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2015年9月17日 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録

○日時

平成27年9月17日(木)14:00~


○場所

厚生労働省講堂


○出席者

出席委員(17名)五十音順

荒 井 保 明、 飯 島 正 文、 五十嵐   隆、 板 倉 ゆか子、
大 野 泰 雄、  川 西   徹、 木 津 純 子、 倉 根 一 郎、
黒 木 由美子、 下 田   実、  鈴 木   勉、 竹 内 正 弘、
中 川 俊 男、◎橋 田   充、○松 井   陽、 南     砂
吉 田 茂 昭
◎分科会長 ○分科会長代理

欠席委員(6名)

井 部 俊 子、 太 田   茂、 鈴 木 洋 史、 田 島 優 子、
半 田    誠、 望 月 眞 弓

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
鎌 田 光 明 (総務課長)
森    和 彦 (審査管理課長)
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
倉 持 憲 路 (化学物質安全対策室長)
宇 津    忍 (安全対策課長)
赤 川 治 郎 (監視指導・麻薬対策課長)
浅 沼 一 成 (血液対策課長)

○議事

○総務課長 定刻になりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」を開催させていただきます。お忙しい中、御参集いただきまして、また、雨の中をお集まりいただきましてありがとうございます。本日の委員の出欠については、井部委員、太田委員、鈴木洋史委員、田島委員、半田委員、望月委員から欠席との御連絡を頂いております。また、倉根委員が少し遅れるとのことです。現在のところ、当分科会委員数23名のうち、16名の委員に御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本日は、議題1から4について、会議を公開とさせていただきます。公開案件終了後、議題5については非公開とさせていただきます。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 以降の議事進行は橋田分科会長にお願いいたします。

○橋田分科会長 最初に、事務局から配布資料の確認をお願いします。

○事務局 公開案件の資料の確認をさせていただきます。公開案件の資料は、机の右側に配布してあります。議事次第、座席表、裏面に委員名簿、「薬事分科会 議題概要【公開案件】」、資料1、資料2、資料3、資料29-1、資料29-2、当日配布の資料29-3、資料29-4です。右側の前の所に、議題1で使用する局方の関係の資料を置いてあります。資料の不足がありましたらお申し付けください。

 本日は、審議事項が2件あります。審議に入る前に、薬事分科会審議参加規程について御報告させていただきます。議題1については、日本薬局方部会の所掌する案件です。この部会は、薬事分科会審議参加規程第2条によると、規程の適用対象部会とはなっていませんので、委員の皆様に寄附金・契約金等の受領についてお伺いはしておりません。ですので、審議不参加、議決不参加の基準にかかわらず、審議、議決に参加できることを御報告いたします。

 議題2については、動物用医薬品部会の所掌する案件です。この部会は、薬事分科会審議参加規程第2条によると、規程の適用対象部会となっています。委員の皆様に、寄附金・契約金等の受領についてお伺いしております。ただし、今回の案件は、個別の医薬品等の承認審査の審議ではありませんので、審議参加規程第18条により、審議不参加、議決不参加の基準の適用を受けていません。会議後に申告書をホームページに公開することをもって、審議及び議決に参加できるという規定がありますので、その旨を御報告させていただきます。以上、本日の審議に先立って御報告いたします。

○橋田分科会長 議事に入ります。本日の公開案件は、審議事項、報告事項がそれぞれ2件ずつあります。初めに、審議事項の議題1、「第十七改正日本薬局方()について」です。本改正は、薬事分科会における確認事項に基づき、日本薬局方部会での審議結果を踏まえて、薬事分科会にて審議を行うこととなっています。初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたします。先ず、日本薬局方部会長の私から説明させていただきます。

 本件は、平成27年8月10日に、日本薬局方部会を開催し、第十七改正日本薬局方原案について審議をした結果をお諮りするものです。今回の改正については、平成23年9月に、日本薬局方部会において審議した結果を基に、日本薬局方作成基本方針が取りまとめられています。この基本方針において、日本薬局方作成の5本の柱として、 . 療上重要な医薬品の全面的収載、 . の学問・技術の積極的導入による質的向上、 . 化の推進、 . に応じた速やかな部分改正及び行政によるその円滑な運用、 . 薬局方改正過程における透明性の確保及び日本薬局方の普及を掲げています。今回の第十七改正日本薬局方の案は、この基本方針を踏まえて作成されたものです。

 今回の改正を要約すると、国際調和等の観点に基づく通則の見直し、生薬総則への品目追加、製剤総則の改正を行うのが主要な点になります。さらに製剤総則では、新たに製剤包装通則を設け、その一般的原則・考え方を示しています。また、医薬品各条では、今回の改正を踏まえ、局方収載数は合計で1,962品目となっています。その他にも、最新の科学的知見を踏まえ、新たな一般試験法の追加や、既存の一般試験法の改正も行っています。先日の日本薬局方部会において、本原案により、日本薬局方を改正することが適当であるという結論に達しましたので、本日この分科会にその旨を御報告させていただきます。詳細については、事務局から追加の説明をお願いします。

○事務局 資料1のほか、資料1-1から資料1-8として、局方原案の冊子の形でお配りしています。資料1「第十七改正日本薬局方()について」の1ページを御覧ください。日本薬局方は、医薬品の性状及び品質の適正を図るために作成されている規格基準書です。近年、日本薬局方の改正は5年ごとに全面的な改正を行っています。1ページの中ほどから改正履歴を示しています。初版は明治19年に公示をされ、その後、改正を重ねています。2ページですが、直近の全面改正は平成23年の第十六改正日本薬局方です。今回は5年ごとの全面改正に当たり、第十七改正日本薬局方となります。

 5ページから概要の説明をさせていただきます。第十七改正においては、医薬品医療機器総合機構の日局の原案審議委員会において、近年の医薬品流通の国際化、品質管理の多様化を踏まえた対応について議論が行われました。それに基づいて、日本薬局方部会において御審議を頂きました。

 概要ですが、()通則の . 12 で、「製造要件」という項を新たに定めました。医薬品の中で、最終製品の出荷規格のみならず、中間体や製造工程における管理の重要度が高い品目があり、品質管理の進歩に伴い、こうした品目の収載が見込まれます。このため、新たに「製造要件」の項を設け、各条における記載箇所を定めたものです。

 2.34は、医薬品の残留溶媒ガイドラインICH-Q3Cに関し、日局収載品に適用するものです。日局収載品での残留溶媒の管理をより明確化できるよう、通則における一律の規定を行うものです。

 4.40は、注射剤などの無菌医薬品について、製造工程も含め、用語を明確化するために、新たに定めたものです。通則の関係は以上です。

 次の主な改正のポイントとして、5ページの()製剤総則です。近年、新技術の導入による医薬品の容器・包装の進歩が著しいことを踏まえ、日本薬局方においてその一般的原則を明示するとともに、関連情報を充実させることが必要ということで、今回の改正において、製剤総則に、「製剤包装通則」という項目を新たに設けました。こちらにおいて、一般的な原則や考え方も取りまとめています。なお、当該製剤包装通則が収載された場合であっても、医薬品医療機器法上の法定表示の対象物は従前のとおりです。

 6ページの()は一般試験法についてです。今般の改正において、新規に .マル5 試験法等5項目が新たに収載されています。6ページの下からですが、一般試験法の改正ということで18項目が改正されています。7ページでは、1項目を削除しました。

 8ページの()は医薬品各条です。この医薬品各条では、個々の医薬品の原薬や製剤の規格を規定しています。今回、新規収載品目として76品目を収載することを予定しています。76品目の内訳は、化学薬品50品目、抗生物質9品目、生物薬品4品目、添加物3品目、生薬等が10品目です。今般の改正において、承認整理等に伴う削除の10品目も踏まえ、局方収載数は合計で1,962品目となります。

 その他8ページの下の方で、各条横断的改正ということで、製剤均一性、通則34の残留溶媒の関係での記載整備等を行っています。以上が、第十七改正日本薬局方の改正案の主なポイントです。

 A4横の資料、「薬事分科会 議題概要【公開案件】」を御覧ください。8月10日の日本薬局方部会における議事・意見等の概要を御紹介しています。通則34の残留溶媒の管理の適用についてです。よりリスクの高いクラス1溶媒から適用し、次の改正である十七局第一追補の公布時点において、クラス2、クラス3の溶媒について適用する予定であるという議論がありました。

 微生物迅速法の項目名について、分かりにくいのではないかという御意見に関しては、「微生物迅速試験法」という形での修正を予定しています。

 最後に、日本薬局方は「学問・技術の進歩に応じて、我が国の医薬品の品質を適正に確保するために必要な規格・基準及び標準的試験法等を示す公的な規範書」である。この基本的な理念を改めて認識すべきであるという御意見を頂きました。基本的な理念については、今後の第十八改正等も含め、引き続き留意していきたいと考えています。説明は以上です。

○橋田分科会長 机上に薬局方改正案が積み上げられていますけれども、原稿にすると非常に大部なものです。これについて、今からいろいろ御議論いただければと思います。今回の改正の作成に当たっては、川西委員に中心的な役割を担っていただいておりましたので、川西先生から少し補足といいますか、追加を頂けますか。

○川西委員 局方の改正原案の審議というのは、PMDAにある、局方の改正原案審議委員会で、相当の数の議論をしながらやっています。それの総合的な調整をする総合委員会の取りまとめを私がやっているということがあり、橋田先生からそのように御紹介いただいたということかと思います。今回の第十七改正について最も大きな改正ポイントは以下のとおりです。

日本薬局方というのは基本的に、規格及び試験法を中心とした規格基準書です。

 一方で、ICH等々で新薬で行われている品質管理の方法というのは、最終の出荷規格で品質確保ということもありますけれども、同時に製造工程中で試験をやる場合もあります。それから製造方法、例えば化学反応の温度だとか、製造の反応の条件を縛るということを、相互補完的にやりながら品質確保をするという考え方が、新薬の方では主流になっています。さらに、最近になって新薬では次第に最終規格、出荷規格より、製造工程中での品質管理が重きをなすようになっています。

 そういう時代の中で、局方は最終規格を中心とした規格基準書であるということではありながら、これからそういう医薬品が局方にどんどん収載されていくことがありますので、その辺りの齟齬がないように、極力それをうまく取り込めるようにということで、先ほど説明がありました「製造要件」の項とか、「意図的な混入有害物質」の項を設けたことも、そういう意味があります。残留溶媒に関しても、同様の側面があって、ICH基準を、局方の医薬品に適用していく流れの中で改正したことです。ただ、製造要件や意図的混入有害物質はまだ各条に反映されてはいないのです。とにかく枠組みを準備して、これから各条に収載するのは、そういう方針でやっていく各条がどんどん増えていくことになろうかと思います。

 もう一つ、先ほど説明のありましたように、今度は医薬品製剤の容器・包装の関係に大幅に手を入れました。これは第十六改正のときに、製剤総則を50年ぶりに大きく手を入れましたが、その延長線です。局方製剤では、従前ではそれぞれ製剤設計が違うものでも一律に規定していました。しかし例えば密封容器ですが、ある有効成分の製剤は密封容器を使うべきということは、必ずしも合理的ではない。日局十七では、医薬品各条に示された容器・包装は必須要件にしないで、それぞれ個別の製品の容器・包装については審査の段階で確認いただいて、局方各条では標準となるような規格を示すとともに、参考情報として詳細に容器・包装に関する事項を、言葉の定義なり、どういう試験をすべきだということをまとめたことになろうかと思います。

 一番大きな改正のポイントはそのようなところですが、細かなところは非常に多くの改正点がありますので、これはちょっと分からないということがあれば、質問していただければと思います。

○橋田分科会長 5年に1度の大改正ですけれども、その改正の内容と背景についての御説明を頂きました。委員の先生方から御質問、御意見等をお願いいたします。医薬品全般に関わる規格・基準書ですので、これまでの歴史をずっと踏まえてということではありますけれども、新しい方向性もいろいろ盛り込んでいただいています。

○板倉委員 削除品目が幾つか挙がっていますけれども、これは使用実態がないということで考えればいいのでしょうか。

○川西委員 そういう理解でよろしいかと思います。

○橋田分科会長 ほかにはよろしいですか。よろしいようでしたら議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科会として、本改正について適当であると認める旨、議決をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。御異議なしということにさせていただきます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申させていただきます。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任いただくことでよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。

 議題2は、「動物用抗生物質医薬品基準の廃止について」です。本件は、「薬事分科会における確認事項」に基づき、動物用医薬品等部会での審議結果を踏まえて、薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をすることにさせていただきます。

 動物用医薬品等部会長の下田委員から御説明をお願いします。

○下田委員 動物用医薬品等部会における審議について御説明いたします。動物用医薬品等部会においては、事務局から動物用抗生物質医薬品基準に係る現行制度及び廃止に至る理由等について説明があり、廃止した場合でも、動物用抗生物質医薬品の品質確保等に支障が生ずること等はないということで、動物用抗生物質医薬品基準の廃止について了承いたしました。

○橋田分科会長 事務局から追加してください。

○事務局(農水省) 農林水産省から、資料2を用いて、本件について補足の説明をさせていただきます。資料2の1の「現行制度」を御覧ください。動物用医薬品のうち、抗生物質を含有する製剤については、保健衛生上特別の注意を要するものとして、医薬品・医療機器法第83条第1項の規定により読み替えて適用される法第42条第1項の規定に基づき、動物用抗生物質医薬品基準において、その製法、性状、品質等に関する基準が設けられています。

 今般の廃止の理由については、2の「廃止の理由」を御覧ください。一つ目の理由が()動物用抗生物質医薬品は製造工程に微生物の培養が含まれており、かつては品質の確保が難しいとされていましたが、製造・精製技術の進歩により、純度の高い抗生物質の製造が既に可能となっています。

 二つ目の理由は、抗生物質を含む動物用医薬品については、製造販売承認事項として製剤の規格及び検査方法が定められています。さらに、製造段階の品質については、平成3年に導入されたGMP、平成17年に導入されたGQPに基づき、製造段階から出荷までを管理する体制下において十分に管理されています。

 三つ目の理由は、このような品質管理の結果、近年、不良な抗生物質医薬品の流通の事例もないことから、動物用抗生物質医薬品をその他の化学合成による動物用医薬品と区別し、保健衛生上特別の注意を要するものとして、本告示を維持する意義が極めて乏しくなってきています。このような理由をもって、本告示を廃止することとさせていただきたいと考えています。

 なお、本案については、先ほど御説明がありましたとおり、本年9月2日に開催された動物用医薬品等部会において御審議いただきました。特段の御意見等はなく御了承いただき、本日御審議いただくことになっています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○橋田分科会長 動物用抗生物質医薬品基準という告示ですが、これを今回廃止するという提案です。委員の先生方から御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○板倉委員 基準がなくなった場合に、基準で規制されていない悪い品質のものが流通しないようにするための方策について教えてください。

○事務局(農水省) 動物用医薬品については、個々の医薬品ごとに製造販売承認が必要となっています。医薬品・医療機器法に基づき、動物用医薬品については、原則として、製造業者又は製造販売業者でなければ、動物用医薬品の製造及び輸入が禁止されています。販売段階についても、販売業者でなければ販売できません。さらに、動物用抗生物質医薬品は要指示医薬品に指定されており、獣医師等の処方箋・指示を受けた者以外の者に対して販売等は禁止されておりますので、このような販売流通のシステムの下で、適切な医薬品が流通することを担保しています。

○板倉委員 最近、いろいろなもので直接外国から購入する方法が採られるようになっていたものですから、こういうものについてどの程度の規制ができるかが心配になっていました。

○事務局(農水省) 個人で輸入されるものについては、輸入確認という制度を農林水産省で実施しており、成分等をチェックした上で、確認が済んだものは輸入できます。ただし、家畜等に使う場合については、獣医師等でなければならないとか、獣医師の指示を持っていないと要指示医薬品の輸入は認めない等の規定を設けています。

○橋田分科会長 ほかにはよろしいですか。よろしいようでしたら議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科会としても、廃止について適当であると認める旨を議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。御異議なしということですので、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、農林水産大臣に答申することとさせていただきます。

 答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任いただくことでよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。

 続いて、報告事項です。報告事項の議題3「医療用医薬品の先駆け審査指定制度について」に移ります。事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料3です。報告事項の議題3「医療用医薬品の先駆け審査指定制度について」、審査管理課より御説明いたします。制度の進め方については、本年3月30日に行われました薬事分科会の際に報告させていただいておりますが、約半年が経過しまして、最初の対象品目の指定を行う時期も近づいてまいりましたので、これまでの運用状況と今後のスケジュールについて御報告したいと考えております。

 まず、順番が前後して申し訳ありませんが、資料3の2枚目、右下に2と書かれたスライドです。先駆け審査指定制度については、平成26年6月に取りまとめられました「先駆けパッケージ戦略」の重点施策に位置付けられているものです。

 次のスライド3です。一番上の黒枠内にありますとおり、「先駆け審査指定制度」は、世界に先駆けて、革新的医薬品等を日本で早期に実用化するため、日本での開発を促進することを目的としており、この制度の対象品目として指定された場合には、スライドの真ん中付近、例えば3.ますとおり、優先審査扱いとして、総審査期間の目標値を6か月にするほか、4.りますとおり、承認までに必要な工程の総括管理を行う審査パートナーを設けることなどの特典を受けることができることになっております。

 実際の指定手続については、3枚目の裏側、右下に8と書かれた指定手続のスライドを御覧ください。本年3月30日には、こちらに記載のスライドに従って進めさせていただく旨、御報告しておりますが、ステップ1に記載のとおり、本年度は試行的運用として、公募形式で実施させていただいており、運用方法については、年度始めの4月1日に通知を発出して定めさせていただいております。その後、ステップ2のヒアリング、ステップ3の評価と順位付けの後、ステップ4の指定と分科会報告に進んでまいります。

 1枚目に戻ります。現在までの進捗状況ですが、4月1日の運用方法の決定の後、1か月の周知期間を置いて、5月中で企業からの指定品目の登録申込み。こちらについては、2.の()にありますとおり、全部で56品目の登録がありました。こちらの品目については、6月の半ばから品目ごとにヒアリングを行い、予備的審査を経て、8月7日から21日にかけて正式な指定申請を受け付けております。正式に指定申請された品目は、2.の()にありますとおり51品目となっております。現在、指定された品目について評価と順位付けを行っております。

 今後の予定については、資料1枚目の3.に記載しております。資料2枚目の裏、右下に3と書かれた資料の指定手続の所にありますとおり、審査管理課に申請してから60日で指定をすることとなっており、正式な指定申請を8月21日まで受け付けておりますので、対象品目の指定は1枚目の3.にありますが、1020日前後に行う予定としております。

 指定の細部の進め方としては、4月1日の通知では対象品目の指定を行い、次に、薬事分科会に報告した上で公表することになっております。薬事分科会は通例3か月ごとに開催しておりますので、次の開催は12月頃が見込まれますが、一方で、本先駆け審査指定制度の対象品目の指定は1020日前後に行うこととなり、12月が見込まれる薬事分科会を待って指定品目を公表しますと、公表が2か月程度遅れることになりますので、資料1枚目にありますとおり、指定後、分科会委員の先生方に速やかにメール等で送付させていただき、その後で10月中をめどに、指定結果をHPに掲載することを想定しており、それにより公表させていただきたく、さらに、正式には12月の薬事分科会で報告させていただくという形式を取る形で進めさせていただきたいと考えておりますので、今回、御報告させていただきます。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○橋田分科会長 医療用医薬品の先駆け審査指定制度ですが、制度そのものについては、以前のこの分科会で御報告いただきましたが、実際に運用が始まったということです。何か御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

○倉根委員 先ほど御説明の中で、順位付けという言葉をおっしゃったのですが、この仕組みは、絶対評価でやるものなのですか、それとも、ある順位を決めて、上位をするということでしょうか。先ほど御説明の中でその言葉があったので、伺いたいと思いました。

○事務局 御指摘ありがとうございます。お答えとしては後者になると思います。基本的には、通知の中で、特に優れているものと判定されたものを選定するという形になっていますので、指定の4要件自体は、今回の資料でいくと3枚目の上です。指定基準として、右下に5と書かれていますが、指定基準が四つ並んでいます。そちらに基づいて基準は選んでいくのですが、これに合致したからといって、速やかにそれで指定になるわけではなくて、実際にPMDAの審査もありまして、そちらの通常品目、優先品目の審査の障害にならないように、こちらも指定していかないといけないというところもありますので、結局、結論としましては、特に優れたものを指定していくという形になっていくと考えています。

○川西委員 この制度についての確認です。再生医療の場合は、旧薬事法から薬機法に至って、再生医療に関しては、最終的に安全性がまず担保されているということで、臨床の有効性に関しては、いわゆる仮免状態でとにかく承認するようなアプローチも取り入れます、ということだったかと理解しているのですが、この先駆け審査指定制度でやろうとしていることは、例えばオーファンドラッグ等々の場合は、そういうような形もあり得るということでしょうか。それとも、審査基準そのものはほかのものと変わるものではないという意味合いでしょうか。その辺りを確認させていただければと思います。

○審査管理課長 大変大事なポイントかと思います。ただ、審査の指定という段階は、これから申請が出てくるという状況ですので、審査そのものの基準をここで決めているわけではなくて、もう少しその前の段階というか、できるだけ早い段階で、優れた画期的な製品について目星を付けるというようなことをしているものですから、審査の基準をここで縛ろうとすることではありません。ただ、考え方の発想の近いところが、確かに今、先生がおっしゃった再生医療製品で考えられているような、やはり有効性を推定するという考え方が、レギュラトリーサイエンスに基づいて、そういう妥当な推測をし、それが本当にそうであるかを検証していくというプロセスを、やはり前提にしているということではあると思います。ただ、今の段階で、審査の基準を縛ることには決してなりませんし、指定をしたものについて、期待どおりの素晴らしい臨床効果が出てくれば、それに基づいて審査をするし、それが期待に外れている場合は、そもそも指定を外すということも予定していますので、一応、その関係は今のようなことで考えております。

○川西委員 ありがとうございます。

○板倉委員 この件について、指定結果については薬事分科会委員にはメール等で送付と書いてありますが、その場合に、結果の中身はどういうものになるのでしょうか。というか、品目だけ教えていただいても、私の場合は特に素人ですので判断ができません。

 それとの関係もあると思うのですが、指定対象品目を公表した場合に、どういう理由で選ばれたのか、落ちたものがどういう理由で落ちたのかについて、ある程度は明快になるのでしょうか。この制度自体が1回ポッキリのものかどうかというのも分かりませんが、51品目を全部やることはできないと思いますので、中立性を担保するとか、反論の機会を与えるとか、ある程度の情報の開示は必要なのではないかと思うのですが、いかがですか。

○審査管理課長 今回指定の対象としようとしているものは、まだ開発の途中にある製品です。そういう意味では、各開発している企業側にとって非常に機密性の高い部分もありますし、現状でどんなものが応募があったのかというのは、一切、対外的には申し上げていないという状況にあります。

 申請があって、という段階以降になると、通常、開発している企業は、申請を出しましたということを自ら発表することが最近は多くなっていますが、最終的にどんなものでありますかということは、審査が終わった段階に初めて、こういうものです、こういうデータでしたというようなことが対外的には明らかになるというのが、新医薬品の一般的な情報の発表のされ方になっていると思います。

 そういうことで言いますと、まだ申請前の段階のものを、指定しましたということでやるものですから、あまり詳しい内容をそこで公表するということは限度があると思いますが、何が良くてこの薬が先駆けの指定になったのかということが、やはり分からないと納得感もないということはおっしゃるとおりですので、できるだけ分かりやすく、こういうメカニズムの、こういう病気に、こういう効果を期待するお薬ですといった内容を簡潔に示した内容になるものと、今、考えております。ただし、残念ながら落選しましたという方になりますと、これを個々の企業には、こういった理由でということを、当然、説明はすることになりますが、それを世間に出すということは差し控えたいと考えております。

 公平性という点では、指定の基準を、今、公表しておりますので、この基準に照らして、採用できる、できないというのがまずやられているのだということは、御覧いただいてお分かりいただけるのではないかと思っておりますので、開発途上のものについて、こういう形で指定するというところの少し難しさがあるということは、御理解いただければと思っております。

 ちなみに、このような制度の似たものというか、先行事例として、アメリカのFDAが2012年から始めていますブレイクスルー・セラピー指定制度という、画期的治療を指定する制度を米国でもやっておりまして、やはりそちらで行われているような情報の出し方が参考になるのではないかと私どもは思っております。

○橋田分科会長 ありがとうございました。指定の公表に関しましては、いろいろデリケートなところもあるかと思いますが、ただ今のような方針で公表されるということです。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、本件について御確認を頂いたものとさせていただきます。

 続いて、議題4「人道的見地からの治験への参加について」について、事務局より御説明をお願いいたします。

○審査管理課長 審査管理課長でございます。冒頭ちょっと私の方から御説明させていただきたく、よろしくお願いいたします。この人道的見地からの治験参加という取扱いについては、昨年の12月の当分科会において、基本的な考え方ということで御紹介させていただき、御確認いただいたという経緯があります。当日配布ということで資料29-4をお配りしていますが、これが昨年の1218日の分科会で御説明した際の資料です。併せて、当日配布資料として資料29-3をお配りしております。これは「患者申出療養について」という8月26日に開催されました中医協総会での資料です。今国会で先立って成立した国民健康保険法の改正の中に、患者申出療療制度というものが含まれており、これが来年4月から施行になる予定になっており、これにより、まだ承認の前の段階のものであっても、患者さんたちが、どうしてもこのお薬を使いたいという切なる希望に応えていくような新しい仕組みを作ろうということで準備が進められているものです。

 それは、未承認のものについての取扱いという中で考えますと、幸いにもというか、治験をやっていて、開始中、実用化の道筋が見えているというようなものも中には含まれていて、そういうものについては、もう既に治験をやっているものですから、その治験の中に、できるだけ患者さんが参加できるように、あるいは、その治験の仕組みをもう少し工夫することで、患者さんが参加できるようにという、こちらの薬機法の制度の治験の中でも、できるだけ速やかに対応を用意した方がいいという発想から作り上げてきているものを、「人道的見地からの治験参加」という呼び方で、昨年の12月にこの分科会で御紹介させていただいたものです。

 どうしても、法制度が違うところで、それぞれの制度の中での工夫をするということがあるものですから、呼び名が少し違っていたりして、患者さんにとってなかなか分かりにくいという御意見も随分頂いており、今後、来年4月に、患者申出療養の制度がスタートするところに向けて、関係する部局がよく連携を取って、制度のそれぞれの仕立てをよく連携させながら、患者さん側から見て、あるいは、その患者さんの相談を受けておられるかかりつけのお医者さんから見て、分かりやすいガイドができるように、そういう運用をしたいと考えております。

 そうした視点も踏まえて、関係する団体や業界それぞれと、細部にわたる調整をここまでやってまいりました。その結果として、今般、この治験の方の制度の工夫というので作り込みが大分出来ましたので、その内容について、本日、更に御説明を差し上げたいということで御用意してまいりました。資料29-1と資料29-2の二つの資料で、その内容を御説明しております。ここからは担当から詳しく御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局 資料29-2です。こちらに制度の骨子()という形で、詳細に制度設計について御紹介しております。まず、 . 度の対象範囲」 . 的位置付けと取扱い」という所がありますが、先ほど来お話がありますが、薬機法上の治験として、もう一つ治験をやっていただくという位置付けで、法律上は治験の枠組みの中でやっていただくということです。

 また、人道的見地から実施されるということですので、通常、治験というのは有効性の検証を行ったり、安全性の確認を行う意味で、二重盲検等、プラセボ群間比較試験をやることも多いのですが、こちらの主たる目的が、申請資料に必ずしも必須とされるべきものではない追加的に行われる治験として、安全性を重視、主眼に置いた試験設計ということで、全員実薬で、プラセボ群を置かない設計という形で考えております。

 制度の対象範囲なのですが、国内の開発の最終段階、効能・効果、適応症がある程度分かってきている、用法・用量もほぼ決まっている、あとは有効性の検証の試験が終われば申請できるという状況になったときに、その主たる治験、検証的治験の実施後、これは一つ目のポツですが、あるいは組入れが終わったところ、患者さん全て治験に組み入れられて、あとはその結果を待つだけという状況になったときに、こういったものをやってはどうかと。現在の法律では、未承認薬は承認後でないと、当然ながら患者さんはお使いになることはできません。ただ実際には、未承認薬での治療の機会は、この治験だけが唯一開かれた道ということですので、検証的試験が終わると、その後、試験データをまとめて申請、承認までの間は、実は新たな患者さんは治療機会がないということになっていますので、そこの部分を埋める形での治験をもう1本するというイメージが、一番イメージに近いかと思います。

 ただ、こうしますと、一体どこで、どの企業が、どういう検証的試験をやっているかはなかなか分からないということで、現時点でもそういった治験の情報は出ていないのですが、下の段を見ていただくと、今回の制度運用に際しまして、この検証的試験が国内で実施されている場合には、それを公開していこうと。治験届という形で、全て国内での治験はPMDAに届け出ることが法定されているわけですが、そのうち検証的試験、申請書用はこれで終わりというような試験については、この実施主体である企業名や成分記号、適応症といったものを公開することによって、患者さんが今、最終段階の開発段階にある薬がどういうものなのか、どの企業がやっているのかが分かるようになる。それによって、治験への参加も促進されますし、そこでどうしても入れなかった患者さんについての、当該制度における人道的見地からの治験への参加の議論が始まろうかというような設計で考えております。

 次のページです。上段が3.章篇になっており、下の段がイメージ図ですので、同じものを表していますが、図の方が分かりやすいと思いますので、下の図で御説明いたします。まず左上に「主たる治験情報をHPに掲載」とあります。こちらが検証試験として国内でやられている情報を公的HPに公開するということに該当します。こちらはどなたでも御覧になることができますので、患者さん、主治医の方からも、最新の情報として国内での検証的試験の実施状況を見ることができます。そうすることにより、実施企業に自分が参加できるかという問合せができることになり、主たる治験、検証試験の実施医療機関の治験責任医師と症例についての詳しい御相談をいただければ、検証試験に直接参加する可能性が一気に上がるということで、これまでの状況よりもはるかに未承認薬へのアクセスの機会が広がろうかと考えております。

 また、患者さんの状況によりましては、治験に参加いただけないような状況の方もいらっしゃいますし、治験のデザインでは組み入れられないこともあろうかと思います。そのような場合には、継続して現治療を続けられる場合もありますし、人道的見地からの治験を御要望いただくこともあろうかと思います。その場合、企業の方で既に用意していれば、人道的見地からの治験に参加いただけると思いますが、不幸にして難しいという御回答を頂くこともあろうかと思います。ここまでが下のページの水色の部分のスキームです。1番から5番までのスキームです。ここまでが、類似の制度を持っている欧米の、いわゆるコンパッショネットユース制度の概要になります。

 我が国においては、更に日本独自の付加的な枠組みとして、人道的見地からの治験ができないというような理由の中には、治験薬の余りがないとか、ベンチャー企業で新薬を開発していて資金がないというようなこともありますので、そういうときにはさすがに、やりなさいと言うことはできないのですが、制度に該当していないのではないかというような御見解については、厚生労働省の方で検討会を設置して、その中で、この制度趣旨に該当しているかどうかの評価を第三者機関として行って、もし該当している場合であれば、企業の方に人道的見地からの治験を実施していただけないかというような要請を掛けてはどうかと考えております。

 次のページで、上段5番の4.験実施計画書」です。治験実施計画書、いわゆるプロトコールでは、その治験をどういう計画でやるかというものを書いておりますが、基本的には先行実施している検証的試験のプロトコールを各社持っていますので、この試験のプロトコールのうち、患者さんの安全性確保を主眼に置いた試験設計にするということで実施していただければよいかと思っております。

 対象患者には大きく分けて2種類存在すると考えております。一つは、検証的試験の組入れ患者、組み入れられる患者なのですが、時期的に入れなかった、あるいはその他の理由で組み入れられなかった組入れ患者相当の患者さん。あるいは、検証的試験に参加基準ではじかれてしまう、例えば年齢が御高齢であるとか、臨床検査値異常であるとか、BMI等の理由で治験の組入れ基準に該当しなかったような患者さんについては、安全性の観点から、これではちょっと危ないですという方は除いて、許容できる範囲内で拡大したプロトコールを作成いただき、その時点で御参加いただくことを想定しております。

 また、検証的試験については有効性の検証が主な目的になりますので、いろいろな試験検査が入ってきますが、人道的見地からの治験については、患者さんの安全性を見る、また、安全性を確保することが主眼になりますので、有効性検証のために必要となるような煩雑な試験項目等は削除した、安全性主眼の試験設計ということを想定しております。

 また、四つ目のポツですが、人道的見地からの治験は、通常は御要請を頂いてから企業の方で実施の是非、プロトコールの内容を検討し始める状況になりますが、海外で類似の制度で既におやりになっている、あるいは当然ながら国内では存在しなくて、非常に死亡重篤で他の方法がないような場合については、最初からそういうプロトコールを作っていただいてはどうかということをお願いしていきたいと思います。

 イメージでいくと、下の図に左と右で比較図を描いておりますが、実際に矢印の部分だけがスピードが変わろうかと。通常は、御要請を頂いてから検討し、プロトコールの作成に入り、該当している場合には人道的見地からの治験を実施するというスキームになろうかと思いますが、事前にそういったプロトコール等を御準備いただいた場合には、先行する検証的試験に影響がないような状態になったら速やかに開始に移れますので、比較的早く、実行上、担保できるのではないかということを考えております。

 7ページの5.です。験実施機関ですが、実際には先行している治験と同じ機関を想定しております。これについては、治験の実施には多大な経費が掛かりますし、IRBを通したり、その関係の医師等に実際のプロトコールの説明や医薬品についての副作用情報といったものを全て御提供して、慣れていただくことも必要になりますが、リスク管理の観点や効率化のこと、あるいは迅速に実施することを考えますと、既に実施してお慣れになられている検証的試験と同じ施設でやるのが適当だろうと考えております。

 また、通常の治験では、基本的には治験依頼者、企業の方が全額負担することが通常ですが、今回のように人道的見地から患者のために実施する場合においては、患者にその治験薬等の費用を転嫁することも論理的には認めるという設計にしております。ただ、海外での実行例を聞いてみますと、アメリカでは90%以上が無料でやっていると聞いておりますので、ほとんどのケースは、恐らく患者さんに経費の負担をお願いすることはないのかもしれませんが、設計上は患者負担もあり得るということで、12月にも御紹介したとおりです。

 下の段です。期間と補償等についてです。実施期間については薬機法上の治験と位置付けておりますので、承認した段階で基本的には終了します。また、不承認ということが万が一あった場合には、もちろんそこで終了です。また、承認申請が取り下げられたり、開発が中止、不幸にして有効性が認められなかった、その他危険性が有効性をしのいでしまったような場合には、その時点で終了という原理原則が適用されると考えております。

 ただし、二つ目のポツですが、新薬の場合、承認を取られても薬価収載までの間が実際には流通しないという現状がありますので、その場合については、承認後は製造販売後臨床試験に切り換えて、その期間も運用できるようなことも考えていきたいと考えております。

 負担軽減費と補償についてです。負担軽減費とは主に謝金や交通費のことですが、こちらについては受益者負担の原則に立って、企業が払うという場合は結構なのですが、原則としては支給しない設計と。ただ、補償については、GCPにも規定がありますように、最低限の補償は義務付けられておりますので、必ず何らかの補償はすると。ただ、補償について多大なものを要求されますと、より高いリスクの患者さんも組み入れられていくことも考えますと、あまりそこのハードルを上げすぎると企業の方が、こういった制度における追加治験を実施してくれなくなってしまうというリスクもありますので、その辺りについては検討が必要だと考えております。

 次のページです。申請時での取扱いですが、治験である以上、また、組入れ患者はリスクの高い患者も入ってくることがあります。そういった患者さんの状態についても、承認審査には非常に重要な情報になりますので、審査の過程ではその部分も評価していく。ただ、頻回の集計等を伴うと申請者の多大な負担になりますので、そこについては、できるだけ過度な負担にならないような工夫が必要だと考えております。

 最後に、拡大治験、人道的見地からの治験参加の規制緩和ですが、こういった観点で追加的に実施していただく治験については、通常の治験の基準と同じものを適用すると非常に厳しい負担になりますので、表示の規定の減免や、被覆の義務といった義務を、一部軽減してはどうかと考えております。こちらについては、資料29-1で御説明いたします。

 資料29-1は「GCPの一部改正に関する意見募集」という資料です。今、御説明しました人道的見地からの治験については、通常の治験に比べて、企業に患者さんのためにやっていただくという側面がありますので、通常の治験よりは負担が小さくなるような規制緩和ができる部分を、この省令、医薬品の臨床試験の実施基準の一部を減免するという案について意見を公募する形になっています。省令ですので、強制基準ですので、改正前に事前にパブリックコメントの手続を踏むということです。

 具体的な案については2枚目の別添を御覧ください。8項目あります。1.が人道的見地からの治験を省令に位置付けるということになります。2.から4.までが、企業における治験における規制緩和の要点です。基本的には2.と3.は表示規定の減免になります。表示しなければいけないものを、一部、表示しなくてもいいと。あるいは、表示を消さなければいけない所も、必ずしも消さなくてもいいと。4.については、実際に治験用に転用する場合について、全部、企業の方で提供しなければいけないというのではなくて、市場流通品を転用することによって、負担の軽減も可能性として視野に入れたいというものになります。5.から7.は、それが全て医師指導治験でやられた場合、企業が治験を依頼する場合に対応する、医師自らが治験をやる場合についても、同じような規定を5.から7.で引用していますので、そちらについての緩和を検討しているものになります。8.については、この人道的見地からの治験については、一部、費用負担を患者にお願いしますので、そこの負担を求める場合には必ず、説明同意文書に、その部分の額と、負担についての説明文書を付けることを義務付けるためにも明文化するということも改正したいと考えております。この資料の二つをもってパブリックコメントをして、意見を募っていきたいと考えております。事務局の説明は以上です。

○橋田分科会長 人道的見地からの治験という新しい制度についての御説明でした。それでは、御質問等がありましたらお願いいたします。

○吉田委員 この制度は、医者がヒポクラテスで、患者がソクラテスだったら、すごくうまくいくと思います。というのは、治験というのは受ける患者さんはリスクとベネフィットをシェアしているのですが、この制度ではベネフィットだけを食い逃げする可能性もあるのではないかと思います。たとえば、マスコミが週刊誌やテレビで、「上手な治験薬の使い方」という格好で流布されてしまうと、本来の治験に入るよりは、こちらの方が安心だという話にもなりかねません。この辺の押さえをどうしておくかということを考えておかれた方がいいのではないかということが1点です。そういった意味で、患者さんに対する負担を求めるのは当然だと私も思うのですが、あまりにも人道的でありすぎると、治験には参加せず、治験が終わりそうな所を探し回るというようなことになってしまうと、治験そのものの体制が壊れるというリスクを感じるのですが、いかがでしょうか。

○事務局 御指摘ありがとうございます。先生が御指摘のとおり、海外で既に類似の制度が走っておりますが、どの規制当局も同じことで悩んでおります。資料No.29-2 . ポツ目が正にそのことでして、どこの国のこういったコンパッショネートユース制度も、先行している開発に悪い影響を及ぼしてはいけないということが明記されています。

 それは先生の御指摘のように、検証試験においては、当然、プラセボ群間比較なので、必ずしも実薬が当たらないということがあり、患者さんからすると、全部実薬が当たりたいという衝動に駆られることが想定されますので、そういう意味では組入れが終了後、あるいは検証試験が実施した後でなければ、このような人道的見地からの治験はしないという国がほとんどで、その考え方を踏襲しており、基本的には多くの患者さんがお待ちになっておりますので、治験の開発に悪影響を及ぼさない形での実施運用ということを基本理念にしたいと思っております。

○審査管理課長 吉田先生の御懸念は非常に深い洞察に基づく御指摘のように私どもは感じておりまして、大変難しいところがあると思います。というのは、この仕組み自体は、今申し上げたように、検証的な試験が終わってからしか店を開けませんよということは、はっきり申し上げているのですが、ただ、全体の仕組みが、こういうやり方があるのだよということ自体を御存知の方がいたら、検証的試験が終わるまで、「その後だったら確実にこの薬を使えるから」と言って、お待ちになってしまうかもしれない。あるいはそういう時期にワッと来られ、検証的試験の方には、半分プラセボが当たるかもしれないとか、ほかの薬剤が当たるかもしれないとか、そういうことがあると嫌だから、確実に使える方の試験に参加しようと言って狙って、そのように公表されると難しいことになるかもしれない、という御懸念かと思います。

 ただ、そこは本当にこれであればという確実な対策があるわけではありませんが、置かれている状況がなかなか厳しい病状の患者さんの薬の場合を想定しているということも一方にはありますので、待っておられるような病状のケースであれば、今のような患者さんの行動も起き得るかなとは思います。

 なるべく早く使いたいという患者さんの希望をかなえていくという点で言いますと、検証的試験が先に走っていれば、そちらにどうぞと、是非、御案内したいということを考えまして、今回治験の、特に検証的試験をやっている段階であれば、組入れされる患者さんの数も割と多いものですから、HPに、このような検証的試験をやっていますということを公開する。これが一歩踏み込んだ対応をやっているわけです。このことによって、この治験がやっているのだったら参加しようと、患者さんたちに考えていただけるようにしているというところも、ある意味、一つの対策かなと思うところです。

 こうしたものを運営していく中で、御懸念の点について注意深く見守りながら、できるだけ実用化が早く達成される、早く患者さんに安心して承認された医薬品で治療を受けていただくことを追求するのが私どもの大事なことだと考えています。

○中川委員 吉田委員の御懸念は、私は違うと思います。こういう治験の溝というか隙間というか、それを埋めるのですから、ここを狙ってということはないですよ。治験をやっていることを知らなかったかかりつけ医がいて、若しくは病状が、対象から外れている患者さんがいて、さらに時期的な問題とか、そういう患者さんに、この新しい薬を使っていただこうといのは素晴らしいシステムだと思います。これが形としては、患者申出療養の一つですから、そういう良い仕組みを作ろうというときに、あまりエリートだけを組み入れるなどというのはよろしくないなと。この薬事分科会としては、できるだけ早く、たくさんの患者さんに使っていただこうと、前向きに結論付ける方がいいのではないかと思います。

○橋田分科会長 ほかにいかがですか。

○吉田委員 私は反対しているわけではなくて、そのようなマスコミの風潮とか世論が出ないように、手を打っておいてくださいと言っただけで、拡大治験が悪いと言っているわけではありません。

 もともとコンパッショネート ユースというのも、例えば治験薬が有効だった人に、治験が終わったから、もう薬はないよというのでは困るので、ずっと続けて使えるようにしましょうというところから、始まっているわけですが、それをどんどん拡大していく中で、本来のある姿からずれたような取られ方をするとまずいので、上手に広報してくださいという意味です。

○中川委員 資料29-2の右下8ページの . の二つ目です。補償については、「通常の治験と同水準の補償を要求した場合、よりリスクの高い患者の組入れ又は多くの患者の組入れによる保険負担の増大等により当該制度の実行性が担保できなくなるおそれがあることから」という記載がありますが、これはちょっと違うのではないかと思います。当然それは、よりリスクの高い患者が入ってくる可能性はあるのですが、これは通常の治験よりも同水準の補償ではなくて、低水準の補償にすることを検討するという意味ですか。

○事務局 こちらについては、決して劣った補償水準にしたいというわけではないのですが、実際にどのぐらいの多くの患者さんを組み入れていくのか、それからまた、どのぐらいリスクの高い患者さんまで入っていくかによっては、御案内のように副作用の発現率あるいはそれに係る相当の補償額が膨れ上がることが懸念されていて、やってみないと分からないところはありますが、補償額があまりにも大きくなると、保険商品がかなり厳しいという話も指摘を頂いていたので、その点について勘案して、個別の事案について、実現可能性の中で考えていくということもあるかという意味です。

○中川委員 やはり低水準にするということを言っているのではありませんか。同水準ではないということを言っているのでしょう。

○事務局 額面でいうと、起こった方については同じ対応をすることになると。

○中川委員 だから、これはここに組み入れるとか、新しく入ることを慎重に審査するわけでしょう。その上で入れるのだから、その上で入れた以上は、同水準の補償をと。やはり担保するべきですよ。後から入れてあげるから同水準ではないというのはおかしいですよ。そもそもこういう人道的見地からの治験参加の数が、それほど多いとは思いませんよ。企業の経営に負担になるような額などというのは、それほどの患者さんは出ないと思いますよ。ですから、この辺の書きぶりは直していただきたいと思います。

○審査管理課長 大変重要なところを御指摘いただいたと思います。私も考えとして、患者さんの補償あるいは副作用が出たときの対応が、差があっていいとは絶対に思っていません。そのことをしっかり明確に分かるように、ここの記載を改めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○橋田分科会長 これからパブリックコメントという段階でもありますが、制度設計もまだ御検討の余地があるということですね。

○吉田委員 今の話にも関係するのですが、結局、拡大治験をやるかやらないかはメーカー側が決めるのですか、それとも全部やらなければいけないという網掛けが入るのですか。どちらなのでしょうか。

○審査管理課長 これが義務でというのは無理がありますので、基本的には企業ができるという範囲で対応することを前提にしています。ただ、非常に画期性の高い薬で、患者さんから欲しいという声が高いと考えられるものについては、あらかじめこういう試験をやることを前提にして考えてくれということも、一方では業界に対して申し上げております。ということで、決して義務ではありませんが、必要とされるようなものについては、なるべくあらかじめプロトコールを用意して、要請があったときに、できるだけ速やかに対応できるようにしておくことが大事ではないかと考えているという状況です。

○中川委員 今の所ですが、資料29-3の9ページ、「患者申出療養の医療のイメージ」の . たるのではありませんか。ですから、その患者さんがやるかどうかは、新しく設置される会議体、若しくは臨床研究中核病院で判断するのです。そうですね、企業が判断するわけではないでしょう。

○審査管理課長 ここは、治験をやるかやらないかということに関する、やれるかやれないか、やるかやらないかという部分は、企業側が判断をするということだと思いますが、それができないときにどうするかという話も含めて、患者申出療養の仕組みの全体像というのは検討されて、中川先生が御指摘のような資料の記載になっていると理解をしています。この辺りはなかなか難しいところがあるかと思いますが、できる限り患者さんの期待に応えられるようにしていくということと、それが、国が関与するような格好で判断されていくというところが、ここに書かれているのだと理解しています。

○橋田分科会長 ほかにいかがですか。これはパブリックコメントがすぐ来るわけですが、おおよそのスケジュールとしては、大体いつ頃から運用されるという予定はありますか。

○事務局 運用開始は今年度中ということですので、年内に手続を終えて、通知なり所定の政省令改正を出しておれば。ただ、データベースなども完備しなければいけませんので、試験情報のHPの整備を終えて、年度内ギリギリにならないと、全ての環境はそろわないかもしれません。年内からその準備を進めて、年度内には運用開始という形で行きたいと思っています。

○橋田分科会長 ありがとうございました。板倉委員どうぞ。

○板倉委員 資料29-2のスライド4ですが、HPに治験情報が掲載されるようになるようですが、ということは逆に言えば、治験の結果として認可されなかったものについても筒抜けになるというわけですか。

○事務局 最終的に治験は当然ながら承認審査の前段階ですので、審査を経て承認されない場合もあり得るという意味では、おっしゃるように、その段階では出てしまっていることにはなります。ただ、その段階においては、まだ審査前ですので、治験実施中の情報として掲示させていただくことを考えています。

○板倉委員 企業の方からすると、出したくないという企業もかなりあるかもしれないと思ったのですが、それは大丈夫なのですか。

○事務局 御指摘のとおりで、そういう理由等が、今まで国内で実施中の治験情報を、開示要望があったにもかかわらず出せなかった一つの原因ではあるのですが、今回のこの制度運用においては、どうしてもこの情報がないと円滑な運用ができないということで、関連業界にも御理解を頂こうと、頂くことになっております。

○板倉委員 実際に今の治験の人集めというのは、スムーズに行われているものなのですか。以前はかなり苦労されている企業が多かったようですが、それは大丈夫ですか。というのは、本当は対象にしたくない所ばかりが増えて、肝心の主たる治験ができないという状況が起きないのか心配になってお尋ねしているのですが。

○事務局 企業の方の現在の治験のやり方ですが、事前にサーチをして、どのような患者がどこにどのぐらいいらっしゃるかを、あらかじめ学会の先生や著名な先生方に御相談をして、実施施設を選定されていると聞いております。また、施設が足りない場合には、多施設共同臨床試験という形でどんどん増やしていって、全体で組入れ症例数が確保できるところを見繕ってやっていると聞いております。

 今回の話になりますと、そういった積極的に来院されている患者数だけではなくて、改めて保養個室中にいらっしゃる患者数も多分足されると思いますので、そういう意味ではトータルでの数は増えるのではないかと。ただ、いらっしゃる患者さん、呼び寄せられた患者さんの中に、主たる治験の組入れ基準に該当する患者が多いかどうかは分かりません。したがって、治験がより加速するかどうかの度合いについては定かではありませんが、今までのような形で常に、可能な患者さんは何人いますよという施設だけに確認するよりは、恐らく集まりは早く、あるいは見掛けの症例数が増えることは推定されております。

○板倉委員 拡大治験の場合にはプラセボの対照がないということですが、それで、ある程度の効果が見込まれたときは追加のデータも含めて、きちんと統計的な処理等をして、効果があるかどうかを判断されるということでよろしいのでしょうか。

○事務局 実際に人道的見地からの治験は、本来なくても申請が成立することを前提にしています。したがって、前相で検証的試験が実施されていると。そこがまずキーになっていますので、有効性かどうかはそこで判断いたします。

○板倉委員 それは分かるのですが、拡大している部分のデータを、もし効果があったときは、せっかくですので企業が使いたいわけですよね。その場合のデータの扱いについてお尋ねしているのです。

○事務局 恐らく気持ちはそのようなことがあろうかと思いますが、技術的に不可能だと想定しております。その理由は二つあって、一つは安全性重視のための試験設計にしていますので、コストカットする観点から有効性の評価指標の検査とか、そういったものを大分落としています。あとはプラセボ群間比較試験のような検証相手がいないので、統計的なエビデンスの高いデータを生み出すことは、設計上不可能であろうと想定しています。

○橋田分科会長 よろしいですか。いろいろ問題はあるということですが、患者さんにとっては新しい治療にアクセスする機会が増えるということで、大事なことだと思っております。

 それでは、御意見を頂きましたので、本件について、御確認いただいたものとさせていただきます。

 以上で公開案件は終了いたしましたので、以後の議題は非公開とさせていただきます。傍聴者の皆様は御退席をお願いいたします。

○橋田分科会長 それでは、再開させていただきます。最初に、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、非公開案件の資料の確認をさせていただきます。先ほど御説明いたしました議事次第、座席表、裏面に委員名簿のほかに、机の中央に「薬事分科会 議題概要【非公開案件】」、資料4~28及び資料30を配布しております。資料30につきましては、説明の順番で資料22の次に置かせていただいております。それから、机の左側に「薬事分科会概要【文書報告分】」及び「文書報告一覧」、資料101120を配布してあります。不足などございましたら、お申し付けいただければと思います。また、説明の途中で不足にお気付きになられましたら、併せてお申し付けいただければと思います。以上です。

○橋田分科会長 こちらも資料がたくさんありますが、よろしいでしょうか。それでは、議事に入らせていただきます。資料4、副作用・感染等被害判定第一部会及び判定第二部会関係について、御説明をお願いいたします。

○事務局 副作用・感染等被害判定結果について、事務局より御説明いたします。資料4の差し替え版を御覧ください。事前にお送りいたしました資料に、判定第一部会と第二部会を混同した表記が4か所ありましたので、訂正して差し替えております。大変申し訳ございませんでした。

 それでは、平成27年6月、7月及び8月に開催された、判定第一部会及び判定第二部会の結果について、御報告いたします。資料をおめくりいただきますと、まず3回分の判定結果をまとめたものをお示しし、3ページ以降に各回の判定結果と、その一覧表を添付しております。

 それでは1ページの「判定結果(まとめ)」に沿って御報告いたします。副作用被害判定につきましては、請求等の内訳に示すとおり、新規376件、継続27件、現況64件、計467件の請求がありました。判定結果は「支給決定することが適当であると考えられるもの」が415件で、その内訳は下の括弧内に示すとおりです。なお、支給となった割合は保留の6件を除く461件に対して90.0%となります。

 2ページの中ほど、「不支給決定することが適当であると考えられるもの」は46件で、その内訳は「疾病、障害又は死亡が医薬品の副作用により発現したとは認められないため、不支給とすることが適当である」が16件などです。感染被害判定については請求はありませんでした。副作用・感染等被害判定結果の報告は以上です。

○橋田分科会長 それでは、副作用・感染等被害判定部会長の飯島先生、ご追加がございましたら、お願いいたします。

○飯島委員 特に追加することはありません。もし質問があればお受けいたします。

○橋田分科会長 それでは、ただ今の報告に対して御質問あるいは御意見等がありましたらお願いいたします。

○板倉委員 先頃から結構問題になっていますが、精神薬の副作用が多くて、実際に厚生労働省から問題があるということで注意喚起などもされたりしていますが、この認定の場合に、例えば個人輸入で利用されたというような場合は、不適切ということで排除することでよろしいのでしょうか。HPを見ましたら、個人輸入でできると大々的に出ている銘柄がありまして、海外のものとメーカーは同じなのですが、そういうことで購入する人がいるということです。しかも医療用の要処方箋医薬か何かだったと思います。それでびっくりしてしまいまして、一応確認させていただきたいと思いました。

○安全対策課長 お答えいたします。特に医療用医薬品のことだと思いますが、これは当然医師の処方に基づいて使うものですので、処方に基づかないで使用されたものについては支給の対象になりません。

○橋田分科会長 よろしいでしょうか。ほかにありませんか。

○飯島委員 今、話題になりましたが、前々回の分科会でラミクタール、ラモトリギンの適正使用の問題で救済されない例が目立ちました。今回総計してみますと、新規症例が29例ありました。そのうち救済対象が22例、不支給が7例ですので、救済率が7割5分を超えるぐらいになってきており、不適正使用が大分減ってきているという印象を受けます。この春のブルーレターの後の事例はまだ出てきていませんが、去年のうちから少しずつ減ってきているという印象を受けますので、これだけは御報告申し上げたいと思います。

○橋田部科会長 有難うございます。ほかによろしいですか。それでは、本件につきましては、御確認を頂いたものとさせていただきます。

 続いて資料5~19の医薬品第一部会及び第二部会関係について説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、医薬品第一部会及び医薬品第二部会関係の内容について、審査管理課より御説明いたします。なお、本日お手元に配布しております資料5~19のほかに、当日配布の「平成27年9月17() 薬事分科会 議題概要【非公開案件】」とされているA4横表も、併せて御覧いただけますと幸いです。この議題概要の内容についても、抜粋して御説明したいと考えております。

 まず、資料5です。ムルプレタ錠3mgは、ルストロンボパグを有効成分とするトロンボポエチン受容体作動薬で、待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善の効能・効果となっております。

 資料6がベンテイビス吸入液10 μ g です。こちらはイロプロストを有効成分とするプロスタグランジンI2誘導体で、肺動脈性肺高血圧症の効能・効果となっております。

 資料7がイフェクサーSRカプセル37.5mg他1規格です。こちらはベンラファキシン塩酸塩を有効成分とするセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬で、鬱病、鬱状態の効能・効果となっております。A4横表1ページの最下段を御覧ください。部会では、本剤のセロトニン作用とノルアドレナリン作用のバランスについて、御質問がありました。本剤は増量することにより、全般改善度の改善が認められた患者が一定数存在している一方で、増量により不眠症状等のノルアドレナリン作用が現れる可能性があるため、添付文書や資材等において、注意喚起を行う旨、回答して御了承いただいております。

 資料8はコパキソン皮下注20mgシリンジです。こちらはグラチラマー酢酸塩を有効成分とする合成ポリペプチド酢酸塩の混合物で、多発性硬化症の再発予防の効能・効果となっております。A4横表の2ページ最上段を御覧ください。部会では、本剤の品質と有効性の関係について御質問がありました。詳細は不明ですが、本薬の構造は4種のアミノ酸が一定の比率で重合した種々の長さの合成ポリペプチド酢酸塩の混合物で、そのうちの一部を欠落させた場合や、ポリペプチド鎖の分子量が小さくなった場合は、有効性が減弱している結果が非臨床で得られており、活性発現には4種類のアミノ酸が、また、ポリペプチド鎖の分子量が一定の範囲内で管理される必要がある旨を回答し、御了承いただいています。

 資料9-1がピートルチュアブル錠250mg他1規格です。こちらはスクロオキシ水酸化鉄を有効成分とするカルシウム非含有リン吸収剤で、透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善の効能・効果となっております。

 資料10がマリゼブ錠12.5mg他1規格です。こちらはオマリグリプチンを有効成分とするDPP-4阻害薬で、2型糖尿病の効能・効果となっております。

 以上、資料5~10までの6品目については、本年8月28日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論を頂いております。

 資料11-1がゼビアックスローション2%です。オゼノキサシンを有効成分とするキノロン系の抗菌薬で、表在性皮膚感染症、ざ瘡に関する効能・効果となっております。

 資料12がスピオルトレスピマット28吸入他1規格です。チオトロピウム臭化物水和物とオロダテロール塩酸塩の二つを有効成分とする、長時間作用型抗コリン薬及び長時間作用性 β 2 遮断薬の吸入用液剤で、慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解に係る効能・効果となっております。

 資料13がカプレルサ錠100mgです。こちらはバンデタニブを有効成分として、血管内皮増殖因子受容体等の複数のキナーゼを阻害する化合物で、根治切除不能な甲状腺髄様癌の効能・効果となっております。

 以上、資料1113までの3品目については、本年8月3日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論を頂いております。

 資料14-1がヨンデリス点滴静注用0.25mg他1規格です。こちらはトラベクテジンを有効成分として、DNAの副溝部分に結合することにより、細胞死及び細胞周期停止を誘導する化合物で、悪性軟部腫瘍の効能・効果となっております。A4横表の4ページ、最上段を御覧ください。部会では、承認時と審査結果において、効能・効果が異なっていることと、悪性軟部腫瘍の組織型別の有効性の確認方法の2点について御質問がありました。まず前者については、承認された際には、審査報告書の4ページにありますように、申請時の効能・効果のとおり、悪性軟部腫瘍のうち、臨床試験時に組み入れられた組織型が全て記載されておりました。しかし審査の結果、この組織型に関しては、効能・効果に関連する使用上の注意の項の2になりますが、臨床試験に組み入れられた組織型以外の患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない旨を注意喚起した上で、効能・効果を悪性軟部腫瘍と設定することは可能と判断したことを御説明しました。また、後者の組織型別の有効性については、市販後の全例調査において情報収集を行うよう、申請者を指導することにしている旨を御説明して御了承いただいております。

 資料15-1がロコアテープです。こちらはエスフルルビプロフェンとハッカ油の二つを有効成分とする非ステロイド性抗炎症薬で、変形性関節症における鎮痛・消炎の効能・効果となっております。A4横表の4ページ、上から2段目を御覧ください。部会では既承認のフルルビプロフェンと比較して組織移行性が高いことが論点となりました。臨床試験の結果からは、本剤を2枚同時に貼付した場合の安全性に特段の問題は認められておらず、フルルビプロフェンの経口投与時と曝露量が同等程度であったことから、本剤は同時に2枚までの貼付であれば問題ないと考えております。なお、用法・用量を厳守するように、添付文書及び資材等で注意喚起を行うこととしております。

 資料16が、ミティキュアダニ舌下錠3,300JAU他1規格です。こちらはコナヒョウヒダニ抽出エキス及びヤケヒョウヒダニ抽出エキスを含有する減感作療法用製剤で、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法の効能・効果となっております。

 資料17がヴィキラックス配合錠です。本剤の承認予定の効能・効果は、セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善となっております。昨年の夏以降、経口薬のみで治療できるC型肝炎治療薬が相次いで承認されており、本剤と同様にセログループ1の患者さんに対して既に承認されているレジメンは二つ存在しますので、簡単に追加で御説明させていただきます。

 まず資料17の審査報告書4ページに記載されているとおり、本剤はC型肝炎ウイルスの非構造タンパク質で、C型肝炎ウイルスの増殖に必要であるNS5Aの働きを阻害するオムビタスビル水和物と、同じくC型肝炎ウイルスの増殖に関与する別の非構造タンパク質で、NS3/4Aプロテアーゼの働きを阻害するパリタプレビル水和物と、更にCYP3Aを阻害し、パリタプレビル水和物の血中濃度を上昇させることを目的として配合されているリトナビルの3成分の配合剤となっております。

 作用点としては、昨年7月に承認されたダクルインザ錠とスンベプラカプセルの併用療法と同様ですが、審査報告書の79ページの中ほどから下の箇条書きにありますように、既承認のNS5AとNS3/4A阻害剤に耐性関連変異を有する患者に対し、本剤の有効性が示されたデータが提出されております。また、7月に承認されたハーボニー配合錠は、C型肝炎ウイルスの複製に必要なNS5Aを阻害する、レジパスビルとNS5B阻害薬のソホスブビルの配合剤ですので、本剤はハーボニーとの作用機序は異なります。

 投与期間という点では、本剤とハーボニーが12週間であり、ダクルインザとスンベプラの併用療法が24週間となっておりますので、こちらも品目ごとに異なります。

 有効性については、承認申請時の臨床試験において、投与後にウイルスが抑制されている患者さんの割合を示すSVR12又はSVR24の値では、ダクルインザとスンベプラの併用療法が8、9割程度でした。ハーボニーが100%であるのに対して、本剤はおおむね9割強で、いずれも高い有効率を示していると考えております。また、ハーボニーは重症の腎障害がある患者が禁忌となっているのに対して、ダクルインザとスンベプラの併用療法と本剤は、重度の肝機能障害がある患者が禁忌となっているなど、品目ごとに特徴が異なっております。これらを踏まえますと、類薬として既に承認のあるところですが、セログループ1のC型肝炎又はC型代償性肝硬変に対して、本剤は新たな使用選択肢の一つとなり得ると考えております。

 資料18がオクトレオスキャン静注用セットです。こちらはソマトスタチンアナログであるペンテトレオチドにインジウム111をキレート結合させた放射線診断薬で、神経内分泌腫瘍の診断におけるソマトスタチン受容体シンチグラフィの効能・効果となっております。

 以上、資料1418までの5品目については、本年8月31日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論を頂いています。

 最後に資料19、「希少疾病用医薬品の指定について」の御説明をいたします。資料19に一覧表があります。今回はカルフィルゾミブ、ベダキリンフマル酸塩、ベバシズマブ(遺伝子組換え)、ポナチニブ塩酸塩の4品目に関して、それぞれ順に再発又は難治性の多発性骨髄腫、多剤耐性肺結核、子宮頸癌、前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に係る効能・効果について、指定の可否が審議されました。これらの品目については、本年8月3日及び8月31日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、希少疾病用医薬品として指定して差し支えないとされましたので、最初の一つは8月20日に、残りの三つについては、資料では指定手続中となっておりますが、9月14日に希少疾病用医薬品に指定されています。御説明は以上です。

○橋田部会長 それでは医薬品第一部会長の松井委員から、追加の御発言はありますか。

○松井分科会長代理 追加事項はありません。

○橋田分科会長 医薬品第二部会長の吉田委員はいかがですか。

○吉田委員 追加はありません。

○橋田分科会長 それでは、ただ今の御説明に対して、御質問あるいは御意見等がありましたらお願いします。今回、非常にたくさんの品目が承認ということになっておりますが。

○倉根委員 資料16のダニ舌下錠ですが、4に「成分」と書いてありまして、JAUとDUと書いてあるのですが、これはあるユニットですか。品質管理をするときに、どうやってユニットを決めるのかが疑問なので、教えていただければと思います。何か標準品があって、それと比べるということでしょうか。

○事務局 資料16の三つ目のタブ、添付文書の1ページを御覧ください。まずDUは、開発時に使用したダニ抽出エキスの生物学的活性を相対的に示すために設定した単位です。JAUは、日本アレルギー学会によって設定された国内独自のアレルゲン活性単位です。

○橋田分科会長 ほかにいかがですか。これだけたくさんありましたが、本件についても御確認いただいたものといたします。

 続いて資料2022と資料30の医療機器・体外診断薬部会関係について御説明をお願いいたします。

○事務局 四つの議題について御報告いたします。まず、8月21日に御審議いただいた3議題です。資料20、医療機器COOK Spectrum M/R含浸中心静脈カテーテルキットの製造販売承認の可否等についてです。資料20の1枚目の中ほど、5の使用目的欄を御覧ください。本品は、中心静脈へ挿入留置するカテーテルセットで、内腔と表面に抗菌薬であるミノサイクリン及びリファンピシンが含浸され、カテーテル使用時の合併症であるカテーテル由来血流感染症のリスクを低減するものです。次のページに外観写真があります。茶色の部分に抗菌薬が含浸されております。

 黄色の審議結果報告書のタグをお引きいただき、審議結果を御覧ください。使用成績評価の指定は不要として承認することが適当との審議結果を頂きました。なお、部会における意見は次のページを御覧ください。1.の1行目の終わりにありますとおり、不必要な患者に使用されないよう十分な対策を講じること、3.の後半にありますとおり、短期使用が明確になるように添付文書に記載すべきとの意見が示され、部会後、添付文書の修正を行っております。

 次に資料21、医療機器ディーシービーズの使用成績評価の指定の要否についてです。表紙の裏、1ページの品目の概要欄を御覧ください。本品は、球状微粒子からなる血管塞栓用ビーズです。2013年4月に承認されておりますが、今般、「多血性腫瘍又は動静脈奇形への動脈塞栓療法」の適応を追加するものです。3ページに先発品目の状況を示しておりますが、隣のページの審議結果報告書を御覧ください。先発品目と同様の考え方に基づき、使用成績評価の指定を行うことが適当との審議結果を頂きました。

 次に資料22、医療機器VALIANT胸部ステントグラフトシステムの使用成績評価の指定の要否についてです。こちらも表紙の裏面、1ページの品目の概要欄を御覧ください。5行目からですが、大動脈用ステントグラフトである本品は、平成24年3月に承認されておりますが、今般、急性期Stanford B型大動脈解離の適応を追加するものです。2ページで先発品目の状況を示しております。次のページの審議結果報告書を御覧ください。先発品目と同様の考え方に基づき、使用成績評価の指定を行うことが適当との審議結果を頂きました。

 引き続き9月11日に御審議いただいた議題です。資料30の医療機器da Vinciサージカルシステム及びda Vinci Siサージカルシステムの一部変更承認の可否等についてです。資料30の3枚目の外観図を御覧ください。上半分が品目1、da Vinciサージカルシステムで、左端のサージョンコンソールで術者が3次元画像を見ながら、真ん中のペイシェントカートの3本のアームを操作する手術用ロボットです。下半分が品目2、da Vinci Siで、サージョンコンソールが小型化され、教育用に2台を切替え使用できるなどの違いがあります。1枚目の品目の概要に戻って、5の使用目的欄を御覧ください。下線部にありますとおり、今般、心臓外科(心停止下で心内操作を行う手術に限る。)の適応を追加するものです。

 タグの二つ目、審議結果報告書を御覧ください。そのページの下に示す1.及び2.の条件を付した上で、承認することが適当との審議結果を頂きました。承認条件としては1.の3行目、適正使用の指針の遵守や教育プログラムの受講を医師及び医療チームに徹底、2.十分な経験のある医師を有し、緊急時を含めた十分な体制が整った医療機関で用いられるよう、学会作成の施設基準を遵守となっております。

 なお、部会における意見は次のページを御覧ください。添付文書に、トレーニングを術者のみでなく医療チームとして受けることなどについて記載してはどうかとの意見が示され、部会後に添付文書の修正を行っております。以上です。

○橋田分科会長 それでは医療機器・体外診断薬部会長の荒井委員から、何か御追加はありますか。

○荒井委員 特に追加はありません。

○橋田分科会長 それでは委員の先生方から、御質問あるいは御意見がありましたらお願いいたします。特によろしいですか。

 それでは、本件についても御確認を頂いたものとさせていただきます。

 続いて資料2325、再生医療等製品・生物由来技術部会関係について、説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より御説明いたします。9月2日の再生医療等製品・生物由来技術部会で議論された3件について御報告いたします。資料23の再生医療等製品です。テムセルHS注。本品は、ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞です。効能・効果としましては、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病です。A4の横表を御覧ください。資料23の所です。部会では3点、大きな御議論がございました。一つ目、本品は10年間の再審査期間中に全例調査を求めていますけれども、その全例調査は実現可能なのか、また、学会の協力が必要ではないかとの御指摘がありました。本品に関しましては、造血細胞移植学会などとも協力の上、レジストリを活用して調査をしていくということを考えていますので、その旨、御報告して御了承いただいています。

 2点目ですけれども、有効性のメカニズムが完全に分かっていない点、また、品質管理の工程検査の項目が、現状、細かく定められていますが、今後、それは変わるのかという御質問を頂いています。それに関しては8/13ページの2段目です。工程検査項目に関しましては、知見の蓄積に伴い、必要に応じて変わりうる旨御説明しています。

 3点目ですが、本品のウイルス検査に関して、HIVなどは多様性があるために、単なるPCRという記載ではまずいのではないかという御指摘を頂きまして、記載の整備を行ったところです。本品に関しては以上です。

 次に、資料24、ハートシートです。本品はヒト(自己)、患者さん由来の骨格筋由来細胞シートです。資料24の4段目を御覧ください。本品は、虚血性心疾患で重症心不全となった患者の治療を目的として、医療機関において患者自身から採取した骨格筋に含まれる骨格筋芽細胞を製造所において培養して増殖させた後に、専用容器に充てんして凍結保存したものを医療機関に搬送したものです。医療機関においてシート状に調製し、患者の心臓表面に5枚を移植して使用する再生医療等製品です。効能・効果としては6の所ですが、下記の基準の全てを満たす、薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心疾患による重症心不全の治療とされています。具体的な心不全の状態としては、NYHA心機能分類で III 度又は IV 度、安静時における左室駆出率が35%以下とされています。こちらに関して部会で御議論いただいたところ、以下の条件を付した上で承認して差し支えないと、条件及び期限付き承認という形になっています。期限としては5年間です。

 A4の横表を御覧ください。9/13ページにございます。部会での主な御議論ですけれども、一つ目、心移植、補助人工心臓ともに適応は65歳までだが、医療現場ではそれ以上の年齢の患者さんが多いので、治療選択肢が増えることは助かる。また、高齢の患者さんでは家族の負担が大きいので、本品によって自覚症状の改善が見られていることも重要である。このような御意見を頂いています。

 2点目ですが、製造販売後の調査に関して御意見を頂いています。資料24の2枚目の11を御覧ください。本品は条件期限付き承認でございまして、製造販売後の評価の計画を提出していただいています。具体的な内容ですが、本品の使用患者(目標解析対象症例数60)における有効性に関する情報を収集する。それと併せて、対照群の臨床経過に関する情報を収集し、それらを比較することにより、本品の有効性評価を行うこととしています。

 こちらの市販後の調査に関して御意見を頂いています。A4横表の二つ目の○ですが、特に外部対照の調査については、医療施設の協力を得ることが難しいのではないかとの御意見を頂いています。こちらに関しては、市販後の調査では医療機関の協力を十分得てやっていく必要がありますので、現在、申請者が調整しているところであり、当局側としてもよく相談しながら進めていきたいと回答しています。

 同じ表の三つ目の○ですが、製品の品質が均質ではないから、有効性を推定し、条件及び期限を付して承認するという理屈だと思うが、本品は治験の症例数は7例のみであり、有効性が確認できないのは均質性以前の問題ではないか。不均質性を理由に有効性評価がおろそかになっていないかとの御指摘を頂いています。こちらに対して、今回の製品ですけれども、症例間で品質のパラメータが一致しないなど、品質のばらつきが生じていることは確かで、これにより有効性評価が困難となっている側面は否定できないが、総合的には一定の有効性が期待できると判断している。このように回答しています。また、市販後の調査ですが、症例数を60例まで増やして有効性を評価していきたいと回答しています。

 同じ表の四つ目の○です。重症な希少疾患については、臨床評価を容易にするための疾患の経過などの患者レジストリの整備が重要ではないかとの御指摘を頂いています。こちらに関しては、再生医療等製品においても活用できる患者レジストリの整備に協力していきたいと回答しているところです。本品に関しては以上です。

 続きまして資料25、こちらはカルタヘナ法の関係です。動物用医薬品の関係ですが、七面鳥のヘルペスウイルスに、ニューカッスル病ウイルス由来F蛋白質というものを組み込んだもので、家禽に対する生ワクチンとして使われるものです。こちらについては特に部会で御意見なく了承されています。以上です。

○橋田分科会長 ありがとうございました。それでは、再生医療等製品・生物由来技術部会長の川西委員から追加がございましたら、お願いします。

○川西委員 これは資料2324と、再生医療等製品の第1号、第2号で承認されたものになろうかと思います。もちろん、旧来の医薬品の基準で考えると、臨床の有効性という部分が、特に24番は例数が非常に少ないですけれども、再生医療等製品というカテゴリーを設けた趣旨は、そういう部分もあって、期限の5年という期間で、きちんとそこは証明してくださいという意味も込めて、安全性上は、今、考える限りは、恐らく問題ないだろうという判断の中で、こういうことになったということです。ありがとうございます。

○橋田分科会長 ありがとうございました。それでは先生方、御意見あるいは御質問等、中川委員、お願いいたします。

○中川委員 今の24ですけど、7例を見て5例が維持していたという結果ですが、2例はどうなったのですか。

○事務局 事務局より御回答いたします。この7例中の残りの2例ですけれども、悪化という結果が見られています。

○中川委員 何でしょうか。

○事務局 訂正いたします。2例中1例は悪化、1例については評価から外しているという結果でした。

○中川委員 評価から外したというのは、どういうこと。どういうわけで。

○事務局 正確に申し上げますと、評価が不能であったということです。

○中川委員 評価が不能であったのはどうしてか。きちんと答えてください。

○事務局 資料の審査報告書の32ページを御覧ください。こちらに表8.7がございます。今回、一番左にあります、心プールシンチグラフィ検査における左室の駆出率で判定しましたけれども、こちらの判定結果として四つ目のカラムにあります「維持」というのが五つ、「悪化」が2例でした。訂正いたします。

○中川委員 では、この2/7は悪化なのですね。

○事務局 はい。

○中川委員 悪化が2例で維持が5例。これは、心筋シート使わないと7/7が悪化したというふうに考えているのですか。どうですか。

○事務局 一般的には重症心不全の患者さんでして、徐々に悪化が進んでいくというような御意見を頂いておりまして、悪化するものと考えておりました。

○中川委員 移植後26週目ですよね、判定が。

○事務局 はい。

○中川委員 その後はどうなっているのですか。

○事務局 長期の左室駆出率のデータがございませんが、審査報告書の38ページを御覧ください。こちらに図8.18.2というグラフがあります。先ほどの駆出率とは異なりますが、再入院イベント若しくは心臓死について調査したところ、横ばいという形になっていました。

○中川委員 これについて、委員の先生方、どうお考えですか。

○吉田委員 要するに再生医療等の製品なので、こういうふうな承認の仕方になるということは最初から想定されていたと思いますが、今、御指摘のように、初めの2例ということであれば、後々参考にされるというか、一つのモデルとして使われると思うので伺いたいのですが、私も、どうしたら有効で、どうしたら無効で、どうしたら承認に値し、どうしたら承認に値しないかの判断基準がよく分からないのです。その辺、教えていただければと思います。

○橋田分科会長 どうでしょうか。事務局からでも結構ですが。

○吉田委員 恐らく36ページにある第三者委員会うんぬんという所の話で、有効、無効の話になっていると思いますけれども、その有効の度合いをどうやって判断したか解説していただければと思います。

○事務局 先ほど御覧いただきました審査報告書32ページ、表8.7を今一度御覧いただければと思います。まず、先ほど御質問のありました心プールシンチグラフィ検査に関しては、先ほど申し上げたような結果になっています。ただし、部会でも参考人の先生から御意見を頂いていますし、専門協議でも御意見を頂いていますけれども、心プールシンチグラフィだけで評価するというところに対して、心プールシンチ自体が最終的には評価のなかなか難しい検査方法であることも踏まえ、心エコー図検査や心臓CT検査、あるいはNYHAの評価、こういったものを併せて評価するべきだろうという御意見を頂いています。先ほど委員の先生方からも御指摘を頂いています、36ページのような第三者評価委員会における評価の結果も踏まえて総合的に評価した結果、本品については、有効性について示されているところについてはなかなか難しい結論かと思いますが、有効性の推定については評価可能であろうというところで、有効性は推定するという結論に達しています。

○吉田委員 そうすると、例えば今後再生医療で開発された医療品の場合、例えば7例とか5例とか10例とか知りませんけど、それぐらいの少ない数で臨床試験をした場合、全てこういった第三者委員会の評価に基づいて、例えばそれが7例中4例あればいいけど、7例中3例だったら駄目だみたいな、そういった判断になるのですか。それとも、1例でも有効だったら有効と考えて先に進むのか、その辺はどういう判断をされているのでしょうか。

○参事官(医療機器・再生医療等製品担当) この製品の担当参事官をしています磯部でございます。正直言いまして、そこの点はケース・バイ・ケースになろうかと思います。今回の場合については、今、御説明したように、確かに7例というデータで5例が維持と。臨床的な症状が維持で、今の心プールシンチグラフィ等の検査結果で維持でも十分意味があり、それは有効性が期待できると。これまでのオーファンドラッグ、オーファンデバイスでも少数例でやることもありますから、そういったものと比較しても承認に値するだろうということで出させていただいています。

 それから、今の吉田先生のお話に関して言いますと、仮定の話をしてもしょうがないかもしれませんが、例えば数例は非常によく効いているというケースの場合、どう判断するのか。悪化は何件あったのか。リスク・ベネフィットでベネフィットがどのくらい大きいのか。どうしてもうまくいかなかった方が、どのくらい大きな副作用を起こしてしまったのか。1個1個の症例を見て総合的に判断するということしか、なかなか言えないと思います。今後、例えばこういった非常に少数例の治験で判断する場合に、何例中何例オーケーだったらオーケーなのか。そういった一律的な判断基準まではなかなか難しいだろうし、総合的に判断して検討することになると思います。

○吉田委員 そうすると、例えば10例段階、20例段階、30例段階、50例段階など、ある程度評価の段階を定めておいて、これは早期に無効であるとか、これはもっと続けていいという判断がないと、5年間使いっ放しはちょっと問題ではないかと思いますが、いかがですか。

○参事官 今回のケースに関しては、実際に自己の太股の筋芽細胞をテルモの工場で培養してやります。実は製造のキャパシティの問題もあって、今のところ大体年間30例ぐらいしか事実上できないとお聞きしています。それで、我々としても統計学的に判断できるレベルとして、あと何症例ぐらいあったらいいのか。なるべく統計学的に判断したいと思っていますから、大体60例ぐらいはないと最終的な判断はしにくいのではないかと思っています。それとフォローアップの期間も入れて、一応、今のところ5年ということでさせていただいています。ただ、予定症例数が思いのほか早く集まって、その観察の結果が分かったら、もっと早期の段階で通常の承認の申請を再度させていただく。そういう指導をさせていただくのは可能ですので、そういうことも検討させていただきたいと思います。

○吉田委員 だとすると、承認を受けたら医療として成立しますから、お金も取るわけですよね。その場合、もし、効かない治療法に患者さんがお金を費やすことになってしまったら、それは、やはりダメだろうと思うので、早期に、かつ、しっかりと有効性の判断をすることが不可欠だろうと思います。だから、期間を横並びで5年というのでなく、何例段階とか、あるいは中間解析を報告させるということでもしないと、何だかぐちゃぐちゃになりそうな気がしますが。

○橋田分科会長 中川委員、どうぞ。

○中川委員 これ、中医協で一度、ヒアリングでお聞きしたのですが、先進医療Bでやるという考えはないのかなと思うのです。それはどうですか。

○参事官 中川先生、私がお答えするのも。

○中川委員 無理であれば答えなくていいです。問題は、近々、中医協の薬価算定組織でやると思いますが、非常に高いという大問題があるのです。こういう再生医療のすごく早い時期に出てきたもの、これがオーケーとなると、その後に出てくるものも、5/7が維持だということでオーケーだったら、次から出てくるものが非常にハードルが低くなる。金額のことは言いたくないですけど、普通の方は支払えないぐらい高いです。ですから、そういう問題もあり、薬事分科会としてはもっと悩んだ方がいいなと私は思いますね。これは簡単にオーケーというものでないです。委員の皆様一人一人に責任があると思いますが、ここまで進んでしまったので、これをちゃぶ台返しするつもりはありませんが、肝に銘じて中医協でしっかり議論したいと思っています。

○川西委員 これは1号、2号ということで、多分、後々に非常に重要になると、それは部会でも考えています。これから臨床でどういうエビデンスをきちんと取っていくかということ。それから、確かに早い段階で、駄目なものだったら駄目だと判断が付くような工夫も恐らく必要だと思いますが、それとともに、品質的にも実は難しい部分があると見ていますので、これはPMDAと開発者がその間でも意見交換をしつつ進めていくというものであろう、というような話は部会でもしましたし、5年間という期限付きということでもありますので、そこはきちんと評価を定めていくことが重要だというのが部会の意見でありました。

○中川委員 部会の議論が、この資料では生煮えのように見えるのです。しっかり疑問を呈している方がいるじゃないですか。それに対してきちんと答えてないですよ。それでオーケーというのはちょっとおかしいなと。そこで、親会議であるここでしっかりやらなければいけないなと思って、いろいろ申し上げた訳です。

○橋田分科会長 御意見、ございますか。

○竹内委員 ちょっと教えていただきたいのですが、実際、32ページの表8.7では、悪化が2例で維持が5例いたと。ただ、これってサロゲートマーカーで判断しているだけであって、患者さんは1人も亡くなっていないわけじゃないですか。最終的に60例をやりなさいと言ったときには、その条件として、本品を使用しなかった患者、いわゆる対照群ですよね、このシートを使用しなかった患者さんの「臨床経過に関する情報を収集し、心臓疾患に関連する死亡について有意差が確認されること」と書いてあるのですが、これはこの臨床7例では全く情報がなくて、最終的に条件付きで認めた後には、いわゆる対照群と比較しなさいと。ただ、それはデータが全然ない時点でやっていって、先ほど吉田委員が言われたように、もし差があるのであれば、早くどこかで中間解析をして、良い悪いの決着を付けていかないと、まだ今回の申請では決着は付いていないのですよね。かもしれないという程度です。だから本当にいいのかなというのが分からないのです。

○川西委員 このあたりは部会での議論では、結局、対照群と言っても、そこで比較対照を簡単に見つけられるものではないという部分もあるから、これをこれから使う所の患者さん全部を含めて、PMDAと相談するような形で評価していくという話になっていました。そのあたりは承認の条件の中にも含んでいるということです。

○参事官 今のお話も含めて、確かに臨床症状の状態、それから先ほどから言っている心機能検査の結果から、7例中5例でも有効性は期待できるというのが、この判断です。確かにいろいろ御意見もございましたけれども、期限条件付き承認という中では、これまでのオーファンドラッグ、オーファンデバイスと比較しても、同等レベルであるだろうということで承認の可がなされたものと理解しています。ただ、重症な患者さんでもございますし、内容的にきちっとフォローアップしていかなければいけないものでもあります。そういうことで先ほど吉田先生からお話がございましたけれども、申請者ともよくお話をして、使われた症例をなるべく細かくPMDAに報告していただき、できれば1例ごとにでも報告していただいて、どういう状況かずーっとフォローアップしていく。ほぼレジストリのような形で症例ごとに見ていき、もしいろいろ問題があるようであれば、その段階ですぐ対応することも含めて、PMDAほか申請者といろいろ相談していきたいと思います。

○吉田委員 そうすると、PMDAの方からストップが掛かることもあり得るということですか。

○参事官 おっしゃるとおりです。

○橋田分科会長 再生医療等製品の、特にこういう新しい法律、制度のもとでの第1号ということになるわけですが、ここでハードルを下げることは絶対にあってはいけないことだと思います。そういう意味で、今お話が出ましたように、5年間の期限とか何とかというのではなく、PMDAには1例ずつきっちりフォローしていただいて、有効性、安全性に対して十分評価をお願いする。先にゴールを置いてそれを待つのではなく、特に新制度の最初の適応例であるということもありますので、何かそのような仕組みを考えていただきまして、そういう運用の中で経過をしっかりフォローしていただくのが一つの形かと思いますが、それでよろしいでしょうか。それでは、この件はそういうことにさせていただきます。今、御意見を頂きましたので、そのような形で制度も運用も考えていただくということを条件にしまして、一応、本件につきましても御確認を頂いたものとします。

 続きまして、資料26ですが、医薬品等安全対策部会関係について御説明をお願いいたします。

○事務局 資料26につきましては、安全対策関係者にこちらで連絡を取りますので、先に進めていただいてよろしいですか。

○橋田分科会長 分かりました。それでは次、資料27ということで進めさせていただきます。化学物質安全対策部会の関係です。資料27につきまして御説明をお願いします。

○事務局 資料27を御覧ください。「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)新規対象物質の化審法第一種特定化学物質への指定について」の御報告をいたします。

 1.「背景」ですが、平成16年5月に発効された残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、以後「POPs条約」と略称させていただきますが、この条約では、難分解性、生物蓄積性、長期毒性及び長距離移動性の全てを有するものをPOPs、すなわち残留性有機汚染物質とし、このような物質については人の健康の保護及び環境の保全を図るため、1か国にとどまらない国際的な環境汚染防止の取組が必要との観点から、国際的に協調して、製造、使用等の原則禁止等の措置を講ずることとしています。

 我が国では、POPs条約の対象物質が難分解性、生物蓄積性及び長期毒性を有することを踏まえ、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」、以後「化審法」と略称させていただきますが、この法律に基づき、第一種特定化学物質に指定し、製造、使用等を原則禁止する措置等を講じているところです。

 今般、平成27年5月にスイスのジュネーヴで開催されたPOPs条約第7回締約国会議(COP7)において、「塩素数が2から8のポリ塩化ナフタレン」及び「ペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類」について、POPs条約の対象物質として、製造、使用等を原則禁止とすることが決定されました。

 次に、2.「化審法による対応」を御覧ください。COP7でPOPs条約の対象物質に追加された化学物質のうち、「塩素数が3以上のポリ塩化ナフタレン」については、昭和54年に既に第一種特定化学物質に指定され、製造、使用等が原則禁止されているところです。

 一方、「塩素数が2のポリ塩化ナフタレン」及び「ペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類」については、第一種特定化学物質に指定することの可否について、平成27年7月22日の化学物質安全対策部会で御審議いただきました。その結果、「塩素数が2のポリ塩化ナフタレン」及び「ペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類」についても、難分解性、生物蓄積性及び長期毒性を有することから、第一種特定化学物質として新たに指定することが適当であるとの結論となり、8月4日付けで答申を頂いています。

 なお、今後、「塩素数が2のポリ塩化ナフタレン」及び「ペンタクロロフェノールとその塩及びエステル類」について、化審法第24条第1項に基づき、海外における使用事情等を考慮して、輸入を禁止する製品を指定すること、化審法第25条に基づき、代替困難な用途がある場合においては当該用途を指定し、それ以外の用途への使用を制限することの具体的な措置について、海外の使用事情等を調査の上、改めて化学物質安全対策部会において御審議いただく予定としています。その後、パブリックコメントなど所要の手続を経て、来年、第一種特定化学物質の指定等に係る改正政令を公布施行することとしています。御報告は以上です。

○橋田分科会長 ありがとうございました。それでは、化学物質安全対策部会長の鈴木先生、何か追加はございますか。

○鈴木委員 特に追加はございません。

○橋田分科会長 ありがとうございます。国際的な動きに合わせて、これも指定をするということでございました。御質問等、よろしいですか。それでは、本件につきましても御確認を頂いたものとさせていただきます。

 続きまして、資料28でございますが、指定薬物部会関係について説明をお願いいたします。

○事務局 資料28を御覧ください。指定薬物と言いますのは、危険ドラッグに含まれる成分につきまして、中枢神経系に作用する蓋然性があるものについて指定をして、製造、販売、使用などを禁止するというものです。この指定薬物の指定について審議する指定薬物部会は、前回の御報告から3回開かれていて、第3回、第4回、第5回が開かれています。平成27年度第3回の指定薬物部会は6月23日、第4回が7月28日、第5回が8月18日に開催され、それぞれ指定薬物の指定について御審議を頂きました。第3回におきましては3物質、第4回では4物質、第5回では6物質について、それぞれ指定薬物にするか否か御審議いただきまして、いずれの物質についても指定薬物とすることが適当であるとされました。それらは別紙に、名称、構造式を示しています。これらを指定する省令につきましては、それぞれ部会の翌日に公布され、その10日後に施行されています。御説明は以上です。

○橋田分科会長 それでは、指定薬物部会長の鈴木先生、御追加がございましたら。

○鈴木委員 追加はございません。

○橋田分科会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に対して、何か御質問、御意見等ございますか。今回は包括指定でなく、個別に化学物質を指定したということでございます。よろしいですか。それでは、本件につきましても御確認を頂いたものとさせていただきます。

 先ほど飛ばしました資料26ですが、医薬品等安全対策部会関係につきまして、戻りまして御説明をお願いいたします。

○事務局 遅くなりまして失礼いたしました。資料26について御説明させていただきます。一般用医薬品につきましては、リスクに応じまして第一類医薬品から第三類医薬品の三つのリスク区分に分類し販売規制が行われており、製造販売後調査終了後1年間は第一類医薬品に分類され、その期間中にリスク区分の分類を行っているところです。

 平成27年7月31日の医薬品等安全対策部会において、こちらに示しました4成分においてリスク区分の検討の御審議を頂き、以下のとおりに議決されたため御報告させていただきます。

 メキタジンですが、効能・効果としては鼻アレルギー症状の緩和の医薬品になっていて、耳鼻咽喉科の専門家の参考人の先生に御意見を賜り、安全対策調査会において、第二類医薬品へ分類することが適当であるとされました。安全対策部会においても、調査会の結論を受けて議決されています。

 エピナスチン塩酸塩も鼻アレルギー症状等の緩和の医薬品ですが、こちらも耳鼻咽喉科の専門の先生の下、安全対策調査会が行われ、安全対策部会においても第二類医薬品に指定することが適当であると議決されました。

 イブプロフェン・ブチルスコポラミン臭化物の配合剤ですが、こちらは生理痛を目的とした医薬品になっていて、産婦人科の専門家の先生に御意見を賜り、安全対策調査会において指定第二類へ分類することが適当と判断され、安全対策部会においても、調査会の結論どおりに議決されました。

 ペミロラストカリウムも鼻アレルギー症状緩和のための医薬品ですが、耳鼻咽喉科の専門の先生に御意見を賜り、安全対策調査会において第二類へ分類することが適当であるとされ、安全対策部会においても、調査会の結論どおりと議決されました。以上です。

○橋田分科会長 部会長の五十嵐先生はもう御退席になっておられますが、今の御説明に対して委員の先生方から何か御質問等はございますか。これは要指導医薬品から第一類の一般用医薬品に移って、更にリスク区分を今回決めたということです。よろしいですか。それでは、本件につきましても御確認を頂いたものとさせていただきます。

 だいぶ時間も超過してしまいましたが、以上で本日の議題は全て終了ということになりました。何か全体を通じて御意見はございますか。随分いろいろな議論がございましたので、その内容につきましてはきっちり、これから厚労省あるいはPMDAでフォローしていただきたいと思っています。よろしいですか。

 それでは最後ですが、事務局から何かございますか。

○事務局 本日も活発な御議論、ありがとうございます。最後ですが、この場をお借りしまして医薬食品局の組織改編につきまして、若干、御報告をさせていただきたいと思います。本年1月に行われた総会で局長からも御説明申し上げていますが、健康寿命の延伸を推進するための組織改革ということで、健康局の一部が医薬食品局食品安全部に移管されてまいります。これに伴いまして10月1日から、現在の医薬食品局という名称が「医薬・生活衛生局」と、また、食品安全部の名称が「生活衛生・食品安全部」と変更になります。薬食審の事務所掌に変更はございませんが、局の名称が変わるということで御報告させていただきたいと思います。

 また、次回の薬事分科会ですが、平成271224()、午後2時から開催させていただく予定としていますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○橋田分科会長 次回もこのような日になってしまいましたけれども、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、これで本日の薬事分科会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。


(了)
<備考>

この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

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