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2015年11月18日 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会(第2回)

○日時

平成27年11月18日(水) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○出席者

委員

松原委員 秋山委員 泉谷委員 磯谷委員
井上委員 奥山委員 加賀美委員 加藤委員
木ノ内委員 草間委員 笹井委員 佐藤委員
塩田委員 菅野委員 辰田委員 西澤委員
浜田委員 平井委員 平田委員 藤川委員
藤林委員 藤平委員 卜蔵委員 星委員
松本委員 武藤委員 山田委員

参考人

井上 保男所長 (神奈川県中央児童相談所)
高場 利勝所長 (横須賀市子ども育成部児童相談所)
八木安理子主幹 (枚方市子ども青少年部家庭児童相談所)

オブザーバー

法務省
警察庁

厚生労働省

香取雇用均等・児童家庭局長 吉本大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当)
横幕総務課長 源河総務課調査官
大隈家庭福祉課長 一瀬母子保健課長
田村虐待防止対策室長 小松虐待防止対策室長補佐
芦田虐待防止対策室長補佐 竹中少子化総合対策室長補佐
大津総務課長補佐 寺澤家庭福祉課長補佐

○議題

(1)自治体関係者からのヒアリング
(2)各ワーキンググループの検討結果
(3)意見交換
(4)その他

○議事


○小松虐待防止対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第2回「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 なお、本日、岩佐委員、岡井委員、作本委員、中板委員、藤林委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 恐れ入りますが、カメラの撮影は、ここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○小松虐待防止対策室長補佐 初めに、委員会の運営に当たり、委員の皆様へお願いがございます。視覚・聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から御発言等をされる場合には、発言者は挙手をする。挙手をした発言者に対し、委員長から指名する。指名を受けた発言者は、氏名を名乗ってから発言するとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。

 最初に、資料の確認をさせていただきます。

 配付資料は、座席表、議事次第と、それから、本日、ヒアリングにお越しいただいている自治体の方々の一覧表、それから、資料1としまして、枚方市、八木様からの提出資料。

 資料2といたしまして、報告骨子(案)。

 資料3、委員提出資料でございます。

 委員提出資料は、秋山委員、泉谷委員、磯谷委員、岩佐委員・浜田委員連名の提出資料、岩佐委員、加藤委員、木ノ内委員、辰田委員、中板委員、平田委員、武藤委員から御提供いただいております。

 それから、参考資料といたしまして、事務局から児童福祉法、児童虐待防止法の理念、年齢関係、国家資格関係、児童相談所関係、司法関係、在宅支援関係、自立支援システムの構築関係の資料を配付しております。

 資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 なお、本専門委員会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただいております。

 それでは、この先の議事につきましては、松原委員長にお願いいたします。

○松原委員長 お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

 それでは、第2回の新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会、議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。

 早速ですが、自治体関係者からのヒアリングを、まず、行いたいと思います。

 本日は、神奈川県横須賀市、枚方市の御担当者にお越しいただいておりますので、後ほど、説明をお願いしたいと思います。

 その後、9月30日から1112日までの間、それぞれ4回ずつ行いました、2つのワーキンググループでの検討結果などを踏まえまして、本専門委員会の取りまとめに向けた骨子案を作成しておりますので、これらについて議論を行っていきたいと思います。

 初めに、ヒアリングということで、神奈川県中央児童相談所の井上保男所長、横須賀市子ども育成部児童相談所の高場利勝所長、枚方市子ども青少年部家庭児童相談所の八木安理子主幹にお越しいただきました。

 本専門委員会でも課題となっている、都道府県と市町村の役割や、児童相談所の体制等を今後考えていく上での参考になるかと思います。

 時間が限られております。お呼びをしておいて、非常に失礼なのですが、最初に3名の方から、それぞれ5分程度で御説明をいただき、その後、まとめて御質問や御意見を伺いたいと思います。

 最初に神奈川県中央児童相談所の井上所長より御説明をお願いいたします。

○神奈川県中央児童相談所井上所長 神奈川の井上です。どうぞ、よろしくお願いします。

 私の方からは、3点お話をさせていただければと思います。

 1点目の介入と支援の分離、市町村への事務移管ということにつきまして、まず、意見を述べさせていただきたいと思います。

10月に全国児童相談所長会のシンポジウムがありまして、介入と支援の機能分離をテーマに議論いたしました。

 結論としましては、介入の定義が不明確な中で、一律に分離すればよいとの議論にはならなかった、賛否両論あったということです。

 私、個人としては、児童相談所以外の機関が、司法の強い関与のもと、介入するということが 良い とは思いますけれども、その仕組みについては、現場の意見も少し聞きながら時間をかけて議論していく必要があるのではないかと思っております。

 長い歴史を持つ児童福祉法とともに歩んできた児童相談所の機能や組織を大きく変革するということに関しては、さまざまなところで影響が出ます。児童虐待対応の視点からではなく、それ以外の相談種別の視点からも議論する必要があるのではないかと思っております。

 それに引き続きまして、今の児童相談所は、確かに家族への介入機会の増加とか、家族を支援するという部分では限界に来ていることは間違いありません。ただ、この部分をいきなり市町村に移すということについては、市町村の体制の問題もございますので、まだ、少し早いのかなと思っております。

 特に、中核市規模のかなり大きな自治体であれば、対応できるかもしれませんけれども、小さな市並びに町村では、人材の確保も含めてかなり厳しいのではないかと考えております。

 平成16年の法改正がございました。現在、その法改正の趣旨が徹底されていないところの大きな要因というのは、児童相談所もそうですけれども、市町村の人員の配置、人材の配置が明確に定められていないということが大きな原因ではないかと思っております。

 県内でも、それなりの職員体制が整っているところと、児童相談所との間では、役割分担のもとに問題なく対応できているところもございます。

 そういう意味では、市町村に対しての職員配置について法的に義務づけることが重要であると考えております。

 2点目の通告窓口の一元化振り分けという部分に関してです。私自身、この一元化の意味、利点について、あまり理解ができなかったというのが正直なところでございます。

 休日、夜間の通告受付体制の強化というのは、もちろん189が導入された中では、もっともっと強化しなければいけないとは思いますけれども、平日、日中の対応については、児童相談所、市町村とも大きな課題はないのではないかと考えております。

 通称、トリアージセンターというところが、通告の内容だけで、虐待の緊急度を判断するのは、非常に困難ではないかと。現に児童相談所で通告があったときには、住基、健診、所属などの基本情報を収集した上で、緊急度を判断していきます。

 調査が進む中で、緊急度のアセスも変わっていくという面でいえば、最初の通報だけで判断するというのは、現実的には難しいのではないかと考えております。

 現在、神奈川県では休日・夜間につきましては、189以降、その以前もそうですけれども、夜間の通報内容は、課長に入るような形になっており、そこで第一義的な判断をして、すぐ動くのか、翌日以降動くのかを判断させていただいています。

 問題は、夜間にすぐ動かなければいけないというところの課題です。

 これについては、現実的に職員を夜間、宿直させる体制をとるということは、合理的ではないので、警察との間で、何らかの協定のもとに、協力が得られる仕組みがあればよいと考えています。

 最後に、国家資格化と職員配置の関係ですけれども、有資格者の配置の方向性は、私は必要だと思います。

 ただ、当所においても、若手職員の多くは、社会福祉士等の資格は持っております。ただ、そのような人材でも現場できちんとした、適切な指導のもと、OJTの経験を重ねなければ、専門性の向上にはつながらないということを実感しております。

 本県の場合は、そういう分では、SVクラスとか、課長クラスは、かなりの経験を持っておりますので、そのもとで、十分な支援・指導していくというような体制をとっています。

 いずれにしても、資格だけではなくて、専門性の向上を図るためには、しっかりとした組織体制、研修体制が必要だと考えています。

 あと、1点、懸念材料がございます。今、労働環境が厳しい児童相談所とか、市町村の相談窓口、そういうところで積極的に仕事をしてみたいという人材が今後、出てくるのか、そのために、資格を取得したいという人材が出てくるのかというのが、懸念材料です。

 そういう意味でも、きちんとした職員体制を法的にも位置づけておかなければ、専門性を生かすことはできないのではないかと思います。

 今の児童福祉法施行令の4万から7万に児童福祉司1人ではなくて、やはり上限の担当ケースを設定した配置基準が必要だと考えています。

 あわせて、福祉司以外の心理司、医師、保健師、それらの専門職をきちんと児童福祉法施行令の中で位置づけること。特に心理司については、福祉司の数に関して圧倒的に不足しておりますので、その点について改善が必要かと思います。

 以上でございます。

○松原委員長 ありがとうございました。

 御質問等は、後でまとめてということにしておりますので、続いて、横須賀市児童相談所の高場所長により、御説明をお願いいたします。

○横須賀市子ども育成部児童相談所高場所長 横須賀市児童相談所の高場と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 私の方からは、中核市の児童相談所設置義務化についてというところで、多少お話をさせていただきたいと思います。横須賀市中核市児童相談所としまして、平成18年に開設いたしまして、今年度で10年目を迎えております。10年間の中で経験を積みながらのお話ということでお考えいただければと思います。

 中核市の児童相談所設置義務化という部分について、賛否を述べる立場に、私はございませんので、そこは一旦置かせていただいて、まず、メリットとしては、今さら私が申し上げるまでもなく、1つの基礎自治体が、相談から支援、それから、アフターフォローも含めて全ての過程を一貫して自己完結できるという部分では、中核市に児童相談所があるというところは、非常にメリットがあると思っています。

 関係機関との連携につきましても、小中学校を含む教育委員会、それから、保健所、特に母子保健部分、さらに生活保護や障害福祉部門という福祉事務所等と、まさに顔の見える関係で連携がとれますし、たまたま横須賀市本市の場合は、庁舎が一極集中しておりますので、場合によっては、その部局に直接行って、顔を突き合わせて、その場で支援策が即決できるというメリットは非常に大きいと思っております。

 しかしながら、課題がやはり多くて、むしろ課題を、私はいっぱい申し上げてしまうかもしれないのですけれども、中核市が児童相談所を持ったとして、果たしてその質の担保ができるのかどうか、能力と体力があるのかどうかという問題がございます。

 1つ目は、専門スキルを持った人材の確保です。横須賀市は児童相談所ができるまで、いわゆる福祉職採用というのがございませんで、やっと児童相談所ができるようになって福祉職採用をとったという中で、今後、子ども家庭専門相談員といった国家資格というお話も伺っておりますので、中核市として、それに耐え得る体力があるのかどうかが1つ目です。

 もう一つが、いわゆる中央児童相談所機能をカバーできるかどうか。恐らく中核市児童相談所の場合は、1市1児童相談所になるかと想定されますので、連絡調整、それから、技術的援助、ここが大きいですね。それから、情報提供等の中央児童相談所の機能が持ちきれない。人材育成の部分は、いまだに神奈川県さんに、おんぶに抱っこという状況です。

 今の話と関連しますけれども、3つ目として、都道府県からの援助ということです。児童相談所運営指針の中にも都道府県知事は、児童相談所の設置市に対して必要な勧告、助言または援助をすることができるとあります。これは、絶対に必要不可欠、できるではなくて、むしろ、しなければならないにしていただかないと、中核市は厳しいかなと。

 幸いにも神奈川県さんに、横須賀市は非常にお世話になっていまして、開設当初2年間、県から3名の職員、副所長、スーパーバイズという要職の職員を派遣していただきまして、さらに、今、なお児童福祉司部会、心理司部会、各種人材養成の研修会にも漏れなくお声がけをいただいているところです。そういった意味では、都道府県さんの援助が必要不可欠であると思います。

 最後に、これも1つ大きな問題ですが、新たな財政負担です。人件費と措置費について、本市ではあわせて、ざっくり約13億の支出がございます。このうち、国庫補助、国庫負担、それから、横須賀市、地方交付税の交付団体ですので、地方交付税の基準財政需要額を算入いたしましても、なお、1億5,000万の、いわゆる市税の持ち出しがございます。

 横須賀市は交付団体ですから、基準財政需要額に算入されますが、これは、不交付団体の場合は、算定はされますけれども、現実としては、交付税措置がないという形もあり得ますので、そのあたりの財政的な国からの援助というところも必要だと思っております。

 簡単ですが、以上でございます。

○松原委員長 ありがとうございました。

 続いて、枚方市の子ども青少年部家庭児童相談所の八木主幹より御説明をお願いいたします。

○枚方市子ども青少年部家庭児童相談所八木主幹 大阪府枚方市家庭児童相談所の八木と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 枚方市家庭児童相談所は、児童相談所ではなく、いわゆる家庭児童相談所、市町村の児童家庭相談の場ということになっております。

 大阪では府内市町村による大阪府家庭児童相談室連絡協議会を設置し、長く市町村間の連携や情報交換などを行ってきました。本日、ここでお話しさせていただきたいと思っているのは、それらを踏まえて、枚方市のことだけでなく、市町村のことも含めて、現状と課題の点からお話ししたいと思っております。

 体制と専門性ということで、少し乱暴に箇条書きにしているもの、1ページ目を見ていだけたらと思います。

1ページをご覧ください。はじめに、体制と専門性ですが、大阪府内だけで見ましても、人員体制は市町村によってかなりのばらつきがあります。人数だけの問題ではなくて、児童虐待対応の専任職員が置かれていないところがあるということも現状としてあります。場合によっては、児童扶養手当の担当や、保育所の民営化の担当であるとか、さまざまな業務を兼ねあいながらの虐待対応は、いつ起こるのかわからないうえに、調整機関としての役割、そして支援の役割を丁寧にこなすことは、ひとつの課題であるといえます。

 また、正規職員については、ジョブローテーションによる人材育成の活性化として大まかに10年で3カ所異動を行って、多様な視点を獲得できるという利点もあり、実施されているところもあります。一方、やっと関係機関から信頼が得るようになってきたときの異動となるといった点もあります。また専門職の採用については、なかなか市区町村では専門職を募集しても応募が少ないといったことを聞きます。体制と専門性については、虐待対応に特化した専任職員をしっかり配置していく、そのことへの財政的な措置が大きな課題だと思います。

 次に、支援の状況です。児童虐待の9割に当たる在宅支援が対象ということは、育児不安から虐待に陥っている方、家庭的な脆弱性や貧困をあわせもっている家族、衝動性の強い親への対応、ニーズの高い方から拒否的な方というように、状況には大きな幅があって、支援の方法としても多種多様に亘ります。

 そういった中で、特に拒否的な家庭への支援というのは、法的権限のない市町村では、かかわりが難しい状態で、重症度に応じて法的権限のある児童相談所さんと協働対応しながら、厳しい役割を児童相談所、そして、支援的な役割を市町村がとるという連携を行い、両輪となって対応を行ってきました。

 今後は市町村における在宅支援に関しての研究や調査や開発、そういったことが望まれます。

3つ目の要保護児童対策地域協議会につきましては、特に地域の関係機関との丁寧な信頼関係の構築とネットワーク強化が欠かせません。

 そういった中で、進行管理の件数が年々増えてきて、特に中核市においては500件を超えるところが多くなっております。その進行管理をモニタリング調査する、情報収集するだけで、1件につき30分、1時間と、丁寧にしようとするとかかってくる。加えて進行管理として協議にも莫大な時間がかかります。膨れ上がる進行管理にかかる時間で、支援にかける時間がとれなくなることは、大きな課題となります。

 そして、家族再統合のことにつきましては、児童相談所の指導に加えて、在宅支援として、学校や保育所など地域での支援や見守り、そして適切なリスクアセスメントのための情報など地域ネットワークが不可欠です。これは、個別ケース検討会議で在宅になったときの役割分担など支援方針を決定し、共有化することが重要だと思っています。

4つ目の通告の現状ですが、子どもの所属機関、学校や保育所からの通告は「少し気になることがあるのだけれども」というような相談という形で入っている方も多いです。また、生活保護や障害福祉のようなところからも、「最近気になる」というふうにして、庁内で出会ったときに情報も入ります。その中にはリスクを判断する大事な情報がありますので、市町村の中で寄せられ、その中には危険な、実は通告内容である情報があるのです。これらの情報が漏れなく届くようにするため、市町村への通告を残しておくほうがよいと考えています。

 最後に、中核市の児童相談所設置についてですけれども、二つの課題がある徒思います。ひとつは組織の違いです。子どもの安全と安心を守るために法的権限を用いて親と対峙的にもなる児童相談所の役割は、時には担当者個人への怒りとなることもあり、そんなときは複数の区や福祉事務所やセンターがある場合に他の部署への人事異動で、職員個人を守ることにもなります。そういった意味では、異動先が複数ないことも課題のひとつと考えます。もうひとつは、人材育成の問題です。

 それからも、人材育成をしっかりやっていく、そして、研修をやっていきながら、基盤を固めていくことが、まず、必要だと思いますので、一律にするというのは、少しまだ時期尚早かもしれないというふうに思っております。

 報告は、以上です。

○松原委員長 ありがとうございました。

 それでは、後ほど、この市町村の役割と都道府県の役割については、骨子の方でも議論をいたしますので、ここは、三方の御説明に対する質問という形で御発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 武藤委員、山田委員の順でどうぞ。

○武藤委員 井上所長にお聞きしたいのですけれども、一番冒頭に支援と介入の分離について、児童相談所の方で検討したけれども、さまざまな御意見があったということで、時間をかけての議論が必要だという御意見だったのですけれども、児童虐待の件数だとかも含めて、今、こういう状況になっているので、やはり、平成16年の法改正をして、10年以上たっていて、十分ではないということで、早急にやらなければいけないのではないかというような、私などは、そういうような認識でいるのですけれども、このスケジュール感というか、時間をかけるというのは、どういう内容なのか、少しお聞きできればなと思っているのですけれども。

○神奈川県中央児童相談所井上所長 このシンポジウムで、今回テーマにしました。ただ、この介入と支援については、これまで全国児童相談所長会の中できんと議論されてきたかというと、まさにし出したというところでございます。

 それと、今、虐待件数が非常に増加していますけれども、本県で言えば、その4割近くは、いわゆる警察からの面前DVという案件、これについては、少し違う仕組みで、今年度から対応するというような形にしました。

 ですので、件数と中身の実態というのは少し違うところがあり、そこら辺の分析も含めて、きちんとやる必要があるのではないかと思います。

 それと、先ほど申し上げましたけれども、法改正になって10年、それが上手くいかなかった要因の分析もきちんとすべきではないか、現に、私の言葉で言えば、市町村格差というか、法改正直後は、どこの市町村も非常にやる気があった。ところが、10年たったときに、やれるところは非常にやっている。一方では、その法の趣旨が全く忘れ去られている自治体もある。そこら辺もきちんと整理をする必要があるのではないかと思います。

 それで、先ほど申し上げたように、できなかった大きな要因というのは、やはり、人をきちんと配置するという明確なところがなかったということにあるのではないか、そこら辺を分析する必要があるのではないかと思っています。

 以上です。

○山田委員 山田です。

 同じく井上所長に御質問なのですけれども、「窓口の一元化には、全くメリットを感じない」という御発言だったのですが、私たちのNPOと神奈川県の児童相談所さんは、当NPOが法人化した平成13年の翌年から、毎年、毎年、連携会議を開いていて、ここ数年は、今、所長さんがおっしゃったとおり、「面前DVの警察通報が増えて、非常に困っている」ということを、NPOにも児童相談所さんは吐露されていたと思うのです。

 「今は、県は、3人の特別な職員を置いて、面前DVに対応しているから、大丈夫」ということなのだと思いますけれども、面前DVが、ああやってどんどん児童相談所に入ってくるということ自体について、それを振り分けるという、とりあえず、コールセンターというか、窓口の一元化に全く意味を感じないというところの御説明をもう少しいただきたいのですが。

○神奈川県中央児童相談所井上所長 今、山田委員が言われた面前DVの通告先については、トリアージセンターを作る、作らないとは別に、やはり、警察の方の一定の裁量のもとに、児童相談所なのか、市町村なのかという形で振り分けていただく、そうしていただきたいというのはあります。

○松原委員長 他の方の御質問、御意見もいただきたいので、泉谷委員、それから、磯谷委員の順でお願いします。

○泉谷委員 すみません、泉谷です。

 井上所長にお伺いしたいのですが、お話の中で、やはり、今の市町村がなかなか厳しい状況にあるのではないかというお話がありまして、先日、私、中央児童相談所さんではないのですが、鎌倉・三浦児童相談所さんの鎌三モデルのお話を聞かせていただきました。所管の市町村の規模もあるかと思うのですけれども、市町村との連携と、それから、市町村のスキルアップというところで、おもしろいモデルだなと思ってお話を聞かせていただきました。

 横須賀市さんへも支援をされているということのお話を聞きまして、県として、市町村支援をしつつ、ケース対応をするというところで、都道府県が抱える課題ということも、別途あるのではないかと思うのですが、その辺についてお話を伺えればと思います。

○神奈川県中央児童相談所井上所長 鎌倉・三浦地域児童相談所が、管内の市町村と、いわゆる同行訪問モデルという形で、実際に一緒にやることによって専門性の向上を図るという取組をしている話かと思います。私も、これは非常に有効だと思います。

 できれば、人員的な余裕があれば、こういう形で児童相談所が一緒にやることによって、ノウハウや専門性の向上を図っていくということは、今後の1つの方向性かと思います。

 あと、もう一点は、市町村の方に、是非、児童相談所の機能を知っていただきたいということで、児童相談所に一定期間研修に来ていただく、また、逆もしかり、そういうこともやっていく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。

○磯谷委員 井上所長さんに、御質問が続いて恐縮なのですけれども、先ほど、やはり冒頭のところで介入と支援の分離についての話がございました。私も随分長く児童相談所を支援してきましたけれども、現場を見ていて、親の意向に反してでも強制的に介入しなければいけないという場面と、親と信頼関係を維持しながら支援をしていかなければいけない場面、このふたつの相反する役割を1人の児童福祉司さんが担当せざるを得ないという点に問題を感じてきたわけです。

 そのような問題意識から、今回の介入と支援の分離のアイデアが出てきたものと思っている次第です。

 この問題については、児童相談所の、特に井上所長さんの御認識は、いかがでしょうか。それから、もし、同様の問題を感じておられるということであれば、どういうふうに解決をするのが望ましいとお考えなのか、少しお聞かせいただければと思います。

○神奈川県中央児童相談所井上所長 昔からよく言われて、1人の福祉司が、いわゆる大変な親に対して介入するときに、後々を考えて、躊躇してしまうという、そういう話かと思います。

 これは、確かに、以前はございましたが、現在、そういう判断のもと、一時保護を躊躇するかどうかというのは、正直、神奈川の方ではあまりありません。

 というのは、今の児童相談所の仕事というのは、組織でやるという形が定着しておりますので、当然、介入するときにも複数で入りますし、SVも含めて役割分担をしていくというような形で入ります。

 その後の、家族関係の再構築とか、家族再統合につきましては、本県では、もうかれこれ10年近くなりますけれども、親子支援チームという、児童相談所内で別なセクションのものを作ってやっております。

 これは同じ所内での別な役割のものなのですけれども、親からすると意外とそこでは本音が話せる。また、家族再統合のプログラムを提示することによって、その効果は、全部とは言いませんけれども、かなり出ているという感じを持っています。

 ですので、もう少し、いろんな形での工夫はできるのかなと感じております。

 以上でございます。

○松原委員長 もう一方、二方ぐらい、草間委員、どうぞ。

○草間委員 3機関からの説明、ありがとうございました。

 私の方で、横須賀市と枚方市の方にお伺いしたいのですけれども、人材研修がポイントというお話がありました。

 児童相談所にかわる研修機関として、他に児童相談所以外でどういうものが考えられるか、もし、ありましたら、お考えをお聞かせいただければと思います。

○横須賀市子ども育成部児童相談所高場所長 横須賀市です。

 現状を申し上げますと、横須賀市の児童相談所職員は、もれなく横須賀市役所の職員ということで、人事課が実施している、いわゆる公務員に対する研修というところにとどまっております。

 したがいまして、児童相談所職員に特化した研修という部分では、先ほど申し上げた、都道府県さんの研修に相乗りさせていただくというところが一番ではないかと思います。

 以上です。

○枚方市子ども青少年部家庭児童相談所八木主幹 枚方市です。

 大阪府では、先ほども申しました大阪府家庭児童相談室連絡協議会を設置していて、市町村の児童家庭相談担当の職員たちがどんな研修が必要なのかというのを自分たちで考えて、年6回、2カ月に1回研修をしています。

 また、ブロック別で、2~3カ月に1回、近隣市で研修をしています。その中で、泣き声通告への対応や学校への調査の工夫、管理台帳の書式などについて、お互いに情報交換しながら、他市の工夫を学ぶ、そういったことなどの研修も行っています。

 また、昨年からは、枚方市が中核市になったこともあって、大阪府内の中核市ネットワークを設置し、平成271月には関西エリアの中核市が集まって、進行管理の工夫や虐待対応について情報交換を行いました。人口が多いため、件数も多いことは共通点で、同様の規模だからこそ学ぶ点も多くありました。

 他市町村の頑張っておられる活動を知ることは、エネルギーをもらうことにもなり、お互いに力量をアップできる生きた研修になると感じています。

以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、お三方の方、お忙しい中、ありがとうございました。貴重な御意見をいただきましたので、今後の議論の整理に反映をさせていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 それでは、議事次第の次のところに入りたいと思います。

 各ワーキンググループの検討結果ということで、本日は、資料2で骨子案を用意しております。

 この骨子案につきましては、ワーキンググループでの御意見、それをなるべくまとめるようにし、なお、議論が残っているところ、それから、幹事会でいろいろ議論しながらワーキンググループの意見を踏まえて、専門委員会にはかりたい部分、そういったものを盛り込んでございます。

 本日は、これに基づいて御議論いただきたいのですが、せっかくお三方の御意見を伺いましたので、まず、全体の構成の確認をした後、少し順番は異なるのですけれども、市町村と都道府県の役割分担、特に支援と措置の分離のこと、それに関わって児童相談所、どういう方で設置をしていくのかということについて議論をし、同時に、お三方とも共通して出たのは、人材の確保、それから、確保するということは養成もあるけれども、財源ということがお話に出ておりましたので、その辺をスタートにしながら、あと、さかのぼって順次、一番の方からやりたいと思います。

 資料2をご覧ください。

 (1)は、理念でございます。ここは(1)(2)を準備してあります。やはり、塩崎大臣は、抜本的改正をというふうに御発言がありましたので、やはり、子どもの権利条約にも照らしてみて、理念そのものを法文の中できちんとあらわしていくということで、ここでは例示として、幹事会に提案された法文案といいますか、文案を掲げさせていただいているところは、ワーキンググループでの議論と少し異なるところですが、アンダーラインを引いたところは、これから議論が必要であろうという、そういう目印になっております。

 2番が全体に関する制度です。まず、年齢のことで、ここも随分ワーキンググループで議論をしていただきました。なかなか結論が出ておりませんので、アンダーラインを引いてございます。

 それから、その下には、子ども家庭福祉を担う専門職の資格化ということで、この点、後で、児童相談所あるいは市町村、都道府県の役割分担と関わって御意見をいただければ幸いです。

 続きまして、(3)が児童福祉司等の配置・任用要件、これも同じですね。後ほど御意見をいただきたいと思います。

 (4)が、これは、新たに子どもの権利擁護に関する機関の創設をしようということで、ワーキングの中でも御議論をいただいた部分になります。

 (5)も、ワーキングの素材にあがっておりました。特別養子縁組制度の見直しを挙げてあります。

 (6)は、統計(データベース)の整備と検証、このことが盛り込まれております。

 3番、基礎自治体、ここが、先ほどのヒアリングの中でもいろんな御意見をいただきました。

 それで、区市町村の方に、この支援の役割を担っていただくために、地域子ども家庭支援拠点というものを整備しようということが、6ページの(1)になります。

 (2)は、もう少し全般的に、修学前のところに着目をし、保育・教育の質の向上というのを挙げております。これもワーキンググループで御議論いただきました。

 関連して母子保健における虐待対策の位置づけも記載してございます。

 4番が児童相談所関係です。ここは、2つのポイント、どこがこの児童相談所を持つかということと、8ページのところ、アンダーラインがありますが、児童相談所の中の機能分化ということで、幾つか機能が、以下、掲げられておりますが、これをそれぞれ機関を分けて持つべきという意見と、全体の統合が必要というような御意見もありましたので、8ページのところには、アンダーラインを引きまして、議論の必要性という目印をつけ、これまで出てきたものを、通告・初期対応システムの整備から始まりまして、順次対応しながら、(3)の一時保護・アセスメントのところまで来まして、一時保護に関連しては、司法関与のことも(4)で掲げてございます。

 (5)は、通所・在宅支援における措置のあり方ということで、ここは、先ほども申しました市町村と都道府県の役割分担等も関わる問題です。

 そこで、1番のところからいきたいところなのですが、せっかくお三方の御発言もいただき、まだ、何人かの方が手を挙げたそうな素振りもされておりましたので、ここから御意見をいただきたいと思いますので、後で総論に戻りますけれども、3番のところを中心に児童相談所の設置のあり方、そして、職員の確保等についての御意見を伺いたいと思います。その点からの御発言をお願いします。

 奥山委員、加賀美委員の順でどうぞ。

○奥山委員 本日のヒアリングで、いろいろお話を伺ってありがたかったのですけれども、少なくと、私が現在のところ(世田谷区)に勤めたのが、約10年前なので、そのころ、東京都の区市に子ども家庭支援センターというのができたのです。各区にできているのですけれども、最初はどうなることかと思っていましたが、10年たつとすごく頼りがいがあるセンターになっています。

 やはり、やっていかないとできてこない、まだまだ時期尚早だと言っていると、できていかないのではないかなと考えます。

 それで、本当に頼りになるところができてきています。そのためには、さすがに東京都のように、お金と人材というところがきちんと整っていくということは必要だと思いますけれども、やはり、今、踏み切らない限り、いつまでたってもできないのではないかという思いが、私は強くあります。

 もう一つ、たまたま数日前に区のイベントに参加させていただいたときに見せて頂いたのですが、平成2511月に特別区長会の方での資料ということで、特別区児童相談所移管モデルの最終報告書というのが出されています。

 それを見ると、それぞれ人口規模によって、どんなものが必要かというのまできちんと考えられていて、前回、辰田委員の方から千代田区は無理だとおっしゃっていたのですけれども、千代田区も1カ所持つという形で、区長会の方からきちんとした案が出ているのですね。

 ですから、やはり、少なくとも23区は準備できているのではないかと思います。ただ、それに関しては、都道府県との関係は重要で、先ほどありましたように、どこの政令市でも、政令市が児童相談所を持つときには、県の方から、まず、最初人材が派遣されてと、そういう流れは絶対に必要ですので、そこのところは必要だと思います。けれども、やはり、少し一歩踏み出すということが、今の時点では、必要ではないかと思います。

○松原委員長 加賀美委員、どうぞ。

○加賀美委員 また、そもそも論になってしまうというよりも、総論のところでお話をしたほうが 良い ことなのかなとは思っているのですが、私、何回か、これについてはお話をしたつもりですが、今回の法改正を目指した、委員会というのは、何だったというような話になるわけですけれども、基本的には、虐待問題から始まって、その問題がなかなか解決しないとするならば、どこが問題だというようなところで、ハイリスクの子どもたちの問題だけに特化した保護施策から、全ての子ども家庭を視野に入れた養育施策という点だろうと思っています。

 そういう意味で、戦後70年、ここに来て、どうしてもそれを抜本的に改正して実現しなければいかぬというところに来ているのだと。というのは、先ほどのお三人の話から共通して出てきたことは、人がいない、人材がない、人材の質の問題だということも含めて、そこに焦点が当てられるわけですけれども、これは、別に福祉の分野だけではありません。全ての分野で、適切な人材が育っていないという、そういう印象を持っている方が大勢いらっしゃるのではないかと思います。

 そういうところに視点を当てて考えると、日本は、果たして子どもを育ててきたのかということにもなるわけですが、そういう意味で、そこに焦点を当てて、ハイリスクからオペレーションアプローチへという、そういう流れをここで明確に作る時期ではないのかと思います。平成16年の改正で、市町村に 要保護児童対策地域協議会 を作って、それに取組もうという兆しはあったわけですけれども、明確なロードマップがなく、市町村の基盤整備をしなかったということと、そのことが大きく関係をしているということも議論の中にあったと思います。そういう意味での議論を明確にしていく、そういう場だろうと思っているので、そもそも論で恐縮でありますけれども、改めて申し上げました。

○松原委員長 それでは、西澤委員、松本委員、お願いします。

○西澤委員 西澤です。どうもお三方、ありがとうございました。

 さっき八木さんの話を聞いていて、枚方市だから支援ができるのだね、私も相当枚方市には行かせてもらいましたけれども、だから、そういうふうに全国の中で、支援をきちんとできるという基礎自治体が、政令市や中核市、枚方市は中核市でしたか、その枠と関係なく整ってきているのだろうと思うのです。

 それで、一気に全部これから市町村でというのは、それは無理なので、やはり段階を踏んで、例えば、来年度は、どの箇所でモデル事業をやる、それで、2年度目は、どの箇所で、その検討の結果広げていくみたいな、そのステップを示さないと、これは、他のところでも関係すると思うのですけれども、ロードマップと書いてあって、何か夏休みの始まりに小学校6年生が、8月31日には宿題を終えるみたいなロードマップしかないわけですね。

 だから、そういう意味で、きちんとしたことをできるところを、まずはピックアップして、順次移行していくモデルを提示すべきだろうと思います。

○松本委員 松本です。

 やはり、議論の前提で、大きな方向というのを確認しておく必要があると思います。

 それで、基礎自治体がきちんとしたサービスができるようにすると、そのために基盤を強化するということが、まず、前提だと。それを達成するための方向として、例えば、基礎自治体は何をしていくかと、その関係で、児童相談所はどうあるべきかと、こういう順序だと思うのです。これは、もちろん前提だと思いますので、改めて確認をしたいというのが、私の意見です。

 その上で、1つは、平成16年改正の方向が、何故上手くいかなかったのかと、つまり、いろんな自治体でかなり格差ができたのかと、分析すべきだという御意見が神奈川県さんの方からありましたけれども、本当にそうだと思うのです。

 そのときに挙げられていたのは、専門職の配置だということですね。そうすると、基礎自治体に基盤を強化するということは、基礎自治体にきちんとしたソーシャルワーク機能が持てると、そのための人材を配置するということをもっと明確に出すべきだということが、やはり、それぞれの人材の確保という観点からも強調されていたと思います。その点は、大変大きな今日のヒアリングの成果だと思っています。

 それと関係して、今度は、中核市に児童相談所をおろすというときに、人材の養成の問題がありました。これは、どこが持っても同じようなことになりますね。かかるものはかかる。そのときに、やはり、市の職員として、その市が研修するというだけではなくて、やはり、一定の専門性を担保する形でいくと、自治体の枠を超えた研修体制をきちんと作ると、あるいは一定の期間の人事交流の形も作ると。

 先ほどの枚方市さんのお話は、各市の連絡協議会の中でやられているということでしたけれども、そういうことをもう少し徹底するような形で、研修のシステムあるいは養成のシステムの方向を示すということが1つ。

 もう一つは、やはり、人件費に対する財政的な支援だと思います。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 松本委員の御発言は非常に大切だと思います。この骨子は、やはり、車の両輪で、1つの車の輪は、やはり、地方自治体、基礎自治体が、きちんとそれだけの力を持つということに、それが担保できないと、支援を市町村にということはできないと思いますし、そのために、人材の確保、財源の支援というのは必要だという、方向性としては、そういうものを目指そうということ。

 西澤委員がおっしゃったように、モデル事業として1つずつ確認をしながらステップを踏むべきだという御意見も貴重な意見だと思いました。

 加藤委員、辰田委員の順で、それで、申しわけないですが、全体をカバーしたいので、加藤委員、辰田委員の御発言で一旦切って、少し全体を流しながら、また、最後にフリートークできるような時間をとりたいと思います。

 加藤委員、どうぞ。

○加藤委員 今、子ども家庭総合支援拠点で予防ということを強調されて、とても大事なことだと思います。今回、非常に大事なことです。2004年のときに、市町村は、専門職を全然視点に入れていなかった自治体もあって、専門職が大事なのだということは、法定化していただかないと、やはり、意識が市町村によっても低い所があるのですね。

 それで、町長さんの意識が高いところは、私も見て歩きましたけれども、やはり、子どもが未来を担うのだということで、財源も確保し、スタッフも豊富にやっている。だから、やってやれないことはないと思ったりしました。ただ、法定化をしていかないと、やはり、自分のところはできません、みたいな形の温度差が広がっていく。ですから、格差が何故広がったかというのは、やはり、そういった意識の低さということもあるので、この際、やはり、法定化していただくということが、とても大事かなと思いました。

 以上です。

○松原委員長 どうぞ。

○辰田委員 八王子の辰田です。

 特別区、中核市の児童相談所の設置についてのところです。先ほど、横須賀市児童相談所からもありましたように、やはり、人材または財源というのは、大きな課題だと思っています。

 特に、特別区の場合、人口の規模がさまざまあります。中核市よりも小さいエリアで、果たして本当に支援と介入というのを、その両輪ができるのだろうかという危惧があるので、一律に設置を義務づけるというのは、大きな課題があると考えております。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、もう一回資料2に戻っていただきまして、順を追って議論を進めたいと思います。

 まず、理念のところですが、今、加賀美委員の方も総論的な話になるがとおっしゃいました。個々の事項の改正だけではなくて、やはり、考え方についてきちんと今回の専門委員会、提案をしていきたいということで、ただ、それは、単純な報告書の文言ではなくて、児童福祉法改正に結びつくようにという御意見もありました。

 そこで、幹事会に情報共有をしてくださったということで、まず、磯谷委員の方から御発言をお願いしたいと思います。

○磯谷委員 ありがとうございます。

 1ページ目の中ほどから、理念について具体的にどういうことを規定することが考えられるかを示させていただきました。

 以前から、私のコメントという形で配付されているものと同じです。

 若干御説明をいたします。

 まず、1つ目ですけれども、児童の利益を最も優先するということを定めています。これは、子どもの権利条約の趣旨に合致することに加えて、平成23年の民法改正のときに、民法766条、つまり、子の監護に関する事項を定める場合において、子の利益を最も優先するという言葉も入っていますので、児童福祉法にもこのような規定を置くことは十分に可能だろうと思っております。

 2つ目は、体罰、その他の児童の心身に害悪を及ぼす影響のある罰を与えてはならないという、いわゆる体罰の禁止ということであります。

 体罰が虐待の温床だということは、よく指摘されておりますし、また、実務において親の認識を聞くと体罰容認の考え方にしばしば接します。体罰に頼らない子育てを国や地方公共団体がきちんと提示していくべきという趣旨で、こういった条文を盛り込んでおくことがとても重要だと思っています。

 なお、体罰をしたら、処罰をするという趣旨では全くございません。罰則を設けるということではなく、体罰が子どもに害悪を与えるため良くないことだということをきちんと法律で位置づけると、そういう意味でございます。

 3項と4項は、まずは、子どもが家庭において、これは、オリジナルな家庭を想定していますけれども、家庭において、まずは健やかに育てるように、国や地方公共団体は、その家庭を支援しなければいけないということを、述べております。

 しかし、オリジナルな家庭で生活することが難しい場合には、適切な代替的養護を提供するというのも、国、地方公共団体の義務なのだと。

 そして、代替的養護においては、家庭における養護、具体的には里親さんや特別養子縁組などが優先的に検討されなければならないという原則を示しております。

 このあたりは、当初、大臣のお考えでも示されたところかと思っております。

 最後は、子どもの権利保障という全体的なところが書かれております。ここも以前から言われてきたことでもございますし、また、既に児童虐待防止法の中では盛り込まれておりますが、これを児童福祉全体に及ぼす必要は大きいだろうと考えております。

 以上のとおりでございます。

○松原委員長 では、この1番をめぐっての御発言をいただきたいと思います。

 奥山委員、加賀美委員、どうぞ。

○奥山委員 子どもの権利、児童と言うか、子どもと言うかは、少し置いておいて、子どもの権利ということは、非常に重要だと思います。それを全部児童福祉法の中で、子どもの権利条約に書かれているような内容を全部カバーするというのを1条、1条書いていったら、非常に長い文章が必要なことになってしまうので、例えば、「日本国が比準している子どもの権利条約を遵守し」とか、何か少なくとも、そういうような形で、子どもの権利条約の条約に語られていることをきちんと守る姿勢を持ちますということを明言すべきではないのかなと思います。

 もう一つは、確かに、条文の形で提示するということも必要なのですけれども、これだけ子どものことをやっている人間がそろっているわけですから、最終的に法文として法律に書く形でなくても、私たちは理念として、こういうことが必要だと思っていますということを報告書の中に盛り込むべきではないかと思います。

○磯谷委員 まず、奥山委員の御意見について、実質的には全く同意見でございます。

 後は、規定ぶりのところで、条約遵守義務というのは、憲法にも書かれているわけで、それをあえて個別の法律に書く必要があるのか、法律の書き方としてどうなのかといった議論になっていくのかなと思っています。

 それから、今、加賀美委員のおっしゃった体罰についてですけれども、心身に害悪を及ぼすおそれのある罰には体罰も含まれますが、それ以外にも、例えば、非常に屈辱的なことを親が子どもに言うとか、そういうことも含みます。つまり、目標としては、子どもの心身に害悪を及ぼすようなペナルティーを課すことは望ましくないのだということをきちんとメッセージとして出すということです。

 その中で、体罰を先に取り上げているのは、体罰はわれわれの社会の中で子どもに対してなされてきた罰の典型的なものと思うのです。また、概念としても、学校教育法11条に体罰禁止が定められておりますし、そういう意味でもわかりやすいと思います。例えば、体罰を除いても、趣旨としては生きるのだろうと思いますけれども、一層メッセージとして伝わりやすいかなと思って体罰を最初にもってきたということでございます。

○加賀美委員 実は、児童虐待防止法の議論のときに、私は、虐待という言葉をあえて使うということが、逆に家庭内における子どもへの不適切な養育全般に対しての理解がどうしても虐という字の持っているニュアンスに左右される、とってもスティグマの強い言葉なので。

 だから、ここは、むしろ体罰ということを強調してしまうことが、子どもの心身へ害を及ぼす罰といったようなイメージを、どうも薄めてしまうのではないかというふうな危惧を、私は持っているということを申し上げておきます。

○松原委員長 ありがとうございます。

 またここの部分については、どういう書きぶりにするのかということも含めて専門委員会で議論を深めてまいりたいと思います。

 それでは、2ページの「2 全体に関する制度」で、ここがやはり大きな議論になっております、年齢のことについて、一応本文としましては「子ども家庭福祉の対応が必要な子どもには18歳を超えても対応ができるようにする」という表現に、ワーキンググループの議論を経てなってきております。ただ、これは後の社会的養護にも関わる部分になりますので、ここであわせてこの年齢についていろいろ御発言をいただきたいと思います。

 どなたからでも結構です。お願いいたします。

 磯谷委員、お願いします。

○磯谷委員 この児童福祉法の対象年齢については、ワーキングの中でもいろいろ議論が出まして、そのときにも申し上げましたが、まず問題を2つにきちんと分ける必要があって、1つは民法の成年年齢と児童福祉法の適用年齢を一致させるということ。もう1つは、子どもが成年に達した後もさらに支援が必要であれば、その支援を法律に位置づけていくということ。後者は児童福祉法のなかでも良いかもしれませんし、あるいは外出しでも良いかもしれませんけれども、このように2段階で考えることが重要ではないかと思います。

 成年、未成年を問わず支援が必要だとしても、その法的枠組みは、対象が成人なのか未成年者なのかによって変わってくると思うのです。未成年者であれば、措置が基本となり、親権とどう対峙するかという枠組みになるのに対して、成人であれば、むしろ任意に期待する形で契約ベースの支援をしていくというように、枠組みも違ってくるので、同じ法律に書き込むかどうかはともかく、制度的にはきちんと書き分ける必要があるのかなと思っております。

○松原委員長 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員 西澤です。

 少し磯谷先生とは考え方が違うので、言っておこうと思うのですが、この前も話が出たと思いますけれども、成人年齢はあくまでも親権との関係だと思います。成人年齢を引き下げるというのは、是非は別として、要はある程度安定した家庭基盤を持った子どもたちをどの時点で成人とするかという尺を持っているのだと私は思います。

 児童福祉法は、基本的に社会が子どもたちを支援するという法律だと考えるので、そこは必ずしも連動する必要はないのではないか。だから、そういう意味で、現在、家庭基盤を持たない子どもや、家庭基盤が脆弱な子どもたちを社会が何歳まで支援するのかということで、大方の進学率等を考えて、20歳までととりあえずしたら良いのではないかと私は思っています。

 それは、最終的に、議論になっている障害の関係についても、あるいは小児慢性疾患についても、最終的には20歳までに引き上げるけれども、今、いろんな調整が必要なので、そこは段階を経て、ここに書いているような、当面、例えば1年、2年の間を区切って子ども家庭福祉の対応が必要な子どもに関しては20歳まで引き上げるという形にする。そして、数年後に全ての子どもを対象に入れるというようなステップアップを考えていけば良いのではないかと思います。

○松原委員長  にいかがでしょうか。

 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 ここの文章では、18歳を超えても対応ができる、できる規定というようなことになっているのですけれども、これまでの論議の中では、成人年齢だとか、20歳だとか、そういうものが出ていたと思うのですね。そこのところをあえてとって、対応できるということで、上限を設けないというような、例えば25とか26までも、この児童福祉法の対象の中でできるかどうかということについては、きちっと議論はしておいたほうが良いのではないかと思いました。

○松原委員長 ありがとうございます。

 松本委員、平井委員、それで、ここを切らせていただきます。

 松本委員、どうぞ。

○松本委員 私は、年齢という点では20歳とするべきだと考えています。それは成人年齢が18に引き下げられても20歳。理由としては、支援の継続が必要。現在の実態を見ると、18歳を超えても支援が必要な子どもが多いということが現状ですので、支援をするという立場からすると、たとえ成人年齢がどう変動したとしても、そこは変わらないということが一つです。もちろん、これはいろんな議論があると思いますけれども、そこは私の立場として。

 もう一つは、これは後の社会的養護というところにも関わりますけれども、仮にそれが18であろうが、20歳であろうが、どちらにしても、それを超えても支援が必要な場合に、継続されるような法的枠組みが必要だということがもう一点であります。この点は後ろの方とあわせて議論だと思いますけれども、年齢が何歳ということとは別にといいますか、もう一つ、それを超えたとしても、そこが継続されるような法的な仕組みが必要だという点は確認をしたいと思います。

 以上です。

○松原委員長 平井委員、どうぞ。

○平井委員 同じような意見になりますが、一応対象年齢は20歳というラインをしっかりしたほうが良いかと思いますが、なかなかそこまで行き着かない場合は福祉対応が必要ということで、とりあえず20歳。対応が必要な子は20歳。それと、特別措置ということで、今でいう延長になるかもしれませんけれども、22歳という形が私は良いのではないかと思っております。

○松本委員 もう一点、今の補足です。

20歳まで引き上げるということは、もう一つは、例えば19歳の子どもの相談を受けるかどうかということがあると思うのです。それは、特に高校卒業前後でいろんな不調が起こって、もう一度相談が必要になるという場合が現実にありますので、それは受けるべきだという観点から、やはり20歳とするべきだというふうに考えています。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、骨子の方、資料に戻っていただきまして、専門職につきましては、本日のヒアリングの中、あるいはその質疑応答の中でも、この専門職が必要だという御意見を確認できたと思いますし、それをきちっと確保できるように、人がいないということも大きいということで、それが手当できるような財源的な支援も必要だということを確認させていただきました。

 それから、専門職ということでいえば、児童福祉司についても少し、資質を向上させていく、そして、あわせて児童心理司等の配置もきちっと明確化していくということ、井上所長からも件数でやったらどうかという御発言がありましたけれども、4ページのところには、対応件数と人口比を組み合わせたらどうかということを書かせていただきました。

 ここはややテクニカルなところになりますので、時間の関係もありますから、基本的には児童福祉司も含め、児童心理司等も含め、ここで提案しましたような子ども家庭福祉士という専門職を実現していく、そして、それがきちっとリクルートできるような職員処遇とそのための財源を確保するということだけ確認させていただきまして、4ページの「(4)子どもの権利擁護に関する機関の創設」ということで、少しワーキンググループの文言を踏まえて文言は調整させていただきましたが、こういった権利擁護に関する機関を創設したらどうかということで記載をさせていただきました。

 (4)について、一、二だけお一方、お二方御発言をいただきたいと思います。いかがでしょう。

 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員 何度もすみません。西澤です。

 子どもの権利擁護に関する機関で、とりあえずこれは今後も検討を続けていかなければいけない。国として独立した機関を設置できないのかという可能性を追求していく。当面の間は児童福祉審議会に置くのだけれども、やはり任命権の問題とか、どんな人材が配置されるかというのが一番大きいのだろうと思います。

 そこで、いろいろ考えてみたのですが、例えばですけれども、社会福祉協議会、あるいは 要保護児童対策地域協議会 の代表者、弁護士会の子どもの権利委員会の代表者を加えなければならないとか、一定の足かせをはめておくのというのが今の審議会の第三者性をより高めることになるのではないかと思います。

 以上です。

○松原委員長 もうお一方ぐらいいかがでしょう。

 菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 滋賀の菅野です。

 ここの部分で子どもを中心に子どもの権利侵害というところを、理念としては分かるのですけれども、どういうふうに誰が見て、どこへどういうふうにという、先ほど西澤委員もおっしゃいましたように、どういうふうに形にしていくのかというのはもっともっと議論をしていなければいけないと思いますし、現在、ある課題に対しての提案ということになると思うのですが、これが何年か先に完成を目指している位置づけで、どう位置づけるのかというのも研究していく必要があるのかなと考えました。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、次に、4ページから5ページにかけて、「(5)特別養子縁組制度の見直し」ということを挙げております。ここもワーキンググループでいろいろ御意見をいただいて、調整をしつつ、こういう表現にさせていただきました。

 ここもお一方、お二方御意見をいただきたいと思います。いかがでしょう。

 それでは、佐藤委員と浜田委員。

○佐藤委員 佐藤です。

 特別養子縁組制度ができてきた経過から、社会的養護の制度へというところは異論がないのですが、まず、社会的養護という言葉が馴染むのかどうかという、社会的養護の意味することをもう少し検討をしておく必要があるのではないかと思います。また、特別養子縁組制度が児童相談所からの申し立てというところも書かれているのですが、現行のところで、例えば特別養子縁組制度を望む人が一番躊躇していられることは、児童相談所等に相談に行くと、そこの里親制度の延長線上で、自分の住んでいるところに近い自治体の間で縁組がされてしまうということを危惧しているような方もいらっしゃいます。ですので、特別養子縁組制度を本当に実効性のあるものにするためには、児童相談所の申し立てというところもベースにもありながらも、もう少し広域で考えるということも担保するようなことを検討していただきたいと思います。

 以上です。

○浜田委員 続きまして、浜田です。

 この特別養子のところについては、以下の点を含む必要な見直しをできるだけ速やかに検討開始という、将来課題のような書き方になっているかと思います。そのときに、以下、黒い点が幾つかあるわけですけれども、加えまして、特に年齢を見直すとなると余計に絡んでくるのかもしれませんけれども、当該子どもの意思、意思とまで言わなくても、当該子どもの利益をこの手続の中でどんなふうに反映させていくのか、そのような必要がありやなしやというところからかもしれませんけれども、子どもの意思とか利益をいかにして代弁するかということも検討課題として挙げていただくのはいかがかなと思います。以上です。

○松原委員長 ありがとうございました。

 それでは、5ページの統計データベースの整備は皆さん、これは必要だとおっしゃっておりましたので、どのぐらいのプロセスでやるかということは少しまた議論があるかと思いますが、これが必要だという確認だけさせていただきます。

 6ページから「3 基礎自治体」に入ります。そして、「4 児童相談所関係」、8ページ、9ページ、10ページ、11ページ、進んでまいりますので、この6ページから11ページまで、先ほど少し時間をとりまして、ここを先にやりましたが、なお読んでいただいて、ここは発言しておきたいということがおありになると思いますので、できれば先ほど御発言がなかった方に御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 秋山委員、どうぞ。

○秋山委員 秋山です。

 7ページの「(3)母子保健における虐待対策の位置づけ」、これは賛成です。この中で「母子保健情報は虐待対応に必要な情報であり、保健と福祉の情報共有」とありますが、ここに是非「教育」を入れていただきたいと思います。また、この情報は必要に応じて母子保健または地域保健に還元できるような切れ目のない仕組みを構築していただきたいと思います。

○松原委員長 奥山委員、どうぞ。

○奥山委員 同じところなのですけれども、やはりここはかなり明確に位置づける必要があると思うのです。佐藤委員の方から児童虐待防止法との調整という形でという御意見があったのですけれども、実は児童虐待防止法に母子保健が何をするかきちんと書かれていないのです。もし、そうだとすれば、 児童 虐待防止法の中に母子保健の役割ということをきちんと入れなければいけないと思うのです。

 実際、例えば昨今、国の方から技術的援助という形で、母子保健の中で虐待をしているかどうかに関する質問をしろ、問診をしろというのが回ってきているのです。子どもを強く揺さぶっていませんかとか、あるいは、たたいてしまうようなことはありませんかと、詳しい文言は忘れましたけれども、そういうことを聞きなさいと言うのが回ってきています。もちろん自治体が全部受ける必要はないので、今、お聞ききしたら、井上先生のところの自治体は受けていない、やっていない。それはそれで良いと思うのですけれども、調査としてやるという自治体もあります。調査としてやるには、倫理的に同意をとらなければならないはずで、問題があると感じています。

 そういったことまで母子保健でやるのだとしたら、きちんとした研修も必要ですし、母子保健として虐待対応として何をするのかというのをしっかりと法律的にも担保しておく必要はあると考えています。

○松原委員長 ありがとうございます。

 加賀美委員、どうぞ。

○加賀美委員 「(2)就学前の保育・教育の質の向上」です。先ほど、我が国は子どもを育ててきたのかという乱暴な言い方をしたのですが、まさにここに、ゼロから6歳の子どもたちのアタッチメント形成期の養育の保障をどうするかということに係ると私は一点思っています。保護を必要とする子どもたちの問題と同時に、就学前の一般子育て家庭の子どもたちも含めて、全ての子ども家庭を視野に入れたゼロから6歳の子どもたちの養育保障、このことが今回の法改正の中での肝の問題だと思っております。

 以上です。

○松原委員長 草間委員、どうぞ。

○草間委員 草間です。

 拠点整備の中で、交付税措置というか、そちらのことも明記すべきだと思っています。

 以上です。

○松原委員長 少し私の方から1点確認したいことがあるのですが、8ページのところで、いわゆる支援は市町村にという前提のもとに、もう一つ、障害相談を市町村にという文言を入れております。これは事業委託ができるということも含めて書いておりまして、もちろん、先ほど松本委員がおっしゃった、まず、きちっとした条件整備を基礎自治体に促す、これが前提ですが、この障害相談そのものを区市町村の方にお願いしていくということについては、これでよろしいのかというのが少し骨子案を書いていて迷ったところなので、もし、御意見があれば、伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

それに関しましては、実質、もう市町村の中で、発達障害に関しては乳幼児健診の中から外れてきまして、それから、5歳児相談会、就学の段階で、以前でいう適正就学指導委員会、今の特別支援教育委員会があるのですが、そこで市町村は把握してやっているのですね。ですから、実際の業務としては、そこの部分も、それから、養護相談も、保健の方もポピュレーションで考える限りはずっと継続して見ていっておりますので、そういう文言で良いのではないかと思います。

 以上です。

○松原委員長 菅野委員。

○菅野委員 児童相談所は、今、障害相談でどういうことを中心にやっているかというと、障害児施設の利用というところと、療育手帳の程度判定というところが実質的に業務の中心になっています。

 具体的な障害のところでのサービスは、基礎自治体のところで提供していただいていますし、それぞれのところで相談の窓口があって、例えば包括の方に相談を流していったりとか、それぞれの地域の特性に合わせて支援のサービスというのが構成されていると思うので、かなりの部分で、すでに基礎自治体の方に実質的には移っていると考えています。

 以上です。

○松原委員長 笹井委員、どうぞ。

○笹井委員 笹井です。

 今、菅野委員がおっしゃったように、実質的には市町村に動いている部分があるのですけれども、先ほど言った療育手帳の判定という部分が児童相談所にあるわけですけれども、ここの部分というのはかなり手間暇がかかったり、高い専門性が要るということで、ここの部分についての移すときの工夫はしていただきたいと思います。

○松原委員長 もう一度ここを確認の発言をします。いわゆる支援の部分等を含めて、区市町村に役割を変更していきたい。ただし、その前に人材の確保、財源の手当というような基本的な条件をきちっと整備すべきである。その上で、加藤委員がおっしゃっていた支援拠点でソーシャルワーク的な機能を果たせるような期待をしたい。そのためには、これも人の手当ということに関わりますが、専門職が必要である。これを前提に児童相談所の機能も、児童相談所ということについては少し骨子案には仮称というのが出ていますが、これは名称はどうでもいいのですけれども、言うところの児童相談所の機能を変えていく。こういう道筋は了解をされたということでよろしいでしょうか。

 中で児童相談所がどういう機能を分化させていくのか、それを統合してやるのかについては、まだ議論が残っているかと思います。

 それでは、12ページに行きまして「5 社会的養護」に関わりまして、(1)(2)(3)、特に「(3)里親・養親支援の強化」では、草間委員の御提案が幹事会にありまして、名称を変えたらどうかということで議論をしまして、ここは幹事会提案ということで、「里親」という名称を「養育家庭」に名称変更したらどうかという提案をさせていただいておりますので、ここの御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

 木ノ内委員。

○木ノ内委員 木ノ内です。

 この部分に関しまして、私は書面で意見をということで書いております。その機会があるのか、あるいは今、ここで言ったほうが良いのかと思うのですが。

○松原委員長 ここでお願いいたします。

○木ノ内委員 ありがとうございます。

 里親の呼称については、以前、大人の事情、「里親」ですから、「親」の機能だけなのかというと、そうでもないわけで、日本の歴史的な固有のイメージというのがありまして、やはり変えるべきではないかということなのですけれども、今、「育親」であるとか、あるいは東京都でいえば「養育家庭」というようなことが言われています。ただ、正確にケアラーをきちっと訳すと「養護家庭」なのではないか。児童養護施設がありますから、基本的には「児童養護家庭」で、「児童」は外してしまえば「養護家庭」がふさわしいのかなというのが内々に出ている。意見をヒアリングしてみたのですけれども、その中では「養育家庭」ではなくて「養護家庭」ということが出ておりました。

 この並びでいえば、今、「里子」といわれているのが「養護家庭の子ども」ということで、一部差別的なニュアンスも含んでいるものですから、そういうことは入れないようにしようとかということで、この用法で使えば「里親会」というのは「養護家庭の会」であるとか、「専門里親」については「専門養護家庭」とかということで、対応ができるかなと思いました。

 とりあえずは、呼称についてはそういったことです。

○松原委員長 ありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。

 社会的養護全般に関わって、 に御意見を伺いたいと思います。いかがでしょう。

 藤川委員、どうぞ。

○藤川委員 藤川でございます。

 5社会的養護(1)のところ、12ページでございますが、下から2番目の○のところで少し意見を述べさせていただきたいと思います。

「施設退所後の支援は、児童の状況を把握している施設の職員などが退所後も相談に応じる等、特定の者が継続して関わる仕組みが必要」とございますが、せっかく国の方で26年度から「退所児童等アフターケア事業」という退所()児童に対する生活支援・就業支援、両面からの自立支援を一体的に実施出来る様にと予算化して頂き、今、全国で20カ所ぐらいが実施しております。当アフターケア事業部もその中に入っておりますが、子どもたちは当事業部に様々な相談に来ております。

なので、ここは「アフターケア事業を実施しているところと連携」と入れて頂きたいです。「施設職員など特定の者が継続して関わる」ということになりますと、施設の先生方の負担が結構大きくなるのではないか。インケアだけでも大変なところ、施設によってはリービングケアもなかなかできないという現状がある中で、それは施設の先生方に過酷ではないか。と思います。

そこで「連携」という文言を入れていただきたい。

 実際に、子どもたちが当アフターケア事業部に相談に参りました時に、出身施設の先生にも相談しようかと言ったら、言わないでほしいという子が実は8割います。それは出身施設の先生に相談内容が聞かれるのが嫌なのではなくて、挫折している今の自分の姿を見られたくない。だから、本当に辛い時に藤川の前で泣くのは良いが、施設の先生には心配をかけたくないので知らせないでほしい!という子ども達が本当に多いのです。ですが施設との連携は必要だと思いますが「特定の者」というところは是非外していただきたいと思っております。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

にいかがでしょう。

 それでは、平井委員、松本委員、武藤委員、このお三方で切りたいと思います。

 平井委員からどうぞ。

○平井委員 12ページの上の自立支援の部分でございます。一番最初のマルの一番下に「基礎自治体・児童相談所に自立支援担当ワーカの配置」とございます。これは本当に拡大して、児童相談所だけでなく、児童養護施設、自立援助ホームにもこの配置は必要で、それで連携できるかなと思っています。

 もう一点だけすみません。あと、一番下のマルの自立援助ホームの運営基盤の強化なのですが、このあたりもいろいろ議論がございましたが、強化という意味では、自立援助ホームは今、一本しかございません。シェルターは別枠でございますが、自立援助ホームを就労型と就学型という形で考えるのも必要かなと思っております。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、松本委員。

○松本委員 今、藤川委員の方からおっしゃられた、連携ということですけれども、本当にそのとおりだと思います。

 これは座長として、特定のものという形で、幹事会でやったのは、うちは知らないよとして、子どもがたらい回しになるのは避けたいということがざっくりとした趣旨であります。ですので、その人でないとだめというよりも、子どもの側から見たときに、複数のところがちゃんと関わると。ただ、長く座ったところにもきちっと関われるような基盤を整備するということが趣旨だと思いますので、そのことは同じ方向で賛成と良いますか、考えていることは同じだと考えます。

 もう一つ、今、平井委員の方から担当ワーカーの問題で、各施設にも必要だということで、それも本当にそうだと思うのです。

 ここで少し私、座長として少しこの文言を入れたのは、支援計画をきちんと実行する。そのときに、措置をした機関が終了まできちっと見届けて、終了ということをいろんな形で確認するということについて、やはり施設ということとはまた機能が違うので、基礎自治体の方にもそういう機能をきちんと持つということは必要かと考えています。

 以上です。

○松原委員長 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 武藤です。

 自立支援について、継続的な自立支援法、20歳以降も含めてやるということについてはこういう文言で基本的には良いのではないかと思っています。

 平井委員もおっしゃったように、そこに今後も地域で必要な支援を公的責任のもとで措置解除された後も行うというシステムが必要だと、そこに自立支援担当のワーカーを配置するということで、これもとてもこれまで必要だったことで、十分できていなかったことなので、是非今回の改正の中で実施をしていただきたいという現場の思いであります。

 それから、あと、施設のところで、先ほどの特定のものが継続して関わる仕組みということで、これについては両方が必要だと思います。特定のものが関わるという部分と、各諸機関だとか、また、いろんなNPOだとか、いろんな支援団体とか、そういうところも連携しながらやるということが必要だと思いますので、卒業した後に子どもたちに聞いてみると、一本、ここしか相談する場所がないということであれば、なかなかそれで難しい子どもたちはなかなか相談できないということになりますので、やはり多様な相談や、退所後のシステムが必要なのではないかと思います。

 以上です。

○松原委員長 では、1分で、西澤委員、奥山先生、木ノ内委員。

○西澤委員 西澤です。

 私はあるところの都道府県で、子どもが進学した場合の進学の援助をやっている機関と児童養護施設との関係なんかの仕事をやっています。大学に進学した後で、倒れる子がいるのですが、自立支援専門相談員がいる施設はやはりだめです。子どもとつながっていないです。だから、生活支援のスタッフを充実させて、その人たちがちゃんと子どものアフターケアができるようにするのが本筋だと思います。

 以上です。

○奥山委員 今、措置延長という制度はあるのですけれども、子どもの側から見て問題があります。例えば、1月か2月にならないと措置延長は決まりませんと言われるのです。そうすると、大学や専門学校を受けるかどうか、困ってしまうのです。やはり子どもの側に立った制度設計をきちっとしないと、非常に子どもが不安定になるということがあることをお伝えしたかった。

 それから、少なくとも3歳未満の子どもはしっかりと家庭で生活ができるようにというところはもう少し強調して、この里親支援とか、その辺のところに入れていただきたいと思います。

○木ノ内委員 ありがとうございます。

 その にここで、(3)の里親関係で、最後のマルに乳幼児に優先的な養育家庭措置をということなのですけれども、こちらも別に書面の中で意見を述べさせてもらっているのですけれども、乳幼児を優先する里親ということですが、この中でもやはりパーマネンシーを配慮して、乳児の間だけ家庭養護であれば良いというだけではなくて、それ以降も養育できる環境を整えてほしいということを言っております。

 それから、この中で触れておりませんけれども、措置に関して、保護者の不同意があって里親に預けられないという問題があるので、この問題を何とかしてほしいという感じがしております。

 もう一つは、施設ケアの3つ目のマルで、ケアの一貫性・永続性の保障を基本原則の一つとする。これは良いのですけれども、施設の中でということだと、とてもそれをパーマネンシーと呼ぶかという感じがしております。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございました。

 それでは、最後に「6 特定妊婦への対応」で御発言がおありになりましたら。

 山田委員、どうぞ。

○山田委員 山田です。

 マルの1つ目のところで「情報提供できるものと定める」とあるのですけれども、これは同意のことが書かれていませんが、「同意なくして情報提供できる」としないといけないと思います。実はきのう、神奈川県の保健所の保健師さんと会ったのですけれども、神奈川県では県内の全医療機関にアセスメントシートを配って、それにチェックがあった場合は市町村の 要保護児童対策地域協議会 に情報提供するという事業を全部の保健所でやっているらしいのですけれども、そのアセスメントシートの情報提供をもらった市町村が、「同意がとれていないケースの場合、家庭に入れない」と言ってきてしまうらしいのです。だから、「同意がなくても入るんだよ」と保健所が幾ら指導をしても、「(保護者の)同意がないと入れません」と市町村の保健師が言うということなので、同意がなくても動けるという体制にしないと、あまり効果が発揮できないのではないかと思うのです。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、全体を通じてディスカッションをする時間が少し残せましたが、資料3で、委員提出資料があります。御欠席の方の御発言をいただけないのですが、それぞれ既に発言された部分は除いて、一、二分でお願いをし、後は自由な発言をいただきたいと思います。

 秋山委員からお願いします。

○秋山委員 母子保健のところは既に意見で述べさせていただきました。

 「通告・初期対応システムの整備」のところは、全国で情報共有できるようなシステムにお願いしたいと思います。

 「一時保護・アセスメント機能の整備」ところですけれども、一時保護は緊急的な場合、あるいは短期間の場合、保育所も活用できるのではないかと思っています。実は、東日本大震災の際に、緊急的に預かった施設もあると思います。環境整備すれば何とか可能かと思っています。

 それから、「通所・在宅支援における措置のあり方」ですけれども、発達障害、情緒障害の治療に医療機関が利用しやすいような環境にしていただきたいと思います。

 最後に、資料2-2の図のところですけれども、DV相談とか、教育機関のスクールソーシャルワーカーとか、スクールカウンセラーの連携も入るような図にできれば良いかなと思っています。

 別に1つ良いでしょうか。12ページのところの自立支援計画なのですけれども、私が勉強不足で申しわけありませんが、この自立支援計画に教育の視点というのも是非入れて、作成していただければ良いかなと思います。

 以上です。

○松原委員長 泉谷委員、お願いします。

○泉谷委員 泉谷です。

 「たたき台に関する意見」として、3つ出させていただきましたが、上の2点については今回の骨子にかなり反映していただいているので、割愛します。

 「その他」のところに書かせていただいた意見で、子育て支援の部分で実は市町村の子育て支援事業のところにかなり保育士さんたちが入っているというお話を聞くのですけれども、今回のいろんなワーキンググループ等では、保育士さんのところについてあまり議論ができなかったかなと思っています。

 ですので、保育士さんでソーシャルワーク機能を発揮して、子育て支援を行っている方たちを活用していくということも、今後、検討していくことが必要だと思います。

 以上です。

○松原委員長 磯谷委員、浜田委員、補足的に発言があればお願いいたします。

○磯谷委員 まず、私の方からは、3ページが私個人のもので、5ページが岩佐委員、浜田委員と連名で出させていただいたものです。

 まず、一点、細かく説明するのは避けますが、先ほどの理念のところで話題になりましたが、やはり、結局「罰」ということで正当化をしてきた歴史を考えますと、そういった罰、つまり体罰や屈辱的な罰はダメなんだということを明確にする意味はとても大きいと思いますので、是非その点は御理解いただきたいと思います。

 それから、もう一つは、少し中身の話ではないのですけれども、やはり本日の議論を聞いていても、まだまだ議論をしなければいけない部分もあれば、早急な法改正が必要部分もあると思われます。5ページ、6ページに記載した事項は特に内容的に概ね熟していて、来年の法改正が可能ではないかと考えているものです。もちろんこれで全部とは申しませんが、私たちは来年の法改正に何を乗せるのかという議論を、これからしっかりしていかなければいけないのだろうと思います。

 以上です。

○松原委員長 議事の進行に御協力ありがとうございます。

 それでは、加藤委員はいかがでしょう。

○加藤委員 先ほど、子ども家庭総合支援拠点といいましたけれども、やはり市町村、村、町の条件整備が必要であることはとても大事なことであると補足したいと思います。

 それから、市町村が充実するということは、児童相談所が論議されるのですけれども、 要保護児童対策地域協議会 をどのように活用していくのかという意味でもありますので、調整機関と相談機関は、同じ組織の中できっちりと動くべきであると思いました。

 児童相談所の中で、まだ論議されると思うのですけれども、わからない言葉、表現等が多々あって、そこら辺は委員たちもみんな共通の用語でしゃべれているのかなと思ったりします。例えば資料2の別紙の中の 要保護児童対策地域協議会 という図、4ページなのですけれども、「措置ケースは支援の枠組みを」云々で、「支援マネージメント機能が作り」、そしてそれを「基礎自治体が担う」と書いているのですが、やはりマネージメントをやる人というのは、一緒になって考えていくというところなので、具体的なイメージがまだ熟していないと思いますので、そういったところら辺は今後、もう少し調整をしていただければ良いかなと思います。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 木ノ内委員、何か発言されていない部分があれば。

○木ノ内委員 先ほど言わせていただきました里親の呼称の問題であるとか、あるいは、里親の類型の問題というのは、大体あのような感じなのですけれども、19ページの7番に書きました保育園への入所要件、現在のところは「保育に欠ける児童」となっておりますけれども、里親家庭の子ども、あるいは養子についても、入所要件に入れてもらったらありがたいと思っております。

 それから、先ほどの「措置に関する保護者の不同意問題について」は、2番に書きましたけれども、基本的にはやはり保護者の同意は不要であると、児童相談所の措置権が強いと、できたら児童福祉法に書いていただければと思っております。

 以上です。

○松原委員長 2つ目の発言はかなり大きな発言なので、措置そのものに及んできますから、少し大きな宿題になるかと思います。

 それでは、辰田委員。

○辰田委員 まず、1点目が子どもの権利擁護に関する機関の創設についてです。当然、子ども本人が権利擁護の申し立てができる仕組みが必要だと認識しております。

 もう一つ、 要保護児童対策地域協議会 の構成機関がということですが、今回の骨子案の中では児童相談所だけでなく、市町村に対しても処遇に関して意見が言えるような仕組みが必要ということで、少し変わってきています。その辺については、先ほど菅野委員からも発言がありましたとおり、どういった形を作るのか、慎重な議論が必要だと思っております。

 2つ目に、22ページのところです。先ほどのところでも発言させていただきましたが、中核市、特別区についての設置義務については課題があるということの発言の資料です。

 以上です。

○松原委員長 それでは、平田委員、どうぞ。

○平田委員 ありがとうございます。

 4点ほど。1点は、子どもの権利擁護に関する機関の創設の場合に、特に乳幼児で自分で意見表明ができないようなお子さんを扱う場合に、その子どもの表明ができる方がそのメンバーに入るというところを視点に置いていただきたいということ。

 一時保護・アセスメントの場合に、里親及び施設という場合のアセスメントのあり方をきちんと役割分担できるような仕組みにお願いしたいということ。

 通所・在宅支援のところでは、現在の一時保護等々の不安があるお子さんで、実際は家庭の中の養育状態の支援が非常に必要なお母さん方が多いところの支援が、措置になって継続できるということが、非常に効果的だろうと思っているということ。

 最後、社会的養護において、加賀美委員からも今回、全ての子ども・家庭への支援というところを大きな視野に入れるということであれば、この社会的養護においても子どもと家庭の状況において、いろいろな支援の選択肢の幅が広がるという視点は必要なのではないかと思っています。その中で、実際、乳幼児、特に年齢が低いお子さん、家族だと、再統合の機会が非常にあるので、実親さんと家庭の支援のところが今回、記述の中にあまり出てきていないので、そこの支援のところも加えていただけるとありがたいと思います。

 以上です。

○松原委員長 武藤委員、手短にお願いします。

○武藤委員 4点ありますけれども、2点だけ説明します。

 マル2の、先ほど西澤委員から、自立支援担当職員を置いているところほど機能していないのではないかというようなお話だったのですけれども、東京の方では名称が自立支援コーディネーターということで、卒園後を含めて専門職がしっかり配置をするということで、基本的にはそういう人たちは勤務ローテに入らずに保育士指導員、ケアワーカーと違ったソーシャルワークをやるということをきちっと位置づけしながらやっております。

 いずれにしろ、今、そこの部分が現場の方は本当にボランティアというか、休日出勤だとか、そんなことも含めてやっていますので、全国的に見ますと、システム、制度をちゃんと作るという意味からすると、この自立支援担当職員の配置というのは私たちの悲願でもありますので、是非、今回の改正の中で盛り込んでいただきたいと思っています。

 あと、2点目の児童家庭支援センター、これは社会養護の課題と将来像の中では、将来的には児童養護施設や乳児院で標準装備していくような方向性を今、スタートしたところであります。ここの「地域子ども家庭支援拠点」の中に、民間力というか、24時間子どもを支援できるというところも含めたところにちゃんと付置をして、それが民間ベースとして地域のセンターになっていくという方向性も示していますので、そこのあたりの活用も是非お願いしたいと思っているところです。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、少し時間を残せましたので、特に書面資料を出していない方でも、御自由に発言をいただきたいと思います。

 奥山委員、加賀美委員、塩田委員、菅野委員、辰田委員、西澤委員、藤川委員、山田委員の順番でぐるっと回したいと思います。

 どうぞ。

○奥山委員 先ほど短時間でお話ししようと思って、しっかりとお伝え出来なかったところを少しだけ補足します。

 「理念」のところなのですけれども、子どもの権利といったときに、全体をしっかり守ってほしい。それが本音なのですけれども、その中でも意識としてかなり遅れているのは、子どもが参加する権利ではないかと思っています。その権利をしっかり守るというか、対応するということを報告書のどこかにうたいたいと考えます。

 それから、母子保健のことは先ほど技術的援助みたいなところの話だけで終わってしまったのですけれども、実際、虐待予防の中で母子保健の役割は非常に大きいと思うのです。ところが、どこの法律を見ても、母子保健がやっているということがきちんと書かれていない。だとしたら、そんなことをやるなと言われるところはまだまだ存在していると聞いていますので、母子保健の役割なのだということをしっかりと明確にするという意味では、 児童 虐待防止法の方に書き込むのか、児童福祉法に書き込むのか、母子保健法を改正するのか、そこは議論をしなければならないのですけれども、予防の役割ということを明確にしたほうが良いというところでお話をしたので、少し飛び抜けた意見になってしまったかなと思ったので、加えておきます。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、加賀美委員、お願いします。

○加賀美委員 「理念」に関することになるのかもしれませんが、申し上げるところがないので、申し上げます。

 この全ての子どもをどう健全に育てるかということを考えるときに、社会全体、国民全体でというイメージのものを少し入れておきたい。社会全体で子どもを育むという、これは国、都道府県、市区町村の役割も含めてと申し上げておきたい。

 それから、先ほど自立支援のところの問題で、自立支援のための役割の職員を置く、置かないみたいな話もあったので、要は、子どもの発達連続性をどう担保できるか、そのためには養育支援の連続性が必要だろう。すなわち、子どもの発達連続性を担保する養育支援の連続性、そのことを理念の中に入れておく必要があるだろう。

 それから、大臣のこの会議の冒頭のご発言で、全ての子どもは適切に養育され、発達する権利を有するとともに、その自立を保障されるという言葉があったと思うのです。そういう意味で、発達権の保障ということは文言として入っていますので、自立を保障するという言葉を入れるべきということも申し上げておきます。

 最後に、先ほど磯谷委員が体罰の問題、とてもわかりやすい言葉だけに、私は逆に懸念をするということを申し上げておきます。

○松原委員長 なるべく短目にお願いします。

 次が、塩田委員、お願いします。

○塩田委員 私も「理念」のところで、児童福祉法に加える事項の2番の、体罰のところなのですけれども、乱用という言葉は加えなくてもよいのでしょうかということで、二、三日前から話題になっている2歳の子どもにたばこを吸わせるなどというようなことは、親は別にあれは悪いことと思ってやっていない。親の楽しみのために子どもを利用しているようなこともいけないのだということを載せるためにも、乱用という言葉を加えていただけたらということ。

 「社会的養護」の「(4)施設ケアの小規模化推進と機能の向上」のところで、その中に小規模化の施設が適正に運営できるための配置基準を設置するということを加えていただきたいということ。

 先ほどから、東京都でいうと自立支援コーディネーターの件ですけれども、武藤委員の方から自立支援コーディネーターがソーシャルワークを担っているという発言があったことに関してなのですけれども、私はあれがソーシャルワークと言えるのかどうかというところに疑問があります。生活の中で抱えた課題を自立支援という場に移して支援する点です。課題が生じた環境との相互作用の中で解決していくのが私はソーシャルワークだと認識しているのですが、それを自立支援という別の場に移して、別な者が支援していくことをソーシャルワークと位置づけて良いのかというところは疑問で、コーディネーターの集まり、うちのブロックだけなのかもしれないのですけれども、行っていることはチェックリストを作って、自分が自立したかどうかを子どもに判断させるとか、そういうことをソーシャルワークというのかどうかということには疑問を感じます。

 以上です。

○松原委員長 御発言は伺っておきたいと思います。

 それでは、菅野委員。

○菅野委員 菅野です。

 ピンポイントで、10ページのところで、一時保護の教育保障のことがあると思うのですけれども、これで通学の安全保障をして、最寄りの小中学校にとなっているのですけれども、保護する場所ではなくて、子どもが新しい集団に行くなんていうのはすごいストレスなので、原籍校に通えるようなシステムみたいなものがどこかでできれば良いのかなというのが1点。

 二点目は12ページのところにあります「社会的養護」のところの継続の部分です。ここのところで今、在宅支援の措置とか、在宅の人たちというところの支援も構成していこうと考えたときに、もっと広い意味で、社会的養護だけではなくて、そういう在宅でいる人たちも救えて、フォローできるような構造が要るのかなと思いました。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、辰田委員。

○辰田委員 八王子の辰田です。

 まず、対象年齢のところで、20歳まで引き上げるというところ、今までのワーキングのところでも発言してきましたけれども、当然、在宅の1819歳の子も対象になるということであれば、社会的養護の枠、施設、里親、また、一時保護の整備、機能の役割とも、早急に取組まなければいけない課題ということは併記してほしいと思っております。

 あと、20歳を超えた場合、支援の担い手は児童相談所、児童福祉施設というところが書かれてあります。各施設には自立支援コーディネーターは必須の配置が必要だと思っている。援助をしていくべきだと思っていますし、ここで書かれている基礎自治体に児童相談所に自立支援担当ワーカーの配置というのが今回、書かれております。それはどのような役割を期待されているのか、そこについても議論が必要かと思います。

○松原委員長 どうぞ。

○西澤委員 短く2つ。1つは、本日の神奈川県の井上所長の発言で、児童相談所一本化でいるのではないかと議論が後退するのがすごく私は怖いと思っています。児童相談所の中で今までどおりでやれるではないかと。

 神奈川県は神奈川県で非常に専門性が高いですので、何とか工夫してやってきて、ガラケー進化を遂げてきているのだと思うのです。だけれども、上手くやれていないところもある。例えば私が関わっているような、Y県の、どこかわかりませんが、児童相談所も壊滅しています。受理会議さえ持てない状態になっているケースもあります。そういう状況もあるので、そういったところも含めて考えていくとして、やはりモデル的な実施をしてみて、検討していくということを考える必要があるのではないかということが1点。

 もう一点、簡単に。言葉を見直していただきたい。これは金がかからないと思うので、「児童」は「子ども」にするとか、「処遇」は「ケア」とか「支援」とかにするとか、そういう用語の見直しは絶対やってほしいと思います。

 以上です。

○藤川委員 藤川でございます。

 先ほど肝心なことを言い忘れましたので。

12ページの「社会的養護」のところでございます。施設退所後の支援のところで、連携というのを是非入れていただきたいとお願いしたのですけれども、どうしても連携というと、福祉機関と皆さん、思いがちではないかと。子どもたちは施設を出たら社会に出ますので、是非とも連携のところで、「民間企業と」というような文言。やはり会社、あるいは雇用主さんが本当に大事にしていただいて、育てていただいているところがたくさんあるので、是非「民間企業と」というところは入れていただきたい。それが抜けておりました。

 以上でございます。

○松原委員長 ありがとうございます。

 それでは、武藤委員、山田委員で終わって良いですかね。

○武藤委員 1ページの児童福祉法の「理念」のところなのですけれども、今回も、また3番のところに「国及び地方公共団体は」ということになっていて、意見としては、やはり子ども・子育てに関しては国家責任というのはきちっと明確にしたほうが良いのではないかという意見です。一番下のところにそれぞれ明確にするということにはなっていますけれども、文言にしたときにどういうことになるのかなと少し心配な部分があったものですから、発言させていただきました。

 以上です。

○山田委員 山田です。3点簡単に説明させていただきます。

 骨子案の6ページですが、先ほどディスカッションのときに飛んでしまって、スルーしたところなのですけれども、Child Death Reviewについて、幾つか厚生労働省の専任調査官とか、面接とか、児童相談所の調査権限ということが書かれていますが、少し違うシステムを日本子ども虐待防止学会のChild Death Review制度構築ワーキンググループというところで、今、検討案を理事会等に提出したところなのです。 の学会等ともすり合わせをして、いずれ国にお示ししたいと考えていますので、そこのところもお含みおきいただければと思います。

 それから、11ページになりますが、司法関与のところですが、このページの2つ目のマルで、「裁判所が直接親に対して指導等を行う」となっているのですが、そういう議論ではなかったのではないかと思うのです。裁判所にお願いしているのは、児童相談所等が指導することを回りくどく都道府県に勧告するというのではなくて、保護者に直接裁判所から勧告を出してほしいという意味での治療命令という形であって、指導するというのが裁判所ではないので、少しここは混乱する文書になっているかと思います。

 それから、井上所長さんがいろいろ御説明くださったところで、また蒸し返すようで申しわけないのですが、警察に、面前DVケースを市町村に通告するか、児童相談所に通告するか、工夫をしてもらうということですけれども、今、多分、少年警察活動規則か何かに児童相談所通告ということが決められていて、それを改正してほしいと、例えば神奈川県警に申し出ているのかもしれませんが、「窓口の一本化というのは通告側がどちらに通告したら良いかを考えるというのではなくて」ということが一番重要なのです。警察は規則を変えれば児童相談所に通告すべきなのか、市町村なのか、区別ができるかもしれませんけれども、泣き声通告とか、学校の先生がけがをした子どもに出会ったときに「どちらに通告すべきかというのを現場に判断させるのではなくて、そこを振り分けるところとして、窓口の一本化をしましょう。そして、そこの情報から、調査介入的なアプローチが必要だというのは児童相談所に振るし、支援的なモードで入れば良いというのは市町村に振るし、夜間休日の場合は警察にとりあえず入ってもらいましょう」みたいな「振り分けをしましょう」という意味であって、コールセンターで調査をしろということではないのです。

 どこも通告を受けたら、通告を受けたときの情報は限界があるわけで、その限界の中から次のステップを考えているわけではないですか。そこを通告窓口一本化でやりましょうということなので、少し認識に誤解があるのではないかということを御指摘したいと思います。

○松原委員長 ありがとうございました。

 時間があれば、少し振り返って確認をしたいところもあるのですが、本日の議論を再度繰り返している時間的余地がありませんので、ここだけ確認させていただきます。やはり条件が整わないとできないということが随分本日出てきましたし、それぞれ細かい点について、これを加えてほしいとか、ここを改めるべきだと、まだ議論が定まっていないところがあります。

 議論が定まっていないところにつきましては、次回の専門委員会までに少し資料を準備したいと思います。場合によっては両論併記、あるいは多様な意見の記載になる可能性もあるかと思います。

 それから、条件が整ったらということと、磯谷委員がおっしゃっていたように、やはり待ったなしでやらなければいけない、それから、できないできないと言っているとできないので、一定の目標を定めて、そこでやれるように促していく、そういうことも必要だという御意見も出ましたので、この骨子の中には一応ロードマップという、何年間という数字が入っているところもありますが、もう少しここの時期のメリハリをつけられるように幹事会で努力をし、専門委員会でお諮りをしたいと思います。

 そう考えてきますと、次回の専門委員会、一応そこで終えたいという案もあったのですが、とてもこれは無理ですので、予備日を1回とっていたかと思います。残り専門委員会2回費やさせていただきたいと思います。その中でまたまとめられる部分をまとめてまいりたいと思います。

 大体本日の議論はこれで終えていきたいところですが、事務局の方はいかがでしょうか。

○小松虐待防止対策室長補佐 次回日程についての御連絡をさせていただきます。次回、専門委員会の日程は1127日金曜日、10時からの2時間、場所は本日と同じ専用第22会議室を予定しております。正式な御案内は追って事務局より送付いたします。

 以上です。

○松原委員長 ありがとうございました。

 それでは、本日の第2回の専門委員会はこれにて閉会といたします。御出席の委員の皆様、どうもありがとうございました。


(了)

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