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2015年12月25日 全産業の生産性革命に向けた労働・金融連絡会議 議事要旨

○日時

平成27年12月25日(金) 16:15~16:45


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

(厚生労働省)

塩崎 恭久 (厚生労働大臣)
岡崎 淳一 (厚生労働審議官)
山越 敬一 (労働基準局長)
生田 正之 (職業安定局長)
宮川   晃 (職業能力開発局長)
香取 照幸 (雇用均等・児童家庭局長)
安藤よし子 (政策統括官(労働担当))

(金融関係団体等)

佐藤 康博 (一般社団法人全国銀行協会会長)
寺澤 辰麿 (一般社団法人全国地方銀行協会会長)
石井 純二 (一般社団法人第二地方銀行協会会長)
小此木良之 (一般社団法人全国信用金庫協会専務理事)
渡邉   武 (一般社団法人全国信用組合中央協会会長)
瀬谷 俊雄 (株式会社地域経済活性化支援機構代表取締役社長)

(オブザーバー)

西田 直樹 (金融庁監督局審議官(兼内閣府REVIC担当室長))
伊野 彰洋 (金融庁監督局総務課長(兼内閣府REVIC担当室次長))
堀本 善雄 (金融庁監督局銀行第二課長(兼内閣府REVIC担当室参事官))

○議事

1.開会

2.塩崎厚生労働大臣挨拶
 全産業の生産性革命に向けた労働・金融連絡会議ということで、新しい試みであり、画期的なこと。厚生労働省として、これまであまり踏み込んではいなかったことについても、日本の再生、経済の再生のためにしっかりコミットしようという趣旨で開催した。
 労働生産性については、新三本の矢の一本目の矢の中で生産性革命が明確に示されており、安倍総理の強い意志の表れで、経済最優先というのが一本目の矢に全部凝縮されている。厚生労働省設置法には、経済の発展に資するということが明記されており、所管である医療・介護等の生産性向上等は当然として、諸外国と比較しても低い日本の生産性の向上に取り組む必要がある。GDP600兆円を達成するためには、この生産性革命を、全産業で、大企業だけでなく中小企業に至るまで、また、地方の中小企業についてもしっかりやっていかなければならない。
 そのため、地方の中小企業等が経営改善に向けた取組を積極的に行い、産業の円滑な新陳代謝と労働力の流動性というのを増すために、働き方改革に取り組む必要がある。雇用の場を確保するために、生産性の高い産業、企業が育つことが必要であり、日頃から企業に助言・指導等を行っている金融機関のリーダーシップが非常に重要。経営者との対話を通じて、生産性向上に向けた、金融機関の後押しが必要。特に中小企業については、借り入れを通じて金融機関に依存しており、その指導が生産性向上への決定要因になるのではないか。金融機関との対話において、少子高齢化社会における人手不足などといった企業側の悩みに対して、厚生労働省として提供できる政策があるのではないか。このような課題を解決するために金融機関と協力して取り組んでいきたい。つまり、労働力の円滑な移動と確保、セーフティーネットの提供、労働環境の改善といった政策を活用して、地域の経済界や金融界等と従来以上に緊密に連携しながら、生産性の高い良質な雇用の場を持続的に創出していくような産業や社会の形成に貢献していきたい。成長と分配の好循環が生まれるよう、新しい経済を再生していきたいのでご協力をお願いしたい。

3.議事:生産性革命に向けた労働行政と金融との連携について
○安藤政策統括官から資料説明後、意見交換
○全国銀行協会 佐藤会長
 このような形で金融と労働の関係を直接的に取り上げていただいたのは画期的な試み。生産性革命は、単なる効率化ということではなく、幅広い情報の活用による労働生産性の向上という面があり、IoT、AIなどを使った労働生産性の向上は働き方に大きな変化をもたらす。その過程で捻出された労働力をより必要な分野に、あるいはより付加価値の高い分野に振り向けることによって、日本経済の発展やその人自身にとっての働きがいのあるライフワークを過ごすことを可能にすることができ、そういった構造転換全体を「生産性革命」は表象しているのだと考えている。
 個別企業単位では、生産性の低い分野から高い分野に事業ポートフォリオを転換することによって、雇用吸収力の高い企業に成長していくことが非常に重要。一人ひとりがその能力を十分に発揮することは、働きがいにつながるとともに、余った時間を子育てや介護といった人生の非常に大事な部分に当てることができ、さらに充実した人生を送ることができる。金融機関は、コンサルティング機能を強化し、企業経営者との密接な対話等により貢献できる。また、産業全体では、産業構造の転換等により、労働力が生産性の高い分野に円滑に移動することが国民経済の持続的な発展にとってきわめて重要。グローバル競争のもとでは、より迅速、柔軟に産業構造の転換に対応する必要があり、金融の果たす役割は非常に大きい。今後は産業構造の転換も視野に入れた、より高い見地からのコンサルティングに取り組んでいく必要がある。その際、新しい産業を育成すると同時に、縮小する産業へのケアも十分に行うことも大切な役割。雇用を守ることと、より効率的な分野に労働力を適確に再配分すること、の2つの視点が極めて重要。そのため、事業承継やM&Aのアドバイスといったフィナンシャルアドバイザーとしての機能も従来通り発揮していかなければならない。こうした取組が多様な働き手や働き方を歓迎する働き方改革や、職場改革につながり、生産性の向上をもたらし、ひいては子育てや介護、あるいは個人のスキルアップなどにあてる時間を捻出して、働きがいのある職場環境の実現につながっていくことになる。金融の持つコンサルティング機能をしっかりと発揮し、生産性革命を通じた希望をもたらす強い経済の実現に貢献してまいりたい。

○全国地方銀行協会 寺澤会長
 私ども地方銀行は、政府の重点施策である地方創生を最重要のテーマとして取り組んでいる。地方において安定したしごとを作るとともに、地方への新しい人の流れを作り、地域社会を活性化するという地方創生の観点から、地域経済や地域の特性に関する独自の知見を活かして、地域金融の中核的担い手として金融サービス機能を活用したソリューションを提案している。具体的には、地域経済の核となるような中小企業の事業性、事業の強み・弱みを適正に評価し、経営者との対話による企業価値向上のための支援を公的機関や外部専門家とも連携しつつ行っている。
 このような企業価値向上に向けた支援に当たって、生産性向上は重要な要素であると認識している。地方銀行の社会的使命である地方経済の発展に貢献できるよう、本会議での議論も踏まえて適切に対応してまいりたい。
 政府に一つお願いしたい。雇用・人材育成に関する施策として、内閣府地方創生推進室のプロフェッショナル人材事業、中小企業庁の専門家派遣事業・よろず支援拠点事業、厚生労働省の地域雇用開発奨励金および戦略産業雇用創造プロジェクト、国土交通省の地域建設産業活性化支援事業、REVICの特定専門家派遣事業等のそれぞれの目的に応じた制度が並存している。ユーザー側からは各制度の違いや支援の内容等が分かりづらい。補助金における統合・メニュー化による簡素化の試みがあるが、政府として一つの大きなアンブレラを作り、その中に各施策を組み込んで、使い勝手の良い制度となるよう工夫していただきたい。雇用問題担当大臣にぜひその労をお取りいただきたい。

○第二地方銀行協会 石井会長
 地方金融機関にとって、目下の重要課題は政府が強く推し進めている地方創生の着実な推進である。産学官金労言の連携のもと、農業や観光など、地域の特性を活かした産業や、中小企業に対する安定的かつ多様な資金の供給など、コンサルティング機能の発揮により地域企業の生産性向上と需要拡大につなげる取組を行っている。これまで蓄積してきた知見等を最大限活用するとともに、企業の経営課題に幅広い解決策を提案することにより、地域の活性化に結びつけたい。これまで以上に企業の事業性を適切に評価し、企業の戦略的な設備投資計画等に対するアドバイス業務の拡充などにより、この会議の趣旨も踏まえて、地域経済の成長・発展に貢献してまいりたい。

○全国信用金庫協会 小此木専務理事
 我が国では少子高齢化に伴い、生産年齢人口の減少が着実に進んでいる。信用金庫は、中小企業が抱える様々な問題の解決に向け、課題解決型金融として取り組んでいるところであり、地方創生、地方活性化に即つながるので、引き続き努力してまいりたい。特に地方において、中小企業は雇用の担い手として重要な役割を担っており、関係当局においては雇用のミスマッチを理由とする中小企業の人材不足感や中小企業の人材育成に係る課題を解決するための施策を、今後より一層進めていただきたい。信用金庫では、取引先中小企業の経営支援が重要な取組であり、現在、中央機関において各信用金庫の情報を集め、共有するプラットフォームなどを作り、横の連携を進めている。政府の諸施策もこのような情報共有の仕組みの中で活用していきたい。

○全国信用組合中央協会 渡邉会長
 一億総活躍社会の実現のためには産業の活性化や生産性の向上に向けた取組が必要ということは、信用組合業界でも認識を共有。主な取引先である小規模事業者等の生産性の向上、雇用の創出、人材確保に向けた取組は地方創生にとって重要な課題であり、今後とも、関係機関等と協力しながら、地方創生等を通じて、地方の持続的な発展や活性化に貢献してまいりたい。

○地域経済活性化支援機構 瀬谷代表取締役社長
 企業再生支援機構としてスタートし、これまで多くの企業再生に関わってきた。最近は、地方創生が様々な面でクローズアップされているが、その中でも、ヘルスケア、観光、ものづくりをはじめとする地域中核企業を3つの柱として取り組んでいる。日本経済は、従来のやり方では手に負えないような、構造的変化に対応しなければならない状況にあると感じている。REVICの4つのテーマは、(1)地域経済の活性化、(2)雇用の維持、(3)企業ブランド・技術の維持、(4)総合的にその地域を育てていくことであるが、さらに地域経済を活性化するためには、ファンドを通じてリスクマネーを供給し、日本経済の活性化に取り組んでまいりたい。

○塩崎厚生労働大臣
 私もかつて金融に携わっており、金融が最終的に決定的影響を及ぼしうるということを念頭に置きながら、金融が日本の企業を育て、リーダーとして地域経済を牽引する企業をさらに引っ張っていただきたい。厚生労働省としても持てる政策を活用しながら金融とのコラボにより、日本の経済を隅々まで再生するお手伝いをしてまいりたい。新しいものを生み出し、良いものは直しながら伸ばしていくことで、日本がもう一回、全国津々浦々まで皆さんの表情が良くなるような社会を作り出したいので、是非よろしくお願いしたい。


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