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2015年11月20日 第55回 がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成27年11月20日(金)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階)


○議題

(1)がん対策加速化プランについて
(2)その他

○議事

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第55回「がん対策推進協議会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は秋山委員、勢井委員より御欠席の連絡をいただいております。

 それでは、以後の進行は門田会長にお願いいたします。

○門田会長 それでは、皆さん、本日もよろしくお願いいたします。前回、皆さんにいろいろなディスカッションをいただきましたが、本日でいよいよ時間的にいっぱいになりましたけれども、ただいまより始めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局のほうから資料の確認をお願いいたします。

○がん対策推進官 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 資料1が「がん対策推進協議会委員名簿」。

 資料2が「がん対策加速化プランへの提言(案)」。

 参考資料1が「がん対策基本法」。

 参考資料2が「がん対策推進基本計画」。

 参考資料3が「がん研究10か年戦略」。

 参考資料4が「がん対策推進基本計画中間評価報告書」。

 参考資料5が「がん対策加速化プラン策定に向けた委員からの意見書まとめ」となっております。

 資料に不足・落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。よろしいでしょうか。

 では、以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。

○門田会長 資料のほう、問題はございませんか。

 ないようでしたら、本日の議題の「 (1)がん対策加速化プランへの提言について」に入りたいと思います。前回の協議会で有用な議論をいただいたわけですけれども、それを踏まえて、加速化プランへの提言案を作成してもらっております。事務局のほうからその内容について御説明していただき、皆さんの御意見を頂戴したいと思います。

 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。

がん対策推進官 それでは、資料2について御説明させていただきます。資料2「がん対策加速化プランへの提言(案)」とさせていただいております。

 まず、目次をごらんください。

 この目次ですけれども「はじめに」というものがございまして、その後、3本の柱の「1.予防」「2.治療・研究」「3.がんとの共生」といった3つの柱に基づいて、それぞれの提言をまとめさせていただきました。また、それ以外にもたくさんの御意見を頂戴いたしておりまして、その提言に入っていない御意見については「4.協議会委員より提出されたその他の意見」ということで取りまとめさせていただいております。

 まず、1ページの「はじめに」です。

 最初の第1段落、第2段落のところですが、がんが死因の第1位であり、生涯のうちに約2人に1人がかかるということで、重要な問題であるということ。それから、第2段落ではこれまでのがん対策の経緯、歴史を記載させていただいております。第3段落で、こうしたさまざまな施策により、一定の進捗は見られているのですが、がん対策推進基本計画中間評価報告書では、そのがんの年齢調整死亡率の20%減少がこのままでは目標の達成が難しいという予測がされております。その理由としては、たばこ対策やがん検診の受診率向上に向けた施策がおくれていることなどが挙げられています。

 こうした状況を踏まえ、6月1日に厚労省主催のもと、がんサミットが開催され、以下、マル1からマル3、「がんの予防」「がんの治療・研究」「がんとの共生」、この3本の柱に基づいて、がん対策加速化プランを政府として策定することとしている。この提言書では、政府がその加速化プランを策定するに当たり、基本計画に示されている分野のうち、おくれているため「加速する」ことが必要な分野、それから、当該分野を「加速する」ことにより死亡率減少につながる分野に絞り、次期基本計画策定までの残された期間で短期集中的に実行すべき具体的施策を提言する。

 また、最後、PDCAサイクルのことも記載させておりまして、それもあわせて提言するとしております。

 「1.予防」ですけれども「(1)がん検診」で「1)受診率対策」のところです。

 最初の<現状と課題>ですが、全部読むと時間がかかりますので簡単に申しますと、課題といたしましては、受診率50%という目標として掲げておりますが、まだ4割程度ということで、目標値には達していないこと。それから、精密検査の受診率も十分に高いとは言えないこと。さらに3ページに参りまして、受診勧奨の方法、あるいは検診項目については市町村によってばらつきが見られること。そういったところを課題として掲げております。

 <実施すべき具体策>といたしまして、最初の4つが今回新しく、前回の資料に追加しております。

 1つ目が、検診受診率のみならず、精密検査受診率等についても目標値を設定する。

 目標値を達成するには、モニタリングが重要であることから、各市町村が全国での位置づけを確認し施策に役立てるため、各市町村のがん検診受診率や受診率向上に向けた取り組み等を比較可能な形で公表する。

 検診対象者、市町村それぞれの特性に応じて、行動変容を起こすためのインセンティブ策及びディスインセンティブ策を導入する。

 一部自治体において、ガイドラインに基づかないがん検診が行われていることを踏まえ、推奨する検査項目のみならず、効果が不十分な検査項目は「推奨しない」ことを明示したガイドラインを策定する。

 5点目が、医療関係団体と協力し、かかりつけ医を通じて受診勧奨をする。

 下から2番目の健康サポート薬局も新しく追加しておりまして、健康サポート薬局におけるかかりつけ薬剤師を通じた受診勧奨を進める。

 次が、市町村が継続して効率よく受診勧奨を実施できるよう、受診勧奨の事例集の作成、受診勧奨に関するマニュアルの作成・周知、市町村への研修を通じて、受診勧奨の方法を徹底的に普及する。

 最後に、いろいろな受診率向上施策がありますけれども、それをそのままやりっ放しということではなくて、実施されているかどうかを把握し、より実効性のある仕組みを講じるというふうにしております。

 検診については、さまざま多く御意見をいただいておりますので、厚労省としても重要な課題と認識して、いただいた意見そのままではないのですけれども、考えられる具体策のほうを追加させていただきました。

 また「2)職域のがん検診」です。

 こちらは現在、まだがん対策における位置づけが不明確であること。一方で、がん検診受診者の4~7割が職域で受診しているということで、大きな役割を果たしている。ただ、今、ガイドラインは市町村向けになっていて、保険者に対する指針はないこと。それから、実態も正確につかめていないということを課題として入れております。

 <実施すべき具体策>ですが、1点目が実態の早急な把握。

 2点目が、同じように目標値の設定。

 3点目が、目標値を達成するにはモニタリングが重要ということで、取り組み等を比較可能な形で公表する。

 4点目が、同じようにインセンティブ策、ディスインセンティブ策の導入。

 5ページ目へ行きまして、1つ目がガイドラインの早急な策定。

 6点目として、特定健診とがん検診の同時実施の推進。

 最後が、実施されているかどうかを把握して、より実効性のある仕組みを講じるということを入れております。

 「(2)たばこ対策」の「1)禁煙対策」です。

 <現状と課題>といたしましては、喫煙率が現在19.3%で下げどまっているということ。それから、未成年者についてはゼロ%を目標にしていますが、まだ数%の方が喫煙しているということを課題として挙げています。

 6ページですが<実施すべき具体策>として、ここは前回と大きく変わりはありませんけれども、たばこ税の税率を引き上げる。

 それから、ニコチン依存症に対する禁煙治療の保険適応を拡大する。ここは前回の資料では「若年者に対する」という記載をしていたのですけれども、中医協のほうで診療報酬の見直しの議論を踏まえますと、ブリンクマン指数という1日本数掛ける喫煙年数が200以上という、この指数自体の緩和を求めておりますので、正しい記載に直させていただきました。

 それから、情報提供に関しては、未成年者・妊産婦に対する健康教育、たばこの容器包装の注意文言の見直し、たばこの広告に関する勧告の見直しを入れております。

 次の「2)受動喫煙対策」については、これまでの取り組みを最初に記載しております。

 その結果、受動喫煙の機会を有する非喫煙者の割合は減少傾向ですけれども、飲食店、遊技場、職場などで非喫煙者が受動喫煙に遭っているということ。それから、最後のなお書きですけれども、2010年にWHOIOCがたばこフリーオリンピックを推進するということに合意しておりまして「近年のオリンピック開催国では、すべての開催国で罰則規定のある法制上の措置が講じられていることに留意する」という記載を追加しております。

 7ページの<実施すべき具体策>ですが、前回の資料ではオリンピック・パラリンピックのことを入れておりましたけれども、もう一つ前倒しをして、2019年のラグビーワールドカップ及び2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに、関係府省や都道府県等と連携しつつ、受動喫煙防止対策を強化することを提言すると入れています。

 「(3)肝炎対策」については、最初に現状のほうを記載しております。

 第2段落で、C型肝炎ウイルスに関しては、インターフェロンフリー治療薬が実用化されまして、これにより重症化の予防と肝がんの減少につながることが期待されます。また一方、B型肝炎については、まだ根治できる治療法の開発はされていないので、そうした課題があるということを入れています。

 具体策のほうですが、前回資料と大きく変わりはありませんけれども、1点目の抗ウイルス治療に関しては、その自己負担の軽減策。

 2点目についても、検査費用の助成の充実を図る。

 3点目が、検診に関する普及啓発。

 4点目として、創薬研究の推進を入れております。

 8ページですが「(4)学校におけるがんの教育」についてです。

 現在、文部科学省のほうで実施されているがんの教育総合支援事業が平成27年度は21地域86校で実施されております。

 <実施すべき具体策>については、この事業を充実して、がん教育を推進するための地域連携体制を構築していくということを提言として入れております。

 「2.治療・研究」で、最初は「(1)がんのゲノム医療」です。

 まず<現状と課題>ですが、ゲノム医療に関する定義、そしてゲノム医療によってどのようなことが可能になるかということで、マル1、マル2を入れております。

 1つ目が、大腸がんとか肺がんといったがん種別の治療法ではなく「私のゲノム情報」等に基づき、その人のがんに効果があり、副作用の少ない「私のがん治療」を行うこと。

 それから、現在は一定の年齢以上の人に同じ検査項目を同じ頻度で行っているがん検診についても「私のゲノム情報」等に基づき、将来どのようながんにかかる可能性があるのか予測し、予測結果に基づく「私のがん検診」を提供すること。こういったことが可能になると期待されています。

 こうしたことを踏まえまして、ゲノム医療実現推進協議会というものが設置されまして、そちらのほうで平成27年7月に中間取りまとめがまとめられております。さまざまな利益が期待されるわけですけれども、一方で多くの課題がございます。

 1つ目が、信頼性と質の確保された試料・情報の獲得・管理。

 マル2として、遺伝情報を利活用する上での情報保護に関するルールづくり。

 マル3が、遺伝カウンセリング体制の整備。

 マル4として、人材育成や医療従事者への教育強化。こうしたことが今後求められる取り組みとして掲げられております。

 この取りまとめを受けまして、ことし1117日ですけれども、ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォースが厚労省が事務局になって立ち上げられております。前回の資料では、これは取り組むべき対策として入れていたのですが、もう実際にスタートいたしましたので<現状と課題>のほうに移動しています。

 それから、最後に米国でのPrecision Medicine Initiativeの取り組みを例示として入れておりまして、我が国においてもゲノム医療の実用化に向けた取り組みを加速させていく必要があるということを入れています。

10ページの具体策ですが、1点目と2点目は前回と同じです。実態調査をするということ。それから、家族性腫瘍に関する遺伝子変異陽性者に対する検査・治療・支援のあり方を検討するとともに、拠点病院等に遺伝カウンセラー等を配置するということ。

 3点目を新しく追加しております。国立がん研究センターが、海外の研究機関・医療機関と協働し、我が国のゲノム医療の実現化に向けて主導的な役割を果たせるよう、国は必要な支援を行うということ。

 4点目は、ゲノム情報等の集積拠点を整備していくということ。

 最後も新しく追加しておりますが、ゲノム医療に関して、ゲノム医療そのもの、それから、その実現のために必要な研究等に関する普及啓発を進めるということを追加しております。

 次に「(2)標準的治療の開発・普及」に関しては、こちらも前回の資料と特段変わりはありません。

 課題としては、既存のガイドラインが高齢者や他疾病を持つ患者に対して有効性・安全性は十分に検証されていないこと。それから、標準的治療が各地域で実施可能なものであるか検証されていないこと。さらに、医療安全に関しても課題として取り上げております。

11ページの具体策のほうも前回資料と同じですが、ガイドラインの実態調査をするということ。それから、高齢者や他疾患を持つ患者に有効かつ安全なものであるか検証するということ。そして、地域の医療体制を考慮したものであるかも検証すること。それから、医療安全に関しては、拠点病院等の要件について必要な見直しを行うことを入れています。

 「(3)がん医療に関する情報提供」です。

 <現状と課題>ですが、これも前回と特段大きな変更はございませんけれども、12ページに参りまして、がん医療支援に関する正確な情報を求める声は多く、今もなお、多くのがん患者や家族が必要な情報にたどり着くことができていないということを課題として挙げております。

 具体策といたしまして、こちらも前回御提案した内容ですが、院内がん登録や現況報告で得られる情報を活用して、希少がんや小児がんも含め、診療実績や医療従事者の配置等、患者や家族が必要とする情報を簡単に検索でき、医療施設同士の比較も可能なシステムの構築を提言しております。

 次に「(4)小児・AYA世代のがん・希少がん対策」です。

 こちらは前回の協議会のときに、AYA世代について1つ項目立てをすべきではないかという御意見があったのですけれども、ちょっとこちらでも検討させていただいたのですが、現在AYA世代に関しては課題を明らかにするため、まだ研究を進めている段階ということもございまして、小児と並列する形で合わせて項目をつくらせていただきました。

 <現状と課題>ですけれども、小児に関しては前回と同じような内容を記載しております。

13ページの「また」以下のところで、AYA世代で、定義で括弧書きですけれども(思春期世代と若年成人世代)とさせていただいております。前回、40歳未満という御意見があったのですが、もう少し裏づけのデータを探したいという気持ちもございまして、こういった書き方にさせていただいております。

 <実施すべき具体策>です。

 小児に関しては、小児がん拠点病院連絡協議会等を活用し、拠点病院の専門的医療の提供、地域医療機関との連携、相談支援等、小児がん医療提供体制等のあり方を検証する。

AYA世代に関しては、AYA世代固有の課題を明らかにするため、AYA世代のがん医療等に関する実態調査や研究を進めるとしております。

 「2)希少がん対策」については、平成27年8月に報告書が取りまとめられておりますので、それに基づいた具体策を入れております。

14ページに参りまして、国立がんセンターを事務局とした希少がんワーキンググループの設置。

 2点目が、病理診断の質を向上させるための病理コンサルテーションの仕組みの構築。

 3点目が、がん研究10カ年戦略にもありますが、適応外薬や未承認薬の開発ラグの解消を目指した研究に取り組むとしております。

 「(5)がん研究」についてです。

 最初、現在のジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトの紹介をさせていただいております。

15ページですが<実施すべき具体策>といたしまして、ここは協議会委員のほうから追加で出された御意見を踏まえまして、2点目、3点目を追加しております。

2020年ごろまでの目標。これは注意書きのほうには記載しておりますけれども、難治性がん、小児がん、高齢者のがん、希少がん等の研究開発に対する支援を充実させる。

 次が、臨床研究への患者参画を進めるため、がん研究に関する情報を国民やがん患者に対して積極的に発信するということを入れております。

 「3.がんとの共生」で、最初は「(1)就労支援」でございます。

 <現状と課題>を入れております。最初、第2期の基本計画に就労支援というものを入れる背景となったデータを御紹介させていただいた後、これまでの厚生労働省における取り組みのほうを紹介させていただいております。

 ただ一方で、15ページの一番下の行ですが、2013年のがん患者の実態調査では、まだ依願退職、または解雇された者の割合は特段変化はなく、状況が改善されているとは言いがたいということ。その後、仕事を継続できなかった理由であるとか、仕事に関する悩みというものを例示として入れております。

16ページの<実施すべき具体策>ですが、1点目が拠点病院とのがん相談支援センターを活用した就労に関する相談。その後、前回の資料では、主治医と事業者の間で情報共有という内容を入れさせていただいたのですが、委員の意見を踏まえまして「患者の背景に応じた副作用や後遺症への対処方法を患者に指導するためのツールの開発」というふうに修正させていただいております。

 2点目は、ハローワークにおける就職支援モデルの全国展開をしていくということ。

 3点目が、治療と職業生活を両立できるよう支援するための企業向けガイドラインを策定していくということ。

 4点目が、産業保健総合支援センターに所属する専門の相談員がモデルケースとして、医療機関や企業に出向きながら、就労を継続できるよう、相談支援をしていくということ。

 最後ですけれども、がん患者に対する包括的な支援については、新しい包括的な相談支援システムを構築していくということを入れさせていただいております。

17ページで「(2)支持療法の開発・普及」についてです。

 前回の議論を踏まえて、定義については「一方」以下のところですが「治療に伴う副作用・合併症・後遺症に対する予防とケア(支持療法)」というふうに記載させていただいております。これに関しては、まだ研究が少なく、実態も十分に把握できていないということを課題として挙げております。

 <実施すべき具体策>で、1点目の研究のところは前回と同じです。

 2点目、特に術後の合併症・後遺症を軽減する観点から、栄養療法、リハビリテーション療法の後に「漢方を用いた支持療法」を追加しております。まだ漢方に関する研究というものも今、AMEDのほうで一部行われておりますけれども、まだまだ実施はふえていないということもありますので、追加をさせていただきました。

 それから、支持療法に関するガイドラインの作成に向けた研究を進めるということを入れています。

18ページで「(3)緩和ケア」です。

 ここも現状の、例えば研修を厚労省のほうで実施しておりますけれども、その受講者数であるとか現状を紹介させていただいた後に、ただ、緩和ケアチームに関してはまだ活動が十分でないところが見られるという問題。

 それから「さらに」のところですけれども、身体的苦痛や精神心理的苦痛の緩和が十分に行われていないがん患者が3~4割いるということで、まだまだ進めていく必要があるだろうということを課題として挙げております。

 下ですが<実施すべき具体策>といたしましては、緩和ケアチームの実地研修を進めるということ。

 それから、19ページに参りまして、苦痛のスクリーニングの事例集等を作成するということ。

 緩和ケア研修会の受講の推進。

 終末期に関しては、遺族調査をすること。

 それから、地域連携という観点で、訪問看護ステーション等の看護師を対象とした研修の実施。

 最後は、病院の外来から在宅医療への移行の評価であるとか、緊急の症状緩和目的の入院を受け入れる緩和ケア病棟の評価を入れております。

 最後は20ページから「4.協議会委員より提出されたその他の意見」ということで取りまとめさせていただいております。

 こちらは加速化プランへということでいただいた御意見なのですけれども、事務局のほうで、こちらはなかなか短期間で実施することが困難ではないかと思われるものについては、一部読めなくもない内容もあるのですが、整理をさせていただきました。ここに書いてある内容については、今後、次期がん対策推進基本計画策定に向けて検討すべきであるというふうにさせていただいています。

 その後は<予防>で、がん検診、たばこ対策、感染症、がん教育、それからゲノム医療とか、分野ごとにまとめさせていただいています。

 事務局からは以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、前回の協議会の後に事務局のほうに届きました意見書についての御説明をしていただきたいと思います。

 最初に、難波委員のほうからお願いできますか。

○難波委員 患者委員の難波でございます。

 私のページは24ページにございますが、11月9日に御提出させていただきました「「がん対策の加速化プラン』に対する要望書」に関しまして読み上げさせていただきます。

事務局 参考資料5の24ページになります。

難波委員

まず前提として、目の前の救える命を救うこと、痛みに苦しんでいる患者さんを救うこと。これは国が大至急加速化しなくてはいけない最重要課題であると思います。一方で、私を含め多くのがん患者さんはもっと早く病気のリスクや予防の知識を知っていたらと言います。予防は前向きな未来を築くための備えでもあります。がんは未来に起こり得る自分や家族の病気であると、私たち委員も国民も本当に当事者意識や危機感を持っているでしょうか。守るべき命の未来を私たちは国任せにしてはいないだろうか。がん対策というものは、イデオロギー云々以前の、生きる力を社会が支えるシステムであり、文化だと思います。今、改めて国民全体の意識改革が必要です。

 こういった意味も含めまして、要望書を読み上げさせていただきます。

 まず、第1項目の<1.予防について>。「検診受診率向上および社会への啓発のための国民キャンペーンの実施」と言いますとイベントというイメージになってしまうのですけれども、やらなくていいイベント、イベントをやることが目的になっているものは思想から排除していただいて、この目的としては、国民全体の機運を高めること、キャンペーンをすることによって精度管理を徹底すること、検診受診率の実数を把握すること。そういった意識を持って検診受診率を上げていこう、推進しようという国民キャンペーンの実施を想定しています。

 例えば、がん対策というものはマスコットがあるというのを先日初めて知ったのですが、がん対策に関する資料、教材、トレードマークは既にあるのに有効活用されていない実態も含め、がん対策に関連する講習会やイベント、社内研修などを厚労省が認定するイベントとして、キャラクターや、トレードマークを貸与してはどうかと、

また1,741市区町村、47都道府県の検診率のトップランキングなどを公表して表彰したり、成功事例の共有する。

教育機関では、以前勢井委員などもおっしゃっていたのですが、未来の自分に検診に行こうというメッセージを送ろうなどというポスターや作文のコンクールなど、地域を挙げて実行するなど様々なアイデアを想定しています。

 地域ごとに抱える課題はそれぞれにあると思うのです。その課題をステークホルダーが主体的に可視化し、顕在化していく。そのために、先ほど検診のほうでもPDCAサイクルを取り入れていくとおっしゃっていましたが、各地域での責任者、責任の所在を明確にし期限と成果を決めて、実際に報告・公表までしっかりとやっていただきたいなと考えます。

 2項目<2.治療・研究について>。「治療の均てん化を目指した実態調査およびガイドライン・評価制度の策定」。今、発表いただいた中にもあったと思うのですが、拠点病院の間での標準的治療に差があるということ自体びっくりしております。それこそインセンティブ及びディスインセンティブというものをぜひここにも取り入れてほしいなと思います。

 続きまして<3.共生について>。「厚生労働省の推奨する情報の認定トレードマークの制定」。これは前回、大江委員のほうからも御意見がありました。本当に情報弱者に対する不利益というものはとても大きいと思います。

 先ほど支持療法に関してもあったのですが、支持療法にエビデンスがまだ充実していないという理由から、支持療法まがいの情報によって患者さんが苦しめられているという状況も見受けられます。

この会議の前に、先ほど桜井委員と話をしていて、HONコードというものが国際的に認められた情報の認定の仕組み、表示があるというふうにお聞きしたので、HONコードを日本で導入していったらどうか。これを、国ももちろん主体となってはやるのですが、関連学会が責任を持って牽引していったらどうかと考えます。

 私からは以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして堀田委員よりお願いしたいと思います。

○堀田委員 私は前回に意見書を出させていただいて、既にそれはかなりの部分、取り込んでいただいており大変ありがとうございました。

 その上で、第2期計画期間中に課題になるであろうという点を少し追加してお話ししたいと思います。

 1つは、最近、患者申し出療養とか、あるいはコンパッショネート・ユース制度が導入されることになっている点です。これらはドラッグラグの解消の一施策ではあるのですけれども、そういった新たな枠組みが何を対象として、どうやるかということが実は余りはっきりしておりません。制度的にはできたので、あとは運用でという話になるのですけれども、ここのところはきちんと詰めないと、何か不確かな療養がまかり通ったり、あるいは非常に門戸が狭いまま、結局、形だけにならないように、しっかりと運用をやっていくためのプランがこの期間中に求められることであろうと思います。

 もう一点は、この期間中に実施が予定されている学会の専門医制度についてございます。専門医の研修プログラムの作成が今、動きつつあるわけであり、日本専門医機構が中心になって制度を進めているのですけれども、その中にがんの専門医を育成するプログラムというものは想定されていない状況がございます。

 私の提出した資料の29ページからでございますが、専門医の育成に関する要望をお示ししております。これは全国がん(成人病)センター協議会、いわゆる全がん協といいますけれども、昭和48年から40年にわたってがん領域の専門的な施設が集まって、がんに関する情報の交流、がんを専門とする若手医師の育成、それから、政策提言といった活動をしている組織でございます。今までがんの専門医を育成する機関として機能してきたのですが、今回のプログラムの中ではそれが十分生かされるかどうかというのはちょっと不透明な状況にございます。

 そういったことを踏まえて、今、進められているプログラムは大学を中心とした研修病院群かんの異動を認めない学会プログラムがあります。全がん協では全国的に人材を求められる仕組みも一方で考えていく必要があるのではないかということを要望しております。これは協議会に直接要望することではないのですが、理解して御支援いただきたいと思います。

 その次のページに、この全がん協施設の32施設の一覧がございます。全国のいわゆるがん専門的な施設、大学は除いてありますが、それがほとんど網羅されているという状況でございます。

 それから、その次の参考資料の31ページですが、これは門田先生も医学会の副会長として高久文麿会長とともにがん領域における専門医制度、特に内科領域においてがんの専門領域をつくるということについての提言を出されておりますので、その報告を参考のためにつけさせていただいてございます。

 以上のように、こういった問題は近々の問題でありますので、加速化プランの期間中にこれにぜひ対応したいと思っている次第でございます。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 最後の堀田先生の要望は、なかなかここでディスカッションにどう持っていくかというのは難しいと思いますが、そういうことも加味しながら少し話を進めていきたいと思います。

 それでは、全体のディスカッションを始めたいと思いますが、前回もそういたしましたけれども、これは全体をやっていくと行きつ戻りつになると困りますので、まず「予防」、2番目として「治療・研究」、3番目が「がんとの共生」ということの3つを分けて、それぞれについてのディスカッションを始めたいと思います。

 それでは、最初に「予防」から、この資料でいきますと「(1)がん検診」から「(4)学校におけるがんの教育」までについて皆さんの御意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 どなたか、御意見をお願いいたします。

 どうぞ、お願いいたします。

○若尾委員 若尾と申します。

 まず「予防」ということですが、初めのほうに書いてあります「はじめに」のところにもちょっとだけ触れさせていただきたいのです。

 「はじめに」の中に「たばこ対策やがん検診の受診率向上に向けた施策が遅れている」という書き方がしてあるのですが、たばこ対策とがん検診に偏ってしまうので、ここに「均てん化」ということを入れてほしいということをまず最初にお願いしたいなと思います。

 そして、「予防」に対する意見を述べます。具体的な予防対策としてのがん検診がありますが、前回でも申し上げましたけれども、このがん検診の受診率は、非常にあやふやな数で一喜一憂しているところがあります。そこで、この<実施すべき具体策>の中に、各市町村なり各地域で行われている検診機関との協働と言ったらいいでしょうか、そういったものが入っているといいのかなと思うのです。

 私たち、ここで審議している厚生労働省のがん対策推進協議会なり厚生労働省なりと、それぞれの地域で行っている検診機関が連携することによって、より精度の高い検診事業が把握できるというふうになると思いますので、ここの<実施すべき具体策>として、すぐにはできないかもしれませんけれども、市町村及び検診機関との連携を具体化していくという形ができたらいいのかなと思います。

 それと同じ視点なのですけれども、厚生労働省の役割として各市町村に、具体的な対策を要求して、その結果をフィードバックさせるという連携ができると、もう少しいい形で実態把握と具体的な施策が行われるのではないかなと思います。国と検診実施機関、それから国と市町村の連携の強化ということを入れていただきたいと思います。

 まず、ここは以上になります。

○門田会長 ありがとうございました。

 この連携のことを均てん化とおっしゃられたのですか。

若尾委員 ごめんなさい。均てん化は別で「はじめに」の中に均てん化を忘れてほしくないので、ここに入れていただきたいなと思いました。それで次にということで受診率です。

門田会長 事務局のほうで何か。

○がん対策推進官 今のは、例えば市町村との連携の話はまさにそのとおりだと思うのですけれども、最初の「はじめに」のところで「たばこ対策やがん検診の受診率向上に向けた施策が遅れている」というのは、ことしの平成27年6月に出ました中間評価報告書の中で、その達成できていない理由として、喫煙率及びがん検診受診率がその水準に達していないことが目標達成が難しい要因として指摘されているという文言が入っておりまして、それを引用したような形になっております。決してがん医療の均てん化を軽視しているとか、そういうことではございませんで、中間評価の文章を引用させていただいたということです。

門田会長 それから、もう一つのほうの、国その他との連携というあたりは。

 質問の質問ですね。では、先にそれをお願いします。

松村委員 教えていただきたいのです。検診機関というものは何を指していらっしゃるのかがわからないのです。実際、市町村であるとかやっているところになりますと、集団検診として検診車が回っているところもあれば、地域の医師会のほうに個別でお願いしている部分もありますので、検診機関との連携というものが、言われる御提案が、都道府県を実態として言うのですけれども、イメージできないのです。

 それぞれの地域によって変わっていきますので、ですから、むしろ市町村であるとか、職域等の保険者というのが前回のほうで御提案させていただいたところなのですけれども、検診機関との連携はごく一部でしかすぎず、イメージされている検診機関が、例えば地域の中で健康診断等だけをされているところと想定するとすごく限られた部分にしか出てこないと思うのです。そこを教えていただきたいのです。

若尾委員 今、日本には1,700幾つかの基礎自治体があると思います。そこががん検診の責任母体としてがん検診を進めているわけですけれども、それぞれが幾つかの検診の機関と連携しながらやっていると思います。例えば医師会であったり、何々検診施設であったり、病院の中の検診部門であったりすると思うのですが、そこの検診を実際に行っている施設ががん検診をどれだけの人が受けたかということは正確に把握しているわけですね。自分のところで何人の人が受けたか。そういったデータがフィードバックできれば、検診率というものが3年に1回行われている国民生活基礎調査という個人の感覚で示している数字ではない形で出るのではないかと思ったわけです。

門田会長 どうぞ。

松村委員 例えば、医師会のところでお願いしている部分は市町村のところで検診の受診状況がわかると思うのです。大手の検診機関の部分でいきますと、市町村がお願いしている部分と、それから、職域の保険者としてお願いしている部分等と、2つのデータがあるかと思うのです。あとは個人が受診される、本当に全然保険者とは全く関係なく個人の意思で受診される方があると思うのですけれども、今、市町村の連携であるとか、職域との連携で恐らく大半が把握できるのではないと私自身は考えるのです。

 医師会とのというお話の部分でいきますと、本当に個別、病院ではなくて診療所単位で実施されているも事実ですので、医師会という組織で、例えば私ども都道府県の医師会であるとか、市町村のほうの地区の医師会であるとか、そういうところで把握は非常に難しいと思うのです。むしろ、市町村との情報を把握していくほうがいいかなと思うのです。

若尾委員 もしそういったことが既にできているのであれば、それは市町村との連携でも構いませんけれども、そこに実際に行っている検診の受診機関が協力すれば検診自体の啓発も含めて、より正確になるのかなと思ったわけです。そこで市町村だけの役割というよりも、市町村と検診を実施している実施機関との連携もできたらいいかなと思いますので、そういった意味です。

門田会長 よろしいでしょうか。

 事務局のほうで何か。

 どうぞ。

がん・疾病対策課長 今、お話を聞いておりましたが、きちんとした検診の受診率を把握することが重要であるということだと思っております。今回の提言の中ではいろいろと触れさせていただいておりまして、基本的には市町村、保険者との関係を重視しておりますけれども、それで十分でないという場合は、いろいろな関係者と協力するというのはありえると思います。いずれにせよ、御議論いただいていることも、含んで記載されていただいていると理解しております。

門田会長 中川委員、どうぞ。

中川委員 自治体はかなり、受診率は把握してはいるのです。ただし、やはり未知の部分が職域でありまして、また、その職域で受けて、住民検診を受けるというケースもあるのです。ですから、結局のところ、医療等IDですか。マイナンバーに相当するもので管理するしかないのです。

 韓国などはそれをやって、そしてがん登録と結びつけていますから、今回は加速化プランは時期が限られていますので、そういう広い議論までは行かないということなのでしょうけれども、今の問題を解決するにはそういうことを、個人の番号が必要であるということになると思います。

門田会長 先ほど課長のほうからも話がありましたけれども、とにかく今のデータそのものが非常にファジーといいますか、はっきりしていない。二重、三重になったり、いろいろなことがあるということは皆さん同じ認識をされているので、そこを正確にするべきであるということは皆さん一致していると思います。前回もそういうお話、特に職域などもほとんどコントロールされていないので、そこを整理しましょうという話が出ておりました。とり方について少し違ったかもわかりませんが、皆さんの認識は一緒だと思います。この加速化プランとしてどう書き込むかということについてはここで入っていると言ってしまうのか、あるいはもう少し工夫があるのかと思いますが、その辺は。

 どうぞ。

○がん対策推進官 医療ナンバーに関しては今すぐできるという話ではないので、できれば4番のほう、協議会委員からいただいた次期の基本計画策定に向けたところでの一つの御意見として入れさせていただきたいと思います。

 それで、今、中川委員からマイナンバーのお話があったのですけれども、以前、難波委員のほうからも提出された資料の中で、マイナンバー制度の連動と検診情報の一元管理という御意見もいただいておりますので、今、抜けてしまっているのですが、そちらのほうを追加させていただきます。

門田会長 よろしいですか。

 では、そのほかの御意見を頂戴します。

 桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 ありがとうございます。患者委員の桜井です。

 前回は国際がん関連学会のほうと重なりまして、協議会を欠席したこと、大変申しわけなく思っています。この協議会での議論を待ち望んでいる多くの患者さんや家族がいらっしゃいますので、その中で自分の責務を果たせなかったことを最初に全国の患者さんと御家族におわび申し上げたいと思います。

 その上で、今回いただいた中で予防に関することとしては、今、お話がありましたけれども、検診の実数が見えないということ。ここをやはりしっかりしていただきたいということと、それから「(2)たばこ対策」のほうです。たばこ対策は非常に重要であると思っていますし、自分自身も元喫煙者ですので、例えば限定のおまけのセットと一緒に販売されていたりとか、コンビニでも割と手に取りやすい位置に並んでいますので、あれは禁煙しようと努力しているときに実はものすごくつらいのです。ですので、やはりそういうところをしっかり、販売の仕方とかまでももうちょっとやっていただきたいということを思っております。

 一方、たばこを吸うイコール発がん、肺がん患者はみんなたばこを吸っていた人であるというような新しいスティグマを生む可能性もありますので、やはりこの点についても正しい知識普及というものもあわせてやっていただくことが重要かなと思っています。今、海外のほうでは喫煙歴のない肺がん患者さんがなぜ生まれるのか。そういう研究などもスタートしておりますので、日本の中でもやはり肺がん患者さんの数は多いので、そういうところもやっていただきたいなと思います。

 それから、このがん教育のほうの中では、私はお子さんへの教育というものも非常に重要なのですけれども、やはり大人へのがん教育も広めていっていただきたいなということを思っています。

 以上3点です。

○門田会長 これは、今のこの提言の中に書き加えるものと、それから、残して先に送るものと、特に最後に言われた成人に対する教育云々というあたりはどう考えますか。

○がん対策推進官 大人の方へのがん教育というものは今回、たしか複数の委員の方から同じような御指摘を受けていますので、どういったことが書き込めるか、こちらのほうでちょっと検討させていただきたいと思います。

門田会長 中川委員、どうぞ。

中川委員 8ページ目の「(4)学校におけるがんの教育」なのですが、このワーディングのところの「がんの教育」。これは文科省としても今、全て「がん教育」ということで統一していますので、これはぜひ「がんの教育」ではなく「がん教育」でお願いしたいと思います。

 それから、この学校におけるがん教育の実施すべき具体策のところが、これはかなり抽象的なのです。ほかの項目は全て でリストされているのですが、ここだけが全くそういうことがなくて、もう少し具体的に書けないのか。とりわけ文科省、私も検討会の委員ではありますけれども、昨年度末にまとめた報告書の中で外部講師の活用ということが盛り込まれています。これは具体的にはがんの専門医や医療者、そしてがん経験者ということですので、これは文科省が単独ではできないです。厚労省側がここはぜひサポートしていただかなければいけないので、その報告書に従って外部講師の要請・派遣といったことをぜひ言葉として入れていただく。

 ともかく、この部分が余りにも抽象的な感じがするので、ぱっと見ると厚労省がかなり引いているなという印象を与えるような気がいたします。

門田会長 どうぞ。

がん・疾病対策課長 今回の提言案は、まだ、修正可能でございますので、具体的にどう修正すればいいかということを御発言いただければと思います。

中川委員 ぜひよろしくお願いします。

門田会長 ですから、それをもとに、既にまとめられたものをもって、もう少し具体化できるということですね。

中川委員 報告書がありますから、なんでしたら少し言葉を私のほうで用意してお送りすることはできます。

門田会長 では、これも中川委員のほうから一回出していただいて、検討していただきましょうか。

 そのスタンスですけれども、例えば希少がんの場合には、今、まとまったので、そこは余り触れないということで、これは文科省のほうでやっていることで、それも既成の事実としてあることについてここで触れない。このスタンスはどう考えているのですか。

○がん対策推進官 希少がんについては、既に取りまとめられた報告書の中で、課題だけではなくて具体策というものも同時に提言されておりますので、それを踏まえてこの提言書の中にも入れております。

 がんの教育に関しては、この内容自体が文科省のほうで実施している事業なので、そこは後ほど中川委員の意見も伺いながら、文科省の現時点でのこの事業の流れも踏まえて記載を考えたいと思います。

門田会長 では、ひとまず中川委員に、それをよく知っておられるわけで、厚労省側として少なくともこれはというものを一回提案していただいて、どうですか。

中川委員 はい。わかりました。

門田会長 どうぞ。

道永委員 今の追加なのですけれども、先生が医療者ということと、あと、専門家、がん経験者と入れていただいたのですが、学校医という言葉もぜひ入れていただければと思っています。

門田会長 これはよろしいですか。

 馬上委員、どうぞ。

馬上委員 かねてからの議論で、がんの負のイメージという話もありましたので、社会問題とか偏見に関しての内容というものが盛り込まれているのかどうかというのを確認させていただきたいのです。

中川委員 それは一度御説明したことがあったと思うのですが、小児がん経験者が実際に事業を聞く、あるいは保護者を亡くした生徒に聞くということがありますし、また、それに対する配慮、そして、これも申し上げましたが、今、がんが生活習慣病の中に置かれているのです。ですから、そこを外して、がんをもう少しきちんと教えることによって患者さんに対する差別というものも減ってきます。

馬上委員 ありがとうございます。

 それはこの間伺って、本当にありがたく思ったのですけれども、全体的に成人も含めて就職難とかいろいろなことがありますので、社会問題として捉えて教科書に載せて、それに対してがん対策があるということ。そして、それに対して子供たちが成長したら能動的に参加していくという内容になっているのかどうかということをお伺いしたかったのです。

中川委員 今、教材をつくっておりまして、その教材のワーキングにも私も入っておるのですが、今、おっしゃったようなことを教材の中に入れようとしています。

門田会長 よろしいですか。

 では、その次のところで何かほかにございますか。

 山口委員、どうぞ。

山口委員 検診のところで、3ページの<実施すべき具体策>の の4番目で、かなり踏み込んだ「一部自治体において」云々という文章があるのですが、この「勧奨しない」というのは多分、PSAとかABCとか、そういうものを指しているのではないかと思います。

 その上で申し上げるのですが、これはそれを実施することが医学的に誤っているという話ではなくて、対策型がん検診のポリシーと、それから臨床側のポリシーがまだぶつかっているテーマだと思います。例えばPSAについては、多くの自治体がすでに実施しています。そういう現状を踏まえますと、がん対策加速化プランの1年半という短期間に、それをやめなさいというのはやや乱暴かなという気がします。

 それで、ここに書いてある趣旨は、ガイドラインはもう出ているわけなので、それを見れば十分わかることだと思いますし、私はこの4番目の は削除すべきと思います。

門田会長 今の件について、どなたか御意見はございますか。

 どうぞ。

○堀田委員 私は違う意見を持っています。この項目はあくまで公費を使う対策型検診のことで、個人の希望と行われる負担で任意型検診ではありません。対策型検診はしっかりした根拠に基づいて支出するべきものです。その上、まだ余裕があるのでしたら、そのプラスアルファはあり得ますけれども、まずは根拠のある検診をやってからの話ではないかなと思うのです。

 ですから、個人の負担で行う任意型の検診とか、あるいは会社や保険者が行っているがん検診はサービスで拡大してやっている部分もあります。しかし、対策型検診は公費を出動して行う検診として、きちんと死亡率を減少させるエビデンスがあるものをやるべきと私は思います。

門田会長 どうぞ。

山口委員 そのポリシーはよくわかるのですが、これはあくまでもエビデンスの問題で、例えばあすPSA死亡率低減というデータが出た瞬間にこれは変わるわけですね。ですから、その学者的スピード感と市町村を中心とした現場の状況。これはやはり踏まえて考えなければいけないと思いますし、今回は加速化プランで、1年半の話ということになりますと、あえてここに書き込む必要はなくて、次の3次のがん対策推進計画のところでしっかり議論をし公衆衛生的な人々と医療現場の人々の間の意見が十分にすりあわせる必要があろうかと思います。対策型云々ということを明確に理解していればそういう混乱は起きないのですが、がん検診の現場では現実には起きていると思います。

 私はそう思いますが、ほかの委員のご意見も聞いてみたいと思います。

○門田会長 この件について、どなたか。

 西山委員、どうぞ。

西山委員 エビデンスと対策はPSAに限らず、常に検診の課題であると思っています。やはり、ここは対策型の対応をとるべきであると思っています。少なくとも、国として患者さんにお勧めする以上、その時点での最高のエビデンスがあるもののみをまずはお勧めして、そののちにプラスアルファを考えるという姿勢を崩してしまうべきではない。この姿勢は検診のみではなく、ガイドラインを推奨することにおいても同じことがいえます。

 1年半の間に、恐らくはほとんどの領域でなんらかの新しいエビデンスが出てくる可能性があると思いますので、やはりここはこのままその文書をそのまま残しておくほうが明快な形であると思います。

門田会長 そのほかのドクターの方、御意見はありますか。

 大江委員、ありますか。

 堀部委員、どうぞ。

○堀部委員 対策型で基本的に残すことに賛成しますが、これは記載が「効果が不十分な検査項目は『推奨しない』」となっていますので、不十分ということのエビデンスがあるかということになるので、明らかでないとか、もう少しやわらかい表現でもよろしいのではないかと思います。

門田会長 そうすると、削除するよりも刺激的といいますか、もう少し工夫をする方法があるのではないかということで、皆さんがおっしゃっているのが、エビデンスに基づいてやるということは、この方向については反対の方はいらっしゃるわけではないので、ただ多分、山口委員がおっしゃっているのは、加速の話をしているときにブレーキともとれるものが入っているのではないか。そういうことをおっしゃっておられるのかなという気もするのですけれども、いずれにしろ、我々は正しい方向のことをここに書き込むことでここはクリアするということで、事務局のほうにその辺の表現を考えてもらうことにしたいと思いますが、よろしいですか。

(首肯する委員あり)

門田会長 ありがとうございます。

 そのほか、いかがでしょうか。

 では、若尾委員どうぞ。

若尾委員 たばこ対策で1点言い忘れたので、ちょっとだけつけ加えさせてください。

 7ページですが<実施すべき具体策>のところで「受動喫煙防止対策を強化する」という言葉を使っているのですけれども、これは前にも申し上げて、たびたび言うのはちょっと恐縮なのですが、ここは法的な対策が必要になると思います。

 それで、その前の段でも諸外国の法制上の処置という言葉が入っていますので、法的な何か縛りといいますか、そういったものができたほうが2020年のオリンピック・パラリンピック、2019年のラグビーワールドカップに対してもいい形で実施できるのではないかと思うので、そこの点の考慮ができたらお願いしたいです。

門田会長 どういう形で書き込めるかというのがありますが、課長どうぞ。

がん・疾病対策課長  ご指摘の「強化する」という表現についてですが、具体策としてはさまざまな対応が含まれております。

 法律ということであれば、国会でのご審議も必要でございますので、このような表現でまとめさせていただいているところでございます。

門田会長 これは多分、協議会の皆さんの意見と省内でどうかという、そことの微妙なところがあるのだろうと思うのですが、こちらの委員の皆さんの気持ちももう少しというものがあることは認識していただいていると思っていますので、そういう意見もあるということで、御検討していただくということでお願いしたいと思います。

 細川委員、どうぞ。

細川委員 6ページで、同じなのですけれども、提言ということですので、必ずしもこの局で決められることでなくてもいいと思うのですが、実は私の周辺でもたばこをなかなかやめられない方がたくさんいるのですけれども、実は海外旅行へ行ったときにいまだに税金がつかなくて安く買えるシステムがあるのですが、このごろ頼まれることが非常に多いのです。それで、うちの学生の喫煙率は1%に満たないのですけれども、実は勉強して、がんになるから怖いというのではなく、お金がないから吸えないというのがほとんどなのです。

 ですから、やはり税金を上げて値段を上げるというのと、簡単に海外旅行に行っている方はすごい数がおられるので、その人たちが安く持ち込んでいたのではほとんど意味がないので、その部分もかつて外国のたばこが貴重視されて、プレゼントとしてよかった時代はあれかもしれませんけれども、いまは単なる嗜好品なので、そのあたりも防御していただけるようなことを考えていただけたらと思います。

門田会長 それは聞いていただいて、これこそ加速化の中にどうこうというのはなかなか入れられるような範囲ではないですから、次回の第3期のほうに入れるかどうかということで、ちょっと検討してください。

 それでは、時間もございますので、この次のほうに移って、もしどうしてもというものがあれば返ってくることにして「2.治療・研究」のほうに進みたいと思います。この「(1)がんのゲノム医療」から「(5)がん研究」までで御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

 桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 ありがとうございます。

 前回休んだので、2倍発言させていただきます。

 まず、ゲノム情報のところなのですけれども、この中で10ページです。<実施すべき具体策>というところで、上から2つ目の ですが「遺伝カウンセラー等を配置する」となっております。最近出たJAMAの論文でも、カウンセラーがしっかり入っているか入っていないかで余分な検査が増大してしまうという結果なども出てきておりますので、この遺伝カウンセラーというものは多分、がんが診られる遺伝カウンセラーの方はかなり少ないはずなので、この「等」というものを具体的に誰が入っているのかを少し明らかにしていただきたいなと思います。

門田会長 どうぞ。

○がん対策推進官 確かに遺伝カウンセラーは少ないのですけれども、ここは川本委員のほうから補足していただきたいのですが、がん看護学会という看護師のほうでそういった教育プログラムがあるというお話も伺っているので、もう少し遺伝カウンセラーが全く足りていないということであれば、少し広くとれるような形でこの「等」というものを入れました。

 具体的には、そういった看護師さんなのかなというふうに念頭には置いておりますけれども、ちょっと補足があればお願いします。

門田会長 では、川本委員どうぞ。

川本委員 説明させていただきます。

 遺伝に関する看護のプログラムというものはまだ仕組みとしてしっかりとできてはおりませんけれども、日本がん看護学会のほうで平成26年度と平成27年度にエキスパートナース育成事業として学会の学術集会の中でプログラムの一つとして行っております。遺伝性のがん患者のケアをデザインするというテーマで講義・演習等が行われていまして、1コマ90分というプログラムで、合計で350名が受講しているという状況でございます。

 現状は以上でございます。

門田会長 では、桜井委員どうぞ。

桜井委員 多分、この家族性とか遺伝性といった言葉の中で、どうしても今、HBOCコンソーシアムのほうが割と先行している部分がありまして、乳腺と卵巣がんだけの問題なのではないかというふうにとられがちであると思っているのです。これですと、どうしても婦人科色がとても強いものになってしまいます。

 やはり今、このゲノムの話と関連してなのですけれども、膵臓がんですとか大腸がんですとか、ほかにもBRCA1でもBRCA2でも違いますが、それぞれごとに今、発がんのリスクというものが出てきておりますので、看護の研修会の中で乳腺と婦人科だけ見ればいいのだねということがないようにしていただきたいなと希望します。

 もう一つは<現状と課題>の8ページのマル1、それから、9ページのマル2で「私のゲノム情報」という、いわゆる米国でも進んでおりますPrecision Medicineの考え方を広めていこうということで「私のゲノム情報」という言葉が使われておりますけれども、この啓発はとても重要だとは思うのですが、これをする上では9ページのマル2の部分です。情報保護に関するルールです。、これは私、ずっと言っていますが、これもないとやはり参加していく気になれない。自分の情報が漏れてしまう。それで生命保険に入れなくなってしまうとかもありますので、やはりここもカウンセラーがしっかりしていくこととかのルールづくりという言葉を10ページの<実施すべき具体策>の中にもきちんと明記していただきたいと思います。

門田会長 そこのあたりはどうですか。

 どうぞ。

○がん対策推進官 今、御指摘の点については<現状と課題>のところに記載した、ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォースというものが1117日に第1回のほうが開催されているのですけれども、その中で今後の当面の検討の進め方というものもありまして、その中でゲノム情報に基づく差別の防止であるとか、データの管理や二次利用、それから、遺伝子関連検査の結果の伝え方についてということも既に検討すべき事項として入っておりますので、それを提言のほうに繰り返し入れることはもちろん可能ですけれども、現状、既にそれはもう検討することになってはおります。

門田会長 どうぞ。

桜井委員 「なっていて」も書き込んでください。

堀田委員 そういうことだと思うのです。私も桜井委員に賛同しますけれども、今、認定遺伝カウンセラーは160名ちょっとしかいないということで、しかもがんを専門にしているわけではなくて、いわゆる遺伝性疾患を対象にしている人が多く含まれていますので、とても少ないのです。ですから、今後どういう形で育成するか、いろいろな方策はあると思います。

 例えば、がんプロ養成プランがこの先あるのかないのか知りませんけれども、そういったプログラムにきちんと織り込んでいくなど、計画的に育成していくことが必要ですし、今、おっしゃいましたように、ゲノム解析をしますと遺伝情報としていわゆる家族情報までとれてきてしまいます。こうした遺伝情報をどのように管理し、どうやって患者さんやご家族に伝えるのか。あるいはそういったことが場合によっては差別につながらないかということについての対応がとても重要なことだと思うのです。アメリカでは遺伝情報による差別を禁止するGINA法という法律もありますので、そういったものに準拠するような法整備が日本でも必要ではないかと私も思います。

 これは多分急がないと、今の遺伝子解析のスピードから言いますと、遺伝情報が独り歩きして既成事実が先行してしまって問題が起こる可能性もあると思います。

門田会長 では、川本委員どうぞ。それから、宮園委員の順で。

川本委員 追加でございますが、今、遺伝看護で専門看護師課程があるのが日本においては聖路加看護大学大学院と東海大学大学院なのですけれども、やはり今、堀田委員がおっしゃったように、がんに特化しているわけではなくて、遺伝全体になっております。そういう課程での育成しか今はありませんという現状ですが、報告でございます。

門田会長 宮園委員、どうぞ。

宮園委員 確かに、カウンセラーとか遺伝看護の方はぜひ必要であるということも私は聞いております。もう一つ、先ほどタスクフォースができたということで、非常に感謝しておりますけれども、なかなか法律が難しくて、施設によっては、例えば国立の研究機関とそうでないところのルールも違うとか、非常に複雑であるということで、大変難しいところがあるかと思いますが、ぜひよろしくお願いしたいということを改めてここで強調したいと思います。

 それから、9ページのマル1で、遺伝学的検査の質や精度を確保するということは非常に重要で、やはり検査の精度が十分でないと誤った情報を患者さんに伝えてしまうということもあり得ますので、このあたりも何か具体策のところで強調できればと感じました。よろしくお願いいたします。

門田会長 ありがとうございました。

 そのあたりは、工夫はできますね。

桜井委員 済みません。1点だけ追加で、遺伝性で変異が陽性とわかっても、次の手だてがあるにもかかわらず届いていないのが現状なのです。例えば薬物療法をやるとか予防切除というものもオプションの一つとしてできるような体制づくりもやはり今後は検討していかないと、このゲノム情報とあわせて「手だて」というところもないと救える命は救えないと思いますので、そういったところも少し検討していくような書きぶりでもいいので、一言書いておいていただきたいと思います。

門田会長 よろしいですか。

では、このことについてはほとんど全て皆さん前向きに積極的なところ、記載すべきではないかということだと思いますので、少し検討してみていただきたいと思います。

 それでは、その次に何かほかの御意見を頂戴したいと思いますが、いかがですか。

 馬上委員、どうぞ。

○馬上委員 まず、がん医療に関する情報提供で、小児がん、希少がんを取り上げていただきありがとうございます。

12ページの<現状と課題>の最後のところで「多くのがん患者や家族が必要な情報にたどり着くことができていないことが課題となっている」とありますけれども、実は希少がん検討会のほうでは医療関係者のほうも専門医がどこにいるかわからない実情がございましたので、できればこのところに医療関係者ということをつけ加えることが可能であればお願いしたいなと思っております。

 あと、この下の具体策のところで「比較も可能なシステムの構築を提言する」とありますけれども、がん情報センターのお話が前にありましたように、情報が載っているのですが、それについて、皆、誰も知らないという状況がございますので、やはりこのシステムを構築して公表する場合には、その広報と周知というものも大事であると思いますので、その旨、つけ加えていただければと思っております。

門田会長 よろしいですか。

○がん対策推進官 はい。入れます。

門田会長 ありがとうございました。

 そのほか、このことについて。

 桜井委員、どうぞ。

桜井委員 1つ、情報提供の前に戻って「(2)標準的治療の開発・普及」なのですけれども、私はぜひ、この普及というところはきちんとやっていただきたいなと思います。やはり離島ですとか中山間地域といったところに住んでいる患者さんもいらっしゃいます。それで治療よりも、例えば宿泊費とか交通費のほうがかかってしまったりですとか、自分の町に放射線施設がないですとか、そういう問題もありますので、この普及というところも加速化のプランの中で少し強調して書いていただきたいなと思います。

 あと、情報提供のほうに関してなのですけれども、実際、これは今、加速化プランのほうでやらなくてもいい話としてなのですが、今のがん情報サイトのほうがどのぐらいの人が見ているのかとか、どういう人たちが見ているのか。例えば本当に診断といいますか、病院を探している人たちが見ているのか。それとも、もうなってしまった人が見ているのかですとか、そういう今のホームページの使われ方の検証というのですか。民間でホームページをつくると必ずそういうところをやるので、ちょっとやっていただきたいなと思います。それによってはつくりかえとか普及の仕方というものがそれに応じて多分、マーケティングに応じて変わってくるものだと思います。

門田会長 これはどうなのですか。

堀田委員 がん情報センターの情報サービスのアクセス数はわかるのです。がんになった人がどういう情報でもってがんの情報を得ているかというもので見ますと、たしか、正確なデータは確認が必要ですけれども、17%ぐらいが情報サービスのサイトを見ているのですけれども、それ以外の人は口コミであったり、他の媒体であると理解をしております。

 正確なデータは、もしあれでしたらオブザーバーとして国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾がおりますので、後で聞いてほしいと思います。

門田会長 いずれにしても、途中でおっしゃられましたけれども、情報のことについては加速化プラン云々というよりもこれから引き続きということですね。そういう扱いで次に進みたいと思いますが、そのほか、何かございますか。

 どうぞ。

松村委員 済みません。結構前回言わせていただいたことについては入れていただいたかなとは思っているところなのですけれども、そのときにお話しさせていただいていた、小児がんなり思春期層の復学支援の関係の部分なのです。今後検討する項目のところに小児がんの復学支援という形で入っているのですが、ぜひAYA世代も入れた形でお願いしたいのが1つ。

 それと、AYA世代についてはまだまだ研究部分があるということで、13ページのところでは小児がんと合わせた形のAYA世代という話になってはいるのですけれども、ここでお願いしたいのは13ページの3行目の、就職時期と治療時期が重なるだけではなくて修学、学校に通っている時期と治療時期も重なっていますので、学校に通っている時期と就職時期と治療時期が重なっているという課題認識をきちんとそこに明確にしていただきたい。そうすることによって次に生かされるかなと思いますので、ぜひそこはお願いしたいなと思います。

門田会長 これはよろしいですか。

○がん対策推進官 はい。追加いたします。

門田会長 ありがとうございました。

 馬上委員、どうぞ。

馬上委員 済みません。つけ加えまして、AYA世代のところなのですけれども、真に社会問題の点についてはよく書いていただいているのですが、実は成人のプロトコルがAYA世代に適用されて、予後が悪くなっているという事実があると思うのですけれども、そういった治療についても適切な治療を推進していくということをつけ加えていただきたいと思っております。

 堀部先生がお詳しいと思うのですけれども。

門田会長 どうぞ。

堀部委員 適切な治療の開発ということが非常に重要ですが、一部のがん種で小児のがんの治療が成人の治療よりもAYA世代によいと言われていますが、必ずしも全てではありません。がん種ごと、場合によっては病型ごとに成人の治療がいいのか、小児の治療がいいのかを明らかにしていく必要があると思います。

 それから、関連してよろしいでしょうか。

門田会長 どうぞ。

堀部委員 今のAYA世代のところで、今回、独立せずにこの小児・AYA世代のがんという形でまとめていただいたことに関しては理解をいたしました。

 それで、12ページの(3)の<実施すべき具体策>の中の2行目の「小児がん」も、同じように「小児・AYA世代のがん」に変えることは可能でしょうか。

 同様に、15ページの(5)の<実施すべき具体策>の6行目にもやはり「小児がん」だけになっているので、同じように「小児・AYA世代のがん」にしていただきたいと思います。

門田会長 それは大した問題ではないと思うのですが、よろしいですか。今回は2つまとめて書くということにして。

ありがとうございました。

 そのほか、何かございますか。

 どうぞ。

桜井委員 関連してなのですけれども、このAYA世代になってきますと、やはりセクシャリティーの問題も出てくるのです。なので、そのことが今は抜けてしまっていますので、セクシャリティーについても記載をお願いいたします。

門田会長 どうぞ。

○がん対策推進官 それは御意見としていただいていたのですけれども、もう少しわかりやすい表現といいますか、これは一般の国民の方も見る報告書ですので、それがどういった意味なのかというところを教えていただけると助かります。

桜井委員 教えますので、書いてください。

○がん対策推進官 わかりました。

門田会長 では、情報を送っていただいて。

桜井委員 もう一点いいでしょうか。

門田会長 どうぞ。

桜井委員 済みません。

 希少がん対策のところなのですけれども、これは今、希少がんというものはいわゆる何万人に1人という割合で定義はあると思うのですが、今後このゲノムですとかいろいろなところへ進んできたりしますと、やはり五大がんであってもサブタイプによってはものすごく希少で、ものすごく難治なものがまざっているのです。ですので、そういったところの拾い上げをしていただきたいなと思いますので、 事項 の中でそれを加えていただきたいなと思います。

門田会長 どうぞ。

堀田委員 今の桜井委員の御発言は、ポピュラーのがんの中にもフラクションで、例えばまれな遺伝子異常で1%とかというものが肺がんでも多数あるのですが、すべて肺がんの専門家がそれを診ますので、対策上はその中に組み込まれるということです。例えば薬の開発ということになりますとかなり厳しい問題が出てくるのですが、いずれにしても、それは例えば肺の専門家がきちんと診ていますので、いわゆる希少がんとは対応が違うだろうと考えます。

 そういう意味合いで、希少がん検討会の中では希少がんの定義は10万人に6人未満で特に医療上の対応が必要であるという位置づけにしていますので、おっしゃることはわかるのですけれども、それを全部入れてしまうとわからなくなってしまうということがありますので、そこは御理解いただきたいと思います。

桜井委員 わかりました。では、どこかで拾っていただきたいなと思います。

門田会長 ありがとうございました。

 馬上委員、どうぞ。

〇馬上委員 何度も済みません。

 小児がんのところで、一応、この<現状と課題>のところでは今はもう検討会があって進められているというさらっとした書き方なのですけれども、実は2年たちまして課題が明らかになってきておりまして、まずは拠点病院というものが知られていない事実があります。つい最近なのですけれども、小児固形がんの方が1年近く総合病院で診られて、結局おかしいということで大学病院、拠点病院に行ったのですが、取り返しのつかないことになっってしまったり、または終末期医療に関しても小児に関してはやはり手薄い状態になっているということ。

 今は臨床研究というところにすごく注力していただいているのですけれども、長期フォローアップが拠点病院全体で余りうまくいっていないという話を聞いておりまして、具体策のほうにぜひ拠点病院の周知を行う情報のシステムの構築がありましたので、それを利用して周知していくことと、それから、小児科から成人化へ円滑移行のための支援モデル化。そして、地域に合わせた体制の整備、小児がん患者の療育・教育体制。これは松村委員がおっしゃってくださったのですけれども、今、特別支援教育のほうで病弱児級とか病弱児学校というものが非常に少ない状態ですので、こういったものもお願いしたいなと思っております。これは加速化プランではなくても、3期に向けてということでお願いしたいと思っております。

 それから、先ほど就労支援のお話があったのですけれども、小児がん経験者は合併症を半数近くが併発するということで、やはり成人のがん患者の方の就労支援と小児がん経験者の就労支援というものは異なりますので、そういったことに関してのプログラムの開発などをお願いしたく思っております。

 あと、希少がんのほうで1点だけ、検討会のほうで集約ということが非常にキーワードになっていたと思うのですけれども、ぜひ具体策のところに「国立がん研究センターを事務局とした」というところに「ガイドライン普及のための患者の集約などの対策などを検討する」という、ちょっと「集約」という言葉をひとつ入れていただきたいなと思っております。

門田会長 小児がん拠点は、そういう意味では中心に入っていたはずなのですけれども、これは検討してみてください。「集約」という単語がどういう形で使えるのか使えないのか。

○がん対策推進官 今、非常に多くの御意見をいただいたので、後で事務局のほうに送っていただければと思います。

門田会長 だんだんと話を聞いているうちに、前回、話をしていましたが、どこか焦点を絞って云々というところから、またどんどん間口が広がって、あれもこれもということになってきていると思います。このまま皆さんの意見を聞いているとだんだんわからなくなってくる危険性が出てきている様に思いますので、本当に加速化プランということに中心を置いてディスカッションをして、そして、後でいいものは改めて、これから先、第3期をやるわけですから、そのときに記録を残しておくということにしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。お願いいたします。

 大江委員、どうぞ。

〇大江委員 済みません。ゲノム医療のところに戻ってよろしいですか。

 ゲノム医療ということなのですけれども、現在、既にいろいろな研究ベースでがん組織の遺伝子解析などは結構やられていると思うのですが、そういうときにがんの原因になるようなドライバー変異が見つかることはよくあります。そうしますと、例えば肺がんで甲状腺がんにあるようなドライバー変異が見つかったりして、本来であれば甲状腺がんに使えるような分子標的薬がその肺がんの患者さんにもかなり効くはずだというのはまず予測できるわけです。逆に肺がんのALKという遺伝子変異がリンパ腫の患者さんに見つかるとか、そういうこともあるわけなのです。

 その結果がわかっていて、我々は目の前の患者さんにこの薬はかなりの確率で効くだろうというのはわかるのですが、自費で非常に高いお金を出すと使えるのですが、今の保険制度ですとそれが使えない。本来は治験で全てそういうデータを出していかなければいけないのでしょうけれども、患者さんの数が非常に少ないわけです。なおかつ、例えば肺がんで1%しかいないような遺伝子異常を調べようと思うと、100人の患者さんを遺伝子解析してやっと1人の患者さんが出てくるという状況で、それを個々のがん腫ごとに遺伝子異常のある人を集めて試験をやるというのは不可能なのです。ですから、ぜひその辺をもう少し柔軟に対応していただけるような手だてができると、そういう遺伝子異常を持っているような患者さんの治療が実際にできるようになると思います。

○門田会長 済みません。今、お願いしたことで、申しわけないのですが、これは第3期のほうに入れていただくということで、加速化プランのほうに特化してください。

 西山委員、どうぞ。

○西山委員 今のところで、私もゲノム医療のところで、実際にゲノムを扱っている者として言いたいことがございまして、ここのところの、特に<実施すべき具体策>の2番目で「拠点病院等に遺伝カウンセラー等を配置する」とございます。遺伝子解析に関しては全てがフィックスされた状態ではなくて、解析の方法だけでも随分と議論がある段階です。今、その利用方法の確定をしている時期に、それら(遺伝カウンセラー等)を各病院に配置する、配置をするについてはちゃんとその人たちを雇う予算ができるのか、急に今、これから先に指針ができるときに、その人たちを養成しなければならない時期に、この2年間に実効的なカウンセラーを置くことが本当にできるのか。

 実際に、拠点病院はかなり疲弊しています。疲弊している中で、これから(導入を)決めていかなければいけないものについても先んじて取り入れていこうという、ポジティブな姿勢はいいとして、本当に(実効性が)裏づけできるか曖昧なものがこういうところで出てよいのかと、いうのはちょっと疑問なのですけれども。済みません、皆さんの前を向いてのお話に水をかけるようですが、私自身が遺伝子カウンセラーであった場合、今の大江先生のお話しのようなPredictive Medicineという、遺伝的なもの以外のゲノム・遺伝子情報にもかかわってくる話ですので、その辺の指針がしっかりしないうちにこれだけの明快なものを書いてよろしいのか、現場にいる者としては大変に不安になります。

 済みません。この辺のところを「検討する」とか「配置について、これを促進する」というレベルにしていただけるとうれしいのですが。このことで多くの人たちが不安になり、カウンセラーの質によって医療選択が随分変わっていく可能性があるのです。この辺のところだけ済みません。

○門田会長 どうぞ。

○がん対策推進官 この遺伝カウンセラーですけれども、今、拠点病院は全国400ございますが、いきなり全部配置するというのは難しいことは重々承知しています。ただ一方で、今、かなりゲノム医療に関する臨床研究が進められているということを承知しておりまして、それは決して単施設でできるわけではなく、拠点病院の多くもかかわるような形で、そういったところでも遺伝カウンセラーが必要であるにもかかわらず配置できていないという現状も伺っていますので、そこは今、厚労省としても平成28年度予算要求という形で盛り込ませてはいただいておりますが、いきなり全部とか、何か要件にするとか、そういうことではなくて、当然、段階を追ってということにはなるかと思います。

○西山委員 もう一点、これは先ほどの議論でも明快ではなかったのですけれども、がんの遺伝子解析に関する専門カウンセラーをつくっていくのですか。だとすると、その数は今、少数で、これから養成していくわけですが、がん対策として考えるとすれば、「がんの遺伝子解析についての専門のカウンセラーの養成を促進する」というのがまず第一歩ではないかと思うのです。

 今、大学では遺伝子診療部といった組織がほとんどの病院にございます。ただ、そこに所属する人たちはがんを専門にする者ではほとんどないです。ですから、ここで恐らくは国の施策としてこういう方向に行くというのであれば、がん専門の遺伝子カウンセラーの育成を促進するというところがぎりぎりのところではないかと思います。1年半の間に全国の拠点病院でそういう方向転換ができるかどうか、私は大変不安でありまして、それを進めたところでそこに生まれるものはカウンセリングのクオリティーの差であると思います。

○門田会長 どうぞ。

○がん対策推進官 そういったことであれば、もう少し慎重な記載のほうに変えさせていただきます。

○門田会長 山口先生、これに関係してですね。お願いします。

○山口委員 静岡がんセンターでちょうど2,000例のがんの患者さんについて、Germlineと体細胞変異を全部見て、そのデータをまとめているところなのですが、それを踏まえて、私も西山委員と同じ意見を申し上げたいと思います。私の提案には、まだ、この1年半は時期尚早であるとはっきり書かせていただきました。まだ、遺伝性がんの診療を円滑に行うためのガイドライン等も決まっていないし、今、やっとインシデンタルファインディングス(随伴所見)をどうするかという議論が始まっているような段階です。私どもで今、ノンメディカルの遺伝カウンセラー2人が対応していますが、そういう状況になりますと大変です。ですから、全国的な数を考えれば、先生がおっしゃったように、養成をこれからやって、5年、10年ぐらいかかりますか。

○西山委員 かかると思います。

○山口委員 MDアンダーソンでしばらく前に聞いたときは、やはり一人一人を育てるという状況でした。ただし、私はきょう、余り抵抗なく素案を読ませていただいたのですが、ここには、明確にこれをやるとは書いていないので、今のような非常に細かいところを少し修文されるレベルで私はよろしいのではないかなと思いますけれども、現時点では、余り強く言い過ぎないことが望ましいというのがこのゲノムに関しては申し上げたいことです。

○門田会長 ありがとうございます。

○山口委員 もう一点、がん研究のところで、私は就任のときの御挨拶で、「病気の研究」も大切なのですけれども、「患者の研究」が大切であるということを申し上げさせていただきました。そのとき、文科省の方から研究内容の説明がありまして、門田会長が社会的な話はどうなっているのですかと聞かれて、お答えは、「ここには記載していないが、厚労省がやります」というお返事であったと思います。ですので、ここに書いてあるがん研究の文章の中で、「患者の研究」という意味の社会学的な研究ですか。そういうことが読み取れるのであればいいと思います。例えば「がんとの共生に関する研究」と一言入れておいていただければそういうことも入ってくるのではないかなと思います。

 実際、最初に紹介させていただいた、患者さんの悩みや負担の研究。これも私、研究費の確保に大変苦労したものですから、やはりそういうことを、しっかり書いていただくことを望みたいと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 山口委員、これはどこに入れますか。

○山口委員 <実施すべき具体策>のところに、例えば「がんの本態解明に基づく」云々というものがありますけれども、これに並べるような形で「がんとの共生に関する研究」という言葉が入るといいのかなと思います。

○門田会長 一回、検討してください。

 それで、共生のところへ来ましたので、時間的なこともありますので、この「3.がんとの共生」。

○桜井委員 済みません。1点だけ。

○門田会長 桜井委員、どうぞ。これが最後です。

○桜井委員 15ページの一番下なのですけれども「臨床研究への患者参画を進めるため、がん研究に関する情報を国民やがん患者に対して積極的に発信する」となっていますが、この発信の担い手として「患者会あるいは患者とともに」という一言を入れていただきたいと思います。

○門田会長 患者さんを書くという、それは可能ですね。

それでは、最後の「3.がんとの共生」について御意見を頂戴したいと思います。どなたか、どうぞ。

 湯澤委員、どうぞ。

○湯澤委員 ありがとうございます。

 先ほどもありましたけれども、離職率が改善していないという状況のところなのですが、まずその理由としては、診断時に御本人が仕事を続けられないというふうに判断してしまうということと、それと同様に、事業主も働けないであろうというふうに判断をして解雇につながってしまう。

 先ほどの健診のところでもお話しすればよかったのですけれども、実際、定期健康診断を受けていて、レントゲンを撮っていれば肺がん検診をしていると思っている方は、皆さんが思っている以上にたくさんおられます。できれば、その他意見のところにあるとは思うのですが、大人の教育というところですね。それを具体策のほうにぜひ盛り込んでいただければと思います。

○門田会長 よろしいですね。

では、吉田委員どうぞ。

○吉田委員 「3.がんとの共生」の「(1)就労支援」のところで<実施すべき具体策>としてハローワークが拠点病院等と連携して実施するというのは非常にいいのですけれども、せっかく今度、加速化プランということで政府が主導してやるということであれば、各企業団体で、経団連であるとか、中小企業ですと商工会議所の団体であるとか、そういった企業団体に対して働きかけて就労支援を、もっと真剣に考えてくれと。企業経営者の意識改革等々、働きかけるということがあってもいいと思います。

 あと、もとに戻るのですけれども、先ほど質問しそびれたのですが、かかりつけ薬剤師であるとか、かかりつけ医を通じて検診の受診勧奨ということなのですが、これは具体的に、診療報酬であるとか、そういった点も念頭に置いた具体策なのでしょうか。

○がん対策推進官 かかりつけ医に関しましては、こちらのほうで医者に対する直接の補助というわけではないのですけれども、市町村を通じて受診率を向上させるという補助金がございます。その中で市町村と、例えば郡市医師会とか、そちらと協力をしていただいて受診率を、受診勧奨をしていただくということを考えておりますので、間接的ではありますが、そういった支援というものは考えております。

 ただ、診療報酬で申しますと、平成26年の診療報酬改定のときにかかりつけ医の評価というものがございまして、その算定要件の中で健診の受診を勧奨するというものは1つ盛り込まれておりますので、多くたくさんある中の一つではあるのですけれども、そういった形での評価というものはさせていただいております。

○吉田委員 薬剤師のほうはどうですか。

○がん対策推進官 薬剤師のほうは、この健康サポート薬局というものは新しい事業ですので、こちらも平成28年度の予算要求のほうで今、モデル的にかとは思いますけれども、行う予定というふうに聞いております。

○門田会長 最初のほうの企業のほうは、今、アクションがあったので、中川先生がやっておられますね。

○中川委員 そうです。がん対策推進企業アクションというものがありまして、私が議長をやっておりますけれども、その中でも就労の問題を取り上げているのです。この中にも企業アクションの取り組みをちょっと具体的に書き込んでいただくとよりいいのかなという気はいたします。

○門田会長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 就労支援のところの書きぶりで、就労支援は多分、今、全国的なレベルで言いますと両立支援というコンセプトと、それから、一度やめてしまった人の再就職。この2つがメーンテーマになると思います。

 ただ、一般にこの話をしますと、多くの方が再就職のほうに視点を置いてしまう傾向がありまして、拠点病院等の協議会をやっておりますと、それは拠点病院の仕事ではないとはっきりおっしゃる院長先生が結構いらっしゃるのです。それは現実的な問題を考えても、個々の病院の相談支援センターの半数では看護師が担当し、半数ではソーシャルワーカーが担当しているという現実があります。ソーシャルワーカーならば何とか対応できるのですけれども、看護師のほうはなかなかそういう知識や経験がない。そういう観点から、あるいは労災病院のグループが一生懸命、この問題に取り組み、やはり両立支援だろうと結論づけておられます。

 静岡がんセンターで2011年から500名の方の相談を受けて、実際に紹介に至ったのは5分の1。それで、実際に再就職ができたのはたかだか5%から7%程度なので、やはり再就職は非常に難しい。そうしますと、加速化プラン1年半の中で、この全体をざっと書いてあるような印象があるのですが、特に強調していただきたいのは、病院を中心にということであれば両立支援をしっかりやってくださいと。この点については病院にとって責任があるのです。今、勤めている患者さんを、できるだけやめさせない努力を払うということで、ここは拠点病院においても納得していただけると思います。書いてある内容について意見を言っているわけではないのですが、書きぶりを、「1年半の中で両立支援をしっかりやろう」とする。もちろん、いろいろな問題はありますけれども、それを提案させていただこうと思います。

○門田会長 これはなかなかいい提案ではないですか。1年半という範囲内で。

 桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 就労のところなのですけれども、まず今の両立支援は私は大賛成で、いわゆる患者の生活背景に応じた治療計画と配慮事項、対処方法、それから、見通しですね。これを伝えることは、昨年行われましたがん患者経験者の就労支援のあり方検討会の報告書の中でも記載してあるのです。ですので、「ツール」という形が私はどういうものになるのか、全くイメージがつかないのですけれども。やはり拠点病院としてすべきこととしては看護師さんなり薬剤師さんなりが、こういう症状が起きます。だから、これをやってはだめですではなくて、その上でどういうことが対処方法としてできるのかですとか、あるいはできることリストというのですか、そういうものをきちんと患者にインフォームド・コンセントとして提供していっていただきたいと思います。本当に症状が、副作用がひどくなってから入るという方法ではなくて、なる前にきちんと説明をするという、拠点病院のあり方としてきちんとICをやっていただきたいなと思います。

 今、多分、一番課題なのは中小零細企業の方とか、非正規雇用の方とか、自営業とか、フリーランスの方なのです。この人たちには幾ら「企業のガイドライン」をつくっても届かないです。企業のガイドラインはいいですけれども、こういうものがあるよりはむしろ、患者個々人の患者力を上げていくような教育なり、そういうものも最初に必要なものです。ここ就労の部分に関して、今ひとつ、患者さんの実像が見えないので、ちょっと書きぶりとして、現実社会とか実態社会とかに応じたようなものに私はしていただきたいなと思います。

○がん対策推進官 どういった書き方がいいか、私も悩んでいるのですけれども、また検討させていただきます。

○門田会長 多分、桜井委員が何か案を出していただけるのではないかと思います。

 よろしいですか。

 そのほか、どうぞ。

 松村委員、どうぞ。

○松村委員 就労支援のところで、実際に私どもは拠点病院の相談支援の部分と、地域統括相談支援センターと2種類持っているところです。とりわけ、やはり医療機関のところでの相談と、統括のところでの相談部分にはやはり、数字を持ち合わせていなくて申し訳ないですが、すごく差がありまして、1つ目の●のところで書いていただいているように、就労相談に重視したもので、両立の仕方をどうするのかを聞いてこられる方がすごく多いと思っています。

 それからいきますと、いわゆるがん相談支援センターの拠点病院と統括相談支援センターから考えますと、両立支援のウエートが統括のところが多くなると、今、やっていて感じているところですので、先ほど山口委員がおっしゃった部分で、拠点病院のところを否定するものでは全然ないのですけれども、そこの連携を合わせた形で両立支援を記載していただけたらありがたいと思います。

 拠点病院は拠点病院の相談のポイントというものがありますし、統括は統括の部分で持っていると思いますので、そこの連携をきちんと位置づけていただけて書いていただきたいと思います。

 以上です。

○門田会長 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 今、議論になっている、要するにやめてしまってから再就職というものは非常に難しいというのは実感しているところなので、両立支援、あるいはやめないで治療を続けられるかどうかという、ここに医療側としてはもう少し積極的に参加してもいいのではないかなと聞いていて思うのです。

 がんの就労の検討会の中でも、医療側でまず入り口としてできることは、患者さんにやめないでいいです、一緒に考えましょうという、このメッセージだけでも全然違うということなので、そこをもっと、今からでもできることですから、それを徹底するというのが加速化プランの非常に実効性が上がる部分ではないかなと思います。

○門田会長 皆さん、同じような意見をおっしゃっていただいています。

 難波委員、どうぞ。

○難波委員 ありがとうございます。

 これは全体的なプランにもかかわってくると思うのですが、門田会長がおっしゃっていたように、3本の柱があって、それぞれの施策というものがあるのですが、恐らくアクションプランの中では、ここも含めるし、ここも含めるという、割とアクションを集約できるようになるのではないかなと思いまして、加速化プランというものをより明確にわかりやすくするために行動をまとめて、それに効果的な施策は何なのか、関連する団体であるとか学会であるとか、ステークホルダーは誰なのか。それがどう影響していくものなのかを取りまとめていただけるとよりわかりやすいと思います。

具体的なアクションプランは横断的に考えてみてもいいのではないかと思いました。

○門田会長 しかし、これはなかなか今の段階でというのは難しいと思います。

○難波委員 感想といいますか。

○門田会長 ですから、時間に追いかけられていて、本当にあとわずかになっていますので、こう書こうというのはなかなか難しいのではないのかなと思っています。それで、今の形で足りない部分を上手につけ加えていくというやり方でないと多分、事務局はもたないのではないのかなと思います。

○難波委員 済みません。言葉が足りなかったのですけれども、提言を変えるというわけではなくて、これからのアクションプランに関してもう少しわかりやすい形で周知していくということです。

○門田会長 わかりました。

 桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 就労の<実施すべき具体策>の1つ目の●に、最後のほうで「経験者を交えた就労相談を重視した」というものが書いてあるのです。私たちの団体では、電話相談ですとかでずっとやってきているのですけれども、この就労の相談というものはかなり法的な根拠に基づいた相談をしたりということがありますので、単純に経験者を交えたという言葉を書くのが適切なのかどうかがわかりません。私としては、やはり研修を積んだなり、そういう言葉を加えた形でのものにしていただきたいなと思います。

○門田会長 それは内容的にはあれですね。

 そのほか、いかがですか。

 馬上委員、どうぞ。

○馬上委員 済みません。今のところではないのですけれども、全体的に見まして、実は死亡原因の半分を占めている難治性がんの視点ががん研究のところにだけ出ているのですが、やはり難治性がんとくくりますとすごく曖昧なので、加速化プランにはなじまないなとは感じているのですけれども、やはり3期に向けて、最後のほうの意見のところに入れていただきたいと思っています。

 あと、AMEDのほうで、アンメット・メディカル・ニーズ、難治性がんというものをやっていただくのですが、その中の支援充実のバランスというものは、堀田先生がなさっていると思うのですけれども、そういうところはどうなっているのか、ちょっとだけ質問したいのです。

○門田会長 よろしいですか。どうなのでしょうか。

 今の段階でははっきりと。

○宮園委員 私が答えましょうか。

○門田会長 では、宮園委員どうぞ。

○宮園委員 私は、文科省のほうでがん研究の在り方に関する検討会での議論に加わりましたが、今後のがん研究として特に重要とされたものは5つありまして、1つはやはり難治がん、浸潤や転移再発をどうするかということは一つの大きな柱になっております。

 あとは、異分野融合ということで、日本が強いiPSの研究ですとかドラッグデリバリーとか、そういったものを利用するとか、あとは最近、がんの免疫療法ががん研究の世界では非常に活発になっておりますので、そういったものを活用してがん研究を難治がんの克服のために加速するということは準備を進めております。

 今回、この15ページのところに書いていただいておりますので、ぜひいい成果が出るようにと考えております。患者さんの団体からも助言をいただきまして、難治がんについてもしっかりやろうということになっております。

○馬上委員 ありがとうございます。

○門田会長 よろしいですか。

 桜井委員、どうぞ。

○桜井委員 済みません。時間が押し迫ってきたので、言い残しがないように言いたいことだけ2つほど言わせてください。

 先に支持療法の部分なのですけれども、17ページの<実施すべき具体策>の一番下の部分の「ガイドラインの作成に向けた研究を進める」ということなのですが、このまえ出た海外の学会はこういうものをすごく検討する場所だったのです。医学的なところのアウトカムの部分と、それから、患者の評価は全く違っておりました。この支持療法に関する部分についてはぜひ、患者さんを、患者の声をまぜてガイドラインもつくっていっていただきたいと思いますし、その中の手法としてペイシェント・リポーデット・アウトカムメジャーを活用していただきたいと思います。その文言を加えていただきたいということが1つ。

 それから、緩和ケアのほうなのですけれども、緩和ケアのほうもチームができたことは大変すばらしいとは思いますが、やはり病棟に入院しない限り恩恵を受ける機会はなかなか少のうございます。それから、介護認定の問題についても、これは平成22年に自治体のほうに連絡があってから後の検証も全く行われておらず、いまだに私が住んでいる区は年間に600人の区民が亡くなっていながら、介護認定された人はたったの50人で、そのうち要介護4とか要介護5とか、もともと介護状態からがんを発症した人たちを引きますと、600人のうちの30人しか介護保険を利用できていないのです。

 ですから、家で過ごせ、外来でいこうというアピールが広がったとしても、生活基盤がなければ何もならない。尊厳などというものが全くないような終末期を迎えることになっています。座ったまま寝て亡くなっていく。こういう事例が実態としてありますので、私はこの緩和ケアと支持療法、この境目云々、言葉云々はどうでもいいのですけれども、「がん患者の終末期医療のあり方を考える検討会」というものをぜひ設立していただいて、地域と医療をどう結ぶのか。それから、介護とか高齢者とかをどう結ぶのか。それから、そこにあって尊厳というものが何なのかということを考えるような場をぜひつくっていただきたいと思いますので、つくることも検討しますみたいな言葉をひとつ書いていただきたいなと思います。

 以上です。

○門田会長 先ほどからお願いを何度かしているのですけれども、次期に向けてやっていく内容のように聞こえるのです。ですから、そちらのほうに加えていくというふうにまとめさせてもらうようにしたいと思いますが、それでよろしいですか。

○堀田委員 進め方について、今日は時間がないので、ここで一応まとめるという方向性だと思います。今、いろいろ挙げていただいた意見はそれなりにみんな意味があるのですが、最終的にこれは協議会の提言なので、厚労省が取りまとめて、どういうものを、例えば財務に財政的な裏づけを要求していくかというのはまた別の次元で考えていただくことになるのだろうと思います。

 もう一点は、提言として出された項目には検討会の報告書とかがん研究10カ年戦略ですでに取り上げられ、もう動いています。そういったものについてはすでに対応がなされているということを前提に進めていっていただければいいかなと思います。

○門田会長 道永委員、どうぞ。

○道永委員 すぐにできることかと思って発言させていただきます。

 緩和ケアのところで、今、何年か前につくった緩和ケアのハンドブックというものがありますね。あれも踏まえて、あれも改訂する時期に来ています。それを改訂するなり、ガイドラインをつくるなり、それは今の期でできると思うので、ぜひやっていただければと思います。それを提言していただければと思っています。

○門田会長 どうぞ。

○細川委員 済みません。そのハンドブックは前に医師会と一緒にやった分ですか。

○道永委員 はい。

○細川委員 あれは医師会のほうで出されるということになっていたと思うのです。

○道永委員 済みません。実は厚労省から委託を受けて医師会が作成しました。すごく大きいお金をいただいているのです。今回、医師会として予算立てしていないので。

○細川委員 はい。わかります。それもそのときに緩和医療学会が一緒に、多分、共同でやることになると思うのです。

○道永委員 そうです。委員会で作成しました。

○細川委員 今回もその形でということになるのでしょうか。そこが実ははっきりしていないので。

○道永委員 今回はお金はかからないと思います。改訂だけなので、最初から真っさらなものをつくるわけではないので。

○細川委員 ただ、その話が出たときに、医師会がつくられるということでうちの教育委員会のほうはおりたという話になっていたのです。

○道永委員 それは聞いていないです。

○細川委員 そうしましたら、そこはもう一回やりましょう。別に新しくつくるわけではないので。

○道永委員 はい。ぜひお願いします。

○細川委員 それで、同じことで、先生よろしいですか。

 この1年半という短いところでということなのですけれども、これは厚労省にお願いしたいのですが、例えば先ほどの遺伝カウンセラーの問題もそうなのですが、こういういろいろなことをやっていきますと、いろいろな専門職の新しいものが出てくるのです。そういったものに対して教育、例えば最初に遺伝カウンセラーは今、学会のほうに出られている。

 それで今、緩和ケアとか支持療法に近いところなのですが、リンパ浮腫とか、それから、精神科の方々でそれらに特化した方がなかなかおられないので、臨床心理士とかがそういう形にかかわるケースが非常に多いのですけれども、その臨床心理士もこの9月4日に名前が心理療法士か何かになったと思うのですが、名前が変わった形で国家資格になったのですよ。ところが、最初に国家資格がなかったもので、その教育なり認定をする機関が結構もめているのです。これは多分、看護師、看護協会もそうですけれども、リンパ浮腫のものも2つに分かれて、今、調整ができない状況になっているのです。

 ですから、今後こういった新しい専門分野の専門家をつくるときには、先にその国家資格なり、それをつくる機関を先に明確化しておかないと、どこかの法人とかがぽんとやったりして、5年ごとには書きかえに対するお金も取ったりしているという状況が既にできているのに、その本体のところがまだ決まっていないという、せっかくリンパ浮腫で苦しんだ方がおられて、やれる方々も養成しつつあって、厚労省のほうも保険点数をつけてくださるとおっしゃっているのに、今後どのところでそれを養成していくかとかがまだいまだに決まらないという状況なので、これは喫緊の問題だと思います。1年半でやらなくてはならないことだと思いますので、私、また文章のほうを出します。それらを入れていただければと思います。

 それから、先のことに関しては、新しくできてくる専門職に関して必要性が決まった場合には、どう国家資格として決めるか、どこが教育を担当するかをやっていただきたいと思います。

○門田会長 時間になってしまいましたけれども、ここでやはり、どうも1年半でできること、期間内にできることと言っている内容と、それから、今の計画を加速化するというものと、何か少し混同してきているような気がするのです。ですから、あえて申し上げますと、前から言っていますように、これからずっと続けてやっていくことあるいは、今までになかったものをスタートするというものは第3期に盛り込みましょう。そして、今、やりかけていることに対して本当の意味で加速化しなければならないところをもっと明確にして、それだけは絶対にこなそう。ただ、ここを欲張って、あれもこれも書いて、1年半のうちにほとんどできないということにならないようにするために、やはりポイントを絞ったものにしましょう。何もかにもというのではなく、たくさん出てきましたものは今後つくらなければならない第3期の計画の中に反映させましょう。特に今のシステム論ですね、どこの資格をどうするという話になってきますと時間も必要になってきますし、本格的なことをしていく必要がある。

 そこで、これは本当に今年中にということになっていますので、会長として、きょう幾つかの宿題をお願いした人、どなたにどれをお願いしたかわからなくなりましたが、そのことをまとめていただいて提出してください。それから、今、幾つか出てきていることの中でも、先ほど言いましたように、本当にこの加速化プランに特化したものを出していただくことにして、そうでないものは次のときまで、記録を残しておくという扱いで出していただく。

 そして、これをまとめて、どのくらい時間があったらいいですか。いつまでに出してもらったらいいですか。来週いっぱいですか。それでは遅過ぎますか。

 お願いします。

○がん・疾病対策課長 お忙しいところ、恐縮ですが、週明け早々ぐらいまでに、いただければと思います。○門田会長 今、皆さんが発言された内容ですから、それを文章化するということで、週末に頑張っていただいて、火曜日中ですか。火曜日の昼ですか。火曜日の朝ですか。

○がん・疾病対策課長 では、火曜日の午前中ということでお願いいたします。

○門田会長 では、連休中でまことに申しわけございませんが、火曜日の午前中までに届くようにお願いして、そしてそれをすぐ事務局のほうでまとめ、そして皆さんにそれを見てもらうという形にやっていくということでよろしいですか。

○桜井委員 1つだけ、最後にいいですか。

○門田会長 どうぞ。

○桜井委員 私たち患者委員は、別に医療の専門家でもシステムの専門家でもなんでもないので、患者の声を届けることしかできません。なので、届けられることは全部届けますので、どれがこれはすぐできることなのか、これはちょっと時間がかかるけれどもできるねということはやはり専門家の方たちに分けていただきたいと思っています。きょう、この瞬間にも亡くなっている患者さんがいるということを私たちは忘れてはいけないと思います。

 以上です。

○門田会長 ありがとうございました。

 それはおっしゃるとおりだと思いますので、思いつくものは期限内で上げていただいて、事務局でとにかくまとめるということはそのとおりにさせていただくということでよろしゅうございますか。

(首肯する委員あり)

○門田会長 それでは、これで一応、きょうはもう終わりたいと思いますので、事務局、何か連絡事項がありましたらお願いいたします。

○がん対策推進官 本日は、長時間の御審議ありがとうございました。

 先ほど課長が申したとおり、申しわけございませんけれども、来週火曜日の午前までに御意見をいただければと思います。それを会長のほうと整理をして、最終的に取りまとめたいと考えております。

 次回については、また決まり次第、御連絡をさせていただきます。

○門田会長 それでは、本日はこれで終わりたいと思います。

 どうも、長いことありがとうございました。


(了)

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