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2016年2月17日 第96回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

○日時

平成28年2月17日(水)9:00~11:00


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○議題

(1)職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)職業能力開発促進法施行規則第四十八条の十七第一項第一号及び第二号に規定する講習の指定に関する省令案要綱について(諮問)
(3)専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて
(4)第10次職業能力開発基本計画について
(5)その他

○議事

○小杉分科会長 本日の議題122つとも諮問事項でして、まとめて事務局から説明を先にしたいと思います。では、説明のほうよろしくお願いいたします。

○波積能力開発課長 能力開発課でございます。資料1につきまして、説明をさせていただきます。資料1-1で諮問文と別紙にありますとおり省令案の要綱が入っています。

 具体的な説明は、資料1-2のポンチ絵でさせていただきたいと思います。本年4月から職業能力開発総合大学校の修士課程に相当する課程を新設するということで、名称は職業能力開発研究学域(仮称)という形で修士課程を設置するというものです。

 具体的な位置付けですが、ここにございますとおり従前、指導員の養成につきましては、総合大の総合課程4年を卒業した方、ポリテクカレッジの4年を卒業した方、そして、大学の工科系学部4年を卒業した方につきまして、職業訓練の指導員となっていただくために長期養成課程2年間、こちらのコースを設定しておりましたけれども、この中に新たに職業能力開発研究学域(仮称)を設定しようというものです。こちらのほうで最先端の学識・技術・技能や研究的思考力を有した質の高い職業訓練指導員を養成すると。さらに、入学の選考の段階におきましては実際に指導員になるんだということを、意思をちゃんと確認をするといったような形で、こちらの課程をセットすることとしております。

 また、昨日、独立行政法人大学評価・学位授与機構からも正式に認めるという通知がありましたので、手続といたしましては、順調に進んでおります。背景といたしましては、次のページにありますとおり、産業界の人材育成課題を解決に導くリーダーを養成するということで、実際のものづくりの現場が、ICTの活用など技能・技術の複合化と高度化が進み、現場がかなり変化しているという実態、そして、私どもの公共職業訓練もそういった現場の変化に応じた人材を育成するニーズがあるということを踏まえまして、実際に教える側、こちらも最先端の学織・技術・技能を有し、研究的な思考を持っているということ、そういったような現場の変化に対応した人材育成のリーダーを養成する必要があるということで、今回の修士課程の設置をお願いしております。

 具体的な省令改正の内容ですが、次のページです。職業能力開発促進法施行規則の改正案の概要ということで3点あります。まず、今回の改正によりまして、長期養成課程に、この修士相当の職業能力開発研究学域(仮称)、こちらを設置する、その設置根拠をまず規定します。

2点目が、職業訓練指導員免許の取得ということですが、従前から長期課程におきましては、ここに書いてあるマル1職業能力開発総合大学校における総合課程を修了した者、マル2職業能力開発大学校における応用課程を修了した者。こちらにつきましては、相当程度の技能、知識を有するということで、2年の課程を1年に短縮しておりましたけれども、同じことを修士課程におきましても認めます。この根拠を規定するというのが2点目の内容です。

 最後は、必要な科目の追加ということで、職業能力開発研究学域(仮称)ですが、従来の長期養成課程、これだけですと修士号に足りないところがありますので、それに修士号に対応した部分を、必要に応じて科目を追加するといったことを3点目として規定させていただいています。以上が省令の改正案の内容です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 はい、では続きましてお願いします。

○伊藤キャリア形成支援課長 それでは続きまして、議題の2に関しまして、お手元の資料2-1及び2-2に基づきまして、事務的な御説明を申し上げたいと思います。

 資料の2-1が本件に関わる諮問文及び省令案要綱です。具体的な内容に関しましては次の資料2-2のポンチ絵に基づいて説明を申し上げます。このたびの省令案に関しましては、平成284月に施行されますキャリアコンサルタント登録制度をなす更新講習の実施に関わる要件を定めようというものです。この省令案の位置付けに関しまして、裏面をお繰りいただきまして、このマル2の資料で簡単に御説明申し上げたいと思います。改正能開法によりますキャリアコンサルタント登録制度のスキームですが、昨年の分科会でも御説明を申し上げておりますように、大臣認定の講習修了等の要件を満たす者が、登録試験機関が行うキャリアコンサルタント試験を受験し、合格した者が指定登録機関に登録をすることにより名称独占のキャリアコンサルタントとなることができ、また、このキャリアコンサルタントに関しまして5年に1回の更新を求めるという、全体としての制度設計になっております。

 同じページの下の部分です。昨年11月に本分科会に諮問をしましたこのキャリアコンサルタント登録制度に関わる省令の中で、ここにありますようにキャリアコンサルティングに必要な知識の維持を図るための講習として、別に省令で定めるところにより、大臣が指定する知識講習8時間以上受講、同じく技能の維持を図るための講習として別に省令で定めるところにより、大臣が指定する技能講習30時間以上の受講を更新期間内に受講するということを、先の省令によりまして規定をしているところでして、「別に省令で定める」という更新講習に係る要件を本省令案により定めようというものです。

 具体の内容です。表のマル1のほうにお戻りいただけますでしょうか。最初の○は今ほど申し上げた内容です。具体の規定しようとする指定基準、大きくは2点あります。1つは、科目です。知識講習、技能講習、それぞれ左下にあります科目を設定して行うということとしたいと考えております。補足をいたしますと、知識講習に関しましては、更新期間中にキャリアコンサルタントが知るべき知識の内容についても変化し得る。これにキャッチアップをするということが主たる目的と位置付けですので、キャリアコンサルタント養成講習の科目のうち、今ほど申し上げたような観点から更新に当たり受講する必要性の高い、ここにあります労働関係法令に関する知識等7科目を規定し行うこととするという考え方です。技能講習に関しましては、ここにありますように養成講習の科目中、キャリコンの技能に関わる科目を掲げた上で、キャリアコンサルタントそれぞれの経験能力の程度に応じ、必要な科目が違うことがあり得るということで、ここにあります科目の中から選択制で実施をするという考え方です。

2点目が実施方法に関わる基準、右下の1号から10号です。基本的には、養成講習に関わる基準とおおむね同等となっておりまして、例えば3号にあります修得が求められる知識又は技能の修得がなされていることを確認する内容を含む、4にありますような講師の要件、更に7号にありますような定員といった基準を設け、これらの基準に該当することにより、これら知識講習、技能講習の質を保証するという考え方でして、これら基準に該当するかどうかといった観点に関しましては、専門家による専門的、技術的審査を行うといったことも予定をしております。なお、更新講習の目的に鑑みまして、受講者に関し、いわば開放性が確保されるということが当然原則になるわけですけれども、例えば事業上多数のキャリアコンサルタントを活用する事業者などが、その活用するキャリアコンサルタントに確実に更新講習の機会を与える等の必要性から、それら機関が今ほど申し上げましたような、自ら活用するキャリアコンサルタントに限定をし、更新講習を実施するといったことについては、一定の合理性があるという考え方の下で、今ほど申し上げましたような他の基準を全て満たした上で、今のような形での更新講習の実施を行うことも認めるという考え方です。

 以上が省令案のポイントですが、今ほど申し上げましたような制度の適正な運用プラス様々な運用上の工夫を凝らすことによりまして、キャリアコンサルタントの継続的質保証を図る中心的な仕組みであるこの更新講習の目的が十全に果たされるようにしてまいりたいと考えております。以上です。よろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ただいま事務局からの説明が終わったところですが、この件に関して、皆様から御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○大久保委員 キャリアコンサルタントの更新に関してですが、これは5年ごとに更新の手続が必要だということになっていますが、現在の原案を拝見しますと、例えば知識講習に関して8時間を求めているわけですけれども、これは5年期間の間にそれをいつ受けてもいいことになっていると思います。そうすると、例えばこれの更新講習を行うのは指定登録機関などが行うケースが多いと思うのですが、それは1日上がりのプログラムで知識講習を受けたと、ある日、どこで受けてもいいわけですから、その5年の間の最初の年度に知識講習を受けて、更新を迎えて、次の年度の一番最後に仮に受けたとすると、間は9年間空くということになるのですね。それがちょっと気になっていまして。

 キャリアコンサルタントに関して、今回業務独占の国の資格にした背景は、一連ずっと議論をしている労働市場のインフラとしてそういう仕組みが機能するということを担保していくための質向上ということが大きな目的ですね。現状のキャリアコンサルタントの方々には、恐らくこの労働関連の法改正であるとか、あるいはキャリアに関連する助成金やツールの改定というものが、その情報がきちんと伝わる仕組みには残念ながらなっていないと思うのです。それを仕組みとして担保するための1つのきっかけが、この更新講習だと思っていまして、つまり9年間空く可能性がある更新講習でも、あまり過度に規制すると、すごく更新について強化された形になりますけれども、何らかの方法でそういう情報がキャリアコンサルタントにきちんと流れる仕組みを担保しておかないといけないと思いますので、この省令改正案だけではなくて、全体としてどうやってそのことを担保していくのかという枠組みが必要だと思うのです。それをどのようにするのか、そこについてちょっと考え方をお聞きしておきたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援課長 この更新講習の目的、また今後の運営に当たり想定される主要な課題については今ほど大久保委員から御指摘があったとおりであると思っております。これに関わりまして先ほども様々な運用上の工夫とあいまってというように申し上げたわけですが、現時点で考えています主要な運用上の取組、工夫のポイントについて補足して御説明申し上げたいと思います。

1つはまず、更新講習に関して、その内容が本制度のキャリアコンサルタントの継続的質保証、知識のブラッシュアップ等の目的にふさわしい内容になっているかどうかを、確実に担保する運用であるべきという観点です。先ほども触れましたように、これら指定基準に関して専門的な観点からの審査を行うことはもとよりですが、この科目に関しまして、省令上はここにありますような1号から7号という非常に簡潔な規定にならざるを得ないわけですけれども、そこに含まれるべき具体的な内容に関しては、キャリアコンサルティングが、コンサルタントまたコンサルティングに期待される内容からおのずと変わり、またバージョンアップしていくべきと考えております。具体的には、例えば毎年毎年の主要な労働法令改正の内容であったりとか、あるいはキャリアコンサルタントが担うべきジョブ・カードの仕組み、運用上の留意点、この省令上の科目を掲げるだけにとどまらずに、今ほど申しました当然ブラッシュアップすべき優先的課題について、私ども運用の中でこの更新講習の実施を目指す機関に対し、適切・タイムリーに示すとともに、使用すべきテキストブックなどについても、これらテキストに準拠すべきといった情報についても、実施機関又は受講者に対し示していきたいと考えております。

 また、タイミングの問題に関しても、問題構造については今ほど大久保委員が御指摘のとおりと考えております。様々な制度上の制約の下で昨年諮問申し上げたような形で、5年の中での最低8時間又は30時間以上受講という更新の要件設定になっているわけですが、この更新講習の目的に関して期待をされる受講また実施の形態なりタイミングの、いわばガイドライン的なものを、実施機関また受講者双方に対して示すといった考え方。さらには、更新講習の実施により更新のタイミングで必要な知識が本当に確保されているのかという観点について、現時点ではまだ登録機関が確定していない状況ですので、具体の運営上の方途を確定することは技術的に難しいわけですが、登録機関が確定をした折には、更新のタイミングで実質的に必要な知識が確保されているのかどうかといったことについて、何らかの形で確認をする方法などについても工夫をする。ただいま申しましたような幾つかの運用上の工夫の組み合わせにより、今ほど大久保委員から御指摘があったような点について、言わば併せ技でクリアできるような対応を心懸けていきたいと考えております。

○大久保委員 大体、全体の内容については分かったのですが、今回はキャリアコンサルタントとして名称独占にすることによって、その手前に指定登録機関に登録するという行為が発生しているわけです。つまり登録されて一元的にそこにデータ化されているということになるわけですから、その人たちに新しい法令改正の情報とか制度改正の情報を届けることは比較的やりやすくなったはずです。ですから更新講習ということだけにとらわれずに、その仕組みを使ってタイムリーに知識を共有するようなことについては、是非工夫をお願いしたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援課長 大変に意義ある御提案を頂いたと思っております。大久保委員から御指摘があったような、例えば登録キャリコンに対するメルマガ発信のようなイメージということになってくるかと思いますけれども、非常に安いコストで効果的に対応できる手法ではないかと思っておりますので、今、大久保委員から御提案があった点に関しましても、継続的質保証の中心的な取組として、早速具体的な検討を進めていきたいと思っております。

○小杉分科会長 ほかにいかがでしょうか。ちょっと後先になりましたが、諮問案件ですけれども、「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」、及び「職業能力開発促進法施行規則第四十八条の十七第一項第一号及び第二号に規定する講習の指定に関する省令案要綱について」、これにつきましては217日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところであり、これを受けて本分科会で審議を行ったところです。それではこれで御質問、御意見を終わらせていただきましてよろしいですか。それでは、当分科会としましては、「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱」と「職業能力開発促進法施行規則第四十八条の一七第一項第一号及び第二号に規定する講習の指定に関する省令案要綱について」、「妥当」と認める旨、私から労働政策審議会会長あてに御報告を申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 はい、ありがとうございます。事務局から報告文()の配布をお願いいたします。

                                (報告文()配布)

○小杉分科会長 お手元に配布された報告文()により、労働政策審議会会長宛て、報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 はい、ありがとうございます。それではそのように報告させていただきます。

 次の議題は「専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて」です。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤キャリア形成支援課長 次の議題3に関しまして、資料3等により御説明いたします。「専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて」という報告案件です。本件は昨年9月の本分科会におきまして、文科省において職業実践力育成プログラムという新たなプログラムを創設するのに併せ、これを専門実践教育訓練の新たな類型として位置付ける旨の御審議を頂き、その際、中長期的キャリア形成に資する教育訓練の充実という観点からIT分野の資格取得を目指す教育訓練について、本制度に位置付けることに関わる専門的、技術的観点からの検討を行った上で、改めて本分科会に御報告申し上げたいという旨、御説明申し上げていたところです。

 お手元の参考資料の1番が今申し上げました専門検討会議、昨年9月から本年1月までの間、4回にわたりまして開催をした検討会議の報告書そのものです。本日は時間の関係もありますので、主にその要点を示した資料3に基づき、このたびの専門検討会議の報告内容のポイントと、これを受けての専門実践教育訓練の拡充の考え方、方向性について事務局案を御説明申し上げたいと思います。

 資料31ページ目が今ほど申しました専門家による検討会議の報告書、1月末に公表したものの概要です。大きくは3点から成り立っています。1点目、基本的枠組みということで、今ほど申しました情報通信技術分野に関わる教育訓練を中長期キャリア形成を目指す専門実践教育訓練の対象分野として位置付ける考え方、適格性といった観点について様々なデータなどを用いて御審議を頂いたところです。そこで得られた考え方のポイントとしまして、1つは、情報通信技術者、とりわけ高度技術者がいわゆるベンダー企業だけではなくて、ユーザー企業、様々な幅広い産業において求められ、活用し、その結果、情報通信技術者の人手不足が深刻化している。全職種平均の有効求人倍率の約2倍という状況です。こうした状況に対応して人材育成を進める必要性がより高いと言えるのではないか。また、様々なデータにより、他の産業と比較して情報通信産業がいわゆる乗数効果という観点も含め、雇用拡大に寄与する効果がより大きいといったデータを把握しているところです。こうした議論も踏まえた上で、情報通信技術者について、専門実践教育訓練制度を通じ、その人材育成を促していく必要性がより高いものであるという考え方を確認いただきました。

2点目は、民間資格取得を目標とする教育訓練に焦点を当てる考え方です。一般教育訓練給付でも、情報通信技術以外の分野については、ほとんどが公的資格取得を目標とした教育訓練講座の設定になっています。ただ、情報通信技術分野だけは一般教育訓練でも民間資格取得を目指すものが主な対象になっているわけですが、様々な議論を頂く中で、情報通信技術分野、技術革新の速さに対応し、その資格の内容についても迅速な見直しが必要、客観性、公平性を重んじる公的資格制度の枠組みではこれをフォローすることが難しいといった必然性の下で、民間資格いわゆるベンダー資格などがディファクト化している、こういった実態に鑑みるならば、これら有用な民間資格等に着目をすることについて、一定の必然性があることを御確認頂きました。今、申しましたような情報通信技術分野における有用な民間資格取得を目標とする、より具体的には一定レベル以上の資格取得を目指す教育訓練で専門実践教育訓練に既に位置付けている課程類型と同等水準を満たすものについて、専門実践教育訓練として拡充をするという考え方が妥当ではないかという基本的な考え方、これが一番のポイントです。

2番、具体的な資格の捉え方です。分野、レベル両方の観点から、教育訓練プロバイダーや資格運営主体からのヒアリングなども通じ、多面的な御議論を頂いたところです。その議論の到達点のポイントとしては、資格目標とする能力水準について、何らかの客観的な評価が必要ではないかということです。様々な議論をする中で、経産省が中心となり公表、運用をしていますITスキル標準、ITSSをその中心的な物差しとして活用することが妥当ではないかという御議論を頂いたところです。これに関しては次の次の3ページの図も併せて御参照いただければと思います。ITSS、ここにありますように、いわゆるエントリーレベルのレベル1から234等々の構成になっているわけですが、現状の一般教育訓練でも最下位エントリーレベルについては対象としないという考え方ですので、専門実践の目的に照らすと、当然レベル2以上となるわけですが、その中での具体的なレベル設定について様々な実例に基づき、御議論を頂いた上で、1ページに戻りまして、このITスキルスタンダードにおいて要求された作業を全て独力で遂行できるとされるレベル3相当以上の資格を対象とすることが適当、という考え方を整理いただいたところです。

3は、具体的な教育訓練プログラムの捉え方、要件です。今ほど申しましたような資格取得を目標とする教育訓練のうち、既存の4課程類型とのイコールフッティングということも念頭において、具体的な教育訓練の要件設定が必要ということで、時間、期間に関しては、現状の職業実践力育成プログラムと同等ということに結果としてなるわけですが、120時間以上、2年以内という考え方。ちなみに、先ほど申しましたような資格取得を目指す教育訓練プログラムの実態としても、おおむね150時間前後のものが多数ということで、この基準に該当するということが確認をできております。またそれぞれの講座ごとの質の保証という観点から、これも既にあります各課程類型と同様に、目標とする資格の受験、合格の状況、就職・在職の状況などから当該講座の効果を、実績に基づいて確認をする必要があるといった点についても、本検討会で御議論をまとめていただいたところです。

 今ほど申しましたような本専門検討会議の議論を踏まえた上での、次と、その次のページが、私ども事務局としての具体的な専門実践教育訓練の見直し拡充の考え方()です。2ページの資料に非常に近い資料を昨年9月の分科会でもお示しをしたところですけれども、現状の専門実践教育訓練、資格取得に着目をしたものとしては、業務独占、名称独占資格の養成施設。また学校教育課程に着目をしたものとしては、専修学校の職業実践専門課程、専門職大学院、更に新たな職業実践力育成プログラムといった類型があるわけですが、民間資格等を取得目標としたものについて、言わば本制度上、現在空き地になっているということで、今ほど申しました専門家による議論の方向性も踏まえた上で、この赤枠の部分に関して追加をする方向で考えてはどうかという基本的な考え方の枠組みです。

 その次の資料が、今ほど申しました考え方を踏まえ、具体の指定基準案として私ども事務局が現時点で考えている内容のポイントです。専門実践の指定基準、最終的には告示改正という手続が必要になるもので、その告示への位置付けをイメージした考え方ということで御理解いただければと思います。課程レベルの要件としては、情報通信技術に関する資格のうち、中長期的なキャリア形成に資するものとして、告示では局長が定める基準といった規定ぶりになるのではと考えているわけですが、より具体的にはその下のように、当該資格を用いて独力で職務遂行できる基準ということで、ITSSに換算するならレベル3相当以上という考え方です。こうしたものの取得を訓練の目標とする課程であるということ。また訓練の時間、期間に関しては先ほど申しましたような考え方から、120時間以上2年以内の基準設定が適当ではないかということです。

 また講座レベルの要件としては、現状の各課程においても資格取得を目標にするものについては、受験率が80%以上、合格率に関しては当該資格の平均合格率以上。更に就職(在職)率に関しては80%以上といった実績基準で運用しているところです。この新たな類型についてだけこれら基準を緩める等の考え方は成り立ち得ないだろうということで、既存の類型と同等の、今ほど申しましたような資格受験合格率、就職(在職)率条件を設定することが妥当ではないかという考え方です。

 下の図は、もとより情報通信技術に関わるあらゆる資格を網羅したものではなく、あくまでもイグザンプルですけれども、専門検討会議の中でも、例えばこういう資格を念頭においてということで、議論された代表的なものと、先ほど申しましたITSSレベルの対応付け、図示をしているところです。例えばデータベース系の代表的な資格、オラクルマスターであればこの当該資格そのものとしてはBronzeからPlatinumまでの4段階があり、今申したような考え方からしますと、オラクルマスターのうち、ここにあるGold、レベル3相当以上の資格取得を目標とするものを本制度に位置付けることが妥当ではないか、という考え方()です。本日は今ほど申しました専門検討会議の報告概要や、それを踏まえた基準の見直しに係る事務局案について、全般的に御議論いただいた上で、私どもとしてはせっかくのこの検討を、できるだけ早く本制度に反映をするという観点から、できれば本日の議論も反映をした形で、次回の分科会に具体的な告示改正案としてお諮りをした上で、次の指定のタイミングとなる、平成2810月指定の適用に間に合うような形でこの基準の見直しができればと、現在考えているところです。以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 ただいまの説明について、御質問、御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。

○板垣委員 専門実践教育訓練の対象が民間資格にも拡大され、その第一歩が情報通信技術分野で拡大されることについては、この分科会の中で労働側からも提案を出させていただいた経緯もあるものです。その取りまとめに対してIT専門検討会会議の委員の皆さんと事務局に対して敬意を表させていただきたいと思います。次回のこの分科会において、告示案が審議をされ、また10月開講の講座から適用されるという御説明がありましたが、制度周知に際して2点お願いをさせていただきたいと思っています。

1点目は、対象となる講座がITスキルスタンダードレベル3以上であるということの十分な周知です。レベル3に達しない水準の講座を対象としたり、受講を考えているという人からレベル2以下の講座も対象であるといったような誤解のないような周知を、是非お願いしたいと思っております。

2点目はその一方でということになりますが、職業能力開発が不十分な人への対応という観点からは、専門実践教育訓練の対象にならない水準の講座に関しまして、一般教育訓練での拡充を図ってもらいたいという点です。いずれもIT専門検討会議の報告書に記載がされているものではありますが、改めてこの2点についてお願いをさせていただきたいと思います。以上です。

○伊藤キャリア形成支援課長 まず1点目の制度の周知に関してです。私どもこの専門検討会議の運営の過程でも、仮に見直しが行われた場合には、様々な観点から協力を得るべき立場にある経産省、IPA、また教育訓練プロバイダー団体とは密接に情報交換を行い、あるいはこのような検討を進めているということに関して、私どものほうから情報提供を、更には協力を求める働きかけなども行っているところです。レベル3以上の確実な確保という観点に関しましては、その具体的な確認方法についても経産省ともこの間いろいろ議論を進めてきておりまして、経産省が中心となり、このITSSレベルに対応した、主要な市場において、通用性をもった資格ごとの対応表、スキルマップと言われるものを経産省が関与する形でNPO法人スキル標準ユーザー協会が発行し、毎年メンテナンスをしているといったことも確認をしているところです。このレベル3以上といった基本的な考え方プラスそうした具体的に参照すべき情報なども含めて、教育訓練プロバイダー団体、また受講を希望する方々に対してもしっかり正確な周知を行っていきたいという考え方をもっております。

2点目です。先ほど時間の制約の関係で、いささか説明を端折る形になりまして大変恐縮でした。資料31ページですが、今回の専門検討会議のまとめの中でも中長期キャリア形成という観点からは、2のように、レベル3相当以上、適当という考え方を整理いただくとともに、この中長期キャリア形成という観点から重要なターゲットとなるであろう非正規雇用労働者、子育て女性等のうち、スキルが十分身に付いていない方に関しては、いきなりレベル3を目指すことができる方は必ずしも多くはない。こうした方を念頭においた場合には、制度的なアプローチにより、IT分野資格取得を目指す教育訓練の追加ということだけではなく、レベル2についても位置付け可能な枠組みである一般教育訓練給付の枠組みの中でもこれら方々のキャリアアップに資するような教育訓練講座の開拓、活用促進に努めるべきということも本検討会議の中でもしっかり御議論を頂き、報告書にも示されているところです。私どもとしましては、この考え方について、分科会で御了解いただいた暁にはこれら新たな課程類型に関わる開拓、また周知に併せ、申し上げたような観点での、一般教育訓練給付の世界での講座の拡充、受講の促進に係るような様々な広報等の取組に関しても一層積極的に進めていきたいという考えです。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。

○大久保委員 専門実践教育訓練に関してはもともと公的資格、業務独占資格などを対象にしていたわけですが、ITの領域については、技術変化のスピードが激しいことも含めると、国家資格でカバーできない要素が非常に大きいこととか、あとは技術が現実的にはドメスティックに展開されているわけではなくて、もうグローバルに同じ技術が展開されているので、国ごとに資格制度を作ることの意味がないということもあって、ベンダー資格が広く普及しているということだと思います。そういう意味でこの領域に関して、民間資格をうまく使っていく、ベンダー資格をうまく使っていくことは大変重要なことだと思います。このITSSに書き込まれているシスコシステムとかオラクルの資格は広く浸透をしているものでもありますので、ここに提示されている内容はおおむね適切だと思いますけれども、この中でカバーするだけではなく、一般教育訓練のほうでカバーするところも含めて、プロジェクトマネジメントとウェブシステムに関するものが、かなりひっ迫しているのですが、その辺のところはどうするのかなと。例えばプロジェクトマネジメントに関しても、プロジェクトマネジメントプロフェッショナルなどの資格制度が国際的には普及していて、そういうものもこの問題意識の原点には非常になじむ可能性があると思うのですが、どのようにお考えになっているのかを確認をしたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援課長 大久保委員から具体的内容に係るお尋ねがありましたので、恐れ入りますが参考資料1、報告書本体の後ろの添付資料の17ページ、その上のポンチ絵、対象範囲の考え方を御参照いただきながら補足をして御説明申し上げたいと思います。本日の私からの説明の中では情報通信技術あるいは情報通信技術者という表現を用いらせていただいていますけれども、基本的には職業分類によるところの情報通信技術、あるいは技術者を対象とすることを一つの前提としながら、様々なデータ分析等を行ったものです。典型的にはその中にはシステム設計技術者、ソフトウェア開発技術者、通信ネットワーク技術者等々が含まれるというわけです。今ほど大久保委員からお尋ねがあったうち、プロジェクトマネージャーに関しては、この職業分類の考え方の中でも情報処理プロジェクトマネージャーというものが位置付けられているところですので、この情報通信分野に関わるプロジェクトマネージャーに関しましては、概念的にも今回この専門検討会議で議論し、まとめていただいた内容に含まれるもので、かつプロジェクトマネージャーに関わる能力評価も含めた資格も現存するということは確認をしているところですので、こうしたものについては、本制度を活用しながら積極的な活用を図っていくべき、本検討会議の中でもプロジェクトマネージャーについては非常にニーズが高いという御議論も頂いているところです。

 他方、例えばウェブデザイナー等々の資格ですが、私ども当然そういう職種、また技術が存在することは認知をしているわけですけれども、この専門検討会議の議論の中では今ほど申しましたウェブデザイナー等々に関しては、ある種の専門家ではあるのですが、職業分類上は情報通信技術者そのものではない。ある一種、CADなどとも一部相重なる部分があるかと思います。CADでも当然設計という観点では別の意味での専門家であるわけですけれども、ITの関わりという意味ではむしろツールとしての活用というように、概念的には整理できるのではないだろうかということで、一応今回の議論の中では、例えばウェブデザイナーとか、あるいは直接お尋ねいただいたわけではありませんが、CADCAMなどについては直接今回の議論の対象としています。現時点の私ども事務局として、今回の専門検討会議の議論を踏まえた情報通信技術に関わる資格取得を目標とした教育訓練ということで、念頭においているものではありません。ただ、こうした分野に関しても今回整理をさせていただいたような考え方と同等あるいは同等以上の必要性が認められ、なおかつその水準について客観的な評価が可能という具体的な運用の条件が整うのであれば、当然それら今回直接議論をした分野以外の分野に関しても、追加的に検討を行っていくことは当然あり得るという考え方をもっております。

○大久保委員 プロジェクトマネジメントに関しては、かなりIT系の技術領域の中でも人材ニーズの中核的な領域なので、どういう扱いにするかは少し精査をしていただきたいと思います。

 それからウェブのほうは、デザイナーというよりも、ウェブアップ系のアプリケーション開発の求人が大変多いので、その辺のところがこの全体の概念の中にどのように入るのか入らないのかということ。あるいはこの専門のほうでカバーできないものは先ほどの議論のように一般のほうでどうカバーするのか、という辺りを全体的にお考えいただきたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援課長 1点、いささか受け止めが不正確で恐縮でした。ウェブアプリケーションということになってまいりますと、考え方としては情報通信技術の中に当然含まれることになってくるかと思いますが、当該資格で申し上げましたような具体的な基準を満たすものが有り得るのかどうかという点に関しては、今日の大久保委員の御指摘も踏まえた上で、点検などを行ってみたいと思っております。

○小杉分科会長 ほかにありませんようでしたら、この内容はここまでとさせていただきます。

 議題4に入ります。議題4は、「第10次職業能力開発基本計画について」です。これまで数回にわたり議論をしてきたものですけれども、今回新しい資料について、事務局から説明をお願いいたします。

○尾田基盤整備室長 それでは、資料4-1、資料4-2について御説明いたします。これまで委員の皆様には4回御議論いただき、前回素案ということで御議論いただきましたが、今回はまた頂いた意見を踏まえて、「原案」として用意させていただきました。

 資料4-2に前回頂いた御意見、御指摘事項を並べております。これに沿いまして、どの点を修正させていただいたかを簡単に御説明いたします。順不同で恐縮ですが、まず、非正規労働者に関して、1点目、専門実践教育訓練の当初の考え方に立ち返って、在職中の非正規の方がキャリアアップを図れるようなプログラムの開発をすべきではないか。下から2つ目で、就職氷河期世代で40代に差し掛かっているフリーターへの対応が分かる記述ができないか。最後に、非正規労働者について、目指すべきキャリアが分からないという調査結果から、非正規の方のキャリア形成支援のための施策について記述できないか。

 これらの御指摘について、まず10ページ、第4部の1(2)の最後のほうの記述です。専門実践教育訓練給付の今後のことを書いていますが、ここの中ほどで、「例えば労働者が在職しながら受講可能な質の高いプログラム開発等に向けた検討を行う」ということで、1点目の御指摘を踏まえた記述にしております。

8ページ、第3部の2の所で、ページの一番上の段落です。非正規雇用労働者に関する記述ですが、「特に、新卒時に就職氷河期に直面し、不本意に非正規に就いた」方について、「継続的支援によるキャリアアップの実現が引き続き重要である」という記述にしております。

14ページ、第4部の2(5)、ページの一番上の段落です。その段落の中ほどで、「また非正規雇用労働者に対するキャリアコンサルティングの機会を確保」ということで、キャリア形成支援の具体的な中身として、キャリアコンサルティングの機会の確保ということを書かせていただいております。

 中高年対策について御指摘いただいた点です。資料4-22番目の○ですが、前回の記述が中高年の方の転職を促しているように見えて、違和感があるという御指摘がありました。4つ目の○ですが、中高年の方は、意識の変革だけではなくて、これまでの職業経験に少し技能を付け足すことによって職業機会を広げていく支援が重要という御指摘がありました。

 これらについては、1213ページにかけて、第4部の2(3)、中高年齢者の職業能力開発という部分で、特に13ページの「また」以下の段落ですが、まず「キャリア形成促進助成金」あるいは「雇用型訓練」、こういった形で在職者向けの支援というものの記述を追加しております。また、中ほどに、「今までの経験・能力に足りない知識や技能を付与するとともに」云々ということで、こういった観点からの職業訓練コース等の支援策の開発、検証といったものも記述を追加しております。

 続いて、全体、あるいはインフラ整備の観点についてです。3つ目の○ですが、労働市場インフラの整備でどのようにして、何を実現しようとしているのか、その全体観を説明すべきではないか。5つ目の○ですが、国としてどういうメッセージを打ち出していくのかが、やや弱いという御指摘がありました。

 これらに関連して、まず8ページの第3部の4「労働市場インフラの戦略的展開」の冒頭の段落に記述を加えて、「職業訓練制度と職業能力評価制度を車の両輪としつつ、これらを支えるキャリアコンサルタント、あるいはジョブ・カード等を含めた能力開発ツール、これらを総合的に整備し、政策目的・ターゲットに即して効果的に展開することによる戦略的展開が重要な課題である」ということで、前回は、訓練と評価だけかのような記述になっていましたが、それ以外のツールも加えた記述にしています。また、14ページの具体策の第4部の4の冒頭について、記述を追加しています。前回は何もなく、いきなり(1)ということで始まっていましたが、まず冒頭に「インフラの戦略的展開によって目指す労働市場の姿は、人材の最適配置と個々の労働市場の能力の最大発揮である。これを具体的に実現するための展開として、中長期の人材のニーズを把握し、そのニーズに応じた人材育成に向けた職業訓練の効果的・効率的な実施。労働市場の円滑なマッチング、企業内における客観的な能力評価を促進するための制度の整備が重要。こうして構築された制度が実社会において、真の意味で活用されるための実施体制を整備することが必要」。このように冒頭に趣旨を書きまして、具体的な記述を展開するという構成にさせていただきました。

 資料4-2の次のページです。キャリア教育は、小学校の頃から始めることが重要という御指摘がありました。これについては、12ページの若者の記述の中で、学生・生徒等への職場体験等の支援という記述が2つ目の段落でありましたが、「学生・生徒等」という記述を「児童・生徒等」ということで、もう少し年代の低い子供たちも対象になるような記述に修正しています。

 最後にグローバル人材の育成について、能開行政として、国として、積極的に対応するような記述が加えられないかという御指摘がありました。

 これについて、まず6ページの第3部の1の所の第1段落の最後の文章ですが、「さらに、グローバル市場において我が国の稼ぐ力を高めていくには、グローバル人材の育成や成長分野の人材育成などにも積極的に取り組むことが重要」という記述を追加しました。

16ページの2つ目の段落です。具体論のほうですが、第4部の4(2)のハです。「さらに」の段落の1行目の終わり頃からですが、「ものづくりの基本となる技能を習得するための職業訓練のみならず、最先端の技術革新やグローバル化に対応しうる人材育成のための職業訓練を実施していく」ということで、グローバル化に対応する人材育成に国としても対応していくという記述を追加しております。

 また、御意見の中にありました、今後の方向性について、その全体観、全体像が見えるような記述を、ということに関連して、今回、資料4-1の最後のページですが、能開行政の具体的な施策の主なものについて、この計画の対象年度である平成32年度までに達成する数値目標を一覧表でまとめさせていただいております。これについては今後、この分科会でも進捗状況等について、適宜御確認いただくという趣旨で、こういった形で整理させていただいております。以上が、私からの御説明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○小杉分科会長 それでは、これから質疑応答に入りますが、この議論も、かなり回数を重ねております。そろそろ取りまとめの方向に話を進めていきたいと思います。皆様から御質問、御意見を伺いたいと思います。

○高倉委員 最後に説明された最終ページの目標値についてです。上の2つが現状、直近の値に比べて、非常に見劣りする控えめな目標ではないかというのが率直なイメージなのですね。確かに今は、雇用環境が非常にいい、好環境にあるということで、先がなかなか見えない中で目標値を苦労して設定されていると思いますが、平成32年は2020年です。東京オリンピック・パラリンピックがある年ですし、その後は分からないところもありますが、国を挙げてGDP600兆円を目指していくわけですから、やはり高い目標を掲げてやっていくというほうがいいのではないかと正直に思っております。その辺はいかがでしょうか。

○尾田基盤整備室長 この目標の考え方ですが、それぞれちょっとばらばらなところがあります。基本的には、我々の政策目標などで既に取り組んでいる目標を参考に記述させていただいています。

 御指摘いただいた1点目の離職者訓練については、おっしゃったとおり、景気の変動の状況に非常に強く影響される部分がありまして、各年度この目標値を目指していくという趣旨で、これは設けさせていただいています。

 他方で、この目標の中では、例えば、3点目の公共訓練、学卒者向けの正社員就職率とか、6点目のジョブ・カードを活用した有期実習型訓練の正社員就職率、これは高い目標を掲げていますが、これは実は、不本意非正規の方を正社員にしていくという、厚生労働省としてのプランが別途ありまして、そういう方向性の中で、現状よりももうちょっと正社員化に向けた努力を進めていくということで、高い目標を掲げております。

 そういった意味で、実はこれ、目標値それぞれ、様々な趣旨で設けられていまして、その意味がばらばらなのを並べているという点がありますが、できれば我々としては、1点目、2点目については、やはり景気の変動等もありますので、各年度の達成すべき目標としてこういった形で見映えは悪いですが、させていただければと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○大久保委員 2点ありまして、1点目は、今の高倉委員の関連の質問です。確認ですが、就職率に関しては、これまでも随分長いこと制度の見直しをしてきたことによって、かなり高いレベルの就職率が実現できるようになってきているということだと思います。そういう意味では、改善をしていくというだけではなく、高いレベルを安定的に維持していくという種類の目標になってきているのだと思います。だから必ずしも、常に実績を上回るようにしなくてもいいとは思いますけれども。

 一方では、景気の変動を踏まえた、例えば直近10年間の数値を見た場合に、どういう山、谷になっているか、それに対して、このぐらいを維持することが適当であろうというような、何か目標の考え方があったほうがいいのではないかと思います。結果的に、その一番上の施設内訓練の目標値が80.0%という数字は、私が理解する範囲においては、ある程度適当かと思いますが、そのように考えたときに、逆に言うと、この2番目の委託訓練の就職率の70.0%については、若干、疑問があります。施設内訓練に対して、委託訓練は低くていいという前提はやはりないと思うので、これについては、まだ改善すべきプロセスの中にあるような感じがしていますので、74.0%の実績があるならば、70.0%ではなく、これは少し施設内訓練の就職率に近付けていくような目標を立てたほうがいいのではないかと私自身は思いました。これが1点目です。

2点目は、労働市場のインフラ整備に関してです。全体観を説明するべきという所に関しては、今回、随分書き込んでいただいております。8ページの4から9ページにかけて、全体的に書き込んでいただいている所です。随分と全体の整理がされてきたというところだと思います。

 そうは言いながら、1点だけ確認ですが、労働市場のインフラの戦略的見解という説明をされている中に、これを全部もう1回改めて読むと、企業側の視点はものすごく豊富に書かれていますが、個人のキャリア形成に関するところの視点が、逆に言うとこの中にきれいに入っていない感じがしています。その両輪のところについても、少しうまくバランスを取って書いていただいたほうが、全体がまとまるのかという感じがしましたので、そこだけ御検討いただければと思います。以上です。

○高橋()委員 目標の関係ですが、既に御答弁もありましたが、これは各年度達成すべき目標と、平成32年度までに実現を目指す目標とが混在しています。他方で、5番目に、「キャリア形成促進助成金が訓練受講の目的の達成に役立ったとする割合」は、「各年度95%以上」となっていることを考えると、1番目の80.0%、2番目の70.0%、それから求職者支援制度の就職率、これらはそれぞれ各年度、達成していくべき目標として位置付けられているので、これらも「各年度」というように書いていくという対応も考えられるのではないかと思いましたということだけを申し上げます。

○小杉分科会長 では、まず目標の基準について、局長、お願いします。

○宮川職業能力開発局長 目標のところについては、今、尾田室長から話がありましたが、今回初めて出して、御意見も承りながらと思っていたところですが、今、高橋委員からもお話がありましたように、書き方については工夫させていただくことと、正に、ある程度の水準を維持するべき目標と、目指していくべき目標ということについて、今のところ、混在して書いています。その辺のところは少し工夫して、かつ、目標として、中身も含めてできるかどうかも検討させていただきます。

○尾田基盤整備室長 大久保委員から御指摘いただいた点については、もう少し工夫してみたいと思います。御指摘、ありがとうございます。

○高橋()委員 資料4-11213ページにかけて、中高年齢者の職業能力開発についての記述があります。これは前回の労働側からの指摘を反映して書き改められています。

 前回は資料4-2にあるように、中高年になるまでに獲得した技術・技能を生かして転職させることを狙っているのではないかとか、それから、今必要なのは、現在の職場に在籍したままで能力の再開発を進めていくのが国としてやるべきことではないでしょうか、ということを申し上げた結果、後ろの段落、「また」以下の所を書き改めていただいたと思っております。

 とはいうものの、変わっていない部分がありまして、後ろの段落の「また」以下の段落の中の「意識の見直しが必要という視点から」とか、「経験交流会など再就職に向けた準備支援」、こういう文言がそのまま残っています。この「意識の見直し」、それから、「再就職に向けた準備支援」、この辺の言葉の関連性なり意図なりを御説明いただければと思います。相変わらず国としては転職を勧めようというメッセージとして出しているのではないかという、誤った受け止められ方もしないではないのかと思いますので、その辺、よろしくお願いいたします。

○尾田基盤整備室長 まず、この(3)は、全体の3段落しかありませんが、構成のイメージとして、まず冒頭で、中高年の強みの発揮や希望に応じた円滑なキャリアチェンジと前回書いていましたが、やや細かいですが、「キャリア転換」ということで、トランジッションというイメージでキャリア転換ということで、これは企業内でのキャリアの転換も含めた形で記述を書かせていただいたつもりです。

2点目として、そういったことを支援するために「セリフ・キャリアドック」等による継続的なキャリアコンサルティングによって、労働者にとって気付きを得る機会を設けるということをつなぎとして書いた上で、3点目に、冒頭はその在職者の方を念頭に置いた能力の再開発、後段については、離転職等も想定した公的な職業訓練での対応、こういった構成にしております。一応、我々としてはどちらかに偏らず、能力開発として、在職者のキャリアアップも対象とし、かつ転職を目指される方の支援もするということで、決して転職を指向するということではなく、バランスの取れた記述を心掛けたつもりです。

○高橋()委員 前回の御説明の中で、今後、中高年者は一旦離職してしまうと再就職が難しいから、このように一生懸命支援をしていくのですという御説明があったと思います。その辺の意図や趣旨をもう少し丁寧に書き入れていただければ、決して転職の勧めではないのだというのが分かるのかと思います。御配慮いただければと思います。

○尾田基盤整備室長 承知いたしました。そこは淡々と書いている部分がありますので、御指摘を踏まえて考えたいと思います。

○小杉分科会長 ほかに御意見はありますでしょうか。

○浅井委員 技能検定受検合格者数の計画の関連の項の所ですが、一番最後の所、574.3万人から725万人ということですが、これは単に年を追ってという意味だけではなくて、17ページにある技能検定3級の受検合格を推進するという数値も入った上での数字ということですか。

○宮本能力評価課長 御質問、ありがとうございます。おっしゃるとおり3級も含めて、現在のトレンドから将来のトレンドを推計しまして、この目標値に設定しております。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。

○村上委員 前回、就職氷河期世代の対策とか、非正規雇用の労働者の対策について、御意見を申し上げたところ、ある程度反映していただいたと思っております。

 ただ、資料4-18ページに、特に就職氷河期世代の方の対策が引き続き重要であるというように書いていただいたのですが、これについては評価したいと思っておりますけれども、就職氷河期世代の方に対する能力開発施策だけで、そういう方々の対策ができるわけではないことは私たちも十分承知していまして、何かパッケージで、この人たちに向けた施策をきちんとやっていくのだというメッセージを、厚生労働行政として是非出していただきたいということが、1点、要望です。

 それと、質問が1点あります。14ページの上のほうに今回記載していただいたところですが、求職者支援制度の説明の所で、「雇用保険を受給できない求職者の就職を促進するため、非正規雇用労働者に対して、求職者支援訓練制度等を活用した職業能力開発を行い」というようになっていますが、求職者支援制度そのものは、もともと失業されている方を対象とされているのではないかと思っておりますので、ここに「非正規雇用労働者に対して」と入ってくるというのはどういうことなのか、質問を1点させていただきます。

○小杉分科会長 14ページの上の、今回、加筆した部分ですね。

○宮川職業能力開発局長 では、前半の部分ですが、いわゆる氷河期世代等を含めた非正規労働者対策について、先ほど尾田室長から話がありましたように、この能力開発施策も当然重要な施策ではありますが、これのみならず、雇用労働対策全体としてのパッケージで進めていくと、その一端としての能力開発という位置付けが分かるような形で記載は工夫させていただきたいと思います。

○尾田基盤整備室長 ご質問の点につきまして、こう書いているのは、求職者支援訓練制度が雇用保険の受給資格を持っていらっしゃらない方を念頭に置いた支援制度ということで、非正規雇用労働者の方が離職すると、受給資格を得ないで離職する方も多いだろうということです。これはあくまでも離職された時のことですので、ちょっと誤解を招くような表現でしたら修正するように考えたいと思います。あくまでも非正規の方が離職されて、それの受皿として求職者支援訓練がありますということです。

○小杉分科会長 それが分かるような表現にしていただければということです。

○尾田基盤整備室長 はい。

○小杉分科会長 このままだと確かに誤解を生みますね。ほかにありますでしょうか。

○原委員 2つなのですが、1点目は、職業能力評価の重要性が強く書かれていて、それがすごくいいと思いました。地方の職業能力開発審議会に出ていると、公共職業訓練、訓練をやるということは、一生懸命書かれているのですが、この評価の重要性というのがなかなか伝わっていないような気がしている中で、今回、4(3)に書き込んでいただいたのは、私はすごくいいと思って読んでいました。

 それで、1点質問です。4(3)(4)のジョブ・カードの活用促進の(3)(4)と分けたのは、(3)は、企業内での能力証明に主眼を置いたもので、(4)は、その外部労働市場ということで、あえて分けたという理解でよろしいでしょうかということです。同じ職業能力証明のツールとしてだと思いますが、あえて(3)(4)を分けられた理由を教えていただければという質問が1点です。

○小杉分科会長 ページ数で言うと。

○原委員 失礼しました。17ページの(3)と、18ページの(4)です。あと、18ページの(5)ですが、「企業における自発的な人材育成投資の促進」という所で、「自発的な」という言葉に私は非常に違和感を覚えるのですが、企業が行う人材育成投資というのは自発的なものだと思います。非自発的に促せるものではないので、「自発的な」という言葉は取って、「企業の人材育成投資を行いやすい環境について検討を行う」程度の表現のほうが自然に思いました。1点、質問で、1点はコメントです。

○小杉分科会長 いかがでしょうか。

○尾田基盤整備室長 1点目についてはおっしゃるとおり、ジョブ・カードというのは、職業能力を客観的に証明するツールということですが、ジョブ・カードの役割として、それにとどまらず、今回の法改正でも、職業能力を証明することによって、いろいろな場面で使っていくツールとして、今回、役割を拡充したこともありまして、なかなか評価のところで収まりきらない部分がありますので、縦割りで恐縮ですが、記述を分けたということです。そういうことで、連関性がないような記述になっているきらいはありますので、そこを何かできるかということは考えたいと思います。

2点目については、「自発的な」というのをなぜ書いたかと言うと、おっしゃるとおり、人材育成投資はもちろん企業が行うことで、自発的なのは当然と言えば当然ですが、そういう意欲を企業の側に持っていただくためにどういうことを、更に高い意欲を持っていただくためにどういうことができるかという観点で「自発的」という言葉を使わせていただいたという経緯があります。ですから、言葉足らずだったのか、言葉が不適切だったのか、ちょっと私どもでもう1回考えまして、御指摘を踏まえて検討したいと思います。

○小杉分科会長 ほかにありますか。

○高橋()委員 これまでいろいろな委員の意見を的確に反映していただいて、内容的に大変いいものになっているのではないかと思います。

 その上で、私が冒頭に読んだ所で、23ページの、1の「計画のねらい」というところが書かれていますが、何回読んでも、一言で言って、今次計画のねらいは何なのかというのが、ちょっとよく分からないなという印象があります。もともと計画は5年ごとに策定しているものだと思いますが、計画が持っているねらいについては特段ない。すなわち、第9次までに行われていた計画の何を継承して、第10次として、どのような特徴を持った計画としているかといったことが、もう少し書かれているとよろしいのではないかという気がしています。具体的な修文は御提示できませんけれども、是非、工夫していただき、この計画の持つ意義というのをもうちょっと分かりやすく書いていただくのがよろしいのではないかと思いました。

 あと、細かい質問です。3ページの第1行目に、「生産性向上に向けた人材育成戦略(仮称)」とありますが、この(仮称)という意味は何なのかが分かれば教えていただきたいと思います。以上です。

○尾田基盤整備室長 2点目の(仮称)は、適切なタイミングで外したいと思います。

1点目の御指摘は、「ねらい」がもうちょっとはっきりと、前回から何を継承して、前回と何が違うのかというところが分かるようにという点については、確かにそういった観点からの記載はありません。漠然として、一応、ここの副題で書かせていただいているとおり、「生産性向上に向けた人材育成戦略」というのが今回の方向性に関する目玉というようには思っておりますが、それがこれまでの計画との兼ね合いでどうなのかとか、そういう点は確かにありませんので、そこが分かるような形は工夫させていただきたいと思います。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。そろそろ次回あたりを最終にしたいと思っております。

○大久保委員 ちょっとよろしいですか、一番最後の話ですが、「生産性向上に向けた人材育成戦略」の、その「生産性向上」ですが、今、高橋委員から御指摘がありましたが、もうちょっと中身の説明があったほうがいいと思うことと、最終ページにある「目標」というのが何かしら関連性があるのかどうかが見えないのですが、これはどうでしょうか。

○宮川職業能力開発局長 この「目標」というのはあくまでもこの計画の「関連目標」ということで、全体をカバーした形の中でそれぞれの主要項目について、それに相当するようなものの目標を立てようということです。必ずしも生産性向上に直結した目標とはなっていない部分も、間接的なものになっているというものも当然あろうかと思います。

 一方、今回の「生産性向上に向けた人材育成戦略(仮称)」という形で(仮称)を付けているのは、こういう方向性でやっていきたいと。それに向けた形での記述にしたいと考えている中で、本日、高橋委員などからもいろいろ御意見を頂きましたので、そこら辺のところについては、今、大久保委員からも生産性向上というのは、じゃあ、何なのか、今までの計画との違いという意味でも、生産性向上に向けた人材戦略ということの位置付けを、「ねらい」なり、あるいは中のワーディングでもそういうことがもう少し書けるものがないかどうか、そこは検討させていただければと思います。

○小杉分科会長 はい。

○尾田基盤整備室長 一部、御説明が欠けておりましたが、ここで言う「生産性向上」というのは何かというのは、1点、2ページ目の「計画のねらい」の第2段落の中で、一人ひとりの働き方の付加価値創出力を高めることによって、生産性を高めていくということが、ここで言う「生産性向上」ということで一応イメージは書かかせていただいておりますので、補足させていただきます。

○小杉分科会長 いかがでしょうか。それでは、本日の議論はこの辺にさせていただきます。この議題については、これまで十分議論されてきたと思います。内容については基本的なコンセンサスが得られたと思いますので、計画案については、本日いただいた御意見を踏まえて、事務局では次回までに案をまとめるようにお願いしたいと思います。

 それでは、議題5に入ります。その他として、「職業能力開発の効果的な実施に関する行政評価・監視結果について」及び「専門実践教育訓練の指定講座について(平成284月指定)」、それについて事務局から報告があります。内容について事務局から説明をお願いします。

○波積能力開発課長 私から資料5について説明いたします。資料5-2にありますとおり、今月の2日、総務省から職業能力開発の効果的な実施に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告がなされております。資料5-222ページと大部ですので、資料5-11枚紙で、その概要の説明をいたします。

 こちらの報告書ですが、冒頭は背景について説明しており、この中にあるとおり景気の緩やかな回復基調は続いていると。雇用情勢も改善している中で、一部に労働力需給のミスマッチがみられるという現状認識を示した上で、国が「第9次職業能力開発基本計画」を策定して、成長が見込まれる分野の人材育成、雇用のセーフティネットとしての能力開発の強化等を推進していることを核にし、その上で国・都道府県において公的職業訓練を実施しているが、この効果的な実施が重要という認識が示されました。

 こういった認識を踏まえて、これらの政策目標を実現するという観点から、関連行政の改善に資することを目的として、平成268月から行政評価・監視を実施しているということです。それに基づいて、以下のとおり3つの観点から勧告がなされております。

 最初の観点は1ですが、調査の対象にありますとおり、「公的職業訓練の効果的な実施の推進」ということで、訓練そのものの中身についての勧告がされております。これは2点に分かれており、1点目は求人ニーズ及び就職率が高く、訓練の積極的な実施を目指すべきだが、受講生が集まりにくい分野ということで介護系分野を取り出しており、それについて民間教育訓練機関等による説明会が余りされていないのではないか、受講生に対する周知・誘導が不十分ではないかという調査結果に基づいて、右側にあるような勧告、求人ニーズ及び就職率の高い分野に重点を置いた周知・誘導等の積極的な実施が必要ではないかという勧告がされているところです。

 さらに、求人ニーズが高いけれども、就職率の低い地域がみられる分野ということで、情報系分野が特出しにされており、これについて地域において就職率が低くなっていることの原因分析が、不十分ではないかという調査結果が出されました。それに基づいて右側の勧告ですが、実績が上がっていない原因の把握・分析、訓練内容について、ある程度見直しをする等の対応が必要ではないかということが指摘されているところです。これが1点目です。

2点目ですが、「開講前中止の訓練申込者に対する支援の徹底」ということで、訓練関係の手続の部分についての指摘がされているところです。具体的に訓練コースが開講前に中止されて、希望者がコースを受講できない申込者に対して、実際にはできる限り早く他の訓練が受講できるように対応すべきですが、その取組が不十分ではないかという指摘、調査がされております。それを踏まえて、受講申込者に対する公共職業安定所の支援の徹底を図るべきではないかという勧告がなされているところです。

3点目ですが、「育児中の女性等が受講しやすい訓練環境の整備の推進」ということで、既に公共訓練でやっておりますが、求職者支援訓練では託児サービス付き訓練及び短時間訓練が導入されておりませんので、実際に子供を持つ求職者が受講を断念する例がある。あるいは、委託訓練ではそういった例が拡大しているという調査結果が出されており、それを踏まえて、求職者支援訓練で託児サービス付き訓練及び短時間訓練についてのニーズの把握、導入を検討すべきではないかという勧告がなされているところです。

 以上3点の勧告については、私どもは真摯に受け止めて、職業訓練が実際に効率的・効果的に実施できるように、今後この勧告を踏まえた必要な措置を講じてまいる所存でございます。以上です。

○小杉分科会長 ただいまの説明について、御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○高倉委員 勧告の1つ目の介護系分野の指摘に関してでありますが、受講を検討する人に対する教育訓練機関による説明会を各ハローワークで行うことも重要なことだと思いますが、これは教育訓練機関のほうの負担も出るわけで、そういうことも考えると、ほかの手法がないのかということで、お話させていただきます。例えば受講を検討しているハローワークに来所された人が最初に会うのは、窓口の職員ですから、その窓口の職員のスキルアップとかレベルアップを図っていくことは、非常に有益ではないかと思います。そういうことがひいては雇用の質のレベルアップにつながるという視点に立った取組も必要ではないかと考えているところです。ただ、ハローワークの職員が非常に多忙、忙しいという面も理解しておりますので、ハローワークの職員が教育訓練機関や講座内容に精通できるような取組を進めることが、この勧告に対する最適な回答ではないかと思います。ハローワークは職業安定のみならず、職業能力開発における地域の拠点として位置付けられるということもありますので、職員の増員についても、併せて検討されてはどうかと思います。以上です。

○波積能力開発課長 全体的な増員というのは、この場ではお答えできませんが、そもそもハローワークを含めて、私どもは関係機関の連携をしっかりとやるということを常々言われておりますので、こういった勧告での指摘を踏まえて、更に連携を進め実際に利用していただけるように対応いたします。具体的な中身はこれから6か月後に、総務省からフォローアップが入ることになっていますので、それらへの手続も見据えながら適切な対応を取りたいと思っております。ありがとうございます。

○稲原訓練企画室長 少し補足させていただきます。御指摘がありましたとおり、職員が訓練機関をそもそも見たこともないということも過去にありましたので、昨年来から、ハローワーク職員が民間訓練機関やJEED、実施機関に直接出向いて現場を見るという取組を、全国的に今かなり行っているところで、訓練担当者だけではなくて、窓口に出る職員は定期的、計画的にそういった訓練機関に出向く、現場を見せるということに取り組んでいるところです。

 

○木塚総務課長 労働局等の職業能力開発行政の地方拠点の整備については、今後ともしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。ほかにないようでしたら、「専門実践教育訓練の指定講座について(平成284月指定)」について、事務局から説明をお願いいたします。

○伊藤キャリア形成支援課長 その他、報告事項の2点目です。資料6に基づいて、1月末に私どものほうから公表した専門実践教育訓練指定講座の状況について、報告申し上げます。本制度は平成2610月からスタートして、今回、半年に1回の指定、4回目の指定になります。対象としては、従前からあります業務独占・名称独占を目標とする養成課程、職業実践専門課程、専門職学位課程に加えて、今回初めて文科大臣が認定する大学等の職業実践育成プログラムが適用され、この4類型です。ここにありますように業務独占等が148講座、職業実践専門課程84講座、専門職学位7講座、そして新たな職業実践力育成プログラム23講座ということで、新たに260余りの講座が指定され、合計として初めて2,000の大台に乗ったところです。先ほど議題3でも申し上げましたように、それぞれの課程で就職率等の講座要件を設けておりますので、いわばこの指定の対象となり得る教育訓練プログラムの母数が無限にあるわけではありませんので、この間の約2年の取組の中で、123の類型については、要件を満たすものはかなり出てきているという感触です。職業実践力育成プログラムに関しては、今回、文科大臣が認定したプログラム数は123です。そこに私どもの独自の要件がありますので、私どものほうに申請をし、独自の要件を満たしたものがこの23ということです。

 具体的な分野等の内訳に関して、次ページの表にお示ししております。職業実践力育成プログラムに関して、こちらにあるような、いささか統計的な分類ですと、少しイメージが湧きにくいのかということで、若干の補足を申し上げますと、プロバイダーとしては高等教育機関、大学院、大学、短大、高専ですが、28のうち21が大学院ということで、大学院が多数でした。正規と120時間以上のサーティフィケートの内訳で言いますと、ここにありますように正規課程のほうが若干、上回るという状況でした。分野・内容としては、昨年の分科会の際にもイメージとして申し上げた、キャリアを中断した女性のリカレント、キャリアアップのための講座、エンジニア関係の講座、医療・福祉専門職に関わる講座、専門職大学院に位置付けられないMBA系の講座など、内容的には当初想定していたものに大体沿った形で申請がなされ、指定ができたものと思っております。ただ、準備期間が限られていたということで、文科とも連携し、大学等への関係者周知は努めたつもりではありますが、この分野についてはまだ十分開拓しきれていないという感触もありますので、文科省とも連携し、一層の開拓を図っていきたいと思います。

 また、この間、本分科会で御指摘いただいておりますユニバーサルサービスとしての本制度の活用という観点からすると、地域的なばらつきをできるだけなくすことが重要という認識を、引き続き持っております。右下の表にありますように、指定数が少数にとどまっている県で、かなりキャッチアップできているところもありますが、なお非常に少数にとどまっている県もある状況です。私どもは労働局ともタイアップして、年度末から新年度にかけて、特に今回の指定数の上積みをもっても1桁にとどまるような都道府県に関しては、いわばしらみつぶし的に開拓を行うといった取組も、重点的に行っていきたいと考えております。

 議題3でも既に御意見、御指摘を頂いておりますように、一般も含めて、教育訓練給付制度がより有効に活用されますように、プロバイダー側、受講者側、双方に対する、より効果的で正確な周知・開拓に一層努力していきたいと思っております。以上です。

○小杉分科会長 この件について、皆様から御質問、御意見を受けたいと思います。

○浅井委員 この一覧表を見ますと、秋田県と滋賀県の総数が2、かつ今回新たに指定されるところも0ということなのですが、地域経済のちょっと特殊な状況が確認されていらっしゃるのでしょうか。

○伊藤キャリア形成支援課長 今、委員から例として御指摘を受けた件も含めて、ここにありますように、まだ指定数が1桁にとどまっている県が少数ながらあるところです。これに関しては、経済的な状況というよりは、専門実践教育訓練に関してはもともと業務独占、名称独占の養成課程、専修学校で文科大臣から職業実践専門課程の認定を受けている、あるいは専門職学位課程があるといった、教育訓練プロバイダーがそれぞれの地域ごとの経済規模以上に偏在をしていることに、かなり根本的な要因の1つがあるという認識を持っております。ただ、とはいえ結果として、こうしたごく少数の指定にとどまっている地域の被保険者、あるいは被保険者であった方が、せっかくのこの制度を生かせないということはやはり問題であると思っております。先ほど、しらみつぶしというように申し上げましたが、少数とはいえ、それぞれの地域ごとに今申し上げたような類型の課程は存在し、私ども能開局担当課としてそういった情報を持っているわけで、最終的にそれぞれの講座ごとに見た場合に、就職率等の状況を満たすかどうかは一つ一つ当たってみないといけないわけですが、可能性があるところに関しては、特に今申し上げた少数の所については、基本的に全てアプローチ、確認してみるという取組を行った上で、それでもまだこういう状況なのか、多少でこぼこが埋まるのかという辺りを検証した上で、今後の運営の仕方を我々としても考え、またこの分科会でも御審議いただければという考え方です。

○小杉分科会長 ほかにありますでしょうか。特にないようでしたら、この議題はここまでとさせていただきます。今日の予定された議題は以上ですが、ほかに特に何かありますか。ないようでしたら、本日の議論は以上とさせていただきます。次回の日程については、改めて事務局から連絡いたします。本日の議事録の署名人ですが、労働者側は高倉委員、使用者側は高橋委員でお願いいたします。本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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