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2015年11月18日 第2回介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会 議事録

老健局振興課

○日時

平成27年11月18日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第21会議室(17F)


○出席者

<委員>

田中滋座長、国政貴美子委員、小林司委員、小林光俊委員(代理:山口保氏)、小山秀夫委員、鈴木邦彦委員、田中雅子委員、谷村誠委員(代理:山田雅人氏)、筒井恵子委員、筒井孝子委員、馬袋秀男委員、平川博之委員、藤井賢一郎委員、村上久美子委員、山田久委員

<厚生労働省>

三浦局長、濱谷審議官、辺見振興課長、川島振興課課長補佐

○議題

(1)関係者ヒアリング
(2)意見交換

○議事

○辺見振興課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会」第2回会議を開催いたします。

 本日は、御多用のところ御参集いただきまして、本当にありがとうございます。

 まず初めに、配付資料の確認をいたします。

 資料1-1、1-2 社会福祉法人若竹大寿会 説明資料

 資料2 社会福祉法人奉優会 説明資料

 資料3 一般社団法人シルバーサービス振興会 説明資料

 資料4 静岡県庁 説明資料

 資料5 社会福祉法人端山園 地域密着型総合ケアセンターきたおおじ 説明資料

 参考資料 レベル認定者を輩出している法人種別の内訳

 資料に不備等ございましたら、係まで御連絡いただければと思います。

 さて、本日の出欠状況でございますけれども、岩村委員、小林光俊委員、谷村委員が所用のため欠席でございます。また、小林委員の代理といたしまして、日本介護福祉士養成施設協会の山口様、谷村委員の代理といたしまして、全国社会福祉法人経営者協議会の山田様に御出席いただいているところでございます。

 また、日本医師会の鈴木委員につきましては、30分ほど遅れて御到着と連絡を受けております。

 本日の検討会は、関係者ヒアリングといたしまして関係者の皆様方に御出席をいただいておりますので、御紹介させていただきます。

 まず、社会福祉法人奉優会通所事業統括部統括部長、平林様。

 続きまして、社会福祉法人若竹大寿会介護老人保健施設リハリゾート青葉、鈴木様。

 一般社団法人シルバーサービス振興会総務部長兼企画部長、久留様。

 静岡県健康福祉部福祉長寿局介護保険課長、杉山様。

 社会福祉法人端山園地域密着型総合ケアセンターきたおおじ代表、山田様。

 以上でございます。

 それでは、これからの進行は田中座長にお願いしたいと思います。

 なお、報道関係の方、冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、何とぞよろしく御協力お願いいたします。

 田中座長、よろしくお願いいたします。

○田中座長 皆さん、こんにちは。

ここから、早速ですが、議事に入ります。ヒアリングの対象の方々、お越しいただきまして、ありがとうございました。

 初めに、前回、村上委員より御質問のありましたレベル認定を取得した法人について、事務局から資料が提出されています。説明をお願いします。

○川島振興課課長補佐 それでは、事務局より御説明申し上げます。

 資料の最後についております参考資料をご覧いただければと思います。前回、第1回で御質問のありました法人種別でございますけれども、平成27年8月現在で、355法人でレベル認定者を輩出しております。その内訳がこのスライドの上段の部分になります。主なところでは社会福祉法人が131、医療法人が119、営利法人が49、そのほか、ご覧いただければと思いますけれども、このような状況になっております。

 参考として、これは前回お示ししたものですけれども、平成27年8月現在でレベル認定者数688、これの法人別内訳が下の表になっております。ご覧いただくと一つの法人で約2名のレベル認定者が平均で輩出されているというような状況になっております。

 説明は以上です。

○田中座長 ありがとうございます。

ここからヒアリングに移ります。本日お越しいただいております関係者の皆様には、それぞれの取組状況等について資料を作成していただきました。順次説明をお願いします。まずは、実際に介護キャリア段位制度に積極的に取り組んでおられる事業者の方々から説明を頂戴します。

 最初に、社会福祉法人奉優会通所事業部、平林統括部長、資料の説明をお願いいたします。

○奉優会・平林氏 本日は、このような場で発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。また、このような場は不慣れでありまして、お聞き苦しいところもあると思いますが、御了承ください。

私は、社会福祉法人奉優会通所事業部統括部長の平林と申します。資料2を使って御説明させていただきたいと思います。

 今般は、人事課長近藤とともに、現在までの奉優会におけるキャリア段位制度の取組と制度において感じた点についてまとめさせていただきましたので御報告させていただきます。それでは、説明をさせていただきます。

まず、資料2の2ページ、3ページをご覧ください。社会福祉法人奉優会は、平成1111月に、株式会社大橋サービスの代表取締役社長であった香取真恵子氏の寄附により設立された比較的新しい法人でございます。平成2711月1日現在、1,534名の従業員数となっております。

また、奉優会の運営は、初代理事長に香取勲氏が就任、理事には日本社会福祉事業大学長の京極高宣氏、渋谷区医師会会長の佐藤義彦氏など、各業界の著名な方々が就任することにより、奉優会は、人材、介護、福祉、医療が一体となった、「新しく夢のある社会を、住み慣れた地域に創ること」を目的に運営が開始されました。

 関連するところでは、下に行きまして、平成21年には、「規模の拡大」と「高機能サービスの提供」「職員が優しくなれる雇用環境の構築」を推進する中期経営計画「for2010プラン」が展開され、平成26年度には第2次中期経営計画である「for2013プラン」に沿って、法人の基盤整備を進められ、社会福祉法人の使命や役割、コンプライアンス体制の再構築を図り、引き続き利用者やその家族が安心してサービスを受けられるよう、事業収支や運営体制など経営基盤の強化を目指してきた法人です。

 続きまして3ページをご覧ください。こちらに記載のとおり、奉優会は特別養護老人ホームや通所介護、グループホームなどの運営に加えまして、小規模多機能居宅介護や高齢者福祉センター、包括支援センター、コミュニティカフェなど、多機能な運営を都心部中心に行っている法人でございます。

 資料の下側、5ページをご覧ください。キャリア段位制度の取組状況と導入経緯の御説明になります。平成22年度に人事・組織戦略に着手いたしまして、平成25年度にはマイスター制度と段位制度がマッチングし、アセッサー資格を取得するに至っております。翌26年度にはレベル認定者の誕生を法人内で表彰することができました。さらに、今年度につきましては、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業及び処遇改善加算を活用し、給料体系の変更を行うに至っております。

 年度内の見込みといたしましては、アセッサー53名、レベル認定者12名を確保する予定で、今現在取り組んでいるところでございます。

 6ページをご覧ください。こちらは既に段位認定者が誕生した事業所を抽出しております。現在は通所介護や小規模多機能居宅介護にてレベル認定まで至っているところでございます。今年度中に認定を目指している他の9名につきましては、特別養護老人ホームの職員を中心に、通所介護、小規模多機能居宅介護の職員がレベル認定を目指しています。

 7ページからは、段位制度について、先ほど御説明した法人での導入経緯の詳細説明となっております。7ページにつきましては平成22年度の人事・組織戦略でございます。

 次の8ページのほうは平成25年度の計画となりまして、次の8、9ページの新人事制度を強化する施策につながっております。こちらの中で表彰制度というものにつなげることができたという実績となっています。

さらに、資料の11から13ページは、キャリア段位制度に絞ってさらに抽出したものとなっております。キャリア段位制度という視点を法人の計画に取り込むことができましたのは次の3つの目的がマッチングしたことが大きいと考えております。

まず、11ページにございますように、1つ目は介護技術の不安を取り除き、介護離職減少につなげることができる。12ページにあるように、2つ目は、介護職の昇給、賞与に反映させてモチベーションを高めさせることができる。13ページにあるように、3つ目は、介護職にスポットを当て、表彰すること等の評価が得られる。という3点の効果と法人の目指す施策がマッチングしたことで、キャリア段位制度に積極的に取り組むことができたのではないかと考えております。

 続きましてスケジュールについて、14ページをご覧ください。当法人ではまだ着手したばかりということもございまして、一人のアセッサーによるレベル認定は、年間で、1~2名という形になっております。現行では半年から1年の評価期間が必要であると考えておりますが、今後は事務量の軽減や項目の縮小、アセッサーの慣れといったところで、これを続けていくと3~4カ月で評価できるものではないかと考えているところでございます。

 続きまして、最後に15から17ページで、実際にアセッサーやレベル認定を受けた職員及び当該事業所の管理者にヒアリングを行った結果をまとめさせていただいております。文章そのままの記載でございます。

 まず、15ページでは、段位制度でよかったことという形でまとめさせていただきました。大きく3点の視点、アセッサーについて、段位者について、事業所についてということで分類しております。アセッサーについてというところでは、「アセッサー自身の技術(スキルや知識)の再確認ができた」という自身のことと、「職員の技術レベルの把握ができた」。また「現場職員の指導基準が明確となった」といった事業所の介護レベルに関する効果が得られたという意見がありました。

 次に段位者についての項目では、「自身の普段の介護や利用者とのコミュニケーションを振り返ることができた」という、介護技術面に加え、「対象となった利用者と改めて向き合って介護することができた」「仕事に対する意欲が高まり、さらなる介護力アップへ向けて向上心が高まった」といった御利用者へのサービスや意欲向上につながる意見を多く聞くことができております。

 次に事業所についてでは、「介護職員全体が、自分の介護が正しいのか、介護の質について考えるようになった」という意識向上や、「職員にプロ意識が促進され、虐待予防につながると思われる」といった介護倫理につながる内容の意見も聞くことができました。

 続きまして16ページをご覧ください。こちらでは、改善が必要と思う点として大きく3つの意見が挙がっております。1つ目、「評価における前提条件について」では、「評価内容に該当する対象利用者の選択が難しかった」、対象の利用者が欠席するとその方に対しての評価ができなくて評価が遅れてしまうというような、評価の前提条件に対する意見が挙がってきております。

2つ目に「アセッサーと評価者について」では、「シフトや業務を合わせるのが大変」「アセッサーと評価者がフロアから抜けることで、職員が一時的に不足する時間が発生してしまった」という意見が挙がっております。

 3点目に「書類等、業務の多さについて」では、「作成する書類が多く、残業による作業が多くなった」「項目が多く、定められた期間で評価を終えるのが大変であった」という意見が挙がっております。

 これらをもとに、最後に「今後に向けたご提案」という形でまとめさせていただいております。こちらも大きく3項目でございます。1点目「取得しやすい環境に向けて」では、「評価項目の簡略化による、事務作業及び取得時間の短縮」や「レベル認定項目を分割し、単位ごとの取得認定を検討する」などの取組が必要ではないかという御提案でございます。

 2点目につきましては、「段位制度の活用に向けて」というところで、介護福祉士等の資格として扱われるような体制を促進することが必要ではないか。また、東京都の補助金制度は限定的な制度となっておりまして、アセッサーに対する還元となる補助制度を検討することが必要ではないか。また、広報のメリットとしても、有段位者のいる事業所への評価加算などの検討。これは介護保険の中での評価加算等の検討という形にするとさらにこの辺が促進されるのではないかと思われる点でございます。

 3点目、「職員のスキル維持に向けて」の意見も出てきておりました。段位認定を受けた者に対して、さらにそのスキル定着を検討し、段位認定者向けの集合研修や、アセッサー向けのフォローアップ研修の検討も必要ではないかという意見をまとめさせていただきました。

 最後に「まとめ」でございます。キャリア段位制度は介護職員のスキルアップ、離職予防という被認定者にとってのメリットがとても大きいと思っております。また、アセッサーや事業所にとっても、介護技術の見直しや職員の向上心につながる効果も大きく、さらに職員コミュニケーションも増えるとともに、正しい知識を持つことで虐待防止にもつながるという効果があると考えられます。

 一方、現行ではアセッサーの評価実施に多大な時間がかかり、事業所及びアセッサーへの負担が大きいという課題がございます。また、レベル認定者への評価は事業主の判断となっていることに加え、制度自体の認知度が低いことが認定者の増加につながっていない状況になっていると考えます。負担軽減と認定者・事業所への評価を行うことで、介護の質向上及び職員の離職防止につながると考えます。

したがって、キャリア段位制度は介護職の役割を明確化するための共通の物差しとなるメリットがあり、導入時の敷居はやや高いものがあるかもしれませんが、総合的な人事制度を構築することができる団体にとってはとても有効なシステムであるのではないかと思っております。

 以上になります。

○田中座長 ありがとうございました。

 続けて、社会福祉法人若竹大寿会介護老人保健施設リハリゾート青葉の鈴木様、資料の説明をお願いいたします。

○若竹大寿会・鈴木氏 ただいま御紹介にあずかりました、神奈川県横浜市にあります社会福祉法人若竹大寿会介護老人保健施設リハリゾート青葉で現在ケアマネジャーをしております鈴木と申します。今日はよろしくお願いいたします。時間に限りがありますので、部分部分で、資料の説明を割愛させていただきます。

 まず、お手元の資料1-1を確認させていただきます。2ページ目です。「施設人員配置」に関しましては、後ほど資料を確認していただければと思います。

 3ページです。「キャリア段位制度を活用するきっかけ」に関しまして御説明させていただきます。まず、「法人よりアセッサー講習受講の勧めがあったため」、また「処遇改善の一考につながっていく仕組みを学ぶため」「人材定着の促進や募集にかかわる施策となるため」「利用者の情報把握をより的確に行えるスキルを身につけさせるため」「利用者のニーズに即した介護実践力を構築するため」、このような効果を期待して取り組んでいる次第であります。

 4ページです。「アセッサー取得者」。介護老人保健施設リハリゾート青葉でのアセッサーの在籍数でございます。内訳はこのようになっております。

アセッサー対象者に関しましては、「対象者背景」といたしまして、5ページを参照していただければと思います。

また、今回、アセッサー18名に関しては簡単なヒアリング、アンケート調査を実施しております。6ページをお願いします。アンケート結果1、「アセッサー業務についてうかがいます」。質問内容です。「取り組んでみての感想」。「良かった」が8名、「まあ良かった」が2名、「どちらでもない」が3名、「良くなかった」が5名というような結果となっております。

アンケート結果2、「アセッサー業務についてうかがいます」2、「介護技術質の向上につながると思いますか?」。「思う」が13名、「まあ思う」が3名、「どちらでもない」が2名、「思わない」が0というアンケート結果になりました。

 8ページを参照願います。アンケート結果3、質問内容、「介護キャリア段位制度に期待するもの」。「介護技術向上」が4名、「雇用の安定」が2名、「職場環境改善」が0名、「処遇改善」が12名という結果になっております。

 続きまして、取り組んでよかった具体的な意見を幾つか御紹介します。9ページです。「基本的な技術の振り返りになった」「eラーニングに取り組んだことでパソコンを利用した学習ができることが認識できた」「リーダーの立場にある者は自分の振り返りも含めてスタッフの介護技術を把握することができた」「各ユニットごとの技術力が明確になった」「評価者自身、介護技術の根拠を理解していないことに気づけた」「第三者機関より記録の内容の指摘を受けることで記録の改善が図れた」。

 続きまして10ページです。「取り組んで良くなかった意見」です。「評価する時間調整が難しい」「学んできた内容と違う」「処遇改善につながるのか理解できない」「勤務時間外の業務がふえる」「日々の業務が忙しく取り組めなかった」。

 続きまして11ページです。「取り組んでみての課題」です。スケジュール管理が困難。現状、各ユニット・各フロア任せの状態になっております。その反省をもとに、平成28年度より「資料1-2 スケジュール管理表」に沿った形で実施していく予定です。資料1-2は後ほど御参照いただければと思います。続きまして、「制度の説明が明確にできなかった(給料への反映は未定)」「他スタッフの理解の必要性」「業務時間外の活動の増加」「一時的なものから継続学習への取組が困難」。これは大きな課題です。

最後に、「事業所としての工夫」を説明したいと思います。12ページです。工夫としましては4点挙げさせていただいております。まず1「評価しやすい環境」各ユニット・フロアから2名選出し、アセッサー講習修了後お互いを評価し、段位取得に向けて取り組んでいく。2「多数応募できる仕組み」アセッサー集合研修日の事業所の業務内容をある程度、別日に変更することで多くのスタッフがアセッサー講習に参加できるよう調整する。3「学習できる場の提供」介護技術室をつくる。リハリゾート青葉で取り組んだ内容ですけれども、ネット環境とパソコン2台、プリンター、ベッド、ポータブルトイレ、手すりを用意し、スタッフが日常、スタッフ同士で介護技術の振り返りを行える環境をつくりました。4「事業所としてのバックアップ体制」モチベーションを上げるための工夫です。茶話会、参考書の配布等を実施しております。

 以上をもちまして、社会福祉法人若竹大寿会リハリゾート青葉の段位制度における取組の発表を終了させていただきます。ありがとうございました。

○田中座長 ありがとうございました。

 次に、本年度の介護キャリア段位制度の実施団体であります一般社団法人シルバーサービス振興会 久留部長、資料の説明をお願いいたします。

○シルバーサービス振興会・久留氏 一般社団法人シルバーサービス振興会、久留でございます。

 本日は、制度の実施機関といたしましてこのような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。私ども、平成24年度の法制度の施行時に内閣府で実施されました実施機関の公募に応募させていただきまして、3年間の実績を踏まえて、本年度から厚生労働省に移管されるに当たりまして、改めて実施されました公募にも応募させていただき、今日に至っております。

 内閣府での公募結果に基づきまして交付決定がなされましたのが平成2411月でしたので、ちょうど丸3年が経過したところでありますが、この間の事業実績につきましては、第1回の検討会の場で厚生労働省から御説明がされたと伺っておりますので、本日は意見のみの資料にさせていただいておりますことを御容赦いただきたいと思います。

 まず、意見書の説明に入ります前に、私どもが今回の実施機関として応募した理由と申しますか、覚悟と申しますか、これは内閣府、厚生労働省の公募の際にも申し上げたことでございますけれども、当会は、設立以来一貫して民間シルバーサービスの健全な育成と質の向上に取り組んでまいりました。特にサービスの質の確保に力を入れ、サービスの標準化や介護保険制度の基本理念であります利用者による選択、自己決定を支援するためのシルバーマーク制度ですとか、介護サービス情報の公表制度などに積極的に取り組んできたところです。

 こうした当振興会のこれまでの特徴の本質は、サービスの品質を標準化しますとともに、利用者から「見える化」することであると思っております。こういった観点から、この介護キャリア段位制度は、介護従事者の現場スキルに着目したポテンシャルの可視化にほかならず、当会の取組の延長線上にあるものと認識しております。また、私どもの特徴といたしまして、民間サービスにかかわる多くの中央団体や職能団体等も会員となっていただいており、こうしたサービスの標準化や質の確保といった視点から、個々の業種、団体、企業等の枠を超えまして、民間を挙げて取り組めるよう支援体制を構築することも当会の重要な使命であると考えており、本事業に取り組むに当たりましても、こうした当会の位置付けや設立の趣旨に合致している旨、理事会及び総会にも諮りまして承認を得、会員の総意として取り組んでいるものでありますことを冒頭にお話しさせていただきました。少々長くなりましたが、それでは、お手元の資料3をごらんください。

 これまでの事業実績を踏まえまして、実施機関の立場から事業運営に関する意見を申し述べさせていただきます。

 まず、「制度及び実施体制について」「制度の位置付けについて」でございますが、本制度は、平成22年6月18日に閣議決定されました「新成長戦略」に位置付けられた「21の国家プロジェクト」の中の「実践キャリア・アップ戦略」の一環であり、実践的な職業能力の評価・認定制度を構築することによって、成長分野における人材育成を進めることにより、労働移動を促すものとして期待されているものと認識しております。

本事業に取り組む介護事業所・施設をはじめといたしまして、前のお二方の御報告にもございましたとおり、実際に取り組んだ方々からの評価は非常に高くいただいております。これを受けて、アセッサー、外部評価審査員は、こうした認識のもとで、その目的の実現に向けて尽力いただいているところでございますが、こうした制度への期待に対しまして、本制度は、現行では予算事業という位置付けでございますので、今後、介護人材の確保対策における位置付けといったものも明確化する必要があると考えております。このため、本事業の位置付けについて、事業者の皆様の取組の促進という観点からも整理が必要かと考えております。

 次に、「事業運営について」でございますが、介護キャリア段位に取り組む事業所は、先ほど若竹大寿会様の年間スケジュールにもございましたように、年間を通じて内部評価等の取組を行っていただいておりますが、実施機関につきましては毎年度公募が行われておりまして、事業の開始時期が遅れる場合がございます。これによりアセッサー講習やレベル認定委員会の審査・認定業務に影響を与える可能性がございますことから、事業運営に支障を来さない実施方法を検討する必要があると考えております。

 また、内閣府の「介護プロフェッショナルWG」において議論のありました補助制度からの自立についてでございますが、こうした議論があったことは重々認識しております。それを受けて自主事業化した場合の事業運営の在り方について整理していただく必要があると考えております。

 次に、「事業の課題について」でございます。実際に私ども実施機関として3年間の実績を踏まえて幾つか申し上げさせていただきたいと思います。まず、「レベル認定取得者数に関する目標設定等について」でございますが、レベル認定取得者数は、平成2710月末現在、811名でございます。内閣府における「介護プロフェッショナルWG」では、2020年においてキャリア段位認定者数の合計を13万人程度とするという目標設定がなされ、この目標の達成に向け、制度創設後3年間で2万人程度、2015年以降は各年度2万人程度のキャリア段位認定者の育成を目指すとされておりました。

 しかしながら、実施機関としては、この目標設定に従った場合、毎月、相当数の認定を行わなければならないこともございます。現状のアセッサーの評価の進捗状況及びレベル認定委員会での審査の方法、体制といったことでは、この目標達成が非常に難しいと思われます。このため、この目標の設定につきましてもいま一度整理が必要かと考えております。

 次に、「アセッサーの内部評価、資格取得後の管理について」でございますが、昨年度までのアセッサーの養成数は7,817名でございまして、本年度、アセッサー講習を修了いたしておりますので、本年度末までには1万人を超える見込みでございます。一方、本制度の要となるこのアセッサーにつきましては、介護現場での業務を行いながらの評価となっておりまして、先ほどのお二方の御報告にもございますように、評価業務への負担が大きいという指摘がございます。

 また、一人の介護職のレベル認定を行いますのに、現在の仕組みでいきますと、期首登録から期末評価完了、いわゆるレベル認定の申請ができる段階に達するまでに平均で6.8カ月を要している状況となっております。その後の私どもで実施させていただきますフォローアップにも3カ月程度を要す場合もございますことから、非常に長い期間がかかって現場に御負担をかけているというような状況になってございます。こちらは慣れという問題もあろうかと思いますけれども、今後、より効率のよい仕組みとすることが必要であると認識してございます。

また、内部評価の質を担保いたしますため、アセッサーの資格取得後の管理、いわゆるフォローアップ等についても今後検討していく必要があると考えてございます。

 こうしている現在でも、全国でおよそ5,000名のアセッサーが評価に取り組んでいただいておりますし、また当会のスタッフが日夜これをフォローしている現状でございます。ぜひより効率のよい仕組みとしていただけますようお願い申し上げます。

 次に、外部評価の運用でございます。内閣府における「介護プロフェッショナルWG」におきまして、外部評価は「原則1年に1回」の頻度で実施することとされておりますが、平成27年度はレベル認定者を複数輩出している事業所・施設を対象に重点的に実施する。このように外部評価を継続していく中で、3年以内にその実施方法・体制を検証し、整備を完了させるとされております。

 外部評価につきましては、内部評価の外部チェックとしての抑止力効果があるものと考えておりますが、具体的な運用の方法について検討を行う必要があると考えております。

 最後でございますが、「評価項目について」でございます。昨年度末の内閣府における「介護プロフェッショナルWG」(第11回)におきまして認知症に関する項目の追加を検討することが示されております。また、内閣府がこれまで実施されてきました事業の過程におきまして、既存の項目や、その運用において見直しの必要性も指摘されてございます。評価項目の見直しに当たりましては、アセッサーへの周知や評価シート等の改訂、こういった実務面での改訂に一定の期間が必要になると思われますので、円滑な実施に向けての十分な準備期間を設けていただくことが必要かと考えてございます。

 以上、私ども、実施機関といたしまして、これまでの3カ年の実績に基づきまして意見を申し述べさせていただきました。本日はどうもありがとうございました。

○田中座長 ありがとうございます。

ここで一旦質疑に移ります。ただいままでのお三方からの取組状況等の説明を踏まえて、何か御意見、御質問等がありましたら御発言ください。

○山口代理 日本介護福祉士養成施設協会の山口でございます。

 奉優会さんに教えていただきたいのですが、資料で申し上げますと、16ページになりますが、4といたしまして「介護キャリア段位制度に取り組んでみて良かった点と悪かった点」というところの「改善が必要と思う点」についての御質問でございます。それで、評価における前提条件ということで、枠の中で、最初に「評価内容に該当する対象利用者の選択が難しかった」ということでございますが、そちらの法人におきましては、普通、介護職につきまして何年ぐらいの人が対象になっているのかどうか、あと1つは、介護福祉士養成校の学生を実習生として受け入れているかどうか、その辺について教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。

○奉優会・平林氏 当法人では、最初の段階といたしましては、経験がある程度ある職員というところで、アセッサー資格をとっているのは、基本的には副責任者や主任で、介護経験が5年から10年ある職員がアセッサー資格をとっております。

レベル認定を受ける職員につきましても、同等に3年以上の現場経験がある者について、まずはレベル認定を受けてみるというような形からスタートさせていただいているところでございます。

 あと、養成校等の実習受け入れも、当然、当法人でもさせていただいているところでございます。

○山口代理 さらに質問ということでよろしいでしょうか。

○田中座長 構いません。

○山口代理 それで、今のお答えに関連してですが、介護福祉士養成校の学生が実習生として伺っているその期間中に、受け入れ施設側といたしまして実習生を評価するということは可能かどうか、その辺についても教えていただきたいと思います。

○奉優会・平林氏 どのレベルまでの評価をするかというところが議論になるかと思います。キャリア段位制度における評価は、先ほどシルバーサービス振興会さんからもお話があったとおり、当法人も6カ月から8カ月かかってしまっているという実情がございます。これが学生さんの実習ですと、1カ月だったり2カ月だったりという期間の中で、それを全て評価するというのは非常に難しいと思いますが、その中の一定の項目に絞ってそこを評価していくというのは可能ではないかと考えております。

○山口代理 ありがとうございました。

○田中座長 山田代理、お願いします。

○山田代理 それぞれに1点ずつ質問があるのですが、まとめて質問してよろしいですか。

○田中座長 はい。

○山田代理 最初の奉優会さんの、最後のページの「まとめ」の1行目のところに、キャリア段位制度は介護職員のスキルアップ、離職予防というところでメリットが多いということだったのですが、具体的に、この離職予防のメリットが多いというのはどういう形でこの離職予防に結びついたのか、説明を補足してもらいたいなというのが1点です。

 それから、次に若竹さんにつきましても、最後から2番目の11ページ、「取り組んでみての課題」のところの最後のポツですが、「一時的なものから継続学習への取組が困難」という説明がありましたが、この一時的なものから継続学習への取組ということがわからなかったので、これを説明していただきたいと思います。

 最後に、シルバーサービス振興会さんのところでは、2ページ目の(2)のアセッサーの資格取得後の管理、フォローアップ研修ですが、このフォローアップが具体的にどんな形で行われているのか、若干補足説明していただければと思います。

 以上です。

○田中座長 では、順にお願いいたします。

○奉優会・平林氏 離職予防ということで具体的にということでございますが、大きく2点あると思います。今回、段位認定を受けた者につきましては、法人の中での事例研究発表会というものを、ホールを借りて年に1回行っているのですが、その中でもみんなの前で表彰されるということをしておりまして、法人内1,500人を超える職員の中で、この職員が段位持ったということで非常に注目度が高まり、よりやりがいを持って働けるという事と、それを見ることによって、働いている介護職員が、自分も次はそこを目指したいという目的、目標につながっているのではないかと思います。

当時の離職率につきましては、11ページに奉優会の離職率という形で載っております。全国平均を、年度によって少し差があるのですが、少し下回るようなぐらいで動いております。

 実は指定管理制度を使って、各自治体様の特養等の指定管理移行というものも毎年度のようにありがたく受けさせていただいておりまして、どうしてもそこにいる人のミスマッチングというものが最初の指定管理の移行については起きますので、それを含めてこの数字となっています。既存の事業所、例えば私がいます渋谷区の事業所等ですと、離職率10%を切るような形のものができております。

 つまり、介護職にとって次の目標がつながるという事と、職務等級制度の中で、同じ介護職員という同じ職務の中でもこの部分は、能力給としても上げていくことができる事が離職予防に繋がっているのではないかと思います。職務・役割と能力による給料体系が縦軸と横軸で、この考えを使うことによってできるのではないかと思っております。

○若竹大寿会・鈴木氏 御質問ありがとうございました。11ページ、「一時的なものから継続学習への取組が困難」ということで御質問をいただきました。「一時的なものから継続学習への取組が困難」とここに表記していますが、決して私たちはあきらめているわけではございません。また、「一時的なものから継続学習へ」という表現なのですけれども、私どもの事業所において、ある意味、キャッチフレーズ的なものになっている表現をこのような場では控えさせていただこうかなと思いまして載せなかったのですけれども、御質問がありましたので御紹介させていただけたらなと思いましたので発表させていただきます。

 まず、一時的なものというのは、要はお祭りという表現をしております。継続学習というものは学習する文化へとつなげていくということであります。実際に平成26年度の介護キャリア段位制度に申し込みした際、16名のスタッフを参加させるに当たって、まずは、実際、段位制度における説明をすることによってモチベーションを高く上げるのと同時に、やはり事業所として一体とならなければいけない要素も含まれておりましたので、ある種、盛り上げるといいますか、そういった仕掛けをした際に、結果として、事業所としては、その期間、eラーニングの3カ月間ですけれども、「段位」、「介護キャリア段位制度」、「アセッサー」というワードが事業所に非常に飛び交った、そういった中でかなり盛り上がりを見せた。ただし、アセッサー講習受講後、申請をして評価するに当たって、日々の業務から内部評価に対するいろいろな課題が出てきてしまいまして、なかなか継続する、学習する文化へとつなげていけない課題が出てきましたので、ここに表記させていただきました。

以上です。

○シルバーサービス振興会・久留氏 シルバーサービス振興会でございます。

先ほど委員から御質問ございましたアセッサーの資格取得後のフォローアップにつきましてですが、アセッサーについて一番大変なのは、モチベーションをいかに維持させるかということが非常に大変でございます。現在、制度がスタートしてから3年でございますので、まだ施設の事業所の中に、アセッサーが1人しかいないというような施設、事業所も多くございまして、ご発表いただきました2つの事業所なんかはアセッサーが非常に多くいらっしゃるのですが、アセッサー自身も非常に不安を抱えながら、自信を持てない中で評価に取り組んでいるという状況がございますので、先ほど御報告しましたように、年間5,000件ぐらいの評価が今動いておりますので、このアセッサーからの問い合わせに非常に懇切丁寧に対応するということを心がけているところでございます。その分、私どものスタッフも、先ほど、日夜と申し上げましたけれども、いろんなお問い合わせ、悩みの相談といったことに尽力しているところでございますけれども、ただ、やはり頑張ろうとしてくださっているのですね。一生懸命、業務が大変な中、残業しながらでも取り組んでいただいているという中にあって、これはこの制度が、実際に現実的に現場で変わっていく、スタッフが非常に変わっていく、そのことを見る、またはそれを指導することによって自分自身も振り返りになっていくという効果を非常に彼らも認めているので、非常に頑張ろうとなさっているので、この頑張りに対して、我々はそのモチベーションを切らさないようにいかにフォローしていくかということに注力しているところでございます。

具体的には、アセッサーの方々がいろいろお問い合わせをいただけるよう、ホームページ上での情報提供やメール配信はもとより、電話による相談への対応、アセッサー同士が情報共有できるような仕組みをつくるとか、いろんな講習会の場にアセッサーの方をお招きいたしまして、先輩としてどう取り組んだか、施設、事業所の中でどのように取り組んだのかということを広く全国のアセッサーに発信していただくことで勇気づけたり、また、このようにやればいいのだというようなことをお示しをするということなど、日夜取り組んでいるところでございます。

○山田代理 そうすると、今のフォローアップと言うと、評価能力を上げるためのフォローアップ研修をいろいろ工夫すると言うよりも、今、強調されていたように、やはりモチベーションを維持していく、いろいろ実際にやっていく中で悩んだりするところをフォローしていくという形にかなり重点を置かれているという解釈でよろしいですね。

○シルバーサービス振興会・久留氏 はい。まずもって、施行後3年でございますので、そこをきちんとやりませんと、今、7,000名おりますアセッサーのモチベーションが維持されないということもあります。ただ、委員御指摘のとおり、フォローアップにつきましては、当然やらなければいけないことでございますし、日常的なところで言いますと、基準の解釈ですとか、スキルを上げていただくための情報共有ということで、これはレベル認定委員会等がございまして、基準の解釈というものも出てまいりますので、これにつきましては常時情報を共有させていただいて、スキルアップが図れるようにということを考えて実施しております。

ただ、アセッサー自身の例えば有効期間ですとか、年間当たり何件取り組まなければいけないとかいうことはございませんので、これにつきましては、今後アセッサーの取組に対して、今、委員御指摘のようなレベルアップのための講習会を定期的に開催するとかいうことについては検討しなければいけないと思っておりますので、本日の意見書の中にも盛り込ませていただいたところでございます。

○田中座長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 少し遅れて来たので最初の方は聞いていないのですけれども、資料を読ませていただいて気がついた点を質問させていただきたいと思います。

まず、若竹大寿会さんですけれども、アセッサー取得者は18名いらっしゃるということですが、現在、レベル認定を受けられた方というのは何名ぐらいいらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。

それから、奉優会さんですが、資料を見ますと、レベル認定を受けられた方というのは6名ということのようですけれども、今後どのように計画を立てられているのか。職員さんの数が大分多いようでございますので、その方々に対して年間何人ぐらいずつ養成されていくことを考えていらっしゃるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

それと、先ほど、離職の対策に、職務等級制度があるという話をされましたけれども、これは別にキャリア段位制度とは関係なく導入されているわけですね。まだ6人しかいないということは、職務等級制度により処遇改善にもう既に反映されているわけですね。その既存の仕組み、これはある程度以上の法人さんだとそういうものはもうお持ちだと思うのですけれども、それで評価しながら目標管理制度とか、あるいは人事考課制度と連携して処遇の改善につなげるような仕組みというのは既存にあったわけですね。それとキャリア段位制度の関係というのはどのように整合性をとられたのか、その辺を教えていただけますでしょうか。

○若竹大寿会・鈴木氏 御質問ありがとうございました。私どもの介護老人保健施設リハリゾート青葉では、過去に認定者、レベル2-1の取得者が1名のみでございます。今年度は約16名のアセッサーが認定申請をしておりますので、シルバーサービス振興会さんと記録の振り返りをしている最中でございます。

 以上です。

○鈴木委員 現在、1名ということですね。

○若竹大寿会・鈴木氏 現在、1名でございます。

○奉優会・平林氏 御質問ありがとうございます。現在、もう既にレベル認定の評価をいただけたのが3名。全ての書類を出し終わって、シルバーサービス振興会さんから、認定をもらうのを待っている者が6名。評価している最中の者が3名という形でございます。

レベル認定を受けた方につきましては、最初の25年度の段階で動き始めていた者が大分認定のところまで行けたというところでございまして、現在、アセッサー資格を約40名がとっており、このままの対比でいきますと、来年度につきましては30名から40名の者が法人内で認定を出せるのではないかと目標としているところです。

 次に、職務等級制度とこの段位制度との関係性というところでございますけれども、同一地域に同一職務ということで、まず、そもそも介護職の処遇をしっかりと上げていかなくてはいけないというところが前提にございます。当法人といたしましては、最初に2等級という一般介護職、新入社員で入ってきた基本給を20万と設定し、さらにそこから号俸で上がっていく仕組みをとっております。当然、職務が上がれば基本給が上がっていく仕組みではあるのですけれども、その号俸を上げるためのポイント制として、既に打ち出している事例研究発表を行ったり、マニュアル作成をしたりという中にこの段位のことも入れております。また、契約職員につきましても、資格要件の中に、旧ヘルパー2級初任者研修修了者ですと資格手当が30円、介護福祉士ですと100円となっており、段位レベル2の2までとった方は60円、段位4で130円という形での給料体系をつくり直したというところでの反映をさせています。

○鈴木委員 大体どのような運用がされているのかがわかりましたが、まだ現在は1名とか3名とかそういう感じのようですので、キャリア段位制度がすごくすばらしいことのようにおっしゃるけれども、そう言えるような実践はまだされてないのではないかという気がいたします。

それと、奉優会さんは職務等級制度を入れていらっしゃるから、キャリア段位制度にかかわらず、別にそれがなくても、そういうキャリアアップできる仕組みというのはもうできているわけですね。そのポイントの一つにキャリア段位制度を活用しているという感じですね。ですから、もう既にそういう制度をお持ちの方は、別に法人の中でそうしたものをされればよろしいのではないのかと思うので、キャリア段位制度が介護離職に役立っているとか、そこまではまだ言い切れないのではないかという気がしますし、皆さん、非常に好意的に書いていらっしゃいますけれども、やはり一番の問題は、私のところでもアセッサーを養成してやっているのですが、アセッサーは簡単にとれるのですよ。でも、実際の認定の手間暇がものすごくかかるので、これは現実的な話ではありません。

ですから、もし人をある程度増やすということであれば、この中身を、皆さん今日おっしゃらないけれども、もう少し改善したい点というのをおっしゃっていただいた方がいいと思いますよ。このままでは進みません。絵に描いたモチで、幾ら掛け声をかけても進みませんよ。現場が受け入れられないものは、そうでなくても疲弊しているのですから、無理ですよ。その辺をもう少し、せっかくヒアリングで来ていただいたので、おっしゃっていただいた方がよろしいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○若竹大寿会・鈴木氏 御指摘のとおり、確かにアセッサーというものは、資格は簡単にとれると言えばとれるとは思うのですけれども、現状、私も久しぶりにアセッサーという評価者として現場に入ったところ、介護技術のスタッフのレベルの低下といいますか、そういったものを感じ取ったわけでございます。

 日々、先ほどお伝えしましたけれども、学習する文化へとつなげるというところで、やはりそれがなされていなかったというところでは反省点でもありますし、先ほど御指摘のあったとおり、現場では、人も少ない、体制的にも整わなければ、期間もどんどん、6カ月、そして1年と延びていく現状は私どもの施設でもありました。

ただし、そういった部分でなかなか厳しいところもありますけれども、評価をするに当たって、スタッフのいろんな部分が見えて、自分自身の振り返りとか、先ほども説明しましたけれども、そういう発見もできるわけであります。なかなか難しい部分はありますけれども、まだ成熟してないこの仕組みに関しては、試行錯誤していかなければいけないとは思うのですけれども、やはり私たちが求めなければいけないのは、介護のプロフェッショナルとして顧客に想像以上のサービスを提供するというところで日々精進していかなければいけない。そういった仲間を多く増やすことで、介護という学問が磨かれる、そして、こういった制度が、介護キャリア段位に限らず、事業所で行っているそういったマニュアルが形式的なものではなくなるような、そういった目標も立てて現場でやっているということもわかっていただければなと思います。

 以上です。

○奉優会・平林氏 御意見ありがとうございます。奉優会の場合ですけれども、今既に段位として動いているものや認定がすぐ出そうな者が全体で12名という形です。おっしゃるとおり、確かに奉優会の職員、従業員数から見ると1,500人中の12名で1%程度になってしまうという形ではございます。

ただ、介護職で見ますと、ここには看護職とかも入っての1,500人ですので、もう少し割合としては上がっていくと思いますが、そこでどこまでの意見がというところはあるのですけれども、私の資料の1617ページに、取り組んで改善が必要と思う点、また今後に向けた御提案という形で書かせていただきました。

正直、変えたほうがいいというところでは、評価における前提条件というものがございます。評価における前提条件のところのポツの4つ目になりますが、レベル内容によっては、条件がそろわなく、そのレベル自体の認定がとれないという事業所があります。通所介護や小規模多機能型居宅介護ですと、ターミナルケアの項目というのが難しくそもそもそのレベルというのはとれなくなってしまうというような、そういった項目ごとに詳細に環境設定というのが必要ではないかと思っています。また、今と同じことになりますけれども、さらに上のレベルをとなったときにやはり難しい項目というのが、非常にたくさんの項目ありますので、項目によっては削ってもいいのではないかという項目があるのではないかと思っております。

17ページのほうで「今後に向けたご提案」という形で書かせていただきましたが、評価項目を簡略化して、事務作業及び取得時間の短縮というところが大きなテーマかなと。ですので、項目数は減らして、段位制度としては、確かにおっしゃられるとおり、まだ12名の中でどこまで語れるかというのはあるのですけれども、ただ、確実にやった事業所、あるいはやった職員の周りにいる職員たちはすごくモチベーションが上がっている、これは確実なこととして言えると思っています。ただし、項目が多くて、それで疲弊してしまって途中で終わってしまった職員も中にはいます。そういう意味では、やはり項目数を少し減らすという形の取組ができるといいのではないかと思っております。

 以上でございます。

○田中座長 議論は後半でまたすることにいたしまして、17時になりました。残りのお二方からのヒアリングに移ります。

キャリアアップの仕組みを行政として推進してこられて、県全体で介護職員の質の向上を目指されておられる事業について御説明いただきます。静岡県健康福祉部福祉長寿局介護保険課、杉山課長、資料の説明をお願いいたします。

○静岡県・杉山氏 杉山でございます。よろしくお願いいたします。発言の機会をいただきましてありがとうございます。

表紙、1枚目ですが、静岡県は介護と介護職の社会的地位向上を目標に掲げております。その意味で、「若者が夢と希望を持って働ける介護分野を目指して」というのが私たちの目標でございます。介護分野におきましては、いわゆる企業化とか社会化が、まだ一般企業と比べまして未成熟な点がございます。そういう意味で、企業化、社会化を図っていく上でキャリアパス制度の導入をやっていくというのは非常に有効な手段だと思っております。また、介護人材の集大成とも位置付けております。

 2枚目でございますが、静岡県の状況は、高齢化率26.8%、370万人に対しまして今年初めて高齢者が100万人を超えました。要介護認定率は、全国、低い方から4番目の15.8%です。反対に、必要としない人は84%、84万人いるということでございます。

施設整備ですが、平成12年、1,806事業所だったのが9,882。非常に若い介護施設、しかも、200から400の廃止があるそうですので、出入りは非常に激しい。したがいまして、新しい介護施設が多数あるということでございます。

 人材は、今、4万4,000人おります。

 次の3ページが、国全体で377,000人に対しまして、県は8万7,309人、約9,000人の需給ギャップがございます。

次に4ページでございますが、「介護分野の雇用情勢」としまして、静岡県でございますが、介護関係のところを見ますと、現在、2.86でございます。有効求職者数と求人数の差が4,300ございます。転職も含まれているとしても、かなりの差があると思います。

 5ページですが、本県の介護人材確保の取組でございます。ここに「連携」というところがございますが、教育機関、業界団体、人材センター(社協)でございますが、あと県の機関、国の機関など含めまして全てにおいて連携を図りまして、小学校、中学校、高校生、大学生、社会人それぞれのターゲットを見据えまして取り組んでおります。

 次が6ページでございますが、静岡県の介護人材確保の対策事業でございます。まず、新規参入の「介護職への理解促進」。県の行政となりますと、こういう施策体系を組んで進めていかなくてはいけません。したがいまして、さまざまな制度が国で検討されていますが、こういう県の行政を理解していただきたいと思います。

 新規参入として、「介護職への理解促進」。ケアフェスタとか未来ナビゲーターは後ほど出てきます。それと「新規就業の促進」、代表されるものは介護福祉士修学資金貸付制度だと思います。

 次の7ページからが職場定着でございます。「資質の向上」。キャリアパス制度の関係するものが一番上の実践介護技術向上支援ということで、介護技術の出前講座をやっております。それと、50人以下の施設が協同して開催する研修、要するに小規模施設はなかなか自らが研修できませんので、そこへ助成をしております。

次に8ページでございますが、これも職場定着という観点から、労働環境・処遇の改善をしております。元気な介護職場づくりとキャリアパス制度導入サポート事業というものです。

 一番下に書きましたが、行政の組織では介護保険課に介護人材班を平成24年4月に設置しました。独立した組織を置けば、目標、目的がはっきりしますので、非常に進めやすくなるというのが行政の特徴かなと思います。それと、班長がいるのですが、確かにその一つだけを集中してやればいいので大分違うというのは私たちも実感しております。

 次のページですが、「理解促進の取組」。ふじのくにケアフェスタというのが10ページにあります。11ページに「介護に関わる仕事を紹介」とありますが、県内の介護関係の事業所や養成校、介護関連職種が全て参加しまして、こういうPRイベントをやっております。

12ページは、この会場で介護ロボットの紹介をしております。

13ページですが、同じように、介護技術コンテスト、全国でも多分珍しいと思いますが、県の介護福祉士会に委託しまして運営を全てやってもらっています。こういう技術をアピールするというのがありますが、職場での事前練習や当日の応援ということで、非常に職場に一体感が生まれるという副次的な効果もあります。

 次に14ページですが、高校生介護技術コンテストに出られた人たちにデモンストレーションをやっていただいています。若手の人たちがここへ来ていろんな人を見ていただくということでございます。

15ページでございますが、多くの高校生に参加いただいています。高校の福祉科に限らず、いろんな学校に来ていただくよう、昨年からバスをチャーターしています。1台10万円かかりますけれども、生徒が来るというのはすごく有効です。実際に高校生が来るということで、出展している各事業所が非常に活気づきます。イベント会場も非常に活気づくということがあります。10万円は決して安いとは言いませんが、効果はあると思っています。

私たち、シルバーウィークの5連休の初日と2日にやりましたが、2日間で1万1,665人の来場者を得ることができました。

フェスタの効果が17ページにございますが、一般来場者の方々から、イメージを改善できたというのが83.7%。とにかく来場してもらう、来てもらうという現実さえつかめれば、何とかそういうものが改善できるのかなと思います。

18ページでございますが、「介護の未来ナビゲーター」。知事が若手介護職員に委嘱しております。介護職員のやりがいや魅力を発信していただいております。19ページですが、介護の未来ナビゲーターに就職ガイダンスなど行ってもらっております。私、昨年まで3年間、県職員の採用試験の担当課長をやっておりましたが、学生は年齢の近い人から意見を聞きたいというものがあります。私は経験があるのでお伝えできるのですけれども、なかなか寄ってきてくれないというのがあって、こういう人たちがいろんな大学へ行くとかそういうのがすごく有効だというのは身にしみて、昨年まで感じておりました。介護の未来ナビゲーターは27人いますが、県下で非常に活躍しています。ただ、介護職員で勤務シフトが決まっているものですから、合わせるのがすごく大変です。こんな活動をしていただいております。

21ページになりますが、介護職に就く人たちの中には学童期の体験、またはおじいちゃん、おばあちゃん、家族の人を介護したという経験を持った人が割といるという話を介護事業所の皆様から聞きます。小学校3~4年生とその保護者を対象に「小学生親子介護施設体験」を夏休みにやっております。夏休みに実施することで、夏休みの勉強、宿題にも役立ててもらおうということです。

22ページですが、仕事のイメージが非常に高まったということがあります。

23ページは、その中で実際に絵日記も書いて、記憶に残してもらおうという手段をとっております。このほかに、高校教員を対象に介護施設の見学ツアーも組んでおります。

ケアごはんアイデアコンクール。これも理解促進の一つの手段として、親子、中高生、一般の皆様から作品を募集し、当日つくってもらって実食するというのをやっております。

25ページでございますが、学校に出前講座、今年度から小学校をやり出しましたが、社会福祉協議会のほうで小、中、高へお邪魔して、福祉職(介護に限らないのですが)に関するテーマで、実際にセミナーをやっていただいております。

あと、就職促進ですが、27ページで、学校の先生が生徒たちに職場体験させたいのに施設に心当たりがないということで、冊子をつくっております。

あともう一つ、28ページに介護の仕事の紹介のホームページですが、なるべく行っていただく、訪問していただくことを進めております。

それと、29ページで、ミスマッチの解消。静岡県は専門員を置いております。それが功を奏して、介護人材センターの取組の全国2位、東京都に次いで九百何名の就職に結びつけているというのが実績として残しております。

肝心の31ページ、「介護職員の賃金水準向上に向けた取組」でございます。平成24年9月に知事から、介護職員の賃金引き上げの検討を指示されました。様々なことをやっていますけれども、知事に様々なお話をしたときに、指示が出ました。その後、識者、団体意見を聞きまして、これを踏まえまして、国が進めております介護職員の処遇改善を促進するためのキャリアパスの導入の具体的な手法として、皆様のお手元にございますこの「給与規程参考例」を作成しました。

この中にございますように、具体的な取組としまして、キャリアパス導入セミナーの開催と実地指導時、検査、福祉指導の介護事業所を指導に行くときに、これのキャリアパス制度を持っていって提示して、どうですかという話をしております。24年9月に知事に説明した後、12月の補正でセミナーをその年に展開しております。

32ページに給与モデルの参考例。2412月に作成しまして、モデルの下に平成2424とありますが、2526の全事業所に周知しております。3,005あります。みなし指定は除きます。配布してしまいますと見てもらえませんので、これは2年かけて福祉指導のときにそのまま直接渡して説明してくるという、私の先輩方、よく考えたなと思いますが、この仕組み、大したものだなと思います。

次に、1214日、こういうことをやるので協力してくださいねという話を知事から直接、関係団体にしていただきました。

では次の段階としてどうするのかと。ただ、給与規程だけをつくればいいのではない。キャリアパスというのはどういうものだというので、皆様のお手元にございます「介護事業所キャリアパス制度導入ガイド」というのを作成しました。26年末、今年の3月にできたばかりです。2526で給与制度をつくって、給与参考事例を挙げまして、今度は次に事業所に入れていただきたいということで、この導入ガイドを5,000部つくりました。これも、今年2,000事業所に手分けをして施設の人に渡しています。ですから、配っていません。まだ4,000部残っています。今、一つずつ地道に説明して歩いてくれています。

この中にございますように、構成として、「キャリアパス制度に関する4つの疑問」、よく理解してくださいというのが、本当に簡易な説明で、とにかくわかりやすく説明していただいております。

「キャリアパス制度って何?」、疑問2のところにございますが、職制や給与制度、それと研修制度や評価制度で成り立っているのですよという説明をしております。3と4で、それぞれ小規模事業所でもできますと。5ページでございますが、今度は12の紹介事例を全国から、うちの職員が訪問して聞き取ったりして、この委託業者と一緒につくりました。

紹介事例の特色ですが、みんな、導入できるかどうかと迷っています。施設系、通所系とまず分けた。その中に、今度は小規模、規模が小さいところ、訪問系だって入れられるかどうかわかりませんし、職員が少ないところだってキャリアパスを入れるのですよというところを選んで、抽出していっています。ですから、どこにでも当てはまる、どこでも考えられる、そういう視点でつくったというのがございます。

6ページでございますが、導入事例がここから載っておりますが、この構成としまして、9ページ、中段に「本事例の学びどころ」と、「ご担当者から一言」というのが下にあります。こういうので気がついていただけるというのを誘導できるのかなと思います。

最後に、もう一つの構成として、54ページに「キャリアパスの構築の手順」というのがございます。とりわけ小規模事業所において可能な限り簡便でという方法を7つのステップで詳しく導入の仕方を説明しております。非常にわかりやすいです。私は導入ガイドが作成された後で来たものですから、よくやったなとすごく感心して。

最後に61ページ、【まとめ】としまして「キャリアパス制度の定着に向けて」。これが第1ステージですよと。第2ステージはキャリアパス制度の説明を職員にちゃんとしなさいよと。第3ステージとして制度を起動するというのがございます。この制度の起動のところに書いてありますが、「制度に基づいて給料を支給するというのはもちろんのこと、研修を実際に行う(本稿では触れていませんが)評価を実際に行う、などです」とあります。評価は非常に大事ですが、私たち、そこまで具体的に説明はまだ至っておりません。まだキャリアパス制度の入り口という段階にありますということでございます。

次、資料へ戻りますが、サポート事業を用意しております。35ページのところでございますが、管理者の人たちに、人材マネジメント、採用と労務管理に関するセミナーを平成24年からやっています。今年はセミナーの講師にこのガイドの事業所の人たちに来ていただきたいなと思っております。

次に訪問相談ですが、どうしてもわからないという方がいらっしゃると困りますので、訪問相談に行きます。専門家、社会保険労務士が代表となりますが、介護事業所を訪問して、実際にこうやってということで何回でも訪問することを考えております。で、導入ガイドの作成。

あと、先ほど7ページにございましたが、介護技術向上支援事業ということで、訪問出前講座というのと研修制度とございますが、研修制度を自分たちでできない場合は県としてバックアップしますという制度を含めまして、私たちはこういう、回りを固めることによりまして事業所そのものが自主的に導入していただくことを進めております。私たち、次の段階として、キャリアパス制度をどのぐらいやっているかというのははっきりわかっておりません。取り組む事業所の数を把握するため、導入の程度の確認を今年つくるつもりであります。ある府でやっておりますけれども、どのぐらいのレベルにあるのかというチェックシート、レベルシートをつくることを予定しております。それが来年です。その次に公表すること。先ほど言いましたように、人材が、みんながこれを見て、この施設はいいなと思うような、ホームページに公開する制度をつくっていきたいと思っております。段階を踏んで、外部から評価されると。それともう一つ、評価制度や給与制度や研究制度の今度は詳細なガイドといいますか、そういうものをつくっていって、最終的に完成させたいと思っています。

37ページですが、最後に「未来ある産業 介護」への挑戦ということを、私たちは忘れずに、これに取り組んでいきたいと思います。

最後に、「静岡県の健康寿命」が書いてありますが、実を言いますと、介護人材の確保、必ずしも介護を前提とするわけではなくて、健康な人をつくっていくことの視点を忘れてはいけないのと、今年、私たちは、15の事業所と団体と個人と有識者と、来年度に向けて面談をしました。在宅介護力が非常に落ちていると言われております。急いで取り組まなくてはいけないと思います。その視点を忘れてはいけないかなと思います。そういうことで、いろいろな視点から取り組んでいきたいなと思っております。

発言の機会をありがとうございます。以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 最後になりましたが、事業所独自にキャリアアップの仕組みを取り入れ、介護職員の質の向上を目指した取組について説明いただきます。社会福祉法人端山園地域密着型総合ケアセンターきたおおじ、山田代表、資料の説明をお願いいたします。

○きたおおじ・山田氏 御紹介いただきました山田と申します。よろしくお願いいたします。

 資料5をご覧ください。地域密着型総合ケアセンターきたおおじですが、冒頭に書いてございますように、職員が100人未満ぐらいの法人が4つ、100人を超える法人が3つという、7つの法人のグループ本部です。それぞれ、独自の研修の仕組み、キャリアアップの仕組みに悩んでいる法人が、グループを組むことで、専任の研修、あるいはキャリアアップを支援する専任の職員を皆で雇用することで、研修の仕組みとかキャリアアップの仕組みを高めていこうというグループがこのリガーレ暮らしの架け橋グループです。

 めくっていただきまして2ページ。このきたおおじの中の開発部門というところに、スーパーバイザー2名、看護師と介護福祉士を配置していますが、この2人を7つの法人が皆で雇用しているという形です。左側の運営部門は、一般の事業所と同じように、地域密着型の事業所及びサロン等を運営している部門ということになります。

 ですから、今日お話しさせていただく部分は、右側の開発部門の人材・開発研究センターというところの職員2名、今、1名加わって3名になっておりますけれども、この方たちを中心に、7つの法人及び、きたおおじ自身もまだできて3年ということですので、どのようにして職員の研修・育成に取り組んでいるかというお話を10分ほどでさせていただきたいと思います。

 3ページです。これは厚労省でおつくりいただいたパワーポイントですが、こういうイメージです。7つの法人で、このきたおおじの人材・開発研究センターをみんなで立ち上げて、そこで、先ほど申し上げたように、スーパーバイザーを皆で雇用していると。このスーパーバイザーが各法人を巡回する仕組みをつくったと同時に、研修の仕組みもつくったということです。わかりやすい絵をつくっていただきましたので、これを御紹介しました。

 次の4ページ。大きく2つの仕組みで人材育成をしていると思っています。5ページに1、2と書いていますが、これは車の両輪ということで、個々の職員を研修で育成する仕組み、これが1つです。ですから、そのための研修体系をつくっている。2つ目が、そうやって研修を受けた職員が実際現場でやりがいを持って、動機づけを持って成長していく仕組みがあるかどうかということ、これをアセスメントしたり、仕組みに対してアドバイスしたりしているのがスーパーバイザーということで、この1と2、研修を個々の職員が受けることと、そして、研修を受けた職員が働いている職場を支援することというこの2つが大きな役割です。

 次の6ページは「統一研修の仕組み」ということで、ペーパーがないのですが、後ほどきたおおじの研修のところで御紹介します。

 もう一つが「アセスメントシートに基づくスーパーバイザーの巡回」ですけれども、めくっていただきまして8ページ、7つの社会福祉法人は全て、きたおおじも含めまして特養が中心の社会福祉法人ですから、施設アセスメントシートという施設バージョンです。

ここで、長方形の四角の左端に「理念」とありますが、これは法人理念ではなくて、ケア理念です。ケアの理念をまず役職者がしっかりと共有しているかどうか、それをケアチームリーダーと、あと個々の職員、この双方向の矢印でお互いに学び合う仕組みが途切れていないかどうか。多職種と家族・ボランティアさんたちとの連携ができているか。この辺の矢印が途切れると、アウトカム、ケアの質が理念に沿ったものにならないという仮説を持って始めました。

 ただ、そのために、具体的な課題、7つの法人それぞれの課題の提示を、3年前にスタートしたのですが、この6つのシートで課題を提示しました。上の2つと下の4つです。詳しくは省略いたしますが、こういう形でサポートさせていただきました。

 それから、次の10ページです。実は今年の3月で丸3年が過ぎまして、第1ステージが終わったということで、この4月から第2ステージに入ったグループ化。この4月からは、統一研修、グループとしての研修をしっかりとつくっていこうと。今までは、きたおおじの職員研修にグループ職員が参加してくるという形であったのを、4月からは会場も別設定しまして、利便性のいい場所で統一研修をやっていこうということで、日付も決めて、参加者も決めて、それに応じて会場も確保して統一研修をグループでやっております。

 一番上のヘッドの部分で、左から採用時研修、そして右へ専門研修の1と2。専門研修の1というのは新人のフォローアップです。専門研修の2は現任研修です。それからさらに右へ、役職者研修、さらに右へ、資格取得研修、さらに右へ、ファーストステップ研修という感じで、研修を年間五十数回行っております。

 それから、次の11ページ、ここからは各研修の内容を詳細に示させていただいています。特に今日のキャリア段位制度と関係のある部分ですが、介護の基礎ということにかなり時間をかけて5日間研修の中に組み込んでおります。

それから、次の14ページですけれども、採用した職員に対しては全職員に「個人研修ファイル」というかなり分厚いファイルを配布します。そこで自己管理、自己目標を立てていただき、そして研修を受けた者はそこに記録していくということをやっています。一定期間はOJTノート、後ほど事例をお示ししますけれども、そのようなことも含めて、新人に関しては1年間かけてかなり丁寧にフォローしていくということをやっていると思います。

 それから、個人研修ファイルってどんなものかということですが、15ページ、1から6まで書いていますが、まず1番目が年間研修の予定表、2番目がキャリアパスシステム、3番目が個人研修履歴、4番目が個人目標・研修計画、5番目がキャリアパスハンドブック。

このハンドブックというのは、リーダー、そして主任、マネージャー。最近、一般職の上級者にもつくりましたが、結局、人事考課に変えまして、かなり細かな目標設定をするハンドブックでして、これを達成すると、一定の能力、あるいは任用要件になるというものを具体的に示したものです。

それから、6番目は受講した研修資料のファイリングということです。

次の16ページが個人研修履歴。これのポイント数によって一定の任用要件にしていることを目標にしています。

それから、17ページが「新人職員の育成場面でのポイント」ということで、OJTの仕組みがここに書いてあります。

それから、18ページがOJTリーダー同士の情報共有、19ページが、新人研修期間の記録例ということです。

20ページからが、実際、キャリア段位と重なる部分ですが、こういう具体的な、何ができるかということですね。やはりチェックする仕組みがないと、特に私ども、特養と小規模多機能型居宅介護という中重度の方対象の介護事業所ですので、介護場面なしには仕事ができないということで、こういうチェックシートが要ると思ってつくったものが20ページから23ページです。

それから24ページが、監督職と経営職はちょっと字数の関係でカットしていますけれども、リーダー層から一般職に至る、求められる能力とか任用要件とか、こういう形で「見える化」しているものです。

特に24ページの准監督職の真ん中の列に<専門性><組織性・社会調整能力><人材育成><経営管理>という4つのカテゴリーになっておりますが、この4つのカテゴリーで具体的に何なのかということをかなり詳細に書いたものがハンドブックです。一応職員にすれば、上司とヒアリングするときの自分の達成した状況をこれによって自己確認すると同時に、上司とお互いに次の目標を話し合うというツールになればいいなということでつくったものですし、また、項目がちょうど消えておりますけれども、右から2列目のところが任用要件ですけれども、ここで求められる能力に基づく評価ポイントというのがハンドブックになるわけです。これは給与にも直結する仕組みになっています。

それから、25ページがこのハンドブックのごく一部の抜粋例です。

最後になりますが、26ページに、実際の「新人育成の課題」ということで、私自身が考えていることです。私どもは特養と小規模多機能型居宅介護という中重度の方を中心に支援していく事業を持っておりますが、ここで上にAとBと仮に記号を書いておきましたが、どちらかといえばBの部分、中重度の方を支える仕組み、ここに、要するに今の介護保険のサービスの種別が予防とか生活援助と介護とか、混在しています。ですから、職員の要件に介護の基礎教育をしっかり受けた人というのがなかなか条件としてつくりにくい時期に今あると思います。

だけれども、10年後、20年後には、このあたりのサービスメニューの整理をして、そして中重度の方というのは必ず、家族負担を前提としないのであれば24時間のサポートが必要ですので、介護というのは24時間の仕事なのだということと、医療ケアができること、それから、医療専門職と共通言語でカンファレンスができるということが絶対条件になると思いますので、今、残念ながら、無資格、未経験の方でもこのBの分野に入ってくるということがありますので、現状は、このキャリア段位も一つの仕組みとして必要かなと思っているのが1つ目の○印です。

2つ目の○印ですが、今、介護福祉士の配置割合とか、ヘルパーについては、資格で加算とか、職員要件が担保されています。介護福祉士は、「わかる」だけではなくて、「できる」ということが教育システムで原則としてあります。ですから、キャリア段位で求められているようなものは基礎教育の中で介護福祉士は本来できているはずのものだと思います。

ただ、介護福祉士以外の方もこのBの分野にどんどん入ってこざるを得ないという現状ですので、キャリア段位のことが出てくるのかなということで最後の3つ目に書いておきました。

最後の○印ですが、基本を学んでいない新人に対して、必要最小限のレベルの業務手順を学ばせるためのツールと仕組みが必要ということで、我々も、最後にお示しした具体的な、いわばその方のスキル等、はかる仕組みを持たざるを得ないということになっています。

もしこれが中重度の方を見ていく特養、小規模多機能型居宅介護で、介護福祉士の業務独占的に将来なっていくと、そういう、できるという人しか入ってこないという仕組みが望ましいと思っていますが、今はやむを得ないと。

要するに無資格・未経験の方でも職員要件として認められるわけでして、そういう方に対して教育のシステムを持ってないというのはちょっとあり得ないと思うのですね。このBのレベルのところ。だから、そこに何らかの政策誘導が要るのではないかということで、どういう形がいいのかということですが、これは厚労省の方がお考えになったらいいのかなと思っておりますけれども、私としては、加算とか職員要件はどちらかといえば資格で、このツールとしての必要性は、どちらかといえば、思いつきに近いのですけれども、処遇改善加算要件など、何らかの形のものを入れたらどうかと常々思っておりました。

以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

では、大体これから20分程度に限られますが、ただいまの取組の説明を踏まえて、質問、御意見ありましたらお願いいたします。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 最後に山田委員がおっしゃっていただいたこと、非常に納得して聞いておりました。26ページの最初の○のBに当たる部分に、教育や技術を持たない方が入ってこざるを得ない部分をどうしていくか。介護福祉士のレベルというものはあるけれども、その手前のレベルの方々の専門性や技術のレベルをどう維持・評価していくかということが1つ重要であると。

私は、キャリア段位制度は、1つは、そこにひょっとしたら何か資するものがあるのではないかと思っているのですけれども、山田委員の資料で202122の部分ですけれども、静岡県さんからいただいた資料の中でもこういったものがよく職務基準書といったような形であらわれているものですけれども、実際にこれが、例えば20ページの、一番上の食事はいいですが、口腔ケアで「食後、利用者の個々にあった方法で口腔ケアが確実にできる」とありますけれども、これができるとはどういうことなのかということの手順、プロセスというのが必ずしも明確になっていないということと、できているかどうかというのは本人が、できているよね、上司が、できているよねという程度を見るのですけれども、本当にやらせて見ていることがないと。

段位制度というのは、そこをやっている、「見える化」しているというところが一つのポイントと思っているのですけれども、そこまでやはりやるべきではないかと私は思っているのですが、山田委員と、あと最初にお話しいただいたお二人にも、チェックとこの手順をきちんと示す、共通のものとして全国のものとして示し、なおかつ、それがちゃんとやれるかどうか目視する部分。これは大体どこの法人でも、評価していても、ここまでやってないケースがほとんどのように思うのですね。これをやられることの意味がどれぐらいあるとお考えか、山田委員、それから最初にお話しいただいたお二人にお聞きしたいのです。

○きたおおじ・山田氏 これとおっしゃったのは、何でしょうか。

○藤井委員 お示しいただいた20ページ、21ページについて、具体的に利用者に残存能力を活用した介助ができるとはどういうことであって、どういうプロセスを踏み、それが本当にできるかどうかやってみてくださいというものを上司が評価をするというのが、大ざっぱに言うとキャリア段位制度の枠組みだと思うのですけれども、そこまでチェックすべきなのかどうなのか。医療職ですと必ずやっていると思うのです。介護職ではこれはあまりやられてこなかったのが現実ではないかと思うのですけれども、それはどれぐらい意義があるとお思いになっておられるかということです。

○きたおおじ・山田氏 田中委員もおられるので、できたらお聞きしたいのですけれども、介護福祉士の教育の仕組みの中で、原則としてこのあたりはしっかりとできるということでやっているはずだと私は思っていました。ですから、ゆくゆくはそういう形できちんと担保してほしいというのが本音です。今現在は残念ながらそうなっていないので、藤井委員のおっしゃるとおり、その部分をしっかりと、現任教育の中で事業所がやるべきではないかという意見もそのとおりだとそこは思うのですが、先ほど鈴木委員がおっしゃったように、現実の中でそこまでできるかどうかという課題、これを非常に危惧するところです。

 以上です。

○若竹大寿会・鈴木氏 現場でそういった状況を目視する、そしてチェックするということでありますが、現状、やはりそういったチェックするという、この介護キャリア段位制度に基づく評価の仕組みにおいても、必ず担当のスタッフが、評価のアセッサーが目視するということで危険を察知する、そして被評価者の癖などを見極めることができるという意味でも、必ずその評価者の目で確認することが重要だと考えております。

実際、私どもの法人としても、このようなチェック表はございますけれども、最終的なチェックは、目視して、被評価者が必ず自分の目で確認するというところまで基準として置いております。

○藤井委員 山田委員のおっしゃった現実問題としての「手間」ということで言うと、「やるべき」、「やれる」という話で言いますと。

○若竹大寿会・鈴木氏 私は、手間とは考えておりません。評価の一環として考えていますので、そのように教育されてきたので、実際、被評価者に対しての目視であるチェックは必ず必要だと認識しております。

 以上です。

○奉優会・平林氏 このキャリア段位制度はやはりそこがメインなのだろうと思っています。我々も、当時の等級制度をつくったときにやはり同じようなチェックシートを使ってやっていました。ただ、それは感覚的なもので、できるというところで○をつけたり、不安だから△をつけたりというところで、正直、相性であったり、そのときの調子であったりというところでも、○、△、×がついてしまう。それが、今回、奉優会の中でとったアンケートの中でも、個別の利用者さんに対して、アセッサーも、評価される側も一緒に同じ方を見ながら、この方ってここまでできるという、それこそ残存能力を生かしながらの介助、適切なケアというところをしっかりと、これがいいよねという方法をみんなが確認しながらやっていけるというところでは非常に意味があるものだと思っています。

 ただ、先ほどからお話が出ていますとおり、その項目がどこまで本当に必要なのかというところについては、全部を100%チェックするとどうしても時間かかってしまう。なので、この先については、その中でも特に必要な部分というところにより重点を置いてチェックするというところが必要になってくるのではないかなと考えております。

○田中座長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 静岡県と山田さんのところ、それぞれ県でキャリアパス制度をつくるというのは一つの考え方だと思うし、山田さんは長年この分野で携わってこられたからすばらしいと思います。ですけれども、必ずしもキャリア段位制度をそのままやっているわけではないし、独自にやるというところにそれぞれの組織の法人の特徴が出てくるのであって、それを単純に統一して全国共通にすればいいというのではないと思いますので、その辺、山田さんはこの分野は非常に長い御経験をお持ちなので、このキャリア段位制度の問題点をどうお考えですか。私も、おっしゃっていること、よくわかるのですよ。この程度のことはやはり介護福祉士の養成校でぜひやっていただきたいなと。医学部でも歯学部でも、歯学部なんか特に、6年制ですけれども、卒業したらすぐ開業できるぐらいの実力がつくわけですね。そういうことをしないで、学校はわかるで、卒業してからできるようにするというのはどういう教育をしているのかということをまず本当に疑問に感ぜざるを得ません。それを現場に、給料もらって働いている人に押しつけるような感じなので、それはやめていただきたい。

学校の教育を見直すことが第一で、しかも、そうでない方が入ってきますから、そういう無資格の人が入ってきたときにどう教育するか。今のような教育制度もあるでしょうが、私のところは介護職員初任者研修を全員に受けてもらいます。自分のところで通信教育でやっていますから、現場で仕事をしながらやってもらう。そんな負担かけないでですね。そのように各法人はそれなりに取り組んでいらっしゃるので、やれないところは、山田さんのようにグループをつくってやるとか、そういうこともあると思うのですけれども、それを全国統一で、しかも物すごい手間暇をかけてやらせようという新たな仕組みをつくって、それを家元制度のような感じでやらせようというのは、私は現場に非常に負担をかける、無理な制度だと思います。やるにしても、大幅な見直しが必要であり、今日は現場の皆さんは、非常に好意的におっしゃっているけれども、手間暇かかり過ぎるというところを大幅に改善しないと、これから認定受ける方を増やすことは難しいと思いますし、それから、現在、それぞれの組織がみんな独自に開発しているものとの整合性をどうするのか、それが生きる仕組みにならないと意味がないと思います。それぞれ皆さん工夫してやられていることは、それぞれの法人のウリではないですか。それを同じにしろというのはあまりにも無理がある、非現実的な話だと思います。その辺どうお考えなのか、きたおおじの山田さんと静岡県の方からお聞かせいただけますでしょうか。

○きたおおじ・山田氏 今おっしゃっていただいたように、一定の研修に熱心な法人事業所は独自の仕組みをつくっておられると思います。ですから、いわばこのキャリア段位の、さっき藤井委員もおっしゃったような、私どもが十分できていない部分をしっかりと担保している仕組みだと確かに思っております。

 ただ、そのことが、各法人が持っている研修の体系の中に、そのことだけに大きな手間暇かけずにうまく溶け込ませるかどうかという、これが大きなポイントのように思います。

○静岡県・杉山氏 私も、事業所そのもので、本人を見ているわけではありませんので直接は言いませんが、先ほども言いましたように、キャリアパス制度は国としての加算の中でやっている。先ほど導入ガイドの中で、ここに評価ってありますよとお知らせしたのは、段位制度そのものの中身云々について、私はまだ語れないところにございますが、キャリアパス制度の中に評価というところがありますよ、その中でどう生かしていくのかということについて、私はあるのかなと。段位制度だけでは、その目的をどこに置くのかというのがわかりませんので、キャリアパス制度そのものの目的の中に1つ位置付けることも考えてみてはどうなのですかという話で先ほどお出ししたのですけれども、それを参考にできればと思います。

実を言いますとこの本に(きたおおじの)山田さんのところが載っているのですよ。キャリアパス制度を取り入れて運用していただいていますので、非常に参考になると思います。

○田中座長 小林委員、どうぞ。

○小林(司)委員 本日はありがとうございました。

私から予め申し上げたいことは、この段位制度について、改善すべきところは改善して、これが普及していき、奉優会さんでは賃金制度の中でポイント制として組み込んでいるように、処遇への反映をうまく後押しできるようになればと思っております。そのような観点でまず、奉優会さんに1つ御質問させていただきたいのは、最後から2ページ目の16ページに書かれた「改善が必要と思う点」というところの「書類等、業務の多さ」に、「評価するという行為に対して自信が持ちにくかった」という声があったと書かれています。先ほどシルバーサービス振興会さんからも、そういったことへのフォローアップの取組を御説明いただきましたけれども、こういう声があって、その後やはり同じように、依然として少し不安を持ちながらやっていらっしゃるような印象なのかどうかというところを少しお聞かせください。

せっかく段位制度で認定を受けて、人によっては転職もあるでしょうし復職という形もあるでしょうし、そういった場合でも認定を受けていれば正当に賃金にも反映されるという仕組みへと、どうやって後押しできるかということが本当に必要だと思っておりますので、そのような観点からの質問ということで、後ほどお答えいただけないかと思います。

 その前に、少し感想めいて恐縮なのですが、静岡県さんの資料を見ていて、非常に様々な取組をやっていらっしゃることがわかりましたが、1つだけ、介護労働雇用管理改善計画については、その言葉や、取組が書かれてないと思いまして、ちょうど見直しの時期だから書いていないのだろうと理解いたしますけれども、例えば、介護労働雇用管理改善計画に介護キャリア段位のことを明確に位置づけて、その上で改善計画を認定するといった制度の改善もあっていいのだろうと思いますし、そういう意味で、介護保険の部局と労働の部局ともう少しその辺の連携が密になればなという感想を持ちました。

 以上です。

○奉優会・平林氏 では、私から御回答させていただきます。

 「評価するという行為に対して自信が持ちにくかった」と。これはアセッサーからのお話でございます。やはり評価するときに自分がこれで評価していいのかと非常に不安である。事業所数が多く、1事業所当たりのアセッサーは、1人とか2人しかおらず、1人しかいないような事業所ですと、本当にこれで合っているのかということの確認について、シルバーサービス振興会さんに連絡する事で、頻繁にメールを返していただける事でのフォローアップはあるのですけれども、やはり直の現場の中で、本当にこれでいいのかという不安は正直あるようです。

 当法人としては、規模が大きいということもあって、実は社員証を入れるストラップをつくり、こちらのストラップにアセッサーや段位が分かるように工夫しています。法人で集まるような行事が年に数回ある中で、同じストラップをつけていると、アセッサー大変だよねというようなお話で、アセッサーや段位者同士がコミュニケーションをとる事が出来るようです。同じ資格を持っている者同士話すとやはりその辺の不安が大幅に解消されるのではないかと思っております。

○田中座長 時間の都合で、あと1人ぐらいかな。

どうぞ、お願いします。

○村上委員 日本介護クラフトユニオンの村上と申します。今日はありがとうございました。

 3点ほど教えていただきたいことがあります。まず静岡県さんですけれども、8ページ目で、介護保険課に「介護人材班」を設置したということが書いてあるのですが、それで大分違うようになりましたよというお話でしたが、何か効果的なものがあったのかどうかということを具体的に教えていただければと思います。

 それから、この導入ガイドのほうの5ページ目に「紹介事例一覧」が載っているのですが、この中で、実際キャリア段位制度に取り組んでいるところがあるのかどうか、わかれば教えていただきたいということがあります。

 次に若竹大寿会さんですが、まず、3ページ目の「キャリア段位制度を活用するきっかけ」の中で「処遇改善の一考に繋がっていく仕組みを学ぶ為」と書いてあります。それから、8ページ目に行って「介護キャリア段位制度に期待するもの」ということで、「処遇改善」と書かれている方が12名、一番多いのかな、いらっしゃいました。それで、最後、10ページ目、「取り組んで良くなかった意見」というところで、「処遇改善に繋がるのか理解できない」というところがありました。11ページ目、課題というところで「制度の説明が明確に出来なかった(給料への反映は未定)」と書いてあるのですが、このようになってくると、今後キャリア段位制度を受ける人が減っていくのではないかなという気がちょっとしまして、そのあたりをどのように考えていらっしゃるのか、教えていただきたい。実際に処遇に結びつかないということがわかった時点でキャリア段位制度に取り組む方が少なくなっていくのではないかと思ったので、こちらを教えていただきたいということがあります。

 それから最後ですが、先日、1020日に平成27年度のアセッサー集合講習が開かれまして、参加させていただきまして、ありがとうございました。それで、そのときに、すごく内容がすばらしくて、こういう講座を全部の介護職員の方が受ければかなり質の向上というものが期待できるのではないかなと思ったのですが、これは厚生労働省の方に聞くのがいいのかもしれないのですが、このアセッサーというのは有効期間がないとおっしゃっていたのですけれども、更新制というのはないのでしょうか。あったほうがいいのではないかと思ったので、その辺をお聞かせ願いたいと思います。

 以上です。

○静岡県・杉山氏 こういう組織をつくりますと、そのことだけを考えればいい。これ以前のときは介護保険制度の支援という班に入っておりました。ですから、他の検討、例えばケアマネの試験とかケアマネの資質向上も一緒にやっていたところなのですが、それを独立して持たせることに同じその中で一緒にいろいろ考えますと、非常に散漫というか、集中して議論することができません。それと、班長が、全体を眺めて、これでいいのかという速やかな判断ができないと、政策提言もなかなかできないというのが出てこようかと思います。

この介護人材班ができることによりまして、いろいろな事業を班で考えて、皆さんが同じ意識を持ってできるというのがあって、ほとんどの事業が24年度当初についております。26年の新規事業はほぼ、この班ができてからでございます。実際に事業を進めるのも、それぞれの効果を見て、職員4人で効果を見てできるという、そういう効果が組織というのはございます。私も、そういう目でみんなから意見を聞くことができるということでございます。

 ガイドですが、キャリア段位制度を前提として、私たち、キャリアパス制度というので見てきましたので、段位制度そのものは、残念ながら、詳しく伺わずに来ております。申しわけありません。

 以上でございます。

○若竹大寿会・鈴木氏 御質問ありがとうございました。

実際、アセッサー取得に携わるスタッフの中で、処遇改善といいますか、賃金アップ、これは非常に意識していたことであります。ただ、現状、それが処遇改善につながるかというところで、制度的には、今後、正直、現場の声としては考えていってもらいたい。その中で、アンケートの、具体的な取り組んでよくなかった意見の中で、10ページの「処遇改善に繋がるのか理解できない」ということの意味なのですけれども、実際この制度が確立していない中で、本当につながるのかという不安がかなり現場でありました。

 というのは、この制度が始まってまだ3年から4年ですね。そういった中で、私たちも25年から取り組んでいるのですけれども、やはり試行錯誤しながら、実際、業務に取り組めなかったスタッフも中にはいました。そういった中で、多くのアセッサーを輩出することで、いろんな意見や、いい改善方法を見つけることができた中で、その制度の説明というか、明確にできないもどかしさはあるのですけれども、今、私個人の考えとしましては、アセッサーとして、現実、自分のスタッフを評価したときに、本当に処遇改善につなげていい段階なのかというところは、正直、疑問に思いました。

ただ、今、キャリア段位制度におきましては本当に成熟期だと思います。先ほども奉優会さんがおっしゃっていましたけれども、多くのスタッフがこの介護キャリア段位制度に携わることで、いろんな改善点、そしていろんな効率化が図れると思うのですね。そういった部分で、まず処遇改善というところに着目するスタッフは確かに多いとは思うのですが、私個人としましては、対象となる顧客のサービスをしっかりと向上していく、そして介護という学問を、先ほども言いましたけれども、磨いていく、そういったことがまず先決で、そこに附随して付加価値として処遇改善が見出してくるのではないかとこの制度に期待しております。

以上です。

○田中座長 アセッサーの年数についてお願いします。

○辺見振興課長 アセッサーのフォローアップという観点で、26年まで内閣府で事業を行っている際に論点の一つとなっていたと認識しておりますけれども、その点について更新制といったようなことについて示されたことはないと認識しております。27年度、厚生労働省の補助事業として行っておりますけれども、補助事業の要綱の中ではアセッサーの講習ということを位置づけておりますけれども、更新制ということについては、今のところ定めてないと。実施主体においては更新の形は今とってないと認識しております。

○田中座長 まだ質問や尋ねたいこと、御意見あるかと思いますが、今日プレゼンテーションしていただいた方を時間外でつかまえて質問してください。会としてはここまでといたします。たくさんの貴重な御意見ありがとうございました。

次回の日程について事務局より説明をお願いします。

○辺見振興課長 本日はどうもありがとうございました。

次回の会合におきましては、これまでの議論を踏まえまして論点等を整理して、さらに議論を深めていきたいと考えております。日程といたしましては、1210日木曜日、16時から18時の2時間を予定しているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田中座長 これをもちまして、第2回「介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会」を終了いたします。発表いただいた方々、委員の方々、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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