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2015年10月21日 第67回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局 派遣・有期労働対策部 企画課 若年者雇用対策室

○日時

平成27年10月21日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 職業安定局 第1・第2会議室(中央合同庁舎第5号館12階)


○議事

 

○阿部部会長 定刻となりましたので、ただいまから第 67 回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。本日の委員の出欠状況を報告します。公益代表の欠席は猪熊委員、鎌田委員、森戸委員です。使用者代表の欠席は福田委員です。労働者代表の欠席は小倉委員、近藤委員、芳野委員です。

10 月に事務局の異動がありましたので御紹介いたします。阿部企画課長です。五百旗頭若年者雇用対策室長です。なお、本日は資料の関係で、職業能力開発局総務課基盤整備室の尾田室長にも御出席いただいております。

 議事に入ります。本日の議題は、「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律 ( 青少年の雇用の促進等に関する法律関係 ) の施行等について」です。まず、事務局から資料 1 から資料 3 について説明を頂き、その後御意見や御質問等をお願いします。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 資料 1 から資料 3 について御説明いたします。資料 1 は求人の不受理について、資料 2 は情報提供について、資料 3 は事業主等指針についてです。御説明は、資料 1 と資料 3 のうち、求人不受理に係る指針案、その後に資料 2 と資料 3 のうち情報提供に係る指針案の順番に行わせていただきます。

 まず、若者雇用促進法第 11 条に基づく求人の不受理についてです。資料 1 1 1 の条文と、 2 建議は既に御案内のとおりですので、 3 の附帯決議から御説明させていただきます。ポイントは、法の施行状況を踏まえ、不受理とする求人者の範囲及び不受理の対象となる求人の範囲の拡大を検討すること。職業紹介事業者については、ハローワークに準じた取扱いを行うことが望ましいこと及びそのための具体的方法を、青少年の雇用の促進等に関する法律第 7 条の指針に明記するとされている点です。

 次に、参考として、国会審議における主な議論を記載しています。 1 つ目は、求人不受理が事業所単位とされているが、新卒者等を採用した事業所から、同一企業内の求人不受理となった事業所に、 6 か月以内に異動させることは認められるかとの御質問に、こういう配属は認められないとした上で、本社等が個別の事業所の求人を一括して申し込む場合で、当該事業所の中に、法令違反事業所があると確認できた場合は、本社等から申し込まれた求人についても不受理の対象とすると答弁したこと。

2 つ目は、附帯決議にもあるように、職業紹介事業者における求人不受理の取扱いに関するもので、指針において若者の継続就労に問題があるような求人者からの求人を取り扱わない旨を届け出て、ハローワークに準じた取扱いができることを示して、周知してまいりたいと答えており、この点については同様に、衆議院の 3 つ目の○でもやり取りがありました。

 上から 3 つ目で、求人不受理の要件として、均等法、育介法の公表ではなく、できれば労働局長による勧告でもいいのではないかという御質問です。この点については、衆議院の 4 つ目の○にも記載していますが、同様の指摘として、労働局長勧告まで対象範囲を拡大すべきという御質問がありました。これに対して政府としては、求人不受理対象については、国会での御審議を踏まえ、法案成立後に改めて労政審で御議論いただき、政省令にどう定めていくのかを考えてまいりたいという答弁をしています。このほか、不受理の対象を一般求人に広げるべきではないかとの指摘に、附帯決議のとおり検討するといったやり取りがありました。

 次に、政省令等で定める具体的内容のたたき台については、 6 ページからの資料で御説明いたします。求人不受理の趣旨は、公的機関であるハローワークが、就業を継続する上で問題を抱えることが懸念される労働関係法令違反の事業所を、新卒者に紹介することがないよう、当該事業所の求人を受理しないことができることというものです。その対象条項の案としては、新卒一括採用という特殊な雇用慣行や、心身の発達過程、家族形成期にあるといった青少年に固有の事情を踏まえ、過重労働の制限等に関する規定、仕事と育児等の両立等に関する規定、その他青少年に固有の事情を背景とする課題に関する規定として、以下の賃金と労働時間、労働条件明示、均等、両立、年少者の労働条件関係の規定としてはどうかと考えています。具体の対象条項は、後ほど御説明いたします。

 また、違反の程度と不受理期間については、建議をおまとめいただく過程で、当部会で御議論いただいたものをベースに、過去 1 年間に 2 回以上、同一条項の違反について、是正指導を受けている場合及び法律違反で公表された場合は、法違反が是正されるまでの期間に加え、 6 か月経過するまでの期間を案としてお示しするとともに、送検により公表された場合は、送検された日から 1 年経過するまでの期間を案としてお示しています。こちらについても、後ほど改めて御説明いたします。

7 ページに対象条項の具体的項目を案としてお示ししています。 3 つの類型に分けています。過重労働の制限等に関する規定です。考え方としては、若者の早期離職が多くなっている企業等においては、長時間労働や、賃金不払が多く見られるため、賃金の適切な支払いや過重労働を直接規制する規定。過重労働を直接的に誘発する強制労働を禁止する規定を対象に挙げています。具体的な対象条項は、強制労働の禁止、最低賃金、割増賃金といった賃金関係、労働時間、休憩、休日、有給休暇に関する規定を挙げています。これらは、建議をまとめる過程で、考えられる条項としてお示ししたものです。

 仕事と育児等の両立等に関する規定です。考え方としては、女性である等、性別を理由とした不適切な取扱いがなされる場合や、仕事と育児等の両立が担保されていない場合等は、若者の継続就業が困難であることから、仕事と育児等の両立に関する規定、性別を理由とする不適切な取扱いに関する規定を対象に挙げています。具体的な対象条項は次のページです。出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等、妊娠中、出産後の健康管理措置、育児休業、介護休業等の申出があった場合の義務、不利益取扱いの禁止、所定外労働等の制限、妊産婦の坑内業務の制限等、男女同一賃金の原則、性別を理由とする差別の禁止、セクハラ等を挙げています。

 これらも、基本は建議をまとめる過程で考えられる条項としてお示ししたものですが、下から 2 つ目と 3 つ目については追記しております。これは、労働基準法に規定がある仕事と育児等の両立に関する規定、性別を理由とする不適切な取扱いに関する規定であり、妊産婦の坑内業務の制限、同じく危険有害業務の制限、産前・産後の休業や軽易な業務への転換、残業規制、育児時間、男女同一賃金の原則に係る規定です。均等法、育介法とのバランスを考慮し、案に入れさせていただきました。

 次に、その他青少年に固有の事情を背景とする課題に関する規定です。考え方としては、新卒採用においては、募集から採用・就業までの期間が長く、募集段階から労働条件に変更が生じやすい状況にあるため、労働契約締結時の労働条件の明示は、就業前の確認機会として重要であり、特に経験が浅い若者にとって、就業をめぐるトラブルの未然防止にもつながるということで、労働条件の明示に係る規定を入れています。

 また、年少者に対する労働基準上の特別の保護規定については、若者は有為な職業人として、健やかに成育するよう配慮されるという、若者雇用促進法の理念等を踏まえ、最低年齢、深夜業、危険有害業務の制限、坑内労働の禁止を対象条項に挙げさせていただきました。これらも、建議をまとめる過程で、考えられる条項としてお示ししたものとなります。

 次のページは、考えられる違反の程度です。 (1) 1と (2) 1は建議及び建議をまとめる過程での議論を踏まえて入れています。 (1) の2と3については、均等法、育介法の違反として公表された場合とのバランスを考えて、2に労働基準局が取り組んでいる、違法な長時間労働が繰り返し行われている企業で、社会的影響が大きいケースとして公表された場合と、3対象条項違反により送検され、公表された場合を追加してお示ししています。

 次に、考えられる不受理期間です。上記の送検以外については、 2 回目の是正指導なり、公表なりから不受理期間が始まり、是正後 6 か月経過するまでとしていますが、送検され、公表された場合は、より期間を長くし、不受理期間を送検後 1 年間とし、 1 年たった時点で、是正後 6 か月が経過していないときは、 6 か月時点まで不受理期間を延長するという案をお示ししています。

 また、右側の囲みは例外的な取扱いを入れています。既に求人不受理となった事案、この絵の上のほうになりますが、 1 度不受理になって、その後違反状況は是正された後に送検される場合があります。この場合は 1 度不受理になっているのに、重ねて 1 年の不受理とするかという問題意識です。この場合、黄色の○の法違反の是正から送検までの期間、最長 6 か月になりますが、当該期間を 12 か月から減じた期間を不受理期間として、重ねて課すということでどうかという案をお示ししています。また、これらいずれの場合も、不受理期間経過後に是正状況が維持されていることを確認した上で、不受理を解除することとしたいと考えています。

 次は、民間職業紹介事業者における求人不受理についてです。民間職業紹介事業者については、職業安定法第 32 条の 12 1 項等により、届出により取り扱う業務の範囲を定めることが可能として、求人の全件受理原則の例外が認められています。大卒者の就職活動については、ハローワーク以外を活用する者が多い状況にありますので、現在のこの仕組みを活用し、民間職業紹介事業者においても求人不受理について、ハローワークに準じた取組を行うよう促していきたいと考えています。

 具体的には、事業主等指針に、ハローワークが求人不受理とすることができる求人者からの学校卒業見込者等求人は、取り扱わないよう届出を行うことが望ましいといった規定を置いた上で、具体的には周知リーフレットにおいて、届出の方法を周知していくことが考えられます。

 届出の例としては、1求人不受理とすることができる求人者に、該当する旨の自己申告があった求人者。2から4により公表された求人者からの求人は取り扱わない旨の届出を出していただくことが考えられます。また自己申告については、民間の職業紹介事業者が求人を受け付ける際に、求人者が不受理要件に該当するものか否かを確認するためのモデル書式を作成し、周知していくことを検討しています。

 続いて、求人不受理に関する事業主等指針についてです。資料 3 を御覧ください。事業主等指針は、 10 1 日施行分について、前々回と前回御議論を頂き、策定したものがありますので、これに追記する形で赤字でお示ししています。 3 ページに労働関係法令違反の求人者への対応を記載しています。五のところで、「学校卒業見込者等の適職選択の観点から、職業紹介事業者においても、法第 11 条に規定する公共職業安定所における求人不受理に準じた取組を進めるため、職業安定法第 5 条の 5 に規定する求人申込みの全件受理の原則及び求職者の就業機会の確保に留意しつつ、法第 11 条に基づき公共職業安定所が不受理とすることができる求人者からの学校卒業見込者等求人は取り扱わないよう、職業安定法第 32 条の 12 1 項又は同法第 33 条の 2 5 項に規定する職業紹介事業の取扱職種の範囲等の届出を行うことが望ましいこと」を入れています。

 資料 2 の青少年雇用情報の提供について御説明いたします。 1 ページの1、2の条文と建議は御案内のとおりですので、 2 ページの3附帯決議から御説明いたします。事業主に対して、積極的な職場情報の提供を促すこと。情報提供を求めた応募者等に対する事業主による不利益取扱いを防止すること。事業主だけでなく、職業紹介事業者に対しても、求人事業主に職場情報の提供を積極的に求めるよう促すこと。応募者等が、具体的な項目について情報提供を求めた場合には、特段の事情がない限り、応募者等が求めた情報を提供するよう事業主に促すこと。労働者の募集に関する情報を提供する事業者は、募集を行う事業主に職場情報の積極的な提供を求めること。こういったことが盛り込まれています。

 次に、「日本再興戦略」にも、若者雇用促進法に関する記述がありますので御紹介いたします。総論として、職場情報提供スキーム等を活用し、企業の労働時間の状況等の「見える化」を徹底的に進めるとあります。具体的には 2 ページの下の行になりますが、職場情報のデータベース化を図り、企業の人材育成等の取組の「見える化」を推進すると記載されています。

 次のページの2では、「セルフ・キャリアドック ( 仮称 ) 」の考え方として、定期的に自身の職務能力を見直し、今後どのようなキャリアを歩むべきかを確認した上で、身に付けるべき知識・能力・スキルを確認する機会と記載されていますが、こうした取組の状況。3では、教育訓練休暇制度や、教育訓練短時間勤務制度といった制度の導入状況について、労働政策審議会で議論した上で、職場情報の提供のスキーム、データベースを通じて積極的に提供されるよう促すといった記載がされています。

 次に、国会審議における主な議論です。積極的な情報提供を促す観点からのやり取りがありました。ハローワークに求人を出す企業に対し、職場情報の全ての項目を提供するように働きかけることを基本方針に盛り込む。事業主等指針には、求めがなくてもホームページ等での積極的な情報提供が適当であること。応募者のニーズに応じた項目の情報提供が望ましいこと。情報提供を求めた応募者等に不利益な取扱いをしないこと。職業紹介事業者等は、積極的な情報提供を促す取組を行うことなどを盛り込むことを検討していくこと。 2 つ目は、情報提供の対象者である学卒見込者等に、卒後 3 年以内の方や、第 2 新卒のような方も含めていくこと。 3 つ目は、情報提供の求めは、プレエントリーでも求めを行ったものとするなど、幅広く受け止めるべき。

 次のページの 1 つ目の○で、ハローワークの求人票に全ての職場情報を記載できる欄を設け、就職情報サイトにも普及していくように検討すべき。情報提供をめぐるトラブルについて、ハローワークに窓口を設けるべき。ハローワーク以外の求人についても、ハローワークが個人を特定しない形で企業に情報提供を求め、ハローワークから新卒者に提供できないかといった指摘がありました。これについては、人員体制、施行状況を見つつ検討したいという答弁を行ったというやり取りがありました。

 次は、省令で定める内容のたたき台ですが、 6 ページで御説明いたします。真ん中の四角の所に、情報提供の主体を書いています。これは法律で、新規学校卒業予定者の募集を行う事業主と定めています。この募集を行うというのはどの時点かというと、※にあるように、求人提出時や、募集受付時は当然のことながら、採用を目的として、企業情報など広く発信している場合、いわゆる広報期間を含むものと考えています。また、対象者については法律で、当該求人への応募者又は応募の検討を行っている者としていますが、この中には新卒者扱いの既卒者を含むものとして省令に定めたいと考えています。求めの方法としては、一定の事項、氏名、連絡先、所属学校名、在籍又は卒業の別を示した上で、企業に情報提供を求めることが必要としてはどうかと考えています。

 次に、情報提供の項目案として、 3 類型を掲げていますが、こちらについては後ほど御説明いたします。

 次のページは、職場情報の求めの方法についてです。具体的な求めの流れとして、下の箱に 2 つお示ししています。企業に直接求める場合は、先ほどの氏名等の本人情報と、提供希望を伝えることにより求め、企業はメール、書面又はホームページに記載している箇所を教示するなどの方法で情報提供を行うことが考えられます。また、この求めについては、情報提供の法の趣旨を踏まえ、より広く捉える観点から、就職情報サイト経由で行われる、いわゆるプレエントリーについても、求めに該当するとしてはどうかと考えています。

 また、ハローワーク・職業紹介事業者を利用する場合は、求職者は求人企業に直接求めるほか、こうした機関を通じて職場情報を入手することができますが、ハローワークが求人者に情報提供を求める際は、求人票に職場情報の記載欄を設け、あらかじめ全ての項目についての情報提供を求め、その情報をハローワークの求人情報提供端末で公開することを予定しています。また、職業紹介事業者については、求人者に積極的な職場情報の提供を働きかけることを、事業主等指針に定めるとともに、ハローワークと同様に職場情報シートを活用することを推奨することが考えられます。また、情報提供事業者に対しても、職業紹介事業者と同様の取組を求めていってはどうかとも考えています。また、高卒求人についてはハローワークで受け付けた求人を、高校に提供していますので、ハローワークと同様の扱いとなります。

 次のページは、職場情報の提供項目についてです。これらは省令において規定する形になります。 3 つの分類ごとに、それぞれ情報提供項目の案を記載しています。建議に盛り込まれた項目がベースとなっていますが、追記したのが ( ) のメンター制度の有無、キャリア・コンサルティング制度の有無及び内容、社内検定等の制度の有無及び内容です。これらは、若者の職業能力開発向上に関する取組であり、就職後のキャリア形成に大きな影響を与える項目になってまいりますので、取組状況がより分かる形で情報提供がされるようにとの観点から追記しています。

 また、初めに触れさせていただきました日本再興戦略で、労働政策審議会で議論するように盛り込まれた事項である、教育訓練休暇制度や、セルフ・キャリアドックについては、それぞれ※で入れている項目の内容に記載するようなイメージで検討してはどうかと考えています。また、職場情報は企業単位の実態を示すこととしてはどうかとも考えています。

 次のページで、職場情報の提供に係る不利益取扱いへの対応です。問題意識としては、情報提供を求めたことで、採用選考で不利益な取扱いを受けるのではないかと懸念して、企業に情報提供を求められないのではないかというものです。これについては、法の趣旨を踏まえれば、情報提供を求めたことによる不利益取扱いは認められませんが、課題としては何が不利益取扱いに当たるのかが明らかでないと、具体的な対応が取れない。何をもって不利益な取扱いが行われたと判断するかが難しいといったことがあります。こうした課題を踏まえつつ、考えられる対応としては、まず情報提供の求めを行った応募者等に対して、採用選考過程において不利益な取扱いを行ってはならない旨を事業主等指針に定め、周知徹底するとした上で、法律の周知リーフレットにおいて、不利益取扱い等の例を示しつつ、企業・応募者等双方における理解を深める方法が考えられます。

 不利益取扱いの例としては、情報提供の求めを行った応募者等に対してのみ、採用選考に係る日程や、応募書類の情報を提供しないといった明白なものもありますが、多くは結果として採用されなかったという場合に、それが求めを行ったからか、本人の能力の問題なのかの事実認定をすることが難しく、その他の明白な例を挙げることが難しい事情もあります。そのため、不利益取扱いの例のみならず、応募者等が不利益取扱いを受けたのではないかと疑問を持つような対応、例えば面接時にその応募者が、情報提供の求めを行ったことに言及するような対応は行わないことが適切である等も合わせて示していくこととしてはどうかと考えています。また、ハローワークに窓口を設けて、不利益取扱いを含めた情報提供に係る相談に対応してまいりたいと考えています。

 次に、情報提供に係る事業主等指針の案について御説明いたします。資料 3 を御覧ください。第二の二は事業主等が青少年雇用情報の提供に当たって、講ずべき措置を記載しています。 4 つの項目があり、まずは青少年雇用情報について、ホームページ等での公表、会社説明会での提供、求人票への記載等により、全ての項目を情報提供することが望ましいこと。次に、具体的な項目についての情報提供を求めた場合には、特段の事情がない限り、学校卒業見込者等が求めた項目を提供することが望ましいこと。次に、求めを行ったことを理由とする不利益な取扱いをしないこと。次に、あらかじめ提供する情報を整備しておくことにより、求めがあった場合には速やかな情報提供に努めることを記載しています。

 次のページは職業紹介事業者等が講ずべき措置です。四の青少年雇用情報の提供については 2 つの項目があります。まず、職業紹介事業者について、学校卒業見込者等求人の申込みを受理する際に、法第 14 条の規定に基づき、青少年雇用情報の提供を求めるとともに、全ての青少年雇用情報を提供するよう働きかけ、学校卒業見込者等に対する職業紹介に活用することが望ましいこと。また、就職支援サイトを運営する場合は、可能な限り全ての項目について記載されるよう取り組むこと。また、求人の申込みの段階で、青少年雇用情報の提供がなされていない場合であっても、学校卒業見込者等から、個別に照会があった場合は、法第 14 条の規定に基づき、職業紹介事業者から、求人者に対して情報提供を求めることが望ましいこと。この場合は、当該照会を行った学校卒業見込者等に関する情報を、求人者に明示する必要はないことに留意することを入れています。

 次に、募集情報提供事業者は、自ら運営する就職支援サイトに、学校卒業見込者等募集を行う企業の青少年雇用情報が、可能な限り全ての項目について掲載されるように取り組むことを入れています。説明は以上です。

○阿部部会長 ただいまの事務局からの御説明に関して、御意見御質問があればお願いしたいと思います。

○才木委員 少し質問をさせていただきます。資料 2 9 ページ、不利益取扱いへの対応についてという所で、今回考えられる対応を記載いただいていますが、まず 1 点目、今回、法の周知リーフレットにおいて、不利益取扱いの例示をして理解を求めていくことで御対応いただけるとあります。先ほども、求めを行った者に対する情報が未提供だとか、幾つかの例示をして頂いておりますが、そのほかにも現行考えられているような例があれば、教えていただきたい。

 もう 1 点が、その下のハローワークの窓口ですが、どのような体制や仕組みで相談対応を図っていくのかについても、現段階で考えがあればお示しいただければと思います。

○阿部部会長 では御質問ですので、事務局、お願いします。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 リーフレットに記載するほかの例ということですが、具体的な不利益取扱いの典型例としては、先ほど御説明の中で申し上げたものがあり、疑いのない明白な例として挙げさせていただきたいと思っております。それ以外には、疑いを持たれる恐れがある行為ということで、それらを含めてやらないようにという例を示していきたいと思っております。

 例えば、個別の面接のときだけではなく、不特定多数に対する企業説明会などでも、情報提供を求めることを、マイナスに評価するようなことは、たとえ不特定多数を相手とするものであっても、疑いを持たれる懸念もありますので、それは行わないことが適切であることも併せて例示していきたいと思っております。

 ハローワークの窓口における相談対応ですが、基本的には不利益取扱いを含め、情報提供に係る様々な御相談を受け付けていきたいと思っております。不利益取扱いについては、まずはそのような取扱いを受けたとお感じになった御相談があった場合は、よくその御相談の内容をお伺いして、御本人から御了解いただけたら、先方の企業に事実関係をお伺いします。その中で適切ではない取扱いが確認された場合は、指針に基づいて指導するということを考えております。

○才木委員 まずリーフレットについては、恐らく可能な限り多く例示することで、不利益取扱いを防いでいくことができるものだと思いますので、今後いろいろと検討されるかと思いますが、少しその点も御考慮いただければと思います。

 もう 1 点、ハローワークの件ですが、少し教えていただきたいのは、今回、窓口を設けることに対して新たに要員を当てていって、現行以上の新たな窓口を設けて対応するという理解でいいのか。現行の体制の中で対応していくのかについても、教えていただければと思います。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 新たな窓口ということで、きちんと情報提供に係る御相談を受け付けるということは明示していきたいと思いますが、体制面としては、基本的には従来の窓口の中での相談対応をやっていきたいと思っております。

○阿部部会長 ありがとうございます。その他いかがでしょうか。

○紺谷委員  1 点お伺いしたいのですが、資料 1 9 ページ、求人不受理の、考えられる不受理期間についてです。下の、送検され公表されたケースについての考え方ですが、法違反を犯した企業、事業主とあるので、それ相応のペナルティーを受けていただくという考え方については、理解できますし、 1 年の不受理期間プラス是正後 6 か月の差を引いて、更に 1 年より最大 6 か月ぐらい延長されることについては理解します。

 基本的な考え方は理解できるのですが、本来は送検をされるということなので、当然のことながら法違反を厚生労働省なりが告発し、送検されるわけですよね。この 1 年の間に不起訴、起訴、それから裁判に至って判決が下りるという結論が出ているのであれば、問題ないと思うのですが、白黒はっきりしないまま 1 年以上経過した場合に、最終的に基本的には告発した側が、白黒はっきりしないうちにに、一方では不受理期間を解除して、受理するというのが矛盾しないのかと。一般的な人間からすると、何か矛盾していないかと、少し疑問に思ったので質問させていただきました。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 今の点については、送検から 1 年は、まずは不受理期間とするわけですが、送検となった原因の違反について、是正されていなければ 1 年を超えても、ずっと不受理は続いていきます。ただ、この違反について是正されて、かつ 6 か月が経過している場合は、御指摘のようにそれまでの間に裁判における白黒がはっきり付いていないなど、そういう状況も場合によってはあろうかとは思いますが、当該違反は既に是正されて、かつ 6 か月たっている状況ですので、求人という点では受け付けるという取扱いが妥当ではないかと考えております。

 求人不受理については、ハローワークとして紹介することが適切ではない事業所を不受理にすることで、若者を保護するという観点がありますが、一方で応募する機会を狭めるということにもなりますので、そういう意味からも、やはり違反状況が是正されて一定期間がたっている場合は、不受理を解除とすることが適切ではないかと考えております。

○紺谷委員 ということは、あくまでも不受理とすべき項目が是正されることをもって、問題については解決といっては変ですが、そのようにみなして対応するということでよろしいですか。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 おっしゃるとおりです。

○阿部部会長 多分、でも問題が解決ではなくて、求人票は不受理ではなくてもいいのではないかということで、問題が解決するというのは、また裁判の話ですから。

○紺谷委員 いや、問題というのは、不受理の根拠となった問題が是正されていればということです。

○阿部部会長 是正されれば不受理はしなくてもいいのではないかということですね。問題はまた別の所にあると。ほかにいかがでしょうか。

○村上委員 幾つかあるのですが、まずは今の求人不受理の件について。資料 1 9 ページです。不受理の対象とする、考えられる違反の程度について、 (1) の2、3を追加したということは妥当な結論だと思っているのですが、 (2) の1について少しお伺いします。昨年から今年初めの段階でこの建議をまとめる際に、求人不受理の対象を議論した際に、均等法、育介法の違反の場合で、勧告に従わず公表された場合を対象とすることについて、例が出されていました。その件について、不受理の対象を広げるということよりは、均等法違反などがなくなることがまずは大事なので、公表を徹底していただきたいという意見を申し上げました。

 その後、国会の議論の中では本日も紹介がありましたが、公表された件数がこれまで 1 件しかないということも踏まえれば、不受理の対象をもう少し拡大してはどうかという議論もあったところです。労働側としても、国会会期中に企業名公表が 1 件出たというところがあるのですが、勧告段階でも不受理とすることも検討すべきではないかと思っております。

○阿部部会長 御意見として賜ります。ほかにはいかがですか。

○坂下委員 今、ハローワークの不受理に関連して、均等法と育介法の対象をどうするかは、国会審議の状況を踏まえて検討すべきではないかという御意見が労側からありましたので、使側としての考え方を申し上げたいと思います。国会における議論は尊重すべきものであると考えておりますが、今回、事務局の資料にもありますとおり、不受理の要件は公表とすることについては、正にこの労働政策審議会で十分な時間をかけて真摯に議論して取りまとめた内容ですので、まずはこの建議の内容でスタートしていけばよろしいのではないかと考えております。

○市瀬委員 私ども商工会議所としても、建議の内容はそのとおりに進めていただきたいと思っております。国会での指摘は尊重するべきではありますが、建議での決定事項をまずは優先していただき、その後、改善すべき点が生じましたら、改めて検討を行えば良いのではないでしょうか。

 また、勧告についても、数件ではあるものの、毎年指摘される企業がありますので、行政の指導も引き続き行っていただくことが必要であると考えております。よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 この点については国会でもいろいろな議論があったと思いますが、 1 月にこの部会で決めた建議では、資料 1 8 ページに載っているような形で出されておりますので、今回はこれを尊重して、取りあえずこれでやっていくと。問題があれば、またこの場で議論して、修正するなりしていくということで私もよろしいのではないかと思いますが、もし何かあればお願いします。

○村上委員 建議段階での議論を尊重することは、私も議論に参加してきた者として大事だと思っております。一方で市瀬委員もおっしゃっていたように、国会での議論も尊重するべきものだと思っておりますので、繰り返しになりますが、均等法、育介法などの違反がなくなることがまずは大事なので、均等行政においてはもう少ししっかりと監督していただきたいという要望を申し上げておきます。

 また、均等法、育介法違反の公表について、今回はこれでスタートさせるということかと思いますが、附帯決議にもありますように、不受理とする求人の範囲の拡大や求人者の範囲の拡大についても施行状況を見ながら、またこの場で見直していくことを是非、要望として申し上げておきます。

さらに申し上げますと、不受理の対象として、国会の議論の中で、資料 1 2 ページ、一番上の国会の議論になりますが、答弁では本社が個別の事業所に係る求人の申込みも一括して行うような場合であって、その事業所が法令違反事業所であると確認できた場合は、その本社から申し込まれた求人についても不受理の対象とするということがあります。

是非ここは徹底してやっていただきたい。チェーン展開しているような所ではこのような事例もあるかと思いますので、是非お願いします。また、そもそも事業所単位でなく、企業単位としていくことも今後、法の施行状況を見ながらですが、課題として検討していただきたいと思います。以上です。

○紺谷委員 資料 2 8 ページ、職場情報の提供項目についての表ですが、最後の 2 つ○があるうちの上の○に、「職場情報は、企業単位の実態を示すこととしてはどうか」と記載されています。これは意見を問われているものだと理解しますので、私ども労働側としてはこの提案のとおり、職場情報の提供に関しては、企業単位での情報提供とすべきだと考えます。

 この理由ですが、やはり日本の雇用の実態として、一部の職種を除いて、入社後に配置転換があるのが一般的ですので、その場合に職種、事業所単位の情報提供などでは、必ずしも実態把握ができないのではないかと考えます。そうしたことから、より正確な職場情報を提供する観点からも、企業単位とすべきと私は考えます。

○阿部部会長 御意見ありがとうございました。ほかにはよろしいですか。

○小野委員 今のところの企業単位の実態ですが、例えば外資系の企業などは海外にも事業所があると思うのですが、確認ですが、これは国内に事業所がある所の集計ということでよろしいですか。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 その点ですが、やはり海外の場合は別の法体系の下で就業もなされている、雇用管理もなされているという点を考えますと、国内における企業の状況ということが適切かと思います。

○玄田委員 今の点に関連して、私はどちらかというと資料 2 7 ページのほうで一つ申し上げたいのは、具体的な求めの流れの1ですが、職場情報を本人が直接企業に求めて、不当な扱いはなされないことが前提ですが、ちょっと緊張すると思うのですね。もうちょっと緊張を和らげる方法はないだろうかと。

 最近スーパーに行くと、「レジ袋は要りません」というときには、ポンと 1 枚入れれば済むというので、私みたいにちょっと言葉を発するのが苦手な人間にとっては非常に助かっているわけです。

 例えば、厚生労働省のあるコーナーに行くと、職場情報の提供のフォーマットがワードかエクセルなどにあって、そこに書いてある連絡先などが全部書いてあって、 8 ページ目の欄を記入する欄が全部あって、「欲しい情報の所に○を付けて」と書いてある。下の注の所には、国内の事業所を集計したものが望ましいなどと書いてあると、企業もそれで準備しますので、すごく便利だなと思いました。

7 ページの2のハローワークの記載についてはかなり明確になされていますので、多分それに準じる形で、これを添付で送るか、実際にお目にかかったときにこれをコピーして持っていくというフォーマットにしたほうが、事実上こういうことは広まるのではないかと思いますので、1についても少しフォーマットのようなものを作成して、記入ですとか利用を促進することを考えていただくのはどうでしょうか。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。では御意見として賜って、お考えいただければと思います。

○坂下委員 今の玄田委員のお話を伺っていて、感じたことですが、確かにそういう仕組みがあると学生側も気軽に情報提供を求めやすくなるかもしれませんし、企業としても対応として、やりやすくなるところもあるかもしれません。しかし、情報提供の内容であるとか、情報提供の方法については、各社によって実態が違いますので、企業に柔軟性をもたせていただいたほうがよろしいのではないかと考えます。柔軟性はしっかり担保しつつ、あとはよりマッチングが良くなるような観点から各社で判断して、情報を提供していただくのがよろしいのではないかと思いますので、コメントをさせていただきたいと思います。

○玄田委員 重要な御指摘だと思っています。レジ袋の話も「使わなければいけない」と書いてあるわけではなくて、「私は要りません」と言葉で言ってもいいという、そのぐらいの柔軟性はあると思っておりますので。多分それを利用される、されないは若い人と企業のそれぞれの選択だと思いますので、一つのオプションとして、そういうものを御準備いただくことも一案ではないかという意味で御提案申し上げた次第です。あとは全く賛成します。

○阿部部会長 ということを考えいただければと思います。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 今の点に関してですが、玄田委員の御提案も、情報提供を積極的にされていない企業に対して、ホームページなどがない中小企業に職場情報を聞く場合に、どう聞いたら良いのだろうかと思っている学生に対しては、とても良い方法だと思います。何度も議論してきましたが、職場情報の提供は広く努力義務となっているわけですし、求めがなくても広くホームページなどで公開していくことも強くやっていただきたいと思っておりますので、ホームページなどの手段を持たないような企業に対しての情報提供を求める際には、こういう方法もあるということで広めていただければと思っております。

○阿部部会長 その他ございますでしょうか。

○村上委員 資料 1 の求人不受理の点で伺いたいことがあります。大学なども含めて、民間職業紹介事業者においてもハローワークと同様、それに準じた求人不受理の扱いをすることとしてはどうかということで、それを促すような方策を今回考えられているわけです。 10 ページの届出の指針案の下の届出の例で、2、3、4はよく分かるのですが、1はハローワークが求人不受理とすることができる求人者に該当するのだと、自分の事業所はハローワークでは求人不受理になったということを自己申告してはどうかというものです。自己申告あった所は不受理にしますということを宣言するということになっており、これはこれで案の 1 つであると思うのですが、なかなか自己申告される求人者の方は少ない、余り考えられないのではないでしょうか。それだけではなくて、職業紹介事業者の皆さん、大学なども、ハローワークでは求人不受理になっているという事業所や企業を、知る手立てがないといけないのではないかと思っております。

 求人不受理をを公表するのは難しいのかもしれませんが、問い合わせればハローワークで答えていただけるというぐらいのことは、していただけないと、大学などでもこの求人を本当に受け付けてもいいのだろうかと迷うのではないかと思います。その辺りは照会すれば教えてもらえるようになるのでしょうか。その点を教えていただければと思います。

○阿部部会長 では御質問ですので、事務局、お願いします。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 今の御質問の件ですが、企業にとっては是正指導の情報は企業の信頼に係る部分もあり、これを第三者に広く提供していくことは困難な点があります。その現状の中でどのように準じた取扱いを機能するようにしていくかという点は、御指摘のとおりの課題だと思っております。ここについては、まずは自己申告していただけるように、企業に対する周知、それから職業紹介事業者の皆さんに対する御理解を深めていって、この取組を徹底していくことが、まず第一にやっていくべき点だと考えておりますが、それ以外の方法は何かないかということについては、引き続き検討していきたいと思っております。

○阿部部会長 ほかにはいかがですか。

○喜勢委員 質問です。最初に質問があった不利益取扱いの話ですが、御例示いただいたように、採用のパンフレットを送らないというのは非常に分かりやすいのですが、企業の採用の側から申し上げれば、採用過程というのはそもそもオープンにしていませんし、おっしゃるように、なぜ不採用になったのかというのも。いろいろな要素を踏まえた上で採用するわけです。

 採用過程で申し上げれば、例えば最終的に不採用にするというのはありますが、その前段で面接に呼ぶか呼ばないかというところも、非常にたくさんの応募を頂ければ物理的に呼ばれないということもあり得るわけです。その例示をお考えになるに当たっては、企業の採用実態も是非踏まえた上で、余り不自由に、私どもはおかしなことをやるつもりは全くありませんが、明らかに外形事実として、おかしいというものが例示されるのは分かりますが。その辺について、若干懸念されるところがありますので、御考慮いただきたいというのが 1 点です。

2 点目は、質問ですが、仮に学生のほうで、こういう求めをしたので、不利益に扱われたということを不満に思われた方がいた場合には、どのようなことになるのでしょうか。学生はどのようにアクションすることになるのでしょうか。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 その点につきましては、一番考えられるのは、ハローワークのほうに、このような取扱いを受けたという御相談がアクションになるのかと思います。その際に、自分の状況を先方企業に伝えてもいいので、何か対応してくださいとおっしゃった場合は、先ほど御説明をしましたように、先方の企業に、このような御相談が寄せられているが、どうなのだろうかと。双方に御主張があろうかと思いますので、それを企業に伺っていく。その中で双方に思い違いあれば正していくということかと思いますし、典型的な不利益取扱いがあれば、そこは指導していくことになろうかと思います。

○喜勢委員 おっしゃるとおりだと思います。物が送られてこなかったかどうかというのは、非常に分かりやすいのですが、選考の対象に入らなかったときに、ハローワークから企業に来たときに、今であっても不採用の、あるいは選考過程に入らなかった理由は本人には開示していないものですから、そういうところの取扱いがどうなるのかというのをお伺いしたかったのです。

 ハローワークから御不満があったという情報があったときに、企業としては「決してそういうことはしていません」と申し上げるだけだと思います。これこれこういう理由で、この方はこうなったというところまで、個別の学生に私どもは申し上げていません。実体の企業としてはそうだと思います。ですから、その先はどのようにお考えになっておられるのかをお聞きしたいのです。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 おっしゃるように、その方がなぜ不採用になったのかという点については、様々な御判断があってということでしょうし、そこについて、つまびらかに御本人に伝えていないというのも実態としては承知しておりますので、その辺りの白黒をはっきり事実認定をするというところまでは難しいかとは考えています。

 ただ、こういった相談を受けて、企業に対してもきちんとつないで、双方の理解をすり合わせていく作業を丁寧にしていくことで、より情報提供についての社会的あるいは御本人間の理解が深まっていくと思っておりますので、こうした取組をきっちりと積み重ねていきたいと考えております。

○喜勢委員 ありがとうございました。

○紺谷委員 前の部分に戻ってしまいますが、先ほどの職場情報の提供の所で御意見を申し上げたのですが、資料 2 8 ページに「新卒者等から具体的な項目についての情報提供を求めた場合には、特段の事情がない限り、求めた情報を提供することが望ましい」となっております。この文章について、特段変えてほしいとか、意見を申し上げるということではなく、これはお願いです。

 情報提供の求めがあった場合には速やかな情報提供がなされるよう、厚労省におかれては、フォローと指導をお願いしておきたいと思います。

○玄田委員 資料 2 8 ページの提供項目の案ということなので、少し気になったことを申し上げます。 ( ) 募集・採用に関する状況の上の 2 つ、過去 3 年間の状況は、大変有益というか、必要だと思います。平均勤続年数というのは、どういう意味があるのかと若干考えました。普通、平均勤続年数というのは長期雇用の動向がどのぐらいあるのかということの 1 情報のような気がして、募集・採用とはかみ合うのだろうかという印象を、多くの方はお持ちなのではないかと。

 私が学生などに「どういう会社がいい会社かね」などと話すときには、ほどほどに若い人がいて、ほどほどに中堅がいて、ほどほどにベテランがいるような会社は、多分かなり働きやすい会社なのではないかと言います。

 有価証券などでも平均年齢は書いてありますが、ほどほどのバランス感みたいなものがなかなか見えない。本当であるならば、例えば平均勤続年数が長くて、長期雇用かと思ったら、実は過去 30 年ぐらい全然採用していなくて、 60 歳代の方ばかりというときも、平均勤続年数が長くなってしまう。そういう可能性もゼロではないから、入ってみたら若い人も中堅もいなくて、おじいさんばかりだったと、えっということになりかねないとすると、平均勤続年数というのが、果たして有益な情報かどうかというのは少し考えてみる必要があるだろうと。

 もし、平均勤続年数の計算を頂くとするならば、一応平均を取るわけですので、先ほど申し上げた、例えば勤続年数 5 年未満の人がどのぐらいいるとか、 5 10 年がどのぐらいとか、そういう企業の人員構成のバランス感が見えるようなことまで求めてもいいのではないか、使用者の方々が負担だと言わないのだったら、そちらのほうがいいような気がします。

 ただ、そこまで難しいということであれば、例えば先ほどの実は年齢構成の影響が大きいとするならば、平均勤続年数及び平均年齢の両方を照らし合わせると、ここは採用されても、比較的仲良く勤められる会社かなというイメージが持てるので。平均勤続年数というのは、実はとても重要な情報だと思いますので、ここのところは先ほどの情報の計算の仕方の煩わしさとの兼ね合いなのですが、少し考えてもいいのではないかという気がしました。

 ちなみにこの辺は誰を対象とするかということでしょうから、雇用保険の加入者を前提とか、少し条件を付けないと。例えば、会社によって新卒の非正社員で雇用保険に加入していない人もここに入ってきますと、イメージの違いとか情報提供が正しくないうんぬんという議論があると思うので、少し条件付けということも最終的には決めていったほうがいいかなと思いました。

○阿部部会長 御意見として伺っておきます。もし、ほかになければ時間もありますので、次の資料 4 についての御説明を事務局から頂きます。

○村上委員 今の玄田委員の御発言に追加しますと、平均勤続年数は年齢構成の問題もあるので平均年齢も情報提供項目に追加するということは、私どもも是非検討していただきたいと思っております。

 それから、可能であれば、男女別の平均勤続年数が分かることも大事ではないかと思っておりますので、その点も御検討いただければと思います。

○阿部部会長 御検討ください。では、次の資料 4 について、事務局から御説明を頂き、その後、議論をしてまいりたいと思います。では、資料 4 の御説明をお願いします。

○五百旗頭若年者雇用対策室長 資料 4 について御説明いたします。資料 4 につきましては、比較表の形でお示ししています。真ん中に国の施策の基本方針を定める「青少年雇用対策基本方針 ( ) 」を記載しております。現行では左側の欄に記載しております「第 9 次勤労青少年福祉対策基本方針」がありますので、基本はこれをベースに、右側の欄に記載をしております建議や国会でのやり取りを踏まえて案を作成しており、内容的に変更した点は赤字で記載しております。全体的に分量が多いため、ポイントを絞って御説明したいと思います。

 まず、目次です。構成として追記しているものは、労働法制に関する基礎的知識の周知啓発。次に労働条件の明示の徹底・積極的な情報提供の促進、労働関係法令違反が疑われる企業への対応、職場適応・職場定着の支援、中途退学者・未就職卒業者に対する支援、青少年の雇用管理の改善に向けた支援、青少年の採用・育成に積極的な中小企業の情報発信の支援。地域における青少年の活躍促進といった項目になります。

 中身ですが、下段の「はじめに」の前半は、基本方針の位置付けを記載しております。

3 ページの中段辺りに、青少年の対象年齢を記載しております。対象はこれまでの勤労青少年福祉対策基本方針と同様に、引き続き「 35 歳未満」とすると入れています。ただし、個々の施策・事業の運用状況に応じて、おおむね 45 歳未満の者についても、その対象とすることは妨げないとしています。

 また、下のほうですが、「青少年である労働者」は、現に働いている者に限らず、求職者や、いわゆるニートなどの青少年も含まれると記載しております。また、この方針については、運営期間は、平成 28 年度から平成 32 年度までの 5 か年としています。

 次に第 1 の青少年労働者の職業生活の動向については、 4 ページ以降、現在の雇用情勢等に応じて、修正を行っております。データのアップ・トゥ・デートや記載の雇用情勢に応じた追記ということですので、具体的な内容は省略させていただきます。

7 ページの第 2 1 です。こちらに青少年雇用対策の方向性を記載しております。基本的には建議を踏まえて、若年期は生涯にわたるキャリア形成のスタートとして重要な時期であり、青少年が安定した雇用の中で経験を積みながら、職業能力を向上させていくことが必要と記載した上で、一番下のパラグラフに具体的な方向性として、在学段階から職業意識の形成を行うこと、就職活動段階においてはマッチングの向上等を図ること。その際、情報面での支援に留意すること。中途退学や未就職卒業者への支援、青少年雇用対策の推進は関係者が連携して社会全体で取組を進めていくといったことを記載しています。

 具体的な項目を次の 2 に示しています。 (1) 在学段階からの職業意識の醸成です。ここには 3 つの項目があります。新しい項目としては、 9 ページの3労働法制に関する知識等の周知啓発です。青少年の就職活動時や、働く上でのトラブルの防止のためには、労働法制に関する知識等の理解を深めることが重要であり、労働局等と学校等との連携・協力により、周知を図ることが求められること。具体的には、国は労働局、公共職業安定所による講師の派遣、基礎的な知識をまとめた冊子の提供等を積極的に行うとともに、国は学校等に対して、適切な機会を捉えて、労働法制に関する知識等の付与に係る取組の周知を図ること。労働に関するトラブルに適切に対処できるよう、労働相談コーナー等の相談窓口の周知を記載しています。

 次に (2) は、マッチングの向上等による新規学校卒業者等の職業生活への円滑な移行、適切な職業選択及び職場定着の支援です。こちらについても 5 つ項目がありますが、新しい項目としては、 11 ページの3になります。こちらは募集時に示された労働条件と、労働契約締結時に明示された労働条件が異なるなどのトラブルが発生している現状に鑑み、労働条件の明示に関する規定等の周知徹底を図ること。そして、個々の事業主と労働者の間の紛争が残る場合には、個別労働紛争解決制度等が利用できることを周知するとともに、必要に応じて公共職業安定所は相談等に適切に対応すると記載しています。

12 ページは、青少年雇用情報の提供について履行確保を図ること。公共職業安定所は学校卒業見込者等求人の申込みを受理するに当たっては、求人者に対して全ての青少年雇用情報の提供を求めていくこと。不利益取扱いに係る相談への対応、新規学校卒業者等が具体的な項目の求めを行った場合の事業主への対応など、青少年雇用情報の提供の仕組みが有効に機能するよう、必要な取組を進めることを記載しています。

 4では、労働関係法令違反が疑われる企業について監督指導を行っていくなど、実効性のある取組を行っていくとともに、公共職業安定所において労働基準監督機関等との連携の下、求人不受理の措置を着実に実施していくことを記載しています。

 次に5では、公共職業安定所は新規学校卒業者等の就職後においても、その状況把握に努め、職場適応、定着に向けた支援を行うとともに、事業主に対し、個々の状況に応じて助言・指導等により、雇用管理の改善を促していくことを記載しています。

 次に、 3 には、中途退学者・未就職卒業者に対する就職支援等を記載しています。

13 ページですが、中退後に各支援機関の谷間に陥ることがないよう、中退に際して学校等、公共職業安定所、地域若者サポートステーション等が連携をして、継続的に支援を行っていくこと。未就職卒業者については、早期の就職実現が重要であることから、学校等や新卒応援ハローワーク等が連携し、公共職業安定所における個別支援や面接会の集中的な開催等により、卒業直後の支援の充実を図っていくことを記載しています。

4 はフリーターを含む非正規雇用で働く青少年の正規雇用化に向けた支援、 5 は企業における青少年の活躍促進に向けた取組に対する支援を記載しています。 5(1) では、雇用管理の改善に向けた支援を入れておりますが、 (2) のほうで認定制度に言及しております。 (2) では、青少年の雇用管理に積極的に取り組みながらも、知名度等の点から、青少年の採用に課題を抱える中小企業の情報発信を支援するため、法に基づく認定制度等を推進し、公共職業安定所等において、重点的にマッチングを行っていくと記載しております。

6 は職業能力開発関係で、項目としては、職業訓練の推進、職業能力検定の活用の促進、職業人生を通じたキャリア形成支援に係る記載を行っており、 16 ページの 7 において、ニート等への支援関係を記載しております。

 次に、新しく入れた箇所としては、 18 ページの 8 の地域における青少年の活躍促進があります。こちらは建議を踏まえて、国、地方公共団体、事業主、大学等が連携し、地域の募集・求人情報の収集、提供等の取組を進めることにより、いわゆる UIJ ターン就職を積極的に支援すると記載しております。

 最後の項目としては、 9 は青少年福祉施策についてで、地方公共団体や、支援機関等が地域の実情を踏まえて事業を実施していくことが期待される旨を記載しております。御説明については以上です。

○阿部部会長 ただいま事務局からは、青少年雇用対策基本方針 ( ) について、資料 4 に基づき御説明をしていただきました。これに関連して、御意見、御質問があればお願いしたいと思います。

○村上委員 ここの文言をどうしていただきたいという話ではなく、先ほども情報提供と不利益取扱いの話などがありました。繰り返しになりますが、努力義務として、できるだけ情報を出していくことが企業には求められる法律になったわけですから、求めがなくても新卒の方を募集する際には、まず提供していくことを基本としていただきたいと思います。企業に対する指導をきっちりやっていただきたいということです。そういうことがあれば、不利益取扱をめぐる議論は必要なくなると思います。 本日の資料にもありましたが、日本再興戦略の中でも、長時間労働の是正や女性の活躍推進などにおいても、情報開示というのは、キーワードになってきていると思いますので、積極的に情報を出していただくというところに力を入れていただきたいと思います。まずそちらをやっていただいた上で、トラブルの防止をしていただくということで、取り組んでいただければと思います。そういう要望です。

○阿部部会長 ほかにはいかがですか。

○穂岐山委員 この中身自体ではないですが、これを施行するに当たりまして、我々は中小企業、特に小規模企業が多い団体ですので、中央会としてももちろん普及・啓発には努めていく考えですが、求人時における、特に小規模企業に対するハローワークのきめ細かい相談、あるいは指導をよろしくお願いしたいということを要望させていただきます。

○阿部部会長 ほかにはよろしいですか。

○坂下委員 中身に関するものではないのですが、この基本方針は平成 28 年度から 5 年間の効力を有し、新しく若者雇用促進法に生まれ変わって最初の基本方針であり、本当に節目となるものだと思います。基本方針自体としては、内容が多く長いなというところもありますが、内容はいいことがたくさん書いてあると思いますので、是非周知をしていただいて、少しでも若者の就職環境や就労環境の改善につながっていけばと思っていますので、御尽力の方をよろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ほかにはよろしいですか。特になければ本日はこの辺りで議論は終わらせていただきたいと思います。

 本日、様々御意見を頂きました。本日の議論を踏まえ、次回は省令案要綱、基本方針案、指針案の形でお示しいただきたいと思います。なお、特に指針案の情報提供の所で、様々例示等といった所ですが、運営の段階で現場で混乱が生じないように、労使側からよく意見をお聞きして、混乱が起きないような例示案をお作りいただきたいと、事務局にはお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次回の日程等については、後日事務局から御連絡いたしたいということです。本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。

 最後に本日の署名委員は、川上委員及び才木委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

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