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2016年2月4日 精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第8回)議事録

○日時

平成28年2月4日(木) 17:00~


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

安西座長、青木構成員、青嶌構成員、有井構成員、栗原構成員、後藤構成員
富岡構成員、西村構成員

○議題

1.開会

2.議事
(1)等級判定のガイドラインの検討について
(2)等級判定に用いる情報の充実に向けた対策について
(3)その他

3.閉会

○議事

(安西座長)

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会を開催させていただきます。

 本日は大変お忙しい中、この検討会にご参集いただきまして、ありがとうございます。

 今回、岩坂構成員は所用でご欠席というふうに伺っております。

 それでは、本日の資料と議事につきまして、事務局より説明をお願いいたしたいと思います。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 本日の会合資料の確認をさせていただきます。

 お手元の議事次第のもと、資料1としまして「第7回検討会における議論の概要」、資料2といたしまして「等級判定のガイドラインについて」、資料3といたしまして「等級判定に用いる情報の充実に向けた対策について」をお配りしております。

 それぞれお手元にございますでしょうか。不足がありましたら、お申し出ください。どうぞよろしくお願いします。

 

(安西座長)

 よろしいでしょうか。皆さん、資料ございますでしょうか。

 それでは、早速議事に入らせていただきます。

 今回がこの検討会、第8回になります。ある程度最終的なまとめといたしたいというふうに思っておりますので、構成員の皆さんのご協力をよろしくお願いしたいと思います。

 初めに、資料1「第7回検討会における議論の概要」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、資料1「第7回検討会における議論の概要」についてご説明をいたします。

 前回の第7回検討会では、事務局より等級判定ガイドラインの概要、それから、診断書作成医向けの診断書の記載要領、さらに、障害年金請求者の詳細な日常生活状況を把握するための照会文書の各たたき台と運用方法案についてお示しいたしまして、それぞれの内容について検討していただいたところでございます。

 本資料は、その議論の概要としまして、構成員の皆様からいただきました主なご発言を取りまとめたものになります。内容は省略させていただきますが、ご覧のとおりとなってございますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

 資料1の説明は以上です。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 ただいまの事務局からの説明につきまして、何かご質問とかご意見ございますでしょうか。

 主な意見、まとめられておりますけれども、これで問題ございませんでしょうか。

 よろしいですね。

 それでは、続きまして、資料2「等級判定のガイドライン」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、続きまして、資料2「等級判定のガイドライン」についてご説明をいたします。

 前回の検討会では、ガイドラインの骨子となります等級の目安と総合評価の際に考慮すべき要素に、その運用も含めましたガイドライン全体の概要について案をお示ししたところでございます。今回は、その概要案に一部修正並びに新規事項の追加をしておりますので、その主な変更点を中心にご説明させていただきます。

 まず、1ページ目でございますけれども、このページにつきまして、前回から特段の変更はございませんので、説明は省略させていただきます。

 次に、2ページ目をご覧ください。このページでは、障害等級の判定に関しまして、等級の目安や総合評価の際に考慮すべき要素の定義とその位置づけを規定しており、記載内容に前回検討会からの変更はございませんが、一番下に、参考としましてガイドラインを用いた認定の流れを追記いたしました。まず、マル1としまして、等級の目安を認識しつつ、次のマル2で、考慮すべき要素により、生活環境などさまざまな要素を考慮していただき、さらに、マル3としまして、ご本人や家族が記載された申し立て書類の内容なども加味した上で、1から3を全て踏まえた上で等級を総合的に判定するという流れになります。このうち、等級の目安の表は5ページに示しておりますけれども、ここにつきましても、前回検討会からの変更はございませんので、説明は省略させていただきます。

 次に、総合評価の際に考慮すべき要素の例でございますが、表2として6ページから9ページにまとめておりますので、まずは6ページからご覧ください。

 表の丸、ゴシック体で記載しておりますものが考慮すべき要素、その下に黒ポツの斜体で記載しているものが考慮すべき要素の具体的な内容例になります。なお、前回検討会でお示しした案から変更した部分を赤字で示しております。まず、6ページの現在の病状又は病態像でございますが、前回検討会からの変更はございません。

 ただし、本ページに1点、記載ミスがございますので、この場で訂正をさせていただきます。精神障害の欄の上から2つ目の要素になりますが、ゴシック体の表記が2行目の「自閉・感情の平板化」というところで終わっております。正しくは、その下の「平板化・意欲の減退などの陰性症状(残遺状態)の有無を考慮する。」、ここまでがゴシック体で本来記載すべきところでございましたが、誤って斜体になってございますので、訂正させていただきます。申しわけございません。よろしくお願いいたします。

 6ページは以上でございます。

 続いて、次の7ページ、療養状況及び生活環境でございますが、こちらにつきましても前回検討会からの変更はございません。

 続きまして、8ページの就労状況をご覧ください。精神障害の1つ目の要素について修正をさせていただきました。前回お示しした内容では、1年を超えて就労が継続できていますと年金が受けられなくなるというように解釈される懸念があるというご指摘がございましたので、そうした誤った解釈がされることのないよう、ご覧の記載に改めたものでございます。読み上げますと、「安定した就労ができているか考慮する。1年を超えて就労を継続できていたとしても、その間における就労の頻度や就労を継続するために受けている援助や配慮の状況も踏まえ、就労の実態が不安定な場合はそれを考慮する。」という内容でございます。

 つまりは、精神障害の方々の就労は定着及び継続へのハードルが高いことから、こうした点に配慮しまして、十分に安定した就労ができているかどうか、仮に外形的に1年を超えて就労を継続できていたとしても、その間における就労の頻度や就労を継続するために受けているさまざまな援助や配慮などの状況も踏まえまして、その実態が不安定であると認められる場合は、いわゆる就労が継続できているとはしないという内容になります。

 続きまして、9ページに移らせていただきます。その他の欄でございますが、こちらでは4点の変更がございます。いずれも前回検討会で構成員の皆様からご指摘をいただいたものでございまして、これを踏まえて記載を改めたものでございます。

 まず、マル1の精神障害の1つ目の要素についてですが、依存症について、精神病性障害を示さない急性中毒や明らかな身体依存が見られないものは元々認定の対象とならないので、「考慮する」という記載ではなく、そうした状態が見られるか否かを考慮するという表現に改めるべきであるというご指摘でございました。この指摘を踏まえまして、表中の記載を、「精神病性障害を示さない急性中毒や明らかな身体依存が見られるか否か、考慮する。」という表現に改めました。

 次に、マル2の知的障害及び発達障害の2つ目の要素における斜体の具体例でございますが、療育手帳の重症度区分は自治体によって異なり、必ずしもA1やB1といった区分けにはならないので、表現ぶりを再考すべきであるというご指摘がございました。今回の指摘を踏まえまして、こちらの記載を知的障害のほうでは、「療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性を検討する。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められれば、2級の可能性を検討する。」という表現に改めました。同様に、発達障害のほうでは、「療育手帳の判定区分が中度より軽い場合は、発達障害の症状により日常生活に著しい制限が認められれば、1級または2級の可能性を検討する。」という表現に改めました。これらの要素につきましては、自治体ごとの療育手帳の重症度区分に照らし合わせた上で考慮していただきたいと考えております。

 次に、マル3の知的障害の3つ目の要素についてでございますが、中高年になってから判明する知的障害の内容例は、他の例示との整合性を考えれば、1級は除いたほうがよいというご指摘がございましたので、ご指摘を踏まえまして、1級の記載を除いております。

 最後に、マル4の発達障害の4つ目の要素でございますが、発達障害にも知的障害と同じく青年期以降になって判明した場合の例示を設けるべきであるとのご指摘を踏まえまして、ご覧のように、「青年期以降に判明した発達障害については、幼少期の状況、特別支援教育またはそれに相当する支援の教育歴を考慮する。」という要素を追加しております。

 以上が総合評価の際に考慮すべき要素の変更内容となります。

 では、資料の3ページにお戻りください。(3)等級判定にあたっての留意事項でございます。マル1からマル3までの記載内容につきましては、前回検討会からの変更はございませんので、説明を省略させていただきます。

 続いて、4ページに移ります。同じく(3)等級判定にあたっての留意事項のマル4再認定時の留意事項についてです。この事項は前回検討会でもお示ししておりましたが、より適正な審査を確保するという観点から、2行目の後段の文章でございますが、「前回認定時の診断書(障害状態確認届)や照会書類等から認定内容を確認するとともに」という文章を追記いたしました。ガイドライン実施後の再認定におきまして、下位等級への変更や等級非該当への変更を検討する場合には、受給者本人や家族、それから診断書作成医への照会を行うなど、認定に必要な情報収集を適宜行うだけではなく、前回認定時の認定がどのような内容であったかについても確認することで、以前と比較して障害の程度に変化があったか否かをより入念に確認するような運用とするものでございます。

 次に、マル5の既に障害年金の認定を受けている方への対応でございます。こちらは今回初めてお示しする事項となります。

 まず、1つ目の丸についてですが、ガイドライン施行時において、障害基礎年金及び障害厚生年金を受給中の方に対しまして、ガイドラインを最初に適用して等級判定を行うのは、受給者が額改定請求などをした場合を除き、ガイドライン実施後に初めて到来する再認定時とします。つまりは、既に決定されている1年から5年の次回再認定の時期が来たところで、初めてガイドラインを適用した再認定を行うという趣旨でありまして、一律に再認定時期を繰り上げ、ガイドラインを適用した再認定を行うことはしないということでございます。

 次に、2つ目の丸についてでございますが、ガイドライン施行時において、障害基礎年金及び障害厚生年金を受給していた方の再認定に当たりましては、ガイドライン実施前の認定も障害認定基準や認定医の医学的知見に基づいて認定されたものであることなどを踏まえまして、受給者の障害の状態が従前と変わらない場合につきましては、当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とします。

 この内容についてですが、ガイドライン実施後の再認定に関する基本的な留意事項は、先ほどご説明しました上記マル4に説明しているところですけれども、ガイドライン施行時に既に障害年金の認定を受ける方につきましては、これまでの認定において適正なプロセスのもとで認定医が医学的判断を行い、障害の程度が認定されているものであることや、さらに、受給者の多くの方々は年金収入を前提として生活をされており、障害年金が受給できなくなることによる生活上の困難は、精神障害の症状を悪化させるおそれがあるなど、新たに認定される方とは異なる事情がありますことから、こうした現行受給者への再認定につきましては、受給者の障害の状態がガイドライン実施前と変わらない場合には、少なくとも等級非該当にすることなく、引き続き障害年金の給付を行うことを基本とするというものでございます。

 なお、注釈を入れておりますが、障害の状態が従前と変わらないことの確認は、基本的には今回提出された診断書の日常生活能力の程度と日常生活能力の判定の平均の評価が前回認定時の内容と変わっていないかどうかを目安とし、最終的には診断書や照会結果などを含めた全体の情報で総合判断することを考えております。

 続いて、実施状況の検証、見直し等などについてでございます。ガイドライン施行後の認定状況につきましては、地域差が改善された適切な認定がなされているかなどの観点から、ガイドラインの運用、認定結果などについて検証を行うこととしておりまして、施行後3年を目途に必要に応じて上記ガイドラインに基づく認定の見直しなどについて検討することといたします。

 最後に、11ページをご覧ください。今後のスケジュールについて記載をしております。本日ご議論いただきますガイドラインの運用につきまして、今後、日本年金機構と連携し、認定事務などについて具体化を図ってまいります。ガイドラインの施行に当たりましては、昨年8月に実施したパブリックコメントの結果を公表し、ガイドラインの実施通知を発出した上で、ガイドラインに基づく障害認定の運用を開始することとしております。また、ガイドライン施行までの対応につきましては、まず、日本年金機構においては、認定医会議及び事務担当者研修を開催し、ガイドラインに基づく認定事務の考え方や留意事項などについて十分な周知を図ることといたします。また、医療関係団体などを通じ、障害年金の診断書を作成する医師に対しまして、ガイドライン及び診断書の記載要領について周知を図るほか、市区町村など関係機関につきましても、広く周知を図ることとしております。

 以上、資料2の説明は以上となります。今般新たに追加した事項などにつきまして、先生方のご意見をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 ただいま事務局から説明がございましたように、ガイドラインにつきましては、前回の検討会でおおよそまとまっていたわけでありますけれども、今回、総合評価の際に考慮すべき要素につきまして、構成員の皆様からのご指摘を踏まえて、修正を入れました。さらに、既に障害年金の認定を受けている方への対応につきまして、対応案を加えたということで報告がございました。

 まずは、総合評価の考慮すべき要素の修正案につきまして、構成員の先生方からご意見を伺いたいと思います。この考慮すべき要素につきまして、資料2の6ページから9ページだったでしょうか、この範囲につきましてご意見を伺いたいと思います。6ページは、字句上の修正といいますか、印刷上の修正でございまして、中身の修正は8ページ、9ページということになりますが、いかがでしょうか。大体こういう修正で。青木先生もよろしいですか。青嶌先生も大丈夫でしょうか。

 

(青嶌構成員)

 青嶌でございます。

 共通事項の最初のところ、複数の精神疾患が併合している時の初診日の取り方って、かなりこれ、かつ、精神発達遅滞が絡んでいる場合は、精神発達遅滞の初診日とすると出生日、ただし、それに統合失調症等が絡む場合ってよくあるんですけれども、そういう場合は、要するに、疾患、障害の程度の今の重さを反映している状態が主診断と考えて、そこを初診日というふうに考えているんですか。

 

(安西座長)

 じゃあ、事務局のほうからお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 精神疾患が複数ある場合、今、先生がおっしゃられたような例えば発達障害と統合失調症などの場合ですけれども、段階に応じて複数のものが生じた場合につきましては、その前後の2つの障害のまず相当因果関係などを確認した上で、もし発達障害と後段の障害との間に連続性があるというものであれば、一番最初の障害のほうの初診日ということになると思いますけれども、もしその2つが全く別の事象で、別に発症したものだということになれば、それぞれの初診日が2つ、発症するようなことになりますので、その2つをあわせて総合的に認定をするというような形になろうかと思います。

 

(安西座長)

 青嶌先生のご趣旨は、現在の生活上の困難を引き起こしている疾病に直後結びつくようなものが、より有力な初診日になるだろうかという、そういうご意見ですね。その点はどうでしょうかね。だから、元来、知的障害があった方が途中で発達上の問題があったりして。後藤先生。

 

(後藤構成員)

 後藤ですけれども。

 それについては、たしかその後のほうの障害年金の診断書の記載要領のところで、複数ある場合には番号をつけて、書いて、初診日も発生年月日も番号をつけて書いていくというふうに書いてあるような気がするんですが、そういうことでよろしいんですか。

 

(安西座長)

 それぞれの診断名を重要なものから順番に書いて、それぞれの初診日を記入するということは書かれていますね。

 

(青嶌構成員)

 そのどれが重要かというのを、ペーパーだけ見る僕らが判断するのはとても難しいんですね。だから、そういう時に主治医にバックしたいんですけれども。それはここにもある照会状みたいな形ですね。

 

(有井構成員)

 今でも主治医に問い合わせでそれは大体こなしていることなので、主治医しか本人を見てないのでわからないからというので、現行どおりでということでしょう。

 

(安西座長)

 じゃ、事務局お願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 先ほど後藤先生のほうからご指摘いただきました、後段ご説明しますが、お手元にある記載要領の2ページの一番下のところにもちょっと書かせていただいています。一応、その辺のところをペーパーでやはり判断していただかなければいけないので、診断書を作成していただく先生のほうに対しては、障害年金を請求する全ての傷病を書いていただきます。この障害年金の請求のもとになる主たる傷病から順番に記載をお願いしますというような形で促して、それで先生方が記載内容を見て、ちょっとおかしいな、確認が必要だなということであれば、今、有井先生がおっしゃったように、一度確認をしていただくなどの手順をとっていただければと考えています。

 

(安西座長)

 ここで主たるという意味は、今の生活上の困難に影響の大きいものから順番にという意味ですね。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 はい。そのように。

 

(安西座長)

 青嶌先生、よろしいですかね。重要なご指摘、ありがとうございます。

 他にございますでしょうか、この記載の修正に関しまして。

 どうぞ、青嶌先生。

 

(青嶌構成員)

 その隣に、精神障害の気分障害のところなんですが、漫然と全く一言一句変わらず、毎回同じような内容が常に出てくるというのは多々あります。そういう場合、それでもう10年以上、気分障害、気分変調症、うつ病エピソード等で続く場合は、改めて年限を区切って、再度きちんとした書式の、再認のシンプルな現行の様式ではなくて、詳細なことを聞かないと、本当にこれはずっと同じものの繰り返し。かつ、もっと言ってしまうと、明らかに事務員が記載していると、ワープロで打ってあるのでわからないので。内容が、人が違って状態も違うのに、内容は全く同じというのは多々見るんですよね。そういうものが、毎年出てくるので、わかるんですね。そういう場合に、そういうケースの整合性に関して、やっぱり国のレベルでこの診断書は妥当かどうかというようなことを、各県任せではなく、認定医としてその診断書を出す医療機関が判るのでやりにくいので、そういうことを、ここに書いてあることの詳細を、国の問い合わせをしていってもらえればありがたい。意見なんですけれども、そんなことを考えたので、言ってみました。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 どうぞお願いします。

 

(有井構成員)

 追加して言わせてもらうと、全く青嶌先生のおっしゃるとおりだと思うんですけれども、恐らく数パーセントの方々がそういうやり方をやってこられるというのを印象としては持っています。ほとんどの精神科医、非常に毎回考えながら書いてこられるんですけれども、中には同じようなコピー・アンド・ペーストで出してくる方がおられるし、得てしてそういうドクターに限って、申請件数も平均的なドクターに比べたら、それこそ数倍ぐらい出してこられているというふうなこともあったりします。非常にこれは大きな問題であるのは確かだと僕も思います。

 

(安西座長)

 じゃあ、事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 今、ご指摘のありましたような、何度も同じような診断書が出てくるというようなことで、これはおかしいというようなことにつきましては、主治医のほうに確認をしていただくということも可能だと思いますし、あわせて、今回、ご本人の状態について照会する様式というものもありますので、それを取っていただければ、主治医からの情報とご本人からの情報というものがきちんと対比というようなこともできると思いますので、必要に応じて情報をきちんと取っていただいて、認定していただければありがたいなというふうに思います。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 今まで非常に限られた情報の中で、認定医の先生方はご苦労されていたということはよくわかるんですけれども、今回、こういうことで、ご本人からの情報をいただくということとか、主治医への問い合わせとか、そういうことで、そういう不自然な場合には問い合わせ可能ということになると、そういうことでどうでしょうか。

 

(青嶌構成員)

 それをしても、そういうことを書く先生は、問い合わせについてきちんとした答えをしてくれないことがほとんどだと思います。元々そういうのをきちんと書いてくれる方は、そんな形での診断書は出てこないと思います。だから、そういう場合、困っちゃっているわけなんですね。本当にごく少数だと思うんですが、そこだけでもきちんとしたことができれば、より、そこの部分が大きいんですよね。すごく僕らは疲弊してしまう。

 

(安西座長)

 今の問題に関しましてどなたかご意見ございますでしょうか。

 じゃ、事務局。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 今、ご指摘のありました点については非常に重要なところだと思いますので、そういったケースについてどういう対応ができるのかということについては、年金機構のほうとも相談しながら、個別にどういうことができるのかという方法を考えてみたいと思います。

 

(安西座長)

 ということで、検討していただくということでお願いいたします。

 じゃ、後藤先生。

 

(後藤構成員)

 本当にお二人の先生の言うとおりで、ごく一部だと思うんですけれども、ありますよね。問い合わせで返しても全然レスポンスがない場合も時々あるので、判定不能ということにして事務局にお返しをするということがあります。だから、できるだけの情報を得ない限り正確な判断はできない、としてもいいのではないかとも思います。個人的意見ですけれども。

 

(安西座長)

 今の後藤先生の意見も含めまして、事務局のほうでご検討いただくということでお願いします。

 その他の点についていかがでしょうか。大体、今回の修正、前回の議論を踏まえた修正をしていただいているというふうに思いますが。いかがでしょうかね。よろしいでしょうか。

 じゃあ、この考慮すべき要素及び具体例につきまして、この記載に関しましては皆さん、先生方のご同意をいただいたというふうに考えます。

 そうしますと、次のテーマですけれども、事務局から新たに示された、既に障害年金の認定を受けている方への対応、あるいは実施状況の検証、見直し等についてご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 青木先生、どうぞ。

 

(青木構成員)

 青木です。よろしくお願いします。

 まず冒頭に、もしかしたら検討会が最終回になるかもわからないということですので、2点前提を話した上で、意見を述べたいと思います。

 今回パブリックコメントが、これまでにない400件近いものがありました。それに対して、事務局の方が真摯に動かれ、さらに、いろんな当事者団体等へも説明に回られたことを聞いています。そのことに対して、敬意を表したいと思います。

 それとこの間、検討会で議論を継続してきました。よくよく考えますと、これまで、こういう診断書作成医に対する記載要領がない中で、加えて、ガイドラインもない中で、かなりご苦労されながら認定に携わられた先生方に対しても、敬意を表したいと思います。これまで検討会で、委員が共通していた思いは、やはり本来受給すべき人たちが受給できるような仕組みを作ろうという、ということだったと思います。そのこともちょっと前提にし、まず確認をした上で、意見を述べたいと思います。

 前回の第7回から、大分時間が経過してしまったんですが、今回のこの4ページのマル4、特にとりわけマル5というのは、大変思い切ったといいますか、よく検討していただいて、この文章を作成いただいた、というふうに思っています。特に、これまで第3回の検討会で、当事者団体の方々が来ていただいた時の意見としましては、既に障害年金が支給されている方が支給停止になるというのは、暮らしに大変な影響を受けるので、そのあたりを何とかできないかというものでした。そのことについては、この検討会の委員の中でも随分意見が出ました。このマル5の部分は、このことが具現化したような形の記載だと思います。

 そんな中で、前回事務局より、第7回の検討会で、初めて支給停止の状況が出されました。その数字が精神・知的の障害でいうと、平成25年度の分を出していただいたと思うんですが、1年間で2,650人でしょうか。支給停止になった方が。そのあたり、ちょっとまず確認していただければと思います。

 

(安西座長)

 今の青木先生の問い合わせに関しまして、事務局のほうで数字が出せますでしょうか。

 

(青木構成員)

 じゃあ、ちょっと見ていただいている間に、多分こういう数字じゃなかったかと思うんですが、そのことも含めてです。このマル5というのは、今後、新たにこのガイドラインを適用した時に、支給停止の状況になる方について避ける方向で、というふうに、事務局からの提案を理解しました。このことは見方を変えれば、今後、検討会後に、このガイドラインが出されることになりますので、ガイドライン実施後の方のみが対象となる、ともとれます。ところが、例えば平成25年度に障害年金が支給停止になった方が、仮に2,650人。私の中ではうろ覚えの数字ですが。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 はい。2,650件でございます。

 

(青木構成員)

 私の記憶は正しかったようです。1年間に、これだけの方々が、実は精神・知的障害、いわゆる障害認定基準の第8節の対象の方々が、この基準の中で支給停止になっているわけなんですね。ところが仮に、この方々がこのガイドラインができる後だったとすれば、実は支給停止にはならなかったと考えることもできます。このことをふまえますと、1年間でこれだけの数がいますので、この方々の実態も照らし合わせていただければと思います。可能であれば、それこそもう一度、その支給停止になっている方々をガイドラインに照らし合わせて、再度、認定について検討するとか、そのあたりを、どんな形で考えたらいいかということについて、ぜひご教示をいただければと思います。

 以上です。

 

(安西座長)

 過去のどの範囲のことを考えておられるんですか。

 

(青木構成員)

 この事実が、前回の第7回の検討会で、平成25年度のことについて示されました。範囲としては、例えば3年であるとか、少なくともガイドライン前の段階ですね。これが何年と限定できるかどうかは、わからないんですが、そのあたりも含めて検討いただけないかということです。

 

(安西座長)

 ただいまの青木先生のご意見につきまして、事務局からよろしくお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 今、青木先生のご質問は、過去に認定を受けていた方が非該当になった方について、今後、このガイドラインが施行された後にどうなるのかというご質問だというふうに理解をいたしましたけれども、そういうような方につきましては、また申請をしていただければ、このガイドラインが施行された状態で認定をするということになると考えております。

 

(安西座長)

 再度申請をしていただくというやり方で対応できるんではないかということですが、青木先生、いかがですか。

 

(青木構成員)

 よくわかりました。

 

(安西座長)

 大変重要な点ですが、そういうことで。

 他に。大変、今、青木先生がおっしゃられたように、かなり重要な判断で、現在、既に認定されている方については、状態の変化がない場合には基本的に継続とするというふうなことで、かなり思い切った判断かなというふうに思いますが、この辺につきまして、先生方のご意見いかがでしょうか。

 富岡先生。

 

(富岡構成員)

2,600人くらいそういうふうにして外れるということがある、そういうことはやっぱり公にしておいたほうがいいと思うんですけれども、過去にこういったような動きだということですね。多分これ、報道なんかで出ると、かなり減るんでないかという考えですね。だから、そのあたりは必ずしも今回こういった停止というのが多くなるんでなくて、以前からもある程度あったということは。

 

(安西座長)

 以前からも一定程度あった訳だけれども、今回はその状態が変わらなければ、継続というふうになると。今回も、明らかに改善したとか生活上の機能が回復したとか、そういう場合は停止になる場合もあるわけですけれども、要するに、今回は初めてそういう停止が発生するんじゃなくて、過去にも一定数があったんだということをオープンにすべきというのが富岡先生のご趣旨ということでよろしいでしょうか。確かにそういうことだと思いますが。

 他の先生方はいかがでしょうか。

 じゃ、青木先生。

 

(青木構成員)

 今、富岡先生がおっしゃっていただいた点は、大変意義深いことだと思います。実はこの間、この検討会が設置され、さらにガイドラインを作成する中で、かなり障害年金の認定が厳格な方向に走るんじゃないか、というふうなことを、いろんなところで言われてきました。そのようなことから、いろんな団体から申し入れ等があったと思います。そのような中今回、本当に事務局は思い切った案を出されました。支給停止というのは、精神障害者の方、知的障害者の方、発達障害者の方の暮らしに影響がある、と。それだけじゃなくて、このガイドラインを作る前の段階の方についても、再申請が可能だということについても言及していただきました。事務局はそこまでの考えを出していただいているわけです。そのことも含めまして、厳格化じゃなくて、本来必要な人が障害年金を受給できる仕組み、そのあたりを作るのが今回の検討会の一つの使命であった、と再認識しています。そんなことも確認できる大変意義深いご意見だというふうに思っています。

 以上です。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 他の先生方はよろしいでしょうか。

 今回、そもそも全国で都道府県ごとに認定の格差があるんじゃないかという指摘を受けて、公平に、全国で皆が納得できる基準を作るということでこの検討が始まったわけですけれども、そういった中で、今、青木先生のご意見ございましたように、厳格化の方向でいくんじゃないかという懸念が起こりまして、それに対して、今、既に受給している人で状態が変わらない場合には、基本的に当分継続するというふうな判断が行われたということですけれども、これについていかがでしょうか。

 一つは、非認定にしないということで、そういう判断が行われたわけですけれども、もう一つは、基準を作りましたので、基準に当てはめて、上がる場合もあるかもしれないし、下がる場合もあるかもしれないと。等級間の移動というのは起こり得るということだというふうに、そういうことですよね。そういうことに関しまして、先生方、ご意見いかがでしょうか。

 じゃ、青木先生。

 

(青木構成員)

 先生方、意見がないようですので、再度発言します。

 直接、今の安西先生からの問いかけの意見になるかどうかはわからないんですが、やっぱりここで一つきちんと押さえておかないといけないことがあります。それは、今まで確かに地域間格差があったことは事実だ、ということです。そのような中、いろんな方がおられ、障害年金の一面を見ることによって、審査において、非常に緩い県と厳しい県がある、というふうな言われ方をしてきたことになります。でも、実はそうじゃなくて、診断書作成医の先生方は、これまで、今回提起しているような記載要領もなかったわけです。そのなかで、障害年金の診断書への反映の仕方について、自己流で実は記載せざるを得なかったと。そのあたりのことを、実は認定医の先生方はかなり酌み取っていただいていたわけです。例えば、第1回目の検討会で、後藤先生からも意見があったと思うんですが、診断書作成医に問い合わせをしていただいて、「これは実はこうじゃなくて、こういうふうな意味じゃないですか」というふうなことをされていた、とお聞きしております。だから、出来上がってきた診断書を今回のガイドラインの目安に照らし合わせば、それこそ3級か、あるいは非該当になるような目安の方がいたかもわからないけれども、2級に認定する、というものがあったわけです。それはなぜかといえば、認定医の先生方の独自の取り組みで判断する部分、担う部分が大きかったからだと思います。

 何を言いたいかというと、今もらっている方々は都道府県間によって格差があるんじゃなくて、実は記載要領等がなかったので、診断書の書き方の問題が大きかった、ということです。そのことから、審査が緩い都道府県だから受給出来ているのではなく、やはり本来必要な人が障害年金を今も受給しているのだと思います。そのあたりを今回は記載要領等をしっかりと周知することによって、本来受給すべき人がもらえるような仕組みを作っていくと。なぜこんなことを言うかというと、こういう議論をすると、社会から、「じゃあ、障害年金というのは書き方だけの問題だな」というふうに、ちょっと誤解をうむことが心配だからです。これまで何を議論し、確認してきたかというと、障害状態があって、暮らしに制限があるから、それに対して障害年金が必要だということです。ただし、書き方にやはり誤差があったので、そこら辺を訂正しようという論点ですので、そのあたりをきっちりしておかないといけません。それこそ逆に、以前も言ったかもわからないんですが、ある主治医が精神障害者の方に対して、「診断書を、ちょっと重目に書いておいたから。障害年金を出るようにね」と。実のところ、それは診断書を重目に書いたんじゃなくて、本来のことを書いているだけなんです。本人が診断書を見て、落胆しないようにと。でも、書いてもらった本人というのは、すごく後ろめたさを持って、堂々と障害年金を受給できないということになります。そのことからも、そうじゃなくて、障害とは何なのか。何をもって日常生活の制限があるといえるのか。そんなことを、今回の、「記載要領」や「照会文書」という、2つの様式とか、ガイドラインを一つの通知として、しっかり適用しながら、私たちが今後伝えていくことが重要じゃないかと思いました。

 以上です。

 

(安西座長)

 青木先生、大変重要なご指摘だと思います。私もこういう診断書を書いておったんですけれども、今回の議論を通じて、何を書くべきかということ、それから、日常生活の制限の程度と判定についても、やっぱり根拠を持ってきちっと書く必要があるというのを改めて痛感いたしまして、こういうことを周知して、本当に必要な人に年金がちゃんと適用できるような体制を国全体で作っていくと。今回はそういうきっかけになっていけばいいなと。青木先生のご趣旨はそういうことだと思いますが。

 そういたしますと、基本的には状態が変わらなければ非認定にはしないようにするということを前提にして、しかし、等級間の移動に関しては、やっぱり基準に当てはめて、できるだけ公平な基準でやっていくということで、移動は起こり得るというふうな判断でよろしいでしょうか。

 じゃあ、後藤先生。

 

(後藤構成員)

 もちろんそのとおりなんですけれども、それが今回初めて、ガイドラインがあるからするのではなくて、それは私たち認定医がずっとやってきたことだというふうに思います。当然、いろんな情報を集めて、この人は本当にこの状態が前と変わらないのか、あるいは良くなったのか悪くなったのかということをできるだけちゃんと判断してやってきたわけで、改めて新しいことをするわけではないということをちょっと知っておいてほしいなというふうに思います。これも個人的意見ですけれども。

 

(安西座長)

 他の先生方、もうよろしいでしょうか。

 そういたしますと、一応ご議論をまとめたいと思うんですけれども、既に障害年金の認定を受けている方への対応の仕方と、それから実施状況の検証、今後の見直しの話もございましたけれども、これらを含めまして、記載にあるように、事務局案のとおりに実施するということで、先生方の構成員の皆様のご同意がいただけたというふうに判断してよろしいでしょうか。事務局案どおりということでよろしいでしょうか。

 富岡先生、どうぞ。

 

(富岡構成員)

 これは3年後にまた少し見直しするという、検討するということはあるんですか。

 

(安西座長)

 見直しにつきましては、事務局のほうからお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 今回、委員の皆様方に真摯にご議論いただきまして、ガイドラインを作成したところでございますけれども、これによってきちんと地域差が改善されたような形になっているのかどうか、そういうようなところにつきましては、事後的にきちんと検証していくことが必要であろうというふうに、そういうご意見もございましたものですから、こちらの案では、3年後には検証しまして、実施状況の見直しを含めて考えていきましょうと。そういう案をお示ししたところでございます。

 

(安西座長)

 富岡先生、よろしいでしょうか。

 

(富岡構成員)

 はい。わかりました。

 

(安西座長)

 先生方、じゃあよろしいでしょうか。

 そういたしますと、等級判定のガイドラインにつきまして、総合判定の際に考慮すべき要素と、それから、今回、等級判定の既に障害年金の認定を受けている方への対応につきましてご議論いただいたわけですけれども、今回の等級判定のガイドラインにつきましてご議論いただきまして、この事務局案で検討会としてはよろしいと、合意を得られたということで理解してよろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。

 それでは、続きまして、資料3「等級判定に用いる情報の充実に向けた対策について」、事務局から説明をお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、資料3「等級判定に用いる情報の充実に向けた対策について」ご説明をいたします。

 前回検討会では、今後の適切な等級判定に向けまして、ガイドラインの作成とあわせて、ご本人の日常生活能力を把握するために必要な情報を得られるよう、診断書を作成する医師向けに診断書の記載要領を作成することと、詳細な日常生活状況についてご本人やご家族等に記載していただく提出資料を追加するという2つの対策について、事務局より各対応案をお示しし、議論していただいたところでございます。今回は、この2つの対策につきまして、前回検討会での議論を踏まえた変更や、さらに事務局側で追加検討した内容を加えた対応案をお示しいたしますので、ご意見をいただきたいと思います。

 まず初めに、診断書の記載要領の作成について概要をご説明いたします。前回検討会でもご説明しておりますが、診断書を作成する医師向けに、日常生活能力の程度及び日常生活能力の判定を評価する際の参考を示すとともに、それ以外の各欄の記載に当たって留意すべきポイントなどを示した障害年金の診断書記載要領を作成することとしております。この記載要領の案を別紙1として提示しておりますので、ご覧いただければと思います。

 赤字で記載しておりますのは、前回検討会でお示ししたたたき台から加筆・修正しているところでございます。変更箇所が多くございますが、時間の関係もございますので、前回検討会で構成員の皆様からご指摘いただいたところに基づいて修正した内容と、その他の主な変更内容についてご説明をさせていただきます。資料3の2ページと本記載要領案をあわせてご覧いただければと思います。

 まず、資料3ですが、初めに前回検討会でいただきましたご意見とこれについての対応案をご説明いたします。

 1つ目は、各欄の記載例に使用している病名などが一貫していないので、混乱を招かないよう改めたほうがよいというご意見でございました。このご指摘を踏まえまして、今回提示している記載例は、疾患を統合失調症の例に統一することとして修正をしております。

 2つ目は、不適応行動の例示の中に「犯罪行為」という表現があるが、これは適切な表現ではない、「迷惑行為」に変更するなどの配慮が必要であるというご意見でございました。このご指摘を踏まえまして、表現を「迷惑行為」に変更しております。

 次に、3つ目ですけれども、記載例に各疾患群、例えば精神病圏、感情病圏、発達障害、てんかんなどで代表的な症例を1例ずつ掲載してあると、書く側の参考になるのではないかというご意見でございました。これにつきましてですが、今回は統合失調症で例示をさせていただいておりまして、それ以外の疾患の記載要領の作成につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。

 次に、その他の主な変更内容についてご説明をいたします。

 まず、記載要領の4ページでございます。赤字で記載しておりますが、マル9、イ、教育歴欄につきまして、知的障害や発達障害の場合は、障害の経過を把握する上で参考となる就学状況を記載していただくよう、留意文を追加しております。

 次に、記載要領の6ページ、マル10、イ欄についてでございますが、発達障害のトゥレット症候群やチック障害特有の症状などがある場合には、この欄にその症状を詳しく記載していただくよう、留意文を追加しております。

 続きまして、8ページの一番下をご覧ください。マル10、ウ、日常生活状況欄にピアサポーターなどの自助グループから日常生活における支援を受けている場合には、具体的な支援内容などを記載していただくよう、留意文を追加しております。

 次に、同じく15ページをご覧ください。こちらの中段になりますけれども、就労期間中に病気休暇や休職期間がある場合には、マル10、エ、現症時の就労状況欄にその期間や復帰後の状況などを記載していただくよう、留意文を追加いたしました。

 最後に、16ページの最上段になりますけれども、マル10、カ、臨床検査欄に療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得状況を記載していただくよう、留意文を追加いたしました。

 この他にも変更点ございますが、主な変更点の説明としましては以上になります。

 では、本資料の3ページにお戻りください。今ご説明しました記載要領の運用方法案をまとめております。

 1つ目の内容は、前回検討会でお示ししたものでございます。この他に、年金事務所や市区町村の窓口で記載要領の提供を求められた際にお渡しできるようにしたいと考えています。また、再認定時に受給者へ障害状態確認届を郵送しているところですが、この際に記載要領のホームページ掲載先を案内するチラシを同封するなど、対応を検討したいと思っています。

 具体的には、受給者の方が主治医の先生に診断書の作成を依頼される際に、同封したチラシもあわせて渡していただくということで、主治医に記載要領を活用し、診断書を作成するよう促すという意図でございます。

 なお、この記載要領は障害認定基準が改正された場合など、必要に応じて適宜見直しを行うこととしております。

 続いて、4ページをご覧ください。2つ目の対応案、日常生活状況をより詳細に把握するための提出資料の作成について、対応案をお示しいたします。

 まずは資料の案からご覧ください。別添2の資料になります。

 軽微な修正ではございますが、まず、資料の名称を「日常生活及び就労に関する状況について」というふうに修正いたしました。記載していただく内容は大別して4つ、生活環境、それから日常生活上の援助の状況、それから就労状況、そして最後にその他としておりまして、それぞれ1ページずつ照会事項を設け、最後の4ページの後段に記入上の注意を入れるような構成になっています。

 なお、赤字で記載しております部分は、前回検討会から加筆・修正により変更になっているところです。主な変更箇所をご説明いたします。

 まず、1つ目ですが、1ページの年齢欄というのが前回ございました。生年月日欄の右隣にあったんですけれども、今回、こちらを削除しております。細かい部分ではございますが、発送と生年月日の関係で、発送時の年齢と受給者の手元に届いた時の年齢が相違する場合などもございますので、正確を期すべく年齢欄を削除することとしたものでございます。

 2つ目は、同じく1ページの点線の枠囲みにございます記入前に確認すべき事項、この欄の4番目に、返送期限までに本資料が提出されなかった場合には、既に提出されている資料の内容から等級判定を行うことについて、あらかじめ受給者の方にお知らせしておく必要がございますので、その旨の注意文を追加しております。

 3つ目は、同じく1ページ目の1.生活環境のマル4同居なしの欄の右側ですが、単身生活になった理由を追記しております。これはガイドラインの総合評価の際に考慮すべき要素の中に、独居の場合、その理由や独居になった時期を考慮するという例を設けておりますので、この内容と合致するよう、照会事項の中に単身生活になった理由を入れることとしたものでございます。

 4つ目でございますが、4ページをご覧ください。こちらに4.その他として新たに欄を追加することとしております。この欄は、本資料に設けられていない内容について照会を行いたい場合にもこの資料を使って照会ができるよう、その他として、いわゆる自由記載欄を設けるものでございます。

 本資料案の説明は以上になります。

 資料3の5ページにお戻りください。こちらの資料の運用方法について、5ページで案をまとめております。こちらにつきましては、前回検討会でもお示ししている内容でございまして、そこから変更は特にしておりませんので、説明は割愛させていただきます。

 以上で資料3の説明を終わります。提示資料の内容や運用方法などにつきまして、ご意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(安西座長)

 どうもありがとうございます。

 前回の検討会で障害年金の診断書の記載要領の改訂と、それから今ご報告いただきました日常生活及び就労に関する状況の照会の資料につきまして、皆さんからご意見をいただいたわけですけれども、今回、具体的に改訂を進めていただきました。できましたら、今回、取りまとめたいということでございますけれども、構成員の皆様からご意見をいただいて、検討していきたいというふうに思います。

 初めに、最初のほうですね、診断書を作成する医師向けの記載要領につきまして、ご意見を伺いたいと思います。ご意見ありましたらよろしくお願いします。

 青木先生。

 

(青木構成員)

 ありがとうございます。いろいろ配慮をされながら作っていただきまして、敬意を表したいと思います。

 まず、医師向けの記載要領では、8ページに、ピアサポーターに関する自助グループの文言を入れていただいています。いわゆるインフォーマルな社会資源ですね。支援者というのは、実はフォーマルな社会資源としての、例えば在宅であれば、ホームヘルパーさんとか訪問看護師さんだけじゃありません。実はピアサポーターの支援によって、暮らしがかなり支えられる部分があります。このように、文言を入れていただいて、大変よかったと思います。実際これが現実だと思いますし、この背景には、家族も含めたインフォーマルな社会資源の存在があると考えられます。

 そのことも踏まえまして、1つ確認なんですが、この資料3の3ページのところに記載要領の運用方法の案というのがあるんですが、医療関係団体等を通じて云々というところがございます。これは恐らく、確かに7月の「障害状態確認届」の提出が多い時期なんかに、全部に対して、記載要領をファイルして送っちゃうと、すごい膨大な量になります。逆に多過ぎると、作成医の先生方は見ないというふうなことがあるかもしれません。全て送る必要があるというよりは、むしろ関係団体へ説明に行くというふうなことがとても重要かなと思います。多分、想定されているのは、例えばなんですけれども、日本精神科病院協会さんであるとか、日本精神神経科診療所協会さんであるとか、いろんな団体だと思いますが、そこで1つ確認をしたいことがあります。

 それは、この記載要領のことを作成医に伝えるにあたってのことです。今までの議論の中でも、支援者がいるところの場合、日常生活の様子が認定医の先生方に、かなり伝わったんだけれども、支援者がいないと非常に困る、ということでした。ここで言う支援者とは、例えば代表的なところでいえば、精神保健福祉士とか、それとか、知的障害者の方であれば、社会福祉士とかいうふうな方のことです。例えば、日本社会福祉士会とか日本精神保健福祉士協会、さらには、精神科分野でいえば、作業療法士の方等もかなり地域実践をされている方がいらっしゃって、精神科の作業療法士の協会であるとか、看護協会であるとか、です。関係団体に周知していくというのは、一件一件、記載要領を送るよりは、確かに普及啓発でいえば意義があると思います。そのあたりは、いかがでしょうか。もっと言いましたら、インフォーマルな団体の家族会であるとか、です。どういう形で今後、周知・説明等をされようとしているか、そのあたりを、ぜひ教えていただければと思います。

 以上です。

 

(安西座長)

 じゃ、事務局からお願いできますか。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 関係団体へのこの記載要領の周知につきましては、資料にありますとおり、医療関係団体を主に念頭にしているところでございますけれども、今、青木先生のほうからお話のありましたように、実際、生活状況を把握している方というのは他にもいらっしゃいますので、そういうような方も含めて、年金の認定についての書類を出していただくということも考えますと、それ以外のインフォーマルなところにも必要に応じて説明をしていきたいというふうに考えております。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 職能団体とそれからインフォーマルなさまざまな団体ですね。じゃ、どうぞよろしくお願いします。

 他にございますでしょうか。

 じゃ、後藤先生から。

 

(後藤構成員)

 後藤ですけれども。

 こういう記載要領が本当に徹底されるといいなというふうに改めて思ったのですが、一つは、これから例えば増えていく精神科医に対して、早目にこういうことはわかってほしいので、大学の講座については、少し教育の中に組み込めるような形でぜひ周知をお願いしたいというのが1点です。

 それから、他科のお医者さんたちが書かれる診断書がかなり困る場合が多いので、それを全部の科の医者というのもすごく大変な気がするので、先ほど言われたように、請求者あるいはそのご家族が持っていくというのを、かなり徹底してもらったほうがいいのかなというふうに思いました。

 それから、もう一つ、最後ですが、これは先ほどの青嶌先生の意見にもつながるんですけれども、幾らこちらが言ってもそういうふうに書いてくれない方に、果たしてこういう記載要領が行っても、そのとおり記載してくれるかどうかというのは、非常に疑問に感ずるところがあるので、どの程度、例えばこの記載要領に合わないから、こちらはちょっと判断できませんということを認定医のほう、あるいは機構の事務方として、強制力というのも変だけれども、どの程度までそういうふうなものを考えればいいのかというのは、その辺お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。

 

(安西座長)

 じゃ、事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 今、後藤先生から3点ありまして、最後の点については、年金機構のほうから回答していただければと思いますけれども。最初の2点のほうですけれども、まず、大学教育においてこういったことをどういう形で周知するかということでございますけれども、その点について、どういうようなことができるのかということについて、ちょっと研究をさせていただきたいというふうに思います。

 それから、精神科以外の先生方にこういうような留意事項をきちんと徹底すべきというご指摘であったと思いますけれども、そこにつきましては、先ほど資料のほうでも説明をさせていただいたように、診断書の作成をしていただく時に、チラシを持っていくなり、あるいはこういう記載要領があると。それを見てくださいというものを主治医の先生の目にとまるような形にしたいと思っておりますので、そういう形で徹底をしていきたいというふうに思っております。

 

(安西座長)

 じゃ、機構のほうからお願いします。

 

(田中日本年金機構給付企画部長)

 非常に悩ましいところだと思っています。我々としても、関係団体を通じて通知を送れば徹底されるということは、ほぼ難しいと思います。やはり個々の案件の中で一つ一つ伝えていくということが必要だと思いますので、この資料3の3ページにございますとおり、我々としては、お客様が事務所等に接触される際に、いろいろ請求の相談をされる際に、ここにも書いてありますけれども、記載要領のホームページ先の掲載先を案内するチラシをお渡しして、それを一緒に主治医の先生にお渡しをしてくださいという案内ができるようにしていきたいと思います。

 その上で、また、不十分な診断書が出てきた時にどうするかということについては、これは慎重に対応しませんと、当然これ、お客様の障害年金の受給にも影響する話でありますので、またこれからもちょっと認定医の先生方のご意見も聞きながら、また、どんな対応が可能かということは、厚生労働省とも相談しながら、少しずつ認定医の先生方とお話し合いをしながら、やり方を工夫していきたいなというふうに思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたしたいと思います。

 

(安西座長)

 大変難しい点ですけれども、社会的公正という点から見ても、やっぱりちゃんと必要な人に支給できるようにするということで、裏をかくようなことがないように、そこのところはうまい仕組みをお考えいただきたいというふうに我々委員のほうでは希望しておりますので、よろしくお願いします。

 じゃあ、青木先生のほうから。

 

(青木構成員)

 ぜひとものお願いとしまして、障害年金の請求に当たっては、ご家族の方が窓口に行くことも多いと思います。そこで、インターネットに記載するというだけでは、なかなかわかりにくいので、紙ベースでとじたものをワンセット、例えば年金事務所、それから街角年金センター、市区町村役場の年金係とかに置いていただき、知れる機会を設けていただく等の配慮をしていただきたいと思います。それと、できましたら、定期的で結構なんですけれども、お願いしたいことがあります。今回、なかなか障害年金のことがわかりづらいのは、例えば精神障害一つ例に挙げてみましたら、見た目と経験則で理解がしづらいからです。新聞とかに、「精神の障害の障害年金は、こういうふうな形で変わりました」というように、広報していただきたいです。今回のことを機にして、何が生活のしづらさなのか、生きづらさなのか、みたいなことを、ガイドラインを通して、それこそ国民全体に伝わったとしたら意義深いと言えます。これらの取り組みがきっかけにもなると思います。精神障害者の方、知的障害者の方、発達障害者の方たちが堂々と、本来必要な人が障害年金を受給するために、あえてちょっと踏み込んだ方法を議論しながら進めていっていただけると幸いです。

 以上です。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。

 じゃ、事務局からどうぞ。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 今の青木先生のご指摘の点ですけれども、先ほど主治医の方向けについてはチラシということで、現物をお配りせずにホームページから参照していただくというような形にしておりますのは、主治医の先生のところにはたくさんの患者さんが行くということでありますので、ご覧いただいているように、記載要領については結構なページ数もございますので、それが何部も主治医の先生のところに行くというのはやっぱり不都合だろうということでございますので、ホームページを見ていただくという形にしておるものでございますけれども、一方で、年金事務所ですとか街角年金相談センターのほうにつきましては、現物もきちんと置いて、すぐにお渡しできるような形を考えていきたいと思っております。

 

(安西座長)

 よろしいでしょうか。

 そうしますと、医師向けの記載要領の改善・・・どうぞ、先生。

 

(有井構成員)

 別添1の6ページに関してなんですけれども、数日前にネットで送られてきた資料の中には、気分障害についての第3項目として、「症状遷延化の大きな要因となっている重篤で解決困難な心因を抱えている場合には、その心因に関してなるべく詳しく記載してください」という一文があったかと思うんですけれども、今回の分から消えているような体裁になっていますが、これは何かありましたか。

 というのは、うつ病、青嶌先生くしくもおっしゃった、10年間ほとんど変わりなしで、継続診断申請が出てくるような場合、ほぼ理由なく同じ症状が時々再発していますというふうな、まるで脳の器質的疾患のような書かれ方をしている場合もあるんですけれども、まだそんなに脳の特定の場所に大きなダメージで全体のうつ病が起こっているというふうな話でもないので、どちらかというとやっぱり今まだうつ病は、そういう意味じゃ、発症の時点あるいは発症して以降の心因によって持続している、遷延化しているという場合のほうが多いだろうと。ただ、そこが微妙で、余り心因を主治医の先生方、書き過ぎてしまうと、それって適応障害ということじゃないのみたいなことを思われるのではないかという考えもあって、むしろより病的である、疾病として確固としたものであるということで、原因不明ですというふうに書いている先生が結構おられるのかなと、現場で書類読んでいて思うんです。むしろそこはちょっと明らかにしていってもらったほうがいいのではないかと思うので。僕のほうが提案させてもらった文章なんですけれども。

 

(安西座長)

 事務局からお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 ご指摘ありがとうございます。先生方には検討会の前に一度、資料を未定稿ですということでご確認のためにお送りさせていただいているところなんですが、そこから若干変わっているところがございます。先生ご指摘の例えば心因云々のところなんですが、私どもやはりうつ病圏のところ、非常に慎重にこの記載要領のほうに反映させていきたいと思っておりまして、心因ですとか、例えば内因性なのかとか環境因なのかという、その要因をどこまで突き詰めて反映をさせていくのかというところは、非常に難しいところだと思っています。ですので、ご指摘のところ、最初は入れようかという話もあって、お示ししたところなんですが、もう少しきちんと整理した上で、また先生方にもご意見をお聞きするかもしれないですが、引き続き検討したいということで、今回は一度、外しているところでございます。

 

(有井構成員)

 わかりました。そういうことならそれで構いません。また今後考えていってください。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 ありがとうございます。

 

(有井構成員)

 それともう一つ6ページにあるんですけれども、よろしいですか。

 

(安西座長)

 どうぞ。

 

(有井構成員)

 これは下段から2番目にトゥレット症候群を挙げておられるんですけれども、これは確認なんですけれども、知的障害・発達障害圏の疾病を有していて、なおかつトゥレット障害を出している場合ということになるんですかね、それとも、トゥレット症候群というのを、また障害の認定のエンティティに入れていきますよみたいなことなんでしょうか。

 

(安西座長)

 どうぞ、事務局からお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 元々、発達障害の中の一つとしてトゥレット症候群というのは、発達障害者支援法の中でも定義されております。明記はされていませんけれども、その他云々ということで、含まれているものでございます。パブリックコメントをした際にも、やはり家族会などからご意見がありまして、そもそも、診断書上でこの傷病が入るのか入らないのかすら判断がつかないというようなご指摘もありましたので、記載要領の中で、少なくとも認定の対象になる障害であるということについてはお示ししようと思っております。

 ただ、先生おっしゃいますように、トゥレット症候群も個人差が非常に大きいかと思っておりますので、その症状や程度、頻度などをなるべく詳しく記載してくださいというふうに記載させていただいているのは、そのトゥレット症候群やチック症状、例えば慢性的な運動チックとか音声チックなどが1年以上継続していて、日常生活に非常に支障が起きている。プラスして、例えば他のADHDですとか、そういったものと併存していて、日常生活が非常に困難だというような場合であれば、障害等級に該当する事例もあるかと思いますので、そういったところを先生方に見ていただきたいということと、申請する側も、そういう事案があるのであれば、一旦きちっと書いた上で申請してみてくださいという意味も込めまして、今回追加をしたものでございます。

 

(安西座長)

 有井先生。

 

(有井構成員)

 チック、トゥレット症候群、どちらかというと児童・思春期の疾病であって、ICDのコードもF9に入っているかと思うんですけれども。それと、教科書的には予後良好であると。非常に対人恐怖感もそれこそ思春期というのは高まる時期で、そういった緊張感に反応して出てしまう症状であるがゆえに、数年たてばかなり軽減が期待できるようなものかなと思ったりするので、それを例えば20歳の時点とかの障害年金で認定してしまうと、もらってしまったものはみたいな、それこそ前半に出てきた、その給付を受けることによって成立してしまったその人の生活が、症状の改善によってまた年金の給付が変わってしまうみたいなことになってしまってこないかなというふうな気はしたんですけれども。

 

(安西座長)

 じゃ、事務局からお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 私どもも、基本的には10代のうちにちゃんと治療とかを受ければ、寛解していくものだとは思っているんですけれども、やはり他の障害との併合だとか、慢性的になってくると、難治性だったり永続したりする重症例があるということも認識しておりますので、そういった方々がいる以上、外すということにはならないのかなと思っておりますので、そういった情報を診断書から酌み取っていただいた上で、認定基準とガイドラインに照らし合わせて、該当する場合には認めていただくというようなご判断をお願いしたいと思います。

 

(安西座長)

 トゥレットも確かに大人で難治性でなかなか治らないと、生活の障害が大きいという方も確かにいらっしゃいますので、そういった場合にこれを適応するということで、よろしいでしょうか。

 他の先生方。どうぞ、青木先生。

 

(青木構成員)

 すみません。青木です。1点だけちょっと確認をさせてください。

 今、有井先生のほうから気分障害等のことが出ましたので、ここで、環境因のことを確認させてください。今、大窪さんのほうからも出たんですが、例えば労災等であれば、環境因というのは非常に重要な要素となります。例えば、うつ病で労災認定されて、さらには、その後障害が固定すると、障害補償年金が支給されることになります。それは、障害基礎年金とか障害厚生年金よりもかなり高額のものなのです。これらは、同じ厚生労働省が管轄となっているもので、両方もらえていたら、障害補償年金が、併給調整で73%に制限されるとか、そういう位置付けになっています。この環境因を、先生方はいかに捉えられているでしょうか。基本的には環境因というのは、精神障害の中では非常に重要な要素を占めると思うんですが。この環境因の捉え方についてはいかがでしょうか。今回は労災のところまでは当然、この検討会の使命ではないものの、非常に重要なポイントだと思うんです。そこら辺を、ちょっと確認できないかなと思いまして、お願いできると幸いです。

 

(安西座長)

 じゃ、事務局。

 

(大窪障害認定企画専門官)

気分・感情障害圏のところの認定基準のところで、例えばそういったところについてどういうふうに認定するというようなことをきちっとお示ししておりませんので、先生方、個人個人のお考えはあるかとは思うんですけれども、やはりその辺のところを私どものほうできちっと整理をしたいという意味で、先ほどお時間をいただきたいというふうにご説明したところでございます。

 

(安西座長)

 DSMの成立過程といいますか、国際診断基準の成立過程では、病因を言い出すとなかなか難しくて、切りがないということもあって、実際問題として、何が主要な生活上の困難であるか、病態の基本であるかということをまず重視してやっていこうというのが、この間の操作的診断基準の考え方だったと思うんですけれども、今回の場合はある程度そういうことが言えるんじゃないかなと。だから、環境因だ心因だ何だという、いろいろそちらのほうを余りにも重視し過ぎると、見方によって、見るドクターによって変わってくるとか、そういうこともあるかもしれないので、実態として何が問題かということに重点を置くということになろうかと思うんですが、その辺は事務局のほうでもう少し整理していただいて。事務局は宿題がどんどん増えていって、申しわけないですけれども。

 ということでいかがでしょうか。幾つか事務局のほうに宿題は出されておりますけれども、大筋、今回のこの記載要領の改訂につきましては、大体、この改訂自体に関しまして反対のご意見はないのかなというふうに思っておりますが、この改訂につきましては、よろしいでしょうか。皆さんのご同意をいただいたというふうに考えさせていただいて、よろしいでしょうか。大丈夫ですか。

 じゃあ、記載要領に関しましてはご同意をいただいて、幾つか宿題がありますので、それは事務局のほうで整理をお願いしたいということで、よろしくお願いします。

 そうしますと、もう一つ、続きまして、日常生活を詳しく把握するための資料の提出につきまして、提出資料についてですけれども、この内容とかこの運用の仕方につきまして、構成員の先生方からご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 幾つか改訂のお話がございまして、記載のフォーマットが示されておりますが、こういった内容で実施ということでよろしいかということですが、いかがでしょうか。

 じゃ、青木先生から。

 

(青木構成員)

 内容そのものというよりは、この照会文書の周知の仕方について確認をできればと思っています。元々この照会文書を作ろうというきっかけは、もう少し、本人の日常生活を酌み取りたいんだけれども、支援者もいないし、なかなか情報がない中で、ひとり暮らしを想定した暮らしぶりを知る必要がある、というところにあったと思います。そのようなことから、この照会文書を全員に課すんじゃなくて、診断書等から情報が得られない方に対して、この文書を使って回答していただくと。そういうご理解でよろしいでしょうか。

 

(安西座長)

 事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 そういう理解で結構です。

 

(安西座長)

 これは判定の先生方が情報が必要だと判断された時に、この照会を請求するという流れになると。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 おっしゃるとおりで、これについては全て記入をしていただくということではございませんで、年金機構の審査の過程において、不足する情報があれば、その箇所についてだけ記載をしていただくというような形で考えております。

 

(安西座長)

 青木先生、どうぞ。

 

(青木構成員)

 その際に、前回、前々回の検討会でも意見が出たと思うんですが、例えば家族の方の場合、関係性が近かったり、長い時間経過のなかで、当たり前に障害が常態化しているものですから、なかなか客観視できないケースが少なくありません。その場合には、ソーシャルワーカー等の支援者が書くこともあるし、一方では、家族が客観視できる場合は家族の方が書くこともあるし、本人が書くこともあるし、というように、全体の診断書の整合性とか、その実態の中で、記載する人が決められる、という理解でよろしいでしょうか。それから、先ほど言われましたように、全部書くんじゃなくて、この箇所というふうなところで、限定的にその生活を酌み取るために必要箇所を記載する、というふうな、そんなご理解でよろしいですね。

 

(安西座長)

 事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 おっしゃるとおりでして、この照会文書につきましては、誰が書くかということでございますけれども、別添2の冒頭の破線の中に、記入する前にご確認くださいという場所がありますけれども、ここの1つ目の丸で、請求者ご本人またはご本人の日常生活及び就労に関する状況をよく把握している方が記入してくださいという形になっておりまして、ご本人だけではなくて、ご本人の状況をよく知っている方ということで、ご家族の方もそうなりますし、ケースワーカーの方も記入をしていただくことが可能ということになっております。

 それで、どういう方が記入していただいたのかということにつきましては、4ページの一番後ろのところで、記入した方について名前と請求者との関係という欄を設けまして、例えばケースワーカーであればケースワーカーと書いていただくような形にしております。

 

(安西座長)

 ということでよろしいでしょうか。

 じゃあ、青嶌先生、どうぞ。

 

(青嶌構成員)

 これは当然、再認の時に用いる書式ですよね、当然ですけれども。そうすると、今まで、ただ患者さんは主治医に、更新の時期だからこれを書いてくださいと言うだけで済んでいた患者さんにとっては、これが改めて送られてくると。ということは、患者さんにとってはちょっとびっくりしてしまうことであり、かつ、初診の時は多々あるんですけれども、社会保険労務士の先生がいっぱい書いてくださると。これもまた同じように、労務士の先生が書くというケースも当然想定されると思うんですが、その場合はいかがに考えていらっしゃるんでしょうか。

 

(安西座長)

 じゃあ、事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 まず、どういうケースにこの様式が使われるかということでございまして、新規の認定の時には、基本的にまずご本人が就労の状況なども含めて書類を提出しますので、基本的にはそこで把握ができるのかなと思っております。一方で、再認定の時については、そういうご本人からの情報が原則ありませんので、そういうことを考えると、基本的にこういう照会が行くというのは、再認定のケースが主であるというふうに考えております。

 それから、記入していただく方については、こちらのほうで制限を設けておりませんので、ご本人が書くことが難しいということで、社会保険労務士の方が状況を把握して書くということであれば、そういうようなことも考えられますが、そういうような場合については、請求者との関係のところについて、適切に社会保険労務士とか、そういうようなことを書いていただくというようなことになると考えております。

 

(安西座長)

 ちょっと座長が質問しちゃ悪いんですけれども、自分以外の方が書いた場合に、本人がその記載内容に関して同意しているかどうかというのは、何かそういう保証みたいなのはどうなんでしょう。本人が、いや、自分は違うんだという場合に、この記入者の欄請求者氏名で氏名を書いて印を押すということがあるので、本人が同意している保証になるわけですね。事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 おっしゃるとおりだと思います。まず、こちらの様式につきましては、必要が生じた時にご本人のところに送られることになりますので、まずご本人が自分で書くかどうかということを判断し、この方に書いていただきたいという判断をした場合には、その方に書いていただいた上で、ご自身の名前も書くということになっておりますので、ご本人の意に沿わず、他の方が勝手にこれを書くということはないと考えております。

 

(安西座長)

 青嶌先生。

 

(青嶌構成員)

 そもそもこれが出るということは、再認定の時に問題になったケースですよね、判断する側が。内容がプアーなので、こういう情報が欲しいと。ということは、当然そこはかなり普通のスムーズに行かないケースが、対象となる。そうすると、余計、そういう方の介入が入ってくるようにも想像されるんですが。

 

(安西座長)

 事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 いろいろなケースがあると思いますので、そこは個別個別のケースで見ていただいて、余りにも書いている内容がおかしいということであれば、やはりお手数なんですけれども、再度確認をするとか、そういうようなことが必要になってくるのかなと。これを出していただければ、それを全面的に信用しなければいけないということでもないというふうに思っております。

 

(安西座長)

 青木先生。

 

(青木構成員)

 結構この間、検討会では、色んな職種の方に対しての意見が出ました。今の青嶌先生の意見についての議論は、資料2の10ページのフローチャートを見ながら確認すると、今日、この会場で傍聴している方は、よりわかりやすいのかなと思いました。ですから、一つの流れとしては、新規の場合は「病歴、就労状況等申立書」があるので、そちらが照会文書の代替ができると考えられます。そうじゃなくて、更新の場合は、「病歴・就労状況等申立書」が無いので、認定医の先生が診断書を見て、これはちょっと、なかなか生活が読み取りづらい、酌み取りにくいというふうなことになった場合に、この照会文書を使うということですね。例えば、更新手続きの方が100人いた中で、15人の方が必要だと判断されたら、その15人の方に対して、この文書を出すということになるでしょうか。

 その中で、ちょっと1点意見があります。障害年金にかかわる専門職に対しては、社会保険労務士の先生のこととか、精神保健福祉士のこととかについて、いろんなご意見があると思うんです。ところが、これらの専門職には倫理規定が存在していて、それぞれの専門職ご自身に倫理観、責任が問われています。わかりやすく言えば、それぞれの専門職は、選手生命をかけて、普段の実践をされていることになります。ところが、中にはまれに、本当に1%にも満たないぐらいの方でしょうが、ちょっと踏み込み過ぎかなという行動をとる方も当然、いらっしゃるわけです。多分先ほどのご意見は、そのことに対する青嶌先生の懸念だと思いますので。

 そんなことを含めまして、今回、関係団体へ説明に行くという中で、社会保険労務士会とか日本精神保健福祉士協会という職能団体も含めていただければと思います。今後は、きっちりと暮らしを酌み取りたいので、こういうふうな照会文書を作った、というふうなことを話されたら、99%の方は大丈夫だと思うんです。とはいえ、なかなか1%弱だと思いますが、改めて、倫理というふうなところは、きちんと伝えていくべきだと思っています。

 以上です。

 

(安西座長)

 確かにそうですね。

 いかがでしょうか。ご意見、大体、出尽くしたようでしょうか。

 そういたしますと、今、主に運用に関して意見が出ているんですが、その内容につきましてどうぞ。

 

(有井構成員)

 じゃ、ちょっと内容的なところで。問い合わせ票の2ページ目の一番上の段に、誰からの援助ということと、あれば丸を入れるような体裁になっているんですけれども、この下の段に、頻度をどのくらいかというのもつけることはできませんでしょうか。週に何回とか、または月に何回というふうな感じで。ヘルパー、親族、その他の方からの援助の頻度というのは。特にヘルパーさんなんかは週何回派遣とか、割と固まった制度として運用しているので、そこも見てみたいという感じはする。

 

(安西座長)

 事務局からお願いします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 わかりました。ちょっとこちらのほうでも検討いたしまして、取り込めるように検討します。

 

(有井構成員)

 お願いします。お任せします。

 それと、もう一つ、最後のページなんですけれども、この赤字に変わった「その他事項にかかる下記設問に詳しく記入してください」となっていて、このまま出されると、空欄で来る場合があったりすると思うんですけれども、下の欄が。我々の側が特に追加質問はない場合なんかに。そうなると、受け取った患者家族さんの側は、ここ何を書いていいのかというふうにかなり迷ってしまうんじゃないかと思うわけですね。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 機構のほうからお願いします。

 

(安西座長)

 じゃ、機構からお願いします。

 

(田中日本年金機構給付企画部長)

 こちらは、我々機構と厚生労働省で協議してこういう案を作らせていただいた趣旨ですけれども、この障害の認定というのは、要するに、さまざまなお客様がいる中で、このように医学的な専門的な知見に基づいて総合判断をしていただくということになりますと、これは事例によってはどういうことを聞くかって、いろんなケースがあり得ると思います。そういう意味で、ただ、できれば今回、こういう形で標準的な様式を作り、当然それぞれの認定医の、我々としては認定医の先生方に、例えばこれについては医師に聞いてくれ、それから、これについては本人ないし家族、関係者に聞いてくださいというご指示をいただいて、それに基づいて我々は対応しようと思っております。

 その中で、一応、標準的にはこの3ページまでの事項について聞くことにしようということなんですが、それ以外にも当然さまざまな事項がありますから、この4番のところは、認定医の先生方にこれを聞いてくれということを聞き取りをさせていただいて、ここに書くのか表紙につけるのか、ちょっとそれはこれから詰めますけれども、当然こういう理由でこういうことを教えてくださいということを趣旨を明確にして、そして、それについてこの4番に書いてくださいということを可能にしたという趣旨でございます。

 

(有井構成員)

 追加質問の項目を設けたことは非常にいいことだとは思うんですけれども、ちょっと文章がかたいので、それと、数伸ばしていくうちには、特に追加質問ない場合なんかは、まるっきりこの下の欄が空欄で本人の手に渡ると、「その他の事項にかかる下記設問に詳しく記入してください」とあるけれども、質問内容がない場合なんかになると、迷っちゃうだろうと。文章をちょっと直してもらいたい。

 

(安西座長)

 では、事務局からお願いします。

 

(重永事業管理課給付事業室長)

 今、有井先生ご懸念されているのは、特にこれが真っ白な形で申請者のところに行くと、書いていいのかどうか迷うというところだと思いますので、そこは質問事項あり・なしとか、あるいは、その質問事項がない場合に斜線にするとか、受け取った方が迷わないような運用というのを考えたいというふうに思います。

 

(安西座長)

 確かにそうですね。質問事項なしとか斜線になっていると、安心できるというのがありますね。よろしいでしょうか。

 他は、この内容に関しましてもこれ、こういう形でよろしいでしょうか。確かにこういう記載があると、具体的な生活ぶりがわかるというのがあるかと思います。

 他にご意見ございませんでしょうか。

 そういたしますと、この意見の取りまとめということですが、日常生活及び就労に関する状況についてのこの照会文書につきまして、その内容と運用について、若干、頻度を書いてくださいとか、幾つかの小さな修正事項はありましたし、運用に関しましては幾つか要望がありましたけれども、これを事務局のほうで整理していただいて、後で構成員の皆さんにもお知らせしていただくということで、大筋はこれはご了解いただいたということでよろしいでしょうか。よろしいですか。

 どうもありがとうございます。

 そういたしますと、この照会文書につきましてもご了解いただいたということでございます。

 そういたしますと、今回のこの検討会での議題につきまして、一通りご議論いただいたということになります。最後に、全体を通じて構成員の先生方からご意見ございましたらいただいて、締めくくりたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 じゃ、青嶌先生。

 

(青嶌構成員)

 この間、南関東ブロックだけで集まって今回のことの説明会があったんですが、その時も最後に質問が出たんですけれども、そもそもこの障害年金というものは、その方の障害の程度によって支給されるものであるということがわかってなくて、失業しちゃったから出すというような趣旨のことが、書く先生側もそういう医師の方がとても多いんですね、出てくる書類を見ていると。だから、今回を機に、元来の定義をもう1回再確認するということをやっていただきたいなと思います。

 以上です。

 

(安西座長)

 確かにそうですね。

 他の先生方はいかがでしょうか。

 後藤先生。

 

(後藤構成員)

やはり地域差をなくすという意味で標準化をするので、こういうガイドラインは確かに必要なんですが、個々のケースで検討しなくてはいけないものは必ず出てくると思うので、以前あったように、障害認定医の集まりというのをぜひやってほしい。そこでこういうケースの場合にはどう判定したらいいだろうかということを提出して、ある程度そこでまた標準化が進むという、そういうのをぜひやってほしいというふうに思います、定期的に。

 

(安西座長)

 認定医の先生方の研修会みたいな感じでしょうか。基準合わせの検討会ですね。

 どうぞ。

 

(有井構成員)

 その後藤先生の話にかぶせるわけでもないんですが、僕もそういった認定医の研修会に関しては大賛成で、ここ数カ月、自分で判定をしながら、2級か3級か非常に迷ったケースというのをピックアップしてためていっているんですが、また使う時があったら声かけてください。

 以上です。

 

(安西座長)

 そういう事例検討というか、こういう場合はどうするということで、そういうのを積み重ねていくと一致率が上がっていくということはあるでしょうね。

 他の先生方はいかがでしょうか。

 はいどうぞ。

 

(田中日本年金機構給付企画部長)

 今の件ですけれども、認定医会議につきましては、現状でも障害認定基準の改正、これは厚生労働省で逐次進めているわけですが、その場合、その改正された基準に関係する認定医の先生方ということになりますけれども、認定医会議をやらせていただいています。それから、今回は、ご承知のとおり、新しい取り組みといたしまして、今回、この精神・知的の障害でガイドラインができるのは非常に大きなことで、我々もしっかり仕事の仕方を変えていかなきゃいけないと思っています。そういったことから、今回、職員の研修とあわせて、ブロック単位で認定医の先生方にお集まりをいただいて、しっかり認識を共有しましょうということでさせていただいております。

 そういった場の時に、今後、せっかくの場ですから、例えばこういう事例についてなかなか判断に迷うようなのがあるというふうな時は共有していただくとか、そういったことを、なかなかお忙しい中なので、しばしばというわけにはいきませんけれども、できるだけそういうことを、もし認定医の先生方にご協力いただければ、工夫をしていきたいというふうに考えています。

 

(安西座長)

 他の先生方はいかがでしょうか。

 青木先生。

 

(青木構成員)

 いろいろと、本当に1年間ありがとうございました。元々、この検討会の最初のねらいに、地域間格差の解消がありました。1つ目は、そのことについての共通の指標を作ろうということでした。加えて、就労の客観的評価ということが2つ目のねらいだったと思います。実は今回、就労のことをかなり踏み込んで、結果の収入額じゃなくて、そのプロセスを見ようとか、背景に目を向けようとか、かなり議論ができました。でも、当たり前のようなことではあるんですが、このあたりを文言として、実際伝わるような形で議論する場というのは、実はなかなか、これまでなかったんですね。今回、いろんな関係団体からの意見も、総合評価の中で、検討会が提示した就労の記述が元となり、そこから更に、「そのような場合は、どうなのか」とかいうふうな意見に論及していただきました。一方で、本人は就労によって一時的に収入を得ているけれども、障害年金が基礎的収入になっているからこそ就労が成り立っている、というような議論もできました。実は踏み込んでいくと、いろんな関係性が日常生活の中にはあって、そのあたりを今回の検討会で一つ、最初のワンステップぐらいまでが議論できたかなと思います。ここはやはり、しっかり議論しておかないといけないことだと捉えています。

 といいますのは、この場にいらっしゃる方々は皆さん御存じなんですが、他障害では、それこそ今、1カ月に例えば5万、10万よりもはるかに多い収入を、フルタイム労働で得ながらも永久認定で1級をもらっている方もいらっしゃるのです。また、厚生労働省の中で進めている就労による経済的自立を考えた時に、この基礎的収入を外してしまうことによって、暮らしがどのようになるのかとか、そういうことについての議論も大切です。就労って改めてどういう位置づけにあるのか、というそのあたりのことは、今後も議論をすべきことだと思います。

 特に精神障害者の方は、2018年度より、障害者雇用促進法の中でも正式に対象になることに決まっています。ところが、離職率が非常に高くて、新規では3障害の中での就職が一番多いんだけれども、就職後、1年、2年たってみると圧倒的に少なくなる、というような実態があります。このあたりのことも含めまして、再度3年後に見直しになりますが、その時にもぜひ、いろんな情報を共有しながら、再度検討できたらと思っています。

 以上です。

 

(安西座長)

 ありがとうございます。私が締めくくりで申し上げたいことをかなり青木先生が言ってくださったような気がします。

 大体、時間が参っておりますが、もうお一人ぐらいどなたかありましたら、出していただいて。よろしいでしょうか。

 そういたしますと、大体、時間が参っておりますので、締めくくりをさせていただきたいと思います。

 今回の検討会は、元々出発点で、地域間の格差が大きいと。この不公平を是正すると。公平な障害の認定のあり方ということが課題になりまして、それでより客観的なガイドライン、指針を作ろうということでこの検討が始まったわけでございます。この間ご議論いただきまして、程度と判定を基準にして目安を作っていくという形で、これはある程度、それこそまさに目安として活用していただければ、もちろん総合判定といいますか、全体像を踏まえて判定していただくわけですけれども、これは格差の是正に役立つのではないかなという気がしております。

 今、青木先生のお話にございましたけれども、地域間格差の是正ということでこの検討が始まったんですけれども、そもそも障害年金の考え方というのは何なんだと。どういう方を支援すべきなのかということを改めて確認するという機会になったかなというふうな気がいたします。そこで、この国民年金・厚生年金保険の障害認定基準、この第8節、精神の障害というプリントがございますけれども、1級は、障害のために常時の援助が必要な方々を1級とするのであると。2級は、相当の障害があって、折に触れて支援が必要。もちろん、就労についても支援が必要なんですけれども、日常生活においても支援が必要な人たちを2級で支援するんであると。3級は労働の制限があって、支援が必要な人であると。こういったことが国の制度として決まっていますので、これをどう適切に具体化していくかというのが障害年金の認定の仕組みなんであるということで、ここを改めて認定するドクターを初めとして、受給される精神障害を持っている方に対してもそうですけれども、こういったことの改めて周知を図って、1級、2級、3級、それぞれの方に適切に年金を支給できる仕組みをもう1回、みんなで作り上げるんだということのコンセンサスといいますか、共通認識を作っていく重要な機会として活かしていくということが大事なんではないかと思います。

 私自身もこれまで診断書を書く時に、基準が不明確なものですから、例えば、患者さんがデイケアに行き始めたと。作業しに行き始めたと。保護的就労に行き始めたと。それから、障害者枠の雇用についたと。それぞれのレベルアップを喜びながら、障害年金診断書を書く時にびくびくしながら書いていたということがございました。しかし、今回、随分基準が就労に関しましてもかなり明確化されまして、書くほうから言うと、かなり安心して書けるなと。実際のことを正直に書いていくということができるんではないかなということで、随分前進したというふうに考えております。

 こういったことで、適正に運用するということもあるわけですけれども、青木先生からじわっとご指摘がありますように、そもそも精神を抱える人の生活のしづらさというのは何なのかと。国としてどういう支援を行うのが一番いいのかという大問題は、それはそれとしてあると。それは今後の重要な課題としてみんなで考えていくということが課題としてあるわけですけれども、この障害年金に関しましては、その大問題を一応脇に置いた上で、障害年金は障害年金で適切に運用していこうということで、今回、構成員の先生方にお集まりいただいて検討したんですけれども、一歩、二歩、前進はできたかなという気持ちでおります。

 座長として不十分な行き届かない点もいろいろあったかと思いますけれども、構成員の先生方のご協力によりまして、また事務局の大変なご尽力によりまして、一歩、二歩進めることができたというふうに考えております。皆さんに感謝をいたしまして、終わりたいと思います。どうも皆さんありがとうございました。

 じゃ、以上でお開きとさせていただきます。どうもご協力ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

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代表:03-5253-1111(内線3603)

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