ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第114回議事録(2015年12月16日)




2015年12月16日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第114回議事録

○日時

平成27年12月16日(水)8:59~9:28


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

西村万里子部会長 野口晴子部会長代理 印南一路委員 田辺国昭委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 石山惠司委員
中川俊男委員 松原謙二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
加茂谷佳明専門委員 土屋裕専門委員 吉村恭彰専門委員
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○次期薬価制度改革の骨子(たたき台)について

○議事

○西村部会長

 それでは、皆さんおそろいになりましたので、始めます。ただいまより第114回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。

 まず本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、全員御出席です。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 論点となっていました事項について、一通りの議論が終わり、これに対する業界の意見陳述も終わりました。これを踏まえて、事務局より次期薬価制度改革の骨子(たたき台)が提出されていますので、事務局より説明をお願いいたします。中井薬剤管理官、お願いします。

○中井薬剤管理官

 おはようございます。薬剤管理官でございます。

 中医協薬-1、中医協薬-1参考を御参照いただければと思います。

 中医協薬-1でございます。「次期薬価制度改革の骨子(たたき台)」ということで用意してございます。

 「第1 基本的考え方」におきまして、革新的新薬の評価に重点を置き、特許の切れた新薬については、後発医薬品の置きかえが着実に進むという薬価制度としてはどうかということであります。

 具体的には、新規収載品及び既収載品について、現行の薬価算定方式を基本としながらも、これまでの本部会で議論したものについて、以下の点を踏まえ、改革を行うこととしてはどうかということで、まとめてございます。

 「第2 具体的内容」であります。

 最初に新規収載医薬品の薬価算定ということでありまして、1つ目、先駆け審査指定制度加算でございます。現行の先駆導入加算を先駆け審査指定制度加算として、先駆け審査指定制度品目につきまして、当該加算または原価計算方式の営業利益で評価してはどうかということ。加算率につきましては、10%を原則としながらも、充実した国内臨床試験、医療に貢献する医薬品については、最大で20%までの加算で評価できることとしてはどうかということでございます。

 2つ目、外国平均価格調整でございまして、開発要請・公募された品目のうち、2点のポイントについて、直近の外国での承認日が日本での承認日から10年より前のもの、外国平均価格が算定薬価の3分の1未満のものについては、その対象外としてはどうかということの提案でございます。

 めくっていただきまして、3つ目、新規性の乏しい医薬品でありますけれども、これにつきましては、現行の類似薬効比較方式(II)は、最初の新薬から3年以内であれば、その除外規定があるわけでありますが、類似薬効比較方式(II)の除外規定である承認時期から3年以内というものについて、撤廃してはどうかということであります。

 2つ目、後発医薬品対策と考えられるような、次の要件に該当する医薬品については、既収載品より低い評価、具体的には100分の80を乗じた額ということにしてございますけれども、その要件としまして、1つ目、補正加算に該当しない、製造販売業者、主たる効能効果、薬理作用、投与形態、臨床上の位置づけが同一とみなされる既収載品があること、収載後5年以降に薬価収載されるものについて、低い評価としてはどうかということでございます。

 4つ目、新医療用配合剤ということで、配合剤の算定におきまして、臨床上併用されない単剤を組み合わせて比較薬とする場合は、それぞれの単剤の1日薬価を足し合わせた額を薬価の上限としてはどうかということの提案でございます。

 5つ目、新規後発医薬品でありますけれども、現行、新規後発の薬価につきましては、100分の6010品目を超える場合は100分の50ということでありますが、それにつきまして、先発品の100分の50、内用薬において、10品目以上の場合は、100分の40としてはどうかということであります。

 これにつきましては、中医協薬-1参考を見ていただければと思ってございます。

 これは前回の論点の中で、27年9月の薬価調査の結果を踏まえて、最終的に決定してはどうかということで示させていただきましたけれども、27年9月の薬価調査を上段にまとめてございます。

 その結果としまして、内用薬については、全体の28.3%の乖離率、0.6掛けが18%、0.5掛けが31.7%、注射薬につきましては、0.6掛けのものしかないわけでありますけれども、28.0%の乖離率であったということを示してございます。

 以上を踏まえまして、先ほどの提案にさせていただきました。

 中医協薬-1に戻っていただきまして、5番の続きですが、なお、バイオ後続品については、従前どおりです。

 あわせて、既に価格帯が形成されて、成分におくれて後発医薬品が収載されるものについては、原則として、最低の価格帯に合わせることにしてはどうかということであります。

 3ページ目であります。既収載医薬品の薬価改定であります。

 後発品でありますけれども、下から3行目、現行の最高価格を基準とした3価格帯を維持することとするが、28年改定後の薬価価格帯の状況を踏まえ、さらなる集約について、検討することとしてはどうかということであります。

 この3価格帯については、1、2、3に書いてございますが、最高価格を基準として、30%を下回るもの、3050%のもの、50%以上のものということで分けてはどうかということであります。

 2つ目、長期収載品でありますけれども、これはいわゆるZ2でありますが、後発医薬品のシェア目標を踏まえまして、30未満、30505070とその範囲を引き上げることとしてはどうかということでございます。

 3つ目、基礎的医薬品でありますけれども、基礎的医薬品につきまして、現行の不採算品再算定、最低薬価になる前の薬価を下支えする制度として位置づけ、28年改定においては、試行的な取り組みとする。下記の要件を満たす医薬品を対象として、その薬価についても、最も販売額が大きい銘柄の価格に集約をして、維持することとしてはどうかということでございます。

 1つ目の要件として、25年以上経過して、成分全体及び銘柄の乖離率が全ての平均乖離率以下ということであります。

 2つ目としまして、一般的なガイドラインに記載されて、広く医療機関で使用されている汎用性のあるもの。

 3つ目、過去の不採算品再算定品目、古くからの医療の基盤になっている病原生物に対する医薬品及び医療用麻薬を対象としてはどうかということであります。

 ページをめくっていただきまして「なお」といたしまして、基礎的医薬品の制度によらず、十分な収益性が見込まれる品目については、対象外とするとともに、基礎的医薬品として、薬価が維持されている間につきましては、継続的な安定供給を求めるということとしてはどうかということであります。

 4つ目、新薬創出・適応外薬解消等促進加算でありますけれども、その試行について継続してはどうか。薬価制度改革後も引き続き、未承認薬・適応外薬の開発の進捗状況を確認することに加えまして、研究開発の具体的成果について確認し、制度のあり方については、引き続き検討することとしてはどうかということであります。

 5つ目、市場拡大再算定でありますけれども、以下のいずれの要件ということで、2つほど要件を示してございますが、それらを満たす品目に対しては、特例的に市場拡大再算定の対象として、それぞれの基準倍率に応じた算定式にしてはどうかということでございます。

 1つ目で、年間販売額が1,000億円を超え1,500億円以下、かつ予想販売額の1.5倍以上の場合につきましては、ここに示してある数式に当てはめて、市場拡大再算定を行ってはどうかということであります。

 2つ目は、年間販売額が1,500億円を超えて、予想販売額が1.3倍以上の場合につきましても、同様でございます。

 価格の引き下げ率の限度については、1の場合は25%を最大として、2の場合は最大50%としてはどうかということであります。

 なお書きにありますけれども、イノベーションの評価と国民皆保険の維持を両立する観点から、特例再算定の類似品については、特例対象品を根拠に算定された品目に限ることとして、これらについては、次期薬価制度改革も引き続き検討することとしてはどうかということであります。

 最後に「第3 その他」といたしまして、現行の薬価制度につきましては、繰り返し改定されておりますので、その基準について、記載の簡素化を図ることとしてはどうかということでございます。

 説明は以上でございます。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関して、質問等がありましたら、お願いいたします。

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 中医協薬-1参考「後発医薬品の薬価について」という資料がありますが、前回たしか注射薬は乖離率が低いということをおっしゃっていたのですけれども、この結果を見ると、決して低くはない、高いのですが、これはどういうわけでしょうか。何かわかれば、教えてください。

○西村部会長

 専門委員の方、何かありますでしょうか。加茂谷専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 加茂谷でございます。

 注射薬がこれだけ大きな乖離になっていることにつきましては、私自身も非常に驚いております。どのような理由かということにつきましては、私どもの認識外の話でございますので、今の中川先生の質問には、お答えがしにくいという状況でございます。

 前回、示されたデータ並びに製造コスト等も勘案しながら、投与経路別に丁寧に検討をお願いしたいと、私から申し述べてきたわけでございますが、繰り返しになりますが、中医協薬-1参考データを見て、大変驚いているというのが正直なところでございます。

 このような乖離率の拡大と言いますのは、市場競争が加速した結果ではないかと考えておりますけれども、その一方で、後発医薬品の信頼性向上の妨げにもなりかねないものと非常に憂慮しているところでございます。そのような観点から、ここに示されたデータを深く重く受けとめ、ジェネリック製薬協会が、実態に基づかない要望をこれまでしてきたことについては、専門委員の立場から適切に対応するよう、協会には申し伝えたいと思っているところでございます。

 それを踏まえて、今般につきましては、今、事務局からお示しいただきました骨子案のとおり、進めていただきたいということを切にお願い申し上げたいと思います。

 以上です。

○西村部会長

 中川委員、続けてどうぞ。

○中川委員

 ありがとうございます。

 この結果を受けて、薬剤管理官、方針が変わったところとか、修正したところがあるのですか。

○西村部会長

 薬剤管理官、どうぞ。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 補足させていただきます。中医協薬-1参考でございますけれども、25年の薬価調査のときの注射薬について、13.8%でございました。これは1成分でありまして、その乖離率でありました。今回は、7成分ほどございましたので、成分が多かったということ、それから、市場の競争が激しかったということで、先ほど専門委員から申し上げていただきましたようなことになったかと思ってございます。

 それから、この結果を踏まえまして、方針については、いろんな御意見があったわけでありますけれども、内用薬と同様に、0.5掛けを基本にするということを、今回、提案させていただいたということでございます。

○中川委員

 わかりました。

○西村部会長

 ほかにございますでしょうか。松原謙二委員、どうぞ。

○松原謙二委員

 前回、日本と欧米の製薬会社の団体の方々に御意見を賜り、議論したところでございます。その中で、新薬創出加算は、患者さんにとって、新しいよい薬を早く出していただくようにするための加算であると同時に、もし市場に出たときには、再算定をして、それを適切にするということでございました。特に青天井の利益というのは、日本人には、余り適切ではないという感情がございます。これは文化でございます。前回、申しましたように、その文化を国民のために理解賜りましたことを、感謝申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○西村部会長

 御意見として、ありがとうございました。

 ほかにございますか。加茂谷専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 ただいまの松原先生の御意見に対しまして、私どももよく理解をしているところでございます。ここに記載のとおり、国民皆保険制度の維持というのは、業界にとりましても大変重要なこと、死守しなければならないことと認識しているところでございます。

 それを踏まえまして、4ページの「5.市場拡大再算定」の部分につきまして、専門委員の立場で意見を述べさせていただきたいと思います。

 1点は、文言の書きぶりでございますけれども、なお書き以下に「イノベーションの評価と国民皆保険の維持を両立する観点から」という記載がございます。122日に提示されました論点整理には、頭の部分に、「既存制度の延長線上ではなく、皆保険制度を維持するための例外的な制度と位置づけ」と記載をされていたわけでございます。

 そのような観点からいたしますと、なお書き以下にある国民皆保険の維持というのは、この表現だけを見ますと、特例再算定の類似品だけに係るような印象が、どうしても否めませんので、私どもといたしましては、国民皆保険制度の維持というのは、特例再算定全体に掛かる目的であることが明確になるように、ここの記載については、修正を含めて御検討いただけないかと、意見として申し上げます。

 それを踏まえて、今般、「巨額」という名称から、「特例再算定」という新たな名称になったわけでございますけれども、従前より私どもが主張しておりますように、市場規模拡大の事実のみをもって、薬価を引き下げるということは、妥当ではないというのが基本的な考え方でございます。その上で、今、松原先生も御指摘のとおり、国民皆保険制度の維持という観点につきましては、我々も重々認識をしておるところでございますので、今般、特例再算定を新設するというのであれば、例外的な別枠ルールとして、限定的な運用をお願いしたいと思っております。

 例えば薬価収載からかなりの年数を経過しているもの、あるいは過去に現行の市場拡大再算定ルールが適用され、価格がリセットされたようなものなどに、今般、新たに導入されます特例再算定を適用することは、本ルール導入の趣旨に合致しないのではないかと、私どもとしては認識をしております。そのような点も含めて、御検討を賜れればと思います。

 以上です。

○西村部会長

 薬剤管理官、どうぞ。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 前段の点につきましては、本制度について、イノベーションの評価と国民皆保険の維持を両立する観点ということについて、明記することは可能だと考えてございます。

○西村部会長

 事務局から補足説明をお願いします。

○大西医政局経済課長

 医政局経済課長でございます。

 ただいま専門委員からも御発言いただいたところでございますが、私のほうでも、内外の医薬品メーカーから、この制度について、イノベーションを阻害することについての懸念というのは、お聞きしているところでございます。

 1、2という形で示されている要件に該当する品目といたしましても、例えば急激に市場が拡大する品目、あるいは長期に渡って市場で評価された結果、売り上げを伸ばしている品目、近い将来、市場の減少が予測される品目、そういうものも含めて、さまざまな薬剤があり得るのではないかと考えております。

 一方、これまでの部会での御議論の経過もございましたが、売れ過ぎた場合に、いろんな薬剤について、軒並み再算定というわけではなくて、当該品目の浸透状況ですとか、有用性ですとか、そういったものも勘案をいただきまして、イノベーションの阻害につながらないような形で、この制度のあり方というものについて、御議論をお願いしたいと考えております。

 現在、市場拡大再算定という制度が既にあるわけですけれども、この上限が15%でございます。今回、25%、50%ということが提案されておりまして、仮に巨額に売れているということを割り引いて考えてみましても、これを急に25%、50%という水準で、大幅に引き下げたりしますと、企業活動に与える影響も非常に大きいという部分もございます。

 例えば企業にとって、その製品が収益の柱になっている場合、このような大幅な引き下げをしてしまうと、会社の経営そのものに深刻な影響を与えかねない部分もございます。こういう状況をこの場でも御勘案いただいた上で、御議論をいただきまして、例えば予見可能性ですとか、今回、新規導入でございますので、激変緩和という観点、制度の導入時期、対象品目の範囲、あるいは引き下げ率といったものについては、制度の導入の趣旨も踏まえつつ、なるべく限定的なものとなりますように、御検討をいただければと考えてございます。

 以上です。

○西村部会長

 松原委員、続けてどうぞ。

○松原謙二委員

 イノベーションにつきましては、新薬創出加算、これは随分議論してきたところであります。これをアクセルとして、やはりアクセルだけですと、車が暴走しますので、ブレーキの一環として、特例として設けると理解しておりますが、そのような理解でよろしゅうございますか。

○西村部会長

 薬剤管理官、どうぞ。

○中井薬剤管理官

 松原先生の御指摘のとおり、前回もこういった議論がございましたけれども、確かに幾つか、新薬創出加算については試行の継続ということでございますし、基礎的医薬品については、下支えということでございます。一方で、販売額が一定程度大きくなったものについて、ブレーキという表現を使っていいかどうかはわかりませんけれども、そういった趣旨で提案させていただいたということでございます。

○西村部会長

 松原委員、どうぞ。

○松原謙二委員

 私が申し上げているブレーキというのは、予想以上の利益、青天井の利益については、日本の社会というのは、それを適切だとは思わない風土、社会的な背景、そして、文化がございますので、そういったことを制度化したものである。単純な制度ではなく、私は文化であると思っております。よろしくお願いいたします。

○西村部会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 市場拡大再算定という呼び方と、特例再算定という言い方と、これからどういうふうに使い分けるのですか。

○西村部会長

 薬剤管理官、どうぞ。

○中井薬剤管理官

 市場拡大再算定というのは、既にルールがあるわけであります。従来、大幅な売り上げになったものということで、表現してございましたけれども、その中のうちの1、2の条件に当てはまるものについては、特例再算定という表現を使うということでございます。

○西村部会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 今、最初ですから、しっかりと共通認識を持つべきだと思います。営利企業の側から言うと、先ほど経済課長は売れ過ぎたと言いましたけれども、売れ過ぎたのではなくて、よく売れたのではないですか。よく売れて、利益を上げることに関しては、営利企業の立場からすると、それは全く問題ないこと、むしろ株主から褒められることです。それについては、私は理解を示したいと思います。

 さらに今、新薬メーカーは、グローバルメガファーマと呼ばれていて、国境がないのです。そういう中で、日本の公的医療保険制度下で、国民皆保険を維持するためのツールといいますか、調整弁、その役割を今後も果たすべきだということで、薬剤管理官が特例再算定という言葉を編み出したのだろうと理解したいと思います。そういう理解でないと、我々も納得しづらいのです。医薬業界の方も納得しづらいと思うので、そんな理解でよろしいでしょうか。専門委員どうですか。

○西村部会長

 加茂谷専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 重ねてお話をさせていただきたいと思います。今の中川先生のお言葉に対しては、全く異論はございません。私どもといたしましては、国民皆保険の維持という観点から、この再算定を新設するというのであれば、今、お話がございましたように、急激に市場が拡大した場合、あるいは皆保険制度の維持に大きな影響を与えかねない品目に限定をして、運用をお願いしたいということを切に要望いたします。

○西村部会長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 前回の業界からの意見陳述の際も、市場拡大再算定に対して、同じ意見を述べさせていただきましたが、企業としての立場は理解しますが、市場拡大再算定は国民皆保険の維持という点からも必要な制度だと思います。財源には限りがあり、その財源は、患者の自己負担と保険料と国費から賄っているので、その中で、薬価においても公的価格を用いて、国が全体として調整をしている仕組みです。イノベーションの観点では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算で評価されており、下支えの観点からも、最低薬価制度や今回提案された基礎的医薬品の制度も検討されておりますので、上限を設けるということも当然検討していくべきだと思います。国民皆保険制度を維持するための仕組みということで、ご理解いただきたいと思います。

○西村部会長

 ありがとうございました。

 ほかの点について、御意見はございませんでしょうか。加茂谷専門委員、どうぞ。

○加茂谷専門委員

 専門委員の立場で、骨子案の1ページ目の記載にございます、先駆け審査指定加算について、一言意見を述べたいと思います。

 今般、このような形で、薬事承認と薬価が良い関係を持って進めていくという、新しいスキームについては、業界としても同意をするものでございますが、先駆け審査指定の対象となった医薬品はこれから臨床試験等々が行われることになりますので、承認されるまでの間、数年を要するというのが現実の姿かと思います。現在、承認申請している薬ですとか、あるいは臨床試験がほぼ終了して、申請直前の品目、こういう品目は、先駆け審査指定の対象そのものから外れる状況にございます。そういった意味から言いますと、先駆け審査指定の対象からは外れてしまったけれども、いわゆる旧来の要件である、我が国で先駆けて開発され、新規作用機序により新たな治療手段となる、そして、国民の健康保持のために非常に大きな有用な薬剤というのも、今後、出てくる可能性もございます。

 そういった観点から、例えば、次期改定までに2年間ございますけれども、経過措置的なルールといたしまして、現行ルールを併存といいますか、存続をさせていただけないかという点について、御検討をいただきたく、意見として申し述べたいと思います。

 以上です。

○西村部会長

 薬剤管理官、どうぞ。

○中井薬剤管理官

 薬剤管理官でございます。

 ご提案のこれまでの先駆導入加算と併用するということは、ルールの根幹でありますので、御議論いただければと思います。その上で、先ほど専門委員の御指摘の点につきましては、今までも薬価算定組織において、ポイント制といった議論もございましたし、薬価算定組織が特に認めるものということで、加算をつけた上で、もちろん中医協においてお諮りするというルールになってございますが、そういったことであれば、運用としては、対応は可能ということでございます。ただ、仮に併用するということであれば、しっかりここで御議論いただきたいと思ってございます。

○西村部会長

 今の点について、御意見ございませんでしょうか。併存するかどうかです。特に御意見はないですか。わかりました。

 それでは、ほかの点について、何か御質問、御意見などはございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、本日の議論を踏まえまして、次回、次期薬価制度改革の骨子案を事務局にまとめていただき、内容を確認した上で、総会に報告することにしたいと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○西村部会長

 それでは、本日の予定された議題は以上です。

 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

○宮嵜医療課長

 どうもありがとうございました。

 引き続き、準備ができ次第、保険医療材料専門部会を開催できればと思いますので、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第114回議事録(2015年12月16日)

ページの先頭へ戻る