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2015年9月2日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

○日時

平成27年9月2日(水)17:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

荒 川 義 弘、 小野寺 雅 史、 小 幡 純 子、◎川 西   徹、
楠 岡 英 雄、 斎 藤   泉、 佐 藤 陽 治、 杉 山   肇、
鈴 木 邦 彦、 中 島 美砂子、 新 見 伸 吾、 俣 野 哲 朗、
森 尾 友 宏、 森 川 裕 子 
(注)◎部会長 ○部会長代理
参考人(3名)

欠席委員(3名)五十音順

○神 田 忠 仁、 津 田 知 幸、 横 田 恭 子

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和  彦 (審査管理課長)
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審議役)
 他

○議事

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 定刻5分前ですが、「薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、今回新たに御参加いただく先生方がおられます。私から御紹介を申し上げます。最初に小野寺雅史委員です。

○小野寺委員 国立成育医療研究センター成育遺伝の小野寺です。主に遺伝子治療をやっていまして、このような会に参加できたことを非常に光栄だと思います。よろしくお願いいたします。

○参事官 ありがとうございます。続きまして杉山肇委員です。

○杉山委員 神奈川リハビリテーション病院の杉山と申します。専門は整形外科で、再生医療のリハビリに一部絡んでいますが、直接携わってはいません。不慣れですがよろしくお願いいたします。

○参事官 ありがとうございます。本日は部会委員17名のうち14名の御出席をいただいていますので、定足数を満たしていることを御報告させていただきます。それでは、始めていきたいと思いますが、よろしければカメラ撮りはこの辺りまでと思っています。

 それでは、最初に今日お配りしている資料で、議事に入る前に利益相反に係る調査をさせていただきまして、それについて先般公表させていただきました。その関係について、御報告をしたいと思います。利益相反に関する御申告の内容については、非常に詳細なことについて、先生方に何度もお聞きしました。その御協力に感謝を申し上げたいと思います。本部会における確認結果については、前回の部会でも簡潔に御報告をさせていただきましたが、薬事分科会の部会、調査会全体における調査結果について、6月5日に公表していますので、まずは資料9に基づいて御説明をさせていただきます。よろしくお願いします。

○事務局 当日配布資料のNo.9を御覧ください。厚生労働省のプレスリリースです。1枚めくっていただいて下の方、四角に囲まれた「参考」という所がありますが、こちらが分科会の規程、審議会参加規程です。薬事に関する企業の役員ですとか、定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合は辞任。また、寄附金の申告の対象ですが、対象年度は開催年度を含む過去3年間のうち、受領額が最も多い年度となっています。また、寄附金・契約金等の受領がある場合の会議への参加ですが、500万円を超える場合は審議には加わらない(退室)50万円を超えて500万円以下である場合は、議決には加わらない。50万円以下の場合は審議にも議決にも参加できるとなっています。

 1枚目にお戻りいただいて、まず今回の事案ですが、一つ目は「薬事に関する企業の顧問等への就任の事実の判明」です。薬事分科会委員8名が、薬事に関する企業の役職員、又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していた事実が判明しました。これらの8名の委員については辞任いただきました。本部会の委員3名についても、薬事に関する企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任していたとして、御辞任いただいたところです。

 また、()の申告誤りですが、昨年度開催した審議会について、寄附金・契約金等の申告内容を確認しましたところ、8名の委員に関して「受領なし又は50万円以下の受領」と申告されていたものが、正しくは「50万円を超えて500万円以下の受領」であったことが判明しました。このために、本来議決には参加できない委員が、議決に参加していた事例がありました。

()です。「50万円以下の受領について過少申告であった事例」ですが、同じく16名の委員について「受領なし」と申告されていたものが、正しくは「50万円以下の受領」であったことが判明しました。

 2.の今後の対応ですが、既に御案内のとおり、寄附金・契約金等の申告内容を、製造販売業者に確認する運用を試行的に開始しています。また、申告内容の見直しを行っているところです。更に企業の顧問等に就任した場合の辞任や申告対象年度、家族の受領分も申告することなどの規程の重要事項に関しては、会議開催の度に注意喚起をさせていただくこととしています。今回も先生方にいろいろな資料を送付させていただいたと思いますが、自己点検に御活用いただきますようお願いいたします。

 また、こういった事例が発生しましたのは、事務局による規程の内容の周知徹底、委員就任時の確認が不十分であったことも一因であると考えていまして、審議会の事務局として至らなかったことをお詫び申し上げます。また、先生方におかれましては、今後とも規程の遵守に御協力いただきますようお願いいたします。以上です。

○参事官 ありがとうございます。以上の説明について、何か御意見や御質問などがありましたらお願いします。よろしければ、これより議事に入っていきたいと思います。以後の進行を川西部会長にお願いいたします。

○川西部会長 それでは、まず事務局から配布資料の確認と、競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表及び当部会委員の名簿を配布しています。また、配布資料として、議事次第に記載されている資料1から資料5-2までをあらかじめお送りしています。このほか、当日配布資料として、資料6「専門委員リスト」、資料7「競合品目・競合企業リスト」、資料8「ハートシートについての正誤表」、資料9「薬事・食品衛生審議会薬事分科会における審議参加の取扱い等について」、資料10「薬事法改正で再生医療等製品の特性を踏まえ導入された規定」、資料11「ヒト(自己)骨格筋由来細胞シートの使用要件等の基準について(素案)」、加えまして参考資料1、2を配布しています。資料に不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料7を御覧ください。まず議題1のテムセルHS注ですが、本申請品目は造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病を対象とする再生医療等製品であり、競合品目はサイモグロブリン点滴静注用25mgとしています。次に議題2のハートシートですが、本申請品目は虚血性心疾患による重症心不全を対象とする再生医療等製品であり、競合品目はありません。最後に議題3のHVT-NDV/F株ですが、本申請品目は鶏マレック病及びニューカッスル病を対象として、鶏に接種する動物用医薬品であり、競合品目はセルミューンNとしております。

 続きまして、各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1、テムセルHS注、退室委員はなし、議決に参加しない委員もなしです。議題2、ハートシート、退室委員はなし、議決に参加しない委員もなしです。議題3、HVT-NDV/F株、退室委員はなし、議決に参加しない委員もなしです。

 なお、本日の審議事項の申請品目については、先ほど事務局から御説明しましたとおり、寄附金・契約金等の申告に係る運用の見直しに沿って、あらかじめ御同意をいただいた先生については、寄附金等の状況を申請企業に確認したことを申し添えます。以上です。

○川西部会長 よろしいでしょうか。それでは、議題に入りたいと思います。まず議題1、再生医療等製品「テムセルHS注」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否について。本議題の審議に当たりましては、参考人として社会福祉法人聖霊会聖霊病院病院長の森下剛久先生に御出席いただいています。よろしくお願いいたします。今回は初めて再生医療等製品の製造販売承認の可否を審議することとなりますので、まず制度の概要について、事務局から簡単に説明させていただきます。よろしくお願いします。

○事務局 当日配布資料の10を御覧ください。iPS細胞等による再生医療は革新的な医療として実用化に向けた国民の期待が高い一方で、安全性への課題が存在していました。このために、安全性を確保しつつ迅速な実用化が図られるよう、ヒトの細胞を用いるというような再生医療製品の特性を踏まえた制度を設けることが必要とされました。このような背景を受け、昨年の11月に改正薬事法が施行され、再生医療製品を法律上、医薬品・医療機器とは別個に定義付けたところです。

 また、併せて条件・期限付承認制度というものを導入しました。この制度においては、再生医療製品について、有効性が推定され、安全性が確認されれば、条件・期限付で特別に早期に承認する仕組みです。この場合、承認後に安全性や有効性を改めて検証します。この制度における条件としては、下にありますが、例えば販売先を専門的な医師や設備を有する医療機関等に限定することや、期限に関しては原則として7年を超えない範囲の期限を想定しています。期限が付された承認については、再度、承認申請を行うことが必要で、審査において改めて承認を行うか、若しくは条件・期限付承認を執行するかの判断をすることとしています。資料については以上です。

○川西部会長 これについて、まず何か聞いておきたいことはありますか。ないようでしたら、続いて1番目の審議品目の概要についてPMDAから説明をお願いします。

○機構 議題1、資料No.1、テムセルHS注の製造販売承認の可否等について機構より御説明します。まず、当日配布資料6を御覧ください。資料にお示しした4人の専門委員に本品の専門協議に御参加いただき、御意見を頂きました。

 品目の概要について説明いたします。最初のタブ、審査報告書5ページの2.1.「申請品目の概要」を御覧ください。本品は、健康成人の骨髄由来間葉系幹細胞を培養し、増殖させたヒト体性幹細胞加工製品であり、点滴で静脈内投与する細胞懸濁液のバッグ製品です。参考までに製品サンプルを回覧いたしますので御確認ください。本品は、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病において副腎皮質ステロイド剤による一次治療に抵抗性を示す患者の治療を目的として開発されました。以降、急性移植片対宿主病については急性GVHDと略させていただきます。

2.1.「申請品目の概要」の二段落目を御覧ください。本品の作用機序について御説明します。間葉系幹細胞は、T細胞の活性化レベルを低下させて免疫反応を抑制することが知られています。本品については、in vitroでの試験結果より炎症部位への遊走能及びプロスタグランジンE2及びキヌレニンの分泌を介したT細胞の増殖抑制等の免疫調整作用によりGVHDを抑制すると考えられています。

2.2.「開発の経緯等」を御覧ください。本品は米国のOsiris Therapeutics Inc.が開発したヒト同種骨髄由来間葉系幹細胞製品Prochymalの製造方法を申請者が技術導入し、本邦で開発を行ったものです。Prochymalについては、2012年5月にカナダにおいて、同年6月にニュージーランドにおいて、小児の急性GVHD治療薬として承認を取得しています。なお、本品については、造血幹細胞を移植後の急性GVHD患者を対象として、2013年に希少疾病用再生医療等製品に指定されています。

 続きまして、審査の概略について御説明いたします。製造方法並びに規格及び試験方法等、安定性の詳細は審査報告書6ページから記載しております。品質に関する審査の論点を御説明いたします。審査報告書15ページ、3.4.2.「ベリフィケーションの実施について」の項を御覧ください。本品の製造工程は、ドナーの骨髄液から重要中間体であるドナーセルバンクを作るDCB工程と、そのドナーセルバンクから最終製品に含まれる合成細胞を作るPD工程及び最終製品化する製品製造工程の三つで構成されています。いずれの工程においても、実生産スケールでの製造工程の評価が実施されていますが、製造工程の評価においてドナーセルバンクの規格不適合が複数認められており、申請者は、ドナーごとの骨髄液の品質のばらつきに起因すると考察しています。そのため、本品製造において、原料である骨髄液に起因する品質の変動を制御することは難しいと考え、製品ごとに製品の品質管理ができるアプローチを採用することが必要と判断しました。以上を踏まえ、予期しない変動を管理し、本品の目的とする製品品質が製造ごとに確保できることを確認できるように、審査報告書1519ページにお示しする表3.10-1から表3. 12のとおり、製造パラメータ、工程内管理試験、規格試験を追加設定して品質を管理させることとしました。

 続いて、非臨床について御説明いたします。非臨床試験の詳細は審査報告書2026ページにまとめておりますので御覧ください。効能・効果に係る本品の作用機序は、冒頭で述べさせていただいたとおりですが、非臨床安全性試験成績も含めて、提出された資料に特段の問題は認められませんでした。

 続いて、臨床試験について御説明いたします。審査報告書27ページを御覧ください。本品の主な臨床試験に関する資料として、副腎皮質ステロイド剤による、一次治療に抵抗性を示す急性GVHDのグレード II IV の患者を対象に実施した国内第 I / II 相試験及びその継続試験並びに副腎皮質ステロイド剤による、一次治療に抵抗性を示す急性GVHDのグレード III 及び IV の患者を対象に実施した国内第 II / III 相試験の成績が提出されました。有効性については、審査報告書36ページの表8.9を御覧ください。国内第 II / III 相試験であるJR-031-301試験は、非盲検・非対照試験として実施され、主要評価項目である28日間以上継続する完全反応、以下、完全反応についてはCRと略させていただきますが、これを達成した被験者は25例中12例で、点推定値は48%でしたが、95%信頼区間の加減値は27.8%となり、事前に設定した閾値奏功率30%を下回っていました。審査報告書37ページ下段から38ページにこの結果を踏まえた機構の評価を記載しております。

JR-031-301試験においては、事前に設定した閾値奏功割合に基づく有効性検証は達成されませんでした。その原因として、事前に設定した閾値奏功割合は海外の類似製品、先ほど御説明しましたProchymalを用いた280試験において、既存の二次治療が実施された対照群の成績29.7%を参考に設定されたものでしたが、急性GVHDのグレーディングについては、国内外の分類の定義に差異があり、JR-031-301試験の対象となった患者の重症度を考慮すると、結果的に閾値の設定が適切になされていなかった可能性があると考えられました。実際にProchymal280試験における対照群である既存の二次治療群をJR-031-301試験と急性GVHDの重症度が同様となるように抽出した結果、審査報告書36ページ、表8.9に示しますとおり、既存の二次治療群における28日間以上継続するCRの達成割合は51例中11例で21.6%と算出されています。

 以上の可能性に加えて、急性GVHDは重篤な疾患であり、一次治療不応例や再燃例に対する標準的な二次治療は現時点で確立されていないこと、本品を投与することで、主要評価項目を達成した被験者が認められたこと及び、主要評価項目を達成した被験者の割合は、既存の二次治療薬であるサイモグロブリン又はミコフェノール酸モフェチルの28日間以上継続するCRを達成した割合に関する文献報告値に劣らない成績であることを踏まえて総合的に評価した結果、JR-031-301試験において、本品の一定の有効性が示されたと判断しました。

 次に、本品の安全性について御説明いたします。安全性については審査報告書38ページ中段からの8.5.3.「安全性について」を御覧ください。本品の使用に際して注意を有する有害事象としては、国内第 I / II 相試験及び継続試験として実施されているJR-031-201試験、202試験及び国内第 II / III 試験であるJR-031-301試験において死亡を含む重篤な有害事象、並びにProchymalを用いて実施された280試験で対照群と比較してProchymal群で発現割合が高かった有害事象等である肝機能障害、感染症、原疾患の再発、原疾患以外の悪性腫瘍の増殖促進リスク、造腫瘍性及びがん化のリスク、同種細胞を静脈内投与した際のリスク、胃腸出血、皮膚障害、電解質異常、高血糖、高血圧及び腎機能障害であると判断しました。これらの有害事象については、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血幹細胞移植に関する十分な知識・経験を持つ医師の下で、適切な臨床検査や、必要に応じて関連する専門医と連携し治療が行える体制下で投与されるのであれば忍容可能であると判断しました。なお、本品の臨床試験成績は限られていることから、製造販売後には、再審査期間中の全症例を対象とし、本品の安全性情報等の収集を目的とする使用成績調査を実施することとしております。

 以上の審査の結果、機構は審査報告書1ページに示す承認条件を付した上で本品を承認して差し支えないと判断し、本再生医療等製品・生物由来技術部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、同種の骨髄由来間葉系幹細胞を原料とする再生医療等製品であることから、指定再生医療等製品に該当し、希少疾病用再生医療等製品に指定された新再生医療等製品であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断しました。なお、薬事分科会においては報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○川西部会長 それではまず、参考人の森下先生の方から何かこれについて、追加的なことでも結構ですし、御意見がありましたらよろしくお願いします。

○森下参考人 聖霊病院の森下といいます。よろしくお願いします。急性GVHDの重症度の高い III IV 度に分類されるもの、特に標準治療であるステロイドに抵抗性のGVHDの治療というのは、現場では非常に難渋しております。これまで、保険適用のある薬剤はATGのみでしたが、それに加えて選択肢が増えることが現場の強い希望であったことは事実です。

 この薬剤が、果たしてこの状況を変え得る画期的なものであるかどうかということに関しては、現時点では分からないというのが結論だとは思います。ただ、最終的に効果があった症例があることと、短期間ではありますが、生存率から考えると、対象とする重症のGVHD患者さんには恩恵があるのではないかと考えておりますが、安全性も含めて、機構と同様に、非常に慎重な対応が必要であろうと考えております。

○川西部会長 ありがとうございました。あと、森下先生には適宜、御発言していただければと思います。今の森下先生のお話も含めて、委員の先生方から御質問、御意見がありましたらお願いします。

○小野寺委員 成育の小野寺です。何点か教えてほしいのですが、ドナーによってかなりばらつきがあるということなのですが、このばらつきというものはドナーの選択法によるものなのですか、つまり、どのような方がドナーとなり、その際どういう形でその方をドナーとして選択しているのかを教えていただきたいのが1点目です。

○機構 機構より御回答させていただきます。ドナーの選択法に関しては、審査報告書7ページを御覧ください。表3.2及び表3.3に「ドナーセレクション」及び「ドナーのスクリーニング方法」という所で記載しております。ドナーについては、こういった検査をクリアしたドナーのみが選択されて、本品の原材料の骨髄を提供されます。

○小野寺委員 これらドナーは□□□□ですか。

○機構 いいえ。これについては□□□□となっています。

○小野寺委員 今後も確実にこれら細胞は入手可能であると考えているのですか。

○機構 はい。現在ではそういう回答を頂いております。

○小野寺委員 もう1点としては、この治療は非常に特殊な治療であり、確かに保険適用となったとしても、いろいろな病院で実施可能という訳にはいかないと思うので、実際は実施可能な病院は限られてくると思います。ただ、最終的には全例での臨床経過を報告するという形になると思うので、フォローアップに関して、例えば関連学会は本治療に関してどう考えられているのでしょうか。

○機構 本品に関しては、既に造血幹細胞移植自体が造血細胞移植学会の方でTRUMP2というデータベースを用いて、移植に関するデータを収集されています。そういった学会の協力なしにこの市販後調査は成り立たないと考えており、機構としましても、あるいは申請者としましても、学会との連携を図ろうというところで学会に協力をお願いしているところです。学会からは情報収集も含めて協力は頂けるとお返事を頂いております。詳細については、これからまた市販に向けて最終的に詰めをするという形をとっております。

○森尾委員 ベリフィケーションのことなのですが、工程内管理項目をしっかり決められて検査されて、本当にしっかりした指導をされていると感じました。その中で、例えば品質特性を示すもの、製品特性を示すものですが、恐らくこういう製剤というのは、どうして効いているかというところ自体が、まだ科学的に検証されていない。そういう中で、重要中間体試験や工程内管理試験の中で、□□□□□ということで□□□□□□□などを調べていらっしゃいますが、恐らくエクソソームやほかのものもある。この辺りに関する設定というのは、申請者側の方々のある程度の設定に従っていくのか、あるいはこれから科学的にいろいろなものが分かってきたときに追加して加えていくのか、その辺りの揺らぎや進歩によるような変更ということに関して、いかがでしょうか。

○機構 現状設定させていただいているものについては、機構と申請者でディスカッションした内容を踏まえて設定させていただいており、審査報告書の内容で作用機序と御説明した内容については、ある程度反映されていると思います。

 今後、科学の進歩によってその設定が変わり得るかということに関しては、もちろん必要があれば変わり得るというところですので、今後、申請者の方でそういう情報収集に努めていただき、必要があれば機構ともディスカッションした上で、この設定を変えていく必要性について、議論したいと思います。

○森尾委員 ありがとうございます。もう1点なのですが、Prochymalの作り方から、幾度か改変、改変とされている。どこら辺まで改変されたときに工程管理項目というものをチェックしていくかということに関して、一変で済む内容は、これからやってみないと分からないと思うのですが、これから想定されていくと思うのです。その辺りに関するお考えをお伺いできたらと思います。

○機構 御質問の趣旨としましては、一変の中でどこまでディスカッションするかということでしょうか。

○森尾委員 はい。

○機構 一変に関しては、先生のおっしゃるとおり、作用機序がなかなか明らかになってこないというところですので、何をどう変えれば、どこまで評価しなければいけないかというのは、変更の程度に応じてディスカッションしなければならないと思っております。Prochymalから製造工程の改変を繰り返して本品の製造方法に至っておりますが、その過程でも、実際の工程内管理試験など規格試験については一定程度合致するということについては確認されていますが、最終的に原材料の品質特性が明らかになっていないためにロットアウトが発生しております。その辺りについては先生のおっしゃるとおり、今後やってみないと分からないところはありますが、慎重に申請者と議論させていただきながら、どこまで変えられるのか、どういうところであれば何を評価すれば変えていけるのかというところは今後の課題としてディスカッションさせていただければと思います。

○森尾委員 ありがとうございました。

○俣野委員 DCBの規格等試験等において、ウイルスの検査なども入っているとは思われるのですが、ここの記載内容からだけでは、例えばHIV等、非常に多様性があるウイルスについて、それを確実に拾えるようなシステムで検査しているかどうかがちょっと判明できないのです。その辺りはどういうふうになっているのでしょうか。

○機構 現状で、ここに記載させていただいているPCR法に関しては、一般的に広く知られているHIVなどのウイルスに関してやられている方法を採っておりますので、厳密にどこまで、多様性まで全て確認できるかというところについては、どういう改変が入ってくるかにもよりますので分からないところはありますが、少なくとも一番多くの多様性のあるものを検出できるような系というところで採択されていますので、一定程度否定はできるかと思います。

○俣野委員 HIVの場合は特に多様性のことがありますので、そういう検出系においては、やはりそれに配慮した、要するにほとんどのものはこれで全部検出できるというものでは基本的にはない場合が十分有り得ます。そういうことを配慮していると、ここに記載しているような記載の仕方にならないのではないかと思うのです。要するに、配慮していることが分かるような記載の仕方になっていないのではないかと思われるのです。

○機構 このドナーのスクリーニングに関しては、基本的には血液製剤で通常取っているドナースクリーニング、プラス。

○俣野委員 ドナーのスクリーニングの方は問題ないと思うのですが、今度、製品の方のチェック欄があるじゃないですか、そこの部分の検査法の記載の仕方のことを申し上げています。

○機構 単にPCR法と書いてある部分では十分に分からないという御指摘でしょうか。

○俣野委員 はい。

○機構 分かりました。この辺りについては、申請者の方に対しても、このPCR法の内容についてもう少し詳細に記載するようにということで指示をさせていただきたいと思います。

○小幡委員 念のための確認ですが、総合評価の所にありますが、10年の再審査期間ですが、これは期限付承認というのではなくて、23条の29の方の再審査期間を10年にしたという理解でよろしいでしょうか。

○参事官 はい。このテムセルについては、私どもの提案とさせていただいているのは、これまでほかの医薬品や医療機器でやっていますが、通常の承認でどうかということで今回は上呈させていただいています。

○小幡委員 分かりました。

○川西部会長 私から少しマニアックになってしまうのですが、この製造承認申請書の性質なのですが、これで見ていますと、かぎ括弧を使ったり、目標値、一変対象、軽微変更対象等を表す印が付けられています。この辺りは何か、私自身は今の段階で縛らないとならないというのは分かるのですが、これは今までの医薬品の製造販売承認申請書と考えると、意外とこれだけガチガチにすると、現場は困る部分が恐らく出てくるのだろうなと思うのです。これからの検討課題だと思うのですが、その辺りをどういう考え方で今回作ったのか、確認させていただきたいのです。例えばバイオ医薬品等々の承認申請書に沿って、取りあえずは作ってみたというところなのですか。

○機構 機構より御説明させていただきます。基本的には部会長がおっしゃられるとおり、まず参考となるものは通常の医薬品あるいは医療機器の承認書も含めて、そういう既存のものを参考にしてまず原型を作っていくというところが基本になるかと思います。その上で、ベリフィケーションの手法を採用しているというところからしますと、ある程度品質が担保できるように、できるだけベリフィケーションの手法の中でチェックしなければならないところについては書いていくというところが基本になってくるかと思いますので、今のような承認書の作りになって、できるだけ書くというところになっています。ただし、ベリフィケーションの手法自体が、これを半永久的に行っていくという訳ではなくて、一定程度情報が貯まってきて、プロセスバリデーションに切り換えられるのであれば、切り換えるというタイミングも出てくるかと思います。その際にはまた、もう少し簡略化して、重要なパラメータのみ、あるいは変動要因をきちんと管理できるものというところに落とし込まれていくかと思います。あくまでこれは現時点で頂いた資料を踏まえた結果として、こういう申請書の作り方をさせていただいております。

○川西部会長 この辺りは、ある部分試行的な部分もあるけれども、恐らく今の状態だと、基本的にはガチガチに縛るような外見をとっていかないと心配な部分もあると思いますから、それ自体は賛成なのですが。これがまた、すごくストリクトに査察等々のときにやり始めると、また大変な部分もあって、しばらく柔軟な対応が必要なのではないかという印象を受けました。

○機構 御指摘ありがとうございます。その辺りに関しては、審査だけではなくて実際の調査を担当する部署等とも協力しながら対応していきたいと思います。

○川西部会長 ほかにありますか。安全性に関わる部分や、有効性の部分はまだちょっと、それなりのデータということのようですが、いかがでしょうか。

○新見委員 外国での臨床試験の位置付けなのですが、これは通常の医薬品と同じように、単なる参考資料として見るのか、それとも民族差がないような感じで、ある程度医療機器のような感じで、参考資料よりももう少しグレードが高いような資料として扱っていくのか、その辺りの再生医療に関するデータの取り扱い方はどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。

○機構 機構より御回答させていただきます。再生医療等製品全体に広げて御回答するのはなかなか困難かと思っておりますので、本品目に限って回答させていただきます。まず本品目のProchymalに関するデータについては参考という位置付けになっています。通常の医薬品と同じように、あくまでも類似製品のデータというところで参考資料になっています。本品に関しては、細胞を静脈注射することに伴うリスクについてはそれを参考にして評価することも可能であろうということで、安全性評価には用いさせていただいておりますが、有効性の評価に関しては、あくまで本品を用いた臨床試験のデータというところで評価させていただいております。

 似たような製品は数多く今後承認申請されることもあるかもしれませんが、そのときに関しては、今回のProchymalと同じような場合が当てはまるかどうか分かりませんので、また改めて品目ごとに議論させていただければと思います。

○川西部会長 ほかにありますか。

 特にないようでしたら議題1の議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、条件・期限付承認に該当せず、10年間の再審査の指定の対象としてよろしいでしょうか。その二つを併せてということですが、いかがでしょうか。特に御異議がないようですので、そのような議決にさせていただきます。本日の審議結果については、次の薬事分科会において報告することとします。ありがとうございます。これで議題1は終了いたします。

 議題1が終了しましたので、参考人の森下先生は退出いただいても構いません。もし次の議題もお聞きになりたいということであれば、それはそれで結構です。どうもありがとうございます。

 議題2に移ります。議題2は、再生医療等製品ハートシートの製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否についてです。この資料2の議題に関しての審議については、参考人として自治医科大学附属さいたま医療センターの副センター長の安達秀雄先生、鳥取大学医学部附属病院副病院長の山本一博先生に御出席いただいております。よろしくお願いします。

 まずは審議品目の概要についてPMDAから説明をお願いします。

○機構 議題2、資料2、ハートシートの製造販売承認の可否、条件及び期限の要否等について、機構より御説明いたします。まずは、本日机上配布させていただきました資料6の裏面を御覧ください。そちらにお示しいたしましたとおり、本品の専門協議には、6名の専門委員に御参加いただいております。また、同じく本日机上配布させていただきました資料8の正誤表にありますとおり、承認申請書、添付資料概要及び審査報告書に一部修正がありましたので、御確認ください。以上の修正はありましたが、審査の結論に影響するものではありません。謹んでお詫び申し上げます。

 それでは、本論に移ります。まず、品目の概要について御説明いたします。資料2の審査報告書の6ページの2.1.申請品目の概要を御覧ください。本品は、患者自身から採取した骨格筋に含まれる骨格筋芽細胞を、体外で培養して増殖させた細胞懸濁液をチューブに凍結させたヒト体性幹細胞加工製品です。医療機関にて同梱されている温度応答性培養皿等の副構成体を用いてシート上に調製して、患者の心臓表面に外科的に適用することにより使用されます。承認申請書の一番後ろを開いていただきますと、添付文書の案がありますが、そちらの前に別紙12と書かれている所に、製品の写真があります。また、今、担当の者が参考までに製品サンプルを回覧しておりますので、そちらも是非御確認ください。

 審査報告書に戻ります。本品は、申請時の効能・効果又は性能を虚血性心疾患で重症心不全となった患者の病態の維持又は改善として、製造販売承認申請されました。再度、審査報告書の6ページ2.1.項を御覧ください。本品の作用機序に関して、現時点において本品から産生される生理活性物質による薬理作用等の詳細は明らかにされておりませんが、動物試験で骨格筋芽細胞シートによる左室収縮能の改善効果が確認されております。

 続いて、同ページ2.2.開発の経緯等の項を御覧ください。いずれの国、地域においても、自己骨格筋芽細胞を用いた心不全治療製品の承認、販売実績はありません。

 続いて、本申請に関する審査の概要について御説明いたします。まず、品質です。製造方法並びに規格及び試験方法等安定性の詳細は、審査報告書の7ページ~20ページに取りまとめておりますので、御覧ください。そこの審査上の論点を御説明いたします。審査報告書の13ページを御覧ください。3.3.1.ベリフィケーションの実施についての項です。本品は、凍結した細胞懸濁液と医療現場で行うシート調製作業のための培地等を含む各種材料より構成されているため、各構成体の製造工程が含まれております。細胞懸濁液の製造には、原料である患者自身の骨格筋を用いるため、患者ごとに原料の品質が変動することとなり、製造工程パラメータの最適化の検証は技術的に極めて難しいと申請者は説明しております。そのため、原料に起因する製造ごとの予期しない変動を管理し、本品の目的とする製品品質を出荷ごとに確保するために、製造時の品質管理として、製造、出荷ごとに慎重に行うアプローチを採用する必要があると考えました。その際、管理項目、規格項目として、どのような項目を設定するかについては、製造実績及び臨床使用経験が限られていたことから、審査の段階で本品製造において管理すべき重要なパラメータとして、本品の有効性及び安全性を反映する重要な項目を特定して絞り込むことは難しい状況でした。

 次に、審査報告書の6061ページを御覧ください。こちらの表9.4にお示しいたしますとおり、本品の品質で影響が想定される製造工程パラメータ、工程内管理試験、規格試験を追加設定して品質を管理することが必要であると判断いたしました。品質については以上です。

 次に、非臨床について御説明いたします。非臨床試験の詳細は、審査報告書の20ページから25ページに取りまとめておりますので御覧ください。製品の機序については、冒頭で申し上げましたとおり、その詳細は明らかにはされておりませんが、動物試験において心機能の改善は認められていることから、骨格筋が細胞シートから産生される生理活性物質と有効性の安全性との関係については、市販後の先ほどの品質管理の枠組みの中で引き続き検討を行う予定です。非臨床、安全性に関しては、特段の安全性上の懸念は認められておりません。非臨床については以上です。

 次に、臨床について御説明いたします。審査報告書の25ページを御覧ください。本品の臨床評価に関する評価資料として、既存治療で効果不十分な虚血性心疾患による重症心不全患者7例に対し、本品を適用した国内臨床試験1試験の成績が提出されました。また、参考資料として、技術導入元で行われた二つの国内臨床研究の成績が提出されております。まず、有効性について御説明いたします。審査報告書32ページの表8.7を御覧ください。7例にシートを移植した結果、主要評価項目である心プールシンチグラフィによる左室駆出率、以下LVEFと略されていただきます。そのLVEFが改善と判定された被験者は認められなかったものの、7例中5例が維持と判定されました。また、本治験の対象患者は、心機能の進行性の低下が想定されるような重症心不全患者であり、7例中5例でLVEFの変化量が維持と判定されていることは、本品が臨床的に有効である可能性を示唆しているものと考えています。

 次に、審査報告書の3536ページ、表8.10及び表8.11を御覧ください。本品を適用された各被験者について、心機能評価や運動耐容能の成績に基づく総合的な評価を行ったところ、本品で臨床的な改善が示唆された被験者が、少なくとも4例は存在していました。総合評価に利用した副次評価項目の中には、測定者によるバイアスの懸念及び自覚症状に基づく項目があるため、その評価には限界があるものの、本細胞シート適用後に臨床的に改善が認められた被験者も存在することを示す成績であったとは考えております。更に、審査報告書38ページ、図8.1及び8.2を御覧ください。本治験の対象患者と同様の疾患背景を有する重症心不全患者として、心臓再同期療法、以下CRTと略させていただきますが、そのCRTが導入された患者から構成されるデータベースを用いて、マッチングにより抽出した症例と本治験の対象患者の臨床経過の比較考察を行いました。本治験の対象患者における心血管イベント再入院回避率や心臓死回避率は、少なくとも当該CRT導入患者群の成績に劣るものではないと考えられ、本品の有効性が臨床的に期待できることを示唆するものと判断しております。

 以上の結果を踏まえ、本品は標準的な薬物使用が奏効しない重症心不全患者に対して、一定程度の有効性が期待できる可能性はあると考えます。本品の有効性に係る情報は限定的であること、本品の適用に際し、侵襲を伴う処置が必要となることから、本品使用のリスクベネフィットバランスを踏まえると、引き続き重症心不全患者に対する有効性評価を行うことが必要と考えております。

 次に、本品の安全性について説明いたします。安全性については、審査報告書の39ページ、8.3.3.安全性についてを御覧ください。機構は、本品の使用に際しては、心不全の増悪、不整脈、局所感染、その他開胸手術及び手術手技に伴う例えば収縮性心不全による拡張障害、局所炎症、それに伴う心嚢液貯留、冠動脈への影響、癒着等を含むようなリスク。そして、腫瘍形成及び二次性悪性腫瘍発現リスク並びに骨格筋採取に起因する事象。例えば、創合併症や処置後腫張等について、注意が必要と考えております。この点に対して、緊急時に十分対応できる医療機関において本品の使用に関し申請者が実施する講習会を受講した重症心不全及び開胸手術に関する十分な知識、経験を持つ医師の下で、周術期管理等の適切な対応が可能な体制下で本品を使用することが必要であり、これらについて適切な対応が取られるのであれば、本品の安全性については認容可能であると判断いたしました。

 なお、具体的な基準は、日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会、日本循環器病学会及び日本再生医療学会の4学会で御議論いただいているところで、素案はお手元に机上配布させていただきました資料11のとおりです。

 次に、製造販売後の評価計画について御説明いたします。審査報告書5758ページを御覧ください。表9.1に、本品の有効性評価計画の骨子()を示しております。本評価計画は、使用成績調査により得られた本品適用後の生命予後等を外部対照と比較して評価するデザインです。次の表9.2の骨子()を御覧ください。外部対照については、本品の適用に該当するが、本品を使用しなかった症例の生命予後等を同時期に前向きに収集する計画です。本来であれば、生命予後は無作為化した同時比較対照群を設定して評価することが適切と考えます。しかし、本品の医療現場での使用が可能となった段階では、無作為化比較臨床試験の実施が困難になることが想定され、外部対照との比較を行うことでやむを得ないと考えております。主要評価項目として設定された心臓疾患関連死までの期間は、一般診療下で評価可能であること、評価に当たり、患者や評価者の主観、施設間差といったバイアスが生じないと考えられるハードエンドポイントであることから、使用成績調査においても一定の評価は可能と考えます。なお、心臓疾患関連死のイベント発生が少なかった場合等、これらの評価の項目により有効性を厳密に評価することが困難な場合は、心血管イベントによる入院イベント数や、心機能としてLVEFを用いた評価も実施する計画としております。また、有効性評価の情報収集と並行して、安全性の情報も本品適用目的として骨格筋が採取された全例に対して収集することとしております。

 以上の計画に基づき、今後本品の有効性評価を適切に実施することを前提とするのであれば、現段階の評価結果に基づいて現時点で承認することは可能と考えております。

 以上の審査の結果、機構は改めて本品の有効性評価を適切に行うことを条件とし、期限を付した上で承認して差し支えないと判断し、本再生医療等製品・生物由来技術部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。有効性評価計画の実施に必要な期間を考慮し、改めて申請する期限は5年が適当と考えております。また、本品は患者自身の骨格筋芽細胞を原料とする製品であること等から、指定再生医療等製品への指定は不要と判断いたしました。なお、薬事分科会には報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○川西部会長 それでは、まず参考人の先生から、今の機構の説明に対してでも結構ですので、コメントを頂ければと思います。

○安達参考人 自治医科大学の安達です。審査報告書53ページに書いてありますように、標準的な薬物治療や外科的治療が奏効しない重症心不全患者というのは、かなりいらっしゃる訳ですよね。皆さん御存知のとおり、重症の患者で心不全で適用があれば心臓移植、あるいは植込型の人工心臓を適用する訳ですが、その適用基準も非常に厳しいですし、また心臓移植のドナーを得ることが非常に難しい状況なので、もしそのような重症心不全患者に対して有効な他の治療方法があれば、それは非常に大きな福音になるだろうとは思います。

 ただ、今の説明にもありましたように、実際に臨床に使用した例は7例ということで、非常に少ないのですね。ですから、通常の私どもが考える有意差がある有効性の判断でいきますと、かなり限定的といいますか、限られた条件の中で判断せざるを得ないと思います。配布いただいた資料の10にありますように、有効性が推定された安全性が確認されれば、その条件及び期限付きで早期に承認するという方向性であれば、そういうこともあるかなと思い、いろいろ見させていただきました。

 実際問題として、この53ページにありますように、今回の国内治験の主要評価項目である心プールシンチグラフィですが、このうち7例中5例が維持ということで、2例が悪化ということですので、これをもって十分有効であるとは断定できないのだろうと思います。悪化していない症例が5例あるということですので、一定の有効性はあった可能性はあるということだと思います。それから、同様のCRTが導入されたデータベースから抽出された疾患背景を有する症例との予後の比較ですが、これもよく読んでみますと、今回のこの7例に関しては虚血性の心臓病がほとんどの内容ですが、このCRTの導入された心不全患者は、いわゆる拡張型心筋症や心筋症の患者が多いものですから、厳密な比較も難しいということで、その点からいきますと、確実な有効性を断定するまでには至らない。推定は可能かなとは思います。

 それから、この細胞シート自体は患者自身の骨格筋を培養して使用しているということで、そういう点ではほかの人のものを使っている訳ではないので、その点での有用性、安全性は非常に有利な点かとは思います。有効性に関しては、引き続き使われた後ももう少し多数の症例でチェックする必要があると思っております。以上です。

○川西部会長 山本先生、いかがでしょうか。

○山本参考人 鳥取大学の山本です。私自身は、循環器の内科を専門にしております。私どもの施設でも、植込型の補助人工心臓を入れる認可を受けているのですが、あれも65歳までということで、65歳を超えた方はもう移植の適用がない。それは、イコール植込型の補助人工心臓の適用もないということになります。この虚血性心疾患というのは、結構その辺りの年齢の方が多くて、そういう方に対して治療に難渋することが少なくないという現状を考えますと、こういう新しい診療の手段が増えてくることは、臨床現場にとっては非常に朗報であると思います。

 先ほどの有効性の評価の所では、心プールシンチのEFというものが主要項目になっているのですが、心プールシンチもバックグラウンドを何パーセントまで削るかということで、やはり多少値に問題があるということと、例えばT01-03で、心プールでは10%EFが下がっているのですが、心エコーでは逆に増えていると、そして、CTではほぼ変わらないとなっています。この三つのことを考えると、逆に10%下がっているという評価の方が、私たちが日常診療でこの三つのツールを合わせて考えたときには問題かと思います。

 そしてあとは、心不全の患者の自覚症状はEFだけで決まっている訳ではありませんので、やはりトータルとして患者の自覚症状の改善がNYHA等で得られているということは、これは心不全の診療をやっている者にとっては非常に大きいことです。特に、先ほど申し上げましたように、65歳を超えてくるような方で、日常の生活が非常に困ってしまうと、今度は家族にいろいろな負担がかかってきます。それは、こういうところの評価には全く出てきませんが、私たちが見ていますと非常に家族の生活も壊しています。自覚症状の改善が得られるだけでも、患者に対して家族がかける手間が省かれてくるということで、そういう意味でもこういう新しい治療ツールが出てくることは重要だと思います。

 そういう意味で、実は今後の市販の中での評価項目がEFや別に心不全をこれだけで規定している訳ではない評価項目になっているというのが私は問題かと思います。自覚症状というものは、確かに主観的ではあるのですが、先ほど言いました日常の生活の中でどこまで患者ができるようになったかということは非常に重要なことです。確かに今それを客観的に評価するツールがないのですが、実は循環器の内科でいろいろな新しい治療手段の有効性を見るときに、そういう患者の自覚症状というものを複合的に見ることは、結構よく行われるようになってきていますので、そのようなことも是非今後評価をしていただいて、この新しい治療法の有効性を考える上で加味していただければと思います。

○川西部会長 ありがとうございます。多分、治療の一つのツールとしてこういうものを導入することには意味があるけれども、引き続いて妥当な評価、マーカー等々の検討も含めて、評価を引き続きやったらということだったと思いますが、PMDAの方から、今の参考人のお二人の先生からのコメントについて何かございますか。

○機構 ありがとうございます。PMDAでございます。本品、非常に評価の難しい品目ということは全くおっしゃるとおりでございます。やはりこの細胞自体が自己由来であって、かなり患者ごとに細胞の性質にばらつきがあるというような条件、これは今回、法律を制定した正しく意義の部分であると思います。そういった部分があって、かつ、重症心不全の方々の治験を実施すると、治験というレベルできちんとしたデータを取っていくということも、なかなか症例が集まりにくい。さらに細胞シート加工施設でないと治験ができないという条件の中で、7例という極めて少ない症例の中で評価をせざるを得なかったという点は、今回の評価の限界であったろうと思っております。

 特に今回、先ほどの1品目の製品と比べまして、7例で統計的な部分での有効性がクリアに示せていない。むしろ、これは個別症例ごとに先生方にじっくりと見ていただいて、実際、臨床上の意義があるかということを御判断いただいている形のものですので、これについては市販後も引き続き情報収集していく。特に今、山本先生からも御指摘を頂きましたけれども、いわゆる市販後の延命の部分ですとか、左室駆出率の状況だけでなく、今回、市販後の計画ではNYHAの機能分類といった部分についても情報収集をしっかりとしていきたいと、そういう形で企業の方に対しても指導していきたいと思っていますので、何卒、御審議のほどよろしくお願いしたいと思っています。

○川西部会長 ということですが、今のコメントを含めて、委員の先生方から何かございますか。

○楠岡委員 私も循環器内科医でして、非常に評価が難しいのは間違いがないと思います。特にこれが薬の場合だと、かつては駆出率の改善というような、いわゆるサロゲートエンドポイントで承認されていたものが、今は余命の延長が図れるかどうかというようなところに変わってきているので、そういう意味では確かに、もしこれが薬であればこの評価法では不十分という話になると思いますが、製品の特性から考えると、現状ではこういうようなやり方しかないと思います。ただ、市販後のフォローアップにおいて対照データを得るのはかなり難しいと言いますか、先ほども少しありましたが、心不全の中にもいろいろなものが混じり込んでいますから、本当にここでの対象になっている虚血性心疾患による心不全と同等の患者さんであるのかどうか。それから再入院イベントというのはかなりいい加減な評価指標で、例えば再入院させるか、させないかは主治医の判断みたいなところがありますから、そういうものではなく、余命という絶対的なものを見ざるを得ないと思います。こういう患者さんの場合、場合によっては途中で心臓移植になったり、先ほどのようなペースメーカー治療を行うとか、これだけでずっとそのまま終わる訳ではなく、次々、いろいろなものが追加されていく可能性もあり、そういう意味で評価が非常に難しいのを理解した上で、こういう形で認めるかどうかということになってくると思います。そういう点では、一応、5年間という期間が付いていますけれども、本当に5年間で結論が出るのかどうか、ちょっと難しいなという感じは受けています。

○川西部会長 今の楠岡先生のコメントについては、PMDAからはいかがでしょうか。

○機構 機構からお答えいたします。確かにこの計画を練るに当たって、特に対照群も含めてですが、実施可能性というものは問題になりました。しかし、本品は使用に当たって医療機関であるとか医師の条件を満たすことが求められていて、技術的要件等に加えてシート調製の製造施設等も必要になるような製品です。したがって、本品を使える施設というものは限られているが故に、他所の医療機関で情報を得られるのではないかと思っていますが、確かに、おっしゃるとおり施設間差のバイアスというものは確実に存在するかと思います。そういったものについて、できる限り診療の判断みたいなところについては、ある程度許容した上でと言いますか、考えた上で評価しつつも、患者さんの背景といったものについては、例えば傾向スコア等を使うといった、できるだけ比較可能性を担保していくような形を取っていってもらおうかとは思っています。

 加えて、先生のおっしゃるとおり、そういった心血管イベント評価の問題等があることから、我々も心臓血管関連死を第一に置くべきだと考えています。あと、当然長いこと評価していくに当たって別の治療法の介入というものも、おっしゃるとおりあるかと思います。今のところ、例えばLVADの移植であるとか心移植になったケースにおいては、どういうふうに評価するかということは考えていましたが、ほかの治療が行われた場合においてはどういうふうに整理していくのかということについてまでは骨子では含めていませんので、そちらについては、今後、メーカーと決められるところについては決めていきたいと考えています。

○荒川委員 私も楠岡先生の御指摘は同じように感じていました。もう一つ、今回、外部対照は施設ブロック割付けという形になるということですが、そこは先ほどの入院等の問題はもちろんありますけれども、それ以外、本当にこういったデザインが可能なのか。その辺の協力をしていただける施設の見込みはあるのでしょうか。その辺も含めて、逆に言うとランダム化が本当にできなかったのか。それから、並行して通常使用も可能になるという中で本当にこの症例集積ができるのか。その辺の見込みを教えていただきたいのです。

○機構 ありがとうございます。機構の方からお答えいたします。いろいろと市販後の試験とか調査にも限界がございます。この製品の場合ですと、例えば同じ施設の中で対照を置いて、同時対照で仮に市販後の調査・試験を実施しようとした場合に、その患者さんに対してこの治療法があるということで、どうしても同じ施設内ですと選択バイアスが、対照群と実施群に掛かってくる可能性もあるだろうというところをだいぶ議論して参りました。そういう形もございまして、今回は外部施設での対照を置くというような形で、この市販後計画を作る中での議論をしてきたところです。

 そういう話になって参りますと、いろいろな施設間差が出てくる部分がございますが、一応、今、市販後の調査計画を作っている企業では、5年間で約120例の症例を何とか集められるのではないかと。そこで、恐らくこの製品の方の使用群が5年間で60例ということで、1:2ぐらいでマッチングを掛けるような形で、今、実施計画を作っています。そこはPMDAが自らこの調査を実施する訳ではないので、企業の現状、計画でいろいろな医療機関とも交渉されていると聞いていますけれども、そこは取りあえず当面は信じて対応をお願いしようと考えているところです。

○荒川委員 どうしても、かつての外部対照というか、ヒストリカルコントロール等のレトロスペクティブかもしれませんけれども、なかなか症例マッチングが難しいという事例が多いように思います。ですから、どうしてもこういうものが承認されると、こういうものを使った方が適している患者さんはどんどん入る。逆に適さない患者さんが他の治療を受けるということになって、そこのバイアスの方が、むしろ大きいのではないかという気がします。

○機構 そういう点を何とか回避するということで、施設内で対照を置くということではなく、外部というような考え方に至ったところです。こういった先進医療製品について、市販後にレトロスペクティブに解析をした形でデータを収集していくというのは、国際的にも大変課題になっています。EU等でもATMPという本制度と同様の対象での制度の中で、市販後に対してレトロスペクティブに検証していこうという形でのレギュレーションを作っていますが、やはり各国規制当局もこの部分については、特に患者さんが少ない重症な領域においては苦労している点です。ただ、こういう先進医療製品を承認していくという中では、越えていかなければならない課題だろうとは思っていますので、是非、現場の方々にも御協力を頂きながら情報収集をさせていただきたいと思っています。

○鈴木委員 幾つか質問があります。本製品は再生医療等製品の規定で、資料10を見ますと、それに該当するということで条件及び期限付承認制度の対象にすることになっています。その理由としては、再生医療等製品が均質でないからとなっていますが、本製品の有効性についてはそれ以前のレベルではないかという気がします。均質でないことが、はっきりとした有効性を示せない理由だということにはどういう根拠があるのか、教えていただきたいということが一つございます。

 それと、審査報告書等を見ますと、対象は標準的な薬物療法や外科療法が奏効しない重症心不全患者ということですが、外科的治療は難しいかもしれませんけれども、標準的でなくても薬物療法とか他に何か治療法がないのかどうか。それについては専門の先生もいらっしゃるので、是非、教えていただきたいと思います。

それから作用機序についての話が全然ありませんけれども、何となく訳が分からないけれど効いたような感じもするというような程度で、科学的であって科学的でないような気もします。その辺のメカニズムについてはどのように考えておられるのか、その3点についてお答えいただけますでしょうか。

○機構 機構でございます。一番初めの御質問ですけれども、製品の均質性の部分の観点です。本品は自己由来細胞を用いて製造する製品で、確かに品質パラメータから見ますと、ロットという言葉を使うのがいいのか分かりませんが、製造単位ごとに品質パラメータ自体が全く一緒になるということはありません。今回、臨床データ等で品質の均質性以前の問題ではないかという御指摘も頂いていますが、製品の性質が揃っている例えば化学的な医薬品であれば、生体とのインターラクションも、もう少し均一に出てくる部分はあるだろうということですが、本製品での直接的な証明はありませんが、今回の臨床試験の中で副次的評価項目もありますけれども、そういうものの数字がばらついているという部分については、品質部分の影響も否定はできないのではないかと考えているところです。

○機構 続きまして二つ目の御質問で、標準的な薬物治療とはどういうものかというところですが、効能・効果で書かせていただいています標準的な薬物治療と申しますのは。

○鈴木委員 標準的以外を聞いているのです。

○機構 標準以外ということですが、我々としましてはまずは、この標準的な薬物治療というものの説明をさせていただきたいと思います。各患者さんによって使える薬剤、使えない薬剤等があると思いますが、使える薬剤については、その疾患と病態の背景がいろいろあるかと思いますので、その患者さんに対して使えるものは全部使っていただきたいという意図です。標準的でない薬物になるのであれば、それは基本的に患者さんに使えない薬剤ということですから、そういったものまで使っていただくほどのものでないだろうと思っています。

 三つ目のメカニズムについてですが、本品は細胞治療ということで、技術導入元の方では本品はどういう効果が示せるのか調べているようです。実際、添付資料の方にも論文等を引いていて、細胞から出すサイトカイン等の影響等々が有効性に寄与しているのではないか等といった説明はありますが、細胞治療で例えばサイトカインが効くというのであれば、本来ならそのサイトカインだけ投与すればいいとなりますけれども、一つのサイトカインだけを例えばノックダウンして移植したとしても、恐らく同じような結果が出るだろうなと思われます。つまり本品は生きた細胞を移植するということで、細胞と心筋とのインターラクション等々によって恐らく有効性を示すのだろうと思うと、作用機序を一つのものとして記述するのが難しいところではあります。今後も品質評価等とともに、今回、サイトカインの影響だという説明がなされるのであれば、今後もそういった情報は引き続き取っていただき、できる限りそういった情報を集めた上で、何らかの形で説明できるようにしてほしいところではあります。本申請において、薬理作用の説明としては、そういった分子的なところからは説明されていませんが、ブタ試験等でも移植した結果、心機能に影響を与えたというところもありますので、現時点においてはこれでも差し支えないだろうという判断です。

○鈴木委員 二つ目三つ目に対してのお答えは、そういうことであれば更にそれは使いながらでも調べていってほしいと思います。最初の質問については、要するに均質でないことをもって、有効性が十分でないことの隠れ蓑にしないようにしないと、結局、いろいろな方面からの要請があるのでしょうが、価格もかなり高いものになるのでしょうし、製品として効かなければ売れませんし、成長産業にもなりませんから、手間暇掛けるだけ無駄ということにもなりかねません。そこはしっかりやっていただいて、製品の数だけ出ても産業として成り立たないということにならないようにしていただきたいと思います。

○機構 御指摘、ありがとうございます。今、先生がおっしゃったとおりで、この製品は例数を集めてみるということ。7例ということではなく、そういった品質の影響が本当に影響しているかどうかというところも含めて、これから60例なり何なり、もう少し大きい例数できちんとしたデータを出していくことによって、恐らく御懸念の部分は検証されていくだろうということですから、何卒、よろしくお願いしたいと思います。

○小野寺委員 基本的に、市販後は本治療を全て保険薬として行うのですか。同時に治験を平行して行うということはありませんか。

○参事官 保険の適用がどうなるかは、またこれからのお話ですけれども、もし保険適用された場合には、市販後調査の方はその中でやられていくことになると思います。

○小野寺委員 分かりました。先ほど、今後、5年間で150名と言われましたか。

○機構 対照は120例です。

○小野寺委員 本治験で7症例だったものが、そこまで集まると予測可能でしょうか。

○機構 本品は60例です。

○小野寺委員 5年間で60例ですか。

○機構 大体、年間2030例ぐらいの使用見込みということで我々は聞いています。

○小野寺委員 この数は実施可能な数ということでしょうか。

○機構 これは我々、どのぐらい実際に使われるかということにつきましては、なかなかデータがあるものではございませんので、そこは申請企業の方の推測というものを、ここでお話させていただいている限りでございます。

○川西部会長 ほかにございますか。

○新見委員 先ほどの細胞の均質でないということですが、特に心臓に対する治療というのは骨髄由来のステムセルとかたくさんやられていて、例えば年齢の問題とか原疾患の問題など、いろいろマイナスファクターがあるということはかなり明らかになりつつあるので、そういうことも考えてどういうふうな人が適格か。いわゆる活きの良い細胞はどんな人が持っているかということも考えながら、治療計画というのをやっていただけたらいいのかなと思います。

 あと治療のメカニズムですが、これ自身はシートでペタッと貼って何週間かすると落ちてしまうということで、結局、それは細胞がインテグレーションしないというふうに考えると、先ほど説明のあったようなサイトカインが出て、周りの組織、心臓の方に行って再生を促すというのは非常にリーズナブルかなと思いますし、先ほどお話がありましたけれども、複数のサイトカインを入れれば治療効果を及ぼすというのは動物モデルでもかなりやられているので、かなり信憑性があるのではないかと私自身は思っています。

○機構 ありがとうございます。一番初めの方の年齢差といった個人差みたいなものについてですが、確かにそういった点はあるかと思います。一応、治験において今回得られた症例を基に、言ってみればその製品を基に規格を作り、それに対しての工程内管理項目等を設定していますので、治験の製品と同等のものを使っていただくという形で今のところ設定しています。

○森尾委員 荒川委員、楠岡委員に対して機構がお答えになっていたことですが、重症疾患でも治療がヘテロであったりとか、希少な重症疾患だと、なかなか対照群を置いて前向きができない。そうすると後ろ向きも許容されることもあるかもしれない。ヒストリカルコントロールを置くということがあるかもしれない。そうなってくると、しっかりしたデータを集めたデータの質を担保した上でのレジストリーみたいなものが必要になってくるだろうと。これは全ての疾患にある訳ではなく、また特に希少疾患でもあるものとないものがあるという状態で、ここら辺は将来的な展望ということでスコープが外れるかもしれませんが、機構の考え方をお聞かせいただけたらと思っています。

○機構 ありがとうございます。先生の御指摘はもっともでございまして、レジストリーの整備というのは我々も課題だろうと思っています。例えば今回の申請に関する評価の中で、東京大学の先ほどのデータを対照とみなして評価をさせていただきましたけれども、今回のケースもレジストリーというものが、もし広くアベイラブルな状況であれば、もう少し今回の事例にマッチした形での対照群の設定をしたような形で、この治験自体も評価ができたのではないかと思っています。これは一企業のみに負荷を掛けるものでもありませんし、また、そういったデータを集める臨床の方々の多大なる努力というものも当然ある訳で、なかなか一朝一夕にはできないというのも事実です。ただ、PMDAとしましては、厚生労働省からの補助事業における疾患レジストリーの構築というものも、今、課題として挙がっています。そういう中で、今、御指摘いただいた問題も将来的に解決できるような方策があるかということを、改めて我々も検討して参りたいと思いますので、また御支援のほどよろしくお願いしたいと思います。

○森尾委員 ありがとうございます。非常に心強い限りだと思います。まず再生医療レジストリーの中でその対象疾患のレジストリーというか情報を一緒に集めていくことが必要になってきますし、全ての疾患のレジストリーとはまた別の話になると思います。かなり早い段階から、そういうデータが集められるようになれば、また相談の早い段階から対照群設定ができれば、苦労が少しでも軽減されるのかなという気がいたしました。ありがとうございます。

○川西部会長 ありがとうございます。

○楠岡委員 1点、質問です。最近のニュースで心筋シートの医師主導治験が始まったというニュースがあったのですが、その治験で行われているものと、この製品とはどういう違いがあるのか分かれば教えていただけますか。

○機構 あちらは医師主導治験ということですけれども、基本的に本品の技術導入元で行われている治験と理解しています。お答えになっていますでしょうか。ですから、製品としてはほぼ同じものでございますが、こちらの添付資料概要にも書かせていただいたとおり、審査の中で原材料等も変更してきたりもしますので、厳密な意味で同じものと言えるかどうかは、今後、その製品が仮に審査に来た段階でまた議論することになると理解しています。

○機構 治験中の情報については企業秘密という点もございまして、なかなか外部の方にお話することはできませんけれども、新しい治験として新たに実施される治験ということですと、今、申し上げたのは製品自体に例えば変更があるか、若しくは対象疾患自体が本品とは異なるものを対象に実施されているか、恐らくその二つのうちのどちらかということになろうかと思います。詳細については申し訳ありません。こちらの方からは回答できませんので御容赦いただければと思います。

○中島委員 一つ教えていただきたいのですが、こちらの製品がシート状になっていないで凍結保存細胞で、それを医療機関でシートにする理由について、わざわざシートを輸送されるのではなく、凍結細胞製品にされている理由というのを教えていただければと思います。今後、歯根膜シートとかを歯科でも使う可能性がありますので。

○機構 本品においては、細胞シートの状態では凍結保管できません。輸送時の物理的外力に耐えることができないという点と、あと構成細胞が筋芽細胞であるということから、シート状態で長時間保持すると筋管形成が分化するという問題があります。そういった細胞の特性が変化することから、シート調製後、速やかに本品は移植しなければならない製品であったという点、あと最後、本品の場合ですと細胞懸濁液から細胞シートの調製までの手順がきちんと確立されて、医療現場でも実施可能となるようシート調製のための材料の提供体制が整備されたという点、並びに実施者に向けた講習会の開催であるとか取扱説明書をきちんと作成するという点から、本品はそういうふうな製品の形態であったとしても世の中に出せるのではないかと判断いたしました。

○佐藤委員 関連して、細胞シートを調製する医療機関の施設の基準ですが、これは薬局の構造施設基準に準ずるものと考えていいのかということ。それから、適用する際に行う事項として各操作は無菌的に行うということですが、無菌的のそのレベル感というのはどの程度と考えていらっしゃるか教えてください。

○機構 今の御質問についてですが、医療機関の中で今回、細胞培養のいわゆるシート化を行うということで、先ほどの当日配布資料11の中でも、今、学会と御相談しながら、使用要件の中で施設についての要件も明確にしていく作業をしているところです。ここにも具体的に幾つかポイントとして、CO2インキュベーターとか遠心機といった部分を書いていますが、医療施設の中というのは薬事法の適用にならない世界で、直接的に薬局等構造設備規則が適用できる場所ではありません。したがって、例えば再生医療安全確保法の下で施設要件に合った部分とか、そういうCPCが恐らくこの中では選ばれていくことになると思います。再生医療安全確保法における構造設備等の基準も、薬局等構造設備規則に類似する形で作っていますので、そういう中で製造時の品質保証もしていくという考え方です。

○川西部会長 ありがとうございます。これを認めるとして、その後のことに関していろいろな御意見が出ていたと思います。その点は、もしここで認められた場合に課題かと思いますが、それ以外にここで認めるか認めないか、あるいは条件に関して何かコメントはございますか。私の方から、今、眺めていて思ったことですが、また形式張ったことで申し訳ありません。私、医療機器のことはよく知らないので申し訳ないのですが、取扱説明書、添付書類の意味合いというのは、どちらかと言うと採用するお医者さんのための説明書ということでしょうか。それとも患者さんがこれを見るという話でしょうか。

○機構 こちらにつきましては、黄色のタブの承認申請書の一番後ろの所に添付文書が付いています。この添付文書の1ページの所にありますとおり、添付文書は医療現場の方々に対するメッセージですから、医療現場の方々が使う取扱説明書ということです。今回、取扱説明書の中には移植に関してのところの説明もありますし、シートの調製に関してのものも含めています。

○川西部会長 それは別途あるということ。

○機構 別途用意します。

○川西部会長 分かりました。それだったら了解です。例えばシートの有効期間とかを本体の方にいろいろ説明してありますけれども、この取扱説明書にそういうことがないので、これだけだと一体どういう情報なのかなと思いましたが、それが別途あるということでしたら了解です。ありがとうございます。ほかに何かございますか。

○小幡委員 これは薬事法改正で条件付期限付承認ということだと思います。要するに7例しかないけれども、5年間で蓄積をして、また改めて承認を求めろという話だと思います。有効性が推定され安全性が確認されていればということで、推定のところは7例しかないので専門の先生方の御議論がありましたように、これはまだ推定でしかないけれども、ここで条件付で承認をして、安全性については私も全然素人で分かりませんが、御自分の細胞から採ったということ。あとは条件でしっかりした医療機関が、資料11であったようなきちんとした条件でやられるということで、安全性は確認できるという理解でよろしいのでしょうか。確認です。

○機構 安全性につきましては、非臨床の動物実験のデータ等も参考にということ。あと、これまでやられてきた臨床研究等の情報も参考にということで、これまで検討してきています。

○参事官 今の先生の御指摘に関して、正しく今回の御提案の趣旨は条件及び期限付承認制度の法改正で入れられ、それに基づいた承認ということでお話を申し上げているところです。審査報告書の1ページを御覧いただいて、いろいろ御議論があると思います。7例でそれの症例をどう見るのかということがありますが、全体としての審査結果を御覧いただきたいと思います。審査報告書1ページの一番下の所に[審査結果]と書いてあります。提出された資料から総合的に評価した結果うんぬんとあり、この標準的な薬物療法や外科的治療が奏効しない重症心不全患者に対して、本品の一定の有効性は期待でき安全性は許容可能と判断する。これが全体としての総合評価というふうに御覧いただきたいと思います。

 今回、7症例ということですけれども、私どもとしてはこれまでのオーファンドラッグやオーファンデバイスといった、希少疾病の医薬品、医療機器の場合でも非常に症例数が少ない中で、どうしても判断していかなければいけないというものだと思います。今回のものも、重症心不全の方で既存の治療がなかなかうまくいかないという方が対象ですので、そういったものと比較して考えてみますと、それの一定の有効性は期待できるということで、今回、上程させていただいているということも併せて申し上げたいと思います。

○川西部会長 あと5年間ということで、これはやりましょうということがそこに付け加わるという判断かと思います。

○楠岡委員 あと市販後の試験の内容で、症例数として60120という見込みですけれども、どういうフィックスの仕方をするのか。最低限120なのか。もし60の方が80100といく場合には対照群もそれに応じて、その倍は用意するようにとか、症例数に関しても何か条件を付けるのでしょうか。

○機構 これは目標症例数で最初の60例ということですので、これより多く集めてはいけないということではありませんし、もちろん症例をたくさん集める努力は企業にもしていただくということです。

○楠岡委員 対照群の方も。

○機構 同様でございます。

○楠岡委員 それに合わせて、倍は確保していただくというような。

○機構 そういう努力をするということです。

○川西部会長 なかなか微妙なところがあるようですが、今、御意見でいろいろ出たようなことを大いに参考にしていただいて考えていただくと、そういう前提で議決に入りたいと思います。一応、今の新法の第2326に当てはまる条件及び期限付承認ということで、承認を可としてよろしいかということですけれども、御異議がある先生はおられますか。では条件5年は、一応、お認めいただいたということ。今、機構から説明していただいたことに加えて、各委員から御指摘があった点を考慮していただき、条件をメーカー側とつめていただきたいと思います。ということで、お認めいただいたということにさせていただきます。この審議結果については次の薬事分科会において報告することとします。ありがとうございます。長時間になりましたが、非常に重要な問題でしたのでお許しいただければと思います。議題2が終了しましたので、参考人の先生におかれましては引き続きいていただいても結構ですし退席いただいても構いません。

 議題3に移らせていただきます。これは、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認についてです。それでは、議題3に入ります。まずは審議品目の概要について、事務局の方から説明をお願いします。よろしくお願いします。

○農林水産省 農林水産省の方から御説明させていただきます。審議事項の議題3、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく、動物用遺伝子組換え技術応用医薬品の第一種使用規程の承認について、ニューカッスル病ウイルス由来F蛋白質遺伝子導入七面鳥ヘルペスウイルスHVT-NDV/F株について御説明します。事前に配布した赤の資料No.3を御用意ください。まず、「申請書」というタグが付いているページをお開きください。よろしいでしょうか。これが今回の第一種規程の承認申請書となっております。ここに記載されているとおり、申請者は株式会社インターベットという、動物用医薬品の製造販売業者です。

 次のページを御覧ください。今回の遺伝子組換え生物の名称が詳しく記載されております。遺伝子組換え生物等の第一種使用等の内容です。今回御審議いただく遺伝子組換え生物ですが、鶏の感染症であるニューカッスル病、及び、同じく鶏の感染症のマレック病という疾病があります。それの生ワクチンに用いるという下で、その運搬管理、医薬品医療機器法に基づく治験、承認申請書に従った使用等の目的で使用することとなっております。

 続きまして、「生物多様性影響評価書」というタグをお開きください。申請の概要についてはこの多様性評価書に基づいて説明させていただきます。 I 生物多様性影響の評価に当たり収集した情報の1で、「宿主又は宿主の属する分類学上の種に関する情報」と書かれております。ここから6ページにかけて、本遺伝子組換え生物の宿主に関する情報が記載されております。本遺伝子組換え生物の宿主は、英国において、健康な七面鳥の血液から分離された、七面鳥ヘルペスウイルス、PB1株です。鶏のマレック病の生ワクチンの製造用株として既に使用されております。その製造ですが、一般的な七面鳥のヘルペスウイルス株と同様とされております。七面鳥のヘルペスウイルスの本来の保有宿主動物は七面鳥でして、一般的に病原性は有しておりません。また、鶏、うずら、コウライキジにおいては実験的に感染が確認されておりますが、その感受性は七面鳥に比べて低く、一部の個体に感染性が成立したとしても群内に感染が拡大して維持されるようなことはなく、病原性も示さないことは推察されております。

 続きまして、7~9ページにかけて、供与核酸、本遺伝子組換え生物の調整等に関する情報が記載されております。供与核酸は、ラウス肉腫ウイルスに由来するLTRプロモーターが約600bp、あと、鶏の感染症の病原体である、ニューカッスル病のウイルスに由来するF蛋白質遺伝子が約1,800bpとなっております。供与核酸については全塩基配列が明らかになっております。

 続きまして、9~12ページにかけて、本遺伝子組換え生物と、宿主又は宿主の属する分類学上の種との相違に関する情報が記載されております。本遺伝子組換え生物と宿主との特性の違いは、まず1点目、本遺伝子組換え生物は、宿主ウイルスのUs領域にF蛋白質発現カセットが挿入されております。その挿入部位にあった機能不明の遺伝子はORF2と言いまして、そこは途中で破壊されておりますが、それによる表現型の変化はないとされております。

 2点目ですが、本遺伝子組換え生物はニューカッスル病ウイルスのF蛋白質を発現しております。ニューカッスル病ウイルスは人畜共通感染症の病原体でもあり、結膜炎の症状を起こすものですが、F蛋白質に毒性があるとの報告はありません。また、組換えに使用した供与核酸中のORFについて検索した結果、ORFから蛋白質が翻訳される可能性は否定できませんでしたが、鶏を用いた病原性の確認試験から確認された有害物質の産生、意図されない性質の発現はないものと考えられます。なお、HVT-NDV/F株、この遺伝子組換え微生物ですが、この株を含んだ鶏用のワクチンは、海外では2007年から販売されておりまして、既に345,000万ドース以上が使用されております。接種した鳥や周辺の環境、又は食肉として消費した人に問題を起こしたとの報告はないとされております。その他、増殖様式、病原性、感染性、自然界での生存能力等については、本遺伝子組換え生物は宿主と同一とされております。

 続きまして、1316ページにかけて、本遺伝子組換え生物の使用等に関する情報が記載されております。冒頭にも御説明しましたが、本遺伝子組換え生物は、鶏のニューカッスル病及びマレック病の予防を目的とする生ワクチンとして使用される予定となっております。また、このワクチンですが、既に米国、カナダ等で使用されている状況です。

 続きまして、1719ページにかけて、生物多様性評価について記載されております。まず、他の生物を減少させる性質については、宿主である七面鳥ヘルペスウイルス自体が他の微生物を減少させる性質は有していません。また、本遺伝子組換え体は、宿主ウイルスにラウスサルコーマウイルスに由来するLTRプロモーター及びニューカッスル病ウイルスに由来するF蛋白質遺伝子を挿入したものでして、他の微生物を減少させる性質については宿主から変化していないと考えられます。病原性については、宿主である七面鳥ヘルペスウイルスは人や野生動物に対して病原性は有しておりません。病原性とは無関係の遺伝子を導入した本遺伝子組換え体は、感受性宿主、病原性において、宿主からは変化していないとされております。有害物質の産生性については、宿主である七面鳥ヘルペスウイルスは有害物質を産生する性質は有しておりません。有害物質の産生とは無関係の遺伝子を導入した本遺伝子組換え体は、宿主と同様に有害物質の産生性は認められません。

 続きまして、核酸を水平伝播する性質についてですが、宿主である七面鳥ヘルペスウイルスは、通常の増殖において核酸を水平伝播する性質は有しておりません。核酸の水平伝播の性質とは無関係の遺伝子を導入しておりますので、その点についても宿主と同様と考えられております。同種ウイルスとの遺伝子組換えの可能性についてですが、鶏に接種した場合に、野外感染による重複感染を受ける機会がほとんどないことから、同種ウイルスとの遺伝子組換えが起こる可能性は極めて低いと考えられます。また、起こしたとしても七面鳥ヘルペスウイルスは非病原性であるため、新たな病原性を獲得する恐れはないと。これらを総合的に評価しまして、第一種使用規程に従った使用を行う限り、生物多様性影響が生じる恐れはないものと判断されております。

 本部会の傘下である「動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会」におきまして、事前の審議をしていただいております。その中では、七面鳥ヘルペスウイルスが自然界でどのように維持されるのか、鶏を含めた、キジ科の七面鳥ヘルペスウイルスに感染を示す可能性のある鳥類の予想される状態も含めて記載すること、もう1点、七面鳥ヘルペスウイルスの伝播様式が接触感染なのか空気感染なのか等を精査して、評価書の概要に明確に記載すること、という2点が御指摘されました。指摘内容については整理されまして、調査会に御確認いただいて、第一種使用規程の承認の可否に関する事前の調査審議を終了し、本部会に上呈して差し支えないとされております。本遺伝子組換え生物の第一種使用規程について、御審議のほどをよろしくお願いします。

○川西部会長 ありがとうございました。これは動物用の、鶏用のワクチンとしての使用ということで、カルタヘナ法の第一種使用規程について承認できるかですが、委員の先生方からこれについて何か御意見はありませんか。

○小野寺委員 2点教えてください。一つは、保存は凍結状態ですか。

○農林水産省 ものがワクチンとなった場合は凍結ワクチンという形になるかと思います。

○小野寺委員 ということは、使用に際して溶解して、それをそのまま鶏に打つ訳ですか。

○農林水産省 そうです。液体窒素の中で、細胞のまま凍らせた形で保存していまして、要時に溶かして使う形になるかと思います。

○小野寺委員 最終的に、これらウイルスが入った容器の破棄も何らかの形で処理される、例えば、オートクライブにかけるということですか。

○農林水産省 使用の段階では、必ず獣医が使用することになりますので、そのような適切な処置がされて廃棄されることになります。

○川西部会長 ほかに何かございますか。特にないようであれば議決に入りたいと思います。今のところ、特に懸念というような御意見はないようですが、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、報告事項に移りたいと思います。まず、報告事項の議題4、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について、PMDAの方から説明をお願いします。

○機構 報告事項、議題4、資料No.4-1です。遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について御説明します。前回の生物由来技術部会での御報告以降、平成27年5月から平成27年8月までの期間に、厚生労働大臣の第二種使用等の確認を行ったものを表にまとめています。1番目と2番目の品目ですが、以前にカテゴリー1として御審議いただいた品目で、この度、製造所追加のために第二種申請されてまいりました。3番目の品目も製造所追加でして、4番目の品目は新規品目ですが、使用区分はGILSPです。いずれの遺伝子組換え生物につきましても、機構において、専門委員と協議をした上で執られている拡散防止措置は適切であると判断したものです。以上、報告でございます。

○川西部会長 続いて、農林水産省の方から説明をお願いします。

○農林水産省 資料No.4-2を御用意ください。農林水産省の方から御説明します。こちらは、動物用遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等に関する執るべき拡散防止措置の、農林水産大臣による確認を行った、微生物についての御報告です。1枚めくると表になっておりまして、一部使わせていただきますが、いずれもブタ用のワクチンの有効成分を製造するための手段として用いるものです。使用区分はGILSPとして、いずれも大臣確認の実績があるものです。

 今回の大臣確認は、第二種使用等をしようとする場所を追加するためのものとなっております。本部会の傘下である「動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会」において御審議いただき、拡散防止の措置の内容について御確認いただいております。以上でございます。

○川西部会長 ありがとうございました。これは第二種ということですので、報告事項ですが、質問、コメント等がありましたら。いかがでしょうか。特にないようですので、報告いただいた事項については御確認いただいたものとして扱わせていただきます。

 次に、議題5、資料5-15-2についてですが、次世代医療機器・再生医療等製品評価指標について、まず事務局から説明をお願いします。

○事務局 事務局でございます。資料5-1及び5-2で御説明します。平成17年度より、医療ニーズが高く、実用可能性の高い医療機器・再生医療等製品につきましては、審査の迅速化、製品開発の円滑化を目的として、評価に当たってのポイントをまとめた評価指標を作ることで、次世代医療機器・再生医療等製品に関する評価指標の作成事業を行ってきております。今般、鼻軟骨に関しての評価指標の検討が終了しましたので、御報告させていただきます。実際の評価指標は資料5-2に付けておりますが、この評価指標に関しましては、昨年平成26年度に、専門家の作業グループの先生方に作成していただいた原案を基にして、任意の意見募集、パブリックコメントを行いまして、そのコメントを踏まえた上での最終案となっております。今後、この指標については速やかに通知として公表していく予定です。

 この評価指標ですけれども。これは、次世代の医療機器・再生医療等製品につきまして、個別に試験が行われて審査される点は通常の品目と同じですが、評価に当たって、あらかじめ着目すべき事項やポイントをまとめた評価指標を作成しておくことで、その製品の開発段階などにおける申請資料の収集、更に審査が迅速化できないかを考えて、こういった事業をやっています。この指標に関しては承認基準といったような位置付けではなく、あくまでも技術開発の著しい製品を対象として、現時点で考えられる評価のポイントを示した、評価に当たっての道しるべのようなものとなっていて、法令的な基準とは位置付けが異なっています。これまでに、次世代型の人工心臓等、合計22の評価指標を公表しておりまして、今回、この鼻軟骨に関しての評価指標を加えることを御報告させていただきます。以上でございます。

○川西部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等はございますか。私の誤解がなければ、佐藤委員が関わったということと理解していますが、何か追加することはありますか。

○佐藤委員 特にないです。

○川西部会長 特にないようですので、報告いただいた事項については御確認いただいたものとします。本日の議題は以上ですが、事務局の方から何か連絡事項はありますか。

○事務局 次回の部会については日程調整の上、また御連絡しますので、よろしくお願いします。

○川西部会長 それでは、今日は初めてということがありましたので、長時間になって本当に申し訳ありませんでした。引き続き非常に重要な議題が続いていますので、次回もよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器・再生医療等製品担当参事官室 課長補佐 柳沼(内線4226)

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