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2015年11月24日 第125回社会保障審議会介護給付費分科会議事録
老健局老人保健課
○日時
平成27年11月24日(火)
10:00~12:00
○場所
ベルサール半蔵門 ホール(2階)
○出席者
阿部、安部(有澤参考人)、井口、伊藤、稲葉、内田、亀井、河村、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、鈴木、鷲見、瀬戸、武久、田中、田部井、東、深川、福田(重田参考人)、本多、松田 |
○議題
1.介護事業経営実態調査等の見直しについて
2.介護保険サービスに関する消費税等の取扱い等について
3.その他
○議事
○佐原老人保健課長 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、第125回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
分科会の開催に当たりまして、委員に変更がございましたので、御紹介をさせていただきます。
日本労働組合総連合会の伊藤彰久委員です。
○伊藤委員 伊藤です。よろしくお願いいたします。
○佐原老人保健課長 本日の委員の出席状況ですが、大西委員、堀田委員、井上委員から御欠席の連絡をいただいております。
また、安部好弘委員にかわり有澤賢二参考人、福田富一委員にかわり重田恭一参考人に御出席いただいております。
また、本日は、阿部泰久委員より、途中退席との御連絡を受けております。
また、河村委員は若干遅れているようです。
以上により、本日は22名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
次に、10月に事務局に異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
大臣官房審議官の(ハマ)谷です。
○(ハマ)谷審議官 よろしくお願いいたします。
○佐原老人保健課長 総務課長の日原です。
○日原総務課長 (会釈)
○佐原老人保健課長 介護保険計画課長の竹林です。
○竹林介護保険計画課長 よろしくお願いいたします。
○佐原老人保健課長 保険局医療介護連携政策課長の城です。
○城医療介護連携政策課長 よろしくお願いします。
○佐原老人保健課長 そして、私、老人保健課長の佐原です。よろしくお願いいたします。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。撤収方、御協力をお願いいたします。
では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、おはようございます。
本日は、「介護事業経営実態調査等の見直し」及び「介護サービスに関する消費税の取扱い」などについて御議論いただきます。
事務局より資料の確認をお願いします。
○佐原老人保健課長 それでは、事務局よりお手元の資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第と委員名簿がございます。
その後ろに資料1から4がございます。
資料1として「介護事業経営実態調査等の見直しについて」。
資料2として「介護事業経営実態調査等に関する主な意見」。
資料3として「介護サービスに関する消費税の取扱い等について」。
資料4として「第14回介護事業経営調査委員会における主な議論について」。
そして、参考資料1といたしまして、第12回の中医協における消費税負担に関する分科会資料がございます。
資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○田中分科会長 ありがとうございました。
早速議事次第に沿って進めてまいります。
初めに、議題1の「介護事業経営実態調査等の見直し」について議論を行います。
資料の説明をお願いします。
○佐原老人保健課長 それでは、事務局からお手元の資料1について説明をさせていただきます。また、資料4は、11月16日に介護事業経営調査委員会で会計の専門家に御議論いただきましたものの概要を事務局の責任においてまとめたものでありますので、適宜参照しながら御説明をさせていただきます。
まず、1枚目をおあけいただきまして、介護給付費分科会で指摘された事項。これは前回と同じ資料ですので、省略をさせていただきます。
続きまして、2ページ目「調査対象期間等について」ということで、この資料は、大きく4つの論点がございます。まず1点目の論点として、最初の○は、経営実態調査については、これまで改定後2年目の3月の収支状況を調査してきたが、1年分の収支等の状況を把握することについてどのように考えるのか。
また、2つ目の○ですが、概況調査については、これまで改定後1年目の1年分の収支を調査してきたが、概況調査の調査対象期間についてどのように考えるのかということがございます。
対応案として事務局で用意させていただいております。まず、1つ目の○ですが、介護事業経営実態調査につきましては、現行、単月の調査では、季節変動や特殊要因の影響を受ける可能性があること。それから、調査期間を1年分とすれば、決算値を利用できるため、数字の正確性が高まること等から、1年分の収支等の状況を調査するように変更してはどうかということであります。
また、2つ目ですが、概況調査につきましては、改定前後の年における収支の状況を比較するという観点から、2年分を把握することとしてはどうかということであります。
なお、上記の場合に、3年分を定点でやるかどうかとですが、一番最後のところ「概況調査の調査客体を実態調査の調査客体と一致させることまでは行わないこととしてはどうか」ということです。
続きまして、論点の2つ目は、7ページ目「キャッシュフローの把握について」ということです。
まず、論点の1マルとしまして、実態調査等においては、各介護護サービスごとの収支等を調査対象としているが、キャッシュフローを把握することについてどのように考えるのかという論点です。
次の○ですが、各介護サービスの費用等についての実態を明らかにし、介護報酬設定のための基礎資料を得るという実態調査等の目的を鑑みれば、キャッシュフローを調査事項に含めないということも考えられるが、一方で、法人は借り入れ等を利用して経営しているケースも多く、そのような実態を把握するためには、特にキャッシュフローの把握が必要であるとの意見もこの分科会で出ているところです。
対応案といたしまして、キャッシュフローについて、介護事業経営実態調査等においては、各介護サービスごとの収支等を調査対象としていることから、各介護サービスごとのキャッシュフローを把握することとしてはどうか。
また、調査対象サービスについては、建物等の取得に当たって相当程度の投資が見込まれるサービスとしてはどうか。
また、3つ目の○ですが、介護サービスについては、医療法人、社会福祉法人、営利法人など多様な主体が担い手となっており、各法人が用いている会計基準についてもさまざまであり、必ずしもキャッシュフロー計算書を作成していないことが見込まれること。
また、記入者負担の増加が見込まれる等の事情がありますので、実態調査で把握可能な調査項目に加え、この調査をするに当たっても、必要最低限の調査項目を追加することにより、簡易なキャッシュフローを把握することとしてはどうかということであります。
次のページをおあけいただきますとイメージということで、当期の税引き後収支差額と減価償却費、これと借入金の返済が可能であるかという右側のものを比較してみるということです。
資料4をあわせてご覧下さい。資料4は、先週の調査委員会の御議論です。論点1のほうもあわせて御紹介いたしますと、「論点1 調査対象期間等」については、まず1ポツ目、調査の目的を明確にする必要があるのではないか。つまり、3つの調査は同じような形になってきますので、調査の目的を明確にしていく必要があるのではないかという御指摘をいただいております。
2つ目のポツで、医療と比べて介護は報酬改定に対する事業者の反応が遅いので、改定当初は様子を見ながら徐々に改定に対応している事業者が多いので、概況調査を2年でやるとしても、改定前後の比較が必ずしも改定の影響を正確にあらわすものではないということに留意すべきではないか、といった御意見もいただいております。
また、4つ目のポツですが、概況調査と実態調査について、同一の事業所を対象とすることや、実態調査で3年分の収支を把握するということになりますと、記入者負担の増加や有効回答率の低下が懸念されるということで、これについては十分配慮すべきであるという御意見をいただいております。
また、論点2のキャッシュフローのことでありますが、これについては、1ポツ目、借入金を何年で返済する予定で借りているか、同じ金額でも20年返済か、30年返済かということで全然違うということで、こういった課題もあるのではないか。
あるいは、2つ目のポツで、借入金の返済を調査項目に入れる場合に、借入金の返済が終了したところは「0」と記載してもらうべき。返済が終了したところを未記入とすると、返済金の残額があるもののみが集計されて、調査結果が借りているほうに偏ることになるのではないかといった御指摘。
3番目のポツですが、これまでの議論でさまざまな問題点があると感じた。まずは老健事業等で調査して、経営実態調査に反映すべきとなった時点で反映することとしてはどうか。
おめくりいただきまして、最初のポツでありますが、経営実態調査は報酬改定のための調査という認識が事業者にあるので、調査項目に追加すると、報酬改定に影響があると期待される。報酬改定に影響するものではなく、経営リスクを把握するためのものであるということを明確にして調査に臨むべきではないか。
また、次のポツですが、どうしても把握しなければならないということであれば、参考調査項目として取り扱ってはどうかといった御意見を専門家の方々からいただいております。
それでは、資料1の9ページ、論点3「収支等における介護報酬以外のものの取扱いについて」というものであります。論点として、施設・居住系サービスについては、介護保険外のサービスもあわせて提供されており、介護保険内外の費用の案分が困難なことから、介護報酬以外の家賃、管理費を含んだ事業全体の収支等の状況を現在は把握しているという状況であります。介護報酬以外の収支による部分の取り扱いについて、介護報酬の収支との切り分け手法も含め、今後どのように考えるべきかということです。
対応案としては、1ポツ目ですが、現在のところ、介護報酬と介護報酬以外を適切に切り分けることは困難と考えられます。
次の○ですが、適切な費用の按分の方法について調査研究を行うこととしてはどうかというものでございます。
こちらについては、経営調査委員会のほうからは、そのような方向でよいのではないかという御意見をいただいております。
続きまして、論点の4つ目、10ページ目をおあけください。こちらは論点がこの中に3つほどございます。まず1点目は、特に社会福祉法人の会計処理の問題ですが、介護事業経営実態調査等において、事業者が得た補助金に相当する部分を除外した事業活動に関する収支を把握するため、収入から国庫補助金等特別積立金取崩額を、支出から減価償却費のうち同積立金に相当する額を、ともに除外しています。これらの扱いについてどのように考えるのかという論点です。
対応案につきましては、実態調査等におきましては、実際にそれに相当する額の現金を得るわけではないが、一方で、それに対応する減価償却費についても現金の支出があるわけではないことから、収支差率の算出方法に関しては現行の取り扱いとしてはどうかということがまず1点目です。
ただし、平成27年度から実施されています社会福祉法人の新会計基準も踏まえまして、実態調査における「国庫補助金等特別積立金取崩額」の項目は、「介護事業収益」のほうに計上するのではなくて、「介護事業費用」のほうに移行して計上していくというふうにしてはどうかということです。
これについては、11ページ、12ページにより詳しい説明を載せておりますが、説明は省略させていただきます。
最後、13ページ目に2つの論点を記載しております。
1つ目は、論点の1マルのところでありますが、介護報酬設定の検討の際には、税等の費用を控除する前の収支差率を用いているが、法人税が課税されている法人と非課税の法人があるという現行の税制を前提としつつ、課税・非課税の取り扱いと介護報酬との関係についてどのように考えるのか、ということがまずあります。
これについては、対応案の1マルのところをご覧いただきたいと思います。課税・非課税の取り扱いについては、実態調査等では、介護報酬を中心として収入が介護サービスに要する費用をカバーできているかを把握するための調査であり、現行、税引き前の収支を用いて収支差率を表示しております。
一方、介護事業経営実態調査等では、各サービスごとの法人税等の額も従前から把握しておりまして、税引き後の収支差率も調査しているという状況にあります。
このため、各サービスごとの収支差率を示す際には、論点1の1行目の一番後ろに書いてありますとおり、法人税が課税されている法人と非課税の法人があるという現行の税制を前提とした上で、対応案のほうに戻りますが、各サービスの収支差率を示す際には、こういった前提の上で、現行の税引き前の収支差率にあわせて、税引き後の収支差率も記載することとしてはどうかという案です。
論点の2つ目でございますが、回収率や有効回答率を上げる取組についてどのように考えるのか。この点についてはこの分科会でも再三御指摘をいただいております。回答率等を上げていく必要があるわけであります。
対応案の一番下の○です。回収率や有効回答率を上げる取組については、調査対象期間等の見直しも踏まえ、前回の実態調査において母集団が小さく、全数調査したにもかかわらず有効回答数が少なかったサービス、あるいは記入不備が多く見られた調査項目を中心に、さらなる改善を図ることとしてはどうかということです。これは従前から回答率を上げるためのいろいろな取組をやっておりますが、これらに加えてこういったこともやっていってはどうかということです。
最後に、資料4に戻りまして、最後の3つの論点について、経営調査委員会での御意見を紹介させていただきたいと思います。
2ページ目の「論点4 その他」と書いてあるところでございます。
まず、1ポツ目は、平成27年度から全ての社会福祉法人が新会計基準に移行していることを踏まえて、事務局提案のとおり、実態調査等の様式も見直すことでよいのではないかという御意見をいただいております。
課税費用の取り扱いということにつきましては、下から2つ目、税引き後の数値を算出する際に用いている法人税等の案分方法は、収入比率による案分であるが、この場合、赤字の法人にも法人税が含まれていることには留意が必要ではないか等、技術的にはいろいろと課題があるという御指摘をいただきました。税引き後の数値も示したいということであれば、これを参考値として記載すべきではないかという御意見をいただいております。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
ただいま説明のありました事項、4項目に分かれていますので、論点ごとに議論してまいります。
まず、「1・調査対象期間等」について、御意見、御質問がありましたら、お願いします。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 2ページでございます。対応案として3つ○がございます。前回、私からも単月調査には問題があり、診療報酬では既に改善されていますので、それに合わせて見直しをしてほしいという話もさせていただいておりますことから、この3つの○のうち、一番上の1年分の収支等の状況調査はよろしいと思いますし、また、2つ目の○、2年分を把握することもよろしいと思います。
3つ目につきましては、概況調査と実態調査の客体を一致させないということですが、これにつきましては、我々としてはぜひ概況調査と実態調査の客体を一致させて、3年分の定点にすることが望ましいと考えております。
ただし、一度に大きく変えて回収率が下がるというリスクが生じる懸念も理解せざるを得ませんので、例えば試行的に一部の客体を一致させるなど、徐々に改善させていくという方法もあると思います。
これは事務局に質問ですけれども、3年分の定点調査を行わないことにより、概況調査と実態調査が比較できないことが次の大きな課題になると思いますので、今後の検討課題として、3年の定点というものを検討していくつもりはあるのか、ないのか、それについてお聞かせいただきたいと思います。
それから、論点ではないのですけれども、4ページの上の図のところに「回収期限:5末日」とあるのですが、社会福祉法人の場合、平成26年度の決算より、拠点単位、事業単位、法人単位の、それぞれの区分での資金収支計算書をエクセル等の形式で6月末までに都道府県等に提出することになっておりますので、決算承認の理事会を5月下旬に開催する社会福祉法人も多いことから、回収期限を6月末としたほうが回収率が上がるのではないかと思いますが、それについて、事務局のお考えを伺いたいとい思います。
それと、配付された調査票での回答に替えて、現況報告用の資金収支計算書をエクセルファイルで提出することも可能にすると、さらに回収率が上がるのではないかと思いますが、そうしたことは御検討されているのか、またしていただけるのかについても御回答をいただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 質問を3点いただきました。お答えください。
○佐原老人保健課長 まず、1点目の3年の定点につきましては、事務局としては、次の3年につきましては、提案させていただいている形で進めさせていただきたいと考えております。まず、概況につきましては1年分から2年分になるということ。実態調査につきましては、今までは1か月だったものが1年の調査になるということ。また、これについて、調査の内容が充実する一方で、やはり回収率、有効回答率をしっかり上げるという作業をしていく必要があります。御指摘の点については、今回の見直しの実施状況を見ながら引き続き検討させていただきたいと思っております。
2つ目の期限のことでございます。資料1の4ページ目のところにありますが、回収期限については、御指摘のとおり、5月末ということで、これは基本的に各法人での決算の後と思っております。5月で設定しておりますのは、もし6月に期限を設定いたしますと、その後の集計の期間が非常に短くなります。もし有効な回答でなければ、督促とかいろいろお聞きして、回答の内容の質を上げるという取組をやっておりますので、そういう期間を十分とるという意味で、5月末を一応その期限としております。ただ、実際には5月末に提出されない場合であっても、6月以降、弾力的に対応していきたいと思っております。
3点目のところについては、そういったことも検討課題として考えていきたいと思っております。
○田中分科会長 鈴木委員。
○鈴木委員 3年定点についても今後検討していただけるということのようですので、この件については今回はここまでということで了承したいと思います。
4ページでございますけれども、都道府県への決算書の提出期限が6月末で、6月末のほうが回収率が上がるのではないかということについても、引き続き、例えば提出期限に少し幅を持たせるという形で回収率が上がるような方向で検討していただければと思います。そうしたことを含めてということであれば了承したいと思います。
ありがとうございました。
○田中分科会長 期間の変更等について、ほかに御質問、御意見はおありでしょうか。
特に御異論がないようでしたら、実態調査も概況調査も期間を延ばすことになると思います。
ありがとうございました。
次に、2の「キャッシュフローの把握について」、御意見、御質問があればお願いいたします。稲葉委員、お願いします。
○稲葉委員 キャッシュフローの把握につきまして、7ページの対応案の2つ目の○「また」から始まる文です。括弧書きの中ですが、「介護老人福祉施設」から始まって、最後は「等」で終わっております。これはどこまで含まれるのかというのが質問です。例えばグループホームであるとか小規模多機能型居宅介護であっても、建物等の取得に当たり相当程度の投資が必要とされるわけであり、また、その事業規模からすると、この投資額というものは決して割合的に少なくはないと考えられますので、そのほうが含まれるべきではないかということで、それが1つ質問です。
以上です。
○田中分科会長 老人保健課長、お願いします。
○佐原老人保健課長 今、御質問いただきましたところについては、事務局としてもあえて「等」という形で書いております。例えば今、御指摘いただきましたようなグループホームについても入るのではないかと思います。この趣旨は、2マルのところにありますとおり、建物等の
取得に当たって相当程度の投資が見込まれているかどうか、そういったものがどこまでなのかということについては、我々としては、今、ここに書いてあるものプラス、グループホームが入るのではないかなと思っておりますが、御意見をいただきたいと思います。
○稲葉委員 グループホームや小規模多機能型居宅介護も含まれるということで、了解しました。
○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 7ページの論点に対する対応案、これも3つ○がありますが、これについては、とりあえずよろしいのではないかと思います。
平成26年度以降の社会福祉法人の現況報告では、介護サービスごとの資金収支計算書の作成と提出が義務づけられておりますので、データ収集は十分可能であると思われます。
資料4の介護事業経営調査委員会の意見についてです。これは前回もかなり問題があると思ったのですが、今回も例えば1ページ目の論点2の最初のところですけれども、借入金の返済を20年返済か30年返済かで返済額は全然違うとあります。それはそのとおりなのですが、「これは経営判断の問題であり」と書いてありますけれども、それは違います。我々としてはできるだけ長く借りたいのですが、金融機関との力関係で何年で借りられるか決まるのです。経営判断の問題ではありませんので、そういう話をここで論じるべきではないと思いますし、そういう言い方をすべきではないと思います。
2ページ目の最初の○に、経営実態調査は報酬改定に影響するものではなく、経営リスクを把握するためのものであることを明確にしておくべきではないかという意見があります。これは、資料1の7ページの論点の2つ目の○を見ていただきますと、「介護報酬設定のための基礎資料を得るという介護事業経営実態調査等の目的に鑑みれば」ときちんと書かれておりますので、どこが経営リスクを把握するためのものなのでしょうか。前回の改定を見れば、単月調査で高い順からしっかりマイナス改定にされているわけですから、恐らくその委員会の委員の皆さんは、介護給付費分科会の議論を御存じないのではないかと思いますし、学者の方と会計専門の方が多いようですが、介護給付費分科会での議論とかけ離れた意見が出ているということは問題があると思いますので、ぜひその中に現場の実態をよく知っている委員を入れて、まずその中で意見を調整していただきたいと思います。これは前回もそう感じてお話をさせていただきましたし、今回も強く感じますので、ぜひ現場の実態を踏まえた意見をその中で言っていただいて、そこで調整していただかないと、ここと全く違う感覚の意見が出されて、それがそのまま出てきている感じがします。事務局が選んで載せているわけですから、それでもまだいいかもしれませんが、いわゆる社会福祉経営的な考えの方々に偏っているのではないかという気がしますので、営利企業の方とは言いませんけれども、もう少しバランスのとれた委員構成にされたほうがいいのではないかと思います。これは要望でございます。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 キャッシュフローの把握についてということで、対応案の一番下で今回「必要最低限の調査項目を追加することにより、簡易なキャッシュフローを把握する」ということで、長期借入金返済支出のみを把握するという御提案なのですが、資料4の「介護事業経営調査委員会における主な議論について」の2ページの上から3つ目のポツのところでも、キャッシュインを調査すべきという御指摘もあります。今回返済支出のみを把握することとする理由をもう一回御説明いただきたいのですけれども。
○田中分科会長 説明をお願いします。
○佐原老人保健課長 この点につきましては、経営調査委員会のほうでも、インのほうについても調査をすべきではないかという御指摘がありました。一方で、長期借入金の返済が主たる負担になっているということと、それから、8ページ目でいきますと、左側の税引き後の収支差額と減価償却費に対応するものとして長期借入金の返済があるのではといった御議論でありまして、調査委員会としては、この項目でよいのではないかという結論でございました。
○田中分科会長 どうぞ。
○伊藤委員 この点については資料1の8ページの「簡易なキャッシュフロー(イメージ)」ということでの提案が中医協のほうでもあって、税引き後収支差額と減価償却費から長期借入金返済支出を控除する形で簡易なキャッシュフローを把握するのだという提案があったというのは承知しているのですが、これについては、借入収入をなぜ把握しないのかということが随分議論になって、やはり借入能力ということも非常に重要なのだということで、これは総意で結果として借入収入も把握するということになったと理解しておりますので、介護の実調においてもこれは同様に把握すべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 私は10月末まで中医協に出ておりましたので、その現場で議論をしておりました。確かに中医協の1号側の方にそのようにおっしゃった方もいるのですが、そうでなくて、これで最低限のキャッシュフローになるのです。もっと言えば、正確にはさらにそれにリース債務ないし長期未払金返済支出、長期借入金収入、固定資産取得支出、土地、建物、それ以外に、無形、その他の資産取得支出、それらを入れろという話にもなるわけですが、そうでなくて、キャッシュフロー計算書を作成していない中小の医療機関でもできるようにということでこういう形にしたので、これで大丈夫ですので、介護給付費分科会としてはこれでよろしいと思います。
○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 大分議論があったということは把握しているのですけれども、金融機関も特定されているから、借入について把握することは容易だということの議論もあったと思いますし、結果としてそこは合意があったのではないかなと思っておりますが、いかがでしょうか。
○田中分科会長 事務局はいかがですか。
○佐原老人保健課長 確かに中医協のほうでは借入のことについても記載するということになっていることは把握しております。
それから、経営調査委員会のほうで御議論いただきましたときに、先ほど私、言い忘れましたが、借入金の返済だけではなくて、借入のほうも書くとなると、記入者の負担が増えるのではないかといった御意見。これはそもそも論になりますが、キャッシュフローというのを正確に把握するということであれば、これら以外にも非常にたくさんの項目をきちっととっていく必要があるのではないか。ただ、そうすることは記入者負担ということで、難しいということであれば、非常に簡易にとれるものだけをとっていくということが適切なのではないかという御意見もありまして、今のような形で提案をさせていただいております。
○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 借入について記入するということがどれだけ負担になるのかということは、ここは中医協ではありませんので、別途の議論があり得るのかわかりませんけれども、その辺については、そんな難しいことではないと理解しております。あえてキャッシュフローを把握するということであれば、そこは借入も含めて把握すべきだというのが意見でございます。
○田中分科会長 武久委員、どうぞ。
○武久委員 きりがないので。
経理指標としてはCFの損益計算書と事業収支と貸借対照表、これは基本的なものですけれども、その全てをつぶさに調査しないと介護報酬の実態調査ができないということとはまた別の問題でありまして、当初介護保険が始まる2000年のときに問題視していたのですが、4のところでの所得税、法人税、また固定資産税、そういうものが免除されている事業体とそうでない事業体とが同じ報酬、同じ土俵で競争するということの不公平さというのは、明らかにあると思いますし、大昔は病院では甲表と乙表ということで、公立病院とそうでないところと分けた診療報酬になっていましたけれども、どう考えてみてもこういうところがつじつまが合わなくなるのですね。CFでやる場合は、後の減価償却にもかかわってきますが、我々は減価償却と税引き後の利益で元金返済しているわけですから、このごろのように建築費が高騰しますと、減価償却の範囲内では借金が返済できないという事態に立ち至っているわけでございまして、これが民間といいますか、社会福祉法人以外のところとか公立のところとの大きな違いであります。ここを一切考慮しないで実態調査をしていくことの是非ということについて、改めて立ちどまって考えてみる時期かなと思います。
○田中分科会長 4番のほうも含めて言っていただきました。
本多委員、どうぞ。
○本多委員 今の問題ですが、対象期間について1か月を1年にすることも、診療報酬改定に倣ってという御意見もありましたので、できるだけ診療報酬と整合性を合わせられるものについては合わせていくべきなのではないかと思います。
回収率のアップも重要なのですが、キャッシュフローを掴むことがそもそもの趣旨でありますので、精緻なものを求めるという観点からもう一度御検討いただけたらと思います。実際の現場の状況からそれが相当困難であるということであるならば、今回はどうするかという判断はあるかと思いますが、いずれにしろ整合性を合わせていく必要性があるのではないかと思います。
○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 中医協の議論では、税引き後の収支差額に減価償却費を足したものから長期借入金返済を支出すれば簡易キャッシュフローになるということで、話が公益委員の方とも水面下ではできていたのですが、1号側の方の中で短期の借入金も入れろと言う人がいたので、仕方なく合意形成のためにそういう形にしました。実際にはそれは使わないということで処理しており、あえて使わないものを入れる必要はないので、簡易にやるのだったら、これでよろしいと思います。中医協を参考にしてほしいということですけれども、中医協の結論も報酬の合意の上に成り立っておりますので、1号側の意見も受け入れざるを得ないという妥協の産物でああいう形になりましたが、実際は使わないものですから、入れる必要はないと思います。短期の収入が増えてしまうということは、キャッシュフローに関しては、かえってよくないと思いますので、これでよろしいと思います。
○田中分科会長 ほかに御意見ございますか。
では、さまざまな御意見を伺って最終的に判断いただくことでよろしいですか。何か。
○佐原老人保健課長 御意見ありがとうございました。事務局としてももう少し考えてみたいと思っております。
もう一点、資料4、経営調査委員会のほうで御議論いただきましたところで、2ページ目の上から3つ目のポツになります。今の議論と非常に関係するのですが、「キャッシュフローを把握するための調査なら、キャッシュインとキャッシュアウトを調査すべき。別の名称にしないとキャッシュフローではないと指摘されるのではないか」と。そもそもこの調査を「キャッシュフロー調査」と言うことについてもどうなのかという御意見を専門家からいただいております。その点も御紹介させていただきます。
○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 それなら別に「簡易キャッシュフロー調査」などと言えばいいのではないですか。
○田中分科会長 財務諸表におけるキャッシュフローは、項目数がずっと多いですからね。配当まで入りますし、投資収支も入りますけれども、ここはあくまで簡易であると。一番経営に影響があるのは借金を返せるかどうかだというところに絞り込んでおります。
では、次に「3.収支等における介護報酬以外のものの取扱いについて」、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。瀬戸委員、お願いします。
○瀬戸委員 国庫補助金等特別積立金取崩額については、我々、ずっと検討していただきたいということで、ここでも申し述べてきましたが、今回、収益から費用のほうに移行するという形での表記になりましたので、額が例えば国庫補助金が以前は4分の3ほどあったのが、最近はそんなにないので、額がかなり少なくはなってきていますが、実態、費用として見ていただけるということであれば、この方向性に賛成したいと思います。
以上です。
○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 今の話は「4.その他」、10ページのところだと思うのですけれども、今は3についてですね。
○田中分科会長 3ですね。
○鈴木委員 4もそれでよろしいと思いますし、9ページの3ポツの対応もこれでいいと思います。ついでに言えば、その後の「その他」もそれでいいと思います。どうせ言わなければならないのでしたら、言っておきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
4についても意見があればお願いします。稲葉委員、お願いします。
○稲葉委員 「収支等における介護報酬以外のものの取扱いについて」に対する質問です。
まず、そもそもこの介護保険制度というのは、現物給付として個々の対象サービスごとに提供したサービスに対する対価が支払われているものであります。介護報酬以外のものの取り扱いは外して考えるのが、判断の材料としては本来の姿であると思っております。
ですが、9ページの対応案などでも指摘されておりますが、介護報酬と介護報酬以外を適切に切り分けるためには案分方法などの提示が必要ですが、調査のときにこれを介護事業者任せであっては調査結果がぶれてしまうので、今後統一したルールを示す必要があるのだと考えております。
そして、介護保険が始まって15年たっておりますけれども、その間、介護サービスも多様化しておりますし、供給の主体もかなり多岐にわたっている、会計基準も異なる中でありますので、その制度の報酬の改定のたびにマイナーチェンジを行っておりますが、ここで今後は大きくしっかりとした調査設計のあり方の検討をしていただきたいというところが要望であります。その中で質問なのですけれども、経営実態調査の中で、算出される収支差率というものは、介護報酬と介護報酬以外を切り離して算出される収支差率となっていますでしょうか。これが質問です。
○田中分科会長 老人保健課長、お願いします。
○佐原老人保健課長 現状では、ここの論点に書かれているとおり、そこをうまく切り分けた上で出しているわけではありません。
○田中分科会長 稲葉委員、どうぞ。
○稲葉委員 先ほど申し上げましたように、切り分けて介護報酬のみで評価を試みてはどうかと思いますので、できることでしたらそれも合わせて表示するようなことをされてはどうかということを意見させていただきます。
○田中分科会長 御意見ですね。
事務局案は、まずは研究事業を行うと書いてあります。
3番、4番について、ほかに何かおありでしょうか。
ないようでしたら、次の議題に移ります。議題2「介護サービスに関する消費税の取扱い等について」、事務局から説明をお願いします。
○佐原老人保健課長 それでは、資料3をご覧ください。資料3は「介護サービスに関する消費税の取扱い等について」というものでございます。1枚おあけいただきまして、1ページ目は「介護給付費分科会において確認された検討の進め方」ということで、これは前回も示ししました資料であります。
上の四角の中ですが、10%引き上げに向けた対応については、消費税8%引き上げ時の考え方及びその後の事業所等の実態等を踏まえて、必要な対応を検討し、28年12月までに方針を決定する必要があります。
2ページ目は「消費税率10%への引上げ時における対応に関する論点」ということで、現段階の論点としては、消費税8%への引き上げ時における対応を踏まえ、現時点においてどのような対応が考えられるのか。参考として8%に引き上げたときの論点としては、消費税率の引き上げに伴う影響分の補填をどのような手法で行うのか。そして、介護報酬への上乗せをどうやって行うのか。基準費用額、負担限度額、区分支給限度基準額の取り扱いをどうするのかというような問題がありました。
3ページ目は「介護給付費分科会等における主な意見」で、9月14日の経営調査委員会、9月18日、前回の給付費分科会における主な意見を記載しております。詳細は省略させていただきます。
4ページ目は「今後の検討に当たり把握すべき事項について」です。消費税10%への引き上げ時における対応については、今後とも医療保険における議論の動向も踏まえて検討する必要があるが、今後の検討に当たっては事業所等の実態の把握が必要となる。このような中、以下の(マル1)~(マル4)の事項の把握についてどのように考えるかということで、論点として4つ提示をさせていただいております。
1番目が「(マル1)介護サービスの課税割合について」というものでございます。
論点、1マル、消費税率の10%への引き上げに伴い、介護サービス施設・事業所の仕入れ等に係る消費税負担が増大するが、これを適切に把握する前提として、消費税率8%時における各介護サービスの課税割合のデータの算出方法についてどのように考えるのか。
これは給付費分科会で何回も御議論いただいておりますが、次のページに書いてありますように、各サービスごとに課税対象となる費用の割合を算出しまして、それぞれのサービスごとに105分の108を掛けるという作業をしております。詳細は省略させていただきます。
4ページ目に戻りまして、2つ目の○ですが、具体的には消費税率8%への引き上げ時と同様に、28年度の経営概況調査の結果を用いて、各サービスの人件費、その他の非課税品目を除いた課税割合を算出して、これに対して必要な率を掛けていくという作業をやっていくということでどうかということでございます。
6ページ目は、論点の2つ目「(マル2)介護サービス施設・事業所における設備投資の状況について」というものです。
論点のところ、1マルですが、消費税率の8%への引き上げに伴い、関係団体のヒアリングを行うとともに、「介護サービス施設・事業所の設備投資に関する調査」を実施いたしました。経緯としましては、診療報酬において、特に高額な投資を行っている個々の医療機関にとって、消費税の引き上げの負担感があるという御指摘が当時ありまして、医療機関が行う高額投資について調査を行うこととされました。介護保険についても同様の対応が必要ではないかということで、8%引き上げ時にこのような調査を行っております。
そのときの結論としては、介護報酬とは別建てでの高額投資対応は必要ないという結論をいただいております。
そのような前提のもとで、1マル目の3行目になりますが、介護サービス施設・事業所における設備投資の状況を把握する必要性の程度についてどのように考えるのかということでございます。
次の○の下ですが、今後の対応として、本調査結果、25年の調査結果を基本としつつ、直近の状況については、介護事業経営調査委員会において関係団体のヒアリングを実施することにより把握することとしてはどうかということです。
8ページ目は次の論点であります。「(マル3)消費税率の8%への引上げに伴う介護報酬による補てん状況」の検証ということですが、論点として、1マル目でございます。消費税率の8%への引き上げに伴う影響分を補填するために、介護報酬への上乗せ対応を実施したが、この補填状況を改めて把握することについてどのように考えるのか、ということです。
次の○ですが、介護サービスについては、平成26年度介護報酬改定において、基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算にも上乗せを実施していること。また、設備投資に関する調査によれば、介護サービス施設・事業所の高額な投資は、建物が大宗を占めており、医療と比べて総額、件数ともに小さい傾向にあること等を踏まえまして、補填状況を把握する必要性や実現可能性についてどのように考えるのかということです。
9ページ目、10ページ目は、前回の対応について説明をしているものです。
12ページ目は、4つ目の論点「食費・居住費の平均的な費用について」ということであります。次のページに現在の基準費用額が食費、居住費、また、介護3施設、それぞれについて記載をしております。この基準費用額を定めるに当たっては、食費・居住費の平均的な費用額を踏まえて定めることとされていますが、消費税率10%への引き上げに伴う基準費用額の水準の検討に当たり、食費・居住費の平均的な費用額の把握についてどのように考えるのかということであります。
ちなみに、8%への引き上げ時には基準費用額は引き上げないという御判断をこの分科会でいただいております。
2つ目の丸ですが、検討の準備に当たりまして、平成28年度の概況調査において、食費については調理員等に関する費用及び材料費等を、居住費については減価償却費や光熱水費を把握しておくこととしてはどうかということで、御議論をいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問があればお願いします。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 2ページ目は、一応「論点」ということになっています。これにも回答するのかどうかわかりませんけれども、引き継ぐものは引き継ぐし、見直すべきものは見直すということだろうと思います。
4ページからの(マル1)、(マル2)、(マル3)、(マル4)ついて、主にお話しさせていただきます。まず、4ページの「(マル1)介護サービスの課税割合について」でございますが、課税経費率を把握して、5ページにあります一覧表のようなデータを作成することはよろしいと思います。ただ、その上で、費用構造は、何年かたてば変わってくる可能性がありますので、今後は定期的にこうしたデータを把握すべきであると考えます。
そして、一定以上の乖離が出現するようであれば、補填を見直すなどの対応ができるようにしておくことが重要であると思います。診療報酬でも定期的に検証や見直しをしていたら、現在のように、後から見てわからないという大問題にならなかったのではないかという反省がありますので、介護報酬においては同じ過ちを繰り返してはならないと思います。
その上で、5ページ目の一番下に参考として「平成26年度介護報酬改定における改定率」の計算式が載っておりますが、これについては、10%引き上げ時にもこれでやるという提案なのか、あくまでもこれは参考で、調査結果をどう使うかは今後の議論によるということなのか、事務局の考えを確認させていただきたいと思います。これは質問でございます。
6ページは「(マル2)介護サービス施設・事業所における設備投資の状況について」ということでございますが、これは基本的には診療報酬での対応に合わせるということでよろしいと思います。診療報酬では、現段階では設備投資の調査をすることにはなっておりませんので、課題として把握した上で、診療報酬のほうで何らかの動きがあれば、改めて対応するということであれば了承したいと思いますが、それについても事務局の考えを確認させていただきたいと思います。
一番下に関係団体のヒアリングを介護事業経営調査委員会において行うと書いてあるのですが、これは先ほどから言っているように、中医協で言えば公益委員だけがヒアリングを受けるという形になりますので、やはり1号、2号というか、介護給付費分科会のメンバーも全員というわけにはいかないでしょうが、入れてやるべきではないかと思います。このままではヒアリングの結果が、結局、間接的にしかわからないということになりますので、その辺の歯がゆいところを少し見直していく必要があるのではないのかと考えます。
8ページの「(マル3)消費税率8%への引上げに伴う介護報酬による補てん状況」ということでございますが、最後のところに「補てん状況を把握する必要性や実現可能性についてどのように考えるか」とありますので、この2つを分けて答えさせていただければ、必要性はあるかということであれば、あると思います。たとえ26年の改定での対応がうまくいっていたとしても、だからといって、それを検証する必要がないということは言えないと思います。今後事業者等から補填が不公平だというような意見が出てきた場合には、きちんとした対応を検討するということであれば了解したいと思いますが、これについての事務局の考えを伺いたいと思います。
次に実現可能性ということですが、これは事務局にずばりお聞きしたいのですけれども、本当ならば27年度の介護報酬改定の前にやっておくべきではなかったのかとも考えられるのですが、事務局としてはどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
最後の12ページの「食費・居住費の平均的な費用額について」ということでございますが、これは論点として○が2つありますけれども、食費・居住費の平均的な費用額の把握は必要かということであれば、これは必要だと考えます。
2つ目の○については、居住費についてはこのままでよろしいと思うのですが、食費については、御存じだとは思いますけれども、自前で調理している場合と外部委託している場合と分けて調査する必要があります。つまり、自前で調理している場合には、厨房職員の給与、賞与、社会保険料について消費税がかかりませんが、外部委託している場合には、委託料を含めてほぼ全ての調理コストに消費税がかかりますので、この2つを分けて調査、統計をしなければならないという点に留意すべだと思います。それを踏まえた上であれば了承したいと思います。
以上です。
○田中分科会長 私の理解では質問が4点あったと思いますが、いかがでしょうか。
○佐原老人保健課長 御質問ありがとうございます。
まず、5ページ目の下、参考として「平成26年度介護報酬改定における改定率」というものがあります。こちらの手法は、前回の8%への引き上げ時に、給付費分科会で御議論いただいて、決めていただいたものと考えております。8%から10%への対応に当たっても、基本的にはこのやり方でやるのではないかと事務局としては考えておりますが、さらによりよい方向があるのであれば、その点は今後御議論をいただきたいと思います。
2点目は、設備投資についての調査を医療保険のほうでやるということであれば、そういった対応も必要なのではないかということだったかと思います。その点については中医協の状況も見つつ、考えていく必要があるのではないかと考えております。
3点目は、同じ6ページ目のところかと思いますが、一番下のところ、ヒアリングを実施するにしても、経営調査委員会ではないほうがいいのではないかという御指摘かと思います。事務局としては、経営調査委員会、経営の専門家の先生方に入っていただいておりますし、また、より機動的に対応できると考えております。基本的にはそういう方向で行きたいと思っております。
4番目は、8ページ目「補てん状況を把握する必要性や実現可能性についてどのように考えるのか」ということでございました。まず、「補てん状況を把握する必要性」ということにつきましては、前回の介護給付費分科会でもお答えをさせていただいていると思いますけれども、介護報酬の場合は、診療報酬の場合と違いまして、各サービスごとにこのように課税の費用構造を明確にしまして、その上で、全ての報酬について非常に機械的な対応をしたということであります。一方、診療報酬のほうは幾つかの重点項目について消費税分を評価したということで、介護報酬のほうは、診療報酬に比べますと、補填の状況を検証していく必要性というのはずっと少ないのではないかと我々としては考えております。
また、実現可能性ということについては、もちろん、どんなことでもやればできるのではないかと言われれば、事務局として頑張らなくてはいけないのかもしれませんが、一方で、今回調査を充実していくということがあります。概況調査については1年分を2年分にする。また、有効回答率も低い中で、それをきちっと上げていく努力も事務局としていかなければいけない。また、スケジュールも短い中で調査をやっていかなければいけない、といったことがありますので、こうしたコアな作業と並行して新たな調査をやっていくことについて、正直なところなかなか難しいのかなと考えております。
以上でございます。
○田中分科会長 鈴木委員。
○鈴木委員 丁寧にお答えいただいたとは思うのですが、ヒアリングは、ぜひ我々にも見えるところでやっていただきたいと思います。我々からすれば、密室で議論されて、一部の意見だけが伝わってくる。しかも、その内容がこの介護給付費分科会とは非常にずれがあるというような委員会の存在は、今後に問題を残すと思いますので、ぜひもう一工夫していただきたいと思います。中医協にも基本問題小委がありますけれども、もう少しメンバーを限定して、一緒に議論したり、ヒアリングをしたりというような場を設定するとか、何らかの方法をぜひ検討していただきたいと思います。これは強い要望でございます。
必要性、実現可能性ということですが、必要性は少ないという話でございましたが、10ページを見ても、例えば上の身体介護は、20分未満は170単位で1単位、20分以上30分未満は254単位でも1単位ということで、広く薄く乗せているからと言いましても、やはり限界があるということだと思いますので、広く薄く乗せているから必要性がないと結論づけることは容認できないと思います。
ただ、現時点でそれほど不満の声もないということでありますので、そういうことであればやむを得ないかもしれませんが、今後事業者から不公平だという意見が出てきた場合などにはきちんと対応していただきたいということを、ぜひお約束いただければと思います。これはもう一回確認をさせていただきたいと思います。
実現可能性については、はっきりしたお答えではなかったのですけれども、我々としては、もう遅いのかもしれませんが、やっておけばもっとはっきりしたのではないかと思わざるを得ないということはお話しさせていただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 御要望として。
阿倍委員、どうぞ。
○阿部委員 診療報酬に比べると、随分きめ細かく対応していると思うのですが、その上で8ページの(マル3)でありますが、確かに補填状況を把握できればよいと思うのですが、どこまで調べられるのか。大規模でなくてもよいので、まずはモデルとして、ごく少数の対象に対し十分に補填状況を把握し、その結果を見て、今後どこまで補填状況の把握対象を拡大するか検討してもよいのではないかと思います。その上で、12ページでございますが、食費・居住費の平均的な費用額も把握しておいたほうがよいに決まっているわけでありまして、ぜひお願いしたいと思います。ここも事業経営概況調査でどこまで把握できるのか、もし難しいのであれば、幾つかサンプルに対し、きめ細かく把握していただければと思います。
以上です。
○田中分科会長 東委員、どうぞ。
○東委員 まず、平成26年度消費税率8%引き上げ時における介護報酬上の対応に関しては、先ほどから御意見が出ていますが、私どもの団体(全老健)にも余り細かなクレームは今のところ挙がっておりませんということを御報告しておきます。大変丁寧に対応していただいたと思っております。
ただ、資料3の12ページ「(マル4)食費・居住費の平均的な費用額について」でございますが、食費・居住費の基準費用額については、前回全く消費税における対応がなされませんでした。これについては、私どもの団体(全老健)の会員から、多くのクレームが出ておることを御報告しておきます。私は、そもそも居住費の基準費用額が減価償却費等で規定されていることが大きな問題だと考えております。必ず年々下がる減価償却費というもので規定されておりますと、今後消費税がどれだけ上がっても、基準費用額に対し消費税が全く反映されないということが考えられます。これは大きな問題だと思います。また、今回の介護報酬改定におきましても、光熱費のみで規定された多床室の基準費用額だけが上がり、個室の基準費用額が上がらなかったという大きな矛盾がありました。これも個室の居住費が減価償却費等で規定されているというところが大きな原因でございます。
老健や特養におきましては、補足給付を受けている方が施設入所者の60~70%というエビデンスをこの介護給付費分科会に既に出しております。施設入所の6割、7割が低所得者対策になっているのはいかがなものでしょうか。
今回の介護報酬改定においては、補足給付を受ける基準を厳しくしておりますが、厳しくした後の補足給付の利用割合というものも調べるべきだと思います。補足給付に関しいろいろなことを申し上げましたが、基準費用額を含めた補足給付のあり方自体を、ぜひ介護保険部会等で検討していただきたいと思います。その上で、早急に消費税に対してもきちんと対応していただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。
以上です。
○田中分科会長 武久委員、お願いします。
○武久委員 介護報酬に対する消費税は診療報酬に準じるというのはよくわかりますし、ここに書いてあるように、建物も医療に比べるとそれほど大きくない、だからいいのだというような論点ですけれども、診療報酬に準じるのであれば、診療報酬のことも関係するわけですが、消費税というのは消費するものにかかるものでありまして、建物は不動産なのです。不動産というのは、消費するものとは別に不動産取得税が4%かかりますし、固定資産税が毎年1.7%かかりますし、40年たつと68%で、全部足しますと80何%が、不動産としては税金としてのジャンルの中に入るわけです。
それに対して、例えば10億円の老健、病院を建てたとする場合に、1億円消費税を払いますと、それを介護報酬等でカバーするのに一体何十年かかるのかということを考えると、設備投資をするのに躊躇する。これは診療報酬も全く同じ構図でございまして、これに対しての何らかの対応がなければ。最初に言ったように、診療報酬で言うと民間と公立、介護報酬で言うと社会福祉法人系と民間。これは税金上で物すごい大きな差がありますので、ここのところを全く考慮しないで進めていくのか、それからまた消費するものと不動産というものを全く同率に考えて、多大な投資に対して非常に大きな税負担を強いるということ。今後どういう方向に老健局が考えているのか。診療報酬がこう決まったら、それに準じて介護報酬は消費税に対して対応すればいいのだというような考え方で行くのか、それなりに問題点をちょっと挙げていただいて検討するべきだと考えておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○田中分科会長 消費税対応についての御質問がありましたが、いかがでしょうか。
○佐原老人保健課長 いろいろな御意見をありがとうございました。
消費税のこともいろいろな御意見があると思います。これは給付費分科会だけの話ではないかと思います。そもそもの制度のあり方ということも含めて、引き続きいろいろな場で御議論をいただきたいと思っております。
○田中分科会長 消費税についてはよろしゅうございますか。瀬戸委員、お願いします。
○瀬戸委員 12ページの(マル4)の基準費用額に関して、鈴木委員とか東委員からもお話がありましたように、ぜひ「調理員等」のものと、水光熱費に関しても電気料も非常に上がっておりますので、これらを考えた上で、これはもともと消費税10%引き上げに伴う費用額の水準の検討になっていますが、確かに人件費に消費税はかかっていないですが、調理員を雇う人件費も非常に高騰しております。全体の費用として幾らくらいかかっているのかということをもう一度見直していただくといいかなと思いますので、ぜひこれを把握していただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 調査対象に含めるということですね。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 「(マル3)消費税率8%への引上げに伴う介護報酬による補てん状況」ですけれども、その把握に関しては、事務局は非常に消極的のようです。現場からの不満が現時点ではまだないということでありますが、先々もそうであるとは限りません。今後さらに消費税率が上がっていくわけですので、そういった声が出た場合には改めて対応を検討していただきたいということを強く要望したいと思います。
それと、先ほど東委員から補足給付の補填の問題がありましたけれども、例えば地域区分は、さらに上乗せされるという問題もありますので、少し細かいですが、そうした検討も引き続きしていただければと思います。
以上、意見です。
○田中分科会長 意見を伺いました。
ありがとうございました。
本日御議論いただいた内容に関して、議題1については、次回の介護給付費分科会において取りまとめを行います。
議題2については、すぐ結論が出ませんので、引き続き検討を進めていくことにしたいと存じますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
○田中分科会長 その他で何か。亀井委員、どうぞ。
○亀井委員 3点ばかり御質問、あるいはまた要望をさせていただきたいと思います。
1点目は、局長にお聞きしておきたいと思うのですが、1億総活躍社会実現に向けての取組と昨年成立した地域医療・介護総合確保推進法との整合について、ちょっとお聞きしたいなと思っているのです。介護離職ゼロを目指す、これはすばらしいことで、願ってもないことでございますけれども、52万人の待機者がいらっしゃるということの中で、施設整備が促進されていかないのか、在宅政策に逆行しないかという懸念というか、心配があるわけです。そんな場合、職員の確保も大丈夫なのか。
御案内のとおり、日本には3つの国がございまして、1つは、2008年、平成20年から人口減少に転じているのですが、いまだに人口増を続けている国があるわけです。これは東京圏を中心に、まだ10万人ばかりの人口の超過がございまして、そのほとんどの方というのは15歳から29歳の若者であるわけでございまして、うらやましい限りでございまして、そういう国がある。これは少数です。
最も多い国は、少子高齢が進んできまして人口減少に転じている。こういう国が最も多いわけです。
3番目の国というのは、高齢者まで減ってしまってきているわけですよ。施設も、これは介護の施設や、これは障害の施設や、これは児童の施設ですと。こんなことを言っているのはナンセンスや、一体化していったらどうなのかということをおっしゃる自治体も国もあるわけでございます。
一番人口が増えている、あるいは2番目の少子高齢、人口減少。こういうところにあっては施設整備がもっともっとという要望が強いかもわかりません。
その場合、それは保険料にすぐはね返ってくるわけでございますけれども、そんな場合、これを抑制していくような措置が講じられていくのだろうかということを思うわけです。そのことについて、1億総活躍社会実現に向けての取組と地域医療・介護総合確保推進法との整合について、一点お聞きしたいなと思ってございます。
2点目は、局長にお聞きしておこうかなと思いますが、新福祉ビジョンと地域包括ケアシステムとの関係なのですが、我々基礎自治体からすれば、新福祉ビジョンというのは願ってもないことでございまして、まさに我々自治体の思いを酌んでいただいて、そして社会保障を所管する役所としてのすばらしいメッセージを発してくれたものだと思っております。
これは、プロジェクトチームに三浦老健局長がお入りですし、幹事会においても5名の課長さんがお入りですが、もうみんな変わってしまったのかなと思っているのです。だけど、まだ1回やっただけですけれども。塩崎大臣が保健医療、健康づくり2035構想をおまとめになりましたが、それを具現化していくための大きな一本の柱になるのだと確信しているのです。
日本は、2035、2025年から2040年の間、この社会保障制度を崩壊させずしてどうして乗り切っていくのか。これが今、世界が注目しているところであるわけでございますけれども、そんな中でこの新福祉ビジョンというのは、まさに基礎自治体からしたら、これは介護や、これは障害やとか、こんなのは関係ないわけです。
ですので、私は、協議体は介護だけのものだったら、もうつくる必要はないと思っていたのですが、新福祉ビジョンの中での協議体は確認の意味でも絶対つくっていかなければいけないと思っているのですが、高齢、障害、子供・子育て、貧困。貧困も、認認介護などがどんどん起こってきているわけです。それと消費者保護、被害防止。今、背番号関係でもこれのトラブルが起こってきておりますけれども、そういうことをいろいろ包括してやっていくようなシステムをきっちりつくっていかなければならない。それこそは何かというと、地域づくりであり、まちづくりであるわけでございまして、住民自治の熟度を高めることによってできてくる土台、プラットホーム。外国語で「ソーシャルキャピタル」と言われていますけれども、そんなものをきちっとつくっていかなければ、2025年から2040年という大きな山、特に2035年が一番大きな山になるわけですが、これを乗り越えることはできないと思っております。
まさに現場ではそういう取組をせざるを得ないという中でしておりますし、施設についても、やはり一元化というか、そんなものも今後視野に入れて考えていかなければならないと思っておりまして、そのための法の整備も進めていかなければならぬのと違うかなと思っていまして、とりあえずのところ介護と障害とかいうことがまず来るのだろうと思いますけれども、この辺の局長のお考えなどをお聞きしたいなと思っています。
幾ら頑張ってもあと数十年は人口減少が続いていくわけでございますから、そういうことを視野に入れた中でのきっちりした法の整備も必要になってくる。こんなふうに思っています。
それから、3点目は要望です。私は国保を代表して出させていただいているので。平成30年に都道府県化をしていこうという中で進んでいます。そうなってくると、基礎自治体、今の保険者の最も大きな仕事は何かというと、保険事業になってくるわけです。生涯現役の社会をいかにしてつくっていくかということで、私は、保健師の復活も視野に入れてやっていかなければならぬのと違うかなと思っています。
それで、今、我々は国保データベースシステムを活用して保険事業をやっております。(ハマ)谷審議官もよく御存じですが、今、63帳票を持ってやっているのですが、もっともっときめの細やかな対応をしていこうと思ったら、もっともっときめの細やかなデータベースをつくっていく必要があるので、これは国のほうでちょっと御支援をいただいたらいいのになと思っております。
介護の関係もなのですが、医療給付も介護給付もこのことによって抑制していくことはかないます。特に投薬の関係などは一目瞭然に把握できるわけですから、そういうことがかなえられるのですが、そんな中で国保の保険事業の枠、キャップはないのですが、介護は、保険事業がまだキャップがはめられているわけですが、こんなのはもっと弾力的に拡大していってもいいのではないかなと思うのですが、(ハマ)谷審議官にこの部分を聞かせてもらっておきます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
お答えをお願いします。
○三浦老健局長 老健局長でございます。
お尋ねいただきまして、ありがとうございます。突然の御質問でございますので、想定問答があるわけではございませんので、十分なお答えができるかどうかわかりませんが、現時点でお答えできることをできるだけわかりやすくお話し申し上げたいと思います。
まず、1億総活躍の関係と総合確保法の趣旨との関係をお尋ねいただきましたけれども、今回、先般の国民会議でもお示ししたとおり、介護離職ゼロを目指して、一定の介護資源の整備を進めていくということにしているわけでございますが、その内容としても、必ずしも施設重視ということだけではなくて、在宅サービスも含めて考えているわけでございます。
もちろん、施設といっても、施設ができることによって、現実には在宅サービスの拠点となっているということもございますし、施設、在宅取りまぜて地域包括ケアシステムの中で位置づけられるのではないかと思います。
また、御指摘ございましたとおり、介護基盤を整備していくということになりますと、人材の確保ということが極めて重要な課題になってまいります。今回の見直しの中でも、人材の確保に向けてさまざまな取組を行っていくことにしているということもそういうことでございます。
また、サービス全体への影響についてお尋ねいただきましたが、例えば介護で離職されるという方が対象としている要介護者の方々は、何らかのサービスを使っているという場合も多いのではないかと思います。そういう中で、しっかりとした対応をしていくということでございますので、今後どういうふうに動向していくのかということについては、これからの全体の動きなどを総合的に見ながら考えていくべきものだと思いますが、いずれにせよ、サービス基盤の整備ということが今回の主眼になっているということは、御指摘のとおりでございます。
それから、新福祉ビジョンについてお尋ねいただきました。地域包括ケアシステムというと、高齢者の医療・介護、生活支援、また住まいというさまざまな要素が地域において提供されるシステムということが一般的な理解ではないかと思いますが、この新福祉ビジョンにおいて、そのシステムというのが高齢者のみに対して向けられているということではなくて、障害をお持ちの方や、あるいは場合によっては、お子さんなども含めて、世代を越えて、障害のあるなしを越えて、多くの住民の方々に向けたサービスとして地域包括ケアシステムというのが整備されることが明らかにされています。その中で、最近の特に大きな課題としては、福祉ニーズが非常に多様化し、複雑化していること。また、それらに対する提供体制をどのように効率的に組んでいくのかということもございまして、多様なニーズに総合的に対応できるような仕組みとして新福祉ビジョンが想起されているということだろうと思います。
そういう点で、新しい福祉の姿がまさに地域を基盤として、地域の独創性に依拠しながら、それぞれの地域にふさわしい最も適切なシステムとして成長していく。こういうことが地域の福祉、医療、介護のさまざまなサービスについて必要であるということは言うまでもないことでございますので、そういう点でも、私ども行政もそういう地域でのさまざまな取組を支援していく仕組みを常に考えていく必要があると考えているところでございます。
○田中分科会長 審議官も御指名がありましたので、お願いします。
○(ハマ)谷審議官 以前国保課長だったということで御指名いただいたと思います。
御指摘のとおり、国保については、当時はデータヘルスと申しておりませんでしたけれども、国保データベースシステムを活用して国保連が市町村を支援しながら、市町村で積極的に保険事業、要望に展開できるという仕組みが今、整ってきている最中であると考えております。
介護の世界でも、そういった意味では要望をこれからしっかりやっていくという意味では共通ではないかと思っております。
先日、総理も和光市を視察いたしまして、実際に要支援から脱却といいましょうか、よくなっているというような事例をご覧になり、こうした好事例の横展開を考えていくべきではないかというふうな指示をいただいております。
また、大分県でも和光市などを参考にしながら、県も積極的に支援しながらこういった事業に積極的に取り組んでいるものと聞いております。
データで見ましても、大分県全体でも要介護認定率がここ3年間でデータとしてしっかり改善しているということも聞いておりますので、今後こういったデータ、あるいは総理の指示なども踏まえながら、介護予防、どのような形で横展開、積極的に展開できるか検討してまいりたいと考えております。
○田中分科会長 よろしいですか。
○亀井委員 (ハマ)谷審議官、また今後の検討を。国保は保険事業の枠が決められていない。介護は決められていますから、それを外して、そこを一生懸命やったほうがその抑制につながっていくのだと思っていますので。
それと、局長からすばらしい答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。
○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 亀井委員のあれとダブるところもあるかと思うのですが、認知症の人と家族の会としましては、もう少し現実的な話から、できれば厚生労働省のほうからもお考えを伺いたいと思います。
今回の改定、とりわけ8月に利用者負担2割が実施されましたし、補足給付が見直されたということで、大分サービスを制限せざるを得ないとか、利用していた事業所が閉鎖されてしまったという事態に直面している利用者さんもいらっしゃいます。補足給付などは特にそうですけれども、境界線の方が大変だという声がありまして、生活保護も増えているのではないかという声すらあるというのが現実だと思います。
報道を見ましても、事業所さんの倒産が増えているという報道というのは、この先、制度がどうなるのかなということ、不安に拍車をかけているということが現状だと思います。
介護人材の確保というのがずっと言われているわけですが、なかなか解消されませんで、特養をふやすという提案もありましたけれども、開設しようと思っても働き手が集まらないために開設ができないとか、あるいは介護休暇をとりやすくするということもありますが、実際介護休暇をとりやすくなっても、その後のフォローが十分でなくて、結局、職場に戻れないということにつながってしまう可能性もあるということで、取り組まれている施策というのも、うっかりすると絵に描いた餅になりかねないという状況があるのではないかと思っております。生活の現状と政府の先行きに対する利用者家族の不安は尽きないというのが現状であると言わざるを得ないと思います。
制度のこれから先のあれなのですけれども、財務省ではいろんな負担増、給付抑制というあれを打ち出しておりまして、先ほど亀井委員さんからもお話がありましたように、厚生労働省では、それに対して、「保健医療2035」を打ち出して、推進本部が設置されて、既に集まりも持たれ、工程表までできていると聞いています。そのあれを見てみますと、育児と介護の両立の項でははっきりと介護保険制度を充実させるとうたっていらっしゃって、家族の会もそういうふうに願っていますし、厚生労働省と私どもの願いというのが、スタートラインでは少なくとも同じでありたいと願っているわけですけれども、別のところを見ますと、施策番号92番のところでは、例えばケアマネジャーさんの利用者負担を検討するということなどに見られるように、私ども利用者家族からしますと、財務省と歩調を合わせるかのような、それが介護保険の充実に逆行すると思われるようなものも含まれているような気がします。それでは介護離職ゼロどころか、あるいは介護離職を推進してしまうとか、あるいは介護職離職につながってしまうのではないかということすら危惧されるような気がしております。
私ども家族の会としましては、今回の改定による影響をさらに把握していきまして、必要があれば、年度内くらいをめどに現状に対する改善と今後の方向性についての要望を提出させていただくことも考えていきたいと考えています。
私は、先ほど亀井委員さんがおっしゃった新福祉ビジョンというのも、恥ずかしながら初めて聞いたのですけれども、2035というのもつい最近やっと知ったという状況なのです。その中には、介護保険部会の役割もこの給付費分科会の役割も書かれておりまして、そういうものについて、情報が遅い私どものような者に対して、少なくとも今、こういうことを厚生労働省が取り組まれているよ、ここを見ればその情報がありますから、早く把握して準備をしてくださいというような情報の投げかけがあってもよろしいのではないかなと思うのですが、その辺につきまして、今後のあり方ということで、改善についてのお考えをぜひいただきたいなと思います。
もう一点、認知症の方が鉄道事故で亡くなられた後の損害賠償の裁判の件なのですが、2月2日に最高裁での弁論が開かれるという報道がありました。弁論が開かれるということは、何らかの形で控訴審の判決が見直される可能性を示唆しているわけですけれども、まさか遺族に厳しい見直しがされるというふうには考えられないわけですが、私どもとしては、介護家族に落ち度があるという判決が定着することがない最高裁の判決が出ることを期待しております。
ぜひこの場の皆さんにも裁判の行方に注目していただきたいと思いまして、一言お願いをさせていただきたいと思います。
○田中分科会長 政策情報の出し方について御質問がありましたが、どなたか。どうぞ。
○水谷認知症施策推進室長 認知症施策推進室長でございます。
田部井委員からいろいろ御指摘いただきました個別のポイントについては、今日ここで一つひとつお答えすることが期待されているものではないと思います。
最後におっしゃっていただきました「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」ですとか「保健医療2035」、こういった施策の情報提供という御指摘をいただきました。私ども、普段から認知症の人と家族の会とは密に連絡をとっているつもりではございますが、どうしても認知症のことに偏った情報提供であったのかなと反省をいたしております。引き続き医療・介護をめぐる全体の動きにつきまして、きちんと情報を共有させていただきながら、意見交換をしていけるようにしていきたいと考えてございます。
2点目のJR東海の列車事故の裁判の関係でございます。これは係争中の事案でございまして、事案そのものについてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、厚生労働省としてもその経過を注視してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○田中分科会長 では、本日の審議はここまでといたします。よろしゅうございますね。
次回の予定について、事務局より説明をお願いします。
○佐原老人保健課長 次回は12月14日(月)午後4時から午後6時までを予定しております。場所等は事務局から追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
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