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2015年11月18日 第1回 健康診査等専門委員会(議事録)
健康局
○日時
平成27年11月18日(水)13:00~15:00
○場所
厚生労働省12階専用第14会議室
○議題
(1) 健康診査等専門委員会の設置について
(2) 健診・検診や評価の考え方について
(3) 有識者からのヒアリング
(4) 今後の議論の進め方について
(5) その他
○議事
○中田総務課長補佐 定刻になりましたので、ただいまらから「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会健康診査等専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきして、まことに御礼申し上げます。
私は、健康局総務課の中田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
開会に当たりまして、健康局長の福島より御挨拶を申し上げます。
○福島健康局長 健康局長の福島でございます。委員の皆様方には、大変お忙しいところ、また御多忙な中お集まりいただき、ありがとうございます。また、日ごろから、私ども厚生労働行政全般につきまして御指導・御協力を賜りまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
さて、健康診査でございますけれども、疾病を早期に発見し、早期治療につなげるという観点から行われるもの、あるいはその健康診査の結果を踏まえて、その栄養指導その他の保健指導等を行うことによって疾病の発症及び重症化の予防並びに生涯にわたる健康の増進に向けた自主的な努力を促す観点から実施するものであると考えております。
私ども厚生労働省では、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針を定めまして、また、特定健康診査やがん検診など、国民を対象として実際されている健康診査の内容等について検討を行ってまいりました。
この委員会では、今後さらなる国民の健康増進を図るために、科学的知見に基づいて、今後の健康診査等のあり方や関連する事項等について御検討いただきたいと考えております。
今後も健康診査等がよりよきものになりますように取り組んでまいりたいと考えておりますので、ぜひ委員の先生方には忌憚のない御意見を頂戴したいと考えております。
簡単でございますけれども、冒頭の御挨拶にさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○中田総務課長補佐 続きまして、委員を御紹介いたします。
初めに、当委員会の委員長につきましては、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会長が指名することとしておりますが、部会長でございます東北大学院教授辻一郎委員に御就任いただきました。また、委員長に事故があった際には、あらかじめ委員長が指名した者がその職務を行うこととしておりますが、祖父江委員に御指名がありましたので、御報告申し上げます。
続きまして、各委員の御紹介をさせていただきたいと思います。お手元の委員名簿を御参照いただければと存じます。
日本看護協会専務理事でございます井伊久美子委員でございます。
○井伊委員 井伊でございます。よろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 本日、飯山委員は御欠席でございます。
全国市長会理事・茨城県つくば市長でございます市原健一委員でございます。
○市原委員 市原でございます。よろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 日本医師会副会長でございます今村聡委員でございます。
○今村委員 今村でございます。よろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 国立国際医療研究センター理事長でございます春日雅人委員でございます。
○春日委員 春日でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 東北大学大学院医学系研究科の教授でございます辻一郎委員でございます。
○辻委員長 辻です。どうぞよろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 全国保健師長会会長でございます鎌田久美子委員でございます。
○鎌田委員 鎌田でございます。よろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 本日、迫委員は御欠席でございます。
全国町村会・東京都奥多摩町福祉保健課長でございます清水信行委員でございます。
○清水委員 清水でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 本日は、祖父江委員が御欠席でございます。
国立循環器病研究センター理事長でございます橋本信夫委員でございます。
○橋本委員 橋本です。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 日本歯科医師会の常務理事でございます深井穫博委員でございます。
○深井委員 深井でございます。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 読売新聞東京本社編集局社会保障部次長でございます本田麻由美委員でございます。
○本田委員 本田と申します。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 健康保険組合連合会常任理事でございます村上顕郎委員でございます。
○村上委員 村上でございます。よろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 本日、森委員は御欠席でございます。
日本学校保健会専務理事でございます弓倉整委員でございます。
○弓倉委員 弓倉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日の検討に当たりまして、参考人といたしまして聖路加国際大学の福井次矢理事長に御参加いただいております。
○福井参考人 福井です。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 また、大阪大学大学院の磯博康教授でございます。
○磯参考人 磯でございます。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 自治医科大学の永井良三学長でございます。
○永井参考人 永井でございます。よろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 続きまして、事務局を紹介いたします。
健康課長の正林でございます。
○正林健康課長 正林でございます。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 保健指導室長の島田でございます。
○島田保健指導室長 島田でございます。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 健康課課長補佐でございます坂本でございます。
○坂本健康課長補佐 坂本でございます。よろしくお願いします。
○中田総務課長補佐 同課長補佐の高山でございます。
○高山健康課長補佐 高山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中田総務課長補佐 それでは、先に配付資料につきまして確認をさせていただきたいと思います。
お手元に座席表、委員名簿のほかに議事次第がございます。また、議事次第の裏面に配付資料の一覧がございますので、こちらを御確認いただければと思っております。
御確認いただきまして、もしお手元に落丁等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
資料のほうはよろしゅうございましょうか。
それでは、以降の進行は辻委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○辻委員長 辻でございます。委員長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
現在、我が国で大変幅広く行われております健康診査の今後のあり方について検討するという非常に重要な委員会でございますので、委員の皆様方のお力をお借りして、何とか頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
撮影はこれまでとさせていただきます。
それでは、議題に入りますけれども、本日、参考人として御出席の永井先生が途中で御退席されます関係で、議題1から3までにつきまして、先に説明を伺った後、質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
最初の議題は「健康診査等専門委員会の設置について」であります。
事務局から御説明をお願いいたします。
○高山健康課長補佐 お手元の資料1「健康診査等専門委員会の設置について」をごらんください。
厚生労働省では、これまでも健康増進法第9条第1項に基づきまして、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針を定めまして、また、特定健診やがん検診を初めといたしまして、国民を対象として実施されている健康診査の内容等について検討を行ってきたところでございます。
今後さらなる国民の健康増進を図るために、公衆衛生学的観点から健康診査等について検討することを目的といたしまして、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会に「健康診査等専門委員会」を設置することとさせていただきます。
「2.検討事項」ですけれども、今後の健康診査等のあり方について、また、その他健康診査等に関連する事項について御検討いただければと考えております。
「3.構成」「4.委員会の運営等」は資料のとおりでございます。
なお、平成27年9月14日厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で御了承いただいたことを御報告いたします。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、議題2「健診・検診や評価の考え方について」ということで、これは資料2に基づきまして、私から説明させていただきます。
今回、「健康診査等専門委員会」ということで、この「健康診査等」ということになりますと、にんべんの「健診」ときへんの「検診」が両方含まれることになりますけれども、その定義と申しますか、概念を整理して、このような形でこの専門委員会では考えていこうということを最初に御提案申し上げたいと思います。
資料2-1をごらんいただきますと、このにんべんの「健診」のほうは、健康づくりの観点から経時的に値を把握することが望ましいということで、下にも書いていますけれども、主に将来の疾患のリスクを確認する検査がにんべんであると。
一方、きへんの「検診」は、疾患自体を確認するための検査ということになっております。
下の四角の枠の中をごらんいただきますと、白抜きに書いていますが、にんべんのほうは「主に将来の疾患のリスクを確認する検査群」、きへんのほうは「主に現在の疾患自体を確認する検査群」ということで、典型的にはがん検診がきへんの「検診」になりますし、にんべんのほうでは特定健康診査の一部となりますが、この黄色と緑の間に黄緑がありますけれども、これは特定健診の項目でありましても、例えば高血圧ですとか糖尿病と診断されるわけでございまして、これは疾患自体の確認になります。一方、高血圧とか糖尿病を診断して治療するということは、その後起こり得るさまざまな合併症、脳血管疾患ですとか肝臓疾患、腎透析、そういったことのハイリスク者であることをふるい分けることになりますので、そのリスクを確認するという両方の意味合いが黄緑のほうにあるのかなと考えております。
実際に、スクリーニングという言葉で言いますと、このスクリーニングという英語の日本語訳は「ふるい分け」という言葉になりますので、その意味ではきへんもにんべんもこの受診者の中で、結果に基づいて何らかのリスクがあるかの程度、あるいは疾患のみという点でふるい分けておりますので、幅広く考えますと、このにんべんもきへんもそのスクリーニングというような大枠で捉えることもできるのでないかなと考えています。
右下に書いていますけれども、検査ごとににんべんなのかきへんなのかということを区別することは非常に困難なことがあるということも御理解いただきたいと思います。その意味で、このように外面規定しておきながら、最終的な結論といたしましては、両者の区別は必ずしも厳密にはつけがたいファジーな部分があるということはあるわけでございますけれども、ただ一方で、にんべんの健診もきへんの検診も両方共通していることは、ある一定の目的のもとに行われるものであって、それに基づく効果であるとか、利益がもたらされることを期待して行われるわけですけれども、その一方、費用ですとか害も起こり得るわけでありますので、その辺のことを総合的に評価して考えていく必要については、にんべんの健診もきへんの検診も変わらないのかなというところで、そういった理解の上で、これから健康診査のあり方等について御議論いただきたいと思います。
裏面をごらんいただきますと、資料2-2「評価の考え方」でございます。この「評価の考え方」は、上のほうにきへんの検診、それから下のほうににんべんの健診を書いておりますけれども、例えばこのがん検診などですと、陽性となった方については精密検査を受けていただきまして、その後治療をするという検診の部分と、それから精密検査以降の事後措置の部分と2つの側面を持っているわけであります。また、同様に将来の脳疾患のリスクを発見するような検査群、例えば特定健康診査でございますが、これはその結果に応じまして、リスクの程度に応じて受診者を階層化いたしまして、それに応じて受診・治療・保健指導・自己管理という形で、事後措置をやっていくわけでありますが、これもやはりきへんの検診もにんべんの健診も共通いたしまして、健康診査とその事後措置の両方をきっちりやらなければいけないというところがポイントかと思います。そういった意味で、これから評価の対象となりますのは、この個々の検査の精度でありますとか、有効性の評価ということも当然出てきますが、もう一つは検査群としてのスクリーニングといいますか、全体をプログラムと考えたほうがいいかもしれませんが、そのようなプログラムの有効性等々の評価、さらには事後措置も含めたシステム全体としての評価ということがありまして、例えばテストの感度が100%だったとしても、精密検査の受診率が50%であれば、システム全体としてはシステム感度が50%になってしまうわけであります。ですから、この健康診査プラス事後措置を両方ともシステム全体として評価の対象にしたい、そういったことで、今まで事務局と私のほうで議論させていただきましたので、このような御理解でお願いしたいと思います。
これにつきましては、また御質問、御意見があろうかと思いますので、また全体討論の中で進めていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、議題3といたしまして、本日、参考人として御出席いただいている3名の先生方からヒアリングをいただきたいと思います。
まず「健康診査の評価について」ということで、福井先生からお願いいたします。
○福井参考人 聖路加病院の福井です。
お手元の資料の参考人提出資料1をごらんいただきたいと思います。
1枚めくっていただきまして、右下が2ページ目のものですけれども、ここに挙げました項目を扱いたいと思います。全般的には、検診(健診)の評価の歴史的なところと、それからもう一つは、実はこれは中にスライドはございませんが、1954年に日本で人間ドックを最初に始めたのが、春日先生がいらっしゃる施設の前身の国立東京第一病院と聖路加国際病院でして、当時としては仕方なかったとは申すものの、有効性の評価を全くしないで健診を始めた大もとでございまして、そういう意味ではかなり責任は感じている次第です。外国と比べまして、健診の評価が十分行われてこなかったということは事実だろうと私自身は考えております。
スライドをめくっていただきまして、「検診の『評価』が求められる背景」です。これは、このように私自身が感じているということです。単に真実を知りたい、「本当に効果があるのか?」ということから、害と利得のバランスの話、それから最近では、健康状態が悪いときの検診は、行うことで誰の目にも有効性がわかるという状況がかつてはありましたけれども、最近は健診を行ってもかなりわずかな有効性の上乗せしか期待できないものですから、ますます費用効果性が問われる状況になっております。そういう医療経済的な問題、それから情報開示の問題であったり、医療や検診そのものの質に対する社会的な意識の高まりというものがあると思います。
4ページをごらんいただきますと、検診の評価につきましては、随分歴史がありまして、WHOでは、既に1968年にWilsonという英国人と、Jungner「ユングナー」と発音するのだろうと思いますが、スウェーデンの方が2人で、このような検診計画の評価の項目を10項目挙げております。一つ一つは触れませんけれども、このときは、基本的には一つの検査を随分頭に置いているような項目立てになっています。
その次の5ページ目は、私がたまたまアメリカの病院にいたころに、カナダのグループが非常に衝撃的な報告書を出しまして、定期検診の有効性について、1979年にタスクフォースの報告書を出しております。その後、おくれをとって米国が、ほとんど同じような手法でU.S. Preventive Services Task Forceというものを立ち上げて、最初の報告書を1989年に出して、それ以降ずっとこのタスクフォースは続いていまして、最近は冊子体での報告書はたしか出ていないと思いますし、ウエブで報告書のリバイズを常にしております。例えば乳がん検診を何歳から行うかとか、前立腺のPSA検査を行うか行うべきでないかということなども随分意見がまだぶれていて、その都度報告書が出ている状況と思います。
我が国では、東北大学の久道先生ががん検診の有効性を評価されたもの、これはすばらしい報告書だと思います。おくれまして、がんを除いた一般の健診項目の評価につきましては、私たちのグループが功労科研をいただいて、何年間かにわたって評価を行ってまいりました。
6ページは、カナダのグループが1979年に出したものでありまして、その次の7ページの2を見ていただきたいのですけれども、このときにかなりはっきりと現在で言うevidence based madisonの考え方が明確に示されておりまして、エビデンスのレベル分けをして、そして健診項目として考慮されるべき十分な根拠があるというところから、削除するだけで十分な根拠があるというふうなrecommendation、勧告をつくって、現在でいう診療ガイドラインなどのモデルにもなってきているものであります。
8ページ目は、米国のUS Preventive Services Task Forcesの最初の報告書の日本語訳を携わらせていただきまして、個人的なことで恐縮ですけれども、実はこのとき初代の委員長が、私がいた病院の内科の部長だったものですから、このつくるときの手順とか、そういう話を随分伺った覚えがあります。
その次のページが、この報告書の中にある、例えば悪性腫瘍の部分につきましては、1989年当時の報告書ではこのような7項目だけがエビデンスがはっきりしていると。それ以外のものについては、下のほうに枠で囲ってありますけれども、実施を勧めるとも勧めないとも言えないというふうに、非常にエビデンスがはっきりしていないという状況にあるということも明示しておりました。悪性腫瘍の中でも、ちゃんと勧められるものと、勧められないものがエビデンスに基づいて仕分けされております。
10ページが、私たちが厚生労働科学研究費をいただいて、がん以外の検診について、このような研究をさせていただきました。
次の11ページが「研究の背景と目的」であります。3行目に書いておりますが、厳密な科学的評価がほとんど行われてこなかったという認識のもとで、この研究班を行ってまいりました。
それで、12ページにはそのときのKey Question(評価の視点)を8項目立てまして、それぞれについてこのような視点での評価を行いました。十分行うだけの疾病頻度が高いのかどうか、それから真のエンドポイントと中間的なエンドポイントの区分けがなかなか明確になっていないものも随分ありました。真のエンドポイントといいますのは、患者さんの死亡率であったりQOLであったり、身体的な障害のレベルであったりしますけれども、中間エンドポイントといいますのは、単に血圧が上がった下がった、コレステロールが上がった下がったというものであります。
次の13ページをごらんいただきますと、そのときにいろいろなデータを見て考えましたのが、一番上の一般住民の方々の中で、健診を受ける一部の人がいる。実際に受けて、異常を指摘されて、精密検査を受けるべき人が受けて、そして保健指導・治療を行って、その後も中間的なエンドポイントが改善したかしないか、そして最後の患者さんにとって一番重要な死亡率や罹患率の低下まで見ているかどうかというところまでを考えますと、エビデンスといいますか、研究が細切れで、それぞれ(1)(2)(3)(4)と書いてありますけれども、健診を受けて、(1)は真のエンドポイントまで有効性を見ているようなものが非常に少なくて、部分的に健診から中間的なエンドポイントを見ていたり、または治療を受けた人だけでどうなったかというのを見ていたりするものですから、(1)の評価をしようとすると、莫大なお金と時間と対象者が必要になるということで、したがって欧米では、一番左に(7)と書いてありますけれども、統合的な手法を用いて健診の評価をするということも広く行われております。これは(2)、(3)、(4)とか、ものによっては(5)、(6)などのこういう部分的な評価をしているものを数理統計学的な手法を用いて、最終的に真のエンドポイントを改善する可能性がどれくらいあるという計算をするものでありまして、それらの手法も今後、日本ではもっと使っていいのではないかと思います。
次の14ページが、全体的にはこのような要件が求められるのではないかと私は考えております。また見ていただければと思います。
15ページで、評価を行ってきた中で、幾つか問題点と感じている点がございます。
1つは、一つの検診項目で複数の疾患の検出を目的としている場合の評価であったり、複数の検診項目で一つの疾患を対象とするような場合の入れ子になっているような場合の評価が余り行われていないように思います。
それから、ハイリスク群への介入と一般受診者への介入の有効性、特に費用対効果といいますか、その有効性は随分異なりますので、それは十分意識して評価を続ける必要があると感じました。
4番目が、エビデンスに基づいて評価しようというのはいいのですけれども、十分なエビデンスがないということが一般の方々には効果がないと捉えられてしまって、私たちの研究班の報告書を出した後、ある全国紙で「効果がない」と書かれてしまって大騒ぎになったことがございまして、エビデンスがないというのと効果がないというのは違いということをぜひ気をつけて発表していただければと思います。
最後のスライドですが、これは最初に申し上げましたWilson-Jungner基準、1968年のものをリバイズしようという試みがWHOで行われまして、2007年にAndermannという方が筆頭者でこのような提言をしています。これはまた時間があるときに比べていただければと思いますが、ここでは一つの検査という概念ではなくて、プログラムという言葉を使っています。つまり、たった一つの検査でどうのこうのではなくて、先ほど辻委員長もおっしゃいましたけれども、受診率とかそういうレベルから本当に寿命が延びたかどうかというところまで相対として考えることが随分盛り込まれているような評価基準になっているように思います。つまり教育・検査・診療・プログラム管理という言葉も随分盛り込まれておりまして、私も30~40年かかわっているだけでも随分評価の視点が変わってきているように思いますので、またこちらの検討会でも最新の考え方を十分取り入れて評価していただければと思います。
以上です。
○辻委員長 福井先生、どうもありがとうございました。
続きまして、磯先生からお願いいたします。
○磯参考人 それでは、引き続き、参考人提出資料2「スクリーニングとしての健康診査のあり方について」という資料をごらんください。
先ほど、福井先生がお話しされた中で、1968年にWHOからのスクリーニング基準が出された際に、多分同様の議論の中で生まれた古典的なスクリーニングの定義が出されています。患者が主訴を有し、それに対する助言・治療を求めるという一般的な診療行為ですが、それとは別に、主訴の有無にかかわらず行う検索、プログラム(問診・検査・診察等)であり、以下の条件を必要とするとしています。1)手順が妥当であること、これはスクリーニング検査の大前提ですが、2)は集団全体の公衆衛生の向上に寄与すること、3)が個人の健康に直接寄与することです。
裏をごらんください。先ほど福井先生が最後にWHOの再考案(2007年)を出されていますが、ここでは英国のThe UK Nathinonal Screening Committeeからの引用を示しております。
これによりますと、ある特定の集団における個人が、疾患やその合併症に関するリスクを有していると認識しているか、あるいは既に合併症を有しているかにはかかわらず、さらなる検査・治療によって疾病・合併症のリスクを軽減できるという利益が出てくる。その利益がこのスクリーニングによって生じる可能性のある不利益に比べて、より大きいことを享受できる公衆衛生サービスと定義しています。
一方、患者が主訴を有し医者にかかり、その歳に主治医が行う検索を「testing」もしくは「case finding」、「opportunity screening」と呼ぶことになります。
次のページをごらんください。その意味で、健診のスクリーニングの定義は、繰り返しになりますが、自身が疾患や合併症のリスクを有していると認識している場合と認識していない場合のどちらにおいても、もしくは既に合併症を有しているか有していないかのどちらかにおいても、集団内の個人を対象として計画的な医学的検索を行うことで、疾患もしくはその前状態を把握して、早期介入につなげることを目的とする、このような定義が提唱されています。
さらに裏をごらんください。健診の対象者は健診の定義に沿った、ある特定の集団における個人が対象となります。
次は、健診の対象疾患は、健診によって早期介入につながり、それによって疾病の予防や合併症、もしくは重症化の予防につながる疾患で、見つけるだけではなくて健診によって、個人もしくは公衆衛生の向上につながることが大前提になります。
裏をごらんください。これは疫学の教科書的な話になりますが、スクリーニングの有効性の指標として、検査の感度・特異度があります。これは2×2表で、上段の左側が「疾患あり」、右側が「疾患なし」で、上が「検査陽性」、下が「検査陰性」とすると、4つの群に分かれます。左側の検査が陽性で疾患がある「真陽性」と、検査が陽性で疾患がない「偽陽性」、また、疾患があるが、検査が陰性だった「偽陰性」、疾患がなくて検査も陰性である「真陰性」と分類出来ます。2×2表のセルの中の数から、感度・特異度が計算できます。疾患があって検査が陽性である割合を「感度」、疾患がなくて検査が陰性である割合を「特異度」と定義されます。右側に示した陽性反応的中度は、この言葉どおり、検査が陽性の場合で疾患がある割合、その下の陰性反応的中度は、検査が陰性で疾患がない割合となります。
次に「スクリーニングの有効性評価」に移りますが、感度、特異度の2つの指標を用いて有効性を評価するため、広く使われている方法として、ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線があります。これは、右横に示したように感度と偽陽性率を示しましたが、(1-特異度)をそれぞれ、YとX軸でプロットします。赤い点のプロット図と黒い点のプロット図を示しましたが、対角線上から左上のほうに膨らむ形の曲線となります。この膨らみ方が大きいほど、すなわち感度1に近づいて、1-特異度がゼロに近づく様と膨らみが出てくるのが、感度・特異度がいずれも大きくなることになりますので、2の場合赤い点のほうが黒い点のほうよりもこのスクリーニングの検査としては有効性が高いと判断できます。
次をごらんください。ところが、先ほどから議論になっていますように、検査の後に続いて確定診断、できる場合は例えばがん検診の場合はRoc曲線が適用出来ますが、例えば特定健診でメタボリックシンドロームと判断された人がその後に脳卒中や心筋梗塞に罹患する確率は、性別やいろいろな他の因子によって影響されます。そのような因子も考慮して、健診の有効性を評価をするために、総合判別改善度(Integrated Discrimination Improvement)という手法を用いることが多くあります。これはROC曲線と基本的な概念は同じですが、ここに示したように追跡期間や疾患の発症と関係する他の因子も含めたモデルを用いてスクリーニングの改善能の指標化が可能となります。
次に、有効性の評価として留意すべき点を示します。これは同じ感度・特異度の条件でスクリーニングを行ったとしても、対象とする疾患や合併症、もしくは前状態の、集団における割合(有病率)が大きい場合と少ない場合、陽性反応的中度が大きく影響を受ける点です。具体的な数字を、右横の図1に示しました。X軸が有病率で、Y軸が陽性反応的中度になります。その中の黄色の曲線は感度95%、特異度95%、理想的に近い感度・特異度のスクリーニングですが、もし有病率が10%であれば、陽性反応的中度は7割近くとなりますが、有病率が1%と低いと陽性反応的中度は16%、さらに有病率が0.1%であると、陽性反応的中度は2%しかないということで、このような場合は、先ほど福井先生のお話にありましたように、対象をハイリスク集団に絞ることで、このような場合はスクリーニングの有効性・効率性が高まることになります。
次が「健診の利益・不利益」についてですが、これは非常に重要な点で、先ほど御指摘がありましたが、利益としては予後改善例が存在すること、不利益としては、改善が見込めない例で、異常があるというラベルをしてその期間が延伸してしまうことです。
早期介入による侵襲性の低い治療が期待できるということが利益として挙げられますが、それが逆に偽陽性の人については、過剰診療・過剰介入になる可能性があります。
保健・医療資源の節約という利益があり、一方で資源の経費負担にもつながる可能性もあります。
異常なしの確認に関しては、偽陰性の判断は、疾病によっては不利益につながります。逆に、偽陽性の場合には、疾病ありのラベル化によって、個人の不安や周りからの差別にさらされる可能性もあります。あとは、検査自体のリスクも不利益として考慮する必要があります。
次をごらんください。そういう意味で、スクリーニング適用のための要件としては、英国のスクリーニング委員会では、5つの主要な要件を提唱しています。
早期もしくは無症状の状態での把握ができること。
確定診断する適切な方法があること。
有効な治療方法・介入手段があること。
費用対効果が見込めること。
継続的な運用、評価と精度管理が行えること、です。
裏側が、スクリーニングを適用するための詳しい要件を示したものです。22項目がありますが、重要な項目は赤色で示しております。例えば、スクリーニングを開始前の要件として、当然のことですが公衆衛生政策的な合意が要る、これは重要です。
あと、スクリーニングに関しては、RCTによる質の高いエビデンスが少なくとも一つ以上あることが望ましく、治療介入に関しては、政策に沿った科学的なエビデンスが必要です。
さらに、健診の間隔の短縮、検査感度の増加を望む公共の圧力に対して、科学的なエビデンスをもって決定しなければいけない、といった要件が書かれております。
次をごらんください。スクリーニングと医療の比較については、見ていただくとわかりますが、スクリーニングとしての検査項目と医療としての検査項目は、目的が全く異なります。スクリーニングとしては、感度・特異度のよい検査、医療においては確定診断に必要な検査であります。
最後の2枚に移りたいと思います。母子保健・学校保健の観点のみならず、生活習慣病予防の観点からも、出生から成人初期というのは非常に重要な時期です。この間に生涯続く生活習慣が形成されます。日本の保健医療システムの中で、母子保健・学校保健に関する様々な行政調査が行われていますが、その有効利用が大きな課題です。今後、健診情報、レセプト情報行政調査がデータベース化されて、個人のデータが串刺しできるようになってきますと、生涯を通じた生活習慣病予防や、先ほど福井先生が述べられたような健診の評価のためのシステム解析も行える可能性がでてきます。
最後に「ライフコースの視点からみた健診」に関して、現在わが国では母子保健、学校保健、産業保健、成人・老人保健といった形で、さまざまな健診が走っております。それぞれの人生の時点で健診の項目は異なりますが、今日お話ししました健診の目的、要件に関して、時代、時代によって定期的に見直をして、効果的、効率的な健診システムを構築していく必要があります。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、最後になりましたけれども、永井先生、お願いいたします。
○永井参考人 私どもは、特定健診のあり方あるいは検討項目等について、研究班で検討しております。きょうの資料は、私と慶應義塾大学の岡村教授、東京大学の古井助教授に相談して作成したものであります。
2ページ目になりますが、「生活習慣病の自然史と特定健診」ということで、おおよその生活習慣病の経過というものを絵にしております。病気というのは生まれてから青年期、壮年期とだんだん体力が落ちてきて、そしてどこかで発作あるいはイベント、がんの発症、心筋梗塞であったり脳卒中であったり、こういうことを経験して、それを何回か繰り返しているうちに大体寿命が終わるという経過をたどります。したがいまして、健診のポイントは、今、磯先生がお話になられたような早い時期、特に生活習慣に対する介入というものを目指したものから、だんだん年齢が高くなって、壮年期、老年期の循環器リスクに対するリスクの同定など、いろいろなポイントがあります。
それぞれの健診に一体どこを標的にして、どこのターニングポイントで、何を知りたいのかということをよく考える必要があります。そういう意味で、こういう絵を使っていただくとよろしいと思いますし、それから一人一人にとりましても、この経過というのは、ある人は非常に早いときに発作、イベントが起こることもあれば、運のいい方は本当に寿命が尽きるまで何も起こらない方もいる、それから病気によっても違いますので、こんな自然史を頭に入れて健診について考える必要があります。
例えば右のほうの山あり谷ありの波乱万丈のフェーズは、むしろ医療の対象となります。一方、特定健診が対象としているのは青年期から壮年期、崖に落ちそうな人たちまでを大体対象にしています。
1枚めくっていただいて、そのためのアプローチですが、これまでもハイリスク・アプローチという言葉が出てまいりました。これは、リスクの高い方々をスクリーニングして、そして介入するという考えで、例えば特定健診で腹囲の大きい方を対象として保健指導をするというのもある意味でのハイリスク・アプローチです。このアプローチは非常に危険因子が高い方々を対象としますので、介入の効果も非常に見えやすいということ、また、より経済的であるという面がありますが、リスクが高くなくてもいろいろなことが起こりますので、そういう人たちについてはケアが足りなくなってくる。選ばれた人が悟りを開くという言葉も出ております。
もう一つは、ポピュレーション・アプローチという考え方で、これは何も全員を細かく検査しようというわけではなくて、集団全体に対して分煙を推進するとか、運動施設を整備するとか、外食メニューを改善する、情報提供していく、こういうアプローチでも十分いろいろな効果があります。これは、いろいろ経済的なことも考えないといけないと思いますけれども、結論としては両方大事だと考えたほうがよろしいかと思います。
5ページ目は、もう既に、最初に辻先生からもお話がございましたけれども、きへんの検診とにんべんの健診の違い、特に特定健診の場合にはにんべんを使っておりますが、がん検診はきへんであります。これは、がんという疾患を見つける検診であるということで、母集団からこの「●」の病気を持っている方を選んで医療機関に紹介するのががん検診の目的であります。
一方、生活習慣病の特定健診の場合には、心臓病を見つける、脳卒中を見つめる、脳梗塞を見つけるということではなくて、そういう重大な合併症を起こしやすいハイリスクグループの方をスクリーニングする、同定、ふるい分けをして、医療機関に紹介する、あるいは保健指導を行うということで、基本的な考え方が違うということもぜひ御理解いただきたいと思います。
6ページ目が今のまとめですが、脳・心血管疾患そのものをスクリーニングするのではないのだと。将来、脳・心血管疾患を発症する確率の高いハイリスク者を選び出す。ただ、その場合にはハイリスクとは何ぞやという定義が必要になってまいります。それも、印象とか経験、勘によるものではなくて、できるだけしっかりした臨床試験、あるいはできれば介入研究に基づいてそれを裏づけていく、定義する必要があるのだということ、また、たとえハイリスク者を同定しても、介入手段がない場合には余り意味がないのではないかと。ないとは言いませんが、ハイリスク者の介入をできるだけ伴うような健診が望まれるということになります。それが5に書いてあることであります。
ただ、現実には、磯先生のお話にありましたように、こういうものを全部セットで調べていくというのは、膨大な社会的な実証実験が必要でありますし、日本では必ずしも十分にはそろっておりません。しかし、その中で高血圧については、これまでもかなりよくデータがそろってきたのではないかと思います。
7ページ目にこのあたりの概略が書いてありますが、こうした脳・心血管疾患の予防では、リスクの階層を考える必要があるということであります。これは、左の(1)の生活習慣に問題がある方という階層から、実際に高血圧という危険因子を持っている方、そういう方に対する指導をどうするかということ、それからかなりハイリスク、脳・心血管疾患を既に持っている方とか、こういう階層を考えて適切な介入を行うということ、またそれがコホート研究とか介入試験で確かに有効であるということが根拠として示されていることが重要であります。
8ページ目に、そうした根拠をつくってきたいろいろな研究、あるいは評価に用いられている危険因子のリストがございます。日本でも動脈硬化性疾患予防ガイドラインが作成されておりますけれども、そのもとになったデータ、例えば「NIPPONDATA80」とか、ガイドラインとしては「日本動脈硬化学会2012」とかいろいろございます。アメリカでもヨーロッパでもありまして、評価に用いられた危険因子が右に書いてございます。性別、年齢、コレステロール、喫煙、血圧、血糖、HDLとかいろいろ国によって見方が違いますけれども、このときに、ハイリスク者の定義ということを各国いろいろ検討して、多少違うところがございます。
それが8ページの下の説明に、ハイリスクの定義がありますが、日本の場合は、10年以内に心筋梗塞で死亡する確率が2%以上をハイリスクだと。アメリカでは、冠動脈疾患ろ脳卒中の両方または脳卒中を発症する確率が7.5%以上、ヨーロッパの場合には、冠動脈疾患または脳卒中で死亡する確率が5%以上ということで、それぞれ見方とか基準が違うということであります。そういうことを踏まえて、全体として評価に用いる危険因子というものが決まってまいります。
9ページ目に、高血圧あるいは高LDL血症について、特に高血圧による脳・心血管疾患、あるいは高LDL血症による冠動脈疾患の発症確率という数字が挙がっております。これがハイリスク者スクリーニングの効果を計算するために、今の疫学、いろいろな介入試験のデータを使った例であります。
例えば「1.高血圧」でありますが、60~64歳、血圧が160-179mmHg、ほかの危険因子なし、こういう方が1万人いたとしますと、日本人の場合には、大体10年以内の脳・心血管疾患の発症率が16.7%であります。1万人から1,670人発症する。血圧が10下がると、30%リスクが低下する、そうすると、発症確率が11.7%、5%下がると。ということは、1万人当たり500人予防できるということです。高LDL血症の場合には、1万人当たりもともと500人発症します。高血圧の場合は、この基準でいうと1,670人ですが、高LDL血症の心臓発作が500人ということになります。薬、スタチンで30mg/dl下げると30%リスクが低下する。そうすると、計算上1万人当たり150人予防できると。つまり何を、どういう疾患を対象とするか、あるいはその集団における発症確率、これも磯先生のお話にありましたけれども、そういうことを全部含めないと、何を、あるはどういう健診をするかというのはわからないわけです。
もう一つ重要な要因は受診率、あるいは受診勧奨を受けて、ちゃんとクリニック、病院へ行くかという、そこの数字も見てみないと本当の効果が見えてこないわけです。
それが10ページにあります。これは日本のデータから、多少海外の論文に基づく推測も入っておりますが、非常に複雑で申しわけありませんが、左下に2,100万人とあります。2,100人いたときに、健診を受けるのは700万人、3分の1なのだそうです。3分の2は検診を受けない。健診を受けない方は、1,400万人のうち血圧が高い方が大体700万人。ですから、発症率も非常に高い。10年で116万人が脳・心血管疾患を発症するということになります。これが(C)という数字です。
では、健診を受けた方700万人のうち、高齢者ですと、高血圧が大体350万人ぐらいいて、そして治療をきちっと受けている方が175万人、放置されている方が175万人、半々ぐらいだと。治療を受けていても、コントロール良好が33%、3分の1、3分の2はコントロール不良、コントロール良好群から発症が58万人起こる。不良群から116万人起こる。高血圧とわかっていても放置している人からは29万人起こる。こういうことをずっと計算して、最後に青で書いてある介入をしたときに、30%リスク低下、あるいは15%リスク低下が可能になるのだそうですけれども、そうすると、トータルすると、10年当たり6万8,000人が発症、(B)のグループからは、10年で16万5,000人が発症するということでありまして、こういうものを全部トータルすると、5.7万人の減少、予防が可能である、こういういろいろな要因を含めて、トータルして考えないといけないということであります。
11ページ、そういうことでいろいろな介入ポイントがございます。これは大体おわかりだと思いますけれども、生活習慣のゆがみに指導する、こういうところはポピュレーションアプローチでもいいと思いますけれども、今、狭義の健診の役割というところでは、内臓肥満であるとか、いろいろなリスクファクターの数に応じて指導しているということであります。
それから、もう一つ最後に、特定健診の多少の問題点を申し上げさせていただきますと、これは発足の経緯で、内臓脂肪に基づく生活習慣病を対象とするということで、肥満者に割と重点を置いた保健指導が行われてきました。このリスクの、肥満しているかしていないか、あるいはリスクの数に応じて、ブルーとオレンジで塗り分けたカテゴリーに入ります。それぞれ非肥満者ではA1、A2、A3、肥満者ではB1、B2、B3です。
こういう方々からどのくらい脳・心血管疾患が起こっているかというのが13ページです。これは健保組合のデータをいただいて、古井先生が解析したものでありますけれども、大手25健保組合、27万人を4年間フォローいたしました。そういたしますと、一番右にリスクの階層化、非肥満者のリスクなしを1.0としたときに、A1、A2、A3で1、1.67、2.9とだんだんリスクが高まってきます。それから、肥満者のほうはやはりリスクが高くて、B1、B2、B3で1.62、2.79、4.26ということで、確かに肥満者のほうがリスクが高い。ただ、健保組合によっては非肥満者のほうが高いこともあるし、非肥満者でも相当発症しているということ、それから、世の中全体で見たときには、非肥満者のほうが多いですから、このあたりの指導を今後どうするかという課題が残されております。
以上、まとめますと、最後のページでありますが、特定健診の目的というのは、心血管病を見つけるのではなくて、リスクを見つけて、早期に対応するということが目的でがん検診とは違います。
また、ハイリスクの定義とハイリスク者への介入効果をきちっと疫学研究で裏づける必要がございます。
介入による心血管病の予防効果が明らかなハイリスク因子として、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙でありまして、メタボリックシンドロームは内臓肥満が原因で喫煙以外のハイリスク因子を伴った状態である、こういう整理が可能です。
それから、企業の特定健診では、確かに肥満者は非肥満者よりも相対的にリスクが高いのですけれども、非肥満者でも相当多くが発症しています。現在の特定健診後の介入では、かなり多くのハイリスク者を見逃す可能性があるということ、それから何よりも病気の自然史というものを理解して、どの段階で何を予防しようとしているのか、そういう意味で健診の目的を明確にする必要があるということであります。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、これまでの議題に対して、皆様方から御質問、御意見を含めましたフリーディスカッションをしたいと思います。本日は1回目の会合でございますので、特にまとめるということは考えておりませんで、委員の皆様からできるだけ多くの御意見をいただいて、今後のこの検討会のあり方についても考えさせていただきたいと思いますので、どうぞご自由にお願いいたします。また、きょういらしています参考人の先生方も、ぜひディスカッションに入っていただければと思います。
今村先生からどうぞ。
○今村委員 資料2-1の「健診・検診の考え方」ということで、辻先生、それから永井先生から御説明をいただいて、大変わかりやすい説明だなとおおむね理解をいたしました。
私も医師でありながら、大学病院にいるときに余りこういう違いを意識したこともなく、開業していわゆるにんべんの健診やきへんの検診を実施する立場になって、「何故字が区別されているのだろう」と改めて疑問を持ったときに説明を受けたのは、きへんのほうは臓器を対象にしているというこことでした。つまり、肺がんなら肺、胃がんなら胃が対象になっており、また、ここに挙げられたがん検診以外に、健康増進法の中には骨粗鬆症検診や歯科検診もあります。つまり、骨を対象にしているから、それから、歯を対象にしているからきへんなのだということです。
一方、にんべんの健診というのは人全体を見るもの、例えば動脈硬化、あるいは糖尿病、高血圧、脂質異常、これは全身に影響を及ぼすものなので、このにんべんを使っているのだという説明を受けて、そのときは非常に納得をいたしました。だから、この機能で分けるという考え方は、今言った疾病を見つけるのか見つけないのか、あるいは介入するのかという考え方もあると思うのですけれども、そういう臓器か全身かという考え方というものが間違った考え方なのかどうかというのを、御専門の先生の御意見を伺えればと思います。特に、骨粗鬆症検診は疾病の有無ということだけではなく、途中の骨密度の低下ということで、生活習慣の改善という介入も入ってくるので、必ずしも疾病の有無を見るだけでもないという部分もあり、きれいに整理できないので、このクロスで表現されているのだろうと思いましたけれども、そのことを御専門の立場から御意見をいただければと思います。
○辻委員長 きへんとにんんべんの違いというのは、深めれば深めるほど議論が出てくるかと思うのですが、例えば一つの臓器ということでは、特定健診の中でも肝機能を調べたりしますけれども、それは肝臓という一つの臓器に対応するものもあると思いますし、一つは骨粗鬆症検診も本当にきへんなのかにんべんなのか、今村先生がおっしゃったように長期的にリスクを見ていくということになりますと、この資料2-1ではにんべんの形になると思うのですね。
なぜ資料2を出させていだいたかと言いますと、世の中ではいろいろな定義がございますけれども、私どもの本音としては、目指すものは一つだということでありまして、疾病もしくはリスクをスクリーニング、早期にふるい分けて、必要な措置を講ずることによって後々の健康レベルを改善させる、悪化を予防させるという点では、目的は一つでございます。むしろ今までは、きへんの検診に比べて、にんべんの健診というのは、メディカルチェックアップといったものだから、目的性はきへんの検診ほど重視されないのだという意見もありまして、それに対して、むしろきへんだろうがにんべんだろうが、一定の目的性を持って行われるものであり、その点に関して評価の対象となるという点では共通しているということを今回御確認いただければということで申し上げた次第です。
どなたかいらっしゃいませんか。
永井先生、どうぞ。
○永井参考人 恐らく骨粗鬆症という明確な病気、あるいは重篤な骨密度の低下に基づく臨床症状が出ているものを見つけるのであれば、多分きへんの検診で、骨密度低下をずっとモニターしてハイリスクの人を見つけるのだったらにんべんなのだと思います。ですから、骨密度健診と骨粗鬆症検診を両方一緒にやっている事業なのではないかと思います。
○今村委員 そうですね。おっしゃるとおりなのですけれども、実際にはきへんを使っていますので、どういう整理がされているのかということで確認した次第です。私が先ほど申し上げたような理解もあるということで、多分これは専門家の間でもいろいろな意見が出てくるので、一般国民の方はなかなか理解できないのではないかと思います。
○辻委員長 深井先生、どうぞ。
○深井委員 今日の3人の先生方のお話が大変わかりやすくて参考になったのですけれども、幾つか考え方を確認しておきたいと思います。
まず、検診・健診の対象疾患は、どういう疾患を対象にすべきかということがあるのだと思います。これは、福井先生のスライドにもありましたけれども、個人とか社会への疾病負担が高いものということがまずは基本で、次が治療効果とか予防効果のあるものというのが第一優先だと思います。例えば、私は歯科なので歯科のことを例として言いますけれども、今年の「The Lancet」の8月号のGlobal burden of disease2013の報告の中で、世界中で疾患の量を、特にyears lived with disabilityの観点から見ると、今まで軽視されていた、歯の痛みが世界全体で2億人いるし、無症状の永久歯の虫歯が24億人いる。こういうことは軽視すべきでないというレポートがことし出ていますし、Global burden of disease 2010で見ると、世界中で一番罹患率が高いのが永久歯の虫歯と出ているのですね。6番目に重度の歯周疾患と出ていますので、こういうふうに、特に罹患率が高かったり負担が大きいものを研修の対象にすべきだろうと思います。それを社会的な負担ということから見ると、例えば歯科疾患であれば、疾患別の医療費は歯科疾患の場合、65歳以上でも以下でも3位ぐらいに位置づけられますので、そのような観点から疾患を選ぶできではないかと思います。
それから、リスク判定、きょういろいろ出てきたリスク者のスクリーニングということとリスク因子をどう考えるかということなのですけれども、リスクというと、どうしても仮のエンドポイントの評価ということもありますけれども、生活習慣の改善と考えると、その人の行動を、どうリスクをふるい分けるかということが大事になってきますので、行動のリスクをどう評価をするか。このときに、辻先生の資料の中にもあるように、経時的に値を把握するとなってくると、例えば食塩にしても、砂糖の問題にしても、食生活というのは行動ですし、何グラムといえば量になりますので、その行動と量をどうやってこの健診の中でアセスメントするかというのは、やはり整理をしなければいけない。そのときに、特ににんべんの健診なのですけれども、これは単にここでも「早期介入、保険指導を含む」とありますので、やはりハイリスクを、リスクファクターをスクリーニングするだけではなくて、その改善のプログラム、保健指導のプログラムを含めて、そういうものが整備されているものが予防可能とつながりますので、それがなければ、そのリスクをスクリーニングしてもなかなかうまくいかないだろうと思います。
3点目の効果の評価なのですけれども、先ほど福井先生か磯先生のスライドに、一つの疾患で複数のものを見るか、複数の検査で一つの疾患を見るかということがあったと思うのですけれども、例えばこれまで歯科疾患というのは、疾患があったり歯の喪失があって、歯科疾患だけを見ていたわけですけれども、最近は歯の喪失自体が寿命を縮めるリスクファクターになっていたり、それから心血管疾患による死亡を高めたりとなってきますので、一つの疾患を見つけること、それ自体が他の病気のリスクを判定する可能性があるものは、やはり重視をすべきだろうと思います。
最後にもう一点は、ライフコース・アプローチの件ですけれども、特に日本では学校保健とか母子保健が進んでいますけれども、歯科の例を言うと、子供のころの虫歯予防というのが実は中高年の歯の喪失につながりますので、そのようにライフコース・アプローチというのはやはりリスクの蓄積だと思いますので、そのリスクの蓄積効果をどこでとめられるかという観点で効果を判定したらどうか。
ちょっと長くなりましたけれども、質問も含めてコメントでございます。
○辻委員長 ありがとうございました。
今の深井先生の御意見に対して、先生方のほうから何か。
はい、お願いします。
○福井参考人 Disease burdenというか、病気の負担につきましての考え方自体が、いろいろな新しい知見が集積されてくることによって随分変わってきていると思います。おっしゃるように、特に歯の問題は、歯科の先生方を除けば、病院の中でさえも本当に意識が薄かったのですけれども、最近はすごく重要で、入院時の皆さんの歯科の口腔ケアが前面に出てきているくらい重要度を皆さん認識していますので、そういう意味では、疾病負担といいますか、Disease burdenというのはかなり変わってきていますので、その都度評価された上で、健診プログラムに乗せるかどうかというのは決められるといいと思います。
もう一点、一つの検査でいろいろな病気がわかるというので、私がかつて研究班で非常に悩みましたのが、例えば心電図でして、心電図は心筋梗塞とか虚血だけをスクリーニングしようとするところに常に出てくるのですけれども、実はそれ以外にも、例えば不整脈をどうするのかとか、違う側面でほかの病気とかかわっているところがございますので、そういうのは一切されていないのですよね。ですから、かなり複雑な評価が必要になるのではないかと思いました。以上です。
○辻委員長 弓倉委員、どうぞ。
○弓倉委員 先ほどから、学校保健の話が幾つか出ていますので、ちょっと補足いたしますけれども、学校保健の場合、いわゆる内科の先生とかが行われる健康診断はにんべんの「健」でございます。それから、眼科検診、耳鼻科検診、学校心臓検診、学校腎臓検診等のいわゆる臓器対象のものはきへんの「検」です。学校健診は、今回平成26年に、学校保健安全法の施行規則がまた改正されまして、基本的に学校健康診断はスクリーニング検査であるということと、それからその結果を児童、生徒たちの健康教育に利用する、健康教育として、事後措置として役立っているということが明確化されたのですけれども、この参考資料2-2の最後の2ページを見させていただいておりまして、生活習慣病予防が出生から成人初期からも重要だということと、ライフコースの観点から見た健康診断、確かに生涯保健という観点から申しますと、母子保健、学校保健、それから産業保健、成人・老年保健という形で、それぞれの成長段階において、いわば細切れのような形でシステムができていて、学校保健だけは実は文科省が管轄で、文科省管轄でやられている学校保健の小・中・高を含めましての12年間のデータというのが、実は産業保健等のところになかなか持っていくことができないという観点の問題もございます。
それから、学校心臓検診は、基本的に学校突然死を防ぐ目的で行われていますけれども、実際に人口10万当たりの児童・生徒たちの学校管理下での突然死はかなり減ってきておりますけれども、具体的にどういう心臓の病気のお子さんがいらっしゃって、そのお子さんのどれだけの学校心臓突然死を防いだかという追跡調査まではやっておりませんので、残念ながらそういうところではエビデンスがないという難しさがやはりございます。
あと、学校健診は、日本は集団検診という形で、身長体重等の統計も非常にとりやすくて、2012年ぐらいで今の児童生徒たちの身長体重がある程度固まっていて、それ以上伸びてもいないということがわかったりしてきているのですけれども、欧米は個別健診ですので、逆にそういうところはなかなかわかりづらいだろうと。そういう日本の特性もあるのかなと思っております。
○辻委員長 ありがとうございました。
ほかにどなたかございますか。
鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 特定健診やがん検診の受診率が非常に伸びないという中で、各自治体それぞれいろいろな工夫をしながら受診率の向上に向けてやっているのですが、なかなかその決定打が見つからないというところで、今、国の目標値にも達しないという状況が続いております。そのような状況の中で、未受診者が多いという中で、この有用性の評価を今後どのようにしていったらいいのかといったところは、自治体でも考えないといけないのかなと思っております。
また、国民健康保険の加入者のデータは、レセプトデータと突合できれば、それぞれその後の対策は可能になってくるのですけれども、その他の保健者のデータについては、現時点で突合がなかなか難しいという中で、地域住民の3割程度しかその分析ができていないという状況を解決するためには、今後どのような視点で自治体で考えていったらいいのかといったところも踏まえて検討いただければと思っております。
○辻委員長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。
では、まず井伊先生、その後、磯先生、お願いします。
○井伊委員 3人の先生方の資料も大変興味深く見させていただきまして、ありがとうございました。
私は保健師でございますので、保健指導をする立場でぜひお尋ねしたいと思うのですけれども、例えばがん検診のようにそのことが見つかるか見つからないかという検診と、それから生活習慣病予防のようにある程度の閾値があって、そして0.1違うことでリスクが高いと言われたり低いと言われたりすることについて、ちょっとぐらい高いと言われても、ご本人にとって予防をするインパクトになりうるか課題があります。そういった閾値の設定ということについて、先ほど、福井先生からのお話では、刻々といろいろな資料とか御報告も出されていると伺っているのですけれども、それは私ども保健指導をする者が確信を持ってできる方向にどのくらいいくのか、いかないのかというようなことも含めて御意見をいただけたらと思います。
○辻委員長 まず福井先生から、その後、磯先生お願いします。
○福井参考人 閾値、検査の数値が0.1違うからどうのこうのというのは確かに難しくて、あくまでもあれは統計学的に、一応数値で分けたらこうなるということを言っているにすぎませんので、一人の人でどう判断するかは、ほかの要因も考えた上でフレキシブルに判断せざるを得ないというのが実情で、0.1は構いませんとか、そういうことも言えないと思います。非常に曖昧な言い方しかできませんけれども。
○磯参考人 今の御質問ですが、現在、生活習慣病に関しては、リスクチャートと言って、これとこれの検査はこのぐらいの値であれば、5年後、10年後に脳卒中の発症率がどのぐらいになるかという、表が国内外で出されています。また診療ガイドラインにおいて、患者を病気のリスクで層別化して、どのような治療、保健指導を行うかが提唱されています。しかしながらある人が、5年後に本当に脳卒中になるかならないかというのは、あくまで確率論ですので、保健指導する場合には、ほかの人に比べて何倍ぐらいリスクが高くなるかを説明する形となります。
最後に私がライフコースの考え方が非常に重要というのは、人生のそれぞれのタイミングで必要なスクリーニング保健指導介入等がありますが、それらは独立したものではないことを強調したいからです。例えば母子保健、学校保健でのスクリーニングが、その本人が成人以降に生活習慣病にならないため、例えば塩分を控えるといった基本的な食行動を形成する契機となり得ます。歯科疾患に関してもライフコースによるアプローチが非常に有用で、小児期ではフッ素塗布や歯みがき習慣の形成により齲歯予防、学童期・青年期からは歯間清掃、禁煙予防による歯周病予防、高齢期では口腔ケアとそれぞれの人生の段階での保健指導があります。特に小児・学童期の保健指導は、母親、父親そして祖父母にも共用できますので、母子保健、学校保健での介入は、成人保健、老人保健での介入にも家族を通じてつながります。そういう意味では、ライフコースに沿ったデータベースをしっかりと構築してゆくことを国民の理解を得ながら国が進める必要があると思います。
○辻委員長 永井先生。
○永井参考人 今の井伊先生のお話ですけれども、説明の仕方もデータに基づくことと思います。きょう私たちがお示ししたように、非肥満者でもこんなに発症しているのかということなのです。こういうデータが出てきたのはまだ最近ですが、そうしたデータに基づいて、どのように指導するのか、あるいは指導のカテゴリーをどう分けるかを常に考えていかないといけないわけです。特に脳・心血管疾患の予防ということですから、これは時間がかかります。1,000人当たり年間10人とか、そういう低い数字ですから、これを大規模でかつ長期的に見ていかないといけない。でも、指導のカテゴリーとしては多少恣意的であっても分類せざるを得ないわけです。指導の仕方にきめ細かさをこれからさらに付加していくということではないかと思います。
○辻委員長 では、まず本田委員から、その後、深井先生お願いします。
○本田委員 3人の先生方の御発表、大変勉強になって、特にお2人の先生がおっしゃっていたライフコースの観点から見るということと、生活習慣病についても、人間の自然史のところから見ていくということがとても考えさせられたのですけれども、私はメディアというか、普通の市民という意識できょうのお話を聞いていて、両方の「けんしん」の意味ですけれども、国民の意識として、そういう難しいことは基本的にわかっていない。自分が見つかるか見つからないかということが全てなもので、だから対象になっている疾患がどうだこうだとか、対象になっている年齢が違うではないかとか、そういうことに問題意識を持ったりとかしていて、意味は余り考えていないというのをすごく感じました。そこまで高度なことはわかっていなくても、検診というものはあくまで検診であって、例えば私の身近な事例で、がん検診もそうなのですけれども、検診を受けて大丈夫だったのに半年後に見つかった。検診なんか意味がない、あんなものは、みたいなことをよく聞くのですね。見つかったからまだいいのですけれども、検診をしたから、「大丈夫だ」と言われたから大丈夫だろうと。何かおかしいけれども、検診したから大丈夫、で、次の検診まで待っていると。何か自分でおかしいと思ったときに行く検査というものと、ごっちゃになっている、そこら辺をどうやって理解してもらっていくのかというのと、あとは費用対効果の問題もあるという中で、どういう範囲が検診で、検診というものは何なのかというものをもう少し知るということは大事だな感じました。
それからもう一つ申し上げたいのが、きょうライフコースの話を聞いてとても思ったのは、さまざまな検診が今あると思うのですけれども、それぞれの保健者なり法律なりがばらばらなので、一貫してどの検診をどこがちゃんとやっているかというのが国民には全然わからない。例えば、私は働く女性という立場でちょっと考えたときに、企業健診と地域でやっているような健診、また、働いているから企業で受けているもので全ていいだろうと思ってしまうのですけれども、まだまだ企業の中には、がん検診なんかでも特にやっていないところもありますし、やっていても女性の部分は余りやっていないのですね。胃とか大腸とかはやったりするのですけれども、乳がんとか子宮頸がんとか、働く女性の年代に多いがんなどは完全に無視されているケースも多いです。そういうものがないからといって、ではちゃんとほかの検診まで行くかというと、なかなかきっかけがないという現実もあると思いますし、さらに今、専業主婦だったりとか、最近は正規、非正規もありますので、その辺をどこが網羅しているのか自分でもわからないということがあると思います。
それと、エビデンスの問題でもすごく感じたのが、ある例なのですけれども、がん検診の一貫として、腫瘍マーカー検査を入れているところがあるのです。腫瘍マーカーというのは、ある程度がんがすごく大きくなったときとか、再発を見ることが多いような、一般的な腫瘍マーカーを検診と称してやったりしているのですけれども、それはどうなのかなと私も思っていたのですけれども、それを受けているある人は、ずっとマーカー検査で大丈夫だったから検診を受けに行かなくていいと思っていたのですよね。だけど、それでミスリードになる可能性もあるし、そういうわけのわからないことがいっぱい起きている現実、こういうことが、例えば女性のがん、乳がんとかは欧米では罹患率は上がっていても死亡率は下がっている一方で、日本では死亡率も上がっているとか、あと検診の受診率も低いとか、そういうことも全部つながっているのかなと感じましたので、ライフコースで見たときに、どういう検診をどこがちゃんとやるのかというものをもう少し整理していただいて、見えるようにしていただいて、一般の私たちがわかるようにしていただくことがとても大事かなと、きょうの先生方のお話を聞いていて思いました。
○辻委員長 ありがとうございました。
特に実施主体の話が非常に重要なことでありまして、例えば、医療保険者が行うとされている特定健診でも、受診率は共済が一番高くて、医療保険によって全然違うわけです。正規雇用、非正規の問題も出てきますし、あるいは被扶養者の問題も出てきます。そうしますと、今の状態でどんなに検診をやったとしても、もしかすると格差を広げてしまうのではないかというところもありますので、そういったところをまた議論できればと思いますので、よろしくお願いします。
深井委員、お願いします。
○深井委員 冒頭、効果のことでも話しましたけれども、井伊先生、磯先生からのお話にも関連をするので、まず健康診査ですので、健康をどう診査をする、健康になるための診査というのが大前提であると思います。それで、そのときに費用対効果の問題で、確かに投入する資源と得られる効果という観点もありますけれども、今ある社会資源を用いて、システムを新たにすることで有効に活用するかというのも費用対効果を高めることになるのだと思うのです。その一番いい例は、先ほど磯先生も言われたように、保健指導、例えば禁煙指導だとか食生活の指導というのは、実は歯科でもやっている、医科でもやっている、どんなところでもやっているということがあります。昨年、8020推進財団が行った20歳以上の歯科の初診患者1万2,000人を対象にした調査結果をみると、20歳以上の歯科初診患者の中に、糖尿病や心疾患等の生活習慣病を抱えている方がいます。例えば、20歳以上の20.7%が高血圧の治療を受けていて、健診で指摘されても未受診の方が5.9%いたということが報告の中でしめされています。これまで歯科でやっている食生活指導とか禁煙指導というものと、ほかの場所でやっている食生活指導と禁煙指導が全くリンクをしていなかったと思います。これはやはり効率が悪いので、この健診のシステムをつくるときに、健康を維持するために包括的なシステムの中でそれぞれの社会資源を有効に横串をしていかなければいけないのではないかと思います。
そのことが、実はハイリスク・アプローチとポピュレーションアプローチにも関係をしていて、どうしてもハイリスク・アプローチのときに受診率の問題があって、健康状態がいい人ほど健診を受けやすいという傾向があるので、あらゆる場所を活用することで、実は健診の受診率を、いい人だけが健診を受けるのではなくて、意識をしていない人が、ほかの場所で結果として指導を受けたり、チェックを受けることになるということにつながるのではないかと思います。
○辻委員長 永井先生、そろそろ御退席と伺っておりますけれども、先生、全体を通して、最後に何かコメントをいただけますでしょうか。
○永井参考人 いろいろデータがあるのですが、やはり統合ということをぜひ意識して、これから政策を立てていただきたいと思います。健診データとレセプトデータ、あるいは健診データ同士の連結、それは先ほどの井伊先生のように、保健師さんがどう指導したらよいのかというと、やはりそれはデータに基づいて指導するしかないわけです。1か10かという話ではないわけですし、また、データでカテゴリーが違う人たちが、こんなに起こっているなら見直しをしないといけないわけですから、この脳・心血管疾患については、イベントまで押さえるような長期的なフォローが必要だと思いますので、それをお願いしたいと思います。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
清水先生、どうぞ。
○清水委員 私は自治体の立場からちょっと発言をさせていただきますと、先ほど、本田委員、あるいは深井先生からもお話がございましたけれども、母子保健で、要するに、乳幼児から就学前まで私どもで健診をいたしまして、次に学校へ行きますと、学校保健ということで手を離れるわけですね。また、高等学校を卒業した後に、国民健康保険に入っていくのですけれども、その間ずっと全く何のデータもなくて、40歳以上からになると特定健診という形でまた携わると。特定健診になりましても、40歳、50歳の方が健診を受けるかというと、なかなか受けないということで、大体60歳以上になってから健診を受けるということになると、今もちょっとお話がございましたけれども、例えば生活習慣病、具体的にいいますと糖尿病ですとか、そういう発症リスクが高い方が今まで何の治療も受けなくて来てしまったというのは結構ありまして、今年度データヘルス計画という計画を今、策定しているのですけれども、その中で、やはり糖尿病がこれから人工透析とかになってしまうと、かなり国民健康保険の費用負担にもかかわることがありますので、生活習慣病予防ということで、早期にリスクの高い方を対象に保健指導をしていこうという計画もありますけれども、今、申し上げましたように、ある程度リスクが高くなってしまってからの健診が多いというのが実情でございます。ですから、私どもでは、40歳からの特定健診前の段階で、辻先生からもありましたように、被扶養者、私どもは企業健診で年1回は必ず受けるのですけれども、配偶者の方ですとかは、案内は来るのですけれども、なかなかそこまで踏み出して、健康である人が健診を受けるかというと、現実的にはなかなかないという実態があると思いますので、そういう方も含めて、18~40歳の方に健診を受けていただこうということで呼びかけはしております。これは、費用負担は自治体が単独でやっておりますけれども、ただ、その意識が今のところまだ少ないというのが現実で、「無料で受けられますよ」とは申し上げているのですけれども、なかなかそれを意識づけて実際受けている方が少ないというのが実情でございます。
○辻委員長 弓倉委員、どうぞ。
○弓倉委員 私は一つの小さな診療所をやっておりますので、事例をちょっとお示ししますけれども、受診率を高めるということも大切なのですが、事後措置の基準、あと事後措置の与え方、これがやはりばらばらだと非常に問題が出てくるのではないかと思います。経験した例ですが、40歳代の男性の方で、ちょっと胸が苦しいということで私のところに参りまして、会社健診の結果はLDLが170を超えておりまして、尿酸は9を超えておりました。ただ、要再検査になっているだけなのです。ですから、そういう形ですと、患者さん自身がせっかく健診をお受けになっても、医療につながるところの動機づけをどのような形でしていくべきか、その事後措置のあり方ということも非常に大切ではないかなと思っております。
○春日委員 非常にナイーブな感想で申しわけないのですけれども、私もきへんの検診のほうに関しては、先ほど本田委員がおっしゃったのと全く同じことで、やはり身近な方に、例えばがん検診ならがん検診を受けたからもう安心だと、そういう意味で非常に過信をされている方が多いのですね。ですから、ある意味で、実際にそれをやるときは、何かエビデンスでもないですけれども、この検診ではどのぐらいのことがわかるのかということも、受ける方にある程度お伝えしながらやる必要があるのではないかなという感じがしました。
それから、にんべんの健診のほうに関しては、福井先生が、これは今までなかなか評価されてこなかったとおっしゃったけれども、実際に評価は非常に難しくて、いろいろな変数が多いし、また、真のエンドポイントまで出そうと思うとすごく時間がかかりますよね。ですから、本当の意味での評価というのは非常に難しいなと思って、先ほど先生がおっしゃったように中間エンドポイントをかなり重視して、それから先に関しては統合的手法というのが、どのくらいリライアブルかわかりませんけれども、やはりある程度そういうもので見ていくほうが実際的なのかなという印象をちょっと持ちました。
○辻委員長 市原先生、どうぞ。
○市原委員 きょう初めてにんべんの健診ときへんの検診の説明をきちんと受けて、自分の中でも多少整理がついたかなという気がして、非常にありがたいお話を伺ったと思っています。
そういった中、自治体がどちらの「けんしん」も行っているわけですけれども、これを行う実質に当たって、いろいろな課題であるとか住民ニーズがございます。先ほど、本田委員からもいろいろお話がございましたように、住民からはいろいろなニーズがあるわけで、また、その中で自治体としても、全ての住民ニーズに一遍にお応えするということは物理的に困難でありまして、そういう意味では、どういう検査をいつどこで行うかというところがきちんと整理できると、やはり住民の健康に対してどういうものをいつどのような時期に行うかということにもつながって、住民にも非常に説明しやすいのかなと思っています。そういう意味では、費用対効果といいますか、こういう検診をこういう時期にすることによって、例えばどういう行為につながって、それが最終的に医療費がどのぐらい削減できるかということが自治体としては非常に大きな関心事であり、数字的なことで大変恐縮ではありますが、とりもなおさず住民の健康に貢献していることになるわけですので、いただいた参考人資料2の中で「生活習慣病予防:出生から成人初期」ということで、15ページにITを活用した介入、環境整備というのがここにちょっと書かれているのですが、これからマイナンバーが導入されます。そうすると、やはりこれらのさまざまなデータも活用が可能になるかもしれないと。今、いろいろな分野で、ビッグデータの活用ということを盛んに言われておりますので、これからこういう健診のデータなどもやはり情報開示の限界というのはあると思いますけれども、その中でこういうものを活用することができますと、非常に効率的な健診等の考え方がある意味整理できるのかなということで、この辺もやはり国にも、それから専門家の皆さんにもぜひとも御協力いただいて、こういう健診をこうふうにやって、こういうコースでやると医療費がこれぐらい下がりますよということを、私も何回かデータを探したのですが、例えば運動を週どれぐらいやるとどれぐらいの人にはこれぐらい年間の医療費が削減できますよというのは、幾つかあるのですが、きちんと裏づけされたものが余りないようなので、今後はそういうところにもう少し力を入れていただけると、自治体としても非常にありがたいのかなと思います。
○辻委員長 村上委員、どうぞ。
○村上委員 健康保険組合連合会の村上です。
きょうのお話をいろいろ伺わせていただきまして、大変勉強になりました。それで、健康保険組合は全国に1,400余りあるのですが、特定健診、特定保健指導、あるいは健保組合によっては人間ドックの補助とかがん検診の補助等いろいろやっております。これらの事業は健保組合の中で言いますと、保健事業費という費目で行っているのですが、平成20年には1人当たりの保健事業費が1人当たり2万540円使っていたのです。それが、平成25年には1万9,318円ということで、6%ほど減ってしまっています。その背景にあるのは、健保財政が非常に厳しく、高齢者医療への拠出金負担もあり、いろいろな事業のスクリーニングをしないといけないという中で、本来であればこういった保険事業は検診を含めて強化をしていかないといけないところが、実態としては減らさざるを得なくなっているという状況です。
そういう意味で、きょうのお話で、費用対効果の話とか、あるいは自然史ですか、そういった人生の状況に応じて効果的な健診を受けさせるというのは、この議論が深まるということには、我々も非常に期待をしているところでございます。あと、先ほど清水委員からお話がありましたとおり、生活習慣というのは40歳になったからすぐに変えられるというものではなくて、やはり40歳以前の生活習慣がそのまま40歳以降も続いてしまうということもあるものですから、そういう面では、年代に応じた、あるいは性別に応じた健診とか保健指導、こういったものが重要になってくるのだろうなと思いますので、これからの議論を非常に楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
○辻委員長 ありがとうございました。
では、橋本先生お願いいたします。橋本先生の後に井伊先生でどうぞ。
○橋本委員 循環器病研究センターの橋本でございます。ちょっと風邪を引いていて声が出ないので失礼します。
先ほどの永井先生の表が、非常に意味があるというか現実をあらわしていて、まずは健診を受ける人、受けない人、ここで実はハイリスクの人が受けない、コンプライアンスの低い人が受けないという現実があると思うのですね。で、高血圧と診断された、診断されて受診をする人としない人、ここでまた分かれてくる。でも、実は受診しない人は、いろいろな理由があると思いますけれども、やはりコンプライアンスが低いというか、いろいろな指導に対して、それを守らない、抵抗性があるという方が多いだろうと思うのですね。ですから、健診をして、それが有効なものであるためには、受けない人をどうするか、あるいは受けたけれども次のところにいかない人をどうするかということ、ですからそこにどういうバリアがあるのかというのを検証しないと、もっと受けなさいといってもなかなか受けない、恐らくそこにはいろいろなタイプのバリアがあるのだと思いますが、そのバリアをどうやって見つけて、それを低くするかというのが大きなポイントではないかと思うのです。ですから、そういう意味で、最後までシームレスにいくようなシステムとして考えていかなければいけない、そのための検証をする必要があるだろうと思います。
それともう一点は、メタボといって非常に太った人が問題だということですが、先ほどのお話にもありましたけれども、実はやせた人に非常にハイリスクの人がいて、むしろ肥満の人でメタボということで余りにもそれが浸透した、それ自身はいいことなのですが、やせた人に実はリスクが非常に高い分があるというのを、やせた人が自分は受けなくていいというインフォメーションになってしまう可能性がありますので、これはぜひまたその点をしっかり強調していくべきだろうと思います。
私は脳神経外科医でして、人の頭をたくさん手術してきましたけれども、頭を開けると、脳の血管が直接見えます。動脈硬化の程度が見えて、例えば80歳の女の方でも、すごく元気な人は、若い人の血管みたいに透明でピンク色で、押すと弾力があって、赤ちゃんのほっぺたみたいに返ってくるのですね。ところが、60歳でやせていて、どう見ても老けているように見える人は、脳の血管が黄色くてかちかちです。それは外科医として見てきただけの話で、サイエンティフィックな証拠はありませんけれども、実際、手術をしてきた中で、そういうやせた人に非常に強い動脈硬化の人をたくさん見てきましたので、やはりやせと動脈硬化、あるいは高血圧等というのは、ぜひターゲットとして考えていかないといけないのではないかと思います。
○辻委員長 ありがとうございました。
では、井伊先生どうぞ。
○井伊委員 本日、事務局からは御説明がなかったのですけれども、参考資料3で「日本の健診(検診)制度の概要」ということで図式があります。本日の内容はやはり大人の健診が主で、例えば母子に関して、乳幼児健診などは市町村で例えば4カ月健診だと、ほとんどのところは90%以上の受診率ですが、それには幾つも仕掛けがあります。妊娠したら母子手帳をもらうとか、産まれたら出生届を出す、出したものが共有される、あるいは母子手帳で出生連絡票を出す、そうすると必ず市町村の保健部門でアプローチをする、そして、さらに虐待防止の事業で、「こんにちは赤ちゃん事業」などで全戸訪問するなど、すごく仕掛けがあって受診率が高いのですよね。ですので、そういうことが他の健診にも応用できるのかどうか方法論として他にも活用できると良いと思いました。
しかし、もう一方で、この資料2-2の健診の中で、母子保健の、発達が順調であることを確認をする健診は、ほとんどリスクのない人たちが受けに来ていて、むしろ受けたくて来るという健診です。それを思うと、今回の議論の中で、こういう母子保健法による乳幼児健診を入れるのかどうかというのは、ちょっと区分けして考えたほうがいいのかなと思いましたので、意見として申し上げました。
○辻委員長 ありがとうございました。それにつきまして、また今後検討していきたいと思います。
きょう、委員の皆様方から大変貴重な御意見をいただきましたので、それを参考に今後の議論を進めていきたいと思うのですが、参考人として来ていただいた福井先生、磯先生、最後に何か一言ずつ、この検討会、専門委員会に何か期待するものを一言いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
○福井参考人 先ほどの井伊委員がおっしゃったことで、検査の値がちょっと違うからある人は異常のほうに、ある人は正常にという、実はその考え方がまずいのではないかと私は思っていて、これは全て確率の話ですので、できるだけ数値を出して、何%ぐらいの確率なり、正常な人の何倍なりとか、やはりデータの説明の示し方、異常とか陽性の意味をできるだけ数値を使って説明できるようにしないとまずいのではないかと。といいますのは、大体が1%以下で病気になるとか死亡するという話をしているのがリスクのところの話で、それからがんがあるかないかというところは50%とか100%のところの話ですので、実は人に与える心理的な影響といいますか、行動変容に対する影響度が全然違うわけですね。ですから、そこのところをうまく仕分けをして、データの説明ができるようなこともまた今後工夫していただければと思います。
○辻委員長 先生、どうぞ。
○磯参考人 先ほど私がライフコースの話を述べたのは、日本の健診体制をさらに有効に活用できる可能性を強調したかったからです。例えば母子保健の健診においても、子供のライフスタイルを考える良いきっかけにしたり、それを通じて父親、母親の生活習慣病を見直しをするといった健診とは保健指導の世代を越えた運用が、データを串刺しできることによってできますし、生涯を通じた健診、保健指導を考えていかなければいけない時代になってきたと思います。データがリンクされれば、健診の有効性や効率性評価のためのシステム解析が可能になると思います。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、この議題はこれまでといたしまして、最後の議題に移りたいと思います。議題4「今後の議論の進め方について」ということで、事務局から御説明をお願いします。
○高山健康課長補佐 お手元の資料3をごらんください。「今後の議論の進め方について」ということで、資料を御用意させていただきました。
健康診査等の指針の趣旨を踏まえまして、健康診査等専門委員会においては、それぞれの健康増進事業実施者が適切な健康増進事業の実施を検討する際に参考とするために、健診のあり方や健診項目に関するエビデンスを収集・分析して取りまとめていきたいと考えております。
健診項目に関するエビデンスの収集・分析については、今、御議論もありましたけれども、極めて専門的な事項になることが多いですので、必要に応じて別途検討会を設置するなりして、研究班や有識者による専門的な検討を行うこととさせていただきたいと考えております。
資料3に当面の大体のスケジュールをお示しいたしました。
健康診査等専門委員会は、本日11月18日に第1回を開催させていただきまして、以降定期的に開催をしたいと考えております。平成28年半ばを目途に中間取りまとめをさせていただければと考えておりまして、その後さらに検討を進めて、報告書をまとめさせていただければと思います。そこには書いてありますけれども、健康診査等指針の見直しも視野に入れて検討していただければと考えております。
また、右側ですけれども、「検討会」と書いてありますが、今、お話しいたしましたように、必要に応じて別途検討会を設置することも検討されるかと思います。ここでお示ししましたのは、本専門委員会でも何度か話題が出ましたけれども、特定健診につきましては、平成30年度の第3期医療費適正化計画を目指しまして、これから議論が進められるかと思います。そちらに関しましては、例として書かせていただきましたけれども、平成28年1月ごろから別途検討会で検討を始めさせていただいて、やはり28年半ばごろに、項目については一定のエビデンスの取りまとめを行って、本専門委員会のほうへ御報告をさせていただきたいと考えております。
資料の説明は以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
この説明につきまして、皆さんから御意見、御質問ございますか。
これはよろしいですね。
それでは、本日の議論はここまでといたしたいと思います。
最後に、今後のスケジュールなどにつきまして、事務局から御説明をお願いします。
○中田総務課長補佐 スケジュールにつきましては、先ほど資料3で大まかに御説明させていただきましたが、この会の第2回の日程等につきましては、また別途調整させていただきまして、御連絡申し上げたいと思います。
以上でございます。
○辻委員長 本日はこれで閉会といたします。
どうもありがとうございました。
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