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2015年12月16日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第32回議事録

○日時

平成27年12月16日(水)9:59~10:39


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

荒井耕部会長 印南一路部会長代理 田辺国昭委員 西村万里子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 花井十伍委員 石山惠司委員 松浦満晴委員
松本純一委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
土屋裕専門委員 田村誠専門委員  昌子久仁子専門委員 加茂谷佳明専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人 田倉智之参考人
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○費用対効果評価の試行的導入について

○議事

○荒井部会長

 ただいまより第32回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 まず本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、榊原委員が御欠席です。

 それでは「○費用対効果評価の試行的導入について」議論を行いたいと思います。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 それでは、中医協費-1を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。「費用対効果評価の試行的導入について(案)」でございます。

 1ページ目「1.はじめに」にこれまでの経過を書かせていただいております。1段落目では、費用対効果評価につきましては、高額な医療技術の増加によります、医療保険材料への影響についての懸念や、医療技術の保険収載や保険償還価格の判断材料に費用対効果が重視されてこなかったことを背景として、議論の必要性が指摘されたと書かせていただいておりまして、平成24年の5月にこの部会を創設し、議論を進めてきたということを書かせていただいておりまして、その後、平成2511月には、中間的な整理を取りまとめた上で、26年4月から27年5月にかけまして、具体例の検討も行いましたということを書かせていただいております。ことしの8月26日には、試行的導入に係る議論の中間報告を取りまとめたと書かせていただいております。

 2段落目におきましては、その後の流れでございますけれども、26年度の診療報酬改定の附帯意見におきましても、3行後でございますが、平成28年度診療報酬改定における試行的導入も視野に入れながら、引き続き検討することとされております。その後は、日本再興戦略改訂2014、また、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針の2014においても、同旨の方針が示されておること。骨太の方針2015におきましては、費用対効果を考慮することについて、平成28年度診療報酬改定において、試行的に導入した上で、速やかに本格的に導入することを目指すとされたと書かせていただいております。今回、平成28年度診療報酬改定時における試行的導入のあり方につきまして、これまでの計31回の議論を取りまとめているものでございます。

 「2.試行的導入における再算定の流れ」をお示しします。

 (1)で、対象品目をどのように選ぶかについてでございます。基本的には1)で選定基準の考え方をお示ししてございますけれども、2行目からございますように、費用対効果の必要性が認識されたことを踏まえ、財政影響や革新性、有用性が大きい医薬品、医療機器を対象とするという基本的な考え方を書かせていただいております。

 1ページおめくりいただきまして、再算定における選定基準ということで、1~5までを列記させていただいております。このうち1、2、3は、たくさんある医薬品、医療機器から選んでくるときの基準、4、5はそれから除外するときの基準という形でございます。

 1は、原価計算方式で算定されたもの、もしくは類似薬効または機能区分比較方式で算定され、一定の補正加算が認められたもの。

 2は、ピーク時の売上高が高いもの。医療機器に関しましては、ピーク時売上高を公表してございませんでしたので、当面の間は、償還価格が高いものということでございます。

 3は、いずれも保険収載後1回または2回の改定を経たものということで、市場に行き渡り、その中で価格が決められたものということでございます。

 4、5は、除外する基準でございますけれども、いわゆるオーファンドラッグ、オーファンデバイスに関しましては、対象としないこととしてはどうか。また、未承認薬検討会、ニーズ検討会からの開発要請あるいは公募品目についても、対象としないこととしてはどうかという御提案でございます。

 こういうことで、対象品目を選びまして、選ばれた品目に関しまして(2)から流れを示してございますが、企業によるデータ提出についてということでございます。

 1つ目の○で、選定基準に基づき選定された対象品目について、企業にデータ提出を求めるとさせていただいております。

 2つ目の○でございますが、選定された品目につきまして、こちらの部会でも、ガイドラインの素案をお示ししたところでございますけれども、そのガイドラインに基づきまして、企業がまず分析を実施し、提出していただくという流れでございます。

 3つ目の○でございますが、明らかにデータが不足しているなどの理由によりまして、標準的な方法をとれない場合に関しましては、3ページにまたがりますけれども、あらかじめ費用対効果評価専門組織の合意を得た上で、別の方式をとることについて、合意を得た上で、分析を開始するとしているところでございます。

 (3)が再分析の実施についてでございます。企業から提出されたデータにつきまして、公的な専門体制で、中立的な立場から再分析を実施すると書かせていただいてございます。

 (4)でございます。総合的評価(アプレイザル)の実施についてでございますけれども、1つ目の○の中に、1)と2)がございます。評価専門組織におきまして、1)2)にある2つの観点から、総合的評価(アプレイザル)を実施すると書かせていただいております。

 1)につきましては、分析結果の妥当性を科学的な観点から検証する観点でございます。その下にア、イ、ウとございますけれども、それぞれの観点で、これは企業による分析、再分析が妥当かどうかということを検証するものでございます。

 2)のところが、倫理的、社会的影響等に関する観点でございまして、1)の分析結果に基づきまして、倫理的、社会的影響等に関する観点から評価を行うとさせていただいておりまして、その際に考慮すべき要素について、諸外国の例を参考にしながら、4ページでございますけれども、試行的導入で事例を蓄積することで検討することとし、本邦におけるあり方については、本格的な導入に向けて、議論を続けていくこととするとしているところでございます。

 4ページの1つ目の○でございますが、アプレイザルに当たりまして、費用対効果評価専門組織が必要と判断した場合には、データを提出した企業が、意見表明を行うことができるとしております。

 次の○でございますが、アプレイザルの結果、対象患者や使用方法をより詳細にした分析など、さらに別の観点からの分析について、検討を行う必要があると判断された場合は、改めて再分析を行う。

 次の○でございますが、最終的には、分析結果として、増分費用効果比につきまして、これを踏まえまして、結果の示し方としましては、費用対効果がいい、または費用対効果が悪い、こういう定性的な評価結果を示すことにしてはどうかということでございます。

 次の○でございますけれども、費用対効果がよい、または悪いのように評価する際に目安となる増分費用効果比の値ですが、部会では、事務局からは2つ線を示しまして、これ以上であれば、費用対効果が悪い、あるいはこれ以下であれば、費用対効果がいいという明確な基準を定めてはどうかと御提案をしておったわけでございますが、部会での議論では、一律の値を決めるのは困難であるという御議論がございましたので、今回の御提案では、試行的導入においては、定めないこととするとさせていただきました。

 ただし、研究班からその考え方が既に示されておりますことから、これらを参考といたしまして、用いながら判断を進めていくことといたしまして、試行的導入で事例を蓄積することで、さらに検討するということにさせていただいております。

 また、日本のデータに基づく支払い意思額についての調査等も行うことといたしまして、本格的な導入に向けまして、さらに議論を続けていくことにさせていただいております。

 4ページ、最後の○でございますが、これは費用対効果評価専門組織による評価結果の生かし方でございますけれども、この評価結果は、薬価算定組織または保険医療材料専門組織に提出いたしまして、それぞれの組織における通常の価格算定、再算定方法を用いた後に、さらに価格調整に用いるような、そういう位置づけとしてはどうかということでございます。価格調整の具体的な方法につきましては、28年ではなく、平成30年度の診療報酬改定時にあわせて検討することにさせていただいてはどうかということでございます。

 5ページの御説明に移らせていただきます。「3.新規保険収載時に求める取組」でございます。

 (1)対象品目の選定基準についてということでございますが、1)2)は基本的に既収載品のものと同じ考え方をお示ししておりますが、相違点は2)の中で、これは当然でございますけれども、過去1回または2回の改定を経たものというところは、落ちております。

 (2)でございますけれども、企業によるデータ提出についてでございますけれども、こちらは保険適用希望書の提出とあわせて、ガイドラインに可能な範囲でのっとった分析結果の提出を求めることにさせていただいております。

 6ページにいかせていただきまして、(3)(4)の1つ目の○に関しましては、既収載品の扱いと同様でございますが、(4)の2つ目の○でございます。新規収載時の費用対効果評価結果に基づく価格算定でございますけれども、これは再算定における位置づけと同様に通常の新規収載品の価格算定方法を用いた後に、さらに行うような位置づけとなると考えられますけれども、試行的導入の段階におきましては、この評価が新規収載品の保険収載に間に合わないということが考えられますので、試行的導入の際には、新規収載品に係る評価結果は、価格算定に用いないこととするとさせていただいております。

 一方で、3の最後の○でございますが、本格的な導入に向けては、今後、必要な体制ですとか、新規収載時に提出されるデータの質や内容等につきまして、さらに検証を行っていくとしているところでございます。

 「4.費用対効果評価専門組織(仮称)の在り方」でございますが、この組織でございますが、保険医療専門審査員である医療関係者、保険者・患者関係者、経済学等に関する有識者より構成いたしまして、専門的な検討を行うとさせていただいておりまして、その検討は非公開で開催するということを書かせていただいております。

 「5.本格的な導入に向けて検討すべき事項」につきまして、7ページに項目を示させていただいております。

 1~5まで、7ページの上のところから書かせていただいておりますが、選定基準の見直し、倫理的、社会的影響等に関する観点から総合評価(アプレイザル)を行う際の本邦における具体的な要素、迅速な評価に必要な体制や新規収載時に提出が行われるデータの質や内容等、日本におけるデータ整備に係る取り組みの推進、評価結果に基づき償還の可否を行う場合の具体的な取り扱い、こういうことにつきましては、本格的な導入に向けて検討が必要ということで、整理をさせていただいてございます。

 「6.今後のスケジュール」でございます。次のスケジュールの目安として、考えております。

 年が明けまして1月には、試行的導入における品目の選定基準や具体的な運用方法について、本取りまとめを踏まえて検討し、お示しをしたいと考えております。

 2月には、診療報酬改定本体の議論にあわせて、試行的導入における選定基準・運用方法について結論をいただきまして、改定を経たのち、4月以降、再算定に係る品目を指定し、企業においてデータ提出の準備を開始していただくということでございます。

 この後、企業のデータ提出、また、再分析ということが進んでいくわけであります。

 下になりますけれども、平成29年度以降は、28年度内に行われました企業によるデータ提出、また、再分析を踏まえまして、新しくつくります専門組織におきまして、総合的評価(アプレイザル)を実施するということでございます。

 平成30年度には、試行的に費用対効果の評価結果をそれぞれの算定組織の価格算定に反映するということになろうかと思っているところであります。

 中医協費-1参考についても、若干コメントをさせていただきます。2枚のスライドがございますけれども「試行的導入における取組の流れ(概要)」ということでございます。

 上のスライドでございますが、再算定の場合の流れは、上半分に示させていただいておりますが、上の費用対効果評価ルールでアプレイザルを行いまして、定性的な評価結果が出ます。

 その下に薬価算定組織または保険医療材料専門組織の図、フローがございますけれども、こちらの一部の品目について、市場拡大再算定等により価格算定案を作成し、その後に価格調整を行うところに生かすというものでございます。

 新規収載時の場合の流れに関しましては、最後の対象品目における適用に関しましては、行わないと図で示しております。

 2ページは「今後のスケジュール(概要)」でございますけれども、これは先ほど中医協費-1で御説明したものと同一でございますので、御説明は割愛させていただきます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明に関して、御質問等がございましたら、お願いいたします。

 松本委員、よろしくお願いします。

○松本委員

 若干質問をさせていただきます。4ページの上から3つ目の○に、最終的には費用対効果がよい、または費用対効果が悪いという定性的な評価結果を示すとなっておりますけれども、このページの一番下に、平成30年度改定時にあわせて検討するという文言も入っております。今回の改定では、費用対効果がよいとか、悪いとか、こういうことをどのように用いるのか、教えていただきたいと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 確認させていただきますが、今回のというのは、平成28年度の改定ということでございましょうか。

○松本委員

 はい。

○眞鍋医療課企画官

 そういうことであれば、28年度には準備が整ってございませんので、これを導入することは予定しておりません。

○荒井部会長

 どうぞ。

○松本委員

28年度改定時、28年度以降、30年までは、こういう評価はしないということですか。今、おっしゃった意味がよくわかりませんでした。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 御指摘のとおりでございまして、まだ結果も出てございませんし、分析に関しましても、具体的な品目を選定してございませんので、28年度改定には、費用対効果の評価結果は、価格算定に反映しないということでございます。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 わかりました。

 もう一つ、4ページの一番下の○、あるいは中医協費-1参考の上のスライドにもございますけれども、費用対効果評価専門組織と薬価算定組織あるいは保険医療材料専門組織の中で、意見が分かれた場合、優先順位といいますか、どういう形で収束をさせるのか。優先順位をつけるのか、つけないで、あくまでも納得するまで話し合って決めるのか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 流れにございますように、費用対効果評価専門組織で、いい、悪いというところに関してまとめていただくということでございます。ですから、費用対効果評価専門組織から提案される意見に関しましては、意見は分かれていなくて、1つの見解がそれぞれの薬価算定組織、保険医療材料専門組織に提示されるということでございます。それをどのようにそれぞれの組織で価格算定に生かすかにつきましては、平成30年度の診療報酬改定のときに、同時に検討していくという提案をさせていただいております。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 今回の試行的導入を受けて、あくまでも総合的評価は行わないということなのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 総合的評価(アプレイザル)に関しましては、費用対効果評価専門組織の中で行われて、その結果によりまして、例えば費用対効果がいい、悪いということが、費用対効果評価専門組織として示されるわけでございます。その組織から、ある品目について、いい、悪いという結果につきまして、それぞれの薬価算定組織、保険医療材料専門組織に御提示をする。それをどう生かすかに関しましては、平成30年度の改定のときに、同時に検討をしていくという提案でございます。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 あくまでも30年度改定時というのは、どう生かすかを検討するということで、総合的評価は1回、28年度改定でしているから、30年度改定時にはしないという理解なのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 私の御説明が足らなかったとしたら、大変申しわけございません。総合的評価というものは、平成29年度以降に費用対効果評価専門組織において行うものと考えております。ですので、総合的評価は評価専門組織で行うことでございまして、結果として、評価専門組織としてまとめたものを、薬価算定組織、保険医療材料専門組織に御提示する。薬価算定組織、保険医療材料専門組織におきましては、通常の価格算定を行った後に、費用対効果評価専門組織からいただいた結果、いい、悪いという結果を、平成30年度のときにどう生かすかに関しましては、それぞれの組織で検討していただくということでございます。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 4ページの一番下にあります、価格調整の具体的な方法については、30年度改定時に検討するということですので、わかりましたが、価格調整というのは、もう一度、確認をさせてください。どこで誰が行うのですか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 4ページの下から2行目のところの「価格調整の具体的な方法については」という文言の価格調整でございますが、これは薬価算定組織または保険医療材料専門組織において、まずは検討されるものと思っております。

○荒井部会長

 石山委員、お願いします。

○石山委員

 今の松本先生と同じような質問になると思います。これは確認ですが、4ページの一番下は、薬価調整の具体的な方法について平成30年度診療報酬改定時に併せて検討するという理解でよろしいわけですね。このときに、2年間で集積した結果の調整の仕方等について、結論を出すという理解でよろしいわけですね。

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 ここに書いてございますのは、御指摘のとおりでして、費用対効果評価専門組織からいただいた、費用対効果がいい、悪いという結果を薬価算定組織、保険医療材料専門組織でどのように生かすかに関しましては、まずは専門組織で検討いただくということ。そして、最終的には中医協に御提案をしてというつながりになると思いますけれども、結果の生かし方につきましては、それぞれの組織で検討するということで、考えております。

○荒井部会長

 石山委員、お願いします。

○石山委員

 実際に試行などをやっている段階ではありませんが、費用対効果評価専門組織というものを仮称ではりますが新たにつくるわけです。その組織での様々な議論の結果が、薬価算定あるいは保険医療材料算定の組織に上がっていくということです。そうすると、今後2年間、現在の費用対効果評価専門部会あるいは先ほど行われた薬価算定部会などとどのように関係していくのか、あるいはどのように運営されるのですか。まだその辺は未定なのですか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 費用対効果部会に関しましては、本格導入に向けて、検討していただかなければいけない事項もございますし、今後、新たな論点などを示して、御検討を進めていただきたいと思っております。

 先ほど御説明申し上げたように、最後にどう生かすかというところに関しましては、今、申し上げたとおりで、それぞれの専門組織で検討することになりますけれども、もちろん費用対効果評価専門部会におきましても、御議論いただくことは可能かと思っておりますが、お決めいただくのは、それぞれの組織だと思っております。

○荒井部会長

 石山委員、どうぞ。

○石山委員

 この2年間、どういう経過になっていくかはわかりませんけれども、中間報告というのは、それぞれの部会なり、最終的には総会に提示されるわけですね。そういう理解でよろしいわけですね。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 それは中間という名前なのかどうかわかりませんけれども、ある程度検討が進んで、お諮りしたほうが適切だろうというときに、お諮りするという流れになると思っております。

○荒井部会長

 花井委員、お願いします。

○花井委員

 基本的なことを伺いたいのですが、4ページの下から2つ目の○の下から2行目に「日本のデータに基づく支払意思額についての調査等を行う」と書いてあって、これ自体、意味はわかるのですが、これまで皆保険制度全体として、つまり患者に対して、ここでいきなり患者が消費者になっているわけです。コンシューマーとしての意識というのは、薄いという現状があると思うのです。それはいいことでもあって、患者はもちろん負担額はあるけれども、保険があるから、お医者さんも患者にとって最善の治療をすれば、それは当然償還されるという感覚で、これは保険でカバーしているというような、いわゆるアメリカのようなスタイルではないから、ある意味、医療現場で金がないことがいいことだったというのが、日本の皆保険制度の1つの性質だったと思います。

 ところが、費用対効果という議論がなされてから、世界的な患者組織でも、自分たちの健康の価値、本当に社会資源をこれだけ投入する価値があるのかということについての議論が始まっており、しかし、その中でも、日本においての患者は、まだそこまでいっていないという現状があるわけですけれども、国としては、ここにさらっと出てきたということは、日本においてもコスト意識というものを、患者あるいは現場でも持つべきという方向に、今まで舵をどうとっていたかはわからないですけれども、そういう趣旨ともとれるのですが、考え方としてはそれでいいのですか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 そこまで大きいことを考えているわけではございませんで、私どもとしては、どのくらいの効果に、どのくらいの支払意思があるかということを、提案してはどうかということで、これは参考人からも補足していただければと思いますけれども、そういう調査を行ってみたいということで、これは部会で議論されたことを、そのまま書いているつもりでございます。

○荒井部会長

 福田参考人、よろしくお願いします。

○福田参考人

 補足をさせていただきます。支払い意思額に関しては、おおよそどのくらい費用対効果にするべきかという目安について、前回の資料で、3つほど考え方があるということを御提示させていただきました。

 その中の例えば1人当たりGDPを目安にするという考え方に関しては、日本でも統計資料でわかりますので、そのあたりのことは、議論ができるのではないか。それに対して、支払い意思額等の要素については、これまで日本で調査はあるものの、代表性とか、質問方法などに課題がある可能性がありますので、そのあたりを1つの項目として、調査をしていくと理解しています。なので、私たちの認識では、ここを特にということではなく、前に御提示したような幾つかの考え方の中の1つとして、これについては、調査が必要と捉えております。

○荒井部会長

 花井委員、お願いします。

○花井委員

 わかりました。

 ここからは意見なのですが、負担額のあるなし、大小にかかわらず、ある程度コストという意識は必要な時代になったと承知しているので、今、診療報酬明細書というものも大分浸透してきてもいるし、各患者会においても、今までは保険制度自体にもそんなに詳しくなかったりしたわけだけれども、費用対効果という議論を起爆剤として、世界的にそういう流れもあるところなので、国もしくは医療現場においても、患者さん教育と言うと、ちょっと語弊がありますが、医療にそれなりの公的資源が投入されており、それにはある程度の相場観も必要だという意識が、今後、少しずつでも浸透していく必要があるので、そういう取り組みを全体で取り組んでいただけたらと思います。

 以上です。

○荒井部会長

 松原委員、お願いします。

○松原謙二委員

 前回のときに、これについて発言したのですけれども、1人の患者さんにとってのものと、他の人たちにとっての価値は違います。社会保険システムである以上、コスト意識というのは、全体に対して意見を聞くものではありません。その人にとってみたら、その人の健康と命は何よりも重いものです。ですから、こういうことを御検討されるのは構いませんが、それを資料にして、国民全体がこの疾患については、これほどの金を出さなくていいという話にならないように、十分に御配慮いただきたいと思います。

 つまり再算定の流れというのは、費用をかけて、どのような効果が出るかということを明らかにしながら、それを中医協で価格の決定の中に反映するというものであって、国民の幸福が一番大事です。また、患者さん一人一人の幸福が大事ですから、そこのところの視点が欠けるような、資料集めをしていただきたくないと思います。

 2番目は、新規収載時の流れですけれども、これは前に申しましたが、新薬というのは、難病の患者さんにとっては非常に大事なものであります。これがあれば治る、そういうものであれば、早く世に出してほしい。それを阻害するような仕組みにならないように、十分に御注意をいただきたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。

○荒井部会長

 土屋専門委員、お願いします。

○土屋専門委員

 業界の立場から2点コメントをさせていただきたいと思います。

 1つは、価格調整の具体的な方法についてですが、企業にとっては、費用対効果評価のために、新たにヒト、費用を投入し、体制を整えて、研究開発段階から費用対効果のデータを作成することになります。したがって、その結果に基づく薬価調整に関する具体的な方法に関しては、企業の立場から言えば、引き下げのみでなく、ポジティブな、すなわち引き上げも含めた評価に用いることが必要だと考えます。

 2点目ですが、新規保険収載時に求める取り組みのところですが、前回も申し上げましたとおり、費用対効果のデータ提出にはかなりの月数、1年近くに及ぶ準備が必要でございます。本格的な準備が実際に開始できるのは、薬事承認が下りて、当該医薬品の効能・効果、用法・用量が確定する時期です。保険適用希望書の提出は、それとほぼ同時期であるため、希望書提出と同時に企業がデータを出すことは、現時点におきましては、物理的に著しく困難ですので、その点をよく御考慮いただきたいと思います。今後、本格導入に向けて、新規収載時に提出されるデータの質・内容について検討を続けるとありますが、以上の点を十分に御勘案いただきたいと思います。

 以上です。

○荒井部会長

 田村専門委員、お願いします。

○田村専門委員

 2点、意見です。

 1点は、今の医薬品の方と同様ですが、費用対効果評価による価格調整の具体的な方法については、企業にとって予見性が重要ですので、できるだけ早く具体的にしていただくよう、お願い申し上げます。その際には、引き上げという選択肢も、ぜひ含めていただければと思います。

 もう一点は、試行の選定基準に、医療機器では、当面の間、償還価格を用いるという点です。再三申し上げてまいりましたが、償還価格のみではなく、財政インパクトも考慮していただければと思います。

 これとは違いますが、1125日の材料部会に、償還価格と予想売上高の関係の図が厚生労働省事務局より示されました。これを見ますと、償還価格が100万円を超えるようなものでも、年間の売上額が3億未満、低いものでは1億円未満のものが見られました。費用対効果評価を外部に委託する場合、少なくとも数千万円のコストがかかると言われますが、年間売上高が1億未満のもので、数千万のコストをかけるというのは、企業にとってはもとより、政府にとっても割の合わない制度なのではないかと考えます。

 一方、公表されたピーク時売上高がないというのは事実ですが、平成26年度からは予測販売数を提出しているため、予測売上高は計算できると考えますし、また、それ以前のものでも、材料価格調査の販売数量などから推計すれば、おおよその売上高は出てくると思われます。この点について、前向きに御検討いただきますよう、お願い申し上げます。

 以上です。

○荒井部会長

 松原委員、どうぞ。

○松原謙二委員

 今の御意見に対してですが、全部に当てはめるのではなくて、適切なものを選んで、費用が低くて、それに対してコストが高ければ、やる必要はないので、そこのところをはっきりさせるべきだと思います。

○荒井部会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 議論が戻りますが、先ほど石山委員が言われた御意見について、私もこの部会がどういう方向性をとるかということにつきまして、少し考えなくてはいけないと思っております。費用対効果評価専門部会で、かなりの長きに渡って議論してまいりました。その中で、この部会の考え方、もう一つは、既に薬価及び保険医療材料のそれぞれの専門組織でも、費用対効果的な考えを入れて議論している。そこの整合性をとるために、中医協費-1参考の1にありますような、こういった流れが整理されてきたところだと理解しております。二頭立ての馬車の馬が、勝手に別方向で走るというのは、望ましいことではございませんし、日本においての医療が社会保険方式であるということも考えながら、それを崩さない形で、費用対効果の考えを入れるということについては、これまでの長期の議論の結果、こういう形に落ち着いた。それについては、事務局の努力を多といたしますが、そうであれば、1の図の中に、費用対効果評価専門部会がどこに書かれるのかということを考えながら、石山委員の話を聞いておりました。

 さらに中医協費-1の今後のスケジュールにつきましても、費用対効果評価専門部会の位置づけの文言が出てまいりませんので、今後の流れあるいは中医協費-1参考のような図式をつくり出すために、これまで皆様の知恵と時間を使って出してきたということであれば、一定程度この部会の役目は果たせたのではないかと評価いたします。

 企画官の答弁は、国会答弁のような形で、今後も役に立つことがあるかもしれないみたいなお話でございましたが、1つの区切りとして、これまでの役割はこれまでの役割ということで、さらになくしていいと申し上げているわけではなくて、どういった形の専門部会の議論にするか、あるいはどういった立ち位置にするかということを、もう一回考え直すことが必要なのではないかと思っておりまして、石山委員の懸念と全く同一でございます。

 以上でございます。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 部会と、今後、新たにつくる組織の関係でございますが、あくまで部会は費用対効果評価につきまして、大ざっぱに申し上げれば、制度について、制度論を御検討いただいて、あるべき方向を見据えるものと考えております。

 評価専門組織に関しましては、専門的な立場あるいは社会的、倫理的な立場から、個別の品目について費用対効果を評価していただく、そういう役割分担になろうかと思っております。

 現在、薬価部会では、薬価算定組織ですとか、保険材料につきましても、部会と選定の専門組織があると、そういう関係を模しておるというところで、捉えていただければありがたいと思います。

○荒井部会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 しつこいようですが、企画官のおっしゃっていることはよくわかりますし、役割として、全体を大所高所から見るという形はよくわかりますが、中医協費-1参考の図でいけば、最終的には費用対効果評価専門組織の評価を入れながら、薬価算定組織あるいは保険医療材料専門組織の議論の結果を踏まえて、一番最後の右側の中医協総会において了承となってございますし、現時点でもそのような仕組みで進んでおりますので、総論的なことではなくて、もう一度もう少し突っ込んだ議論をする必要があると思う次第でございます。

○荒井部会長

 松原委員、お願いします。

○松原謙二委員

 今の意見に賛成であります。この図のとおりいきますと、費用対効果の専門組織で出した結論が、すぐに薬価算定組織に入って、そして、価格が決まる。これは違和感があります。この制度をつくるのはこの部会であり、また、評価をするのもこの部会であるべきだと思います。先ほどの話のように、費用対効果の費用対効果を決定できるのは、恐らくこの部会でしかないと思いますので、御報告をいただいた上で、薬価算定組織に下ろすというほうが、よろしいのではないでしょうか。

 以上でございます。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 現在の流れでございますけれども、これまでこちらの部会に御提示させていただきまして、このような流れで、おおむね了解いただいたと思いましたので、きょう、御提示したものでございますが、今のような御指摘がありましたので、平成30年度の診療報酬改定に向けて、細かいところは御相談して、詰めていきたいと思います。

○荒井部会長

 ほかに御意見はありませんか。

 ほかに御意見等もないようでしたら、この議題については、このあたりにしたいと思います。

 本日の議題は以上ですが、本日まとまった議論の内容については、私から総会に報告をいたします。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。

 それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」は、これにて閉会といたします。

○宮嵜医療課長

 どうもありがとうございました。

 総会を1050分から開催できればと思いますので、よろしくお願いいたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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