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2015年12月2日 中央社会保険医療協議会 総会 第316回議事録

○日時

平成27年12月2日(水)10:38~12:41


○場所

全国都市会館(2階 大ホール)


○出席者

田辺国昭会長 松原由美委員 野口晴子委員 西村万里子委員 荒井耕委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 花井十伍委員 石山惠司委員 松浦満晴委員
松本純一委員 中川俊男委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員
安部好弘委員
横地常広専門委員 菊池令子専門委員 
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」からの報告について
○個別事項(その5:リハビリテーション)について
○診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について

○議事

○田辺会長

 おそろいのようでございますので、ただいまより第316回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。

 まず委員の出席状況について御報告申し上げます。本日は、印南委員、榊原委員、岩田専門委員、丹沢専門委員が御欠席でございます。

 次に委員の交代について報告申し上げます。

 福井トシ子専門委員におかれましては、1130日付で退任され、その後任として、12月1日付で、菊池令子専門委員が発令されております。

 また、宮島喜文専門委員におかれましては、12月1日付で退任され、その後任といたしまして、同日付で、横地常広専門委員が発令されております。

 今回、発令された専門委員の方々からは、みずからが公務員であり、高い倫理観を保って行動する旨の宣誓をいただいております。

 それでは、新しく専門委員となられました、菊池専門委員から順番に一言ずつ御挨拶をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○菊池専門委員

 日本看護協会の副会長をしております、専門委員となりました、菊池令子でございます。よろしくお願いいたします。

○横地専門委員

 前任の宮島の後任を務めさせていただきます、日本臨床衛生検査技師会の横地と申します。よろしくお願いいたします。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 初めに「○診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。保険医療企画調査室長、よろしくお願いいたします。

○三浦保険医療企画調査室長

 ありがとうございます。保険医療企画調査室長でございます。

 お手元に中医協総-1と振られた資料を御用意いただければと思います。「消費税率8%への引上げに伴う補てん状況の把握結果について」という題がついてございます。

 こちらの資料は、今週の月曜日に、先ほどお話がありました、診療報酬調査専門組織、医療機関等における消費税負担に関する分科会におきまして、提出をさせていただいて、御説明をしたものであります。

 こちらの資料の御説明と議事の御報告をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 お手元の資料を1ページおめくりいただきまして、この調査の趣旨が書いてございます。ページ番号で申し上げますと、3と振られたところでございます。平成26年度の改定は、消費税率の引上げと同じタイミングでございました。これに伴いまして、消費税率の引上げに伴う医療機関等の負担増と、平成26年度改定で対応した診療報酬の上乗せがどういう関係にあるかということについて検証するというお話が、8月のこの分科会においてございまして、これを報告したものでございます。

 3ページ目の下にイメージ図がございます。左側が負担、右側が収入でございますけれども、左側の費用の方で申し上げますと、医療経済実態調査を使いまして消費税の負担分を推計した。それから、診療報酬の上乗せ部分については、NDBをベースで収入の増を把握して、それぞれを比較したという結果でございます。

 5ページ目に進んでいただければと思います。こちらが全体の結果でございます。振り返りますれば、26年改定では、財政規模で2,600億円を確保しまして、報酬の上乗せをしたということであったかと思います。

 これに対しまして、どのような関係にあったかを見ておりますのが、5ページの資料の全体という欄でございます。報酬の上乗せの総額といたしましては、2,648億円であったのに対しまして、3%の負担額というのは、2,594億円と推計されました。その差額につきましては、54億円ということで、補てん率が102.07%でございました。

 なお、御参考までに、その下に、医業・介護収益とその対比をつけております。医業・介護収益と書いてございます欄、全体では国民医療費を充てております。40兆円の医療費に対して、54億円というのは、0.01%という重みであったということを、参考数値として付けております。

 以下、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局という形で続いております。

 それぞれ真ん中の薄い網かけがついておりますところに、補てん差額と補てん率という欄がございますので、こちらを御紹介したい思います。

 病院全体で平均的に申し上げれば、1施設1年間当たりの数字でございますけれども、補てん差額については、65万円程度、649,000円の補てん差額プラスということで、補てん率は102.36%でございました。

 一般診療所では4万4,000円、こちらの補てん差額は4万4,000円、105.72%。

 歯科診療所で2,000円プラス、100.68%。

 保険薬局が4万1,000円のマイナスということで、86.03%というのが、平均的な姿でございました。

 以下、6ページ以降では、病院の機能別、病院全体、一般病院、精神科病院、特定機能病院、こども病院という形で作っております。それぞれ補てん差額、補てん率は、先ほど申し上げた網かけの欄でございますので、御参考までに御参照いただければと思います。

 7ページ目では、病院の開設主体別に見ております。医療法人、国立、公立ということで見ております。それぞれ補てん率だけ申し上げれば、106%、99%、92.49%、105.55%ということで、100%を前後して、少しばらつきがあることが、見てとれようかと思います。

 以上が病院であります。

 8ページでは、一般診療所で見ております。個人と医療法人で分けておりますが、個人で申し上げれば、161,000円のプラス、補てん率が129.98%、医療法人では5万1,000円のマイナス、94.71%という補てん率でございました。

 以上が医科でございます。

 9ページ目が歯科でございまして、個人、法人に分けて見ておりますが、補てん差額8,000円、102.37%、医療法人では▲の1万9,000円、96.44%でございました。

 保険薬局は10ページでございます。補てん差額が1万1,000円のマイナス、94.21%の補てん率、法人では4万4,000円のマイナス、85.43%の補てん率でございました。

11ページ、12ページでは、入院基本料別に見ております。11ページが一般病棟、療養、結核、精神、12ページでは、特定機能病院、障害者、特殊疾患という形で見ておりますので、数字を御確認いただければと思います。

 これらを踏まえまして、13ページにお進みいただければと思います。資料のまとめといたしまして、医療機関等全体の補てん率としては、102.07%であった。

 病院、一般診療所、歯科診療所におきましては、補てん率がほぼ100%である一方で、保険薬局においては、補てん率が86.03%であった。

 開設者別や病院機能別、入院基本料別で見ると、病院、一般診療所、歯科診療所においても、補てん率はおおむね100%前後であったが、100%を下回っているものがあったということです。

 矢印、点線囲いの中でありますけれども、平成26年の消費税率8%への引上げによる医療機関等の控除対象外消費税分、消費増税相当分、3%分については、診療報酬改定による対応により、マクロではおおむね補てんされていることが確認されたものの、補てん状況にはばらつきが見られたという形で、まとめさせていただいております。

 なお、分科会の議論におきましては、診療報酬による対応について、消費税の補てん状況を調査する場が設けられて、このような作業が行われたことについて、多とするという意見がございました。

 また、併せて、薬局の補てん不足についての御質問があり、まとめの部分につきまして、今、申し上げた文章、原案では、「補てん状況にはばらつきが見られたが、マクロではおおむね補てんされていることが確認された」とお示しをしたのですけれども、このような形に変更されたということがございました。

 あと2点ございます。おおむね補てんされていることが確認されたことについては、分科会としては異論がなかった一方で、診療報酬での対応について限界があるといった意見が、支払い側、診療側、両側からコメントがございました。

 また、併せて、診療報酬での対応が減価償却を織り込んで平均的に補てんをされていることに対しまして、消費税は物品やサービスを購入した単年度に支払うものであるために、痛税感があることについては拭えないではないかという発言があったことを申し添えたいと思います。

 以上、雑駁ではございますが、分科会の御報告でございました。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 医療機関等における消費税負担に関する分科会の委員をお務めになっていらっしゃる方々もおられますけれども、本日は、分科会の委員ではない方を中心に、何か御質問等がございましたら、御発言をよろしくお願いいたします。

 安部委員、お願いいたします。

○安部委員

 御説明ありがとうございました。

 御説明の中にもありましたけれども、5ページ、10ページを見ますと、補てん状況の資料では、補てんの差額が1施設当たり、保険薬局の場合には4万1,000円、補てん率が86.03%と、特に大きな補てんの不足が示されていますが、分科会において、その理由でありますとか、原因について、もし御議論がありましたら、御説明いただきたいと思います。

○田辺会長

 室長、よろしくお願いします。

○三浦保険医療企画調査室長

 どうもありがとうございます。保険医療企画調査室長でございます。

 安部委員よりお尋ねがございました、保険薬局の補てん状況、年間4万1,000円の赤字と申しましょうか、補てん差額86.03%と、他の機関とは違う傾向を示していたことについて、委員の森先生からもお尋ねがございました。補てんでありますので、報酬の上乗せ分、負担の状況、両方の分母、分子が関係してまいろうかと思います。

 私からもそれぞれについて御紹介を申し上げたのですが、まず報酬の上乗せ分に関して申し上げますと、調剤基本料に乗せておるということで、基本的には算定回数に比例して補てんがされていくという構造でございます。これは例えば医科について基本診療料である初・再診料に上乗せしたのと同じ構造かと思います。その中で見ますと、保険薬局の調剤基本料の算定回数自体は、そんなに変化をしていないという傾向があった。いわゆる補てん率で言えば、分子はそんなに変わっていなかったという傾向がある一方で、費用の方で見ますと、費用の総額あるいは費用構造で見たところの消費税の課税費用割合は、いずれも増傾向にございまして、その辺りが、分母、分子の両方に効いてきた。その結果として、100%を少し下回る結果となったのではないかという御説明をさせていただいております。

○田辺会長

 どうぞ。

○安部委員

 そういった分析がございますので、今後も消費税対応はあるかもしれませんので、その際には、今回の分析を活用して、こういった大きなばらつきがないように、ぜひ御議論をしていただきたいと思います。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。中川委員、お願いいたします。

○中川委員

 今の保険薬局は、補てん率が86.03%と低く見えますが、一方で、皆さんには釈迦に説法ですけれども、保険薬局には零細な薬局と大手調剤薬局グループと2つの山があります。山というか、零細は小さいですけれどもね。こういう状況にあっても、例えば大手調剤4社は、2014年の当期純利益が139億円出ているのです。かつ内部留保と配当金の支払いで、146億という額に上っているのです。ですから、資料の5ページの病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局と並べること自体が、ちょっと無理があると思っています。その辺の考慮もしていただきたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 主に病院についてなのですけれども、平成26年の3%上乗せ分については、おおよそ補てんされているという結果だと思います。ただ、個々の病院については、相当ばらつきがあるというお話もありますので、これについては、今後、十分に議論を進めていただきたいと思います。

 もう一つ、確認ですけれども、3%の前の5%については、今回全く別のお話であって、今のところは、どのような結論も出ていないということの確認をさせていただきたいと思います。

○田辺会長

 室長、よろしくお願いいたします。

○三浦保険医療企画調査室長

  ありがとうございます。保険医療企画調査室長でございます。

 ただいま猪口委員より御指摘がございました、5%までの部分でありますけれども、今回の検証におきましては、いわゆる26年の上乗せ点数と、26年の負担増分を比較しただけでありまして、それ以前については、対象とはしておりません。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

○猪口委員

 はい。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。松原謙二委員、お願いいたします。

○松原謙二委員

 消費税を診療報酬で対応するのには、無理があるというのは、結局は一つ一つの病院にとってみたら、何かを投資したときに、その分が担保されないということだったと思います。5%のときも、大変大きな差が出たのもそこにありますし、今後においては、診療報酬で広く薄く手当をするのではなくて、実際に消費税がかなりかかったものに対して、何らかの政策的な対応をとるべきです。病院も診療所もそうでございますけれども、新たな機器の購入をしなければ最先端の医療はできなくなります。また、病院を建て直して、患者さんにとって適切な形の病院にしていくためには、進化しなければなりませんので、そういった投資、消費に対しての給付がきちっとなされないと、新しいものはできません。そこのところの対応ができる方法を消費税対策として、とっていただきたいと思います。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 万代委員、お願いいたします。

○万代委員

 猪口委員に追加して発言させていただきますけれども、1点だけ、税の三原則がございます。財務省のホームページを、今、拝見していますけれども、公平、中立、簡素とございまして、一般向けのホームページでございますが、その中で、公平の原則の枠が一番大きい。その中で、水平的公平と垂直的公平がございますので、病院における補てん状況にばらつきが見られたということを、何を基準に公平かということではございますが、少なくとも一般の方から見れば、あるいは現場からすれば、果たして消費税を診療報酬で対応することが公平なのかということからすれば、甚だ疑問であると思っております。10%のときに、どういう対応にするか考えるという方針ではございますけれども、できるだけ早い時期に、消費税は診療報酬ではなく、税の公平性を担保するためのしかるべき仕組みに移行させることが必要であろうと思っております。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。

 それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと存じます。

 次に、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「○個別事項(その5:リハビリテーション)について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 お手元に中医協総-2を御準備いただければと思います。

 2枚目にありますが、主に大きく6点についての資料を準備させていただいております。

 おめくりいただきまして、まず基礎的な情報、データといたしまして、3枚目でございますが、リハビリテーション関連の診療報酬の状況でございます。

 左側の棒グラフは、リハビリに関連する診療報酬総額の推移でございますが、大きく伸びている状況でございます。

 右側の折れ線グラフで、全体と比較させていただいておりますが、平成14年を1としますと、平成26年では4.82という割合になっているところでございます。

 4枚目は、回復期リハビリテーション病棟の病床数の推移等をお示ししてございますが、26年7月1日の段階で、7万1,890床という状況になっているところでございます。

 5枚目は、リハビリテーションに係る診療報酬の構造というか、概要を示させていただいております。

 1つ目のテーマでございますが、回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーションの質に応じた評価についてということで、資料を準備させていただいております。

 7枚目は、回復期リハビリテーション病棟入院料の概要ということで、既に御案内のことと思いますけれども、入院料1、2、3がございまして、それぞれの点数、届け出の医療機関の数、病床数、月当たりの算定回数等を示させていただいております。

 8枚目は、上のほうの四角では、回復期リハビリテーション病棟入院料の算定の対象となる患者さんについて、1、2、3、4、5とお示しさせていただいております。

 その下の枠は、それぞれの施設基準の概要を示させていただいております。

 9枚目でございますが、回復期リハビリテーション病棟で提供されます、リハビリテーションの提供単位数の推移を見てございますけれども、平成26年度は、1日当たり6.0単位ということで、マクロで見ますと、かなり大きく伸びてきている状況でございます。

10枚目ですけれども、1日当たりのリハビリの実施単位数にかかる規定につきましては、10枚目にございますように、原則は患者さん1人につき、1日6単位でございますが、下のほうにございますが、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者さんにつきましては、1日9単位までというルールとなってございます。

11枚目は、リハビリテーション充実加算でございますけれども、1日6単位以上のリハビリテーションを提供している医療機関で、施設基準を満たす場合には、患者1人、1日につき40点を入院料の所定点数に加算するものでございます。

 左側の棒グラフが届け出の医療機関数についてでございまして、右側は算定回数ということで、入院料の算定回数に対して、充実加算で、約半分ぐらい算定されている状況でございます。

12枚目は、回復期リハビリテーション病棟における1日当たりの平均のリハビリの実施単位数について、お示しさせていただいております。

 左側が脳血管疾患リハ、真ん中が廃用症候群、右側が運動器のリハビリということで、縦軸に1日当たりの単位数をお示しさせていただいておりまして、それぞれの棒グラフのところに3本種類がありますが、それぞれ入院料1、2、3という形でお示しさせていただいております。

 これを見ますと、入院料1につきましては、脳血管疾患、廃用症候群、運動器リハともに、8単位以上のところが一番大きくなっているとか、例えば入院料2で見ますと、脳血管疾患では8単位以上が一番多くなっている。廃用症候群では5~6単位未満、運動器リハでは3~4未満のところが一番多くなっている状況でございます。

13枚目のスライドでございますけれども、1日平均で6単位より多くの疾患別リハビリテーションを実施された患者さんの割合をグラフの横軸にとりまして、それぞれどのくらいの病棟が該当しているかを見たものでございます。

 それぞれ入院料1、2について、棒グラフに示させていただいておりますが、回復期リハビリテーション病棟入院料2につきましては、一番多くなっているのは、0%以上10%未満というところでございます。それから、回リハの1では、6単位以上実施されている患者さんの割合は、90%以上100%未満というところが、多くなっている状況でございます。

14枚目のスライドは、実際の入院中の患者さんに実施されているリハビリの単位数とADLの変化、向上の度合いを見たものでございます。

 グラフはわかりにくいところがありますが、左側が脳血管リハ、真ん中が廃用症候群、右側が運動器リハということで、縦軸にはADLの変化の度合いをはかるFIMの得点の上昇幅について、目盛りをとらせていただいておりまして、数字が大きくなるほど、下にいくほど、ADLが向上しているというグラフでございます。

 棒グラフでも2種類設けさせていただいておりますが、1つが、1日当たりのリハビリ実施単位数が3~6単位以下のもの、それを中密度と呼ばせていただきます。もう一つは、6単位より大きいもの、高密度ということで、分布をとらせていただいております。

 グラフはわかりにくいので、下のほうに、それぞれ集計というか、計算した数値を示させていただいておりますが、平均値というところは、10日当たりのADLの向上の状況を見ていますが、それを計算し直して、1日当たりの平均値にしておりますけれども、脳血管でも、廃用症候群でも、運動リハでも見ていただければと思いますが、高密度に行われているところ、1日6単位よりも大きくリハビリを行われているところのほうが、FIMの得点が高くなっているという数字になってございますが、リハビリ1単位当たりに割り戻してみますと、中密度と高密度で、それほど変わらないようなアウトカムになっているところでございます。

15枚目のスライドは、以前、お示しさせていただいているデータでございますけれども、左側は回復期リハビリ入院料1の関係で、4点以上改善している方の割合の分布を見たものでございます。

 右側は回復期リハビリ2、3について、ADLの関係が3点以上改善している人の分布を見たものでございますけれども、多いところは、真ん中ぐらいで、5070というところが多くなっておりますが、多くの人が改善しているところがある一方で、30%から40%未満とか、改善された患者さんの割合が少ないところも見られるということで、分布に大きなばらつきがあるところでございます。

 それらの状況を、今回の検証調査をもとに、もうちょっと詳細に見たものを、16枚目以降に準備させていただいております。

16枚目は、脳血管リハで、廃用症候群以外についての分布を見たものでございまして、上の分布は1日当たり実施リハが3単位から6単位以下、下のグラフは6単位を超えるものについて、横軸に先ほど出てきましたFIMの得点の改善の状況をとりまして、分布を見たものでございます。

 これを見ますと、見方にもよるかと思いますけれども、どちらかというと、下の6単位を超えて行っているところのほうが、ピークが左側に寄っている、得点の上昇幅が少ないところになっているとか、あるいは両方のグラフともそうなのですが、得点の上昇幅にばらつきが見られる、ADLの向上の改善の状況について、ばらつきが見られるということが、見てとれるかと思います。

 これらにつきまして、患者像はどうなっているのかということを見たのが、17枚目のスライドでございまして、中央値で切って、左側と右側、要するにADLの向上が低いところと高いところを分けて、患者数とか、平均年齢などを見ております。

 効率上位、効率下位という分類をさせていただいておりますが、左側、効率下位につきましては、若干認知症の患者さんの割合が高い傾向がありますが、基本的には余り有意な差は見られなかったという状況でございます。

18枚目のスライドは、先ほど申し上げたような考え方で、運動器リハについて見たものでございます。

 運動器リハにつきましては、下の1日6単位を超えるリハビリを実施しているところは、3単位から6単位以下に比べまして、どちらかというと、分布が右側に寄っているところが見てとれますが、いずれにしても、分布の幅も広いという状況でございます。

 患者像についても、19枚目のスライドで、同じように見ておりますけれども、左側のグループのほうが、若干認知症の患者さんの割合が高い状況がございますが、有意な差というわけではないですけれども、そういう傾向があるところでございます。

 これらを踏まえまして、20枚目に論点としてまとめさせていただいておりますが、回復期リハビリテーション病棟の入院患者さんに対するリハビリテーションについて、医療機関ごとのリハビリテーションの効果に基づく評価を行うこととして、提供量に対する効果が一定の実績基準を下回る医療機関においては、1日6単位を超える疾患別リハビリテーションの提供については、入院料に包括することとしてはどうかと、まとめさせていただいております。

21枚目以降は、2つ目のテーマで、廃用症候群の関係についてでございます。

22枚目は、廃用症候群について簡単にまとめさせていただいたものでございます。

23枚目でございますが、廃用症候群にかかる点数が、どういう状況、経緯になっているかということをお示ししております。

 上の表ですけれども、平成22年度の改定において、脳血管リハの中で、廃用症候群以外と廃用症候群に区分した点数が設定されているところでございます。

 下の四角にも記載させていただいておりますが、こういう整理をした結果、廃用症候群のリハビリの算定回数がすごくふえたということと、本来、他の疾患別リハビリテーション、例えば運動器のリハで算定されるべき患者さんが、点数の関係かどうかわかりませんが、廃用症候群のリハビリテーション料で算定されていることが、想定されるのではないかという検討調査の結果が得られたことから、26年度改定では、この四角にあるような点数の見直しをされますとともに、他の疾患別リハビリテーション料等の対象でない場合のみ、廃用症候群のリハビリテーション料が算定可能という改定がなされております。

 その結果、24枚目でございますけれども、25年から26年のところを見ていただきますと、廃用症候群のリハビリの実施件数は下がっている状況でございます。

 そんな中で、廃用症候群につきましては、わかりにくい点が何点か指摘されているのが事実でございまして、25枚目にそれをまとめさせていただいておりますが、例えば廃用症候群のリハビリは、脳血管疾患等リハビリテーションに分類されておりますけれども、脳血管疾患と関係がない場合もあるということで、名称がわかりにくいのではないかということとか、あるいは対象患者さんについては、次の全てを満たす必要があるということで、左側に3つほど記載させていただいております。

 例えば外科手術等の治療時の安静による廃用症候群の患者と書かれておりますと、外科手術等の治療を行っていない場合、対象となるのか、ならないのか、対象とならないのではないかということとか、あるいは3つ目の四角のところにありますが、ほかの疾患別リハビリテーションをやっている場合は、対象患者とはならないとなっていますが、これらの対象患者さんが廃用症候群になった場合、廃用症候群のリハビリがしにくいといった話とか、あるいは4のところにありますが、運動器不安定症という病名がついたときに、運動器リハの対象の疾患の1つでもございますけれども、疾患といたしまして、廃用症候群の一部が含まれていることから、どこで算定していいのかわかりにくいということがございます。

26枚目は、それぞれの疾患別のリハビリテーションの概要をお示しさせていただいておりますが、内容とか、必要な器具が異なっておりますので、廃用症候群の患者さんがリハをするとき、例えばこういう疾患別リハをするときには、どのリハビリテーション料の対象患者になるかによって、実施できる医療機関とか、リハの内容が異なってくる、影響が生じるということも、指摘されております。

27枚目は、先ほど出てきました、運動器不安定症の診断基準をお示しさせていただいておりますが、10番目のところに、長期臥床後の運動器廃用という項目が含まれているので、どこで算定するかとか、どう考えるかということが、わかりにくいところでございます。

 こういう状況を踏まえまして、28枚目に論点としてまとめさせていただいておりますが、廃用症候群に対するリハビリテーションを、脳血管疾患等リハビリテーションの一部ではなくて、独立した項目としてはどうかということが、1点目です。

 2点目で、急性疾患に伴う安静によって生じた廃用症候群については、原疾患に対する治療の有無にかかわらず、廃用症候群に対するリハビリテーションの対象としてはどうか。

 3点目として、廃用症候群の患者であって、主として廃用症候群による障害に対して、リハビリテーションを実施するものと認められる場合、他の疾患別リハビリテーション料等の対象患者かどうかにかかわらず、廃用症候群のリハビリテーションの対象としてはどうか。

 4点目として、運動器不安定症と判断される患者さんのうち、運動機能低下を来す疾患が、長期臥床による運動器廃用のみであるものにつきましては、運動器リハではなくて、廃用症候群リハビリテーション料の対象としてはどうかと、まとめさせていただいております。

29枚目からは、維持期リハについてでございます。

31枚目ですけれども、維持期リハにつきましては、現在、脳血管疾患等リハビリテーション料、または運動器リハビリテーション料を算定しており、維持期である場合には、月13単位を上限として算定可能という形になってございますが、平成28年4月1日以降につきましては、入院中の患者以外の要介護被保険者等の場合には、当該リハビリテーション料の算定対象とならないという形で、前回の改定のときに整理されているところでございます。

 介護保険への移行の対象となる場合、ならない場合について、32枚目、33枚目で整理させていただいおりますが、最初の四角のところで、介護保険へ移行となるケースにつきましては、1~4の全てを満たすもの、具体的には1で維持期の、2で脳血管疾患等のリハまたは運動器リハを実施している、3として、入院中以外の、4として、要介護被保険者の全てを満たすものが、移行の対象になるということです。

 逆にそれぞれに当てはまらないケースは、移行の対象とならないということでございまして、例えば1に当てはまらないということでは、32枚目のスライドの下のところに書かせていただいておりますが、維持期ではないということでは、こういうことが考えられるというか、整理できるということです。

33枚目にいきまして、2に当てはまらない、すなわち、脳血管疾患等リハまたは運動器リハ以外のリハを実施しているようなケースです。

 3に当てはまらないということであれば、入院中である場合。

 4に当てはまらないということであれば、介護保険の被保険者でない場合とか、要介護認定を受けていない場合がありまして、これらにつきましては、介護保険への移行の対象外になるという整理になってございます。

34枚目のスライドは、これまでの維持期リハビリテーションの介護保険への移行についての検討経緯を記載させていただいておりますが、それぞれの改定のときに、経過措置が延長されてきたという経緯がございます。

35枚目のスライドは、前回の26年度改定のときに、維持期リハビリテーションの介護保険への移行を促進するための改定ということで、1で評価の見直しとか、2で経過措置が延長されたり、3で介護保険リハビリテーション移行支援料というものが設けられたということをお示ししております。

36枚目のスライドですけれども、リハビリの標準的な算定期間を過ぎてリハビリを実施している外来患者さんのうち、介護保険のリハビリテーションへの移行が困難なものについて、検証調査でこれまで調べさせていただいておりますが、25年につきましてが左側、27年、今回の調査が右側ですけれども、数値としては、大分減ってきている状況がございます。

 そんな中で、37枚目のスライドですけれども、維持期のリハを実施されておりますが、介護保険への移行が困難とされた要介護者のADLの状況が、どういうふうになっているのかを見させていただいているものでございます。

 右側では、Barthel IndexによってADLの評価を見ておりまして、左側に実際にその分布を見ていただいておりますが、点数が高いほど、ADLの状態がいいということで、それぞれ横軸には外来でリハビリを開始したときのADL、縦軸には調査日時点のADLを見させていただいておりますが、一番多いグループというのは、外来でリハビリを開始されたときから100というか、ADLがかなりいい状態で、調査日の段階でも、100という方が一番多くて、その次に多いのが9099というところでございまして、リハビリを開始されたときも、調査日の時点でも、一定程度、ADLが高い方というのは、移行が困難とされている状況ではないかということを、お示しさせていただいております。

38枚目のスライドは、維持期のリハビリの患者さんのリハビリの期間について見たものでございますけれども、標準的算定日数を超えて、さらに3年以上経過している人が、脳血管リハでは半分ちょっとぐらい、廃用症候群、運動器リハでも2割ちょっと、25%ぐらいという状況でございます。

39枚目のスライドは、医療保険、介護保険のリハビリテーションの点数などを比較したものでございますけれども、左側が医療保険の疾患別リハビリテーションの点数の比較、真ん中と右側は介護保険ですが、真ん中につきましては、通所リハで、さらに短期集中個別リハビリを実施しているような場合は、ほぼ同じぐらいの点数、評価になっているということを、お示しさせていただいております。

40枚目のスライドは、介護保険のリハビリテーションの事業所数・受給者数の推移でございまして、左側が通所リハ、右側が訪問リハですけれども、サービスを受給される方、事業所数ともに、大幅に増加傾向にあるところでございます。

41枚目のスライドは、保険医療機関または保険薬局の指定があったときに、居宅サービスについても指定があったとみなすという、みなし規定の条文をお示しさせていただいております。

 実際に42枚目のスライドにありますような、同一の施設で医療保険の外来のリハと、介護保険の通所リハを行っている例ということで、上のほうでは、同一施設で、時間を変えて、医療保険と介護保険のリハをやっているケースがございます。

 事例2では、スペースの関係もありますけれども、並行して実施しているようなケースもあるところでございます。

43枚目のスライドにつきましては、少し前に、検証調査の御報告のところでもお示しさせていただいておりますが、介護保険のリハビリへの移行が困難と見込まれる理由を調査させていただいておりまして、左側が病院外来、右側が診療所外来ですけれども、同じような傾向で、一番移行が難しいと言われる理由は、心理的な抵抗感が大きいからということで、そのほかに、介護保険のリハビリでは、医学的に必要なリハビリが提供できないと考えられるからとか、あるいは通所リハでは、リハビリの質が不明であるからという御回答が多かったということを、示させていただいております。

44枚目、45枚目は、前回の介護報酬の改定のときの介護保険におけるリハビリテーションの考え方について、こういう考え方で改定されたということを、整理させていただいている図でございます。

44枚目のスライドにありますように、横軸に時間軸をとっておりますけれども、リハビリが必要な患者さんについては、機能回復訓練等の心身機能へのアプローチが行われるわけでございますが、一定時期からは、並行して、ADLの向上とか、IADLの向上への働きかけということで、活動へのアプローチがございます。また、その後の時期には、社会参加を実現するための参加へのアプローチとか、こういう3つのアプローチを視野に置きながら、同時並行的に取り組んでいくという視点で改定されたと、承知しております。

45枚目には、医学的リハビリテーションの進め方ということで、参考として示させていただいておりまして、分類が0~3まであるようでございますけれども、基本的には心身機能の回復訓練のみを行うというか、それに終始するだけではなくて、予測される予後等から、参加レベルの目標を設定して、そこから逆算して活動の目標とか、心身機能の目標を定めるということで、3のようなアプローチが最も望ましいと言われているということを、お示しさせていただいております。

46枚目は、医療保険と介護保険のリハビリの併用についてということで、整理させていただいておりますが、一番上の四角では、医療保険で疾患別リハビリを受けていらっしゃる患者さんが、介護保険におけるリハビリテーションに移行した場合というのは、原則として、その日以降は、医療保険における疾患別リハビリ料は算定できない、介護保険に移行するという形になっております。

 2つ目の四角のところにありますように、患者さんから見ますと、医療保険によるリハビリが終了するか、その見込みをつけるまで、介護保険でのリハビリがどんな感じになるのかということが、全くわからない状況で、不安であるという話とか、あるいは2つ目のポツで、リハをやっているスタッフから見ましても、介護保険によって、どのようなリハビリテーションが提供されるのか、十分にわからないままに、計画とか、実施を行わなければならない状況があることも指摘されております。

 最後の四角ですけれども、考え方として、維持期における要介護被保険者のリハビリテーションを介護保険へ移行するに当たり、移行をより円滑にするために、一定の条件のもと、併給にかかる規定を緩和してはどうかと、整理させていただいております。

 実際にリハビリテーションを実施している患者さんへの説明・支援の内容ということで、回リハ病棟で、左側ではさまざまな取り組みが行われていますということの調査結果をお示しさせていただいております。

 右側では、リハビリテーション総合計画書を作成して、その内容を患者さんに説明する際に、身体機能やADLの予後の見通し等も含めてしているというところが、6割ぐらいあります。

 その下の棒グラフですけれども、それを説明される職種としては、理学療法士さん、作業療法士さん等が一番多いわけですが、お医者さんは35%ぐらいだという検証調査の結果もございます。

 これらをまとめまして、48枚目のスライドでございますが、要介護者被保険者につきましては、28年4月から維持期リハビリテーションを介護保険へ移行するとされておりますが、移行の例外とすべき患者の状態等として、現行で例外とすることとされているもののほかに、どのようなものがあるかということでございます。

 2つ目は、介護保険のリハビリテーションに対する不安や抵抗感を解消する観点、あるいは医療、介護の連携をより緊密にして、患者さんにとって必要なリハビリテーションが継続的に提供されるようにする観点、心身機能へのアプローチによるリハビリテーションから活動・参加へのアプローチによるリハビリテーションへの発展を支援する観点から、以下を実施してはどうかということで、2つほど掲げさせていただいております。

 1つ目が、脳血管疾患等リハビリテーション、または運動器リハビリテーションを実施している要介護者について、標準的算定日数の3分の1が経過する日までを目安に、医師が機能予後の見通しを説明し、患者の生きがいや人生観等を把握し、それを踏まえて、必要に応じて多職種が連携してリハビリテーションの内容を調整するとともに、将来、介護保険によるリハビリテーションが必要と考えられる場合には、介護支援専門員と協働して、介護保険によるリハビリテーションを紹介し、見学、体験等を提案することを評価してはどうか。また、そのような対応を伴わずに行われる疾患別リハビリテーションの評価を見直してはどうか。

 2つ目は、上記紹介・提案等が行われた後は、介護保険によるリハビリテーションを、体験として必要な程度、医療保険によるリハビリテーションと併用できるようにしてはどうかということでございます。

49枚目からは、施設基準の関係について、何点かお示しさせていただいております。

 心大血管疾患リハビリテーション料の関係でございますが、それぞれの疾患別のリハの届け出数とか、算定件数を50枚目にお示しさせていただいておりますが、心大血管疾患リハについては、いずれもかなり少なくなっているという状況がございます。

 それに関連して、51枚目が、施設基準というか、人員要件等を簡単に整理させていただいておりますが、心大血管疾患リハにつきましては、標榜診療科目として、循環器または心臓血管外科が必要ということで、専門とされる医師が必要ということが、要件になっております。

 実際の1と2の算定状況は、52枚目のスライドに掲げさせていただいておりますが、届け出医療機関数とか、算定件数は、ほとんどが1であるという状況でございます。

53枚目でございますけれども、これは循環器病の診断と治療に関するガイドライン等で示されておりますが、心大血管疾患リハにつきましては、幾つかの場合を除いては、循環器科または心臓血管外科のない医療機関でも、安全に実施できるというか、実施が可能であるとされておりまして、急性心筋梗塞とか、大血管疾患につきましては、一部限定がありますけれども、こういう整理がされているということでございます。

 これらを踏まえまして、54枚目の論点でございますが、心大血管疾患リハビリテーションを提供する医療機関を確保する観点から、例えば循環器科や心臓血管外科の標榜がなくても、一部の疾患については、心大血管疾患リハの経験を有する医師が実施する場合など、安全性と有効性が維持できる場合には、実施できることとしてはどうかということでございます。

55枚目からは、リハビリの関係の職種の専従規定の関係でございます。

56枚目のスライドの2つ目の四角のところにありますが、専従につきましては、基本的には施設基準の専従として届け出ている者が、他の定めがない限りは、他の施設基準の専従者として届け出ることとか、他の項目の業務に従事して、診療報酬点数を算定することはできないという考え方でございます。

 一部、リハビリの関係で、その下にありますが、専従者であっても兼任が認められる組み合わせということで、例えば心大血管疾患リハとその他のリハについて、実施日・時間が異なる場合などに兼任が認められるとか、あるいはその下の四角ですが、専従者であっても他の業務への従事が認められる場合ということで、3点ほど例示を示させていただいております。

 こういう形で、柔軟に対応させていただいている一方で、57枚目、58枚目にありますが、まず57枚目でございますが、難病患者さんのリハビリテーションにつきましては、真ん中あたりの四角に施設基準とありまして、専従する2名以上の従事者が必要、勤務していることと求められておりますけれども、この専従者につきましては、兼任とか、他の業務への従事が、今の段階では認められていないという状況もありまして、下の四角にありますが、届け出医療機関数とか、算定回数は、かなり少なくなっている状況がございます。

58枚目のスライドは、言語聴覚士さんに関する規定でございますけれども、真ん中あたりの四角にも整理させていただいておりますが、例えば摂食機能療法で、前回、新設されました経口摂取回復促進加算の関連で申しますと、常勤の言語聴覚士さんを確保する必要がありまして、兼任ができないことになっております。

 また、障害児者のリハビリテーション料の常勤専従の言語聴覚士さんにつきましても、他の診療報酬項目のリハビリテーションが実施できない形になってございます。

 これらのことから、59枚目に論点として整理させていただいておりますが、難病患者リハビリテーションの実施日が他のリハビリテーションと異なる場合、難病患者リハビリテーションの専従者に、他のリハビリテーションの専従者との兼任を認めてはどうか。

 2つ目として、難病患者リハビリテーションを行う日以外において、難病患者リハビリテーションの従事者が他の疾患別リハ、障害児者リハ、がん患者リハに従事することを認めてはどうか。

 3つ目として、摂食機能療法の経口摂取回復促進加算や障害児者リハビリテーション料、言語聴覚療法を行う場合について、特に実施件数が少ない場合等は、届け出の要件となる専従の常勤言語聴覚士さんが、他の施設基準の専従者としても届け出ることや、他の業務へ従事すること等を認めてはどうかと、整理させていただいております。

 次からは、回復期リハビリテーション病棟入院料1の体制強化加算につきましてです。

61枚目に、前回の改定で設けられました、体制強化加算の点数の概要をお示ししております。

 その中で、施設の基準の1にありますが、当該病棟に専従の常勤医師1名以上、専従の常勤社会福祉士1名以上を配置することが規定されております。

62枚目は、医療機関の届け出状況・算定状況でございますが、回復期リハビリテーション病棟入院料1の届け出の約半分ぐらいで、体制強化加算が届けられている、あるいは実施されているところでございます。

63枚目のスライドで、検証調査の状況を示させていただいておりますが、体制強化加算を届け出たことによって、どのような影響が出ているのかということを、調べさせていただいております。

 上のグラフでは、外来等の医師の負担が増大したとか、あるいは外来診療とか、訪問診療の提供を削減したということになっております。

 また、その下では、体制強化加算をとるに当たっては、医師を増員したところも多くなっておりますが、これは右側の四角にありますが、ルールとして、病棟に専従の常勤の医師につきましては、外来診療とか、訪問診療等を行うことができないというルールに、現在なっておりまして、そういうことが影響しているところでございます。

 これらを踏まえまして、64枚目の下のところの論点でございますが、地域包括ケアシステムの中でリハビリテーションを推進していく観点から、体制強化加算を届け出る医療機関におきまして、入院と退院後の医療のつながりを保って提供できるように、病棟での医療体制を損なわないための一定の条件のもとでは、回復期リハビリテーション病棟の専従の常勤医師が、入院外の診療にも一定程度従事できるようにしてはどうかと、整理させていただいております。

65枚目からは、早期からのリハビリテーションの関係で、2つほど準備させていただいております。

 1つは、ADL維持向上等体制加算についてでございますが、これは66枚目のスライドにありますように、病棟に理学療法士さんを配置すると、ADLが早期に回復するとか、入院日数が短くなることが期待できるというか、そういうデータがあるということです。

67枚目は、前回の改定で、ADL維持向上等体制加算が設けられたところでございます。

 その要件の中で、68枚目に施設基準等を記載させていただいておりますが、1で、専従の常勤理学療法士、常勤作業療法士、または常勤の言語聴覚士が1名以上配置されていることという基準となっているところでございます。

 専従、常勤のリハビリ職の方が、どういうことをされているのかというのが、69枚目の検証調査の結果ですが、もちろん患者さん本人への訓練、指導以外に、スタッフ間の情報の共有とか、離床の促進とか、そういうことに取り組まれているということでございます。

70枚目で、実際の届け出状況等を見ておりますが、届け出医療機関数で見ますと、0.8%ぐらい、算定回数は0.1%ぐらいと、大変低調な状況になっているところでございます。

 この辺の状況につきまして、71枚目、検証調査でもお伺いしておりますけれども、届け出をしていない理由といたしましては、施設基準の要件を満たせる見込みが立たないからということで、右側のグラフを見ますと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士さんのいずれかを常勤配置にするというのが、一番見込みが立たない要件だということを、御回答いただいております。

 もう一つ、この関係で、72枚目のスライドですが、体制加算の施設基準の中で、年間の退院患者さんのうち、入院時よりも退院時等にADLが低下した者の割合が3%未満であるという基準がございます。

 下にイメージ図を示しておりますが、手術前は一定程度ADLがございますけれども、手術をしますと、当然下がります。回復の過程において、術前ほどにADLが戻らないで退院されるケースも多々考えられるかと思いますが、この割合が3%未満というのは、大変厳しい基準ではないかという御指摘がございます。

73枚目に論点としてまとめてございますが、急性期からのリハビリテーション介入を促進する観点から、休日におけるリハビリテーションの実施体制とか、介入の内容、ADLの維持・回復の実績等を勘案して、質や密度の高い介入を行っていると認められる病棟のADL維持向上等体制加算につきましては、評価を充実させてはどうか。

ADL低下者の割合の実績要件につきましては、手術に伴うADLの低下を勘案して、例えば入院直後に全身麻酔を伴う手術を行った患者さんにつきましては、手術日前後のADLの低下を除いて評価できることにしてはどうかということでございます。

74枚目からは、初期加算、早期加算等の関係でございます。

75ページ目が、今の点数表の形でございまして、発症の早期からリハビリを開始することが、効果が高いという考え方から、初期加算、早期加算がこういう形で設けられているということをお示ししております。

76枚目の上のように、もちろん発症直後から治療を開始されて、治療開始から14日まで、30日までということで、それぞれの加算ということであれば、ある程度、当初の目的に沿っているかもしれませんが、実際には、下のようなケース、発症等からおくれてリハビリを行うケースとか、慢性疾患などでは、発症時期が不明な場合もありますが、こういうケースにつきましても、現状、治療開始日から加算がとれるというルールになっているところでございます。

 こういう算定可否の判断につきまして、77枚目にありますけれども、発症とか、手術、または急性増悪から何日ということで、明確に記載されているものがありまして、リハビリの関係についても、こういうところは、きちっと整理していったほうがいいだろうということと、慢性疾患については、その判断が困難な場合があるということも、指摘としてはございます。

 論点として、78枚目にまとめさせていただいておりますが、1つ目として、初期加算、早期加算の算定につきましては、発症や手術の日に基づいて起算することを原則としてはどうか。また、慢性疾患につきましては、初期加算、早期加算の対象外としてはどうか。

 2つ目として、慢性疾患に対する疾患別リハビリテーションの標準的算定日数を超過したかの判断とか、あるいは回復期リハビリテーションを要する状態の判断に当たりましては、当該疾患と最初に診断された日を起算日として整理してはどうかと、まとめさせていただいております。

79枚目からは、その他ということで、3点ほど準備させていただいております。

 1つ目の80枚目、リハビリテーションにつきましては、現行の制度上は、保険医療機関の中においてということが、ルールになってございます。

 そうは言いつつ、81枚目ですけれども、社会復帰あるいは復職等に向けてのリハビリということであれば、例えば公共交通機関の利用とか、外出の訓練も必要になってくるかと思いますが、実施状況はお示しのとおりです。

 実際に社会復帰を目指す観点から、医療機関の中で行うことが難しい訓練の例を、82枚目にお示しさせていただいております。

 こういう状況を踏まえまして、83枚目に論点として整理させていただいておりますが、IADLや社会生活における活動の能力の獲得のために、実際の状況における訓練を行うことが必要な場合に限って、医療機関外で行われるリハビリテーションについても、疾患別リハビリテーションとして評価できるよう、現行の規定を見直してはどうかということが、1つ目でございます。

 2つ目は、リンパ浮腫の関係でございます。

85枚目にありますように、悪性腫瘍の手術の後で、リンパ節を取り除いたり、あるいは放射線治療を行ったりした場合には、リンパの流れが停滞して、リンパ浮腫という後遺症というか、状況が起こると言われております。

86枚目に絵がございますけれども、このように、大変な状況になるところでございます。

87枚目には、発生頻度を示させていただいておりますが、ある一定程度というか、かなりの率で、一定のがんの術後等には発生すると言われております。

88枚目には、リンパ浮腫に対する現在の診療報酬の評価をお示しさせていただいておりますが、平成20年の改定で、リンパ浮腫指導管理料、100点が創設されまして、また、圧迫療法等に用いる弾性着衣等が療養費の支給対象になっているというのが、現在の状況でございます。

 枠に中に、リンパ浮腫指導管理料、100点の関係について、整理させていただいておりますが、この算定は、入院中1回、退院月またはその翌月に外来で1回に限り算定というルールになってございます。

 そうではございますが、89枚目のスライドにありますように、がんの術後からリンパ浮腫が発症するまでというのは、直後とは限らず、グラフを見ていただきますと、1年以上3年未満とか、3年以上5年未満、ケースによっては、10年を超えてから出てくるということも、統計的には示されているところでございます。

 この関係の2点目は、90枚目のスライドですけれども、リンパ浮腫の治療におきましては、複合的な治療が推奨されているところでございまして、具体的には、枠の中にありますように、日常生活指導とか、スキンケア、圧迫療法、圧迫下での運動療法、用手的リンパドレナージということを、複合的に行っていくことが重要だと言われておりますが、今の診療報酬の中では、これを直接評価している項目はないところでございます。

 これらをまとめまして、91枚目のスライドの論点でございますが、現在、術後初期に2回までとされているリンパ浮腫指導管理料につきまして、がんのフォローアップが行われる標準的な期間を目安とし、一定程度の頻度に限って、さらなる算定を認めはどうか。

 2つ目で、医療機関におきまして、リンパ浮腫の複合的治療に対する一定の資質を有する従事者が、医師の指導・監督のもとで行う場合、一定の期間及び回数に限って、リンパ浮腫に対する複合的治療を評価してはどうかということでございます。

 3点目は、摂食機能療法の関係でございます。

 これについては、2つありまして、93枚目に1つ、摂食機能療法の対象患者さんとして、真ん中あたりに※がありますけれども、その中で「脳血管疾患等による後遺症」とありますが、「等」がわかりにくいということでございます。

94枚目でございますけれども、前回の改定で、摂食機能療法につきまして、高い割合で経口摂取に回復させている場合には、経口摂取回復促進加算が創設されております。

 字が小さくて恐縮ですが、四角の中の施設基準の(2)には、経口摂取回復率が35%以上という要件が設けられているところでございます。

 これにつきまして、95枚目のスライドですけれども、2つ目の四角で、経口摂取回復率の定義というか、計算の式を書いてございます。1の分子のところになりますけれども、1年以内に経口摂取のみの状態へ回復したものという数値をもってくることになっております。

 これについて、下のほうに、検証調査からの結果をお示しさせていただいておりますが、1年という期間フォローして、データをとるというのは、なかなか大変だということです。

 右側にもありますが、胃瘻の患者さんの退院・転院が多くて追跡調査が困難、鼻腔栄養についても、同じような御回答をいただいているところでございます。

 これらを踏まえまして、論点として、96枚目ですが、摂食機能療法の対象患者さんにつきましては、原因にかかわらず、検査等によって他覚的に存在が確認できる嚥下機能の低下であって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できる患者については、対象としてはどうか。

 2点目、経口摂取回復促進加算の要件につきましては、経口摂取回復率35%のほかに、データ取得が比較的容易な短期のアウトカムについての基準等を設けて、そのいずれかを満たした場合であれば、評価することにしてはどうかということでございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 中川委員、お願いいたします。

○中川委員

 今の説明について、見解を申し上げたいと思います。

15番です。回リハ1と2、3を比べていますが、回リハ1のほうは、4点以上向上していた、2、3は3点以上ということですが、この差はどういう意味なのかということは、1つ疑問が湧きますが、まずそれをお答えいただきたいと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

15枚目のスライドにつきましては、1と2を比べているわけではなくて、1の中、2、3の中で、それぞれどういう分布になっているのかということをお示しさせていただいております。

 そこでもってきている4点、3点がどういう話かということでございますが、8枚目のスライドで、下から2段目の枠のところに、重症者における退院時の日常生活機能評価というのが、施設基準の1つになっておりまして、入院料1については、入院時から4点以上改善、2につきましては、3点以上改善という基準がありますので、そこがわかるような形で、数字をもってきております。

 以上でございます。

○中川委員

 わかりました。

17番目に移りますが、回リハ1で、効率下位と効率上位に分かれています。効率下位のところをよく見ていただければ、平均年齢、認知症患者割合、それぞれ高いのです。これが大事な点だと思います。

19枚目の運動器リハ1でも、認知症患者割合が明らかに高くなっているのです。これが重要なポイントだと思います。

 その上で、20番の論点について、見解を述べたいと思いますが、2006年度の診療報酬改定で、疾患別リハを新設しました。そのときに、リハビリ算定日数上限を設けて、その当時、いわゆるリハビリ難民と言われる状態が起こって、社会問題化したのです。2007年に中医協で実態調査をしまして、できるように改正したという事実があります。こういう事実を踏まえると、リハビリの上限を考えるというのは、極めて慎重にすべきだと思います。

 その上で、もし何らかの上限を考えるのであれば、対象患者像はどういうものなのかということを、明らかにすべきだと思います。

13番にありますが、1日6単位を超える患者が、90%を超えるという病棟が2割存在する。この全てを悪いとは言いませんが、その中にモラルハザードがあるのであれば、モラルハザードに対する対処を考えるべきだと思います。

14番にありますが、6単位超は1日当たりの効果は大きくなるが、1単位当たりの効果は小さいと言っています。しかし、1日当たりの効果が大きければ、退院が早まる可能性もありますし、1単位当たりの効果が小さいことを問題にするよりも、1日当たりの効果が大きいことに目を向けるべきではないかと思います。

17番にありますが、先ほど言い忘れましたが、リハビリテーションが中密度か、高密度で、入院時患者特性に有意な差はないと言っていますが、これはあくまでも入棟時の状態で、回復可能性といった視点が抜けていると思います。

 次に28番の論点についてですが、廃用症候群に対して、対象患者を整理することに関しては、了解します。

 しかし、23番にありますように、廃用症候群のリハビリの点数が、前回の改定で、運動器リハに比べて、大幅に低く設定した。これ自体を見直すべきだろう、もとに戻すべきだと思います。

 次に48番です。ここの論点についてですが、介護保険によるリハビリの紹介、見学、体験等、医療保険、介護保険の垣根を取り払った対応というのは、評価できると思います。ただし、医療現場や地域によって、さまざまな事情があると思われますので、現場の実情を踏まえて、まずは試行的な感じで取り組むことが必要ではないかと思います。

 標準的算定日数の3分の1が経過する日までを目安にとあるように、例えば脳卒中で言えば、60日目ぐらいまでであれば可能。それ以前であれば、回復状況や患者の病態、障害の受容が難しいと思います。

64番についてです。回復期リハビリテーション病棟入院料1の体制強化加算についてですが、確かにリハビリテーションの専従常勤医が外来も診ることができるというのは、医療機関によっては、いいことだと思いますが、専従医師を確保した上で、そういう体制でしっかりリハビリに取り組んでいる医療機関は、これはこれで残すべきだと思います。その上で、専従常勤医が外来もできるという評価を新設する、そういう方向性にするべきだと思います。

78番です。初期加算、早期加算、慢性疾患等の取り扱いについてですが、発症日から起算することには、異論はありません。ただし、慢性疾患と廃用症候群を同一に扱うことは、問題だと思います。廃用症候群でも、診断した日からリハビリを始めた場合は、効果が大きいと思います。

83番のことですが、社会生活における活動能力の獲得という面では、これは悪いことではありませんが、もし仮にリハビリの上限、6単位といったことを設定するのであれば、これは非常に難しいというか、あり得ないと思っています。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 論点がいっぱいあるので、幾つか意見を述べさせていただきます。中川先生のものとかぶらないように、申し上げたいと思います。

20ページ目の施設に対する評価なのですが、中川先生も言われたとおりで、患者像というのは一定ではないので、高齢、認知症などがかぶっていますと、効果がおくれることは間々あります。ですから、例えば脳血管は、6単位以上やったほうが、実際的には効果があるのではないかということもあります。施設によって、質を高くやっているところを評価するということは、わかりますので、多面的な評価をもう少し入れられないかという気がいたしております。

28ページは、中川先生の言われたとおりだと思います。

42ページですけれども、リハビリを医療施設と介護施設にも併用する場合、実態は40ページにありますように、今、それほど通所リハの施設がふえていることもなくて、むしろ訪問リハのほうが、物すごくふえているという実態があります。我々も病院から切り離して介護へもっていくときに、通所リハがなくて、訪問リハになってしまうことが多々ありますので、できれば、医療施設が通所リハ、介護保険のほうも利用できるように、それを推し進めるような調整をお願いできたらと思っております。

48ページの維持期のリハで、13単位の方は、今でも非常に多くいて、すぐに介護のほうにいけないということもありますので、ここに、丁寧に、どういう場合には医療を続けられるということが書かれておりますので、そのことは周知徹底して、きちんと13単位の形で残れるということを、さらにお願いしたいと思っております。

60ページのリハビリテーション職の専従規定ですが、専従規定をいろいろ考えていただけるというのは、うれしいことだと思います。ただ、1つ、専従というのは、どうしても常勤という要件が入ってまいります。常勤というのは、昨今、妊娠・出産等で、短時間労働の方がいて、こういう方はなかなか専従要件を満たせないということがあります。1名の人間が専従でというよりは、常勤換算でできれば、よりワーク・ライフ・バランスという観点からも、職員が働きやすくなるのではないかということを考えておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

74ページのADL維持向上等体制加算は、よい制度だと思っていて、広がってくれればと思っているのですが、38病院と、非常に数が少ないということで、考え方としては、廃用を起こさせないという意味でいいと思うのですが、評価が余りにも低いということがあると思います。また、ADL低下は3%にいったらもうだめとか、評価が厳しいので、そこはもう少し考えていただいて、広まるような形で、評価をしていただけたらと思っております。

78ページ、先ほども中川先生が言われていましたが、考え方なのですけれども、骨折をした、何かを起こした、急性発症のことはわかるのですが、例えば難病等の患者さんは、経過において悪くなるとか、他の疾患を合併して悪くなることがありますので、そういうときにおいては、一連ということではなくて、状況に応じて、早期加算がちゃんと算定できるようにしておかないと、いけないのではないかと思っております。

83ページの医療機関外のリハビリテーションということですけれども、これもよい考え方だと思っております。ただ、いろんな場面で、ポイントにおいて、リハビリの訓練をやることになると、1単位20分という考え方は、引っかかることがあります。実際上はどうかわからないのですが、例えば何かの場面でちゃんと訓練として利用していく場合、20分を満たない場合、幾つかの場面でそれをやると、合計で20分1単位という考え方がよいのかどうかということが、現場としては、疑問が上がっておりましたので、これは逆に質問させていただけたらと思っております。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 最後の点は御質問だと思いますので、医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 最後の御質問についてお答えしますけれども、それぞれの場面を足し合わせてということではなくて、今の考え方では、一連として20分以上という考え方で、考えております。

○田辺会長

 今の点、よろしゅうございますか。

○猪口委員

 できれば、これからも20分という考え方で、例えば病棟の中で、洗顔、排せつ等々を、リハビリの訓練の一環として、生活の中のリハビリとして取り入れるというのは、非常にいいやり方だと思いますので、その場合、一連として区切るわけにはいかないので、分数を分けて、合計で1単位という考え方が浸透したほうが、効果が上がるのではないかと思っているので、お願いしたいと思います。

○田辺会長

 万代委員、お願いいたします。

○万代委員

 私からは、皆様が意見を申し上げていないところで、1つだけ申し上げたいと思います。

88枚目のスライドでございます。がん術後のリンパ浮腫は、写真にもありますように、罹患した方については、かなり厳しい状態になるし、なかなか治らないということで、比較的初期の対応をということでございますが、88ページの下のほうの黄色の枠にある、指導管理料の線の下に、子宮がん等の患者で云々という形で例示されてございます。医師の指示に基づき、看護師または理学療法士がということでございますが、子宮がんの場合は、下肢でございますけれども、乳がんの場合は上肢でございます。上肢の場合は、どちらかというと、理学療法士というよりは、作業療法士も強く関与する場面がございまして、がん術後のリンパ浮腫を包括的に考えるということであれば、理学療法士に加えて、作業療法士も管理料をとれるようにしていただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。平川委員、お願いいたします。

○平川委員

 今のことに関連しまして、質問でございます。91ページの論点のところで、2つ目のポツで、リンパ浮腫の複合的治療に対する一定の資質を有する従事者と書いてありますけれども、今、万代先生から言われました職種を含めまして、どのような職種が対象となっていくのか、1つ質問させていただきたいと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

91枚目のスライドの従事者の関係でございますが、複合的治療を実施する従事者につきましては、一定の研修等を行った者ということで、想定しておりまして、職種としては、例えば理学療法士とか、作業療法士とか、あんまマッサージ師、指圧師を考えておりまして、もちろん医師の指導・監督のもとで、実施することを考えております。

○田辺会長

 平川委員、お願いします。

○平川委員

 ありがとうございます。

 医師の指導・監督のもとでというところでありますけれども、これは同一の医療機関ということでいいのか、どうなのかということが、まず1つ御質問でございます。

 また、今、あん摩マッサージ師、指圧師も入るということでございました。これも質問でありますけれども、90ページのリンパ浮腫に関する課題2のところで、この中においては、日常生活指導とか、スキンケア等が含まれる複合的治療が推奨されているということでありますが、先ほど職種をいろいろ言われましたけれども、一定の資質を有する従事者というのは、複合的治療全てに対応していくことになるのかどうかということについて、質問させていただきたいと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 2点ほどの御質問だったと思いますが、1点目は、もちろん医療機関内にいらっしゃるお医者さんの指示のもとでということになろうかと思います。これはほかの疾患別のリハビリテーションでも同じような仕組みであるかと思いますけれども、同じような考え方で捉えていただければと思います。

 もう一つは、複合的治療の中で、それぞれの職種がどういうところを担うのかというお話になるかと思いますけれども、基本的に身分法というか、資格法で定められている範囲を越えてはできないという考え方になろうと思います。その範囲内で行うということです。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

○平川委員

 ありがとうございました。

○田辺会長

 菊池専門委員、お願いいたします。

○菊池専門委員

 リンパ浮腫に関してですけれども、国立がん研究センターのがん情報サービスウェブで公表されているデータによりますと、リンパ浮腫外来のある医療機関154病院の中で、6割の施設では、看護師が複合的な治療を実施しております。この治療には、スライド90にありますように、用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下の運動療法、スキンケア、日常生活指導を一体的に判断して提供することが求められると考えられますので、患者に治療が適切に提供されるように、職種や要件の設定をお願いしたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。松本委員、お願いいたします。

○松本委員

 今、医療課長のお答えの中で、リンパ浮腫にかかる治療は、医師の監督のもととは言いながらも、あんまマッサージという職種が出ました。もしあるとすれば、リンパ浮腫にのみかかることなのでしょうか。ほかのリハビリに関しても、そのようなお考えで進めていくのかどうか、それを聞きたいと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 今の御指摘につきましては、委員も御案内だと思いますけれども、脳血管疾患リハとか、運動器リハにつきましても、同じような枠組みで入ってございますので、そこは同じような考え方になろうかと思います。

 もう一つ、その先の御指摘として、そういう枠組みを拡大していくのかということであれば、現時点では、拡大していくという考えはないということでございます。

○田辺会長

 松本委員、よろしゅうございますか。

○松本委員

 そうしますと、例えば看護師または理学療法士、作業療法士等と書けば、それも含んでいるということでよろしいわけですか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療課長でございます。

 それは最後のお示しの仕方によると思いますので、「等」と書いて含むと読むのか、明示的に最初から書くのかというところは、後の整理の話だと思います。それでよろしいでしょうか。

○田辺会長

 どうぞ。

○松本委員

 今後、明示の仕方で考えていくという理解でよろしいでしょうか。今、ここで決まっているということではなくて、今後、決めていくということでよろしいのでしょうか。

○田辺会長

 医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 今の点だけではなくて、全てを御提案させていただいているので、御議論の中で、それぞれのところを決めていただく。松本委員が御指摘の今の点も、これから決めていただくという流れになろうかと思います。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。花井委員、お願いいたします。

○花井委員

 今の議論を聞いていて、不案内なのですが、作業療法士と理学療法士と看護師というのは、医療サービスでわかるのですけれども、あんまマッサージ師というのは、医療行為なのですか。全体は医療行為として行うものなのですか。中医協で議論になっているから、多分そうだと思うのですけれども、資格として、医療行為が可能ということに、既になっているということなのですか。

○田辺会長

 この点、医療課長、お願いします。

○宮嵜医療課長

 医療行為が可能という形になっているかというと、身分法上、医療行為という形では書いてございませんけれども、先ほどから御説明していますように、脳血管疾患リハとか、運動器のリハの関係でも、実際に携わっていただいて、できる範囲のことをやっていただいているという形でございますので、実質上、現場的にも問題はないかと思っています。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

○花井委員

 わかりました。

○田辺会長

 石山委員、お願いいたします。

○石山委員

 今の質問に関連して、やはりリンパ浮腫の複合的治療に対する一定の資質を有する従事者によるリンパ浮腫を評価するとなると、職種ごとの業務の境目があいまいなものとなるのではないかと危惧しております。したがいまして、当該医師の指導・監督ということになれば、当該医師の属している医療機関で、厳格な運用を是非ともお願いしたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 2号側委員の意見を踏まえ、全体的なコメントをさせていただきます。私自身、リハビリを受けたことが無いので、現場感覚はわかりませんが、データに基づいてコメントさせていただきます。 様々なデータが出ておりますが、リハビリを行っている医療機関により、大きな効果をあげている医療機関と、あまり効果をあげていない医療機関で大きな差があることが示されております。医療機関の取り組みにより、ADLの向上のばらつきにもつながっているではないかというのが、まず全体的な感想です。

 このようなばらつきが生じているは、1日に9単位まで実施できることや、リハビリテーションの提供単位数等、提供されたサービスの質を検証することなく、このように出来高で算定できる仕組みが、このようなばらつきを生んでいる要因ではないかと思いますので、今回の改定で是正すべきという観点で、各論点に沿ってコメントさせていただきます。

 スライド20の論点ですが、1日6単位を超えるリハビリは、提供量に対する効果を見極めて、評価を分けるべきだと思いますので、論点の方向で見直すべきだと思います。

 スライド28の廃用症候群のリハビリについて、質問ですが、点数はそのまま独立させるという考え方でよいのかということと、前回改定で廃用症候群のリハビリテーション料は、脳血管疾患等以外の疾患別リハビリテーション料の対象でない場合にのみ算定可能となりましたが、これを見直して廃用症候群を独立させ、どの疾患でも算定できるようにすると理解してよろしいのでしょうか。

○田辺会長

 この点、医療課長、お願いいたします。

○宮嵜医療課長

 1点目ですけれども、それは脳血管疾患リハ等から外して、別のカテゴリーとして設けるという考え方を御提案させていただいております。

 そういう考え方に立ちますと、今のルールですと、複数疾患の場合には、それぞれという考え方がございますので、どういうふうに整理するかということは、論点としてありますが、併算定ができるということは、出てくるかと思います。分けるという整理をしたときには、併算定ができるところが出てくると思います。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

○幸野委員

 わかりました。

 次に、スライド48の論点ですが、維持期リハビリ患者の介護保険移行への経過措置については、3回にわたって延長したという弊害として医療機関に質の差が生じたと考えておりますので、しっかりと今回の改定で整理すべきだと思います。

 介護保険への移行に関して、介護と連携し、介護保険のリハビリを体験をさせたりすることは、非常によいことだと思いますが、平成26年度改定で、介護保険リハビリテーション移行支援料が設定されておりますので、この中で実施すべき事項ではないかと思います。もし充実させるのであれば、これを少し拡大した形とすることが妥当だと思います。新しい仕組みをつくることは、正しい方向ではないと思います。

 スライド54、スライド59の論点については、要件を緩和するということで、共通してコメントさせていただきますが、もし提案により、提供するサービスに差が出るのであれば、それに応じた点数に見直すべきだと思います。要件だけを緩和し、点数は同一にするということは、考えられないと思います。

 スライド64の体制強化加算についても、同様です。要件を緩和して患者に提供するサービスが低下するのであれば、それに応じた点数に見直すべきだと思います。

 スライド73ADL維持向上等体制加算ですが、これはかなり厳しいアウトカム要件が課せられていることにより、届出医療機関数が0.8%という低さになっているのではないかと思いますので、別の要件を設定することについては、賛成です。

 また、これに関連しますが、ADL向上に向けた術後等の早期のリハビリに係る評価としては、疾患別リハ料の他に、スライド78にある初期加算、早期加算を加えた3階建ての仕組みとなっておりますがアウトカムは要件に含まれていないので、今回の改定を機に、ADL維持向上等加算、初期加算、早期加算を統合整理することを検討してもよいのではないかと思います。

 スライド83の医療機関外におけるリハビリテーションにつきましては、公的医療保険の適用範囲とするものは、きっちりと線引きをしておくべきだと思います。線引きが不明確であると、社会復帰に関するものまで、医療保険適用によるリハビリテーションとなることにもつながりかねませんので、しっかりと整理しておくべきだと思います。

 最後のリンパ浮腫と摂食機能療法については、今後の具体的な案の提示をもって、コメントさせていただきたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。中川委員、お願いいたします。

○中川委員

 幸野委員、ありがとうございました。

 幸野委員の意見について、申し上げたいと思います。まずリハビリを受けた経験がないとおっしゃいましたけれども、それはわからないのでしょう。17番の資料、16番の資料、この辺のことについて、効果が上がらないのに、漫然とリハビリをやっているとおっしゃいましたが、これはPTOTSTという国家資格を持った療法士を採用しています。各施設が漫然とリハビリをすることはないです。結果として、効果が上がらない患者さんもいる。そのときに、どうして効果が上がらないのかという分析が必要だと、我々は申し上げているのです。

 もしこの患者は効果が上がりそうもないから、リハビリをしないということを決めると、以前のように、これは社会問題化すると思います。患者さんはリハビリをしたら、自分はよくなるかもしれない、自分の家族がよくなるかもしれないという強い思いで、リハビリを一生懸命始めるのです。そこにおいて、リハビリテーションというのは、医療の中の包容力の代表的な部分だと思います。その辺のことを御理解いただきたいと思います。漫然という言葉は、できるだけお控えいただきたいという、私の希望でございます。

○田辺会長

 ほかにいかがでございましょうか。松原謙二委員、お願いします。

○松原謙二委員

 今のことに関連して申し上げたいのですけれども、リハビリというのは、2つに分けて考えなければなりません。急性期の病気になって、例えば、脳血管障害となって、リハビリを受けなければいけない時には、なるべくその効果を高めて、頑張って社会復帰していただきたい。そういったことに対しては、効果があれば、できる限りのことをしてあげるのが、その方にとっては一番大事なことだと思います。そのために、制度として、何段かに分けた、いろいろな加算がついたり、いろんなことを試してきているわけでありますので、その方たちのためにも、維持していただきたい。

 もう一点は、回復が一定のところまでいった方です。今、中川委員も申しあげましたように、病気になられた方にとって、これ以上治らないのかと思うことは、非常につらいことです。実際問題として、43ページにあるように、介護保険へ移行するときに、皆さん大変なショックを受けます。自分はまだ治る、頑張る、その気持ちがあるから、つらいリハビリもできるわけです。しかし、もうこれでだめですと言われるのに等しいような状況に追いやるのは、気の毒なことですし、私たちの力で、その方たちもサポートしてあげたいと思っています。お金の面は大変ですけれども、その方たちの立場に立って考えていただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 スライド20の論点は、アウトカム評価に基づいて、包括しようという提案ですので、妥当な提案だと思います。効果について検証もしないまま、回復期リハビリテーション病棟だけが9単位を算定できるのはおかしいと思います。

○田辺会長

 どうぞ。

○中川委員

13番のように、6単位を超えるリハビリをしているというのは、その中には、やはりモラルハザードはあるというのは、私も思います。ただ、効果がなかったかどうか、あるかどうかは、やるまでわからないのです。改めて実績基準を決めて、下回るところはというのは、文脈的に無理があると思います。それを言っているのです。16番、17番を見て、左側の効率下位のところをおっしゃっているのですか。それが実績基準というか、そういう想定しているわけですか。

○幸野委員

 効果は、ADLの向上の面で、例えばFIMの基準を用いて測定していくことが可能だと思います。

○中川委員

 そうなのですけれども、0か100かではないです。効果があったか、効果がないかではないです。そして、患者さんの状態も含めて、考えなければいけないと思います。機械的にはできないでしょうということを、申し上げているのです。

○田辺会長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 それは客観的なデータをもとに適正な基準を検討していけばいいと思います。

○田辺会長

 ほかに御意見等はございますでしょうか。

 それでは、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。

 次に「○診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について」を議題といたします。

1120日の総会で、医療経済実態調査の結果に対しまして、1号側委員、2号側委員のそれぞれの見解を御披露いただきました。

 本日は、各号側委員それぞれから、次期診療報酬改定に関する基本的な見解が提出されておりますので、資料の説明をお願いしたいと存じます。

 まず1号側委員から、資料の説明をお願いいたします。幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 それでは、1号側の基本的な考え方を説明します。

 1号側委員提出資料を御参照ください。

 時間の関係もございますので、ポイントだけ説明させていただきます。

 1つ目の○は、高騰する国民医療費が40兆円を超えたということです。

 2つ目の○は、2行目、医療費を含めた国民の社会保障費の負担増を抑制しなければ、経済成長が大きく鈍化することも懸念されるということです。

 3点目の○は、骨太方針2015で、社会保障関係費の伸びは、抑えていく必要があると明確に国家の方針が出されたところです。

 4点目の○は、医療保険者の財政、国民皆保険も財政危機であり、何とかしていかなければいけないということでございます。

 次頁の1点目の○は、先日公表された医療経済実態調査によれば、医療機関等の経営は、全体的として、中期的にはおおむね堅調に推移しているということです。

 2点目の○が基本的考え方の趣旨です。「このため、28年度改定において診療報酬はマイナス改定とすべきである。併せて、26年度改定と同様に薬価・特定保険医療材料改定分(引き下げ分)を診療報酬本体に充当せず、国民に還元する必要がある」ということが趣旨でございます。

 3点目の○は、適正化を図っていくべき内容です。これはまさに今、中医協で議論している内容です。

 最後になりますが、個別の項目については、改めて意見を提示させていただきます。

 以上、1号側の基本的な考え方です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 続いて、2号側委員から、資料の御説明をお願いいたします。松本委員、お願いいたします。

○松本委員

 2号側委員提出資料をごらんください。

 1点目は、実調の結果を見まして、医療機関等は、総じて経営悪化となったことが示されております。前回診療報酬改定が、実質1.26%のマイナス改定であったこと、消費税率の引き上げに伴う補填も同時に行われましたが、多額の設備投資などがありました控除対象外消費税負担が大きい医療機関では、補填が十分ではなく、経営悪化につながったと見られます。

 2番目といたしましては、これからの超高齢社会に対応するため、地域包括ケアシステムの確立を含め、国民の安心・安全の基盤のためには、過不足ない財源投入が必要であるということでございます。

 3番目といたしましては、いわゆる診療報酬は、国民皆保険体制の中で、実質的には医業経営の原資をつかさどるものであります。医業の再生産の可能性を左右し、ひいては医療提供体制の存続に直結します。

 また、アベノミクスの成果によりまして、1人平均賃金が大きく上昇しておりますが、このことから考えまして、医療に従事する者に関しましても、診療報酬から手当をして、従業員の賃金も上げていかなければいけない。それに対しては、診療報酬自体を上げていただかないと、原資が出ないということでございます。

 4番目といたしましては、いわゆる薬価差に関してでございますが、制度発足時に十分な技術評価ができなかったら、生じたものでありまして、健康保険法においては、薬剤は診察と不可分一体であるということで、その財源を切り分けることは、不適当であると考えます。

 最後ですが、過不足ない医療提供ができる、親切な医療環境整備を提言していくということで、我々医療側からも、財政主導ではなく、改革をしていかなければいけないと考えます。

 さて、診療報酬は、医療機関などにとって、経営の原資であることは、先ほども言いましたけれども、国民に適切な医療を提供するためには、医療機関などの経営が健全であることが重要であります。さらにそこから国民に医療提供するために、不可欠な医療の進歩に伴う設備投資などのコストを賄っております。

 診療報酬改定は、2年ごとに改定されることから、その間の物質・賃金の動向や医療の高度化を反映するものでありまして、いわば地域医療を確保していくための経費であると言えると考えます。

 医療機関などは、国民生活のセーフティーネット機能を果たしていることから、医療現場では、その社会的使命感によって、国民が求める質の高い医療に応えております。

 診療報酬をふやすと、国庫負担増、国民負担増に直結するという考え方ではなくて、国が国民にどのようなレベルの医療を提供するのかという、国民との約束や責任・使命を果たすための費用であると、本来、考えるべきであると思います。

 今回、マイナス改定を行うことになれば、医療崩壊の再来を招くことになります。政府は必要財源を確保し、診療報酬本体はプラス改定とするべきであります。

 以上が2号側委員の総意でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 前回の平成26年度改定では、医療経済実態調査に対する各号側委員の見解、次期診療報酬改定に関する各号側の委員の基本的な見解、薬価調査の結果などを踏まえまして、公益委員で、厚生労働大臣に対する意見書の素案を作成した上で、総会で議論し、意見書を取りまとめて、中医協から厚生労働大臣への意見として、提出したところでございます。

 平成28年度改定でも、中医協としての意見書を取りまとめるかどうかも含めまして、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 今回も26年度改定と同様に、中医協としての意見は、まとめていくべきだと思います。

 一番の焦点となるのは改定率ですが、これはマイナス改定とプラス改定で真っ向から違っておりますので、両論併記という形でもやむを得ないのではないかと思います。

 それぞれの意見を踏まえて、公益委員の先生方で、文案を練っていただき、積極的に議論をしていきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 中川委員、よろしくお願いいたします。

○中川委員

 中医協として意見をまとめるということには、もちろん賛成です。

 そこで、最初から両論併記と決めないでください。

 1号側の意見の今のところで、一部の病院の経営状態に悪化の傾向が見られるものの、医療機関等の経営は、全体としては、中期的におおむね堅調に推移していると見られるというのは、前も申し上げましたが、非常に違うと思います。

 そこで、アベノミクスで、2015年、大手企業は人件費を2.5%引き上げました。ところが、2000年に介護保険を導入されたときから、今日までを見ますと、例えば一番伸びが目立つ製造業、一般全業種、医療福祉の業種の1人平均月間賃金は、3637万円で一緒だったのです。ところが、2014年は、製造業は40万円近くなっています。医療福祉は29.4万円なのです。医療福祉の部分が、全業種を引き下げているのです。こういう実態があるのです。人件費を非常に低く抑えて、医療機関は何とか経営をしているので、それを堅調に推移しているというのは、違うと思います。

 医療福祉の従業員は、医療機関に限れば、全国に300万人います。その300万人は、低い賃金のままでいいのでしょうか。もし大手企業の従業員と同じように2.5%上げるとすれば、4,700億円の医療費ベースの引き上げが必要になります。

 これを考えると、マイナス改定というのは、考え直す、御一考をいただけないか。最初から両論併記ではなくて、何か一致点を見出す努力をお互いにしませんか。提案です。

○田辺会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 最初から両論併記ということではありませんが、まず医療経済実態調査ですが、堅調にと申しましたのは、確かに単年度の平成25年度、26年度を比較すると、増収減益の傾向となっておりますが、中期的な6年間のスパンで見てみると、病院と診療所などで差はありますが、おおむね右肩上がりであることは言えると思います。一部国立、公立病院などで悪化していることも踏まえ、今回の表現にさせていただきました。

 また、給与費についても言及されましたが、我々の分析によると、病院に占める給与費の絶対値は上がっているとの分析もしておりますので、増員された結果かどうかはわかりませんが、各病院の経営の仕方で、運営は可能ではないかという感想を持っております。

 マイナス改定に我々がこだわるのは、国民皆保険制度を維持する上で、医療保険の財政が危機的な状態にあるということや、国家の財政も社会保障費の伸びが高騰しており、2015年の骨太方針では、年間の伸び率を自然増の5,000億円に抑制することが明記されている中で、診療報酬をプラス改定にして、目標を達成できるのかといえば、これは絶対に不可能だと思います。この国家の目標を踏まえて、マイナス改定は当然の主張であると思っております。

○田辺会長

 中川委員、どうぞ。

○中川委員

 いい機会ですので申し上げますが、幸野さん、実調は6年スパンで考えてはだめなのです。あれは改定を挟んだ2事業年度の報告ですので、2年ごとで終わりなのです。6年スパンで考えること自体、あの調査の結果を分析するという意味では、ちょっと違うのです。それをまず申し上げたいと思います。

 それから、医療機関の給与比率が上がっている。これは医療機関の従業員をふやしているからです。それは何かというと、医療の質、医療の安全のために、国民がそれを求めているからです。医療は労働集約型の非営利産業です。これに応えるような収入が伴っていないのです。それをぜひ御理解いただきたいということを申し上げているのです。一般企業の経営の仕方を見習うということではないのです。リストラをしたり、そういう効率化をして、経営するという、そういうものではないので、そういう産業ではないので、どこかに合意点を見出せないかと、繰り返し申し上げているのです。よろしくお願いいたします。

○田辺会長

 御意見等はほかにございますでしょうか。

 ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 次回の改定でも、意見書を取りまとめるという、1号側、2号側の意見だったと思います。公益委員の他の先生方と御相談いたしまして、意見書の素案を作成させていただきますので、次回以降の総会でこれを議論するということで、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺会長

 それでは、本件につきましては、そのように進めさせていただきたいと存じます。

 本日の議題は以上でございます。

 なお、次回の日程に関しましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の「総会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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