ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第31回議事録(2015年12月2日)
2015年12月2日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第31回議事録
○日時
平成27年12月2日(水)9:00~9:37
○場所
全国都市会館(2階大ホール)
○出席者
荒井耕部会長 田辺国昭委員 西村万里子委員 |
吉森俊和委員 幸野庄司委員 花井十伍委員 石山惠司委員 松浦満晴委員 |
松本純一委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員 |
土屋裕専門委員 田村誠専門委員 昌子久仁子専門委員 加茂谷佳明専門委員 |
<参考人> |
福田敬参考人 池田俊也参考人 田倉智之参考人 |
<事務局> |
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官 |
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他 |
○議題
○業界からの意見陳述
○議事
○宮嵜医療課長
皆さん、おはようございます。医療課長でございます。
ただいまより第31回「中央社会保険医療協議会 費用対効果専門部会」を開催したいと思います。
荒井部会長が、交通機関の影響で、ちょっとおくれられるということで、田辺委員に進行をお願いしたいという御連絡をいただいておりますので、田辺委員のほうで、進行を進めさせていただければと思っております。
また、本日の委員の出欠状況について、御報告しますが、本日は、印南委員、榊原委員が御欠席でございます。
それでは、田辺委員、お願いします。
○田辺委員
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
関係団体といたしまして、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医療機器産業連合会、日本医療機器テクノロジー協会、先進医療技術工業会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会より、意見を聴取したいと考えています。
それでは、早速、意見陳述に移りたいと存じます。
なお、医薬品の団体より10分、医療機器の団体で10分をそれぞれ目安として、プレゼンテーションをしていただいた後に、まとめて質疑とフリーディスカッションを行いたいと存じます。
それでは、医薬品の団体より、自己紹介を行った上で、プレゼンテーションをよろしくお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○日本製薬工業協会(多田)
おはようございます。日本製薬工業協会の多田と申します。
本日は、このような機会を頂戴したことに対しまして、感謝を申し上げたいと思います。
私のほかに、きょうは、米国研究製薬工業協会のアルバレズ委員長、欧州製薬団体連合会のブルン会長にも同席をいただいております。
限られた時間でございますので、主に私から試行的導入について、特に当部会で議論いただいております、検討すべき事項の論点に対する業界としての意見を述べさせていただきます。
私がほぼ7分、あとの2人で、3分を使わせていただきます。
2ページをごらんください。費用対効果評価の導入に関する私どもの原則的な考え方を整理いたしました。導入に際しましては、医薬品の価値、特にイノベーションの適切な評価が大変重要であると認識しております。現行の薬価制度において、適正に評価されている医薬品の価値が、本評価の導入によって、損なわれることがないようにお願いしたい、これが大変重要なところでございます。
特に四角囲いの3つの点を原則的な考え方として、議論を丁寧に進めていただければと願います。
3ページをお願いいたします。次に試行的導入に係る議論の方向性に関しての要望でございます。日本の薬価基準制度には、医療技術評価の概念が既に内包されているというのが、私どもの考え方でございます。あるいは認識です。
費用対効果評価の試行的導入においては、本格的な導入を前提とするのではなく、現行の薬価基準制度における医療技術評価のあり方を総合的に検討する中で、費用対効果評価を実施する目的、その意義を十分に検証すべきなのではないかと考えます。
また、保険償還の可否への費用対効果評価の利用は、日本が誇る、現行の医療保険制度の基本を大きく揺るがすことにつながると考えられることから、私どもとしては、容認できないという立場をとります。
4ページをお願いいたします。このページでは、10月28日並びに11月20日の当部会において、提示された検討すべき事項の論点のうち、組織体制を除く5点に対する、私どもの意見及び要望を述べさせていただきます。
選定基準の具体的な要件のうち、対象を抽出するための要件の1つとして挙げられている、原価計算方式によって算定されたものについては、比較する薬がない中で行うこととなるため、分析結果の解釈が難しく、薬価算定ルールとの整合性を図ることが困難であることから、対象要件から除外すべきだと考えるのが、私どもの立場です。
また、類似薬効比較方式で算定されたものについては、相当程度の有用性加算が適用され、かつ相当規模の売り上げが見込まれるものに限定するなど、対象範囲はできるだけ小さく、十分な配慮をいただければと存じます。
5ページをごらんください。2点目でございますが、ガイドラインでございます。ガイドラインにつきましても、いろいろ書いてございますが、要点だけを申し上げますと、冒頭より申し上げておりますように、現行の薬価算定ルールとの整合性を図るとともに、ガイドラインの位置づけについて、明確にすべきだと考えます。
特に比較薬の選定は、薬価制度ルールに準拠したものにすべきであり、新薬の評価に当たって、後発医薬品を用いる、そういう分析は不要であると考えます。
また、効果指標については、単一の評価を共通に用いるのではなく、当該医薬品の価値が、最も適切に反映されるような効果指標を選択できるようにしていただきたいと思います。
ガイドラインで求められておりますデータを用意するのは、困難な事例もあるので、そういう点は、フレキシブルに考えるとか、あるいは再分析の実施に対しては、企業と十分な議論ができる場を設定していただきたい、こういった点を5ページに書いてございます。
6ページでございますが、アプレイザルにおきましては、昨今、公表されました分析ガイドラインと同様に、アプレイザルにおける標準的な指針の作成を御検討いただければと考えます。
加えまして、アプレイザル結果に関して、企業側が不服申し立てを行えるような制度設計を考えていただきたいと願います。
7ページでございます。現行の薬価算定ルールやプロセスは、日本が誇る透明性の高い制度であると、我々は認識しています。費用対効果評価の試行的導入によって、薬価算定ルールの位置づけが揺るがされることがあってはならないと考えます。
その上で、試行的導入における閾値につきましては、疾患共通の単一の数値を用いるのではなく、個別製品ごとに丁寧な判断を行い、分析事例を蓄積していくことで、慎重な検討を重ねていただきたいと考えます。
さらに評価結果に基づく再算定というものが、薬価の引き下げだけを目的とするものであってはならないという点は、強く強調しておきたいと思います。
最後のページでございます。新規収載時のデータ提出につきましては、任意にすべきであると考えます。その理由といたしましては、企業側の資料提出に少なくとも1年間の準備期間を要し、新規収載時にデータを提出するためには、第3相試験の開始前から検討作業を行う必要があり、新薬の薬価収載のおくれや、収載手続の断念等が懸念されるためでございます。
以上、これまでの議論において示された論点に対する考えを述べさせていただきました。
繰り返しますが、現行の薬価制度において、適正に評価されている医薬品の価値が、本評価の導入によって、損なわれることがないよう、慎重かつ丁寧な議論を積み重ねていただくことを希望いたします。
引き続き、アルバレズ委員長とブルン会長から、手短に意見を述べさせていただきます。どうぞ。
○米国研究製薬工業協会(トニー・アルバレズ)
皆様、おはようございます。PhRMAのトニー・アルバレズです。
簡潔に3点コメントいたします。
日本には、他国に例をみない、詳細な薬価制度があります。その中には、HTAのコンセプトが、既に反映されているとPhRMAは考えています。HTAを既に制度化している国々では、日本のような詳細な薬価制度がないために、複雑な仕組みを入れなければならなかったのであります。費用対効果評価を試行的に導入するのであれば、必要最低限の範囲で、現行の薬価制度の枠組みと整合する形で、導入することが必要と考えます。
第2に、利用可能な国内データが不足している現状では、不確実性の高い分析結果が提出される可能性があります。試行的導入では、対象品目を相当に限定して実施するべきと考えます。
最後に、医薬品の研究開発は、長期間の投資を必要とするものであり、イノベーションが適正に評価されることの予見性が極めて重要です。費用対効果評価の薬価への反映についても、経営の予見性を害さないよう、限定的な範囲にとどめるべきと考えます。
以上です。ありがとうございました。
○欧州製薬団体連合会(カーステン・ブルン)
皆様、おはようございます。EFPIA JAPANのブルンです。
英語で失礼いたします。
現在、日本におきましては、新薬に対して非常に迅速なアクセスが、既に提供されているところであります。現在、検討中の試行的導入は上市後に実施されるということで、新製品に対してではないことにつきましては、私どもは評価いたしております。今後もイノベーションに対する早期のアクセスが十分に確保される制度が、継続されることは、重要だと考えております。
薬価制度の予見性が高いということ、これこそがまさに日本、近年におきまして、外国投資を引きつけていき、そして、ドラッグ・ラグというものを低減することができた、成功の鍵になっているわけであります。したがって、今後も完全なるHTAの評価の方法論の透明性を確保していただくことが、重要であります。
もしこのような透明性が損なわれることがありましたらば、事業計画というものが、非常に難しくなってまいりまして、全体の費用対効果の評価の信頼性を失っていきます。それによりまして、グローバルな企業にとりましては、日本市場の魅力性が損なわれてしまうものであります。
現在、ヨーロッパにおきましては、むしろリアルワールドのエビデンスを使っていこうという傾向が増しているわけであります。日本におきましても、実臨床におけます製品の真の価値を評価していただくということを、考えていただきたいと思います。
しかしながら、日本におきまして、このような形でのデータを集積していくことは、大変な時間もかかってまいりますし、こうした制度をつくって、専門性を獲得するためには、時間、データが必要になってくるわけであります。したがいまして、日本の当局におかれましては、この制度につきまして、2回の薬価改定が行われた後に、評価を行うというものにしていただきたいと思います。それによりまして、初めてリアルな、この世界における製品の正確な理解が得られるものだと考えております。
ありがとうございました。
○田辺委員
どうもありがとうございました。
続きまして、医療機器の団体より、自己紹介を行った上で、プレゼンテーションをよろしくお願いします。よろしくお願いします。
○日本医療機器産業連合会(鈴木)
おはようございます。医機連副会長の鈴木でございます。
本日は、意見陳述の機会を賜り、まことにありがとうございます。
きょうは、材料側として、AMDDの林様、EBCの杉山様の3名で参加しております。
私どもの業界は、医療機器がもたらす医療上の影響について、費用対効果評価を行うことに賛同するものです。しかしながら、医療機器の特性を鑑みた評価がなされることが重要であり、我々が懸念している3つのポイントについて、簡単に述べさせていただきます。
1つ目は、保険収載の遅延を起こさないでいただきたいことであります。現在、行政、PMDAの御尽力により、デバイスラグ・ギャップが縮小され、革新的な医療機器が、迅速に我が国へ導入される土壌が形成されつつあります。今回の費用対効果評価の導入により、医療現場において、新しい医療機器へのアクセスがおくれることのないよう、強く要望いたします。
2つ目は、医療機器の特性を踏まえた、制度設計をお願いしたいことです。医療機器は、製品の改良、改善のサイクルが非常に短いこと、機器の使用においては、ランニングカーブがあること、ランダム化二重盲検試験が難しいことなど、医療機器としての特性があり、これらを踏まえた制度設計が必要と考えます。さらに特定保険医療材料が機能区分により評価されていることも、あわせて、御配慮をお願いしたいと思います。
3つ目としては、評価の基礎となるデータベースの構築と、専門人材の育成に相応の時間がかかること、また、医療機器のマーケットは、2兆円強と小さく、申請側の作業、費用負担が過重なものにならないよう、御配慮をお願いしたいと思います。
以上が懸念する3つのポイントです。
冒頭、お話をしましたとおり、費用対効果評価に対しては、我々業界も賛同し、本取り組みに協力していく所存です。そのためにも、医療機器及び医療機器市場の特性を踏まえた制度設計をお願いするとともに、成長戦略に資する医療機器のイノベーションの推進、開発力の維持・強化のためにも、費用対効果評価にて、適正な評価が行われることを強く望みます。
詳細につきましては、林より意見陳述を行います。よろしくお願いいたします。
○米国医療機器・IVD工業会(林)
米国医療機器・IVD工業会の林でございます。
本日は、このような機会を与えていただき、ありがとうございます。
それでは、資料の2ページにあります、陳述内容に沿って、御説明をさせていただきます。
3ページをごらんください。費用対効果評価の導入に関する基本的考え方を示しております。先ほど医機連副会長の鈴木より発言がありましたが、費用対効果評価を行うに当たり、以下の3つの基本原則が維持されることが必須であると考えております。
1つ目は、新規収載品の導入に関してですが、保険収載が遅延することで、デバイスラグが拡大することがないよう、また、革新的な医療機器に対する診療報酬上の評価が、透明性と公平性を伴って行われることを希望いたします。
2つ目ですが、既収載品への導入についてです。医薬品と異なり、医療機器は、機能区分による保険収載が行われています。再算定等の価格調整に関しては、現行の機能区分制度との整合性を考慮し、混乱が生じないよう、また、機能区分内において、評価対象製品と対象外製品との間で、不公平感が生じないよう、御配慮をお願いします。
3点目ですが、データ収集及び保険申請等にかかわる申請企業への負荷を最小限にとどめていただけるよう、お願いいたします。
4ページです。こちらは、9月9日の保険医療材料専門部会での意見陳述の際に、お示ししました資料を載せております。ここで、医療機器固有の懸念として、既収載品についての改良改善サイクルにかかわる課題、また、同一機能区分に複数の製品が存在する機能区分の取り扱いについて、述べさせていただきました。
加えて、学習曲線の影響を考慮した評価の必要性、及びQALYを用いた費用対効果評価が困難な点についても、御説明いたしました。機能区分別収載である保険医療材料において、どのように費用対効果評価を進めるかについては、さらなる議論が必要であると考えております。
5ページに示しております、試行的導入にかかわる5つの課題について、6ページ以降の資料に基づいて、意見を述べさせていただきます。
6ページ及び7ページでは、選定基準の具体的な要件について述べておりますが、6ページの選定の要件として、原価計算で算定されたもの、補正加算が認められたもの、並びに医療機器では、償還価格が高いものとされています。
医療機器の改良加算には、患者さんのアウトカムに直接関連しない、職業感染リスクの低減、または廃棄物処理などが環境に及ぼす影響の軽減といった要件も含まれております。
こうした要件に基づき、改良加算が認められた製品については、選定の対象からは、除外すべきと考えております。
また、補正加算が一定程度以下の製品につきましても、算定対象から除外するよう、要望いたします。
償還価格によっての選定ということですが、価格が高くても販売数量が少なく、財政的影響が小さい製品もございますので、償還価格のみで選定とはせず、一定程度の財政的影響度を条件に加えることが必要であると考えております。
7ページに示しました、2つの医療機器特有の論点についてです。
医療機器の改良・改善のサイクルについてですが、費用対効果評価の対象となった製品の改良品が既に発売されており、対象製品自体が、臨床現場での使用が減少しているような場合、実際、対象製品の評価を行うことに、意義があるのかという質問も出てくるかと思われます。
2つ目ですが、該当する技術料がないためで、C2申請で評価されたもの、いわゆる新機能及び新技術として、評価をされた製品であったり、C1で申請された製品でも、新たな手技の習得が必要なために、薬事承認時にトレーニングを義務づけられた製品については、学習曲線の影響が懸念されることも、御配慮をお願いいたします。
これら医療機器の特性を多面的に勘案した議論に基づき、費用対効果評価の選定基準を策定すべきだと考えております。
8ページですが、こちらはガイドラインに関する論点です。医療機器では、ランダム化二重盲検試験が困難な場合が多く、また、学習曲線の影響を考慮する必要があることから、費用対効果評価の実施に当たっては、企業に過度の負担がかからぬよう配慮しつつ、また、事前相談等で、企業が相談をしながら進めていくプロセス、また、体制を整えていただきますよう、お願いいたします。
9ページ目に、アプレイザルで考慮すべき点について、述べております。先ほども申しましたが、医療機器では、ガイドラインで要求されているデータの収集が困難な場合が想定され、標準的な分析を行えないことが考えられます。このような場合には、いわゆるデータの限界だけを理由として、否定的な評価がなされることがないように、強く要望させていただきます。
10ページは、再算定についてです。最初に申し上げましたとおり、機能区分制度下で再算定をどのように行うかについては、さらなる検討が必要だと考えております。費用対効果評価は、よい場合も、悪い場合もあり得ますので、価格の調整は、当然引き上げ、引き下げの両方向が考えられると思いますが、それがどのように行われるのか、具体的な議論が必要だと考えております。
機能区分内には、複数の製品が存在しており、その中の1つの製品が、費用対効果評価の対象となった場合、対象企業の負担の不公平感について、どう考えるかといったことも検討が必要だと考えております。
また、医療機器では、改定年ごとに、外国平均価格に基づく再算定が行われていますが、費用対効果が評価された区分については、その評価結果に基づいた再算定が行われるのであれば、外国平均価格による再算定の対象からは、外していただくことが妥当であると考えております。
さらに費用対効果がよいと示された機能区分につきましては、医療機器自体の償還価格引き上げだけにとどまらず、関連する技術料の引き上げ等、当該技術推奨のための施策を検討することも、必要ではないかと考えております。
11ページ目になります。新規収載時のデータ提出に関してですが、これも繰り返しになりますが、医療機器においては、ランダム化二重盲検試験が困難な点、また、学習曲線の影響などがあることから、現状、企業から提出されているデータは、必ずしも増分費用対効果比のような、ガイドラインで求められている分析結果指標で示しているわけではありません。
現在、医療機器の保険適用申請の際に提出されている、医療経済上の有用性に関する資料と、ガイドラインで求められている分析結果の違いについて、精査、確認を行った上で、求めるデータの要件について、御検討いただけますよう、お願いいたします。
また、開始時期につきましても、企業の準備期間を考慮していただけますよう、お願いします。
12ページ目に簡単にまとめを示しております。
試行的導入に当たっては、今まで御説明いたしました、医療機器特有の課題、ランダム化比較試験等の関連データの限界、閾値の問題等などが残っております。
また、費用対効果評価に関して、企業内の人材及び経験の不足についても、懸念材料として指摘されております。
つきましては、今回、いただきましたこのような機会のみならず、引き続き、継続的に業界団体との対話の場を設けていただき、医療機器特有の課題の抽出、そして、その解決を図れればと考えております。また、その対話の結果を、ガイドライン、または制度に反映するプロセスを設定していただき、費用対効果評価が公正に運用されるように、要望いたします。
加えて、再算定の具体的な方向につきましては、現行の機能区分制度との整合性について、考慮をいただけるよう、お願いいたします。
説明は以上になります。ありがとうございました。
○田辺委員
どうもありがとうございました。
一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。
なお、時間が限られておりますので、まことに恐縮ではございますけれども、発言の冒頭で、御質問なのか、御意見なのかをおっしゃっていただきたいと存じます。
また、業界団体の方からの御発言につきましても、各団体で原則お一人の方にお願いしたいと思います。発言は簡潔に、御質問に御回答をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思いますけれども、どなたからでも結構です。
花井委員、お願いします。
○花井委員
御説明どうもありがとうございます。
日本製薬工業協会と米国研究製薬工業協会と欧州製薬団体連合会のスライドの4ページに、原価で算定されたものは、分析が可能であるとしても、その結果解釈が難しくと書いてあるのですが、直感的には、例えばアンメットのようなものでも、新規機序のものは原価でやっているので、既存の別の方法論と比較ということも、それが妥当かどうかはともかくとして、一義的に原価計算を排除することにはならないようにも思うのですが、難しくの中身をもう少し教えていただきますか。
○田辺委員
よろしくお願いします。
○日本製薬工業協会(多田)
多田からお答えします。
もともと原価計算方式と言ったのは、対象薬がないから、原価でやろうとするわけです。今の考え方は、算定時に考慮しなかった比較対照がつくり出されて、それと費用対効果によって、評価されるということでございますので、今のルールそのもの、原価計算に基づいて、薬価を決めるというルール自体をやめるのか、それを否定するような形になるわけです。もともと比較薬と比較するものがないから、原価計算方式をとろうとしている、それを違う比較対照でやって、新しい価格をつくるというのは、論理的にも矛盾していると思います。今までの方法論は、私どもは正しい方法だと思っているのですが、あえて比較対照をつくり出されるという、ここが理解できないところです。
○花井委員
実務的に可能性はあるけれども、要するに原価計算方式の論理的整合性が破綻するという御主張ですか。
○日本製薬工業協会(多田)
そうです。
○花井委員
わかりました。ありがとうございます。
○田辺委員
ほかにいかがでございましょうか。万代委員、お願いします。
○万代委員
日本製薬工業協会様、あるいは日本医療機器産業連合会様を初めとしまして、簡潔な説明をありがとうございました。
皆様の御主張は理解いたしますので、今後の審議に対しまして、ぜひ参考にしながら、望みたいと考えております。
1つだけ、多田会長に御質問申し上げますが、6ページのところで、アプレイザルにおいて考慮すべき要件の中に御意見がございます。標準的な指針を策定ということで、確かに方向性としては、それも1つだと思いますが、アプレイザルでございますので、それこそそれぞれの技術によって、基準が変わることもございますので、御意見は御意見として十分理解いたしますので、比較的粗々の指針というか、こんなことをアプレイザルとしては基準として、審議していったらどうか、そんなふうにしてはどうかと考えていますが、それについてはいかがでございましょうか。
○日本製薬工業協会(多田)
アプレイザルというのは、非常に多面的な分析をしていただけると、理解しておるのですけれども、このアプレイザルによって、いろんなことが決まるという、決定要因にもなりますので、非常に重要なものです。そういうものが、透明性のない中で決められていて、結果的にそうなったみたいな話になりますと、我々の立場としては、苦しくなりますので、できれば明示的なガイドライン、おっしゃったように、粗々でも、ないよりはいいと思いますし、できますことならば、こういうルールあるいは基準を設定いただくときに、医薬品開発については、私どもは知識もございますので、そういうものを生かしていただくべきで、例えばこういうやり方、こういう基準がいいのではないかとか、そういう御相談にあずかれると、非常にありがたいと思います。
○田辺委員
万代委員、お願いします。
○万代委員
各界からの意見を伺うことについては、ほぼ共通認識だと思っております。
○田辺委員
ほかにいかがでございましょうか。石山委員、お願いします。
○石山委員
先ほどの花井委員の質問との関係し、福田先生にお聞きしたいのですが、原価計算方式による算定の前提として、先行する薬がないことが挙げられます。ただし、未知の病気かは否かは別として、現に発症している病気に対して、新しい製品が開発されたとなると、開発前と開発後を比較することで、原価計算方式は、導入可能ではないですか。
○田辺委員
福田参考人、お願いします。
○福田参考人
福田でございます。
分析手法に関しますと、御指摘のとおりでありまして、例えば原価計算で算定されたものについても、その疾患に対して、従来の治療法、作用機序などは、全然違うかもしれませんけれども、従来の治療法と治療薬等と比較するとか、場合によっては、今回、特に薬だけを比較対象とはされていないと理解しておりますので、新しい薬を導入されたことによって、置きかえられるほかの治療法を比較対象にするか、あるいは前回お示しをさせていただいたガイドラインの中では、無治療とか、そういうものまで、比較対象としては考えると、盛り込んでいる状況でありますので、手法としては、そういうものを比較対象にして、評価をすることは可能ではないかと考えます。
○田辺委員
どうぞ。
○石山委員
今の説明でよくわかったのですが、論点の対象としている要素があります。確かに類似薬効方式というのは、非常にわかりやすいですけれども、事務局提示の費用対効果評価の対象を抽出するための3つの要件から、原価計算方式を除外することに意味がないと思うのですが、いかがお考えですか。
○田辺委員
福田参考人、お願いいたします。
○福田参考人
除外するかどうかは、私の判断ではもちろんないと思いますが、手法としては、除外をする必要はないのではないかと、私は考えます。
○田辺委員
どうぞ。
○加茂谷専門委員
専門委員の立場で一言、申し上げます。
私どもは、原価計算方式で算定された医薬品、あるいは医療機器につきまして、分析そのものができないと、否定しているわけではございません。例えば原価計算方式で算定された新薬に対して、その新薬の何を評価することになるのかという点につきまして、その根本のところが理解できていないということで、慎重に御検討いただきたいということを、御理解をいただければと思います。
○田辺委員
ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。松原謙二委員、お願いいたします。
○松原謙二委員
国の財政が非常に難しい状態の中で、私共はいろんな試みをしなければなりません。そのことについて、御理解を賜っているということを、きょう、思いました。
ただ、国民にとって、新しい良い薬をなるべく早く使いたい、そのために、タイムラグをなくさなければならないという点に立った上での御意見もお聞きしましたので、それを大変重く受け止めて、いろんなことを議論してまいりたいと思います。
どうもありがとうございます。
○田辺委員
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等もないようでございますので、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきたいと存じます。
本日、予定された議題は、以上でございます。
なお、次回の日程に関しましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」は、これにて閉会といたします。
御説明どうもありがとうございました。
○宮嵜医療課長
どうもありがとうございました。
準備が整い次第、薬価専門部会を開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
<照会先>
厚生労働省保険局医療課企画法令第1係
代表: | 03-5253-1111(内線)3288 |
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第31回議事録(2015年12月2日)