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2015年10月23日 中央社会保険医療協議会 診療報酬改定結果検証部会 第48回議事録

○日時

平成27年10月23日(金)8:59~9:29


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

松原由美部会長 西村万里子委員 田辺国昭委員 印南一路委員 野口晴子委員 荒井耕委員
<事務局>
唐澤保険局長 谷内審議官 吉田審議官 宮嵜医療課長 眞鍋医療課企画官
三浦保険医療調査企画室長 中井薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○ 平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成26年度調査)の本報告案について

○議事

○松原部会長

 定刻となりましたので、ただいまより第48回「診療報酬改定結果検証部会」を開催いたします。

 まず委員の出席状況について報告します。本日は全委員が御出席です。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 本日は、前回に引き続き、平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成26年度調査)を議題といたします。

 平成26年度に実施しました、特別調査6項目につきましては、速報として、平成261224日、平成27年3月18日、4月22日の3回にわたって、中医協総会に報告を行い、前回の部会で2項目の最終的な報告を行ったところですが、今般、残りの4項目について、最終的な報告書が取りまとめられました。

 まずは本報告書の作成において、公益委員の皆様には、短い期間で内容を御確認いただきましたことを、この場をかりて、厚く御礼申し上げます。

 報告書に対する検証部会としての評価について、委員評価案を作成いたしましたので、事務局より説明いただきます。

 その上で、本日は、検証部会として、評価案について御議論いただき、最終的な検証部会としての評価を取りまとめたいと思います。

 それでは、事務局より、資料の説明をお願いいたします。

○三浦保険医療企画調査室長

 保険医療企画調査室長でございます。

 お手元の資料ですが、右肩に中医協検-1、中医協検-2-1、中医協検-2-2という分厚いもの、中医協検-3-1、中医協検-3-2、中医協検-4-1、中医協検-4-2、中医協検-5-1、中医協検-5-2という形で、配付されておるかと思います。

 本日は、中医協検-2-1、中医協検-3-1、中医協検-4-1、中医協検-5-1という、薄いものを使いまして、資料の御説明をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、4点、取り上げていただいております。

 中医協検-2-1をご覧いただければと思います。中医協検-2-1は、機能強化型訪問看護ステーションの実態と訪問看護の実施状況ということで、検証調査を行ったものです。

 お手元の資料の末尾に「まとめ」がございます。中医協検-2-2は、速報でもお示しをしておりますもので、数値などを示しているものでありまして、それをかいつまんだものが、前半に表として記載をされております。それを踏まえまして、まとめという形で、まとめておりますのが、中医協検-2-1の21ページ以下でございます。こちらをご覧いただければと思います。

 機能評価型訪問看護ステーションにつきましては、平成26年改定で新設をされまして、合わせまして、26年改定では、精神疾患患者の地域移行支援などを内容とする見直しを行ったところであります。

 機能強化型は、常勤看護職員5名ないし7名以上、24時間対応体制加算、重症度の高い患者の受入実績などを届出の要件としておりましたので、このあたりを中心に御説明できればと思います。

21ページ「まとめ」でが、(ア)(イ)(ウ)の辺りで、機能強化型訪問看護ステーションを設けた効果を検証しております。(ア)では大型化に寄与した、(イ)では常勤の看護職員数について、いずれも増加しておる、あるいは看護職員数について増加が見られたといったあたりが、1つの効果かと思います。

 少し飛ばしまして(ク)と(ケ)をご覧ください。こちらでは、機能強化型訪問看護ステーションとそれ以外の利用者の状況について、比較をした数値が示されております。数字はこちらに書いてあるとおりでありますが、15歳未満の利用、あるいは超重症児の利用という点において、機能強化型では、より大きな数字が見られたということかと思います。

 改定の効果として(シ)と(ス)をご覧いただきたいのですが、26年改定におきまして、精神科重症患者早期集中支援管理料を新設いたしております。その算定状況などをこちらで見ておりますが、機能強化型の方が、より大きな数字になっております。

 1ページおめくりいただきまして(ソ)と(タ)では、土日、祝日、あるいは早朝、夜間、深夜の対応状況を見ておりますが、こちらでも、機能強化型がより対応をしていただいているという数字が見てとれるかと思います。

 1つ飛ばしまして(ツ)をご覧いただきたいのですが、機能強化型の訪問看護ステーションについては、地域住民に対する情報提供などの実施を望ましいとしておりました。その内容を聞いておりますのが(ツ)であります。機能強化型1では、企画運営ですとか、講師として参加という形で、能動的・主体的な関与が行われているということが、調査結果として現れております。

 (テ)でありますが、26年の改定前後の収支を見ておりますけれども、機能評価型の設置によりまして、診療報酬改定の影響で、一定の効果があったというお答えがいただけております。

 (ト)でありますが、機能強化型の届出をしていない理由を問うておるのですけれども、常勤の看護職員の確保といったあたりが問題になっているということが、お答えとして挙がっております。

 はしょりまして、23ページまでいって、(ノ)をご覧いただければと思います。訪問看護ステーションへの緊急連絡の経験がある場合、訪問看護ステーションの対応状況を調べておりますが、こちらでは、電話で状況を伝えると来てくれたとか、対応方法を教えてくれた、あるいは翌朝に来てくれたということで、9割以上がとても満足といった回答が得られております。

 (ハ)をご覧いただきたいのですが、自宅で医療を受けることについて、利用者は実際に利用されている、在宅で療養生活を送っていらっしゃる方の、約7割が住み慣れた環境での生活の継続が良いと感じ、約5割ができるだけ自宅医療を受けたい、約4割は安心感が得られるという回答でした。一方で、家族の負担が大きい、或いは不安であるといった回答が、一定割合あったということが、調査結果であります。

 中医協検-2-1については、以上であります。

 続きまして、中医協検-3-1をご覧いただければと思います。中医協検-3-1は、適切な向精神薬使用の推進や精神疾患患者の地域移行と地域定着の推進を含む精神医療の実施状況調査であります。

 同じく「まとめ」をご覧いただければと思います。前回の改定では、精神科急性期病床に係る平均在日数の短縮を図るという観点から、医師を重点的に配置した場合の評価ですとか、精神疾患患者の地域移行、地域定着を促進する観点から、多職種チームによる在宅医療の評価及び向精神薬の多剤投与に係る減算措置などの見直しを行ったところです。

 これに関する項目として、幾つか御紹介をさせていただければと思います。

 (ア)をご覧いただきたいのですが、平均在日数については、狙い通りと申しましょうか、一定短縮の傾向が見られたという調査結果となっております。

 (イ)と(ウ)では、改定の効果ということで、(イ)では、入院実績要件の見直しを行った精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料などについての届出を見ております。届出施設が増加をしておるという傾向が見られますので、改定の要件の見直しに一定の効果があったということかと思います。

 (ウ)では、認知症患者リハビリテーション料についての届出状況などを見ておりますが、このような数字になっております。また、特に認知症治療病棟入院料の届出のある施設、或いは認知症疾患医療センターの指定を受けている施設については、高い割合が見られたということが出ております。

 同じく26年の改定の効果ということで(エ)をご覧いただきたいのですが、精神科重症患者早期集中支援管理料は、24時間体制の多職種チームによる在宅医療の評価でありますが、こちらは届出ありというのが、0.6%でした。届出が非常に低調だった理由について問うたところ、専任チームを構成する人員の不足ですとか、24時間体制が困難といった理由を挙げているということでございます。これらの内容がハードルとなっているのではないかということかと思います。

 (オ)でありますが、精神保健福祉士配置加算について、同じく聞いております。こちらも届出ありが3.5%ということで、届出をしていない理由については、在宅移行の要件が満たせない、あるいは専従の常勤精神福祉士を確保が困難という理由が多かったということでありました。

 しばらく飛ばしまして、23ページの(ケ)をご覧いただければと思います。こちらでも、同じく26年改定の効果ということで、精神科急性期治療病棟入院料算定病棟における医師配置ということで、16対1を評価した、精神科急性期医師配置加算の届出状況は、届出ありが45.9%でございました。また、届出をしていない病棟26.2%の理由を見ますと、医師が不足をしており確保が困難、あるいは在宅移行率の要件が満たせないといった理由が挙げられており、これらの内容がハードルとなっていることが窺えるかと思います。

 (コ)(サ)(シ)では、向精神薬の適正使用の観点から、多剤投与に関する対応の効果を見ております。

 (コ)では、入院患者について、向精神薬の使用数を問うたものでありますけれども、入院時は3種類以上処方されている患者が、どの精神病棟種別でも半数を超える状況でありましたが、調査日時点では、同じ患者が精神科救急合併症入院料算定病棟で増加したものの、それ以外では、ほぼ横ばい、乃至はほぼ同数、減少しているという傾向が見られております。

 同様に外来について見ているのが(シ)でありまして、もともと3種類以上、あるいは4種類以上という割合は、非常に小さいものでございましたが、傾向としては、減少しておるということで、改定について、一定の効果があったのではないかという結論を出しております。

 中医協検-3-1は以上でございます。

 続きまして、中医協検-4-1をご覧いただければと思います。中医協検-4-1は、救急医療管理加算等の見直しによる影響や精神疾患患者の救急受入れを含む救急医療の実施状況調査であります。

26年改定では、救急医療の充実・強化に当たりまして、特定集中治療室管理料の新設、或いは救急医療管理加算の算定基準の明確化、精神疾患などを有する救急患者の受け入れの評価の見直しなどを行っております。これらを中心に見ていきたいと思います。

 中医協検-4-1の21ページをごらんいただければと思います。こちらが「まとめ」であります。

 救急の対応状況を見ておりますのが(イ)と(ウ)でありまして、(イ)は救命救急センター、(ウ)は二次救急医療機関でありますが、夜間、準夜、深夜、早朝の救急対応を見ておりますと、救命救急センターでは、内科、外科ではほぼ100%に近い数字で、産科では85%、小児科では84%という数字であったのに対しまして、精神科では50%ということで、相対的に低い数値となっております。

 同じような傾向が、二次救急医療機関でも見られたということで、合わせまして、二次救急医療機関では、精神科、小児科、産科という形で、低いという数字が出ております。

 飛ばしまして(カ)をご覧いただきたいのですが、26年改定の効果ということで、特定集中治療室管理料1・2について、改定前に特定集中治療室管理料1・2の届出をしておりましたが、改定後に届出をしていない医療機関に理由を問うております。常時専任の臨床工学技士を確保できない、特定集中治療の経験医師が確保できない、特定集中治療室の広さを確保できないといった理由が挙げられておりまして、届出に当たっては、これらの内容がハードルになっておるということが、窺える結果になっております。

 (ク)をご覧いただきたいのですが、(ク)では救急対応患者数を見ております。26年改定前後で、救命救急センターを有する医療機関、二次救急医療機関、その他の医療機関、いずれにおいても、大きな変化は見られませんでした。

 また、救命救急センターを有する医療機関であっても、救急対応患者の約75%が軽傷であって、多くの軽症患者に対して、対応が求められているという現状があることも、合せて判明しております。

 受け入れ対応方針について問うておりますのが(ケ)(コ)(サ)であります。(ケ)(コ)(サ)は、それぞれ救命救急センターを有する医療機関、二次救急医療機関、その他医療機関ということで、受け入れ方針を聞いておりますが、原則として、受け入れを断っていないところは、救命救急センターのほうが多くなっているということであります。

 ただ、患者別に見ますと、長期臥床の高齢者、あるいは身体疾患と精神疾患との合併症、認知症との合併症の患者さんについては、約1割から2割の医療機関が、受け入れを断ることがあるということでございました。その理由については、「軽症であり、他の医療機関での対応が可能」が最も多く、身体疾患と精神疾患との合併では、専門外で対応が難しいとの回答が最も多かった、救命救急センターでは、このような実態でした。精神疾患を有する救急患者などの受け入れについては、今後も課題としていく必要があるとしております。

 (コ)と(サ)では、同じように、二次医療機関、或いはその他の医療機関で見ておりますが、傾向的には似た部分がございます。

 合わせまして、専門外での対応が難しい部分が増えていっている、また、周産期、小児などについても、課題が明らかになったということかと思います。

 最後に(シ)と(ス)をご覧ください。こちらでは、救急医療管理加算について、算定基準が明確でない点があることを踏まえて、26年改定で評価の見直しを行っております。

 救急医療管理加算2の算定患者が全体の約2割であった。また、実際の救急医療管理加算2をとっている患者の病名を調べましたところ、特徴は、特に救命救急センターを有する医療機関、二次救急医療機関、その他医療機関、疾病による特徴は見られなかったという結論になっております。

 中医協検-4-1は、以上となります。

 最後に中医協検-5-1をご覧ください。夜間の看護要員配置の評価や月平均夜勤時間72時間要件を満たさない場合の緩和措置による影響及びチーム医療の推進などを含む医療従事者の負担軽減措置の実施状況調査であります。

 平成26年の改定では、医療従事者の負担を軽減する観点から、休日・時間外・深夜の加算ですとか、医師事務作業補助者の配置に係る評価、病棟薬剤師業務に対する評価などについて、見直しを行っております。また、看護職員の確保が困難な医療機関に対して、看護師の月平均72時間要件を満たせない場合の緩和措置の拡大を行っております。これらについて検証を行ったものが、こちらになります。

 「まとめ」が60ページにございますので、ご覧いただければと思います。

 今申し上げました休日時間外・深夜加算などについて、(イ)と(ウ)で見ております。26年改定でより高い評価を新設しました、手術、処置の休日・時間外・深夜加算の算定状況が(イ)、緊急内視鏡検査の評価が26年改正で新設されておりますが、その算定実績はこちらに挙げられている数字となっております。

 (エ)と(オ)は、医師事務作業補助体制加算についての調査の結果であります。全体として、届出の増加傾向が見られました。

 (オ)でありますが、効果としては、外来への医師事務作業補助者の増員ができた、或いは事務負担の軽減ができた、病棟業務の事務負担が軽減できたといった結果となっております。

 (カ)と(キ)では、歯科との連携について聞いております。

 (カ)では、歯科医師との連携状況ということで、病床規模が大きい病院ほど、進んでいることが分かりました。

 (キ)では、歯科医師との連携が進んでいない、連携していない理由を問うておりますが、連携を行う際の歯科医師の受入態勢が確保できていない、或いはクリニカルパスに歯科との連携が組み込まれていないといった理由が挙げられており、歯科医師との連携を推進するに当たっての課題が抽出されたということかと思います。

 1つ飛ばしまして(ケ)をご覧いただければと思います。26年改定におきまして、月平均夜勤72時間要件のみを満たさない場合の緩和措置を設けましたが、算定状況につきましては、算定なしと回答いただいた施設は75.5%、算定ありと回答した施設はゼロだったということでございます。

 速報を御報告した際に御議論があったことを踏まえまして、私どもの方で、全国の社会保険事務局に対する届出状況を調べました。こちらの検証のアンケート結果ではないものですけれども、日本全国で届出施設数は13だったということでありまして、本調査では、当該減算の届出施設が調査対象に該当しなかったのではないか、算定なしと回答した施設が75.5%である一方で算定ありと回答した施設がなかった理由については、恐らく調査客体に該当しなかったのではないか、ということを付言しております。

 (コ)と(サ)では、勤務医の負担軽減策の取組状況を聞いております。どのようなことをしているか、或いはそれについてどのような効果があったかということを問うております。ご覧いただければと思います。

 (シ)では、看護職員の負担軽減策について見ておりますが、夜勤時間帯における看護補助者の配置、病棟クラークの配置ついて、9割以上で効果が見られたといった回答をいただいております。

 医師に対する調査が(ス)と(セ)であります。勤務医の負担軽減策はどんなことをしているかということに関しては、薬剤師による入院患者への説明、或いは医療事務作業補助者の配置等々が挙がっているということで、それによって、薬剤師による処方提案等あるいは事務作業補助者の配置・増員などについて、効果が見られたというお答えをいただいております。

 また、実際の分担状況については(セ)で聞いておりますが、採血、静脈注射、留置針によるルート確保などは、主に他職種が実施しておる一方で、診断書ですとか、カルテ、主治医意見書の記載は医師が行っているということで、約4割の医師が負担に感じていることが分かりました。

 看護師に対する調査であります。業務分担状況は(チ)でありまして、配下膳ですとか、寝具・リネンの交換などについては、分担をしている一方で、食事介助、排せつ介助などは、看護職員自身が行っているところと、共同で行っているところが分かれていたというのが、調査結果でありました。

 歯科に関しての調査は(ツ)であります。看護職員と歯科との連携の効果ということで、看護職員による口腔清拭等の業務が適切に行われるようになったといった回答をいただいております。

 また、看護職員と病棟薬剤師の連携の効果ということで、看護職員の薬剤関連業務の負担を軽減したといった回答を頂戴しております。

62ページでありますが、看護職員の負担軽減策について、病棟クラークの配置などは効果が見られたという回答をいただいており、他職種との業務分担が負担軽減に相当の効果をもたらしているということが窺えた結果となっております。

 最後に薬剤師に対する調査であります。(ヌ)と(ネ)をご覧いただきたいのですが、26年改定で、療養病棟・精神病棟の病棟薬剤師業務実施加算の4週制限が緩和されました結果、65.5%の施設で5週目以降も実施したということで、その結果、医師や看護師の業務負担軽減、あるいは患者のコンプライアンスの上昇などの効果が得られたという結果となっております。

 また、療養病棟・精神病棟において、病棟薬剤業務を実施している施設のうち、算定制限を4週から8週に引き上げたわけですけれども、それを超える9週目以降でも実施している施設が87.5%あったということで、9週目以降でも、同様の効果が得られているという結果でございました。

 最後に(ネ)であります。がん患者指導管理料3を実施する体制を取っておることの効果を聞いておりますが、半数以上の施設から、患者の薬に関する理解とコンプライアンスが上昇した、副作用の減少、早期発見に繋がったなどの回答をいただいておりまして、外来における薬剤師による薬学的管理、指導の効果が窺える結果となっておりました。

 資料の説明は、以上になります。

○松原部会長

 どうもありがとうございました。

 これについて、御意見等がありましたら、お願いいたします。

 印南委員、どうぞ。

○印南委員

 取りまとめ案についてではないのですけれども、検証調査そのものについて、若干、考えることがありますので、検証部会で、以下の3点について、検討したらどうかという提案をさせていただきたいと思います。

 種々の調査で、患者調査を行うのですが、これが最も難しい調査でありまして、相手が患者さんであるということです。ほかのマーケティング調査のように、駅前で配るわけにもいかず、例えば調剤薬局の調査とあわせて、薬剤師さんから患者さんに配ってもらう。それを直接回収する。そういう方式をとっているのです。なるべくバイアスがかからないように、いろんな工夫はしています。例えば午前中に来た患者さんに無作為に渡してくれとか、あるいはランダムに渡してくれとか、いろいろお願いしているのですが、実際にそれが実行されているかどうかというのは、永久にわからないというのが1つです。

 それから、例えばかかりつけ薬剤師、ないしかかりつけ薬局がありますかという質問を、調剤薬局に来た患者さんに薬剤師がお渡ししても、ほぼあると答えるに決まっているわけです。その結果として、その比率が非常に高くなるという結果が出ます。本当に一般の患者さんが、かかりつけ薬剤師や薬局を持っているかという質問に対して答えているかというと、非常に疑問なわけです。

 こういうものは、なかなか難しい点があって、精いっぱいの工夫はしているのですけれども、1つの方法は、例えばここの検証調査は、5つか、6つをほぼ同じ時期にやっています。4月から検討し始めて、秋までに速報を出すということをやっていますので、しかも、同じ会社が請け負ってやっています。担当者も非常に近い関係にある。そうしますと、例えば一般の病院調査の患者さんに、調剤薬局の患者調査の調査票を渡してもらえば、バイアスといいますか、選択バイアスがかからないわけです。別調査を通じた患者調査票の配布を考えてもいいのではないか。こういうものは、検証部会でまず検討します。これが1つです。

 それから、同時に、例えばウェブ調査を使いますと、ウェブの調査会社は、100万人を超えるモニタリングの数を持っていまして、その中から、特定の患者さんをピックアップすることも十分可能なのです。そういった調査会社を一部使うことは、劇的にサンプル数をふやせる。例えば通常の患者調査ですと、サンプル数というのは、回答数は1万もいかないのです。数千ですけれども、これを使えば、劇的にふやすことができて、回答が統計的に安定するということがあります。これが最初の患者調査の柔軟化みたいなお話です。

 2番目は、通常の調査で、ウェブ回答方式を導入してはどうか。今、紙の調査票を配って、同じような時期に、同じような調査票が各所から病院等に集中して、大変な負担になっていると思うのですけれども、紙で配るにしても、実際の回答はウェブでつくれますので、ウェブで回答する方式にすれば、記入ミスなどがなくなりますし、かなりはねることができますし、記入側の負担も軽減することができます。ですので、ウェブ回答方式みたいなものを検討してはどうかということです。

 3番目がデータの再利用です。これは回答者が特定されないことを大前提にしますが、例えば後発医薬品の調査は、ほぼ毎年のようにやっておりまして、調査項目は非常に類似しているわけです。でも、サンプル、回答者は、毎回違ってしまうわけです。回答者が特定されないように、別IDを振って、5年間ぐらいの調査をつなげれば、パネルデータにすることができて、今までやっていないような検証調査が可能になると思います。

 今までは時間的に非常に切迫しておりまして、約半年で結論を出して、出される資料も、御承知のとおり、ほとんど記述統計で、せいぜいクロス集計があるだけなのです。それ以上の分析がなかなかできない。実際、この時間的なタイミングでやるのは、非常に難しいとも思われますので、回答者のIDが一切公開されないような形で、個票のデータそのものは公開して、研究者に研究を任してもいいのではないか。その場合は、当然公的資金で、厚生労働科研とか、文部科研とか、そういう資金を使った、公共性の高い研究目的に対して、限定して提供するとか、これは一案ですけれども、そういう道を開いたほうがいいのではないかと思います。

 以上の3つについて、検証部会で検討して、何らかの考えをまとめることを提案したいと思います。しかも、今回は問題になりませんので、来年度からの調査を対象に、改定の議論の大方が片づいてから、来年の3月などに1回検討することを提案したいと思います。

 以上です。

○松原部会長

 ありがとうございました。

 今、予算も時間も限られている中で、できる範囲のことを調査として行っているわけですけれども、その中でも、特に患者調査についての方法、通常の調査に対して、ウェブ回答の拡大、つまり調査システムの改善です。3つ目は、データの再利用という、非常に抜本的な御提案をいただきました。

 これは先生がおっしゃったように、今後の検討課題として、御意見として賜るということでよろしいでしょうか。

○印南委員

 はい。

○松原部会長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見はございますか。

 ほかに御意見等がないようでしたら、本日御審議いただきました案で、私から総会に報告することとしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 これでいいですか。

 事務局もこれでよければ、本日の議論はこのあたりにしたいと思います。

 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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