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2015年11月16日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

○日時

平成27年11月16日(月)18:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

小野寺 雅 史、◎川 西   徹、○神 田 忠 仁、 楠 岡 英 雄、
斎 藤   泉、 佐 藤 陽 治、 杉 山   肇、 鈴 木 邦 彦、
津 田 知 幸、 中 島 美砂子、 新 見 伸 吾、 森 尾 友 宏、
森 川 裕 子、 横 田 恭 子
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)五十音順

荒 川 義 弘、 小 幡 純 子、 俣 野 哲 朗

行政機関出席者

森  和  彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (審査管理課長)
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)

○議事

○参事官 「薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては大変御多忙の中、またこのような夕方の時間にお集まりいただき、ありがとうございます。

  まず、本日の委員の先生方の出欠状況です。部会委員17名中、現時点で13名の御出席をいただいておりますので、定足数を満たしていることを報告させていただきます。なお、佐藤委員は後ほどいらっしゃいます。

 続いて、前回の部会開催から事務局に人事異動がありましたので、御紹介いたします。大臣官房審議官医薬担当の森です。審査管理課長の山田です。

 これより議事に入ります。以後の進行につきましては、川西部会長にお願いいたします。

○川西部会長 これより議事に入ります。事務局から配布資料の確認と、競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。席上に議事次第、座席表、その裏に当部会委員の名簿を配布しております。配布資料として、議事次第に記載されている資料1から資料3-2までをあらかじめお送りしております。

 このほか当日配布資料として、資料4「専門委員リスト」、資料5「競合品目・競合企業リスト」、資料6「MS3-19LH-28zに係る事前審査結果通知書」を配布しております。加えて、参考資料1、参考資料2を配布しております。資料の不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストを御報告いたします。資料5を御覧ください。議題1、本申請品目は単純ヘルペスウイルスに遺伝子組換えを行った腫瘍溶解性ウイルスであり、競合品目は「HF-10」としております。議題2、本申請品目は患者自身のリンパ球に遺伝子導入するためのウイルスベクターで、競合品はありません。

 続いて、各委員からの申出状況についてです。議題1は退室委員なし、議決に参加しない委員はなしです。議題2は退室委員なし、議決に参加しない委員はなしです。

 なお、本日の審議事項の申請品目については、あらかじめ寄附金等の状況を申請企業に確認したことを申し添えます。

○川西部会長 議題に入ります。議題1は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認について」、資料1に関係するほうです。まず、機構から説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、審議事項1です。本審議品目は、二つのγ34.5遺伝子及び α 47 遺伝子を欠失し、二つの γ 34.5 遺伝子領域にヒト顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子をコードする配列が挿入されたJS1株に由来する遺伝子組換え1型単純ヘルペスウイルス(JS1/ICP34.5-/ICP47-/hGM-CSF)の第一種使用規程承認申請です。申請者はアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社です。

 資料1を御覧ください。開いていただきますと、まず諮問書、次に機構が作成した事前審査結果通知書、第一種使用規程承認申請書、生物多様性影響評価書、別紙の順にとじられていると思います。当日配布資料4に、本品目の専門協議において指名した4名の委員を掲載しております。

 品目の概要です。資料1、第一種使用規程承認申請書の冒頭、及び生物多様性影響評価書の1ページにあるように、本遺伝子組換えウイルスの宿主は、単純ヘルペスの1型です。以降HSV-1と略します。生物多様性影響評価書の別紙1の2ページに図1とあり、本遺伝子組換えウイルスの調製方法が書いてあります。本遺伝子組換えウイルスは、野生型HSV-1の新規分離株、JS1のゲノムから、2か所の γ 34.5 遺伝子(ICP34.5)及び α 47 遺伝子(ICP47)を機能的破壊又は削除し、ICP34.5は二つあるので、これを双方の領域にヒト顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(以降はGM-CSFと略します)、その遺伝子のコード領域を挿入することにより作製されました。

 これらの遺伝子改変によって、本遺伝子組換えウイルスの複製が、腫瘍選択的となり、本来持っていた神経病原性が大幅に減弱いたします。

 また、発現するGM-CSFの働きで、腫瘍抗原に対する免疫応答が増強するという特性が付与されます。この遺伝子組換えウイルスについては、既に米国及び欧州において臨床試験が実施されており、先月FDAは製造販売を承認、EMAでは承認を可とする答申が出されたところです。これまで海外で実施された複数の臨床試験において、計約450名に投与されましたが、本遺伝子組換えウイルスの投与に関連する重篤な有害事象は認められておりません。

 本邦では□□□□□□□□□□□□を対象とした臨床試験が開始予定とされております。そこで今回治験を行うに当たり、申請された第一種使用規程が適切であるかについて、申請書に添付された生物多様性影響評価書の資料について御審議していただきます。

 続いて、本遺伝子組換えウイルスの第一種使用規程、生物多様性影響評価及び機構における審査での論点について御説明いたします。本遺伝子組換えウイルスの第一種使用規程について、簡単に御説明いたします。資料1の第一種使用規程承認申請書を御覧ください。1ページ、2ページにわたって使用方法が記載されており、このような方法で使用することでよいかというのが申請の内容です。そこで、申請された使用方法に従う限り、生物多様性に影響を生じないと考えてよいかということが、本日御審議いただく内容です。

 申請書に沿っていくと、使用等の方法において、本遺伝子組換えウイルスの原液の施設内保管、運搬及び投与液の調製が定められています。

 委員から使用についてコメントがあり「保管について簡単すぎるのではないか」という指摘がありましたが、本遺伝子組換えウイルスを用いた臨床試験は、多施設で実施することを予定しており、承認後の使用も想定し、多施設に対応できるような使用規程となっております。

 具体的な保管条件においては、治験実施計画書等において規定される予定ですが、保管される際は「使用等の方法」に記載のとおり、バイアルに遺伝子組換え生物等である旨を表示した状態で保管されるため、不要に持ち出されたりすることはないと考えております。

 患者への投与は、施設内で腫瘍内に直接投与されることが記載されています。先ほど申し上げましたように、これも委員のコメントがありましたのでお答えしますが、当面は□□□□□□□□□□に対して投与することが計画されておりますが、その後、例えば□□□□□□□□□□□□□□について直接投与する等の使用が想定されております。

 次のページです。投与後の患者等、臨床試験の結果を踏まえたものとして、注入部位を密閉ドレッシング材により被覆します。これも委員からのコメントがありましたので少し詳しく申し上げますと、患者等の管理はウイルス種、投与方法、投与部位等、これまでに得られている臨床試験成績に基づいて規定しております。今回の使用規程においては、体表面から目視下又はエコーガイドで注入可能で、かつ使用等の方法に記載されているように、注入後は消毒用アルコールで拭って、乾いた密閉ドレッシング材で覆うことができる固形がんに限定されています。この使用方法は海外臨床試験で既に実施された方法であり、この使用方法に従う限り、第三者を含む生物多様性への影響が生じる可能性は低いと考えております。

 また、このドレッシング材による被覆については、医師の判断によって必要とされる期間継続されることが期待されています。この医師の判断ということについては、これまでの臨床試験の注入部位の所見、例えば滲出物の有無などです。それから、医師の判断基準を治験実施計画書に記載するということで御検討いただいているところです。

 続いて、感染性廃棄物の処理等としては、本遺伝子組換えウイルスが付着した可能性のある機器、器材並びに原液及び希釈液等は、ウイルスの不活化処理を行った後、中央施設の医療廃棄物管理規程に従い、廃棄するということが記載されております。また、患者が自宅で用いたドレッシング材及び洗浄に用いた器材等の廃棄は、不活化処理し廃棄されることが定められています。

 この不活化の方法についても委員のコメントがありましたが、その方法については消毒用アルコールや漂白剤等により不活化することを想定しています。患者や看護者による自宅での使用済ドレッシング材の患部からの除去方法、不活化方法、配布方法等につきましては、マニュアル等を作成し、患者や看護者が確実に処理できるような適切な指導がなされる予定です。

 また、使用等の方法に記載してある「医療廃棄物管理規程とはどのような規程なのか」とのコメントがありました。これは廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、厚生労働省から医療廃棄物処理ガイドラインが示されておりますので、各施設ではそれを基に、施設の処理規程を作成しています。

 本件につきましては、添付資料の「医療廃棄物管理規程」をお開きください。そこの4ページに、医療廃棄物適正管理処理マニュアルが書いてあります。ここでは、体液も含めたものについて、感染性廃棄物あるいは産業廃棄物といったことで、取り扱うということが規定されていますので、このマニュアルに沿った取扱いを行えば、拡散を防止できると考えられています。すなわち、本遺伝子組換えウイルスを投与された患者からの体液等は、医療廃棄物管理規程で規定される感染性廃棄物と同等の処理がなされれば、第三者への感染を防止し、拡散も防止されると考えています。最後に、治療施設外で保管された本遺伝子組換え生物等を含有している未開封のバイアルは、不活化されて廃棄されることが記載されています。

 続いて、資料1の本遺伝子組換えウイルスの「生物多様性影響評価書」について御説明いたします。概要については、資料1の冒頭の諮問書の次に「事前審査結果通知書」がありますので、その3ページを御覧ください。II「審査の概略」です。ここでは、他の微生物を減少させる性質、病原性、有害物質の産生性、核酸を水平伝達する性質の四つの観点からまとめられています。本遺伝子組換えウイルスの宿主域は野性型のHSV-1と同じく、基本的には人のみであります。また、感染したとしても正常細胞における複製は抑制されており、体外への排出も限定的であります。さらに供与核酸についても環境に影響を及ぼすような性質はないと考えられることから、事前審査の結果としては、申請された第一種使用規程に従う限り、いずれの観点から見ても大きな問題はないものと考えております。

 そこで本遺伝子組換えウイルスの第一種使用規程承認申請書及び生物多様性影響評価書につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○川西部会長 ただいまの機構からの審査報告について、何か御質問あるいは御意見はございますか。

○小野寺委員 生物多様性影響評価書の10ページとか11ページにある患者由来検体というのは、何を指しますか。

○医薬品医療機器総合機構 基本的には血液、尿、唾液といったものを想定しています。

○小野寺委員 ということは、基本的に患者の検体、たとえば尿にしても、喀痰にしてもこのような処置でやるということでよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 そのように想定しています。

○小野寺委員 基本的には今回は□□□□□が対象ということなので、これで結構ですが、将来的にこのウイルスが他の疾患に使われる場合はどう考えれば良いですか。その場合は全てにおいて、今言われた患者の検体を全て処理すると考えていいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回出されている使用規程で処理できる範囲の腫瘍につきまして、例えば体表近くにある、メラノーマの場合は皮膚病変ですが、頭頸部がんですとか、そういう直接穿刺できるものに対しては、先ほど言いましたように、穿刺部位を消毒用アルコールで拭い、かつドレッシング材で覆うことにより拡散を防止できるという規定ですので、そういったもので処理できるものについては、これです。しかし、それ以外のものについて、ほかの処置を取らなければいけないだろうと想定されるものに対しては、改めて使用規程を出していただくことになると思います。

○小野寺委員 基本的に私はこの考え方でいいと思うのですが、当然、投与する場所によってかなり規制が変わってくると思うのです。例えば、脳腫瘍のように頭(脳)に打った場合は、血液や尿にはほとんど排泄されませんが、膀胱がん等で膀胱に投与すれば当然、尿中に排泄される。肺がんであれば喀痰等に排泄される。ですから、この規制をカルタヘナの中で決めるのは非常に困難だと思いますので、是非、臨床プロトコル等の方で、投与する部位により検査する検体の種類を決めて頂きたいと思います。もし、全ての遺伝子治療で尿を検査するとなるとかなり大変になってしまうと思うのからです。ですから、投与する部位等を勘案して、検査する検体を決めていただければと思います。その意味で、今回の場合は、尿とか、喀痰は要らないと思います。

 2点目が、今回の場合、基本的には今年の7月16日、審査管理課の方から提示された患者の個室管理に関する連絡(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づく承認に申請等の事務手続き等に関する質疑応答集(Q&A)について 問8)に基づき決定されたと思うのですが。今回の場合は外来で使われるわけです。つまり、個室管理が不要という理由は、生物多様性に影響がない場合ですが、今回の場合はそれに相当し、外来フォローでいいということでよろしいですか。

 

○医薬品医療機器総合機構 基本的には、これまでの臨床試験成績を踏まえまして、そのように判断いたしました。

○小野寺委員 3点目が、私の記憶が間違いでなければ、アデノウイルスなどの遺伝子治療では基本的にモニタリング等を行っていると思います。私は、個人的には規制緩和は正しいと思っていますが、今回のものを読ませていただく限り、外来にてフォローとか特にモニタリングはしないなど、比較的緩和傾向にあると思います。これはヘルペスウイルスに特異的と考えますか、あるいは今後のin vivo遺伝子治療において、一般的はこの形にしていくということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今回につきましては、ヘルペスウイルスに特異的と考えていますが、アデノウイルスも現在はもう少し慎重な取扱いになっており、それの臨床経験が積まれ、あるいはエビデンスが蓄積されていく中で、どういう方向性が望ましいかということは審議されていくと思います。

○小野寺委員 ありがとうございます。

○川西部会長 それ以外にございますか。

○楠岡委員 2点あります。1点は、腫瘍に投与した場合、どれぐらいそこに存在しているのか。ある程度時間が経つと消えてしまうのか、それともずっとそこに存在しているのかということです。それと、もし消えてしまうのであれば、時間を置いて何回か投与するような形になるのか。ここはどのような形になるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 これはいわゆる腫瘍溶解性ウイルスですので、もし期待どおりにいけば、そこである程度増えて、しばらく居ることになると思いますが、そこで腫瘍が居なくなり、周りの正常組織では増えることができませんので、やがては消えていくものだと考えています。

○楠岡委員 どのぐらい存在するかというデータは、特にはないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 別紙5の3ページを御覧ください。ここに動物の生体内分布を調べたものがあります。これはあくまでも動物実験のことですから、実際に人の腫瘍に打ったものを表すわけではありませんが。

○楠岡委員 そうすると、1回打てば結構長期間存在していると考えていいということですか。

○医薬品医療機器総合機構 場合によってはそのぐらいと。

○楠岡委員 2点目が、実際に治験に移行したときの医療機関での感染性廃棄物の取扱いの問題です。通常の感染性廃棄物の取扱いでは、こういう遺伝子治療のことを余り想定していなくて、今回国立がん研究センターの管理規程を出されていますが、これもそのことには一切触れておられない。特にウイルスの不活化ということに関しては、治験を実施する場合に、必ず管理規程に含めていただくように御指導していただくよう、お願いしたいと思います。そこまで触れているところはないと思いますので、お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 そういう個別のことにつきましては、やはり治験実施計画書あるいはマニュアルの中に盛り込むようにということでお願いしているところです。

○楠岡委員 分かりました。

○川西部会長 ほかにございますか。特にないようでしたら、幾つかの御指摘はありましたが、これの承認に大きく影響するということではないように思われます。個別に検討していただくということはあるようですが、一応、本議題について、個別の問題はそれぞれ整理していただくとして、この第一種使用規程に関しては承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異論がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 次の議題に移ります。次は、「第二種使用等の拡散防止措置の確認について」です。資料2です。まず、機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 本審議品目は、ヒトCD19特異的キメラ抗原受容体を発現し、Gibbon ape白血病ウイルスのEnvタンパク質をエンベロープに持つ非増殖性の遺伝子組換えモロニーマウス白血病ウイルス(MS3-19LH-28)を製造するために、タカラバイオ株式会社から出された第二種使用確認申請です。お手元の資料2を御覧ください。冒頭に諮問書、タブ以降が申請書です。当日の配布資料6、機構が作成した事前審査結果通知書という1枚紙を配布しています。

 品目の概要です。本遺伝子組換え生物は、宿主であるモロニーマウス白血病ウイルスの□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、gag-pol遺伝子及びenv遺伝子が除去され、さらに□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、ヒトCD19特異的一本鎖抗体をコードする領域、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、並びにヒトCD ζ の細胞内領域をコードする配列が導入されたゲノム構造を有しています、テナガザル白血病ウイルス由来のEnvタンパク質を産生するパッケージング細胞によって製造された遺伝子組換えレトロウイルスです。

 移入された核酸は全塩基配列が明らかにされており、既知の有害塩基配列を含んでいません。また、増殖能を欠損したウイルスであるため、自然環境における生存能力は宿主である野性型のウイルス以下であると考えられております。

 製造工程においては、ウイルスを含有する可能性のある廃液や使用器具は高圧蒸気滅菌等による不活化処理が施されるとしております。

 機構における事前審査においては、本組換え生物において専門委員と協議をした結果、遺伝子治療用医薬品又は遺伝子治療用医薬品の製造のために用いられる非増殖性ウイルスであり、感染性はあるが病原性を示す可能性は低いと考えられることから、カテゴリー1としております。機構は申請者より示された拡散防止措置は、カテゴリー1に属する本遺伝子組換え生物の第二種使用等に当たり、適切であると判断しております。

 そこで、本遺伝子組換え生物を第二種使用とする際の拡散防止措置につきまして、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○川西部会長 ただいまの御説明について、委員の先生方から御質問あるいは御意見はございますか。カテゴリー1の拡散防止措置を執るということを基本に、申請書に書かれているような措置が妥当ということかと思いますが、いかがでしょうか。

○神田部会長代理 特に異論はないのですが、病原性がある可能性がある、つまり病原性がないとは言えない、だからGILSPでなくてカテゴリー1なのですね。どのような病原性を想定していらっしゃるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 もともとが白血病ウイルスということですから。直接それによって白血病が起こると想定しているわけではないのですが。

○神田部会長代理 とても、これで白血病が起こるなんて思えません。GILSPと判定をしてもいいようなものだけれども、安全サイドに寄せたのですね。ヒトを含む幾つかの哺乳動物に感染してしまったときに、挿入したものを発現するから病原性があるかもしれないということなのですね。

 私がクリアにしておきたかったのは、GILSPとカテゴリー1を線引きするという、余りない事例で、最初の事例です。だから、病原性を示す可能性があるとしてカテゴリー1にする根拠を知りたいと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構 今、先生から「どういう根拠で」とありました。もともとの想定、特にGILSPの想定は、医薬品製造とか、むしろ醸造に近いような、大腸菌とか酵母とか、そういったものから出発しているのではないかと思うのです。

○神田部会長代理 GILSPも基本的には環境に漏らさないで使うという規則です。漏れないようにする物理的な条件がかなり緩やかなだけで、漏れないようにするという意味では同じです。私はカテゴリー1でやるのが妥当でないというのではなく、どのような理由で安全に配慮したのかを説明してほしいと思います。

 

○医薬品医療機器総合機構 やはり厚生労働省で扱う品目であるということもあり、安全サイドに寄っているという、先生がおっしゃるところが一番大きいのではないかと思います。

○神田部会長代理 これは前例になるので、今後、病原性が示される可能性が無い組換え生物もカテゴリー1になってしまうのではないかと危惧します。

 

○再生医療製品等審査部長 先生がおっしゃるように、自然界で感染を起こすという可能性は、ほとんどないと我々も考えております。一方で、GILSPで組換え体が産生するタンパクなどと比べてみますと、GILSPは基本的には余り病気に関係するようなものはないものを生産するということが前提になっておりますが、本件の場合ですと、一応これは治療用のウイルスということで、実際に産生する物で、実際にこれはまだ臨床試験もやっていませんので、薬になるか毒になるかよく分からない状況です。

○神田部会長代理 これはex vivoで使うものですね。

○再生医療製品等審査部長 はい。そういう観点からしますと、実際にコードしているタンパクの性質がまだよく分からない物を治療に使うという場合には、一方では有害性なり毒性を発現する可能性が否定できないという、現在の治験という段階では、カテゴリー1ということになると思います。これは実際にこれから開発が進んでいき、この物の特性として、環境も含めて人に対する影響はほとんどないというものであれば、その段階でまたカテゴリーについては見直し等も行うということになろうかと思います。

○神田部会長代理 見直すことがあるということですね。

○川西部会長 私が聞いていても妥当なような判断ではないかという気はしますが、ほかに何かございますか。

 それでは議決に入りたいと思います。本議題について、拡散防止措置は確認されたものとしてよろしいでしょうか。御異論がないようですので、本品目の拡散防止措置は確認されたものとして、同様に薬事分科会に報告させていただきます。

 あと、今日は残りは報告事項ですが、議題3に入ります。「第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」ということです。資料3-1、資料3-2に関して、機構から説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 報告事項に移ります。資料3-1「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について」を御説明します。前回の再生医療等製品・生物由来技術部会での御報告以降、平成2710月までに厚生労働大臣の第二種使用等の確認を行ったものを表でまとめております。裏側に全部で3件あり、新規申請が2件、製造場所の追加が1件です。

 機構において専門委員と協議をした上、いずれの遺伝子組換え生物についても、使用区分は全てGILSPであり、執られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。

○川西部会長 続いて、農林水産省から説明をお願いします。

○農林水産省 続いて資料3-2「動物用遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について」の御報告です。裏面です。ネコインターフェロン・アルファ遺伝子導入カイコバキュロウイルスBmfeIFN- α 株は、動物用医薬品の有効成分を製造するための手段として使用されるものであり、本部会の傘下である動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会において、6月29日に御審議いただきました。

 調査会においては、GILSP相当の拡散防止措置を執ることにより使用等をすることができるものと御評価いただき、その結果をもって本年8月17日付けで確認を行っております。

○川西部会長 ただいまの説明、資料3-1、資料3-2について、委員の先生方から御質問あるいは御意見はございますか。特にないようですかね。それでは、この報告いただいた二つに関して、御確認いただいたものとしたいと思います。

 本日の議題は以上ですが、何かございますか。

○小野寺委員 現在、in vivo遺伝子治療がどんどん増えてきておりますが、私は、正直言って、患者管理に関してアデノとヘルペスがなぜ違うのかよく理解できていません。つきましては、ウイルスのタイプによってどのような管理が必要なのかを、是非、申請者側に分かりやすいような一定のガイドラインを示していただけないでしょうか。これを、機構なのか審査管理課なのかは分かりませんが、是非、一定のガイドラインを出していただけると、審査する側も非常に分かりやすいと思いますので、是非、お願いしたいと思います。

 

○川西部会長 いかがでしょうか。

○参事官 事情をよく確認させていただいて、検討したいと思います。ありがとうございます。

○川西部会長 よろしく御検討をお願いします。事務局から連絡事項はございますか。

○事務局 次回の部会については日程調整の上、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。

○川西部会長 それでは本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器・再生医療等製品担当参事官室 課長補佐 柳沼(内線4226)

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