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2016年1月19日 独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG(第7回) 議事録

○日時

平成28年1月19日(火)15:00~16:46


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○出席者

今村主査、小西構成員、酒井構成員、志藤構成員、関口構成員、高田構成員、戸田構成員、中村構成員

○議事

(以下、議事録)

○今村主査

 定刻になりましたが、まだお二人ほどお見えになっておりませんが予定どおり始めさせていただきます。第7回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。本日は柴田構成員、田宮構成員、松尾構成員、宮崎構成員が御欠席です。なお、小西構成員が少し早めに退席されると伺っております。最初に本日の議事について事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 政策評価官室の佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日の議事は、平成284月の労働者健康福祉機構と労働安全衛生総合研究所の統合に伴い、存続法人となる労働者健康福祉機構の中期目標と中期計画の変更についてです。

 参考資料1です。本件については、独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱の3の第四号「その他一から三までに掲げる事項に関し重要な事項」に該当するものとして本WGにおいて意見を賜るものです。厚生労働省所管の中期目標管理法人については、厚生労働大臣が中期目標を定め、当該法人は定められた中期目標に基づき中期計画を策定することとされております。法人の中期目標と中期計画というのは御意見をいただく上で密接な関係にありますので、本日は中期目標と中期計画について同時に御議論いただきたいと考えております。

 議事の前に、独法通則法が改正されておりますので、中期目標と中期計画の変更までの流れについて簡単に説明いたします。参考資料2です。一番上の四角い囲みの中に「平成278月労働安全衛生総合研究所の「業務・組織全般の見直し内容」等を総務省へ提出」とあります。労働安全衛生総合研究所の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」については、昨年の8月に開催いたしました本WGにおいて皆様方から御意見をいただき、その意見を踏まえ厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知いたしました。

 中ほどの四角い囲みの中に「平成27911月総務省独立行政法人評価制度委員会の審議・意見」とあります。総務省独立行政法人評価制度委員会が、労働安全衛生総合研究所の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」について審査した結果が厚生労働大臣に通知されております。これらを踏まえて策定したものが、本日、御議論いただきます労働者健康福祉機構の中期目標と中期計画の変更案です。

 矢印の下の四角い囲みの中の「平成2712月~平成283月労働者健康福祉機構の中期目標・中期計画の変更」の部分では、今後の流れについてまとめております。本日、御議論いただきます労働者健康福祉機構の中期目標の変更案については、本日いただく御意見を踏まえて必要に応じて修正等を行い、2月に厚生労働大臣が総務省独立行政法人評価制度委員会へ送付いたします。

 その後、2月中に当委員会において審議が行われ、その審議結果に基づいて出される意見を聴いた上で財務省とも協議し、中期目標が確定されます。一方、中期計画については、確定した中期目標を基に労働者健康福祉機構が中期計画を変更し、その後3月に厚生労働大臣が認可するという予定になっております。事務局からの説明は以上です。

 

○今村主査

 ただいま事務局から説明がありましたが、皆様、何か御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか、それでは議事に入りたいと思います。それでは、労働者健康福祉機構の中期目標と中期計画の変更について議論したいと思います。最初に法人所管課から中期目標の変更案について御説明いただき、その後、法人から中期計画の変更案について御説明いただきます。この2つが終わりましてから質疑応答という流れで進めます。それでは、法人所管課から中期目標の変更案について説明をお願いします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 昨年の101日から計画課の調査官になりました丹羽と申します。よろしくお願いいたします。資料は、資料1-1「独立行政法人労働者健康安全機構中期目標()の概要」、資料2-1「独立行政法人労働者健康安全機構中期目標()」は本文です。資料3-1、独立行政法人の中期目標の新旧対照表です。資料1-1です。中期目標の概要です。概要の第1として中期目標の期間があります。併せて見ていただきたいものが、資料2-12ページに期間があります。概要と本文を見比べていただきながら説明いたします。

 中期目標の期間としては、平成264月から平成313月までの5年間です。これは統合前の労働者健康福祉機構の第3期中期目標を変更するという形で、実質残りは282930年度の3年間ということになります。次に第2です。「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」です。

 I、労働者の健康・安全に係る業務として取り組むべき事項です。1、勤労者医療、労働者の健康・安全に関する基礎・応用研究及び臨床研究の推進等です。資料1-11ポツ目です。安衛研が持つ労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と、労災病院が持つ臨床研究機能との一体化による統合による相乗効果を最大限発揮する研究として、次の5分野を重点研究と呼ぶことにしましたが、これに取り組んでいくこととしております。過労死等関連疾患、石綿関連疾患、精神障害、せき損等、産業中毒の5つの分野です。参議院の厚生労働委員会の附帯決議が平成27423日にありましたが、附帯決議でも研究の充実など統合による相乗効果を最大限に発揮できるよう有効な措置を講ずることとされておりますので、この5分野の重点研究にしっかりと取り組んでいくこととしております。

2つ目のポツです。統合に際して、研究試験企画調整部(仮称)を本部に設置して、ここが司令塔となって新法人における研究・試験等について機動的かつ機能的に実施できるよう、総合的な企画調整を行うこととしております。また、重点研究の5分野に関係する施設等で構成する協議会等の設置・運営、また、外部機関との連絡調整、研究・試験結果の普及・広報等を行うのも研究試験企画調整部が行うことにしております。なお、新法人の理事の1人に研究・試験を担当させるということにしております。

3つ目のポツです。労働者の健康・安全に係る重点的な研究の実施と労災疾病等に係る研究開発の推進です。資料2-1の本文でいいますと、36ページにかけて書いております。先ほど申した統合効果を最大限発揮する5分野の重点研究と同時に、従来の安衛研の基礎・応用研究と従来の労災病院での労災疾病に関する研究についても、引き続き力を入れて行っていくこととしております。

 具体的には資料2-13ページを御覧ください。安衛研の基礎・応用研究があります。従来どおり現場のニーズや臨床データに基づく研究の実施として、職員自らがより積極的に実際の労働現場に赴き、現場の抱える喫緊の課題や問題点、労働環境の実態を把握し、また、こうして把握した現場のニーズや実態などに応じて研究課題やテーマの選定への反映を的確に行うということにしております。また、当然新しく始める重点研究5分野との連携を図りつつ、プロジェクト研究、基盤的研究、行政要請研究を実施するということにしております。本文の5ページです。労働安全衛生関係法令の改定等への科学技術的貢献を行う観点から他の機関との役割分担を行いつつ、中期的視点から未知の健康障害の解明や新たな安全衛生機器等の開発など、最先端研究やチャレンジングな研究の実施に配慮するということにしております。

 次に労災疾病等に係る研究開発です。これは本文の56ページにかけて記載しております。労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上、重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組むために、変更前の労福機構の第3期中期目標において取り上げられていた3領域について、これは従来3分野と言っていたのですが、新たに始める5分野と連携を図りつつ研究を行うということにしております。

 変更前の労福機構の中期目標で示していた3分野を新たに「3領域」という名前で呼ぶことにしますが、1番目は労災疾病等の原因と診断・治療、2番目は労働者の健康支援、3番目は労災保険給付に係る決定等の迅速・適正化です。これを「3分野」と言っていたのですが、5分野と区別をつけるために「3領域」と呼ぶことにしております。さらに、行政機関への貢献として、労災病院に所属する医師等は、国が設置している検討会や委員会等からの参加要請、また、迅速・適正な労災請求等に対する認定に係る意見書の作成について、積極的に協力するということにしております。

 これらの研究については、先ほど少しお話がありました総務省の独法評価制度委員会から御意見をいただいておりますので、それらを踏まえて重点研究5分野と安衛研のプロジェクト研究については、目標の設定や工程表を作成するということを新たに中期目標に盛り込んでおります。

 資料1-1に戻っていただきます。Iの2は労働災害の原因調査の実施です。これは安衛研が行ってきたものですが、労働安全衛生法に定められた重要な業務であり、高度な専門的知見に基づく災害原因の究明を行い、これらの調査結果について、行政の立案する再発防止対策への活用を図るということが必要ですので、新法人においても引き続き着実に実施することとしております。

3は化学物質等の有害性調査の実施です。これは従来、国が中央労働災害防止協会に委託して、マウスやラットを用いて長期吸入試験を行って、発がん性等の有害性の調査を行ってまいりました。今般の法改正により、新法人の業務に化学物質等の有害性の調査が位置付けられましたので、この部分についても中期目標に記載して新法人によって計画的に有害性の調査を行うこととしております。

4は成果の積極的な普及・活用です。重点研究の5分野を始めとした労働者の健康・安全に対する研究成果やモデル予防法等の成果の普及・活用については、その社会的意義や貢献度を広報するために論文や学会での発表、ホームページ上やマスメディアへの発表を行っていくこととしております。資料2-1の本文の方では、78ページにかけて記載しております。こちらでは種々の数値目標を掲げております。特に資料2-18ページの上の(2)を御覧ください。労働現場における安全衛生の確保等への科学技術的貢献については、総務省の独法評価制度委員会から御意見をいただきましたので、新たに項目として設けたものです。その上の法令改正の貢献は、従来の安衛研の目標にもあったのですが、(2)の労働現場における安全衛生の確保等への科学技術的貢献は新しいものです。

 続いて、概要では5の研究成果等を踏まえた勤労者医療の中核的機関としての役割の推進です。この5番目から9の地域の中核的医療機関としての役割の推進については、労福機構で行っていたものです。資料1-13ページです。対比表があり、左上が労福機構の中期目標で、左下が安衛研の中期目標です。これらに対比させて右側に新法人の中期目標の項目があります。統合効果を発揮させる重点研究5分野と、従来からやっている安衛研の研究や労災疾病研究を推進していくことをまず最初に先頭に掲げて、以下、調査や研究、試験関係とその成果の普及・活用を並べました。1234と並べております。その後、今申しました労福機構で行っていたものを記載するという形で、順番はそのとおりになっております。

 資料1-11ページです。先ほど申した5の研究成果等を踏まえた勤労者医療の中核的機関としての役割の推進です。ここでは、労災病院が労災病院であるがために勤労者医療の中核的機関として他の医療機関では対応が困難なもの、例えばアスベスト関連疾患や化学物質等の有害因子へのばく露による健康障害などです。他の医療機関では対応が困難なものへの積極的な対応を記載しております。

6は研究成果等を踏まえた産業保健活動の積極的な支援と充実したサービスの提供です。これは従来、労福機構で行ってきたものですが、引き続き新法人においても産業保健総合支援センターは、医師会など関係機関と連携して地域社会や産業保健関係者のニーズに対応した産業保健サービスの提供等の支援を通じて、事業場における自主的産業保健活動の促進を図ることとしております。

7は研究成果等を踏まえた治療と就労の両立や円滑な職場復帰支援の推進等です。基礎疾患を有する労働者が増加して治療と就労の両立支援が重要な課題となる中で、疾病に罹患した労働者が、治療の過程や退院時において円滑な就労の継続や職場への復帰が図られるということを念頭に置いて、医療の提供や支援を行うということにしております。この取組に当たっては、産業保健総合支援センターと労災病院に併設している治療就労両立支援センターが緊密に連携する必要があります。

8は重度被災労働者の職業・社会復帰の促進等です。重度の被災労働者の職業・社会復帰を支援するため、医療リハビリテーションセンターと総合せき損センターにおいて、高度・専門的医療を提供し、それぞれ医学的に職場・自宅復帰可能である退院患者の割合を80%以上にすることを記載しております。

9は地域の中核的医療機関としての役割の推進です。労災病院は勤労者医療の中核的機関であるとともに、地域の中核的医療機関でもありますので、ここの項目では、地域医療への貢献、地域の医療機関との連携強化、医療情報のICT化の推進、労災病院ごとの目標管理などを記載しております。

10は国内外の安全衛生関係機関等との協力の推進です。この部分は安衛研の目標に書かれていた部分で、労働安全衛生に関する国内外の技術、制度等に関する資料の収集・整理・提供などを引き続き記載しております。以上が第2のI、労働者の健康・安全に係る業務として取り組むべき事項の概要です。

IIは労働者の福祉に係る業務として取り組むべき事項です。資料2-1の本文では14ページ以降です。IIの労働者の福祉に係る業務は労福機構が行っていた部分で、未払賃金の立替払業務の着実な実施と、みころも堂ですが納骨堂の運営業務を記載しております。この2つについては、新法人においても着実にしっかりとやっていくということにしております。

 資料1-1の概要の2ページです。ここからは、第3、第4、第5として業務運営の効率化に関する事項や財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項を記載しております。第3は業務運営の効率化に関する事項です。1は業務の合理化です。統合効果を発揮していく中で、平成30年度までの中期目標期間中に管理部門で1割程度削減するということが掲げられております。管理部門で1割程度削減することなどで運営体制の効率化等を図っていきたいと考えております。2は機動的かつ効率的な業務運営を記載しております。3は業務運営の効率化に伴う経費節減を記載しております。この中では効率化に伴う経費節減等ということで、運営費交付金を充当する事業については予算の効率化を図ること、適正な給与水準の検証・公表を行うこと、契約の適正化を進めることを記載しております。

 第4は財務内容の改善に関する事項です。最初の1は外部研究資金の活用等を記載しております。次の2は経費の節減を見込んだ予算による業務運営の実施を記載しております。運営費交付金を充当して行う事業については、第3で書いた「業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中期計画の予算を作成して、当該予算による運営を行うということを記載しております。

3は労災病院の経営改善として国立病院機構との連携等を図ることや医業未収金の適切な回収を行うこと等の取組を記載しております。4は本部事務所の移転で、本部を民間ビルから自前の建物に移転するということにより、経費の削減を行うことを記載しております。5は保有資産の見直しで、資産の利用度のほか、本来業務に支障のない範囲での有効利用可能性の多寡、効果的な処分、経済合理性という観点に沿って、その保有の必要性について検証し不断の見直しを行うこと、また、機構が保有し続ける必要があるかを厳しく検証して、支障のない限り、国への返納等を行うことを記載しております。最後の第5は、その他業務運営に関する重要事項です。内部統制の充実・強化や個人情報の流出防止などのための情報セキュリティ対策の推進等について記載しております。中期目標の説明は以上です。よろしくお願いいたします。

 

○今村主査

 ありがとうございます。では、中期計画の変更案について法人から説明をお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 資料の方は、先ほどの中期目標とパラレルになってまいりますが、資料1-2として、中期計画()の概要、資料2-2として、中期計画()本文、資料3-2として、4月以降の労働者健康安全機構中期計画()と、真ん中に労働安全衛生総合研究所の中期計画の現行のものと、当機構、労働者健康福祉機構の中期計画を並べたものを資料としてお配りしております。御説明する資料としては、資料1-2と資料2-2です。

 全体の基本構造は、もとより大臣からお示しいただいた中期目標を達成すべく計画を策定するということですので、基本構造は目標に沿ってまとめているわけですが、まず資料1-2で概要を御覧いただければと思います。これは資料2-2の概要を取りまとめたものです。全体構造は先ほど中期目標として御説明いただきましたので、中期計画()の部分については、今回の中期計画変更の契機となっている法人統合等を理由に、それに関連する部分について中心に御説明したいと思います。

 資料1-2では、第1のIの1「勤労者医療、労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究の推進等」というものがあります。本文では1ページにありますが、これが、先ほどの中期目標()の説明がありましたように、今回の法人統合等により、安衛研が持つ労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と、また、労災病院が持つ臨床研究機能との一体化による効果を最大限に発揮できる研究として、重点研究5分野ということで取り組んでまいりたいというものです。中期目標()の方では項目のみの記載になっておりますが、中期計画()では少しこの5分野について書き込ませていただいております。これについて御説明申し上げます。

 まず1過労死等関連疾患(過重労働)ですが、過労死等に至る要因、危険因子として、労働要因、生活要因、健康状態などが考えられるということです。このうちの労働要因とは、長時間労働、休日を返上せざるを得ないような勤務の状況、あるいは過度な出張業務、精神的緊張を伴う業務による心理負担など。また、生活要因については、日頃の生活としての睡眠あるいは休養の状況、飲酒・喫煙の状況、食習慣などといったものがあります。また、健康状態については、健康に関する自覚症状、うつ症状、精神的な健康状況、既往症などということになっています。こうした危険因子と過労死等関連疾患との関連についての解明、あるいは、過労死等関連疾患の効果的な予防対策などに資する研究を行いたいということです。

 2石綿関連疾患(アスベスト)ですが、この製造・使用が既に禁止されているわけですが、ばく露から発症までの期間が長いといった特徴もあります。現在でも多くの労災認定に係る請求がなされていると承知しております。この労災認定、給付決定等についての診断の迅速化・適正化に資するために様々な研究を行ってまいりたいということです。

 33精神障害(メンタルヘルス)ですが、治療を余儀なくされるほど重症なうつ病等の精神障害に罹患した労働者の方をどのように職場復帰させるかということは、依然として職場のメンタルヘルスの重要な課題であるということから、うつ病等の精神障害に罹患した労働者の就労の状況あるいは生活要因、企業の問題等の関連を調査して、職場復帰に向けたプロセス等の研究を行い、早期の職場復帰に寄与するとともに、メンタルヘルス上の予防のための方策についても研究を行ってまいりたいということです。

 4せき損等(職業性外傷)ですが、高所からの落下、交通事故等により、脊髄、頸椎等に重度な損傷を負うケースが多い。こうしたことから、せき損等の職業性外傷の疾病研究を踏まえて、その予防策、モデル医療の策定及び生活支援策の検討を行ってまいりたいというものです。

 本文2ページ、5産業中毒等(化学物質ばく露)です。平成24年の胆管がんの発症、あるいは最近の事案として、まだ原因ははっきりしておりませんが、染料工場での膀胱がんの発症にも化学物質が関係しているのではないかといった報道もなされています。こうした状況も踏まえ、有害性のある特定の物質等(ベリリウム等)を対象として、産業中毒等の原因究明や対応策についての検討・研究を行ってまいりたいということです。もとより、体制等々については、先ほど中期目標()についての説明にありましたような体制の下、的確に実施してまいりたいということです。

 次に、本文では2ページに(2)労働者の健康・安全に係る重点的な研究、あるいは4ページに(3)労災疾病等に係る研究開発の推進というものがあります。こちらについては、先ほど中期目標()で説明がありましたとおり、私どもは4月以降もきちんと実施してまいりたいと考えているということです。

 次に本文6ページの2「労働災害の原因の調査の実施」です。こちらについても、先ほど中期目標()の説明にありましたように、現在の安衛研で実施している調査について、統合後の新法人においても的確に実施してまいりたいというものです。

 また、同じ本文6ページの3「化学物質等の有害性の調査の実施」というのは、先ほどもありました中央労働災害防止協会、日本バイオアッセイ研究センターにおいて実施されている業務、化学物質等の有害性調査について新法人において行うということです。化学物質等による健康障害防止対策の推進に積極的に貢献してまいりたいと考えております。

 本文7ページですが、4「成果の積極的な普及・活用」についても、先ほど説明がありましたが、これまで御説明した重点研究5分野をはじめとして、引き続き実施していく労働者の健康・安全に係る研究、労災疾病等研究による様々な成果の普及・活用について取組を進めてまいりたいというものです。

 本文の8ページの5「研究成果等を踏まえた勤労者医療の中核的機関としての役割の推進」から、13ページの9「地域の中核的医療機関としての役割の推進」にかけてですが、これも先ほど中期目標案の説明にもありましたが、現在の労働者健康福祉機構において実施している取組で、労災病院あるいは産業保健総合支援センター、治療就労両立支援センター等においての取組を引き続きしっかり実施してまいりたいということです。

 本文14ページ、10「国内外の労働安全衛生関係機関等との協力の推進」です。これについても、現在の安衛研で実施している海外を含めた研究機関等との交流等について、引き続き実施していくというものです。

 次にII「労働者の福祉に係る業務として取り組むべき事項」として2つあります。本文15ページからです。1が「未払賃金の立替払業務の着実な実施」ということです。これも、企業倒産の場合の労働者のセーフティーネットとしての重要な役割を果たしていると認識しておりますので、引き続き的確に業務に当たってまいりたいと考えております。

 本文16ページですが、2「納骨堂の運営業務」があります。これは八王子にあります産業殉職者の慰霊施設、高尾みころも霊堂において毎年、産業殉職者合祀慰霊式などを開催するという取組を進めておりますが、慰霊の場としてのふさわしい取組を引き続き行ってまいりたいと考えております。

 第2として、概要の資料1-2では2ページですが、こちらも基本構造は中期目標と同様のものです。本文16ページでは1「業務の合理化」ということで、今般の法人の統合等についてです。もちろん研究分野等においての統合効果の発揮ということはありますが、一方、法人としての管理部門での共通性といったことを勘案して、中期目標期間中に管理部門においては1割程度削減する等の運営体制の合理化に取り組んでまいりたいと考えております。

 第3として「予算、収支計画及び資金計画」ということがあります。本文17ページです。1「外部研究資金の活用等」と、競争的な研究資金についても積極的な応募に当たってまいりたいと考えております。

 また、本文18ページに、3「労災病院の経営改善」があります。昨年夏の当機構の平成26年度年度評価において、繰越欠損金の解消計画が未達成であったということから、厚生労働大臣からC評価をいただいた項目です。平成26年度の診療報酬改定及び消費税増税の影響等から、特に公的医療機関においては厳しい経営環境下にあると思っておりますが、労災病院としての社会的な使命を果たしながら経営改善を図っていくべきことを喫緊の課題として、組織を挙げて取り組んでいるところです。年度当初には、全職員に対して、年初より労災病院グループとして一丸となって経営改善に取り組むようメッセージ発信、また、本部において外部有識者を招へいし、経営改善推進会議といった形での会議を毎月開催するといった形で、状況をリアルタイムで分析し、それに応じた対策を講ずるといった取組を行っております。もとより、具体的な収入確保、支出削減対策についても、経営改善に向けた取組事例の情報共有といったことを通じて、引き続き本部主導で経営改善に取り組んでまいりたいと考えております。

 以下、中期目標と同様の項目が本文18ページ以降、並んでおります。19ページの第4以降ですが、第4「短期借入金の限度額」あるいは第5「不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財産の処分に関する計画」、第6「第5に規定する財産以外の重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときはその計画」と。あるいは20ページに移って第7「剰余金の使途」、第8「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」というものです。基本的な部分については、これまでの当機構の中期計画を踏襲して整理しているものですが、いずれも的確に対応したいということです。

 最後になりますが、本文20ページの下の部分から第9「その他業務運営に関する重要事項」というものがあります。概要の方では3ページに項目だけを掲げておりますが、本文では1「人事に関する事項」、21ページから最後の24ページまでということです。この項目についても、昨年夏の平成26年度年度評価において、障害者雇用状況の虚偽報告事案があったということから、大臣よりC評価をいただいた項目です。夏のこの場において、既に障害者雇用率は法定雇用率を上回り、また、再発防止策を講ずるといった内部統制機能の確立について御説明申し上げたということですが、その後も障害者の雇用率は着実に法定雇用率を上回っている状況です。新法人においても、障害者雇用については、雇用率が法定雇用率を常に上回るだけにとどまらず、障害者の募集採用から配置定着に至るまで、こうしたことについて実施に関するマニュアルを作成し、ブラッシュアップしていくという形で、障害者雇用の成果の普及に当たってまいりたいと考えております。また、この事案を契機として、組織的な内部不正に関する再発防止策として、関係規定の改正を行い、内部統制機能の強化・確立にも当たってまいっているというところです。

 雑ぱくですが、以上で中期計画()について、中期目標に少し書き込んだ部分。あるいは、今回の統合の趣旨から御説明した方がよいかと思いました部分について中心に御説明いたしました。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。本日は、議題はただ1つで、「労働者健康福祉機構の中期目標・中期計画の変更について」ということで、予定は一応5時までということで時間が計画されています。したがって、皆様いろいろと御自由に御意見、御発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 確認というか、私なりにですが、この中期目標の方では、重要度と難易度ですか、困難度ですか、というのは所管課の方から付与するということですね。ですから、中期目標の方には重要度と難易度というものが表記されていると思います。中期計画の方は、法人の方から計画するということで、目標がかなり具体的になっている所と、なっていない所もあると思います。恐らくそういう所が1つの視点かと思います。どうぞ御自由に御発言、御意見をお願いいたします。

 

○高田構成員

 資料1-2で一番最初の所ですが、「勤労者医療、労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究の推進等」と見出しのある所なのですが、ここに5分野、過労死から産業中毒まで5つの研究分野が挙げられています。これは同じものが既に厚労大臣の通知の中にも出てくるのですが、この5つを重要分野として定められたのは、従来からの継続ということで理解してよろしいのでしょうか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 目標、計画のどちらでしょうか。

 

○高田構成員

 資料1-1でも資料1-2でも同じです。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 既にこちらの有識者会議の第6WGが去年の8月に行われたと思いますが、そのときに安全衛生研究所の中期目標期間見込評価の関係と、業務組織全般の見直しに係る意見ということで御説明させていただきました。その際にも資料を提出して御説明していると思いますが、この件については、厚生労働省の方としまして、法人の統合の国会審議がありました。先ほど、その附帯決議の説明もありましたが、その中で、両法人が今まで持ってきた研究機能を統合することによって相乗効果を発揮するのが大事だろうということで、その観点から、両法人を所管している厚生労働省の方で、正にこの5つ、過労死の関係、石綿の関係、精神障害の関係、せき損の関係、産業中毒の関係、この5つが、両法人が今やっている研究をそれぞれ持ち寄って、その統合効果を出す上ではこの5つが重要だろうということで厚労省の方で考えまして、8月にこちらの有識者会議にも報告させていただいて、大臣の通知の中にも書かれています。それを受けて、今回更に具体的に中期目標、中期計画ということで()を提出させていただいたという経過です。

 

○今村主査

 これは資料のどこを見ればいいのですか。参考資料58から9に書いてある辺りでもよろしいのですか。

 

○政策評価官

 計画課長の説明は、参考資料4の関係です。この参考資料は、826日に厚生労働大臣から総務省の独立行政法人評価制度委員会の委員長に通知したものですが、これについては、事前に821日に、暑い中お集まりいただきまして、御議論いただいたものです。具体的な課題としては、2ページ目の「統合による相乗効果の発揮」という所に、真ん中辺りですが、相乗効果を最大限発揮できるよう5つの分野の研究課題に取り組んでいくとされていたところです。

 

○酒井構成員

 統合はもう既に決められたことですので、それで、私などの関心は、統合することによってどのくらい国内、また、国際的にユニークな機構が出来るのかということに大変関心を持っております。その場合に、2つの機関の一方の側はもともと機構であったのですが、もう1つは研究所だったわけです。その研究所が機構の中に入ることによって、ユニークな研究所ではなくて、機構の中の1研究業務の1つとして研究というものが入るというように理解せざるを得ないのです。

 その辺りのことで、質問は、今のことと全く同じで、附帯決議に、特にシナジー効果のことが書かれていて、だからこの5つなのだということですが、是非、良い業績を上げていただきたい。それを私たち国民としては応援したいわけですが、その場合に、この10項目の1番目に「勤労者医療、労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究」と書かれているのです。これは確かに言葉としては、これまでの、例えば労働安全衛生研究所の中には、あくまでも「基礎・応用研究」ということが書かれているだけであって、それが「勤労者医療」、それから「臨床研究」という意味合いの、元の労福の持っているものが掛かることで、確かに言葉上はこれがシナジー効果なのだということなのでしょうが、これが具体的な日常の業務若しくは日常の研究活動の中で、どういうふうに基礎・応用研究と、例えば臨床研究、若しくは労福の持っている臨床データ、それから勤労者医療ということをずっと進めていらっしゃったわけですが、そこが、シナジー効果として具体的にやる。そういうことを、もう少し目標なり計画の中でお話いただけると、理解がもう少し進むのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○今村主査

 大変重要な指摘だと思いますが、機構側の方がよろしいですか。当事者としてはどちらがよろしいですか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 補足があれば、また法人の方からあると思いますが、厚生労働省としても、また、両法人としても、今の御指摘は非常に重く受け止めております。正に、言葉にするのは簡単ですが、やはり、それをいかに実際の日々の日常業務において実現させていくかということは重要です。正に今まで、大きさも全く違う両法人ですし、片や労福機構、片やいわゆる研究機関です。そこが、附帯決議を受けて、両方が持っていた違う種の研究を統合させることによって、本当に良い、国内的にも国際的にも役に立つ研究ができるようにということだと思いますし、今の酒井構成員の御指摘もそうだと思います。何か、一生懸命努力したつもりでありますが、もう少し良い表現なり、踏み込んだものがあるかどうか、御指摘を踏まえて検討してみたいと思います。

 

○酒井構成員

 よろしくお願いいたします。

 

○今村主査

 機構の方がまだ一緒になっていないのですが、どなたかお答えになれそうな方はいらっしゃいますか。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 今、検討しているものでよろしいでしょうか。

 

○今村主査

 お願いします。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 ありがとうございます。過労死の部分については、安衛研さんの視点から、例えば労働時間などといった関係でいろいろとアプローチしているのですが、うちの方は、臨床的な、例えば心筋梗塞を起こす原因や、それと脳卒中の関係といったものがどういった形で結び付くかというのを、これは診療科が多岐にわたるものですから、どういった形で検討していったらいいのだろうかというものを今、検討している最中です。

 それと、石綿の関係については、これは前からやっていることですので、今のやり方を続けていけばいいのではないかと考えております。

 精神障害については、つまりメンタルにかかった方をいかに職場復帰させていくかということだと思います。実はうちの方に両立支援という、治療と就労の両立をどういうふうにやっていくかというものを以前からやっております。どうしても、病気になった方がメンタルになる場合が結構多いというので、そこのところをこの研究に生かせないかということで、今、模索しております。研究計画を今、立てようとしています。

 せき損については、墜落などの原因でせき損になる方の予防策や、実際にせき損になった方の、例えば生活支援、手足が動かなくて口先の動きでパソコンを操作できるとか、そういったことは前からやっておりますので、それをうまく組合せできないかということで検討しております。

 産業中毒に関しては、先ほど説明の中にもいろいろ出てまいりました胆管がんの例や、今、ベリリウムなどというのは新たな課題であり、それと、最近話題になっている膀胱がんの関係などに関してどういった取組ができるかというのを今、検討している最中です。具体的には、そういったことを一緒に行っていきたいと考えております。

 

○酒井構成員

 そういう議論を一緒にできるような組織というか、機構上のものを、もう既にいろいろお考えになっていらっしゃるのですか。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 先ほど先生がおっしゃいました研究機能、つまり、1研究所という話ではなくて、研究機能を統合するというようなことで、本文の中に、そういった研究部門を設けまして、そこで実践する施設が安衛研さんであったり、うちの労災病院であったり、つまり、そういった所がお互い協力しながらやっていこうということで、今は考えています。

 

○酒井構成員

 ありがとうございます。

 

○今村主査

 今の件ですが、もう少し具体的に教えていただきたいのですが、平成284月から動き出したときに、具体的にどういうふうになるのかということです。場所が新しくできるのか、つまり、旧安衛研の研究は旧安衛研でやる、労福機構の方は、それぞれの労災病院で全国ばらばらにやるというイメージでいいのですか。地理的には。

 あとは人の移動、ロジスティックの問題です。つまり、膝を突き合わせてやる研究というものもあれば、ネットでできるという研究もあるのです。今おっしゃった具体的な素晴らしい計画を具体的にどういうふうに実行されるか、もう少し具体的な場所と人のイメージを教えていただければと思います。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 中期目標の方で示されていますが、研究・試験企画調整部という機能を本部の中に持ちまして、そこが調整していこうというようなことを考えております。具体的には、例えば研究に関しては、いわゆる研究施設というよりも、研究者、例えば臨床で言えばドクターがどういった研究をしていくのかということや、そのカウンターパートになる安衛研の研究員の方がどういった方で、どういった形でやり取りをするのかというようなこともあります。便宜的に、まずは最初に、テレビ会議などができるようなシステムを作っていこうというようなことを考えております。

 あとは、協議会というものを設けまして、年に1回か2回ぐらい、まずそういった形でやっていきながら、方針を確認しながら、膝を突き合わせて、そういった形でまず方針を確定させて進めていこうかと考えております。

 

○今村主査

 具体的に、研究者として研究員やドクターなどがいて、その人たちがどういうふうに結び付くかということが一番の関心なのです。そこでイノベーションというか、研究の進展が起こっていくわけですよね。そこのところがどう担保されるか、関心はそこだけなのです。ただ一緒になってばらばらにやっているだけでは、そんなにシナジーは期待できないなというのが、すみません、素人考えで直感なのです。お題目はとても素晴らしいと思うのですが。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 現実的に、今、既に研究者の打合せみたいな形で集まって、膝を突き合わせて打合せを何回かしております。その際に、例えばこういった問題があるよねというようなことをお互いに言いながら、基礎研究の先生方と臨床研究の先生方が、お互いに課題をいろいろと出して、それにどういうふうに対応していくかという検討を今、進めている最中です。

 

○今村主査

 是非、酒井構成員の御指摘のように、ユニークな、これまでにない研究が進むような工夫をお願いしたいと思います。また評価のときに、いろいろお聞かせいただけるかと思いますが。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(豊澤)

 今の議論に関して、例えばせき損関係の研究については、昨年、労福機構さんの方で全体の連絡協議会を開催していただき、実際に北海道の中央労災病院のせき損センターのお医者さんと担当研究者が会っています。そこでお話もしていますし、また、私どもの研究者が、吉備のリハビリテーションセンターも訪問しています。その後、福岡の総合せき損センターの方にもお邪魔して議論しています。研究者同士が膝を突き合わせて議論して、次にどうしていくかということを考えているところです。

 私どもの研究所でできることは、せき損等の職業性外傷に至った、その根本原因を考えるということと、それから、職業性外傷を防止するための設備対策や保護具による対策、それから安全管理というようなことがあります。さらには、せき損等に至る可能性の少ない安全帯、保護具の開発というのができると思います。

 それから、生活支援策としては、支援ロボットについて、私どもの研究所は安全策を研究していますし、介護施設の機器の安全衛生についても研究しています。このような研究と臨床研究を統合させることによって、より高次元の対策と治療ができると考えております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。

 

○中村構成員

 今までの構成員の先生方の話と重なるところがあるのですが、この中期目標を見ますと「チャレンジングな取組」と、「チャレンジング」というのが結構目立つのです。例えば3ページにありますように、「安衛研が持つ労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と労災病院が持つ臨床研究機能との一体化という、国内では初めてのチャレンジングな取組であり」と。非常に響きの良い言葉なのですが、これを具体化するというところが非常に大事であって、それがなかなか書きづらいので「チャレンジング」になっているのかなと、ちょっとうがった見方をするわけです。

5ページにも同じように、上から78行目に「労働安全衛生関係法令の改定等への科学技術的貢献を行う観点から他の機関との役割分担を行いつつ、中期的視点から、未知の健康障害の解明、新たな安全衛生機器等の開発など最先端研究やチャレンジングな研究の実施に配慮すること」と。ここの所は非常に良い表現になっているわけですが、やはり、今出てきたように、具体的に「チャレンジング」という実態が何なのか、どういう形なのかもう少し知りたいところです。

 シナジー効果うんぬんというのは、実際に動き出して出てくることであって、こんなものだとなかなかはっきり書きづらいと思うのですが、我々はここを非常に期待していますので、是非頑張ってほしいなという気でおります。

 同時に、チャレンジングなことをやると、必ずそれに伴って、プラスの面とマイナスのひずみも出てくる。それに対するケアというものをきちんと配慮してほしいという気がしております。2つの組織が統合されて、良い成果を生むためにも、うまくいったときのものと、それがまずかったときの対応といいますか、そこもきちんと配慮していただければ有り難いと思っております。

 

○関口構成員

 今いろいろと御検討いただいている部分だと思うのですが、協議会や評議委員会などで、今後またいろいろと御検討されるとは思うのですが、残りが3年という中で、どこまでの成果が出るのだろうかということです。期待をする半面、成果の部分でちょっと失敗してしまうというところで、来年、再来年と、いろいろと御検討されるとは思うのですが、こういった研究や実際の臨床までということになると、3年ではなかなか成果として出せないのではないかという老婆心の方の心配だったりするものですから、その辺りについてはどうお考えなのかということです。どの辺りまでの成果をお考えなのかというところが1つ心配な部分です。

 何でそんなことを言っているかというと、昨年や一昨年、所属する学会で、皆さん現場でやっていらっしゃる方々、正規の職員の方ではないと思うのですが、そういう方々が積極的に発信されている報告を聞きまして、それは労働の現場で非常に役立つことを研究されていて、それを実践されている方のお話を聞いて、非常に感動したという部分があるのです。そういったところで、統合して人数は多くなっているのだけれども、最終的にそういう現場の所にお金が回らなくなってくると、結果的にシナジーどころか、逆にデメリットが増えてしまうのではないかという懸念も少しあったりしたものですから。その辺りはこれからうまく調整されて、研究費なり、資金の配分はされると思うのですが、マンパワーの部分でも、現場の方は本当に手数が掛かりますし、ケースバイケースだったりするので、その辺りを考えると、人件費の部分、当然ギャップがありますから、その中でどういう配分をされるのかというところも、現時点ではお答えがなかなか難しいかもしれませんが、今後3年ということではなくて、10年、20年後に非常に大きな成果を得るために、どんなふうにお考えなのかということを、簡単で結構ですのでお聞かせいただければと思います。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 今お話いただいたように、そもそも相当答えは難しいところは、仕組みとして3年で、これは当機構の今の5年の分のあと3年で目標なり計画をということです。もちろん、その範囲の中で、今、縷々御説明申し上げたようなことについて取り組んで、一定の成果をということですが、一方で、無理をする、あるいはチャレンジングによるマイナスのケアというお話もありましたが、実際にやっていこうとすることによって、どこかにひずみが出てしまうということについて、具体にひずみがあれば、ひずみを消しますので、それは承知はしていないわけですが、そうならないように。あるいは、何らかの予兆なりがあれば、それはきちんと把握できるように。これは常にあることなのかもしれませんが、職場の風というものは、言ってしまえばそれに尽きるのかもしれませんが、その状況、状況をきちんと把握しながら、一方で大きな目標に向かっていくということについての問題意識を共有して、それに向かってどこまで。一定の成果を期待されていることは重々認識しておりますが、一方で無理はしないようにしなければいけないというのを肝に銘じながら、何というのでしょうか、中途半端なお答えで申し訳ないのですが、具体にこうするから万全だというのは逆に無責任なお答えになるのかなというような思いを、今、持ってはいるところです。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 先ほどの説明でも少し触れさせていただいたと思うのですが、資料2-13ページに、重点研究5分野については、これは総務省からの御意見もあったのでこう書いているのですが、「目指す成果に係る具体的な指標及び目標を設定し、それに向かって、いつまでに、どのような成果を得るかについて具体的な工程表を作成し、公表する」と。ここのイメージは、これから実質、向こう3年間でどこまでできるのかと。それは、今、中期計画()の方では、事前評価を経て、できるものから公表するとなっているのですが、それぞれ5分野ごとに、いろいろな進捗状況が変わってくるかもしれませんが、まずは目標を立てて、工程表を作って、あとは年度評価もありますし、毎年、毎年の実績を踏まえて、見直すべきは見直していくのかなと考えております。

 また、その3年間が終わった後の話はまだ未定ですが、更にその次の期間もまた出てくるのであれば、そこで新たな分野があるのかどうか、この分野を続けるのかどうか、それぞれの工程表はどうするべきかというのも、またその段階で議論するのかなと思っております。

 

○志藤構成員

 今のお話で、このページを先ほどから私も注目していた所ですが、ちょっと変なことを言うようで申し訳ありませんが、私はこの5つの重点分野の中では、今の日本では、やはり13の問題というのがすごく大きな問題になっているだろうという素人考えですけれども、思っておりまして、国民的な関心もそこがすごく高いのだろうと思います。

 この機構というのは、労働者の健康と安全・福祉ということで、単なるその個人が病気になるのではなくて、働いている人たちが病気になったり、精神も体もですが、そのことに対して存在している機構ということで言えば、日本で言ってみれば、ただ1つ労働者の福祉と健康を守る大事な機構だと思います。その意義ということを、再度お考えいただいたときに、労働者ということは、その人を働かせている会社なり組織なりがあるわけで、そこのものの考え方が変わらない限り病気が常に再生産されると思います。死ぬまで働けという会社があったり、社員を鬱にさせる方法というようなことをブログなどで出したりするようなことが、何と言うのでしょう、風潮としてというか、別にそれが主流ではないのですが、そういうような流れの中で、働いている人たちが自分の健康を守るためには、自分の努力だけではどうにもならないところというのがあると思います。だからこそこういう組織が、とても大事なのだと思うのです。そのような視点で考えたときに、その研究の成果でいろいろなことが見えてきた。非常に過重な労働だったとか、職場における非常な嫌がらせやいじめがあったとか、上司が変だったとかいろいろなことが見えてくる中での過重労働とか、メンタルヘルスを損なったときに、それがきちんと機構として研究の成果として発表なさることはもちろん大事なことだと思います。しかし同時に、役所との連携において、それがどのような形で本当に改善されるか、阻止できるか、そこにつながらないと、多分、本当に大事なことをなさっておられることの意味が発揮できないのではないかと懸念いたします。その意味での、役所とのますますの連携というか、そういったことが大事になるのではないかと思います。私たち働いている人間の心と身体を守っていただける大事な機関という希望も込めて、やや情緒的かもしれませんが、発言させていただきました。

 

○今村主査

 これは、どうぞお願いします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

5分野については、先ほどからお話がありましたように、重点研究として統合効果を発揮していく中でやっていこうと。この5分野の中でどれがということはないのですが、5分野それぞれが重要だと思っています。3ページで言うと、目標値とか工程表の前に特に先生がおっしゃられたメンタルと過重労働については、特にこのことに配慮したということで、この2つについては、具体的にちょっとイメージできるように書いたところです。

 あとは、先ほど4番目で、成果の普及ということで、本文で言うと、7ページ以降に成果の積極的な普及・活用というところもありまして、安全衛生等々の研究成果、特にメンタルなどは衛生の分野だと思いますが、研究で得られた成果については、7ページ以降に書いてある労働安全衛生に関する関係法令、国内基準等へ、そういった成果を反映させるべく目標も立てているところです。

 

○今村主査

 今の件で、ちょっと聞きたいのですが、どうも、その独立行政法人という場合は、直接個人へのサービスというよりは、職場、企業とかへの対応とか、そういう形になるかと思います。個人とのつながりという点で、もうちょっと、つまり具体的にパワハラに遭っているとか、メンタルヘルスで課題を抱えている個人に対してはどういう研究成果なり、活動の成果が還元できるのかが、もう少し詳しく教えていただければと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 例えば、9ページ以降に書いてある産業保健活動の話でも記載していますが、機構の活動はいろいろあって、産業保健総合支援センターとかで活動していく中で、事業場における自主的安全衛生活動の促進というか、事業場におけるそういった取組を進めていくのには役立っている。ただ、そこの事業場で働いている方は労働者ですので、そこの事業場の活動が活性化されることは、イコール労働者にも還元されていく、ということができるとは思っております。直接、労働者個々人に対して、こういうサービスということではないのかもしれませんが、そういう考えでやっております。

 

○今村主査

 メンタルヘルス110番のようなものがあるといいと思いましたが、そういうのは特にないのですか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 そうですね、11というよりは、全体として取り組んでいるという形かと思います。

 

○今村主査

 それは、評価を決められるときの我々の意見に参考にさせていただきますけれども。ありがとうございます。まだ若干、どうぞ。

 

○戸田構成員

 お話を拝聴していて、ちょっと違った観点から少し意見を申し上げます。今回、2機構が統合されるということで、これまで委員が、ほかの構成員の発言にあるようなところはもちろん重要だと思います。もう1つ重要なことというのは、やはり人材育成とか、人材交流というところが古い組織では、別々であった人材がうまく交流するところはやはり重要なポイントなのかと思っております。

 育成と交流の2つを言った場合、まず「育成」についても、こちらの中期計画、資料2-2を見ると、所々に育成というようなことに関する記述が見られます。最後の21ページには、優秀な研究員の確保・育成という形で育成に関する記述がありますが、もう少し育成に関する記述、計画とか考えていらっしゃることを記述された方がいいのかと。

 やはり前半を読む限り、例えば研究の中でもいわゆるOJT的な、現場を通じて、例えば研究スキルを高めるとか、業務能力を高めるといったことを念頭に置いていらっしゃるというような印象を持ちましたので、やはりそういうことも合わせてその育成として、その研究員の方、だんだん、職員の方の育成というものをどう考えていらっしゃるかを、きちんと明記された方がいいのかということを意見として、1つ申し上げたいと思います。

 もう1つは、人材の交流ですが、記載の中には人材交流の推進等ということで、例えば、国立病院機構との人材交流を深めるといったことも書いていますが、やはりそこも含めて、もう少し具体的に何をしていくのかと。例えば、どういう目的でとか、どういう背景で交流されるのか。あとは、そもそも機構と研究所が合併するわけですから、それぞれの組織にいた人材がどう交流していくのかというところも、もう少し課題として考えていくべきなのではないかと。その研究の中で交流していくことは、1つの方向性としては、もちろん否定するわけではないのですが、やはりそれだけではなくて、全般的にもう少しその組織の中での人材が、より顔が見えるというか、通じ合うというところを目指して、計画等を見直された方がいいのかと思いました。意見でございます。特に、リプライ等は不要です。ありがとうございます。

 

○今村主査

 特にリプライがありましたら、お願いします。ありませんか、大丈夫ですか。

 今のことに関して、全く地理的には違いますが、例えば、人材交流というか、人材育成の話で、アジアの人材育成という視点から考えたときに、資料1-13ページを見て、若干、違和感を感じるのは、先ほど56までは旧労働者健康福祉機構で、10が安衛研だと言われて、なるほど、安衛研は国際化交流しているのだと思ったのですが、実は労福機構は国際交流をしないのかなと。つまり、例えばアジアでは、今、いろいろな労災の問題とかが現場で起きているわけです。そうすると、そういう人に対して、国際貢献として例えば受入れで、つまり、研究レベルではなく、実務化レベルの人材育成として、今、おっしゃったような人材育成として視点があるのかなと思って。つまりここは、シナジーではなくて、むしろ分離独立のままかというように、ちょっとそういう印象をあえて強調した失礼な言い方をすれば、そういうことなのですけれども、その辺の労福機構の臨床部分を含めた国際交流の展開という点については、いかがなのでしょうか。それが盛り込まれているのか、あるいはまだ検討中なのかということ。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 研究の部門ですが、今のアジアの貢献という面では、例えば中国とか、そういった所に、あそこは、じん肺が今、非常に多発している地域です。そういった地域に対して、日本のじん肺の知見を提供するといったことは、これはJICAを通してやっております。それと、タイとか、向こうからそれを勉強しに来たい方に対して、うちの方で、ある程度、教室のようなのを開いて、それは向こうの希望に沿うような形で対応はしております。そういったことは今後も、多分続けていくのではないかと思いますが。

 

○今村主査

 原案が出てきて、並行してくれというのもあれですが、目標の中にないと、現場でやっていらっしゃることはよく分かりますが、人間というのは目標に書かれていないとやはりどうしても、そちらをおろそかになって、目標に書いてあることばかり頑張ると思うので、私の質問の意図は、そういったアジアの人材育成の国際交流というか、そういう部分はどこかに書いておられるのか。あるいは全く意図されていなかったのかというのはむしろ所管課の方とかで、もしその辺のことを。

 つまりそれは、そもそも我々は評価を横から見ているだけですから、所管課と現場とのやり取りの中で、それは目標として考えていないのだとおっしゃってくれれば、それはそれで我々はそう解釈するのですが、でも、大事だということはあると思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 取りあえず、私からは、重要な御指摘をいただいたと思っております。残念ながら現時点ではどうしても法人と所管課と2つに分かれていまして、今やっている所をベースにしてシナジー効果でやっているのですが、そういう意味で、今の現行の安衛研の中期目標の中に、こういった国際協力があったので、それを踏襲しているのですが、御指摘のとおり、労災病院なり、労福機構の方でも実際にやっているのであれば書いてもいいのではないか、書くべきではないかという御指摘がありましたので、それから、所管課ともよく相談しながら書けることがあるかとか、御意見を踏まえて検討したいと思います。

 

○今村主査

 是非、所管課の方でも、シナジー効果を発揮していただいて、目標を考えていただきたい。いかがでしょうか。

 

○酒井構成員

 もう1つだけお願いしたいのですが、附帯決議で、シナジー効果のことは先ほどあれなのですが、最後の所に、労働安全衛生総合研究所の調査・研究業務について、両法人の統合によって後退することのないようにということが明記されていますが、労働安全衛生総合研究所だったわけで、安全とその衛生、つまり健康に関わることだったと思うわけですが、当然、それまでのいきさつから言っても、安研と産衛研が一緒になったものですから、先ほど豊澤理事の御説明で、せき損等のことについて、位置付けて検討できるというお話は非常に心強く思ったのですけれども、いわゆる、これまでの安全ということから言って、そのプロパーですね。労働災害の調査をやるということでは出ていますが、いわゆる安全研究、どちらかというと、もう少しブレークダウンすると、建設部門であり、機械部門であり、電気部門ということで専門性を発揮していたわけですよね。そうすると、この5つのテーマでいくと、その専門性がこの労福の皆さんと統合したことによって、新しい健康安全機構の、この安全というのがどういう意味合いで安全なのかというのが、過去の皆さんたちの非常にすばらしい実績を、今度の新しい機構の中でも存在感を持って生かすという意味で、何かどこかにそういうことが書かれているということが必要ではないかと思いましたが、いかがでしょうか。

 

○今村主査

 どちらでも、両方でも。どうぞ。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 所管課からです。先生の御指摘は正しくそのとおりでありまして、附帯決議ではっきりとそう書かれています。両法人の統合により、安全衛生総合研究所の調査・研究業務は後退しないようにと。十分な体制を維持するために必要な措置を講じろということでして、これは5分野の研究が、正に統合効果を発揮する分野として掲げてやっていますが。

 

○酒井構成員

 はい。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 一方で、私が先ほどもちょっと申し上げましたが、従来からやっている安全衛生の基礎研究、応用研究、それと労災病院の方でやっている労災疾病研究開発、これは従来どおり、そちらはそちらでしっかりやっていくと。今までの積み重ね、経験もありますので。

 特に本文で言うと3ページからですが、(2)が旧安衛研の部分で、これはこれでしっかり現場ニーズを把握して、その現場のニーズに応じた研究課題の設定とか、それをやって、次ページにあるプロジェクト研究、基盤的研究、行政要請研究、これも安衛研の従来からやってきたものですが、先生がおっしゃった建設分野、機械分野とか、このプロ研でも、基盤研でも行政要請研究でもいろいろありますが、それはそれでニーズに応じてしっかりやっていくと。やった結果を、例えば法令改正にも反映していくということは今までもやってまいりましたが、平成28年度以降も引き続きしっかりやっていきたいという具合に考えております。

 そのための体制を作るということなので、先ほど管理部門は、統合に伴って、同じ総務のような管理部門は重複する分は削減しないといけないのであろうと。3年間で1割程度の管理部門については、削減することを予定していますが、それ以外の管理部門の削減はありながらも、その研究の体制は維持しなければならないという宿題もありますので、そこはしっかり守って、従来から行われてきたことについては、引き続きしっかりとやっていっていただこうという考えです。

 

○今村主査

 ありがとうございます。付け足しはありませんか、大丈夫ですか。ほかにはいかがでしょうか。

1つだけですが、次回、所管課から評価のときに多分、直面する問題かと思いますけれども、所管課にお聞きします。中期計画を見ていると、かなり抽象的な内容が多いのですが、前回初めて作られた評価書の中に「アウトプット」と「アウトカム」を区別して書かれているのを記憶しています。直接的な質問は、所管課としてアウトカムというのはどういうものだとお考えなのか。それがまだ未発達ですから、完全にそこが、前回もそこが十分に書き込まれていなかったので、先ほどの末端の健康、要するに安全衛生とか、健康福祉は労働者が対象ですから、一番の対象物は労働者の所にアウトカムとしてどのぐらい浸透しているかという発想は、もちろん厚生労働省の政策上も重要な対象者だと思いますが、そこにどのぐらいアウトカムとして効果が発揮されているかということを、どうお測りになってお考えになっているのか、この中期目標、中期計画、特に中期目標の設定の中で何を期待しているかを今後の方針として、次回のときに参考にさせていただきたいのです。前回もそのところがちょっと気になってはいました。まず、アウトカムをどうお考えなのかということ。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 アウトカムの代表的なお話とすれば、労働災害の減少という形だと思っております。

 

○今村主査

 そう書いてありますね。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 アウトプットの方は、正に数というか件数というか、例えば成果の普及・活用の方で、こちらの方は数字、種々書いていますが、行政への貢献を30件にしなさいとか、労働現場への科学技術的貢献を9件以上しなさいとか、こういった具体的な数字が幾つか出てくるので、こういったものは評価に直接反映しやすい数値、件数なのかと。アウトプットの方につながっていくのかと思っております。書けるものについては、基本的に数値目標は、その所々に埋め込んでいこうという考えで、この目標の方は今、作っております。

 

○今村主査

 それで、労働災害の減少というのが最大の所管課が考えるアウトカムだとおっしゃる。先ほど志藤委員がおっしゃったように、1番と3番ですよね。というのは、アウトカムとして評価しにくい。指標として出にくいものだと思いますが、もうちょっと踏み込んで、そういうところを減少というようにはっきり言えるのだというアウトカム指標をどうお考えになっているのか、もう少し踏み込んでお答えいただければ有り難いのですが。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 よろしいでしょうか。1番と3番は、過重労働とメンタルだと思いますが、こちらも広い意味での労働災害。安全系でない災害というか、メンタルヘルスの不調にならない。あとは、過重労働により精神障害を起こさないとか、そういった具体的な障害、災害の減少ということが、最大のアウトカムだとは思っております。

 

○今村主査

 今のコメントは、ちょっと一般的ですね。

 

○志藤構成員

 今のお答えに対しては、ちょっと納得がいきませんね。ただ、反論がすぐにまとまらないので、取りあえずいいですが、納得いかないことだけは、お伝えしておきます。

 

○今村主査

 そうです。だからアウトカムはかなり幅広いし、前回も思いましたが、今度の仕組みは所管課が評価されるので、そのときに評価がきちんと成り立つためにもやはりアウトカムは何かということを法人側にしっかりとお示しいただいて、そして、お互いにコラボレーションというか、共同してやっていくということで、スタイルが理想的ではないかと我々の方はそういうように考えるわけですが、ただ、アウトカムがしっかり伝わっていないと、結局は何を評価しているのかというようにならないかということを危惧しております。是非、その辺は更に御検討いただき、我々にとっても理解しやすい評価になれば有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 すみません、調査官が説明したとおりの状況ですが、御指摘は誠に大事だと思っております。それは正式に計画、目標を立てて法人に示す段階で、できる限りのアウトカムなりを示せるように十分考えたいと思っております。

 

○今村主査

 是非、世の中のソーシャルインパクトとか、いろいろアウトカムがどんどん指標化され、それは良いことか悪いことか、悪い面もありますが、具体化できるところで是非そのようにやっていただければと思います。いかがでしょうか。特になければ、この辺でよろしいでしょうか。

 それでは、最後に法人所管課及び法人から、一言あります。まず、労災管理課からお願いします。

 

○労働基準局労災管理課長

 それでは、法人所管課というか、実際には計画課と労災管理課の両課でやっておりますが、本日、有識者の皆様方から大変貴重な御意見、中期目標の在り方を頂戴いたしまして、心より御礼申し上げる次第でございます。

 今後、労働者健康安全機構の中期目標の作成に当たりまして、本日いただいた意見を踏まえて作成してまいりたいと考えております。また、中期計画の厚生労働大臣の認可に当たっても、本日いただいた意見を踏まえて、取組事項を更に具体化して盛り込まれるよう精査を行い、認可したいと考えております。本日は誠にありがとうございました。

 

○今村主査

 まず、安衛研からお願いします。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 安衛研理事長の小川でございます。本日はいろいろ貴重なご意見をいただきまして、本当にありがとうございます。

 我々、研究所といたしましては、統合後も統合による相乗効果を最大限に発揮できるようにという附帯決議もありますように、5分野の研究には非常に力を入れて取り組んでいきたいと思っております。さらに、構成員の先生方からも御指摘がありますように、労働安全衛生総合研究所の調査・研究業務については、両法人の統合により後退することがないようにという文言も附帯決議にありまして、これも深く受け止めており、衛生分野だけではなく、当然、もう1つの安全分野共々、今後もしっかり研究を進めて行政及び国民へ貢献していきたいと思っております。

 もう1つは、我々の研究所として重要な業務として、災害調査というのがあります。これも引き続き十分に力を入れて確実に実施していきたいと思っております。

 我々の研究所は、今後とも今までの研究業務を更に発展させるとともに、統合効果が発揮できるよう全力を挙げて職員一同、頑張っていく所存です。よろしくお願い申し上げます。本日は、本当にいろいろ貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。

 

○今村主査

 労福機構もお願いします。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 本日は各有識者、委員の先生方には、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 大変厳しい御指摘もありましたけれども、これも、ひとえにやはり、我々が目指す目標というのが、国民にとって、社会にとって大変重要なことだということで有識者の先生方も、大変厳しい、かつまたエールを送っていただいたのではないかと、そのように受け止めている次第でございます。

 また、私たちもそれぞれの組織が、60年の伝統と歴史があります。それが統合するということは、非常に画期的な、これは重要な時期に入っていると。こういう歴史的な転換期の大きな節目遭遇に出来ますことは、その責任の重さを噛みしめるとともに、大変光栄なことだと。やりがいのあることではないかと思っております。

 言わば、今回の新法人の計画、目標の具体的なあれは、我々、航海に例えれば、チャート、海図でありまして、これは大変重要なものです。これに沿って、これは着実に真摯にこれを進め、邁進するという気持ちです。

 また、今回の統合により、労働者の健康や安全と福祉の定義上の問題はいろいろとあるかと思いますが、このことを包括的に対応できることになったということは、大変重要なことです。このように質問もありましたけれども、ミクロではなくてマクロとして、マスとして、社会問題として労働者の問題を扱うという組織というのは、他には余りありませんので、私たちに課せられた期待、課題は大変大きいのだと認識しているわけです。

 ただ、私たちは、それぞれのアプローチ、方法論が違っても目指す所は同じだったわけです。その意味では、統合後もそれぞれが融合して、混然一体としてやることは、私はそれほどハードルは高くないのではないかと。それのゴールは同じだと。走る、パスウエイが違っていたと、そのように認識している過程ではあります。

 ある委員の方から、今後、機構の中に研究の部門を取り込まれてどうなるのだという御指摘もありましたが、これはやはり、既存の組織、ハード、ソフトはアプリオリにあるわけではありませんので、統合というのは全部それが一新されるわけです。たまたまハードは早急には立て替えはできませんけれども、我々の意識とか、姿勢とかそういうものによって、全く似て否なる組織になるわけですので、私たちはこれまで、主として政策医療、勤労者医療という看板を掲げていましたが、やはり勤労者医療を支える、勤労者の基礎的研究、あるいは新たな提言、実践のデザインを描くということを、これまでの私たちの任務にも勝るとも劣らない重要なものと捉えまして、私たちの理念というか、看板も大きく書き替えなければいけないと、このように認識しているわけです。どんな組織でも、50年、60年同じような方針で組織構造でやるわけにはいきませんので、植物や動物に例えても、これは他種との交配がないと、進化することはなく、環境の変化に耐え、絶えることはないわけですので、そういう意味で大きな試練ですが、新たな種を産み出すという今、期待と希望の方が、恐らく安衛研の先生方もそのようなお気持ちの方が強いのではないかと思っております。

 いろいろな御質問をいただきましたが、現実的な話をすると、コストの制約があり、その有限なリソースの中で、あれもこれもということになるので、やはりその中で優先を決めてやるしかないかと思います。それから、この仕事は、過労死の問題やメンタルヘルスにしても、なかなか一朝一夕というか、数年単位で解決する問題ではないのです。ゴールが過労死がなくなるとか、メンタルヘルスではない方がなくなると。こういうことはあり得ないのです。これは交通事故と同じです。なくなることはないわけです。ただ、こういう形で、これに向かって何とか取り組むのだというような意識を持ってやる組織というのは、日本では必ず必要であると。なくてはならないものであるという、そういう見方もできるのではないかと思います。そのようなつもりで、誰かが担わなくてはいけないということも考えていかなければと思っております。

 それから、プロダクトというのも、確かに一体何をゴールにするかということも御質問がありましたが、これはチャレンジングでして、「働いた時間」掛ける「働き方」で積算してゴールが一義的に決まるものではありません。これはやはり研究ですので。それから国内外の状況の変化とか何かによって、進路変更せざるを得ないこともあります。その中で毎年、委員の先生方の御意見を賜りながら批判を仰ぎながら柔軟に状況に応じて、我々は進んでいかなければいけないと、そのように思っております。

 人材育成に関して御質問もありましたが、これは、1人の人が全部勤労者医療の基礎研究から将来のビジョンのあるべき形を全部提案すると。しかも、それを実践すると。これは、土台無理な話でして、私たち個人は全体の大きな組織のうちの中の1つの仕事、パートを担当していただくと。ただ、結果として、シームレスに勤労者の福祉、健康につながるようなものになると。結果である程度全体を統括、統一できるような、そういう成果を挙げたいと思っております。これはいろいろ、研究者の方々を動かすというのは、単に行政的な必要度とかでは、研究者はなかなか動いてくれないわけです。研究者にとっては、自分たちがやる意義、あるいはその好奇心、それを満たすようなことも、これは人間がやるので、ロボットがやるのではないので、そういう研究者の心理ともよく理解しながら研究者の方に、是非、協力をお願いするように、私たちも努めていきたいと思っております。ただ、斬新とか、チャレンジングは曖昧だと言いますが、正にチャートはあるのですが、実際チャートどおり進めばどうなるかと、なかなか確約はない。確信がない船出をしようとしているところです。是非、委員の先生方には、その都度、御批判、御叱声、あるいは御助言いただきながら、何とかこの新しい機構の目指すものを実現していきたいと、そのように思っております。何卒、よろしくお願い申し上げます。以上です。

 

○今村主査

 どうもありがとうございます。では以上で、本日の議事を終了いたします。最後に事務局からお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れは、冒頭に参考資料2で御説明したとおりです。確定した中期目標と中期計画については、構成員の皆様方にお送りいたします。

 最後に、本日配布した資料の送付を希望される場合は、机上にそのままで御退席いただけますようお願いいたします。事務局から、以上でございます。

 

○今村主査

 最後に、本WGの閉会に当たり、安藤情報政策・政策評価審議官から御挨拶いただきます。

 

○情報政策・政策評価審議官

 安藤でございます。有識者の皆様方におかれましては、本日も大変御熱心に御議論をいただき、また、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。

 皆様方からいただいた御意見を踏まえながら、中期目標・中期計画の変更手続を進めてまいりたいと考えております。

 この中期目標の変更手続の中では、総務省の独法評価制度委員会との調整等もあります。また、その中で、本日、今村先生からいただきましたアウトプットの具体化の話も、鋭意進めていかなければいけないのかと考えております。いずれにしても、今後の中期目標・中期計画については、夏に先生方からそれに基づく実績の評価等において御意見をいただく機会があります。また、そのときに本日いただいた御意見等をきちんと念頭に置きながら御説明を申し上げますとともに、御意見をまた頂戴したいと存じます。そのときも、よろしくお願いいたします。

 

○今村主査

 それでは以上で、第7回の独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを終了いたします。長時間にわたりまして、熱心な御議論を、ありがとうございました。どうもお疲れさまでございました。


(了)

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