ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 水質基準逐次改正検討会> 平成27年度第2回水質基準逐次改正検討会議事録(2015年12月15日)




2015年12月15日 平成27年度第2回水質基準逐次改正検討会議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成27年12月15日(火)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第12 会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2、中央合同庁舎第5号館12階)


○出席者

出席委員

松井座長 浅見委員 伊藤委員 片山委員 亀屋委員
小林委員 西村委員 広瀬委員

○議題

(1) 水質基準に係る検討事項について
(2) 水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方について
(3) その他

○議事

○鈴木室長補佐

 定刻となりましたので、ただいまより平成27年度第2回「水質基準逐次改正検討会」を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多忙中にもかかわらず、お集まりいただきありがとうございます。

 検討会の開催に当たり、事務局を代表して水道水質管理官の長坂より御挨拶を申し上げます。

 

○長坂水道水質管理官

 本日は、朝早くから第2回「水質基準逐次改正検討会」に御参集いただきまして、どうもありがとうございます。

 言うまでもなく水道の水質の管理というものは非常に重要な中で、こちらの水質基準逐次改正検討会において水質にかかわる重要な事項を検討していただいているわけでございます。

 本日は、7月に開催いたしました平成27年度の第1回検討会で検討していただいた検出濃度が高目の農薬についての取り扱いと、水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方について引き続き御検討いただいて、一定の方向性を示していただけたらということに加えまして、逐次改正ということで、1年に1回、最新の科学的知見や検出状況などを踏まえて、水質基準項目をどうするか、基準値をどうするかみたいな話も御議論いただければということで、議事が大分たくさんございますけれども、よろしくお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 

○鈴木室長補佐

 本日の出席状況でございます。委員8名の全員の方に御出席いただいています。

 マスコミの方のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。

 

○鈴木室長補佐

 それでは、以降の議事進行につきましては、松井座長にお願いいたします。

 

○松井座長

 松井でございます。よろしくお願いします。

 2時間という限られた時間ですけれども、丁寧かつ見落としのない議論に努めていきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いします。

 それでは、議題に入る前に、本日の配付資料について確認をお願いしたいと思います。

 

○吉崎係長

 それでは、資料の確認をいたします。

<資料確認>

資料2の103112ページについては、委員限りの資料としており、一般の傍聴の方の資料からは103112ページが抜けていますので御了承ください。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 早速、議題(1)について、審議に入りたいと思います。

 議題(1)に関しましては、資料が1~4とございますので、資料一つ一つについて審議したいと思います。

 まず、資料1でございます。御説明をお願いします。

 

○吉崎係長

 それでは、資料1を用いまして「水道水中における農薬類の目標値の見直しについて(案)」説明させていただきます。

 概要は、内閣府食品安全委員会における最新の食品健康影響評価及び平成27年2月の第16回厚生科学審議会生活環境水道部会における審議結果に基づきまして、農薬類の見直しを行うものでございます。

 対象となる農薬は「別添2 農薬類(水質管理目標設定項目15)の対象農薬リスト」に掲げる農薬のうち、表1に示しておりますアシュラム、ジクロベニル、ダイアジノン、トリシクラゾール、フェニトロチオン、マラチオンの6物質でございます。

これらの目標値を見直すことについて平成27年9月11日~1013日の間、意見募集を行いました。

3ページの別紙からがその結果についてのまとめでございます。 

 意見としましては4件提出されてございまして、それらに対する考え方を別表に示しています。

 まず、1つ目の意見といたしまして、水道水中の農薬含有規制に関するパブコメ意見ということで、個々の農薬のADIに基づくADI至上主義に依拠する総農薬方式が採用されていることに反対の意見を述べてきており、ADIに基づく総農薬方式自体に反対という意見でございます。

 その意見の理由として、複合毒性が不明である現状を踏まえれば、個別の農薬の基準だけでは対処できない等々の理由がその下にまとめられてございます。

 「意見に対する考え方」ということで右に示してございまして、現行の評価方法は、内閣府食品安全委員会における最新の食品健康影響評価等に基づきまして、毒性の程度も勘案した評価方法であり、水道水の安全管理方法として適切であると考えますということで考え方を示してございます。

 まず、これが【意見1】に対する考え方でございます。

 次に【意見2】ですけれども、こちらは7ページにございまして、今回、パブリックコメントの対象の6農薬について、もっと目標値は低くしておくべきという意見をいただいています。

 こちらについては、総論的に、今回の目標値の見直しについては、内閣府食品安全委員会における最新の食品健康影響評価に基づきまして、水道水からの摂取量を考慮の上行っており、水道水の安全管理の目標値として妥当な値と考えてございます。今後も同委員会の評価等の最新の科学的知見を踏まえまして、逐次、目標値の見直しを行うこととしていますということで考え方を示しています。

 ただ【意見2】の中で、8ページ目の「(2-5)フェニトロチオンの目標値」についてですけれども、この目標値が定められた1992年の改訂時、食品由来の理論最大摂取量がADI80%を超えており、水の寄与率を低くして目標値を設定していたという経緯もあるので、それを変えるべきではないというような意見がございました。

 こちらについては、個別に回答を考えてございまして、それを8ページ右側に示してございます。

 食品安全委員会の評価書の記載によれば、食品中より摂取されるフェニトロチオンの推定摂取量は国民平均においてもADI26.8%、一番評価が厳しくなる小児においても対ADI比は53.3%ということで、ADI80%を超えないことから、水道の寄与率を10%として算出した今回の新目標値については、水道水の安全管理の値として妥当であると考えるということで示してございます。

 参考資料の通し番号19ページに食品安全委員会の評価書に記載されている推定摂取量が示されており、国民平均であれば摂取量が70.1 µ g/人/日ということで、これを換算すると対ADI比としては26.8%程度が食品から摂取される計算になってございます。

 以上が【意見2】に対しての考え方でございます。

 次に、10ページ目の【意見3】ですが、IARCが発がん性を2Aまたは2Bに分類したグリホサート及び2,4-Dについて、目標値を再評価すべきという意見をいただいてございます。

 こちらについては、今回の意見募集の対象外ですけれども、今後も内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価等の最新の科学的知見を踏まえまして、逐次、目標値の見直しを行うこととしていますということで考え方を示してございます。

 最後に、11ページの【意見4】でございます。

 「関連資料、その他」に報告へのリンクを記述すべきという御指摘については、パブリックコメントをするときの様式の話ですので、こちらについては善処いたしますということで回答しています。

 下段ですけれども、内容について、水道水中の農薬の許容量の増大に対して否定的な評価ということで、単純に増大させることは実によくないと考えるという意見ですが、【意見1】【意見2】と同様に、食品安全委員会における最新の食品健康影響評価に基づきまして、水道水からの摂取量を考慮の上、行うものであり、水道水の安全管理の目標値としては妥当であると考えますということで考え方を示してございます。

 資料1の説明については以上でございます。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 それでは、御意見をお願いしたいと思います。

 浅見先生。

 

○浅見委員

 ありがとうございます。

 パブコメの皆様からの御意見も非常に丁寧に見ていただいて、ありがたいなと思います。

 全体的には御提案のとおりでいいなと思っております。

 中身のほうで8ページのフェニトロチオンに関しての御意見なのですけれども、これに関しましては、理論摂取量ということで、ほかの食品等を全て基準値ほど摂取した場合ということで計算されていらっしゃいまして、実際の値ですとこれよりもかなり低い摂取量になっておりますので、十分安全を見越した値になっているのが現状だと思いますので、そういう点でも事務局の御提案どおりでよろしいのではないかと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。

 

○亀屋委員

 ちょっと余計なことかもしれませんが、御意見の最後のほうにもありましたけれども、水道水中の農薬は極力低いほうがいいというのは、それは一般論としてはそうだろうなと思います。

 ただ、評価は最新のものでやっていただいていますので、評価はこれで正しいのだと思うのですが、ただ、実際の数値を見てみますと、0.9mgLなんていう結構高い濃度のものもありまして、水道水にBODにひっかかってくるぐらいの数字のものが入っているというのはちょっと嫌な気もするわけでありまして、評価はいいのですけれども、そういった意味もあって、ここで数値が引き上げられると、原水のほうもここまで汚れていてもいいのかというような間違った認識をされてもいけないので、やはり関係のところには、引き続き水質汚濁等の防止にちゃんと努めていただくということはきちんと要請しておかなければいけないのではないかなと考えます。

 

○松井座長

 貴重な御意見ありがとうございます。

 どうぞ、事務局。

 

○吉崎係長

 今回の考え方について御了承いただけるようであれば、1ページ目の「3.今後の予定」にありますように、年度内に厚生科学審議会生活環境水道部会のほうにお諮りして、今回の目標値改定というのは平成28年4月1日から施行する予定でございます。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 それでは、資料1については、これで了承ということでよろしいですか。

(「はい」と声あり)

 

○松井座長

 ありがとうございました。

 それでは、資料1については、今回の意見を踏まえてさらに検討を進めていただくということにしたいと思います。

 続きまして、資料2でございます。御説明をお願いします。

 

○吉崎係長

 それでは、資料2に基づきまして「水道原水での検出濃度が高い農薬への対応について(案)」ということで説明させていただきます。

 資料2に関しましては、今年度の第1回検討会でもお示しした資料を一部リバイスしたものが4750ページに添付してございます。

 概要について簡単に説明いたします。「1.背景」としまして、現在、要検討農薬類に分類されていますテフリルトリオンについては、平成25年に農薬類の大改正をした際には、まだ本格的に普及され始めたばかりであり、出荷量の実績や浄水、水道原水での測定データ等の不足等から「対象農薬リスト掲載農薬類」への掲載を見送っていた経緯がございます。

 今般、厚生労働科学研究において、水道原水で目標値に対して検出濃度が高い値を示すデータが集積されたことから、その取り扱いについて検討するものでございます。

 「2.検討物質」としましては、テフリルトリオンは除草剤でございまして、平成19年に農薬取締法に基づく新規登録申請(水稲)がなされているものでございます。

 現在、毒性評価もございまして、評価値は0.002mg/Lに設定されてございます。

48ページの「3.出荷状況」ですが、テフリルトリオンの全国出荷量をまとめたものでございます。第1回検討会の資料に加えまして、最新の平成26農薬年度データを追加してございます。

 出荷量としましては、平成23農薬年度に出荷量が約60トンに急激に増加し、その後はやや減少して横ばい傾向にある状況でございます。

49ページ「4.検出状況」ですが、平成24年~26年のテフリルトリオンの検出状況を厚生労働科学研究のデータをもとに厚生労働省のほうで作成したものでございます。

 検出状況としましては、水道原水、河川水において全体の約2割で目標値の1%を超える値が検出されているということ。また、1地点ではありますけれども、目標値の50%を超える値も検出されている状況でございます。

 ただし、浄水においては、定量下限値を上回って検出された値はありませんでした。

50ページ「5.検出のおそれの検討」ですが、こちらについては、平成25年の農薬分類の見直し時に、出荷量、ADI及び面積等を用いまして、検出のおそれが高いと判断するための指標を設定したときの資料でございます。

 詳細な説明は省略させていただきますけれども、端的に言いますと、2nd selection level(黒の実線)よりも右上にプロットされる農薬については、検出のおそれが高いと判断されます。この当時、第2、第3群農薬類または追加農薬類でここにプロットされた農薬は「対象農薬リスト掲載農薬類」へ掲載して、測定データを集積していくとしていたものでございます。

 テフリルトリオンの2011年~2014年までのデータについては、右上のほうにプロットされていますので、「対照農薬リスト掲載農薬類」へ掲載する選択基準に該当します。

 以上、原水の検出実績があること、検出のおそれが高いということから、当時の考え方に照らせば「対象農薬リスト掲載農薬類」にテフリルトリオンも掲載すべきという判断になるということでございます。

 次に、51ページに「6.テフリルトリオンの分解物について」まとめてございます。

 テフリルトリオンは、原水では高い濃度で検出される状況ですけれども、浄水のほうでは検出されていません。その理由は、塩素処理により分解物B(2-クロロ-4-メシル-3-[(テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ)メチル]安息香酸)に分解されるためです。この分解物Bについては、厚生労働科学研究において浄水から検出例があることが確認されています。

 この分解物Bについても、今年度、厚生労働科学研究においてデータをとっていただいておりまして、そちらの検出状況を下の「6-1 分解物Bの検出状況」としてまとめてございます。

 浄水において測定データの約13%でテフリルトリオンの目標値の10%値を超えるような値が検出されています。

 河川水、原水においては、分解物Bはほとんど検出されていませんが、低濃度ではありますけれども、一部検出されている例もございます。

 こういった検出状況の分解物Bの毒性評価について、52ページに「6-2 テフリルトリオンの作用機序と分解物Bの毒性評価」としてまとめてございます。

 まず、テフリルトリオンの植物における作用機序というのは、4-HPPDaseを阻害することによりまして植物色素の生合成を阻害し、枯死させるというものでございます。テフリルトリオンの哺乳動物内での作用機序というのは、4-HPPDase阻害時にチロシンの代謝物を経由した血漿中チロシン濃度が上昇することにより惹起されたと推測されます。

 したがって、テフリルトリオン及び関連物質の毒性評価というのは、4-HPPDase阻害の程度によりまして、ある程度推測が可能であると考えられます。

in vitroの試験結果については、委員限りの資料として後ろにつけさせていただいていますけれども、こちらの阻害試験結果によれば、テフリルトリオンは試験濃度に相関して明確な阻害を示したことに対しまして、分解物Bについては、生物学的に意義のある阻害は示さなかったことが試験結果から得られてございます。

4-HPPDaseは植物、細菌及び動物に広く存在が認められている酵素ですけれども、その活性中心は種によらず同様の立体構造が保持されていることが考えられてございます。これは多くの4-HPPDase阻害除草剤で植物及び動物の両方の4-HPPDaseに結合することが知られていることからも、支持されるものでございます。

 構造的にどうかというところで、トリケトン系化合物及びその類縁体は下の図のような基本構造を有してございまして、4-HPPDaseを阻害します。4-HPPDaseの活性中心にある鉄に競合的にキレート結合することで、阻害活性を発すると考えられてございます。

 しかし、分解物Bは51ページに示す構造で有り、キレート結合に必要な構造は失っています。

 以上のことから、分解物Bについては、動物においても4-HPPDaseの阻害活性を有さず、テフリルトリオンと同様の作用機序による毒性を示すことはないと考えられます。

 以上の検出状況や毒性評価を踏まえまして「7.今後の方針」を下に示してございます。

 テフリルトリオンについては、原水からは目標値の10%値を超える検出が確認されていること及び平成25年の農薬分類の考え方に照らすと「対象農薬リスト掲載農薬類」へ掲載する選択基準に該当することから、パブリックコメント手続を経まして「対象農薬リスト掲載農薬類」へ掲載することとし、平成29年4月1日から適用することとしたいということでございます。

 分解物Bについては、上記の毒性評価よりテフリルトリオンと同様の毒性は有さないと考えられますので、検査はテフリルトリオン原体のみを対象とすることとしたいということで事務局の案としてございます。

 資料2の説明は以上でございます。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 御意見をお願いしたいと思います。

 広瀬先生、どうぞ。

 

○広瀬委員

 この件については、前回の検討会でも議論になったものだと思うのですが、前回のときは分解物Bについての毒性知見がなくて、食品安全委員会の評価書でも、基本的には分解物Bは塩素で分解されますけれども、食品への残留という観点からは実はほとんど残らないということで、食品安全委員会では、少なくとも評価書上は分解物Bの評価はされていなかったのですが、事務局のほうで分解物Bの毒性についての情報を収集していただいて、6-2のような考察になったのだと思います。

 事務局からの説明のとおり、構造から見ても、酵素活性の程度から見ても、少なくとも原体と同じ毒性を示すことはほぼないだろうと考えられますので、事務局の案でよろしいと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 浅見先生、どうぞ。

 

○浅見委員

 ありがとうございます。

 こちらの農薬に関しましては、今、研究班に参加の事業体さんでもいろいろ測ってくださっているのですが、使用量の多いと思われる県でもそうですし、そうではないかなと思われる県でもそれなりに検出されるという物質だったものですから、ちょっと注視をしていたところなのですけれども、今回、対象農薬に含めていただいて、より広く知見を集めていただくということが重要なのではないかなと思います。

 分解物につきましては、今回、関連の会社さんとかの御協力もいただきまして、このように分解物に関しての活性というのも教えていただくことができまして、そういう観点からいきましても、こういう新しいタイプの農薬の分解物について、水道での塩素反応ですとか、オゾン反応とか、そういう非常に代表的な処理で起こってしまうような反応についての毒性を一緒に集められるということは非常に重要なことだと思いますので、今後の流れの中でも重要な知見ではないかと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。

 小林先生、どうぞ。

 

○小林委員

 前回の検討会でも話したことではあるのですが、テフリルトリオンの標準検査法について準備をしておりまして、検査法の妥当性も確保できているので、平成29年4月から対象農薬リストに適用するということが書かれておりますが、それに遅れることなく標準検査法も準備できる予定になっています。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 小林先生、この検査法は独立してではなくて、従来の一斉分析の中に入っているのですか。

 

○小林委員

 検査法としてはLC/MSによる一斉分析法を適用する予定になっていて、従来のLC/MS対象農薬と一斉に測れます。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 一斉の中に入るということは、検査法としては新たな大きな負担はないということですね。

 

○小林委員

 現在、LC/MSLC/MS/MSに直接注入して測る検査法があるのですが、64農薬を測れる検査法になっています。それらの農薬と併せて測定ができます。

 

○松井座長

 浅見先生。

 

○浅見委員

 それからいきますと、来年からでも測ることができるところは入れていただいて、測っていただいても構わないということでよろしいですか。制度的に対象農薬としてということではなくて、事業体さんでこれは地域で使われている農薬だということがわかれば、一緒にまぜて測っていただくことも可能ということでしょうか。

 

○小林委員

 検査法を通知するタイミングは、恐らく平成29年4月になってしまうのではないかと思われます。

 

○浅見委員

 ついでに測れてしまうという感じですか。

 

○小林委員

 手続上問題なければ、速やかに検査法を通知することはできると思います。

 

○浅見委員

 通知しなくても、技術上、今、一斉分析でされているところで一緒に測ることも可能ですよということになりますか。

 

○小林委員

 技術上は可能ですので直ぐに測ることはできます。

 

○浅見委員

 わかりました。

 

○松井座長

 ほかにございませんでしょうか。

 それでは、ただいまいただいた意見を踏まえて、引き続き検討していただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、資料3について御説明をお願いします。

 

○吉崎係長

 それでは、資料3を用いまして「最新の科学的知見に基づく今後の水質基準等の改正方針(案)」について御説明させていただきます。

 まず、113ページ目については、逐次改正について概要が書いてございますので、説明のほうは省略させていただきます。

114ページ目からが「2.食品健康影響評価の結果への対応方針(案)」ということで示してございます。

 まず「(1)農薬類以外」についてです。

 これまでに開催された厚生科学審議会生活環境水道部会において未検討のもので新たに食品安全委員会から結果が示されたもので、水質基準または水質管理目標設定項目に該当するものはございませんでしたが、要検討項目に位置づけているフタル酸ブチルベンジルの健康影響評価の結果が新たに示されてございます。

 こちらの物質に係る現行評価時の設定根拠等を下のほうに「現行(H15年答申)」と「食安委の評価内容(H27.4.7)」ということで示してございます。

 評価内容についてですけれども、平成15年当時では、Nagaoらによる雌雄のSDラットへの2世代繁殖試験において、次世代で出生時の雌雄の児体重の低下に基づいて求められた無毒性量から評価ということで、NOAELからTDIを設定しております。

 ただし、この当時はまだ実験データ等の蓄積が不足していることから、評価値は暫定で0.5mg/Lと設定されてございました。

 平成27年4月7日に食安委から出された評価内容についてですが、まず、発がん性について、遺伝毒性はないと考えられておりまして、IARCにおいてもグループ3に分類されております。

 非発がん性については、結果的には当時の評価と同じなのですけれども、今回、実験データが蓄積されたことにより、食安委から評価が示されてございます。

 評価内容もNOAEL20mg/kg体重/日からTDI0.2mg/kg体重/日が設定されております。これを用いて2L摂取、50kg、寄与率10%で計算すると、評価値が0.5mg/Lになります。

 もともと暫定値ということで評価値を定めていたのですけれども、今回、食安委の評価が出されたということで、その暫定値を削除するという事務局の案としてございます。

 また、フタル酸ブチルベンジルの検出状況について、119ページにまとめてございます。

 こちらのデータは、厚生労働省が水道事業者等に協力頂いているアンケート調査で収集したデータを整理したものでございます。新たに目標値0.5mg/Lと設定されたとしても、ここ数年においては評価値の対10%値を上回るような値は検出されておりません。

 次に、116ページの「(2)農薬類」について、新たに食品安全委員会から評価結果が示されたものをまとめてございます。

 これまでに開催された厚生科学審議会で未検討の16物質を整理してございます。

 網かけ部分については、機械的に目標値を算出した場合に現行の評価値と異なる対応方針(案)が得られた物質を示してございますが、対象農薬リスト掲載農薬類では、上から3つ目のダゾメットから、ピロキロン、ベンゾフェナップ、メタムの4つ、要検討農薬類ではメチルイソチオシアネートが1つ、その他農薬類で5物質でございます。

 表の一番右側の対応方針(案)については、新しい評価値が現行評価値から上がるか、下がるかという矢印と、新規設定されるもの、また「※3」ということで示してございます。

 「※3」のダゾメット、メタム、メチルイソチオシアネートにつきましては、117ページにその対応方針について示してございます。

 これら3物質については、食品安全委員会の健康影響評価結果において、ダゾメット及びメタムは、農薬として散布された後、土壌中でメチルイソチオシアネート(MITC)に分解されて、植物体内ではおおむねMITCとして残留すると考えられるということから3物質の総合的な評価には活性成分であるMITCに基づく評価を適用するのが適当であると判断され、ダゾメット、メタム及びMITCのグループ一日摂取許容量が健康影響評価として示されてございます。

 このため、水道水中においてもダゾメット、メタム及びMITCをグループとして評価することが適当であると考えられることから、以下のとおり項目及び評価値を設定することが考えられるということで案を示してございます。

 見直し前はダゾメット、メタム、MITCのそれぞれでADIから評価値を設定してございました。

 検査としては、ダゾメット、メタムは、MITCとしてしか検査できなかったため、それらを原体に換算する方法で評価しております。

 これらについてグループとして評価することが適当ということで、新たに対象農薬リストにダゾメット、メタム及びMITCの3つを合わせたグループの新評価値を求めて評価する案を示してございます。

 「3.新評価値の設定に係る今後の予定(案)」としまして、新評価値の設定については、上記2の対応方針(案)に基づいて年度内の厚生科学審議会で方針を決定した後、「対象農薬リスト掲載農薬類」に係る新評価値(案)の設定については、パブリックコメント手続を経まして、平成29年4月1日から適用としてございます。

 その他、要検討項目及び農薬類のうち対象農薬リスト掲載農薬類以外の農薬については、年度内の部会に諮りまして、そのまま平成28年4月1日から適用する方針(案)としてございます。

 また、参考として食品安全委員会から出されました健康影響評価の概要を後ろに添付してございます。

 資料3の説明は以上でございます。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 それでは、御意見をお願いしたいと思います。

 

○西村委員

 ダゾメット、メタム及びメチルイソチオシアネートについてお聞きしたいのですが、お示ししていただいた考え方、方針(案)については、これで結構だと思うのですけれども、例えばダゾメット及びメタムは、検出状況から鑑みてこの案で結構だと私は思うのですが、実際に散布された後にすぐ流出したときに、実際にこのダゾメット及びメタムについては、MITCとしてしか検出されないということですが、すぐに変わるのでしょうか。例えば散布した後、川にすぐ流出したときに、やはりダゾメットやメタムとして検出される可能性があるのかどうか。

 もしされないのであれば、この考え方のままでいいのですが、もし検出されるのであれば、原水中にダゾメット、メタムとして検出されるということで、ちょっと私の理解が間違えているかもしれませんけれども、117ページの見直し前の下のところではMITCとして測定するとなっているのですけれども、その辺のところは情報としてはどうなのでしょうか。

 

○松井座長

 小林先生、お願いします。

 

○小林委員

 今の西村先生の御質問は検査法に関することだと思いますので、私からお答えします。

 検査法としてメチルイソチオシアネート、MITCとして測定というのは、検査の過程で全てがMITCに変換される検査法なのです。

 この2農薬の物性からして、ほとんど全量が恐らくMITCになっているとは思うのですが、メタムやダゾメットがゼロかという保証はないのですけれども、現在の検査法が加熱をする方法なので、もし仮に検水の中にダゾメット、メタムが残っていたとしても、全部MITCになってしまうので、MITCとしてしか検出されない検査法なのです。それをMITCの目標値と比較することになるので、その点では問題はないと思います。

 

○西村委員

 大変詳しい説明でよくわかりました。どうもありがとうございました。

 

○松井座長

 ほかにございませんか。

 小林先生、追加でお願いします。

 

○小林委員

 ちょっと質問なのですけれども、今、目標値のところを見ていたのですが、新評価値、新しい目標値は現行より緩和されるのですか。

 現行はMITCとして測ったものを原体に換算しているので、目標値の低いダゾメットに換算している例が多いのではないかと思うのですけれども、それに対して新評価値はMITCとして0.01になるというのは、緩和されることになるのですか。

 

○松井座長

 ちょっとそこを御説明いただけますか。

 

○吉崎係長

 今回、ダゾメット、メタム及びMITCのグループ一日摂取許容量ということでADIが示されてございまして、かつ、ダゾメット、メタム、MITCのそれぞれについてもADIは示されてございます。表の0.0040.0050.004の3つがそれぞれのADIということでして、総合で見ても3つ合わせて0.004をとるということで評価されていますので、緩和というよりも厳しい側かなと考えてございます。

 

○松井座長

 確認ですけれども、0.00450kg10%、2L0.01になるということですね。

 

○吉崎係長

 そうです。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 さらに、0.004というグループADIというのが食品安全委員会の評価書の中に記載されているということですね。

 

○吉崎係長

 そうです。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 

○浅見委員

 ちょっと細かいかもしれなくて恐縮なのですが、ダゾメット1molから、分子の構造のほぼ全部を使ってMITCになるのだったらこれでいいのですけれども、質量が異なるので、ひょっとしたら、注釈のところで換算方式は別途御相談させていただいたほうがいいかもしれないかなと。ちょっとわからないのですけれども、1molから本当に1molMITCとして同じ質量で表記してしまっていいかどうか、前に資料をちらっと見たときにはそこまで思い至らなかったのですが。

 

○松井座長

 そうですね。私も質量で全部換算して、小林先生、何か御所見はありますか。

 

○小林委員

 そうなのです。今、その点に気づいたところなのですけれども、考え方としてはダゾメット、メタム、MITCの中で一番低い0.004をとるということで、一番厳しい値をとっているので、これでいいと思うのですが、現在の評価方法はMITCとして測ったものをダゾメット、メタムに換算することになっていて、そのときの換算係数として、MITCからダゾメットに換算する場合には2.22を掛けて濃度を出しているので、逆に考えるとMITC2.22で割った値で評価されていることになっています。

 ただ、この換算方法はオフィシャルなものではなくて、原体に換算するときのやり方を各検査機関が独自に行っているだけなのですが、現実的には現在の評価よりもMITCの目標値としては緩和されることになると思います。

 

○松井座長

 そうすると、例えば、濃度0.01mg/Lが検出されたときに、それが全てダゾメット由来だったと仮定すると、ダゾメットの濃度としては0.022であると推定されるということですね。「見直し後」と書いている下の3物質の総和の濃度として、新評価値(案)は0.01とありますね。仮に0.01の濃度でMITCとして検出された場合に、その由来物質がダゾメットだった場合には、その濃度は0.022の可能性が高いということですね。

 

○小林委員

 現在はそういう換算をやっています。現在はMITCの目標値がなく,ダゾメット、メタムの濃度に換算していたので、換算係数が必要になります。新しいやり方に問題があると言っているわけではなくて、MITCとして0.004ADIが正しければそれでよいと思うのですが、今よりも緩和されることになるということです。

 

○松井座長

 その点、食品安全委員会が3物質の総和として0.004ADIを出していますけれども、その換算について、事務局のほうで確認したほうがよろしいかなと思います。

 

○吉崎係長

 わかりました。

今の検査法で評価されるものとその換算係数等は、少し整理させていただいて、またお諮りしたいと思います。

 

○小林委員

 考え方の周知が必要になるだろうと思います。

 

○広瀬委員

 多分、今のは分子量の違いになるのですよね。分子量が倍ぐらい違うということですか。

 

○小林委員

 そうですね。MITC73に対して、ダゾメットは162あるので、その換算をしています。

 

○広瀬委員

 同じ検出値であったら、その換算分だけ見かけ上緩まるということですね。

 

○小林委員

 この新しい目標値はダゾメットとMITC0.004で同じなので、緩まっているということです。

 

○松井座長

 とすると、ダゾメット1molからMITCがほぼ1mol生成されると仮定してよろしいのですね。

 

○小林委員

 今はそう仮定して換算をしています。

 

○浅見委員

 もし食品安全委員会の健康影響評価のほうでそれも踏まえてこの値が出ているのであれば、このままでいいかもしれないと思いますので、後日、確認をさせていただければと思います。

 

○松井座長

 そうですね。

 ほかにございませんでしょうか。

 それでは、ただいまいただいた意見を踏まえて、さらに検討を進めていただければと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、資料4について御説明をお願いします。

 

○吉崎係長

 それでは、資料4を用いまして「最新の水質基準項目等の検出状況について」御説明させていただきます。

129ページ目にはその概要について書いてございまして「1.水質基準等の超過状況」については、水質基準項目及び水質管理目標設定項目について、水道統計水質編の過去5年分の水質検査結果を対象として、それぞれ検出状況をまとめてございます。

 ただし、平成25年度から対象農薬リストに入った第2、第3群農薬類及び追加農薬類の平成24年度以前のデータについては、厚生労働省の水質関連調査結果を用いております。

 「1.直近5ヶ年の超過状況」及び「2.対10%値に対する直近1年の超過割合」について130ページ、131ページにまとめてございます。

 簡単に説明いたしますと、左側の「リスク順位」というのが1~27まで書いてございまして、上に行くほど浄水中でよく検出されているというものでございます。

 ○、△、※とありますが、○は「直近3ヶ年以上継続で超過地点数が1地点以上」あるということで、例えばジクロロ酢酸やトリクロロ酢酸というのは、浄水中でもかなり検出されているということがわかるということでございます。

 この後説明しますが、右端に分類要件1、2とございますが、例えば、今回、陰イオン界面活性剤が該当しますけれども、水質基準項目で分類要件1がNOというようなものについては「基準項目に据え置くべきか確認すべき項目」に該当します。

 逆に水質管理目標設定項目で分類要件2よりも上に該当する、今回でいえばニッケル及びその化合物は「水質管理目標設定項目の見直し対象とする項目」に該当します。

131ページの農薬類については、特にそういった入れかえを検討するようなものに該当する項目はございませんでした。

 これら検出状況の詳細につきましては、142ページ以降の「表12 水道水質基準項目の水道水質データの整理結果」に5カ年の調査地点数、超過地点数、超過割合ということで整理してございます。

132ページ「2.分類結果」の「1)分類要件」については、整理した先ほどの超過状況を元に、表3に示した分類要件を適用して分類しました。過去5年間に基準値または目標値が変更になった項目については、現行の基準値または目標値により集計を行ってございます。

 分類要件1というのは「最近3ヶ年継続で評価値の10%超過地点が1地点以上存在」というもので、分類要件2のほうは「最近3ヶ年継続で評価値の50%超過地点が1地点以上存在又は最近5ヶ年の間に評価値超過地点が1地点以上存在」に該当するようなものは見直しを検討すべきというものでございます。

 ただし、個々の項目の水質基準項目及び水質管理目標設定項目への分類については、当該項目の浄水における検出状況に加えまして、環境汚染状況の推移や生成メカニズム、浄水処理における除去性等を総合的に評価して判断すべきであり、分類要件のみによって当てはめるべきではないということが当時の考え方として示されてございます。

 こういった分類要件に対して先ほどの超過状況を照らし合わせ、「2)集計結果」にまとめてございます。

 集計の結果「陰イオン界面活性剤」及び「ニッケル及びその化合物」が分類変更を検討すべき項目に該当しております。

 陰イオン界面活性剤の検出状況については、144ページにデータが整理されてございまして、直近5カ年のうち、平成21年~24年度と見てみますと、50%値超えまたは対10%値を超えるような値が継続して検出されておりますけれども、平成25年度においては対10%値を超えるようなデータはなかったため、分類要件1に該当しなかったということでピックアップされています。

 逆にニッケルについては、146ページの上から3番目ですが、平成21年度、22年度は対50%値を超えるようなものはなかったのですけれども、平成23年、24年は対50%値を超えるような地点が1点ずつ、25年度は2地点ございます。そのうち平成25年度については、目標値を超えるところも1地点あり、水質基準にすべきかどうか検討する項目にピックアップされています。

 これらの今後の取り扱い方針を132ページにまとめております。

 「陰イオン界面活性剤」については、直近3カ年継続で評価値の10%超過地点が1地点以上存在しておりませんが、最近3カ年の間でも10%値または50%値の超過地点が確認されているということもありまして、引き続き水質基準に据え置いて管理していくことが望ましいのではないかと考えております。

 「ニッケル及びその化合物」については、最近3カ年継続で目標値の50%超過地点が1地点以上存在し、また、直近年では目標値超過地点も1地点確認されています。これら目標値等の超過地点について、当該水道事業者等への聞き取りを行った結果を下に示してございます。

 まず、平成24年度、25年度において、目標値の50%を超過した地点というのは同じ地点だったのですけれども、給水区域も非常に小さく水源が不安定であるため、今年いっぱいで当該水源は廃止予定であると聞いております。

 次に平成25年度において目標値を超過した地点の原因を聞き取った結果、上流の工場排水によるものであると考えているとのことです。当面の対応としては上流監視を継続することとしているという回答でございました。

 また「ニッケル及びその化合物」の分類変更に関しては133ページに記載したような課題がございます。

 1つ目としては、現在の目標値というのは諸外国の基準値を参考に設定されており、通常の水質基準値設定の考え方とは異なるため、水質基準値の設定に当たっては慎重な検討が必要であると考えてございます。また現在、WHOにおいても、飲料水水質ガイドラインの第2追補に向けてニッケル評価の再検討を行っているということで聞いてございます。これに関連し、現在の目標値が設定された当時の資料を140ページに参考で示してございます。

 こちらは第14回厚生科学審議会の資料2を抜粋したものでございまして、こちらの評価のほうを少し説明させていただきますと、平成15年度の水質基準の見直しの際は、長期及び生殖発生毒性ともに、TDIを算出するには不十分な状況であることから毒性評価は暫定的なものでありました。

 平成24年7月23日に食安委から健康影響評価結果が示され、当該評価結果は特に小さな不確定係数を用いていることから、暫定値扱いを取りやめることが了承されました。

 ただし、食品健康影響評価におけるニッケルのTDIは、リスク評価としては一般的に適用されないアレルギー様作用をエンドポイントとして使用してございまして、ニッケル高感受性患者のニッケル吸収率が高くなる空腹時の飲水摂取をもとに設定されたものでございます。

 さらに食品経由によるニッケル摂取量が既にTDIを上回っていることから、飲料水の評価値を定める寄与率を常法に基づいて設定することは困難であったということから、当時、諸外国の水質基準またはガイドライン値で最も低い0.02mg/Lに設定した経緯がございます。

 ただし、水道原水及び浄水における存在状況、水道用の資機材等を含めた水道における制御方法、水質試験方法等について、調査検討を引き続き行い、必要に応じて評価値を見直すこととされました。

 現在の目標値は平成26年4月1日から適用されています。

133ページに戻っていただいて、当時の目標値設定の経緯は御説明した通りであり、水質基準値の設定に当たっては慎重な検討が必要であると考えてございます。 

 2つ目としまして、現在の目標値を仮に水質基準値として用いた場合、さらにその基準値をもとに給水装置の浸出基準を設定した場合には、特に給水装置において技術的に対応が困難であるということがございます。

 通常、末端の給水装置の浸出性能基準というのは、水質基準の10分の1の値、今回でいえば0.002mg/Lが設定されます。

 ただ、現在普及しています末端給水栓の多数にはニッケルメッキが施されておりまして、日本バルブ工業会の資料によりますと、ニッケルメッキが付与されている末端給水栓のほとんどの製品においては、浸出量が0.01mg/Lを大幅に上回る結果となってございます。

 また、通常、末端以外の給水装置の浸出基準というのは、水質基準と同値が設定されるのですけれども、こちらについても、鉛レス青銅バルブにおいてはニッケルの浸出量が0.01mg/Lを上回る結果ということで報告を受けてございます。

 以上の給水装置については、現時点では有望な浸出低減方法はないということであわせて報告を受けてございます。

 以上のことより「ニッケル及びその化合物」については、平成22年に整理されました「水質基準項目と水質管理目標設定項目の分類に関する考え方」に照らすと、浄水からの検出状況としては、水質基準に分類するか検討すべき項目に該当はするのですけれども、目標値の再検討が必要であること、また、給水装置からのニッケルの浸出に対する対応が困難であるという課題があるため、水質基準を設定するに当たってはさらなる検討を要すると考えてございます。

 このため、水道原水及び浄水におけるニッケルの存在状況、環境汚染状況の推移、水道用資機材等を含めた水道における制御方法等について調査検討を引き続き行って、今後「ニッケル及びその化合物」を水質基準に分類すべきかどうかの検討を継続することとしたいということで事務局の案としてございます。

 資料4の説明は以上でございます。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 それでは、御意見をお願いしたいと思います。

 では、私のほうから。陰イオン界面活性剤については、引き続きこのままでということでよろしいかと思うのですが、現在ニッケルについてもWHOのほうでガイドライン値の見直し中ということもございますので、引き続き検討ということでいいかと思いますけれども、その辺、広瀬先生、何か新しい状況がありましたらお願いします。

 

○広瀬委員

 特に新しい状況はありません。この2月にWHOのガイドラインの会議があって、今、第3版、第4版は70/Lになっているのですけれども、第2版のときは20/Lだったのです。第3版で少し緩くなったのですが、それを今度の2月でそのままいく予定だったのですけれども、2月にEFSAのほうで新しい評価が出たので、今、それも考慮に入れるということで再評価している最中です。

 

○浅見委員

EFSAの評価とかを拝見しますと、食品の調査とかも結構されていて、通常のイオンのものだけではなくて、いろいろな形態のものも調べられていたりしまして、いろいろな調査をされていらっしゃるなという感じがいたします。水道のほうも水道のほうで情報収集なのですけれども、ほかの部分とかも情報収集できるといいのかなと思います。

 

○松井座長

 浅見先生、これは金属ですから、食品由来の摂取量は、国民栄養調査か何かそれに類したものに入っていましたか。食品とかはデータはありますよね。たしかかつての検討会の際にも食品からの摂取というようなことを議論したような気がするので、多分データはあると思いますので、それも踏まえてもう少し詳細に検討したほうがいいかなと思います。

 

○浅見委員

 形態別にはやっていないと思います。

 

○松井座長

 形態別にはやっていないですね。トータルですね。

 ほかにございますか。

 なければ、ニッケルについても、引き続き検討いただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、議題2でございます。関連する資料は資料5でございます。御説明をお願いします。

 

○鈴木室長補佐

 それでは、資料5につきまして説明をいたします。

 資料5ですが、「水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方」ということで、前回、第1回目のときに御議論いただいたものをベースに検討したものを用意いたしました。

 1.2.3.のところは前回から変更がございませんので、説明は割愛させていただきますが、「1.検討の必要性」にあるように、何か突発的な水質事故が起こって水質異常が生じた場合の対応の考え方について、水道事業者等が摂取制限を行いつつ給水を継続する対応を選択肢として判断できるように、考え方を示すというのがこの検討の背景となっています。

161ページの「4.水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方」のところがその考え方としてお示ししたいと考えているものです。こちらを改めて整理したので、御説明したいと思いますが、その前に、後ろの166ページの(参考2)を先に御紹介させていただきます。

 前回の第1回目の議論のときの御指摘で「摂取制限」という用語が適切かどうかというのを改めて整理するということが宿題になっていたかと思います。

 例えば、海外における実際の例などを参考に検討してはいかがかという御指摘もありましたので、こちらの(参考2)で整理いたしました。

 「1.海外における最近の水質事故と対応例」で、アメリカ、イギリス、アイルランドで起きたそれぞれの事故と対応例について、時期と原因物質等と対応を簡単に表で整理しました。

 今回検討している摂取制限を伴う給水継続につきましては、例えば、一番下のアイルランドで鉛が基準値超過した時に「Do Not Drink」という対応をしたということが最も参考になるのではないかなと思います。そこでは「飲料・調理に使用不可」という通知をして対応したというでございます。

 次の「2.用語の整理」に移ります。摂取制限について単語の整理をしたいということで「摂取」と「制限」に分けて、それぞれほかの候補も含めて検討しました。

 初めに、<飲用水の利用について>ですが「摂取」「飲用」「使用」「利用」という候補で考えて、対象は何か、辞書でどのように記されているか、どんな用例があるかを調べました。この表の一番右の列にあります「整理結果案」ということで◎をつけたのが「摂取」という単語でして、その理由としましては、過去の通知、特に原発事故の対応のときの通知で用いているため、水道事業者等の理解が一番得られやすいのではないかと考え、やはり「摂取」が一番適切ではないかと考えています。

 次の167ページに<利用の限定について>として、利用を限定する制限について、こちらも4つ候補を挙げて検討しました。こちらも一番右の列の「整理結果案」にあるように、過去の通知で用いており、水道事業者等の理解が最も得られやすいのではないかということで、「制限」という言葉を使いたいと考えています。

161ページに戻り、「4.水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方」として整理をしたものについて御説明したいと思います。

 前回の資料の4.では、昨年度実施したヒアリング等の結果でこうですよという書き方をしていましたので、その「ヒアリングにおいて」というものを削って、改めて考え方ということで整理したものといたしました。基本的なコンテンツとしては変わっていません。

 まず「(1)基本的な考え方」です。水質事故等によって浄水中の有害物質の濃度が一時的に基準値を一定程度超過する水質異常が生じた場合においても、水道事業者等の判断によって、利用者に対して水道水の摂取を控えるよう広報しつつ給水を継続することが可能である。実施に当たっては、汚染状況など、こちらに書いてあるような事情を踏まえて総合的に判断して、より社会的影響の小さい対応として選択する必要がある。こちらを基本的な考え方としています。

 「(2)摂取制限を伴う給水継続を行う対象となる物質等について」では、摂取制限を行う給水の継続につきましては、一般細菌、大腸菌、シアン、水銀のように基準値超過の継続時に給水停止が求められるものを対象に行うものではなくて、長期的な健康影響をもとに基準値が設定されているものが、一時的に基準値超過が見込まれる場合に行うことが可能となるものであるということで、いわゆる水質基準項目のうち、長期的な健康影響をもとに基準値が設定されている物質ということで、次のページになりますけれども、表2にその対象物質を整理いたしました。

 2パラはこのような摂取制限を伴う給水継続を行う際の個別の物質濃度や期間についてです。原因や復旧に要する時間、当該事業者における対応能力などさまざまな要因がありまして、一律に基準を設けることが困難であるということから、各水道事業者が原因、影響等を踏まえて総合的に判断することが必要であるとしています。

162ページの中ほど「(3)水質異常時の対応体制の整備について」では、あらかじめ行っておくことが望ましいことについて整理をしています。

 水質異常が生じた際の対策について、あらかじめその意思決定、実施体制、行政や他の水道事業者等関係者との連絡体制を検討、整備しておくことが必要であります。

 また、水道用水供給事業者が水道事業に水道水を供給している場合であるとか、水道事業者等が水道の運転管理を委託している場合などは、その意思決定等に関する取り決めをあらかじめしておくことが重要であります。

 3つ目は、その対策に係る意思決定の参考とするために、専門家の意見を聴取することができるような体制の整備が有効であるということです。

 4つ目は、摂取制限を伴う給水継続の実施の際に飲用水の応急給水に対応するために、例えば、水源を別とするほかの水道事業者等との連携体制を構築しておくことも有効であるとしています。

 「(4)摂取制限を伴う給水継続を実施する際の対応について」です。実際に摂取制限を伴う給水継続を実施する際にどのような対応をする必要があるかということで、水質異常が生じた際には、水道事業者等は直ちにその実態把握を行い、原因を究明し、必要に応じて低減化対策を実施する必要があるとしています。

 また、摂取制限を伴う給水継続を実施する際に、水道利用者に対して応急給水により飲料水を確保する必要があります。その飲料水の配布に関しましては、水道事業者等と行政とが連携することが必要でありまして、応急給水により飲用水を入手することが困難な者について配慮する必要があるとしています。

163ページです。特に重要な点として「(5)水道利用者に対する周知について」、抜き出して整理をしています。

 摂取制限を伴う給水継続を行う際には、水道事業者等は、利用者に対し、水質に異常が生じていること、またはそのおそれがあること、給水は継続しているけれども飲用は避けることについて、速やかかつ適切に周知する必要があるということと、解除に当たっても同じように速やかに周知することが必要であるとしています。

 周知の方法としましては、近年新たな手法がさまざま出てきていますので、その導入の検討が有効であるということで、子供やお年寄りなどの情報弱者対策を含めて、複数の方法を用いて確実に行うということと、利用者からの問い合わせにも対応していくことが重要であるとしています。

 例として、こちらに挙げているようなものを提示しています。

 「また」以降ですけれども、水道水が飲用できないことが起こり得るということや、水道事業者等がそのときに講じる対策や、このように周知しますという周知方法について、日ごろから貯水槽水道の設置者を含めて水道利用者と共有しておくことが有効であるとしています。

 最後の「(6)摂取制限の解除について」です。解除に当たっては、水道事業者等は、末端の給水栓において実施する水質検査により、当該項目について水質基準に適合していることを確認することが求められます。

 検査を行う給水栓については、通常の水質検査における採水場所、一般的に配水管の末端などの水が停滞しやすい場所を参考に決定することとなりますけれども、配水に要する時間などを踏まえて解除の方法をあらかじめ検討しておくことが重要であるとしています。

 このように4.で整理した考え方を水道事業者等に示していきたいと考えているところでございます。

 資料5についての説明は以上です。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 この件に関してはやや長く議論してきましたけれども、御意見ございますでしょうか。

 伊藤先生。

 

○伊藤委員

166ページ(参考2)についてですが、タイトルは「水質異常時の対応に係る用語の整理」ですが、1と2のうち、2は「用語の整理」そのものなのですが、1が「海外における最近の水質事故と対応例」ということで、ちょっと位置づけが不明瞭ではないかと思います。

 これを示されている目的は、海外における水質事故と対応の事例を紹介するというのと、「Do Not Use」等の用語を紹介するということの2つあるように思いますが、どちらを主目的にされているのでしょうか。

 

○鈴木室長補佐

 資料の説明不足で申し訳ありません。1.については、伊藤委員がおっしゃっていただいたように、用語の整理に当たって「Do Not Use」とか「Do Not Drink」とか、どういう言葉を用いて対応されているのかの参考にするために整理をしたという位置づけでございます。

 

○伊藤委員

 しかしながら、本文の中には「Do Not Use」等の用語は出てこないので、ここでこういう用語を紹介して解説する必要はないのではないかと思うのです。むしろ本文中の「総合的な判断に委ねる」という、その総合的判断の参考にしてもらうという意味で海外における対応事例を示して、判断に役立ててもらうという意味でなら、もう少しタイトル等を整理して、紹介の仕方を工夫するほうがいいかなと思いますが、いかがでしょうか。

 

○鈴木室長補佐

 これまでの検討の結果ということで、摂取制限を伴う給水継続をするに当たっての選択肢の参考として示そうと考えているのが「4.水質異常時における摂取制限を伴う給水継続の考え方」というところとなります。

 資料5全体としては、この考え方を示すに当たって検討の経緯などを整理しているものでして、今回参考資料として参考2をつけさせていただいたので、用語の整理だけに偏った資料の言葉遣いにはなっていますが、先生がおっしゃっていただいたのは、水道事業者等に示すときに海外のことも含めてお示しすることが検討の参考になるということでしょうか。

 

○伊藤委員

 そうですね。用語の解説という意味では、例えば煮沸勧告などは今回の内容には入っていないので、むしろ必要ない用語ですよね。

 そうではなくて、私のところにも、この資料が出された場合に事業体として具体的にどういう対応方法をとるのがいいかというお問い合わせを何件かいただいているのです。

 そのときに、162ページ「(3)水質異常時の対応体制の整備について」で「予め意思決定や実施体制、行政や他水道事業者等関係者との連携体制を検討、整備しておくことが必要である」とされているので、今回の対象になっている物質は確かに表2に示す物質群ではあるけれども、しっかりやろうとしている事業体では、これを機会に、これ以外のもの、例えば残留塩素がなくなった場合の対応方法も含めて、水質基準をはみ出た場合、どういうアクションをとろうかということをきちんと整備しようというようなところもあるのです。

 ですから、そういう事業体の検討に資するという意味では、海外における事故と対応例の紹介のパーツにおいては、もう少し情報のアクセス先も示すなど、水道事業体に役立つような資料として、バージョンアップしておくほうが積極的ではないかという意味も込めて発言させていただきました。

 

○鈴木室長補佐

 御提案いただいてありがとうございます。

 これまで時間をかけて御検討いただいているのが、摂取制限を伴う給水継続の考え方を示して、判断に役立てていただきたいということで、その対象物質とかを明らかにしているものですので、今、お話しいただいたような話というのは、この枠からそれてしまうのではないかなと思っています。

 

○松井座長

 今、伊藤委員から御発言があった海外のいろいろな水質事故時の対応例とか、摂取制限の段階につきましては、厚生労働科研の中で非常に詳しく海外の事例が調査されておりまして、一部はどこかの雑誌にもシリーズで公表されていると思います。

 その雑誌にアクセスできない人につきましては、厚生労働科研の中で報告されておりまして、科研の報告書はウエブ上で公開されておりますので、そこでより詳しい資料に多分アクセスできると思います。

 今回の参考2の主な目的は用語の整理ということなので、海外では「Do Not Use」とか「Do Not Drink」とか「Boil Water Alert」というのがいろいろな汚染のレベルに応じて使われているので、実際の適用があったことと、言葉をどのように使っているかという意味では、これでも大体わかるのですけれども、適用事例だけではなくて、どんな種類の言葉が使われているかということだけでも、科研の報告書の中から抜粋しておくとよりよかったかなと思います。

 多分この3段階ぐらいかなと思いますが。

 

○浅見委員

 そうですね。イギリスとかアメリカの事例ですと、一番厳しい場合には24時間以内に全て報告とか、直ちにとかというのもありますし、1年以内に報告というようなこともありますし、これと同時で間に合うかどうかはちょっとわからないですけれども、この科研の成果を皆さんにも、いざというときにここを見ればいいという形で活用していただけるように用意をしたほうがいいかなというのは前から思っておりますので、ぜひそのようなことで準備したいと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございます。

 

○伊藤委員

 概ね雰囲気はわかりました。それでしたら、166ページ、167ページの資料としては、順番を変えて「2.用語の整理」にある2つの表を先に出して、海外のそのほかの「Do Not Use」等の記述は単なる参考情報ですから、後のほうに順番を変えてはいかがですか。

 

○松井座長

 広瀬先生。

 

○広瀬委員

 多分テーブル1のタイトルがふさわしくないと思うので、ここは「海外での用語の使用例」とかいうタイトルにすればいいと思います。ここはそれしか目的としていないと思います。

 伊藤委員のこれをもっと積極的にというのは、当初はいろいろそういうことを考えていたのですけれども、最終的には化学物質だけを対象にするということになったので、こうなったのだと思うので、私は、将来もっと積極的にいろいろな対応することの最初のステップとして化学物質が選ばれただけだという認識なので、将来に向けてそういう検討をしていただければいいと思います。逆に海外がどうやっているというのは、ここでは余り示さないほうがいいと私は思います。

 

○松井座長

 どうぞ。

 

○浅見委員

163ページの「(5)水道利用者に対する周知について」のところなのですけれども、「また、水道水が飲用できないことがあり得ることや、その際に水道事業者等が講じる対策及び周知の方法について、日頃から貯水槽水道の設置者を含め水道利用者と共有しておくことが有効である」とあるのですが、私もこの事故の後、いろいろヒアリングとかに同行させていただいたりしまして、一般的に水道水が飲用できないことがあるという情報の伝え方が結構難しいかもしれないなというのを感じております。

 事業者さんは、そういうことが起こってしまったときに備えて十分対策をとっておかないといけないし、準備もしておかないといけないというのは、すごく周知する必要があると思うのですけれども、事故のこともほとんど皆さん忘れかけているときに、飲用できなくなることがありますよというのをまた周知するのは、今のタイミングでは若干厳しい場合もあり得るかなという感じが今の文面を拝見して思いましたので、飲用ができないことがあり得ることを、水道事業者としては対策とか周知の方法を検討することは重要だと思うのですが、この段階で一般の方に今やってくださいというのは、ひょっとすると難しいかもしれないなと思いました。

 震災対策も絡めて、日ごろから水を十分家に備えておいてくださいということは非常に重要だと思いますので、それは水質事故よりも地震のほうが絶対に起こる確率が高いので、どちらにしても重要だというところは周知していただく必要があると思うのですけれども、水質事故で特にというのはちょっと許容できるような状況ではないかもしれないなと思っております。

 

○松井座長

 何かありますか。

 

○鈴木室長補佐

 難しいという現状について御紹介いただいたと思うのですけれども、とるべき対策として重要だと考えているので、考え方としては示したいと考えています。

 

○松井座長

 水道水が飲用できないことがあり得るというのは、広く解釈すると、水道水がどこの原水を使っていて、どのように処理されているかという水道自体の理解を深めていくことによって、汚染が起こると対応できないことがあるということも自然と理解していくので、水道全般について理解を深めていくことが大事だという意味で私は解釈しました。

 ほかにございますか。

 片山先生、どうぞ。

 

○片山委員

 広瀬委員のほうからも、これは長い議論の中で第一歩だというお話で、また、微生物を外して化学物質だという御指摘がありましたが、そういう意味では第一歩ということで原案どおりでよろしいかと思います。

161ページの(2)のところに「基準値超過の継続時に給水停止が求められている」とあって、継続時というのをどう解釈するかという問題は残っているとは思うのですが、1回出たらアウトということではないということはここに明示されていると思います。

 微生物についてもあれなのですが、化学物質と違って微生物のほうが変動が大きくなるので、たまたま1回ひっかけてしまうという検査結果があるとすると、今回の測定をしたときに見つけてしまったらどうしようとか、逆に検査官のほうの精神的プレッシャーもあると思いますので、検査法の性質からして、これは大腸菌ではなくて恐らくクリプトスポリジウムになるかと思いますが、そのようなところについても、今後、議論というか、考えたほうがいいのかなとは思います。

 今回については、一般細菌、大腸菌、シアン、水銀という水道法4条に書かれているものについては、特別扱いをしているという解釈でおりますが、病原微生物のほうがリスク管理の観点とかを入れて、それこそいきなりとめるのではなくて、煮沸勧告というやり方も間にあると言ったら変ですけれども、あるわけなので、今後、それも検討していっていただければと考えております。

 

○鈴木室長補佐

 御意見ありがとうございます。

161ページで「一般細菌や大腸菌、シアン、水銀のように」と例示してあるのは、もともと水質異常時の対応について示している平成15年通知を引っ張って改めて提示していまして、今回、何か新しい考え方を出したものではございません。

 微生物についての御意見もいただきまして、ありがとうございます。御意見として承らせていただきます。

 

○亀屋委員

 非常に細かいのですが、161ページの下から5行目に「有害物質(表2)」とあるのですけれども「有害物質」という表現はほかのどこかで使われている表現ですか。例えば「健康を害する物質」とか、何か別の言い方ではなくて「有害物質」という言い方でほかで使われているのをここに持ってきているのですか。

 

○鈴木室長補佐

 そうですね。ここで突然出てきているかと思います。

 

○亀屋委員

 (1)の1行目も「有害物質の濃度が」と書いてありますね。要は、気にするところは、水道水関連のこういった文章の中に「有害物質」という言葉が頻繁に出てくるのかどうかと思ったものですから。

 

○鈴木室長補佐

 御指摘ありがとうございます。

 ほかの文書では余り見かけない表現だと思います。

 

○松井座長

 ちょっと整理していただいたほうがいいですね。

 

○鈴木室長補佐

 確認の上改めたいと思います。

 

○松井座長

 そうですね。ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 よろしければ、資料5につきましても、いただいた意見をもとに検討していただくということにしたいと思います。ありがとうございました。

 

○伊藤委員

 今後はどんなスケジュールになりますか。

 

○松井座長

 資料5についてですね。

 

○伊藤委員

 はい。

 

○松井座長

 それでは、御説明いただけますか。

 

○鈴木室長補佐

 御指摘を踏まえて修正したものを、今年度中に開催される厚生科学審議会に報告して、承認していただいた上で水道事業者に示したいと考えています。

 水道事業者へ示す方法は、今後検討したいと考えていますが、4.の考え方のところが適切に伝わるような形での通知などを考えている次第です。

 

○伊藤委員

 時期は未定ということですか。

 

○鈴木室長補佐

 審議会が本年度中に開催されると思いますので、それを受けて速やかに対応したいと思います。

 

○松井座長

 ありがとうございました。

 それでは「(3)その他」ということでございますけれども、本日いただいた議題についての今後のスケジュールについても説明いただけるということでしょうか。

 

○鈴木室長補佐

 スケジュールにつきましては、各資料で御説明しましたし、今申し上げたところもありますけれども、今年度中に開催される厚生科学審議会に報告して、必要なものについてはパブリックコメント等の手続を経て、最終的に基準としていくという流れになっているものでございます。

 本日の議事録は、後日、事務局より送付しますので、御確認をお願いしたいと考えています。

 最後に、水道水質管理官の長坂より御挨拶をさせていただきます。

 

○長坂水道水質管理官

 本日は活発な御議論をどうもありがとうございました。

 たくさんの議題があったわけですが、基本的には一定の方向性をお示しいただけたということでございますので、繰り返しにはなりますが、年明け、年度内に厚生科学審議会生活環境水道部会が開催される予定ですけれども、そちらにこの内容を御報告させていただいた上で、平成28年4月1日適用のものについてはそれに向けた作業を、平成29年4月1日適用のものについてはそれに向けた作業を継続していきたいと思っております。

 また、最後の摂取制限を伴う給水継続の考え方については、2年、もしかしたらもう少し超えるぐらいの長い検討期間でようやく一定の方向性が示されたということで、時期が確定しているわけではございませんけれども、できれば年度内をめどに何らかの形で事業体のほうにお示しできたらと考えているところでございますので、こういう形でおまとめをいただけたということで、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

 

○松井座長

 以上で本日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。

 

 


(了)
<照会先>

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課
TEL: 03-5253-1111(内線4033、4034)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 水質基準逐次改正検討会> 平成27年度第2回水質基準逐次改正検討会議事録(2015年12月15日)

ページの先頭へ戻る