よりもお願いをしたいことでございます。
この保育士の確保につきましては、新規の確保と3行目にございますが、職員の定着化についても、力を入れていく必要があると思ってございます。具体的には、働き方の見直しでございます。
先ほど言いましたように、8時間勤務で8時間保育をしているという見直しも含めまして、保育士のワーク・ライフ・バランスもぜひ早急な対応が必要だと考えてございます。
今、年間約3万人の保育士が退職するということでございますが、その多くは出産あるいは結婚を機に退職するということでございまして、3万人の退職者を減らしていく。要は職員の定着化を進めていくということが、保育士確保についても大きな力になるのではないかと考えているところでございます。
「(3)厚生労働省案に対する意見」でございますけれども、私どもは11月9日に第1回のこの会議を開いていただいたときの資料をもとに要望書をつくらせていただきました。何よりも、保育の質を落とさずに担い手の裾野を広げる。難しい事ではあるのですが、そういったことで保育士の勤務環境の改善も同時に行っていくことが大事だと考えております。基本的には要件の緩和ではなく、先ほど来申し上げておりますような処遇改善によって実現をしていただきたいと考えています。
きょう、お示しをいただきました3つの案につきましては、まず「1.朝夕の保育士配置の要件緩和」につきましては、現行の通知のまま必要性の高いところで実施ができるような、現行の制度をそのまま引き継いでいただきたいというのが1点目でございます。
「2.幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用」につきましては、先ほど日保協さんからもございましたけれども、保育士の専門性を十分に考慮して、慎重な対応をお願いしたいと思うところでございます。
「3.研修代替要員等の加配人員における保育士資格要件の緩和」でございますけれども、保育所保育の質の低下をこういったことによって招かないような対応をぜひお願いしたい。慎重な検討をお願いしたいと思います。
こういった措置につきましては、あくまでも緊急的な特例対応という考え方の中で、下から2つ目の○で、期間限定あるいは地域限定という形で、ぜひとも緊急的な特例対応ということでお願いしたいと考えてございます。
中長期的な対策につきましては、ここに書かせていただきましたけれども、キャリアアップの具体的な体制づくり等で、処遇向上あるいは保育・子育て支援全体の質が改善し、向上するような人材確保推進をぜひともお願いしたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
構成員の皆様から、御質問、御確認の点がありましたら、お願いできますでしょうか。いかがでしょうか。
西村構成員、お願いします。
○西村構成員 私も非常に賛成です。「保育士自らが結婚、出産、育児ができるような環境整備」が非常に大切であると私も思います。これは保育所だけの問題ではなくて、介護施設においても、全て言えてくるのではないかと思うのです。この場合、どのような環境にしたら良いのか。例えば、施設側の勤務環境についての考え方ともう一つは国のサイドの支援と2つあると思うのですが、施設側としてはどういう環境を整えていくことが大事なのか。もう一つは、そのためには国としてどういう支援が必要なのか。そのことで何かあったらお願いしたいのです。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 ありがとうございます。
現場では、ここが大変難しいところでございまして、産休・育休の制度は整えていただいているのですが、実際にそれを運用することができない、あるいは産休・育休を職員がとったときの代替の職員の確保の難しさでありますとか、子供を産み育てながら働く環境が現場ではなかなかとりづらいのです。
具体的には、子供がいる時間ですから、できたら8時間常勤で働いてほしいという現場の要望があるのですが、子育てをしながらの勤務でありますと、例えば子供が学校に行っている間の勤務とかを働く側は求めたりしますので、そのあたりがどうも現場と合わないというのが現状だと思っています。
どうしたらいいかはなかなか難しくて、それがわかれば私たちも苦労していないわけですけれども、そういった現状をクリアするいい方法が見つかっていないのが現状かと思います。
○駒村座長 ほかはいかがでしょうか。
お願いします。
○池田構成員 産休・育休の研究をしているので気になるのですが、私立保育園で保育士さんが産休・育休に入ったときの代替要員はやりくりのしようがないのか。というのは、例えば派遣の人を雇えるとか、公立の場合だと臨時採用だとか代替要員問題は、学校の先生などは典型ですが割とそういう形でクリアされている。
私立の保育園ではそういう手だてはないのですか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 今、おっしゃったように派遣も雇えますし、期間限定になりますので、そういった募集を職安にしてやっているというのが現状です。
○池田構成員 あとは復職した後の短時間勤務です。一応、育児介護休業法で3歳未満は義務化されていますから、当然、保育士さんにもそういうニーズがあれば対応しないといけないということになるのですけれども、その場合は、新規に、例えばパートの人を余ったところに入れるとか、そういうことは可能なのですか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 可能です。
○池田構成員 それができていないというのはどういうことですか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 現場の望む時間と、働きたい方の望む時間がうまくマッチングしないということなのです。
現場は、子供がいる時間でありますとか、今話題になっています朝夕のような時間帯に職員のパートさんがほしいわけですけれども、そういった働く側のニーズがそこの時間帯に合わないとうのが問題です。
○池田構成員 代替要員が採れないということですか。採りにくいのですか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 採れないのです。
○駒村座長 お願いします。
○朝川保育課長 まさに保育士さん自身が育児をしながら保育士として働ける環境整備は非常に重要だと思っているわけですけれども、今、おっしゃったように、なかなか時間が合わないとか、そういう現場レベルでの苦悩はあるのですが、きょう御紹介申し上げた短時間正社員の仕組みというのは、まだまだこの仕組み自身が保育現場に余り普及定着していないというか、そういう考え方自身が進んでいない。特にパートタイム就業の方に対する労働条件の提示は、別にこの保育の世界に限らず日本の一般的なサービス産業で似たような労働慣行があるような気がしますが、余り高い賃金を提示しないという問題もありますので、できる限り正社員並みの時給単価のようなものを提示できるような仕組みというか、好事例も含めて、そういうことをしっかり我々としても提示することによって、現場に定着するような努力が必要と思っています。
○駒村座長 ありがとうございます。
ほかにお願いします。
○池田構成員 何も知らないので本当に初歩的な質問なのですが、私立の保育園は、何か自己収入をふやすようなことはやってはいけないのですか。早急な待遇改善が求められるとなっているのですけれども、よくテレビを見ていると民間保育園ですばらしいサービスをやってえらくもうかっているみたいなところが時々出てきたりしますが、自己収入は基本的にふやせない仕組みになっているのかどうかを教えてください。
○朝川保育課長 特別な保育をすることによって特別な保育料を徴収するのは仕組みとしてはあるのですけれども、一般的な保育所の姿として言えば、別途利用料徴収はやっていないのが現状ですので、基本的な収入は新制度から払われる公定価格による運営費と、寄附金といったところが基本的な収入に限られているというのが現状です。
○池田構成員 わかりました。
○駒村座長 ほかにいかがでしょうか。
吉田先生、何かありますか。
○吉田副座長 一点だけ、極端なケースですが、8時間のいわゆるコアタイムを別とした11時間開所の朝夕前後の1時間ないし2時間半ぐらいの中で、例えば乳児が2人来た。コアタイムであれば1人の保育士でいいわけですが、当然、朝夕は最低2人置けということで、今、有資格者が2人ということになっています。
これが仮に4人いるといえば、2人正規を置かなければいけない。そうすると、2人の朝夕のときにもう一人という部分で、今回は保育士資格以外もということなのですが、ただ、条件がついていて、資格がなければ誰でもいいかというと全くそうではなくて、家庭的保育者であるとか子育て支援員であるとか、この辺の条件については何かお考えがございますか。かなり大事なところだと思うのです。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 実は私の保育園は朝6時からあけているのです。6時から7時過ぎぐらいまでは、子供は実は1人なのです。
今、そこに2人配置しないといけないということで、その分お昼の子供の多い時間に職員を回したいのですが、どうしても2人置かないといけないということで、非常に支障になっています。
今、吉田さんがおっしゃったような形で、質の低下につながると私どもはそういう考え方をすぐするのですが、そこが非常に難しいところで、何らかの条件をきちんとクリアした上で置くということであれば、そういう運用をさせていただくことでむしろ現場は助かることもあるのだなと考えております。
○駒村座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
西村構成員、お願いします。
○西村構成員 勤務体制のことをお聞きしたいのですが、こんな現象があるのです。障害者の通所施設だったのですが、グループホームを持っている関係上、通常では職員は泊まったり朝早く出たり夜遅くまでいなければならないのですが、そうではなくて、朝8時から5時までの勤務という形で募集したら、今までに応募がなかったのですが、たくさんの応募が出てきました。
そのようなことがあるので、勤務体制を考えたり、勤務時間を変更することは難しいのでしょうか。
○駒村座長 いかがでしょうか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 どうしてもローテーションで勤務せざるを得ない現場です。当園のことで申し上げますと、今、申し上げましたように朝6時から夜9時まで開園しておりますので、その間でのローテーション勤務になります。また、日祝日の休日保育も実施しておりますから、土日祝の仕事もあるという中で、8時から5時の勤務という職員も置けますが、それだけでは運用できないというのが現場の現状かと思います。
○駒村座長 ほかによろしいですか。
寺田構成員、お願いします。
○寺田構成員 2番目の最後に「産休・育休制度の完全実施など女性が働き続けられる環境を確保する必要がある」という御提案をいただいていますが、例えば現状として、30代の保育士は我が子を我が法人や園に預けられないために二重保育をする人がいなくて、やむなく離職するという現状がありますね。
それから、子供の病気のときも同様です。対応策として、例えば自園にお子さんを預けるとか、そういう仕組みは難しいのでしょうか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 実際にそういったケースはあります。
○寺田構成員 そうなのですか。では、実際にはそういうケースはどれぐらいあるのですか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 データ的に持っていなくて知らないのですが、私どもの園でいうと半分ぐらいは自分の子供を自分の園に連れてきて、保育をしているという職員がおります。半分はほかの園に預けているという形です。
○寺田構成員 そういう環境が整っていくと、やめなくても済むとか、病児保育をその園がやっていた場合に、お子さんが熱を出したときにお迎えにいくのではなくて、自園の病児保育のところに預けられるという仕組みもございますよね。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 それは大きな力になると思います。
○寺田構成員 そうすると、辞職率を下げることにもなるのですか。
○全国私立保育園連盟塚本常務理事 大きな力になると思います。
○寺田構成員 それが待機児対策にもつながっていくという自治体のお声も聞いていたりしていますので、そういうことも効果があるとお話を聞けて嬉しゅうございます。
ありがとうございました。
○駒村座長 よろしいでしょうか。
では、本日はお忙しいところありがとうございました。
参考になりました。どうもありがとうございます。
(全国私立保育園連盟退席、全国保育協議会着席)
○駒村座長 そうしましたら、次に社会福祉法人全国社会福祉協議会全国保育協議会から、御説明をお願いいたします。
○全国保育協議会小島副会長 全国保育協議会の副会長の小島でございます。きょうはよろしくお願いします。
○全国保育協議会上村副会長 同じく副会長の上村でございます。きょうはよろしくお願いします。
○駒村座長 では、よろしくお願いいたします。
○全国保育協議会小島副会長 私ども全国保育協議会は、全国の公私立2万1,000カ所の保育所、認定こども園で組織されております。
本日は、全国保育協議会の内部組織でございますが、18万8,000人を束ねる全国保育士会の会長でもある全保協上村副会長と一緒に参加させていただきました。
そういう意味では、一番大きな団体でございまして、一番原則的で一番かたいのかもしれません。私自身も経営者ではございますが、もともと保育士でございましたので、保育士確保のことをメーンにしながら、今後、どのような緊急対策がとれるのか、どちらかと言うと保育士の立場から、きょうは発言したいと思っておるところでございます。
まず、現状認識でございますが、保育士確保は大変重要な課題だと思っておりますし、待機児童のいるところから過疎地においても、今、保育士不足が非常に大きな課題だということは、認識しておるところでございます。
また、質の確保が非常に大事でございまして、もともと保育の質を向上するということで最低基準があったわけでございますが子ども・子育て支援新制度の中で、保育士の処遇改善とか保育の質の向上がなければ、これからの子ども・子育て支援をやっていけないのだという議論をいただいて、大変感謝しておるところでございます。
今後とも、保育士の処遇改善並びに保育の質の向上では、全保協並びに全国保育士会は一層努力してまいりたいと思っておりますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思っております。
今回いただいたご提案は、保育の質を維持しながら、安心して保育を行うために、環境・体制を整えなければいけないなか、保育士が不足している状況でどうすればいいのかというものだと思っております。
「1.朝夕の保育士配置の要件緩和」についてですが、現行も特例が設けられておりますように、その特例的な扱い、緊急的な要件緩和にとどめるべきだと思っております。どのような状態でこの朝夕の問題が想定されているかという条件が余り具体的ではなくてよくわからないところもあります。私の施設は田舎でございますが、大体保育士不足で困っていらっしゃるところというのは、実はいわゆる朝夕の時間帯もお子さんがいっぱいいらっしゃるところだと思うのです。
そういうところで、もし、この緩和によって原則的に1名でいいとなってしまうと、この1名の保育士が非常に困ります。資格を持ってしっかりと対応できる保育士がある程度確保されることはとても大事なことだと思っております。保育士不足という中でも、要件を緩和することについては、現行の特例の範囲のように部分的にとどめたいというのが私どもの考え方でございます。
保育の場面では、求められる配置基準を上回る範囲においては、資格のない人も実際は必要でございまして、否定はしておりません。しかし、朝7時から基本的に6時までという11時間の中で、8時間以外は保育の専門性が担保されない状況となってもよいとは考えておりません。その中でも、子供の人数に応じて必要な資格を持った職員がきちんと配置されなければ、子供は安心してそこで生活することができないと思っておりますので、これにつきましては部分的にとどめていただきたいと思っています。
「2.幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用」についてですが、一定の要件が設定される場合に限って検討の余地があると思っております。看護師の配置につきましては、乳児保育等を行う保育所で積極的にお願いしておる経緯もございますし、これについては部分的に認めるということはやぶさかではございません。認定こども園も会員におりますので、幼稚園教諭だけの資格の方も保育の中で配置することについては、これも子ども・子育て支援新制度上の経過的な措置としては認められております。
ただ今、会員の認定こども園では、保育士資格、幼稚園教諭資格の両方を取ろうと現場で働く方は努力しています。この両方が大事とすれば、期間限定にならざるを得ないと思っておるところでございます。
その要件に小学校の教員というお話もあったわけですが、保幼小の連携の中で人事交流が行われている地域もあると聞いておりますが、現実的には小学校の教員が保育所の保育をしているのは少ないわけでございまして、その資格をもって担任にかえるとか、複数担任であっても、多分これも保育士的な感覚なのですけれども、一緒に働く保育士が困惑します。
感覚的な問題かもしれませんが、非常になじみは薄いと思っておりますので、看護師もしくは保健師、もしくは幼稚園の教諭というところで限定的に、人数を限定して配置をお願いしたいと思いますし、その辺は受け入れる余地があると思っております。
「3.研修代替要員等の加配人員における保育士資格要件の緩和」ですが、代わりなので資格のない者でもいいという提案でございますが、最低基準の要員ではございませんが、私どもは最低基準の要員プラス保育の質を高めるために加算でついたものを保育士の点数化にして、資格がある常勤職員があと0.3人、0.5人、0.6人と加算して常勤職員をふやしているのが保育の現場なのです。
保育の現場というのは、最低基準だけでやっているところはないのです。朝夕の保育だとか、さまざまに加算されたものを常勤職員として雇っているわけですから、資格を有しない者を代替とはいえ安易に認めるわけにはいかない。保育士不足に対応するために、つまり、正規職員もしくは常勤職員が働き続けられる職場にするためには、そういう職員がふえていかなければいけないので、人は確かに少ないというのは重々認識しておりますが、この基準の緩和については反対です。
また、公立保育所の正規の割合が非常に下がっているのです。処遇面ではよいとされている公立保育所でも正規職員が働き続けられない現状になってきています。
また、民間でも結婚、出産でやめるという話も先ほどから出ています。正規職員でいると大変だから、子供ができたから私を臨時に変えてもらえませんかとか、パートに変えてもらえせんかという方もいらっしゃいます。保育の根幹を支えるのは正規の職員であり、資格を持った職員なのだということを現場でも言っておるわけで、そういった意味で資格を持った基準職員、さらに加算職員が減ること自体に反対をしてまいりたいと思っているところでございます。
あと一点追加でございますが、保育士不足への対策が考えられているなか、退職共済制度の今後の検討については大変危惧しておるところでございます。これにつきましても、処遇改善を今後、進める立場から、後退のないようにお願いしまして、説明を終わります。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
では、構成員の皆様から御確認、質問したいことがありましたら、どうぞ御自由にいただければと思いますが、いかがでしょうか。
なかなか慎重な御意見が多かったと思うのですけれども、おっしゃるとおり緊急措置が保育の質あるいは中長期的に本当は議論しなければいけない業務内容、人員配置、専門性、役割分担、先ほどからあったような議論が足を引っ張ってはいけないと思うのですが、この緊急の話と本来あるべき話は分けて議論しなければいけないのかなと思っているのですが、緊急の非常な人手不足に対して、まずすぐできることというのは何があるのでしょうか。
3つのうち慎重なものが多かったのですけれども、もしあれば教えていただければと思うのです。
○全国保育協議会小島副会長 冒頭の現状認識のところではさらっと言いましたけれども、一つは大幅な処遇改善が必要です。今年も3%の処遇改善をしていただいたわけでございますが、まずは給料を高くするというところでございます。
保育所は一旦やめた人が戻りづらい職場となっています。私の所属する富山県の保育士保育所支援センターの経験では、介護の職場でしたら隣の介護施設に移ることもあるようですが、保育所は難しいようです。ですから、一つは処遇をしっかりと安定させ、離職を防ぐ必要があります。
それはなぜかと言いますと、まだまだ現場は正規職員ではないところで処遇していることが多いものですから、これは個人的な意見となりますが、大幅な処遇改善と、正規化を進めて正規の職員として安心して働ける環境が必要だと思っています。そういった現場がふえてくれば、安心して戻りやすいし、養成校などから現在は5割ほどしか現場に入らないと聞いておりますが、本来保育士を志した人がみんな、保育所というのは給料も安心できるレベルだし、働きやすい職場だと思ってくれれば人員はふえると思っております。
○駒村座長 正規化と処遇改善をすると、今までなかなか戻ってくれない方が戻ってくるだろうということですね。
これは何か研究か調査をやられた結果でしょうか。そういう感覚ということですか。
○全国保育協議会小島副会長 保育士保育所支援センターの事例です。マッチングをしている中で、やはり正規でとってもらいたいというのはそこに来られる方の要望です。そういうことに基づいて発言しています。
○駒村座長 これはいろいろお話を聞いた上での要望か、何かデータでそういう要望が一番多かったということでしょうか。
○全国保育協議会小島副会長 マッチングするときに来られた保育士の方が要望される事項はそれが一番多いです。
○駒村座長 これは資料がないのですか。
○全国保育協議会小島副会長 データとして出せませんけれども、そのように伺っています。
○駒村座長 資料などがあるとすごく説得力があると思うのです。
わかりました。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ御自由にお願いします。
○吉田副座長 これは確認です。このペーパーだけで読み取れないものが今、いろいろ御発表いただいたことでよく見えてきたのですが、特に朝夕の保育士配置の要件緩和について、先ほど保育課長からもお答えをいただいたように、本来正規の職員配置はちゃんとやる。
ただ、極端に言うと朝1人お子さんがいても、配置基準上は1人の保育士でいいわけですが、朝はとにかく2人置かなければいけない。これが保育士資格でなければいけない。そのうちの1人を緊急対応で緩和でいいのではないか。ただし、先ほどおっしゃったように、この朝の時間でもたくさんいらっしゃる地域もある。その場合は、その人数に応じた正規の保育士資格者を配置しなければいけないので、おっしゃったとおりそのままで、そういう意味の御懸念はないのではないかと思っております。もうおっしゃったとおりだと思うのです。
○駒村座長 御懸念の件は、先ほど厚生労働省からそういうことはないという御説明があったと思うのです。その上でいかがでしょうか。
そういう心配がなければいいということでしょうか。
○全国保育協議会小島副会長 全然影響がない、そういう懸念がないということですけれども、私どもの基本的な見解は先ほど述べたとおりで、変わることはないと思います。
○駒村座長 池田構成員。
○池田構成員 座長の先ほどの御発言から確認したいのですが、個別の保育所、事業所で待遇改善できる余地は何かないかということです。先ほどの団体も行政に待遇改善を訴えている。それはわかるのですけれども、何かそういうほかの部分。賃金だけではなくて働きやすさとかいろいろな待遇面について、自助努力で改善できるような取り組みとか、努力できる余地があるのかないのかを教えていただきたいのです。
○全国保育協議会小島副会長 決まった運営費の中で正規職員の比重を高め、資格を持った職員の比重が高ければ働きやすい職場になるのですが、当然、人件費比率が高くなりますので、そうなるとよりアップした処遇改善は余計できなくなるわけです。
ですから、現状の仕組みの中で、今、私どもは社会福祉法人もしくは公立の保育所でございますので、園の努力では限界があると思っています。
○駒村座長 ほかにいかがでしょうか。
寺田構成員、何かありますか。
○寺田構成員 結構でございます。
○駒村座長 ほかはいいですか。
そうしましたら、本日はお忙しいところありがとうございます。大変参考になりました。
ありがとうございます。
(全国保育協議会退席、全国社会福祉法人経営者協議会着席)
○駒村座長 それでは、次に社会福祉法人全国社会福祉法人経営者協議会から、御説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 全国社会福祉法人経営者協議会の保育事業経営委員会の委員長をさせていただいている宮田と申します。
当会といたしましては、基本的には保育士等の確保を進めるに当たって、大きく3つの意見があります。いわゆる処遇改善と、それを進めるための財源確保としてあと3,000億を何とか早急に手当てをしていただきたいということ。あとは働き方の改革や保育所の新規開設、定員増にとどまらない多様な子育て支援を創出するということをしっかりしていただきたい。
これは中長期の課題として必要なものだろうと思います。厚労省の意見に対する考え方ですが、当然、質の確保が懸念されるところでございますので、しっかりとそこは慎重に検討する必要がある。
ただし、今、保育士の業務はいろいろな周辺業務がある。コア部分以外の事務処理であるとか、いろいろなところがありますので、その辺の業務をしっかりと整理をした上で見直していくことも必要なのだろう。
具体的に朝夕の保育士配置の要件緩和、幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用、研修代替要員等の加配人員における保育士要件の緩和につきましては、今の状況を鑑みたら早急にやっていただかないといけないのだろう。
ただし、その3つ以外にも、いろいろほかの手段もあるのではないかということも、慎重に検討していく必要もあるだろうということを考えております。
基本的な考え方は以上でございます。
○駒村座長 どうもありがとうございます。
今の御見解でございますが、構成員の方から、いかがでしょうか。
最後に3つ以外のアイデアもあるのではないかとおっしゃったのですけれども、これはなにか具体的にありますか。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 今のところ具体的にこれということではないのですけれども、例えば先ほど申し上げましたように、業務をしっかり見直していく中で保育士しかできないコアの部分とそれ以外の事務処理あるいはその他環境整備等々につきまして、例えばそこを分けて、資格のない方にお願いするであるとか、そういうことも検討できるのではないか。
特に事務作業につきましては、非常に負担になっているところが多いですので、そこは何とか検討する必要があるのではないか。そんなことを思っております。
○駒村座長 ありがとうございます。
どうしても議論はこの3つの緊急対策ばかりですけれども、おっしゃるような業務の見直し、配置の見直しも一つ重要なテーマなのかなと思います。
御意見はごもっともで、政府におかれましても0.3兆円の予算確保は私も新制度にかかわった立場から見ると本当に必要だと思っておりますし、働き方の見直しも保育制度に負荷をかけないためにも重要なアイデアかと思っておりますが、構成員の皆様からどうでしょうか。何かありますでしょうか。
寺田構成員、お願いします。
○寺田構成員 資料をありがとうございます。
全国社会福祉法人経営者協議会としては、厚生労働省案に対して、つまりは賛成なのでしょうか。それとも、反対なのでしょうか。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 賛成です。
○寺田構成員 そうなのですね。この資料からはちょっと読み取れないのです。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 実施すべきということで書かせていただいております。
○寺田構成員 乱暴な質問の仕方をしてしまいました。賛成ということなのですね。わかりました。
それと、宮田さんも忽那さんも現場で保育園を運営されていらっしゃいますよね。実際に今、お二人の先生の保育園では、待機児とか保育者の現状はどういうことなのでしょうか。教えていただけたら幸いでございます。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 では、私から説明させていただきます。
私の法人は、堺市がベースで堺市内に3カ所、神戸市に2カ所の認定こども園があります。その5つの認定こども園と、大阪市内に市からの運営受託の保育所を1つという状況で、保育士数としては大体全部で120~130という規模でやっておりますけれども、確かに人材の確保、新規の採用はかなり厳しくなってきております。
今まで1人の採用枠に1.2ぐらいの割合だったのが、今はもう選ぶ状況にはないという状況です。
そんな状況ですけれども、おかげさまで離職がそれほどばたばたということもないので、何とか回っているという状況であります。
○寺田構成員 ありがとうございます。
忽那さんの園の現状もお聞かせていただけたらと思います。
○駒村座長 お願いします。
○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 私どもの認定こども園は高松市という中核市にございます。本園と小さな分園、合計で199名の定員ですけれども、現在、162名でとどまっています。
待機児童として0歳児が6名、1~3歳で3名、分園でゼロ歳児4名、1~2歳で1名ずつ。第1希望を私どもの園にしている子供の中で、行政でつかんでいる待機児です。
そのほかに、兄弟児その他園に直接申し込みがあった人たちで、市へ申請を上げていない待機は4名ほどいます。うち2名が兄弟児の下の子です。いずれも、9月から入れません。
保育士補充は、関係各所に求人を出しておりますが、ゼロに近い状態です。採用を実施できている状態にはありません。要するに、応募がないということです。
○寺田構成員 保育士がいらっしゃらないことによって、待機児が解消できていない現状があるということですね。
○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 そうです。保育士さえいれば今の待機児は全員入れることができます。平米数や、環境的に問題があるということではなく、ひとえに対応する保育士の数、あるいは認定こども園ですから経過措置の幼稚園教諭だけでも構わないということになっておりますので、幼稚園教諭でもいいということで求人しておりますが、そちらも今のところ無理です。
○寺田構成員 そういう現状は多いわけですか。
○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 我が園に限ってはということになってくるのでしょうけれども、ここ5年以上続いております。他の園のことについてというのは、細かい数字までをお話しする、あるいはデータとしてまとめていないので、状況をきちんとご説明できませんけれども、私どもの園としてはそういうことです。
加えて申し上げれば、私どもの正職員を退職した職員が市の非常勤の保育士で採用されている事実が3~4名ほどありまして、市の関係者には「うちは公立の育成施設ではない」と嫌みを言ったこともありますが、やはり給与や勤務時間の差によるのだと思います。民間での正職員と公務員での非常勤の給与の差がない。給与が変わらないのであれば楽な公立のほうがいいというのは否めないのだろうと思います。
○駒村座長 吉田副座長。
○吉田副座長 ちょっと視点がずれてしまうので恐縮なのですが、今、お話があったとおり、お二人とも認定こども園をされている。しかし、今回のこれは緊急対応ということで、保育所限定で認定こども園ではないということになっているのですが、これは法令上、制度上どうかという技術的な問題は別として、現場の感覚から、もともと保育所由来で待機児童を抱えている現状からすると、その辺はいかがですか。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 当然、認定こども園にも適用していただくべきだと考えております。
○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 「べきだ」というか、当然適用されるものだと信じて疑っておりませんでした。同じ子供ですから、2号3号もかわりなく同じ状態に、そもそも福祉施設としての保育所という機能を認定こども園が持っている以上、保育士と保育教諭と名称が違うだけでどうこうという論理は受け入れられないと思っておりますので、当然、認定こども園を希望している保護者であったとしても、同じ条件で緩和という状態になって、入園の余地ができるということを望んでいます。
○駒村座長 事務局から何かありますか。
○朝川保育課長 当然、この検討会は厚生労働省のものとして開いていますので、ここで議論していただくのはまず保育所あるいは地域型保育が範疇です。一定の結論をここで出していただいて、それを踏まえて我々が行政としての方針を今後に決めますけれども、その際には、当然内閣府、文科省と一緒に共管をしています認定こども園についても、同じことが検討できないかというのは投げかけて、できる限りそろえる方向で結論を出していけたらと思いますが、そこは厚生労働省の範疇を超えているところもありますので、今、この場は保育所に限ってということでございます。
○駒村座長 ということです。いかがでしょうか。
お願いします。
○池田構成員 現場をよく御存じだということで教えていただきたいのですが、朝夕の人手不足は、端的に言うと来ないというのがもう一つ選択肢としてあると思うのです。朝、例えばそんなに早く来ないでくださいとか、夕方、もうちょっと早くお迎えにきてくださいとか。今、民間企業に対して短時間勤務とかフレックスタイムだとか、そういう柔軟な働き方を厚生労働省は同時に進めていますから、そういうところでこの部分の保育需要が吸収できるのかどうかです。
例えば短時間勤務で送りの時間を少し遅くするとか、お迎えの時間を早くするということが現場の感覚で現実的にどの程度できるのかということ。ただ、そうは言っても、もう一つはサービス業などで勤務する時間帯が多様化しているので、遅く出勤して遅く就業するということがふえていますので、そういう面で言うと時短があってもなかなか吸収できないという面もあると思うのです。
その辺について現場感覚で、日ごろ保護者の方とかとお話ししている感じでどういう印象をお持ちかお聞かせいただけるといいかと思うのです。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 今の環境であれば、それはなかなか厳しいというか、ほとんど無理だと思います。
就労自体が継続できないような状況に保護者の方がなっていくのだろうと思う。つまり、それをしようとすれば、先ほど申し上げたように、働き方をもっと多様化して、ワーク・ライフ・バランスをきちんとやっていくのだという社会的な合意があって、社会的にお子さんがいらっしゃる家庭は当然時短で当たり前という、誰もがそういうことを当たり前だと受けとめられる環境が整って初めてそれが可能になるのだろうという気がしておりますので、今の段階でそれをすると、多分保護者に過度な負担がかかっていくのだろうという懸念があります。
私の印象は以上です。
○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 大企業の場合にはそれは可能なのかもしれないと思います。ただ、そのような企業に勤めていらっしゃる方は、雑駁な感覚としては例えば私どもの園では少数で、お父様がそのような仕事場であったとしてもお母様は違うということもあります。自営業の方は無理ですし、パートの場合には、そのような勤務希望は、職場からするとそれは個人のわがままとしか捉えないわけです。
ですから、即退職あるいはこの勤務条件で仕事をするかということ。就職当初の条件はこれだったけれども、業績がこのような状態で変わってきたので、来月から7時半の出勤にしてくれと言われる。それがだめなのだったらやめてくれ。そういう勤務ができる人材をうちは求めているのだと言われてしまう。そういうケースも結構耳にします。
去年でそのような例はじっくりとお話を聞いた状態でも3~4人はおりましたので、隠れたそのような状況を持っていらっしゃる方はもっと多いのだろう。
加えて、私どもの保護者の中には、公務員というか学校の先生が結構多いのです。こうなるともうだめで、この間まで8時10分前の登園で済んでいたのが「4月から転勤になりました。通勤距離が格段に遠くなったので7時でお願いします」ということに対してだめだとは言えませんし、7時ということは6時50分あるいは6時45分には園をあけるということ。
うちの園の開園は7時ですけれども、結局そのようになってくる。ということは、職員は6時半に来ます。結局そのような状態で勤務ができないという部分につながっていくというようなことです。
○池田構成員 多分、企業サイドからすれば、サービスがあるのだったら、預けられるのだったら出勤できるでしょうということになるのです。なので、そこはどんどんエスカレートしていくところなので、行政としては、きょうは保育の話ですけれども、保護者の働き方の問題と両輪で話をしないと「延長保育があるから残れるでしょう。早朝保育があるから早く来られるでしょう」ということになると、どんどん苦しくなるばかりだなという感想を持ちました。
○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 一言、うちの保育士はどこへ子供を預ければいいのでしょうか。
○池田構成員 そうなのです。そういう問題があるのです。まさにそうなのです。
○駒村座長 本当は労働政策と保育政策が連携しなければいけないところだと思うのですけれども、教えていただきたいのですが、十分人員が確保できてはいないということなのですが、今回は緊急措置で、どちらかと言うと保育士資格を持った保育士に対する需要を少し抑えるというか、別の方で代替しようとか、朝夕の負担を下げようということ。
これは必要量を少し減らそうということがあるわけですけれども、一方で処遇改善は供給量というのですか、この方をふやしていくという効果と、両方でやろうということ。だから供給政策と需要政策を両方で、とりあえずまずは需要政策からやっていくしかないのだという考え方だと思うのですが、賃金の引き上げで、直面されている状況を見ると、賃金さえ引き上げればかなり確保可能な状況なのか、賃金でもかなり難しいのか、そもそも賃金引き上げ自体が経営的にはかなりしんどいのか、賃金との関係を見るとこの辺はどうでしょうか。
○全国社会福祉法人経営者協議会宮田保育事業経営委員会委員長 どうでしょうか。
多分、賃金を引き上げれば一定程度の確保はできるのだろうと思います。今、東京は聞くところによると初任給で20万を超えていますね。家賃補助とかで下手をしたら30万ぐらいの実質賃金が支給されている。それは自治体間の格差があって、そこは単費の補助がしっかりついている。なので、一緒に自治体間の格差が大きくなってきているのだろう。おかげさまで、まだ堺市であるとか神戸市であるとかは、そこそこ単費の補助がついていますので、そういう初任給の引き上げ財源とかは一定程度はできるのですけれども、それだけで確保ができるとは思っていませんし、もっと言うと、賃金というのはどちらかと言うと衛生要因だと私は考えていますので、それよりも入ってからの研修体系であるとか、キャリアラダーの仕組みであるとか、その辺をしっかりやっていくことのほうがより重要なのだろうと思っています。
○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 賃金も一定の効果は否定しません。
ただ、トップ3の中には入るのではないかという初任給で提示をしていますが、給与でつられるものでもないだろうと思います。
それに高齢者を中心にやっていた法人が保育所をつくった場合に、高齢者の給与表に合わせて格段に高い金額を提示した。1年目ですからそのぐらい出せますよね。そうなると、そちらのほうへ流れていくという状態になってきますので、給与の高騰の競争になってくる感じは否めないかもしれないと思います。
ただ、それよりも、保育士の保育所での仕事が多岐にわたって多い。要するに量とか時間だけではなくて、ありとあらゆることをしなければならないという仕事の中での、先輩から後輩へ保育所は大変なのだというネガティブキャンペーンのような感じでつながっていってしまっているところが問題なのではないかと思っています。
いっとき、保育士あるいは保育所に対して、子育ての社会資源だといって何でもかんでも保育士の仕事だ、保育園ですべきだと、あれもこれもと肩にのしかかってきた重責を感じたことがあります。
それはずっとつながっていて、保育士は気持ちで仕事をしていると言われてもおかしくないぐらい、子供がいる時間帯はとにかく自分の責任において子供たちを見るのだという感覚に走りがちですので、定時で帰れと言っても帰りません。結局、それがひいては自分の首を絞めていくという状態にもなってくるのですけれども、そのような原因が大きいのと、保護者との関係でコミュニケーションのとり方の能力不足というか、研修でどうにかなるものではなく、やはり生活体験から出てくるその人の人間性であったり性格であったりという部分の、人対人の対応が厳しい状況になってきているということで、保育所に就職するというのが少なくなってきている。現場の試験を受けに来た人と話をして感じているところではあります。
○駒村座長 ありがとうございます。
お願いいたします。
○西村構成員 もう一つだけ、先ほど先生の、民間は公立の臨時保育士の養成所という話がありましたが、どのような理由で公立保育所のほうへ転勤するということでしょうか。先生の御判断を教えてください。○全国社会福祉法人経営者協議会忽那保育事業経営委員会専門委員 民間の私どものような園の場合に、3~4年ぐらいの経験を積むと、クラスリーダーあるいはそれなりの責任を負う立場でやっていかなければならない、また早出居残りのローテーションも同様です。
そういう状態で、友達関係の中から公立だと楽なのだという情報が流れてきます。私どもの園から家庭の事情で公立の正規の職員で公務員試験を受けて通った人がいまして、その人から聞いた話だと、研修に出ていくときには誰かどこからか、かわりが来るのです。玄関先が汚れているからといって掃除をし始めたら「あなたはそんなことをしなくていいのだ」と言って、どこからか別の人が出てきて掃除をしてくれる。
昼寝の布団を敷く時間帯に、どこからか来て敷いてくれているのです。「こんなに公立は人がいっぱいいるのですね」と言うのです。結局、そのような話が友達関係の中で流れていくと、それをとめるほどうちの園に魅力がなかったと言われればそれまでなのですけれども、キャリアアップでその先が見込める云々ではなくて、重い責任を負うことについて、つらいと思う職員は流れていくというのが、一人二人ではなかったということで、心を痛める状態はありました。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
そろそろ時間になってきましたので、もしよろしければこのくらいと思っております。
本日は、大変お忙しいところありがとうございました。
(全国社会福祉法人経営者協議会退席、日本こども育成協議会着席)
○駒村座長 続きまして、一般社団法人日本こども育成協議会から御説明をお願いいたします。
では、御準備ができましたら、よろしくお願いいたします。
○日本こども育成協議会廣島会長 きょうはお招きいただきまして、私どもの意見を述べさせていただく時間をいただきましたことを、心から感謝申し上げます。
今、御紹介いただきました一般社団法人日本こども育成協議会会長の廣島でございます。
私どもの会は、きょう出席されている皆さんの中で、ある意味では認可以外の構成員を持つということでは、非常に特筆されたものかと思う。また、そういう意味でお呼びいただいたのかなということでも、あわせてお話をさせていただきたいと思います。
私ども株式会社立の認可保育園と、東京都認証保育所を中心とした各自治体の指定された保育園という形で、約1,000カ所の構成要件のもとで現在、進めております。きょうは本題の保育士確保でございますが、本当にこのことについては、皆様からお話があったとおり、非常に深刻な問題で、特に認可外においては、そのことが目を覆うばかりの状況であるということで、お話をいただきました3点のことについて、私から申し述べさせていただきたいと思います。
まず朝夕のことにつきましては、確かにさまざまな御意見はあろうかとは思いますが、喫緊の課題として人がいないということをまず考えたときには、さまざまな工夫をしていくことは当然だろう。例えば保育の質の問題であるとかさまざまな御意見があろうと思いますが、翻って保育の質とは一対何だろうということも逆に考えてみる必要があるだろう。
今、お困りになっている方を見たときに、何が選択すべき課題かということは、優先して考えていくべきだろうと思いまして、3つの御提案については、基本的にむしろ遅きに失したというぐらいの思いを持ってございます。
個々の内容についてはさまざまな形で精査していかなければいけないというのがございますが、いずれにしても、待機児がこのように多くて、働くことに対してなかなかその場を設けられないことを思ったときに、やはり私たち事業者としては、利用される皆様に対してどのような形で応援することができるかを思いますと、ぜひともこのような形での規制の一部緩和。これは時限的なことかもしれません。限られた内容のことかもしれません。ずっとということがあるかどうか。これはその事態になってみないとわかりませんが、この3点に関して、私どもは基本的に推進をしていきたい。今、お困りになっている一人一人を何らかの形で応援していきたい。
ただし、こう申し上げると、さまざまな御意見があろうかと思います。私どもは株式会社立、株式会社ということで、さまざまな御意見を頂戴して、ありがたい御意見も頂戴してまいりました。
今後とも、恐らくありがたい意見を頂戴するのだろうと思いますが、私どもはそういう意味で、しっかりと利用される皆様側の側に立って、これから将来を背負うであろうお子様の味方に立てるような団体として、運営主体者として進んでいくことを決意しておるわけでございます。
詳細は後ほどということで、以上でございます。
○駒村座長 詳細の御説明は別途あるということでしょうか。
○日本こども育成協議会溝口副会長 お手元に配付しております資料を一緒に御確認していただきながら、読み上げたいと思います。前段の部分の挨拶について、今、会長からありましたので、1~4といった部分ですが、読ませていただきます。
「1 子育て支援員の活用」ということで、保育士確保という喫緊の課題に対処するために、緊急的、暫定的措置として子育て支援員などの保育士資格を有しない者の配置を、今、申しましたように、例えば朝夕の延長保育時間などに、保育の質を落とさない範囲で認めること。これは全く賛成でございまして、このようにしていただけるとありがたいと思っています。
認証保育所が我が団体は多いわけなのですが、認証保育所の開所時間が現在でも13時間であります。保育士の基準職員の配置なのですが、6割です。根拠となるのが恐らく13時間分のうちの保育時間。このごろ厚生労働省の保育時間がどこか私どもがよくわからない状態なのですが、一応、法では8時間になっているはずで、13時間分の8が6割という形で、正規職員6割という根拠はそこにあるのかなと思っておるのですが、逆に言いますと8時間から出る分の5時間。ここを保育補助というものではないのですが、保育士資格のない者、もちろん保育士と同じ2名体制で勤務しておりますが、そのような形で今まで保育をしておりますが、何ら質が低下したという感覚は持っていないわけです。
現に私も保育士ですがきょうの朝に早番をやって、保育の資格がない者もいる中で、私が保育士として一緒に保育をしておりますが、何ら今まで問題はなく行っておりますので、このような活用という形で、さらに子育て支援員ができるようですから、より活用していただく形でお願いできたらと思っております。
「2 子育て支援員研修の民間委託の促進」は、現在、子育て支援員研修は受講枠、実施回数とも少なく、十分とは言いがたい状況にあります。子ども・子育て支援新制度を担う一員として活躍が期待される職種であることから、早急な養成体制の整備が求められていると思われます。
この研修は、専門学校など民間でも実施可能な研修であり、養成体制の整備という観点から、さらなる民間委託の促進を図られたいと思っております。
「3 住宅確保策の改善、充実」です。
都市部では、5年間という有期の制度ではありますが、家賃助成制度が実施され、保育士確保に大いに役立っているところであります。
しかしながら、実施主体が自治体であるため、実施する自治体としない自治体があり、複数の保育所を複数の自治体で運営する事業主にとっては、職員間に不公平が生じたり、5年経過後は高額の自己負担が生じるのにも問題があります。
例えば、家賃助成相当額を運営額に組み入れるなど、改善策を御検討いただきたいこと。
また、公的住宅の活用など、さらなる住宅確保策の充実を図られたいということで、要望をいたします
「4 潜在保育士の活用」ですが、潜在保育士の活用については、再就職のための研修を実施されているところでありますが、この研修の充実を図るとともに、就職祝い金など再就職へのインセンティブが働く制度を御検討いただきたいこと。
あわせて保育士という職業のすばらしさをアピールし、社会的なコンセンサスが得られるように広報活動を強化していただきたいということが4点目です。
社会的な機運の中で、大分なくなってきたと思うのですが、保育士が大変だ。しかも何だかこどもがちいちいぱっぱしているだけではないかと見られている方もたくさんいらっしゃいます。やはり乳幼児期の教育は言っているように非常に重要ですから、私たちは専門職として当たっているわけです。
そのあたりの専門性だとか、将来にわたって子供を育てることは重要なのだという機運の醸成をもう少しできないかと思っておりまして、唐突なのですが、例えばテレビコマーシャルで、きのう酪農家か何かの協会か何かが牛のおっぱいを絞るのをやっていましたけれども、そのような形で保育士がいい仕事だという機運の醸成であったり、公共等のPRでもそのようなことをしていただくといいのかなあと思います。ドラマでもつくっていただいて、流していただくと非常にありがたいということを思っているのですけれども、とにかく潜在保育士の活用を今までどおりの活用の仕方ではなくて、もっと幅広く国民全体に周知するような活動が必要なのではないかと思っておりますので、この4点を意見としてお述べいたします。
よろしくお願いいたします。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
では、構成員の皆様から御意見とか御質問はありますか。
吉田副座長、お願いします。
○吉田副座長 認証保育所関係の方が多いということで、逆に教えていただきたいのですが、今回、緊急対応でかなり限定的な対応がベースですけれども、認証保育所は今、お話があったように、13時間開所の中で保育士資格者が6割以上でなければいけない。言いかえると、2割とか3割とか4割近くはいわゆる保育士資格者以外の職員を置ける。
この方々も、保育士資格を持っていないけれども誰でもいいというわけではないはずですから、有資格者以外の職員は認証保育所で平均的にどういう形の方々なのかというのが一点。
もう一つは、そういう職員が保育士資格を取得する道筋を考えることもとても大事だと思っていて、その辺の現状とか、実際そういうケースがあったかということも含めてお話していただきたいと思うのです。
○日本こども育成協議会廣島会長 今の御意見なのですが、まず、認証保育所は6割ですが、実態的には13時間開所ということで、有資格者は大体8割以上は確保されている。6割ということが非常に喧伝されているわけですが、実際には8割から8割5分。13時間ということを考えますと回りませんので、そういう形になっています。
先生からお話がありました件ですが、資格のない人についてはどうなのかというと、幼稚園教諭であるとか、あるいは夜に学校に行っている学生さんです。専門学校あるいは短大、もちろん全く資格がない方もいらっしゃいますが、多くは幼稚園教諭あるいは学生さん、子育て経験のある方で、現在、大体充足をされているということで、実質的にそう大きな不安要素はないということでございます。
2点目は何でしたか。
○吉田副座長 そういう方々が今度は逆に保育士資格を取得できる道筋みたいなものです。
○日本こども育成協議会廣島会長 筋道ですね。今、申し上げたように学生さん等もいらっしゃいますので、その辺の各企業さんについては、支援策であるとか誘導策は持っておりますし、最近いわゆる国家試験の方も全て取っていないけれどもという方もいらっしゃいますので、その辺の支援も考えて実行しております。
そういう意味で、認証保育所については、非常に多様な方、多様な経歴を持った方がいらっしゃって、ある意味では非常に有効な制度かと思ってございます。
必ずしも保育だけということではなくて、さまざまな社会経験等を踏まえて、現実に社会経験をされている中での保育ということで、非常に有用だと思っております。
以上です。
○吉田副座長 もう一つだけ。今、幼稚園免許の方がいらっしゃると言ったのは、認証保育所はこれが例外的ではなくてそれなりにいらっしゃると理解してよろしいのですか。
○日本こども育成協議会廣島会長 それなりにいます。
○吉田副座長 データはありますか。
○日本こども育成協議会廣島会長 データは必ずしも持っておりませんが、非常にいいかげんですけれども、それなりにおります。
○日本こども育成協議会溝口副会長 一点補足させていただいていいですか。
幼稚園免許は今、会長から言いましたように、私も両方持っているのですが、推測ですが、現場の人間はほぼ持っているのではないかということがあります。
確かに幼稚園免許だけで保育士のカウントをされていない者がいるのが実際です。
それから、一点補足させていただきたいのですが、多様な人材の活用は実は保育の質を上げることにもつながるのではないかと思っておりまして、一点、東京都のしごと財団と一緒に委託を受けまして、55歳以上の高齢者と言うと差し支えがありそうなのですが、保育補助講習というプログラムを組みまして、そこで講習をする。かなり厳密に細かなプログラムを組んでいます。
そこで実際に講習をして、実習も希望者には出ていただいて、その後、我々の協議会の事業者でそのような方の採用を見込む方を集めて、そこにマッチングをする事業をしています。
かなりパーセンテージが高い率でマッチングが行われておりまして、現場もいろいろなスキルを持った方が実際には入ってきてくださるので、保育士の資格がないとしても、非常に有効に保育に作用している。
例えば山が大好きな方で、山登りの経験がとても豊富な方で、その方が入ってきたことによって子供と山に行ってくれるだとか、農業をやっている方がおったりとか、看護師さんだとか准看護師さんだとか、中には幼稚園免許をおっしゃいました形で持っている方もいらっしゃいまして、実際はそういった形で、新たなスタートというと55歳の方に怒られてしまうのですが、自分の持っているスキルを生かしながら、かなりたくさんの方が子供と接したい、自分の人生で子育てをしてきたのですけれども、そのスキルを生かしながら子供と触れ合って、よりよい子供の育ちを保障したいという方が多いものですから、そのような事業も今、取り組んでおります。
○駒村座長 ほかにいかがでしょうか。
2つぐらい。これは文書にも書いてあるのですが「保育所間での保育士の獲得競争」で、なかなか人員確保は難しいのではないかと思いますけれども、どのように確保されて工夫されているのかを一つ教えていただきたいと思っている。
もう一つ、定着率については、どういう状況になっているか、もしわかれば教えていただきたいと思うのです。
○日本こども育成協議会廣島会長 まず確保策ですが、私どもはほかの団体の皆様より非常に苦労して、事業者によっては全国を飛び回ってもなかなか採用できない。特にここ2~3年、それに困難を来しているという状況でございます。
確保策について、妙案があれば教えていただきたいというぐらい、逆に先ほどおっしゃっていましたように、給料だけではない。むしろ給料は相当程度、大丈夫なのかというぐらいの水準になっている企業さんもおいでになる。そういう意味では、非常に困難を来しているという現状でございます。
特にこういう場でお話をさせていただくのは非常にありがたいのですが、認可外保育所というのは、東京都認証もそうですけれども、ある意味では一番保育の原点の場である。認可保育所等について申し上げれば、いわゆる恵まれた環境の方が通われるぐらいの感覚であって、きょうどうしよう、あしたどうしようという緊急的なお子さんを預かる施設が今、公的にないわけです。
これは役所にもそういう枠を設けなさいと言うのですが、国の制度がこうなっているということでなかなかできない。本当は、一番大変なのは、きょうあすどうするか、あるいは失業してしまってどうしようか、本当に困難を来す、貧困の連鎖ではありませんが、持論なのですが、貧困は生まれたときから始まる。それは預ける先がないからだということで、実は認可外保育所の果たす役割は、東京都認証保育所を初めとして、非常に大きなものがあるということをこの場で強く訴えたいと思います。
2番目が定着ですね。定着は、最近は非常に認証保育所も社会的に、あるいは株式会社の認可もそうですが、定着率は高まってきているとは思いますが、まだまだそういう意味では、いま一つの感がするということで、特に住宅補助ができて定着化ということですが、5年間という刻みを思うと、5年を過ぎたらどうなるのだろうということになると、定着の本来の趣旨から申し上げると、定着化が流動化にならなければいいなという危惧は持っております。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
西村構成員、お願いします。
○西村構成員 潜在保育士の活用のところに、再就職へのインセンティブをいろいろと考えて就職祝い金と言っているのですが、これはどんなことを考えて、どんなことがあるのか教えてください。
○日本こども育成協議会廣島会長 基本的に、溝口も申し上げましたけれども、金だけではない。やりがいの問題、保育士というすばらしさが定着化することがまず大事なのだろう。恐らく金銭的なことだけ申し上げれば、今、相当数保育士の時給等もひっくるめて、我々の感覚からしますと結構高い水準になりつつある。そういう意味ではむしろ、保育士の子供にかかわる仕事というすばらしさをどう訴えていくか。
今、世の中で保育士はつらい、大変だ、どうだこうだとマイナスイメージだけが先行している。むしろ逆に、国が主導していただいて、保育士のプラスの面、子供にかかわるということがどれほどすばらしいかという、先ほど申し上げた55歳の方々を私どもはやっているのですが、皆さん本当にありがたいとおっしゃいます。
ですから、むしろそういう意味では、お金ももちろんありますけれども、それ以上に子供にかかわる、人にかかわるという職業のすばらしさをまずマイナスイメージだけ、ややもするとどうしても新聞や報道等でも言っておりますが、どうこれを変えていけるかということが、多くの共感を呼ぶのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○駒村座長 よろしいですか。
ありがとうございました。
では、伊原構成員、お願いします。
○伊原構成員 新たな保育士を確保するに当たって、養成校卒業者をふやすのも大事なのですが、注目しているのが、認可外施設で働いている、保育の業務と似たようなことをしているのですけれども保育士資格を持っていない方を、保育士資格を取らせるようなものとして、例えば、自分で勉強して資格を目指している方とか、あるいは通信教育で習って資格を目指している方々がいると思うのですが、そういった方々に例えば実技とか学科の要件を多少緩和したりとか、通信教育の費用を補助したりすることによって、目指す方がふえるかどうかという、その辺の感覚的なものはいかがでしょうか。
○日本こども育成協議会溝口副会長 おっしゃるとおりだと思います。現実的に、生涯学習の面も含めて、就職した後に資格を取ろうと思っている方も大勢います。
どうも難点なのが、保養協の先生もいますのであえて申しますが、実技です。今、音楽の実技試験はピアノ、ギター、アコーディオンなのです。とてもいい楽器ですから、現場でアコーディオンを使ったっていいのです
けれども、実際、私は十数年保育をやっていますが一度も使ったことがございませんので、最終的にカリキュラムの中身も連動するのでしょうけれども、もう一度資格試験の中身を見直していただいて、緩和というよりも現場に即した形の国家試験の内容になっていただけるとありがたいと思っております。
○駒村座長 ありがとうございます。
では、そろそろ時間ですのでこれで終わります。
どうもありがとうございました。
(日本こども育成協議会退席、保育の未来を創る会着席)
○駒村座長 では、次の団体からのヒアリングをお願いしたいと思います。
最後に、保育の未来を創る会からお願いしたいと思います。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 資料4-6で、保育の未来を創る会から発表させていただきます。
表紙の1ページ目に6社の会の名前を書いております。この団体から参りました。本日は、6社でつくった団体ではございますが、このような場をいただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、保育の未来を創る会を代表しまして、株式会社ベネッセスタイルケアの佐久間より御発表をさせていただきます。
資料4-6の2ページ目に、私ども保育の未来を創る会6社の、保育園、子育て支援施設の運営状況を書かせていただいておりますが、6社で約350施設の運営を行っております。
待機児童解消という課題に、ここ数年各社で積極的に取り組んでまいっておりますが、4ページにも記載をしておりますが、先ほど来出ております保育士の定着率アップ、保育士の採用の取り組みというのも、積極的に推進をしてきております。
ただ、保育士の採用がここ数年非常に厳しくなっておりまして、開設のスピードを落とさざるを得ないという状況があります。
そのような中で、今回の保育の担い手確保に向けた取り組みの検討がされていることは、非常に重要なことと思っておりまして、保育の質、保育の担い手の両面から検討されている今回の厚生労働省案3案、どの案にも私どもの会としては賛成の意を示させていただきます。
その上で、本日は限られた時間となりますので、追加して御提案させていただきたい点を中心に補足をさせていただきます。
6ページは厚生労働省案1について、朝夕の保育士配置の弾力運用についてですが、保育士資格を有さない者の条件として「当該施設等」と書かれております。その部分を「自法人、他法人の運営する他の子育て支援施設」としていただきますよう、お願いいたします。
また「その他の者」としてこちらに記載しております「子育て経験者」などを含む人材も対象としていただきますよう、御検討をお願いいたします。
この案については、7ページにも記載をしましたが、コアタイムの質の向上が図れるとともに、正規保育士の勤務環境改善にもつながり、また地域のアクティブシニアの方など、活用の場につながると思っておりますので、ぜひ推進していただければと思っております。
案2~3につきましては、資料を御確認いただければと思いますが、今回の提案にない案で14ページをごらんください。
こちらに記載いたしました保育士資格保有者の保育園への優先入園についても、御検討いただければと思っております。
資料前後をして申しわけありませんが、3ページ目に6社の「育児休職・時短勤務取得者数」を入れました。6社でも、育児休業取得差者数は約200名いらっしゃいます。この方々は、当園での経験もあり、また、子育て経験もあるという方になります。
この方々がスムーズに新年度に向けて復帰ができるということがございましたら、次年度の体制も考えていくことができますし、非常に安定的な運営につながっていくこともできますので、ぜひ御検討いただきたいと思っておりますし、この件については、各自治体様の主導の部分でもございますので、国としても強力にアピールしていただきたいと考えております。
最後になりますが、このような保育の担い手の確保に向けて、国を挙げて具体策の取り組みをしていただいていることに感謝をいたしますとともに、この国の動きを国の動きにとどめることなく、各自治体様の条例改正などを含めた動きになっていくよう、また、本当に今、保育士採用は困っておりますので、今もそうですが、来年の4月に向けて、この案が推進されていきますように強く切望いたします。
簡単ではございますが、説明は以上とさせていただきます。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
では、構成員の皆様から御意見、御質問をよろしくお願いします。
○清水構成員 取り組みの説明ありがとうございました。
資料を見せていただいている中で、研修という話が幾つも出てくると思うのですけれども、この研修について少しお聞かせいただけたらと思うのです。4ページの育成の取り組みの研修と、育成取り組み強化の研修が、上のほうで定着率アップという形でやられているということですね。
それと6ページで提案されている中で、自社研修をされています。その2つについて少し御説明をお願いします。
○駒村座長 お願いします。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 6社それぞれに人事制度が違いますし、研修体系も違うのですけれども、必ず新任で採用された場合には、集合研修という形でこのような方針でこのような具体的な方法で保育をやっていくのだという研修は、6社ともさせていただいております。日数については、各社で違いますけれども、2日から1週間程度の研修です。その後、現場に行きまして、OJTという形でフォローしていくというところも各社で行っておりますので、そのことを6ページ目には記載させていただきました。
また、4ページの定着率アップの取り組みの研修につきましては、非常に多岐にわたります。新任の研修もそうですし、1年目の新入社員でのフォローアップ研修であったり、3年目、5年目といったところのスキルアップ研修、また、主任や園長に対しての研修も行っておりまして、保育を好きとか保育が楽しいという気持ちを持って継続していただけるようにということで、各社取り組みを進めております。
○駒村座長 よろしいでしょうか。
○株式会社ポピンズ井上 ポピンズから追加させていただきますと、内定が決まってから、まずeラーニングで研修をいたします。それから、先ほどベネッセさんからもお話がありましたけれども、新入社員の合宿の研修、キャリアに応じた将来のキャリア開発という部分で、主任であったり園長になる場合の研修を行う。モチベーションを上げていくような、そのために評価をしていくことを組み込みながら育成をしていく。
昨今、海外のいろいろな保育に関心を持つ保育士も多いですので、当社の場合はハーバードであるとかスタンフォードといったところと提携しまして、海外にも研修に送り出しているということも取り組んでおります。
○駒村座長 ほかにいかがでしょうか。
西村構成員。
○西村構成員 短い期間でやめる学生、退職する学生が多いのは、人間関係でやめていくのが非常に多いのです。ここで定着率アップの取り組みについて、職員同士の活性化施策を取り入れていると言われていましたが、どのような内容であるのか具体的に教えていただけませんか。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 ベネッセスタイルケアの弊社の事例で話をさせていただきます。
園ごとの取り組みは、例えばバーベキュー大会をするとかそういうこともありますけれども、会社全体としては、弊社は介護の施設も持っておりますが、全体としてバレーボール大会をやったりとか、現場のいいエピソードをエピソード集として集めて、みんなで大賞を決めていくということをやって、現場から出てくるいいエピソードをみんなに知らせることで、もっと活性化していくという取り組みを行っております。
○駒村座長 これはもしデータがあれば定着率が今、どれくらいでそのような取り組みで実際に上がっているのかというのがあるのでしょうか。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 これも各社それぞれ状況が違いますが、弊社の事例でいくと、ここ数年の定着率は、常勤の保育士が上がってきております。昨年は15%ぐらいの退職という形でございました。
まだまだかとは思いますけれども、徐々に上がってきているというところはあります。
○株式会社ポピンズ井上 当社の例でいきますと、退職率自体は変わっていないという状況があります。いかにいろいろな取り組みをしても、率が変わらないで保育施設がふえて保育士の数自体がふえておりますので、そういった意味では保育士の退職者数自体はふえているということで、大きいのは人間関係という部分で、経験の少ない保育士がいろいろな園に配属になって、例えば今まで1人で5~6人のお子様を見ていた。その保育の技量を持つ保育士の数が、割合として園の中で減って、その人の負担がますます多くなっていく。
その人は頑張るのですけれども、頑張って頑張って、最後に耐え切れなくなってぽきっと折れてやめてしまうということもふえているという状況がございます。
○駒村座長 どういう状況になっているか確認したいのですけれども、人員確保です。各社でとり合いになっているというようなマーケット、労働市場になっていて、それで賃金が実際に上がっているかどうかなのですけれども、上がっているのか。おっしゃるようにどちらかと言うと取り合いになっているのか。
あるいは一般の労働市場が非常にタイトになってきていて、保育ではなくて一般の労働市場のほうがより魅力的になっているから確保がなかなか難しくて、それに応じて賃金を上げなければいけなくなっているのか。
その辺はどういう状況になっているのか。もちろん新制度で新しい保育需要が出ていますので、そういう外部の新しい需要もあると思いますし、とり合いの問題もあると思うのですけれども、これは何が一番強くきいていると感覚的に思いますか。
○株式会社ポピンズ井上 当社の事例でいきますと、日本の景気全体がよくなって、保育に向かうそもそもの養成校からの希望者が減っている事実がございます。
ことし、実際に養成校を回って、保育士希望者数自体が減っているという状況は身をもって感じている。
もう一つの、取り合いの部分もまさにひどくなるばかりで、東京都内、ハローワークでもほとんど見つからない状況で、人材派遣会社に紹介手数料をお支払いして中途で採用しているという状況があります。その手数料自体も数年前までは1人10万とか15万だったものが今は40万とか50万とか払わないと採用できない。やはりそれだけ奪い合いになっている。
最後の方策として地方です。地方で、それでもまだそういう保育士さんが比較的まだいらっしゃる地方は、各社がそれこそまた地方に出張して奪い合いをしているという現状がございます。
○駒村座長 わかりました。
ほかはいかがですか。
○池田構成員 賃金原資はどのようにして確保克服しているのか。先ほどの運営交付金の範囲で皆さんがやっておられるということになると、賃金を上げる必要があると言ってもそれほどたくさん、青天井で賃金を上げるわけにはいかないと思うのですけれども、例えば、正規非正規とか、先ほど高齢者の方の認証保育園の話とかがありましたが、人材の組み合わせとか、そういうことをどのようにやっておられるのかが気になったのです。
プラスしてそこに保育士資格を持たない人をどのようにかみ合わせているのかが、例えば掃除は清掃会社にやってもらうとか、そこのところでどのように人のやりくりをやっているのかを、少し具体的にというか、お話しできる範囲でお教えいただきたいと思います。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 処遇につきましては、4ページをごらんいただきたいのですが、最初のところに処遇改善というので「ただし」ということで、同じ保育士として勤務していても処遇改善費が出る園と出ない園での差がある。私ども6社は認可保育園だけではなく、事業所内であったり院内であったり、認可外であったりという保育園の運営をしておりますので、非常にここは大きな問題になっております。
なので、補助金が出るところはある程度一定の水準に保てても、そうではないところには出せないといったようなことだったり、今、競争原理が激しいので各社持ち出しをするというような状況になっておりますので、同じ保育士として勤務をしている者に対しての処遇改善は、そういう意味ではもう一歩踏み込んでお願いしたいというところはございます。
また、弊社はどちらかと言うと保育士資格を持っている者が非常に多いので、その中で保育士がいないということで苦しんでおりまして、特に朝夕は先ほど来、配置基準が1名以下になったときの2人配置のうちの1名を無資格者でもいいというところは、周辺業務だったり整理整頓、掃除といったところは今、保育士が行っておりますので、そこをそういった方々にお願いできるようになっていくと、非常にありがたいというところはあります。
○株式会社ポピンズ井上 まず、処遇のところで申し上げますと、今、事例を紹介したとおり、私どもは事業所を3分の1ぐらいは割合としてやっておりますけれども、認可・認証とほとんど変わらないといいますか、遜色ない保育の質のサービスを提供している事業所や保育所に対して、今回、キャリアアップ交付金の対象にならないというところで、企業のほうに追加で負担をお願いするか、あるいは我々がその部分を負担という言い方もあれですけれども、やらざるを得ないという形で対応している現状がございます。
あと、自助努力は、先ほど課長から御紹介もありましたけれども、一部そういった事務職員ですとかあるいは自治体によっては清掃社員を一部補助してくれるような限られた自治体がありますので、そういったところには職員を置いたり、今後、先になりますけれども、外国人家事支援員とかいったものが使えるようになった場合には、ぜひ自園で活用したいという思いは持っております。
給料だけではどうしてもそこで限界がございますので、我々としては、例えばシステム開発で効率化して事務負担を減らすような努力をしたりといったところで、全体としての処遇改善に努めているところです。
あと、常勤、非常勤というところは、こちらは選んでいられないといいますか、きちんと基準、コンプライアンス、それ以上に保育をちゃんと回す上で採用、運用しているという状況がございます。
○駒村座長 お願いいたします。
○吉田副座長 14ページにいわゆる仕事と子育てを両立しなければならない保育士が、肝心の自分の子供が保育所に入所できない。これはかなり大きな問題だと思うのです。
しっかりとした職員が就労継続できて、定着率が上がって優秀な職員がずっといてくれて質が上がるという意味では、ずっと重要なのですが、実際、自治体によってそれなりに優先入所を考えるところと、建前で優先入所と言いながら、優先の加算ポイントが実は物すごくすくなくて、実質優先入所になっていないとか、かなり温度差があると思うのですが、実感として自治体の保育士に対する優先入所の状況はどのようにお考えか、あるいはどうすればよいのかというあたりでもし何かお考えがあればお聞かせください。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 実感としては、優先入園にはなっていないのではないかと思います。これは実感ですので、正式に調べたものではありません。
○吉田副座長 それを進めるための課題というか、何かアイデアみたいなことがあればお願いします。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 そこは今、本当にお話ししたように、各自治体様に保育士でちゃんと勤務をしている先があるという人に関しては、より一層ポイントを上げていただいて、優先入園をさせていただけるようにとお願いしていくというところかと思います。
○吉田副座長 この問題は現状、人材確保的に結構ネックになっていますか。
○株式会社ポピンズ井上 やはり出産の後、育休の後戻るときに保育所が見つからなくて困るという実際の声がございます。認可の場合に自治体が選考するわけで、我々は選べませんので、かつ認証等であれば、多少はそういったものがあり得ますけれども、自由にですと、自分のお子様がいると保育に差しさわりが出てくる局面がどうしても出てくるので、我々は会社の方針としては、絶対に自園では預からないということで運営しております。
そういった中で、全体として他園で預かってもらえるような仕組み、先ほど言ったポイント制の見直しを御検討いただきたいと思っております。
○駒村座長 ほかはいかがでしょうか。
一つ教えてもらいたいのですが、きょう、御意見いただいた内容は、どちらかと言うと緊急対応に関するところのお話が中心だったわけですけれども、これまでの団体からも議論があったわけですが、中核的な業務の見直しみたいな話、掃除とか事務部分。一方ではより充実しなければいけない、例えばアレルギーを持っている子供とか家族背景が複雑な子供がふえてきている中で、そういうポジティブという表現も難しいけれども、より改善する、言い方を変えると規制を高めるかもしれませんが、何かそういう業務面での見直しとか、より強化が必要だということに関する意見はありますでしょうか。
○株式会社ベネッセスタイルケア佐久間 業務量が本当に保育士はいろいろなことが課せられてきていて多くなっている。書き物も多いというのが現状ですので、そこを効率化していくということは考えていかなければいけないと思っています。
また、どの団体様も言われておりました、保育士の地位というか、やりがいであったり処遇であったりをより一層上げていっていただく。私たちも努力をするということが必要になってくるのかなと思います。
○株式会社ポピンズ井上 保育士について、よく世の中では「きつい・長い・安い」と言われていますけれども、それぞれ改善、解決していかないと保育業界自体の地位向上にもなっていきませんし、自分自身が勉強する時間も持てないような現状で、それは日本の将来を担うお子様にとって決して幸福なことではございませんので、この緊急措置は緊急ではありながら、現状、保育士不足のために、今、いらっしゃる優秀な保育士がやめていくという負のスパイラル、出血をとめるためにも絶対に必要だと思います。そういう意味では、中長期にも役立つ施策だと考えております。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
よろしいでしょうか。
そろそろ時間でございますので、本日は大変ありがとうございました。
(保育の未来を創る会退席)
○駒村座長 以上で関係団体ヒアリングは終了したいと思います。
関係団体の皆様におかれましては、御多忙のところ大変ありがとうございました。
最後に、次回の日程について、事務局から御説明をお願いいたします。
○朝川保育課長 構成員の皆様、関係団体の皆様、本日はまことにありがとうございました。
次回の検討会の日程につきましては、後日、事務局より御連絡をさせていただきます。
本日、多様な議論をいただきました。こういった前回と本日の議論を踏まえながら、事務局において整理をさせていただいて、次回の検討会で保育士等の確保に向けた緊急的な部分の取りまとめの案をお示ししたいと考えております。
どうかよろしくお願いいたします。
○駒村座長 それでは、本日の検討会はこれで閉会といたします。
御出席の皆様、どうもありがとうございました。
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