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2015年12月10日 第3回介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会 議事録

老健局振興課

○日時

平成27年12月10日(木)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 共用第6会議室(3F)


○出席者

<委員>

田中滋座長、岩村有広委員、国政貴美子委員、小林司委員、小林光俊委員、小山秀夫委員、田中雅子委員、谷村誠委員(代理:山田雅人氏)、筒井恵子委員、筒井孝子委員、馬袋秀男委員、平川博之委員、藤井賢一郎委員、村上久美子委員、山田久委員

<厚生労働省>

三浦局長、濱谷審議官、日原総務課長、辺見振興課長、川島振興課課長補佐

○議題

(1)これまでの検討会における意見について
(2)意見交換

○議事

○辺見振興課長 それでは、定刻より1~2分ほど早い時間ですけれども、局長、審議官、別用で少し遅れますが、委員の先生方おそろいでございますので、これから「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会」第3回会議を開催させていただきたいと存じます。

 本日は、御多用のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。

まず初めに、配付資料の確認をさせていただきます。

 本日は、「資料」とタグを打っているものが1つでございます。「これまでの検討会における意見」という資料でございます。その後、参考資料1「介護キャリア段位制度の進捗状況」、参考資料2「訪問介護におけるサービス提供責任者について」、そして参考資料3として「第1回検討会議事録」を添付させていただいているところでございます。

 不備等ございましたら、お声がけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、本日の出席状況でございますけれども、鈴木委員、谷村委員が所用のため欠席でございます。

 なお、谷村委員の代理といたしまして、全国社会福祉法人経営者協議会経営対策副委員長の山田様に御出席いただいているところでございます。

 それでは、これからの進行は田中座長にお願いしたいと存じます。

 なお、報道関係の皆様方、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 それでは、田中座長、よろしくお願いします。

○田中(滋)座長 皆さん、こんにちは。

 早速ですが、議事に入ります。事務局より、本日の議事の順に沿って説明をお願いします。

○川島振興課課長補佐 それでは、事務局より資料の説明をさせていただきます。「資料」と右上に書いてあるものを御用意いただければと思います。

 この資料は第1回、第2回の検討会におきまして御議論いただいた項目ごとに、事務局で主な意見としてまとめさせていただいたものになります。項目につきましては、「介護キャリア段位の活用による効果等について」「内部評価・レベル認定について」「外部評価について」「制度的な位置付けについて」「目標について」「その他」という大きな6つの項目でまとめさせていただいております。

 それでは、中身について御説明させていただきます。まず、「1.介護キャリア段位の活用による効果等について」になります。こちらの資料の構成ですけれども、○で書かれているものにつきましては、各構成員の皆様方から出された意見になります。水色の点線で囲っている部分につきましては、第2回のヒアリング対象者から出された意見という形で整理させていただいております。

 まず、1につきまして、レベル認定取得者がある程度いる施設が存在するようになれば、本来の意味で介護サービスの質というのを評価できる唯一の仕組みになるのではないかという御意見がございました。

 ヒアリング対象者から出た主な意見としましては、キャリア段位は介護職の役割を明確化するための共通の物差しとなるメリットがあり、総合的な人事制度を構築することができる団体にとっては有効なシステムであるという意見。また、アセッサーとして内部評価に取り組んだ者から、自身の技術(スキルや知識)を再確認することができたこと、職員の技術レベルの把握ができたこと、現場職員の指導基準が明確となったこと等の意見。介護キャリア段位に取り組んだことにより、介護職員全体が自らの介護方法が正しいのか介護の質について考えるようになった、介護職員としてのプロ意識が促進された。こちらが1としてまとめさせていただいた意見になります。主にメリットという形で意見が出されております。

 次に、「2.内部評価・レベル認定について」に移ります。1ではメリットに関する意見がありました一方で、2につきましては、簡素化すべきではないかというような意見が多いところでございます。

 まず1つ目の○、実際に職員が介護を行っているところを確認して評価するという仕組みであるが、職員がベテランになっていく中で怠慢になっていくということも現実場面としてあるが、そのような点をどう考えていくのか。また、内部評価やレベル認定に大変な手間がかかっている。時間外勤務が増え、また、普段の業務に上乗せされる業務が増えてしまい、現場の負担が大きいため、仕組みとして簡便化等の工夫が必要ではないか。現行の評価方式は、特に現認については利用者の状態像に対して行われた介護内容を記述するということにおいて、エビデンスに基づいたケアということが言える。この評価方式は大変優れた仕組みであるが、アセッサーの負担やレベル認定においても負担が大きいのが実態であるので、効率化できる仕組みを考える必要がある。アセッサーの提出した評価票は実施団体と何度も調整を行った上でレベル認定委員会にあげられるが、委員会でも事前の読み込み、事後の点検を経て認定をしており、1カ月のうちにこれ以上多くの認定を出すことは厳しい状況にある、といった意見が出されております。

 ヒアリング対象者から出た主な意見としましては、同様の意見が多く、アセッサーによる評価開始からレベル認定までに要する時間が長く、より効率のよい仕組みとすることが必要。また、「評価対象の利用者が欠席すると評価できない等の支障があること」、こういったところからの課題があり、改善が必要といった意見。また、レベル認定を取得しやすい環境に向けて、評価項目の簡略化による事務作業の軽減、評価期間の短縮、通所介護等サービス種別ごとに合った評価項目の設定、評価項目を分割して単位ごとにレベル認定できるように検討することが必要といった意見が挙げられております。

 3つ目は、「3.外部評価について」です。外部評価につきましては、被評価者とアセッサーが働いている職場自体を評価するという面があり、外部評価審査員の外部評価結果をレベル認定委員会で適正かどうか判断するのは非常に困難である。外部評価をどのように考えていくのがよいか方向性を示してほしい。介護キャリア段位で評価するサービスの質のプロセスは、施設体制等のストラクチャーに基づくものである。外部評価はストラクチャーの部分の評価も含まれてくる。外部評価の仕組みは何らかの形で残した方が、制度の客観性や将来的な発展性が担保されるのではないかといった意見が出されております。

ヒアリング対象者から出された主な意見としましては、外部評価はアセッサーによる評価(内部評価)の外部チェックとしての効果があると考えられるが、具体的な運用方法について検討を行う必要があるといった意見が出されております。

 4つ目は「4.制度的な位置付けについて」になります。現在は予算補助のみで動いており、法規上、位置付けられていない。介護キャリア段位の位置付けを明確にする必要があるのではないか。介護の安全性とケアのレベルを維持することについては、例えば、年に1回、基本的な行為は介護職員が、標準となる基準を使って確認することが必要である。また、事業者が研修や評価プログラムとして取り入れるものとして使うと効果があると考える。キャリアパスを自社で構築している事業者があるが、その場合、自社のキャリアパスとキャリア段位制度をどのようにミックスさせていくのか。キャリアパスの導入はそれぞれ独自にやるというところに各法人の特徴が出てくるものであって、キャリア段位をそのまま活用して、単純に統一して全国共通にすればよいというものではない。雇った側・勤める側がどういう意識を持って、どの程度のことをやってもらいたいかという考え方を示す必要があるのではないか、といった意見が出されております。

 ヒアリング対象者から出た主な意見としましては、過去、内閣府のワーキングにおいて、補助事業から自立に関する議論があったが、それを踏まえ、今後、自主事業化した場合の事業運営の在り方について整理が必要。中重度の方は、家族負担を前提としない場合は24時間のサポートが必要であり、介護は24時間の仕事であること、医療ケアができること、医療専門職と共通言語でカンファレンスできることが絶対条件になる。その意味では、介護の基本を学んでいない新人に対して、必要最小限のレベルの業務手順を学ばせるツールと仕組みが必要である。無資格・未経験の方でも介護職員の要件として認められているのが現状であるが、そのような方に対して教育システムを持っていないというのは問題であり、そこに何らかの政策誘導が必要である。この場合、加算や職員要件は資格にして、教育システムなどのツールの必要性については、処遇改善加算などの要件に入れたらどうかという意見が出されております。

 5つ目は「5.目標について」です。内閣府でのスタート点の議論は、成長産業をつくり、そこに人をいかに呼び込むかといったことが念頭にあったため、2万人という目標があるものと理解している。目標を人材の質に置くのか量に置くのか、あるいは質に重きを置きながら量も満たすのか等、目標の置き方は論点になるのではないか。量を優先して質をおろそかにしてしまうと介護キャリア段位のもともとの意図から外れてくるので、目標は現実的なところで見直ししていくべきではないか。逆にこれだけの目標を設定しても実際には達成できないのだから、この事業は意味がないということになると、それは本来の趣旨と異なるので、誤解を与えないためにも目標自体を見直せばいいのではないかといった意見がございました。

 ヒアリング対象者から出た主な意見としましては、現状のアセッサーの評価の進捗状況及びレベル認定委員会での審査方法・体制では、介護WGが掲げた目標達成が困難であり、目標設定については再整理が必要といった意見が出されております。

 最後、6つ目は、「6.その他の意見について」です。まず、<OJT、アセッサーの位置付けについて>、御意見がございました。介護現場においてOJTをやっていても、その教え方は様々であるのが実態である。その意味において、キャリア段位の評価項目等については、OJTの標準化ということについても、介護全体の質の向上に大きく寄与するものと考えている。そのためにも、アセッサーが通年で評価に従事できるよう、例えば、訪問介護事業所におけるサービス提供責任者が必須の配置であるように、アセッサーも介護事業所において必須の職種として位置付けることはできないかといった意見が出されております。

 次に、<介護福祉士等との関係について>意見が出されております。介護福祉士との区別・再整理が必要。これまでも、介護福祉士の資格を取得したにもかかわらず、キャリア段位のレベル3が取得できないという事態が生ずるのはいかがなものかという意見があり、介護福祉士の資格を取得した際にレベル3がとれているということにする必要があるのではないか。アセッサーが行う内部評価の対象に介護福祉士養成施設校に在学中の実習生が含まれていることについては疑問が残る。実習生の者も認めるのか、卒業後の者に限るのか、再整理をする必要がある。7段階のレベルについて、現在レベル4までとなっている。内閣府時代は、レベル4より上は認定介護福祉士の検討結果を踏まえて検討することとされてきたが、レベル5以上についても推進を図っていただきたい。

 ここにつきましては、ヒアリング対象者からも意見がございます。こちら、内部評価で介護福祉士養成校の学生を対象とすることについてという質問に対して答えた意見になります。キャリア段位における評価期間は6カ月以上の時間を要している現状であり、介護福祉士養成校の学生を、実習生を評価するという点で、全ての項目について評価は困難であるが、一定の項目に絞って評価していくことは可能ではないか。介護福祉士等の資格として扱われるような体制を促進すること、レベル認定者のいる事業所への評価加算を検討すること、アセッサーやレベル認定者のさらなる介護技術の定着促進のための研修を検討することが必要といった意見が出されております。

 次に、<処遇改善との関係等について>です。キャリア段位を職場に導入し、それが処遇改善に結び付くようであれば段位を取得しようとする意識も向上するのではないか。キャリア段位が処遇改善につながってきたかどうかという実態把握をお願いしたい。

 最後になりますけれども、<介護人材確保の関係について>御意見がありました。段階化することによってどのような介護技術を持った人が不足しているのかを推計することができ、事業所においてもこのような技術を持つ人が不足しているということを把握できる経営上のメリットがあるのではないか。内閣府時代、キャリア段位そのものの意図としては、成長産業で、かつ、成熟していないような産業については個別の企業が自主的に人材育成を実施するのは困難であり、業界全体として社会横断的に人材育成に取り組む必要があるのではないかということがあった。また、介護の分野で雇用の流動化が一般的になっており、個別の事業所でなかなか人材投資ができない中で、どのように社会の仕組みをつくることができるかが課題であった。介護人材の確保の前提として、まず定着をさせて、育てるところに新しい人材が来て定着するという仕組みにしないと、他の産業に人材が流れてしまう。どの産業との競争の中でも、しっかり定着できる介護職ということにこの制度をうまく活用すべきであり、そのために様々な仕掛けを組み込んでいただきたい。

 以上が資料の説明になります。

 引き続き、参考資料につきましても御説明いたします。参考資料1をご覧いただければと思います。こちら、第1回でもお示しした資料の内容になりますけれども、アセッサーとレベル認定の数につきまして進捗がございましたので、資料を更新してお示しさせていただいております。

 まず、おめくりいただきまして、「アセッサーの養成状況」、1ページ目になります。第1回でお示しした資料におきましては、26年度までの養成数ということで、7,817名のアセッサーの養成がされているということをお示ししております。今年度、アセッサー養成が終了しまして、新たに4,046名のアセッサーが誕生しております。累計、1万1,863名のアセッサーが誕生したということになります。

 そのほか、2ページ目、3ページ目につきましては、それぞれ事業所や都道府県別の内訳になってございますので、後ほどご覧いただければと思います。

 次に4ページ目をご覧いただければと思います。こちら、レベル認定の取得職員数ということでお示ししております。第1回の資料では27年8月までの数字をお示ししておりました。平成27年8月末現在で688名でございました。新たに9月に66名、10月に57名、11月に93名のレベル認定者が輩出されておりまして、プラス216名ということで、累計して904名のレベル認定者が輩出されたということになります。

 残りのページにつきましては、それぞれ内訳を示しているものになりますので、後ほどご覧いただければと思います。

 引き続きまして、参考資料2になります。こちらは「訪問介護におけるサービス提供責任者について」ということで、サービス提供責任者の内容を示した資料になります。こちらは資料の中でも訪問介護にサービス提供責任者が必須の配置であるように、他のサービス事業所においても、アセッサーを必須の配置とすることはできないかという御意見がございました。それを踏まえまして資料としてつけさせていただいたものになります。

 おめくりいただきまして3ページ、赤の四角で囲んだところを見ていただければと思います。その下の※でお示ししております「サービス提供責任者の業務」というところを見ていただければと思います。特にアセッサーの業務と関連してくる部分としましては、5、6、7、8が該当するかと思います。5として訪問介護員に対しての具体的援助方法の指示及び情報伝達、6として訪問介護員の業務の実施状況の把握、7としまして訪問介護員の業務管理、8としまして訪問介護員に対する研修、技術指導等ということで、サービス提供責任者の業務が位置付けられております。

 資料の説明につきましては以上でございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

ただいま説明のあった資料の内容を踏まえて、委員の皆様から意見を頂戴していきます。現状の仕組みを踏まえてどのような見直しを行うべきか、見直しを行う場合にはどのような視点を重視すべきかについて、ここで議論してまいりましょう。

議論を2つに分けて行います。初めに、項目の1から3までを取り上げます。1から3までについて御意見をお願いします。

 田中委員、お願いします。

○田中(雅)委員 4に触れてもいいですか。

○田中(滋)座長 1から3について話すに当たって触れざるを得なければ構わないです。

○田中(雅)委員 それでは、まず項目1、2に関連してお話ししたいのと、あわせて、座長からおっしゃったように、関連するならば4に触れてもいいということで発言させていただきます。

 まず、介護サービスの質の向上を図るということについてはどなたも異論がないと思っております。一方、アセッサーの養成に時間がかかる、養成人数が少ないという意見がございますが、参考資料1の1ページにあるように、平成24年度から東北被災3県と地域限定でアセッサー養成が開始されてから4年という短い間に、アセッサーは1万1,863名誕生しております。人材育成には手間もお金も、そして時間もかかります。にもかかわらず、また制度上の保証もない中でこれほどのアセッサーが誕生しているということは、現場はよくやっていると評価してもよいのではないでしょうか。

 実際にアセッサーである介護福祉士にお話をお聞きしても、自分たちの基本介護技術を改めて確認できた、OJTとして事業所の介護職員のスキル向上に役立っているという評価を聞いています。資料の「これまでの検討会における意見」の整理の1ページにございますように、レベル認定者がある程度いる施設が存在するようになれば、本来の意味で介護サービスの質というのを評価できると前向きに取り組んでいるまじめな事業所、施設が多く存在しているということではないでしょうか。

 介護従事者の養成ということで、国が関与している研修の中に、認知症介護サービスの質の向上を目指すという観点から、平成13年度から養成している認知症介護実践リーダー研修及び指導者研修があります。その修了者は、平成23年に発表された認知症介護従事者研修のあり方に関する研究事業報告書によれば、平成13年から平成22年までの10年間で、実践リーダー研修修了者は1万8,000人、認知症介護指導者介護研修修了者は約1,300人ということが示されております。

 平成21年度に介護報酬上の算定単位として、認知症専門ケア加算が創設されております。このケア加算が創設されてから実践者等養成研修受講者の数は増大しております。厚生労働省が発表しました平成25年度までの累計修了者数は、実践リーダー研修修了者は2万8,713人、認知症介護指導者介護研修修了者は1,814名です。22年から25年までの3年間で、認知症実践リーダー研修修了者は約1万人増え、認知症介護指導者研修修了者は約500人増えています。

 また、今回の介護報酬改定では、通所介護の分野においても同様に制度上の位置付けがなされ、ますますその受講者数は増えていると聞いております。アセッサー養成数が少ない、レベル認定数が少ないということについては、制度的な位置付けをすることでさらに質の高い介護従事者を養成することが可能になると思います。

 なお、ただいま、私が口頭で示しました認知症介護指導者等の養成につきまして、年度ごとの養成数やかかる費用等について、次回の検討会について事務局から他の委員の皆様にもぜひお示ししてくださいますようお願いします。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 馬袋委員、どうぞ。

○馬袋委員 1から3についてということですので、介護キャリア段位の効果でまず整理しないといけないのは、介護のどの部分について、介護人材として取り扱っていくのか、介護の質として取り扱うのかということを早目に整理しておかないといけなかったことです。しかも、それは両方ともあると思います。

 まず、介護サービスは、無形で、形が見えません。見えないからゆえに、はっきりと介護のプロセスを段階化しているわけです。そのプロセスを教育の段階としてケアのプロセスと一致させようとして取り組んだのがこのキャリア段位の評価のプロセスだと認識しています。

 その面では、介護サービスを標準化することが実はなかなかうまくいっていないし、整理されていないのではないかと思います。介護サービスという仕事は家庭介護などの代行事業ではなくて、介護の仕事はこういうプロセスで実施し、このプロセスを達成するためにこういう知識と技術が必要であり、それを提供するのが介護のサービスだと定義するならば、提供する技術の測定、そして評価すること、それを継続的にできる状態の資源を投下すること。それにはお金(資金)も必要であるでしょうし、さまざまな報酬で評価することもあると思います。その一連のことが成り立っている中で段位の制度を推進するということを今回整理しておかないといけないのではないかなと思います。

 事業者にとってこれがどういうメリットがあるのかというと、このサービスプロセスとキャリア段位が整理できれば、育成すべき時間が短縮できるか測定してみる必要があるのではないかと思っています。介護は先輩の後ろを見て、やるから見ていてねという仕事ではなくて、利用者をアセスメントして、こういう評価と要求について、こういうサービスとプロセスで実施するので、それをやれるかやれないかを評価して、そしてそれに対してできる介護の人材を配置していくわけで、要介護の重い方に対して、対応可能なレベルを持っているメンバーを配置するというようにしていくわけです。それが整理でき、標準化できれば、育成時間は効率的に短くできるのではないかと思います。

 現にそのことについて、今回、アセッサーの方々も言っていますけれども、自分たちの仕事が評価できたという声は、多分、そういった意味で、何を教えて何をやればどうだったかというところについて、このキャリア段位で求めているレベルやプロセスが明確にしていたからではないかと思っています。

 その面では、このキャリア段位の効果、それからレベルの認定の在り方のこのプロセスの内容への取組の意義については、事業者は、短時間で、かつ、育成を評価できる仕組みとして取り扱うべきだと思います。

 ただ、それにはアセッサーという教育指導者をつくる必要がありますので、これについて医療などでも、国家投資をして医師を育てているように、これに対して投資して育てるかという意思を政策として持つというところが必要なのではないかと思っています。これは事業者だけでやる話でなくて、アセッサー養成を国の政策として投資してしっかり育成することが、結果として質も担保できるし、ある意味、介護の生産性を上げる効果につながるのではないかと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 わかりやすい整理、ありがとうございました。

 国政委員、お願いします。

○国政委員 実際に運用する側からの意見として申し上げたいことは、3つあります。1つは、ここにも幾つか意見が出ておりますけれども、やはりシンプルで評価のしやすい制度にしていただきたいなと思います。それから、評価のポイントだけではなくて、前後の事務処理も少し煩雑になっているようですので、そこの省力化もぜひお願いしたいと考えました。

 それからもう一つ、所属する事業所のやり方に左右されない、本人のスキルを純粋に評価する仕組みにしていただけると、私たちとしても、小規模の事業者さんが積極的にこの制度を入れていくというところの後押しになるのではないかと考えました。

 以上です。

○田中(滋)座長 簡素化すべき部分もあるということでございました。

 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 私も、今、3人の委員の方がおっしゃっていただいたことと基本的に同じ意見です。前回のヒアリングを聞く限り、これまでの実績を、現場の方々、非常に評価されており、この仕組みそのものがよくないという話は今まで出てこなかったと思います。したがって、段位制を現状にいかに生かしていくかという観点にたつべきと考えます。

その際には、この資料にもありますように、この仕組みの目的について再度明確にする必要があるのではないか。例えば、今ほど馬袋委員おっしゃった方向性も考えられます。最初にこの仕組みが構想された時代には、事務局からご説明もありましたように、大枠として不況の中で、成長産業をどうつくるかという発想だったと思います。しかし、今やむしろ、他の成長産業をいかに支えられるか、働いている方々が介護離職をどう防げるかといった中で、段位制の仕組みが、サービスの質の向上であるとか、従事者確保に役立てられないかという視点が重要と考えます。

 私くらいの世代で介護といえば「親の介護」、とにかくサービスが必要、とにかく親を入れられる特養があったほうがいいという論調になりがちです。そして、親の受ける介護サービスを消費者として、その質を問うということになりにくい。一方で、とにかく人材を確保が困難な現状があるわけですから、人を確保するということと、サービスの質を確保するということは両立しにくくなります。

馬袋委員がおっしゃっておられたように、育成が体系化するとか効率化するという部分ですが、これは以前、第1回目にたしか申し上げたと思いますけれども、内閣府での議論の中で、介護の人材派遣をやっておられる方々が、我々には物差しがなくて、事務職員であればウィンドウズの何ができるということではかれるけれども、それがないのだと。ないのならつくればいいのではないかと私は思ったのですけれども、やはり、今のところ、他のサービスのように、これはサービスを使う消費者と、それからサービスを提供する側が、いいサービスとは何かとか、そういうことをあまり考えなくてもやっていけている現状があるということで、いいサービスをやっていこうという事業者が多い一方で、そうでなくてもいいと思っておられる方々がいるという現状は、残念ながら、あると思います。だから、人材派遣会社も、物差しがなくても、ビジネスがやっていける。

 たが、本来、質の向上と従事者確保というのは決して相反することではなく、相互補完的であるべきです。介護職員にとって、自分の業務が、非常に体系的に根拠があって何をどうやるかが納得のある形になっている、勉強して繰り返し行うことで少しずつうまくなっていく、そしてこれが評価されていって、そしてそれが給料にもつながっている-このように、介護という仕事が、専門的な仕事で、おもしろくお金にもなるという実感を持てる、こうした仕組みができあがっていれば、質と人材確保は相互補完的です。

 つまり、少子化が進み労働力が減っていくという、そうでなくても人材確保が非常に厳しい環境の中で、著しい成長産業である介護産業の人材確保は極めて厳しい状況にあるわけで、それを、段位制を使って構築していくという観点にたち、質の向上と従事者確保、両方目指すのが段位制の目的におくということになるのではないかと思います。

 そのときには、この御意見の中に非常に重要なことが書いてあると思うのですけれども、今の仕組みは、まず効率化しない限り、これ以上普及して、全国津々浦々で動かす制度にはなりにくいのだろうと思います。この点、第1回目で筒井先生が、利用者の状態像に対して行われる介護内容を記述するという部分について、効率化できますとおっしゃったと記憶しているのですけれども、ここは、小山先生をはじめ、おやりになっておられる方々に、どこまで効率化し得るものなのかをお考えいただく。ただ、片方で、今やっておられる根拠に基づいた介護内容をどう組み立てられるかという研究的な内容もやはり並行してお進めいただく必要があるのではないかとも思っています。効率化という点では、3の外部評価についてもいえる。外部評価はなくしたほうがいいという意見はどなたもないと思うのですけれども、やはりここをいかに簡素化できるかということが、質を保ちつつということをどう具体に入り込んで分析するかということが重要になろうかと思います。

 ただ一方で、現時点で、全国津々浦々、「これでなければいけない」という制度をつくることが果たして可能かどうか、そういう段階であろうかというようなことになりますと、少し4に入る部分でございますけれども、今日鈴木先生がいらっしゃらないのですけれども前回はおっしゃっておられましたが、各法人ごとに「うちはこういうやり方を持っていて、それはそれでいいではないか」という意見も尊重すべきと思います。

ただし、この制度を内閣府で検討させていただいたときに、幾つか代表的な法人さんを聞かせていただいたり調べさせていただいたり、今でも、ちょくちょく事業者のやり方を見させていただくのですが、段位制の要件を満たすような仕組みを持っているところは、私の知る限りではないように思っています。段位制の要件というのは、専門職として行為ができるかどうかについて根拠と手順を明確にしている、そしてそれを具体的な出来事や必要に応じて目視することで確認する、ことです。ですから、基本的に段位制というものを置きつつ、いろんな事業所で、その事業者がやっている取り組みを活かす二本立てという仕組みが考えられますが、様々な事業者が自分たちの取組でやっていただけばいいではないかといったときに、好きなようにやってくださいというわけにはいかない、どういう条件を守っていただくかというのも重要と思うのです。

 今の処遇改善加算のキャリアパス要件というのが、組織の中での職位、つまり基本的に組織コミットメントを評価したキャリアになっている場合がほとんどです。しかし、これだけでは介護の専門性を重視する方にとってはやりがいのある仕組みとはいえないと思います。やはり、プロフェッショナルコミットメントとかキャリアコミットメントによって習得されるものについても評価すべきでしょう。この物差しができている事業所は、私自身は見たことないです。段位制というのは、この物差しとして意味があるのではないかと思います。重要なポイントは、一つ一つの介護に根拠を持ってやるということと、一つ一つの介護はどのように行われるかという手順を示すということ、さらに、ちゃんとやっているかどうか、目視したり具体化するということだと思います。これらのポイントがクリアされていれば、当面、段位制と同様に、専門性を評価するキャリアパスとして位置付けることができるのではないかと思います。

ただ、この仕組みを一法人で作るのは大変ですから、結局は、段位制を活用したほうが効率的ではないかということにおのずとなっていくような気もします。ただ、「段位制でやらなければいけない」というのは今の時代にふさわしいとは思いませんから、段位制と同じ仕組みとみなせるのはどういうもので、それに向かってできる限り簡素化して、いかにうまくそれを使い、質の向上と従事者の確保をしていくかということで組み立て直すということを考えていけばいいのではないかと思います。

以上です。

○田中(滋)座長 どうぞ、馬袋委員。

○馬袋委員 私は、もともとこの内容は、介護の質と介護人材の参入という、2つのテーマを達成したいということが目的だったと思います。ので、今これを取り組んでいる中で、例えば処遇改善加算の中に入るからやるとか、そういう現状の中にこれを当てはめるのではなくて、キャリア段位制度で人を育てて質を担保するという仕組みをつくっていくから、当然この加算は適用するというように考えないといけないと思います。やはり質を上げて生産性を上げて、かつ、人材を育成していくことを目的にした議論であり、処遇改善加算とは背景と目的が違うところからスタートしていますから、そこを一緒にしてはいけないと私は思っています。

 以上です。

○田中(滋)座長 山田代理、どうぞ。

○山田代理 先ほど馬袋委員から、育成する時間がこのキャリア段位の活用によって短縮できるという話があったと思いますが、時間の短縮だけではなくて、現場で見ると、育成するその育成のむらを防ぐこともできるのではないのかなと。こういう共通基準があったりすると、同じ事業所の中でもそうですけれども、どういう先輩が、また上司が育てるかというものがあります。特に事業所が変わる、法人が変わるというときにもこれは共通基準として有効になると思いますので、時間短縮だけではなくて、やはり先輩によっての違いみたいな、そういうむらを防ぐことができるということは質の確保を担保する上では大きいかなというところでは評価しております。

 それからもう一つ、事業所が採用する立場として考えたときに、その人がどういう資格を持っているかとかキャリアがあるかということは履歴書等である程度は見るのですが、では介護福祉士を持っているかとか、同じ特養で何年キャリアがあるかというのは、見ても、でも、実際どうなのかというのが弱いのは弱いのですね。ですから、そこの中にまたこういう段位でどのぐらいの段を持っているのか、どういう評価を受けているのかというのがあるとより、介護福祉士もあって、これもあって、キャリアも年数的にもあってということになると、実際のスキルの度合いというものを、採用する側としてはかなり安定した目で見ることができる意味では効果的かなとは考えております。

 以上です。

○田中(滋)座長 筒井孝子委員、お願いします。

○筒井(孝)委員 私は、先ほどからの御意見と同様に、キャリア段位の目的あるいは、波及効果として、確かに介護の質の向上や介護人材の量の確保というのができやすくなるのではないかと思います。ただ、人だけを評価できるようにしてほしいという要望、つまり所属する組織に寄らないで、その個人だけを評価するようにして欲しいというお話しは難しいと思っています。介護は1対1で提供するシステムは、そう多くありませんで、基本的に多対多、多人数の利用者に対して、多人数の介護職が対応するというシステムを採ることになります。このため、組織としての介護事業所の質、すなわちストラクチャー部分の評価は必須と言えます。サービスの質を測定するためには、このストラクチャー、プロセス、アウトカムという階層的な評価が必要ですが、日本においては、これまでストラクチャー評価が質の評価の主要な部分を占めてきましたし、これからも、キャリア段位のようなプロセス評価よりもストラクチャー評価を主とせざるを得ないのではないかと考えています。

 介護キャリア段位も、個人を評価するというような建てつけに見えるのですが、実際は介護事業所が組織として、本当にちゃんとした介護をやっているかというストラクチャー部分を示すツールになっていくだろうし、実際、既になっているのだろうと私は思います。ですから、もう少し申し上げると、キャリア段位の制度を取り組める事業所は、それだけで事業所のストラクチャーの評価が高いともいえます。また、歴史的に見て、シンプルで評価しやすい制度というのは、今は、個人と、それからその組織体、その両方を評価するものが多いと思います。しかし、難しくはありますが、個人の評価のツールと組織体としての評価のツールというのを分けるということは考えてもいいかもしれません。そういう意味では、制度自体の建てつけそのものが重いというか、重く設計して、結構いろんな要素を入れてしまったという反省はあります。

前回もご意見が出ておりましたが、事務的な負担が重いというのは、この技術評価をして、その技術のレベルを高めていくというOJTの仕組みを、そもそも事務所、介護事業所が持っていない、すなわちストラクチャー部分が脆弱な組織体は、負担は重いはずです。ですから、ありていに言えば、介護の質が低いところ、すなわち、こういったOJTをやったことがないというか、やっていない施設は取り組めないかもしれません。そういった施設から難しいと思われても仕方がないなと思います。

 ただし、既にやっているところであれば、これを利用してよい人材を養成するということもできるでしょうし、取り込むということもできるという意味で、まさに介護事業所の組織体としての評価が行われることになるだろうと思います。また、この事務量を減らすという意味であれば、その利用者の状態像に対して行われた介護内容を記述し、これを読んで、その技術が適正であったかどうかを吟味して、その結果、認定をするという仕組みで、今は認定をやっていますけれども、このやり方をもう少し簡素化するということについては、できる可能性があります。それは、介護技術の取得に関する順序性ということをデータを基に組み立てることができる可能性が示されており、これを明確にできれば効率化できる仕組みは構築できると思います。評価の負担が重いということについては、OJTのシステムが、当該事業所内にあれば、キャリア段位を使ってより効率的なOJTもできるのではないかと思うので、そのことについては余り心配していません。むしろこのキャリア段位制度の本質としてのOJTを事業所がちゃんとやってきたかというその歴史そのものが問われてしまうので、それがないところ、残念ながら、介護サービスの質が低いと推定される事業所をどうしていくべきかという課題はあると思います。

○田中(滋)座長 小林委員、どうぞ。

○小林(光)委員 今までの委員の先生方がおっしゃっているところでも大体出ているのですが、そもそも、今、介護人材を確保するということには基本的には2つ問題があったと。1つは、要するに処遇の問題ですね。これは一般の職から見て約11万ぐらい安いという問題が1つある。それからもう一つは、キャリアラダーが見えない、キャリアアップのラインが見えないということで、このシステム、介護キャリア段位制度が活用できるのではないかということで進められてきたと思います。

御存じのように、これはこれで前は内閣府で中心に進めてこられたことであり、そしてまたもう一方では、厚労省のほうでは、社会保障審議会の福祉部会とか、あるいは福祉人材確保対策委員会でも、要するに、機能分化と、それから役割の明確化ということをきちっと議論してきていただいているわけですね。そういうことから踏まえても、やはり役割の明確化をきちっとしていき、そして責任の明確化というものもきちっと、こういうものをとられた者に対して示していくということも重要だろうと思うわけです。

そういうことからして、今出たように、この制度をわかりやすくする、あるいはさらにその評価システムを標準化するとか、それからアセッサーを育成するのを生かすとか、それから、評価のシステムをシンプル化して事務の手続もシンプル化することができないかということでありますが、それに対しても、今ちゃんと筒井委員からは、要するに事業所評価と個人能力評価を分けて考える必要があるのではないかという御発言もありました。

これももちろんそのとおりではないかなと思うのですね。それはやはりやるということも大切だと。要するに介護の産業界のニーズと連携して評価システムをきちっとつくっていくということの努力もされてきているわけですが、そういう意味で言えば、やはり個人と事業所を分けて1つは考えて、そしてわかりやすくシンプルな制度にしていくということをすれば、私は、かなりこの制度は進んでいくのではないかと。

これを進めるということは、今の介護の人材に対してはっきりいろんな効果が私は出ていくのではないかと思います。ですから、ぜひそれは進めていただきたい。そして国としても、さっきから御意見が出ているように、ちゃんと政策投資としてきちっと考えていただくということが私は最も重要なことの一つだという認識を持っているところです。

以上です。

○田中(滋)座長 山田委員、お願いします。

○山田委員 この介護キャリア段位というのは、最終的にはキャリア段位を持っている認定者数を増やすという目的で最初は始まったということだと思うのですけれども、実際これまでやってきて、これまで委員の皆さん方のお話を聞いていても、実はアセッサーというのがすごくむしろ重要だということですね。だから、次の目標というところにも少しかかわるということだと思うのですけれども、介護業界の生産性を上げていくということが今の中ですごく重要になってきているわけですけれども、そういう意味では、アセッサーをどう増やしていくのか。それ自体が結局いろんなプロセスが効率的にできる人たちが増えるので、結果として介護業界がよくなるというところが見えてきたのかなという印象を受けました。

だから、その部分をもう一度意識して、このキャリア段位の位置付けを再定義していったらいいのではないか。あるいは、もっと言ってしまうと、アセッサーをどう増やしていくのかという観点を政策的なところで強く打ち出せばいいのかなと。その後、次の段階として、キャリア段位のレベル認定者を増やしていく。そうすると、次のところにかかわってきますけれども、目標のところもその立て方が少し変わってくるのではないか。少し先取りしましたけれども、そのように感じました。

○田中(滋)座長 論点はそれぞれ重なっていますから、当然、後半の分に触れても構わないです。

藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今、山田委員のお話しになったことに重なるのですけれども、先ほど筒井委員がおっしゃったことはなるほどそのとおりだなと思ってお聞きしつつ、現状では本当に組織ということを考えないで、事業所ということを考えないで、この人だけを評価するというツールとしては考えにくいというのは非常によくわかるのですけれども、介護保険法の「有する能力に応じて自立した日常生活を送ってもらう」という部分が、これまで介護の専門性という中でどれぐらい取り組まれてきたかということを考えたときに、恐らくこの段位制で筒井先生がおやりになっているようなことというのは、それをアカデミックにもやっている部分があるのではないか。質を上げるということだけではなくして、普遍化、一般化というものが、これまで十分、少なくとも現場レベルにおいてはできていなかったことをやっているので、現場の方々の評価を得ているのではないかと理解しておりまして、これが、よくわからないのですけれども、介護福祉学であるとか、あるいは養成課程の中できちんとフィードバックされて取り組んでいくということで、現状では介護職員というのは資格を持つ必要もありませんし、他の専門職ということで比較しますと、どうしても専門性という部分では強調しづらいところがあると思うのですけれども、そうした部分がきちんと構築されていく入り口にもあるのではないか。あるいはそこを積み立てていく方向に考えて将来いけるのではないか。

この「1.介護キャリア段位の活用による効果等について」ということを申し上げているのですけれども、そうしたときに、私がさっき申し上げたようなキャリアコミットメントとかプロフェッショナルコミットメントということと、今、山田委員のおっしゃった6番の論点になるのですけれども、そういった方を6番に置いてはどうか。訪問介護であれば、サービス提供責任者が必須の設置であるようにと書いてある、置いてはどうかということで、そういう意味では、キャリアといいますか、組織内での地位と専門性というものがかなり重なってくるものとして考えられるし、筒井委員のおっしゃっていた、法人としての取組ということと、介護職をより専門職として養成していくということにもつながるのではないかと思うのですね。

この点、少し6に重なる点にもつながります。訪問介護のサービス提供責任者ということで資料をお示しいただいているのですが、サービス提供責任者というのは、今、資格といっても、研修があるわけでもなければ、介護福祉士をとってなければいけなくなりつつあるからあれですけれども、昔であれば2級をとって3年でなれるとか、そういう意味で、果たしてサービス提供責任者というものがどれぐらい質を担保できているかという点においては、事業所の取組にかかってきたところがあるのではないかと思います。

ただ、ここで書いておられるように、介護保険では訪問介護以外では、運営基準において、各事業所に対して、「研修の場を提供しなければいけない」としか書かれていないように、人材育成については、どう読んでも、積極的体系的にやってくださいとは書いていない。ですから、訪問介護に、サービス提供責任者が、業務の実施状況を把握し、ヘルパーの能力や希望を踏まえた業務管理、研修、技術指導をするということが明確に書き込まれているという点では、より一歩進んでいるともいえる。実際には、訪問介護以外でも、訪問介護のサービス提供責任者にあたるスーパーバイザー的な職員を配置している事業所はあります。段位制のアセッサーを一歩進めて、そういったサービスのケアの質を確保する人を配置するということができれば一歩進むのではないか。

しかし、新たに配置すべき人を増やすのは大変なことになるのではないかということなのですけれども、実は障害サービスにおいて同様な人材が配置されておりまして、いわゆる「サビ管」といわれるサービス管理責任者に関しては設置しなければいけないという前提に動いているわけです。ですから、決して難しいことでないと思います。障害の省令の中にも、サビ管の役割として、他の従事者に対する技術指導及び助言を行うことということが明記されております。訪問介護のサービス提供責任者と違うのは「研修実施」は書かれていませんが、介護の訪問介護のサービス提供責任者が国家資格だけでなれるのに対して、サビ管についてはサビ管研修というのがありまして、サービスの質を維持していくためには、サビ管研修が重視されているわけで、こういう仕組みも見習ったほうがいいと思います。

今、介護のサービスの質をどう担保するかといったときに、例えば先ほど田中委員のおっしゃったような認知症の研修というのはあるのですけれども、これは必置しなければいけないサービスはありますけれども、全サービスに共通したものでない。という意味では、論点先取りになりますけれども、山田委員のおっしゃったことと重なりますが、先ほど来出ています、これをどう使っていくか。ある意味、どう簡素化していくかと。筒井委員も、法人としてということもおっしゃっておられるように、障害でいうサビ管に当たるような人を配置していく、そしてそれを障害と同じようにきちんとした研修を組んでいって養成していくということまで考えていって、段位制というものが質を保証するものと考えていってはどうかなと思います。

以上です。

○田中(滋)座長 今の山田委員、藤井委員のお話は後半にも触れていましたので、時間もありますから、ここからは1から3を含めて4から6の論点についても御発言いただいて構いません。

 小山委員、よろしくお願いします。

○小山委員 済みません。簡素化するとか簡便化するというのは、この委員会で何か方向が出ればできなくないことですから、どうするか言っていただければ。私は、今、904人の、田中先生もそうですし、レベル認定の全部の調査報告を読んだ人間として、読んでいるわけですよね。今、審査している人間が何かルール変えてしまうと、ルールチェンジできないので、ですから、どう変えるかというのを言ってほしい。

 1つなかったのは、例えば項目別にどう並んでいるかというので、釈迦に説法かもしれませんけれども、排せつとか移動とか食事とかいうグループごとにずうっと並んでいて、感染対応がどうなのかとか、最後は地域包括がどうなのかとか、職員の教育はどうなのか、グループになってずうっと長く続いている。その前の前半の半分ぐらいまでとると2ですよとか、4分の3まで来ると3ですよとか、全部後ろに来ると4ですよということになっているわけですよ。ということは、全部ばらしてもらってもいいのです。1415で。それぞれの入浴で、確かにこの人はできているということが認められれば、そういうことはすごく簡素化できるわけですよ。この人、入浴も排せつも食事介護も大丈夫なのね。でも、部下の養成とか、まだできないのね。地域包括とか、わかってないのね。ですけれども、別に2、3、4段しかないといっても14個に分けて、全部できたら、あなた、アセッサーでもいいから勉強しに行っておいでみたいなシステムに変えろとか言っていただけたらうれしいなと。

 実はそう思っているのですけれども、済みません。私、審査している立場でルール変えるというのはなんかよくないので、1つだけ、この制度的論点。さすが老健局の優秀な皆さんがまとまると、みんな勝手に話していてもこうやってまとまるのでしょうけれども、制度的位置付けといっても、このペーパーにないのは、金のことは何も書いてないのですよ。これでは全然話にならなくて、いろんな議論があって、内閣府から老健局に来ちゃったみたいな、余計な者が来たみたいな雰囲気も流れているのですが、4月1日に事態は変わったわけですよ。

4月1日にどう変わったかというと、介護報酬の改定が実施になりました。次に、介護保険の事業支援計画というのを都道府県がつくって、それぞれ動かすようになりました。ですから、4月1日以前と4月1日以降は世の中変わっているということをまず認識していただきたい。さらに、一昨年の法律改正によって、地域医療介護総合確保基金というのが出ていて、言うとちょっと手前みそなのですけれども、山口県では、このキャリア段位の受講料を2万円以内、この地域医療介護総合確保基金から出すようになっているわけです。富山県で1万5,000円以内出すことになっている。兵庫県は5,000円だった。済みませんけれども。要するに、都道府県で地域医療介護総合確保基金でこのキャリアパスに補助額が出ているということを前提に、せっかく出してもらって制度なくなってしまうと困るので、よろしくお願いしますということです。

 それから、東京都の介護職員、キャリアパス導入は、次回のときにでも振興課さんから出していただきたいと思うのですけれども、レベル認定者について1人当たり、レベル認定2以上の人が出れば、年間50万円まで出しますと。さらに、1事業所当たり上限額は200万円まで出しますと言っているので、平川先生、それは手間かかるかもしれませんけれども、お金ついてくるという話になると、「手間も金のうち」みたいな、苦労も報われるという感じになっているわけですよ。さらに介護キャリア段位制度の導入支援策では、これも次回のときにお示しいただきたいのですけれども、一番大きいのは、職業訓練実施の助成のキャリアアップ助成金というのがあります。人材育成コースです。有期契約労働者に対して介護キャリア段位制度を活用した場合に、有期実習型訓練として、OJT、キャリア段位の場合は介護職員1人1時間当たり800円出ているのですよ。これも皆さん利用しているのです。ですから、面倒くさい、手間がかかる、それはそうですけれども、お金も出ているので、苦労も少しは恵まれていませんかというのを私はどうしても言いたいなあと思うのです。

 さらに、キャリア段位を活用してキャリアパス導入における職場定着助成金というのがありまして、これにつきましては、もともとこのキャリア段位が介護職員の離職防止を一つの目的としているのです。ですから、どういうことになっているかというと、細かいことはともかく、キャリア処遇改善を導入して実施した場合に10万円くれて、さらに制度の導入実施によって従業員の離職率を低下させた場合には60万円支給するというシステムもあるのです。

これだけがんじがらめになって、そしてさらには、どうかわかりませんけれども、介護報酬改定で介護職員処遇改善加算にキャリアパス要件を書いてもらったわけです。4月以降。ですから、私の頭は、今年の4月以降と4月1日以前は全く違う状況になって、都道府県だって、東京都だってみんな頑張ってくれていて、キャリアパスはいい制度だと言っているから、制度を直すのは全然構わないのです。でも、キャリアパスなくしてしまうと、もうずうっと今ももらえることを前提で動いている人たち、何千人を裏切ることになるということだけはぜひ御理解いただいて御議論いただけたらなあと思います。

○田中(滋)座長 支援策の一覧、他にもあるのかもしれませんが、紹介ありがとうございました。

 村上委員、お願いします。

○村上委員 なかなかすっきり整理ができないという点が2点ございまして、1つが、5ページ目の4の○の3つ目にあります自社のキャリアアップ制度との整合性と融合性、それから、7ページの6にあります介護福祉士資格との整合性なのです。自社のキャリアアップ制度との整合性と融合性ということを申しましたが、前回のヒアリングでも、自社で構築されたキャリアパス制度というものの例が紹介されましたように、既に自社で構築されている事業者もあります。したがって、考えられることの一つとしましては、事務局で、様々な事例があると思うのですけれども、そちらを集約されてモデルみたいなものを示されると、事業者も段位制度への理解、促進がなされていくのではないかと思います。

 それから2点目の介護福祉士制度なのですけれども、こちらは認定介護福祉士という資格がスタートしたということが報道されておりました。認定介護福祉士が将来的に段位制度と結びつくかどうかというのはわからないのですけれども、現場が混乱するということは十分考えられることですので、この点、ぜひとも、片方は社会援護局ということでございますが、老健局としっかりとした疎通を図っていただきまして、わかりやすい、現場が混乱しないような形にしていただきたいと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 筒井恵子委員、お願いします。

○筒井(恵)委員 皆さんの御意見をいろいろ聞かせていただいて、現場にいる者としてお話しさせていただきたいと思います。

現在、人員確保に本当に苦労して疲弊しているのが今の現状ですけれども、でも、処遇改善のためのキャリアパスラダーをそれぞれの施設でつくっていることは確かですけれども、キャリア段位のこの項目のように、きちんとした評価のできない、何となく漠然と、誰が評価するのという感じのものにすぎないと思います。そういった意味で、これまでの私たちの中で技術というものを標準化していくということは、初任者研修の指導をするにしても、指導するきちっとしたプロセスがなかった。だから、それなりの自分がやってきたものを教えているというのが今の段階だと思います。

 そういった意味では、先ほど小山先生がこれまで分解してもいいようにおっしゃられたのですけれども、例えばそれぞれの施設は報酬が引き下げになった中で加算をとらなければいけないということで、精一杯、認知症のリーダー研修をとったり、それから介護実践指導者研修に行かせたり、施設も忙しく、いろいろな加算をとるための資格をとらせる。それから、介護福祉士の実習校の実習指導をするための指導者研修というのがあります。でも、この研修自体も技術の標準化ということができていないと思うのです。

そういう意味では、このキャリア段位というのは大変いい制度だと思いますが、一つ一つ、この実習指導者をつくるにしても、特別養護老人ホームなら特別養護老人ホーム、多分、段位の中で、ここまでやらなければいけない、通所だったらここの部分は要らないとかいうものがあると思うので、さっき小山先生のおっしゃられたような形での分解ができれば、一つ一つのアセッサーの範囲を決めたものをつくることができればより可能になるのではないかなあと現場では思いました。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

山田代理。

○山田代理 このキャリア段位制度そのものもそうですけれども、先ほど話がありましたように、様々な助成があるということについての周知の仕方をもう少し広めて、このキャリア段位制度、またアセッサーがいるということについての効果みたいなものも、よりプラスの面を強調して案内する必要もあるのかなあと思います。負担が大きいというところにどうしても注目を現場でしてしまうと、ネガティブなイメージになると、うーん、そうはいってもちょっとという部分で考えてしまう人もいるかもしれませんけれども、せっかくのいい部分をもうちょっと強調する必要があるかなと思っております。

 それからもう一つ、先ほど藤井先生からも話がありましたけれども、アセッサーの役割というか、事業所の中でのとても重要な役割、認定取得者以上に、このアセッサーがいるというこの存在は大きいのかなと思っております。例えばそれは、藤井先生がおっしゃっていたように、障害ではむしろサビ管は必置なのだと。それに匹敵するではないかという話がありました。確かにそのように位置付けることもできるだろうなと思ったのですけれども、そこでちょっと、もしそうだとすると、処遇改善のところに関係するのですが、これは老健局の中で話をすることではないかもしれませんけれども、障害の関係では、処遇改善費が対象となる職員の中にサビ管は対象にならないのですね。それだけ重要なポストにもかかわらず、現場の支援員は対象になりますが、看護師さんや事務員と同じように、サビ管にも支給対象にならない。入ってきたお金は、自由にさまざまな職種にそれぞれの事業所ごとで配分するぐらいいいではないかということを協議会から話をしても、それもまあ今後検討していくけれども、今はだめと、限定なのですね。ですから、例えば支給対象外のサビ管の人たちに同じように処遇改善手当を出そうと思うと、その事業所が自腹切って払っていかなければならないという、重要なポストだと位置付けているにもかかわらず、それだけの処遇の裏づけがないというのがあるのですね。

 こちらは障害部でまた考えていただかないといけないことなのですが、これの支給対象については、この制度ができたころからずうっとさまざまな団体で言っていることですが、一向に変わってないという部分があります。ですから、このアセッサーをきちんと位置付けていくというのは、このキャリア段位の取得に限らず、その事業所にとってその職員の人材育成の要になっていくポストになるのかなあと思います。必置にするという方法も、うん、なるほどなと思うわけですけれども、そうなった場合には、今のような、障害部と同じようなことにならないように、きちんとそれだけ、重要なポストだったならばそれに見合うだけのものを用意していただかないと制度的なものとしていけないのではないのかなあと。それは、さっき先生がおっしゃっていたようなお金のことが何も書かれてないという部分がありますので、そこら辺も考えていただければなと思いました。

 以上です。

○田中(滋)座長 大切な御指摘ですね。

 小林光俊委員、お願いします。

○小林(光)委員 今いろいろ皆さんから御意見が出ているのですが、それはそのとおりだと思いますが、私も6のその他の意見のアセッサーの位置付けについてということで言えば、アセッサーがせっかく1万1,800人以上も養成してきているわけでありますから、この有効活用ということもぜひ考えられれば考えたい。例えば、当初養成したもので、かなり制度的なものも変わっているということであれば、再研修なども入れて、ある程度のレベル統一をして、今、委員のおっしゃったように、現場の人材の育成の一つの要になるようなことを考えていくということも方向性としてあるのではないかなと思います。せっかく1万2,000人近くも既に養成しているもの、キャリア段位の取得者を出さなかったらもう全てだめよということでは意味がないのではないか。これはやはり有効活用をぜひ考えていただきたいと思います。

○田中(滋)座長 そうですね。

 筒井委員。

○筒井(孝)委員 参考資料1の5ページからレベル認定者のデータがあるのですけれども、これにデータとして載せられてないのですが、ユニット認定の人数というのは、老健局は多分把握されていると思うのですね。

○小山委員 4ページにあります。

○筒井(孝)委員 ありますね。このユニット認定というのが、実は先ほどからおっしゃっている場面別の認定になります。つまり、入浴場面だけ、あるいは食事だけとか、そういうユニット認定の仕組みがもう既にあるので、それで出してこられているところもあります。ただ、やはりレベルが欲しいということで皆さん頑張って、通所であろうが訪問だろうが、認定審査を出されているということです。また、技術を提供する場面が出てこなかった場合でも、ユニットの認定だけではなくて、認定ができる仕組みも内包しております。そういった周知があまり進んでいない部分もあると思います。

○小山委員 私、説明します。さっき言ったように、私たち、904件の全部の審査をしているわけですね。気が遠くなるような事務量。でも、何か世のため人のためになるのだとか思ってやっているのですね。皆さん、今、4ページ開いていただいたらいいのですけれども、レベル認定者は904名です。そのうちレベル4というのは15%しかいらっしゃらないのですよ。136人。大変難しい。

何が難しいかということを私どもは実は知っています。何が難しいか。感染症の対応ができるか、ターミナルケアができていたか、介護事故はどのようにしたのか、さらには、身体拘束に対してどういう対応をしたのか、地域包括ケアであなた何やっているのですか、この5項目が重いのですよ。これが全部レベル4のところにかかってきて、例えば訪問介護やっている人にターミナル当たるかというと、病院に入ってしまうから、ターミナルの前はみていたんだけどなあみたいな。ですから、それは工夫が必要なのです。

 それから、身体拘束も、虐待という形でもありますけれども、訪問している介護職員が家族の虐待を見つけたときにどう書くのかという。それはそれなりに現場の人たちは本当に苦労して書いてこられるのですよ。ですから、私は、904人に本当に心から拍手したいと思うので。

ただ、いろんなシステム、今、筒井委員が言ったユニットというのは、項目ごとにばらせるように最初からなっているのです。ただ、それは6人しかとってない。つまり、やる人は突然全員がレベル4をとりたいと思って挑戦するのですが、山登り初めての人、泳いだことがない人、スキーはいたことがない人が最初から4やれば撃沈になって。だから、順番にとっていってもらうとか、項目別にばらすとかいうことができるシステムになっているのだということと、ここの現場にいる先生方は多分全部読んでいただいたという前提で申し上げますけれども、レベル4は大変難しいです。その事態が起きないので。何で6ヶ月もかかるかというと、感染症起きないのですよ、夏は。でも、起きてもらってほしくない。虐待なんか本当に起きてもらってほしくないし、ターミナルは本当に対応するチャンスが、特養さんとか老健さんはありますけれども、他のところの施策では、例えばグループホームでターミナルって、統計見てもほんのちょっとしかないのですよ。グループホームの職員はそこの事実に当たらないわけなので、そうすると、全員がレベル4をとりに来るのではなくて、まあいいから、レベル2のところでみんなでもっととろうねみたいな話にすれば飛躍的に、審査も簡単ですし、できると思っているのです。

 ですから、記録が難しい、事務量が大変だ大変だ、あんなものやめちまえみたいな、非常に乱暴な議論をする人がいるのですけれども、私、その方とは丁寧にお話しさせていただきたいのです。この904人の審査って壮絶ですよ。私たちが大変だったというよりも、アセッサーも大変だったし、勉強した人も大変だったし。私たちが一番やらなければいけないのは、現場で介護で働いている人たちにエールを送ることではないですか。それを忘れてしまって、いろんな空中戦やってしまうと変なことになってしまうので、システムを変えて済む問題は済むと思うのです。ただ、お金の問題もいろんなふうにつけて、広報が悪いとかなんとかいろんなことがあるのかもしれませんけれども、私は、この介護職の不足、それから離職問題、こういう中で、この制度が介護職員の一筋の光になっていると確信しているので、そのことだけはお願いしたいと思います。

○田中(滋)座長 思いのこもった発言をありがとうございました。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 先ほど小山先生から、この仕組みがしんどいというのは、施設の評価方法や技術の標準化がこれまできちんと構築できてなかったことに起因するというご指摘がありました。まさにそのとおりだと思います。実際、優等生の施設ばかりではありません。ぎりぎりの人数で日常業務だけで目一杯で時間外に集まって勉強すると言っても、夕食の支度があるから帰るという者もいます。例えば、医師の場合だったら、通常勤務を終えてから、医局に集まって、夜勉強しようと言うとごく当たり前に集まるのですけれども、そういった行動意識を介護職にはまだ期待できません。中にはもちろん、そういった志のある職員もいますが、多くはそうではありません。その施設の古くからのしきたりや掟とか、声の大きい古株の職員にがんがん言われて、そうなのかなあと疑問に思いながらもだからと言って積極的に学ぼうともせず、今まで過ごしてきた。キャリア段位制度が誕生したことによって、エビデンスが担保され、自分たちも反論できるではないか、介護のあり方はこういう方向なのだということがようやく見えてきたところです。介護という仕事に大したモチベーションを持たず入ってきたかもしれないけれども、これは結構奥が深いぞとか、学問になるかもしれないぞという、まさにプロフェッショナルとしてやっていくのだということが、ようやく見えてきた。介護技術の標準化があればいいなあと思っていた所に、それが目の前に出てきて、今、結構食いついてきています。これがすごく大事なことであると思っています。

キャリア段位制度のいいところは、この施設は自分と合わないと辞めてしまっても、段位を生かしてこの業界には居たい。老健はしんどかったけれども、在宅サービスに就いたら、すごくおもしろかった。というようにライセンスを生かして介護業界に留まってもらえる。先ほど言ったように、何が大事かといったら、この業界にいてほしいということです。納得のいかないことに反論できる、若手でもきちんと勉強すれば、古参の介護職にものが言えるといったことができれば、職員定着率もあがるのではないだろうか。そのような中で、この仕事が、結構奥深くておもしろいよという、そういった気持ちが盛り上がらなければ、幾ら綿密な仕組みや制度をつくっても、結局は、モチベーションが上がらず去ってしまう。

今日うれしかったのは、小山先生が、レベル認定の審査が大変だと言われたことです。また、現場はレポートを出すこと大変だと認識していただけていることもすごく意味があります。この事実はぜひアセッサーとして頑張っている方々にしっかり伝えなければなりません。というのも現場のアセッサー達は、こんなたくさんの提出資料を作成しても、本当に審査機構ではちゃんと見てくれるのかなあと心配しています。そこに、小山先生から受理した書類のひとつひとつ目を通して審査している側も大変なのですとの発言があり、これで、施設側と評価認証側とのつながりといいますか、提出側と受理側の本制度への思い、絆が深まったというのがとても大事なことだと思います。審査側のご苦労も現場にしっかりと伝えていかなければと思っています。

 以上です。

○田中(滋)座長 いい点ですね。アセッサーの書いたものをきちんと読んでいる人たちがここにおられると。

どうぞ、田中委員。

○田中(雅)委員 読んでいる立場ですが、これからの地域包括ケアシステムを進めるため国はたくさんの情報を発信しています。でも、介護職員はそのためにどうあるべきかということについては、きちんと書いたものはそれほど多くはありません。地域包括ケアを進めるためには多職種連携が重要です。では具体的に介護職員はどうするのかということをきちんと道筋を示さなければいけない。そういう意味においては、アセッサー講習テキストのチェック項目の中のレベル4の段階になると、地域包括ケアシステムという項目があって、その評価項目は、介護職員が地域の社会資源と協力・連携・交流しているかを問うています。

しかし、皆さんおっしゃるように、レベル4をとるということで、今現状ではそういった地域包括ケアに意識的に関わっている介護福祉士なんてそんな多くないです。事業所でも、管理者レベルにある人たちしかその仕事をやってないので、にもかかわらず、あの項目を与えられて現場の介護福祉士たちが、では実際に具体的に私たち何をしたらいいか、もちろん研修も講習もありますけれども、その中で真剣に考えて、そしてアセッサーたちがそれを教え、実際にやっていることを見て、ということで評価をやっているので、そういう意味では、この数字のレベル4というのは決して生半可な、そんな簡単なものではなくて、それでもチャレンジする仲間たちがいることに対して私は誇りを持っています。

あわせて、これは医療の世界では当たり前のことなのですが、専門職がなす行為にはエビデンスがあります。では、介護という仕事に関して一人一人の介護職員に、あなたのやった介護行為はどういった根拠によって行われているかを問うてみてください。もちろん養成のこれまでの歴史があります。歴史も浅いです、その教育は。だとしても、この介護キャリア段位制度のシステムを活用してプロとしての介護職をつくり上げたい。これは質という問題だけでなくて、専門職としてのプライドというものを植えつけた、さらに技術向上。ある意味でこの制度は日本の介護を私は変えると思っています。このシステムが全国に普及されることによって介護レベルそのものが、私は著しく変わってくると確信しています。もちろん、当初からこういった思いを持っていたわけではありません。大変だよね、大変だよねということがあったのですが、本当に育っていく仲間たちを見ていることにおいて、必ずこの、よく言われる2025年の団塊の世代を対象としたケアの質、これは今のケアの質ではないはずなのですね。一般的に権利意識が高く、生活水準が高いといわれる団塊の世代に対応できると思います。

多くの利用者及び家族は根拠を持ったケアを望んでいます。どうして、なぜという問いかけ。だから、それに答えなければいけない。現場の人たちは本当に汗かいています。中にはバーンアウトする仲間たちもいますけれども、そういう人たちにちゃんとした技術とか、あるいはスキル、あるいはエビデンス、そういったものを持っていただくためには、私自身も、小山先生、大変大変とおっしゃいますが、大変でも頑張っていきたいと思っております。

済みません。これはちょっと主観的な話です。よろしくお願いします。

○田中(滋)座長 お三方、この分野で言うと、ある意味、ハマるという表現、合っているかどうかわからないけれども、その感覚はよくわかりました。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 大変私自身も勇気づけられる話の後で、話題を変えて申しわけないのですが、先ほど村上委員のおっしゃったことの2点が1つポイントになろうかなと思います。自社に段位制と同じような仕組み、キャリアパスがあるところに、この段位制という問題をどうするかということと、介護福祉士との関係ということだと思います。先ほど、私申し上げましたように、このキャリアパス制度というのはより多くの方々にやっていただきたいということは間違いないにしても、最初から押しつけましょうということではないのだろうと思います。やはりいろんな法人のいいやり方とミックスしていってよりよいものにしていくためにも、いろんな法人のいい取組は認めていこうという方針になるのではないかと思いますが、そのときに、自社のキャリアパスとして、何でもいいよと言いますと本当に何でもいいことになりかねないということで、先ほど申し上げたこととつながりますが、ストラクチャーの評価として、質を維持するための活動をやっていて、個別に助言するにふさわしい担当者がいるかどうか。段位制におけるアセッサーに当たる方がいるかどうかですね。これに関してですが、先ほど村上委員がおっしゃったように、こういうものがあるところを、次回までかどうかわかりませんけれども、ぜひレポートしてほしいと事務局に宿題をお願いしたと思うのですけれども、私からお願いしたいのは、各事業所で、スーパーバイズを行い、サービスの質を担う責任者がどのように配置されているかという点です。

 それから2番目に、一つ一つの介護行為というものの手続が明確にしてあったり、根拠がある程度書いてあるものがあるかどうか。そして、やれているかどうか目視する。これを誰がどうやっているか、先ほどの質を担う責任者が配置されて行っていることが重要ではないかと思いますが、これぐらいは縛っていただけないかなというのが、先ほどに追加して申し上げたいことです。サービスの質を担う責任者を配置している事業所はあるし、手順や根拠を書いているものがある事業所も一部にみかけます。しかし、質を担う責任者が、根拠をもった介護を達成されているかどうかを、目視等で具体的にチェックしている事業所は、私は、見たことがありません。  それから、介護福祉士との関係でございますけれども、まずは最初から違和感がありますのは、国家資格である介護福祉士とは別に、現場において発揮する能力が評価されるのはおかしい、という議論です。というのも、看護師でも医師でも、専門職としての体系的な学習をして、国家試験を受けた後に、現場における実務的な能力をつけるために臨床研修というのは義務化されております。このように、学校で学ぶ、あるいは学校の延長で実習に行って学ぶことと、その資格を得てから、現場で実務を担えるように学ぶことというのは、専門的臨床的な職種であれば分かれるのだろうと思います。

 医師の場合は資格取得後の臨床研修は、完全に義務化されていますが、看護の場合は努力義務、保助看法と看護の人材確保法の中に、新たに業務に従事する者に研修するよう努めないといけないというレベルですが、国においても新人看護職員研修ガイドラインというものを示しています。一方で、福祉関係の職種において、新たに業務に従事するときに研修が必要だという考え方や法規というのは、私の知る限りではありません。あるのは、福祉人材確保指針に生涯を通じた研修をやれと書いてあるだけです。介護福祉士会が「介護福祉士初任者研修」というのを提唱されていますが、これは現場において介護の実務が担えるための現場研修ではありません。それ以外に、新しく入ってきた人に研修やれというのはないわけです。これがそもそもおかしくて、介護福祉士として資格をとってこられたことは非常にすばらしいことなのですけれども、介護福祉士として勉強してきたのだからすぐ現場で力を発揮できないと困るというのはおかしい。それから、そもそも、養成校で体系的に学んできた介護福祉士に、現場実務を担えるような現場研修を位置付けるということと、一方で、介護を何もやってきてない方にも新たに業務に従事するときに現場研修を行うという話はおのずと大分違う。こうした現場研修の位置付けがないために混乱があるんだと思いますが、段位制は、現場実務を担える力を評価している点で、国家資格との整理が問題になるとはあまり思えない。介護福祉士の方は、多分、相応の段位をとるというのは非常にたやすくとれますし、そもそも段位制は「知る」と「できる」で、「知る」は介護福祉士を含め、既存の資格や研修で評価しているわけですから、私はそんなに問題が生ずるとは思えません。

 それから、今、介護福祉士のカリキュラムを社会局で見直しをしていると聞いておりますので、ぜひこの段位制で培った姿というのをフィードバックしていただくと。私自身、介護職員初任者研修のカリキュラムつくるときに、初任者研修と介護福祉士をミックスするために、介護福祉士の教科書を全部一通り各社のを読ませていただいたのですね。これも大変だったです。教科書によって書かれていることがばらばら、かつ、根拠というものがあまり書かれてない。今まさに筒井先生とか小山先生の言っている部分が書かれてない。これは教科書がそうでなかったとしても、各学校ではおやりになっているだろうと思います。しかし、これは介護の事業所が同じであるように、全ての養成校が優等生ばかりでないですから、そういう面では不安な面があるので、カリキュラムや教科書にフィードバックしていただくことによってつながりが出るのではないか。

 それから、先ほど言えばよかったのですが、先ほどのチェックする体制の「3.外部評価」に関してですが、これも効率化していくかという点で、どうしていくかですが、たまたま前回のヒアリングで山田さんが「きたおおじ」の実践をお話しいただいて、外からスーパーバイザーが入っていろんな助言・指導をしていくというお話しがありました。今の段階で、外部評価というのは、ガチガチに評価して、落とす落とさないということをやっていくことが、普及や効率化という点で適当とは思えません。むしろ、アセッサー的な人材の配置が行われていて、このアセッサーの方々をきちんとスーパーバイズしてあげられるような方を何らかの形で配置するというものから始めるあたりではないでしょうか。仮に、今後、かっちりした制度になっていくのであれば、本当の意味での評価ということがあるかもしれませんが、とりあえず山田先生が言っておられたような感じで外部評価みたいなものを組みかえていくというのはあり得るのかなあと前回感じました。

 以上です。

○田中(滋)座長 大変役に立つ整理、ありがとうございました。

 小林司委員。

○小林(司)委員 ありがとうございます。

自社のキャリアパスでというところに若干関係するのですが、確かに自社にキャリアパスがあれば、前回のヒアリングではレベル認定を賃金制度にポイントとして組み込むという事例がありましたが、そういったことができない事業所にいかにキャリア段位制度を取り入れてもらえるのかということがやはり課題だと私も思っておりまして、そういう意味で、今後のとりまとめのことで、この資料の記載、実は気になっていました。5ページ目の2つ目の○には、事業者が研修や評価プログラムとして取り入れるものとして使うと効果があると書かれています。しかし一方で、次の○からは「自社で」という記述が並んでいたものですから、ここは必ずしも全ての事業所においてこういった仕組みが構築されているというわけではなく、全くないところもきっとあるでしょうから、そういったところにきちんと取り入れてもらえるようにすることを考えていく必要があるということを強調しておきたいと思います。

その意味で、どのようにキャリア段位制度を広げるかというところで、目標については、先ほど先生方もおっしゃったような、基金の活用ですとか、いろいろなインセンティブですとか、またはこの仕組み自体、参考人の方々からのヒアリングでも非常に評価が高かったということを再確認できてよかったと思っていますけれども、そんなに悲観する必要ないのではないかと思いますので、現実的にというところはわかりますけれども、いろいろな仕組みなり支援を講じて、少し頑張っていってはどうかと思っております。

 あと、やはり質ですね。プログラムをどのようにしたらいいのか、今までこのようにやっていらっしゃった方々がいて、また、こうやってしっかりつくってきた仕組み・制度については、質が下がらないように、許容できる範囲での負担軽減ですとか、そういった範囲にしていただけないかと思っております。その意味で、根本的にはいろいろ大変だということの背景にやはり人材確保が難しいということがあると思いますので、それについても何らか、このとりまとめにおいてメッセージを出せないものかと思っておりますので、意見として言わせていただきます。

○田中(滋)座長 では、小林委員、お願いします。

○小林(光)委員 養成教育のことについてもいろいろ御注文も出していただいたのですが、別に言い訳するわけではないのですが、今、介護福祉士、130万人ほどいらっしゃるわけですが、それぞれやはりレベルがあまりにも違い過ぎるのだろうと思います。現場においてですね。これは今までの成り立ちの中でそういう歴史があるということですね。当初は、現場3年で国家試験を受けて資格をとったという人は、今やそれが約7割だということです。養成校を卒業したって体系的な教育を受けたという人は3割以下しかいないというのが現状ですね。そういう現状がある。それから、養成校の今までの歴史の中でも、当初は介護福祉士教育というのは2年間で1,500時間の授業であった。今は1,850時間になっているわけです。その間、350時間も増えているわけであります。その研修をどこできちっとやるかという制度も全然できてなかったということなのですね。

 それから、実習指導の指導者の指導プロセスも今まではないと。これも問題なのだろうと思いますね。現場で。ですから、そういったことを、育成制度、それから現認教育制度も含めて、ここはやはりちゃんと制度化していくということまで含めて、研修と評価と役割の関係の見直しを全体的に確立する。老健局だけでなくて、社会援護局とちゃんと連携して、厚生労働省としてきちっと制度設計をし直す。し直すといっては言葉がきついかもしれませんけれども、制度設計をちゃんと統一していくというような方向でぜひ進めていただきたいなと思っております。そうしないと、やはり専門職の魅力というものはきちっと確立できないということにつながっているのではないかと思いますね。そこはぜひお願いしたいというところです。

○田中(滋)座長 筒井恵子委員、どうぞ。

○筒井(恵)委員 看護師の指導についても、プリセッターをちゃんとしているところが8割以上、それから、医師の研修医を受けるためには指導医を置かなければいけないということがあるので、介護の施設でも介護福祉士実習指導者は、このアセッサーを持った施設でないとできないという具合に、何か位置付けをすれば、当然、介護福祉士になる卵を実習指導していくわけなので、これは1つ手ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○田中(滋)座長 提案いただきました。

 馬袋委員、どうぞ。

○馬袋委員 筒井委員の回答ではないですけれども、私、見方というのはすごく大切だなと思います。アセッサーの数が1万1,863人しかないという言い方をしたら、それだけで終わります。私は、「もある」というように思ったら、すごいことだと思うのですよ。1万1,000人もいる。どのようにつくってきたのか。そこで、課題はここにあるので、そこを改善しようという議論をしているというようにしないといけないと思います。というのは、1万1,000人のこれだけの人材が全国にいるということについて、どのように評価し、活躍させていくか。そして、今後拡大するのに、いつまでにどうするかという考え方に立たないと議論は進まないと思います。

 あと、このことも含めて、介護事業者として、今さまざまな課題があります。質の問題も含めてですけれども、やらないといけないのは、介護のレベルの向上と安定というのは絶対しないといけないと思います。それと、質をも含めて向上していくということと、もう一つは、不適切なサービスを除去する対策というのが必要です。これにはなぜ不適切なサービスなのだと言える根拠がなければいけないのです。これはさっき言われた、要するに自社のキャリアアップは確かであるか、良いか悪いかについては、議論しているキャリア段位、プロセスを含めた評価する基準があるものに対して、それに対して自社を比べることであって、自社と他社を比べる、他のプログラムと比べるものだけではないと思うのです。

 利用者は、私たちサービスを提供する側について、あなたのところはいいわね、あっちは悪いわね、と他社と比較して利用されることは少ないと思います。私たちが初めてであった利用者さんに対して、昨日よりも今日、今日よりも明日良いケアをするという継続的に改善することが私たちには求められていることなのです。そうしたときに、良いケアに向けて、こういうことに取り組んでいるのです、と言えるように実践してこそ、私たちは取り組みについて評価されて、良いケアを行おうとしているということは言えると思うのです。ですから、自社のキャリアアップの中にこういうものが含まれているというのは自社の解釈であって、ここと対等であるとか比べるものではないと私は思います。そこだけは整理しておかないと、自社の評価は、自社を中心に考えるのではなくて、判断する世の中の評価基準、改善する基準項目はこれだというものと自社を比べることです。基本をつくらないとやはり評価もされないし、レベルも安定しないし、不適切なサービスも除去できないということだと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 社会援護局との課題の共有ですね。これは途中ですからまだかもしれませんが、検討会が一応収束したらどのような形でするおつもりなのか、ちょっと一言言っていただけますか。

○辺見振興課長 振興課長でございます。

 具体的にどのような形で進めるのかということについては、よくよくまた頭の整理をさせていただきたいと思っておりますけれども、1つには、本日出たお話からすると、介護の手順なり技術なり、こういったものを標準化していくこと、見える化することの重要性、こういったところが1つ。あともう一つは、小林委員からでしたでしょうか、御指摘もありました介護の機能分化の議論。このような観点から、社会援護局との間で介護人材の確保に際してどのように考えていくかという整理はしっかりとやっていかなければいけないと思っております。

 一方で、村上委員からも御指摘ありました資格制度との関係ですけれども、介護キャリア段位の中で行われてきたいわゆるOJTという特性というのは事業所が責任を持つものかと思っておりますけれども、これと資格制度というのは事業所に属すか属さないか関係が必ずしもない中でも評価されるものかと思いますけれども、こういったものをどのように考えていくのか。私ども、介護保険を所管しておりまして、事業者に対してさまざまな取組を求めてくる立場にありますけれども、そういったことも踏まえながらどういう整理をしていくのかということを考えていく必要があると思っております。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

 一応皆さん言いたいことはおっしゃいましたか。

 今日は自由な討論を求める会だったのですが、大変前向きの意見が多く、かつ、熱い応援があったことを感じました。医師や看護師は最初の訓練過程で、職業についてからの最初の研修をしているのに対してこちらがない事実は改めて確認しておくべきですし、連携していくことがおもしろいと、平川委員、言っていらっしゃいましたけれども、科学性を持って根拠があることを知ってくると、おもしろいと思えるようになりますよね。それは大変いい指摘です。プロフェッショナルの世界では、自分の分野の勉強がおもしろいと感じることがブースターになり得ます。いい御指摘でした。

 もし他に発言がなければ。

 どうぞ、小山委員。

○小山委員 済みません。OJTだから、法人が独自でやればよくて、キャリア段位でなくてもいいという話にはならないと思うのですよ。だから、各介護事業所が独自でやれてなくて、うまく評価するツールがないからどうするのかというのから始まったのではないかと。それをちゃぶ台返してしまうと、そこだけはちょっと整理は次までにしておいて、それはないでしょうみたいな。そうすると、藤井委員はいつも難しいことを言うのですけれども、やはり何かで縛っておいてくださいと。抑制禁止なので縛ってはいけないと思うのですけれども、目視するシステムとか記録をとるシステムとかいう形なのです。

それで、こんなこと言うといけないのですけれども、評価をして、文章を読ませてもらっていると、ここはよくやっているのだなあと。済みません、勘みたいなものですけれども、ちゃんと文章もできているのですよ。でも、文章になってない。「人口関節」なんて書いてあるから、どういう関節なのかとか、でも、いい施設なのかなみたいなのがあって、結局、現場とやりとりをしているのですね。

 自社でオーケーでないという事例の一つとして、おむつや何かの排せつ物の処理というのが、バケツの中に新聞紙を入れて、おむつ、そこに入れてくださいということになるわけでしょう。でも、たまに床に新聞紙敷いて置きましたとか言って。それってだめでしょうとかこっちが言うと、だって教科書に書いてあった。何年前の教科書だ。藤井委員の見た教科書には、新聞紙広げてと置けと。でも、今どき、これだけ感染症のときに、おむつ、床に新聞紙敷いて置いたらアウトなのですね。

 それから、何か知らないけれども、車いすに移すときに、ベルトに手をかけて引っ張ったと。これ、介護ではだめなのです。養成校でも、だめですよね。ベルトで引っ張る。でも、結局、そういうことが全部文章で出てきて、審査の過程で介護の現場をかいま見てしまって、「家政婦は見た!」みたいになっているのですけれども、これってやはりすごい大変なことで、もう一回言いますが、900人のデータを送ってくれた人たちには私は本当に感謝していて、900の現場を見たみたいだという形です。

ですから、そういう意味では、自社の中で自分たちの思いどおりに勝手にOJTやっていればいい介護になるなんていうことがこの国で本当にあるのかどうかですね。私は非常に疑問です。ですから、藤井委員、もう少し発言してもらって、縛るところをちゃんと、どこ縛るのか知らないけれども、しっかり、要点だけして、それでなるべく簡便な方法にして、皆さんが取り組みやすい方法にして、とれた人たちが少しでも喜んでもらえる仕組みにすればいいので、そこだけ外さなければ内容はいいと思います。

 最後に外部評価について申し上げますけれども、外部評価については問題があるということはよくわかっていて、私が最初に言いましたが、外部評価は私が勝手にサボっていたのですという形で、やはり外部評価をされてしまったのはすごくまずくて、前回も言いましたけれども、レベル認定を受けた人が、外部評価委員が行って、その施設がブラック企業だったとするではないですか。そうすると、その外部評価委員はそこから挙がってきたデータで審査会にかかって、その事業所がバツにしてしまうと、せっかくやった介護の職員はキャリア段位の資格をなくしてしまうのです。今の制度は。後出しじゃんけんみたい。これだけは変えないと不公平ですね。1年後に行って、あんた、だめだったでしょう。だめな事業所にいたからだめなの。でも、「だめな事業所しか勤めるところなかったんだもん」みたいなこともあるかもしれないし、ここのところって、やはり外部評価も絶対変えなければいけないというのはよくわかっている。

 ただ、キャリア段位がどういう形になるのかというのがわからないと、どういう外部評価がいいのかという議論にはならないわけですよ。ですから、外部評価の議論は多分、キャリア段位制度全体をどうするかという委員の皆様の御意見がまとまった後、では外部評価については考えますというような話になるのだと思います。外部評価のことを頭に描いてシステム全体を考えるのは、蒸気機関車が先頭にいないで、真ん中にいても後ろにいてもいいという話になってしまうので、議論の順序として、外部評価の議論というのは、制度どうするかと決まってから、最後につけ加えるか、何か後でまた別の機会に考えてもらうか。でなければ、今までやってきた内部評価の経験値をちゃんと統計処理かなんかして、外部評価ってどういうことが必要なのかみたいな、少し時間がかかるかなあと私は思っていますというだけです。済みません。

○山田代理 最後に1つ感想なのですけれども、このキャリア段位制度というのは、いずれにしても、こういう仕組みなど、さらに充実・活用させていって、介護職員の介護の質のレベルをどんどん高めていこうと。みんなが成長して力をつけていくことに職員自体も自信とプライドを持っていく、また喜びを感じていくということが大切なのだと思うのです。それによってさらに成長して、この介護の質が高まっていくのではないかと思います。それは、要は介護職員のステータスを高めていくということにもつながっていく。それがまた量の確保にもつながっていくのではないのかと思うのですが、そこで重要なのは、もう一方では、そのステータスやそれに見合っただけの報酬があるかどうかというのはやはり重要なかぎになるのだと思います。

 これは各事業所が工夫、努力したとしても、確かに、キャリア段位をとったから、イコールで給料が上がるということについては疑問があるのですけれども、でも、実質、実行的な、継続的な、安定的な力がついて質が上がっていくのだとするならば、やはり事業所側としては、頑張っている職員、いい仕事をしている職員には給料を上げてあげたい。だけれども、それはどこからお金持ってくるのかということが一番大きな問題になるのだと思います。介護報酬がどんどん下げられてきている中で、事業所としてはもっと頑張っている職員に出してあげたいけれども、その原資がないではないかという、そこはやはり無視できないのではないか。ですから、キャリア段位制度そのものの充実は進めていかなければいけないのですけれども、今のような経済的な基盤のところもやはり担保していかないといけないというのは強く感じます。

 以上です。

○馬袋委員 先ほどの報酬の加算の課題について、訪問介護で質の評価として、特定事業所加算という加算があります。基本単価に対して、10%、20%アップという加算があります。その加算要件には、訪問介護従事者の研修計画と実施・評価、介護福祉士の資格者割合、重度要介護者の割合などがあり、やっているということを計画し評価し証明していくことが条件になっています。訪問介護事業所が特定事業所加算を取得して、10%、20%の増額の報酬を得て、その報酬分を教育、職員へ報酬還元など質と人材育成していこうという仕組みなのですが、この加算を取得すると、ケアマネジャーの中では単位が高くなるから、あそこは単価が高い事業所だとして事業所の選別として排除されてしまうということがあります。判断として不適切と言ったらおかしいですけれども、確かに利用者の負担が多少増えるからとのことです。私は前職で全訪問介護事業所に特定事業所加算取得を実行しました。そのときに社内から反対もあったのですが、結果、どういうことが起きたかというと、地域から、あなたは加算の事業所で、質が高いのだから、それだけはできるわよねということで、地域の中で認められる、評価されるということに対して当該事業所の職員たちは勉強していかなければいけないという意識がより向上することになり、ある意味、そういった良い結果にもなりました。

ただ、給付限度額などの問題もあり、人材育成、質向上に向けて加算を取得する事業所を紹介しない機運というものもあります。質向上や人材育成として加算取得したら、それは直接利用者負担に含むものなのか、もしくは、別枠なのか、給付限度に影響させるか、しないのか、例えばアセッサーを育成し、人材育成として加算などで評価をするならば、その枠はどのように判断するという、現在の加算の仕組みも整理しておかないと、加算で高いところは除去されるということだけは避けないと、人材を育て、処遇改善など努力したところが除去されるということを間違ってもやってはいけないと。それをよく理解していただくように、行政の人、保険者の人にも、特に利用される方々に正しく説明し、ケアプラン作成するメンバーに理解をお願いしたいと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 質を上げるためには極めて重要な御指摘ですね。最後にありがとうございました。

 ちょうど時間になりました。介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方について、皆さん、非常に、それこそ質の高い発言が続いて、今日の議事録だけでも結構、まとめるのが大変かもしれませんが、御努力ください。

 では、次回の日程について、事務局より説明をお願いします。

○辺見振興課長 貴重な御意見をたくさんありがとうございました。幾つか考え方を整理しなければいけない点があろうかと思います。また、本日、事業者の負担のところの御議論があったわけですけれども、前回、20万人の目標を達成するために年間2万人を養成していくための事業の負担の話も指摘されていたかと思いますので、そういったところも踏まえて制度としてどうしていくのかという観点から、お話の中でいろいろ出ていたかとは思いますので、そのあたりも含めて考え方の整理をしていきたいと思います。

 次回ですけれども、1月18日、月曜日、2時から4時を予定しているところでございます。また改めて場所等を御連絡させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田中(滋)座長 どうもありがとうございました。


(了)

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