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2016年1月18日 第6回 保健師に係る研修のあり方等に関する検討会

健康局

○日時

平成28年1月18日(月)16:00~18:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

1 最終とりまとめに向けた検討
 (1)最終とりまとめに向け意見を集約すべき事項
 (2)自治体保健師に求められる能力について
 (3)体系的な研修体制構築の推進について
 (4)自治体間や関係機関との連携について
2 その他

○議事

○保健指導専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方には、御多用のところ、また大変お足元の悪い中、御出席いただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、昨年10月1日付で健康局長の交代がございました。本日、福島健康局長も参加の予定でございましたが、急遽、公務のため、欠席となりましたので、御了承いただきますようによろしくお願いいたします。

 続いて、構成員の出席状況を申し上げます。本日は、高橋構成員、藤原構成員より欠席の御連絡をいただいております。また、参考人として国立保健医療科学院奥田博子上席主任研究官にお越しいただいております。

また、申し遅れましたが、私は保健指導専門官の五十嵐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を確認いただきますようよろしくお願いいたします。

 座席表、議事次第をおめくりいただきまして、

資料1 最終とりまとめに向け意見を集約すべき事項

資料2-1 自治体保健師に求められる能力に係る検討資料

資料2-2 自治体保健師のキャリアラダー

資料2-2別紙 自治体保健師のキャリアラダー(案)

資料2-3 「自治体保健師のキャリアラダー」に係る検討事項

 資料3 体系的な研修体制構築の推進に係る検討資料

 資料4 自治体間や関係機関との連携に係る検討資料

 参考資料1 奥田参考人提出資料

 参考資料2 村嶋座長提出資料

 参考資料3 平成27年度地域保健総合推進事業「保健師活動指針の活用に係る事例の収集」の概要

 参考資料4 保健師に係る研修のあり方等に関する検討会中間とりまとめ

を添付しております。

 このほか、構成員の皆様には「地域における保健師の保健活動について」を御参考までに置かせていただいております。

 以上でございます。

資料に不足、落丁などがございましたら、挙手にてお申し出いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、マスコミの方は、以上をもちまして、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○保健指導専門官 それでは、村嶋座長、議事の進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○村嶋座長 皆様、こんにちは。お久しぶりでございます。今日は、お足元の悪い中、よくおいでくださいました。1年ぶりにこの会が開催できて大変うれしく思いますし、もう1月でございますので、何とか年度内にまとめができるといいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、資料1「最終とりまとめに向け意見を集約すべき事項」について御説明をお願いいたします。

○保健指導専門官 それでは、資料1「最終とりまとめに向け意見を集約すべき事項」について御説明いたします。

 こちらは、最終取りまとめに向けて意見を集約すべき事項として、中間取りまとめに記載された検討課題に基づき作成しております。

 1つ目といたしまして「体系的な研修体制の構築」の「(1)自治体保健師に求められる能力について」は、「1)保健師に求められる能力の整理」、これは自治体保健師の標準的なキャリアラダーを示す予定、「2)統括的な役割を担う保健師に求められる能力」としております。

「(2)体系的な研修体制構築の推進」は3つの柱に分かれております。「1)体系的な研修体制構築の推進方策」はキャリアパスの活用を示す予定でございます。「2)組織全体で取り組む人材育成」「3)個別性に着目した人材育成」、この中で人材育成支援シートの活用及び産休・育休取得者の人材育成について御議論いただきたいと思っております。

 大きな2つ目といたしまして「自治体間や関係機関との連携」の「(1)都道府県と市町村との連携」「(2)教育機関との連携」。

 最後に、大きな3つ目といたしまして「今後の研修事業のあり方」をお示ししております。

 本日の検討会と次回第7回の検討会の2回を通してこれらの事項を御議論いただくことと考えております。

 以上です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 資料1は、最終取りまとめに向けてこのような検討をして盛り込みたいという項目でございますが、特に足したほうがいいとか、これについての御意見等ございますか。永江委員、どうぞ。

○永江構成員 昨年度の検討会での議論と中間報告のとりまとめにおいて「2 自治体間や関係機関との連携」に大学との連携の部分ともう一つ関係機関が入っていたと思います。全国組織でもあり各都道府県にも組織としてある全国保健師長会とか日本看護協会とか国保連合会等は、保健師にかかわる研修を企画実施しているところでございますので、そういった意味では、共同実施とか協働のあり方等も含めて、「その他職能団体等関係機関との連携」として項目を入れて頂くのがよいのではないかと思っております。

○村嶋座長 では、そういうものをどのくらい検討するかということも含めてお預かりしたいと思います。御意見ありがとうございます。

 他にはよろしゅうございますか。

( 首肯する構成員あり)

 では、本日、議題がたくさんですので、次に行かせていただきたいと思います。

 次の議題は最終取りまとめに向けた検討でございます。

 まず、中間取りまとめで整理されました課題について、厚生労働科学研究で取り組まれました奥田先生に研究の概要を御発表いただければと思います。貴重な研究をありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○奥田参考人 それでは、参考資料1に沿って説明をさせていただきます。

 まず、研究班全体の概要ですが、この研究は、平成26年、平成27年の2年度の厚生労働科学研究費補助金事業において「地域保健に従事する人材の計画的育成に関する研究」として取り組んでまいりました。

 スライド資料の2枚目をご覧ください。本研究班は、体系的な保健師等の人材育成プログラムを開発し、人材育成計画策定ガイドラインを作成することによって各自治体において地域保健の向上に資する専門職の人材育成体制の推進に寄与することを目的としております。

 まず、研究初年度に当たる平成26年度は、人材育成計画策定ガイドラインを作成するための自治体保健師の人材育成に関するベースライン調査として、資料にお示しする5つのテーマの分担研究班において調査研究に取り組みました。

 研究2年目の本年度は、前年度の調査結果を踏まえ、ガイドライン策定のためにさらに精査を要すると考えられました追加調査を実施するとともに、これらの各分担研究班の調査結果から得られた実態、知見をもとに、人材育成計画策定ガイドラインの素案を作成し、保健師の人材育成に関する専門家、自治体の管理的立場にある熟練保健師、自治体等の保健所長、人事事務職員等を含む人材育成に関連する職員等、多様な方々の意見を反映し、研究班員間の協議等によりガイドライン骨子案を作成している段階です。本年度末、研究成果物となるガイドラインを取りまとめていくという段階にあります。

 平成27年度の4つ目の研究、保健師のキャリアラダーに関しては、この後、検討会の中でも協議をしていただきますが、この研究は北海道大学大学院教授の佐伯和子先生によって分担研究を取りまとめていただいたものです。

 続いて、資料3枚目です。本日の資料3の「2.個別性に着目した人材育成」の全体の概要に当たる職務履歴管理及び産休・育休中のキャリア支援の実態調査についても本日の検討事項に該当いたしますので、この調査について分担研究の概要について補足説明をさせていただきます。

 この分担研究は平成27年度に実施いたしました。調査は、保健師の研修・職務履歴管理及び産休・育休等の休暇取得者に体する支援実態を把握し、人材育成体制整備に資する基礎データの収集を図るという目的で実施しております。

 調査の時期ですが、平成27年6月15日から7月7日です。

 調査対象者は、全国の都道府県、指定都市、中核市、その他政令市、特別区の自治体、計142カ所の保健師の人材育成担当部署の職員全数を対象としたWeb-Qを用いたアンケート調査を実施いたしました。

 調査全体の回答結果ですが、分析対象となった事例121件、有効回答率85.2%でした。

 産休・育休中のキャリア支援については、「人材育成に対し位置づけがある」と回答した自治体は、県の2カ所、保健所設置市3カ所の計5カ所と極めて低い実態であります。これについては後ほどこの協議会の中の資料にも触れられている部分になります。多くの自治体の産休・育休中のキャリア支援においては、人事課、総務課等の部署における自治体職員全体としての取り組みの一環で保健師についてもなされているという現状が見えてきました。一方で、検討されている自治体においては、トレーナーを配置する、職場復帰支援担当者を指名するなど「個別への丁寧な支援体制がなされている」という回答も見られました。

 以上が、産休・育休に関する調査の概要です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 この後、奥田先生には議論に御参加いただきますので、御質問等はそのときにお願いいたします。

 それでは、議題1の「(2)自治体保健師に求められる能力について」議論したいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。

○保健指導専門官 それではまず、資料2-1「自治体保健師に求められる能力に係る検討資料」を御用意ください。

 1枚おめくりいただきまして、中間取りまとめにおきまして「人材育成の仕組みの構築に当たっては、人事部門とも連携しながら、能力に応じた職位や部署に配置し、職場における指導等を通して保健師の能力を積み上げていく仕組みを構築し、能力を積み上げる道筋を可視化することが重要である」。また「そのためには、人材育成における各期を定義し、保健師に求められる能力を整理してそれを階層化し、各期に求められる能力をキャリアラダー等として示すことが必要である」と示しております。

先ほど奥田先生からも御発表がありましたとおり、研究班のほうでキャリアラダーの開発を行っていただきました。

 2つ目の黒丸に示しておりますが、キャリアラダーの位置づけといたしまして「本検討会で示すキャリアラダーは、自治体保健師に概ね共通して求められる標準的な能力を整理したものである」としております。「各自治体の保健師の人材育成において本キャリアラダーを活用するに当たっては、各自治体が自組織の保健師の年齢構成や職務範囲等を踏まえて、保健師に求められる能力をより詳細かつ具体的に検討し、自治体独自のキャリアラダーを作成することが必要である」としております。

 資料2-2は「自治体保健師のキャリアラダー」でございます。これとあわせまして、資料2別紙も「自治体保健師のキャリアラダー(案)」を示しておりますが、こちらは全て研究班のほうで作成いただきまして、御提示していただいたものでございます。

 資料2-2の1ページ目には、自治体保健師のキャリアラダーの枠組みを示していただいております。

2ページ目から3ページ目に各レベルの定義がございまして、4ページ目には保健師活動の領域の定義を示していただいております。

 さらに、5ページ目には保健師活動の各領域で求められる能力の整理をそれぞれの領域について述べられて、11ページ目まで記載していただいております。

 資料2-2別紙は、自治体保健師のキャリアラダーの表です。

 続きまして、資料2-3「『自治体保健師のキャリアラダー』に係る検討事項」でございます。構成員の皆様には、検討会に先立ちまして、資料2-1、資料2-2別紙のキャリアラダーについて御意見を伺っております。また、いただいた御意見から検討事項を資料2-3として抽出してお示ししているところでございます。本日は、この検討事項に沿って御議論いただきたいと考えております。

 まず、1ページ目、1つ目の項目として「レベルの設定と定義」を示しておりますが、この中では「(1)レベル設定の考え方」「(2)レベル設定の基準」「(3)各レベルの定義」「(4)各レベルと経験年数」「(5)各レベルの定義で用いる用語の整理」を項目として挙げております。

 2ページ目には、2つ目の項目として「保健師活動の領域とその構成要素」を挙げております。その中では、項目といたしまして3つ挙げております。「(1)枠組みについて」「(2)記載順序について」「(3)各項目の用語の概念整理と定義」を挙げております。

 3ページ目、3つ目の柱といたしまして「保健師活動の領域と求められる能力の整理」ということで2つ項目を挙げております。「(1)求められる能力の整理」「(2)各レベルにおける能力の整理」としております。

 4ページ目、4つ目に「その他」といたしまして「キャリアラダーの活用について」という項目も設けております。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 まず、資料2-1について議論をお願いします。資料2-1は、これから検討するキャリアラダーの位置づけが記されております。これについてはいかがでしょうか。

自治体保健師に求められる能力について、中間取りまとめにおいて示された検討の方向性で、自治体保健師のキャリアラダーを作成し、それを用いて各自治体がそれぞれ自治体独自のキャリアラダーを作成することが必要であるとまとめられておりますが、本検討会の生産物の一つになるキャリアラダーの位置づけについて示したものと思います。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。また何か御質問、御意見等ございましたら、いつでも戻ることは結構でございます。奥田参考人も御出席いただいておりますので、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、資料2-2がございますが、資料2-3「『自治体保健師のキャリアラダー』に係る検討事項」について主に御議論いただきたいと思います。資料2-2と別表も御参照いただきながら御議論をお願いします。

 まず、「1.レベルの設定と定義」について御議論いただきたいと思います。資料2-2や一覧表を御参照になりながら、どこからでも御議論いただければと思います。「(1)レベル設定の考え方」についてはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○曽根構成員 そこにも書かせていただいたのですが、I~IIIは専門性に着目したもの、IVは管理職に求められるということで、ラダーとしてはそこで分かれるわけです。ただ、レベルI~IIIIVというと、IVのほうが上に見られてしまうのはこのキャリアラダーの本意から外れるのではないかと思います。したがってレベルIVは、完全に別表という形にして、レベルIVという言い方はやめて、資料2-3に書きましたけれども、1枚目はステージA、2枚目はステージBという分類にして上下関係がないようにしたほうがいいのではないかと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 これについては御意見いかがでしょうか。

 永江委員、どうぞ。

○永江構成員 そのような考え方もあるのかなと思ったのですが、私自身が思うのには、なぜ保健師の管理職が重要なのか、そして管理職になることで地域保健、いわゆる公衆衛生看護活動にどのように波及して保健師活動の目指すところのそれぞれの自治体の健康水準の向上にかかわるのかを考えていくことが必要と思います。全員が管理職にはならなくとも、そこまでのキャリアラダーは必要であると思います。

○村嶋座長 ステージA・Bという表現ですが、そういう意味では、ステージAのキャリアラダーはみんなに必要で、かつステージBという組織の管理職がちゃんと見えることが大事ということですね。ステージB、今のレベルIVは決して落としはしないけれども、少し違うかもしれない、そういう扱いにするというのでよろしいでしょうか。中板委員、どうぞ。

○中板構成員 今の話は、ステージAとステージBに分けたときに、表現が少し難しいですが、レベルIIIまで到達し、レベルIIIからレベルIVに移行した際、レベルIIIで終わる保健師はそこで頭打ちという表現にならないようにしなければならないということだと思います。

レベルIIIの方でエキスパートの実践者として頑張っていかれる方は、さらにその向上というのが常にあります。それと管理職という部門に行く人との2つの道があるということが明記されればいいのかと思いました。

曽根委員がおっしゃったことも、レベルIVが必要ではないとか、そういうことではないですね。復線的に2本の線が延長線上にあるということなのかと思いましたので、別表という形になるとランクが違う形に表現されたり、受けとられてしまう可能性があるのならば、そこは工夫する必要があるのかなと思いました。

 確認ですが、中間報告のときも議論としてあったと思いますが、今回のレベルI~IVという表記において、新任期、中堅期、管理期、管理的立場とか、そういった表現を今回はせずに、いわゆる能力ということでレベルで表現していくことは了解とするのかという点を、ここの中で確認したほうがいいのかなと思いました。そこは表現しないということになるのかなと思いましたので確認させてください。

 新任期がレベルIとかレベルIIとか、そのような形でくくるということはしない方向なのか、ということは確認したほうがいいのかなと思います。

○村嶋座長 どうぞ。

○佐藤構成員 私がよくわからないのは、そもそもレベルIからIIIの保健師としての能力の部分と、レベルIVは管理職としての能力というよりも役割として与えられたものの中身が書いてある、そういう形だと思いますが、そうした場合に、能力があるから課長になりました、能力があるから部長になりましたということなのかどうなのかといったら、そうではないような気もします。そうすると、この表のレベルIからIIIと、IVに示されているものはちょっと意味合いが違うという気がします。なおかつ、特に行政の管理職になる場合には、保健師がなぜなったほうがいいのかということがそこに詳しく書いてあるかどうかだとは思いますが、行政の管理的活動の中身に関して言えば、保健師ではない方も皆さんやっていらっしゃることなので、書く必要があるのかという気がしていて、違和感があるところです。

○村嶋座長 書く必要があるのかというのは、どこかを落としたほうがいいということですか。

○佐藤構成員 例えば人事の担当からすると、この人は組織管理能力があるから課長に上げよう、部長に上げようと思われる、それはそういう仕組みで自動的に上げられるものだと思います。保健師がこの能力を身につけたら部長になれますよということではないと思いますので、自分たちで努力する部分と、上から見る部分というのはやはりちょっと違うのかなというところです。

 これを誰に向けて使っていくのかというところで多分違ってくるとは思いますが、例えばこれを人事部門の方たちが見たときには、何でレベルIVのことを保健師さんは勝手につくるのかみたいな話に後々なるだけの話かなという気がしてしまうので、ちょっと別のものがいいのかなと思います。

○村嶋座長 レベルIVが能力でなくて役割ではないかということについて、座間委員はいかがですか。

○座間構成員 企業でいうと管理職としての役割と管理職になる手前の役割があります。それに置き換えるとIIIまでが管理職になる前までの位置づけで、IVは管理職になることだと思います。管理職になったことを前提としてどういう能力が必要なのかというふうに整理するのであれば、IVも保健師活動の領域だとか、横軸の項目も必ず全部埋まっていないとそれぞれおかしいと思いますので、IIIIVの区別をはっきりするのかしないのかということを決めたほうがいいのかと思います。管理職といったときに全然違った行政職が入ってくるということなので、違った能力が求められるものをIIIと同じ領域で定義しているところに無理があるというのが私の感想です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 管理職の定義も本当はもうちょっとしないといけないのかと思いますが、保健師が上がっていったときの管理職と、保健師なのだけれども、管理職として指名されて、その役割を果たすというのとは多分違うのではないかという御意見だと思います。

 では、事務の人もつくような管理職のところを外してしまっていいかということなのですが、今まで統轄の役割とかいろいろあって、やはりそこは見せておいたほうがいいだろう、そこまでちゃんと視野にあるということのほうが大事だろうから、どういう表現にするかはともかくとして、レベルIVないしステージBはあったほうがいいだろうということですね。清田委員はうなずいていらっしゃいますが。

○清田構成員 私は、先ほど曽根構成員が言っていただいたステージを分けるというのでとても納得できるところです。というのが、まずレベルI~IIIで保健師職能としては完結できるレベルアップの姿があって、そのままレベルIVというのは続けられるものではなくて、その自治体で例えば係長職、課長職、部長職を持てたとしたら、このI~IIIにさらに役職をつける能力としてステージBとして上から乗っかられるようなイメージで、言ってみればレベルIVというのは、もしかしたら自治体によってはレベルIIからそれが乗っかってくる自治体もあると思うし、大きな自治体になるとレベルIIIとレベルIVが重なり合うような自治体もあると思うので、レベルIからIIIのステージAと、レベルIVのステージB、そういうふうにステージ間を分けるというのは納得したところでした。

 そういうつくりになっているなと、見ながら思ったのが、後で議論する保健師活動の領域に関しても、レベルIからレベルIIIは行政の管理的活動に関しては記載がなく、一方、レベルIVには管理的活動が、役割が非常に濃厚に書かれています。そういう意味からしても、保健師の職位、保健師職能としてのI~IIIのステージアップと、一方、そこに行政管理職として役割が乗っかってきたレベルIVというのは連続物ではないというイメージのほうが現場としても納得すると思いながら見ていました。両方とも必要かなと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 両方とも必要だけれども、少し違うものとしてステージA・Bみたいな表現でやったらどうなのかということが一つですね。落とさないでちゃんと入れておくということで、それはよろしゅうございますか。

 それから、レベルI~IIIの項目立てとレベルIVの項目立ては、項目立てそのものを分けたほうがいいのではないか、例えば資料2-2別紙の最初の行政の管理的活動のところがブランクになってしまうので、縦軸そのものを分けたほうがいいかもしれないということについてはよろしゅうございますか。皆様そういう御意見だというふうにとってもよろしいでしょうか。どうぞ。

○田中構成員 それでいいと思うのですけれども、レベルIVを保健師の管理職として求められる能力に限定するというところでちょっと考えたのですが、IV-1の定義に「レベルIIIと同様の段階である」という記載があって中身が重複している部分が多いので、IVは管理職に限定しても良いのでは。レベルIIIは定義に書いてありますように、リーダーを担う役割、エキスパートとしての役割も入ってくるので管理職を担う人も含めた求められる保健師としての能力を記載し、IVについては保健師として管理職を担う人がどういう役割を持っておけばいいかとし、重複を避けて中身をちょっと変えたものにするといいのかなと考えたところです。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 では、そこら辺を含めて整理し直すということで、確かにかなり重複がありますので、レベルIIIIV、いい形で再整理ができるといいなと思います。

 あと、スタッフとしての専門性の向上と行政の中でのライン、キャリア発達に2つあって、両方が連動する場合と特に専門性の発揮のほうを志向される場合があるのではないかということなので、そういうことを勘案しながらこの表の全体をつくり上げていくということでよろしゅうございますか。どうぞ。

○奥田参考人 今、議論になっているレベルIIIとレベルIV-1は、重複している記載があるという点についてですが、その理由について少し補足させていただきたいと思います。

 レベルIIIでは統括的な役割が期待されるような保健師も想定しておりますが、自治体の中で管理職試験を受け、係長になる場合、必ずしも保健師としての専門性が到達されていることを評価した上で係長になる仕組みばかりではないのが実態かと思います。一般事務職同様の管理職試験に合格した方は、保健師としての専門性として、この指標等による確認をしなくても一定の筆記試験要件等で係長に昇格する、レベルIV-1という専門性に到達していないケースもあります。そのときに、一般管理職としての能力だけを培っていただくのではなく、専門性の能力の向上が必要であるということをしっかり押さえていただきたいということでレベルIV-1のところに記載しています。

 先ほど構成員の市の保健師さんからは、個々の能力をしっかり見きわめて必要な方が管理職に上がっていくので、分けるとか、あるいはないほうがいいという御意見があったのですが、保健師は役職を与えられることによって政策提言ができたり、全体的な調整ができるというところにつながりますので、これらが期待されている役割であり、期待される役割を果たすための能力ということを明示して整理したということは補足させていただきたいと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○座間構成員 質問なのですが、一つ一つキャリアラダーを順番に上がっていくというわけではなくて、レベルIIからレベルIVに飛ぶ場合もあるという前提で読み込むということですか。

○奥田参考人 レベルIIIIVの関係性においてはその場合を想定して作成しておりそのようになっています。研究班でもレベルIIIとレベルIVをどう表現するかというところは協議を繰り返しまして、レベルIIIを例えばIII-Aとして、レベルIV-1をIII-Bとするという意見もありました。どういう示し方をすれば実態に見合い、役に立つものとして示せるのかということと、最終的には、ラダーの意図、活用方法、留意点があるという説明を補足する必要があると思います。

○村嶋座長 よろしいですか。

○座間構成員 これだけをぱっと読むと、一つ一つ階段を上がっていくキャリアラダーに見えてしまうので、注意事項として記載していかないと誤解が生じるのではないかという感じはします。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 そうしますと、先ほどの資料2-1でここをどういうふうに使うかということがありましたときに、そこを含めて、このラダーの見方、使い方みたいなのを書いておくことが大事になるということですね。

 では、このレベル設定の考え方については、I~IIIIVを分け、かつそこのところの表現に気をつけるということでよろしいでしょうか。

 では、それで合意されたものとさせていただきます。ありがとうございます。

 レベル設定と各レベルの定義等についてはいかがでしょうか。領域なのか、能力なのかというところの表現もございます。(1)のところを終了して(2)や(3)に関してはいかがでしょうか。

○保健指導専門官 事務局ですけれども、先ほど中板構成員のほうから一つ意見がございましたが、新任期、中堅期、管理期ではなくて、レベルでラダーをあらわしていくことの合意をという御指摘をいただいておりました。その点に関して御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 特に、新任期、中堅期、それから年数の表現はしないということでよろしゅうございますか。確かに基礎教育のほうがすごく多様化しておりまして、4年間で看護師と保健師を一緒に取る保健師と、修士が終わってから入る保健師がございますので、むしろレベルで表現していく、ラダーで表現していくということでよろしゅうございますか。

( 首肯する構成員あり)

 ありがとうございます。

 (1)は終わったかと思いますが、「(2)レベル設定の基準」「(3)各レベルの定義」「(4)各レベルと経験年数」「(5)各レベルの定義で用いる用語の整理」に関してはございますか。(2)、(3)、(4)は終わったかという気もしますが、どうぞ。

○清田構成員 定義の内容でございますけれども、レベルII-2は、新任期を終えて、今で言う中間にある方々の幅広い人たちが一定の目標とするような姿、レベルIIIに行く手前に、年数を書かないということですが、中堅期の後半期にあるような、でき上がりのようなイメージの層だと思います。そうなると、どういう内容が目指す保健師なのかという非常に大切な内容がレベルII-2に当たると思いまして、ここのレベル感をもうちょっと丁寧に書いたほうがみんなのイメージが湧くのではないかと読みながら感じたところです。

例えばこれで言うと「係内でチームのリーダーシップをとって」というところがありますけれども、こういうところにリーダーシップをとるときに私ども現場で求めているような姿勢を書き込んでもらえたらと思うのが、例えば業務の変更とか新たな挑戦にも前向きに臨むなどの係内でチームのリーダーシップをとってとか、今、変化にチャレンジする、変化に対しても臨んで業務を見直していくという姿勢を非常に求めているので、そういうチームのリーダーとして書き込んでいただければ、みんながイメージできるのかなと思ったりします。

もう少し前の段の「複雑な課題にも対応でき」のところですが、確かに複雑な課題にもどんどん挑戦していってほしいのですが、そういうときに挑戦するほうとしては、自分たちだけで解決ではなくて他職種と連携しながら解決してほしいと思っています。例えば「複雑な課題に他職種と連携するなどにより対応でき」とか、レベルII-2にそういう観点を入れていただければ、目指していただきたい姿がはっきりするので、定義の中に書き加えていただければと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 中板委員、どうぞ。

○中板構成員 私も今、清田委員がおっしゃったようなことで賛成なのですが、レベルの定義のところの表現に検討が必要だと思います。要するに達成するのは、この人たちはこの段階であるということと、もう一点、清田委員がおっしゃったことと同じだと思いますが、責任の範囲というあたりを少し加えると、よりわかりやすくなるのかなと思います。

今おっしゃってくださったことで言うならば、係のチームの中で業務を遂行することの責任の範囲と、他職種と交流しながら改良点を提案していける範囲、そういった責任の範囲のところをそれぞれのところにもう一歩加えると、この段階というのがよりわかりやすくなるのかと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 レベルに関してほかにいかがでしょうか。

 永江委員、どうぞ。

○永江構成員 どこまで定義の中身に加えることができるのか、加えた方がわかりやすいのかというところだと思います。今までの先行研究の中で保健師のコアの部分についてはたくさん出てきております。そのコアの部分はレベル設定の基盤としてあるものだと思っておりますので、その部分がわかりやすく明記できていれば良いと思います。例えばレベルIからIIIのところでも、専門能力としてそこは経験できていなくてはいけないとか、経験できていることによりレベルに必要な能力は獲得している、あるいはそれぞれのところで役割としてはこういった役割があるというところまでレベルの中に記載が入っていると、受け手側の人たちはすんなりと受け入れることが可能と思います。その内容を踏まえて研修を組んでみようとなるのではと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 コアの部分、能力の内容の部分と何をしたらそれが達成できるかというところがそれぞれにもうちょっと明示をということですね。どうぞ。

○曽根構成員 関連すると思いますが、定義のところで何が達成できたら次のレベルにアップするのかという、記述の仕方なのかもしれませんが、ナラティブに叙述的になっていて、では事務官の方が見てすっと頭で理解できるかというとなかなか難しいところがありますので、もう少し分析的にというか、項目的に書いたほうがいいのかと思います。その後の能力の部分も若干同じようなことが言えるかと思いますが、整理が必要かと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見いかがでしょうか。

○座間構成員 レベルという言葉を使われているから能力と似たような感覚になると思いますが、この意味は役割だと思います。その役割に伴ってどういうことができる人かということが下に書いてあるのだと思うので、それぞれの役割に照らしてめり張りがついた言葉を領域や役割の表現として言葉に差をつけたほうがはっきりするのではないかと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 レベルの定義の下が保健師活動の領域になっていますが、そのところに一段入れて能力の定義をして、能力としてどうステップアップして、かつ能力をどういう手だてでステップアップするというようなことがもう少し具体化、項目化、手がかりになるような形で入ればいいのではないか、皆様の御意見だとそういう感じに受けとめられるのですが、いかがでしょうか。奥田先生のほうでこうやっておつくりになった意図みたいなのがおありだったり、今から思うともうちょっとこうとかいうのがありましたら、教えていただければと思います。

○奥田参考人 このキャリアラダーですが、まず定義の部分に関しましては、前回は新任期、中堅期、管理期と分けていたものを、そういう表現を取る、年数も入れないということになると、どういったことが期待される人たちなのかの概略というものを定義として置いております。

 では、それがどう到達できるのかという細かな指標についても、多様な方々の意見をいただきますと、より具体的に、より細分化したという項目の希望がある一方で、例えば先ほどあったようなリーダーシップとか取りまとめるとかということは当たり前だから記載が要らないという意見もありました。具体的に書けばかなり広がっていって切りがないというところでは、最小項目の中で研究班としては提示をし、それを各自治体の中で自分たちが話し合う中で膨らませていただいたり具体化していただくということができればいいのかということで、ミニマムなもので示しております。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 研究班の意図としてはそうだったということでございます。それを参考にしながら、検討会として、そうやって最小限のものにされたところにもうちょっとここら辺の膨らましがあったら共有できるとか、手がかりになるとか、そういうことかと思います。検討会で膨らませる分にはいいのですね。こういうのを膨らませたらいいとか、項目をこういう形でぱしっと決めていくというようなこととか、この検討会でそういう皆様の御意見を出していただきながらこれをモディファイしていくという形でよろしゅうございますか。どうぞ。

○中板構成員 奥田参考人がおっしゃったとおりなのです。この検討会の中で重要なのは、レベルの定義のところを明快にめりはりつけて示すということと、活動の領域のところの皆さんの御意見を読ませていただくと、領域の分け方にエビデンスがあるのか、また、領域の分け方の考え方は一体どうなのかという御意見もあったと思いますが、領域をきちんと説明できる縦と横の軸を明快にすることがこの検討会の中でとても重要なのかと思います。

 番号をつけていただいている枠の中は、若干、粒がふぞろいのところもあるという御意見もありました。そこを精査することはもちろん必要だと思いますが、ここについては、数年の間に都道府県がそれぞれ人材育成計画をいろいろ立てていまして、そこと全く整合がとれないような形になると混乱すると思いますので、まず縦と横の軸を明確に示して、ここは自治体が今までの計画とすり合わせをしながらもう一度考えていただくということなのかと思いました。奥田先生の研究班のところでこの中身については細かく書くというのは避けて最小限にしたということだったと思いますので、縦と横の軸を徹底的に議論するのが重要ではないかと思っています。

○村嶋座長 今日ご出席の自治体の保健師である構成員の方、清田さんとか佐藤さんとか田中さんとかいかがでしょうか。

○佐藤構成員 細かいところをいろいろ考え出すと確かに切りがなくて、それぞれの行政の規模によっても、同じ言葉が書いてあってもこれはどういう意味なのかという解釈が違うような部分も多分あると思いますし、保健師一人一人の感覚によっても違うふうにとられる部分があるというところでの曖昧さをなるべく払拭できればと思います。

 確かにおっしゃるように、明快に書いてしまうと、ではそれ以外のものはないのかみたいな話になっても困るので、そこは私も見ながら随分悩んで考えたけれども、何がベストか、なかなか思いつかなかったというのが現実です。

ただ、おっしゃったように、各県、市町村でこれをもとに自分の町の人材計画を立てられるというのが一番いい形なのだと思います。市町村によっては、そういうことをつくること自体難しいというところも現実にはあると思いますので、特に県が中心となって、例えば県内の市町村を支援しながらつくるみたいな形に持っていくべきではないかと思っています。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 清田委員、いかがですか。

○清田構成員 レベルの定義と保健師活動の領域、この2つの軸に分かれているのは非常にわかりやすいと思っていまして、例えば管理的活動を資料2-2の6ページなどに丁寧に書いていただいているのですけれども、中身が非常にわかりやすくて、私たちはこういうことを業務の役割としてスキルをためていくのだなというふうに役割がわかりやすいと思いました。

 実際に一人一人の保健師がこれを見て、自分が今どの段階にあるのか、次のステップをどう目指していきたいかということが理解しやすい表現というのも必要と思いまして、レベルの定義を読むことによって、自分はまだこの段階ではないかとか、今ちょうどこの段階だなとか、次はこのステップを目指したいというような形になればいいと思います。そういう意味では、ミニマムですが、もう少し保健師レベルのイメージが湧くような言葉もあったほうがいいのではないかということで、先ほど丁寧に加えていただきたいと思ったところがありました。

 例えば、先ほどレベルII-2のほうでつけ加えていただきたい内容を入れたのですが、もう一つ、レベルIIIでも入れていただきたいと思ったところがありました。一番最後の行に「また、専門職として、特定分野のエキスパートとしての役割を担う」とありますが、特定分野のエキスパートとは何かということ自体が、みんながイメージの湧くような、「保健行政の適正な実施について同僚や上司、さらに他分野の職域の人たちに意見を述べることができる」とか、そこら辺のイメージが湧くような文章をもう少し丁寧に加えていただくと、一人一人が読んでもイメージできる表になると思ったところでした。非常に活用できると思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 こういうのができて出されたことがとても貴重なことなのだと思います。それを共有化していくときに、県や市町村でそれぞれの自治体に応じたものをつくるわけですが、それを保健師個人としてもイメージが湧くような形でもうちょっと膨らませていく、そういう御指摘かと思います。田中委員、どうぞ。

○田中構成員 縦の軸を見たときに、レベルIからIIIについては、行政の管理職としての活動というところは項目が入っていないので、ここについては縦軸の項目から省いてもいいのかなと思いますが、それ以外の項目についてはかなり具体的な表現をされていますので、ここについて中身を再度確認して、共通認識すればいいのかなと感じています。

 縦軸を見たときに一つ欲しいのが、健康危機管理能力というところがとても重要だと考えますので、活動領域の一つとして新たに追加するか、あるいは本案は管理的活動の中の小項目としては入っていますので、そこに意識的に加えていくということを感じたところです。今の段階は発災時の対応に限定されており、平時から有事までの能力が入っていないので、そこについては追加したほうがいいのかなと考えているところです。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 健康危機管理は確かに大事だと思いますので、それは入れたほうがいいかと思います。「システム化・政策化のための活動」と「地域支援活動」の間ぐらい、そこに項を立てるということと、領域になったのは非常にわかりやすいですが、領域のそれぞれの活動をやるための能力という形で再定義するということを御意見としていただいたということでよろしゅうございますか。では、奥田参考人、どうぞ。

○奥田参考人 今の健康危機管理に関することについての領域の定義と整理のところにも絡むかと思います。健康危機管理は確かに平常時、発災時の全てのフェーズで対応しなければならないのですが、それは管理的活動の一つの項目として整理をするのが妥当であるかは検討を要すると考えます。過去の研究等の知見においても、高度な対人支援ができるということも必要ですし、地域支援活動も災害時には求められますし、組織管理、システム化、行政の管理的活動という能力も当然必要です。また、保健師の活動の基盤として、災害時、平常時に行政保健師としてやらなければならないというところのおさえにも関連しますので、新たに枠を分けるのではなく、それぞれのレベルで書かれていることが災害時にも通じるということで、研究班としては危機管理という枠を設定していない事情があります。

 ただ、そういう意味では、健康危機発生時にという文言が丸31と丸38の枠内にしか表記されていませんので、健康危機管理時の能力はそれだけであるというふうに誤解されることになるのであれば、そこは検討が必要かと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 作成者の意図を伺いますと、なるほどいろんなことを考えられてこんなふうになったのだなということがわかります。

健康危機管理に関してはいかがでしょうか。健康危機管理は今、保健師の活動としてかなり大きくなっているので、おっしゃる意図も確かなのですが、少し特化したほうが見えやすくて、ほかの能力も使いながらやれるということで、重複するかもしれないのですが、少し入れたほうがいいかもしれないというような感触を持ちました。どうぞ。

○佐藤構成員 私も、行政の中の保健師の役割として何を求められているかというところで考えると、健康危機管理というのは専門職の役割として期待されるものの大きさがあると思います。先ほど言ったように、人事の方、事務職の方が見たときに、保健師さんはこういう役割があるということをきちんと認識いただくためには必要だと思いますし、その中で、やはり実際求められるものは個別支援もあり、集団もあり、一番大きいのは施策化だとは思いますが、そういう何をするべきかというところが見えるように書いたほうがやはりわかりやすいと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 見える化ということで今回は立てたほうがいいのではないかという御意見が多いかと思います。では、次にそんなふうにさせていただければと思います。

 まだまだ御意見があるかと思いますが、先を急ぎたいと思いますので、「2.『保健師活動の領域』とその構成要素」について御意見をお願いいたします。先ほど枠組みの話が少し出ておりましたが、「記載順序について」「各項目の用語の概念整理と定義」についてでございます。どこからでも結構です。いかがでしょうか。

 どうぞ。

○曽根構成員 全体の構成なのですけれども、領域のところでそれぞれ「管理的活動」「システム化・政策化のための活動」「地域支援活動」と書いてあって、その下の括弧の中に小項目が書いてあるのですが、その後の能力に小項目が反映されているところもあれば、必ずしも反映されていないところもあります。小項目の位置づけについてどういう議論があったのでしょうか。

もし小項目をつくるのであれば、例えば「地区活動」であれば、レベルI-1はこのレベル、レベルII-1はこのレベルというふうに横に糸がつながっていたほうが見る側としてはわかりやすい。そういう形で小項目がなっているところもあるし、そうではないところもあるので、そのあたりはどういうふうに捉えたらいいのかと思いました。

○村嶋座長 それについては奥田先生のほうで何か。

○奥田参考人 御指摘ありがとうございました。活動領域の各カラムの下の括弧がその領域においてどういう能力を示すものなのかをここでは箇条書きで示している項目立てという形で出しています。本来であれば、それらのものがその横に全て網羅されているという前提であって書かれるべきなのですが、細かく見ていくと、恐らく足りない部分や欠けている部分があるという御指摘だったかと思います。

その部分は、この一つ一つの括弧の下にある能力、小さな項目についてはあくまでも例であって、それだけを枠で囲って整理していくと、重複していくものであったり、誤解を招いたり、それだけでいいというふうに逆にとられるのではないかということで、項目毎ではなく例示の活動枠として示しています。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 ということですが、ほかに、中板委員、どうぞ。

○中板構成員 領域のところの構成なのですが、いろいろ御意見も読みながらもう一度考えたわけですが、まず行政の管理的活動のところが「組織管理」と「政策策定と評価」という2つになっています。下の部分に記載されている管理的活動とあわせて考えたときに、こちらはレベルIVのほうで使われていく部分になっていきます。行政の管理的活動の中に組織管理だけではなく、いわゆる政策から計画策定、予算管理、人事管理、こういったこともこの中に入れて、下の管理的活動のところは組織管理というよりは組織運営、それから業務管理と予算編成、情報管理、人材育成、上は人事管理で下を人材育成、そこを管理者としての活動と管理的活動と少し分けたほうがいいのかと思いました。

 そもそも3つの活動として、行政の管理職としての活動と専門職としての活動と組織人としての活動に分けているのですが、ここも行政の管理的活動は公衆衛生行政における管理的活動が本来なのだと思います。専門職としての活動のところをもう少し専門職の意味がわかるように、例えば公衆衛生行政の支援技術職としての活動とか、組織人としてのところは組織の一員としての活動という形で整理すると、もう少しラダーとして明確になるのかなと思いました。

 さらに言うと、その横に「行政職としての活動」というのが一個飛び出ているのですが、これが枠として要るのかということも、少し思いました。多分ここはなくてもよいのかなと思います。行政の管理的な活動と支援技術職としての活動と組織の一員としての活動という3つの枠で整理をし、さらに行政の管理者としての活動と、管理的活動を組織管理と組織運営、人事管理と人材育成という形で分けたり、予算管理と予算編成と分けたりすると、もう少し差別化ができていくのかなと思いました。

 あと、曽根構成員や奥田先生がおっしゃったのもそのとおりで、軸に沿って、レベルに沿って一つ一つがどういうふうに流れていくのかというのがストーリー的につながるような書きぶりにしないといけないと思います。いろいろな意見を反映させていくうちにいろいろな書きぶりになっていますが、ここはこれから広く様々な御意見をいただいて、書き方を変えていくことを十分しなければならないところかと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見いかがでしょうか。

○座間構成員 意見というか参考までなのですけれども、例えば企業だと、仕事の進め方のようなコンセプトを考える領域、その役割を果たすスキルの領域、それをやっていくマインドの領域と3つぐらいに整理しながら、それをさらに中項目に分けるといいと思います。管理的活動やシステム化は仕事の進め方のコンセプトの領域で、保健師の活動の基盤というのはマインド的な内容をまとめていると思います。保健師の専門職としてのスキル面でいうのは地域支援活動と対人支援活動ということなのか、スキルはスキルとしてまた別に何かあるのか、その辺のところがよく理解できなかったです。仕事の進め方の問題と保健師そのものの専門的なスキル、それを果たすマインドだとか心構え、そういう分け方にするともうちょっとわかりやすくなるのではないかという気がしました。

○村嶋座長 貴重な御意見ありがとうございます。

 今の御意見に対して何か、どうぞ。

○永江構成員 今おっしゃられた内容を私も思います。といいますのは、このラダーにまとめられた各領域の能力というのが恐らくそのままそれぞれ各ラダー期に獲得すべき能力の研修体系にも、研修の中身としてつながっていくような感じがします。そのように考えていくと、専門職として必要なコアの部分の能力、あるいはスキルとか質という部分、そのあたりをある程度明確に記載しておくことが必要ではないかというのがまず一つあります。

 もう一点、今までの議論の中でもあったのですが、領域の中で行政の管理職としての活動について、その前段の検討の中身にもかかわってくるかもしれませんが、行政の管理的活動という形になると、確かにレベルIからレベルIIIまで空白になっているのはそうかなと思うのですが、行政能力は求められているわけですね。行政能力としてここを書き上げていくと、レベルIのところでは、行政の仕組みをどのように理解しているか、あるいは他部署の行政のさまざまな施策を理解して協働活動ができているか等が上がってくると思います。最終的にレベルIVのところでは行政能力の一つとして行政の組織管理が出てくるという流れになりレベルIからレベルIVまで書き込んでいくことができるのではないのかと思っております。

○村嶋座長 この空白のところにですね。

○永江構成員 はい。

○村嶋座長 どうぞ。

○曽根構成員 先ほど中板構成員の御意見にもあったし、今の御意見にも関連すると思いますが、ここで言う管理という言葉がどうも誤解を招きやすいので、考え方を整理したほうがいいと思います。管理職としての仕事を管理とするのだったら、ここはそれ以外の言葉、運営であったり、事業展開であったり、管理という言葉を使わないで別の言葉を使ったほうがよいと思います。そこでいつも誤解があってぐるぐる回っているという印象を持ちました。

○村嶋座長 例えばどういう言葉ですか。

○曽根構成員 先ほど言ったように、例えば運営という言葉で表せるものもあるだろうと思います。管理期という言葉はなくなったのですけれども、管理という言葉が出てくると読んだ人がそれぞれ違ったものをイメージしてしまう傾向があるのかなという気がします。

○村嶋座長 なるほど、ありがとうございます。

中板委員、どうぞ。

○中板構成員 今、永江構成員のおっしゃったことも大変よくわかります。レベルIVをステージBという形で、先ほどからの話でいくとレベルIIの段階でステージBも重なっていく人も出てくるという話でしたね。そこは別物として考えていくとなったときに、そうなったときには、行政の管理職としての活動、管理活動のところについてはやはりここにいろいろ書き込んでしまうのかなと思います。そうではなくて、下の組織運営、業務管理、予算編成、情報管理、人材育成、ここがレベルI-2の、例えば2年目だろうが、3年目だろうが、4年目だろうが、2年目、3年目、4年目なりの人材育成があるし、レベルII-1の4年目、5年目ぐらいの方が自分の後輩を近くで見るという人材育成もあるということと思います。管理者になったときに困らないような基礎的な管理的な事項については管理的活動の専門職としての活動のところで積み上げていって、レベルIVのところはあくまでも行政の中の管理者としてそれを応用できるという形で整理していったほうがいいと思います。あまり行政の管理者としての活動のところに入れ込みすぎると、少し混乱するのではないかと思いましたけれども、いかがですか。

○村嶋座長 永江委員、何かありますか。

○永江構成員 今、中板構成員がおっしゃったように、行政能力としての部分が管理的活動と一緒になっているから混在しているという感じになので、そこを分けて、言葉の定義を明確にすれば、それでよろしいかと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 管理という言葉をさまざまにといいますか、具体的な言葉を使うということである程度回避できるところもあるでしょうし、それから座間委員がおっしゃったような仕事の進め方というのが行政の中での動き方になるのだと思います。スキルが専門性のところで、マインドというのが保健師としての基盤、考え方で、ここを大事にやるというようなところで少し整理ができるといいと思います。

 それと、それぞれのところでラダーにするのだったらこの能力を身につければいいという意味では、そこに求められる能力の定義、スキルならスキルの能力の定義みたいなものを一段入れるか何かということで対応ができるといいと思います。

 その下のシステム化・政策化、地域支援活動、対人支援活動等に関しての保健師のスキルについては御意見もいろいろあるのではないかと思います。時間の関係で、個別にいただいた御意見でまた整理させていただきたいと思いますが、特にここでコメントしておきたいという方はいらっしゃいますか。お願いします。

○曽根構成員 また、言葉の問題で大変恐縮ですけれども、今おっしゃった施策という言葉がそれぞれのレベルで違った意味で用いられていると思います。事業化のようなところと、自治体の政策に結びつけるようなレベルのところは、同じ施策という言葉を使ってもレベルI~IIIとステージBでは違うと思います。そこは誤解を招くことがやはり起こると思うので、施策化とか施策というところはもう少し区別して書いたほうがよいかと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

それは、実は「3.『保健師活動の領域』と求められる能力の整理」の「()求められる能力の整理」の丸2の「(ア)『施策化』の定義と施策化に求められる能力をレベル別に示してはどうか」というところで、施策化というのがさまざまにあるのではないかというご意見とも重なりますね。例えば丸2のところの構成員からの御意見ですが、「『施策化』は自治体保健師にとって重要な活動であるが、各保健師でも概念の理解は違う場合がある。施策化に必要な能力を施策化のプロセス(ステップ)を踏まえて、レベル別に段階を追った、より具体的な記載が必要ではないか」というような御意見がございます。同じ御意見と考えてよろしいですね。

 これについて中板構成員、何かございますか。

○中板構成員 地区管理にしても施策化にしても、今までで言う新任期が関与できる施策化と事業レベルで事業を改善するというあたりのこと、またもう少し事業を開発するとか、政策提言する、などの表現で示したほうがいいのではないでしょうか。これらはレベルが上がることによって範囲も違ってきますので、そこが書かれているとすごくわかりやすくなるということです。

○村嶋座長 そこをもうちょっと具体的に書くというところでよろしゅうございますか。

 そういう意味では、2番から3番に議論が移っておりまして「3.『保健師活動の領域』と求められる能力の整理」をおあけいただきたいと思います。「()求められる能力の整理」「()各レベルにおける能力の整理」でございます。

()の丸1で「レベル別に示す前に、各領域に求められる能力を明示してはどうか。その際、各構成要素との対応関係を整理し、具体的に示してはどうか」という御意見をいただいております。(ア)の施策化もそうでございます。「(イ)『保健師活動の基盤』の定義と求められる能力をレベル別に示してはどうか」「(ウ)『行政組織活動の基盤』における『ネットワーク』について『活用』と『構築』の用語の整理が必要ではないか」「(エ)『行政組織活動の基盤』における『ワーク・ライフ・バランス』についてレベル別に示したらどうか」という御意見がございます。これについていかがでしょうか。このような意見が出ておりますが、奥田先生のほうで何かこの意図みたいなものがございますか。

○奥田参考人 求められる能力の概念と定義の明確化の部分ですけれども、先ほどから議論があります施策化という部分につきましては、おっしゃるとおり、レベル別に、事業化レベルからできるとか、管理に入れば施策になるとかというところの表現が足りない部分はあるかと思いますので、追記をいただいたらいいかと思います。

 ワーク・ライフ・バランスについてレベルII-2だけに記載していることについては特に限定した意図はございません。一般的にこのキャリア段階に相当する方に多いという一般論です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

思いとしてというか、意図として、今、改めてご覧になって、意見を踏まえてのコメントでございました。

○奥田参考人 イの部分の能力レベル別に示していくという点ですけれども、そこは各指標が具体的になっていくということでも示されるかと思います。ただ研究班としましては、このラダー全体の各指標については、表の一番下にありますように、能力のレベルを1から4の段階別にして、各自がそれでチェックするというようなことで考えました。

○村嶋座長 自己で活用するということですね。

○奥田参考人 はい。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 という意図だということなのですが、3番の領域についていかがでしょうか。

○座間構成員 いろんな意見が出ているものをもう一度再整理すると、やはりレベルの定義の範囲や役割の範囲をもうちょっとめり張りをつけて整理すると能力との関係が整理できるのかと思います。

例えばレベルIは、よく読むと担当分野のことを言っていて、レベルI-1はその中の基本の習得で、レベルI-2は担当分野について自分で自立的に仕事を全て回せる。レベルII-1になると担当分野ではなくて職場全体の中での仕事をうまく回せていって、レベルII-2に行くと職場を超えた連携ができるという大きな視点を立てると、先ほどの領域との関係の縦横で能力の表現の仕方が整理されるので、定義と能力の関係をセットで考えるのが良いと思います。

○村嶋座長 それぞれのレベルの定義。

○座間構成員 そうですね。担当領域の中で役割を発揮している話と、担当領域を超えて職場全体についてそれをしているという、役割の領域の定義の範囲が違えば同じ言葉であっても能力的には高いものを求めている。上の定義がもう少しクリアになることで同じ言葉でも範囲が違うのだということで読むほうは理解できると思います。

○村嶋座長 上の定義というのはレベルのことでしょうか。

○座間構成員 I-1、I-2。私なりに理解したのは、I-1は担当分野の基本の習得で、I-2は担当分野を全て自分で回せていけるということで、レベルIIになるとある特定の職場、それぞれの市町村によって単位は違うのかもしれませんが、職場全体の中をきちんと見渡せて、職場の中の連携のことまできちんと見据えられる役割です。その領域においてどういうことを求めるかとしていくと整理ができると思います。

○村嶋座長 奥田先生のほうで何かそういう意図があったのですか。

○奥田参考人 このラダーそのものは、資料にもお示ししたように、前回のラダーと参考文献等を参考にして構築しております。前回のラダーも、今、座間先生のほうから言っていただいたようなレベルの整理ではあったかと思います。ただ、今の表現でそう読み取れないという部分は工夫して書いていく余地があるということを、伺っていて思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

曽根委員、どうぞ。

○曽根構成員 難しいかもしれませんけれども、一言というか、1行半ぐらいで示せるようなキャッチフレーズ的なものがあるとすっと腑に落ちる方も多いのかなと、今、思いました。

○村嶋座長 そうですね。やはり行政の中で使うと他の行政職にわかるというのもとても大事だと思いますので、レベルのわかりやすさみたいなことを示すということですね。

ほかにはいかがでしょうか。今のでレベルが随分整理されたように思いますので、何かキャッチフレーズ的に入れてくださいということでございます。

 ちょっと戻りますが、先ほどの施策化に関しましては、3の丸2の右側に丸が3つあって、3つ目の丸に「『システム化・政策化のための活動』に求められる能力は『組織ビジョンを捉えた健康政策として戦略づくりができる』に相当。レベルIで、住民ニーズを発掘し、ニーズに対応すべく現状システムの問題・改善点が明確化できる。レベルIIで、システムの改善内容の具体化、健康的な生活に向けての地域ケアシステムの構築ができる。レベルIIIで、継続的なシステムの改善努力ができ、効果的な地域の保健システムが開発できる。レベルIVで、健康づくりシステムをまちづくりビジョンとして創造できる」と挙げてくださった委員もいらっしゃいますが、この施策化をどういうふうにするかということについて御意見がありましたら、どうぞ。

○清田構成員 「システム化・政策化のための活動」の中のレベルIのところなのですけれども、新しい方々が悩んでいる姿を見るときに、ここに書いてある「地域の概要を基本的なデータから把握できる」というのは、データからスタートすることによる難しさを現場では感じているところがあります。

 私どもが保健師に言っているのは、保健師として住民の声とか住民の地域活動から何が課題だと思うのか、まず自分がどう感じるのか、何を課題と思うのか、先にそれを素直に感じてきてねというところをよく話します。それがまずベースにあって、その後にデータをつけ加えたりとか、その作業からスタートしていくところがだんだん広がっていくと、ここに書いてあるとおり、だんだん施策までレベルによって広がっていくのですけれども、まずは自分としての感性で感じるところからスタートすることの重要性をぜひレベルIのスタートに書いていただきたいと思います。

 地域支援活動の中には地域の人々の声からということを書いていただいているのですが、ここも、声を含めて、保健師がやっている自分の活動の中からも地域支援活動のスタートがあると思いますので、そこを落とさずに書き込んでいただくところからスタートしていただきたいと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

中板委員、どうぞ。

○中板構成員 奥田先生の研究班の中で皆さん共通して意見が出ていたのは、レベルI-1のところの対人支援活動、地域支援活動、いわゆる住民の声を一人一人きちんと聞くことができて、その声を集約して、今、地域に何が起きているのかということをしっかりと自分たちの中で納得できる、そこがとても脆弱になっているので、特に強化しなければならない、そういったことは分担研究者みんな同じ意見でした。

 今、お話を伺っていて、若干並びが、システム化・政策化のための活動が上に来て、地域支援活動、対人支援活動のところがその後に来てしまっているので、ここはもしかしたら、対人支援活動や地域支援活動があってシステム化という、記入の順が逆のほうがいいのかなと、今、清田委員のお話を伺いながら思いました。決してデータから入ってという話ではなく、データと地域の住民としっかりとかかわってという、そこをかなり強調しましょうという話はしていたと思いますので、ここは少し検討が必要かと思います。

○村嶋座長 どうぞ。

○奥田参考人 今、御指摘のあった、本来であればベーシックになるところが欄の下にあって、より高度なものが上にあるということなのですけれども、これについてキャリアラダーを研究班と整理したときには、まず1枚の表で示しておりました。この枠の番号でいいますと、レベルIの段階では、4番、5番、6番、11番、12番、13番のところが中心的に築いていただきたいもので、レベルIIの段階に行きますと、16番、17番、23番、24番という部分に重点が変わっていき、さらにレベルIVのほうに行きますと、36番、37番、41番、44番、50番、51番というふうにステップされ、その下のものを培って次に行けるというようなことを図式化上でも見せることをしたいという意図があって示しています。研究班としては、そこに少し薄いバックを入れて、階段が上がっていくラダーなのだということを見せる化していきたいというふうに佐伯先生のほうでは整理をいただいております。

○村嶋座長 むしろ下から上に上がっていくというような見方をするということですね。そこは、ちゃんと書いてあって、どういう段階にするというところが共通認識になるような書き方だったらいいのだろうと思います。

 確かに、施策化、要するに事業をつくったり資源をつくったりするのは、保健師として住民が困っているのを見て、でも、できなくて泣いた経験とか、それがエネルギーになっていくというのを聞きますし、とても大事なことだと思います。それを上からするか下からするか、どういう並びにするかということも含めて、もうちょっと事務局のほうで整理をしていただくということでよろしいでしょうか。いろんな御意見をどうぞ事務局のほうにお出しいただければと思います。

この並びの話、それぞれの中身の話、レベルの定義、あと、キャッチフレーズ、小見出しのようなことを今回いただいた御意見として事務局と私のほうで整理させていただければと思います。よろしゅうございますか。

( 首肯する構成員あり)

 資料2-1の4番目のキャリアラダーの活用についても先ほど各自治体で行うということでさせていただきましたので、それはよろしいですね。

( 首肯する構成員あり)

 いろんな御意見をありがとうございました。また、奥田先生には本当にありがとうございます。大変貴重な研究だと思いますし、検討会は検討会として行かせていただきますし、先生のほうは先生のほうでまたぜひ積み上げていただければと思います。

 では、続きまして、議題1の「()体系的な研修体制構築の推進について」でございます。事務局から御説明をお願いします。

○保健指導専門官 それでは次に、資料3「体系的な研修体制構築の推進に係る検討資料」をもとに御説明させていただきます。

資料3と資料4になりますが、こちらでは中間取りまとめでの指摘を整理いたしまして「まとめ(案)」ということで示しております。その次に、各種調査、事業などから得られた取り組み事例についても示しております。

 まず、2ページの「組織全体で取り組む人材育成」です。中間取りまとめにおいては人事部門との連携について示されておりまして「地域保健における課題を解決していくため、保健師に対する効果的なジョブローテーションも含めた人材育成の仕組みの構築が必要である。その仕組みの構築に当たっては、人事部門とも連携しながら、能力に応じた職位や部署に配置し、職場における指導等を通して能力を積み上げる道筋を可視化することが重要である」としております。

 これに対し、まとめ()といたしまして「自治体組織として保健師の人材育成体制を構築するためには、保健師に必要な研修体系について人事部門と共に検討する場を設け、保健師に求められる能力の評価指標を協働して策定するなど、各自治体の人材育成基本指針と保健師の人材育成の枠組みとを連動させ、一体的に推進することが重要と考えられる」としております。

 以下、黒丸を3つ挙げておりますが、こちらは具体的な人事部門等との連携について自治体の人事担当者からのヒアリングの結果を示しております。これらの内容は、平成27年度地域保健総合推進事業によって実施されました「保健師活動指針の活用に係る事例の収集」の結果を引用しております。また、当事業の概要について参考資料3につけておりますので、また後ほど御確認いただければと思っております。

 ページをおめくりいただきまして、続きまして、2つ目の「個別性に着目した人材育成」として「人材育成支援シートの活用」についてでございます。中間取りまとめでは「各保健師の基本的能力の習得状況を確認しつつ、個別性にも注目した人材育成のあり方の検討が必要である」としております。

 まとめ()につきましては「個別性に着目した人材育成を推進するためには、個々の保健師の業務経験や研修受講履歴等を記録し、それらを通して獲得した能力等を確認し、人材育成計画に反映する方法が考えられ、組織内で共通の様式(仮に「人材育成支援シート」とする)を活用することが効果的と考えられる」としております。

 また、「『新人看護職員研修ガイドライン(保健師編)』(平成23年2月)では、研修手帳(研修ファイル)の活用について述べられているが、『人材育成支援シート』は、これをベースに業務経験とそれを通じて獲得した能力を併せて記録すること、またキャリアラダーと連動させることで、新任期のみではなく全ての保健師の人材育成に活用できる。また、自らの目指す保健師像や伸ばしたい能力を個々の保健師が明記しておくことで、評価を行う際などに自らの目標を再確認し、自己研鑽や業務に対する意欲向上にもつながることが期待される」としております。

 4ページ目には「人材育成支援シート」の活用の例として記載しております。

 続きまして、5ページ目でございます。「個別性に着目した人材育成」としまして、3つ目の「産休・育休取得者への支援」についてです。こちらも中間取りまとめにおいては「中堅期においては多様性を踏まえた対応を検討するとともに、主体的に自らの目指すべき方向を考えることができるよう、人材育成を推進することが課題である」。また、「産休・育休取得者へのキャリア継続支援の充実策について、一般企業の取り組み等も参考に検討を行う」としております。

 こちらのまとめ()といたしましては、2つ提示しております。

 「産休・育休の取得等により長期間職場を離れ、キャリアの中断があった保健師の人材育成やキャリア継続支援においては、個別の事情を勘案した対応が必要である。中間取りまとめにおいては新任期における個別性に着目した人材育成の重要性が示されたが、新任期のみならず、多様性を踏まえた対応が必要となる中堅期においても、個別性に着目した人材育成は重要と考えられる」。

 また、「キャリアラダーに示された各レベルの能力を参照しつつ、キャリアの中断があった個々の保健師の業務経験や能力の獲得状況について、保健師本人と指導者側が共に確認して『人材育成支援シート』に記録する等により、人材育成上の課題について共通認識を持つことができ、より円滑な人材育成が図られることが期待される。このように、キャリアラダーや『人材育成支援シート』は、産休・育休取得者等の人材育成においても有効なツールになることが期待される」と示しております。

 6ページ目には「産休・育休取得者への支援」として具体的な自治体における取り組み状況や一般企業での取り組み例について示しております。

 以上です。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 「1.組織全体で取り組む人材育成」に関して3点ほどまとめの案が挙がっておりますが、いかがでしょうか。もうちょっとこういうのを入れたほうがいいとか、ございますか。

 中間取りまとめでは、能力を積み上げる道筋を可視化することが重要であると。一定レベルまでいったら研修を受けて、すとんと腹に落ちるというのを何度も座間委員がおっしゃいまして、すごく印象に残っている言葉なのですが、そうやって覚悟を決めて自分の能力を積み上げていく。それを組織全体で取り組む。自治体の人事担当者と一緒に考えながらやっていく。人事部門とやっていく。また、総務省関係の地方自治体の指針、そういうことと絡めながら保健師の活動を位置づけていくことの重要性が示されているわけですが、いかがでしょうか。中板構成員、どうぞ。

○中板構成員 私も分担研究者としてキャリアパスの開発を担当させていただいています。その中で、全国の47都道府県の職能委員長さんたちにヒアリングをさせていただいた結果、自分の研修や自分の能力と配置される部署、職位とが連動しているという状況ではまだまだないという自治体もあれば、最近は福祉部長からそういったものを提示してくれないかと言われた自治体もあるということです。お聞きしている中で、組織全体で取り組む人材育成の中に、ジョブローテーションのこと、職位、部署に配置する必要な能力や道筋を考えたときには、キャリアパスという言葉が次のページのキャリアシートとあわせてのキャリアパスという個人のキャリアパスの話だけになっているので、1のところがやはりキャリアパスにつながっていくということを明示していただけるとありがたいと思いました。

 研修を受けるにしても、多くのヒアリングの結果、皆さんが誰一人反対することなくおっしゃったのが、レベルI-1を達成するためには、保健衛生部署にしっかりと配置され、そこで住民に様々な形で接するということがとても重要で、ここは外せないという話も出ていました。レベルIの段階での配属部署あるいは年数等々も含めて、ヒアリングはさせていただいたので、細かく具体的に示すというよりは、ある程度の考え方をぜひ提示していただけるとありがたいと思いました。

○村嶋座長 ありがとうございます。

 まずは、どこに配置するかからですね。確かに研修と能力と仕事がちゃんと一致して本人のキャリア開発や能力開発につながっていくということをもっと入れることが必要なのかと思います。結核の研修を受けて戻ると別の部門に配置されるようなこともあって、研修と仕事とが一致するように組織として整合性を持っていくのが大事だと思います。

保健医療科学院の研修とかは生かされていますか。

○曽根構成員 そのあたり、こちらで計画するときにはGIOSBOも含めて、これはどの人を対象とする研修なのかということで、経験年数だったり、いろんな役割について規定しています。それでぴったり合うとお互い幸せなのですが、保健師の研修だけでなくて他の研修でもたまに合わないことがあります。そうすると、受けたほうもよくわからなかったりとか、あるいは逆に易し過ぎたりというミスマッチが起こるので、そこはきちんと合わせないと研修自体の成果も上がらないということは日々実感しております。

○村嶋座長 ありがとうございます。どうぞ。

○佐藤構成員 それぞれの自治体ごとの保健師の規模も違いますし、求められるものの考え方を統一するのはなかなか難しい。人事の担当からしても、どういう能力の人材というか、どのレベルの人材が何人うちの市には必要で、この方たちの役職はここまで配置するとかいうような計画がつくってあるところは余りありません。この研修を受けることによってこのレベルになるということで、そのレベルはなぜ要るのかというところから話を持っていかないと、実際の研修を受けるとか、役職を得るのになかなかつながらない。例えば保健師さんの中でも統括保健師を配置するという話ももちろんありますが、保健師の中での最高ランクはどこまで持っていくというような考え方、それは行政の中での効果的な施策をつくるためのいい方法であるということが理解されないとやはり進んでいかないと思います。そこら辺のことが事務の方にも理解できるような、キャリアと、行政として求める仕事をちゃんと果たしてもらえることの合理性というか、そこの説明がつくことが要るのではないかと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

清田委員、どうぞ。

○清田構成員 「組織全体で取り組む人材育成」に関して「人事部門等との連携」の1行目、2行目はわかるのですが、「仕組みの構築に当たっては」というところは、保健師自身がその検討を行うのか、または保健師の人材育成を担当するどこかの人がやるのか、主語が書かれていません。私が思うに、構築に当たっては、まずは保健師間でジョブローテーションのあり方から人材育成の仕組みの構築についてどうあるべきかということを表示することが重要だと思います。それを書いた上で、さらに人事部門とも連携しながら積み上げていく努力だと思います。そういう意味では、まずは保健師間で、自分たちでよく考える。どうあるべきかというのは、よく考えて協議し、自問自答しながら確認していくというのをぜひ入れていただきたいと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

大事なことですね。専門職としてお互いにまずは認識するということですね。企業の場合には、割と企業として全体で人材育成とかお考えになるのでしょうね。

○座間構成員 基本的には人事が考えて全体的を考えて体系します。例えばマネジメント力、課題を設定して解決する力などです。一方、スキルなど開発の現場と営業の現場でそれぞれ違ったものが求められている部分もあります。体系化するのは人事ですけれども、中身としてどれが効果的なのかというのは、保健師さんであれば保健師の人たちが徹底して議論したものを人事部の体系に当てはめていくという考え方もあると思います。

○村嶋座長 そこを人事がわかるように保健師側が持っていくことが大事だと。

○座間構成員 全体の体系の中にどう位置づけるかということから外れてしまうと、主旨からずれていくと思います。そういう意味では、人事部門を巻き込んで、地域によって大きさは違うのだと思いますが、研修の考え方を市町村の組織の中にどう位置付けるかのということを人事としっかり握っておくことが必要なのではないかと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

研修に出してもらうときに、企業としての位置づけ、研修のレディネスと研修を受けたことによる次のステップアップみたいなところの一体性、連動というのですか、そこら辺はいかがでしょうか。

○座間構成員 企業も、ある資格に必要な能力をクリアした場合には資格が上に上がっていく。あるレベルの人間が職場で定義された能力を発揮している上で、研修を受けると例えばレベル3に上がるというようになっています。全体としてクリアにできるのであれば一番良いですが、それぞれの組織の大きさによって違うのであれば、それぞれの市町村でそのステップアップのタイミングについて考えていくということだと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

ラダーが能力としてきちっと示せれば、そして自分はここまで来たということがあれば、次のステップとしてこういう研修を受けて、こう上がっていくみたいなところが体系化できるといいですね。そうすると保健医療科学院の研修ももっと効果的になるということでございます。

 1に関してはよろしいでしょうか。

( 首肯する構成員あり)

 では、「2.個別性に着目した人材育成」は「人材育成支援シート」と「産休・育休」の話でございます。これに関して御意見はいかがでしょうか。どうぞ。

○曽根構成員 人材育成支援シートのアイデアは大変よろしいと思うし、ぜひやるべきだと思います。これは手帳的なイメージなのか、それともウェブ上で共有するような、データベース的なイメージなのかうかがいたいと思います。それから、どういう項目が入るべきなのかという議論はこれまであったのでしょうか。

○村嶋座長 議論があったかどうかに関してはいかがでしょうか。研修手帳はあったですね。

○保健指導専門官 そうです。こちらのほうに示させていただいた部分は、新人看護職員研修ガイドラインに記載している研修手帳という形で示したものでございます。

○村嶋座長 ありがとうございます。

これをお使いになっている自治体はありますでしょうか。永江委員は、人材育成支援シートや発達段階を示すようなことをどこか御存じでしょうか。

○永江構成員 自分の県のところを言って申しわけないのですが、新人の場合はこれに乗っかった形で最低3年間は活用させてもらっているのと、昨年、中堅から管理期までの新しいガイドラインを作成し同じような支援シート的なものをつくりまして、それを自分たちが活用していきながら目指す方向性のところまで持っていこうという意味で、今、始まったところです。

○村嶋座長 始まったところですか。

○永江構成員 はい。

○村嶋座長 どうぞ。

○田中構成員 宮崎のほうも、キャリアシートをつくって、ジョブローテーションやどういう研修を受けたか、学会発表、自分の研究テーマであるとか、そういうものを書くような様式はつくっているのですけれども、それを積極的に活用する段階はこれからというところです。

あと、この中で、獲得した能力を確認、それをあわせて記録するという表現があるのですけれども、この文章表現では見えなかったところで、そこを具体的にどういうふうにするのかというのはとても興味を持ちました。

○村嶋座長 逆に、獲得能力や研修とかをどうするというところがここの検討会で出せるといいのでしょうけれども、そういう例があれば調べるというところでよろしいですか。どうぞ。

○中板構成員 何県かは忘れたのですけれども、キャリアパスの中の一部としてポートフォリオがあり、永江委員や田中委員がおっしゃったような形で始めるということは聞いています。

そのときの活用なのですけれども、個人が自分で自分のファイルをどんどんつくり上げていくだけで個人レベルで完結するのではなく組織として活用できるとよいのです。ある県では、これから人事考課の評価のときにそれを上司と見ながら考えていくような形も検討しているというところは伺っていますが、まだその成果まではわかりません。

○村嶋座長 幾つか取り組みはあるのだけれども、まだ成果まではいっていないというような状況ですね。どうぞ。

○佐藤構成員 熊本県でも、新任期以外の中堅期、管理期という名称になっていますけれども、それぞれの保健師個々に自己評価するシートがあり、上司との面接の際にそれをチェックしたものを見ながら評価するという仕組みになっていますし、活用も始めた段階というところで、評価はできていないとは思います。ただ、そういうやり方は県内全体でやるということになってはいます。

○村嶋座長 奥田先生は全国でどこかやっているところを御存じですか。

○奥田参考人 保健師のガイドラインを検討している自治体では資料という形で、こういった記録をそれぞれの自治体が独自で考えてやっているところは幾つかあります。

あとは、先ほど中板先生も言われたように、ポートフォリオのような形でファイルをとじているという自治体も複数伺っておりますが、先ほど御報告があったように、それが人材育成やジョブローテーション、人事課のほうとつながっているかについては、そこまではいたっていない現状が多く、保健師としてまずそういうことを始めた段階というふうに把握しております。

○村嶋座長 ありがとうございます。

こういう記録というのはどうやって活用するのがいいのでしょうね。

○座間構成員 2つありまして、1つは、客観的に自分がどのくらいの年数、どこの職場でどういう上司のもとにどんな仕事をしたのかというキャリアをきちんと見える化することで、例えば人事異動の際に人事が活用していきます。そのキャリアを積み重ねて毎年更新して書いていくということをやっています。

もう1つは、そこを書くに当たって、今年自分自身がやったことに対しての自己評価や、今の自分の仕事に対して成長感ややりがいを整理し、きちんと書いた上で、3年後、5年後、自分はどういうふうになりたいのかということを記述していく。その内容を、きちんと上司と面接して、その上司はそのことを受けとめた上で、部下に対してどういう育成をしていくのかという育成計画を立てる。その内容を人事に提出していくという形にしてます。それをまとめて、組織全体の人材育成の状況をその組織長と打ち合わせる際の一つのデータにしています。

○村嶋座長 ありがとうございます。

要はポートフォリオといいますか、こういうのを調べたときに個人だけで積み上げていても意味がない。自己反省プラスそういう伸びるような材料に使うことが大事だということですね。全国でぽつぽつと始まっているところで、まだ成果というところまではいっていないようなので、出すとしたら、そういう取り組みがあって、こういうことが求められる、そういうことかなと思います。

 産休・育休に関してはよろしいでしょうか。今までも議論があったので、またありましたら個別に教えていただければと思います。

 では、その次、議題1の「()自治体間や関係機関との連携について」でございます。資料4の御説明をお願いします。

○保健指導専門官 それでは、資料4の「自治体間や関係機関との連携に係る検討資料」でございます。

 2ページ目に「1.都道府県と市町村との連携」について記載しております。中間取りまとめにおきましては「保健師の人材育成・研修を企画・実施するに当たっては、都道府県保健所が市町村保健師を対象とした研修を実施するなど、都道府県による計画的・継続的な人材育成の支援・推進が今後も重要である。都道府県における取組や都道府県と市町村との連携状況等の事例を集約し、連携の推進方策について検討が必要」としております。

 まとめ()ですが、「全ての自治体における保健師の人材育成を推進するためには、特に規模の小さい自治体の支援が重要である。そのため、都道府県・市町村において以下のような取組が推進されることが望まれる」といたしまして「都道府県や保健所の支援強化」「市町村間連携の促進」を挙げております。

 3ページ目には「自治体や保健所における取組状況」を記載しております。

 4ページ目は「教育機関との連携」でございます。中間取りまとめにおいては「教育機関や関係団体等と自治体との研修の企画・運営等の連携の実態について全国的なデータや事例を集約した上で、保健師の現任教育における有効な連携方策等を検討し、提示する」としております。

 まとめ()といたしまして「保健師の現任教育における自治体と教育機関との連携をさらに推進するためには、教育機関が自治体保健師の現任教育に関与することにより得られるメリットや多様な関わり方を広く周知するとともに、実習調整会議等の機会を活用して教育機関と自治体との協議の場を定期的に開催し、継続的体系的な取り組みについて検討すること等が効果的と考えられる」。「また、教育機関による、自治体に就職したそれぞれの卒業生への支援を推進することにより、教育機関の現任教育への関与が一層推進されることが期待される」としております。

 5ページ目につきましては「教育機関との連携」の教育機関から見た取り組み状況を示しておりまして、6ページ目には自治体側から見た「教育機関との連携」の取り組み状況についてそれぞれ示しているところです。

 以上です。よろしくお願いいたします。

○村嶋座長 ありがとうございます。

今、自治体間と教育機関との連携についてお話がありました。一番最初に永江委員がおっしゃいましたような関係機関との連携についても考えないといけないと思います。

 それはさておいて、教育機関等に関しまして少し追加を申し上げますと、参考資料2に私のほうで「『保健師教育機関による自治体等の現任保健師の人材育成に対する連携の実際』に関する調査結果報告」を示させていただきました。これは一般社団法人全国保健師教育機関協議会が行ったものでございます。私の名前で出ていますが、総務担当理事の鈴木良美東邦大学准教授が主にしてくださいました。

 目的のところですが、この中間取りまとめでも実際に看護系大学がどんなふうに研修をやっているかが大事だということが示されておりましたので、それを明らかにすることを行いました。

 次のページでございますが、この協議会の会員校178校にアンケートを行いました。回収率は必ずしも多くなかったのですが、全部で52校から回答がありました。国立13校、公立12校、私立27校でございました。

 分析結果ですが、人材育成の関与は、国公立と私立とに分けますと、6ページにありますように、自治体の保健師対象の人材育成の関与は国公立が私立よりもかなり多い。卒業生に対するものも国公立がかなり多いということが示されております。

 次のページ、では、どんな貢献をしているかということなのですが、研修が一番多く、それから保健活動への助言、現場の研究への支援、事例検討への助言、現任教育の体制づくりへの参画でございます。

 8ページ、教育機関が関与した研修の実際ですが、どういう目的でやっているかというと、実践能力の向上、新しい知識の習得でございます。

 教員の役割は、講師、助言者、コーディネーター等でございます。

 先に述べましたように、国公立の方が私立に比べて関与している度合いは多いのですが、では、私立が具体的にどんな研修をしているかを記したものが10ページにあるます。県内で保健師経験のあった教員が保健師のニーズや企画者の意向を酌んだ研修を行っています。そして、それをもとに10カ月間の「保健師に対するアセスメントと施策化能力向上プログラム」を実施・評価したとか、月1回の事例検討会をサポートしていることが挙げられました。

 また、教育機関が行うことにより、教育機関側にもメリットがあります。モデルケース1、2にありますように、大学の教員が現場の動きを知って具体的に授業に生かすとか、実習地との良好な関係を築くというメリットがございます。

 自治体との連携を推進するためのポイントとしては、経年的なかかわりをする必要性ですね。長くかかわる必要がありますし、組織的なかかわりをする必要があるし、行政との協働が大事だということでございました。結論の部分は、先ほどのまとめのところに生かしてくださっております。

 資料4に関して、教育機関、自治体同士の連携、さらに先ほど永江委員がおっしゃったような関係機関との連携について、御意見、コメント等いかがでしょうか。どうぞ。

○佐藤構成員 自治体間の連携ももちろん、教育機関も、関係機関にも必要なのですけれども、保健師の勉強を保健師だけでするのではなく、行政の中には施策形成の研修であったり、自治大学の研修であったり、そういったものもたくさんありますし、ほかの分野の勉強も含めていろんな研修をするということが私自身の経験でも一番勉強になったと思います。外から見る目でいえば、保健師さんというのはどうしても視野が狭いという言われ方をしますし、そういう意味では、民間の研修も含めて、さまざまなまちづくりに関するものであったり、住民との協働であったり、そういった場に出ていって研修するということもぜひ入れていただきたいと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○清田構成員 調査研究の9ページ目にあるように、国公立ともに中堅期の参加率が高いわけなのですけれども、現場で考えると中堅期の研修というのは難しいと実際感じています。対象者の幅も広いですし、範疇も広いので、研修に値するような分野はちょうど中堅期に当たります。管理期ができ上がる手前の部分なので、非常に個別性が強くて難しい。そこに多くの国公立、私立、両方ともかかわっていただいているというのは非常に強みだと思っています。こういう実績があるということは可能なのだという結果でもあるので、中堅期にかかわる実績がある、そういうところから大学と手を結ぶという実績もあるということもぜひ知らしめてほしいと思いました。

○村嶋座長 とても貴重な御意見ありがとうございます。宮崎県で大学がずっとかかわっていて、中堅期もかなりかかわっていらっしゃるのですね。

○田中構成員 はい、中堅期からリーダーにかけてもかかわっています。

○村嶋座長 実習に行くと、実習のいろんなことを通して学生も育つし、保健師さんも育つというのは随分感じます。

 ほかに何かありましたら、中堅期、いかがでしょうか。

○曽根構成員 いろいろな例があると思いますが、お互いにコツみたいなものがもしあれば教えていただいたり、あるいはこういうものに盛り込むといいのかなと思います。

○清田構成員 ここのまとめに「互いの強みを活かした活動を行う」とあるのですが、正直に言って現場はマンパワー不足で、研究したくてもそれに割けるマンパワーがないというのが一番弱みです。一方、着眼点やフィールド、判断する力というのは現場は強いです。そういう多様な強みで、かつ互いに補える内容についてよく協議し合うことが重要ではないかと思いました。研究したいのはやまやまなのですけれども、そういう中で、学生の方のマンパワーで例えば積み重ねるところをお願いして、その結果をもとに一緒に協議するとか、やり方はさまざまで、そういうことを通じて中堅期のスキルアップは十分可能ではないかという思いがします。

○村嶋座長 ありがとうございます。

こういう中堅期の育成に関して座間委員は何かございますか。中堅期は難しいというのが保健師は共通してあるようなのですが、中堅期が組織の将来を担うという気もします。

○座間構成員 そういう意味では、ある一定の担当分野の中で、現業の中でしっかり仕事をしていく強化していく力と、課題を捉えて解決する力など現業より視野や視座を高めていく力と両輪で必要なので、教育機関で横の連携とか視座を高めるといった点をうまくインプットできれば現場の育成と良い連携になるのではないかと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。永江委員、どうぞ。

○永江構成員 教育機関との連携という意味では、現場の方々というのは既に日ごろの活動が実践研究なのです。その実践研究していらっしゃる部分をどう政策に生かしていくのか、あるいは事業に生かしていくのか、そのまとめをお手伝いしていくことになればそれで研究のまとめになっていくような気がします。そういう大学の使い方といいますか、大学もそういった意味での支援の仕方が必要ではないかと思っています。

○村嶋座長 本当におっしゃるとおりですね。これについて奥田先生のほうで何かありますか。

○奥田参考人 私も自治体から伺うところによりますと、地元の大学を核としてしっかりやっていきたいという気持ちは自治体の保健師は大変強いです。それは、それぞれの自治体だけで人材を確保するだとか、人材育成がうまくできているかというところに自信がないということにも直結しているかと思います。

ただ、現状としましては、宮崎県のように、研修を単にやるだけではなく、しっかり研修体系全体も考える体系性があるわけですが、なかなか全国的にはそこまで整っている自治体がない。地元の研修の講師というところでも、その先生が得意とするテーマであれば講義に来ていただけるとか、あるいは大学としても研究したいテーマにおいては自治体とのつながりができるというところも含まれてくると、自治体とニーズがマッチしないために、せっかく地元にたくさんの教育機関があるのだけれども、県外のほかの遠くの先生を呼ばれるということもまだまだ多いので、そういったところを発信できるような方向性を示していただけるといいかなと思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。

どの人たちにどういう得意分野があるというのをもっと共有化して、顔見せをするといいますか、そんなことも大事なのだと思いました。

 最初に永江委員から御提案いただきました関係機関でございますが、確かに、国保にしろ、協会けんぽにしろ、いろいろありまして、少しお金を出せるところもあるというので、ぜひ活用しないといけないと思います。また、どんな活用の仕方があるかについては事務局のほうに教えていただけますと、どのくらいの項目になるかわかりませんが、盛り込めるかなと思います。関係機関も入れるということについては、皆様、同意いただけますでしょうか。

( 首肯する構成員あり)

○村嶋座長 では、同意いただいたということで、ぜひ、いい活用の仕方、関係機関との関係のとり方みたいなものを教えていただければと思います。どうぞ。

○中板構成員 関係機関との連携というところについては、入れ込むのはもちろん重要だと思います。教育機関も全く一緒だと思いますが、やはり自治体側がイニシアチブをとるというか、何をしたいがために協力を求めるかが大切だと思います。何か逆転しがちなところがあって、大学と協働したときに大学の研究のフィールドになってしまう、そういったこともなきにしもあらずなので、自治体がイニシアチブをとり、協働という形をとることが必要だと思います。目的や目標を一緒に考えていくとか共有するというところから入っていくことが一つ大きなことかと思います。そういう意味では、自治体としてはどうしたいのかということを中心になりながら考えていく姿勢が関係機関にも必要と思います。

○村嶋座長 ありがとうございます。大変貴重なコメントをいただきました。

 以上、本日の議題のところは大体いったかと思うのですが、よろしゅうございますか。特になければ本日の議論はここまでとしたいと思います。どうも御協力ありがとうございました。

 事務局からどうぞ。

○保健指導専門官 次回の開催については事務局より別途皆様方に御連絡させていただきたいと思います。

事務局からは以上です。

○村嶋座長 それでは、第6回の検討会はこれをもちまして終了させていただきます。

 御協力、本当にありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局健康課 保健指導室
 代表:03-5253-1111
 内線:2392

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