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2015年9月29日 第15回肝炎対策推進協議会 議事録

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

○日時

平成27年9月29日(火)15:00~17:00


○場所

全国都市会館大ホール(2階)


○出席者

相澤 好治 (北里大学医学部名誉教授)
大賀 和男 (日本肝臓病患者団体協議会常任幹事)
岡田 京子 (全国B型肝炎訴訟東京原告団)
柿嶋 美子 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
加藤 篤志 (全国中小企業団体中央会理事・事務局長)
清本 太一 (全国B型肝炎訴訟北海道原告団)
小森 貴 (公益社団法人日本医師会常任理事)
曽原 倫太郎 (日本労働組合総連合会労働条件・中小労働対策局長)
武田 せい子 (薬害肝炎原告団)
田中 純子 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授)
西村 愼太郎 (日本肝臓病患者団体協議会相談役)
野宮 隆志 (薬害肝炎原告団)
長谷川 嘉春 (神奈川県保健医療部長)
林 紀夫 (関西労災病院院長)
溝上 雅史 (国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長)
村上 顕郎 (健康保険組合連合会常任理事 )
山中 朋子 (青森県健康福祉部医師確保対策監)
米澤 敦子 (日本肝臓病患者団体協議会常任幹事)
脇田 隆字 (国立感染症研究所副所長)
奈良 雅文 (静岡県健康福祉部医療健康局疾病対策課長)
福吉 潤 (株式会社キャンサースキャン代表取締役)

○議題

(1)肝炎対策基本指針の見直しに向けた議論
   ・委員等からの報告
(2)その他

○議事

○鈴木肝炎対策推進室長 そうしましたら、定刻の前ですが、委員の先生がお集まりいただきましたので、ただいまから第15回「肝炎対策推進協議会」を開催させていただきたいと思います。

 委員の先生方におかれましては、御多用中のところ本会議に御出席いただき、まことにありがとうございます。

 本日は、熊田委員から欠席される旨の連絡をいただいております。

 委員総数20名中19名の委員の先生に御出席いただいておりまして、過半数に達しておりますので、肝炎対策推進協議会令第4条第1項の規定により、本日の会議は成立いたしますことを御報告いたします。

 なお、本日は参考人といたしまして、静岡県健康福祉部疾病対策課長の奈良様、株式会社キャンサースキャン代表取締役社長の福吉様に御出席いただいております。

 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 こちらのとじてあります資料でございますが、1ページ目から4ページ目、目次をめくって3枚めくっていただきますと、

 資料1が1ページ目から14ページ目「静岡県の肝炎対策」となっております。

 資料2が15ページ目から28ページ目「ソーシャルマーケティングを活用した肝炎ウイルス検査 受検・受療率向上の手法」。

 資料3が29ページ目から34ページ目「電話相談記録からみえるもの」。

 資料4が35ページ目から50ページ目、各委員からの肝炎対策基本指針の改訂に関する提案。

 資料5が51ページになりますが、「中国天津倉庫爆発事故によるグラクソ・スミスクライン株式会社のテノゼット錠供給への影響とその対応について」。

 資料6が52ページ目から55ページ目「平成28年度肝炎対策予算概算要求の概要」でございます。

 以上が資料となっております。

 それともう一つ組んでありますものが、56ページ目から186ページ目まで、参考資料1から8までございます。

 以上、お手元の資料を御確認いただきまして、落丁等がございましたら挙手にてお知らせいただければと思います。

 特にございませんでしょうか。ございましたら、途中でもお知らせください。

 そうしましたら、きょうはないようですが、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 それでは、以後の議事進行につきましては、林会長、よろしくお願いいたします。

○林会長 それでは、以後の議事を進めさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の協議会は、前回の協議会でもお話が出ましたように、今後の肝炎対策基本指針の見直しに向けた作業といたしまして、本日は、現場の意見を中心に、いろいろな参考人の意見をお聞きしたいと思っております。そういう御意見を踏まえた上で今後の議論を進めさせていただきたいと思います。

 それでは、本日は現場での御意見をいろいろお聞きしたいと思っておりますので、まず3名の方から御報告をいただきたいと思います。

 最初は奈良参考人でございます。どうぞよろしくお願いします。

(奈良参考人、説明席へ移動)

○奈良参考人

PP

 ただいま御紹介いただきました、静岡県で疾病対策課長をしています奈良と申します。きょうは、貴重な発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 お手元の資料とスライドは同じですので、お手元の資料で御確認いただければよろしいかと思います。

PP

 きょう話すのは「肝炎の状況」と、第2期の肝炎計画をつくりますのでその概要、あるいはキャンサースキャンさんと同時、あるいは肝炎疾患拠点病院で今やっている「たたけ!肝炎ウイルス」の実施ということで、3つ議題がございます。

PP

 これは、肝疾患死亡率を全国と静岡県を比較しております。全国も静岡県もほぼ同様に下がり傾向にあります。こちらに関しては、後で述べますけれども、次回計画では肝疾患死亡率を30.3まで下げることを目標としております。

PP

 静岡県の話をちょっとだけさせていただきますと、県は左右に非常に長い。東西に長いということです。静岡市の赤いところがありますけれども、上も南アルプスがありまして、下は駿河湾まであります。赤いところは、SMR、疾患罹患比が平均より高い圏域を示しております。富士圏域と静岡圏域が赤くなっておりまして、明らかに他の圏域よりは多い。逆に、西のほう、浜松を中心とする西部圏域、あるいは中東遠圏域とかは肝炎が比較的少ない状況にあります。県内の状況はこういうことで地域差がかなりありまして、同じような対応をしていてはなかなか難しいので、県内でもその地域に応じた対策を立てているということがございます。

PP

 次、第2期の策定ということで話を進めていきます。第1期の肝炎対策推進計画は平成24年から始まりまして3年間で終わりまして、今年度27年度から第2期の計画に移っております。

PP

 第1期計画では、ここにありますように、肝疾患死亡率を下げることが第1の目標でございました。そこで4本柱を決めまして、それぞれに数値目標を設定しております。肝疾患死亡率を低減することに関しましては、先ほどのグラフにもありましたように、平成20年から24年にかけまして38.6から34.0に低減をしております。これは達成状況としてはまず問題ないかと考えています。

PP

 ほかの目標がすべていったかというと、そうではございません。4本柱というのがございまして、目標が4つ立ててございます。例えば目標1では、肝炎デー・肝臓週間を中心とする啓発事業ができるかどうか。目標2は肝炎ウイルス検査の陽性患者さんに対して肝臓病手帳を全部交付できるか。目標3はインターフェロン治療。目標4は交流会とありますが、やはり時代の流れとともに全てのことはなかなか。特にインターフェロン治療の地域連携クリティカルパスは今後導入とか発展が難しいだろうという結論になりまして、昨年1年間かけて計画を見直したことになっております。

PP

 これは細かい4本柱であります。これは1期のものですが、これを後で変えまして、柱はそのまま大枠を残した上で数値目標を立てることになります。

PP

 大きな目標、最大の目標はあくまでも肝疾患死亡率の低減でございますので、平成25年の10万人当たりの肝疾患死亡率33.3から30.3に下げるというのが大目標でございます。

PP

 次に、目標の柱というのがあります。4本の柱がありますが、それを一部修正しております。まず、大きな柱を立てます。柱ごとに政策の目標を立てます。数値目標を立てます。具体的な取り組みということで、4本の柱ごとに取り組みを記載しております。数値目標は、前回の計画は全部一新しまして新しいものに変えております。そこで一部アンケートをやらせていただきましたので、その紹介とかもあります。

PP

 これが新しいほうの4本柱になります。ちょっと細かいですので、中は見ていただければいいかと思います。

PP

 そこで、きょう話があるとすれば、その次のスライドにありますとおり「肝炎に対する正しい知識の普及と新規感染予防の推進」。これは4本柱の第1でございます。方向性といたしましては、ここにあるとおり「肝炎の病態や感染経路等に関する県民の理解を深めることで、肝炎に関する偏見や差別を解消するとともに、ハイリスク者の感染を予防する」ということ。これが方向性であって、目標は「最近1年間に差別の経験をした肝炎患者の割合を5%以下にする」と。

PP

 次、第2の柱ということで「肝炎ウイルス検査と受検勧奨と検査陽性者に対する受診勧奨」ということがありまして、フォローアップのことが記載されております。フォローアップ事業は予算化されましたので、ことしから始まっておりますが、やはり全ての市町で実施することは難しいということで、実施主体が県だけでなくて政令市も入っておりますので、いかに政令市をうまく取り込むかということが必要かと思っています。県の保健所については全て実施できていることになっています。

 アンケートはまた後で出しますので、申しわけございません。

PP

 次は、医療の確保でございます。対策の方向性は「肝炎患者様等が、身近な医療機関で適切な医療を継続して受けられる体制を確保する」ということです。肝疾患かかりつけ医というのを結構やっていまして、今や200人近くの肝疾患かかりつけ医がいらっしゃいます。かかりつけ医は手挙げ方式なので、私がなると言えばなれるのですけれども、年に2回ほど研修会をやっていまして、こちらとしては一番新しい情報を記載することになっております。

 現状値は76.9%。273医療機関中210名の方が受講されております。

PP

 「肝炎患者等及びその家族に対する支援の充実」ということで、方向性は「肝炎患者等及びその家族の経済的負担や不安を軽減できるよう支援する」。一応こういうことで目標を立てました。「肝臓病を患うことによる悩みやストレスのある肝炎患者数の割合を30%以下にする」ということで、現状値は43.8%。

PP

 これは実はどうやって調べたかといいますと、今、受給者証の更新の時期になりますと、そこの場でアンケートの手渡しをやっています。実際の数としては、そこに記載があるとおり、昨年の9月1日から1030日の2カ月間という短い間ですが、計画を立てる意味がございましたので短期でやらせていただきました。その目前で配付しまして、後で郵送していただく、あるいはその場で回収ということで、431人の方に調査書を配付しまして112人の方から回答を得ております。回答率は25.98%です。こういう感じでやりまして、こういうことをことしもまたやらせていただきまして、どういう値の数字が出るかをまず見守っていきたいと考えています。

PP

 調査票は簡単なものでありまして、余りいっぱい書いても皆さんなかなかお書きになれないということで、問5までということで、ごく簡単なもので済まさせていただきました。この文面がいいかどうかはまた皆様方の御意見を伺いたいと思います。あるいは、こういうことがいいということがもしあれば、静岡県だけの取り組みでなくて、よろしければの話でありますが、他道府県さんまでもやっていただければどうかなと私は考えているわけです。またそれは御意見を頂戴したいと考えています。

PP

 具体的にはどんなものが来たかというのは、その次に記載がございます。例えば「肝炎ウイルスに感染していることで、差別を受けるなど嫌な思いをしたことがありますか」ということで、赤く囲っておりますが、「最近1年間にある」ということで8.9%です。その細かい内容は右側に書いてございます。今、時間のため、ちょっとはしょりますので、また後でごらんいただければいいかと思います。これの値を数値目標のベースラインとして今後活用したいと思っています。

 こういうことを言っても、では、おまえは何をしてこういうことを減らしていくのだという話になった場合には、一番鍵なのは、医療機関だけでなくて、行政の保健師あるいは職域の保健師、いろいろいると思いますが、そういう方に対してどうやって正しい知識をつけるかという話もあると思います。

 静岡県でも、肝炎コーディネーターあるいはサポーターみたいな感じでかなり養成していまして、主にターゲットを絞っているのは、職域の保健師、産業医。産業医の講習をさせてほしいと頼んでもなかなか受けてくれないのですけれども、あとは市町の保健師さん。特に市町は、ここで言ってもあれなのですけれども、特に乳幼児保健とかそちらのほうにターゲットがあって、肝炎のほうにはなかなか手が回らないというのもあるのですが、やはり保健師さんが対人関係では一番重要ですので、そういう方になるべく講習を受けていただくようにお願いをしてございます。

PP

 こちらは、「現在、日常生活の中で、肝臓病を患っていることによる悩みやストレスはありますか」ということになると、やはり「ある」という方が多い。「ない」という方が44.6%、「ある」という方が43.8%となっています。中身はそういうことで、正しい知識を持っていただければこういう不安は解消されると思うのですけれども、正確な知識がなかなか行き渡らないのかなとも考えております。

PP

 これが推進計画にありまして、今度始まります陽性者フォローアップ。これは、県民の方に提供しまして、検査陽性者をピックアップして治療につなげることでありますが、きょういらっしゃる田中先生の献血者のデータから考えますと、静岡県内にはC型肝炎の患者さんが1万4,000人くらいいるのではないかと考えております。県に出た受給者証の数を数えると4,000人くらい出ている。ということは、あと1万人くらい未受検の方が残っているのではないかという計測を立てております。

 県の中で研究会があっていろいろな先生にお話を伺いますと、最近、経口剤がいっぱい出てきまして、薬がかなりふえたことで、受給者証を申請される方が多いのですが、それが新規の方の掘り起こしにつながっているかどうかということは難しい。静岡県の話ですから、他県はちょっとわかりませんが、今までフォローされていた方が、新しい薬が出ることによって治療機会を得たということがまず考えられるかと思っています。

 市町が行う健康増進事業の中におけるウイルス検査事業とか、そういうことをさんざんやって掘り起こししておかないと、既存者で治療を待っていた方にやってもそれは全部完治すると思いますが、今まで受けていらっしゃらない方にいかに治療を勧めるかというのが今後の鍵だと考えています。

PP

 そこで「『たたけ!肝炎ウイルス』の実施」ということです。後でキャンサースキャンの方が話されると思いますが、こちらとしては、佐賀大学の江口先生が提唱されているこの事業に乗っかりまして、同じような協働をしていこうと思っています。

PP

 こちらにありますけれども、なぜ肝炎ウイルス陽性判明後、受療率というのは向上しないのか。やはり重大性、必要性、緊急性に対する認識が不足しているのではないか。効果的に受療を促進するためには、医療のみならず、マーケティング理論です。我々はなかなかそれがないのですけれども、それは専門家にお任せするとして、対象者に合わせた情報発信が不可欠であると考えております。

PP

 市町担当者会議を何回かやっております。そこで佐賀分科会の江口先生以下の取り組みを紹介しまして、市町の協力を依頼しております。市町の負担としては、送付先の陽性者リストのみをやっていただきまして、費用は研究班で負担する。市町の費用負担はないということ。そこにございますけれども、研究班で封筒への封入まで実施し、市町が宛名ラベルの印刷・貼付を実施する。陽性者の個人情報は市町外には一切出ませんということ。パンフレットは、ほかにもありますが、拠点病院の相談窓口。この相談窓口は結構重要だと思います。あとは、先ほど申しましたコーディネーターとかその辺を生かしまして周知をすることになるかと考えております。また、陽性者からは、直接、市町への問い合わせは行っておりません。今後の検討課題だと思っています。

PP

 それで、こういうことになりまして、分科会でノウハウの提供、費用負担、あるいは県内、市町、静岡県、拠点病院と互いに連携して事業を行っていきたいと思います。そこに「県内市町 22市町」とありますが、その後、時点修正を行いまして、今、26市町が希望することになっております。7市町が「希望しない」、2が「検討中」であります。

 「希望しない」の理由を確認しますと、先ほど地図を申し上げたとおり、県内でも患者がほとんどいない圏域というのが中にはあります。その圏域を所管している市町さんは、うちはそんなにいないからという話になる。いないからといってもゼロではないので、やってくださいという話はしております。

 もう一つは、対象者が多過ぎて手が回らないから堪忍してくれというところもないわけではございません。そちらは、こちらが県として、県民のために等しく医療サービスを提供することで粘り強く働きかけていきたいと考えております。いずれは全市町で行いたいと考えています。

PP

 市町との協力です。過去の治療で完治しなかった人、陽性と診断されたまま放置されている方、あるいはインターフェロン治療の入院や副作用から治療を遠慮した方。という方はHCVを駆除するチャンスでございますので、今後、医療機関の受診を強く勧奨していきたいと考えています。そのためには、県だけが幾ら音頭をとっても難しいので、対人の保健をやっています市町と協力することが必要だと考えております。

PP

 キャンサースキャン様の協力がありますが、こういうリーフレットを作成いたしました。内容といたしましては、まだ完成はしていないのですけれども、肝炎ウイルスは肝炎、肝硬変、肝がんの原因となること、ウイルス性肝炎は治療しないと治らないこと、完治が見込める薬が出たこと、月額1万円、2万円で治療できること、こういうことを基本にリーフレットをつくっております。また、こういうリーフレットを用いて、あるいは今度11月5日にこちらの肝炎の事業で伍代夏子様が県庁を訪問してこういうことのアピールをしてくださることになりました。そういう機会を生かしつつ、県内の肝炎対策に努めていきたいと思います。

 私からの発表は以上です。御清聴ありがとうございました。

○林会長 どうもありがとうございました。

 それでは、御質問がございましたら、お受けいたします。

 どうぞ。

○西村委員 西村です。3点ほど質問したいと思います。

 まずは、患者にとって大変いい対策計画をつくっていただきまして、ありがとうございます。

 1点目は、きょうのスライドの「肝炎の状況」という地図の赤いところと、参考資料の97ページ、肝炎対策推進計画の図5-1で肝疾患で亡くなる人の地域別のグラフを掲載しております。肝炎の患者さんの多い地域としましては静岡圏域と富士圏域になっているのですけれども、肝がんで亡くなる人の多い地域は伊豆半島の南部のほうの賀茂が飛び抜けて多いわけです。この辺の対策というのはどのように考えておられるのかというのが1点です。その差異が何で出てくるのかというのもちょっと聞きたいと思います。

 2点目は、肝臓病手帳を活用するということで、評価のところでも「△」になっているわけですけれども、実際問題として何冊ぐらい普及されているのかということをお聞きしたいと思います。

 最後の質問は、市町の肝炎対策ということで、感染者に対する支援ということが鍵になると思うのですけれども、きょうのスライドの中では、厚生労働省のメニュー事業でありますコーディネーターの養成事業などが説明されておられませんでした。企業の保健師さんを含めて研修を強めているというお話がありましたけれども、肝炎コーディネーターについての取り組みという点ではどうなっているのかという点。あとの肝炎対策の基本計画の見直しのところでも参考にしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○奈良参考人 済みません。まず、資料97ページの件ですが、これは確かに頭の痛いところであります。伊豆半島は人口7万4,000人であります。かかりつけ医の先生を募集していますが、かかりつけ医になってくれる先生はなかなかいらっしゃらない。あと、拠点になる病院がないということが1つの問題でありました。そういうことで、見つけてもなかなか治療につながらなかったという傾向が結構強かったのは間違いございません。

 それで、今度、その地域に保健所長が新しく赴任しまして、各ドクター、医師会を通じまして、かかりつけ医研修を受講することということで、肝炎に対する理解をより一層深めてもらう努力をしております。

 あと、ここに年齢調整が入ってございませんが、年齢調整をしますと、伊豆半島圏域は高齢化率が一番高い。今、40%ぐらいあるかと思っています。

 そういうことも含めまして高くなっているのですが、こういうことが肝炎かかりつけ医、あるいは順天堂の静岡病院さんが近くにございますので、そこと連携して、より対策をやっていきまして、死亡率の軽減に努めていきたいと考えています。

 2番目のかかりつけ医手帳です。今、正確な数は覚えていませんが、3万通ぐらいは一応考えております。かかりつけ医手帳は、西側にあります拠点の浜松医科大学さんが主になってつくっております。先ほど県が一時出しましたのはいろいろな問題がございまして、正直に言いますと、浜松医大さんは一番西の端にありまして、東となるとかなり遠いということで、浜松医大さんの関連病院が実は少ないというのが一つの残念な結果でございます。そういうこともありまして、県庁が旗を振って、医師会なり研究会なりいろいろなところに顔を出して普及に努めているところでございます。

 先ほど軽く市町のコーディネーターの話をしましたけれども、コーディネーターは年間2回養成会をやっております。ここで3年目になりまして、大体1会場50人以上受講されますので、累積すると200人以上が出ていることになります。産業の職域の保健師さんは余りかわらないのですけれども、市町の保健師さんはよく異動されますので、異動したらまた必ず受講してくださいというお話はさせてもらっています。体系的に、佐賀県みたいにバッジをつくるとか、そういうアドバンテージというかインセンティブはまだつけていませんので、今後そういうことが検討になるかと思っています。

 よろしいでしょうか。

○林会長 それでは、時間の関係もございますので、次の参考人の御意見をお聞きしたいと思います。

 次に、福吉参考人、どうぞよろしくお願いいたします。

(福吉参考人、説明席へ移動)

○福吉参考人 

PP

 はじめまして。株式会社キャンサースキャンの福吉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは「ソーシャルマーケティングを活用した肝炎ウイルス検査受検・受療率向上の手法」ということでお話をさせていただきます。お手元の資料をごらんいただいても結構ですし、前のスライドでも変更はございません。

PP

 「ソーシャルマーケティング」という言葉はなかなか聞きなれない言葉なのではないかと思うのですが、端的に言いますと「民間企業で用いられるマーケティング手法を社会課題解決に応用する活動」「対象者のニーズを調査し、ニーズに沿った情報を提供し行動変容を促す」「検診受診、禁煙等の分野で活用されてきた手法」と書いてございます。民間企業は、当然、物を売らないといけませんから、消費者ニーズを調査して、消費者が欲しいといったものをつくるという手法にたけているわけでございます。消費者のニーズを調査して、いい商品をつくりましょうというのは、例えば検診受診をしたいと思う人の数をふやす、禁煙したいと思う人の数をふやすというようなことにも当然使えるだろうということで、アメリカで40年ほど前からスタートいたしました。対象者のニーズを調査して、ニーズに沿った情報を提供していこうと。我々はキャンサースキャンという会社でございまして、がん検診の受診率向上ということに特化して8年ほど活動してきております。

PP

 これはちょっと手前みそなスライドで、弊社の実績みたいなことになるのですけれども、我々はソーシャルマーケティングの手法を活用してがん検診受診率の向上を市町村を支援してやってきているわけです。多くのケースで1.5倍とか、4倍、5倍と大きく受診率を上げてくることに成功してございます。

 そのソーシャルマーケティングの手法をこのたび肝炎対策にどう生かせるのだろうかということでちょっと考えてまいりました。

PP

 指針からこの3つの分野を取り上げまして、そこにおいて何らかの貢献ができないかなと考えましたときに、1つ目は、情報の提供。肝炎に関する正しい知識の普及・啓発を行うということが指針に盛り込まれております。

 2つ目、受検の促進。全ての国民が少なくとも1回は検査を受ける。全ての国民が少なくとも1回というのはなかなかアグレッシブな目標ですけれども、非常に大事だと思っています。

 それから、受診・受療の促進ということ。陽性とわかった方の中でも、全員が受診・受療に至っているわけではないというデータもありますので、そういったことにも使えるのではないかと考えてございます。

PP

 1つずつ取り上げて御説明さし上げたいと思います。

 まずは情報提供です。情報提供のゴールは何かというと、当然、肝炎に関する知識を知っていただくことはとても大事なのですが、結果としては、正しい知識を得ていただいて、正しい行動をとってもらいたいわけです。

PP

 この場合の行動というのは、例えばウイルス検査を受けるとか、肝炎というのは大切なのだな、では、検査を受けようとか。陽性であるということがわかったら、やはり病院に行こうと。そういった行動をとるようになってもらいたいということですが、これがなかなか。知るということと行動をとるということはなかなか一致しない。というようなことは、例えばがん検診の分野でも我々は見てきてございます。

PP

 ピンクリボンキャンペーンというのは乳がんの啓発でとても有名な啓発です。

PP

 これは啓発の効果があって、データをとってみると、マンモグラフィがいいのだということを知っている人が物すごくふえたわけです。たった2年ぐらいの間にこれだけ物事の認知が進むというのは類を見ない大成功なわけですが、いかんせん、それで行動が変わるかというと、まだまだ。ピンクリボンが無駄だと言っているわけではないのです。やはり知るというところからしか始まらないのですが、知るだけで行動が変わるかというと、そうでもない。何となく知っているけどなというところまで行くだけでは、人の行動まではなかなか変わらない。

PP

 本当に大事なことを本当に大事なレベルで伝えることが非常に難しくなっている背景には、総務省のデータがあるのですけれども、世の中に出ている情報の量というのがこの10年、15年で圧倒的にふえているわけです。これは当然、インターネットであり、スマホであり、携帯であり、そういったことですけれども、これだけ情報がふえた中で、大事なことを伝えていく、説得していくことは非常に難しくなってきているわけでございます。こういった状況で、多くを言い過ぎると何も伝わらないという状況が生じております。

PP

 例えば「乳がん検診の御案内」というのが市町村から市民の方に送られるわけです。15年前はこういうチラシでも効果があったのかもしれません。しかし、今、これだけ情報量がふえている中でいろいろな情報が入ってくる。その中で人の認知をかち取らなければいけないという使命を考えますと、これだと文字が多過ぎるのです。人間が一瞬で見て読まずに認知できる文字量というのは14文字と言われたりします。そうすると、14文字以内で1つのメッセージを伝えていかないと、結局何も伝わらない。

PP

 これは研究班でやった研究なのですけれども、調査の結果、こういったことにチラシの文面を変えました。ちょっと読みますと、

乳がん検診のお知らせ

ご存知でしたか?

乳がん検診を受けると、区役所から補助が出ることを。

乳がん検診(マンモグラフィ)は精度の高いしっかりとした検診ですが、

その分、高価な検診です。

10,000円の補助が受けられますので自己負担額1,000円で受診して頂けます

といったことが書かれています。

PP

 前のページのもとのチラシになりますと、乳がんって怖いんですよとか、マンモグラフィっていいんですよとか、そういった情報提供はされているわけですが、ちょっと言い過ぎていて伝わりにくい。これ、実際に調査すると、何も覚えてくれていなかったということがわかりました。

PP

 このように1つのメッセージです。早い話がお金のことしか言っていないのですが、調査をすると、これが非常に受けがよい。

PP

 1万円の補助が出るのだったらとても得だよねということで、1万円を、払った税金を取り戻す仕組みとしての自分事化が進むということもわかりまして、こういうチラシのほうがよりいいのではなかろうかということで、実際、研究班で調査を行いました。

PP

 ある市町村で、もとのチラシを送った1,500人と新しいチラシを送った1,500人で年度末に受診する人がどれぐらいふえるかということを実際に試してみましたら、もとのチラシは1人だったのです。このチラシは毎年使い回していますので、ある意味、同じ人に毎年同じメッセージが行っている。だから、追加で生まれる人というのは少ないというのは当たり前のことです。新しいメッセージを送ったら、やはり130人。ちょっと言葉遊びめいたことではあるのですけれども、こういったこと、要するに1つのメッセージに絞り込んで、それだけ伝えるということがとても大事なのではないか。

PP

 これはマーケティングで当たり前に言われていることではあるのですけれども、メッセージを伝えるために大事なことは、2つ以上を伝えようとするとなかなか伝わらないのです。私、きょうは3つのことを伝えようとして来ていますので、その時点でもう失格なのですけれども、1つのことしか伝わらないということを念頭に置いて、大事な1つのメッセージに絞り込んで確実に伝えていこうというのが前提にございます。それが伝わったのか伝わっていないのか。伝わったのであれば、次の大事なことというのは何かということがわかるためには、事後評価を行うということでございます。

 殊、肝炎に関して言いますと、大事な1つのメッセージの絞り込みというところが、研究でもう少し進めたいなと思っているところでございます。具体的に言うと、メッセージの例としては、かかりやすさ、将来、あなたが肝炎にかかる可能性は何%あるのですよとか、受検するといいことがあるのですよとか、市の検診はほとんど無料で受けられるのですよとか、血液検査なのですよとか、一生のうち1回でいいのですよとか、いろいろなことがあるわけです。全部伝えたい。全部伝えたいのだけれども、全部伝えると何も伝わらない。だとするならば、何から伝えるべきなのかということ。何を伝えると、人が検査を受けたいと思うのかということをエンドポイントにして、どのメッセージが大事かということをもうちょっと絞り込んでいったほうがいいかなと考えてございます。

 1つは、絶対リスクよりも相対リスクのほうが人は行動に至りやすいということが言われていたりもします。例えば、将来あなたが肝炎にかかる可能性は何%ですというよりも、ほかの人に比べてあなたは何倍かかりやすいという相対にしてあげたほうが人は恐怖を感じるというか、重要だなということがわかる。そんな研究結果もあったりします。ですので、1つに絞り込む上で、何に絞り込むのかということも大事なことかと思います。

PP

 さて、1回は検査を受けてもらいたいと。検査のことになるわけです。

PP

 一般的には受検しない人を見たときに、なぜ受けないのかという理由を知りたくなります。理由を知ったら、その理由を超えるべき、受けるべき理由を伝えたいと思うわけですけれども、こういう説得的な手法、受けたくないと言っている人を説得するという手法が本当に正しいのだろうか。

PP

 厚労省さんがデータを出していましたので、それを見てみました。そうしますと、受けたくないと言っている人は実は6.5%しかいない。受けない理由がある場合と、受ける理由がない場合と、実は違うのです。肝炎検査の場合は、受けない理由が余りないのです。ですから、多くの人は積極的に受ける理由がないだけで、ほかの検診を受けるときについてくるならばセットで受ける。わざわざ断るほど嫌ではない。例えば、これが乳がん検診などだと状況が違います。乳がん検診は痛いので受けたくないという人が結構多くいるのです。

PP

 これに比べると、肝炎の検査は、例えば特定健診とセットであれば、特定健診のときに採血しますから、そのときに1つ項目を追加するだけです。本人の意思と余り関係がないわけです。ですから、肝炎の検査は24年度だと110万人ですが、特定健診の受診者は2,400万人いました。ですから、この中の10%が受けるだけで肝炎の検査の受検者数は倍増するということでございます。

PP

 では、市町村はやっていないのかというと、実はやっています。これはある市町村の個別検診を受けられる場所です。何とかクリニック、何とか医院。眼科でもやっているところがあるのですね。こういったところがあって、特定健診が受けられるところは緑の「○」。肺がん検診、大腸がん検診。「○」があるところはこれが受けられますよということで、同時実施というのを多くの市町村ではやっています。肝炎は血液検査ですからほとんどできるわけです。

 同時実施はやっているのですが、望めば同時に受けられるというのが同時実施です。望む人が受けられる状況をつくるというのが同時実施なのだけれども、私が今申し上げているのは、断らない限りはセットでついてくる状況をつくり出すことがとても大事です。特定健診を受けに来た人に「肝炎検査を受けますか」と。「うん」と言わせることは結構難しいのです。だけれども、特定健診を受けてみたら、肝炎検査がセットになってついていたという状況をつくることがとても効果的です。

PP

 これは実は行動経済学の知見にもありまして、とても有名な事例なのですけれども、臓器提供を行う運転免許保持者の割合がデンマークとスウェーデンで全然違う。運転免許を持っている人の中で、デンマークではたった数パーセントしか臓器提供を行わない。スウェーデンは逆なのです。国民性が説明できるほどには小さくないわけです。見てみると、何かというと、運転免許の更新のときにこういうチェックボックスがついています。デンマークでは「同意する場合はチェックしてください」と。スウェーデンでは「同意しない場合はチェックしてください」と。デフォルト設定をどちらにしているかによってこれだけ違うということが言われていますので、特定健診を受けるときにぜひ肝炎ウイルス検査も受けるのがセットになっているという状況。

PP

 受けたくない人は言ってくださいという状況をつくり出すと、当然、受けてもいいよ、どちらかといえば受けてもいい、ぜひ受けてみたいという人たちにきちんと受けてもらえるようになるのではないかと考えてございます。

PP

 最後でございます。陽性とわかった方々を受診・受療に導くということなのですけれども、当然これは陽性者の方々に自治体がフォローアップをする。先ほど静岡県の課長さんからも御紹介がありましたが、これが大事です。

PP

 当然、これは全自治体でやるべきではあるのですけれども、そこにも優先順位というのがあります。

PP

 我々のほうで一旦ちょっと見てみましたのが、これは横軸が1,700の市町村でございます。縦軸がその市町村における陽性者の数。平成22年から25年度の市町村でやっている肝炎ウイルス検査の陽性とわかった人の数の足し上げになってございます。見てみると、これは二・八の法則と言いまして、全体の20%が全体の80%の何かを占めているというのが言えるのですけれども、これもさすがにそうで、20%の自治体で80%の陽性者の方々がそこにお住まいだと。ですから、この一番多い地域でまずはフォローアップを徹底していく。それをほかの自治体に横展開していくことが必要ではなかろうか。

PP

 これをある県でもうちょっと詳細に見てみますと、1つの県の中でこれだけ市町があります。上のほうから陽性者の数が振ってあります。グラフにして見ますと、一番人口の多い3市に陽性者のほとんどがいらっしゃるわけです。

PP

 だから、まずはこの3市町でフォローアップを徹底していくということをやった上で、ほかの地域に横展開していくということが大事なのかと考えてございます。マーケティングはやはり絞り込み、幾つものメッセージを伝えるのではなくて1つに絞り込むこと。全自治体でやることはとても大事なのだけれども、まずここからスタートしていく。

PP

 ある意味、フォーカスをつけていくことがとても大事なことだと言われてございます。ですから、情報提供、受検に関しては、まず知らせるべき1つの大事なメッセージにフォーカスしましょうと。まず「受けてもよい人」のついで受検にフォーカスして、「受けたくない人」を何とか説得するというのはもう少し後の段階にスタートしていってもいいのではないか。

 あと、フォローアップに関しては、陽性者が多い地域にまずフォーカスして進めていくと、限られた資源を効率的・効果的に使えるのではなかろうかという御提案でございます。

 御清聴ありがとうございました。

○林会長 どうもありがとうございました。

 御質問がございましたらお受けいたしますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○大賀委員 どうもありがとうございました。この中で「まとめ」のところにも出てきているのですけれども、表現の仕方として「全ての国民が少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受検する」と。これは1回で済むはずなのです。複数回が理想的なのだけれども、少なくとも1回は受けてくださいよという含みの表現になるのではないでしょうか。少なくとも1回という表現がちょっとひっかかるのです。

○福吉参考人 これは正直、指針の中にそう明記してあったかなと。書いてあるからだと思います。

○大賀委員 そうですか。1回受ければいい検査ですので、「少なくとも一回」というのは表現の仕方としては個人的にはちょっと。

○林会長 そう書いてあるので、そういう使い方を。

○大賀委員 わかりました。

○林会長 ほか、よろしゅうございましょうか。

 それでは、どうもありがとうございました。

○福吉参考人 ありがとうございました。

○林会長 次に、米澤委員から御発表をよろしくお願いいいたします。

(米澤委員、説明席へ移動)

○米澤委員

PP

 日本肝臓病患者団体協議会の米澤敦子でございます。本日は、私が所属しております東京肝臓友の会で火曜日から土曜日まで毎日行っております電話相談の記録から、肝炎患者がどのような状況で、今何を考えているかということを少し御紹介したいと思います。

 まず、内容に入る前に、私たちの電話相談の概要を少しだけお話しいたしますと、電話相談に関しましては25年ほど前からずっと継続して行っております。新薬の発売の関係で、2013年から件数が非常にふえておりまして、2014年度は電話の総件数が1年で2,316件ございました。この状況は現在でも続いておりまして、今月9月は、C型の新しいお薬が出ましたので特に非常に多くなっております。昨日の時点で9月の総件数が260件になっています。

PP

 では、具体的な内容に入りたいと思います。幾つかの項目に分けてお話しさせていただきます。

 まず、治療に関してです。これは特別な内容のものなのですが、節目検診で、C型肝炎なので病院に行くように言われました。節目検診で検査を受けたらC型と言われた。病院に行きなさいと言われたので、かかりつけ医に行ったところ、経口剤治療をすぐに開始した。12週目で突然病院が閉鎖されて、その後の治療は、紹介された専門医で行うことになりました。専門医で初めて、自分がC型肝炎の2型なのに1型の治療を行っていたということを知った。ウイルスはその当時マイナスになっていたので、治療を継続したのです。この治療はトータルで24週の治療ですが、23週でウイルスがまた出てしまいました。これからどうしたらいいかと、この方は泣きながら初めてお電話されてきたのです。自分はC型肝炎の治療のことをもっと勉強しておけばよかったという内容です。これは少し特別な例なのですが、専門医にかかっていなかったということです。ウイルス陽性の段階でスムーズに専門医を紹介するような仕組みができていれば、このような悲劇は生まれなかったのではないかと思います。

PP

 続きまして、また治療ですが、経口剤が保険適用になっているということを全くわからずに、主治医の言われるままにインターフェロン、リバビリンの併用治療を始めました。肉体労働なので副作用がとてもきつくて、このままだと仕事をやめざるを得ない。これは男性です。

 それから、C型肝炎2型にもかかわらず1型対象の3剤治療を開始、途中で本人が気づいて中止してもらった。これも両方とも専門医ではない、消化器内科医の治療です。

 病診連携の仕組みづくりというのは地方によっては全くできていないところもあります。先ほど静岡県のお話もありました。状況として非常に難しいということもあるのでしょうけれども、仕組みづくりそのものがまだまだ未熟なのではないかと思われる事例になります。

PP

 それから、就労に関してです。介護士として内定を受けて健康診断書を提出した後、肝炎のために取り消しになるかもしれないと。内定取り消しの不安です。

 それから、肝炎であることを知らせずに介護ヘルパー職についています。仲間が知られてしまい、解雇されてしまった。びくびくしている。

 それから、B型インターフェロン治療で会社を休職しました。治療後、復職したが、いろいろ言われてやめざるを得なくなった。

 転職を考えているが、肝炎であることを企業に伝えなければいけませんか。こういう問い合わせが非常に多いです。

 インターフェロン治療と仕事との両立が非常に不安である。インターフェロン治療は、今は主にB型の方が行っていらっしゃるわけですけれども、お若い方はB型肝炎の方が多いので、お仕事と治療との両立を不安に思っていらっしゃいます。

 検査通院のため、3カ月に1度会社を休むのが非常に困難である。上司がいい顔をしない。

 肝炎であると知らせておらず、職場での検診を受けたくない。誰にも言っていないので、肝炎検診を職場で行うことになって、肝炎であることがわかってしまったらどうしようと。

PP

 基本的には相談事業ですのでネガティブな内容が多いのですけれども、その中でも、こういった内容のものもあります。肝炎に対する職場での理解を深めるために、肝炎の仲間、同じ職場で同じ病気の方がいらっしゃるということで、啓発活動を行いたい。皆さんに自分たちの病気のことを知ってもらいたい。その際に使用する何かツールのようなものがあったらいいのですけれども、そういうものはありませんかというお問い合わせ。

 もう一つは、治療について上司に相談したら、しっかり直して戻ってこいと、半年間の休職を後押ししてくれました。これは、問い合わせでも相談でもないのですけれども、こういった職場でうまく治療が進んでいるという例も挙がっています。数としてはこういうポジティブなものはやはり少ないのですけれども、こういったものもあります。職場での啓発や、何よりも上司の理解というのが私自身の経験からも重要であると思います。

PP

 それから、偏見や差別に関して。

 これは非常に多く挙がっているのですけれども、歯科医で、自分のときだけ床やいすなどにブルーシートをかけて治療される。

 婦人科で、入院時、大きな声でHBVの人ねと言われた。

 かかりつけ医に肝炎であるということを告げると、もう来ないでくれと言われた。

 ほかの疾患で入院中、点滴の上のほうに「C」と大きく書かれたカードをつけられました。そのときから、ウイルスを排除したいと強く思うようになりました。この方は75歳以上の方で、ウイルスがいたまま亡くなってもいいかななどとずっと考えていたけれども、こういうことがあってから、やはりウイルスを排除したいと思うようになったということです。

 医療機関において差別的なことを言われたり偏見を感じるという患者は非常に多いのです。医療機関における感染症対策実施時の配慮が望まれるところです。

PP

 もう一つ、偏見や差別に関してです。

 企業検診で肝炎と言われました。即時、自宅待機を命ぜられました。産業医に相談した後も同様の回答でした。上司と産業医に抗原や抗体について詳細に記された診断書を求められ、何度提出してもなかなか納得してもらえず、職場復帰をさせてもらえないという電話があったのです。この方は事務職の方で、産業医の基礎的な知識不足があると思うのですけれども、肝炎に関する産業医の知識ですとか情報の徹底をぜひ行っていただきたいと思います。

PP

 もう一つ、偏見や差別についてです。

 数は少ないのですけれども、逆に患者自身の問題。差別や偏見に関して訴える、あるいはお話をしてくださる患者もおります。患者自身が感染についての正しい知識を余り持っていない。患者に対して感染についての正確な情報を知らされる機会が少ない。

 それから、歯科医で順番が最後でないと逆に不安。順番が最後になるということが非常に多いのですけれども、逆に不安であると。肝炎であると念を押してしまった。

 これは余談ですけれども、説明をさせていただきたいのです。歯医者さんが非常にすばらしい環境で治療をされていて、感染症は肝炎だけではないし、肝炎であっても、あるいはほかの感染症であっても黙って治療する患者もいる。ですので、うちでは万全の対策をとっているので何の問題もない、大丈夫ですと言われたということです。

 それから、順番が最後になるなど歯科医での説明不足は改善されるべきだと思いますが、当たり前だという事実を知れば患者が傷つくこともないのではないか。当たり前というのは、先ほどのようなすばらしい歯科医院だけではないわけで、実際は、そういった環境の歯科医院はなかなかなく、たとえ順番が最後になったとしても、患者がそれを当たり前だと受け入れられるようになれば、簡単に傷つくこともないのではないかと。これは私の意見です。患者自身が感染に対する正しい知識をもう少し持てる場があったらいいなと思います。

PP

 それから、ワクチンに関してです。

 家族に感染者は1人もいないのに、子供がB型肝炎と言われ、保育園の入園を拒否された。これは年に数件ですが、やはり継続的に上がってきます。

 母がB型肝炎、出生時ワクチンの不備で子供がキャリア化し、小学校入学時にクラス全員にワクチン接種を行ってもらいました。全員の御両親に理解を得られて非常によかったという好事例です。

 いずれにしても、ユニバーサルワクチンの定期接種化の早急な実施が望まれると思います。

PP

 感染症患者の思い。これは別の項目になりますけれども、このように思っている肝炎の患者も少なからずいるということを少し知っていただきたいと思いまして、お話しいたします。

 中学生のとき、親から自分が肝炎であると言われた。それから、異性との交際や結婚はしないと決めた。人に感染させたくないし、自分と同じ思いをしてほしくない。一生ひとりで生きていこうと思っている。

 つき合っている人に肝炎であることを言っていない。言わなければならないのは理解しているのだが、言えない。「一般社会の理解」と簡単に書きましたけれども、これは非常に難しい問題だと思います。

 それから、先ほど申し上げたユニバーサルワクチンの導入もこの解決法の1つになるのではないかと考えます。

PP

 その他です。

 地域の情報が知りたい、相談に乗ってくれるところはほかにあるか、医療関係者が行っている相談機関はありますかというようなお問い合わせがあります。各都道府県にある肝疾患相談センターのことを皆さん御存じなくて、こういったお電話があると必ず私たちのほうからその方のお住まいの地域の肝疾患相談センターの電話番号をお伝えするようにしています。そうすると、皆さん非常にびっくりされます。そういうところがあるのですねということです。

PP

 最後になります。

 ここ最近非常にふえている問い合わせなのですが、私どものところに、保健所から紹介されて電話しましたという患者がふえてきているのです。内容は、ここにあるように、治療についてとか、医療費助成についてとか、専門医がいる病院を教えてほしいとか、医療費についてといった、肝炎の情報の中でもうんと詳しい治療の情報というわけではなくて、基礎的な内容になるのです。ですので、最低限の情報は保健所において周知していただけたら非常にありがたいと思っています。

 私の発表は以上になります。ありがとうございました。

○林会長 どうもありがとうございました。

 御質問がございましたら、どうぞ。

 どうぞ。

○溝上委員 ちょっとびっくりしたのですけれども、一番最後のスライドの内容は、保健所から東京肝臓友の会に電話がかかってきた内容ですか。

○米澤委員 保健所から紹介されて。その患者は最初、保健所に電話しているのです。

○溝上委員 保健所から東京肝臓友の会に電話がかかってきたわけではないのですね。

○林会長 保健所に電話したのだけれども、保健所がよく説明しなかったので、友の会に聞いてくださいと言ったということですね。

○米澤委員 そうです。

○林会長 ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、どうもありがとうございました。

○米澤委員 ありがとうございました。

○林会長 以上、お2人の参考人とお1人の委員の方に御報告をいただきました。よろしゅうございますでしょうか。

 3人の方に御質問がございましたら、最後にお受けさせていただきますが、よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、次に進ませていただきたいと思います。

 続きまして、資料4でございます。この協議会には患者団体の委員の方が複数御出席いただいております。そちらの委員の皆様方から、ここに「肝炎対策推進協議会 御中」と書いてございますけれども、「肝炎対策の推進に関する基本的な指針」の改訂に関して、こうしていただきたいという御要望等がございますので、御説明をよろしくお願いしたいと思います。

 御発表の方が7名おられるとお聞きしております。私、順番を存じませんので、恐れ入りますが、順次、自分の担当の部分の御発表をよろしくお願いいたします。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○大賀委員 日肝協の大賀です。きょうは、このように時間をとっていただきましてありがとうございます。感謝しております。

 御存じのように、肝炎対策推進協議会の委員として、患者団体からは日肝協3人、B型・C型原告団2人ずつ、7人が患者サイドから委員として出ております。厚労省のほうで来年5月の見直しに向けて作業が進んでいるかと思いますけれども、私たち患者団体3団体のほうで、患者サイドからこの指針を検討し、提案していこうではないかということになりまして、ない知恵を絞りながら、何度も何度も協議を重ねてこのような形で提案した次第です。

 これは全て厚労省にやりなさいということではなくて、患者サイドはこのようなことを考えていますよ、ぜひこれをしんしゃくしながら見直し案のほうに反映してほしい、そのような強い気持ちでいる次第です。きょうは、7人、それぞれ担当を決めて説明をしてまいりますので、ぜひ御理解をと思います。

 最初の1ページ目は、全体的な趣旨説明になります。3点挙げております。

 1つ目としましては、いわば支援の谷間にあると言われています非代償性肝硬変、あるいは肝臓がん患者に対しての支援を十分配慮した内容、見直し案に持っていくべきだ、持っていってほしいというような意味合いです。これまでC型肝炎の経口剤、新薬はすばらしい成績をおさめております。間もなく始まる1錠8万円以上ですか、そういう高額な薬に対しても、医療費支援という形で原則1万円で治療できるというような隔世の感がある。患者にとっては本当にうれしい状況になっているのです。そんな中で取り残されている患者が出てくるという現実を重く受けとめてほしいという意味合いでここに書いております。

 それと、これに関しましては、さきの議会、国会で、私たちは肝硬変・肝臓がん患者への経済的支援とウイルス検診の促進の国会請願を出しておりました。衆議院では残念ながら不採択になったのですけれども、参議院では採択されたという非常に重い意味があるのではないかと思っております。ぜひ厚労省サイドもそこを酌み取っていただければという気持ちでおります。

 2番目、これは私たちが非常に強調しておきたいところです。国が肝炎対策基本法あるいは基本指針をつくって、国・地方自治体・医療機関、患者団体もそれに入っておりますけれども、国を挙げてこの肝炎対策をスタートさせた。その理由は何かというところです。それは、裁判の中で、全てとは言いませんけれども、肝炎ウイルスの感染拡大がこれほどまで全国民に広がっていった理由、そこに国にも責任があるのだと。これは裁判で確定しております。

 そしてもう一つ。肝臓病という病気が肝臓病患者に責任がなくて、医療行為の中で知らないときに知らないうちに感染させられた、そのようないわゆる医原病であるということを私たちは強調したいわけです。国にも責任がある。そして医原病である。こういったところから、国もこの肝炎対策をたくさんたくさん。私たちも感謝の気持ちが絶えないのですけれども、いろいろな施策をしていただいている。それはなぜかというと、このように国にも責任があるということと医原病であるということ、その2つの大きな理由があるからだと思っているわけです。

 この絡みは後の第1で出てきます。

 それともう一つ、3番目に重視しているのは地域格差です。先ほども静岡県から報告がありましたけれども、前回も先進県といわれる佐賀県から報告がありました。自治体によっては余り進んでいない自治体もありますし、そのような地域格差をぜひなくしてほしい。

 この3つの視点から指針が見直されていってほしい、そのようなものであります。

 では、中身に入ります。

 第1です。前半は読んでいただければわかるかと思います。「また」というところはわかりますでしょうか。「また、肝炎ウイルスを排除し又はその増殖を」云々というところです。ここが私たちが特に強調したいところであるわけです。

 その次の下のほうに「また、ウイルス量が低減することにより二次感染の予防につながるという側面がある」と。「側面がある」という言葉があります。二次感染予防につながる側面があるというところをよりどころに、今までの厚労省と患者団体のやりとりの中で、要は経口2剤、インターフェロン治療とか、これまでの治療支援は、感染予防が目的でないと、そのような経済的支援はできないのだという姿勢が厚労省側に見受けられました。その根拠が「側面がある」という表現に結びついていたと私たちは理解しているわけです。

 そこで、たった1文字なのですが、私たちは「側面がある」という言葉を「側面もある」というように表現を変えてほしい。たった1文字なのですが、この1文字の違いによって受けとめ方が相当違ってくる。私たちはそこが強調したいところであるわけです。感染予防対策以外は経済的支援はできないのだという基本姿勢がどうもあるみたいですので、ぜひそこを変えてほしいという気持ちを込めてこういった表現にいたしました。

 第1、終わりです。

 第2、お願いします。

○武田委員 武田と申します。第2についてお話しさせてください。

 「第2 肝炎の予防のための施策に関する事項」についてです。次の39ページのところです。これはB型肝炎のことなのですけれども、「水平感染防止の手段の一つとして、B型肝炎ワクチンの予防接種の在り方について検討を行う」というのですが、検討は時期がもう過ぎていますので、「具体的な水平感染防止策を講じて行く」と改訂したいと思います。

 「(2)今後取組が必要な事項について」というところに「日常生活上の感染予防」とか「研究を推進する」というのがあるのですけれども、ここも、もう研究の推進ができていまして、ガイドラインもできている状態ですので、「研究班が作成した日常生活上の感染予防の留意点を取りまとめた啓発用の資材や、保育施設、高齢者施設など集団生活が営まれる施設での感染予防ガイドラインが実際に活用されるよう、地方公共団体と連携を図り、普及啓発を行う」と。やはり、それだけではちゃんとしたものにならないので、「1年に1度活用状況を確認する」ということを入れていただきたいと思います。

 それと、(2)のイの「ピアスの穴あけ等」のところですけれども、これに続けて、近年はタイプの違うウイルスなどもあったりするので、中学生、高校生の若い方に「保健体育の教科書に感染について知識と情報を盛り込む」ということを入れていただきたいのです。これは、私たちの仲間で委員になっている、2010年7月からあります「薬害を学び、再発防止をするための教育に関する検討会」というのがあるのですけれども、その中で、中学3年生に対して薬害についての勉強をということで小冊子を出しているのですが、学校ではちゃんと使われていなくて、今後、30分のDVDをつくって映像として見せたほうがいいので、そのようにしていこうということが、今、話し合われています。そのようなことも頭に入れていただきたい。中学生や高等学校の若い方が興味を持ってきちっと見ていただけるような状態にしていただきたい。そういう思いで書き込んでおります。

 それと、エのところに「新生児へのユニバーサルワクチンの予防接種を実施する」ということを入れていただきたいということです。

 以上です。

○野宮委員 野宮です。第3についての要望したいことをお話しします。

 細かいようですけれども、39ページの下のほうの「調査及び研究が必要である」というのは、行ってきたので「調査及び研究を行ってきた」と変えさせてください。

 あと、40ページですけれども、前回、指針をつくったときも、たしかこの部分はすごくもめたと思っていたのです。「希望する全ての国民が」の「希望する」という文書を抜かしてほしいと思います。

 また、下のほうの「研究を推進する必要がある」というのは、今までそのような研究とかを行ってきたので、それを踏まえて「地方公共団体や職域での肝炎ウイルス検診に具体的な活用を図る」にしてください。

 また、追加ですけれども、その「国民の肝炎ウイルス検査に係る受検率や検査後の受診状況を把握するための調査及び研究の成果から、地方公共団体や職域に対して受検率と検査後の受診向上に、情報のIT化や体制の整備・拡充等が必要である」と追加することを望みます。

 また、下のほうですが、総論の3で数値目標の設定という項目があったと思うのですけれども、それに準ずるものなのですが、「研修の機会を年に一回以上確保する」という文章を入れていただきたいと思っています。

 (2)のイの部分です。受検に関してなのですけれども、一応具体的に、例えば「体制整備(IT化や個別勧奨におけるコール・リコール制など)の拡充を要請する」、要は、検査してきましたか、検査してきましたよというようなコール・リコール制の拡充を要請するという文章を入れてほしいと思っています。

 ウの部分については、検診のことなのですけれども、特に職域だと個人情報保護の考えがありますので、個人情報の保護に関して配慮してほしいという文章を入れています。

 また、41ページの上のほうのカの部分です。ここの部分は、具体的には、例えば電子カルテを利用した「通知・説明」のアラーム表示等のシステム構築を含め、全ての受検者に手術とかで行われた肝炎ウイルス検査の結果を説明するように、漏れがないようにしてくださいという文章を入れています。

 また、キについて追加ですけれども、「研修内容については速やかに公開すること。研修会の受講状況を毎年公開することを要請する」という文章を入れていただきたいと思います。

 以上です。

○西村委員 日肝協の西村です。「第4 肝炎医療を提供する体制の確保に関する事項」について説明させていただきます。

 「(1)今後の取組の方針について」の第2段落目ですけれども、ここを「地域における肝炎診療ネットワークの構築を進め」という下線の部分を追加して改訂していただきたいと思っております。特にこれは、ウイルス陽性になった方については1度は専門医療機関にかかっていただいて治療を決めていただく。もう一つは、肝炎の専門医療機関の技術、レベルの問題ですけれども、要件を満たしているかどうかということについて点検をして、その結果について公表してほしいという問題です。

 第3段落目ですけれども、フォローアップ事業についてです。厚労科研の研究成果がいろいろ出ておりますので、それを取り入れて受診率を向上するようにして、それを検証していただきたいということ。

 第4段落目ですが、ここは必要な働きかけを行うとともに、これまでに実施された行政研究の結果と今後の研究の積み重ねによって、就労支援の仕組みが早期に構築されるように努めていただきたいということです。

 第5段落目は、抗ウイルス療法についてですが、医療費助成と諸制度の周知をするということと、先ほど米澤委員からも報告がありましたように、適切な治療が進むように、地域格差をなくすように取り組んでいただきたいということです。

 「(2)今後取組に必要な事項について」です。第5章でも触れておりますが、コーディネーターの養成につきまして拡充をしていただきたいということで書き加えをお願いしたいと思います。

 第2段落目ですけれども、肝炎手帳の問題です。肝炎手帳につきましても、陽性者全てに行き渡るようにするということと、陽性の方が必要な医療機関を受けられるような支援をする手帳にしていただいて、病診連携が進むような形の手帳をつくるよう、国がまずモデル案を示していただくということを書き加えております。

 ウの追加ですけれども、研修の問題です。これは、肝炎対策に係る医療従事者を含めて、行政関係者も含めまして、研修のあり方についての行政研究を進めていただきたいということをつけ加えていただきたいと思います。

 エですが、その成果物を活用して、クリニティカルパスの問題です。都市部と郡部など、地域の形態に応じたパスをつくりまして、診療連携体制の強化を支援する、そういうのに追加をしていただきたいということです。

 それから、43ページになりますが、カの部分です。就労支援の制度につきまして、モデル就業規則の作成と普及といった具体的な取り組みを盛り込んでいただきたいということです。

 それから、キの医療費助成問題ですが、高額療養費制度とあわせて、後期高齢者利用制度についても明記をしていただきたい、追加をしていただきたいということです。

 それから、追加事項ですが、ケとして、肝疾患連携拠点病院の診療機能とその役割を明確にして、連携の現状を把握して公表していただきたいということと、都道府県とともに、肝疾患診療内容の均てん化に努めるというふうに追加をしていただきたい。

 コとして、追加です。市町の問題ですが、地域格差が出ないように一次医療圏ごとに医療体制の現状を定期的に把握して、医療提供体制が不十分な地域に対しては、地方自治体ともに地域格差の解消に努めるということを追記していただきたい。

 サとして、肝疾患相談支援センターの体制と相談実積を調査し、患者や家族が利用しやすい相談支援体制を構築する。その際、各センターの相談窓口、受付時間、相談受付方法等について、都道府県と連携して、わかりやすい情報提供に努めるようにしていただきたいと思います。

 続きまして、シですが、追加事項です。「都道府県は、国の通知する肝炎患者等支援対策事業実施要綱に沿って、肝炎対策協議会を運営し、患者委員の参画のもとに、各自の肝炎対策を検討すべく努める」というのを追加していただきたい。

 以上で第4章について説明を終わります。

○清本委員 北海道原告団の清本です。第5について説明させていただきます。

 「肝炎の予防及び肝炎医療に関する人材の育成に関する事項」、左側の6行目の後半からの「肝炎ウイルス感染が判明した後に適切な肝炎医療に結びつけるための人材を育成する必要がある」の部分に、治療だけではなく、精神的な悩みとか長期的な治療を要するものですので、精神的なケアも必要だということ追記していただきたいと思います。

 具体的に言うと、私の住んでいる札幌では、フォローアップのときに感染者の方に手紙を出すのですけれども、その最初の文面が「フォローアップ事業に参加していただきありがとうございます」という文面でした。私自身は献血でB型肝炎である事を知ったのですけれども、B型肝炎とわかっても怖くて病院にも行けなかったところに、「ありがとうございました」という文章ではなくて体の心配をした文章をつくってほしいというお願いをしたりしました。そういう細かいケアができる肝炎に関する行政、医療機関での人材を育成してほしいという願いであります

 「(2)今後取組が必要な事項について」は、今の指針では研究に重きを置いていたと思うのですけれども、その成果が出てきておりますので、その成果を実行していただきたいという趣旨でございます。

 イに関しましては、肝炎コーディネーターに関する指針も盛り込んでいただきたいということで追記していただきたい項目であります。

 第5に関しては以上でございます。

○岡田委員 B型原告団の岡田です。「第6 肝炎に関する調査及び研究に関する事項」についてです。

 「(1)今後の取組の方針について」。基本指針策定時に掲げられた行政研究は一定の成果がもたらされておりますので、それらの中に、1、具体的措置の実施、2、新たな項目の研究、3、研究の継続が必要とされるものがあり得ると思います。

 そこで、2の新たな項目の研究と3の研究の継続に該当する項目が何であるかを評価した上で、今後の研究課題を明らかにする旨を記載すべきであるということを提案いたします。

 (2)のアとウは省略します。

 「(ウ)地域における診療連携の推進に資する研究」については「診療連携の推進については研究を継続すべきである」。

 そして「(エ)職域における配慮の在り方については、ウイルス検査の受検・陽性者フォローアップ、治療と就労の両立等のテーマを中心に引き続き研究すべきである」。

 そして(カ)。これは「藩」という字が間違っておりますが、「龍岡班研究の結果に基づき、偏見・差別防止のためのガイドライン作成を目的とする研究を開始すべきである」。

 次に、新たなテーマですが、「(キ)肝炎診療に関する正しい知識が医療従事者一般に効果的に広まるための研修のあり方についての研究」の追加を提案いたします。

 そして「第7 肝炎医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項」ですが、研究開発には、医薬品のほかにも治療法ということもあると思いますので、こちらは「医薬品等」に変更していただきたいと思います。それに伴いまして、(2)のアとイに対しても「治療法」という言葉を追加していただくようにお願いいたします。

 そして「(1)今後の取組の方針について」です。総論のところにも出てきましたが、C型の経口新薬を初めとする治療薬や医療提供体制の進展は目覚ましいものがあり、また、ウイルスを排除できる治療薬がいまだ開発されていないB型肝炎患者にとっては、画期的な創薬研究の進展が何よりも待ち望まれている。これらの視点に基づいた改訂といたしまして、(1)に「近年のC肝経口新薬の承認・実用化、B型肝炎の創薬研究の動向についても言及すべきである」ということを盛り込んでいただくことを提案いたします。

 以上です。

○米澤委員 日肝協の米澤です。第8、第9を、時間がありませんので簡単に御説明させていただきます。

 「第8 肝炎に関する啓発及び知識の普及並びに肝炎患者等の人権の尊重に関する事項」。こちらには「人権の尊重」ということが明記されておりますので、その下の(1)におきまして、肝炎に関する正しい知識の普及については「人権を守るため」という文言を加えています。

 それから「(2)今後取組が必要な事項について」は、具体的な内容になりますが、アの肝臓週間というところに具体的に内容の提示を行っています。「患者団体等の活動と連携し、マスメディアや公共の場所、公共交通機関などの人が利用する機会が多い施設・場所等も活用し、集中的な普及啓発を行う」。

 少し飛ばしまして、一番下になりますが、エ。こちらは次のページに行きまして、受診勧奨についてですが、国民の誰もが自分のこととして捉えていただけるように「多くの国民が肝炎患者等になる可能性があること」という文言を追加しています。

 ちょっと飛ばしまして、コの部分。これは、先ほど第7でも触れましたが、龍岡班研究についてです。これはもう既に研究を終了しておりまして、報告書も出されておりますので、その報告書に基づいて「サ 国及び地方公共団体は、偏見差別被害防止ガイドラインが作成される以前の段階から、歯科医療等の医療従事者に対して、標準予防策等の感染防止措置の理解を徹底し、HBワクチン接種の普及をすすめることにより、肝炎患者が偏見・差別と受け止めうる事態の発生を防止するとともに、肝炎患者を含む国民に対して、標準予防策等の感染防止措置の意義とウイルス性肝炎に関する正確な知識を普及・啓発することにより、肝炎患者が偏見・差別と感じる精神的負担を減少させ、あわせて肝炎患者に対する国民の中の偏見・差別の軽減を図るものとする」を追加しています。

 それから、1つ飛ばしまして、ス。これは医療費助成の根拠ともなるものですので、ぜひ追加していただきたい内容です。「国は、肝炎に係るウイルスへの感染については、国の責任により肝炎ウイルス感染被害が生じたという歴史的事実及びその教訓について、普及啓発を行う」の一文を追加していただきたいということです。

 それから、第9にまいります。48ページです。(1)「ア 今後の取組の方針について」。先ほど私が発表したピア・電話相談事業だけではなくて、全国の患者団体はそれぞれに活動を行っておりまして、その活動は非常に多岐にわたっております。ということで「さらに、肝炎患者等が組織する患者団体が実施する患者同士の交流活動や医療講演会、患者・家族を対象とする相談活動が有する意義に鑑み、こうした患者団体への支援に取り組む」を追加していただきたいということです。

 それから、最後になりますけれども、49ページ、ウの部分です。これは身障者手帳についてです。きょうの午前中に第4回肝機能障害の認定基準に関する検討会がまさに開かれまして、検討会による新たな認定基準が発表されました。その認定者について「自立支援医療の対象となっており、肝硬変及び肝がん患者の生活支援として適切に機能しているか否かを検証しつつ当該措置を継続する」と改訂していただきたいということです。

 以上です。

○林会長 ありがとうございました。

 それでは、今の御説明に御質問等がございましたらどうぞ。

○大賀委員 1つ訂正があるのです。

○林会長 どうぞ。

○大賀委員 申しわけありません。38ページをちょっと開いていただけますでしょうか。38ページの右の欄の上から2行目に「肝炎対策に特化した指針」とあります。申しわけありませんが、これを「計画」に訂正していただけますでしょうか。よろしくお願いします。

○林会長 はい。

 ほかに御質問ございますでしょうか。

 1点、西村委員に御質問があるのです。43ページのシのところです。4行傍線が引いてございますが、下から2行目の「各自の肝炎対策を検討すべく努める」と。この「各自」の意味がちょっと理解できないのですが、これはどういうことでしょうか。

○西村委員 これは「各地」です。

○林会長 わかりました。市町村とか、そういうことですね。

○西村委員 はい。

○林会長 「各自」ではなくて「各地」ですね。

 ほかに御質問ございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、ございましたら、最後にお聞きいたしたいと思います。

 次は、資料5でございます。事務局から御説明をよろしくお願いいたします。

○鈴木肝炎対策推進室長 資料5について御説明させていただきます。51ページ「中国天津倉庫爆発事故によるグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)のテノゼット錠の供給への影響とその対応について」でございます。

 皆様御存じのとおり、本年8月12日に中国天津倉庫爆発事故がございました。この爆発によりましてテノゼット錠の製造工場が被災いたしまして、製造及び出荷が停止している状況でございます。当該工場の稼働の見込みは現状では立っていないということでございます。

 現在、GSK社におきまして、継続投与が必要な患者さんへテノゼット錠を届けるために、卸への出荷制限、MRによる医療機関への供給制限に係る情報伝達など、それから、処方期間の短縮、新規患者への投与を控えることの協力依頼が行われております。

 これに並行いたしまして、テノゼット錠につきましては、国内に供給するために、品質の確認が必要ではありますが、天津工場で既に製造され保管されていたロットの出荷が1カ月半分の供給量に相当するそうでございます。これと、天津工場以外の工場における製造。こういった方策を検討しているところでございます。

 厚生労働省は、医政局経済課医薬食品局審査管理課、そして我々の肝炎対策推進室等の関係する部署ということでございますが、速やかにテノゼット錠の国内供給が再開できますようにGSKに早急な対応を求めているところでございます。天津工場以外のルートで輸入が可能となった際には、医薬医療機器法において手続を可及的速やかに進めるなど、テノゼット錠が必要とされている患者さんが困らないような迅速な対応を図っていくこととなっております。

 このような形で、天津の爆発事故に伴いましてB型肝炎の皆様方のお薬というところにいろいろな問題が起こっておりますが、このような対応をしているという現状の報告でございます。

○林会長 どうもありがとうございました。

 B型肝炎の患者さんは少し不安に思っておられると思いますけれども、現時点で厚労省がメーカーからお聞きしている情報はこういう情報だそうでございます。御質問がございましたら。よろしゅうございましょうか。

 どうもありがとうございました。

 続きまして、52ページになりますけれども、事務局から「平成28年度肝炎対策予算概算要求の概要」をよろしくお願いいたします。

○鈴木肝炎対策推進室長 52ページを開いていただきたいと思います。「平成28年度肝炎対策予算概算要求の概要」でございます。

 下を見ていただきますと、来年度、平成28年度概算要求は222億円という数字になっております。ちなみに、今年度、補正予算を含んでおりますが、207億円という規模でございましたものが222億円という概算要求を行っております。

 右側にこの項目があるのですが、重立ったところを説明させていただきます。

 最初に、肝炎治療促進のための環境整備。ウイルス肝炎に係る医療の推進ということでございますので、これが128億円。いわゆるインターフェロンフリー等に対応するためのお薬の治療費の助成でございます。こちらの図にございますとおり、インターフェロンフリー治療は今年度いろいろ出てまいって、C型肝炎につきましては、1型、2型というところが対応できるようになりました。治療効果も高いお薬。これからも承認申請が行われるものがございますが、こういったもの。それから今まで待機していた患者さん方に対応するために、こういった金額が必要なのかということで要求しているものでございます。

 続きまして、下の定期検査費用助成の拡充でございます。今まで定期検査の費用につきましては、住民税非課税世帯の方だけが年2回定期検査が受けられました。この真ん中の四角にございますが、27年が今のお話でございます。住民税非課税世帯が無料で2回の検査を行えます。

28年の概算要求におきましてはこの対象の拡充を行っております。住民税が年額235,000円未満の方々は、無料でなく、1回当たり1,000円の負担をしていただきますが、年に2回、1,000円の負担の方向で概算要求をさせていただいております。こういったことを進めることでスクリーニング等々を促進しまして、重症化を防止していくということを進めたいと考えております。

 続きまして、54ページでございます。肝疾患診療体制の強化でございます。こちらは拠点病院の関連の予算でございまして、前回も事情を御説明させていただきましたが、我々どもの行政事業レビュー公開プロセスというものが5月、6月ごろにございました。この中で、拠点病院の事業の見直しという形が出ております。見直しのときに、拠点病院、それぞれいろいろと頑張ってはいるのですけれども、横のつながり、横との水準化といったところは誰かがちゃんと見ていかないといけないのかなと。扇のかなめになるようなところが必要だろうということから、肝炎情報センターがそういったところをしっかりやっていく必要があるのかということでございます。

 2点目でございますが、今まで拠点病院が一つ一つ点でやっていたものを面でどんどん進めていかなければいけないのかなと。例えば患者さんの相談件数が2万件頭打ちというのは前回も御説明したところでございます。きょうもたくさんお話に出ていますが、コーディネーターの方々を養成して、養成しただけではなくて、このコーディネーターの方々が相談できるような相談支援センターにしていくとか。それから、産業医とかいろいろなものが出てまいりましたが、一部の拠点病院では事業場に出前講座を持っていったりしている。こういったような取り組みを面という形でうまく地域で支えていくような形にしていく必要があるのかなということを考えております。

 それから、3点目でございますが、KPIの問題がございます。これは患者さんの相談件数だけで今まで評価をしておりました。これですと、確かに数も当然ふえないのでありまして、さらにいろいろやっているところの評価がなかなかできないということがございます。先ほど申し上げましたようなことをこれからこのKPIも考えていくわけでございますが、PDCAサイクルを回して、皆様方がいろいろと考えている、そして持っていきたい方向の指標となるような形にしていく必要があるのかなということを考えています。

 このようなことから、その下に「新」という形で2つの予算に分断されておりますが、肝炎情報センター戦略的強化事業、肝疾患診療地域連携体制強化事業という形の2つの予算に分けております。

 1つ目の肝炎情報センター戦略的強化事業は、次のページになりますが、右側に大きな図で出ております。今まで肝炎情報センターでやっていたこと、人材育成ということで研修をちょろちょろとやっていた感じでございますが、もう少し拠点病院を後ろから支えるような形、そして、そういった人材育成は拠点病院もいろいろやっているわけですが、こういったところが横との差がないような形に持っていけるような形の支援をする。こういった事業に切りかえまして、1億2,000万円というものにしております。

 それから、1ページ戻っていただきます。肝疾患診療地域連携体制強化事業というのが下にございます。こちらは、今までどおり、コーディネーターの養成とか、都道府県を通じまして拠点病院がやっているものでございますが、こういった養成をしていく。それから、相談支援センターというものを設置していく。こういったことをこれからも拠点病院にしっかりとやっていただくという予算。これが4.5億円という形の2つの項目に分けて要求させていただいているものでございます。

 以上の形をとりながら、拠点病院、きょうもいろいろと御意見をいただいたところでございますけれども、機能強化、面的なサポートをしていくという形を強化していくことで肝炎対策を推進していくということにつなげられればなという形で考えた予算でございます。

 以上でございます。

○林会長 ありがとうございました。

 御質問、何かございますでしょうか。

 どうぞ。

○西村委員 日肝協の西村です。

54ページ、55ページに関連したことですけれども、都道府県の肝疾患地域連携拠点病院が1カ所以上ということで置かれておりますが、そこの陣容がなかなか大変で、診療活動をしながら相談事業、市町の相談支援員さんの養成や研修などを行っておられますが、具体的にそういうところにお金とか人の面で増加できるような具体的な計画というのはあるのでしょうか。

○林会長 どうぞ。

○鈴木肝炎対策推進室長 これは金額で見ていただきますとふえているわけでございませんので、お金がただ単に行くという形ではございません。ただ、養成するときに、ある地域ではしっかりやっているものがほかでは実行できていない、こういったところをこういうやり方をしたらどうだというような形の強化をするということは行っていきたいと考えております。

 いずれにせよ、そういった形の機能の強化を通じて、均てん化、地域の差というのはきょうもお話に出ておりますが、そういったものを1つでもなくしていくような形を念頭に置いております。

○林会長 ありがとうございました。

 それ以外に御質問よろしゅうございましょうか。

 それでは、本日予定した議題は以上でございます。委員の先生方で何か御発言がございますか。

 どうぞ。

○米澤委員 それ以外の諮問になりますが、よろしいでしょうか。

○林会長 結構です。

○米澤委員 C型肝炎の経口剤の再治療につきまして、前回の戦略会議において、拠点病院を通して処方するという内容で決定したというように傍聴していて私どもは把握しております。これについては、資料の141ページに書いてあります。158ページに再治療で医療費助成を申請する際の診断書がありますが、診断書において、この部分が全く反映されていないのではないかと。それが1つ疑問ですので、質問したいと思います。

○林会長 再治療で、肝炎拠点病院で処方するという話でなくて、肝炎拠点病院の肝臓専門医で何らかの承認を受けるということで一応結論が出ております。

○米澤委員 はい。失礼いたしました。

○林会長 それに対して具体的にどうされるかということをお聞きしているのですね。

○米澤委員 そうです。具体的に手続上どうされるかということ。

○林会長 よろしくお願いします。

○鈴木肝炎対策推進室長 今の御説明はちょっとわかりづらかったので、繰り返しさせていただきますと、インターフェロンフリー治療をやるときに、現状では、まず肝臓専門医か、あるいは都道府県が認めた方が診断書を書いてくださいということが事業要綱上書かれております。フリーの治療は全てそういう形なのですが、フリーの治療は今回いろいろお薬が出たことで、Cにつきまして2回目のインターフェロンフリーの治療を受ける方が出てくる。この2回目の治療を受ける場合というのは、薬剤体制の話ですとか、そういった問題があることから、戦略会議の中で、そういったことを専門的にわかる人が裏打ちをする必要があるだろうということ。我々肝臓専門医とそれ以外の方々の診断書ということだったのですが、先生方の御意見の結果、拠点病院に意見照会をして、その意見書をつけた上で申請しろというような仕組みをつくるという形になったものでございます。

 これにつきましては、現状、まずインターフェロンフリー治療につきまして、もう既に待っておられる方、特に1回目の方々につきまして治療を早くしっかり進めさせていただくことが必要でございますので、要綱上改訂を進めていて、遡及が可能という形で対応しております。

 一方で、今の意見照会につきましては、これまでにまだつくっていなかった制度でございますので、これは事務連絡で、現状ではその申請についてはまだ動いておりません。これは、現在、そのフォローアップ、当然、大勢の方々をフォローアップしていくということも必要でございますので、研究班等を動かす予定でございまして、これの立ち上げ。そういうのをした上で、書面等々をしっかりとつくらせていただきながら、それができ上がってから開始という形になるものと考えております。遅くても年内には始まると思っておりますが、現状ではそうなっております。

○林会長 これは以前にも話が出ていたと思うのですが、かなり難しい問題です。現時点では再治療については医療費助成の申請ができない状況になっていますので、ある程度システムが構築できた上でできるということになります。もちろん、初めて治療される方は全然問題ないということになります。

 それ以外に何か御質問ございますでしょうか。

 どうぞ。

○清本委員 キャンサースキャンさんの24ページの肝炎検診の御報告は、提案に近いと思うのですけれども、断らない限りは肝炎検診がセットでついてくるというのは現実的に日本でできそうなのでしょうか。

○林会長 参考人、いかがですか。お答えいただいてもよろしいですか。

○福吉参考人 私の知る限りでそのようにやっている市町村もなくはないのですけれども、課が違うというのが結構あって、特定健診は国保課が担当していて、肝炎ウイルス検査は健康増進課がやっていたりとかしますので、そこの連携が進まないとなかなか難しいという問題はあるようです。この辺は、国としてそのように進めていくのだということがあるととてもいいのではないかと私は思ってございます。

○林会長 よろしいですか。事務局に答えていただきましょうか。

○鈴木肝炎対策推進室長 できるかどうかと言われれば、きょう御提示いただいたもので、確かにこのようにすれば率は上がるのだろうなと考えておるのですけれども、検討するということの1つだとは考えております。

○林会長 どうぞ。

○大賀委員 今、患者団体から厚労省に出された見直し案について、現時点でどのような受けとめ方をされているのか、話せる範囲で、ぜひ室長のお言葉をお伺いしておきたいなと思います。よろしくお願いします。

○林会長 きょう御提示いただいた分ですね。

○大賀委員 そうです。

○鈴木肝炎対策推進室長 きょういろいろ御丁寧にお話をいただいたところをこれから検討するということでございまして、当然のことながら、全く聞かないつもりということはございません。ただ、できることもあるし、できないこともあるのだろうと考えておりますので、それは一つ一つ見させていただくということが必要なのかなとは考えております。

○大賀委員 よろしくお願いします。

○林会長 それ以外に何かございますか。

 どうぞ。

○西村委員 厚生労働省の組織がえが10月に行われるということを聞いておるのですけれども、肝炎対策の関係を含めて御説明できる部分でお願いできたらと思います。

○伊原総務課長 総務課長でございます。

 今、御質問がありましたように、10月から健康局が大きく組織再編されます。実は、今、健康局というのは総務課以外にも、がん対策・健康増進課とか、疾病対策課とか、結核感染症課といった形で分かれているのですけれども、今まで保険医療部門が3課だったのが4課に再編成することになります。その中で、肝炎に関しては、今、2つの課に分かれているのです。きょう、鈴木室長がいますが、肝炎対策推進室というのは田原課長の疾病対策課というところでやっていますし、今、田中さんがあそこに座っていますが、B型肝炎の給付金については感染症対策だと位置づけて結核感染症課というところでやっています。正直申し上げて、裏表がございますので、1つのところでやったほうがいいということで、10月からはがん・疾病対策課という課が新しくできます。そこで肝炎対策は一元的に行うことになります。2人の室長がそれぞれ同じ課のもとで肝炎対策を担っていくようになる予定でございます。

 ちなみに、それ以外の課はどんな課ができるかと申しますと、健康課という課ができます。健康局健康課という形で予防対策をやる課ができ、それから、今申し上げたがん疾病対策課という課ができ、あと、難病の法律が去年通りまして、この1月からスタートしていますが、難病対策課という課ができます。そしてもう一つが感染症対策をやる結核感染症課。こういう4課ができます。

 ちなみに、健康局にはこのほかに水道課と生活衛生課という課があるのですけれども、こういう物を相手にする公衆衛生対策は、今度は、医薬安全局が組織がえになりまして、そちらのほうに移ることになります。そういう意味で、健康局は、人の健康を直接扱う部門として再編成することになります。

○西村委員 ありがとうございます。

○林会長 ほか、よろしゅうございましょうか。

 それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。前回お話しさせていただきましたように、次回の協議会において見直しの骨子案について議論をしていただく予定にしております。本日いろいろな意見をお聞きできましたので、事務局のほうで整理をしていただきまして、次回に御提案いただくということにさせていただきたいと思います。

○大賀委員 先生、最後にちょっとお願いしておきたいのです。

○林会長 どうぞ。

○大賀委員 厚労省のほうにお願いしておきたいのですが、よろしいですか。

 資料提供の時期なのですが、今回の肝炎対策推進協議会の資料提供も、私たちのほうに内容が通知されたのは金曜日なのですね。にっちもさっちもいかない。私はパソコンの事情でとうとうきょうまで開けなかったのですけれども、そういう事情ですので、資料提供に関しましてはぜひもうちょっと早目に提供してほしいということ。特に次回は、見直し骨子案が出るはずですので、今まで以上に開催日の前にぜひ提供してほしいという要望です。お願いです。これはぜひともやってほしいと思っております。

○林会長 それでは、これで終わらせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。


(了)
<本件に関する問い合わせ先>

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

新川智之: 代表電話: 03-5253-1111(内線2948 )

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