ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第9回組織の変動に伴う労働関係に関する研究会議事録(2015年8月27日)




2015年8月27日 第9回組織の変動に伴う労働関係に関する研究会議事録

政策統括官付労政担当参事官室

○日時

平成27年8月27日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 労働基準局第1・2会議室(16階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)


○出席者

荒木座長、金久保委員、神吉委員、神林委員、高橋委員、富永委員

○議題

(1)前回までの議論を踏まえた論点整理
(2)その他

○議事

 

○荒木座長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第9回組織の変動に伴う労働関係に関する研究会を開催いたします。皆様、大変お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。議事に入る前に、委員の出欠状況について事務局から御報告をお願いします。

○労政担当参事官室室長補佐 本日は橋本委員が欠席となっております。よろしくお願いいたします。

○荒木座長 それでは議事に入ります。本日の議題は、前回までの議論を踏まえた論点整理となっております。まず、事務局から簡単に御報告お願いします。

○労政担当参事官室室長補佐 資料の説明をいたします。資料1は、これまでの研究会における議論を整理したものですが、参考資料1を参照しながら説明いたします。まず資料1の検討の視点です。労働契約承継法の制定から10年余りが経過し、その間、会社法その他の法整備が進んだこと、組織の変動に伴う労働環境をめぐる裁判例も蓄積されたこと等に留意しつつ、検討を行ってきたところです。また、規制改革実施計画において農協及び医療法人など、会社以外の法人類型についても分割法制を導入することとされたため、先行して平成27年3月に中間取りまとめを行ったところです。中間取りまとめの内容は参考資料の1ページにありますが、両法人の分割に当たっては、労働契約承継法及び平成12年商法等改正法付則第5条等、同様の労働者保護の仕組みを導入することが適当との結論を得たところです。

 続きまして現状の整理です。法制度の動向、会社法の制定のところです。こちらについては、参考資料4ページにありますとおり、組織変動を促進するため、近年独占禁止法改正による純粋持株会社の解禁、商法改正による株式交換・株式移転制度の導入、会社法制定、産業活力再生特別措置法改正に基づく三角合併の導入、第2会社方式の導入等が行われてきました。資料1に戻ります。労働契約承継法との関係では、会社法制定による2点の改正事項の影響が大きいのではないかと考えております。○1は、平成17年改正前商法では、会社分割の対象が有機的一体性のある組織的財産である、「営業」単位である必要がありました。しかし、会社法制定に伴い、会社分割の対象は「事業に関して有する権利義務」の全部又は一部に改正され、事業単位である必要がなくなりました。これに伴い、承継する事業に全く従事していない労働者についても分割契約等に承継の定めを置くことができるようになりました。

 参考資料5ページは、労働契約承継法では、不従事労働者のうち、分割契約等で承継対象と定められた労働者についても通知や異議申出の対象となりました。しかし、5条協議の対象とはなっていないところです。

 資料1の○2は、平成17年改正前商法では、「債務の履行の見込みのあること」が債権者及び株主に対する事前開示情報とされておりました。会社分割の要件でした。しかし、会社法制定に伴い、事前開示事項は「債務の履行の見込みに関する事項」と改められ、債務の履行の見込みがないことは、会社分割の要件とはされなくなってきております。これに伴い、不採算事業に異議申出なく承継又は残存することになる労働者の存在が考えられるようになりました。()は労働契約法の制定です。平成19年に労働契約法が制定され、就業規則や解雇に関する規定が盛り込まれたとの変化がありました。()は倒産法制の改正です。民事再生、会社更正、破産手続をする場合、裁判所は手続開始後の事業譲渡に当たって労働組合等から意見を聴取した場合に限り許可をすることができるといった、労働組合の関与に関する仕組が整備されたところです。

 2は裁判例等の動向です。こちらについては、参考資料11ページを御覧ください。会社分割の主な裁判例・命令例について、第5回研究会で紹介しましたが、そちらの裁判例・命令例について個別的労働関係、集団的労働関係に分けて整理しております。一の日本アイ・ビー・エム事件は、5条協議・7条措置の法的意議について言及した最高裁判例です。特定の労働者との関係において、5条協議が全く行われなかったとき、またその内容が著しく不十分で5条協議の趣旨に反することが明らかな場合は、当該労働者は労働契約承継の効力を争うことができる、他方7条措置については、5条協議義務違反の有無を判断する一事情として、7条措置のいかんが問題になるにとどまるとされております。四の阪神バス事件は、労働契約承継法上の手続を行わず、転籍合意方式により転籍、労働条件変更を行ったことについて労働契約承継法の潜脱と判断したものです。五のモリタ・モリタエコノス事件、六の阪急交通社事件は、労組法上の使用者性、不当労働行為責任の承継について研究したものです。

 続きまして1213ページを御覧ください。事業譲渡の裁判例、命令例についてです。こちらについても、個別的労働関係、集団的労働関係に分けて整理しました。さらに、個別的労働関係については雇用関係の承継が認められた事案、雇用関係の承継が否定された事案、事業譲渡における労働条件の変更に関する事案に分類しました。労働契約の承継・不承継の判断枠組みは、特定承継の考えによりつつ、それを具体的に修正する法理は、法人格否認の法理、実質的同一性、解雇権濫用法理、不当労働行為などケースごとに異なっているところです。

 資料1に戻って組織変動の実態についてです。M&A市場の動向、労働契約、労使協議等の実態についてです。こちらも参考資料の15ページ以降を御確認ください。参考資料15ページのM&A市場の動向は、1988年頃を契機として、M&Aケースが増え始め、2006年をピークにその後リーマンショックで減り、2011年をボトムとして、その後は戻ってきている。そして金融ビックバン以前の第1期ではM&Aは非常に限定的にしか使われていなかったが、第2期には金融危機、経済危機があり、大企業の生き残りのための選択と集中のために集約型、リストラ再生型のM&Aが起きてきた。第3期は、日本企業がバブル処理も終わりM&Aも戦略的な攻めに変わってきた。人口減少、デフレ、グローバル化にどう対応するか、新興国の需要をどう取り込むかが日本企業の課題であり、国内の業界再編、海外企業の大型買収が出てきたというような報告がありました。

16ページは労働関係上の実態です。この表は会社分割、事業譲渡及び合併について、それぞれ目的、特徴、労働契約の取扱い、労使協議の実態、労働協約の取扱いについてヒアリングに基づいて比較したものです。特徴のところは、会社分割の上から3つ目ですが、包括承継のため、個別の同意が不要だが、債権者保護手続があるという特徴があります。一方事業譲渡は、個別承継のため、個別の同意が必要だが、債権者保護手続がないといったような特色があります。

 続きまして労働契約の取扱いです。会社分割は、承継法の適用を受け、承継会社に包括承継されるため、労働契約の変更はない。ただし、会社分割の外で個別の同意を得て退職後、譲受会社で新規採用をするケース、いわゆる転籍合意方式が行われているとの報告がありました。この転籍合意方式については、17ページに補足があります。17ページは、承継される労働者の労働条件はいずれかの段階で、承継会社の労働条件と調整し、統一する必要があるが、最初から承継会社の労働条件の下で雇うことができれば、組織運営上一本化を早期に実現できるという買手側の実務上のニーズがあって行われているものであると報告がありました。

 続きまして16ページの事業譲渡についてです。労働契約については、個別の同意を得て譲受会社に移転する。事業譲渡の対象に労働契約を含めず、個別の同意を得て譲渡会社を退職後、譲受会社で新規採用をするケースが多いとの報告がありました。

 資料1の4は諸外国の法制です。これはEU指令、EU諸国の法制、アメリカの法制について見てきました。詳しくは参考資料の19ページから21ページの表にまとめてあります。まずEU指令、EU諸国の特徴についてです。19ページの上から3段目の労働契約の取扱いのところは、EU指令、EU諸国はジョブ型雇用が背景にあり、自動承継ルールが導入されている。事業移転自体を理由とする解雇は規制されているという状況です。次の労働者による承継拒否は、フランス、イギリスでは労働者が承継拒否する場合、雇用が終了してしまう。一方ドイツでは、承継拒否をした場合旧使用者の下では労働契約は維持できるが、旧使用者の下でポストがなければ解雇されるリスクがあると報告がありました。

20ページの労働者代表への協議、事前通知はEU諸国では自動承継ルールが導入されているため、個別の協議義務はないが、集団的な労使協議、情報提供義務があると報告がありました。

19ページのアメリカの労働契約の取扱いは、EU諸国と違い、随意雇用原則により承継する義務なしということになっております。

20ページのアメリカのところは、労働条件の変更について、原則として使用者による一方的変更が可能となっております。

21ページの従業員代表の機能の承継、労働協約の承継取扱いでは、原則として新使用者が同意しない限り、排他的交渉代表としての地位、従前の労働協約が承継されないということになっております。

 続きまして資料1、5労使団体の意見の概要です。詳しくは23ページにあります。使用者団体として、経団連様から意見を頂きました。事業譲渡、合併については法整備は不要、事業譲渡と会社分割は使用されている場面で差がある、「事業」に該当しない権利義務の分割の際には、5条協議、通知、異議申出の手続は原則不要である旨指針で示めすべき、承継が予定されている不従事労働者も、5条協議の対象にすることで問題はない、会社法で「債務の履行の見込みの要件」がなくなったとしても、労働者保護に欠ける場面が現実的にはない、阪神バス事件は、会社分割時の転籍合意方式を全ての場合を否定したわけではないというような意見がありました。

 続きまして労働者団体です。連合様から意見を頂きました。事業移転、特に事業譲渡について法整備が必要、労働契約承継法を事業譲渡にも適用(自動承継、通知、異議申出等)するべき。使用者選択の自由等を踏まえ、労働契約承継法において承継が予定されている主従事労働者にも、異議申出権を付与するべき、会社法制定により債務超過分割も容認されたことから、不採算事業に残留する非主従事労働者に異議申出権を付与するべき、承継が予定されている不従事労働者も、5条協議の対象にするべき、会社分割の際に、労働契約承継法を適用せず、個別の転籍合意による労働契約の移転は法の潜脱、親会社や持株会社に対する団交応諾義務を明確化するべきとの意見がありました。資料1の説明は以上です。

 続きまして資料2です。資料2は先ほどの資料1にあるような、これまでの研究会における議論を基に論点を整理したものです。1の会社分割()会社法制定の対応です。まず○1は事業に関して有する権利義務については、会社法制定により「事業」に該当しない、有機的一体性のない権利義務の分割が可能となる一方、労働契約承継法では主従事労働者の判断基準として、事業単位を維持しているが、この取扱いについてどのように考えるか。承継が予定されている不従事労働者について、異議申出権の行使の前提として5条協議の対象とするかという論点があります。○2の「債務の履行の見込みに関する事項」については、不採算事業とともに承継される主従事労働者への情報提供等、労働者保護の在り方についてどう考えるか。

 次の()は裁判例等を踏まえた対応です。最高裁判決が言及した5条協議・7条措置の法的効果についてどう考えるか。実務上行われているいわゆる転籍合意方式について労働契約承継法の趣旨と、労働条件統一の要請や民事上の合意原則との関係などを踏まえ、同法上の手続の履行等の在り方についてどう考えるか。労働組合法上の使用者性や、不当労働行為責任承継等の在り方についてどう考えるか。

()のその他は、異議申出権の対象範囲や異議の申出を行おうとしていること又は行ったことを理由とした解雇、その他不利益な取扱いの禁止に係る指摘をどう考えるかというのが会社分割の論点としてあります。

 2番目は事業譲渡についての論点です。事業譲渡に伴う労働契約の承継ルールが法律で定められていないことについて、事業譲渡の法的性格、諸外国の法制を踏まえ、どう考えるか。労働契約の承継には個別の合意が必要であること、倒産法制における意見聴取規定の整備等を踏まえ、適切なルールの在り方についてどう考えるか。以上のような論点が考えられると思います。資料の説明は以上です。

○荒木座長 ありがとうございました。今の資料の説明について、何か御質問や確認したいような点があればお出しいただいて、そのあと議論をしたいと思います。まず、質問等、ありますでしょうか。よろしいですか。それでは、資料2の議論すべき論点、メモのようなものが出ています。これも参考にしていただきながら、少し御意見をいただきたいと思います。今日は自由なディスカッションの機会ということですので、お気付きの点などありましたらお出しいただきたいと思います。

○富永委員 富永でございます。幾つか確認をさせていただきたいと思います。参考資料1の5ページに事業に有する権利義務の話がありまして、その下に個別の労働者の協議・通知の手続というのがあります。前からちょっと気になっていたのが1つあるのですが、不従事労働者について、承継の定めがない人については、5条協議も通知もないし、異議申出もできないという形になっています。そこで、採算の取れる部門だけを切り出して新会社に新設分割する場合に、旧会社に不従事労働者が残ってしまうが、何も言えない状態になってしまうということがあります。これは不従事なのでしかたないといえばそうなのですが、不従事労働者の中でも不当に優遇されて有望な会社に連れて行ってくれる人がいるのに、自分だけ残されたというパターンもありうるので、不従事労働者を承継する場合のセレクションが差別的になる場合があるのではないかというのが1点です。

 それとちょうどパラレルの話なのですが、主従事労働者についても、不採算部門を切り出したときに、本当ならみんな主従事労働者がくっついていくことを想定していると思いますけれども、主従事労働者の中でも、非組合員とか、会社の息のかかっている人だけ元の会社に残して、組合員とかちょっと気に入らない人だけ主従事労働者だからと言って、行かせてしまうというパターンがあり得るのかなと思いまして、そこの手当ももうちょっと、理論的な話で実際に問題になっていませんけれども考える必要があるのではないかと思った次第です。

○荒木座長 という御指摘がありましたけれど、いかがでしょうか。

 前半のほうはよくフォローできなかったかもしれませんが、会社分割において、採算部分が分割されたと。そしてそれに承継対象とならず、いわば不採算部門に残された人がいると。その人がその業務に主として従事していない人ということですね。

○富永委員 はい。

○荒木座長 そのときに承継の定めがないので、5条協議の対象にもならないということでよいのかと、そういう御指摘でしょうか。

○富永委員 はい、普通は不従事だということで、それでしかたないと思うのですが、不従事労働者の中でも、何か会社の息のかかった人だけ引き抜いて有望な所に連れて行く、残りはそのままという形になる場合があります。連れて行ってもらえない不従事労働者としては別に積極的な不利益は受けていないのですが、利益を受けることからは排除されているということになります。不当な利益から排除されているという意味で、相対的には不利益を受けているのかなというのが1個目です。後半のほうは、主従事労働者でも同じことがあるのかなということです。主従事労働者でも連れて行かなくてもいいわけなので、先とは逆に、悪い部門だけを切り出して新設分割するときに、主従事労働者でもわざと有望な旧会社に残すという形で優遇するという形もあり得るのかなと思ったのが1点です。ただ、理論的な話で、まだ今までの判例等には全然出てきていないので、それほど問題になることではないかもしれません。

○荒木座長 なるほど。いかがでしょうか。

○神吉委員 今の点は多分、資料1の2枚目の、使用者団体と労働者団体共に承継が予定されている不従事労働者も5条協議の対象にするべきということですね。今、富永先生が言われた承継定めのあるほうという、5ページの図の右側の囲ってある左側を○にするという点は、労使ともに賛成していると思いますが、さらにこの一番右側の×も○にすべきだというお話でしょうか。

○富永委員 そこを全部○にする必要はないと思うのですけれども、そこでセレクションできてしまうので、不従事労働者をわざと引き抜くこともできるし、主従事労働者をわざと残すこともできるので、セレクションで何か違法なことが行われることがあったときに、どうしようかということです。それはもう判例法理に任せてしまえばいいかなという考えも1つあるとは思いますけれど。

○神吉委員 これはいっそ全部というわけではなくて。

○富永委員 いつも必要かなというと、それは、普通はちゃんとやっているのだろうと思います。別に法律で手当する話ではなくて、ちょうど、事業譲渡では、ほかの人は全部引き抜いたのに、1人だけ残して潰したみたいな話はよくありますので、それと同様に、判例法理とかで対処すればすむ話かもしれないと、今思っています。

○神吉委員 はい、ありがとうございます。

○神林委員 今のお話ですが、会社法が改正されたのとパラレルになっているのですか。7ページの詐害的会社分割における残存債権者の保護規定というので、1個クロスの請求権というのが創設されているわけですけれど、これは不採算部門だけ残して、採算部門だけほかに行ってしまいました、分割をしましたと。けれども、残っている会社に関しては、そのまま残してしまえばいいので、別に協議する必要はありませんと言って、勝手に残したというような場合でも、行ってしまった会社に対して、請求権を認めましょうというのがこれですよね。さっき富永さんがおっしゃったのと同じような感じになるのですか。

○富永委員 普通の債権者についてはこれで手当がある程度図れるのかなと思ったのですが、ちょっと気になったのは労働契約関係だとまだ債権債務として確定していないものがあって、例えば退職金などがそれだと思いますけれども、そういったものについてはこれでカバーできるかというと、ちょっと難しいのかなという気がしています。

○高橋委員 まず、富永先生がおっしゃったことは、労働者を選別して移転させることの可否という問題であると思われます。採算が取れるからどう、不採算だからどうということなのかどうか、ちょっとピンとこなかったのですけれども、資料1の1ページにあります会社法の制定で()の○2の問題にむしろ関係があるように感じました。つまり債務の履行の見込みがあることという要件がなくなって、それが分割の効力に影響するかどうかという論点があるわけですけれども、理論的には不採算部門が切り出されてそれに乗っかって、労働者が移転してしまうというケースがあり得ると。そこで問題が生じるかもしれないという話と裏表の関係になっているのかなという感じはしています。

 今般の平成26年改正に伴って詐害的会社分割について、不採算部門として残された元の会社の債権者も新会社に重畳的に請求できるという形にはなりました。しかし、それでもし、労働者の選別が行われていて、不採算部門に気の毒にも残ってしまわれた労働者の方が、何らかの請求を新会社に行って出せるかと言われると、それはまた難しいかなと思います。それが1つには、富永先生がおっしゃったとおり、会社法の枠組みですと今現在ある賃金債権であれば請求できるというものであるのに対して、労働者の側としては雇用関係の維持をやはり言いたいわけなので、それは会社法の条文で何とかするというのはなかなか難しいことなのかなとは思っています。

○荒木座長 労働者は、過去の未払い債権があれば債権者異議手続きに乗せることができますけれども、将来の雇用関係を新会社が引き受けるとかそういった問題は債権者異議手続ではどうしようもないし、今回できた詐害的会社分割に対する債権者の権利ということでも、基本的にはカバーされていない。そもそも承継の対象とするかの選別問題として、会社法制定とか改正に関連する問題とは別途に考えるべき問題がある、そういうご指摘をいただいたのではないかと思います。

 ついでに言いますと、参考資料1の5ページで、先ほど富永委員がおっしゃった、承継事業に全く従事していなかった人は、会社分割の対象とはもともとはできなかったのですが、会社法制定によって、これも承継対象とできることになったというのが1つ変更点なのですが、提起されたのは、そのとき承継の対象とならなくて、残った人について、何か問題があり得るのではないかと。そういうこともあるとすると、5条協議で、承継の定めがある場合には、労使からもこれは協議すべきだということは先ほど神吉委員から御指摘があったように、余り異論がないかもしれませんが、承継対象とされていない方についてまでこの5条協議をさせるべきか。そうしたほうがいい場合があるのではないかという御指摘もあったのですが、その点はいかがでしょうか。富永委員自体は、これは一律にやるというよりは、個別の対応ということに委ねることもあるのではないかということまで御示唆されましたけれども、この点はいかがでしょうか。

○金久保委員 その点ですが、不従事で承継の定めのない人と仮に協議をしろというときに、個別にそういうこともあると富永先生がおっしゃったのですが、具体的にはどういう事項について協議をさせたほうがいいのかと、関連するのかなと思ったのですけれども。

○富永委員 5条協議ですが、恐らく5条協議をするというよりは、多分あとから争えるということになるのかと個人的には思っております。つまり承継の定めの整理自体は、このままでかまわないですけれども、恐らくあとからでも差別的に何か選別してやっていたことが分かれば、あとから争える道を残しておくべきかなという気がちょっといたしました。

○荒木座長 ほかの方はいかがでしょうか。

○神林委員 その場合、誰と協議するのですか。

○富永委員 5条協議を義務付けることまでは不要だと思います。

○神林委員 誰と争うのですか。

○富永委員 詐害的な分割をした者です。

○神林委員 新会社。

○富永委員 はい、新会社かなと私は思ったのですが。

○神林委員 そうしたらさっきの話と同じですよね。例えば新会社に対して、自分を雇えみたいなことを言うということですよね。

○富永委員 実際には、損害賠償までかなと思いますが。

○荒木座長 ここは高橋先生にお聞きしたいのですが、事業譲渡の場合には、例えば組合を差別するようなセレクションがあったという場合には、それが公序良俗に違反するなり、不当労働行為なりいろいろな理屈を付けて、承継から排除するという合意を無効にして、そうするとほかの人は全員引き受けているから、従業員は基本的に全員引き受ける、承継するという合意があったと認定する。そして、この組合だけは排除するという部分だけを無効にすれば、全員引き受けてくれるという合意が残るので、全員が承継対象となるという処理ができるのですね。これは言わば契約解釈としてできる。

 それに対して、会社分割の場合は分割計画とか契約に記載された権利義務が組織的行為によって承継されるというときに、そういうセレクションが公序良俗に反するからということで、言わば分割計画とか契約に書かれたという処理が、これは会社法上、できるのでしょうか。

○高橋委員 そうですね、実際にはちょっと考えづらいですけれども。契約書や計画書に書くことで、切り出す対象を定めるという趣旨で会社法のときに事業単位ではなく、事業に関する権利義務が分割対象であると言っているので、会社法的な考え方をすると、労働者を選別するのは、これはむしろ当然の帰結かと思います。ただ、ここで非常に公序良俗違反的なことが起こってしまったということになると、それは問題があるとは思います。契約書や計画書に公序良俗違反の内容が入っているということになりますから、それは計画書の少なくても当該事項について無効にする余地はあるのかもしれません。ただ、無効の主張権者に制限があって、このときに誰がその無効を仮に言えるとして、訴訟にもっていけるかというのは、ちょっと難しいところかもしれません。

○荒木座長 公序良俗違反の主張が誰ができるかという問題を御指摘いただいたのですが、これはできるとしてもう1つ先は、書かれていることを無効とすることはできると思うのですが、書かれていないのに書かれたことにすると。つまり承継から排除された人を、この人も承継対象として、分割契約に書いたことにすると。そこまで次に行けるのかという点はいかがでしょうか。

○高橋委員 書いてあることを無効にすることは比較的認めやすいと思うのですが、これを書きなさいというように言うわけですから、なかなか難しいかなと、直感的には思います。会社分割の本体の事業のお話はそのままにしておいて、あとは別途御協議くださいというように整理していくのではないかという気がします。

○荒木座長 そうすると、公序良俗に違反するから会社分割全体を分割無効の訴えで全部無効にしてしまう、これが1つですね。それに対して労働契約承継法はそうではなくて、個別に例えば主従事労働者が承継から排除された場合には、計画書に書いてなくても承継法の効力として、承継の効果が発生するという対応をしているわけです。ですからこういう人たちも、救うとすれば承継法のそうした枠組みに載せるという方向かなという気はしますけれども。

○高橋委員 私もそのように思います。書いてあることであれば計画、契約の効力に関して何か言えると思うのですが、書いていないことについて当該契約、計画に効力をひっくり返すようなことになる、事業の分割そのものに関しては、なかなか効力の問題とはしづらいのではないかと思います。

○荒木座長 ただ、難しいのは主従事労働者については承継を排除されましたら、従来従事してきた主たる業務とともに移転させよということができるのですが、今議論しているのは、その業務に全く従事していなかった人ですので、ほかの人は救われたのに自分だけ従来どおりの仕事のまま留め置かれるということに対して、自分も承継しろというところまで言えるのかというと、そこもまた1つ難しい問題があるような気もいたします。

○富永委員 1つ思いましたのは、そのような不当なセレクションで特定の不従事労働者を優遇して承継しようと思えば、会社分割の手続で承継対象とするのではなく、別途、転籍合意とかで承継してしまえばいいので、わざわざ会社分割のなかでそこまで面倒くさい差別のやり方はやらないかもしれません。だから余り今までの例では見ないのかなと思いました。

○神林委員 そもそも高橋さんがおっしゃったように、選別をするかどうかという論点と、もう1つは不採算部門だけ残して、選別せずに、単純に不採算部門だけ残す、そこにくっついている労働者について、何の協議、合意も必要がないということに関してどうするかということは、多分ロジカルには別の話ですよね。選別する差別的な行為があったという話だと何となく争いやすいかなとは思うのですが、後者の場合には、全く差別はありません。ともかく差別なしに適当に事業を選んで、バンドルを作ってそこから切り出して残ってしまったものは結果として不採算部門だけ残りましたと。それに併せて出ていった事業に全く従事していなかった人も残りましたという状況が起こったとすると、それは明らかに残したものを潰すという意思表示ですよね。そのときに残された人はどうなるかというと、十中八九解雇されるわけです。それは実質的に整理解雇ですよね。自分がその解雇の対象になるかどうかということは、会社が同じだったら整理解雇と言って争うことができると思いますけれど、この場合は新会社には全然請求権がないという話ですので、そうなると潰れた会社に対して、自分は整理解雇から外してくれと言ってもそれはしょうがないですよね。救済の道は全くないということになるのですか。

○荒木座長 これは先ほど高橋委員がおっしゃったように、3の履行の見込みが「ある」ということが、外れてしまったことと関係しているのですが、今、労働者が債権者として債権者異議等できるかというのはそれは難しいですけれども、不採算部門が残された場合に、その債権者は労働者以外にもいるはずで、そういう人たちからの債権者異議等もあるので、そんなに濫用的なことにはならないのではないかという議論もあるのですが、そこはそういうことでもないのですか、どうでしょうか。

○高橋委員 正直、労働者に特化した問題は考えられていないと思います。詐害的な分割が今後も頻繁に起こるかというと、こういうやり方はちょっとまずいなということが裁判例や実務においても定着してきていますので、将来的には楽観視できるとは思っています。ただ、おっしゃられたように不採算部門だけが残り、採算部門が外に出まして、不採算部問にはそこに今まで不採算の事業をやっていた労働者の肩書きが残ってしまったという場合に労働者の方も債権者異議手続が出せるかと言われると、その債権者異議手続の対象になっている債権がなければできないので、結局異議を出せない可能性が高いと思われます。ほかの商取引の債権者、金融債権者がどういう態度を取るかということになっていくのかと思います。抜け駆け的にやるような分割でなければ、ほかの債権者と調整をしながら分割手続きを進めるはずで、私的整理のために行っているというのであれば、当然その過程で社内的にも分かってくるはずなのではないかと思っています。また、私的整理に会社分割を使うのは本当はあまり望ましくないというのが、裁判所の立場のようですので、今後は事例としては減少するのではないかと思ってはいます。

○労政担当参事官 事務局から、そういう場合に現行制度でどこまでできるかという話を御紹介しますと、確かにそういう人、採算部門が分割されて、不採算部門が残り、そこにもともとくっついていた人は確かに5条協議とか異議の申出もないですけれども、ぎりぎりあるとすると法律7条の労働者、集団的な協議は職場全体で協議をしますので、労働者全体との協議の中では、債務の履行の見込みに関する事項も協議することになっていますので、そこで残る人も含めた、射程を入れた協議というのはできないことはないのではないかと思います。ただその後そういう人たちは声を出せる機会があるかというと、確かにないかなとは思います。

 あともう1点先ほど神林先生が言われた不採算部門に残る労働者はいずれ解雇とか整理解雇とあるのですが、参考資料1の6ページの資料が正に不採算部門が切り出したり残ったりするケースを書いていますけれども、多分ケース2のほうだと思うのですが、会社分割で採算部門が分割していってしまう場合に、元の分割会社が存続会社として一応残るので、これがいずれ破綻するというのはあると思いますが、残る場合にはその中での整理解雇なら整理解雇法理の適用があるのかなとは思います。

○神林委員 その中というのはどの中ですか。

○労政担当参事官 不採算ながらも会社が残っている場合に、その会社で整理解雇をすれば、先ほど会社がなくなるのでとおっしゃったので、会社が残る場合もあるということを申したものです。

○高橋委員 なお、補足ですが、事業譲渡の場合は、ちょっと変な譲渡があった場合に、法人格否認の法理で一緒にしてしまうという判例があると伺っていますけれども、会社分割の場合にも、同じく法人格否認や会社法の総則の規定ですが、それを使って両方に請求するという手法もあるということだけ補足させていただきます。

○荒木座長 今それをちょうど確認しようと思ったのですが、明白に会社分割制度を利用して、従来1法人だったものを2つの不採算会社と存続可能性のある会社に分割したというときにも、法人格の否認の法理の理論上の適用可能性はあるということですね。明らかに法人格を濫用して、言わば不採算部門は将来潰すということも織込み済みでということであれば、その分割自体が法人格否認の法理の適用によって両法人が別人格とは主張させないということから、新たに作られた会社に対する労働契約の承継の主張は、法人格否認の法理が適用されれば可能になるということだと思います。

○神林委員 ですから多分、争う道はあるとは思うのですが、それはあくまでも事後的な問題になってしまうので、そういうことが起こらないように予め協議をしなさいとか、コミュニケーションをちゃんと取りなさいというのがこの承継法のフィロソフィーなわけですよね。そういう趣旨から考えると、この部分というのを全く手つかずに残しておくというのは、趣旨に反するのではないですか、どうなのでしょう。

○荒木座長 使用者団体からのヒアリングの中で御指摘があったかもしれませんが、不従事労働者というのはたくさんいるわけですよね。この全員と個別の協議をしろということになると、際限なく、雇っている人たち全員とやれと。承継するとかいう話は、もともと想定もしてない人全員に対して5条協議をやるということなのかというと、それは余り現実的な話ではないという指摘があった点です。ですから、そのところをどう考えるかという問題があるかと思います。

○富永委員 確か同じ経団連さんの意見で、事業譲渡と会社分割は使用される場面の差があるという話があって、権利義務関係は絡まっているか絡まっていないかという話だったので、事業譲渡だと絡んだ間に迅速に処理できないので、会社分割を使うという話だったと思います。この場合は事後に争われることがあり得るということ自体、会社分割で物事を迅速に処理したい会社にとってはかなり不利益なので、ちょっと楽観的すぎるかもしれませんが、事後に争われる可能性があることがわかれば、恐らくそういう不当なことは思い留まるという効果はあるのではないかと思います。もし何か注意書きをつけて、そういう濫用的な承継をすると、あとから争われる、ということが明白になってくれば、会社が事前にそういった不当な選別をする危険性は少し低くなるのではないかと思います。

○荒木座長 そうですね、固いルールとしてどうするかという問題と、もう1つは事後的にいろいろな紛争が生ずる場合に責任が生じうるということを喚起するという在り方は1つあるところかもしれません。非常に重要な点の御指摘がありましたけれども、ほかの論点についてはいかがでしょうか。

 出発点で一番難しい問題なのは、資料の2で論点表の冒頭にあるのですが、2000年の会社分割制度導入の際は、この営業単位、これは今「事業」と言いますけれども、「事業」単位だったものが会社法制定によって事業に関して有する権利義務というので、分割の対象は、有機的一体性のある事業には限らないということになったときに、労働契約承継法は、「事業」に主として従事するか否かという仕組みで処理をしている。この点について今後もそういうことでよいのか、少し修正が必要なのかという根本問題が実はあるのですが、この点についても御意見をお伺いできればと思います。

○高橋委員 この点は非常に難しい問題だと承知しています。事業に関して有する権利義務というようになった途端、事業単位ではなくて、何か個別の財産の移転に分割が使われるのではないかという指摘は、抽象的というべきか、余り現実的ではないとは思っています。なぜかというと、分割は非常に手続が面倒くさいので、それに合うぐらいの大きなブロックを出すものなので、事業ではないけれど、それなりに大きい事業財産というのが事業と遜色があるほどかと言われると、ちょっとピンとこないというのが正直なところですので、現実に問題があるかどうかちょっと分からないのです。しかし、法令の文言上は、権利義務と会社法にもうなってしまっていて、そして分割契約書とか計画書に書いてある事業財産に関して主たる従事者が誰なのかが明確にわかりますかと言われると、理論的にはちょっと難しい問題が生じるかもしれないという認識はしています。ただ、最初に申し上げましたとおり、分割の対象が明確に事業ではないとしても、やはりある程度ブロックで動くものだと考えており、実際上はそんなに、今と違いが出るかどうかということについては、ちょっと疑問に思っているところではあります。

 例えば工場を動かすというのが教科書的によくある例ですけれども、工場だけ動かす、工場の中に入っている人は動かさないというときに、会社分割手続は利用できるのですかと言われると、利用できるのではないかなと、会社法の人間は思っています。というのは、ある程度大きなブロックでその製造にかかるノウハウみたいなものを一緒にくっつけて動かすということになると、分割対象にふさわしい大きなブロックになりますし、中に入っている工場労働者の方が代替可能な人であると考えると、この人が必ずこの工場にいなければならない理由が考えつかないためです。もちろんこの工場にこの人は絶対必要という人は多分いるかもしれません。その方はもしかすると計画書に載るのかなという気はしていますけれども、ものの教科書の類では、必ずしも労働者の承継がなくても分割の対象になる可能性はあるとされています。承継法との関係については会社法の人間は何も考えていないというのが正直なところになっていますので、是非ここのところを御議論いただけると幸いです。

○荒木座長 いかがでしょうか。

○神吉委員 高橋先生に質問ですが、今の工場の例を聞いていて、改めて疑問が浮かんだところです。この事業に関して有する権利義務といった場合に、会社と第三者、金融債権の取引の相手方との権利義務だけでなく、工場労働者が含まれるかが問題になるというのは、この権利義務の中に労働契約関係の権利義務が含まれうるということでしょうか。

○高橋委員 もちろん含まれる対象にはなります。ただ、これがなければ分割できないかと言われると、そういうわけではないという感じです。

○神吉委員 ありがとうございます。というのは、事業に関して有する権利義務というものの中に、その労働契約が入っているのであれば、その事業に関して個別な権利義務だけを動かせるというのは、何かちょっと、労働契約関係を移転させないということが当然帰結として含まれるのではないかなと思ったのです。

○神林委員 それはそうなのではないですか。

○高橋委員 そのとおりだと思います。

○神吉委員 とすれば、もともとその労働契約関係が入って、有機的一体かどうかという判断をしていたけれども、それが事業に関して有する個別な権利義務の移転ができるようになって、それも分割でできるようになったといったときに、そのときにその事業性の判断と労働契約を付随して移転させなければいけないかどうかという、その論理がちょっとかみ合わなくなったような気がするのですが。

 なぜそれだけが特別なのかなという。移転しなくてもいいと。

○神林委員 移転させなければいけないというロジックはないですね。

○神吉委員 ないです。

○神林委員 ないですよね。任意にピックアップしてかまわないですよね。

○高橋委員 そうなります。

○神吉委員 ロジックとして、会社法上はもちろん分割の範囲のところで労働契約関係というのを入れても入れなくてもよくなったわけですけれど、承継法というのはその分割のときに適用されるということを前提としているわけですよね。

○神林委員 そのときに、適用されることはそうなのですが、どういう形で対応させるのか、労働契約と分割契約書に載っている権利義務関係と、もしそれが非常にロバストにこの機械設備を移しますと、この機械設備を使っていた人はこの人ですということが定義できるのであれば、この主たる従事者とか従たる従事者というのは定義できるけれども、そういう格好ではない可能性は高いわけですよね、会社分割に書いてある権利義務。そうすると、その権利義務の束と労働契約との関係というのをどう距離を測るかというのがここで言っている問題だということになるわけです。それは分からないのではないですか。

○富永委員 単なる好奇心ですが、労働契約だけを会社分割することもできますか、人的組織だけを会社分割して移すことはできますか。

○高橋委員 いや、どうでしょう。分割の対象なのですよね。事業に関する権利義務で、人的組織だけを移動させることの。

○富永委員 例えばIT関係だとシステムエンジニアさんとかグループとかありますけれども、そのグループだけを移動させるとかいうのは一応、可能は可能ですか。

○高橋委員 可能は可能なのかもしれません、事業に関する権利義務なので。そういうことも考えられなくはないとは思います。

○荒木座長 先ほどの高橋先生の例で言うと、工場丸ごと、工場の事業設備、これを分割の対象として、労働者は対象としないということも会社法上は可能となっているのです。そこに神吉先生が言われたように、労働契約承継法を適用してきた場合に、工場で行う業務というものが承継法に言う事業に当たれば、それに主として従事してきた者を承継から排除した場合には、労働者はそれに対して異議を申し立てれば強制的に承継されるということでこれまで対応してきたわけです。その単位が、神林先生が言われたように、工場単位ではなくて工場の1つの機械とか、そういうふうに小さくなってきた場合には、それをも事業と見て、それに主として従事していたのだから自分を承継排除してはならないということになってくると、この事業に関して有する権利義務とかがどんどん細切れになってくると。全部それを単位で事業を考えるのか、それとも、いや、事業というのは従来の営業というふうに有機的一体性のあるものであって、そういう細切れの権利義務単位と事業とは明らかに違うとすると、そういうものは事業と言えないから、それについて主として従事するか否かということも観念できない。ということは、主としては従事していないものとして処理をするということに承継法としてはなる。これまでは、恐らくそういう対応なのかと。主従事労働者になってしまえばノーと言えなかったわけですが、細切れになった場合には、それはもう事業単位ではないから、それに主として従事することは考えられないので、その場合にはノーと言えるのだということで余り問題はないと考えてきたのではないかと思うのです。そこがどうなのか。実は、事業という概念自体が余りはっきりしないことから、何か工場単位だったら、それも少なくとも承継法で言えば事業としていいでしょうと思えば処理としてはいいのですが、もっと小さい単位に、工場の一部の業務とかになってくるとどうかという、大変難しい問題かと思っています。

○神吉委員 先ほどの発言を少し補足します。この事業というものをメルクマールとして承継法の適用をするか否かを判断するときに、工場だとちょっと分からないのですが、例えば、労働集約型の企業、労働力というものが主要な事業の一体的な権利義務の一部をなしているような場合に、それを移さないからその事業の有機的な一体性を否定されるのであると、それを原因として承継法も適用できなくなってしまう、なぜなら事業の一体性を欠いてしまうから、という帰結が生じるのではないかという問題意識です。事業の有機的一体性を判断する中に、もともと労働者との労働契約関係というものが観念されるのであれば、それを排除することによって事業性というものが否定されるので、そうすると、それに伴って承継法も適用されないということになるので、そもそも排除したほうが承継法の適用も同時に否定できるということになるのではないかという問題意識でした。先ほどはわかりづらくてすみません。

○荒木座長 分かりました。そうすると、工場単位で工場設備だけ移すとそれは現行法の解釈としても承継法の事業には当たらないと。そういうことになってくると、仮に工場を事業と考えたら救われるのではないかと思ったのですが、それでもやはり救われないことになるということですか。

○神吉委員 そういうことがあり得るかなと。

○神林委員 そもそも何で事業という言葉を使ったのですか。

○荒木座長 これは、2000年に会社分割制度を入れたときは、分割の対象は事業単位であると。

○神林委員 そうしたら、会社法が変わったのでしたらこちらも変わるべきではないですか。

○荒木座長 変わるべきだというのは1つあるのですが、では、変わるとしたときにそれでよいのか、ちょっとこれも思考実験なのですが。

○神林委員 権利義務、事業に関わる権利義務ですか。

○荒木座長 細切れの権利義務でもいいとしても、現実的でないという話もありますし、思考実験でかなりブレもある。特定のある人がやっている仕事を会社分割の対象として、その人の権利義務は承継したと。そうすると、本人は、ほかの100人のうち99人は移っていないのに自分1人だけ承継の対象としたら、それに主従事なのだから、あなたはそれに対しては拒否できませんよということになってきていいのかというと、それは非常におかしいのではないかと。つまり、もともと事業単位なので、その事業として一体性がある形で、主として従事している人たちはその仕事と一緒に移すのが本人にとっても不利益が少ないだろうということで、事業譲渡とは違って、会社分割の場合にはノーとは言えなくても、むしろやっている仕事が無くなるよりも、仕事と一緒に雇用関係が維持される方向が良いだろうという判断があったのです。

 ところが、今回は、細切れの権利義務でも承継対象としうるということになると、自分だけとか、極少数の人だけがやっている仕事と、業務と一緒に分割対象とした場合には、労働者はノーと言えないということでよいのか、それはおかしいので、そうならない理屈として、「事業」単位で考えれば、その一部の業務に従事していたとしても、「事業」には主として従事していたとはいえないから、その場合にはノーと言えますよということで、会社法の仕組みの変更にもかかわらず、承継法は、事業単位で主従事か否かを判断する仕組みを維持しても大きな不都合はないという判断があったかどうか分かりませんが、そういうふうに解釈しておかしくはないかなということで、きているわけです。

○労政担当参事官 ちょっと補足で。今、先生が言われたとおりなのですが、やはり、承継法制定当初、分割法制制定当初は、営業が一体となって承継される。それと一緒になって労働者が承継されることで労働者が職務を切り離されるという不利益はないということで、当然承継を認めていいだろうということであり、それが切り離されるような、営業が譲渡されるのにそれに労働契約が付いていかない場合には、職場が切り離されるという問題、不利益が生じるということもあり、承継法上の仕組みができたということです。やはり、当時で言う営業という概念は、その人の仕事の、職場の、職務の前提、固まりとして取られたと言えるかと思います。

○政策統括官(労働担当) 高橋委員にお尋ねしたいのです。会社法は改正、制定によって今、こういう問題が生じているわけですが、ある意味では、この営業というものをやめてこういう概念にする、その意図の中に、細切れ分割を促進しようとか、それができるようにすべきという意図があって、あるいはそのニーズを受けてやったという背景がそもそもあったのかどうか。営業という概念自体がちょっとフワフワしていて、前から議論があったのはもう承知しているのですが、そもそも、何を目的としてどういうことに対応しようとしてこういう言葉の変更をすることになったのか。その辺り、もし御存じでしたらお教えいただけないでしょうか。

○高橋委員 一般的な解説では、もちろんおっしゃるとおり、営業の概念が、一応、裁判例として文言には固まっているのですが、それでは実際にはどの範囲だと一義的にははっきりと分かりません。もし、有機的一体性と言っている部分で何かが足りないと認定された途端、この分割は無効ですということになってしまう可能性もあります。あるいは、いやいや、今まで営業用財産だと思っていたけれどもこれは分割するべき「営業」でしたといわれるかもしれない。そういうことになってきますと、やはり現場に混乱があるだろうということで、もう営業、あるいは事業という概念を使わないで、切り出したい権利義務、財産に対して、会社法の組織法的な手続にのっとって包括的な移転をし、債権者異議手続やいろいろな開示手続などを履践しつつ移転する、事業譲渡とは違う形で切り出すことができる、そういう手続にしてしまおうということです。決して、細切れの分割を促進しようというほどの意図があったわけではないと聞いています。

 ほかの理由としては、会社分割手続は、例えば債権者異議手続ひとつとっても、もちろん先ほどから御議論があるとおり、必ずしも十分でない点もあるのですが、かなり詳細な開示手続が要求されていまして、これは本当に面倒くさいものです。ですので、わざわざそういう面倒な組織法的な債権者保護手続を経てあえて分割という手法を取るというのであれば、労働者も含めて債権者に意図的に不利益なことを生じさせることではないだろうと考えています。また、逆に言えば事業概念があれば債権者の保護になるわけでもないだろうという判断がありました。

○金久保委員 先ほど、高橋委員に挙げていただいた工場を移転して人は除くという例なのですが、その工場を取り巻いて、契約関係とか商品を卸したりとかいろいろな契約関係もあるはずで、そう考えますと、人を外しても、工場だけの移転と言っても事業であると言えるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

○高橋委員 そうですね、事業の定義というのは非常に難しくて、有機的一体性というのは一体何を指すのか、どこの範囲まで指すのかというのは、実は人によって相当ばらつきがあります。ただ、単なる財産では足りないというところだけが一致しているという状態でして、何かプラスαが欲しいと思っています。一般的には、例えば工場であれば、1個1個の財産の集体よりも工場として売ったほうが高くなるという、ゴーイング・コンサーンの譲渡だという、その場合であれば事業として認めてあげてもいいのではないかという程度の発想なのです。ですので、そこに付け加わる部分は、果たしてそこにある何かノウハウ的なものであったり、得意先的なものであったり、あるいはその労働関係であったり、いろいろなレベルがあるわけですが、一体どこまでが事業であるのかは内容にもよりますし、本当にケースバイケースなのではないかと思われます。必ずしもこれですと申し上げることは難しいのではないかと思っています。

○神林委員 それは具体的にもチェックされるのですか。例えば、工場を売るというときに、設備を1個1個売るのと全部まとめて売るのとどちらが高いかというのを。

○高橋委員 これは事業譲渡の判例なのですが、事業譲渡の判例で、株主総会を経ずに行ってしまった財産譲渡の効力はいかに、というような判例はたくさんあるのです。事業譲渡だったのか、事業財産の譲渡だったのかを判断するときに、必ずしもその判断枠組みではありませんが、似たような判断枠組みで裁判所が判断することはあります。

○荒木座長 そうすると、会社法上は、先ほど株主総会決議の問題もあって、事業譲渡か否かを議論する。むしろ、そちらのほうの必要性から論ずるのですが、やや極端なことを言うと、労働契約承継法の事業は、むしろ労働者の保護の観点からこれは独自に解釈しても構わないともいえるわけです。実は、EUでも、有機的、統一的な一体性を伴った事業の移転かどうかで労働者を排除した場合にどうなるかというのは、相当EUの判例も動いたということもあって難しい問題なのです。ですから、先ほど御確認いただいたように、会社法を制定するときに事業単位という縛りを外したのは、決して権利義務関係をばらばらにやらせるということではなくて、事業単位で考えることの不都合、議論の混乱を回避すると。実際上は、ある程度まとまりのあるブロックとしての財産が想定されていたということであれば、そういうものとしての事業を承継法の事業の解釈に反映させて、これだけのものが丸ごと移転するのであれば、例えば工場単位であればこれは承継法の事業と考えて、それに主従事労働者は排除された場合には異議を申し出て移転できるというふうに解するとか。あるいは、もっと細切れになってくると、このような特定の職務だけを移転するのは事業とは解されないとか、そういう事業の解釈を、必ず会社法で言っている事業とパラレルにやらずに、労働者保護の観点から解釈するということで対応するというのもあり得る方向かもしれません。

 1つちょっとお伺いしたかったのは、承継の対象、分割の対象が、事業に関して有する権利義務となったのであるから、当該権利義務に従事している限りはそれに主従事だというような解釈を取るのが1つは選択肢としてあるのですが、この帰結はやはりおかしいのではないかと私は思っています。先ほど言ったように、その仕事をやったら当然ノーと言えずに承継を強制されることはおかしい気がしているのですが、この点は皆さんはどうでしょうか。同様でしょうか。

○神林委員 おかしいというのはどういう意味ですか。

○荒木座長 つまり、事業単位で仕事が移るのであったら、それに主として従事していた人についてはノーと言えずに承継が強制されても、それは会社分割が企業組織再編をプラスに持っていこうとする手段として、国策として導入されたという背景も考えれば、労働者に大きな不利益がないということから、事業譲渡とは違って承継拒否を言わせなくてもおかしくはないだろうと考えていたのですが、今回、そういう事業単位という縛りが無くなって、特定の権利義務とか、特定の仕事だけを会社分割というツールを使って切り出す場合に、いや、自分はほかの人と同様に残りたいのに、承継を拒否して残りたいということが主張できなくなるという事態は、やはり妥当ではないのではないかという気がしたのです。今のところ、そういう特定の権利義務というのは承継法で言う事業には当たらないので、「事業」に主として従事していることにもならず、主従事労働者以外の者として異議を申し立てれば承継を拒否することができる、元の会社に残れるというのが現在の承継法なのです。そのような対応を維持するのが妥当ではないのかという気がするのですが、その点についていかがでしょうか。

○金久保委員 その点は、この前の使用者団体のヒアリングのときに言われたことと同じことではないかと思います。この前言われていたのは、株式を移転して、さすがに人も付いて行くというのは想定していない。会社も想定していないし労働者も想定していないということだったと思います。やはり、そのような1つの権利義務だけで労働者も強制的に移転する事態になるのはおかしいという理解であったと。私もそう思います。

○神林委員 強制的に移転、ちょっと待って、よく分からなくなってしまった。強制的に移転させるようなときに不利益になるというお話を荒木座長は言われていましたね。金久保委員が言われていたのは、どうなっているのだろう。

○荒木座長 同じ趣旨だったと思います。もう1つ前回のヒアリングで出たのは、当該権利義務に主として従事という議論をし始めると、会社分割という手法を使って特定の財産だけを移転させようと思っていたら、たまたまその機械を使っていた人が、自分はそれに主従事だから自分も一緒に移転させるべきではないかと言い出したときに、買ったほうがそれを受け入れなければいけないということになってしまう。それも同様におかしい。ですから、権利義務単位で主従事か否かということを考えるのは、やはり余り適切でないのではないかということです。

○神林委員 何か、程度の問題ですか。

○荒木座長 どこまでが程度かという議論になるのですが、ある意味では、それが特定の権利義務というのがどんどん広がってきて、例えば工場単位とかということになってくれば、そういう工場単位でやっている活動が1つの事業と見うる場合もあるかと。それはそういうことかもしれませんね。

○神林委員 会社法的には、権利義務の束をどんどん作っていくと、ある一時点でそれが事業にポンとなるわけですよね。会社法的には、ですよね。

○高橋委員 どうでしょうね。

○神林委員 違うのですか。

○高橋委員 いや、一応、有機的一体性というのを考えているので、この束があればもう明日からすぐあなたも金儲けができますというものを想定しているのです。ですから、財産が幾ら積み重なってもそこに何かプラスαが乗らないと事業にはならないという発想は強いです。

○神林委員 そのプラスαが乗らないといけないというのがあると。けれど、この承継法の中でそういう議論はないわけですね。事業ということに関して、プラスαがあるというのが事業だとは書いていない。

○荒木座長 でも、それは同じ。

○神林委員 同じだというのは。

○荒木座長 今、説明されたのと同じように、事業概念、営業概念を考えてきたと思います。ところが今回、会社法でもって事業概念、営業概念にとらわれないということになった。では、それに合わせてどう対応するかというので、先ほど言ったように、承継は承継法独自の事業概念ということで対応するのが1つ。もう1つは、会社分割の単位が変わったのだから、それと同じように、それに主従事かどうかというのでやってみたらどうかというと、やはりそれはいかにもおかしいだろうという話をしていたのだと思うのです。

○神吉委員 ちょっと何かこだわっているみたいなのですが、やはり、財産の積み重ねでいつか事業に転じるわけではないというところで、事業の判断枠組みの中での労働力の位置付けというのが重要かと思います。工場であって、もうほとんど組立工場みたいな所で機械がほとんどやっているのだけれども、労働者が何人か監視しているというような所で、その工場の機械なり設備なり、これを移転する場合に、それが事業だということは割と認められやすいと思うのです。労働力がすごく事業にかんでいるような場合に、例が適切かどうか分かりませんが、例えばコールセンターとかで、もちろん電話システムという財産的な設備はあるのだけれども、その事業をやるにはオペレーターの人たちのノウハウがすごく重要で、そういうものと一体でその事業となっている場合に、電話システムだけを財産上の権利義務として売ってしまうというときに、必須のオペレーターを1人も移転しないのだから事業の一体性が欠けてしまうのだということになってしまいます。不可欠な人を外すほうが、事業性も否定されて、承継法の適用も否定されるということにならないかと懸念します。その組立工場で人が何人かいた場合は、その工場が移転したときに、その人自体はその事業性が認められやすいので、何人かいる人たちに関しては承継法が適用されて問題になるのに、不可欠なことをやっている人に限って排除が認められやすくなるという矛盾が生じるような、もしかしたら単なる理論的な話かもしれないのですが、事業の判断要素の点からするとそういう問題も生じる余地があると考えます。

○荒木座長 今の問題も、承継法の事業をどう考えるかという話なのです。今のコールセンターのような場合に、そのときに、人を1人も承継しないと事業に当たらないから承継法のルールが適用されないという解釈が良いのか。それとも、いや、そうではなくて、その場合にはオペレーターも一緒に移転させるのが良いということかというのは、承継法を適用した場合の効果も考えながら事業を考えるということになってくるのかと思いました。EUEUで自動承継というのがあって、全員、しかも労働条件もそのままというのがあって、そういう中でいろいろと判例も動いてきたということがありますが、今の点も、日本の承継法の事業の解釈として再度どう考えるのが良いかと。そこで受け止められる問題かなという気もします。必ず、この場合は人がいなければもう事業に当たらないからそれで終わりというふうにして、もう承継法の適用はあり得ないのだと、そこまで考えなくても、承継法における事業の概念の解釈で対応できるかもしれないなという気もしました。

 なかなかこれは難しいのですが、実は、中間的な考え方として、何か、その権利義務を含む事業とか、そういうようなことを体系書で書かれている場合もあって、これはどういう趣旨なのかも少し難しいところもあるのですが、問題は恐らく2つあって、承継ルールがどう適用されるかというのと、もう1つは、少し議論になった5条協議の対象者として誰までを対象とすべきかと。この2つの問題について、従来の事業単位、当該権利義務単位、その中間の権利義務を含む事業とか、そのくらいのことを更に検討していく必要があるのかなという気はしています。ちょっとほかの論点もありますので、またこの点については引き続きお考えいただきたいと思います。

 もう1つ、少し議論になった債務の履行の見込みに関する事項というので、これも高橋委員に教えていただきたいのです。この債務の履行、昔は「あること」ということだったのですが、これは、現在では「債務の履行の見込みに関する事項」ということになった。ただ、これについては情報の開示の点で厳格な規制があって、そこから見込みがあることではなくなったのだけれども、なおそれほど濫用的なことはないということなのか、それとも、やはり相当に慎重に考えたほうがいいのかという辺りはいかがでしょうか。

○高橋委員 債務の履行の見込みに関する事項は開示事項になっていまして、どちらの会社、分割会社も分割承継会社のほうも出すことになっています。この点が、いわゆる履行の見込みに関する事項になってしまった、見込みが「あること」ではなく「履行の見込み」に関する事項になった理由としては、どうも分割の登記をするときに、登記機関が履行の見込みがあるかどうかを調べなければならないのではないか、あるいは実質判断をそこでやってしまうのではないかという実務的な問題がありました。そこで「そのような内容にはせず、開示書類の中で履行の見込みに関する事項を開示させ、もし債権者がここで気が付いて問題があるようであれば異議手続等、あるいは異議手続ではなくて個別に交渉をするというようなこともできる、場合によっては、無効の訴えという方向まで行くかもしれないということで対処すると考えて文言上改正されたことになっています。

 そうすると、会社法の下で債務の見込みのない分割は有効なのかという議論はもちろんあって、改正前は無効事由であるとの裁判例もあったのですが、この裁判例が生きているのか死んでいるのかも含めて議論はあります。学説では、無効原因とすべきであるという考え方は根強くありますが、やはり文言上履行の見込みが「あること」という旧法の文言が削られてしまったことから、どちらかというと実務的には不採算部門の分割も可能になったと解している模様ではあります。ただ、実際には余り争われませんし、それほど、やはり不採算部門ですというのがあからさまに分かるということになればいろいろな所から異議が出てくるものですから、そこはいろいろな交渉で対処していますので、実際上問題はないのではないかと一般に思われているところです。

○荒木座長 ありがとうございました。これとの関係で、何か承継法に関係して対応すべきかどうかと、そういうことが1つ問題になるかとは思いますが、いかがでしょうか。現在も、先ほど御指摘があったように、7条措置の中では、この債務の履行の見込みがあることについて対象になっているということですね。

○労政担当参事官 はい。今の7条措置において理解と協力を得るよう努める事項として、債務の履行に関する事項というのが指針に書かれています。

○荒木座長 履行に関する事項ですね、失礼しました。あとは、少し先ほど議論したように、分割制度を明白に濫用したような場合には、法人格否認の法理による対象ということも理論上はあり得るということは議論したところです。それでは、ほかにもいろいろ論点はあるのですが、裁判例等を踏まえた対応というのがあります。ここではIBM事件という最高裁がありましたが、恐らく5条協議についての解釈は、会社法の改正後も維持されているのではないかと思います。この点、金久保委員どうですか。

○金久保委員 判旨の内容からして、会社法になってからも、最高裁の言っている判旨の内容をそのまま認めて、5条協議がされないとか、不十分なときには無効となると、個別に承継の効果を争えるとすべきであるという考えが、恐らく現在も一般的であると思います。

○荒木座長 転籍合意の問題について、これは阪神バス事件がありましたが、この点については皆さんはどのように御覧になっているか、もし御意見があれば伺いたいと思いますが。

○金久保委員 確か阪神バス事件の判旨ですと、公序良俗違反という話が出ていたと思いますが、承継法は強行法規ではありませんので、労働者の同意があればこのような転籍合意方式は認められると思います。ただ、問題は阪神バス事件の場合は、承継法第2条の通知もしていなかったという状況でしたので、つまり異議申立てをして、そのまま労働契約は承継されるというルートがあることも分からないまま、説明もないままやっていたということでしたので、実際、錯誤のない合意を本当にしたのかという問題があったと思います。ですから、このような方式を取る場合は、手続の説明をきちんとして、真に同意を得ることを周知させることが重要ではないかと思います。

○神林委員 お聞きしたいことがあるのですが、会社分割の場合には、包括契約でみんな行ってしまいますよね。事業譲渡の場合には、1個1個合意が必要だと。これは両方一度に使うことはあるのですか。ここからここまでの範囲は包括合意で行ってしまうのだけれども、別途、個別合意でこことここは一緒に動かしますということは、事実としてあるのでしょうか。

○高橋委員 余り存じていませんが、分割の手続は非常に面倒くさいので、分割でいくといったら、分割だけでやるのが普通です。転籍合意は、言わばおっしゃっているような包括合意、包括的な移転で分割をやる傍ら個別に行うもので、それは別に排除されるものではないのではないかと思います。つまり、包括的な合意のほうが、むしろちゃんと個別に合意を取っていないので、同意はむしろ擬制されている状態です。理論的なことだけ申し上げれば、個別に同意を取ったほうが対応していると評価できなくはないわけなので、まったくいけないということにはならないのかもしれません。

○神林委員 多分、事実としては逆で、包括で前の労働条件をそのまま移転するほうが労働条件は高くて、この人の労働条件を切り下げたいと思う人に関しては、包括契約から除いて個別合意にしますと。ただ、残ったら仕事はないと、そういう交渉ができるわけです。包括契約の中に入ってしまったときにはそういう交渉はできないわけですが、デフォルトは前の契約になりますから、最初に出た任意に分割の対象を選ぶことができるということを前提にすると、ある被用者に関しては転籍合意でやって、ほかの被用者に関してはそのまま動かしますということを、使用者が任意に選ぶことができる状況に今あるわけです。それはどうなのでしょうと思いますが。

○金久保委員 今おっしゃっているのは、会社分割のときに承継対象となる労働者と承継しない労働者を選別してしまって、好きな人だけを分割契約書とかに書くということですか。

○神林委員 はい。そのときに書かなかった人に関して、ではそのまま残りますというふうに固定されるかというと、実はそうではなくて、あなたにも実は新会社に行く道はありますと、この条件に合意すれば行く道はありますというルートをもう1個作るわけです。事実上3つ選択肢があって、そのまま行くというのと、条件を変えて行くというのと、そのまま残るという3つの選択肢を自由に使い分けることができるのが、今の状況です、この合意転籍を認めるとすれば。

○金久保委員 その転籍合意を認めても、事業に当たるのであれば、その事業の中で勤務している労働者を全部はじくなり一部はじいても、承継法第2条第1項の主従事労働者に当たって異議申立てをして、労働契約は承継されるということになると思うので、すべからく会社分割の当事会社で決められることではないと思いますが。

○神林委員 そうですか。

○高橋委員 恐らく段階があって、会社分割の契約と計画の中では、分割の契約と計画の中でこの人に来てほしい、この人に来てほしくないと、分割の契約書の中で書く。神林先生がおっしゃっているのは、そこからははじかれるのだけれども、それ以外の人が転籍のルートとして入ってくるのではないかという話かと思います。金久保先生がおっしゃったのは、この残された人が本来ならば主従事労働者であるはずなのに残されて、しかし承継法に基づいて、また先ほどの議論に戻ってしまうのですが、承継法の事業概念は会社法の分割の話と分けて考えて、これは承継法上事業に該当するので、この人は主従事労働者であるから移転します、これは承継法上の効力として移転しますと。それでもないのですよね、きっと神林先生の。

○神林委員 そうですね。むしろ従というか不従事労働者みたいな典型だと思いますが。

○高橋委員 その人たちも個別な契約に基づいてやるかどうかと聞いてくることがもしあったとして、それはいいですかということなのですね。

○神林委員 連れていくのだったら一緒に連れていきなさいと言う。

○高橋委員 転籍合意の一般の話というよりかは、労働者の選別をどこまで許すかという問題かという気がしていて。

○神林委員 そうだと思います。

○高橋委員 転籍合意自体は、ただ労働条件を変えたりするという修正のために補充的に使われているという感触ではあるのですが。そういった手法で使われるのが、いいかどうかということかと思いますが。今現在は排除できないのではないかという気はしていますが、いかがですか。

○神林委員 そうだと思います。

○荒木座長 承継法でいう当該事業に主として従事していた人がいるとしますよね。しかし、その事業の設備は全部分割契約で移転すると、包括承継すると。でも人については、それだと今の労働条件のままの承継となってしまうので、労働条件を引き下げた上で引き継ぐために分割契約に書かずに、転籍合意という個別合意で引き継ぐと、これが阪神バスで問題となった事件です。

 裁判所は公序良俗に反すると言っています。承継法は2つの効果を想定しているわけですが、承継から排除された場合に主従事だったら異議申立てによって承継させるという効果が生じるのが1つ。もう1つは、その承継の効果は、会社分割としての部分的包括承継なので、そのままの労働条件で引き継ぐと。この2つのことを承継法は決めている。

 そうすると、転籍合意したことによって、承継法の定めるそうした効果が効かなくなることになるのかが1つの問題です。金久保委員がおっしゃったのは、主従事労働者であれば、承継法上、承継から排除された。つまり、転籍合意をすること自体は、会社分割としては承継から排除されているわけですから、会社分割として承継させろという異議申立てができるわけです。その効果は、労働条件がそのままということも付いてくる。そういう権利を転籍合意したことによって奪われるのかというと、これは奪われないのではないかという気がするのですが、それは金久保委員がおっしゃった承継法は強行法規でないのだからそこも合意で、転籍合意したことによって、もう異議申立ての権利まで放棄したとみなされたら、今の話もできなくなってしまうのですが、そこはどうなのですか。異議申立ての権利自体は、主従事労働者であれば保持できるということでよろしいのですか。

○金久保委員 そういう考えもありうると思います。

○荒木座長 その限りでは幾ら転籍合意をしても、主従事労働者としての異議申立ての権利は奪われることはない。そうしますと、その後は転籍に個別に、あなたの転籍条件はこれですよと非常に丹念に説明されて、ああ、じゃあ、それでいいですと言った、かつ、その人は包括承継のほうがよかったと思えば、異議申立てができたというときに、そうしなかった人についてまで、一律に転籍合意という方式自体を否定することはないのかという気もしますが、皆さんは大体そのような感じですか。

 そういう論点があるということで、更に先に行きたいと思います。あと、会社分割について、裁判例としては労働組合法の問題、これは不当労働行為責任が承継されるかということについて、地裁レベルですが、そういう裁判例があるということです。

 異議申出については、ヒアリングでもいろいろと御意見もあったところではあるのですが、この点については何か御意見はありますか。この問題は今日の資料でもありましたが、EUとかでも異議申出権を与えた場合の効果について、大分補足的な情報の追加もありましたので、そういう点も踏まえて更に検討すべき問題かと思います。

 もう1つ大きなものとして、事業譲渡関係がありますが、事業譲渡については何か御意見がありますか。

○金久保委員 労働契約を分割と同じように承継させるかどうかという点が問題かと思いますが、今回の研究会でヒアリングをさせていただいて、会社分割と似てきているという面はあるかと思うのですが、例えば企業の再生の場面や倒産の場面などで譲り受け側として全員は雇えないとか、労働条件を下げて雇いたいとか、採算の合うような規模、形にして譲り受けたいというニーズもあるかと思います。そのような場合には、労働者保護を強調する余りに承継を強制すると、譲り受け先がいなくなってしまうという懸念もあるため、承継ルールを適用しないほうがいいということは、ヨーロッパでも言われていることなので、日本でも今なお同じように考えていいのではないかとは思っています。

○荒木座長 今言われた承継ルートというのは、強制承継ルール、自動承継ルールについてということですね。

○神林委員 それは何について自動なのですか。何が起こったときに自動的に承継する。

○荒木座長 これは事業譲渡ですので、事業に含まれていたはずの労働関係であれば、労働関係は承継するというふうに、事業譲渡会社、譲受会社間で合意していなくても、労働関係は自動的に移転するというルールが、EUにはあるわけです。ですから、日本でもそのようなルールを導入すべきかが議論になるのです。

 その点をまた高橋先生にお聞きしたいのですが、会社分割の単位が変わってきたこともあって、会社分割と事業譲渡が似てきているのかという話もあるのですが、手続的には全然違うので、労働関係の承継ルールについて、同じにするほうがよいのか、それとも違うルールで構わないのかと、そういうところと関係してきます。会社分割と事業譲渡が果たして似てきているのかとどうかと、そういう点はいかがですか。

○高橋委員 先ほどから申し上げていることではあるのですが、もちろん使われ方としては多分同じような局面で使っているとは思うのです。いろいろなパターンがあり、もちろん大きくするために分割している場合もあります。それは以前RECOF様にヒアリンクしたときにいろいろなやり方があることは、もちろんお話いただいたとおりだと思うのですが、法制度としては包括譲渡か特定譲渡か特定承継かという考え方は、非常に違うものという考え方は強いです。

 というのは、組織法的に契約書や計画書に書きました、これをブロックとして移転します。そして、ほかの関係者についても団体的に、組織的に取り扱います。債権者は債権者の団体で、株主は株主の団体で、労働者は労働者の団体でという発想が、包括承継である会社分割には非常に強いところだと思っています。ですから、訴訟なども非常に限られた人しか訴訟できないという形にもしていますし、組織法的な取扱いをしているからこそ、労働契約承継法を作ったのだと会社法の世界では理解していて、もちろん労働者保護という観点から、似たように使っているのですから、事業譲渡においても労働者保護は同じように必要ですとおっしゃったら、それはそのとおりだと思います。

 とはいえあくまで原則的な考え方としては、包括承継で労働者に個別にいろいろ聞くことがなく承継できるものが分割制度なのだから、承継法で別途手当しましたという当初の発想は会社法の人間は持っているとは思います。事業譲渡はもちろんいろいろなやり方もありますが、基本的には個別の承諾を取り付けて、好きなものをどうぞブロックで動かしてくださいという形だと考えているものですから、労働者保護に欠けるところはないのではないかと、これは楽観的なことだと思いますが、そういう建前で会社分割の場合に労働契約承継法を作ったのですと説明をしています。

○荒木座長 ありがとうございました。

○神林委員 理屈としてはよく分かるのですが、実際の使われ方、私は欠席したので何を話されたのか分からないのですが、M&Aの資料を見ると、企業の中の再編に関しては分割がよく使われていて、外の再編に関しては事業譲渡が使われている。多分、権利義務関係の条件を細く動かすためには、事業譲渡を使って1個1個について調整をしてから譲渡することをしないと、M&Aがうまく動かない状況だとは思うのです。

 そう考えると、先ほど金久保さんがおっしゃったみたいに、労働契約に関して事業譲渡を使うことは、動かす場合には個別の合意が必要になるわけです。その個別の交渉を通して恐らく労働条件を切り下げていることが、最も大きな労働契約を事業譲渡に使うときのモチベーションになっていると思います。

 一方で企業の中のグループに関してはなぜ会社分割ができるのかというと、多分、集団的な労使交渉がきちんとできているので、取りあえず今の条件で動かしてしまって、後、労使交渉で切り下げるのだったら切り下げることを連続的にできるから、会社分割ができると思うのです。ですから、事業譲渡に関しては、そういう集団的な労使交渉の枠から外れて、個別合意で労働条件の交渉をしてくださいと。条件が整ったら動いてくださいという順番になるわけですが、会社分割の場合はそのまま動いてくださいと。その後で交渉してくださいと、順番が逆になるわけです。順番が逆だということに関しては、恐らく事業譲渡のほうが労働者の立場は弱くなることが起こると思います。妥決する労働条件を考えると、それを労働者保護と言うのであれば、事業譲渡に関してフリーにしておくのが、労働条件の下への切下げを容認する制度だと考えられるのではないかと思います。これが濫用される場合になると、労働者保護が達成されるのでしょうかという疑問は持たれるのではないかと思いますが、いかがですか。

○金久保委員 RECOFさんの資料でグループ内と外があって、グループ外との取引で事業譲渡が多かった、それで会社分割が少なかったというのは確かにあって、その理由はよく分からなかったです。それと、先生がおっしゃるように、事業譲渡の場面で個別の労働契約を承継させるためには、当事会社間の了解もないと移転しないので、労働契約が排除されるというリスクが従前からあったのは、そのとおりかと思います。

 ただ、これまでの裁判例などを見ますと、不当労働行為があったり、若しくは法人格否認の法理で救済できたり、黙示の合意を推認できたりということで、濫用されるような場面は救済できたということもあると思います。

○荒木座長 あと最初、金久保委員がおっしゃったのは、会社分割と同じようにそのままの労働条件で引き受けなさいというルールを作ると、そもそも、では買いましょうという人が現れない。事業譲渡の場合は会社の経営は相当に苦しいというので事業譲渡を検討するとすると、その場合に買手が現れないと、いよいよある程度労働条件を調整しても、買っていただければ再生できたのに、その芽が潰れてしまうと、結局、全体の雇用も救えなくなってしまう。そういう副作用がEUでも非常に問題として議論されているという点の指摘があったところです。

○神林委員 そこはちょっと分からないです。つまり、労働条件を切り下げなければ買ってくれないのは、それは不採算事業だということですよね。

○荒木座長 今はそうかもしれませんが。

○神林委員 そのまま残ったとしたら。ということは、今残っている会社も潰れてしまうわけですね、今の労働条件だと。

○荒木座長 そうです。ですので、ある程度不採算事業だけれども、労働条件とかを調整して切り出せば、その事業は事業として採算が取れるようになると。そのときに労働条件を今のまま、しかも労働者も全員そのまま買ってくださいということだと、それでは採算が取れないから買いませんというので、事業譲渡契約は成立しなくなるという問題が指摘されているということです。

○神林委員 その場合は清算するのでは駄目なのですね。会社を潰して、そこで遊休資源ができるわけなので、それを後から買い取ればいいわけですね。

○荒木座長 一旦潰してしまうと、それは清算だから大変なことになるので、現在のゴーイング・コンサーンとして、それを採算が取れる形にして買っていただくのが事業譲渡として活用され得るのかという気がしているのです。

○神林委員 理屈としてよく分からないので、つまり、それはどちらにしても同じなのではないかということです。つまり、どの段階で労働条件を切り下げるのかが理屈としては今問題になるわけですが、譲渡する前に労働条件を切り下げて譲渡するのか、譲渡した後にそちらで労働条件を切り下げてくださいとなるのか、どちらがいいかと、そういう話に聞こえるのです。

○荒木座長 事業譲渡が活用されるには、こういう条件だったら買ってもいいですという譲受会社がないといけないのですが。

○神林委員 あります。

○荒木座長 それを自動承継ルールによって、いや、労働条件引下げはできませんと、しかも労働者も全員ですということだと買手が現れないという問題があるので、前か後かで調整することになりますし、そもそもが事業譲渡できなければ、不採算部門を抱えたままということになってしまうのです。そういうことだと全体としての雇用の維持の点でも問題ではないかという御指摘だったと思うのです。

○神林委員 だから、そのときは、現在持っている会社は労働条件を切り下げるインセンティブはあるわけですよね、だって買ってくれないのですから。買ってくれないということは、それは事業として成り立っていないということですから、自分の会社を持っていても、それは潰れてしまうわけで、そこは赤字部門なわけです。

○金久保委員 以前私が裁判を担当した件があって、その件で事業譲受会社がもともと、例えば300人いた者を200人だけ採ると。その会社に、どうしてこの人数にしたのですかと聞いたら、この規模であればやっていけるからという証言でした。ですから、そういう規模にすれば利益の出る事業としてやっていけるという場合も全然あるのではないかと思います。

○神林委員 そうだとしたら、事業を買って100人減らせばいいわけですよね。

○荒木座長 それを事業譲渡というツールを使ってやる。その中でそういうことができるということだったらできるのですが、事業譲渡に自動承継ルールを入れてしまったら、今のだと300人全員引き受けて、その後今度は労働条件を減らすと、そういうコストまで払って買おうと思う人がいるかという問題ですということがあるので、事業譲渡の際にそういう調整は可能ですということであれば、ではそういう形で事業譲渡契約を締結しましょうということになる。だから、そこのことについてまで強行的なルールに縛っていると、そもそも買手が現れなくなるかと、それが実は長期的に見ると大きな問題となる。

○神林委員 何が起こっているのか、何となく分かってきました。

○荒木座長 なかなか難しい問題ですが、時間も超過しておりますので、更に検討を続けたいと思っています。今日は以上として、次回以降の研究会について、事務局からお願いします。

○労政担当参事官室室長補佐 次回以降の研究会ですが、日時、場所について調整中ですので、追って正式に御連絡します。よろしくお願いします。

○荒木座長 本日は以上とします。今日はどうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第9回組織の変動に伴う労働関係に関する研究会議事録(2015年8月27日)

ページの先頭へ戻る