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2015年11月20日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第30回議事録

○日時

平成27年11月20日(金)10:03~11:05


○場所

全国都市会館(2階大ホール)


○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 西村万里子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 花井十伍委員 石山惠司委員 松浦満晴委員
松本純一委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
土屋裕専門委員 田村誠専門委員  昌子久仁子専門委員 加茂谷佳明専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人 田倉智之参考人
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療企画調査室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○試行的導入に向けた検討(その2)

○議事

○荒井部会長

 ただいまより、第30回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、印南委員、榊原委員が御欠席です。

 それでは「試行的導入に向けた検討(その2)」について、議論を行いたいと思います。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 資料費—1、費—2と2つ用意させていただいてございますが、費—1「試行的導入に向けた検討(その2)」について御説明させていただきます。

 2ページで、8月末の中間報告を取りまとめいただいております。その中で「5.今後検討すべき事項について」ということで1~6が挙げられておりますけれども、このうち3~4に関しましては、10月末のこの部会で御議論いただいたところでございます。本日は、この1、2、5、6について御議論いただくことを予定しております。「2 試行的導入において用いるガイドライン」が資料費—2でございます。

 3ページは「1.選定基準の具体的な要件」についてでございます。4ページ目は、選定基準につきまして、これまで「中間的な整理」「具体例の検討」「中間報告」とこのようなものを下に抜粋させていただいておりますけれども、これらを参考にいたしますと、対象を抽出してくるための要件と除外するための要件とに分けられるのではないかと分析をしております。

 それを表にまとめましたものが5~6ページでございます。5ページの「中間的な整理」「具体例の検討」「中間報告」における選定基準の考え方を踏まえますと、2行目の途中から「対象を抽出するための要件」ですが、算定方式、加算の有無並びに売上高等の2つの要素と対象年度とに分けて考えられるのではないかということでございます。

 それをさらに具体的に検討していくと、6ページの下に3つポツがあります。原価計算方式で算定された場合、これまでの医薬品や医療機器等とは効能や機能が異なるという新規性を評価されていることについてどう考えるか。類似薬効(または機能区分)比較方式で算定された場合には、追加的な有用性等を補正加算の幅によって評価されていることについてどう考えるか。また、売上高や製品単価が大きい製品を対象とすることについてどう考えるかという論点でございます。

 7ページは、再算定に費用対効果評価の結果を用いる際の対象品目選定に当たりまして、保険収載年をどのように設定するかについてでございます。1つ目の黒ポツでございますが、データ提出に係る企業の準備、再分析及び総合的評価という一連の工程を実施するためには、少なくとも2年程度は確保する必要があるのではないかと考えているところでございます。

 また、臨床現場で一定期間使用されることで、実臨床における位置づけがより明確となって評価が行いやすくなるという可能性がある一方で、上市から分析まで長期間を要した場合には、臨床現場で主として使用されなくなってしまっているおそれもあるのではないかという指摘もあったところでございます。

 8ページに、期間に関しましてのイメージ図をつけております。平成28年改定後、試行的導入をした場合に平成30年改定でそれを一部適用することになると考えられますけれども、この中で「2 1回の改定を経た品目を対象とする場合」「3 2回の改定を経た品目を対象とする場合」「4 3回以上の改定を経た品目を対象とする場合」とそれぞれこのようなイメージ図になるのかなというポイントで書かせていただいておりました。

 9ページは「除外するための要件」についてどのように考えるかであります。黒ポツで「中間的な整理」及び「中間報告」におきましては、希少な疾患に対する治療に用いるものや、代替性のある他の治療方法が存在しないものについては、除外するための要件の考え方として挙げられているところでございます。その下は抜粋でございます。

10ページは医療上の必要性の高い未承認薬・適用外薬検討会議や医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の選定要件におきましても、先ほどのような品目に関しまして同種の項目が含まれているところでございます。

 こういったところを総合いたしまして、11ページにあるような御提案と【論点】を示させていただいております。まず「対象を抽出するための要件」といたしまして、下の1~3の要件に基づいて検討してはどうか。新規性が高いことを直接的に評価している算定方式である原価計算方式で算定されたもの、類似薬効(または機能区分)比較方式で算定され、一定の補正加算が認められているもの、ピーク時の売上高が高いものということでございます。

 医療機器に関しましては、ピーク時の売上高がこれまで公表されておりませんので、当面の間は償還価格の高いもので用いることになるのかなと思っております。

 2つ目の○でございますけれども、「除外するための要件」といたしましては、1、2を掲げさせていただいておりまして、治療方法が十分に存在しない希少な疾病に対する治療に用いる医薬品とか医療機器は除外してはどうか。また、2で未承認薬等検討会、ニーズ検討会の開発要請品目及び候補品目についても除外してはどうかということでございます。

 次は時期に関してでございますが、再算定に用いる際には、保険収載後1回または2回の改定を経た品目のうち、上記要件を満たすものを対象としてはどうかというものでございます。新規収載品についても、上記要件を満たすものを対象としてはどうかという提案でございます。

 4つ目の○で、試行的導入の状況を踏まえて、本格的に導入をしていく際には、これらの要件をさらに見直していくこととしてはどうかということでございます。

13ページは「2.費用対効果評価に基づく再算定の具体的な方法」についてのイメージでございます。

14ページはこれまで数回お示ししておりますので、15ページに進ませていただきます。15ページは「いわゆる『閾値』の設定について」でございます。費用対効果がよいまたは悪いのような判断を行う基準(いわゆる「閾値」)を設定することについて、どのように考えるかということでございます。

 これまで分析結果を解釈する際の費用対効果がよいまたは悪いという判断を行う基準(いわゆる「閾値」)について、下にイメージ図がございますけれども、このような例1~3を挙げて議論が行われております。その中で例を申し上げますと、例1は具体的な一つの枠を設定するということでございます。それ以上であれば費用対効果が悪い。それ以下であればよい。

 例2は目安となる額の一定幅を設定した上で、個別製品ごとに判断する場合ということで、上限額の上は費用対効果が悪い。下限額の下であればこれは費用対効果がよい。その中間が一定の幅があるということでございます。

 例3が目安となる額を設定せず、個別製品ごとに判断する場合という例が挙げられておりまして、おおむね例2の考え方が妥当ではないかという意見が多くあったところでございます。

15ページの下のポツでございますけれども、この額につきましては、研究班から各種の報告に基づく3つの考え方が示されたところでありますが、本邦における目安の額の設定については、さらなる検討が必要という意見がございました。

16ページは「評価結果の示し方について」でございます。総合的評価(アプレイザル)の評価結果の示し方についてどのように考えるかでございまして、ポツが2つございますけれども、「具体例の検討」の結果を踏まえますと、この増分費用効果費は必ずしも一意の値となる場合だけではなくて、不確実な要素を反映するため、感度分析を行うことなどによって、幅のある値となる場合もあると考えられます。

 この幅がどのような場合をとり得るかを下のイメージ図に示しておりますけれども、例Aは一意の値で上限額を上回るもの。分かりやすい例だと思いますけれども、これは費用対効果がよくない。悪いということでございます。

 例Bが幅のある値で上限額または下限額をまたいで結果が示されるものでございます。いい場合もあれば、必ずしもそうと言えない場合もあるでしょうということでございます。

 例Cがさらに幅が広いもので、幅のある値で上限額及び下限額双方をまたいで結果が示されるものなどが考えられるということでございますが、最終的には総合的評価を実施いたしまして、費用対効果がよい、または悪いとこのような定性的な評価結果を示すことで、価格算定(再算定)に活用することが考えられるのではないかという御提案でございます。

17ページに過去のこの部会の資料を再度掲げさせていただいてございますけれども、研究班から示されましたおよそ3つの考え方に関しまして、御提案があったところでございます。

 「1 一般的に広く受け入れられている既存の医療にかかる費用を目安とする」「2 国民がいくらまでなら支払ってもよいと考えるか(=支払意思額)」でございます。例えば日本では1QALYあたり500600万円程度という調査があるという例を引いているところでございます。「3 一人あたりGDP等の経済指標」は海外の例などをこの下に引いているところでございます。

18ページは「再算定の具体的な方法について」でございます。現状、薬価算定組織、保険医療材料専門組織が担っております、個別の医薬品、医療機器の価格算定を行う機能と、新たに設置することを予定しております費用対効果評価専門組織が担う機能との区別をどのように考えるかでございます。

 黒ポツの1つ目は、現在、それぞれの組織で価格算定(再算定)を行っていることを示しておりまして、それぞれ今の市場実勢価格の加重平均値に一定の調整幅を加える方式で価格の加算、改定が行われているということを書いております。

 次の19ページは「再算定の具体的な方法について」でございます。具体的にこの費用対効果の評価結果をどのように生かすかでございますが、ポツに書いてございます。

 個別の医薬品または医療機器の価格を用いて算出されました増分費用効果費に基づいて、総合的に実施されることから、評価結果に基づく再算定は、通常の価格算定(再算定)方法を用いた後にさらに行うような位置づけとなることが考えられるのではないかという御提案でございます。

 下にイメージ図がありますけれども、左から右に作業が進んでいくわけでございますが、下の流れが今の薬価材料の算定のルールの流れを示しておりまして、その箱の中にありますが「一部の品目について、市場拡大再算定等により価格算定案を作成」と書いてございますが、そういった現在の取り組みを行った後に、上から費用対効果評価専門組織の評価結果をいただいて、これをお示しすることによりまして、価格算定、薬価算定組織または保材専でこの対象品目について、評価結果に基づいて価格調整を行う。ここが費用対効果の評価ルールで、新しく最後に入るのではないかということでございます。

20ページに【論点】を整理させていただいております。

 先ほど申し上げたことと重なりますけれども、分析を解釈する際、費用対効果のよしあしにつきまして、目安となる額の一定幅を設けてはどうかということでございます。

 「閾値」を定めることにつきましては、この試行的導入の段階におきましては、その目安となる幅の値といたしまして、研究班から示されている3つの考え方を参考にして用いることとしながら、試行的導入で事例を蓄積することでさらに検討することとした上で、日本のデータに基づく支払意思額についても調査を行うなど、本格的な導入に向けて議論を続けていくこととしてはどうかということでございます。

 3つ目の○は上の絵でございますけれども、この評価結果に基づく具体的な方法でございますが、現在、2つあります薬価と材料の専門組織における通常の方法を用いた後に、さらに行う位置づけとなるのではないかという論点を示させていただいております。

 3つ目の論点は「3.新規収載時に求めるデータ提出に係る取組」でございます。

22ページはどのような取り組みが可能と考えられるかについてでありますけれども、「中間報告」におきましては、データ提出には企業側の準備期間が必要であることが確認され、企業側からは少なくとも1年程度の準備期間を確保してほしいという意見があったところでございます。

 次の23ページは現状の取り組みと今後はどうするかということでございますが、まず「中間報告」におきまして、試行的導入に当たって企業が分析を実施する際に、標準的な分析方法に基づいて定めているガイドラインを参照するということにしていたところでございます。

 また、新規の医薬品の保険適用の際には、既に医療経済学的評価についての資料を提出することができます。同様に、新規の医療機器の保険適用の際にも、医療経済上の有用性に関する資料等を提出することとしているところでございます。

 これらの現状の取り組みがありますので、こういうことを踏まえますと、選定基準を満たす品目につきましては、保険適用希望書の提出とあわせて、可能な範囲でガイドラインにのっとった分析結果の提出を求めることが考えられるのではないかと考えております。

24ページは新規収載時に提出されたデータをどのように取り扱うかでございます。1つ目のポツは、先ほどの論点でお示ししましたように、新規収載時に費用対効果評価を入れるとしても、それはそれぞれの専門組織の算定を行った後に、さらにその評価の位置づけとなることが考えられるのではないかと書いております。

 2つ目のポツですが、ただし、評価のための体制が十分ではない試行的導入の段階では、この費用対効果評価専門組織による評価が新規収載品の保険収載に間に合わないのではないかということが想定され、試行的導入の際には、新規収載品に係る評価結果を価格算定に用いるのは困難ではないかということでございます。

 今後、本格的な導入に向けては、こちらの試行的導入で事例を蓄積したり、新規収載時にどのような質や内容のデータの提出が可能であるか等について検証を行って、費用対効果評価専門部会における検討を進めることができるのではないかという論点でございます。

 最後のスライドの25ページは、論点としては1つ目の○でございます。新規収載にあわせて保険適用の希望を出していただきますが、その際に可能な範囲でガイドラインにのっとった分析結果の提出を求めることとしてはどうか。

 また、新規の収載品の場合でございますけれども、それぞれの組織で価格を算定した後にさらに行うような位置づけとなることが考えられるのですが、試行的導入の際には今回は用いないこととしてはどうか。

 また、3つ目の○は、本格的な導入に向けまして、迅速な評価や必要な体制、新規収載時に提出が行われているデータの質や内容等につきましては、今後の新規収載時に求められるデータに係る取り組みを活用しながら、引き続き部会において検証を行うこととしてはどうか。

 以上の御提案をさせていただいております。資料費—1に関しましては、以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

○福田参考人

 ガイドラインにつきまして、説明します。

○荒井部会長

 お願いします。

○福田参考人

 引き続きまして、資料費—2に基づきまして、試行的導入に用いるガイドラインの案について説明させていただきたいと思います。

 参考人の福田でございます。よろしくお願いいたします。

 では、資料費—2を御参照ください。本ガイドラインは本年度の厚生労働科学研究費補助金の事業で構成している研究班において検討した結果を報告させていただくものでございます。

 このガイドライン自体は、同様の研究班を平成24年度に行いまして、その際に研究者向けに分析に関するガイドラインを作成いたしました。これをもとにして、さらに本部会での議論をした内容を反映させて作成したというものでございます。

 時間が限られておりますので、かいつまんでお話をしたいと思います。

 まず1ページおめくりいただいて、ページ番号2の「1 ガイドラインの目的」ですけれども、本ガイドラインは、中央社会保険医療協議会において、対象となる品目の費用対効果評価を実施する場合の分析のガイドラインでございます。

 「2 分析の立場」ですが、費用対効果の評価の検証をする場合には、分析の立場を明確にしなければいけないということなのですが、原則は2.2に書きました「公的医療保険制度の範囲で実施する『公的医療の立場』を基本とする」ことにいたしました。これは本部会でも同意が得られているところだと思います。

 ただし、もう少し広い範囲で影響を与える可能性もありますので、2.3に介護への影響も考えた公的医療介護の立場の分析を行ってもよい、さらに2.4に生産性損失の費用を含めた立場を含めてもよいということで、原則は公的医療の立場ですけれども、それ以外に介護費や生産性損失を含めたものを考えております。

 次は4ページ目の「3 分析対象集団」は、先ほど議論があった形で指定されたものについて分析をする。ただ、3.2にありますとおり、対象とする主要な集団や使用法が複数あり得る場合には、それぞれについて分析を行うことを原則とするとしております。

 次は5ページの「5 比較対照」ですが、これも本部会で議論されてきたとおりで、4.1にありますとおり、比較対照技術が分析対象集団への治療として導入された時点で臨床現場等において幅広く使用されており、多く代替されたと想定されるものを選定するとしております。ただし、もともと非常に画期的なものであれば、比較対照として無治療や経過観察もあり得るということです。

 これを原則としますけれども、4.2に書かせていただいたのが、このような形で明確に定まる以外、あるいは4.1の原則に基づいて分析をすることに課題がある場合には、事前に協議を行った上で選定することにしてはどうかと思います。

 といいますのは、初めの時点である程度比較対照を明確にしませんと、分析としてやった結果を解釈するときに困るのです。その時点から変更しましょうということになるとなり直しになりますので、できればこれを再分析するチームあるいは新しく設定される予定をしている部会の費用対効果評価専門組織において御了承をいただいてスタートしたほうがいいのではないかと思います。

 6ページが「5 追加的有効性・安全性」についてで、これはシステマチックレビューの実施方法について記載させていただいております。有効性・安全性についてはきちんとシステマチックレビューを行った上で取り組むべきだという御指摘を、再三本部会でも受けておりますので、そのための一連のプロセスを記載させていただきました。

 8ページの「6 分析手法」も本部会で合意いただいているとおり、費用効果分析の効果を金銭価値に換算しない形のものを用いるという形をとり、結果は基本的には増分費用効果費(ICER)という形で算出するということでございます。

 「7 分析期間」に関しましては、十分長い期間をとろうということですので問題はないと思うのですが、11ページの「8 効果指標の選択」も本部会で合意が得られているとおり、8.1で効果指標は質調整生存年を基本としつつ、疾患や医薬品・医療機器等の特性等に応じてその他の指標も用いることができるという形の記載にしております。本部会で合意が得られたそのままの文章を使わせていただいております。

 「9 データソース」に関してですが、これも本部会でデータの扱いについて議論がなされたところで、9.1にありますとおり、有効性・安全性・QOL値等のデータ選定については、原則として、研究の質やエビデンスレベルが高く、かつ現実の臨床成績を反映しているものを優先的に使用するということで、記載をさせていただいております。

14ページに「10 費用の算出」があります。上に簡単な表の形式でありますけれども、先ほどお話ししたそれぞれの立場によって含めるべき費用が変わります。公的医療の立場の場合には公的医療費の範囲となりますし、そこに介護の費用を加えることもできます。

 より広範な費用を考えるものとして、生産性の損失を加味することも適用できるのではないかということで挙げさせていただいております。

 生産性損失あるいは介護費用についてなのですが、17ページの「11 公的介護費用・生産性損失の取り扱い」をごらんください。これは11.1に改めて書いてありますが、公的介護費や生産性の損失は基本分析においては含めない。あくまでもここで基本分析といいますのは公的医療の範囲内のものを指しております。

 ただし、11.1.1にありますが、追加的な分析としてこれらの分析を介護費用や生産性の損失を含めたものも一緒に検討したらいいのではないかということであります。ただ、その際には、これを分けて報告をしていただくことになると思います。

 生産性損失に関しましては、特に11.4ですが、医療技術に直接起因するもの。例えば治療に伴って入院期間が短縮するとか、そういうメリットがある部分を平均的な賃金を用いて推計するという方法を提案させていただきたいと思います。

 「12 割引」は将来的に発生する費用と効果の割引に関してでございます。一応、年率2%を推奨しております。

20ページは「13 モデル分析」についてのもので、これは特にモデルの妥当性について示してくださいということを書いております。

21ページは「14 不確実性の取り扱い」で、先ほどもございましたが、診療パターンが幾つかある場合にはシナリオで分析するとか、値にばらつきがある場合にはそれを加味した感度分析を実施してくださいということでございます。

 最後は22ページの「15 報告・公開方法」で、分析結果については別に様式を定める必要があると思います。これについては、研究班ではまだ議論をしておりませんけれども、一つのものの作成をして共通のフォーマットで出していただくスタイルがいいのではないかと思います。

23ページ以降は用語の解説についてつけさせていただきました。

 以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの事務局及び参考人からの説明に関して、御質問等がございましたらお願いします。

 よろしくお願いします。

○松本委員

 費—1で論点が幾つか示されておりますので、それについてコメントをさせていただきます。スライド11の【論点】に4つ○がございますが、全てにおいて妥当であると解釈をいたしました。

 スライド20でございますが、これに関して、一番上の○はスライド1516を参考に考えていると思いますが、「閾値」は設定すべきではないとコメントさせていただきます。

 2番目の○はスライド17を参考にしていると解釈いたしますが、これに関しましても支払意思額の判断の根拠には用いるべきではないとコメントをさせていただきます。

 3つ目の○でございますが、これはスライド18を参考に考えると思いますが、薬価算定組織または保険医療材料専門組織で、従来の医学的評価を行って費用対効果評価専門組織で新たな医療経済学的評価を行うということはよろしいかと思いますが、どちらを優位に考えるか、あるいは総合的評価の定義や位置づけを明確に前もってしておく必要があるのではないかと思います。

 スライド25の【論点】につきましては、3つの○ともよろしいかと思います。

 ガイドラインについてでございます。私自身QALYの使用に関しまして、是非を論じるほど知識はございませんが、この11ページの8でございますが、8.1.2のいわゆるQALYを使用しない場合の云々とございますが、これは不要なのではないかと思います。というのは、一応8.1QALYを基本としつつとございますが、この8.2を入れますと事実上QALYの使用を強制することになりかねないと思いますので、要らないのではないかと思います。

19ページの割引率を2%にされた12.2でございますが、この根拠を教えていただきたいと思います。

 以上でございます。

○荒井部会長

 そうしましたら、どちらですか。

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 ありがとうございます。

 まず、先に御指摘いただきました8.1.2QALYを用いない場合に事前協議は不要ではないかということなのですけれども、基本的なスタンスとしては8.1.1にありますとおり、御指摘のとおりでQALYを基本としつつ疾患や医療機器等の特性等に応じつつその他の指標を用いることができる。

 その他の指標に何を用いていただいても結構なのですが、何を用いるのが妥当かということについて事前に取り決めをしておいたほうが、一通り分析結果が出たアプレイザルの段階で、この効果指標はおかしいのではないかという御指摘で、もう一度やり直すということが避けられるので、ここではQALYを必ずと言っているつもりはなくて、それ以外のを使うときには事前に、QALYを含めてもいいのかもしれないのですが、事前に相談をしておいたほうがいいのではないかという御提案でございます。

 割引率に関しましてですけれども、これは諸外国でのガイドライン等も参考にしてどの程度かを検討しております。将来的に発生する費用等をどのくらいで現代価値に換算するかは幾つかの考え方がありますが、一般には長期の一つの方法として、国債等の実質利回りを用いるというのがしばしば使われているアプローチになっております。そこで、日本における長期国債の利率を参考にしておおむね2%が妥当ではないかということ。

 ただし、その下に書かせていただいたとおり、これは必ずこの数字ということではございませんので、必ず感度分析の対象として0%~4%、つまり割引操作を全くしないところから2倍の率で割引をしたところまで、感度分析の範囲でやるべきではないかということでございます。

○荒井部会長

 松本委員、お願いします。

○松本委員

 今、諸外国も2%と聞こえてしまったのですけれども、そういうことなのでしょうか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 失礼しました。

 諸外国においては、さまざまな値が使われております。イギリスとフランスと、それぞれの国で違う値になっています。

○松本委員

 諸外国を参考にして2%にしたと聞こえたのです。

○福田参考人

 諸外国の決め方を参考にしてということで、我が国の国債の利率等を使ったということでございます。

○荒井部会長

 松原委員、お願いします。

○松原委員

 2%~4%とおっしゃったように聞こえたのですが、3%が一番多いのではないですか。イギリス、アメリカでは何%なのですか。

○福田参考人

 現在、イギリスはNICEという組織がやっておりますけれども、イギリスのガイドラインでは3.5%が推奨されております。アメリカは特段、組織として、国としてやっているところはないのですが、研究者向けに出されたガイドラインでは3%が推奨されていて、確かに研究としては比較的多く出ていると理解しています。

 ただ、日本の状況を考えると、もう少し低い値で将来的なメリットを評価してもいいのではないかと考えています。

○松原委員

 何で日本だけ2%にするのですか。

○荒井部会長

 今の件を整理しておくと、ルールとして長期の国債の利回りを使っているところは諸外国を参考にしてということなので、国債の利回りは国によって違うので、それで日本の場合は2%だというお話だと思います。

 それを踏まえてよろしいですか。

○松原委員

 国債の話をきちんとしていただければより理解できるのですが、了解いたしました。

○荒井部会長

 ほかにどうでしょうか。

 専門委員、よろしくお願いします。

○加茂谷専門委員

 データを提出する側の専門委員の立場で質問と意見を1つずつ述べさせていただきたいと思います。費—1のスライドの11「選定基準の具体的な要件」の【論点】でございます。

 まずは質問でございますが、【論点】の1つ目の○のところに「以下の3つの要素に基づいて検討」とございます。その内容で○1~○3という要件を記載いただいておりますが、これは○1+○3あるいは○2+○3というイメージなのか、それともそれぞれが独立しているものか。

 具体的に言いますと、原価計算方式で算定されてピーク時売上高が高いものと、一定の補正加算が認められてピーク時売上高が高いもの、というイメージなのか、それぞれが独立した項目なのか、まず確認をさせていただきたいと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

11ページの【論点】の1つ目の○の1~3に関するお尋ねでございます。イメージ上は1かつ3、または2かつ3のようなことでお示しをしておりますが、これはお示ししているものでございますし、案でございまして、そこに関しても御議論いただければと思っております。

○荒井部会長

 専門委員、お願いします。

○加茂谷専門委員

 その上で意見でございますけれども、この資料の中にも記載はございますが、原価計算方式で算定される医薬品の場合につきましては、当該新薬に適切な類似薬がないということで原価計算方式が採られていると理解しております。そういう比較薬が存在しない新薬を対象にして、何らかの比較対照を置いて費用対効果評価を行って、仮にその結果薬価が引き下がるような状態になる場合があるとすれば、現行の原価計算方式による算定そのものを否定する、あるいは試行的導入という状況の中で、以前から申し上げている現行の方式と不整合が生じることを我々としては危惧しているところでございます。

 そういう観点から、私どもといたしましては、原価算定方式で算定された新薬を対象にするのは困難ではないかということを意見として述べさせていただきたいと思います。

○荒井部会長

 どうでしょうか。

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 ガイドラインの資料費—2を用いまして、回答といいますかコメントさせていただきますけれども、5ページの中で比較の対照といたしまして、例えば4.1.1といたしまして無治療や経過観察を用いることもできると書いてございます。

 ですから、必ずしも比較となる別の類似の医薬品がない場合でもこれは比較できるという設定にしておりますので、原価計算方式であるからといって直ちに対象とはならないという捉え方はしていないところでございます。

○荒井部会長

 ほかにはどうでしょうか。

 専門委員、お願いします。

○田村専門委員

 2つ質問と1つ意見を述べさせていただきます。

 まず先ほど議論になりました11ページのガイドライン8.1.2です。確認ですが、これはQALYをしない場合に後で効果指標選定に当たって疑義があると困るので、事前に協議を行って検討することを原則とするとありますが、これは事前に協議を行って検討することができるという意味でよろしいですかというのが一つでございます。

 もう一つの質問は、費—1の25ページでございます。新規収載時に求めるデータ提出にかかわる今回の提案の御趣旨、考え方について事務局にお伺いできればと思います。

 医療機器は先ほどの御説明にもありましたように、今でも医療経済上の有用性の資料を提出しております。それは価格算定に用いられているのだという理解でございます。

 今回、可能な範囲でガイドラインに沿って今の医療経済上の有用性よりもバージョンアップするというか、ガイドラインに沿ったような形で医療経済上の有用性の資料を可能な範囲で変えるのだと思いますが、そうした場合に、従来で言うと価格算定、今回で言うと価格調整ですが、そういうことに用いられるのかどうかをお伺いしたいと思います。

 一つ意見を述べさせていただきますが、費—1の11ページ「選定基準の具体的な要件」でございます。「対象を抽出するための要件」として医療機器ではピーク時売上高をこれまで公表していないため、当面の間は償還価格を用いると書いてあります。

 償還価格は、その前の9番にありますように、費用対効果の対照技術についての考え方の原則は、代替する医療技術と比較して有用性の観点から財政影響が大きい可能性があることが原則になっています。償還価格は財政影響の一つの要素であると思いますが、高い償還価格でも財政影響が小さい場合ももちろん十分あり得ます。

 ということで、選定に当たっては、償還価格以外の要素も含め、対照技術の原則に基づいて財政影響が大きいものを選定するような仕組みにしていただきたいというのが意見でございます。

 以上でございます。

○荒井部会長

 福田参考人、お願いします。

○福田参考人

 では、先にガイドラインの御質問についてお答えしたいと思います。11ページの8.1.2でございますけれども、事前に協議を行うという解釈は可能かもしれませんが、やはりこれを原則とすべきと考えています。といいますのは、先ほど申しましたとおり、どれを効果指標とするかによって、後でアプレイザル、総合的評価等の段階でまた違うということでやり直しになると時間的にもかかることになりますので、ある程度これは原則として協議を行って、ある程度の合意を得ておくべきというように研究班としては考えています。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

25ページのスライドで新規収載時に求めるデータに関するお問い合わせでございました。ここでまず御提案しておりますのは、試行的導入におきましては、新規収載品に関しては恐らく時間も体制もという観点から、まずは適用できないのではないかと思っております。

 その上で、実際にはどのようなデータを集めさせていただくかということは、まさにこれから今後、やらせていただくところでありまして、そのデータの集まり方とか、そういうことも考えながら、本格的導入に向けて議論をしていきたいということがございます。

 ですので、当然、いただいたデータで本格的導入の後でそのデータが十分であれば、それはもしかしたら用いることになるかもしれませんし、そうでなければさらにどのような工夫ができるかということを今後検討したいということでございます。

○荒井部会長

 松本委員。

○松本委員

 スライドの20の下の○で、いわゆる薬価算定組織あるいは保材専、費用対効果評価専門組織の優位性のことを少し述べたのですけれども、それに対して事務局は特にコメントはなさられませんか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 済みません。私の説明がそう聞こえてしまったのかもしれませんが、特にどちらが優位と御説明をしたわけではなくて、意図としては、順番としてまず薬価算定組織、または保険医療材料専門組織で通常のルールにのっとって価格算定、再算定を行う。その後にこの費用対効果評価専門組織からの意見を踏まえてさらに検討を行って、その後、それも検討を行う場は専門組織でございまして、最終的には中医協総会において了承をいただくというプロセスなのではないかと、プロセスについて御説明をしたところでございます。

 以上です。

○荒井部会長

 よろしいですか。

 松原委員、お願いします。

○松原委員

 スライド17ページを見ていただけますでしょうか。「2国民がいくらまでなら支払ってもよいと考えるか」ですが、これは非常に奇妙なものだと思います。例えば、幾らこの疾患の選定についていろいろな配慮があっても、一つの疾患についてその人にとって命がかかっていたら幾らでも払ってもいいと思うのは当たり前ですし、自分がその疾患になる可能性がないとしたら、今度はそれは払わなくてもいいという話になります。

 そういった話を数字として出すこと自体が間違いであり、こういったものは数字がひとり歩きします。数字で出たものをこういった議論の場で出して、それが正当なものとなれば、大変つらい状態の人を助けることができなくなる可能性があります。それを考えますとどうも非常に奇妙なものだと思われます。

 また、GDPにつきましてもいろいろと問題はあると思います。患者さんの代表あるいはお支払いになる保険者の代表、使う私共医療者の代表がここで議論して初めて金額を決めていくのが正しいので、国民の皆さんの意見がこうだからというのは、どうも何か奇妙な気がいたします。社会保険である以上は、それを議論するのはここであると思います。

 もう一点は、一番上の「一律の値を機械的に運用している国はないが、目安となる値を保持している国もある」と書いてございますけれども、これは社会保険方式をとっているフランスやドイツはこういった数字を決めているのでしょうか。また、目安を保持している国というのはどことどこなのでしょうか。教えていただけますでしょうか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 御指摘ありがとうございます。

17の資料についてですが、まず支払意思額については、その上に文献を挙げておりますが、『Value Health』という雑誌の中にある文献の中でこういうものを議論する際に1~3といったものが挙げられているということで御紹介させていただいたものでございます。

 支払意思額については、国内でも調査があるところでお話を載せさせてはいただいておりますけれども、疾患ごとに聞くようなものではなくて、1QALYという単位の効果を得るのに幾ら払ってもいいと思うかという調査が複数されているということでございます。

 一律に機械的に運用をしている国はないということなのですけれども、実際にこれはないと考えています。目安として明示的に出しているのはイギリスであって、1QALY増加に対して2万ポンドとか3万ポンドという目安を出しています。

 ただしこれも厳密に機械的に運用されているわけではなく、3万ポンドを超えていても推奨されている例は出ています。これはいわゆるアプレイザルという段階で検討されて出しているということでございます。

 今のところ、ドイツはこのような方式を採用しておりませんし、フランスでは明示的に閾値を出すということはしておりません。

○荒井部会長

 松原委員、お願いします。

○松原委員

 ということは、一律の値を使うというのは社会保険方式においては簡単ではないということですね。先ほどの話に戻りますと、1QALY当たりというのも、先ほどは疾患ごとではないと言いながらも、これは社会保険の中でやっていることでありますので、やはり数値として出すのはいかがなものかと思います。

 この2点については十分に配慮していただきたいと思います。

○荒井部会長

 専門委員、お願いします。

○土屋専門委員

 スライド25について、もう一度確認です。新規収載時に求めるデータ提出に係る取り組みについてですが、これまで医薬品に関して、このような費用対効果分析を行ってデータを出すことについて非常に時間がかかること、日本でまだ十分な基盤ができていないことを含めて、困難性を説明させていただきました。論点では提出を求めることとなっており、先ほど企画官からも説明がありましたが、基本的に新規収載の保険適用希望書の提出時にあわせるとなりますと、物理的にデータをそろえて出すことがかなり困難なケースが多いと思います。そのことを勘案いただきたいということが一点です。

 それに関連して、試行期間中にどのようなことができるかです。多くの場合、臨床試験で効用値等に関するデータを取得することが必要です。今、既にフェーズ3が実施されているもの、臨床試験の後期段階にあるものや申請の準備を行っているものに関しては、遡ってデータをすぐに入手できません。それらのことも勘案していただき、物理的な意味から提出できない新薬があることを御理解いただきたいと思います。

 もう一点、これはガイドライン案の5ページに記載されている比較対照についてです。いろいろと記載されておりますが、我々としては基本的に薬価算定ルールに準拠した医療技術、つまり比較対照薬を用いるべきと考えております。

 これはスライドで11ページの論点の中でも、どのような製品が対象になるかということについて、類似薬効比較方式で算定され一定の補正加算が認められたものとありますが、この記載は、すなわち薬価算定ルールで対象としているものを意味していますので、そのようにお願いしたいと思います。

 以上です。

○荒井部会長

 では、先に花井委員、お願いします。

○花井委員

 今の土屋専門委員のお話の中で新薬をどうするかという問題で、新薬にはそれなりに準備期間が要るというお話があったと思うのですが、開発段階から準備が必要なので、今、試行的導入をしながら実際には時間的に無理だから新薬は対象とせずということで案が出ていますけれども、それはそれしかないと思うのですが、できるだけ企業が準備を早く始められるように、試行的導入の間に新薬の場合はどうするかみたいな検討が終わってから企業にその情報を提供するのでは、また先になるので、ある程度開発段階から準備ができるように、企業に早目に情報提供すれば新薬への導入も早めることができると思うので、そこはよろしくお願いします。

 質問なのですが、ガイドライン6ページでいわゆるシステマチックレビューのことなのですが、常にこういうときに疾病ごとに論文の数とか出版バイアスとかCOIの問題は悩ましい問題だと思うのですが、7ページにバイアスも考慮するとあって、これは通常の対象のバイアスのことだと思うのですけれども、PRISMA声明というのを私は知らないのですが、この中にはいわゆる出版バイアスとかCOIについてはどのように扱われているか、何か記述があるのでしょうか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 今のシステマチックレビューの手続なのですけれども、PRISMA声明と書いてありますのは、システマチックレビューをやっていくときの方法について、国際的にある程度合意が得られて進んでいるものでございまして、これに従ってやっていくというのが諸外国とも取り組まれている方法だと思います。その中で、組み入れ基準とかバイアス等についての検証もやるようにはなっていて、当然、出版バイアス等についても検証するような手法が提唱されているということです。

COIにつきましては、一般にはそれらの情報が提示されていることが必要でありますが、研究のデザインとかそれ自体が信頼できるかどうかということで、一律に例えば企業がやっているものを排除するとかそういう形の言い方にはなっていなかったと思います。

○花井委員

 そういう扱いなのだろうと思いますけれども、素人的にはA薬、B薬があって、Aメーカー、Bメーカーがあって、レビュー論文を見たら全部Aメーカー100%出資論文とBメーカー100%出資論文があって、それでメタアナリシスとなると、何となくそれは本当にサイエンスとして妥当なのかなということを思うので、今後、その辺は。

 公開されるということですね。レビューされた論文の末尾は公開されるという理解でよろしいのですね。

○福田参考人

 はい。

○花井委員

 わかりました。ありがとうございます。

○荒井部会長

 石山委員、お願いします。

○石山委員

 質問と意見ですけれども、スライドの1520の関係で、費用対効果の判断をする際の基準です。ページ15の例2が妥当と思います。これは意見です。

 例1の場合は、これは数字が絶対値になるので、スライドの17ICERの考えがいろいろかかわってくると思います。したがって、その際にはどういう数字になるのか問題点となろうかと思います。

 これは質問ですが、例2の場合、個別製品について判断することは、本当にできるのですか。また、そのような数字が専門的にもつくられるものですか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 これは私がお答えしていいのでしょうか。

 例えば15ページ例2という考え方ですと、ある程度の範囲で示すということになりますので、目安が示されたのはイギリスの例だけなので恐縮なのですが、イギリスの場合には2万ポンドと3万ポンドという2つのラインが示されていて、その間のものについては推奨される場合もあるし、そうではない場合もあるということになります。それを総合的に判断するのがアプレイザルという段階になりますので、そういったある程度の範囲をもって示すという考え方かと理解をしております。

○石山委員

 それはアプレイザルの際の話ですよね。気になったのは「個別製品ごとに」と書いてあるので、個別製品ごとにそれができるのかという質問なのです。

○荒井部会長

 恐らく今、石山委員が聞いているのは、この範囲自体を個別製品ごとに設定するのかということですね。

○石山委員

 ええ。そういうイメージが持てるものですから。

○荒井部会長

 この点についてもう一度ご説明ください。多分、説明の仕方です。

○福田参考人

 御説明いただいたほうがいいのかもしれませんが、恐らく個別の製品ごとに上限値、下限値を決めるのではなくて、上限値、下限値の目安は統一的に決めて、その間にあるものについてアプレイザルで議論するということだと思います。

○石山委員

 わかりました。それを前提にして、上限値と下限値の絶対額なのですか、パーセントなのですか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

15ページの例2の上限額、下限額なのですけれども、ここに書いてございますのはパーセントではなくて額であります。

○石山委員

 額ですか。そうすると、その額に基づいて、個別の判断になっていくのですね。ある一定のメルクマールで5%上限、プラスマイナス5%を金額でとるのだとか、その上下でパーセントをとるのではなくて、もう実額なのですね。そうしたイメージでよろしいのですか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 そのとおりでして、上限額、下限額はまさに額で決まってくるものであります。それに対しまして分析を行いますと、16ページの下にありますように、それぞれの個別製品ごとに幅をもって示されるものがあり得るということを例として示しております。

 その幅によっては、上限額を超えていたり、下がっていたり、またいでいたりということがあり得るということを示したものでございます。

○石山委員

 わかりました。

 少々気になりましたのが、額というのは恣意的に動くのです。パーセントを常に基準として上下、例えばプラスマイナス5%あるいは10%と言うとわかりやすいのですけれども、実額になるとその都度変わるということでよろしいわけですよね。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 たびたびの説明で恐縮でございます。

15ページの例2にあります上限額、下限額は一つの値に決まるものでございます。その上で、その幅に入るかどうかみたいなことを個別の製品ごとに、これが幅をもって示されていくものでありまして、それが下の16ページのスライドにありますように、悪いところと個別製品ごとに判断するというところに係るものもあれば、一意に決まるものもあると理解をしております。

○石山委員

 わかりました。

○荒井部会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 全体を通しまして事務局の提案の方向性でほぼよろしいかと考えてはおります。

 ただ、11ページの○の3つ目でございます。再算定に用いる際は保険収載後1回または2回というように、より具体的に前回までの議論より規定されましたが、ここでも1回目でするのか2回目でするのかは、先ほどの加茂谷委員の意見も含めまして、もう少し具体的にしておいたほうがいいかと思います。1回目でもするのか2回目でもするのかというようにもとれますので、そこはどのようにお考えなのかを少しお伺いしたいということと、これは技術によりまして、すなわち医薬品なのか医療材料なのかによって、後者のほうはかなりターンオーバーが早うございますので、それについてどちらも同じような1回2回という規定は余りそぐわないのではないか。

 したがいまして、書きぶりとしては、技術の内容に応じてといった文言も入れるということで、逆に1回または2回と書いたファジーな部分をより補えるのではないかと考えますので、その点についてはいかがでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 1回目あるいは2回目の改定を経た品目に関するお尋ねでございますけれども、私ども事務局といたしましては、対象となる製品数の候補数もまだ具体的に決めているわけではございませんが、両方が対象になり得ると考えているところでございます。

 逆にここで1回目、2回目に区切ってしまうよりも、私どもは今の段階では1回目、2回目両方がなり得るということで、お認めいただければと思っているところであります。

 また、医薬品・医療機器のターンオーバーに関しましても、それは御指摘のとおりだと思っておりますけれども、そこも含めましてある程度この幅を持たせた1回目、2回目の改定を経た、ですから、2回分ぐらいの余裕の幅を持たせていただきたいと思っているところでございます。

○荒井部会長

 万代委員。

○万代委員

 そうしますと、今、企画官が言われた技術に応じてというものがこの裏に含まれていると解釈させていただくということでよろしゅうございますね。

 次にガイドラインでございます。17ページに生産性損失のことが書いてございまして、おおむね妥当な表現としていただいているとは思いますけれども、11.1.1の2行目の後半でございます。「疾患の特性等による就業可能性を考慮しなければならない」というかなり強い書きぶりでございますので、そうしますと、疾患の特性の定義あるいは就業可能性の就業の中身について、より具体的に示されないと非常に危険な表現ではないかと思いますので、参考人の先生方が就業あるいは特性ということについて、幾つか具体的なイメージをお持ちであれば教えていただきたいと思います。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 ちょっと書き方が不足していたかもしれません。想定しておりますのは、疾患といいますか対象患者さんの特性等から明らかに就業には適さないのではないかということ。例えば、小児に特有の疾患であるとか、そういう場合に生産性損失を考えるのかということでございます。

 明らかにこれは生産性損失としてカウントすべきではない対象がメーンの患者であるような疾患については、考慮しなければいけないのではないかというつもりでございます。

○荒井部会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 小児の場合はわかりましたが、例えば就業ということですので、逆に高齢者の場合で普通就業していないという場合には、就業可能性という言葉で縛られてしまうと、その人の生活という意味では必ずしも生産していないということにならないだろうと思うのです。

 私は生産性損失を広くとっていますので、そこのところが「ねばならない」で除外されてしまうという危惧を受けますが、それについてはいかがでございましょうか。

○荒井部会長

 福田参考人、お願いします。

○福田参考人

 御指摘のとおり、そこを除外するということではなく、例えば生産性損失をカウントするに当たって、18ページの11.5.2なのですが、「生産性損失の推計に当たっては、対象となる集団において就業状況を調査し、実際に仕事や家事に従事できなかった日数や時間等を測定する」としております。つまり、家事等も含まれているわけでありまして、年齢とかにはよらない。要は会社に行けなければ仕事をしていないという考え方ではなく、適用するべきものだと考えます。

○万代委員

 わかりました。

 そういう内容であるということであれば、この「ねばならない」をそのような解釈ということで判断いたします。

○荒井部会長

 専門委員、お願いします。

○土屋専門委員

 先ほど少し議論になりましたスライド16ページの評価する場合のICERの値をどう見るかという点ですが、ここで示されている真ん中の例2が個々の製品に全てアプライできるようにする、つまりゾーンのような考え方であるとすれば、かなり幅を広くとらないと難しいと考えます。これは先ほど松原先生がおっしゃられておりましたように、これらの数字に関してはいろいろな疾患によって、様々な議論がございます。

 ここで参照されている数値、例えばNICEでは一般には2~3万ポンドですが、エンドオブライフの場合は5万ポンド前後までよいという運用もあります。よく議論になって問題になるのが、QALYは効用値で測定されるわけですが、効用値で示される範囲が各疾患によっても意味が違うという議論があります。それを一律に当てはめることに対する批判が数多く出てきています。

 よって、全ての疾患、全ての製品にアプライできるようなゾーンという前提であれば、その幅をかなり広くとる必要があると考えます。

 これは意見です。

○荒井部会長

 特にほかにないということでよろしいでしょうか。

 ほかに御意見等もないようでしたら、この議題についてはこのあたりにしたいと思います。

 本日の議題は以上です。

 なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の費用対効果評価専門部会はこれにて閉会といたします。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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